説明

表示装置

【課題】反射光を受光する表示装置に於いて、受光素子によって得られたデータのS/N比を改善する。
【解決手段】可視光線VRよりも赤外光線IRに対する透過性が高い第1,第2の光透過層206,207が表示領域PAに形成されている液晶パネル200の背面へ、バックライト300が可視光線VRと赤外光線IRとを照明光Rとして出射する。そして、液晶パネル200の正面の側において照明光Rが被検知体Fによって反射された反射光Hを、位置センサ素子32aが、第2光透過層207を介して受光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。特に、本発明は、画素が複数配置された表示領域に、受光素子が複数形成されている表示パネルと、その表示パネルの一方の面へ照明光を出射する照明部とを具備しており、その照明光によって表示領域にて画像を表示すると共に、表示パネルの他方の面の側において、その照明光が被検知体によって反射された反射光を、受光素子が受光することにより、表示領域における被検知体の位置を検出する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置,有機EL表示装置などの表示装置は、薄型、軽量、低消費電力といった利点を有する。
【0003】
このような表示装置において、液晶表示装置は、一対の基板の間に液晶層が封入された液晶パネルを、表示パネルとして有している。液晶パネルは、たとえば、透過型であって、液晶パネルの背面に設けられたバックライトなどの照明装置が出射した照明光を、その液晶パネルが変調して透過させる。そして、その変調した照明光によって画像の表示が、液晶パネルの正面にて実施される。
【0004】
この液晶パネルは、たとえば、アクティブマトリクス方式であり、画素スイッチング素子として機能する薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が複数形成されているTFTアレイ基板と、そのTFTアレイ基板に対面するように対向する対向基板と、TFTアレイ基板および対向基板の間に設けられた液晶層とを有する。このアクティブマトリクス方式の液晶パネルにおいては、画素スイッチング素子が画素電極に電位を入力することによって、液晶層に印加する電圧を可変し、その画素を透過する光の透過率を制御して、その光を変調させる。
【0005】
上記のような液晶パネルにおいては、上記の画素スイッチング素子として機能するTFTの他に、位置センサ素子として機能する受光素子を内蔵したものが提案されている。
【0006】
上記のように受光素子が内蔵された液晶パネルは、ユーザーインターフェイスとしての機能が実現できるため、I/Oタッチパネル(Integrate−Optical touch panel)と呼ばれている。このタイプの液晶パネルにおいては、液晶パネルの前面に、別途、抵抗膜方式や静電容量方式のタッチパネルを設置する必要がなくなる。このため、装置の小型化を、容易に実現できる。また、さらに、抵抗膜方式や静電容量方式のタッチパネルを設置した場合には、そのタッチパネルによって表示領域において透過する光が減少する場合や、その光が干渉される場合があるため、表示画像の品質が低下する場合があるが、上記のように液晶パネルに受光素子を内蔵することによって、この不具合の発生を防止できる。
【0007】
このような液晶パネルにおいては、たとえば、液晶パネルの前面に触れられたユーザーの指やタッチペンなどの被検知体からの可視光線を、その内蔵された受光素子が受光する。その後、その受光素子によって得られた受光データに基づいて、その被検知体が接触した位置を特定し、その特定された位置に対応する操作が、液晶表示装置自身や、その液晶表示装置に接続された他の電子機器において実施される。
【0008】
上記のように受光素子を用いて被検知体の位置を検出する場合には、受光素子によって得られる受光データは、外光に含まれる可視光線の影響によって、多くのノイズを含む場合がある。また、表示領域において黒表示を実施する場合には、TFTアレイ基板に設けられた受光素子は、被検知体から出射される可視光線を受光することが困難である。このため、正確に、位置を検出をすることが困難な場合がある。
【0009】
このような不具合を改善するために、赤外線など、可視光線以外の不可視光線を用いる技術が提案されている。ここでは、被検知体から出射される赤外線などの不可視光線を、受光素子が受光することによって受光データを取得し、その取得したデータに基づいて、被検知体の位置を特定している(たとえば、特許文献1,特許文献2,特許文献3参照)。
