説明

表示装置及びプログラム

【課題】表示内容が書き換えられている途中で、新たな画像の表示指示が入力された場合に、残像を残りにくくしつつ、新たな画像を迅速に表示する。
【解決手段】表示装置の表示体制御部は、操作部によって次ページの画像の表示指示が入力されると、記憶性表示体に表示されている画像を消去する消去処理を行った後、次ページの画像を書き込む書込処理を行って、記憶性表示体に表示されている画像を書き換える。表示装置のCPUは、表示体制御部が次ページの画像の書込処理を行っている間に、操作部によって次々ページの画像の表示指示が入力されると、当該書込処理を中止し、当該書込処理の期間に応じた期間だけ次ページの画像を消去する消去処理を行った後、次々ページの画像を書き込む書込処理を行うよう表示体制御部を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示内容を書き換える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ペーパにおいて、表示内容を書き換える技術が知られている。例えば、特許文献1には、電気泳動方式の表示装置において、白リセット又は黒リセットにより粒子の空間位置を初期化してから、画像の書き込みを行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−127969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の電子ペーパでは、画面の書き換えを開始してから終了するまでの処理が1つの処理ブロックになっており、この処理を途中で中止することができない。そのため、例えば画面の書き換え処理の途中でページ送り操作が行われた場合には、まず実行中の書き換え処理を最後まで行い、その後にページ送り操作に応じた次の書き換え処理を開始していた。この書き換え処理には約2〜3秒の時間を要するから、その間ユーザを待たせてしまうことになる。
本発明は、表示内容が書き換えられている途中で、新たな画像の表示指示が入力された場合に、残像を残りにくくしつつ、新たな画像を迅速に表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、画像を表示する表示手段と、操作者の操作に応じて、新たな画像の表示指示を入力する入力手段と、前記入力手段によって第1の画像の表示指示が入力されると、前記表示手段に表示されている画像を消去する消去処理を行った後、当該第1の画像を書き込む書込処理を行って、前記表示手段に表示されている画像を書き換える書換手段と、前記書換手段が前記第1の画像の書込処理を行っている間に、前記入力手段によって第2の画像の表示指示が入力されると、当該書込処理を中止し、当該書込処理の期間に応じた期間だけ前記第1の画像を消去する消去処理を行った後、当該第2の画像を書き込む書込処理を行うよう前記書換手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする表示装置を提供する。これにより、表示内容が書き換えられている途中で、新たな画像の表示指示が入力された場合に、残像を残りにくくしつつ、新たな画像を迅速に表示することができる。
【0006】
本発明の好ましい態様において、前記制御手段は、前記書換手段が前記表示手段に表示されている画像の消去処理を行っている間に、前記入力手段によって第2の画像の表示指示が入力されると、当該消去処理を済ませた後、当該第2の画像を書き込む書込処理を行うよう前記書換手段を制御してもよい。これにより、表示画像を消去する消去処理の途中で新たな画像の表示指示が入力された場合にも、残像を残りにくくすることができる。
【0007】
本発明の好ましい態様において、前記書換手段は、前記消去処理の後に、前記表示手段の全面を白表示又は黒表示にするリセット処理を行ってから、前記書込処理を行い、前記制御手段は、前記書換手段が前記リセット処理を行っている間に、前記入力手段によって第2の画像の表示指示が入力されると、当該リセット処理を済ませた後、当該第2の画像を書き込む書込処理を行うよう前記書換手段を制御してもよい。これにより、表示内容をリセットするリセット処理の途中で新たな画像の表示指示が入力された場合にも、残像を残りにくくすることができる。
【0008】
