説明

表示装置

【課題】複数のブロックにより表示面を形成する電光表示装置において、ブロックの取り付け、取り外しを表側からでも裏側からでも行えるようにする。
【解決手段】赤色発光ダイオード14R、青色発光ダイオード14B、緑色発光ダイオード14Gを1個ずつ入れたセル13をマトリックス状に配列してセルブロック10を構成する。セルブロック10は箱形容器30に複数個収納されて表示面2を形成する。セルブロック10は箱形容器30の底板32に対しスペーサ21を介在させる形で固定される。スペーサ21はセルブロック10を表側から貫通する第1のねじ17によりセルブロック10の裏側に固定され、底板32を裏側から貫通する第2のねじ24により底板32の表側に固定される。第1のねじ17と第2のねじ24は共通のねじ穴22にねじ込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光ダイオードを用いる電光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードを用いる電光表示装置は、宣伝広告、ニュース報知、案内表示などの用途に広く使用されている。特許文献1、2にその例を見ることができる。
【0003】
特許文献1には、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、青色発光ダイオードを1個ずつ組み合わせて構成した発光素子を16行×16列の計256個並べて1個の表示体とし、この表示体を2行×3列の計6個並べた電光表示装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、1画素を構成する3つの発光ダイオードを一方向に並べて構成した発光装置を、収納用シートに設けられている収納ポケットに収納して構成した表示装置が記載されている。
【特許文献1】特開2005−181666号公報([0016]−[0075]、図1−4)
【特許文献2】特開2005−99792号公報([0006]−[0057]、図1−12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電光表示装置を長時間使用していると、発光ダイオードが交換時期を迎える。屋外使用の電光表示装置では、雨水が配線部に浸入してダメージをもたらすこともある。そこで電光表示装置には、発光ダイオードのメンテナンスや配線の修理を容易に行える仕組みが求められる。
【0006】
通常の電光表示装置の場合、単一の基板に全ての発光ダイオードを装着するのでなく、所定の大きさ(多くの場合、一つの文字を構成できる数の発光ダイオードを含む大きさ)のブロックを形成して枠体や筐体にねじ止めし、ブロック単位で交換できるようになっている。ところで電光表示装置は建物の窓の外側や屋上の縁に設置されることがある。このような場合、窓の内側や屋上の縁の内側からねじを取り外せる仕組みがあると便利である。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、複数のブロックにより表示面を形成する電光表示装置において、ブロックの取り付け、取り外しを表側からでも裏側からでも行えるようにし、組立及び保守の便宜を図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記目的を達成するために本発明は、発光ダイオードを入れたセルをマトリックス状に配列したセルブロックを箱形容器に複数個収納して表示面を形成する電光表示装置において、前記セルブロックは前記箱形容器の底板に対しスペーサを介在させる形で固定されるものであり、前記スペーサはセルブロックを表側から貫通する第1のねじによりセルブロックの裏側に固定され、前記底板を裏側から貫通する第2のねじにより底板の表側に固定されることを特徴としている。
【0009】
この構成によると、窓の外側や屋上の縁に電光表示装置を設置した場合、第2のねじが窓の内側あるいは屋上の縁の内側に向くことになる。第2のねじを取り外せば、セルブロックはその裏面側にスペーサを固定した状態で取り外すことができる。窓の内側あるいは屋上の縁の内側でドライバーを使えるので、無理な作業姿勢を強いられることもなく、ドライバーを路上に落とす危険も少ない。また電光表示装置が壁の表面に取り付けられ、第2のねじにドライバーを届かせることができないときは、表側から第1のねじを取り外すことにより、セルブロックを取り外すことができる。
【0010】
(2)また本発明は、上記構成の電光表示装置において、前記第1のねじと第2のねじは、前記スペーサに設けられた共通のねじ穴にねじ込まれることを特徴としている。
【0011】
この構成によると、第1のねじ用のねじ穴と第2のねじ用のねじ穴を別々にスペーサに設ける必要がなく、スペーサの構造を簡素にし、製造を容易にすることができる。
【0012】
(3)また本発明は、上記構成の電光表示装置において、前記箱形容器は、前記底板の裏側に裏蓋を有し、この裏蓋に前記発光ダイオードの点灯制御部が設けられていることを特徴としている。
【0013】
この構成によると、一つの容器に発光ダイオードのみならずその点灯制御部も組み込むことができ、電光表示装置をコンパクトにまとめることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、表側から第1のねじを取り外しても、裏側から第2のねじを取り外しても、どちらでも箱形容器からセルブロックを取り外すことができる。従ってセルブロック交換の必要が生じたときは、発光表示装置の設置状況に応じて作業のしやすい方からセルブロックを取り外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図1−6に基づき説明する。図1は電光表示装置の正面図、図2は電光表示装置の側面図、図3はセルブロックの正面図、図4はセルブロックを箱形容器に取り付けた状態の断面図、図5は第2のねじを外してセルブロックを取り外す状況を示す断面図、図6は第1のねじを外してセルブロックを取り外す状況を示す断面図である。
【0016】
