説明

表示装置及び表示方法

【課題】アドレス期間を短くして消費電力を削減すると共に、画質の劣化を抑える。
【解決手段】データ決定部3は、連続する複数行においてビットの重みが小さい側の一部のサブフィールドについて、これらの画像データ(ビット値)が同じになるように設定し、設定後の画像データと元の画像データとの間の誤差が最も小さくなるように、残りのサブフィールドの画像データ(ビット値)を設定し、このようにして設定した画像データを、サブフィールド毎の新たな画像データに決定する。データドライバ7及び維持ドライバ8は、連続する複数行を同時に走査するように、電極パルスをアドレス電極9及び走査電極10に印加する。これにより、アドレス期間を短くすることができる。また、元の画像データとの誤差が最小になるから、画質の劣化を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のマトリクス型表示装置及び表示方法において、特に、画像データを表示するフィールドを複数のサブフィールドに分割し、これらの複数のサブフィールドを足し合わせて階調表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マトリクス状に配置された電極に電圧を印加することにより、水平方向(行方向)及び垂直方向(列方向)に多数配置された画素を選択して発光させるマトリクス型表示装置が知られている。この表示装置では、画像データを表示するフィールドを複数のサブフィールドに時間的に分割し、分割したそれぞれのサブフィールドの表示時間に重み付けをし、これらのサブフィールドを足し合わせて(時間積分して)画像表示する。これにより、人の眼に映る画像の時間的な積分作用によって、階調表示を実現することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、表示パネルに256階調の画像表示を行うために、1フィールドを8つのサブフィールドに分割し、1,2,4,8,16,32,64,128の重み付けを各サブフィールドに持たせ、これらのサブフィールドを足し合わせることにより画像表示を行う表示装置が記載されている。
【0004】
この表示装置は、1画素あたり8ビットの画像データを、表示パネルに256階調表示するにあたり、8ビットの画像データをサブフィールド1(SF1)〜サブフィールド8(SF8)までの8種類の2値の画像データに変換する。そして、変換した2値の画像データに従って、SF1〜SF8の処理をそれぞれ行うことにより、256階調の画像表示を行う。
【0005】
図8は、従来の表示装置におけるサブフィールド毎の画像データを説明する図である。図8に示すように、行及び列により特定される画素毎に、8ビットの画像データがSF1〜SF8におけるサブフィールド毎の2値の画像データに変換され、変換された画像データが表示のためにそのまま用いられる。
【0006】
図9は、従来の表示装置における駆動タイミングを説明する図である。図9に示すように、行及び列により特定される8ビットの画像データは、1フィールドの処理によって、256階調表示される。1フィールドは、SF1〜SF8の8つのサブフィールドに分割され、各サブフィールドは、アドレス期間a1〜a8及び表示期間b1〜b8により構成される。アドレス期間a1〜a8は、発光させる画素を選択するための処理が行われる期間であり、全て同じ時間長である。表示期間b1〜b8は、アドレス期間a1〜a8により選択された画素を、重みに応じて所定時間分発光させるための処理が行われる期間であり、表示期間b1が最も短い時間長であり、表示期間b8が最も長い時間長である。
【0007】
8ビットの画像データが変換されたSF1〜SF8の2値の画像データにより、その画素は、その重みに応じて表示期間b1〜b8の所定時間分発光する。例えば、8ビットの画像データがSF1〜SF8の2値の画像データ(「10100100」):左側が下位ビット、右側が上位ビットとする。以下、同じ。)に変換された場合、その画素は、SF1のアドレス期間a1において選択され、表示期間b1が実行されて、その時間分発光する。そして、SF3,6のアドレス期間a3,a6において選択され、同様に表示期間b3,b6が実行されて、その時間分発光する。SF2,SF4,SF5,SF7,SF8では画素は選択されないから発光しない。このようにして、その画素は、SF1,SF3,SF6における時間分発光することにより、階調表示がなされる。
【0008】
図10は、サブフィールドを構成するアドレス期間及び表示期間を説明する図である。横軸は経過時間を示しており、縦軸は、経過時間に対するアドレス電極パルス、走査電極パルス及び維持電極パルスを示しており、これらのパルスはそれぞれの電極に印加される。アドレス期間において、n列の画素に対応するアドレス電極パルスが、所定のパルス幅にて、行毎に印加される。画素を発光させる場合にはアドレス電極パルスが印加され、発光させない場合には印加されない。また、行数Mの画素に対応する走査電極パルス1〜Mが、アドレス電極パルスと同じパルス幅にてそれぞれ印加される。アドレス電極パルスと走査電極パルスとが同時に印加された画素では、セルが放電して発光する。放電したセルでは、電極を覆う誘電体上に電荷が蓄積しており、その後の一定期間内であれば、再び放電を発生させることができる。
【0009】
一方、表示期間において、行数Mの画素に対応する走査電極パルスと維持電極パルスが交互に印加される。これにより、セルでは放電と充電が繰り返されて発光が継続する。図9に示した表示期間b1〜b8は、この繰り返しの数によって時間長が異なっている。
【0010】
しかしながら、このような特許文献1の表示装置では、行数が多くなると、サブフィールド内のアドレス期間が長くなってしまう。また、階調数を増やすために画像データのビット数が多くなると、1フィールド内のサブフィールドの数が増えてしまう。このような表示装置には1フィールドの時間に制限があるから、アドレス期間において、充分な幅のアドレス電極パルスを印加することができないという問題があった。また、サブフィールド数を増やすことができないから、階調数を増やすことができないという問題があり、さらに、アドレス電極パルスの電力が増加するという問題もあった。
【0011】
また、特許文献2には、1フィールドを複数のサブフィールドに分割し、重み付けの大きい上位ビットに対応するサブフィールドをさらに分割し、これらのサブフィールドを足し合わせて画像表示を行う表示装置が記載されている。この表示装置によれば、本来の輝度差がほとんど無い画素間で相当の輝度差があるような不自然さを知覚する、いわゆる動画疑似輪郭による画質劣化の問題を解決することができる。
