説明

表示装置及び表示方法

【課題】自動的にモードを切り換えるときでも、表示画面においてパカつきが生じない表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、複数のモードを有し、周囲の明るさを検出し、検出した周囲の明るさに基づいてモードを切り換える視環境検出手段と、1フレームの映像データの平均的な明るさに基づいて、各モードにおける表示画面の明るさを算出する画面明るさ算出手段と、モードを切り換えるときには、表示画面の明るさを、切換前のモードの表示画面の明るさから切換後のモードの表示画面の明るさに徐々に変化させる画面明るさ合成手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)等の表示パネルを備えた表示装置及び表示方法に関し、特に、複数のモードを有する表示装置及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル等の表示パネルを備えた表示装置は、省スペースという優れた特徴から近年広く普及している。特許文献1には、1フレームの映像データの平均的な明るさ(APL:Average Picture Level)等に応じて、画像の強調や調整を行うことができる表示装置が開示されている。これにより、美しい画像を再生することができる。また、特許文献2及び3には、複数のモードを有する表示装置が開示されている。周囲が明るいというモードに設定されたときは、画像のコントラストを高くしたり、画像を明るくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−231825号公報
【特許文献2】特許2006−238255号公報
【特許文献3】国際公開第2008/105179号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の表示装置ではユーザが手動でモードを設定しなければならなかった。そこで、周囲の明るさを検出するセンサを組み合わせることで、モードを自動的に切り換えることができる。しかしながら、モードを切り換えるときに、表示画面の明るさが急激に変化し、視覚的に違和感を感じてしまうという現象が生じるという問題があった。以下、この現象をパカつきと表現する。
【0005】
本発明は、前記課題を解決するもので、周囲の明るさによって自動的にモードを切り換えることができ、且つ表示画面にパカつきが生じない表示装置及び表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示装置は、複数のモードを有する表示装置であって、1フレームの映像データの平均的な明るさに基づいて、各モードにおける表示画面の明るさを算出する画面明るさ算出手段と、モードを切り換えるときには、表示画面の明るさを、切換前のモードの表示画面の明るさから切換後のモードの表示画面の明るさに徐々に変化させる画面明るさ合成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記表示装置は、周囲の明るさを検出し、検出した周囲の明るさに基づいてモードを切り換える視環境検出手段をさらに備えてもよい。
【0008】
画面明るさ合成手段は、表示画面の明るさを、切換前のモードの表示画面の明るさから切換後のモードの表示画面の明るさに所定時間で変化させてもよい。
【0009】
画面明るさ合成手段は、1フレームの映像データの平均的な明るさに応じて、表示画面の明るさを、切換前のモードの表示画面の明るさから切換後のモードの表示画面の明るさに変化させる時間を補正してもよい。
【0010】
画面明るさ合成手段は、1フレームの映像データの平均的な明るさが第1の所定値以上のときの前記変化させる時間を、1フレームの映像データの平均的な明るさが第1の所定値未満のときの変化させる時間より短くなるように補正してもよい。
【0011】
画面明るさ合成手段は、切換前のモードの表示画面の明るさと切換後のモードの表示画面の明るさの差に応じて、表示画面の明るさを、切換前のモードの表示画面の明るさから切換後のモードの表示画面の明るさに変化させる時間を補正してもよい。
【0012】
画面明るさ合成手段は、切換前のモードの表示画面の明るさと切換後のモードの表示画面の明るさの差が第2の所定値以上のときの前記変化させる時間を、1フレームの映像データの平均的な明るさが第2の所定値未満のときの変化させる時間より長くなるように補正してもよい。