本発明の好ましい態様において、前記第2の画像の表示指示が入力されるタイミングと、前記書換手段が画像の書き換えを行うときの書き換え手順とを対応付けて記憶する記憶手段を備え、前記制御手段は、前記書換手段が前記表示手段に表示されている画像の書き換えを行っている間に、前記入力手段によって前記第2の画像の表示指示が入力されると、当該表示指示が入力されたタイミングと対応付けて記憶手段に記憶された書き換え手順を特定し、当該書き換え手順に従って前記画像の書き換えを行うよう前記書換手段を制御してもよい。これにより、画像の書き換えを制御する処理を簡素な手順で行うことができる。
【0009】
本発明は、コンピュータを、表示手段に表示されている画像を書き換える書換手段が、入力手段によって入力された第1の画像の表示指示により、当該表示手段に表示されている画像を消去する消去処理を行った後、当該第1の画像を書き込む書込処理を行っている間に、前記入力手段によって第2の画像の表示指示が入力されると、当該書込処理を中止し、当該書込処理の期間に応じた期間だけ前記第1の画像を消去する消去処理を行った後、当該第2の画像を書き込む書込処理を行うよう前記書換手段を制御する制御手段として機能させるためのプログラムを提供する。これにより、表示内容が書き換えられている途中で、新たな画像の表示指示が入力された場合に、残像を残りにくくしつつ、新たな画像を迅速に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る表示装置の外観を示す図である。
【図2】前記表示装置の構成を示すブロック図である
【図3】前記表示装置の記憶性表示体の断面構造の一部を拡大して示す図である。
【図4】前記表示装置が記憶する書換手順テーブルの一例を示す図である。
【図5】前記表示装置における画面の書き換え処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[構成]
図1は、本実施形態に係る表示装置1の外観を示す図であり、図2は、表示装置1の構成を示すブロック図である。図2に示すように、表示装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、記憶部14と、電源15と、電源制御部16と、操作部17と、入出力部18と、VRAM(Video Random Access Memory)19と、表示体制御部20と、記憶性表示体21とを備えている。
【0012】
CPU11は、ROM12に記憶されているプログラムを実行して、表示装置1の各部を制御する制御手段である。ROM12は、CPU11によって実行される各種のプログラムやデータを記憶する。RAM13は、CPU11がプログラムを実行する際のワークエリアとして使用される。記憶部14は、例えばフラッシュメモリであり、記憶性表示体21に表示される画像を表す画像データ、後述する書換手順テーブルTなどを記憶する記憶手段である。この画像データは、複数のページに区切られている。電源15は、例えば充電可能な電池であり、表示装置1の各部に電力を供給する。電源制御部16は、電源15の電圧を制御して、表示装置1の各部に所定電圧の電力を供給させる。操作部17は、操作者の操作を受け付けて、その操作に応じた操作データを入出力部18へ入力する入力手段である。この操作部17は、図1に示すように、前ページへの書き換えを指示する操作を受け付けるページ戻りボタン17aと、次ページへの書き換えを指示する操作を受け付けるページ送りボタン17bとを有している。つまり、操作部17は、操作者の操作に応じて、新たなページの画像の表示指示を入力する。入出力部18は、操作部17とCPU11との間の各種データのやり取りを制御する。VRAM19は、記憶性表示体21に表示される1画面分の画像を表す画像データを記憶する。表示体制御部20は、記憶性表示体21に駆動電圧を印加して、VRAM19に記憶されている画像データに応じた画像を表示させる書換手段である。記憶性表示体21は、表示体制御部20の制御に従って、電気泳動方式で画像を表示する表示手段である。
【0013】
図3は、記憶性表示体21の断面構造の一部を拡大して示す図である。この図では、操作者が、図中の矢線V方向から記憶性表示体21を視認するものとする。なお、以下の説明では、記憶性表示体21において図中の上方向側を前面と呼び、図中の下方向側を背面と呼ぶ。同図に示すように、記憶性表示体21は、透明電極101と、背面電極102と、表示層103とを備えている。透明電極101は、表示層103の前面側に設けられた透明な共通電極である。背面電極102は、表示層103の背面側において画素毎に設けられた画素電極である。表示層103は、複数の表示素子Pが配列された表示面であり、駆動電圧が印加されることにより当該駆動電圧に応じた画像を表示する。この表示素子Pは、透明な分散媒が充填されたマイクロカプセルである。各々の表示素子Pには、正に帯電した白色顔料WGと、負に帯電した黒色顔料BGとが封入されている。