【0012】
しかしながら、このような特許文献2の表示装置では、特許文献1と同様な問題があった。すなわち、1フィールドにおけるサブフィールドの数が増えてしまうから、アドレス電極パルスの電力が増加するという問題があった。また、充分な幅のアドレス電極パルスを印加することができないと共に、階調数を増やすことができないという問題もあった。
【0013】
また、特許文献3には、1フィールドを複数のサブフィールドに分割し、これらのサブフィールドを足し合わせることにより画像表示を行う場合に、複数行の走査電極パルスをそれぞれの走査電極に同時に印加する表示装置が記載されている。この表示装置によれば、複数行を同時に走査するようにしたから、アドレス期間を短くすることができる。したがって、特許文献1,2における問題(アドレス電極パルスの電力が増加する、充分な幅のアドレス電極パルスを印加できない、階調数を増やすことができない)を解決することができる。
【0014】
しかしながら、このような特許文献3の表示装置では、複数行の走査電極パルスが同時に印加されたそれぞれの画素において、本来は異なる画像データであるにもかかわらず、所定のサブフィールドでは同一の画像データに設定して画像表示を行うから、解像度が著しく低下して画質が劣化するという問題があった。
【0015】
また、特許文献4には、第1のフィールドにおいて、奇数行の走査電極パルスをそれぞれの走査電極に同時に印加し、第2のフィールドにおいて、偶数行の走査電極パルスをそれぞれの走査電極に同時に印加する表示装置が記載されている。この表示装置によれば、アドレス期間を短くすることができ、特許文献1,2における問題を解決することができる。
【0016】
しかしながら、このような特許文献4の表示装置では、特許文献3の表示装置と同様に、所定のサブフィールドでは同一の画像データに設定して画像表示を行うから、解像度が著しく低下して画質が劣化するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特許第3259253号公報
【特許文献2】特許第3075335号公報
【特許文献3】特開平9−305142号公報
【特許文献4】国際公開第WO00/57396号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
そこで、本発明の目的は、行方向及び列方向に配列した複数の画素を備え、画素を選択するアドレス期間と画素を所定時間分発光させる表示期間とからなるサブフィールドの処理により階調表示を行うマトリクス型表示装置において、アドレス期間を短くして消費電力を削減すると共に、画質の劣化を抑えることが可能な表示装置及び表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するため、本発明による表示装置は、行方向及び列方向に配列した複数の画素を備え、画像データをビット毎のデータに変換してサブフィールド毎のデータとし、前記画素を選択するアドレス期間と、前記選択した画素を前記ビットの重みに応じた時間分発光させる表示期間とからなるサブフィールドの処理により、前記画像データに従って階調表示を行う表示装置において、連続する複数行の画像データに対し、所定のサブフィールドにおける前記複数行のデータのそれぞれを同一のデータに設定し、前記画像データと、前記同一のデータを所定のサブフィールドに設定した後の画像データとの間の誤差が小さくなるように、残りのサブフィールドのデータを設定し、前記設定後の所定のサブフィールドのデータ及び残りのサブフィールドのデータにより新たな画像データを決定するデータ決定部と、前記所定のサブフィールドのアドレス期間において、前記連続する複数行の画素に対して同時に走査するドライバ部と、を備え、前記新たな画像データに従って階調表示を行うことを特徴とする。
【0020】
また、本発明による表示装置は、前記データ決定部が、連続する複数行の画像データに対し、前記ビットの重みが最も小さいサブフィールドから所定のサブフィールドまでのデータを同一のデータに設定する、ことを特徴とする。
【0021】
また、本発明による表示装置は、前記連続する複数行は、前記ビットの重みが小さいサブフィールドほど、多くの行が割り当てられるように設定されている、ことを特徴とする。
【0022】
また、本発明による表示装置は、前記データ決定部が、連続する複数行の画像データに対し、所定のサブフィールドにおける前記複数行のデータのそれぞれを、前記複数行のデータのうちのいずれかのデータと同一になるように設定する、ことを特徴とする。
【0023】
また、本発明による表示装置は、前記データ決定部が、前記残りのサブフィールドのデータに、1ずつ増加するカウント値を設定し、前記画像データと、前記同一のデータを所定のサブフィールドに設定すると共に前記カウント値を残りのサブフィールドに設定した後の画像データとを比較し、その誤差が最小となる新たな画像データを決定する、ことを特徴とする。
【0024】
また、本発明による表示方法は、行方向及び列方向に配列した複数の画素から、画像データに従って画素を選択するアドレス期間と、前記選択した画素を前記画像データのビットの重みに応じた時間分発光させる表示期間とからなるサブフィールドの処理により、前記画像データに従って階調表示を行う表示方法において、前記画像データをビット毎のデータに変換し、前記サブフィールド毎のデータに設定するステップと、連続する複数行の画像データに対し、所定のサブフィールドにおける前記複数行のデータのそれぞれを、同一のデータに設定するステップと、前記画像データと、前記同一のデータを所定のサブフィールドに設定した後の画像データとの間の誤差が小さくなるように、残りのサブフィールドのデータを設定し、前記設定後の所定のサブフィールドのデータ及び残りのサブフィールドのデータにより新たな画像データを決定するステップと、前記所定のサブフィールドのアドレス期間において、前記連続する複数行の画素に対して同時に走査して画素を選択するステップと、前記表示期間において、前記選択した画素に対し、前記画像データのビットの重みに応じた時間分発光させるステップと、を備え、前記新たな画像データに従って階調表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、サブフィールドの処理において、連続した複数行を同時に走査するようにした。これにより、アドレス期間を短くすることができ、消費電力を削減することができる。また、所定のサブフィールドのデータを同一のデータに設定した画像データと元の画像データとの間の誤差が最小になるように、新たな画像データを設定するようにしたから、画質の劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態による表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】データ決定部により決定される、サブフィールド毎の画像データを説明する図である。
