表示装置用支持機構及び表示装置
【課題】薄型の表示パネルを縦横に接続することで大画面の表示装置を形成することが容易であり、しかも精緻に位置合わせを行うことができる表示装置用支持機構及び表示装置を提供する。
【解決手段】縦横に支柱を形成してある支持枠と、該支持枠に固着された状態で、表示画面を見る者から見て前後方向、縦方向、及び横方向の直線移動を行うことが可能であるとともに、表示画面を見る者から見て略奥行き方向の軸及び略鉛直方向の軸を中心とする回転移動を行うことが可能な主調整機構とを有する。複数の主調整機構を支持枠に配設してあり、複数の表示パネルそれぞれの背面略中央を主調整機構に固着する。複数の表示パネルの表示画面を見る者から見て横方向の接続部分に、横方向の直線移動を行うことが可能な第一の副調整機構を複数設け、表示画面を見る者から見て縦方向の接続部分に、縦方向及び前後方向の直線移動を行うことが可能な第二の副調整機構を設ける。
【解決手段】縦横に支柱を形成してある支持枠と、該支持枠に固着された状態で、表示画面を見る者から見て前後方向、縦方向、及び横方向の直線移動を行うことが可能であるとともに、表示画面を見る者から見て略奥行き方向の軸及び略鉛直方向の軸を中心とする回転移動を行うことが可能な主調整機構とを有する。複数の主調整機構を支持枠に配設してあり、複数の表示パネルそれぞれの背面略中央を主調整機構に固着する。複数の表示パネルの表示画面を見る者から見て横方向の接続部分に、横方向の直線移動を行うことが可能な第一の副調整機構を複数設け、表示画面を見る者から見て縦方向の接続部分に、縦方向及び前後方向の直線移動を行うことが可能な第二の副調整機構を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型の表示パネル等を複数接続することで大画面の表示装置を形成する表示装置用支持機構及び表示装置に関し、さらに詳しくは、接続部分の位置合わせを簡易な構造で精緻に行うことができる表示装置用支持機構及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の技術の急速な進展により、PDP、LCD、有機ELディスプレイ等の薄型表示パネルを有する表示装置が多々開発されている。そして、これらの表示装置の大画面化も進んでおり、大規模な表示パネル製造工場にて、大画面用に表示パネルが効率よく製造されるようになってきている。
【0003】
一方、内部に放電ガスが封入された複数の発光管を並列に配置した発光管アレイを、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シートと、表示電極が形成してある表示電極シートとの間に挟持してある表示フィルムを用いる表示装置が、その薄さ及び可撓性から注目を集めている。発光管アレイからなる表示フィルムを用いた表示装置は、複数の表示フィルムを縦横に接続することで、容易に大画面化ができるとともに、曲面上でも大画面で画像を表示することができるというメリットがある。
【0004】
これらの表示パネル等を複数連結することにより、より大規模な大画面表示装置を構築することができる。この場合、表示パネル等を相互に連結するためには、表示パネル等を支持する支持枠、表示パネル等を支持枠の所定の位置へ誘導する収納案内機構、所定の位置にて隣接する他の表示パネル等と連結する連結機構等が必要となる(特許文献1及び2参照)。
【特許文献1】国際公開2007/102221号
【特許文献2】国際公開2007/122705号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、薄板状の表示パネル等を縦横に接続する場合、全体のサイズが大きくなることから取付誤差が生じた場合には画像上の欠陥として目立ちやすい。すなわち、取付誤差が生じている箇所では、接続部分から光が漏れる、重複表示が生じる等により、高画質を維持することが困難になる場合も生じている。
【0006】
また、従来の収納案内機構、連結機構等は、複数の表示パネルを平板状に取り付けるための機構であった。しかし、昨今では、大画面の表示装置は平板状に限定されるものではなく、曲面状に形成することが求められる場合も多い。従来の機構を用いるだけでは、曲面に対応することができず、特に表示画面を見る者から見て横方向のズレを精緻に解消するような微調整をすることができないという問題点があった。
【0007】
薄板状の複数の表示パネル等を精緻に連結するためには、ある程度の位置合わせをして固定した段階で、表示画面を見る者から見て縦方向、横方向、前後方向、あるいは所定の回転方向に微調整する必要がある。これらの微調整をすることによって、接続部分での画質の劣化を回避することができ、品質の高い大画面表示装置を提供することができる。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、薄型の表示パネルを表示画面を見る者から見て縦横に接続することで大画面の表示装置を形成することが容易であり、しかも精緻に位置合わせを行うことができる表示装置用支持機構及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために第1発明に係る表示装置用支持機構は、複数の薄板状の表示パネルを表示画面を見る者から見て縦横に連結する表示装置用支持機構において、表示画面を見る者から見て縦横に支柱を形成してある支持枠と、該支持枠に固着された状態で、表示画面を見る者から見て前後方向、縦方向、及び横方向の直線移動を行うことが可能であるとともに、表示画面を見る者から見て前後方向の軸及び縦方向の軸を中心とする回転移動を行うことが可能な主調整機構とを有し、複数の前記主調整機構を前記支持枠に配設してあり、複数の表示パネルそれぞれの背面略中央を前記主調整機構に固着するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
第1発明では、表示画面を見る者から見て縦横に支柱を形成してある支持枠と、該支持枠に固着された状態で、表示画面を見る者から見て前後方向、縦方向、及び横方向の直線移動を行うことが可能であるとともに、表示画面を見る者から見て前後方向、すなわち略奥行き方向の軸及び表示画面を見る者から見て縦方向、すなわち略鉛直方向の軸を中心とする回転移動を行うことが可能な主調整機構とを有している。複数の主調整機構を支持枠に配設し、複数の表示パネルそれぞれの背面略中央を主調整機構に固着する。これにより、表示パネル等を主調整機構に固着した状態で支持枠に固定することができ、支持枠に固定した状態で表示画面を見る者から見て前後方向、縦方向、及び横方向の直線移動による微調整を行うことができる。また、固着時に左右の高さが平行でない場合には表示画面を見る者から見て前後方向の軸を中心とする回転移動により微調整を行うことができ、曲面に対応する場合には表示画面を見る者から見て縦方向の軸を中心とする回転移動により微調整を行うことが可能となる。
【0011】
また、第2発明に係る表示装置用支持機構は、第1発明において、表示画面を見る者から見て横方向での複数の前記表示パネルの接続部分に、表示画面を見る者から見て横方向の直線移動を行うことが可能な第一の副調整機構を複数設けてあることを特徴とする。
【0012】
第2発明では、複数の表示パネルの横方向接続部分に、表示画面を見る者から見て横方向の直線移動を行うことが可能な第一の副調整機構を複数設けることにより、主調整機構だけでは調整することができない表示画面を見る者から見て横方向のズレをより細かく微調整することができ、精緻な画像を提供することが可能となる。
【0013】
また、第3発明に係る表示装置用支持機構は、第1又は第2発明において、表示画面を見る者から見て縦方向での複数の前記表示パネルの接続部分に、表示画面を見る者から見て縦方向及び前後方向の直線移動を行うことが可能な第二の副調整機構を設けてあることを特徴とする。
【0014】
第3発明では、複数の表示パネルの表示画面を見る者から見て縦方向接続部分に、表示画面を見る者から見て縦方向及び前後方向の直線移動を行うことが可能な第二の副調整機構を設けることにより、主調整機構だけでは調整することができない表示画面を見る者から見て縦方向のズレ及び前後方向のズレをより細かく微調整することができ、精緻な画像を提供することが可能となる。
【0015】
また、第4発明に係る表示装置用支持機構は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記主調整機構は、クランク機構により調整部材の直線運動を回転運動に変換するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
第4発明では、前記主調整機構が、クランク機構により調整部材の直線運動を回転運動に変換することにより、調整部材を直線的に移動させることで固着されている表示パネルの前後方向(略奥行き方向)の軸及び縦方向の軸を中心とする回転移動をさせることができるので、例えばボールネジ等の直線移動により回転方向の調整を行うことができ、しかも微妙な回転角度の調整も可能となる。
【0017】
また、第5発明に係る表示装置は、第1乃至第4発明のいずれか1つの表示装置用支持機構にて、複数の表示パネルを縦横に連結してあることを特徴とする。
【0018】
第5発明では、上述した表示装置用支持機構を用いて、複数の表示パネルを縦横に連結することにより、接続部分にて画質を損なうことがない高画質の大画面表示装置を提供することが可能となる。
【0019】
また、第6発明に係る表示装置は、第5発明において、前記表示パネルは、内部に放電ガスが封入された複数の発光管を並列に配置した発光管アレイを、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シートと、表示電極が形成してある表示電極シートとの間に挟持してあり、薄板状の構造体と一体化した発光管アレイ型表示サブモジュールであることを特徴とする。
【0020】
第6発明では、内部に放電ガスが封入された複数の発光管を並列に配置した発光管アレイを、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シートと、表示電極が形成してある表示電極シートとの間に挟持してあり、薄板状の構造体と一体化した発光管アレイ型表示サブモジュールを、上述したいずれかの表示装置用支持機構を用いて縦横に接続することで、接続部分にて画質を損なうことがない高画質の大画面表示装置を構成することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