【0013】
画面明るさ合成手段は、映像データの周波数成分に応じて、表示画面の明るさを、切換前のモードの表示画面の明るさから切換後のモードの表示画面の明るさに変化させる時間を補正してもよい。
【0014】
画面明るさ合成手段は、映像データの周波数成分が第3の所定値以上のときの前記変化させる時間を、映像データの周波数成分が第3の所定値未満のときの変化させる時間より短くなるように補正してもよい。
【0015】
画面明るさ合成手段は、手動でモードが切り換えられたときは、表示画面の明るさを、切換前のモードの表示画面の明るさから切換後のモードの表示画面の明るさに瞬時に変化させてもよい。
【0016】
本発明に係る表示方法は、複数のモードを有する表示装置における表示方法であって、1フレームの映像データの平均的な明るさに基づいて、各モードにおける表示画面の明るさを算出する画面明るさ算出ステップと、モードを切り換えるときには、表示画面の明るさを、切換前のモードの表示画面の明るさから切換後のモードの表示画面の明るさに徐々に変化させる画面明るさ合成ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の表示装置及び表示方法は、周囲の明るさを検出し、検出した明るさによって自動的にモードを切り換える。これにより、ユーザは手動でモードを設定する必要がなくなる。さらに、モードを切り換えるときには、表示画面の明るさを徐々に変化させることにより、表示画面にパカつきを生じさせない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1による表示装置の構成を示すブロック図
【図2】図1の画像特徴判定部106の詳細な構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施形態1の表示装置による第1モード倍数算出処理のフローチャート
【図4】図2の第1モード倍数算出部115が有する第1モード倍数テーブルの一例を示す図
【図5】本発明の実施形態1の表示装置による倍数合成処理のフローチャート
【図6】本発明の実施形態1の表示装置によるパラメータ番号算出処理のフローチャート
【図7】図2のパラメータ番号算出部118が有する第1及び第2モードパラメータ番号テーブルの一例を示す図
【図8】図2のパラメータ決定部114が有するパラメータテーブルの一例を示す図
【図9】表示装置の周囲の明るさが変化しない場合の倍数変化の一例を示す図
【図10】表示装置の周囲の明るさが変化する場合の倍数変化の一例を示す図
【図11】図10の30フレーム目から90フレーム目までの倍数変化の詳細を示す図
【図12】倍数が変化している間に、第2モードの倍数が変化する場合の倍数変化の一例を示す図
【図13】本発明の実施形態2による表示装置の構成を示すブロック図
【図14】図13の周波数算出器が周波数成分を算出する方法を説明するための図
【図15】図13の番号決定部113Aの詳細な構成を示すブロック図
【図16】図15の補正値算出部121の詳細な構成を示すブロック図
【図17】図16の第1計算部及び第2計算部が有する関数の一例を示す図
【図18】本発明の実施形態2の表示装置による倍数合成処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態による表示装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の各実施形態において、同じ構成要素については同じ番号を付している。
【0020】
実施形態1
本実施形態では、表示装置の周囲の明るさを検出し、検出した周囲の明るさに基づいてモードを自動的に切り換え、モードを切り換えるときには、表示画面の明るさを、切換前のモードの表示画面の明るさから切換後のモードの表示画面の明るさに徐々に変化させる表示装置について説明する。
【0021】
[表示装置の構成]
図1は、本発明の実施形態1による表示装置の構成を示すブロック図である。本実施形態の表示装置100は、逆ガンマ補正器101と、1フィールド遅延102と、平均レベル算出器103と、視環境検出器104と、垂直同期周波数検出器105と、画像特徴判定器106と、映像信号−サブフィールド対応付け器107と、サブフィールド単位パルス数設定器108と、サブフィールド処理器109と、データ駆動回路110と、走査・維持・消去駆動回路111と、プラズマディスプレイパネル112と、を備える。