【図3】データドライバ及び維持ドライバにより動作する表示パネルの駆動タイミングを説明する図である。
【図4】アドレスサイクルについて説明する図である。
【図5】データ決定部の構成を示すブロック図である。
【図6】データ決定部による処理の概略を示すフローチャートである。
【図7】データ決定部による処理の具体例を説明する図である。
【図8】従来の表示装置におけるサブフィールド毎の画像データを説明する図である。
【図9】従来の表示装置における駆動タイミングを説明する図である。
【図10】従来の表示装置におけるサブフィールドを構成するアドレス期間及び表示期間を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。
〔表示装置の構成〕
まず、本発明の実施形態による表示装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態による表示装置の構成を示すブロック図である。この表示装置1は、M行×N列に配列した画素を備えたプラズマディスプレイ等のマトリクス型表示装置であり、サブフィールド変換部2、データ決定部3、フレームメモリ4、タイミングパルス発生部5、表示パネル6、データドライバ7、維持ドライバ8、アドレス電極9、走査電極10及び維持電極11を備えている。尚、図1において、走査電極10と維持電極11とは別の電極であるが、説明を簡単にするために、便宜上同じ電極として示している。
【0028】
サブフィールド変換部2は、1画素あたり8ビットの画像データを1画素毎に入力し、これを2=256階調で表示するために、最下位ビットから最上位ビットまで、それぞれのビットのみからなる8種類の2値の画像データ(ビット値)に変換し、SF1〜SF8におけるサブフィールド毎の2値の画像データをデータ決定部3に出力する。サブフィールド変換部2による変換処理は、タイミングパルス発生部5により発生するタイミング信号に基づいて行われる。
【0029】
データ決定部3は、サブフィールド変換部2から、1画素の画像データとしてSF1〜SF8におけるサブフィールド毎の2値の画像データを入力する。そして、データ決定部3は、予め設定された規則に従って、連続する複数行においてビットの重みが小さい側のサブフィールドの画像データ(ビット値)に対し、これらの画像データ(ビット値)が同じになるように設定し、かつ、その行においてフィールドの画像データ(8ビットの値)と元の画像データ(8ビットの値)との間の誤差が最も小さくなるように、残りのサブフィールド(ビットの重みが大きい側のサブフィールド)の画像データ(ビット値)をそれぞれ設定する。このようにして設定した画像データを、SF1〜SF8におけるサブフィールド毎の2値の新たな画像データに決定し、フレームメモリ4に格納する。データ決定部3による決定処理は、タイミングパルス発生部5により発生するタイミング信号に基づいて行われる。
【0030】
フレームメモリ4は、データ決定部3により、SF1〜SF8におけるサブフィールド毎の新たな2値の画像データ(1画素分の画像データ)が格納され、M行×N列の画素からなる1画面のフレームを単位にして画像データを記憶する。また、フレームメモリ4は、データドライバ7により、SF1〜SF8におけるサブフィールド毎の2値の画像データ(1画素分の画像データ)が1フレーム毎に読み出される。フレームメモリ4による処理は、タイミングパルス発生部5により発生するタイミング信号に基づいて行われる。
【0031】
タイミングパルス発生部5は、1画素あたり8ビットの画像データを入力し、その入力タイミングに従って、サブフィールド変換部2、データ決定部3、フレームメモリ4、データドライバ7及び維持ドライバ8がそれぞれの処理を行うためのタイミング信号を発生する。
【0032】
表示パネル6は、2枚のガラス板、アドレス電極9、走査電極10、維持電極11等を備えており、2枚のガラス板及び隔壁で仕切られた空間の放電セルが、水平方向(行方向)及び垂直方向(列方向)に配列された複数の画素として構成されている。放電セルには希ガスが封入されている。サブフィールドのアドレス期間において、データドライバ7によりアドレス電極9に電圧が加わると共に、維持ドライバ8により走査電極10に電圧が加わると、放電が起こって紫外線が発生する。隔壁には蛍光体が塗布されており、紫外線によって蛍光体が励起され、画素が発光する。また、表示期間において、維持ドライバ8により走査電極10及び維持電極11に交互に電圧が加わると、放電と充電とを繰り返し、画素の発光が表示期間の時間分継続する。尚、蛍光体の発光色は放電セル毎に赤、緑及び青に塗り分けられており、画像データに応じて放電セルの画素を選択することによって、カラー表示が行われる。
【0033】
データドライバ7は、フレームメモリ4から、SF1〜SF8におけるサブフィールド毎の2値の画像データを1フレーム分読み出す。そして、サブフィールドを構成するアドレス期間において、サブフィールド毎の2値の画像データに従い、行毎かつサブフィールド毎に、駆動パルス(アドレス電極パルス)をアドレス電極9に印加する。具体的には、データドライバ7は、SF1のアドレス期間において、SF1の1行目/各列の画像データに従い、それぞれのアドレス電極パルスをアドレス電極9に印加する。そして、SF1の2行目〜M行目についても同様の処理を順次行う。また、SF2〜SF8のアドレス期間においても、1行目〜M行目について同様の処理を順次行う。アドレス電極パルスの印加により、発光させる画素が選択される。
【0034】
本発明の実施形態では、データドライバ7は、データ決定部3において予め設定された規則に従って同じ2値の画像データが設定されたサブフィールドにおける複数行に対し、同じタイミングのアドレス電極パルスをアドレス電極9に印加する。これにより、複数行を同時に走査するから、アドレス電極9に印加するアドレス電極パルスの数を減らすことができる。すなわち、アドレス走査の数を減らすことができ、アドレス期間を短くすることができる。