上記のように、表示パネル等を主調整機構に固着した状態で支持枠に固定することができ、支持枠に固定した状態で表示画面を見る者から見て前後方向、縦方向、及び横方向の直線移動による微調整を行うことができる。また、固着時に左右の高さが平行でない場合には表示画面を見る者から見て前後方向、すなわち略奥行き方向の軸を中心とする回転移動により微調整を行うことができ、曲面に対応する場合には表示画面を見る者から見て縦方向、すなわち略鉛直方向の軸を中心とする回転移動により微調整を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明の実施の形態に係る表示装置用支持機構について図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態では、表示画面を見る者から見て縦横に接続する表示パネルとして、複数の発光管を並列に配置した発光管アレイを、アドレス電極シート及び表示電極シートの間に挟持し、薄板状の構造体と一体化した発光管アレイ型表示サブモジュールを用いる。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を模式的に示す斜視図である。図1(a)は、発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を部分的に示す斜視図であり、図1(c)は、発光管アレイ型表示サブモジュールを縦横に接続した状態を示す斜視図である。
【0024】
図1(a)に示すように、本実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールは、矩形画面の一部を構成する表示サブモジュールであることから、矩形形状を有しており、内部に放電ガスが封入された複数の発光管31、31、・・・を並列に配置している。発光管31、31、・・・はガラス製の放電細管であり、管体となる細管の径は、特に大きさが限定されるものではないが、直径0.5〜5mm程度であることが望ましい。細管の形状は、円形の断面、扁平楕円状の断面、方形の断面等、どのような形状の断面を有していてもよい。また、発光管31、31、・・・の内部にはネオン、キセノン等の放電ガスが所定の割合で所定の圧力で封入されている。
【0025】
並列に配置された発光管31、31、・・・は、発光管31、31、・・・の長手方向に配設されているアドレス電極32、32、・・・を有するアドレス電極シート33と、発光管31、31、・・・の長手方向に略直交する方向に配設されている表示電極対34、34、・・・を有する表示電極シート35とに挟持されることで表示サブモジュールを構成している。表示電極シート35はフレキシブルシートであり、例えばポリカーボネートフィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等で構成されている。
【0026】
複数の表示電極対34、34、・・・は、発光管アレイ型表示サブモジュールの表示面側に、発光管31、31、・・・の長手方向と直交する方向にストライプ状に設けられており、隣接する電極間で発光管31、31、・・・において表示放電を発生させることができるものであれば、特に限定されるものではない。表示電極34は、当該分野で公知の各種の材料を用いて形成することができる。表示電極34に用いられる材料としては、例えば、ITO(酸化錫ドープ酸化インジウム)、SnO2 等の透明な導電性材料や、Ag、Au、Al、Cu、Cr等の金属の導電性材料が挙げられる。
【0027】
表示電極34の形成方法としては、当該分野で公知の各種の方法を適用することができる。例えば、印刷等の厚膜形成技術を用いて形成しても良いし、物理的堆積法又は化学的堆積法からなる薄膜形成技術を用いて形成しても良い。厚膜形成技術としては、スクリーン印刷法等が挙げられる。薄膜形成技術のうち、物理的堆積法としては、蒸着法、スパッタ法等が挙げられる。化学的堆積法としては、熱CVD法、光CVD法、あるいはプラズマCVD法等が挙げられる。
【0028】
アドレス電極32、32、・・・は、発光管アレイ型表示サブモジュールの背面側に、発光管31、31、・・・の長手方向に沿って発光管31ごとに設けられ、表示電極対34、34、・・・との交差部に発光セルを形成する発光セル選択用のものであれば、特に限定されるものではない。アドレス電極32も、当該分野で公知の各種の材料と方法とを用いて形成することができる。
【0029】
上記構成において、発光管アレイ型表示サブモジュールをカラー表示対応とする場合には、図1(b)に示すように、発光管31ごとに単色の蛍光体層36、例えば赤色(R)用の蛍光体層36R、緑色(G)用の蛍光体層36G、青色(B)用の蛍光体層36Bを有する。RGB3色の発光管31、31、31を一組として一つの画素を構成することで、カラー表示に対応することができる。なお、蛍光体層36は、赤色(R)用の蛍光体層36Rでは、紫外線照射により赤色発光する(Y、Gd)BO3 :Eu3+等の蛍光体材料を用いる。緑色(G)用の蛍光体層36Gでは、緑色発光するZn2 SiO4 :Mn等の蛍光体材料を用い、青色(B)用の蛍光体層36Bでは、青色発光するBaMgAl12O17:Eu2+等の蛍光体材料を用いる。
【0030】
図1(c)は、上述した発光管アレイ型表示サブモジュール30を表示画面を見る者から見て縦横に接続する様子を模式的に示す斜視図である。図1(c)では、4枚の発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・から1枚の大画面の発光管アレイ型表示モジュール40を構成しており、1枚1枚の発光管アレイ型表示サブモジュール30は、駆動回路、電源回路等を含まない半完成品である。大画面用の発光管アレイ型表示モジュール40を構成した段階で、全体を一つの表示フィルムとして駆動回路、電源回路等を組み込むことで、発光管アレイ型表示サブモジュール30ごとに表示画像の品質のばらつきが少ない大画面表示装置を構成することができる。
【0031】
なお、大画面を構成するための1枚の発光管アレイ型表示サブモジュール30の位置を調整するには6つの自由度が存在する。図2は、発光管アレイ型表示サブモジュール30の位置を調整する6自由度の説明図である。
【0032】
図2(a)は、直線移動の3自由度を示しており、表示画面を見る者から見て垂直方向の直線移動V(=Vertical)、表示画面を見る者から見て水平方向の直線移動H(=Horizontal)、及び表示画面を見る者から見て奥行き方向の直線移動D(=Depth)がある。図2(b)は、回転移動の3自由度を示しており、表示画面を見る者から見て垂直方向軸を中心とする回転移動Y(=Yaw)、表示画面を見る者から見て水平方向軸を中心とする回転移動P(=Pitch)、及び表示画面を見る者から見て奥行方向軸を中心とする回転移動R(=Roll)がある。
【0033】
本発明は、このような大画面表示装置を構成するための発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・の支持機構に関する。図3は、本発明の実施の形態に係る表示装置用支持機構に、発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・を取り付けた一例を示す斜視図である。
【0034】
実施の形態に係る表示装置用支持枠1は、鉛直方向の支柱である鉛直支持軸11、11と、表示画面を見る者から見て横方向を支持する水平支持軸12、12、・・・とで枠組みがなされている。以後、横方向とは表示画面を見る者から見て左右方向を意味する。枠組みの左右方向の両端には、実施の形態に係る表示装置用支持枠1を安定させる安定支持材13、13が装着され、発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・を取り付けた場合であっても安定して直立できるようにしてある。
【0035】
発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・を取り付けるべき位置には、2本一組の水平方向の部材である主調整機構支持材14、14、・・・が配設されている。主調整機構支持材14、14、・・・には、主調整機構15、15、・・・が設置されており、主調整機構支持材14、14、・・・は発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・の背面略中央に固着されている。
【0036】
また、左右方向の連結部分には、左右方向にのみネジ等により位置を調整することが可能な副調整機構(第一の副調整機構)16が、発光管アレイ型表示サブモジュール30ごとに左右各4個ずつ設けてある。副調整機構16、16、・・・を用いることにより、薄板状で連結されている発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・の左右方向の位置合わせを精緻に行うことができる。
【0037】
さらに、表示画面を見る者から見て縦方向の連結部分には、表示画面を見る者から見て縦方向及び前後方向にボールネジ等により位置を調整することが可能な副調整機構(第二の副調整機構)17が、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30ごとに1個ずつ設けてある。以後、縦方向とは表示画面を見る者から見て上下方向を意味する。副調整機構17、17、・・・を用いることにより、薄板状で連結されている発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・の上下方向及び前後方向の位置合わせを精緻に行うことができる。特に表示画面を見る者から見て前後方向の位置合わせは、薄板状の表示パネルを連結する場合には画質の確保の観点から重要であるが、従来の支持機構では調整機構を備えるものは存在しない。
【0038】