【0014】
ここで、記憶性表示体21の表示原理について説明する。透明電極101及び背面電極102に駆動電圧が印加されると、各表示素子Pの黒色顔料BG及び白色顔料WGは、駆動電圧の向きに応じて移動する。例えば、透明電極101側が正、背面電極102側が負となる向きの駆動電圧が印加された場合には、黒色顔料BGが透明電極101側に移動し、白色顔料WGが背面電極102側に移動する。このように、黒色顔料BGが表示層103の前面側に移動した場合、その部分の画素の色は黒色になる。一方、透明電極101側が負、背面電極102側が正となる向きの駆動電圧が印加された場合には、白色顔料WGが透明電極101側に移動し、黒色顔料BGが背面電極102側に移動する。このように、白色顔料WGが表示層103の表面側に移動した場合、その部分の画素の色は白色になる。この黒色顔料BG及び白色顔料WGの位置は、一旦移動すると電圧の印加がなくてもその状態が維持される。つまり、記憶性表示体21は、画像を表示した後は、電圧が印加されなくても表示した画像を保持することができる。なお、以下の説明では、記憶性表示体21において画像が保持されている期間を「表示期間」という。
【0015】
次に、図4を参照して、記憶部14に記憶されている書換手順テーブルTについて説明する。図4は、書換手順テーブルTの一例を示す図である。同図に示すように、この書換手順テーブルTでは、「割り込みタイミング」と、「書き換え手順」とが対応付けられている。「割り込みタイミング」は、画面の書き換えの指示が入力されるタイミングを示す情報である。「書き換え手順」は、画面の書き換え処理の手順を示す情報である。このように、記憶部14は、画像の表示指示が入力されるタイミングと、表示体制御部20が画像の書き換えを行うときの書き換え手順とを対応付けて記憶する。例えば、この書換手順テーブルTでは、割り込みタイミング「Sa1」と、1番目が「Sa2」、2番目が「Sa3」、・・・、8番目が「Sb9」という書き換え手順とが対応付けられている。これは、後述する書き換え処理のステップSa1において画面の書き換え指示が入力された場合には、ステップSa2→ステップSa3→・・・→ステップSb9という手順で書き換え処理が行われることを表している。
【0016】
[動作]
次に、図5を参照して、本実施形態に係る表示装置1の動作について説明する。図5は、表示装置1における画面の書き換え処理を示す図である。まず、次ページへの書き換え処理について説明しておく。ここでは、記憶性表示体21に文字画像「A」が表示されているときに、操作者によってページ送りボタン17bが1回押された場合を想定する。この場合、操作部17は、次ページへの書き換え指示を入出力部18からCPU11に入力する。CPU11は、まず記憶部14から次ページの画像データを読み出し、VRAM19に記憶させる。この例では、文字画像「B」を表す画像データが次ページの画像データとしてVRAM19に記憶されるものとする。続いて、CPU11は、予め決められた次ページへの書き換え手順(図5のステップSa1〜Sa9)に従って、表示体制御部20の動作を制御する。表示体制御部20は、CPU11の制御に従って次ページへの書き換え処理を行う。つまり、表示体制御部20は、操作部17によって次ページの画像(第1の画像)の表示指示が入力されると、記憶性表示体21に表示されている画像を消去する消去処理を行った後、記憶性表示体21の全面を黒表示,白表示にするリセット処理を行ってから、当該次ページの画像を書き込む書込処理を行って、記憶性表示体21に表示されている画像を書き換える。
【0017】