【0035】
維持ドライバ8は、サブフィールドを構成するアドレス期間において、予め設定されたタイミングにて、行毎に駆動パルス(走査電極パルス)を走査電極10に印加する。これにより、データドライバ7からのアドレス電極パルスが同時に印加された場合、発光させる画素が選択される。また、維持ドライバ8は、サブフィールドを構成する表示期間において、サブフィールド毎に異なる回数の走査電極パルスを走査電極10に印加すると共に、走査電極パルスと対になる駆動パルス(維持電極パルス)を維持電極11に印加する。走査電極パルス及び維持電極パルスは、交互に繰り返して印加され、図9に示したように、ビットの重みが小さい側のサブフィールドほど繰り返し回数が少なく、表示期間の時間が短くなる。
【0036】
本発明の実施形態では、維持ドライバ8は、データ決定部3において予め設定された規則に従って同じ2値の画像データが設定されたサブフィールドにおける複数行に対し、それぞれの走査電極パルスを同じタイミングで走査電極10に印加する。これにより、複数行を同時に走査するから、アドレス走査の数を減らすことができ、アドレス期間を短くすることができる。
【0037】
データドライバ7により印加されるアドレス電極パルス、及び維持ドライバ8により印加される走査電極パルスが同時に放電セルに与えられると、放電が起こって蛍光体が励起され、画素が発光する。これにより、アドレス期間が実行される。そして、表示期間において、維持ドライバ8により印加される走査電極パルス及び維持電極パルスが交互に放電セルに与えられると、放電と充電とが繰り返され、画素の発光が継続する。これにより、表示期間が実行される。このように、サブフィールドの2値の画像データに従ってアドレス期間が実行され、アドレス期間が実行されて選択された画素は、サブフィールドの重みに応じた時間長の表示期間を実行して発光する。そして、SF1からSF8までのサブフィールドを実行することにより、画像データに応じた256階調の表示を行うことができる。
【0038】
〔画像データ〕
次に、画像データについて説明する。図2は、図1に示したデータ決定部3により決定される、サブフィールド毎の画像データを説明する図である。前述のとおり、データ決定部3は、元の画像データに対し、予め設定された規則に従って、所定の複数行におけるサブフィールドの2値の画像データが同じになるように設定し、かつ、その行におけるフィールドの画像データと元の画像データとの間の誤差が最も小さくなるように、残りのサブフィールドの2値の画像データを設定する。
【0039】
図2に示すように、データ決定部3において予め設定された規則は、4m〜4m+3行におけるSF1の画像データを同一の画像データD1に設定し、4m〜4m+3行におけるSF2の画像データを同一の画像データD2に設定し、4m,4m+1行におけるSF3の画像データを同一の画像データD3に設定し、4m,4m+1行におけるSF4の画像データを同一の画像データD4に設定し、4m+2,4m+3行におけるSF3の画像データを同一の画像データD13に設定し、4m+2,4m+3行におけるSF4の画像データを同一の画像データD14に設定するものである。具体的には、データ決定部3は、4m行におけるSF1の画像データD1を4m+1〜4m+3行におけるSF1の画像データにコピーする。同様に、4m行におけるSF2の画像データD2を4m+1〜4m+3行におけるSF2の画像データに、4m行におけるSF3の画像データD3を4m+1行におけるSF3の画像データに、4m行におけるSF4の画像データD4を4m+1行におけるSF4の画像データに、4m+2行におけるSF3の画像データD13を4m+3行におけるSF3の画像データに、4m+2行におけるSF4の画像データD14を4m+3行におけるSF4の画像データにそれぞれコピーする。
【0040】
データ決定部3は、例えば、4m行の画素におけるSF1〜SF8の画像データ(「D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7,D8」/元の画像データ)を入力し、この画像データはそのまま出力する。そして、データ決定部3は、4m+1行の画素におけるSF1〜SF8の画像データ(「d1,d2,d3,d4,d5,d6,d7,d8」/元の画像データ)を入力し、図2に示した規則に従って、SF1〜SF4の画像データが4m行の画像におけるSF1〜SF4の画像データD1〜D4と同じになるように設定する。すなわち、「d1」の代わりに「D1」を設定(コピー)し、「d2,d3,d4」の代わりに「D2,D3,D4」を設定(コピー)する。そして、データ決定部3は、4m+1行について、画像データ「D1,D2,D3,D4,*,*,*,*」と元の画像データ「d1,d2,d3,d4,d5,d6,d7,d8」との間の誤差が最小になるように、「*,*,*,*」=「D9,D10,D11,D12」を算出し、「*,*,*,*」に設定(挿入)する。このようにして設定した画像データ「D1,D2,D3,D4,D9,D10,D11,D12」を新たな画像データとして決定する。
【0041】
また、データ決定部3は、4m+2行の画素におけるSF1〜SF8の画像データ(「d21,d22,d23,d24,d25,d26,d27,d28」/元の画像データ)を入力し、図2に示した規則に従って、SF1,SF2の画像データが4m列の画像におけるSF1,SF2の画像データD1,D2と同じになるように設定する。すなわち、「d21」の代わりに「D1」を設定し、「d22」の代わりに「D2」を設定する。そして、データ決定部3は、画像データ「D1,D2,*,*,*,*,*,*」と元の画像データ「d21,d22,d23,d24,d25,d26,d27,d28」との間の誤差が最小になるように、「*,*,*,*,*,*」=「D13,D14,D15,D16,D17,D18」を算出し、「*,*,*,*,*,*」に設定する。このようにして設定した画像データ「D1,D2,D13,D14,D15,D16,D17,D18」を新たな画像データとして決定する。同様にして、データ決定部3は、4m+3行の画素におけるSF1〜SF8の画像データに対し、画像データ「D1,D2,D13,D14,D19,D20,D21,D22」を新たな画像データとして決定する。
【0042】