【0022】
逆ガンマ補正器101は、表示装置100に入力されたRGB信号を逆ガンマ補正する。1フィールド遅延102は、逆ガンマ補正されたRGB信号を1フィールド遅延させる。
【0023】
平均レベル算出器103は、逆ガンマ補正されたRGB信号の平均レベル(APL:Average Picture Level)を算出する。具体的には、R信号、G信号、B信号のそれぞれの1フレーム分の合計値を求め、さらに3つの合計値の合計値から、そのフレームの明るさの平均値であるAPL(1フレームの映像データの平均的な明るさ)を求める。
【0024】
視環境検出器104は、センサを有し、表示装置の周囲の明るさを検出する。視環境検出器104は表示装置の周囲の明るさが所定の明るさ以上のときは(明るいときは)モード選択信号0(第1モード)を出力し、所定の明るさ未満のときは(暗いときは)モード選択信号1(第2モード)を出力する。例えば、第1モードはダイナミックモードであり、第2モードはシネマモードである。
【0025】
垂直同期周波数検出器105は、入力端子HDから入力された垂直同期信号に基づいて、垂直同期周波数を検出する。
【0026】
画像特徴判定器106は、番号決定部113と、パラメータ決定部114と、を備える(図2にて詳述)。番号決定部113は、平均レベル算出器103からのAPL及び視環境検出器104からのモード選択信号に基づいて、パラメータ番号を決定する。パラメータ決定部114は、番号決定部113からのパラメータ番号に基づいて、パラメータを決定する。ここでは、パラメータはサブフィールド数及び倍数である。この倍数が大きいときは表示画面は明るくなり、この倍数が小さいときは表示画面は暗くなる。
【0027】
映像信号−サブフィールド対応付け器107は、1フィールド遅延102からの1フィールド遅延された信号と画像特徴判定器106からのサブフィールド数を対応付ける。サブフィールド単位パルス数設定器108は、画像特徴判定器106からのサブフィールド数及び倍数に基づいて、各サブフィールドにおいて必要な維持パルスの数を特定する。サブフィールド処理器109は、サブフィールド単位パルス数設定器108からの各サブフィールドにおいて必要な維持パルス数に基づいて、セットアップ期間、書き込み期間、維持期間に必要なパルス信号を決定し、PDP駆動信号を出力する。データ駆動回路110、走査・維持・消去駆動回路111は、サブフィールド処理器109からのPDP駆動信号に基づいて、プラズマディスプレイパネル112に映像を表示する。
【0028】
図2は、図1の画像特徴判定部106の詳細な構成を示すブロック図である。画像特徴判定器106は、番号決定部113と、パラメータ決定部114と、を備える。さらに、番号決定部113は、第1モード倍数算出部115と、第2モード倍数算出部116と、倍数合成部117と、パラメータ番号算出部118と、を備える。
【0029】
第1モード倍数算出部115は、平均レベル算出部103からのAPLに基づいて、第1モードの場合の倍数(以下、倍数1という。)を算出する。図3及び図4を用いて具体的に説明する。
【0030】
図3は第1モード倍数算出処理のフローチャートであり、図4は図2の第1モード倍数算出部115が有する第1モード倍数テーブルの一例である。図3において、第1モード倍数算出部115は、第1モード倍数テーブル(図4)を読み出す(S10)。テーブル番号iに初期値0を設定し(S11)、次に、APLがテーブル番号iのAPL下限閾値以上で且つテーブル番号iのAPL上限閾値未満か否かを判断する(S12及びS13)。APLがテーブル番号iのAPL下限閾値以上で且つテーブル番号iのAPL上限閾値未満のときは(S12でYes且つS13でYes)、倍数1にテーブル番号iの倍数を設定し(S14)、設定した倍数1を倍数合成部117に出力し(S15)、このフローチャートを終了する。
【0031】