図4は、連結されている発光管アレイ型表示サブモジュール30の背面を示す拡大斜視図である。発光管アレイ型表示サブモジュール30の背面略中央部分に主調整機構15を取り付け、2本の主調整機構支持材14、14により主調整機構15の中央部を操作することが可能な状態で配設してある。主調整機構15により、発光管アレイ型表示サブモジュール30の表示画面を見る者から見て前後方向の位置、上下方向の位置、及び左右方向の位置を調整することができるが、温度・湿度等による微妙な形状変化、製造誤差等により、発光管アレイ型表示サブモジュール30の周縁部では、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30との間で表示画面を見る者から見て前後方向の位置、上下方向の位置、及び左右方向の位置が微妙に相違する。
【0039】
図5は、発光管アレイ型表示サブモジュール30の位置ズレの具体例を示す模式図である。発光管アレイ型表示サブモジュール30が、本来高さの基準線Pから高さHに配置されるべき場合、発光管アレイ型表示サブモジュール30aのように配置されるべきところ、発光管アレイ型表示サブモジュール30bのように左側の高さHL と右側の高さHR が相違している場合、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30a、30bを正確に接続するためには、表示画面を見る者から見て前後方向の直線移動、上下方向の直線移動、及び左右方向の直線移動だけでは、接続部分を合わせることができない。
【0040】
そこで、これらの微妙なずれを修正するために、まず主調整機構15により、発光管アレイ型表示サブモジュール30の表示面中央に略直交する表示画面を見る者から見て奥行き方向の軸を中心とした回転位置を調整するとともに、発光管アレイ型表示サブモジュール30の表示面中央の表示画面を見る者から見て鉛直方向の軸を中心とした回転位置を調整する。これにより、各発光管アレイ型表示サブモジュール30の縦横辺を表示画面を見る者から見て水平方向及び鉛直方向に揃えることができるので、残りの微調整は、発光管アレイ型表示サブモジュール30の表示画面を見る者から見て前後方向、上下方向、及び左右方向の直線移動のみで足りる。
【0041】
図6は、発光管アレイ型表示サブモジュール30の位置ズレ調整の具体例を示す模式図である。図6(a)に示す発光管アレイ型表示サブモジュール30”が、図5に示す発光管アレイ型表示サブモジュール30bに相当する。
【0042】
まず、図6(a)に示すように、発光管アレイ型表示サブモジュール30”を表示画面を見る者から見て奥行方向軸を中心とする回転移動Rにより、発光管アレイ型表示サブモジュール30’まで回転させ、図5の基準線Pと発光管アレイ型表示サブモジュール30’の下辺が平行になるよう調整する。そして、図6(b)に示すように、発光管アレイ型表示サブモジュール30’を表示画面を見る者から見て上下方向に直線移動して、図5に示す隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30aと下辺の高さを一致させた発光管アレイ型表示サブモジュール30まで移動させることにより、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30の接続部分を合わせることができる。
【0043】
図7は、発光管アレイ型表示サブモジュール30の前後方向の位置ズレ調整の具体例を示す模式図である。図7(a)に示すように、発光管アレイ型表示サブモジュール30を表示画面を見る者から見て上下方向に配設する場合、表示画面を上下で一致させようとするとき、表示画面を見る者から見て上下方向に隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30が衝突しないよう、わずかであっても隙間Wが必要となる。この隙間Wが無発光領域となって、黒線表示の原因となる。
【0044】
そこで、図7(b)に示すように、発光管アレイ型表示サブモジュール30の一方、例えば上側の発光管アレイ型表示サブモジュール30を表示画面を見る者から見て前方向に移動させ、その後表示画面を見る者から見て下方向へ移動させる。このようにすることで、表示画面を見る者から見て上下方向に隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30には、表示画面を見る者から見て上下方向の隙間Wが存在しないように見え(W=0)、しかも表示画面を見る者から見て上下方向に隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30が衝突しない。したがって、黒線表示の原因となる隙間Wが存在せず、高画質を維持することができる。なお、表示画面を見る者から見て前後方向には所定の隙間Yが生じるが、表示画面を見る者からは奥行き方向であるため認識することが困難となる。
【0045】
また、実施の形態に係る表示装置用支持枠1の取り付ける発光管アレイ型表示サブモジュール30、30が曲面型である場合、表示画面を連続した曲面とする必要がある。図8は、発光管アレイ型表示サブモジュール30、30が曲面型である場合の位置ズレの具体例を示す、上方から見た模式図である。図8に示すように、単に取り付けただけでは、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30a、30bが連続した曲面を形成することがない。
【0046】
そこで、回転移動と直線移動とを組み合わせることで、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30a、30bが連続した曲面を形成するように調整する。図9は、発光管アレイ型表示サブモジュール30、30が曲面型である場合の位置ズレ調整の具体例を示す、上方から見た模式図である。
【0047】
まず、図9(a)に示すように、発光管アレイ型表示サブモジュール30bを、表示画面を見る者から見て垂直方向軸を中心とする回転移動Yにより、発光管アレイ型表示サブモジュール30b’まで回転させ、発光管アレイ型表示サブモジュール30aの右端部と、発光管アレイ型表示サブモジュール30bの左端部との奥行き方向の位置が略一致するよう調整する。そして、図9(b)に示すように、発光管アレイ型表示サブモジュール30b’を表示画面を見る者から見て左右方向に直線移動して、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30aの右端部と接する位置である発光管アレイ型表示サブモジュール30b”まで移動させることにより、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30の接続部分を合わせることができる。
【0048】
次に副調整機構16、16、・・・により、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30との表示画面を見る者から見て左右方向の位置合わせの微調整を、副調整機構17、17により、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30の表示画面を見る者から見て上下方向及び前後方向の位置合わせの微調整を、それぞれネジ機構等を用いて行うことができる。これにより複数の発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・を連結させた場合であっても、一枚の表示パネルと同様の画質で画像を表示することが可能となる。
【0049】
図10は、本発明の実施の形態に係る主調整機構15の構成を示す背面図、断面図、正面図、及び平面図である。図10(a)は、本発明の実施の形態に係る主調整機構15の構成を示す背面図であり、図10(b)は、本発明の実施の形態に係る主調整機構15の構成を示す図10(a)のA−A断面図である。また、図10(c)は、本発明の実施の形態に係る主調整機構15の構成を示す正面図であり、図10(d)は、本発明の実施の形態に係る主調整機構15の構成を示す平面図である。
【0050】
図10(a)及び(c)に示すように、主調整機構15は、本実施の形態に係る表示装置用支持機構の主調整機構支持材14、14に固着される固着板18と、発光管アレイ型表示サブモジュール30に固着される表示パネル固着板19とを備えている。図10(a)に示すように、主調整機構15の表示画面を見る者から見て上下方向の移動は、ボールネジ等の上下方向調整ネジ151を上下移動枠152に取り付けてあり、上下移動枠152には、固着板18を貫通する2本の移動軸153、153が上下方向に摺動することが可能となるように取り付けてある。上下方向調整ネジ151を回転させることで、上下移動枠152が移動し、主調整機構支持材14、14と発光管アレイ型表示サブモジュール30との表示画面を見る者から見て上下方向の相対位置を精緻に変動させることができる。
【0051】
また、主調整機構15の表示画面を見る者から見て左右方向の移動は、ボールネジ等の左右方向調整ネジ154を左右移動枠155に取り付けてあり、左右移動枠155には、固着板18を貫通する2本の移動軸156、156が表示画面を見る者から見て左右方向に摺動することが可能となるように取り付けてある。左右方向調整ネジ154を回転させることで、左右移動枠155が移動し、主調整機構支持材14、14と発光管アレイ型表示サブモジュール30との表示画面を見る者から見て左右方向の相対位置を精緻に変動させることができる。
【0052】
さらに、図10(b)に示すように、主調整機構15の前後方向の移動は、ボールネジ等の前後方向調整ネジ157、157を固着板18に取り付けてあり、固着板18には、表示パネル固着板19と連結する摺動軸158、158を取り付けてある。前後方向調整ネジ157、157を回転させることで、前後方向調整ネジ157、157の位置が表示画面を見る者から見て前後方向に移動し、前後方向調整ネジ157、157に固着されている固着板18が摺動軸158、158に沿って移動し、主調整機構支持材14、14と発光管アレイ型表示サブモジュール30との表示画面を見る者から見て前後方向の相対位置を精緻に変動させることができる。
【0053】
