説明

表示装置

【課題】 夕方や夜間等においても表示部材の表示を明瞭に表示させる。
【解決手段】 表示装置は、板状の基体1aと、基体1aの上に形成された鏡面反射層1bと、鏡面反射層1bの上に蓄光顔料を含有する塗料と蓄光顔料を含有しない塗料とで表示が描かれた表示面1cとを有する表示部材としての標識板1と、標識板1の表示面1cに向けて紫外線を照射する紫外線光源2aを備えた照明器具2とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部材の表示を明瞭に表示させることができる表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば道路案内標識に見られるように、道路の上方に掲げられた表示板に照明を当てることによって、夕方や夜間等における標識の視認性を高めることが広く行われている。この場合、照明光は、道路の上方に掲げられた表示板に隣接して設置された照明器具から照射されたり、あるいは、道路の脇に設置された照明器具から道路の上方に掲げられた表示板に向けて投光されたりしている。また、照明光が当てられたときに視認性がより高まるように、表示板の標識(道路案内図、マーク、文字等)が反射材で描かれている場合もある。
【0003】
また、例えば高速道路の料金所に設置されているETCゲートも広く知られている。ETCゲートには、不正通行の防止や非ETC車との速度差が大きくなるのを抑制し安全走行を確保することを目的に開閉バーが設置されているが、夕方や夜間等の暗闇の中では、車両のドライバーが開閉バーの存在に気付かずに開閉バーに車両を衝突させてしまうことがある。そのため、開閉バーに照明光を当てる照明装置を設置したり、開閉バーに反射テープを巻き付けたり、あるいは発光ダイオード等の発光部材を備えたりして、夕方や夜間等における開閉バーの視認性を高めることも考えられる。このような開閉バーは、ETCゲートの他にも駐車場や踏切などに設置されている。
【0004】
なお、上記の設備は一般に実用化されており、特許文献等を挙げて説明するまでもないものであるため、特許文献等の記載は省略する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、道路の上方に掲げられた表示板に照明を当てる従来の構成では、たとえ標識が反射材で描かれている場合であっても、夕日が表示板の裏側を照らして逆光になるときには、標識を良好に視認することができない。そのような場合でも標識を良好に視認できるようにするには、表示板に照明を当てたときの標識部分とそれ以外の部分との明るさの比(コントラスト比)を高める必要がある。
【0006】
さらに、開閉バーに関しても、開閉バーに反射テープを巻き付けただけの構成では、夕日が逆光になる場合には上記と同様に開閉バーを良好に視認することができない。一方、開閉バーに発光ダイオード等の発光部材を備えた構成では夕方から夜間にわたって視認性を向上させることができるが、開閉バーには発光部材の他に配線部材等を設けるための費用がかかる。ETCゲートの開閉バーは車両が衝突して破損する可能性があることから、その製造コストはできるだけ低く抑えることが好ましい。
【0007】
また、表示板や開閉バーを照明で照らす場合にはそれらの周囲が照明光で明るくなるため、それらを夜通し照らし続けることは近隣の住民等に迷惑になることもある。
【0008】
そこで本発明は、夕方や夜間等においても表示部材の表示を明瞭に表示させることができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の表示装置は、基体と、該基体の上に形成された鏡面反射層と、該鏡面反射層の上に形成され表示が描かれた表示面とを有し、該表示面の前記表示部分または前記表示部分以外の部分のいずれか一方の部分が蓄光顔料を含有する塗料で描かれ、他方の部分が蓄光顔料を含有しない塗料で描かれている表示部材と、前記表示面に向けて紫外線を照射する紫外線光源と、を有する。
【0010】