尚、図2に示した規則では、SF1,SF2において、4m行の画像データを基準にして、4m+1〜4m+3行にそれと同一の画像データを設定するようにしたが、4m+1行〜4m+3行のいずれかの画像データを基準にして、他の行にそれと同一の画像データを設定するようにしてもよい。同様に、SF3,SF4において、4m行の画像データを基準にして、4m+1行にそれと同一の画像データを設定するようにしたが、4m+1行の画像データを基準にして、4m行にそれと同一の画像データを設定するようにしてもよい。4m+2行及び4m+3行についても同様である。
【0043】
また、図2に示した規則では、SF1,SF2において、4つの行の画像データが同一になるように設定し、SF3,SF4において、2つの行の画像データが同じになるように設定した。すなわち、ビットの重みが小さいSFほど、画像データが同一に設定される行数が多くなるようにした。ビットの重みが小さいSFの画像データを変更しても、画質に与える影響がさほど大きくないから、画質劣化を抑えることができる。
【0044】
〔駆動タイミング〕
次に、駆動タイミングについて説明する。図3は、図1に示した表示装置1における駆動タイミングを説明する図であり、図4は、図1に示した表示装置1におけるサブフィールドを構成するアドレスサイクルについて説明する図である。図3及び図4は、図2に示した、同一の画像データが設定される規則に対応している。前述のとおり、データドライバ7は、サブフィールドを構成するアドレス期間において、サブフィールド毎の2値の画像データに従い、行毎かつサブフィールド毎に、アドレス電極パルスをアドレス電極9に印加する。また、維持ドライバ8は、サブフィールドを構成するアドレス期間において、走査電極パルスを走査電極10に印加し、サブフィールドを構成する表示期間において、走査電極パルスを走査電極10に印加すると共に、走査電極パルスと対になる駆動パルス(維持電極パルス)を維持電極11に印加し、走査電極パルス及び維持電極パルスの印加を繰り返す。
【0045】
図3を参照して、1フィールドは、図9と同様に、SF1〜SF8の8つのサブフィールドに分割され、各サブフィールドは、アドレス期間a1〜a8及び表示期間b1〜b8により構成される。アドレス期間a1〜a8は、図9とは異なり全てが同じ時間長ではなく、a5〜a8の時間長が図9に示したa1〜a8の時間長に等しく、a3,a4の時間長がa5〜a8の時間長の1/2であり、a1,a2の時間長がa5〜a8の時間長の1/4である。これにより、図9に示した従来の表示装置に比べると、1フィールド内のアドレス期間の総時間長を、約7/10に短くすることができる。表示期間b1〜b8は、図9と同様に、表示期間b1が最も短い時間長であり、表示期間b8が最も長い時間長である。
【0046】
図4を参照して、アドレス期間について詳細に説明する。横軸は経過時間を示しており、縦軸は、経過時間に対するアドレス電極パルス及び走査電極パルス4m〜4m+3を示しており、これらのパルスはそれぞれの電極に印加される。SF1のアドレス期間a1では、n列のアドレス電極パルスが連続した4行毎に同じタイミングでアドレス電極9に印加され、走査電極パルスも連続した4行毎に同じタイミングで走査電極10に印加される。SF2のアドレス期間a2についても同様である。具体的には、n列のアドレス電極パルスと連続した4行分の走査電極パルス4m〜4m+3とが、同時にそれぞれの電極に印加される。これにより、アドレス期間a1,a2の時間長は、通常の時間長t(図9、図10に示したアドレス期間の時間長)の1/4に短くすることができる。
【0047】
また、SF3のアドレス期間a3では、n列のアドレス電極パルスが連続した2行毎に同じタイミングでアドレス電極9に印加され、走査電極パルスも連続した2行毎に同じタイミングで走査電極10に印加される。SF4のアドレス期間a4についても同様である。具体的には、n列の第1のアドレス電極パルスと連続した2行分の走査電極パルス4m,4m+1とが、同時にそれぞれの電極に印加され、n列の第2のアドレス電極パルスと連続した2行分の走査電極パルス4m+2,4m+3とが、同時にそれぞれの電極に印加される。これにより、アドレス期間a3,a4の時間長は、通常の時間長tの1/2に短くすることができる。
【0048】
また、SF5のアドレス期間a5では、n列のアドレス電極パルスが1行毎にアドレス電極9に印加され、走査電極パルスも1行毎に走査電極10に印加される。SF6〜SF8のアドレス期間a6〜a8についても同様である。具体的には、アドレス電極パルスと走査電極パルス4mとが同時に電極に印加され、引き続き、アドレス電極パルスと走査電極パルス4m+1とが同時に印加される。走査電極パルス4m+2,4m+3についても同様である。これらのアドレス期間a5〜a8の時間長は、通常の時間長tと同じである。
【0049】
このように、データドライバ7は、SF1及びSF2において、データ決定部3により所定の規則にて決定された同一の画像データに従い、その所定の規則に従って隣接する4行毎に、アドレス電極パルスをアドレス電極9に印加する。また、維持ドライバ8は、SF1及びSF2において、所定の規則に従って隣接する4行毎に同じタイミングで走査電極パルスを走査電極10に印加する。これにより、アドレス電極9に印加するアドレス電極パルスの数を1/4に減らすことができ、アドレス期間を1/4に短くすることができる。
【0050】
同様に、データドライバ7は、SF3及びSF4において、データ決定部3により所定の規則にて決定された同一の画像データに従い、その所定の規則に従って隣接する2行毎に、アドレス電極パルスをアドレス電極9に印加する。また、維持ドライバ8は、SF3及びSF4において、所定の規則に従って隣接する2行毎に同じタイミングで走査電極パルスを走査電極10に印加する。これにより、アドレス電極9に印加するアドレス電極パルスの数を1/2に減らすことができ、アドレス期間を1/2に短くすることができる。
【0051】
〔データ決定部の構成、処理〕
