説明

表示装置及びその駆動制御方法並びに電子機器

【課題】簡易な構成及び制御方法で、表示エリアに任意の表示色を設定することができるとともに、2D画像と3D画像を切り替えることができる表示装置及びその駆動制御方法並びに電子機器を提供する。
【解決手段】表示装置100は、画像表示部110と、視差バリア設定部120と、を備えている。画像表示部110において、表示パネル111に2次元配列された複数の発光画素PIXを画像データに応じた輝度階調で発光させることにより、表示パネル111に階調画像を表示する。また、視差バリア設定部120において、視差バリア設定パネル121のストライプ電極E1に所定の電圧を印加することにより、黒ライン表示を行い視差バリアを形成する。これにより、表示パネル111に表示された階調画像が、視差バリア設定パネル121を透過することにより立体画像として視認される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその駆動制御方法並びに電子機器に関し、特に、発光素子を有する複数の画素が配列された発光パネルを備えた表示装置及びその駆動制御方法、並びに、該表示装置を実装した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薄型テレビジョンやパーソナルコンピュータのモニタとして、また、携帯電話や携帯音楽プレーヤの表示デバイスとして、薄型かつ軽量で、省電力の液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(以下、「有機EL」と略記する)表示装置等の普及が著しい。特に、有機EL表示装置のように、発光素子を有する複数の画素をマトリクス状に配列した表示パネル(発光パネル)を備えた発光素子型の表示装置が注目されている。ここで、発光素子型の表示装置に適用可能な発光素子としては、例えば有機EL素子や無機EL素子、発光ダイオード(LED)等が知られている。
【0003】
このような表示装置においては、種々の表示方式が知られている。例えば、画像情報を単色発光により表示するモノカラー表示方式や、表示エリア内の特定の領域ごとに任意の発光色で表示するエリアカラー表示方式(又は、ブロックカラー表示方式)、表示エリア全域で例えば光の3原色を用いたカラー表示を行うフルカラー表示方式等がある。
【0004】
ここで、フルカラー表示方式においては、表示パネルに配列された各画素が赤(R)、緑(G)、青(B)の3色うち、いずれかの色を表示する必要がある。このようなフルカラー表示を実現するための手法としては、各画素に設けられる発光素子がRGBのいずれかの色で発光し、これらの3色の画素の組み合わせによってフルカラー表示を行うものが知られている。また、白色発光する発光素子からなる表示パネルの前面(視野側)に、RGB3色のカラーフィルタ層を配置することによりフルカラー表示を行うものも知られている。このようなフルカラー表示方式を適用した表示装置の構造については、例えば特許文献1等に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−205929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、表示装置においては、用途によって表示色を変更することが要求される場合がある。しかし、モノカラー表示方式においては、階調表現はできるものの、表示色を変えることはできなかった。また、エリアカラー表示方式においても、領域ごとに発色が予め固定されているため、領域ごとの表示色を変えることはできなかった。一方、フルカラー表示方式においては、RGB3色の画素の組み合わせにより、表示色を変えることはできるが、画素ごとにRGBの異なる発色になるように形成する必要がある。例えば、発光素子として有機EL素子を適用した表示パネルにおいては、各画素に設けられる有機EL素子の有機層(発光層)がRGBのいずれかで発光するように形成する必要がある。そのため、フルカラー表示方式においては、パネル構造及び製造方法が複雑になり、製品の低コスト化が難しいという問題を有していた。
【0007】
さらに、近年立体画像(3D画像)の表示が可能な薄型テレビジョンやディスプレイが注目されている。そして、このような立体表示方式は、通常、フルカラー表示方式のディスプレイやモニタに採用されている。すなわち、モノカラー表示方式で発色を変更できる立体表示方式のディスプレイは知られていなかった。また、簡易な制御方法で平面画像(2D画像)と立体画像とを切り替えることができるディスプレイも知られていなかった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題に鑑み、簡易な構成及び制御方法で、表示エリアに任意の表示色を設定することができるとともに、2D画像と3D画像を切り替えることができる表示装置及びその駆動制御方法並びに電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明に係る表示装置は、所定の単色光を発光する複数の発光画素が配列され、該各発光画素を画像データに応じた輝度階調で発光させることにより階調画像を表示する表示パネルを備えた画像表示部と、前記表示パネルの前記各発光画素の発光した光が出射される側に配置され、第1の電圧を印加することにより、等間隔で配列された遮光部からなる視差バリアを形成する視差バリア設定パネルを備えた視差バリア設定部と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の表示装置において、前記視差バリア設定パネルは、対向して配置された基板間に、等間隔で配列された透明な第1の電極と、該第1の電極に共通して対向する透明な共通電極と、前記第1の電極と前記共通電極との間に封止された液晶分子と、を有する液晶層を備え、前記第1の電極と前記共通電極との間に、視差バリア設定用の前記第1の電圧を印加して、前記液晶分子の配向状態を変化させることにより、前記第1の電極が配列された領域において前記遮光部を形成することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の表示装置において、前記視差バリア設定部は、前記視差バリア設定パネルの外側に偏光板を備え、前記視差バリア設定パネルは、対向して配置された基板間に、等間隔で配列された透明な第1の電極と、該第1の電極の各間隙に配列された透明な第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極に共通して対向する透明な共通電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極と前記共通電極との間に封止された液晶分子と、を有する液晶層を備え、前記第1の電極と前記共通電極との間に、視差バリア設定用の前記第1の電圧を印加して、前記液晶分子の配向状態を変化させることにより、前記第1の電極が配列された領域において前記遮光部を形成し、前記第2の電極と前記共通電極との間に、表示色設定用の第2の電圧を印加して、前記液晶分子の配向状態を変化させることにより、前記第2の電極が配列された領域において前記偏光板及び前記視差バリア設定パネルを透過する光の波長分布を設定することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の表示装置において、前記第1の電極と前記共通電極との間に印加される前記第1の電圧を、前記第2の電圧と同一の電圧値に設定して、前記液晶分子の配向状態を変化させることにより、前記第1の電極が配列された領域において前記偏光板及び前記視差バリア設定パネルを透過する光の波長分布を設定することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項3又は4記載の表示装置において、前記視差バリア設定パネルは、前記表示パネルから出射された前記単色光が透過する光透過領域が複数の領域に分割され、該分割領域の各々に、前記第1の電極及び前記第2の電極が個別に設けられ、前記分割領域ごとに前記第1の電圧及び前記第2の電圧が個別に印加されることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5記載の表示装置において、前記発光画素は、前記単色光を発光する発光素子として、有機エレクトロルミネッセンス素子を適用したことを特徴とする。
請求項7記載の発明に係る電子機器は、請求項1乃至6のいずれかに記載の表示装置が実装されてなることを特徴とする。
【0011】
請求項8記載の発明に係る表示装置の駆動制御方法は、画像データに応じた輝度階調で複数の発光画素を単色発光させることにより、表示パネルに階調画像を表示し、前記表示パネルの前記各発光画素の発光した光が出射される側に配置された視差バリア設定パネルに等間隔で配列された透明な第1の電極に、第1の電圧を印加することにより、前記第1の電極が配列された領域において遮光部を形成し、前記階調画像を前記遮光部からなる視差バリアを透過させることにより、立体画像として表示することを特徴とする。