上記本発明の表示装置によれば、紫外線光源を点灯させて紫外線を表示部材の表示面に照射すると、表示面の蓄光性塗料が塗布されている部分がその紫外線によって発光する。さらに、紫外線によって発光した光は表示面の裏面側の鏡面反射層によって反射するため、蓄光性塗料が塗布されている部分の輝度が一層高められる。これにより、表示面の蓄光性塗料が塗布されている部分とそれ以外の部分とのコントラスト比がより高まり、夕日が表示板の裏側を照らして逆光になるような場合であっても表示面の表示を良好に視認することが可能になる。
【0011】
さらに、紫外線光源は不可視光線である紫外線を照射するものであるため、夜間に点灯させていても周囲が照明でまぶしくなることはない。そのため、本発明の表示装置が設置されている近隣の住民に迷惑になることを防ぐことができる。
【0012】
さらに、前記表示部材は標識板であり、前記基体は板状に形成され、前記表示として標識が描かれている構成であってもよく、あるいは、前記表示部材は車両の通行を遮断する遮断機に用いられる開閉バーであり、前記基体は棒状に形成されている構成であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の表示装置によれば、夕方や夜間等においても表示部材の表示を明瞭に表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は本発明の表示装置の第1の実施形態を示す図であり、図1(a)はその正面図、図1(b)は図1(a)のA−A線における断面図である。
【0016】
図1(a)に示すように、本実施形態の表示装置は、道路案内等の標識を表示した表示板1と、表示板1の上方に設置され、表示板1に向けて紫外線を照射する照明器具2とを備えている。照明器具2が設置された表示板1は、道路脇に設置された支柱3に支持されて、道路の上方に掲げられる。
【0017】
表示板1は、図1(b)に示すように、表示板1のベースとなる板状の基体1aと、基体1aの上に形成された鏡面反射層1bと、鏡面反射層1bの上に形成された表示面1cとを有している。基体1aは、表示板1自体の強度を保ちつつその軽量化を図る観点から、アルミニウム等の軽金属やポリカーボネート等の樹脂で構成することが好ましい。
【0018】
鏡面反射層1bは、金属フィルムを基体1aの上に貼り付けたり、あるいは基体1a上に金属膜を蒸着等で形成したりすることで構成されている。鏡面反射層1bの表面は、文字通り、鏡面反射が行われる程度の鏡面光沢度を有している。ここで「鏡面反射」とは、JISに規定されているように「物体表面に入射した光束が映像を作るような状態で反射される現象」をいう。具体的には、鏡面反射層1bの表面は、それを顔に近づけて見たときに自分の顔が写る程度の光沢を有している。
【0019】
表示面1cには、図1(a)に示すような文字や図などから成る表示が描かれている。本実施形態では、表示面1cのうち文字や図などから成る表示部分が蓄光顔料を含む塗料(蓄光性塗料)で描かれ、表示面1cのそれ以外の部分には一般的な塗料が塗布されている。なお、これとは逆に、表示面1cのうち文字や図などから成る表示部分が一般的な塗料で描かれ、表示面1cのそれ以外の部分には蓄光性塗料が塗布されていてもよい。
【0020】
また、照明器具2は、表示板1の裏面側に固定され、表示板1の上部においてその前方に庇状にせり出した反射板2bと、反射板2bの内側に設置された紫外線光源2aとを備えている。紫外線光源2aには、可視光線をカットし、蛍光作用の強い紫外線(波長352nm付近)を効率よく発生させる、いわゆるブラックライトや紫外線LEDを用いることが好ましい。反射板2bには、そのような紫外線を効率よく反射させるためにアルミニウム製の反射板などを用いることが好ましい。この場合、反射板2bの少なくとも反射面が無垢のアルミニウムが露出された状態になっていればよく、その他の面は塗装されていてもよい。
【0021】
上記のように構成された本実施形態の表示装置によれば、紫外線光源2aを点灯させて紫外線を表示板1に照射すると、表示面1cの蓄光性塗料が塗布されている部分が紫外線によって発光する。さらに、紫外線によって発光した光は表示面1cの裏面側の鏡面反射層1bによって反射するため、蓄光性塗料が塗布されている部分の輝度が一層高められる。これにより、表示面1cの蓄光性塗料が塗布されている部分とそれ以外の部分とのコントラスト比がより高まり、夕日が表示板の裏側を照らして逆光になるような場合であっても表示板1に描かれた表示を良好に視認することが可能になる。もちろん、表示板1に描かれた表示の夜間における視認性も向上する。