具体的に説明すると、表示体制御部20は、まず第1〜第3の白書き込み過程において、記憶性表示体21の文字画像「A」部分の表示素子Pが白色になるように駆動電圧を印加する(ステップSa2〜Sa4)。このとき、表示体制御部20は、第1〜第3の白書き込み過程の各々において、駆動電圧を100msずつ印加する。これにより、記憶性表示体21に表示されている文字画像「A」の色が徐々に薄くなっていき、第3の白書き込み過程を経た後は、文字画像「A」が消去された状態になる。続いて、表示体制御部20は、黒リセット過程において、記憶性表示体21の全表示素子Pが黒色になるように駆動電圧を印加する(ステップSa5)。これにより、記憶性表示体21の画面が全面黒色になる。続いて、表示体制御部20は、白リセット過程において、記憶性表示体21の全表示素子Pが白色になるように駆動電圧を印加する(ステップSa6)。これにより、記憶性表示体21の画面が全面白色になる。続いて、表示体制御部20は、第1〜第3の画像書き込み過程において、VRAM19に記憶されている画像データに基づき、記憶性表示体21において文字画像「B」部分の表示素子Pが黒色になるように駆動電圧を印加する(ステップSa7〜Sa9)。このとき、表示体制御部20は、第1〜第3の画像書き込み過程の各々において、駆動電圧を100msずつ印加する。これにより、文字画像「B」の色が徐々に濃くなっていき、第3の画像書き込み期間を経た後は、記憶性表示体21には文字画像「B」が黒色で表示される。このようにして、記憶性表示体21の画面が次ページへと書き換えられる。
【0018】
次に、2つ次のページ(以下、「次々ページ」という)への書き換え処理について説明する。上述したように、表示期間中に操作者によってページ送りボタン17bが1回押されると、次ページへの書き換え処理が開始される。このとき、CPU11は、この次ページへの書き換え処理の途中でさらに次のページ、すなわち次々ページへの書き換え指示の入力を受け付けることができる。この場合、次々ページへの書き換え処理は、この次々ページへの書き換え指示の入力を受け付けたタイミングに応じた手順で行われる。以下、次々ページへの書き換え指示の入力を受け付けるタイミング毎に、次々ページへの書き換え処理がどのような手順で行われるかを具体的に説明する。
【0019】
(表示期間)
まず、ステップSa1の文字画像「A」の表示期間において、操作者によりページ送りボタン17bの2回目の押下が行われた場合を想定する。この場合、操作部17は、次ページへの書き換え指示を再び入出力部18からCPU11に入力する。つまり、操作部17は、次々ページの画像の表示指示を入力することになる。CPU11は、まずVRAM19に記憶されている文字画像「B」を表す画像データを消去する。続いて、CPU11は、記憶部14から次々ページの画像データを読み出し、VRAM19に記憶させる。この例では、文字画像「C」を表す画像データが次々ページの画像データとしてVRAM19に記憶されるものとする。続いて、CPU11は、記憶部14に記憶されている書換手順テーブルTにおいて、ステップ「Sa1」と対応付けられた書き換え手順を特定する。この例では、図4に示した書換手順テーブルTにおいて、割り込みタイミング「Sa1」に対応付けられた書き換え手順、すなわち1番目が「Sa2」、2番目が「Sa3」、3番目が「Sa4」、4番目が「Sb5」、5番目が「Sb6」、6番目が「Sb7」、7番目が「Sb8」、8番目が「Sb9」という書き換え手順が特定される。続いて、CPU11は、特定した書き換え手順に従って表示体制御部20の動作を制御する。表示体制御部20は、CPU11の制御に従って次々ページへの書き換え処理を行う。
【0020】
具体的に説明すると、表示体制御部20は、まず第1〜第3の白書き込み過程において、上述と同様に、記憶性表示体21の文字画像「A」部分の表示素子Pが白色になるように駆動電圧を印加する(ステップSa2〜Sa4)。これにより、記憶性表示体21に表示されていた文字画像「A」が消去された状態になる。続いて、表示体制御部20は、黒リセット過程において、上述したステップSa5と同様に、記憶性表示体21の全表示素子Pが黒色になるように駆動電圧を印加する(ステップSb5)。これにより、記憶性表示体21の画面が全面黒色になる。続いて、表示体制御部20は、白リセット過程において、上述したステップSa6と同様に、記憶性表示体21の全表示素子Pが白色になるように駆動電圧を印加する(ステップSb6)。これにより、記憶性表示体21の画面が全面白色になる。続いて、表示体制御部20は、第1〜第3の画像書き込み過程において、VRAM19に記憶されている画像データに基づき、文字画像「C」部分の表示素子Pが黒色になるように駆動電圧を印加する(ステップSb7〜Sb9)。これにより、記憶性表示体21には、文字画像「C」が黒色で表示される。なお、文字画像「A」の次ページの画像である文字画像「B」は表示されない。このようにして、記憶性表示体21の画面が次々ページへと書き換えられる。