一方、APLがテーブル番号iのAPL下限閾値以上でないとき(S12でNo)またはテーブル番号iのAPL上限閾値未満でないときは(S13でNo)、テーブル番号iが所定値xになるまで(S16でNo)、テーブル番号iに1を加算し(S17)、ステップS12に戻り処理を繰り返す。テーブル番号iが所定値xになったときは(S16でYes)、APLに対応する倍数がこのテーブルにはないということなので、倍数1に0を設定し(S18)、設定した倍数1を倍数合成部117に出力し(S15)、このフローチャートを終了する。
【0032】
例えば、APLが120の場合について図4を用いて説明する。APL(120)がテーブル番号2のAPL下限閾値(100)以上で且つテーブル番号2のAPL上限閾値(150)未満であるため、倍数1にはテーブル番号2の倍数の0.2が設定される(図3のステップS14)。
【0033】
同様に、第2モード倍数算出部116も、平均レベル算出部103からのAPLに基づいて、第2モードの場合の倍数(以下、倍数2という。)を算出する。第2モード倍数算出処理は、第1モード倍数算出処理と同じであるが、第2モード倍数算出部116は、第1モード倍数算出部115が有する第1モード倍数テーブルとは異なる第2モード倍数テーブルを有する。
【0034】
倍数合成部117は、第1モード倍数算出部115からの倍数1、第2モード倍数算出部116からの倍数2及びモード選択信号に基づいて、倍数及びモード信号を算出する。図5を用いて具体的に説明する。
【0035】
図5に、本発明の実施形態1の表示装置による倍数合成処理のフローチャートを示す。倍数合成部117は、合成フラグFlagが1(実行中)か否かを判断する(S20)。合成フラグFlagが0(実行中でない)のときは(S20でNo)、さらにモード選択信号に変化があったか否かを判断する(S21)。モード選択信号に変化があったときは、合成開始処理として、合成フラグFlagに1(実行中)を設定し、フレーム数Countに初期値0を設定する(S22)。
【0036】
ステップS20で合成フラグFlagが1(実行中)のとき、またはステップS22で合成開始処理をした後に、1つ前のモード信号が0(第1モード)か否かを判断する(S23)。1つ前のモード信号が0(第1モード)のときは、倍数1+(倍数2−倍数1)×Count/Coefを算出し、算出結果を倍数に設定する(S24)。Coefは倍数を変化させる期間のフレーム数であり、本実施形態では所定の値である。例えば、Coefは60である。ステップS23で1つ前のモード信号が1(第2モード)のときは、倍数2+(倍数1−倍数2)×Count/Coefを算出し、算出結果を倍数に設定する(S25)。フレーム数Countに1を加算し(S26)、フレーム数CountがCoefに達したか否かを判断する(S27)。
【0037】
フレーム数CountがCoefに達すると、合成終了処理を行う。具体的には、1つ前のモード信号が0(第1モード)のときは(S28でYes)、モード信号に1(第2モード)を設定し(S29)、1つ前のモード信号が1(第2モード)のときは(S28でNo)、モード信号に0(第1モード)を設定し(S30)、最後に合成フラグFlagに0(実行中でない)を設定して(S31)、このフローチャートを終了する。ステップS21でモード選択信号に変化がなかったとき、またはステップS27でフレーム数CountがCoefに達するまでは、モード信号に1つ前のモード信号を設定し(S32)、このフローチャートを終了する。
【0038】
パラメータ番号算出部118は、倍数合成部117からの倍数及びモード信号に基づいて、パラメータ番号を算出する。図6及び図7を用いて具体的に説明する。
【0039】
図6はパラメータ番号算出処理のフローチャートであり、図7(a)は図2のパラメータ番号算出部118が有する第1モードパラメータ番号テーブルの一例であり、図7(b)は図2のパラメータ番号算出部118が有する第2モードパラメータ番号テーブルの一例である。図6において、パラメータ番号算出部118は、モード信号が0(第1モード)か否かを判断する(S40)。モード信号が0(第1モード)のときは、第1モードパラメータ番号テーブル(図7(a))を読み出し(S41)、モード信号が1(第2モード)のときは、第2モードパラメータ番号テーブル(図7(b))を読み出す(S42)。テーブル番号iに初期値0を設定し(S43)、次に、倍数がテーブル番号iの倍数下限閾値以上で且つテーブル番号iの倍数上限閾値未満か否かを判断する(S44及びS45)。RGP信号の平均レベルAPLがテーブル番号iの倍数下限閾値以上で且つテーブル番号iの倍数上限閾値未満のときは(S44でYes且つS45でYes)、パラメータ番号にテーブル番号iのパラメータ番号を設定する(S46)。設定したパラメータ番号をパラメータ決定部114に出力し(S47)、このフローチャートを終了する。