回転移動による位置合わせには、クランク機構を用いている。図10(c)に示すように、主調整機構15の重心を通る前後方向の中心軸回りの回転は、ボールネジ等の回転調整ネジ159により、クランク支持体160を支持軸161に沿って摺動させる。クランク支持体160が摺動することにより、クランク支持体160に連結されているクランク162が表示パネル固着板19を回転させる。したがって、回転調整ネジ159を回転させることにより表示パネル固着板19に固着されている発光管アレイ型表示サブモジュール30を表示画面を見る者から見て略鉛直な面上で奥行き方向軸を中心に回転させることができる。
【0054】
また、図10(d)に示すように、主調整機構15の重心を通る表示画面を見る者から見て鉛直方向の中心軸回りの回転、いわゆる首振り回転は、ボールネジ等の首振り回転調整ネジ163により、クランク支持体164を支持軸165に沿って摺動させる。クランク支持体164が摺動することにより、クランク支持体164に連結されているクランク166が表示パネル固着板19を首振り回転させる。したがって、首振り回転調整ネジ163を回転させることにより表示パネル固着板19に固着されている発光管アレイ型表示サブモジュール30を首振り回転させることができる。
【0055】
図11は、本発明の実施の形態に係る副調整機構16の構成を示す拡大斜視図である。副調整機構16は、図3に示す鉛直支持軸11を挟んで発光管アレイ型表示サブモジュール30、30の表示画面を見る者から見て左右方向の位置合わせを精緻に行うために設けてある。図12は、本発明の実施の形態に係る副調整機構16の構成を模式的に示す、表示画面を見る者から見て鉛直面での断面図である。
【0056】
図12に示すように、副調整機構16は、本実施の形態に係る表示装置用支持機構の鉛直支持軸(図示せず)と連結する鉛直支持部材171を挟むように設けてあり、発光管アレイ型表示サブモジュール30、30のサブモジュールフレーム41、41に固着してある取付部材169、169にて、支柱部170、170が取り付けてある。支柱部170、170の先端部には、互いに対向する方向へ突出する左右調整ネジ167、167と、該左右調整ネジ167、167が螺合することが可能なネジ穴168、168を有する幅調整部(鉛直支持部材)171とが設けられている。
【0057】
左右調整ネジ167、167をそれぞれ回転させることで、支柱部170、170は別個独立して表示画面を見る者から見て左右方向に移動することが可能であり、固着されている発光管アレイ型表示サブモジュール30、30の表示画面を見る者から見て左右方向の位置を精緻に調整することが可能となる。
【0058】
図13は、本発明の実施の形態に係る副調整機構17の構成を示す拡大斜視図である。副調整機構17は、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30の表示画面を見る者から見て上下方向の位置合わせ及び前後方向の位置合わせを精緻に行うために設けてある。図14は、本発明の実施の形態に係る副調整機構17の構成を模式的に示す、発光管アレイ型表示サブモジュール30、30に直交する面での断面図である。
【0059】
図14に示すように、副調整機構17は、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30の表示画面を見る者から見て上下方向の所定の位置に設けてあり、下方の発光管アレイ型表示サブモジュール30のサブモジュールフレーム41に固着してある下部取付部材178に、ボールネジ等の上下調整ネジ172が組み込んである。上下調整ネジ172は、螺合することが可能なネジ穴173を有する上下幅調整部174に嵌挿してあり、上下幅調整部174にも、ボールネジ等の前後調整ネジ175が組み込んである。
【0060】
前後調整ネジ175は、螺合することが可能なネジ穴176を有する前後幅調整部177に嵌挿してあり、前後幅調整部177は、上方の発光管アレイ型表示サブモジュール30のサブモジュールフレーム41に固着してある。
【0061】
斯かる構成とすることで、上下調整ネジ172を回転させた場合には、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30の上下方向の微妙な位置合わせを容易にしかも正確に行うことができ、前後調整ネジ175を回転させた場合には、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30の表示画面を見る者から見て前後方向の微妙な位置合わせを容易にしかも正確に行うことができる。
【0062】
以上のように本実施の形態によれば、発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・等の表示パネルを主調整機構15に固着した状態で支持枠に固定することができ、支持枠に固定した状態で表示画面を見る者から見て前後方向、上下方向、及び左右方向の直線移動による微調整を行うことができる。また、固着時に表示画面を見る者から見て左右の高さが平行でない場合には略奥行き方向の軸を中心とする回転移動により微調整を行うことができ、曲面に対応する場合には表示画面を見る者から見て略鉛直方向の軸を中心とする回転移動により微調整を行うことが可能となる。さらに、薄板状の表示パネルを表示画面を見る者から見て縦横に連結することにより生じやすい微妙なずれについても、副調整機構16、17を用いることで微調整することが可能であり、画質の劣化しない大画面表示装置を容易に構成することが可能となる。
【0063】
なお、上述の実施の形態では、表示パネルとして、発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・等の表示フィルムにフレームを一体化したものを採用した場合について説明しているが、特にこれに限定されるものではなく、複数の薄板状の表示パネルを縦横に連結して大画面用表示装置を構成する場合にも同様の効果が期待できることは言うまでもない。
【0064】
その他、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変更、改良等が可能である。これらの変更、改良等は当業者にとって自明であり、該変更、改良等を加えた形態も当然に本発明の技術的範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】発光管アレイ型表示サブモジュールの位置を調整する6自由度の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る表示装置用支持機構に、発光管アレイ型表示サブモジュールを取り付けた一例を示す斜視図である。
【図4】連結されている発光管アレイ型表示サブモジュールの背面を示す拡大斜視図である。
【図5】発光管アレイ型表示サブモジュールの位置ズレの具体例を示す模式図である。
【図6】発光管アレイ型表示サブモジュールの位置ズレ調整の具体例を示す模式図である。
【図7】発光管アレイ型表示サブモジュールの前後方向の位置ズレ調整の具体例を示す模式図である。
【図8】発光管アレイ型表示サブモジュールが曲面型である場合の位置ズレの具体例を示す、上方から見た模式図である。
【図9】発光管アレイ型表示サブモジュールが曲面型である場合の位置ズレ調整の具体例を示す、上方から見た模式図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る主調整機構の構成を示す背面図、断面図、正面図、及び平面図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る副調整機構の構成を示す拡大斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る副調整機構の構成を模式的に示す、表示画面を見る者から見て鉛直面での断面図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る副調整機構の構成を示す拡大斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る副調整機構の構成を模式的に示す、発光管アレイ型表示サブモジュールに直交する面での断面図である。
【符号の説明】
【0066】
11 鉛直支持軸
12 水平支持軸
15 主調整機構
16、17 副調整機構
30 発光管アレイ型表示サブモジュール
31 発光管
32 アドレス電極
33 アドレス電極シート
34 表示電極(対)
35 表示電極シート
41 サブモジュールフレーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型の表示パネル等を複数接続することで大画面の表示装置を形成する表示装置用支持機構及び表示装置に関し、さらに詳しくは、接続部分の位置合わせを簡易な構造で精緻に行うことができる表示装置用支持機構及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の技術の急速な進展により、PDP、LCD、有機ELディスプレイ等の薄型表示パネルを有する表示装置が多々開発されている。そして、これらの表示装置の大画面化も進んでおり、大規模な表示パネル製造工場にて、大画面用に表示パネルが効率よく製造されるようになってきている。
【0003】
一方、内部に放電ガスが封入された複数の発光管を並列に配置した発光管アレイを、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シートと、表示電極が形成してある表示電極シートとの間に挟持してある表示フィルムを用いる表示装置が、その薄さ及び可撓性から注目を集めている。発光管アレイからなる表示フィルムを用いた表示装置は、複数の表示フィルムを縦横に接続することで、容易に大画面化ができるとともに、曲面上でも大画面で画像を表示することができるというメリットがある。
【0004】
これらの表示パネル等を複数連結することにより、より大規模な大画面表示装置を構築することができる。この場合、表示パネル等を相互に連結するためには、表示パネル等を支持する支持枠、表示パネル等を支持枠の所定の位置へ誘導する収納案内機構、所定の位置にて隣接する他の表示パネル等と連結する連結機構等が必要となる(特許文献1及び2参照)。
【特許文献1】国際公開2007/102221号