【0010】
【特許文献1】特開2005−275644号公報
【特許文献2】特開2004−318819号公報
【特許文献3】特開2006−3081864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記においては、外光に含まれる可視光線の影響によって、受光素子によって得られたデータにノイズが含まれ、十分なS/N比のデータを得ることが困難な場合がある。
【0012】
したがって、本発明は、受光素子によって得られたデータのS/N比を改善することが可能な表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、画素が複数配置された表示領域に受光素子が複数形成されている表示パネルと、前記表示パネルの一方の面へ照明光を出射する照明部とを具備し、前記表示パネルの他方の面の側において前記照明光が被検知体によって反射された反射光を前記受光素子が受光することにより、前記表示領域における被検知体の位置を検出する表示装置であって、前記照明部は、可視光線と不可視光線とを前記照明光として出射するように構成されており、前記表示パネルは、前記可視光線よりも前記不可視光線に対する透過性が高い光透過層が、前記表示領域に形成されており、前記受光素子は、前記光透過層を介して入射する前記反射光を受光する。
【0014】
本発明においては、可視光線よりも不可視光線に対する透過性が高い光透過層が表示領域に形成されている表示パネルの一方の面へ、照明部が可視光線と不可視光線とを照明光として出射する。そして、表示パネルの他方の面の側において照明光が被検知体によって反射された反射光を、受光素子が光透過層を介して受光する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、受光素子によって得られたデータのS/N比を改善することが可能な表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明にかかる実施形態の一例について説明する。
【0017】
<実施形態1>
(液晶表示装置の全体構成)
図1は、本発明にかかる実施形態1において、液晶表示装置100の構成を示す断面図である。
【0018】
本実施形態の液晶表示装置100は、図1に示すように、液晶パネル200と、バックライト300と、データ処理部400とを有する。各部について順次説明する。
【0019】
液晶パネル200は、図1に示すように、TFTアレイ基板201と対向基板202と液晶層203とを有する。
【0020】
この液晶パネル200においては、TFTアレイ基板201と対向基板202とが間隔を隔てるよう対面している。そして、そのTFTアレイ基板201と対向基板202との間に挟まれるように、液晶層203が設けられている。
【0021】
そして、液晶パネル200は、TFTアレイ基板201の側に位置するようにバックライト300が配置されており、TFTアレイ基板201において対向基板202に対面していない側の面に、バックライト300から出射された照明光が照射される。そして、図1に示すように、液晶パネル200は、画像を表示する表示領域PAを含み、その液晶パネル200の背面側に設置されたバックライト300が出射した照明光を背面から受け、その背面から受けた照明光を表示領域PAにおいて変調する。そして、その変調された照明光が、正面側に出射し、表示領域PAにおいて画像が表示される。
【0022】
また、本実施形態においては、この液晶パネル200は、いわゆるI/Oタッチパネルであり、詳細については後述するが、液晶パネル200においてバックライト300が設置された背面に対して反対側となる正面に、ユーザーの指やタッチペンなどの被検知体が接触または近接した際に、その被検知体によって反射される反射光を受光する受光素子が、位置センサ素子(図示無し)として形成されている。たとえば、フォトダイオードが、この位置センサ素子として形成されている。この受光素子である位置センサ素子は、液晶パネル200の正面側において、被検知体が反射する反射光を受光する。すなわち、対向基板202の側からTFTアレイ基板201の側へ向かう反射光を受光する。そして、受光素子である位置センサ素子は、光電変換することによって、受光データを生成する。
【0023】