【0012】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の表示装置の駆動制御方法において、前記視差バリア設定パネルに等間隔で配列された前記第1の電極の各間隙に配列された透明な第2の電極に、第2の電圧を印加することにより、前記第2の電極が配列された領域において前記視差バリア設定パネルを透過する光の波長分布を設定し、前記階調画像を前記視差バリア設定パネルを透過させることにより、前記立体画像を前記画像データに応じた所定の表示色で表示することを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項9記載の表示装置の駆動制御方法において、前記第1の電極に印加される前記第1の電圧を、前記第2の電圧と同一の電圧値に設定して、前記第1の電極が配列された領域及び前記第2の電極が配列された領域において前記視差バリア設定パネルを透過する光の波長分布を設定し、前記階調画像を前記視差バリア設定パネルを透過させることにより、前記階調画像を前記画像データに応じた所定の表示色で表示することを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項9又は10記載の表示装置の駆動制御方法において、前記視差バリア設定パネルの任意の領域の前記第1の電極及び前記第2の電極に、前記第1の電圧及び前記第2の電圧を印加して、当該任意の領域に前記画像データに応じた所定の表示色で前記階調画像又は前記立体画像を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易な構成及び制御方法で、表示エリアに任意の表示色を設定することができるとともに、2D画像と3D画像を切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る表示装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る表示装置に適用される画像表示部の一例を示す概略構成図である。
【図3】第1の実施形態に係る画像表示部に適用される発光画素の回路構成例を示す等価回路図である。
【図4】第1の実施形態に係る表示装置に適用される視差バリア設定パネルの一例を示す概略構成図である。
【図5】第1の実施形態に係る表示装置に適用される視差バリア設定パネルを構成する各基板に設けられる電極を示す概略平面図である。
【図6】第1の実施形態に適用される視差バリア方式を用いた3D画像の表示原理を説明するための概念図である。
【図7】第1の実施形態に係る表示装置における画像情報の表示例を示す概念図である。
【図8】第1の実施形態に係る表示装置において、3D画像表示を行う際の表示パネルと視差バリア設定パネルの駆動状態を示す概念図である。である。
【図9】第2の実施形態に係る表示装置に適用される視差バリア設定パネルの一例を示す概略構成図である。
【図10】第2の実施形態に係る表示装置に適用される視差バリア設定パネルを構成する各基板に設けられる電極を示す概略平面図である。
【図11】第2の実施形態に係る視差バリア設定部における偏光板及び液晶層の配置関係を説明するための図である。
【図12】第2の実施形態に係る視差バリア設定部において、液晶層への印加電圧を変化させた場合の、透過光の波長λと透過率Iとの関係を示す図である。
【図13】表示パネルに設けられる有機EL素子から発光される白色光の波長分布の一例を示す図である。
【図14】第2の実施形態に係る視差バリア設定部における液晶層への印加電圧と透過光の波長分布との関係を示す図である。
【図15】第2の実施形態に係る表示装置において、2D画像をモノカラー表示する際の表示例を示す概念図である。
【図16】第2の実施形態に係る表示装置において、2D画像表示を行う際の表示パネルと視差バリア設定パネルの駆動状態を示す概念図である。
【図17】第2の実施形態に係る表示装置において、3D画像をモノカラー表示する際の表示例を示す概念図である。
【図18】第2の実施形態に係る表示装置において、3D画像表示を行う際の表示パネルと視差バリア設定パネルの駆動状態を示す概念図である。
【図19】第2の実施形態に係る表示装置において、2D画像をエリアカラー表示する際の表示例を示す概念図である。
【図20】第2の実施形態に係る表示装置において、3D画像をエリアカラー表示する際の表示例を示す概念図である。
【図21】本発明に係る表示装置を適用したデジタルカメラの構成例を示す斜視図である。
【図22】本発明に係る表示装置を適用した携帯電話の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る表示装置及びその駆動制御方法並びに電子機器の実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
<第1の実施形態>
(全体構成)
【0016】
図1は、本発明に係る表示装置の一実施形態を示す概略構成図である。ここで、図1(a)は、本実施形態に係る表示装置の一例を示す概略斜視図であり、図1(b)は、本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルと視差バリア設定パネルとの積層構造を示す要部断面図である。なお、図1(a)においては、図示の都合上、表示パネルと視差バリア設定パネルとが離間して配置されているように示したが、図1(b)に示すように、相互に密着した積層構造を有することが望ましい。
【0017】
図1(a)に示すように、本発明に係る表示装置100は、大別して、画像表示部110と、視差バリア設定部120と、を備えている。
画像表示部110は、図1(a)に示すように、概略、表示パネル(発光パネル)111と、表示駆動制御回路112と、を有している。表示パネル111は、基板の一面側に発光素子を含む画素(以下、便宜的に「発光画素」と記す)が2次元配列され、表示駆動制御回路112から供給される駆動信号や階調信号に基づいて、各発光画素を画像データに応じた輝度階調で発光させる。これにより、表示パネル111に画像データに応じた階調画像が表示される。ここで、表示装置100において立体画像(3D画像)を表示する場合には、後述するように、右目用と左目用の画像が合成された階調画像が表示パネル111に表示される。
【0018】
そして、表示パネル111の各発光画素において発光した光は、画像表示部110の視野側(基板の一面側又は他面側)に出射される。このような画像表示部110に用いられる表示パネル111は、例えば発光素子として有機EL素子を備えた有機EL表示パネルを適用することができる。なお、表示駆動制御回路112は、その一部又は全てが表示パネル111を構成する基板上に一体的に形成されているものであってもよいし、ICチップの形態で搭載されているものであってもよい。
【0019】
ここで、有機EL表示パネルを適用した表示パネル111は、例えば図1(b)に示すように、対向して配置されたガラス等の透明な基板11、13間に、図示を省略した有機EL素子を含む複数の発光画素が2次元配列された発光層12が設けられている。有機EL素子は、周知のように、有機EL層を挟む一対の電極を有し、電極間に電圧を印加することにより有機EL層が発光して光を放出する。本実施形態においては、有機EL層(発光層12)から放出される光が例えば白色光になるように、有機EL層の発光材料が適宜設定されている。なお、本発明に係る表示パネル111においては、有機EL層から放出される光は、白色光に限定されるものではなく、例えば緑色光や赤色光等の、任意の単色光であってもよい。その場合、当該単色光に対応した発光材料が有機EL層に適用される。また、発光層12の一対の電極のうち、後述する視差バリア設定部120側の電極は透明電極であり、有機EL層から放出される光を透過して視差バリア設定部120(視差バリア設定パネル121)側に出射する。なお、有機EL表示パネルを適用した表示パネル111及び発光画素については、詳しく後述する。
【0020】
視差バリア設定部120は、概略、視差バリア設定パネル121と、バリア制御回路122と、を有している。視差バリア設定パネル121は、上記画像表示部110の視野側に配置され、3D画像を表示する際に、バリア制御回路122から供給される駆動信号に基づいて、上記表示パネル111における階調画像の表示動作に同期して、表示パネル111から出射された光が透過するエリア(光透過エリア;光透過領域)に、所定の間隔で平行に配列された複数の黒ラインを表示する。これにより、視差バリア設定パネル121は、視差バリアとして機能し、表示パネル111に表示された階調画像が、視野側から右目用と左目用の画像成分に分離されて視認される。このような視差バリア設定部120は、後述するように、例えば表示素子として液晶素子を備えた透過型の液晶表示パネルを適用することができる。なお、バリア制御回路122は、その一部又は全てが視差バリア設定パネル121を構成する基板上に一体的に形成されているものであってもよいし、ICチップ(ドライバチップ)の形態で搭載されているものであってもよい。
【0021】