【0040】
一方、倍数がテーブル番号iの倍数下限閾値以上でないとき(S44でNo)またはテーブル番号iの倍数上限閾値未満でないときは(S45でNo)、テーブル番号iが所定値yになるまで(S48でNo)、テーブル番号iに1を加算し(S49)、ステップS44に戻り処理を繰り返す。テーブル番号iが所定値yになったときは(S48でYes)、倍数に対応するパラメータ番号がこのテーブルにはないということなので、パラメータ番号に0を設定する(S50)。設定したパラメータ番号をパラメータ決定部114に出力し(S47)、このフローチャートを終了する。
【0041】
例えば、モード信号が0(第1モード)で、倍数が1.1の場合について図7を用いて説明する。モード信号が0(第1モード)であるため、第1モードパラメータ番号テーブル(図7(a))が読み出される(図6のステップS41)。倍数(1.1)がテーブル番号1の倍数下限閾値(1.0)以上で且つテーブル番号1の倍数上限閾値(1.4)未満であるため、パラメータ番号にはテーブル番号1のパラメータ番号の1が設定される。
【0042】
パラメータ決定部114は、パラメータテーブルを有し、番号決定部113からのパラメータ番号に基づいて、パラメータを決定する。ここでは、パラメータはサブフィールド数及び倍数である。図8は、図2のパラメータ決定部114が有するパラメータテーブルの一例である。例えば、パラメータ番号が1の場合は、倍数に1.4が設定され、サブフィールド数にK0が設定される。
【0043】
[倍数変化の一例]
本実施形態の表示装置における倍数変化ついて具体的に説明する。図9に、表示装置の周囲の明るさが変化しない場合の倍数変化の一例を示す。横軸にフレーム番号を、左縦軸に倍数を、右縦軸にAPL値をとる。一点破線200はAPL値を示す。APL値200が、50フレーム目までは0であり、50フレーム目から250フレーム目までは一定に増加し、250フレーム目から450フレーム目までは一定に減少し、410フレーム目以降は0である場合について説明する。
【0044】
実線201は、第1モード(表示装置の周囲が明るいとき)の倍数(倍数1)の変化を示す。倍数1は、APL値が第1の所定値未満の間、一定値αであるため、90フレーム目までは一定値αである。倍数1は、90フレーム目から250フレーム目まではAPL値の上昇に合わせて減少し、250フレーム目から410フレーム目までは逆にAPL値の下降に合わせて増加し、410フレーム目以降は一定値αである。
【0045】
破線202は、第2モード(表示装置の周囲が暗いとき)の倍数(倍数2)の変化を示す。破線202は、145フレーム目から355フレーム目までは実線201と重なっている。倍数2は、APL値が第2の所定値(>第1の所定値)未満の間、一定値β(<α)であるため、145フレーム目までは一定値βである。倍数2は、145フレーム目から250フレーム目まではAPL値の上昇に合わせて減少し、250フレーム目から355フレーム目までは逆にAPL値の下降に合わせて増加し、355フレーム目以降は一定値βである。
【0046】
図10に、表示装置の周囲の明るさが変化する場合の倍数変化の一例を示す。横軸、縦軸は、図9と同じである。一点破線200はAPL値を示す。APL値200は、図9と同様に変化するものとする。30フレーム目までは第1モードであり(表示装置の周囲が明るく)、30フレーム目から420フレーム目までは第2モードであり(表示装置の周囲が暗く)、420フレーム目以降は第1モードである(表示装置の周囲が明るい)場合について説明する。
【0047】
実線203は、従来の表示装置の倍数変化を示す。倍数は、30フレーム目までは一定値αであるが、30フレーム目で第1モードから第2モードに変化するため、急に減少して値βとなり、30フレーム目から145フレーム目までは一定値βとなる。145フレーム目から355フレーム目までは、倍数はAPL値に応じて変化する。倍数は、355フレーム目から420フレーム目までは一定値βであるが、420フレーム目で第2モードから第1モードに変化するため、急に増大して値αとなり、420フレーム目以降は一定値αとなる。このように、従来の表示装置は、モードが変化する際に(30フレーム目及び420フレーム目で)倍数が急激に変化するため、画面がパカつくという問題があった。