【0022】
紫外線光源2aから表示板1に紫外線を照射すると、蓄光性塗料に含まれる蓄光顔料が光を蓄積し、紫外線光源2aからの紫外線照射が停止された後でも、蓄光性塗料が塗布されている部分が発光する。そのため、夜間は紫外線光源2aからの紫外線照射を停止しても蓄光性塗料の残光時間の間は表示板1に描かれた表示を視認することが可能である。
【0023】
また、紫外線光源2aは不可視光線である紫外線を照射するものであるため、夜間に点灯させていても周囲が照明でまぶしくなることはない。そのため、本実施形態の表示装置が設置されている近隣の住民に迷惑になることを防ぐことができる。
【0024】
ここで、表示面1cの蓄光性塗料が塗布されている部分の輝度を高くするとともに、その部分の蓄光能力(残光時間)を高めるためには、鏡面反射層1b上に塗布する蓄光性塗料の量を適宜調節する必要がある。蓄光性塗料の塗布量の一例としては、本発明者らの検討の結果、比重が3.5の蓄光顔料を用いた場合の蓄光顔料の塗布量が5〜100g/m2の範囲であると、表示面1cの蓄光性塗料が塗布されている部分の輝度を高くできるとともに、その部分の蓄光能力(残光時間)を高めることが可能であることが知得されている。
【0025】
なお、本実施形態では表示板1の表示面1cに道路案内標識を表した例を示したが、表示面1cに描くことができる表示はこれに限られず、その他にも避難標識や広告などの種々の図、マーク、文字等を描くことが可能である。
【0026】
(第2の実施形態)
図2は本発明の表示装置の第2の実施形態を示す図であり、図2(a)はその正面図、図2(b)は図2(a)のB−B線における断面図である。
【0027】
本実施形態の表示装置は、高速道路などに設置されたETCゲート10に備えられる開閉バー11に関するものである。ETCゲート10の両側には、開閉バー11を上下に回動させる開閉装置12が互いに対向するように設置されている。各々の開閉装置12は、開閉バー11を図2(a)の実線で示す閉位置と点線で示す開位置との間で上下に回動させる。開閉装置12は、車両に設置された車載器とETCゲート10に設置されたアンテナとの間で無線通信が良好に行われると開閉バー11を開き、その後車両がETCゲート10を通過すると開閉バー11を閉じるように動作する。
【0028】
開閉バー11の上方には、紫外線光源13aと反射板13bとを有する照明装置13が設置されている。照明装置13は支柱14に支持されている。第1の実施形態と同様に、紫外線光源13aには、可視光線をカットし、蛍光作用の強い紫外線(波長352nm付近)を効率よく発生させる、いわゆるブラックライトや紫外線LEDを用いることが好ましく、反射板13bには、そのような紫外線を効率よく反射させるためにアルミニウム製の反射板などを用いることが好ましい。
【0029】
図2(b)は、図2(a)に示した開閉バーのB−B線における断面図である。開閉バー11は、開閉バー11のベースとなる棒状の基体11aと、基体11aの上に形成された鏡面反射層11bと、鏡面反射層11bの上に形成された表示面11cとを有している。基体11aは、開閉装置12で高速に上下させるために軽量でかつ強度を有することが必要であるため、カーボングラスファイバーが芯材になっており、さらに、車両が開閉バー11に接触したときでも開閉バー11が車両を傷つけることがないように、その芯材の周囲に発泡スチロール等が設けられた構成を有していることが好ましい。
【0030】
鏡面反射層11bは、金属フィルムを基体11aの上に貼り付けたりすることで構成されている。鏡面反射層11bの表面が鏡面反射が行われる程度の鏡面光沢度を有していることは、第1の実施形態と同様である。
【0031】
表示面11cには、図2(a)に示すような螺旋状の帯からなる表示が蓄光顔料を含む塗料(蓄光性塗料)で描かれている。表示面1cのそれ以外の部分には一般的な塗料が塗布されている。なお、これとは逆に、表示面1cのうち螺旋状の帯の部分は一般的な塗料で描かれ、表示面1cのそれ以外の部分に蓄光性塗料が塗布されていてもよい。