ここで、透過型の液晶表示パネルを適用した視差バリア設定パネル121は、例えば図1(b)に示すように、対向して配置されたガラス等の透明な基板21、23間に、液晶層22が設けられている。液晶層22は、周知の液晶表示パネルと同様に、対向する透明基板の表面に形成された一対の透明電極間に、液晶分子と、該液晶分子を挟持する配向膜とを有し、透明電極間に電圧を印加することにより液晶分子の配向状態が制御される。これにより、例えば透明基板間に電圧が印加されていない状態では、視差バリア設定パネル121に入射する光が全域で透過し、一方、所定の電圧が印加された状態では、液晶分子の配向状態に応じて入射光が部分的に遮断される。特に、本実施形態においては、液晶分子を挟持する一対の透明電極の一方側が、視差バリア設定パネル121のパネル平面において、特定方向に所定の間隔で配列するように分岐又は分割して形成されている。そして、3D画像を表示する際に、透明電極間に電圧を印加することにより、一対の透明電極が対向する領域に沿って、所定の間隔で複数の黒ラインが表示され、視差バリアとして機能する。なお、透過型の液晶表示パネルを適用した視差バリア設定パネル121及び視差バリア型の3D画像の表示原理については、詳しく後述する。
【0022】
また、本実施形態に係る視差バリア設定部120においては、上記液晶層22を挟んで対向する基板21、23を有する視差バリア設定パネル121の外側に、各々偏光板24、25が設けられている。偏光板24、25は、各々近接する配向膜のラビング方向に対して、所定の角度の偏光方向の光のみを透過するように配置されている。ここで、表示パネル111と偏光板24との間に、更に円偏光板を設けて位相を例えばλ/4ずらすことにより、視野側から視差バリア設定パネル121を透過して表示パネル111に入射し、表示パネル111で反射した外光を視野側に透過させないようにして、外光の反射を防止することができる。
【0023】
次いで、上述した表示装置の各構成について、具体的に説明する。
(画像表示部)
図2は、本実施形態に係る表示装置に適用される画像表示部の一例を示す概略構成図である。ここでは、本実施形態に適用される画像表示部として、周知のアクティブマトリクス型の駆動方式に対応した有機EL表示パネルを適用した場合について説明する。また、図2においては、表示駆動制御回路112が表示パネル111とは別個に設けられた構成を示すが、上述したように、表示駆動制御回路112の一部又は全てが表示パネル111の基板上に設けられているものであってもよい。
【0024】
図2に示すように、画像表示部110は、概略、基板11の一面側に表示エリア(表示領域)12Aが設けられた表示パネル111と、表示エリア12Aに配列された発光画素PIXを画像データに応じた輝度階調で発光させるためのドライバ機能を備えた表示駆動制御回路112と、を有している。
【0025】
表示パネル111の表示エリア12Aには、図2に示すように、有機EL素子を有する複数の発光画素PIXが2次元配列された画素アレイが設けられている。当該画素アレイは、基板11に対向して配置された基板13(封止基板;図2では図示を省略、図1(b)参照)により封止されている。すなわち、表示エリア12Aに設けられる画素アレイは、上述した発光層12に対応する。また、表示エリア12A周辺の基板11上には、表示エリア12Aに配列された各発光画素PIXと表示駆動制御回路112とを電気的に接続するための引き出し配線Lreが設けられている。
【0026】
表示駆動制御回路112は、例えばICチップの形態を有し、上記引き出し配線Lreに直接、あるいは、フィルム基板(フレキシブルプリント基板;FPC)等を介して、表示エリア12Aの各発光画素PIXに接続されている。表示駆動制御回路112は、少なくとも表示エリア12Aの各発光画素PIXを画像データに応じた所定の輝度階調で白色発光させるためのドライバ機能を備えている。なお、表示駆動制御回路112は、当該ドライバ機能を制御するためのコントロール機能を備えているものであってもよい。ここで、後述する視差バリア設定部120においても、視差バリア設定パネル121を駆動するためのバリア制御回路122にコントロール機能を備えている。これらのコントロール機能は、いずれも画像データに基づいて、表示パネル111又は視差バリア設定パネル121を駆動するための制御信号を生成して供給するものを含んでいるので、これらを単一の制御回路(システムコントローラ)として構成するものであってもよい。このような制御回路は、例えばICチップの形態を有するものを適用することができる。
【0027】
(発光画素)
次いで、上述した表示パネル111の表示エリア12Aに配列される発光画素PIXについて、図面を参照して説明する。
図3は、本実施形態に係る画像表示部に適用される発光画素の回路構成例を示す等価回路図である。
【0028】
本実施形態に適用される発光画素PIXは、例えば図3(a)、(b)に示すように、発光駆動回路(画素回路)DCと、電流駆動型の発光素子である有機EL素子OELと、を備えている。発光駆動回路DCは、1乃至複数のトランジスタ(機能素子)及びキャパシタを備えた回路構成を有している。また、発光駆動回路DCは、画像データに応じた電流値の発光駆動電流を生成して、有機EL素子OELに供給する。有機EL素子OELは、発光駆動回路DCから供給される発光駆動電流に基づいて、画像データに応じた輝度階調で白色発光する。
【0029】
発光駆動回路DCの一例は、例えば図6(a)に示すように、トランジスタTr11、Tr12と、キャパシタCsと、を備えている。トランジスタTr11は、ゲート端子が選択ラインLsに接続され、ドレイン端子がデータラインLdに接続され、ソース端子が接点N11に接続されている。トランジスタTr12は、ゲート端子が接点N11に接続され、ドレイン端子が電源ラインLaに接続され、ソース端子が接点N12に接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート端子(接点N11)及びソース端子(接点N12)間に接続されている。ここで、電源ラインLaは、所定の高電位電源(電源電圧Vsa)に接続されている。
【0030】
また、有機EL素子OELは、アノード(後述するアノード電極となる画素電極)が上記発光駆動回路DCの接点N12に接続され、カソード(後述するカソード電極となる対向電極)が所定の低電位電源(基準電圧Vsc;例えば接地電位Vgnd)に接続されている。
【0031】
ここで、図3(a)に示したトランジスタTr11及びTr12は、例えばnチャネル型のアモルファスシリコン薄膜トランジスタやポリシリコン薄膜トランジスタを適用することができる。また、キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート・ソース間に形成される寄生容量であってもよいし、該寄生容量に加えて接点N11及び接点N12間に別個の容量素子を並列に接続したものであってもよい。
【0032】
そして、図3(a)に示したような回路構成を有する発光画素PIXにおける駆動制御動作は、まず、所定の選択期間に、図2に示した表示駆動制御回路112に設けられた選択ドライバ機能部から引き出し配線Lreを介して選択ラインLsに対して、選択レベル(ハイレベル)の選択電圧Vselが印加される。これにより、トランジスタTr11がオン動作して、発光画素PIXが選択状態に設定される。このタイミングに同期して、表示駆動制御回路112に設けられたデータドライバ機能部から引き出し配線Lreを介してデータラインLdに、画像データに応じた階調電圧Vdataが印加される。これにより、トランジスタTr11を介して接点N11(すなわち、トランジスタTr12のゲート端子)に階調電圧Vdataに応じた電位が印加される。
【0033】
このとき、トランジスタTr12のドレイン・ソース間電流(すなわち、有機EL素子OELに流れる発光駆動電流)の電流値は、ドレイン・ソース間及びゲート・ソース間の電位差によって決定される。すなわち、図3(a)に示した発光駆動回路DCにおいては、トランジスタTr12のドレイン・ソース間に流れる電流の電流値は、階調電圧Vdataによって制御される。
【0034】
したがって、トランジスタTr12が接点N11の電位(すなわち、階調電圧Vdata)に応じた導通状態でオン動作して、高電位側の電源電圧Vsaが印加された電源ラインLaからトランジスタTr12及び有機EL素子OELを介して、低電位側の基準電圧Vsc(接地電位Vgnd)に所定の電流値を有する発光駆動電流が流れる。これにより、有機EL素子OELが階調電圧Vdata(すなわち画像データ)に応じた輝度階調で白色発光する。また、このとき、接点N11に印加された階調電圧Vdataに基づいて、トランジスタTr12のゲート・ソース間のキャパシタCsに電荷が蓄積(充電)される。
【0035】
次いで、上記選択期間終了後の非選択期間においては、表示駆動制御回路112の選択ドライバ機能部から選択ラインLsに非選択レベル(ローレベル)の選択電圧Vselが印加される。これにより、トランジスタTr11がオフ動作して発光画素PIXが非選択状態に設定される。このとき、上記キャパシタCsに蓄積された電荷が保持されることにより、トランジスタTr12のゲート・ソース間の電位差が保持され、トランジスタTr12のゲート端子(接点N11)に階調電圧Vdataに相当する電圧が印加される。
【0036】
したがって、上記選択状態と同様に、電源ラインLaからトランジスタTr12を介して、有機EL素子OELに発光動作状態と同程度の電流値の発光駆動電流が流れて、発光動作状態が継続される。この発光動作状態は、次の画像データに応じた階調電圧Vdataが書き込まれるまで、例えば、1フレーム期間継続するように制御される。そして、このような駆動制御動作を、表示エリア12Aに2次元配列された全ての発光画素PIXについて、各行ごとに順次実行することにより、表示エリア12Aの全域から画像データに応じた輝度階調の白色光(又は任意の単色光)が視差バリア設定部120に出射される。