次に、図1に示した表示装置1のデータ決定部3について説明する。図5は、データ決定部3の構成を示すブロック図であり、図6は、データ決定部3による処理の概略を示すフローチャートである。また、図7は、データ決定部3による処理の具体例を説明する図である。図5を参照して、このデータ決定部3は、メモリ21、遅延器22、フラグ変換器23、高速カウンタ24、加算器25、遅延器26、差分器27、遅延器28及び比較器29を備えている。前述のとおり、データ決定部3は、1画素の画像データとしてSF1〜SF8におけるサブフィールド毎の2値の画像データを入力し、予め設定された規則に従って、連続する複数行においてビットの重みが小さい側のサブフィールドの2値の画像データに対し、これらの2値の画像データが同じになるように設定し、かつ、その行においてフィールドの画像データと元の画像データ(入力した画像データ)との間の誤差が最も小さくなるように、残りのサブフィールド(ビットの重みが大きい側のサブフィールド)の2値の画像データを設定して出力する。ここで、データ決定部3が入力する画像データをY、出力する画像データをXDとする。
【0052】
画像データXDは、予め設定された規則に従って処理が行われたデータであり、メモリ21から出力されるものとする。ここでは、データ決定部3が、ある行の画像データYを入力し、予め設定された規則に従って、1行前の画像データ(メモリ21に格納された画像データ)を用いて新たな画像データXDを決定する処理について説明する。
【0053】
まず、データ決定部3は、予め設定された規則に従って、同一の画像データ(ビット値)が設定される連続する複数行のうち、先頭の行の画像データXDを決定するのか否かを判定する(ステップS1)。データ決定部3は、先頭の行でないと判定した場合(ステップS1:N)、ステップS2〜ステップS5の処理を行う。一方、データ決定部3は、先頭の行であると判定した場合(ステップS1:Y)、入力した画像データYを画像データXD(=Y’)に設定して出力する(ステップS6)。
【0054】
遅延器22は、メモリ21から画像データXDを入力し、1行の遅延処理を行い、画像データXAをフラグ変換器23に出力する。フラグ変換器23は、遅延器22から画像データXAを入力し、同一の画像データ(ビット値)を所定ビットに設定してフラグ変換を行い、画像データXBを生成し、加算器25に出力する(ステップS2)。例えば、図2に示したように、SF1〜SF4について同一の画像データが設定される規則(画像データの1〜4ビット目に同一の固定ビット値が設定される規則)に従うとする。図7の例では、4m行における元の画像データY(4m)=「00000000」、4m+1行における元の画像データY(4m+1)=「11110100」とする。データ決定部3により、4m行の画像データXD=Y’(4m)=Y(4m)=「00000000」が決定されたとすると、4m+1行の画像データXD=Y’(4m+1)の決定にあたり、フラグ変換器23は、画像データXA=「00000000」を入力し、フラグ変換によって画像データXB「0000****」を生成して出力する(ステップS2−1)。
【0055】
高速カウンタ24、加算器25、遅延器26、差分器27、遅延器28、比較器29及びメモリ21は、元の画像データY(図7では、Y(4m+1)=「11110100」)と画像データXB「0000****」との間の誤差を最小にする「****」を、高速カウンタ24のカウント値を用いて求め、そのときの画像データXB=「0000****」(XC)を画像データXD(図7では、Y’(4m+1)=「00001100」)に設定する。
【0056】
高速カウンタ24は、図1に示したタイミングパルス発生部5よりも高速に動作するカウンタであり、フラグ変換器23に画像データXAが入力された時点でカウント値がリセットされ、所定のタイミングでカウントしたカウント値を加算器25に出力する。図1に示したタイミングパルス発生部5は、1画素の画像データの処理単位に、タイミング信号をデータ決定部3に出力するのに対し、高速カウンタ24は、1画素の画像データXDを決定するために必要な回数分を、1画素の画像データの処理単位時間内でカウントし、そのカウント値を加算器25に出力する。
【0057】
加算器25は、フラグ変換器23から画像データXBを入力すると共に、高速カウンタ24からカウント値を入力し、画像データXBのうちの所定ビット(同一の画像データ(ビット値)が設定されたビット)以外のビットの部分に、入力したカウント値を加算(挿入)する。そして、加算(挿入)結果として画像データXCを生成し、遅延器26及び差分器27に出力する(ステップS3)。
【0058】
データ決定部3は、遅延器26、差分器27、遅延器28、比較器29及びメモリ21によって、加算器25により生成された画像データXCと元の画像データYとの間の誤差が最小であるか否かを判定する(ステップS4)。具体的には、データ決定部3は、画像データXC(1)を、遅延器26において1カウント分遅延させて格納しておき、この画像データXC(1)と、加算器25において次のカウント値により生成された画像データXC(2)と、元の画像データYとを用いて、ステップS4において、画像データXC(1)と元の画像データYとの間の誤差が最小であるか否かを判定する。
【0059】
データ決定部3は、誤差が最小でないと判定した場合(ステップS4:N)、ステップS3及びステップS4を繰り返す。一方、データ決定部3は、誤差が最小であると判定した場合(ステップS4:Y)、画像データXCを画像データXD(=Y’)に設定する(ステップS5)。図5では、メモリ21から画像データXDが読み出される。
【0060】
ステップS3〜ステップS5の処理について詳細に説明する。差分器27は、画像データYを入力すると共に、加算器25から画像データXC(2)を入力し、画像データXC(2)と画像データYとの間の差分を算出し、その絶対値dを遅延器28及び比較器29に出力する。遅延器26は、既に、加算器25から画像データXC(1)を入力しており、高速カウンタ24がカウント値を出力するタイミングで、高速カウンタ24による1カウントの遅延処理を行い、画像データXC(1)をメモリ21に出力する。また、遅延器28は、既に、差分器27から絶対値d(画像データXC(1)と画像データYとの間の差分の絶対値)を入力しており、高速カウンタ24がカウント値を出力するタイミングで、高速カウンタ24による1カウントの遅延処理を行い、絶対値ddとして比較器29に出力する。
【0061】
比較器29は、差分器27から差分の絶対値dを入力すると共に、遅延器28から差分の絶対値ddを入力し、絶対値dと絶対値ddとを比較する(ステップS4)。比較器29は、絶対値ddが絶対値dよりも大きい場合(ステップS4:N)、ステップS3及びステップS4の処理を繰り返す。一方、比較器29は、絶対値ddが絶対値d以下であると判定した場合(ステップS4:Y)、画像データXC(1)が最小であることを示す最小制御信号をメモリ21に出力し、ステップS5へ移行する。