【特許文献2】国際公開2007/122705号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、薄板状の表示パネル等を縦横に接続する場合、全体のサイズが大きくなることから取付誤差が生じた場合には画像上の欠陥として目立ちやすい。すなわち、取付誤差が生じている箇所では、接続部分から光が漏れる、重複表示が生じる等により、高画質を維持することが困難になる場合も生じている。
【0006】
また、従来の収納案内機構、連結機構等は、複数の表示パネルを平板状に取り付けるための機構であった。しかし、昨今では、大画面の表示装置は平板状に限定されるものではなく、曲面状に形成することが求められる場合も多い。従来の機構を用いるだけでは、曲面に対応することができず、特に表示画面を見る者から見て横方向のズレを精緻に解消するような微調整をすることができないという問題点があった。
【0007】
薄板状の複数の表示パネル等を精緻に連結するためには、ある程度の位置合わせをして固定した段階で、表示画面を見る者から見て縦方向、横方向、前後方向、あるいは所定の回転方向に微調整する必要がある。これらの微調整をすることによって、接続部分での画質の劣化を回避することができ、品質の高い大画面表示装置を提供することができる。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、薄型の表示パネルを表示画面を見る者から見て縦横に接続することで大画面の表示装置を形成することが容易であり、しかも精緻に位置合わせを行うことができる表示装置用支持機構及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために第1発明に係る表示装置用支持機構は、複数の薄板状の表示パネルを表示画面を見る者から見て縦横に連結する表示装置用支持機構において、表示画面を見る者から見て縦横に支柱を形成してある支持枠と、該支持枠に固着された状態で、表示画面を見る者から見て前後方向、縦方向、及び横方向の直線移動を行うことが可能であるとともに、表示画面を見る者から見て前後方向の軸及び縦方向の軸を中心とする回転移動を行うことが可能な主調整機構とを有し、複数の前記主調整機構を前記支持枠に配設してあり、複数の表示パネルそれぞれの背面略中央を前記主調整機構に固着するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
第1発明では、表示画面を見る者から見て縦横に支柱を形成してある支持枠と、該支持枠に固着された状態で、表示画面を見る者から見て前後方向、縦方向、及び横方向の直線移動を行うことが可能であるとともに、表示画面を見る者から見て前後方向、すなわち略奥行き方向の軸及び表示画面を見る者から見て縦方向、すなわち略鉛直方向の軸を中心とする回転移動を行うことが可能な主調整機構とを有している。複数の主調整機構を支持枠に配設し、複数の表示パネルそれぞれの背面略中央を主調整機構に固着する。これにより、表示パネル等を主調整機構に固着した状態で支持枠に固定することができ、支持枠に固定した状態で表示画面を見る者から見て前後方向、縦方向、及び横方向の直線移動による微調整を行うことができる。また、固着時に左右の高さが平行でない場合には表示画面を見る者から見て前後方向の軸を中心とする回転移動により微調整を行うことができ、曲面に対応する場合には表示画面を見る者から見て縦方向の軸を中心とする回転移動により微調整を行うことが可能となる。
【0011】
また、第2発明に係る表示装置用支持機構は、第1発明において、表示画面を見る者から見て横方向での複数の前記表示パネルの接続部分に、表示画面を見る者から見て横方向の直線移動を行うことが可能な第一の副調整機構を複数設けてあることを特徴とする。
【0012】
第2発明では、複数の表示パネルの横方向接続部分に、表示画面を見る者から見て横方向の直線移動を行うことが可能な第一の副調整機構を複数設けることにより、主調整機構だけでは調整することができない表示画面を見る者から見て横方向のズレをより細かく微調整することができ、精緻な画像を提供することが可能となる。
【0013】
また、第3発明に係る表示装置用支持機構は、第1又は第2発明において、表示画面を見る者から見て縦方向での複数の前記表示パネルの接続部分に、表示画面を見る者から見て縦方向及び前後方向の直線移動を行うことが可能な第二の副調整機構を設けてあることを特徴とする。
【0014】
第3発明では、複数の表示パネルの表示画面を見る者から見て縦方向接続部分に、表示画面を見る者から見て縦方向及び前後方向の直線移動を行うことが可能な第二の副調整機構を設けることにより、主調整機構だけでは調整することができない表示画面を見る者から見て縦方向のズレ及び前後方向のズレをより細かく微調整することができ、精緻な画像を提供することが可能となる。
【0015】
また、第4発明に係る表示装置用支持機構は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記主調整機構は、クランク機構により調整部材の直線運動を回転運動に変換するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
第4発明では、前記主調整機構が、クランク機構により調整部材の直線運動を回転運動に変換することにより、調整部材を直線的に移動させることで固着されている表示パネルの前後方向(略奥行き方向)の軸及び縦方向の軸を中心とする回転移動をさせることができるので、例えばボールネジ等の直線移動により回転方向の調整を行うことができ、しかも微妙な回転角度の調整も可能となる。
【0017】
また、第5発明に係る表示装置は、第1乃至第4発明のいずれか1つの表示装置用支持機構にて、複数の表示パネルを縦横に連結してあることを特徴とする。
【0018】
第5発明では、上述した表示装置用支持機構を用いて、複数の表示パネルを縦横に連結することにより、接続部分にて画質を損なうことがない高画質の大画面表示装置を提供することが可能となる。
【0019】
また、第6発明に係る表示装置は、第5発明において、前記表示パネルは、内部に放電ガスが封入された複数の発光管を並列に配置した発光管アレイを、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シートと、表示電極が形成してある表示電極シートとの間に挟持してあり、薄板状の構造体と一体化した発光管アレイ型表示サブモジュールであることを特徴とする。
【0020】
第6発明では、内部に放電ガスが封入された複数の発光管を並列に配置した発光管アレイを、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シートと、表示電極が形成してある表示電極シートとの間に挟持してあり、薄板状の構造体と一体化した発光管アレイ型表示サブモジュールを、上述したいずれかの表示装置用支持機構を用いて縦横に接続することで、接続部分にて画質を損なうことがない高画質の大画面表示装置を構成することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
上記のように、表示パネル等を主調整機構に固着した状態で支持枠に固定することができ、支持枠に固定した状態で表示画面を見る者から見て前後方向、縦方向、及び横方向の直線移動による微調整を行うことができる。また、固着時に左右の高さが平行でない場合には表示画面を見る者から見て前後方向、すなわち略奥行き方向の軸を中心とする回転移動により微調整を行うことができ、曲面に対応する場合には表示画面を見る者から見て縦方向、すなわち略鉛直方向の軸を中心とする回転移動により微調整を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明の実施の形態に係る表示装置用支持機構について図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態では、表示画面を見る者から見て縦横に接続する表示パネルとして、複数の発光管を並列に配置した発光管アレイを、アドレス電極シート及び表示電極シートの間に挟持し、薄板状の構造体と一体化した発光管アレイ型表示サブモジュールを用いる。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を模式的に示す斜視図である。図1(a)は、発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を部分的に示す斜視図であり、図1(c)は、発光管アレイ型表示サブモジュールを縦横に接続した状態を示す斜視図である。
【0024】
図1(a)に示すように、本実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールは、矩形画面の一部を構成する表示サブモジュールであることから、矩形形状を有しており、内部に放電ガスが封入された複数の発光管31、31、・・・を並列に配置している。発光管31、31、・・・はガラス製の放電細管であり、管体となる細管の径は、特に大きさが限定されるものではないが、直径0.5〜5mm程度であることが望ましい。細管の形状は、円形の断面、扁平楕円状の断面、方形の断面等、どのような形状の断面を有していてもよい。また、発光管31、31、・・・の内部にはネオン、キセノン等の放電ガスが所定の割合で所定の圧力で封入されている。
【0025】
並列に配置された発光管31、31、・・・は、発光管31、31、・・・の長手方向に配設されているアドレス電極32、32、・・・を有するアドレス電極シート33と、発光管31、31、・・・の長手方向に略直交する方向に配設されている表示電極対34、34、・・・を有する表示電極シート35とに挟持されることで表示サブモジュールを構成している。表示電極シート35はフレキシブルシートであり、例えばポリカーボネートフィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等で構成されている。
【0026】