【0048】
破線204は、本実施形態の表示装置の倍数変化を示す。破線204は、30フレーム目まで、90フレーム目から420フレーム目まで及び480フレーム以降は実線203と重なっている。倍数は、30フレーム目までは一定値αである。30フレーム目で、第1モードから第2モードに切り換わる。Coefには所定値60が設定されているため、30フレーム目から90フレーム目までの60フレームをかけて、倍数を倍数1αから倍数2βに徐々に変化させる。図11に、図10の30フレーム目から90フレーム目までの倍数変化の詳細を示す。第1モードから第2モードに切り換わった30フレーム目においては、フレーム数Countは初期値0であり、倍数はαである。31フレーム目おいては、フレーム数Countは1となり、倍数はα+(β−α)×1/60となる。32フレーム、33フレーム、...と続き、89フレーム目においては、フレーム数Countは59となり、倍数はα+(β−α)×59/60となる。そして、90フレーム目においては、フレーム数Countは60となり、倍数はβとなる。
【0049】
図10に戻り、90フレーム目から420フレーム目までは、倍数は、従来の表示装置と同様に変化する。420フレーム目で第2モードから第1モードに変化するため、420フレーム目から480フレーム目までの60フレームをかけて、倍数を倍数2βから倍数1αに徐々に変化させる。倍数は、480フレーム目以降は一定値αである。
【0050】
図10では、倍数が変化している間(30フレーム目から90フレーム目まで及び420フレーム目から480フレーム目まで)、倍数1と倍数2が共に一定の場合を説明した。図12に、倍数が変化している間、第2モードの倍数が変化する場合の倍数変化の一例を示す。フレーム数Count0で第1モードから第2モードに切り換わったものとする。実線205は第1モード(表示装置の周囲が明るいとき)の倍数変化を示し、実線206は第2モード(表示装置の周囲が暗いとき)の倍数変化を示し、破線207は本実施形態の表示装置の倍数変化を示す。このように、倍数が変化している間に、倍数1や倍数2が変化しても、図5のステップS24及びステップS25の式を用いれば、倍数をCoefに設定したフレーム数で倍数1から倍数2に変化させることができる。
【0051】
なお、表示装置の周囲の明るさを検出し、検出した周囲の明るさに基づいてモードを切り換える視環境検出機能をオン/オフ可能にしてもよい。視環境検出機能をオフした場合は手動によりモードを切り換えられるが、手動によりモードが切り換えられた場合は、倍数を切換前のモードの倍数から切換後のモードの倍数に瞬時に変化させてもよい。
【0052】
以上のように、本実施形態の表示装置は、周囲の明るさによって自動的にモードを切り換えることができる。さらに、本実施形態の表示装置は、自動的にモードを切り換えるときには、倍数を、切換前のモードの倍数から切換後のモードの倍数に徐々に変化させる。これにより、自動的にモードを切り換えるときでも、表示画面の明るさが急激に変化しないので、パカつきが生じない。またさらに、本実施形態の表示装置は、図5のステップS24及びステップS25の式を用いて倍数を徐々に変化させるため、倍数をCoefに設定したフレーム数で、切換前のモードの倍数から切換後のモードの倍数に変化させることができる。
【0053】
実施形態2
本実施形態では、実施形態1の倍数合成処理(図5)において、切換前のモードの倍数と切換後のモードの倍数の差分及び映像データの周波数成分に応じて、変化させる時間(Coef)を補正する処理を追加した表示装置について説明する。
【0054】
[表示装置の構成]
図13は、本発明の実施形態2による表示装置の構成を示すブロック図である。本実施形態の表示装置100Aは、実施形態1の表示装置100に、さらに周波数算出器119を備える。周波数算出器119は、逆ガンマ補正されたRGB信号の周波数成分を算出する。具体的には、周波数算出器119は、フレーム(図14(a))において、注目画素を中心とした3×3画素のブロック(図14(b))を抜き出す。抜き出した3×3画素のブロックはフィルタと同じサイズの画素である。抜き出したブロックに対し、図14(c)のようなHPF(High Pass Filter)を掛け合わせ、1画素におけるHPF値を求める。フレームの各画素に対し上記処理を繰り返すことで、フレームの全画素のHPF値を求め、その総和を周波数成分として出力する。番号決定部113Aは、平均レベル算出器103からのAPL、視環境検出器104からのモード選択信号及び周波数算出器119からのHPF値に基づいて、パラメータ番号を決定する(図15にて詳述)。