【0062】
メモリ21は、ステップS4において最小であると判定されたことにより、比較器29から最小制御信号を入力し、遅延器26から入力した画像データXC(1)を画像データXD(=Y’)として出力する(ステップS5)。
【0063】
図7の例では、加算器25は、フラグ変換器23から画像データXB=「0000****」を入力すると共に、高速カウンタ24からカウント値0を入力し、カウント値0を「****」に挿入し、画像データXC=「00000000」を生成して出力する(ステップS3−1)。
【0064】
そして、遅延器26、差分器27、遅延器28、比較器29及びメモリ21によって、加算器25により生成された画像データXC=「00000000」と元の画像データY(4m+1)=「11110100」との間の誤差が最小であるか否かが判定される(ステップS4−1)。
【0065】
加算器25は、ステップS4−1において最小でないと判定されたことを受けて、高速カウンタ24からカウント値1を入力し、カウント値1を「****」に挿入し、画像データXC=「00001000」を生成して出力する(ステップS3−2)。そして、画像データY(4m+1)=「11110100」と画像データXC=「00001000」との間の誤差が最小であるか否かが判定される(ステップS4−2)。加算器25は、ステップS4−2において最小でないと判定されたことを受けて、高速カウンタ24からカウント値2を入力し、カウント値2を「****」に挿入し、画像データXC「00000100」を生成して出力する。
【0066】
このような処理を繰り返して、加算器25は、高速カウンタ24からカウント値3を入力し、カウント値3を「****」に挿入し、画像データXC=「00001100」を生成して出力する(ステップS3−3)。そして、画像データY(4m+1)=「11110100」と画像データXC=「00001100」との間の誤差が最小であるか否かが判定され(ステップS4−3)、最小であると判定される。そして、画像データXC=「00001100」が画像データXD(=Y’(4m+1))に設定される(ステップS5−1)。図5では、メモリ21から画像データXD=「00001100」が読み出される。
【0067】
尚、図6のステップS1において、データ決定部3は、複数行のうちの先頭の行の画像データXDを決定すると判定した場合であっても、ステップS2〜ステップS5の処理を行うことにより、入力した画像データYを画像データXD(=Y’)に設定して出力することができる。この場合、ステップS2において、フラグ変換器23は、同一の画像データ(ビット値)が設定されるビットが存在しないとして、フラグ変換を行い、画像データXB「********」を生成して加算器25に出力する。ステップS3〜ステップS5においては、前述した同様の処理を行えばよい。
【0068】
以上のように、本発明の実施形態による表示装置1によれば、データ決定部3は、SF1〜SF8におけるサブフィールド毎の2値の画像データに対し、予め設定された規則に従って、連続する複数行においてビットの重みが小さい側の一部のサブフィールドについて、これらの画像データ(ビット値)が同じになるように設定し、かつ、その行においてフィールドの画像データ(同じ画像データ(ビット値)が設定された画像データ)と元の画像データとの間の誤差が最も小さくなるように、残りのサブフィールド(ビットの重みが大きい側のサブフィールド)の2値の画像データを設定し、このようにして設定した画像データを、SF1〜SF8におけるサブフィールド毎の新たな画像データとして決定するようにした。また、データドライバ7及び維持ドライバ8は、予め設定された規則に従って、連続する複数行を同時に走査するように、アドレス電極パルスをアドレス電極9に印加し、走査電極パルスを走査電極10に印加するようにした。
【0069】
これにより、サブフィールドの処理において、全ての行に対するアドレス電極パルスの走査回数が減り、走査電極パルスは所定の複数行において同時に印加される。したがって、アドレス期間が短くなり、フィールド全体でアドレス走査の回数を低減することができるから、消費電力を削減することができる。本発明者らの実験結果によれば、本発明の実施形態における消費電力は、図8〜図10に示した従来の方式に比べて、約15%削減することができる。また、画像データと元の画像データとの間の誤差が最も小さくなるように、新たな画像データを決定するようにしたから、画質の劣化を防ぐことができる。
【0070】
また、本発明の実施形態による表示装置1によれば、アドレス期間が短くなるから、1フィールド内のサブフィールド数を増やすことができる。したがって、動画疑似輪郭による画質劣化の問題を解決することができ、階調数を増やすことができる。具体的には、図2〜図4に示した例では、前述したとおり、1フィールド内のアドレス期間の総時間長を、約7/10に短くすることができるから、従来の約6ビット相当のアドレス走査回数で、8ビットの階調を表示することができる。
【0071】
また、本発明の実施形態による表示装置1によれば、重みの小さい下位ビットの複数のサブフィールドではアドレス期間が短くなるから、全行の走査のために要する時間が短くなる。したがって、従来の表示装置よりも短い時間で表示が行われるから、動画疑似輪郭が見え難くなり、画質劣化を低減することができる。
【0072】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、前記実施形態では、8ビットの階調数により256階調表示を行うようにしたが、これは一例であり、本発明はこの階調数に限定されるものではない。また、前記実施形態では、1フィールドは、図3に示したように、ビットの重みが小さいサブフィールドから大きいサブフィールドへ順番に並べて構成するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、自由な順番で構成するようにしてもよい。また、前記実施形態では、合計M行のうち連続する4行分を単位にして、複数行の走査電極パルスを同時に印加することにより、アドレス期間が短くなるようにしたが、本発明は、4行分を単位とすることに限定されるものではない。また、前記実施形態では、元の画像データとの間の誤差が最小になるように新たな画像データを決定するようにしたが、その誤差は必ずしも最小である必要はなく、所定値よりも誤差が小さくなるように、新たな画像データを決定するようにしてもよい。この場合、複数行で同じ画像データ(ビット値)を設定した所定のサブフィールド、及び元の画像データのビット値をそのまま設定したときの残りのサブフィールドからなる画像データと、元の画像データとの間で第1の誤差を求める。また、前記所定のサブフィールド、及び任意の画像データ(ビット値)を設定した残りのサブフィールドからなる画像データと、元の画像データとの間で第2の誤差を求める。そして、第1の誤差を所定値とし、第2の誤差が第1の誤差(所定値)よりも小さくなるように、新たな画像データを決定するようにしてもよい。これによって、所定のサブフィールドの複数行に同じ画像データ(ビット値)を設定し、及び残りのサブフィールドに元の画像データのビット値をそのまま設定した画像データに対してよりも画質劣化を抑え、かつアドレス期間を短くする効果が期待できる。