【0021】
(白書き込み過程)
次に、第1〜第3の白書き込み過程のいずれかにおいて、操作者によりページ送りボタン17bの2回目の押下が行われた場合を想定する。この場合、次々ページへの書き換え処理は、残りの白書き込み過程、黒リセット過程、白リセット過程、次々ページの画像を書き込む第1〜第3の画像書き込み過程という手順で行われる。ここでは、ステップSa3の第2の白書き込み過程において、操作者によりページ送りボタン17bの2回目の押下が行われた場合を想定する。この場合、操作部17は、次ページへの書き換え指示を再び入出力部18からCPU11に入力する。CPU11は、まず上述と同様に、VRAM19に記憶されている文字画像「B」を表す画像データを消去する。続いて、CPU11は、記憶部14から次々ページの画像データを読み出し、VRAM19に記憶させる。続いて、CPU11は、記憶部14に記憶されている書換手順テーブルTにおいて、ステップ「Sa3」と対応付けられた書き換え手順を特定する。この例では、図4に示した書換手順テーブルTにおいて、割り込みタイミング「Sa3」に対応付けられた書き換え手順、すなわち1番目が「Sa4」、2番目が「Sb5」、3番目が「Sb6」、4番目が「Sb7」、5番目が「Sb8」、6番目が「Sb9」という書き換え手順が特定される。続いて、CPU11は、特定した書き換え手順に従って表示体制御部20の動作を制御する。つまり、CPU11は、表示体制御部20が記憶性表示体21に表示されている画像の消去処理を行っている間に、操作部17によって次々ページの画像(第2の画像)の表示指示が入力されると、当該消去処理を済ませた後、当該次々ページの画像を書き込む書込処理を行うよう表示体制御部20を制御する。表示体制御部20は、CPU11の制御に従って次々ページへの書き換え処理を行う。
【0022】
具体的に説明すると、表示体制御部20は、ステップSa3の第2の白書き込み過程を経ると、まず第3の白書き込み過程において、上述と同様に、記憶性表示体21の文字画像「A」部分の表示素子Pが白色になるように駆動電圧を印加する(ステップSa4)。これにより、記憶性表示体21に表示されていた文字画像「A」が消去された状態になる。続いて、表示体制御部20は、黒リセット過程において、上述したステップSa5と同様に、記憶性表示体21の全表示素子Pが黒色になるように駆動電圧を印加する(ステップSb5)。これにより、記憶性表示体21の画面が全面黒色になる。続いて、表示体制御部20は、白リセット過程において、上述したステップSa6と同様に、記憶性表示体21の全表示素子Pが白色になるように駆動電圧を印加する(ステップSb6)。これにより、記憶性表示体21の画面が全面白色になる。続いて、表示体制御部20は、第1〜第3の画像書き込み過程において、VRAM19に記憶されている画像データに基づき、記憶性表示体21において文字画像「C」部分の表示素子Pが黒色になるように駆動電圧を印加する(ステップSb7〜Sb9)。これにより、記憶性表示体21には、文字画像「C」が黒色で表示される。このようにして、記憶性表示体21の画面が次々ページへと書き換えられる。
【0023】
(黒リセット過程)
次に、ステップSa5の黒リセット過程において、操作者によりページ送りボタン17bの2回目の押下が行われた場合を想定する。この場合、操作部17は、次ページへの書き換え指示を再び入出力部18からCPU11に入力する。CPU11は、まず上述と同様に、VRAM19に記憶されている文字画像「B」を表す画像データを消去する。続いて、CPU11は、記憶部14から次々ページの画像データを読み出し、VRAM19に記憶させる。続いて、CPU11は、記憶部14に記憶されている書換手順テーブルTにおいて、ステップ「Sa5」と対応付けられた書き換え手順を特定する。この例では、図4に示した書換手順テーブルTにおいて、割り込みタイミング「Sa5」に対応付けられた書き換え手順、すなわち1番目が「Sb6」、2番目が「Sb7」、3番目が「Sb8」、4番目が「Sb9」という書き換え手順が特定される。続いて、CPU11は、特定した書き換え手順に従って表示体制御部20の動作を制御する。表示体制御部20は、CPU11の制御に従って次々ページへの書き換え処理を行う。
【0024】