複数の表示電極対34、34、・・・は、発光管アレイ型表示サブモジュールの表示面側に、発光管31、31、・・・の長手方向と直交する方向にストライプ状に設けられており、隣接する電極間で発光管31、31、・・・において表示放電を発生させることができるものであれば、特に限定されるものではない。表示電極34は、当該分野で公知の各種の材料を用いて形成することができる。表示電極34に用いられる材料としては、例えば、ITO(酸化錫ドープ酸化インジウム)、SnO2 等の透明な導電性材料や、Ag、Au、Al、Cu、Cr等の金属の導電性材料が挙げられる。
【0027】
表示電極34の形成方法としては、当該分野で公知の各種の方法を適用することができる。例えば、印刷等の厚膜形成技術を用いて形成しても良いし、物理的堆積法又は化学的堆積法からなる薄膜形成技術を用いて形成しても良い。厚膜形成技術としては、スクリーン印刷法等が挙げられる。薄膜形成技術のうち、物理的堆積法としては、蒸着法、スパッタ法等が挙げられる。化学的堆積法としては、熱CVD法、光CVD法、あるいはプラズマCVD法等が挙げられる。
【0028】
アドレス電極32、32、・・・は、発光管アレイ型表示サブモジュールの背面側に、発光管31、31、・・・の長手方向に沿って発光管31ごとに設けられ、表示電極対34、34、・・・との交差部に発光セルを形成する発光セル選択用のものであれば、特に限定されるものではない。アドレス電極32も、当該分野で公知の各種の材料と方法とを用いて形成することができる。
【0029】
上記構成において、発光管アレイ型表示サブモジュールをカラー表示対応とする場合には、図1(b)に示すように、発光管31ごとに単色の蛍光体層36、例えば赤色(R)用の蛍光体層36R、緑色(G)用の蛍光体層36G、青色(B)用の蛍光体層36Bを有する。RGB3色の発光管31、31、31を一組として一つの画素を構成することで、カラー表示に対応することができる。なお、蛍光体層36は、赤色(R)用の蛍光体層36Rでは、紫外線照射により赤色発光する(Y、Gd)BO3 :Eu3+等の蛍光体材料を用いる。緑色(G)用の蛍光体層36Gでは、緑色発光するZn2 SiO4 :Mn等の蛍光体材料を用い、青色(B)用の蛍光体層36Bでは、青色発光するBaMgAl12O17:Eu2+等の蛍光体材料を用いる。
【0030】
図1(c)は、上述した発光管アレイ型表示サブモジュール30を表示画面を見る者から見て縦横に接続する様子を模式的に示す斜視図である。図1(c)では、4枚の発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・から1枚の大画面の発光管アレイ型表示モジュール40を構成しており、1枚1枚の発光管アレイ型表示サブモジュール30は、駆動回路、電源回路等を含まない半完成品である。大画面用の発光管アレイ型表示モジュール40を構成した段階で、全体を一つの表示フィルムとして駆動回路、電源回路等を組み込むことで、発光管アレイ型表示サブモジュール30ごとに表示画像の品質のばらつきが少ない大画面表示装置を構成することができる。
【0031】
なお、大画面を構成するための1枚の発光管アレイ型表示サブモジュール30の位置を調整するには6つの自由度が存在する。図2は、発光管アレイ型表示サブモジュール30の位置を調整する6自由度の説明図である。
【0032】
図2(a)は、直線移動の3自由度を示しており、表示画面を見る者から見て垂直方向の直線移動V(=Vertical)、表示画面を見る者から見て水平方向の直線移動H(=Horizontal)、及び表示画面を見る者から見て奥行き方向の直線移動D(=Depth)がある。図2(b)は、回転移動の3自由度を示しており、表示画面を見る者から見て垂直方向軸を中心とする回転移動Y(=Yaw)、表示画面を見る者から見て水平方向軸を中心とする回転移動P(=Pitch)、及び表示画面を見る者から見て奥行方向軸を中心とする回転移動R(=Roll)がある。
【0033】
本発明は、このような大画面表示装置を構成するための発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・の支持機構に関する。図3は、本発明の実施の形態に係る表示装置用支持機構に、発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・を取り付けた一例を示す斜視図である。
【0034】
実施の形態に係る表示装置用支持枠1は、鉛直方向の支柱である鉛直支持軸11、11と、表示画面を見る者から見て横方向を支持する水平支持軸12、12、・・・とで枠組みがなされている。以後、横方向とは表示画面を見る者から見て左右方向を意味する。枠組みの左右方向の両端には、実施の形態に係る表示装置用支持枠1を安定させる安定支持材13、13が装着され、発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・を取り付けた場合であっても安定して直立できるようにしてある。
【0035】
発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・を取り付けるべき位置には、2本一組の水平方向の部材である主調整機構支持材14、14、・・・が配設されている。主調整機構支持材14、14、・・・には、主調整機構15、15、・・・が設置されており、主調整機構支持材14、14、・・・は発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・の背面略中央に固着されている。
【0036】
また、左右方向の連結部分には、左右方向にのみネジ等により位置を調整することが可能な副調整機構(第一の副調整機構)16が、発光管アレイ型表示サブモジュール30ごとに左右各4個ずつ設けてある。副調整機構16、16、・・・を用いることにより、薄板状で連結されている発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・の左右方向の位置合わせを精緻に行うことができる。
【0037】
さらに、表示画面を見る者から見て縦方向の連結部分には、表示画面を見る者から見て縦方向及び前後方向にボールネジ等により位置を調整することが可能な副調整機構(第二の副調整機構)17が、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30ごとに1個ずつ設けてある。以後、縦方向とは表示画面を見る者から見て上下方向を意味する。副調整機構17、17、・・・を用いることにより、薄板状で連結されている発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・の上下方向及び前後方向の位置合わせを精緻に行うことができる。特に表示画面を見る者から見て前後方向の位置合わせは、薄板状の表示パネルを連結する場合には画質の確保の観点から重要であるが、従来の支持機構では調整機構を備えるものは存在しない。
【0038】
図4は、連結されている発光管アレイ型表示サブモジュール30の背面を示す拡大斜視図である。発光管アレイ型表示サブモジュール30の背面略中央部分に主調整機構15を取り付け、2本の主調整機構支持材14、14により主調整機構15の中央部を操作することが可能な状態で配設してある。主調整機構15により、発光管アレイ型表示サブモジュール30の表示画面を見る者から見て前後方向の位置、上下方向の位置、及び左右方向の位置を調整することができるが、温度・湿度等による微妙な形状変化、製造誤差等により、発光管アレイ型表示サブモジュール30の周縁部では、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30との間で表示画面を見る者から見て前後方向の位置、上下方向の位置、及び左右方向の位置が微妙に相違する。
【0039】
図5は、発光管アレイ型表示サブモジュール30の位置ズレの具体例を示す模式図である。発光管アレイ型表示サブモジュール30が、本来高さの基準線Pから高さHに配置されるべき場合、発光管アレイ型表示サブモジュール30aのように配置されるべきところ、発光管アレイ型表示サブモジュール30bのように左側の高さHL と右側の高さHR が相違している場合、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30a、30bを正確に接続するためには、表示画面を見る者から見て前後方向の直線移動、上下方向の直線移動、及び左右方向の直線移動だけでは、接続部分を合わせることができない。
【0040】
そこで、これらの微妙なずれを修正するために、まず主調整機構15により、発光管アレイ型表示サブモジュール30の表示面中央に略直交する表示画面を見る者から見て奥行き方向の軸を中心とした回転位置を調整するとともに、発光管アレイ型表示サブモジュール30の表示面中央の表示画面を見る者から見て鉛直方向の軸を中心とした回転位置を調整する。これにより、各発光管アレイ型表示サブモジュール30の縦横辺を表示画面を見る者から見て水平方向及び鉛直方向に揃えることができるので、残りの微調整は、発光管アレイ型表示サブモジュール30の表示画面を見る者から見て前後方向、上下方向、及び左右方向の直線移動のみで足りる。
【0041】
図6は、発光管アレイ型表示サブモジュール30の位置ズレ調整の具体例を示す模式図である。図6(a)に示す発光管アレイ型表示サブモジュール30”が、図5に示す発光管アレイ型表示サブモジュール30bに相当する。
【0042】
まず、図6(a)に示すように、発光管アレイ型表示サブモジュール30”を表示画面を見る者から見て奥行方向軸を中心とする回転移動Rにより、発光管アレイ型表示サブモジュール30’まで回転させ、図5の基準線Pと発光管アレイ型表示サブモジュール30’の下辺が平行になるよう調整する。そして、図6(b)に示すように、発光管アレイ型表示サブモジュール30’を表示画面を見る者から見て上下方向に直線移動して、図5に示す隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30aと下辺の高さを一致させた発光管アレイ型表示サブモジュール30まで移動させることにより、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30の接続部分を合わせることができる。
【0043】