【0073】
また、図5に示したデータ決定部3の構成は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、データ決定部3は、複数行で同じ画像データ(ビット値)になるように設定した所定のサブフィールド、及び、元の画像データと同じ並びのビット値をそのまま設定した残りのサブフィールドからなる第1の画像データを生成する。また、所定のサブフィールド、及び、元の画像データと同じ並びのビット値のデータに1を加算したサブフィールドからなる第2の画像データを生成する。また、所定のサブフィールド、及び、元の画像データと同じ並びのビット値のデータから1を減算したサブフィールドからなる第3の画像データを生成する。そして、第1〜第3の画像データと元の画像データとの間の誤差をそれぞれ比較し、その誤差が最も小さくなるときの画像データを、第1〜第3の画像データから特定し、それを新たな画像データとして決定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 表示装置
2 サブフィールド変換部
3 データ決定部
4 フレームメモリ
5 タイミングパルス発生部
6 表示パネル
7 データドライバ
8 維持ドライバ
9 アドレス電極
10 走査電極
11 維持電極
21 メモリ
22,26,28 遅延器
23 フラグ変換器
24 高速カウンタ
25 加算器
27 差分器
29 比較器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
行方向及び列方向に配列した複数の画素を備え、画像データをビット毎のデータに変換してサブフィールド毎のデータとし、前記画素を選択するアドレス期間と、前記選択した画素を前記ビットの重みに応じた時間分発光させる表示期間とからなるサブフィールドの処理により、前記画像データに従って階調表示を行う表示装置において、
連続する複数行の画像データに対し、所定のサブフィールドにおける前記複数行のデータのそれぞれを同一のデータに設定し、前記画像データと、前記同一のデータを所定のサブフィールドに設定した後の画像データとの間の誤差が小さくなるように、残りのサブフィールドのデータを設定し、前記設定後の所定のサブフィールドのデータ及び残りのサブフィールドのデータにより新たな画像データを決定するデータ決定部と、
前記所定のサブフィールドのアドレス期間において、前記連続する複数行の画素に対して同時に走査するドライバ部と、を備え、
前記新たな画像データに従って階調表示を行うことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記データ決定部は、連続する複数行の画像データに対し、前記ビットの重みが最も小さいサブフィールドから所定のサブフィールドまでのデータを同一のデータに設定する、ことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、
前記連続する複数行は、前記ビットの重みが小さいサブフィールドほど、多くの行が割り当てられるように設定されている、ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の表示装置において、
前記データ決定部は、連続する複数行の画像データに対し、所定のサブフィールドにおける前記複数行のデータのそれぞれを、前記複数行のデータのうちのいずれかのデータと同一になるように設定する、ことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の表示装置において、
前記データ決定部は、前記残りのサブフィールドのデータに、1ずつ増加するカウント値を設定し、前記画像データと、前記同一のデータを所定のサブフィールドに設定すると共に前記カウント値を残りのサブフィールドに設定した後の画像データとを比較し、その誤差が最小となる新たな画像データを決定する、ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
行方向及び列方向に配列した複数の画素から、画像データに従って画素を選択するアドレス期間と、前記選択した画素を前記画像データのビットの重みに応じた時間分発光させる表示期間とからなるサブフィールドの処理により、前記画像データに従って階調表示を行う表示方法において、
前記画像データをビット毎のデータに変換し、前記サブフィールド毎のデータに設定するステップと、
連続する複数行の画像データに対し、所定のサブフィールドにおける前記複数行のデータのそれぞれを、同一のデータに設定するステップと、
前記画像データと、前記同一のデータを所定のサブフィールドに設定した後の画像データとの間の誤差が小さくなるように、残りのサブフィールドのデータを設定し、前記設定後の所定のサブフィールドのデータ及び残りのサブフィールドのデータにより新たな画像データを決定するステップと、
前記所定のサブフィールドのアドレス期間において、前記連続する複数行の画素に対して同時に走査して画素を選択するステップと、
前記表示期間において、前記選択した画素に対し、前記画像データのビットの重みに応じた時間分発光させるステップと、を備え、
前記新たな画像データに従って階調表示を行うことを特徴とする表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−175687(P2010−175687A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16361(P2009−16361)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】