バックライト300は、図1に示すように、液晶パネル200の背面に対面しており、その液晶パネル200の表示領域PAに照明光を出射する。ここでは、バックライト300は、図1に示すように、光源301と、その光源301から照射された光を拡散することよって面状の光に変換する導光板302とを有しており、液晶パネル200の表示領域PAの全面に平面光を照射する。
【0024】
具体的には、バックライト300は、液晶パネル200を構成するTFTアレイ基板201と対向基板202とにおいて、TFTアレイ基板201の側に位置するように配置されている。そして、TFTアレイ基板201において対向基板202に対面している面とは反対側の面に、その平面光を照射する。つまり、バックライト300は、TFTアレイ基板201の側から対向基板202の側へ向うように平面光を照明する。
【0025】
本実施形態においては、バックライト300の光源301は、図1に示すように、たとえば、可視光源301aと、赤外光源301bとを有する。可視光源301aと赤外光源301bとのそれぞれは、導光板302の端部に設けられ、可視光線と非可視光線とを照明光として出射する。具体的には、可視光源301aは、白色LEDであり、白色の可視光線を照射面から照射する。また、赤外光源301bは、赤外LEDであり、赤外光線を照射面から照射する。たとえば、中心波長が850nmである赤外光線を照射する。そして、可視光源301aから照射された白色の可視光線と、赤外光源302bから照射された赤外光線とが、導光板302において拡散され、平面光として、液晶パネル200の背面に照射される。
【0026】
データ処理部400は、図1に示すように、制御部401と、位置検出部402とを有する。データ処理部400は、コンピュータを含み、プログラムによってコンピュータが各部として動作するように構成されている。
【0027】
データ処理部400の制御部401は、液晶パネル200とバックライト300との動作を制御するように構成されている。制御部401は、液晶パネル200に制御信号を供給することによって、液晶パネル200に複数設けられた画素スイッチング素子(図示無し)の動作を制御する。たとえば、線順次駆動を実行させる。また、制御部401は、バックライト300に制御信号を供給することによって、バックライト300の動作を制御し、バックライト300から照明光を照射する。このように、制御部401は、液晶パネル200とバックライト300との動作を制御することによって、液晶パネル200の表示領域PAに画像を表示する。
【0028】
このほかに、制御部401は、液晶パネル200に制御信号を供給することによって、液晶パネル200に位置センサ素子として複数設けられた受光素子(図示無し)の動作を制御し、その位置センサ素子から受光データを収集する。たとえば、線順次駆動を実行させて、受光データを収集する。
【0029】
データ処理部400の位置検出部402は、液晶パネル200に複数設けられた受光素子(図示無し)である位置センサ素子から収集した受光データに基づいて、液晶パネル200の表示領域において、ユーザーの指やタッチペンなどの被検知体が接触または近接した位置を検出する。
【0030】
(液晶パネルの全体構成)
液晶パネル200について詳細に説明する。
【0031】
図2は、本発明にかかる実施形態1において、液晶パネル200を示す平面図である。
【0032】
図2に示すように、液晶パネル200は、表示領域PAと、周辺領域CAとを有する。
【0033】
液晶パネル200において表示領域PAには、図2に示すように、複数の画素Pが水平方向xと垂直方向yとのそれぞれにマトリクス状に並ぶように配置されており、画像を表示する。詳細については後述するが、画素Pは、画素スイッチング素子として機能するTFT(図示無し)を含む。そして、この複数の画素Pに対応するように、位置センサ素子として機能する受光センサ素子(図示無し)が、複数、形成されている。
【0034】
液晶パネル200において周辺領域CAは、図2に示すように、表示領域PAの周辺を囲うように設けられている。この周辺領域CAにおいては、図2に示すように、表示用垂直駆動回路11と、表示用水平駆動回路12と、センサ用垂直駆動回路13と、センサ用水平駆動回路14とが形成されている。たとえば、上記の画素スイッチング素子として機能するTFT(図示無し)と、位置センサ素子として機能する受光センサ素子(図示無し)と同様にして形成された半導体素子によって、この各回路が構成されている。そして、表示領域PAにおいて画素Pに対応するように画素スイッチング素子として設けられたTFTを、表示用垂直駆動回路11および表示用水平駆動回路12が駆動し、画像表示を実行する。そして、これと共に、表示領域PAにおいて画素Pに対応するように位置センサ素子として設けられた受光素子(図示無し)を、センサ用垂直駆動回路13とセンサ用水平駆動回路14とが駆動し、受光データを収集する。