【0037】
また、発光駆動回路DCの他の例は、例えば図3(b)に示すように、トランジスタTr21、Tr22と、トランジスタTr23と、キャパシタCsと、を備えている。トランジスタTr21は、ゲート端子が選択ラインLsに接続され、ドレイン端子が電源ラインLaに接続され、ソース端子が接点N21に接続されている。トランジスタTr22は、ゲート端子が選択ラインLsに接続され、ソース端子がデータラインLdに接続され、ドレイン端子が接点N22に接続されている。トランジスタTr23は、ゲート端子が接点N21に接続され、ドレイン端子が電源ラインLaに接続され、ソース端子が接点N22に接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr23のゲート端子(接点N21)及びソース端子(接点N22)間に接続されている。
【0038】
また、有機EL素子OELは、図3(a)に示した発光画素PIXと同様に、アノード(アノード電極となる画素電極)が上記発光駆動回路DCの接点N22に接続され、カソード(カソード電極となる対向電極)が所定の低電位電源(基準電圧Vsc;例えば接地電位Vgnd)に接続されている。
【0039】
そして、このような回路構成を有する発光画素PIXにおける駆動制御動作は、まず、発光画素PIXへの書込動作(選択期間)において、表示駆動制御回路112の選択ドライバ機能部から選択ラインLsに選択レベル(ハイレベル)の選択電圧Vselを印加することにより、発光画素PIXが選択状態に設定される。このとき、表示駆動制御回路112に設けられた電源ドライバ機能部から引き出し配線Lreを介して電源ラインLaに非発光レベル(基準電圧Vsc以下の電圧レベル;例えば負電圧)の電源電圧Vsaが印加されている。そして、この状態で、表示駆動制御回路112のデータドライバ機能部からデータラインLdに画像データに応じた負の電圧値に設定された階調電圧Vdataが供給される。これにより、トランジスタTr21〜Tr23がオン動作して、トランジスタTr23のゲート・ソース間に生じた電位差に応じた書込電流が、電源ラインLaからトランジスタTr23、接点N22、トランジスタTr22を介してデータラインLd方向に流れる。
【0040】
このとき、キャパシタCsには、接点N21及びN22間に生じた電位差に対応する電荷が蓄積され、電圧成分として保持される。また、電源ラインLaには、基準電圧Vsc以下の、非発光レベルの電源電圧Vsaが印加され、さらに、書込電流が発光画素PIXからデータラインLd方向に流れるように設定されている。これにより、有機EL素子OELのアノード(接点N22)に印加される電位は、カソードの電位(基準電圧Vsc)よりも低くなるため、有機EL素子OELには電流が流れず、有機EL素子OELは発光しない(非発光動作)。そして、このような書込動作を、表示エリア12Aに2次元配列された全ての発光画素PIXについて、各行ごとに順次実行する。
【0041】
次いで、書込動作終了後の発光動作(非選択期間)において、表示駆動制御回路112の選択ドライバ機能部から選択ラインLsに非選択レベル(ローレベル)の選択電圧Vselを印加することにより、発光画素PIXを非選択状態に設定する。これにより、トランジスタTr11及びTr12がオフ動作する。このとき、キャパシタCsには、上述した書込動作において蓄積された電荷が保持されるので、トランジスタTr23はオン状態を維持する。そして、表示駆動制御回路112の電源ドライバ機能部から電源ラインLaに発光レベル(基準電圧Vscよりも高い電圧レベル)の電源電圧Vsaが印加されることにより、電源ラインLaからトランジスタTr23、接点N22を介して、有機EL素子OELに所定の発光駆動電流が流れる。
【0042】
このとき、キャパシタCsにより保持される電圧成分は、トランジスタTr23において階調電圧Vdataに対応する書込電流を流す場合の電位差に相当するので、有機EL素子OELに流れる発光駆動電流は、当該書込電流と略同等の電流値となる。これにより、各発光画素PIXの有機EL素子OELは、書込動作時に書き込まれた画像データ(階調電圧Vdata)に応じた輝度階調で白色発光するので、表示エリア12Aの全域から画像データに応じた輝度階調の白色光(又は任意の単色光)が視差バリア設定部120に出射される。
【0043】
このように、本実施形態に係る画像表示部110によれば、表示パネル111の表示エリア12Aに配列された各発光画素PIXが、表示駆動制御回路112から供給される駆動信号及び画像データに基づいて所定の輝度階調で発光することにより、白色光(又は任意の単色光)からなる階調画像が表示される。
【0044】
ここで、本実施形態においては、表示エリア12Aに表示される階調画像は、表示装置100において3D画像を表示する場合には、右目用と左目用の各画像成分が表示エリア12Aの列方向(図2の上下方向)に沿って複数に分割され、右目用と左目用の各分割画像が行方向(図2の左右方向)に交互に隣接するように配置されて同時に表示される。
【0045】
なお、図3(a)、(b)に示した画素回路(発光駆動回路DC)は、画像データに応じた電圧値の階調電圧Vdataを印加することにより、各発光画素PIXの発光素子に画像データに応じた発光駆動電流を流して、所望の輝度階調で発光動作させる電圧指定型の階調制御方式に対応した回路構成を備えた場合について説明した。本発明に適用可能な画素回路は、これに限定されるものではなく、例えば、画像データに応じた電流値の階調電流を供給することにより、各発光画素の発光素子に画像データに応じた発光駆動電流を流して、所望の輝度階調で発光動作させる電流指定型の階調制御方式に対応した回路構成を備えたものであってもよい。
【0046】
(視差バリア設定部)
図4は、本実施形態に係る表示装置に適用される視差バリア設定パネルの一例を示す概略構成図である。ここでは、本実施形態に適用される視差バリア設定パネルとして、周知の透過型の液晶表示パネルを適用した場合について説明する。なお、図4においては、図示を明瞭にするため、基板上に設けられる電極及び封止シールに便宜的にハッチングを施して示した。また、図示の都合上、対向基板となる基板23を省略した。図5は、図4に示した視差バリア設定パネルを構成する各基板に設けられる電極を示す概略平面図である。図5(a)は、基板21側に設けられるストライプ電極を示す概略平面図であり、図5(b)は、基板23側に設けられる共通電極を示す概略平面図である。
【0047】
図1(b)に示したように、視差バリア設定部120に設けられる視差バリア設定パネル121は、透明な基板21、23が対向して配置され、当該基板21、23間に液晶層22が設けられている。より具体的には、図4に示すように、視差バリア設定パネル121には、上述した画像表示部110(表示パネル111)から出射された白色光(又は任意の単色光)が透過する光透過エリア22Aが設定されている。ここで、光透過エリア22Aは、表示パネル111に設定される表示エリア12Aに対応するように、略同一の広がりを有するように設定されている。
【0048】
そして、図4、図5(a)に示すように、基板21の光透過エリア22Aには、図面上下方向(列方向に対応する)に延在するストライプ状の電極(以下、「ストライプ電極」と記す;第1の電極)E1が等間隔で、図面左右方向(行方向に対応する)に複数配列されている。また、ストライプ電極E1は、図4に示すように、単一の接続端子Ts1を介して所定の制御電圧(第1の電圧)V1に接続されている。
【0049】
一方、図4、図5(b)に示すように、基板21に対向する基板23には、少なくとも光透過エリア22Aの略全域にわたり単一のべた電極(以下、「共通電極」と記す)Ecが設けられている。また、共通電極Ecは、図4に示すように、基板21側に設けられた1又は複数の引き出し配線Lrc及び接続端子Tc1、Tc2を介して接地電位に接続されている。ここで、ストライプ電極E1及び共通電極Ecは、例えば錫ドープ酸化インジウム(Indium Tin Oxide;ITO)や亜鉛ドープ酸化インジウム(Indium
Zinc Oxide)等の透明電極材料により形成されている。
【0050】
そして、視差バリア設定パネル121は、図4、図5に示すように、基板21と基板23が封止シール26を介して接合され、光透過エリア22Aを含む領域の基板21、23間に液晶が封止されている。
【0051】
また、図4において図示を省略したが、バリア制御回路122は、例えば画像データに応じて、上述した制御電圧V1をストライプ電極E1に印加する制御を行う。特に、本実施形態においては、バリア制御回路122は、通常の2D画像を表示する際には、ストライプ電極E1に制御電圧V1を印加しない状態にして、ストライプ電極E1を含む光透過エリア22Aの全域で表示パネル111から出射される白色光(又は任意の単色光)をほぼそのまま視野側に透過させる。一方、バリア制御回路122は、3D画像を表示する際には、ストライプ電極E1に制御電圧V1を印加した状態にして、視差バリア設定パネル121を視差バリアとして機能させる。ここで、制御電圧V1は液晶を交流駆動するために一定の周期で極性が反転する電圧信号に設定される。
【0052】