図7は、発光管アレイ型表示サブモジュール30の前後方向の位置ズレ調整の具体例を示す模式図である。図7(a)に示すように、発光管アレイ型表示サブモジュール30を表示画面を見る者から見て上下方向に配設する場合、表示画面を上下で一致させようとするとき、表示画面を見る者から見て上下方向に隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30が衝突しないよう、わずかであっても隙間Wが必要となる。この隙間Wが無発光領域となって、黒線表示の原因となる。
【0044】
そこで、図7(b)に示すように、発光管アレイ型表示サブモジュール30の一方、例えば上側の発光管アレイ型表示サブモジュール30を表示画面を見る者から見て前方向に移動させ、その後表示画面を見る者から見て下方向へ移動させる。このようにすることで、表示画面を見る者から見て上下方向に隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30には、表示画面を見る者から見て上下方向の隙間Wが存在しないように見え(W=0)、しかも表示画面を見る者から見て上下方向に隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30が衝突しない。したがって、黒線表示の原因となる隙間Wが存在せず、高画質を維持することができる。なお、表示画面を見る者から見て前後方向には所定の隙間Yが生じるが、表示画面を見る者からは奥行き方向であるため認識することが困難となる。
【0045】
また、実施の形態に係る表示装置用支持枠1の取り付ける発光管アレイ型表示サブモジュール30、30が曲面型である場合、表示画面を連続した曲面とする必要がある。図8は、発光管アレイ型表示サブモジュール30、30が曲面型である場合の位置ズレの具体例を示す、上方から見た模式図である。図8に示すように、単に取り付けただけでは、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30a、30bが連続した曲面を形成することがない。
【0046】
そこで、回転移動と直線移動とを組み合わせることで、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30a、30bが連続した曲面を形成するように調整する。図9は、発光管アレイ型表示サブモジュール30、30が曲面型である場合の位置ズレ調整の具体例を示す、上方から見た模式図である。
【0047】
まず、図9(a)に示すように、発光管アレイ型表示サブモジュール30bを、表示画面を見る者から見て垂直方向軸を中心とする回転移動Yにより、発光管アレイ型表示サブモジュール30b’まで回転させ、発光管アレイ型表示サブモジュール30aの右端部と、発光管アレイ型表示サブモジュール30bの左端部との奥行き方向の位置が略一致するよう調整する。そして、図9(b)に示すように、発光管アレイ型表示サブモジュール30b’を表示画面を見る者から見て左右方向に直線移動して、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30aの右端部と接する位置である発光管アレイ型表示サブモジュール30b”まで移動させることにより、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30の接続部分を合わせることができる。
【0048】
次に副調整機構16、16、・・・により、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30との表示画面を見る者から見て左右方向の位置合わせの微調整を、副調整機構17、17により、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30の表示画面を見る者から見て上下方向及び前後方向の位置合わせの微調整を、それぞれネジ機構等を用いて行うことができる。これにより複数の発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・を連結させた場合であっても、一枚の表示パネルと同様の画質で画像を表示することが可能となる。
【0049】
図10は、本発明の実施の形態に係る主調整機構15の構成を示す背面図、断面図、正面図、及び平面図である。図10(a)は、本発明の実施の形態に係る主調整機構15の構成を示す背面図であり、図10(b)は、本発明の実施の形態に係る主調整機構15の構成を示す図10(a)のA−A断面図である。また、図10(c)は、本発明の実施の形態に係る主調整機構15の構成を示す正面図であり、図10(d)は、本発明の実施の形態に係る主調整機構15の構成を示す平面図である。
【0050】
図10(a)及び(c)に示すように、主調整機構15は、本実施の形態に係る表示装置用支持機構の主調整機構支持材14、14に固着される固着板18と、発光管アレイ型表示サブモジュール30に固着される表示パネル固着板19とを備えている。図10(a)に示すように、主調整機構15の表示画面を見る者から見て上下方向の移動は、ボールネジ等の上下方向調整ネジ151を上下移動枠152に取り付けてあり、上下移動枠152には、固着板18を貫通する2本の移動軸153、153が上下方向に摺動することが可能となるように取り付けてある。上下方向調整ネジ151を回転させることで、上下移動枠152が移動し、主調整機構支持材14、14と発光管アレイ型表示サブモジュール30との表示画面を見る者から見て上下方向の相対位置を精緻に変動させることができる。
【0051】
また、主調整機構15の表示画面を見る者から見て左右方向の移動は、ボールネジ等の左右方向調整ネジ154を左右移動枠155に取り付けてあり、左右移動枠155には、固着板18を貫通する2本の移動軸156、156が表示画面を見る者から見て左右方向に摺動することが可能となるように取り付けてある。左右方向調整ネジ154を回転させることで、左右移動枠155が移動し、主調整機構支持材14、14と発光管アレイ型表示サブモジュール30との表示画面を見る者から見て左右方向の相対位置を精緻に変動させることができる。
【0052】
さらに、図10(b)に示すように、主調整機構15の前後方向の移動は、ボールネジ等の前後方向調整ネジ157、157を固着板18に取り付けてあり、固着板18には、表示パネル固着板19と連結する摺動軸158、158を取り付けてある。前後方向調整ネジ157、157を回転させることで、前後方向調整ネジ157、157の位置が表示画面を見る者から見て前後方向に移動し、前後方向調整ネジ157、157に固着されている固着板18が摺動軸158、158に沿って移動し、主調整機構支持材14、14と発光管アレイ型表示サブモジュール30との表示画面を見る者から見て前後方向の相対位置を精緻に変動させることができる。
【0053】
回転移動による位置合わせには、クランク機構を用いている。図10(c)に示すように、主調整機構15の重心を通る前後方向の中心軸回りの回転は、ボールネジ等の回転調整ネジ159により、クランク支持体160を支持軸161に沿って摺動させる。クランク支持体160が摺動することにより、クランク支持体160に連結されているクランク162が表示パネル固着板19を回転させる。したがって、回転調整ネジ159を回転させることにより表示パネル固着板19に固着されている発光管アレイ型表示サブモジュール30を表示画面を見る者から見て略鉛直な面上で奥行き方向軸を中心に回転させることができる。
【0054】
また、図10(d)に示すように、主調整機構15の重心を通る表示画面を見る者から見て鉛直方向の中心軸回りの回転、いわゆる首振り回転は、ボールネジ等の首振り回転調整ネジ163により、クランク支持体164を支持軸165に沿って摺動させる。クランク支持体164が摺動することにより、クランク支持体164に連結されているクランク166が表示パネル固着板19を首振り回転させる。したがって、首振り回転調整ネジ163を回転させることにより表示パネル固着板19に固着されている発光管アレイ型表示サブモジュール30を首振り回転させることができる。
【0055】
図11は、本発明の実施の形態に係る副調整機構16の構成を示す拡大斜視図である。副調整機構16は、図3に示す鉛直支持軸11を挟んで発光管アレイ型表示サブモジュール30、30の表示画面を見る者から見て左右方向の位置合わせを精緻に行うために設けてある。図12は、本発明の実施の形態に係る副調整機構16の構成を模式的に示す、表示画面を見る者から見て鉛直面での断面図である。
【0056】
図12に示すように、副調整機構16は、本実施の形態に係る表示装置用支持機構の鉛直支持軸(図示せず)と連結する鉛直支持部材171を挟むように設けてあり、発光管アレイ型表示サブモジュール30、30のサブモジュールフレーム41、41に固着してある取付部材169、169にて、支柱部170、170が取り付けてある。支柱部170、170の先端部には、互いに対向する方向へ突出する左右調整ネジ167、167と、該左右調整ネジ167、167が螺合することが可能なネジ穴168、168を有する幅調整部(鉛直支持部材)171とが設けられている。
【0057】
左右調整ネジ167、167をそれぞれ回転させることで、支柱部170、170は別個独立して表示画面を見る者から見て左右方向に移動することが可能であり、固着されている発光管アレイ型表示サブモジュール30、30の表示画面を見る者から見て左右方向の位置を精緻に調整することが可能となる。
【0058】
図13は、本発明の実施の形態に係る副調整機構17の構成を示す拡大斜視図である。副調整機構17は、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30の表示画面を見る者から見て上下方向の位置合わせ及び前後方向の位置合わせを精緻に行うために設けてある。図14は、本発明の実施の形態に係る副調整機構17の構成を模式的に示す、発光管アレイ型表示サブモジュール30、30に直交する面での断面図である。
【0059】
図14に示すように、副調整機構17は、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30の表示画面を見る者から見て上下方向の所定の位置に設けてあり、下方の発光管アレイ型表示サブモジュール30のサブモジュールフレーム41に固着してある下部取付部材178に、ボールネジ等の上下調整ネジ172が組み込んである。上下調整ネジ172は、螺合することが可能なネジ穴173を有する上下幅調整部174に嵌挿してあり、上下幅調整部174にも、ボールネジ等の前後調整ネジ175が組み込んである。