【0035】
具体的には、表示用垂直駆動回路11は、図2に示すように、垂直方向yに延在している。表示用垂直駆動回路11は、垂直方向yにおいて複数の画素Pに対応するように画素スイッチング素子として形成された各TFT(図示無し)のゲート電極に接続されている。そして、表示用垂直駆動回路11は、供給される駆動信号に基づいて、その垂直方向yに並ぶ複数のTFTに、走査信号を、順次、供給する。ここでは、水平方向xに並ぶ複数の画素Pに対応して形成された複数のTFTのそれぞれにゲート線(図示無し)が接続され、そのゲート線が垂直方向yに並ぶ複数の画素Pに対応するように複数形成されており、表示用垂直駆動回路11は、その複数をゲート線に、順次、走査信号を供給する。
【0036】
表示用水平駆動回路12は、図2に示すように、水平方向xに延在している。表示用水平駆動回路12は、水平方向xにおいて複数の画素Pに対応するように画素スイッチング素子として形成された各TFT(図示無し)のソース電極に接続されている。そして、表示用水平駆動回路12は、供給される駆動信号に基づいて、その垂直方向yに並ぶ複数のTFTに、データ信号を、順次、供給する。ここでは、垂直方向yに並ぶ複数の画素Pに対応して形成された複数のTFTのそれぞれに信号線(図示無し)が接続され、その信号線が水平方向xに並ぶ複数の画素Pに対応するように複数形成されており、表示用水平駆動回路12は、その複数の信号線に、順次、映像データ信号を供給する。
【0037】
センサ用垂直駆動回路13は、図2に示すように、垂直方向yに延在している。センサ用垂直駆動回路13は、垂直方向yにおいて複数の画素Pに対応するように位置センサ素子として形成された各受光素子(図示無し)に接続されている。そして、センサ用垂直駆動回路13は、供給される駆動信号に基づいて、その垂直方向yに並ぶ複数の受光素子において、受光データを読み出す受光素子を選択する。ここでは、水平方向xに並ぶ複数の画素Pに対応して形成された複数の受光素子のそれぞれにゲート線(図示無し)が接続され、そのゲート線が垂直方向yに並ぶ複数の画素Pに対応するように複数形成されており、センサ用垂直駆動回路13は、その複数のゲート線を順次選択するように走査信号を供給する。
【0038】
センサ用水平駆動回路14は、水平方向xに延在している。センサ用水平駆動回路14は、水平方向xにおいて複数の画素Pに対応するように位置センサ素子として形成された各受光素子(図示無し)に接続されている。そして、センサ用水平駆動回路14は、供給される駆動信号に基づいて、その垂直方向yに並ぶ複数の受光素子から受光データを、順次、読み出す。ここでは、垂直方向yに並ぶ複数の画素Pに対応して形成された複数の受光素子のそれぞれに、信号読み出し線(図示無し)が接続され、その信号読み出し線が水平方向xに並ぶ複数の画素Pに対応するように複数形成されており、センサ用水平駆動回路14は、その複数の信号読み出し線を介して受光素子から、順次、受光データを読み出した後、位置検出部402(図1参照)へ出力する。そして、液晶パネル200の表示領域PAにユーザーの指やタッチペンなどの被検知体が接触または近接した位置を、その受光素子から出力される受光データに基づいて、位置検出部402が検出する。
【0039】
(液晶パネルの表示領域の構成)
図3は、本発明の実施形態1において、液晶パネル200における表示領域PAに設けられた画素Pの概略を模式的に示す断面図である。図4は、本発明の実施形態1において、液晶パネル200の表示領域PAに設けられた画素Pの概略を模式的に示す平面図である。図3は、図4においてX1−X2部分に対応する部分を示している。
【0040】
図3に示すように、液晶パネル200は、TFTアレイ基板201と、対向基板202と、液晶層203とを有している。液晶パネル200は、TFTアレイ基板201と対向基板202とがスペーサ(図示無し)によって間隔を隔てられ、シール材(図示無し)で貼り合わされており、そのTFTアレイ基板201と対向基板202との間の間隔に液晶層203が設けられている。
【0041】
また、図3と図4とに示すように、液晶パネル200は、画素Pにおいて、光透過領域TAと遮光領域RAとを含む。
【0042】