このような構成を有する視差バリア設定部120を用いた3D画像の表示原理について、以下に説明する。
図6は、本実施形態に適用される視差バリア方式を用いた3D画像の表示原理を説明するための概念図である。図6においては、上述した表示装置100と同等の構成については、同一の符号を付して説明する。ここで、図6は、表示装置100(表示パネル111及び視差バリア設定パネル121)及び使用者USRの位置関係を上方から見たものである。
【0053】
図6に示すように、表示装置100において、3D画像を表示する際には、まず、画像表示部110の表示パネル111において、表示対象となる画像情報を列方向に沿って複数に分割して生成された右目用と左目用の各画像成分(図中、「R」「L」で表記)が、行方向(図6左右方向)に交互に隣接するように配置されて同時に表示される。一方、視差バリア設定部120の視差バリア設定パネル121において、図4に示したストライプ電極E1に制御電圧V1を印加して、光透過エリア22A内のストライプ電極E1に沿った領域に、図6に示すように、例えば黒ラインを表示させて遮光部121sとし、スリット状の視差バリアを形成する。これにより、表示パネル111に表示された右目用と左目用の各画像成分が、視差バリアのスリットを介して視野側に透過し、使用者USRの右目で右目用の画像成分「R」が視認され、左目で左目用の画像成分「L」が視認される。このとき、表示パネル111に表示された画像は、視差バリア設定パネル121により形成される視差バリアを透過することにより、使用者USRに所定の視差を有して視認されるので、使用者の脳内で立体画像として認識される。
【0054】
(画像表示動作)
次に、上述したような構成を有する表示装置100における画像表示動作(駆動制御動作)及び画像情報の表示例について、図面を参照して説明する。
【0055】
図7は、本実施形態に係る表示装置における画像情報の表示例を示す概念図であり、図8は、本実施形態に係る表示装置において、3D画像表示を行う際の表示パネルと視差バリア設定パネルの駆動状態を示す概念図である。ここで、図7(a)、(b)においては、表示パネル111に表示される2D表示用の階調画像と、図6において説明したような表示原理に基づく3D表示用の階調画像が異なるものであることを明確にするために、3D表示用の階調画像を構成する「R」「L」の各画像成分を、便宜的にストライプ状の模様により示す(後述する第2の実施形態においても同じ)。また、図8においては、表示パネル111において、異なる輝度階調で発光している状態にあることを、便宜的に異なるドットハッチングにより示す(後述する第2の実施形態においても同じ)。
【0056】
上述した表示装置100において、2D画像のモノカラー表示を行う場合には、図7(a)に示すように、表示パネル111においては、画像データに基づく輝度階調で各発光画素PIXが白色発光(又は任意の単色発光)することにより、階調画像IMxが表示される。また、視差バリア設定パネル121においては、ストライプ電極E1に制御電圧V1を印加しない状態、すなわち、液晶層22に電圧を印加しない状態に設定することにより、図7(a)に示すように、ストライプ電極E1を含む光透過エリア22Aの全域が透明な状態に設定される。これにより、表示パネル111から出射された白色光(又は任意の単色光)がほぼそのまま光透過エリア22Aを透過して、表示装置100の視野側に出射される。そして、この出射光に基づいて表示装置100の表示部10Aに、画像データに応じた輝度階調で、かつ、単一の表示色(白色又は任意の単色)からなるモノカラー画像IMaが2D表示されて使用者に視認される。
【0057】
また、表示装置100において、3D画像のモノカラー表示を行う場合には、図7(b)に示すように、表示パネル111においては、画像データに基づく輝度階調で各発光画素PIXが白色発光(又は任意の単色発光)することにより、階調画像IMyが表示される。ここで、上述したように、3D画像の表示を行う場合には、図8に示すように、画像データに基づく2D画像を列方向に沿って複数の画像成分に分割し、右目用又は左目用に補正処理した各画像成分(図中、「R」「L」で表記)を、行方向(図8左右方向)に交互に隣接するように配置して同時に表示することにより、3D用の階調画像IMyが生成される。また、視差バリア設定パネル121においては、ストライプ電極E1に制御電圧V1を印加した状態、すなわち、液晶層22に電圧を印加した状態に設定することにより、光透過エリア22A内のストライプ電極E1に沿った領域に、黒ラインを表示させて遮光部121sとし、スリット状の視差バリアを形成する。これにより、表示パネル111に表示された3D用の階調画像IMyの右目用と左目用の各画像成分が、視差バリアのスリットを介して視野側に透過して、表示装置100の視野側に出射される。そして、この出射光に基づいて表示装置100の表示部10Aに、画像データに応じた輝度階調で、かつ、単一の表示色(白色又は任意の単色)からなり、所定の視差を有するモノカラー画像IMbが表示されて、使用者に3D画像として視認される。
【0058】
上述したように、本実施形態によれば、比較的簡易な構成及び制御方法で2D画像と3D画像の表示を切り替えることができるモノカラー表示方式のディスプレイを実現することができる。
【0059】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る表示装置の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、上述した第1の実施形態と同等の構成については、同一の符号を付してその説明を簡略化し、本実施形態に特有の構成について詳しく説明する。
【0060】
上述した第1の実施形態においては、表示パネル111を白色光又は任意の単色光で発光させて表示した階調画像を、視差バリア設定パネル121を透過させることにより、2D画像、又は、3D画像としてモノカラー表示する場合について説明した。第2の実施形態においては、表示パネル111を白色光で発光させた階調画像を、視差バリア設定パネル121を透過させることにより、任意の表示色で2D画像表示、又は、3D画像表示することを特徴とする。
【0061】
第2の実施形態に係る表示装置は、上述した第1の実施形態と同様に、画像表示部110と、視差バリア設定部120と、を備えている。
画像表示部110は、第1の実施形態と同様に、基板上に複数の発光画素PIXが2次元配列された表示パネル111を有し、各発光画素を画像データに応じた輝度階調で発光させることにより、画像データに応じた階調画像が表示される。ここで、表示装置100において3D画像を表示する場合には、上述したように、右目用と左目用の画像が合成された階調画像が表示パネル111に表示される。
【0062】
視差バリア設定部120は、第1の実施形態(図1(a)参照)と同様に、表示装置100において3D画像を表示する場合に、視差バリアとして機能する視差バリア設定パネル121と、該視差バリア設定パネル121を駆動制御するバリア制御回路122と、を有している。ここで、本実施形態に係る視差バリア設定部120においては、視差バリア設定パネル121は、上記の視差バリアとしての機能に加え、モノカラー表示を行う際の画像情報の表示色を設定する機能を有している。以下、視差バリア設定部120(特に、視差バリア設定パネル121)について、詳しく説明する。
【0063】
(視差バリア設定部)
図9は、本実施形態に係る表示装置に適用される視差バリア設定パネルの一例を示す概略構成図である。なお、図9においては、図示を明瞭にするため、基板上に設けられる電極及び封止シールに便宜的にハッチングを施して示した。図10は、図9に示した視差バリア設定パネルを構成する各基板に設けられる電極を示す概略平面図である。図10(a)は、基板21側に設けられるストライプ電極を示す概略平面図であり、図10(b)は、基板23側に設けられる共通電極を示す概略平面図である。
【0064】
視差バリア設定パネル121は、上述した実施形態(図1(b)参照)と同様に、透過型の液晶表示パネルを適用することができ、対向して配置された透明な基板21、23間に液晶層22が設けられている。より具体的には、図9、図10(a)に示すように、視差バリア設定パネル121を構成する基板21の光透過エリア22Aには、各々、図面上下方向(列方向)に延在する複数のストライプ電極E1、E2が、図面左右方向(行方向)に交互かつ等間隔で配列されている。すなわち、ストライプ電極E1は、上述した第1の実施形態と同様に、基板21に所定の間隔で配列され、ストライプ電極(第2の電極)E2は、ストライプ電極E1相互の各間隙に、所定の間隔で配列されている。また、図9に示すように、ストライプ電極E1は、接続端子Ts1を介して所定の制御電圧V1に接続され、ストライプ電極E2は、接続端子Ts2を介して所定の制御電圧(第2の電圧)V2に接続されている。ここで、制御電圧V1、V2は液晶を交流駆動するために一定の周期で極性が反転する電圧信号に設定される。
【0065】
一方、図9、図10(b)に示すように、基板21に対向する基板23には、上述した第1の実施形態と同様に、少なくとも光透過エリア22Aの略全域にわたり単一の共通電極Ecが設けられている。共通電極Ecは、図9に示すように、基板21側に設けられた引き出し配線Lrc及び接続端子Tc1、Tc2を介して接地電位に接続されている。ここで、本実施形態においても、ストライプ電極E1、E2及び共通電極Ecは、例えばITO等の透明電極材料により形成されている。また、基板21と基板23は、封止シール26を介して接合され、光透過エリア22Aを含む領域の基板21、23間に液晶が封止されている。