【0060】
前後調整ネジ175は、螺合することが可能なネジ穴176を有する前後幅調整部177に嵌挿してあり、前後幅調整部177は、上方の発光管アレイ型表示サブモジュール30のサブモジュールフレーム41に固着してある。
【0061】
斯かる構成とすることで、上下調整ネジ172を回転させた場合には、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30の上下方向の微妙な位置合わせを容易にしかも正確に行うことができ、前後調整ネジ175を回転させた場合には、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール30、30の表示画面を見る者から見て前後方向の微妙な位置合わせを容易にしかも正確に行うことができる。
【0062】
以上のように本実施の形態によれば、発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・等の表示パネルを主調整機構15に固着した状態で支持枠に固定することができ、支持枠に固定した状態で表示画面を見る者から見て前後方向、上下方向、及び左右方向の直線移動による微調整を行うことができる。また、固着時に表示画面を見る者から見て左右の高さが平行でない場合には略奥行き方向の軸を中心とする回転移動により微調整を行うことができ、曲面に対応する場合には表示画面を見る者から見て略鉛直方向の軸を中心とする回転移動により微調整を行うことが可能となる。さらに、薄板状の表示パネルを表示画面を見る者から見て縦横に連結することにより生じやすい微妙なずれについても、副調整機構16、17を用いることで微調整することが可能であり、画質の劣化しない大画面表示装置を容易に構成することが可能となる。
【0063】
なお、上述の実施の形態では、表示パネルとして、発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・等の表示フィルムにフレームを一体化したものを採用した場合について説明しているが、特にこれに限定されるものではなく、複数の薄板状の表示パネルを縦横に連結して大画面用表示装置を構成する場合にも同様の効果が期待できることは言うまでもない。
【0064】
その他、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変更、改良等が可能である。これらの変更、改良等は当業者にとって自明であり、該変更、改良等を加えた形態も当然に本発明の技術的範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】発光管アレイ型表示サブモジュールの位置を調整する6自由度の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る表示装置用支持機構に、発光管アレイ型表示サブモジュールを取り付けた一例を示す斜視図である。
【図4】連結されている発光管アレイ型表示サブモジュールの背面を示す拡大斜視図である。
【図5】発光管アレイ型表示サブモジュールの位置ズレの具体例を示す模式図である。
【図6】発光管アレイ型表示サブモジュールの位置ズレ調整の具体例を示す模式図である。
【図7】発光管アレイ型表示サブモジュールの前後方向の位置ズレ調整の具体例を示す模式図である。
【図8】発光管アレイ型表示サブモジュールが曲面型である場合の位置ズレの具体例を示す、上方から見た模式図である。
【図9】発光管アレイ型表示サブモジュールが曲面型である場合の位置ズレ調整の具体例を示す、上方から見た模式図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る主調整機構の構成を示す背面図、断面図、正面図、及び平面図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る副調整機構の構成を示す拡大斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る副調整機構の構成を模式的に示す、表示画面を見る者から見て鉛直面での断面図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る副調整機構の構成を示す拡大斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る副調整機構の構成を模式的に示す、発光管アレイ型表示サブモジュールに直交する面での断面図である。
【符号の説明】
【0066】
11 鉛直支持軸
12 水平支持軸
15 主調整機構
16、17 副調整機構
30 発光管アレイ型表示サブモジュール
31 発光管
32 アドレス電極
33 アドレス電極シート
34 表示電極(対)
35 表示電極シート
41 サブモジュールフレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の薄板状の表示パネルを表示画面を見る者から見て縦横に連結する表示装置用支持機構において、
表示画面を見る者から見て縦横に支柱を形成してある支持枠と、
該支持枠に固着された状態で、表示画面を見る者から見て前後方向、縦方向、及び横方向の直線移動を行うことが可能であるとともに、表示画面を見る者から見て前後方向の軸及び縦方向の軸を中心とする回転移動を行うことが可能な主調整機構と
を有し、
複数の前記主調整機構を前記支持枠に配設してあり、
複数の表示パネルそれぞれの背面略中央を前記主調整機構に固着するようにしてあることを特徴とする表示装置用支持機構。
【請求項2】
表示画面を見る者から見て横方向での複数の前記表示パネルの接続部分に、表示画面を見る者から見て横方向の直線移動を行うことが可能な第一の副調整機構を複数設けてあることを特徴とする請求項1記載の表示装置用支持機構。
【請求項3】
表示画面を見る者から見て縦方向での複数の前記表示パネルの接続部分に、表示画面を見る者から見て縦方向及び前後方向の直線移動を行うことが可能な第二の副調整機構を設けてあることを特徴とする請求項1又は2記載の表示装置用支持機構。
【請求項4】
前記主調整機構は、クランク機構により調整部材の直線運動を回転運動に変換するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表示装置用支持機構。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の表示装置用支持機構にて、複数の表示パネルを縦横に連結してあることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
前記表示パネルは、
内部に放電ガスが封入された複数の発光管を並列に配置した発光管アレイを、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シートと、表示電極が形成してある表示電極シートとの間に挟持してあり、薄板状の構造体と一体化した発光管アレイ型表示サブモジュールであることを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項1】
複数の薄板状の表示パネルを表示画面を見る者から見て縦横に連結する表示装置用支持機構において、
表示画面を見る者から見て縦横に支柱を形成してある支持枠と、
該支持枠に固着された状態で、表示画面を見る者から見て前後方向、縦方向、及び横方向の直線移動を行うことが可能であるとともに、表示画面を見る者から見て前後方向の軸及び縦方向の軸を中心とする回転移動を行うことが可能な主調整機構と
を有し、
複数の前記主調整機構を前記支持枠に配設してあり、
複数の表示パネルそれぞれの背面略中央を前記主調整機構に固着するようにしてあることを特徴とする表示装置用支持機構。
【請求項2】
表示画面を見る者から見て横方向での複数の前記表示パネルの接続部分に、表示画面を見る者から見て横方向の直線移動を行うことが可能な第一の副調整機構を複数設けてあることを特徴とする請求項1記載の表示装置用支持機構。
【請求項3】
表示画面を見る者から見て縦方向での複数の前記表示パネルの接続部分に、表示画面を見る者から見て縦方向及び前後方向の直線移動を行うことが可能な第二の副調整機構を設けてあることを特徴とする請求項1又は2記載の表示装置用支持機構。
【請求項4】
前記主調整機構は、クランク機構により調整部材の直線運動を回転運動に変換するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表示装置用支持機構。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の表示装置用支持機構にて、複数の表示パネルを縦横に連結してあることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
前記表示パネルは、
内部に放電ガスが封入された複数の発光管を並列に配置した発光管アレイを、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シートと、表示電極が形成してある表示電極シートとの間に挟持してあり、薄板状の構造体と一体化した発光管アレイ型表示サブモジュールであることを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−2541(P2010−2541A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160028(P2008−160028)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(506025648)篠田プラズマ株式会社 (29)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(506025648)篠田プラズマ株式会社 (29)
【Fターム(参考)】
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