光透過領域TAにおいては、バックライト300から出射された照明光が、TFTアレイ基板201の側から対向基板202の側へ透過する。ここでは、光透過領域TAには、図3と図4とに示すように、カラーフィルタ層21が形成されており、バックライト300から出射された照明光が着色されて、TFTアレイ基板201の側から対向基板202の側へ透過する。
【0043】
一方で、遮光領域RAにおいては、図3と図4とに示すように、ブラックマトリクス層21Kが形成されており、バックライト300から出射された照明光を、ブラックマトリクス層21Kがカラーフィルタ層21の周囲において遮光する。
【0044】
そして、この遮光領域RAにおいては、図3と図4とに示すように、受光領域SAが形成されている。
【0045】
この受光領域SAにおいては、TFTアレイ基板201と対向基板202とが対面する面において、対向基板202の側からTFTアレイ基板201の側へ向かう光を受光する受光素子が、位置センサ素子32aとして形成されている。具体的には、図3に示すように、液晶パネル200は、対向基板202の側からTFTアレイ基板201の側へ向かう光において、ブラックマトリクス層21Kに形成された開口21aを透過する光を、その位置センサ素子32aが受光するように形成されている。この位置センサ素子32aは、図3に示すように、液晶パネル200の正面側において、ユーザーの指などの被検知体によってバックライト300から照射された照明光が反射された反射光を、対向基板202の側から受けて受光する。
【0046】
液晶パネル200の各部について説明する。
【0047】
TFTアレイ基板201について下記に示す。
【0048】
TFTアレイ基板201は、光を透過する絶縁体の基板であり、たとえば、ガラスにより形成されている。このTFTアレイ基板201においては、図3に示すように、対向基板202に対面する側の面に、画素スイッチング素子31と、補助容量素子Csと、位置センサ素子32aと、画素電極62と、第1光透過層206とが形成されている。
【0049】
なお、図3においては、画素Pのカラーフィルタ層21において赤フィルタ層21Rに対応するドット領域について示しているが、その他の緑フィルタ層21Gと青フィルタ層21Bとに対応するドット領域においては、位置センサ素子32aを除いた他の部材が、赤フィルタ層21Rに対応するドット領域の場合と同様に形成されている。
【0050】
TFTアレイ基板201の各部について示す。
【0051】
画素スイッチング素子31は、図3に示すように、TFTアレイ基板201において対向基板202に対面する側の面に、絶縁層42を介して形成されている。画素スイッチング素子31は、ゲート電極45と、ゲート絶縁膜46gと、半導体層48とを含み、たとえば、LDD構造のボトムゲート型TFTとして形成されている。
【0052】
具体的には、ゲート電極45は、たとえば、モリブデンなどの金属材料を用いて形成されている。また、ゲート絶縁膜46gは、シリコン酸化膜などの絶縁材料を用いて形成されている。また、半導体層48は、たとえば、低温ポリシリコンで形成されている。そして、半導体層48においては、ゲート電極45に対応するようにチャネル形成領域が形成されると共に、そのチャネル領域を挟むように一対のソース・ドレイン領域が形成されている。ここでは、図示を省略しているが、LDD構造になるように、この一対のソース・ドレイン領域は、一対の低濃度不純物領域がチャネル領域を挟むように形成され、さらに、その一対の低濃度不純物領域を挟むように高濃度不純物領域が形成されている。そして、ソース電極53とドレイン電極54とが、半導体層48を被覆する絶縁層49に設けられた開口に、アルミニウムなどの導電材料を埋め込み、パターン加工することによって形成されている。
【0053】
補助容量素子Csは、図3に示すように、TFTアレイ基板201において対向基板202に対面する側の面に、絶縁層42を介して形成されている。本実施形態においては、図4に示すように、上部電極44aと下部電極44bとのそれぞれによって、誘電体膜46cを挟むように形成されている。ここでは、画素スイッチング素子31のゲート電極45と同じ工程にて上部電極44aが形成される。そして、画素スイッチング素子31のゲート絶縁膜46gと同じ工程にて誘電体膜46cが形成され、半導体層48と同様な工程にて下部電極44bが形成される。そして、補助容量素子Csは、液晶層203による静電容量と並列になるように形成され、液晶層203に印加されるデータ信号による電荷を保持する。
【0054】