【0032】
上記のように構成された本実施形態の表示装置によれば、紫外線光源13aを点灯させて紫外線を開閉バー11に照射すると、表示面11cの蓄光性塗料が塗布されている部分が紫外線によって発光する。さらに、紫外線によって発光した光は表示面11cの裏面側の鏡面反射層1bによって反射するため、蓄光性塗料が塗布されている部分の輝度が一層高められる。これにより、表示面11cの蓄光性塗料が塗布されている部分とそれ以外の部分とのコントラスト比がより高まり、夕日が表示板の裏側を照らして逆光になるような場合であっても開閉バー11に描かれた表示を良好に視認することが可能になり、開閉バー11に描かれた表示の夜間における視認性も向上する。
【0033】
紫外線光源13aから開閉バー11に紫外線を照射すると、蓄光性塗料に含まれる蓄光顔料が光を蓄積し、紫外線光源13aからの紫外線照射が停止された後でも、蓄光性塗料が塗布されている部分が発光する。そのため、夜間は紫外線光源13aからの紫外線照射を停止しても蓄光性塗料の残光時間の間は開閉バー11に描かれた表示を視認することが可能である。
【0034】
本実施形態でも、蓄光性塗料の塗布量の一例として、比重が3.5の蓄光顔料を用いた場合の蓄光顔料の塗布量を5〜100g/m2の範囲とすることにより、表示面11cの蓄光性塗料が塗布されている部分の輝度を高くできるとともに、その部分の蓄光能力(残光時間)を高めることが可能である。
【0035】
なお、本実施形態では開閉バー11の表示面11cに蓄光性塗料で螺旋状の帯を描いた例を示したが、表示面11cに描くことができる表示はこれに限られない。表示面11cにはその他のパターンを描いても良いし、あるいは表示面11cの全面に蓄光性塗料を塗布してもよい。
【0036】
本実施形態の開閉バー11は、発泡スチロール等からなる基体11aの上に鏡面反射層11bと蓄光性塗料を含む表示面11cとが形成されただけの簡単な構成であるので、その製造コストは、開閉バーに発光ダイオード等の発光部材を備えたもの等に比べて抑えることができる。
【0037】
なお、上記ではETCゲート10に用いられる開閉バー11について説明したが、本発明が適用できるのはETCゲート用の開閉バーに限られず、車両の通行を遮断するために駐車場の出入口や踏切などに設置される種々の遮断機の開閉バーに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の表示装置の第1の実施形態を示す図である。
【図2】本発明の表示装置の第2の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 表示板
1a,11a 基体
1b,11b 鏡面反射層
1c,11c 表示面
2 照明器具
2a,13a 紫外線光源
2b,13b 反射板
3,14 支柱
10 ETCゲート
11 開閉バー
12 開閉装置
13 照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、該基体の上に形成された鏡面反射層と、該鏡面反射層の上に形成され表示が描かれた表示面とを有し、該表示面の前記表示部分または前記表示部分以外の部分のいずれか一方の部分が蓄光顔料を含有する塗料で描かれ、他方の部分が蓄光顔料を含有しない塗料で描かれている表示部材と、
前記表示面に向けて紫外線を照射する紫外線光源と、
を有する表示装置。
【請求項2】
前記表示部材は表示板であり、前記基体は板状に形成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示部材は車両の通行を遮断する遮断機の開閉バーであり、前記基体は棒状に形成されている、請求項1に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−251155(P2006−251155A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−65413(P2005−65413)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(591139644)東横車輌電設株式会社 (5)
【Fターム(参考)】