電光表示装置1は、発光ダイオードを入れたセルをマトリックス状に配置したセルブロック10を2行×4列の計8個ならべて表示面2を形成し、この表示面2を箱形容器30(図2参照)に取り付けた構成である。なお2行×4列というのは一つの例にすぎず、他の行数・列数であってもよい。
【0017】
セルブロック10は、図4に見られるように、合成樹脂製の格子体11の裏側(表示面2を見る者が位置する側を表側、その反対側を裏側とする。以下本明細書において同じ)に基板12を組み合わせて構成される。格子体11の格子の一つ一つが正面形状正方形のセル13となる。セル13の数は8行×8列の計64個である。なお8行×8列というのは一つの例にすぎず、他の行数・列数であってもよい。格子体11は光を通さない合成樹脂で成型され、従ってセル13同士間で光が漏れることはない。
【0018】
個々のセル13には、赤色発光ダイオード14R、青色発光ダイオード14B、緑色発光ダイオード14Gが1個ずつ配置される。必要に応じセル13に透明な合成樹脂を注入して上記3個の発光ダイオードをモールドする。
【0019】
格子体11には4箇所にねじボス15を形成する。そしてねじボス15と基板12を表側から裏側へと貫く貫通穴16(図6参照)を設ける。貫通穴16は第1のねじ17を通すのに用いられる。
【0020】
格子体11の裏側には、基板12を覆い隠す板金製の裏板18が配置される。裏板18はトレイ状であり、その周縁は格子体11に形成された溝19に差し込まれる。格子体11と裏板18の間にはシール部材20が挟み込まれ、この箇所から基板12の裏側に水が浸入するのを防ぐ。
【0021】
基板12の裏側には、ねじボス15に対応する位置に円筒形のスペーサ21が配置される。スペーサ21には貫通穴16に整列するねじ穴22が形成されており、裏板18にはスペーサ21を通す貫通穴23が形成されている。ねじ穴22には、表側から貫通穴16を通じて第1のねじ17がねじ込まれ、裏側から第2のねじ24がねじ込まれる。
【0022】
箱形容器30は板金製で、正面形状矩形の枠部31に底板32(図4参照)を固定した構成である。底板32にはスペーサ21のねじ穴22に整列する貫通穴33(図5参照)が形成される。底板32の裏側には裏蓋34(図2参照)が配置される。裏蓋34は図示しないヒンジ部によって枠部31に取り付けられ、ヒンジ部を中心として開閉できるようになっている。裏蓋34には発光ダイオードの点灯制御部35が設けられる。
【0023】
セルブロック10を箱形容器30に取り付けるにあたっては、スペーサ21を基板12の裏側に第1のねじ17で固定し、裏板18を溝19に差し込んだ状態で、セルブロック10の裏面を底板32の表側の面にあてがう。この時、裏板18と底板32の間にシール部材36を挟む。そして、底板32の貫通穴33を通じて第2のねじ24をねじ穴22にねじ込み、締め付ければ、セルブロック10は取付完了となる。
【0024】
セルブロック10を取り外す必要が生じた場合、電光表示装置1の設置状況に応じて次の二つのやり方のいずれかを採用する。電光表示装置1が建物の窓の外側や屋上の縁に設置されていて、裏蓋34の開放が可能なときは、裏蓋34を開き、底板32の裏側を露出させておいて、窓の内側あるいは屋上の縁の内側からドライバーで第2のねじ24を取り外す。すると図5に示すように基板12の裏面側にスペーサ21を固定した状態でセルブロック10を取り外すことができる。窓の内側あるいは屋上の縁の内側でドライバーを使えるので、無理な作業姿勢を強いられることもなく、ドライバーを路上に落とす危険も少ない。
【0025】
電光表示装置1が壁の表面に取り付けられていて、裏蓋34を開けることも、第2のねじ24にドライバーを届かせることもできないときは、表側から第1のねじ17を取り外す。すると図6に示すように、裏板18とスペーサ21を底板32に付着させたまま、格子体11と基板12の組み合わせのみ取り外すことができる。
【0026】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は電光表示装置に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】電光表示装置の正面図
【図2】電光表示装置の側面図
【図3】セルブロックの正面図
【図4】セルブロックを箱形容器に取り付けた状態の断面図
【図5】第2のねじを外してセルブロックを取り外す状況を示す断面図
【図6】第1のねじを外してセルブロックを取り外す状況を示す断面図
【符号の説明】
【0029】
1 電光表示装置
2 表示面
10 セルブロック
11 格子体
12 基板
13 セル
14R 赤色発光ダイオード
14B 青色発光ダイオード
14G 緑色発光ダイオード
17 第1のねじ
18 裏板
21 スペーサ
22 ねじ穴
24 第2のねじ
30 箱形容器
31 枠部
32 底板
34 裏蓋
35 点灯制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードを入れたセルをマトリックス状に配列したセルブロックを箱形容器に複数個収納して表示面を形成する電光表示装置において、
前記セルブロックは前記箱形容器の底板に対しスペーサを介在させる形で固定されるものであり、前記スペーサはセルブロックを表側から貫通する第1のねじによりセルブロックの裏側に固定され、前記底板を裏側から貫通する第2のねじにより底板の表側に固定されることを特徴とする電光表示装置。
【請求項2】
前記第1のねじと第2のねじは、前記スペーサに設けられた共通のねじ穴にねじ込まれることを特徴とする請求項1に記載の電光表示装置。
【請求項3】
前記箱形容器は、前記底板の裏側に裏蓋を有し、この裏蓋に前記発光ダイオードの点灯制御部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電光表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−264201(P2007−264201A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87777(P2006−87777)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】