【0066】
また、図9において図示を省略したが、バリア制御回路122は、例えば画像データに応じて、上述したストライプ電極E1、E2に個別の制御電圧V1、V2を印加する制御を行う。特に、本実施形態においては、バリア制御回路122は、通常の2D画像を表示する際には、ストライプ電極E1、E2に同じ電圧値に設定された制御電圧V1、V2を印加した状態にして、視差バリア設定パネル121を表示色設定素子として機能させる。これにより、視差バリア設定パネル121のストライプ電極E1、E2を含む光透過エリア22Aの全域で、表示パネル111から出射される白色光から、画像データに応じた波長分布の光が抽出されて視野側に透過する。
【0067】
一方、バリア制御回路122は、3D画像を表示する際には、例えばストライプ電極E1に視差バリア設定用の制御電圧V1を印加した状態にして、光透過エリア22Aのストライプ電極E1に対応する領域を黒ライン表示させて、視差バリア設定パネル121を視差バリアとして機能させるとともに、ストライプ電極E2に表示色設定用の制御電圧V2を印加した状態にして、光透過エリア22Aのストライプ電極E2に対応する領域を透過する光の波長分布を変更設定する表示色設定素子として機能させる。ここで、視差バリア設定パネル121を視差バリアとして用いた3D画像の表示原理は、第1の実施形態において説明した通りである。
【0068】
(表示色設定動作)
ここで、上述したような構成を有する視差バリア設定部120において、視差バリア設定パネル121を表示色設定素子として用いた表示色設定動作(透過波長設定原理)について、以下に説明する。ここでは、上述した第1の実施形態に示した図1及び図9を適宜参照しながら説明する。
【0069】
視差バリア設定パネル121の基板21、23に設けられたストライプ電極E1、E2と、対向する共通電極Ec間に、電圧を印加しない場合、又は、液晶層22のしきい値電圧よりも低い電圧を印加した場合、視差バリア設定パネル121は、ストライプ電極E1、E2を含む光透過エリア22Aの全域が透明な状態に設定される。ここで、画像表示部110の表示パネル111から出射された白色光は、まず、偏光板24により直線偏光となって基板21を透過した後、液晶層22内の液晶分子の配向に応じた偏光状態となって、さらに基板23及び偏光板25を透過する。したがって、この場合には、表示パネル111から出射された白色光は、ほぼそのまま光透過エリア22Aの偏光板24、基板21、液晶層22、基板23及び偏光板25を順次透過して、表示装置100の視野側に出射される。
【0070】
一方、ストライプ電極E1、E2と共通電極Ec間に、液晶層22のしきい値電圧よりも高い電圧値に設定した制御電圧V1、V2(ここでは、V1=V2)を印加していくと、液晶分子が徐々に基板21、23に垂直な方向に配向する。これにより、偏光板24及び基板21を透過して液晶層22内に入射した直線偏光は、上記液晶分子の配向状態に応じて偏光状態が変化し、基板23及び偏光板25を順次透過することにより、特定波長及び特定強度の光が視野側に出射される。
【0071】
すなわち、液晶層22に印加する電圧を制御することにより、視差バリア設定パネル121を透過して視野側に出射される光の波長分布を、光透過エリア22Aの略全域(厳密には、光透過エリア22A内のストライプ電極E1、E2に対応する領域)で制御することができる。したがって、視差バリア設定部120を透過して出射される光の波長分布に基づく画像情報の表示色を任意に制御することができ、視差バリア設定パネル121を表示色設定素子として機能させることができる。
【0072】
本実施形態における表示色設定動作(透過波長設定原理)について、さらに詳しく説明する。
図11は、本実施形態に係る視差バリア設定部における偏光板及び液晶層の配置関係を説明するための図である。図12は、本実施形態に係る視差バリア設定部において、液晶層への印加電圧を変化させた場合の、透過光の波長λと透過率Iとの関係を示す図である。また、図13は、表示パネルに設けられる有機EL素子から発光される白色光の波長分布の一例を示す図であり、図14は、本実施形態に係る視差バリア設定部における液晶層への印加電圧と透過光の波長分布との関係を示す図である。
【0073】
図1に示したように、偏光板24、25間に液晶層22を配置したパネル構造を有する視差バリア設定部120を透過する光の波長λに対する透過率Iは、次の(1)式及び(2)式で表される。
I=I0・{cos2α-sin2β・sin2(β+α)・sin2(π・Δn・d/λ)} ・・・(1)
Δn=d・{(ns2−n02・sin2θ)0.5−(np2−n02・sin2θ)0.5} ・・・(2)
【0074】
ここで、図11に示すように、αは、2枚の偏光板24、25が透過させる直線偏光がなす角(すなわち、偏光板24の透過軸24axと偏光板25の透過軸25axとがなす角度)である。なお、偏光板24は、第1の実施形態に示したように、円偏光板を適用して、回転可能に構成することにより、その取り付け角度を調整して角度αを変化させることができる。また、βは、液晶層22を透過する直線偏光の軸と進相軸22axとのなす角(すなわち、液晶層22の進相軸22axと偏光板25の透過軸25axとがなす角度)である。また、dは、液晶層22の厚さであり、Δnは、液晶層22の進相軸方向と遅相軸方向との位相差である。ns、np、n0は、液晶層22の異常光、常光及び空気の屈折率であり、θは、液晶分子の傾斜角度である。
【0075】
上記(1)、(2)式において、角α、βを任意の角度に固定した場合、上記(1)式に示した透過率Iの波長λに対する変化特性は、液晶分子の傾斜角度θ、すなわち、液晶分子の配向状態を決定する液晶層22への印加電圧に依存することになる。例えば、液晶層22にホモジニアス液晶を適用し、液晶層22への印加電圧を変化させた場合の、視差バリア設定部120(視差バリア設定パネル121)を透過する光の波長λ(nm)と透過率Iとの関係は、図12のように示される。ここでは、(1)式に示した角αをπ/2(=90°)、角βをπ/4(=45°)に設定した。図12に示すように、液晶層22への印加電圧を変化させることにより、視差バリア設定パネル121を透過する光の波長分布を変化させることができる。
【0076】
さらに詳しく説明すると、画像表示部110の表示パネル111に配列される有機EL素子OELから発光される白色光の実際の波長分布は、図13のように示される。また、液晶層22への印加電圧を変化させた場合に、図13に示す有機EL素子OELから発光される白色光の波長分布のうち、視差バリア設定部120(視差バリア設定パネル121)を透過する光の波長分布は、図14のように示される。
【0077】
図13に示すように、有機EL素子OELから発光される白色光は、波長450nm付近の青色光、波長520nm付近の緑色光、波長650nm付近の赤色光を含む広い範囲の波長の光を含んでいる。ここで、図12に示したように、液晶層22への印加電圧を変化させることにより、視差バリア設定パネル121を透過する光の波長分布を変化させることができる。このことから、表示パネル111からの白色光を、視差バリア設定部120(視差バリア設定パネル121)に入射した場合、図14に示すように、印加電圧を例えば0Vに設定することにより透過光を白色光に設定することができ、また、印加電圧を例えば1.8Vに設定することにより透過光を赤色光に設定することができ、また、印加電圧を例えば2.3Vに設定することにより透過光を緑色光に設定することができ、また、印加電圧を例えば3.7Vに設定することにより透過光を青色光に設定することができる。
【0078】
したがって、ストライプ電極E1、E2に印加する制御電圧V1、V2の電圧値を任意に設定することにより液晶層22への印加電圧が制御されるので、視差バリア設定部120(視差バリア設定パネル121)を透過する光の波長分布を制御して、画像データに応じた輝度階調で、かつ、所定の表示色からなる画像情報を表示することができる。
【0079】
特に、本実施形態に係る視差バリア設定部120(視差バリア設定パネル121)においては、上述したように、ストライプ電極E1、E2が個別の制御電圧V1、V2をに接続されているので、ストライプ電極E1、E2への印加電圧(すなわち、ストライプ電極E1、E2の各々に対応する領域の液晶層22への印加電圧)を個別に設定することができる。
【0080】
したがって、本実施形態に係る表示装置100において、2D画像のモノカラー表示を行う場合には、ストライプ電極E1、E2に対して同一かつ任意の電圧値に設定された制御電圧V1、V2を印加することにより、ストライプ電極E1、E2を含む光透過エリア22Aの全域で、視野側に出射される光の波長分布を制御して、画像データに応じた2D画像を所定の表示色で表示(2Dモノカラー表示)させることができる。
【0081】