【0055】
[Coef補正処理]
図15は、図13の番号決定部113Aの詳細な構成を示すブロック図である。番号決定部113Aは、実施形態1の番号決定部113に、さらに差分算出部120と、補正値算出部121とを備える。差分算出部120は、倍数1から倍数2を減算し、減算した値の絶対値を出力する。補正値算出部121は、倍数1と倍数2の差及びHPF値からCoef補正値を求める(図16にて詳述)。倍数合成部117Aは、Coefを補正し、補正したCoefを用いて倍数合成処理を行う。
【0056】
図16は、図15の補正値算出部121の詳細な構成を示すブロック図である。補正値算出部121は、差分算出部120からの倍数1と倍数2の差に第1係数を掛け、この乗算値を第1計算部122に入力する。第1計算部122は、例えば図17(a)に示す関数を有し、入力された差の乗算値から第1補正値を求める。同様に、補正値算出部121は、周波数算出器119からのHPF値に第2係数を掛け、この乗算値を第2計算部123に入力する。第2計算部123は、例えば図17(b)に示す関数を有し、入力されたHPFの乗算値から第2補正値を求める。最後に、第1補正値と第2補正値を掛け合わせ、Coef補正値を求める。
【0057】
図18に、本発明の実施形態2の表示装置による倍数合成処理のフローチャートを示す。合成フラグFlagが0(実行中でない)で且つモード選択信号に変化があったときは(S20でNo且つS21でYes)、倍数合成部117Aは合成開始処理を行う(S22A)。具体的には、合成フラグFlagに1(実行中)を設定し、フレーム数Countに初期値0を設定し、所定値CにCoef補正値を掛け、この乗算値をCoefに設定する。以下のステップは、実施形態1の倍数合成処理(図5)と同様であるため説明を省略する。
【0058】
なお、本実施形態の表示装置では、第1補正値と第2補正値からCoef補正値を算出しているが、どちらか一方の補正値をCoef補正値としてもよい。
【0059】
なお、本実施形態の表示装置は、切換前のモードの倍数と切換後のモードの倍数の差分及び映像データの周波数成分に応じてCoefを補正しているが、APLに応じてCoefを補正してもよい。
【0060】
以上のように、本実施形態の表示装置は、Coefを補正することにより、切換前のモードの表示画面の明るさから切換後のモードの表示画面の明るさに変化させる時間を映像データによって変化させる。具体的には、切換前のモードの表示画面の明るさと切換後のモードの表示画面の明るさの差が大きいときは変化させる時間を長くし、差が小さいときは変化させる時間を短くする。また、映像が複雑な場合は、表示画面の明るさが変化してもユーザが気付きにくいので、変化させる時間を短くし、映像がベタな場合は、表示画面の明るさが変化するとユーザが気付きやすいので、変化させる時間を長くする。これにより、さらに視覚的にユーザに違和感を感じさせなくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る表示装置は、自動的にモードを切り換えるときでも、表示画面においてパカつきが生じない表示装置として有用である。
【符号の説明】
【0062】
100 表示装置
101 逆ガンマ補正器
102 1フィールド遅延
103 平均レベル算出器
104 視環境検出器
105 垂直同期周波数検出器
106 画像特徴判定器
107 映像信号−サブフィールド対応付け器
108 サブフィールド単位パルス数設定器
109 サブフィールド処理器
110 データ駆動回路
111 走査・維持・消去駆動回路
112 プラズマディスプレイパネル
113,113A 番号決定部
114 パラメータ決定部
115 第1モード倍数算出部
116 第2モード倍数算出部
117,117A 倍数合成部
118 パラメータ番号算出部
119 周波数算出器
120 差分算出部