具体的に説明すると、表示体制御部20は、ステップSa5の黒リセット過程を経ると、まず白リセット過程において、上述したステップSa6と同様に、記憶性表示体21の全表示素子Pが白色になるように駆動電圧を印加する(ステップSb6)。これにより、記憶性表示体21の画面が全面白色になる。続いて、表示体制御部20は、第1〜第3の画像書き込み過程において、VRAM19に記憶されている画像データに基づき、記憶性表示体21において文字画像「C」部分の表示素子Pが黒色になるように駆動電圧を印加する(ステップSb7〜Sb9)。これにより、記憶性表示体21には、文字画像「C」が黒色で表示される。このようにして、記憶性表示体21の画面が次々ページへと書き換えられる。
【0025】
(白リセット過程)
次に、ステップSa6の白リセット過程において、操作者によりページ送りボタン17bの2回目の押下が行われた場合を想定する。この場合、操作部17は、次ページへの書き換え指示を再び入出力部18からCPU11に入力する。CPU11は、まず上述と同様に、VRAM19に記憶されている文字画像「B」を表す画像データを消去する。続いて、CPU11は、記憶部14から次々ページの画像データを読み出し、VRAM19に記憶させる。続いて、CPU11は、記憶部14に記憶されている書換手順テーブルTにおいて、ステップ「Sa6」と対応付けられた書き換え手順を特定する。この例では、図4に示した書換手順テーブルTにおいて、割り込みタイミング「Sa6」に対応付けられた書き換え手順、すなわち1番目が「Sb7」、2番目が「Sb8」、3番目が「Sb9」という書き換え手順が特定される。続いて、CPU11は、特定した書き換え手順に従って表示体制御部20の動作を制御する。表示体制御部20は、CPU11の制御に従って次々ページへの書き換え処理を行う。
【0026】
具体的に説明すると、表示体制御部20は、ステップSa6の白リセット過程を経ると、第1〜第3の画像書き込み過程において、VRAM19に記憶されている画像データに基づき、記憶性表示体21において文字画像「C」部分の表示素子Pが黒色になるように駆動電圧を印加する(ステップSb7〜Sb9)。これにより、記憶性表示体21には、文字画像「C」が黒色で表示される。このようにして、記憶性表示体21の画面が次々ページへと書き換えられる。
【0027】
(画像書き込み過程)
次に、第1〜第3の画像書き込み過程のいずれかにおいて、操作者によりページ送りボタン17bの2回目の押下が行われた場合を想定する。この場合、次々ページへの書き換え処理は、文字画像「B」の画像書き込み過程に応じた白書き込み過程、黒リセット過程、白リセット過程、次々ページの画像を書き込む第1〜第3の画像書き込み過程という手順で行われる。ここでは、ステップSa7の文字画像「B」の画像書き込み過程において、操作者によりページ送りボタン17bの2回目の押下が行われた場合を想定する。この場合、操作部17は、次ページへの書き換え指示を再び入出力部18からCPU11に入力する。CPU11は、まず上述と同様に、VRAM19に記憶されている文字画像「B」を表す画像データを消去する。続いて、CPU11は、記憶部14から次々ページの画像データを読み出し、VRAM19に記憶させる。続いて、CPU11は、記憶部14に記憶されている書換手順テーブルTにおいて、ステップ「Sa7」と対応付けられた書き換え手順を特定する。この例では、図4に示した書換手順テーブルTにおいて、割り込みタイミング「Sa7」に対応付けられた書き換え手順、すなわち1番目が「Sb4」、2番目が「Sb5」、3番目が「Sb6」、4番目が「Sb7」、5番目が「Sb8」、6番目が「Sb9」という書き換え手順が特定される。続いて、CPU11は、特定した書き換え手順に従って表示体制御部20の動作を制御する。つまり、CPU11は、表示体制御部20が次ページの画像(第1の画像)の書込処理を行っている間に、操作部17によって次々ページ(第2の画像)の表示指示が入力されると、当該書込処理を中止し、当該書込処理の期間に応じた期間だけ次ページの画像を消去する消去処理を行った後、当該次々ページの画像を書き込む書込処理を行うよう表示体制御部20を制御する。表示体制御部20は、CPU11の制御に従って次々ページへの書き換え処理を行う。
【0028】