一方、本実施形態に係る表示装置100において、3D画像のモノカラー表示を行う場合には、ストライプ電極E1、E2に対して、各々、個別の電圧値に設定された制御電圧V1、V2を印加する。すなわち、例えばストライプ電極E1に対して、視差バリア設定用の制御電圧V1を印加することにより、光透過エリア22Aのストライプ電極E1に対応する領域を黒ライン表示させて視差バリアとして機能させる。また、例えばストライプ電極E2に対して、表示色設定用の制御電圧V2を印加することにより、光透過エリア22Aのストライプ電極E2に対応する領域(ストライプ電極E1に対応する黒ライン表示間の領域)を透過する光の波長分布を制御して表示色設定素子として機能させる。これにより、画像データに応じた3D画像を所定の表示色で表示(3Dモノカラー表示)させることができる。これらの画像情報の具体的な表示例については後述する。
【0082】
なお、上記の透過光の波長分布の検証においては、液晶層22にホモジニアス液晶を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、例えばIPS(インプレインスイッチング)液晶やTN液晶、STN液晶等、他の液晶を適用するものであってもよい。
【0083】
(画像表示動作)
次に、上述したような構成を有する表示装置100における画像表示動作(駆動制御動作)及び画像情報の表示例について、図面を参照して説明する。
【0084】
図15は、本実施形態に係る表示装置において、2D画像をモノカラー表示する際の表示例を示す概念図であり、図16は、本実施形態に係る表示装置において、2D画像表示を行う際の表示パネルと視差バリア設定パネルの駆動状態を示す概念図である。また、図17は、本実施形態に係る表示装置において、3D画像をモノカラー表示する際の表示例を示す概念図であり、図18は、本実施形態に係る表示装置において、3D画像表示を行う際の表示パネルと視差バリア設定パネルの駆動状態を示す概念図である。また、図19は、本実施形態に係る表示装置において、2D画像をエリアカラー表示する際の表示例を示す概念図であり、図20は、本実施形態に係る表示装置において、3D画像をエリアカラー表示する際の表示例を示す概念図である。ここで、図15〜図20においては、表示パネル111において、異なる輝度階調で発光している状態にあることを、異なるドットハッチングにより示し、視差バリア設定パネル121において、異なる波長分布の光を透過させる状態に設定されていることを、異なるラインハッチングにより示す。
【0085】
上述した表示装置100において、2D画像のモノカラー表示を行う場合には、図15(a)又は(b)、及び、図16に示すように、表示パネル111においては、画像データに基づく輝度階調で各発光画素PIXが白色発光することにより、階調画像IMxが表示される。また、視差バリア設定パネル121においては、ストライプ電極E1、E2に同一の電圧値に設定された表示色設定用の制御電圧V1、V2を印加した状態に設定することにより、ストライプ電極E1、E2を含む光透過エリア22Aの全域で、特定の波長分布を有する光が透過する状態に設定される。これにより、表示パネル111から出射された白色光から、画像データに応じた所定の表示色に対応した波長分布を有する光のみが視差バリア設定パネル121を透過して、表示装置100の視野側に出射される。そして、この出射光に基づいて、図15(a)又は(b)、及び、図16に示すように、表示装置100の表示部10Aに画像データに応じた輝度階調で、かつ、所定の表示色からなるモノカラー画像IMcが2D表示されて使用者に視認される。
【0086】
また、表示装置100において、3D画像のモノカラー表示を行う場合には、図17(a)又は(b)、及び、図18に示すように、表示パネル111においては、画像データに基づく輝度階調で各発光画素PIXが白色発光することにより、階調画像IMyが表示される。ここで、第1の実施形態と同様に、3D画像の表示を行う場合には、図18に示すように、画像データに基づく2D画像を列方向に沿って複数の画像成分に分割し、右目用又は左目用に補正処理した各画像成分(図中、「R」「L」で表記)を、行方向(図18左右方向)に交互に隣接するように配置して同時に表示することにより、3D用の階調画像IMyが生成される。また、視差バリア設定パネル121においては、図18に示すように、ストライプ電極E1に視差バリア設定用の制御電圧V1を印加した状態に設定することにより、光透過エリア22A内のストライプ電極E1に沿った領域に、黒ラインを表示させて遮光部121sとし、スリット状の視差バリアが形成される。また、視差バリア設定パネル121において、図18に示すように、ストライプ電極E2に表示色設定用の制御電圧V2を印加した状態に設定することにより、光透過エリア22A内のストライプ電極E2に沿った領域(すなわち、ストライプ電極E1に対応する黒ライン表示間の領域)で、特定の波長分布を有する光が透過する状態に設定される。これにより、表示パネル111に表示された3D用の階調画像IMyの右目用と左目用の各画像成分を有する白色光から、画像データに応じた所定の表示色に対応した波長分布を有する光のみが視差バリアのスリットを介して視野側に透過して、表示装置100の視野側に出射される。そして、この出射光に基づいて、図17(a)又は(b)、及び、図18に示すように、表示装置100の表示部10Aに画像データに応じた輝度階調で、かつ、所定の表示色からなり、所定の視差を有するモノカラー画像IMeが表示されて、使用者に3D画像として視認される。
【0087】
ところで、本実施形態に係る2D画像のモノカラー表示動作においては、図15に示したように、視差バリア設定パネル121の光透過エリア22Aの全域において、単一の波長分布を有する光を透過させて、表示装置100の表示部10Aに、単一の表示色からなるモノカラー画像IMcを2D表示する場合について説明した。本発明はこの表示例に限定されるものではなく、例えば図19に示すように、視差バリア設定パネル121の光透過エリア22Aを複数の領域に分割して各領域ごとに、異なる波長分布の光を透過させるようにして、表示パネル111に表示された階調画像IMzを、表示装置100の表示部10Aに領域ごとに異なる表示色からなるモノカラー画像IMdとして2D表示するエリアカラー表示を行うものであってもよい。あるいは、視差バリア設定パネル121の光透過エリア22A内の特定の領域について、特定の波長分布の光を透過させるようにして、表示パネル111に表示された階調画像の一部を、表示装置100の表示部10Aに異なる表示色からなるモノカラー画像として2D表示するエリアカラー表示を行うものであってもよい。
【0088】
また、本実施形態に係る3D画像のモノカラー表示動作においては、図17に示したように、視差バリア設定パネル121の光透過エリア22Aの黒ライン表示領域を除く全域において、単一の波長分布を有する光を透過させて、表示装置100の表示部10Aに、単一の表示色からなるモノカラー画像IMeを3D表示する場合について説明した。本発明はこの表示例に限定されるものではなく、例えば図20に示すように、視差バリア設定パネル121の光透過エリア22Aを複数の領域に分割して各領域ごとに、異なる波長分布の光を透過させるようにして、表示パネル111に表示された階調画像IMvを、表示装置100の表示部10Aに領域ごとに異なる表示色からなるモノカラー画像IMfとして3D表示するエリアカラー表示を行うものであってもよい。あるいは、光透過エリア22A内の特定の領域について、特定の波長分布の光を透過させるようにして、表示パネル111に表示された階調画像の一部を、表示装置100の表示部10Aに異なる表示色からなるモノカラー画像として3D表示するエリアカラー表示を行うものであってもよい。
【0089】
なお、図19に示したような2D画像のエリアカラー表示、及び、図20に示したような3D画像のエリアカラー表示を実現するためには、視差バリア設定パネル121の光透過エリア22Aを分割した各領域に(あるいは、光透過エリア22A内の特定の領域に)、図9に示したような構造のストライプ電極E1、E2を個別に設けるとともに、各領域のストライプ電極E1、E2への印加電圧を個別に制御するバリア制御回路122を備える必要があるが、このような構成を有する表示装置100によれば、任意の領域ごとに表示方式を設定して、2D画像と3D画像が混在した多種多様な画像表示を実現することができる。
【0090】
上述したように、本実施形態によれば、比較的簡易な構成及び制御方法で2D画像と3D画像の表示を切り替えることができるモノカラー表示方式、又は、エリアカラー表示方式のディスプレイを実現することができる。
【0091】
また、本実施形態においては、視差バリア設定パネル121への印加電圧の制御により、画像情報の表示色を任意に設定することができる。これによれば、簡易な構成及び制御方法により、表示エリアの全域、又は、任意の領域に任意の表示色を設定することができる。
【0092】
また、本実施形態においては、表示パネル111として白色光を発光する有機EL表示パネルを適用することができる。これによれば、基板上に単一色の発光材料(有機材料)を用いて発光層(有機EL層)を形成することができるので、画素ごとに発光色に対応させて発光材料を塗り分ける工程を必要としない。したがって、パネル構造が簡易で、かつ、製造コストを低減することができるとともに、製造歩留まりを向上させることができるモノカラー表示方式、又は、エリアカラー表示方式のディスプレイを実現することができる。また、単一の発光材料を用いて発光層を形成しているので、材料に起因する発光特性の経時変化(寿命)の違いによる色ずれや輝度変化が生じにくく、製品寿命の長いディスプレイを実現することができる。