位置センサ素子32aは、受光センサ素子であって、図3に示すように、TFTアレイ基板201において対向基板202に対面する側の面に、絶縁層42を介して形成されている。ここでは、位置センサ素子32aは、図3に示すように、対向基板202の側からTFTアレイ基板201の側へ向う光を、液晶層203を介して受光するように、TFTアレイ基板201に設けられている。この位置センサ素子32aは、たとえば、PIN構造のフォトダイオードを含むPINセンサであって、コントロール電極43と、コントロール電極43上に設けられた絶縁膜46sと、絶縁膜46sを介してコントロール電極43に対面する半導体層47とを含む。そして、位置センサ素子32aは、受光領域SAから入射する光を受光し、光電変換することによって、受光データを生成し、読み出される。
【0055】
具体的には、位置センサ素子32aにおいて、コントロール電極43は、たとえば、モリブデンなどの金属材料を用いて形成されている。金属材料などのように光を遮光する遮光材料によってコントロール電極43を形成することによって、背面側から入射する照明光が半導体層47に入射しないように、その照明光を遮光することができる。つまり、本実施形態においては、コントロール電極43は、遮光膜として機能するように形成されている。また、絶縁膜46sは、シリコン酸化膜などの絶縁材料を用いて形成されている。また、半導体層47は、たとえば、低温ポリシリコンで形成されており、図示を省略しているが、p層とn層の間に高抵抗のi層が介在したPIN構造になるように構成されている。そして、アノード電極51とカソード電極52とが、絶縁層49に設けられた開口にアルミニウムを埋め込むことによって形成されている。
【0056】
画素電極62は、図3に示すように、TFTアレイ基板201において対向基板202に対面する面を被覆するように形成された層間絶縁膜60を覆うように形成されている。ここでは、図3に示すように、画素電極62は、層間絶縁膜60上において、光透過領域TAに対応するように形成されており、液晶層203に接続されている。画素電極62は、いわゆる透明電極であって、たとえば、ITOを用いて形成されている。そして、画素電極62は、バックライト300によって照明された光を変調するために、対向電極23と共に、液晶層203に電圧を印加する。なお、この画素電極62は、表示領域PAにおいて、複数の画素Pのそれぞれに対応するように複数がマトリクス状になるように配置されている。
【0057】
第1光透過層206は、図3に示すように、TFTアレイ基板201において対向基板202に対面する面とは反対側の面を被覆するように、表示領域にPR設けられている。本実施形態においては、第1光透過層206は、可視光線よりも赤外光線に対する透過性が高く、かつ、バックライト300が出射する照明光において、可視光線を偏光するように構成されている。たとえば、第1光透過層206は、トリアセチルセルロース(TAC)を基体とするヨウ素系材料で構成されている。具体的には、第2光透過層207は、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素が含有した構成であって、偏光軸が表示領域PAの長辺に対して45°の向きになるように形成されている。
【0058】
図5は、本発明にかかる実施形態1において、第1光透過層206の透過スペクトルを示す図である。図5において、横軸は、光の波長(nm)であり、縦軸は、光透過率である。
【0059】
図5に示すように、700nm以上の波長の光に対して、光透過率が高くなるように第1光透過層206を形成する。具体的には、図5に示すように、臨界波長が可視光線と赤外光線との境界になるように、可視光線よりも赤外光線に対する透過性が高い第1光透過層206を形成する。
【0060】
対向基板202について示す。
【0061】
対向基板202は、TFTアレイ基板201の場合と同様に、光を透過する絶縁体の基板であり、ガラスにより形成されている。そして、対向基板202は、図3に示すように、TFTアレイ基板201に対して間隔を隔てるよう対面している。そして、対向基板202には、図3に示すように、カラーフィルタ層21と、ブラックマトリクス層21Kと、平坦化膜22と、対向電極23と、第2光透過層207とが形成されている。
【0062】
対向基板202の各部について示す。
【0063】