具体的に説明すると、表示体制御部20は、ステップSa7の第1の画像書き込み過程を経ると、まず第3白書き込み過程において、上述と同様に、記憶性表示体21の文字画像「B」部分の表示素子Pが白色になるように駆動電圧を印加する(ステップSb4)。なお、この場合には、第1〜第3の白書き込み過程のうち、第3の白書き込み過程だけが行われることになる。つまり、本来は、第1〜第3の白書き込み過程において300msにわたって駆動電圧が印加され、文字画像「B」を消去する消去処理が行われるところ、そのうちの100msだけ駆動電圧が印加されて、文字画像「B」の消去処理が行われることになる。これは、文字画像「B」を書き込む過程として第3の画像書き込み過程しか行われていないため、文字画像「B」の濃度が薄く、第3の白書き込み過程だけで文字画像「B」を消去することができるからである。これにより、記憶性表示体21に書き込まれた文字画像「B」が消去された状態になる。続いて、表示体制御部20は、黒リセット過程において、上述したステップSa5と同様に、記憶性表示体21の全表示素子Pが黒色になるように駆動電圧を印加する(ステップSb5)。これにより、記憶性表示体21の画面が全面黒色になる。続いて、表示体制御部20は、白リセット過程において、上述したステップSa6と同様に、記憶性表示体21の全表示素子Pが白色になるように駆動電圧を印加する(ステップSb6)。これにより、記憶性表示体21の画面が全面白色になる。続いて、表示体制御部20は、第1〜第3の画像書き込み過程において、VRAM19に記憶されている画像データに基づき、記憶性表示体21において文字画像「C」に対応する表示素子Pが黒色になるように駆動電圧を印加する(ステップSb7〜Sb9)。これにより、記憶性表示体21には、文字画像「C」が黒色で表示される。このようにして、記憶性表示体21の画面が次々ページへと書き換えられる。
【0029】
ここで、本発明の構成を備えていない場合の動作について考えてみる。この場合、上述したどのタイミングで画面の書き換え指示の入力が行われたとしても、図5に示したステップSa1〜Sa9の処理が行われてから、ステップSb1〜Sb9の処理が行われることになる。そのため、操作者の見たい画像である文字画像「C」が表示されるまでに時間がかかってしまう。
【0030】
以上説明した実施形態によれば、次ページの画像へと表示内容が書き換えられている途中で、次々ページの画像の表示指示が入力された場合に、次々ページの画像を迅速に表示することができる。これにより、次々ページへの書き換え時間を短縮することができる。また、記憶性表示体21の表示状態に応じて極め細やかに画像の消去処理を行うことができるため、残像が残りにくい、きれいな表示を実現することができる。
【0031】
[変形例]
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を適宜組み合わせてもよい。
(変形例1)
上述した実施形態では、第1〜第3の白書き込み過程という処理単位で白書き込みを行う期間を制御する例を挙げて説明したが、白書き込みを行う期間をさらに極め細やかに制御してもよい。この場合には、画像の書き込み期間と白書き込み期間とが対応付けて記憶部14に記憶させる。この白書き込み期間は、例えば画像の書き込み期間だけ画像の書き込みが行われたときに、その画像を消去できるだけの期間であればよい。CPU11は、画像書き込み過程の途中で画面の書き換え指示が行われると、その画像書き換え過程の期間に対応付けて記憶部14に記憶されている白書き込み期間を特定する。そして、CPU11は、特定した白書き込み期間だけ白書き込み過程を行うよう表示体制御部20を制御する。
【0032】
(変形例2)
上述した実施形態では、黒リセット過程及び白リセット過程が途中で中断されない例を挙げて説明したが、黒リセット過程又は白リセット過程が途中で中断されてもよい。例えば、黒リセット過程の途中で画面の書き換え指示が行われると、CPU11は、黒リセット過程を一旦中断した後、残りの黒リセット過程を済ませてから次の過程に進むよう表示体制御部20を制御する。同様に、白リセット過程の途中で画面の書き換え指示が行われると、CPU11は、白リセット過程を一旦中断した後、残りの白リセット過程を済ませてから次の過程に進むよう表示体制御部20を制御する。つまり、CPU11は、表示体制御部20がリセット処理を行っている間に、操作部17によって次々ページの画像(第2の画像)の表示指示が入力されると、当該リセット処理を済ませた後、当該次々ページの画像を書き込む書込処理を行うよう表示体制御部20を制御する。
【0033】
(変形例3)
上述した実施形態では、白リセット過程と黒リセット過程とが両方とも行われる例を挙げて説明したが、どちらか片方だけが行われてもよい。
【0034】
(変形例4)