【0093】
なお、上述した各実施形態においては、画像表示部110の表示パネル111として、一対の電極間に有機EL層が設けられた有機EL素子OEL(発光層12)を、基板11、13間に一層のみ形成したパネル構造を示した。本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、基板11、13間に有機EL素子が複数積層されたタンデム構造(又はスタック構造)を有するものであってもよい。このようなタンデム構造の有機EL素子を適用することにより、発光効率(電流効率)を向上させることができる。また、本発明は、画像表示部110の表示パネル111として、上述した有機EL表示パネルに替えて、バックライトを備えたドットマトリクス型の液晶表示パネルや、無機EL表示パネル等を適用するものであってもよい。
【0094】
<電子機器>
次に、上述した実施形態に係る表示装置を適用した電子機器の一例について図面を参照して説明する。
【0095】
上述した実施形態に示したように、有機EL素子OELを有する発光画素PIXが2次元配列された画像表示部110と、2D画像と3D画像の表示状態を制御する視差バリア設定部120と、を備える表示装置100は、例えばデジタルカメラや携帯電話、デジタルオーディオ、電子辞書、車両用スピードメーター、広告用ディスプレイ等、種々の電子機器の表示デバイスとして良好に適用できるものである。
【0096】
図21は、本発明に係る表示装置を適用したデジタルカメラの構成例を示す斜視図であり、図22は、本発明に係る表示装置を適用した携帯電話の構成例を示す図である。
図21において、デジタルカメラ210は、大別して、本体部211と、レンズ部212と、操作部213と、表示部214と、シャッターボタン215とを備えている。ここで、表示部214は、アイコン表示部214aを備え、上述した各実施形態に示した表示装置100と同等の構成が適用されている。これによれば、アイコン表示部214aにおいて、簡易な構成及び制御方法で2D画像や3D画像を任意の表示色で表示することができるので、製品の品質や信頼性が高く、画像表示が多様で視認性の高いデジタルカメラ210を提供することができる。
【0097】
また、図22において、携帯電話220は、大別して、操作部221と、受話口222と、送話口223と、主表示部224と、副表示部225と、カメラレンズ部226とを備えている。ここで、主表示部224はアイコン表示部やインフォメーション表示部224aを備え、このインフォメーション表示部224aや副表示部225として、上述した各実施形態に示した表示装置100と同等の構成が適用されている。この場合においても、インフォメーション表示部224aや副表示部225において、簡易な構成及び制御方法で2D画像や3D画像を任意の表示色で表示することができるので、製品の品質や信頼性が高く、画像表示が多様で視認性の高い携帯電話220を提供することができる。
【符号の説明】
【0098】
10A 表示部
11、13、21、23 基板
12 発光層
12A 表示エリア
22 液晶層
24、25 偏光板
100 表示装置
110 画像表示部
111 表示パネル
112 表示駆動制御回路
120 視差バリア設定部
121 視差バリア設定パネル
121s 遮光部
122 バリア制御回路
PIX 発光画素
OEL 有機EL素子
E1、E2 ストライプ電極
Ec 共通電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の単色光を発光する複数の発光画素が配列され、該各発光画素を画像データに応じた輝度階調で発光させることにより階調画像を表示する表示パネルを備えた画像表示部と、
前記表示パネルの前記各発光画素の発光した光が出射される側に配置され、第1の電圧を印加することにより、等間隔で配列された遮光部からなる視差バリアを形成する視差バリア設定パネルを備えた視差バリア設定部と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記視差バリア設定パネルは、対向して配置された基板間に、等間隔で配列された透明な第1の電極と、該第1の電極に共通して対向する透明な共通電極と、前記第1の電極と前記共通電極との間に封止された液晶分子と、を有する液晶層を備え、
前記第1の電極と前記共通電極との間に、視差バリア設定用の前記第1の電圧を印加して、前記液晶分子の配向状態を変化させることにより、前記第1の電極が配列された領域において前記遮光部を形成することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記視差バリア設定部は、前記視差バリア設定パネルの外側に偏光板を備え、
前記視差バリア設定パネルは、対向して配置された基板間に、等間隔で配列された透明な第1の電極と、該第1の電極の各間隙に配列された透明な第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極に共通して対向する透明な共通電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極と前記共通電極との間に封止された液晶分子と、を有する液晶層を備え、
前記第1の電極と前記共通電極との間に、視差バリア設定用の前記第1の電圧を印加して、前記液晶分子の配向状態を変化させることにより、前記第1の電極が配列された領域において前記遮光部を形成し、
前記第2の電極と前記共通電極との間に、表示色設定用の第2の電圧を印加して、前記液晶分子の配向状態を変化させることにより、前記第2の電極が配列された領域において前記偏光板及び前記視差バリア設定パネルを透過する光の波長分布を設定することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1の電極と前記共通電極との間に印加される前記第1の電圧を、前記第2の電圧と同一の電圧値に設定して、前記液晶分子の配向状態を変化させることにより、前記第1の電極が配列された領域において前記偏光板及び前記視差バリア設定パネルを透過する光の波長分布を設定することを特徴とする請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
前記視差バリア設定パネルは、前記表示パネルから出射された前記単色光が透過する光透過領域が複数の領域に分割され、該分割領域の各々に、前記第1の電極及び前記第2の電極が個別に設けられ、前記分割領域ごとに前記第1の電圧及び前記第2の電圧が個別に印加されることを特徴とする請求項3又は4記載の表示装置。
【請求項6】
前記発光画素は、前記単色光を発光する発光素子として、有機エレクトロルミネッセンス素子を適用したことを特徴とする請求項1乃至5記載の表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の表示装置が実装されてなることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
画像データに応じた輝度階調で複数の発光画素を単色発光させることにより、表示パネルに階調画像を表示し、
前記表示パネルの前記各発光画素の発光した光が出射される側に配置された視差バリア設定パネルに等間隔で配列された透明な第1の電極に、第1の電圧を印加することにより、前記第1の電極が配列された領域において遮光部を形成し、前記階調画像を前記遮光部からなる視差バリアを透過させることにより、立体画像として表示することを特徴とする表示装置の駆動制御方法。
【請求項9】
前記視差バリア設定パネルに等間隔で配列された前記第1の電極の各間隙に配列された透明な第2の電極に、第2の電圧を印加することにより、前記第2の電極が配列された領域において前記視差バリア設定パネルを透過する光の波長分布を設定し、前記階調画像を前記視差バリア設定パネルを透過させることにより、前記立体画像を前記画像データに応じた所定の表示色で表示することを特徴とする請求項8記載の表示装置の駆動制御方法。
【請求項10】
前記第1の電極に印加される前記第1の電圧を、前記第2の電圧と同一の電圧値に設定して、前記第1の電極が配列された領域及び前記第2の電極が配列された領域において前記視差バリア設定パネルを透過する光の波長分布を設定し、前記階調画像を前記視差バリア設定パネルを透過させることにより、前記階調画像を前記画像データに応じた所定の表示色で表示することを特徴とする請求項9記載の表示装置の駆動制御方法。
【請求項11】
前記視差バリア設定パネルの任意の領域の前記第1の電極及び前記第2の電極に、前記第1の電圧及び前記第2の電圧を印加して、当該任意の領域に前記画像データに応じた所定の表示色で前記階調画像又は前記立体画像を表示することを特徴とする請求項9又は10記載の表示装置の駆動制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−209346(P2011−209346A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74205(P2010−74205)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】