121 補正値算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモードを有する表示装置であって、
1フレームの映像データの平均的な明るさに基づいて、各モードにおける表示画面の明るさを算出する画面明るさ算出手段と、
モードを切り換えるときには、表示画面の明るさを、切換前のモードの表示画面の明るさから切換後のモードの表示画面の明るさに徐々に変化させる画面明るさ合成手段と、を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
周囲の明るさを検出し、検出した周囲の明るさに基づいてモードを切り換える視環境検出手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記画面明るさ合成手段は、表示画面の明るさを、切換前のモードの表示画面の明るさから切換後のモードの表示画面の明るさに所定時間で変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記画面明るさ合成手段は、1フレームの映像データの平均的な明るさに応じて、表示画面の明るさを、切換前のモードの表示画面の明るさから切換後のモードの表示画面の明るさに変化させる時間を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記画面明るさ合成手段は、1フレームの映像データの平均的な明るさが第1の所定値以上のときの前記変化させる時間を、1フレームの映像データの平均的な明るさが第1の所定値未満のときの前記変化させる時間より短くなるように補正することを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記画面明るさ合成手段は、切換前のモードの表示画面の明るさと切換後のモードの表示画面の明るさの差に応じて、表示画面の明るさを、切換前のモードの表示画面の明るさから切換後のモードの表示画面の明るさに変化させる時間を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項7】
前記画面明るさ合成手段は、切換前のモードの表示画面の明るさと切換後のモードの表示画面の明るさの差が第2の所定値以上のときの前記変化させる時間を、1フレームの映像データの平均的な明るさが第2の所定値未満のときの前記変化させる時間より長くなるように補正することを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記画面明るさ合成手段は、映像データの周波数成分に応じて、表示画面の明るさを、切換前のモードの表示画面の明るさから切換後のモードの表示画面の明るさに変化させる時間を補正することを特徴とする請求項1、2及び4−7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記画面明るさ合成手段は、映像データの周波数成分が第3の所定値以上のときの前記変化させる時間を、映像データの周波数成分が第3の所定値未満のときの前記変化させる時間より短くなるように補正することを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記画面明るさ合成手段は、手動でモードが切り換えられたときは、表示画面の明るさを、切換前のモードの表示画面の明るさから切換後のモードの表示画面の明るさに瞬時に変化させることを特徴とする請求項1−9に記載の表示装置。
【請求項11】
複数のモードを有する表示装置における表示方法であって、
1フレームの映像データの平均的な明るさに基づいて、各モードにおける表示画面の明るさを算出する画面明るさ算出ステップと、
モードを切り換えるときには、表示画面の明るさを、切換前のモードの表示画面の明るさから切換後のモードの表示画面の明るさに徐々に変化させる画面明るさ合成ステップと、を含むことを特徴とする表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−127980(P2012−127980A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97941(P2009−97941)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】