上述した実施形態では、記憶性表示体21が電気泳動方式で画像の表示を行う場合を例に挙げて説明したが、記憶性表示体21の表示方式はこれに限らない。例えば、コレステリック液晶を用いて画像を表示するものであってもよい。
【0035】
(変形例5)
上述した実施形態において、CPU11が実行する処理は、CPU11と他のハードウェアとの協働によって行われてもよいし、CPU11に代えて1又は複数のハードウェアが行ってもよい。また、CPU11によって行われる処理は、単一のプログラムによって実現されてもよいし、複数のプログラムによって実現されてもよい。また、CPU11によって実行される各プログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードさせることも可能である。
【符号の説明】
【0036】
1…表示装置、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…記憶部、15…電源、16…電源制御部、17…操作部、18…入出力部、19…VRAM、20…表示体制御部、21…記憶性表示体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示手段と、
操作者の操作に応じて、新たな画像の表示指示を入力する入力手段と、
前記入力手段によって第1の画像の表示指示が入力されると、前記表示手段に表示されている画像を消去する消去処理を行った後、当該第1の画像を書き込む書込処理を行って、前記表示手段に表示されている画像を書き換える書換手段と、
前記書換手段が前記第1の画像の書込処理を行っている間に、前記入力手段によって第2の画像の表示指示が入力されると、当該書込処理を中止し、当該書込処理の期間に応じた期間だけ前記第1の画像を消去する消去処理を行った後、当該第2の画像を書き込む書込処理を行うよう前記書換手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記書換手段が前記表示手段に表示されている画像の消去処理を行っている間に、前記入力手段によって第2の画像の表示指示が入力されると、当該消去処理を済ませた後、当該第2の画像を書き込む書込処理を行うよう前記書換手段を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記書換手段は、前記消去処理の後に、前記表示手段の全面を白表示又は黒表示にするリセット処理を行ってから、前記書込処理を行い、
前記制御手段は、前記書換手段が前記リセット処理を行っている間に、前記入力手段によって第2の画像の表示指示が入力されると、当該リセット処理を済ませた後、当該第2の画像を書き込む書込処理を行うよう前記書換手段を制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2の画像の表示指示が入力されるタイミングと、前記書換手段が画像の書き換えを行うときの書き換え手順とを対応付けて記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記書換手段が前記表示手段に表示されている画像の書き換えを行っている間に、前記入力手段によって前記第2の画像の表示指示が入力されると、当該表示指示が入力されたタイミングと対応付けて記憶手段に記憶された書き換え手順を特定し、当該書き換え手順に従って前記画像の書き換えを行うよう前記書換手段を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
コンピュータを、
表示手段に表示されている画像を書き換える書換手段が、入力手段によって入力された第1の画像の表示指示により、当該表示手段に表示されている画像を消去する消去処理を行った後、当該第1の画像を書き込む書込処理を行っている間に、前記入力手段によって第2の画像の表示指示が入力されると、当該書込処理を中止し、当該書込処理の期間に応じた期間だけ前記第1の画像を消去する消去処理を行った後、当該第2の画像を書き込む書込処理を行うよう前記書換手段を制御する制御手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−164888(P2010−164888A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8837(P2009−8837)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】