カラーフィルタ層21は、図3に示すように、対向基板202にてTFTアレイ基板201に対面する側の面に形成されている。カラーフィルタ層21は、図4に示すように、光透過領域TAに対応するように、赤フィルタ層21Rと緑フィルタ層21Gと青フィルタ層21Bとが形成されている。ここでは、赤フィルタ層21Rと緑フィルタ層21Gと青フィルタ層21Bとのそれぞれは、矩形形状であり、水平方向xに並ぶように形成されている。カラーフィルタ層21は、たとえば、顔料や染料などの着色剤を含有するポリイミド樹脂を用いて形成される。ここでは、赤と緑と青との3原色を1組として構成されている。そして、カラーフィルタ層21は、バックライト300から出射された照明光を着色する。
【0064】
ブラックマトリクス層21Kは、図3に示すように、表示領域PAにおいて複数の画素Pを区画するように、遮光領域RAに形成され、光を遮光する。ここでは、ブラックマトリクス層21Kは、対向基板202にてTFTアレイ基板201に対面する側の面に形成されている。また、ブラックマトリクス層21Kは、光が透過する開口21aが、受光領域SAに対応するように形成されている。つまり、ブラックマトリクス層21Kは、図3と図4に示すように、遮光領域RAにおいて受光領域SA以外の領域に対応するように形成されている。たとえば、ブラックマトリクス層21Kは、黒色の金属酸化膜を用いて形成される。
【0065】
平坦化膜22は、図3に示すように、光透過領域TAと、遮光領域RAとのそれぞれに対応するように、対向基板202にてTFTアレイ基板201に対面する側の面に形成されている。ここでは、平坦化膜22は、光透過性の絶縁材料によって形成されている。そして、カラーフィルタ層21とブラックマトリクス層21Kとのそれぞれを被覆し、対向基板202にてTFTアレイ基板201に対面する面側を平坦化している。
【0066】
対向電極23は、図3に示すように、対向基板202にてTFTアレイ基板201に対面する側の面に形成されている。ここで、対向電極23は、平坦化膜22を被覆するように形成されている。対向電極23は、いわゆる透明電極であって、たとえば、ITOを用いて形成されている。
【0067】
第2光透過層207は、図3に示すように、対向基板202においてTFTアレイ基板201に対面する面とは反対側の面を被覆するように、表示領域PAに設けられている。本実施形態においては、第2光透過層207は、第1光透過層206と同様に、可視光線よりも赤外光線に対する透過性が高く、かつ、バックライト300が出射する照明光において、可視光線を偏光するように構成されている。たとえば、第2光透過層207は、第1光透過層206と同様に、トリアセチルセルロース(TAC)を基体とするヨウ素系材料で構成されている。具体的には、第2光透過層207は、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素が含有した構成であって、たとえば、第1光透過層206の偏光軸に対して直交するように形成されている。
【0068】
液晶層203について示す。
【0069】
液晶層203は、図3に示すように、TFTアレイ基板201と対向基板202との間にて挟持されており、配向処理されている。たとえば、液晶層203は、TFTアレイ基板201と対向基板202との間において、スペーサ(図示なし)により所定の距離が保持された間隔に、封入されている。そして、液晶層203は、TFTアレイ基板201および対向基板202に形成された液晶配向膜(図示なし)によって配向されている。たとえば、液晶層203は、液晶パネル200がノーマリブラック方式によって表示領域PAにおいて画像を表示するように、配向処理されている。たとえば、液晶分子が垂直配向するように液晶層203を形成し、そして、この液晶層203に電圧が印加されていない状態にて、バックライト300から照射された照明光が遮光され、表示領域PAにて黒表示になるように、偏光板として機能する第1光透過層206と、同様に偏光板として機能する第2光透過層207とを形成することで、ノーマリブラック方式を実現することができる。
【0070】
(動作)
以下より、上記の液晶表示装置100において、ユーザーの指などの被検知体が液晶パネル200の表示領域PAに接触もしくは移動された位置を検出する際の動作について説明する。
【0071】
図6は、本発明に係る実施形態1において、被検知体が液晶パネル200の表示領域PAに接触もしくは移動された位置を検出する際の様子を模式的に示す断面図である。図6においては、要部を記載し、その他の部分については、記載を省略している。
【0072】
ユーザーの指などの被検知体Fが表示領域PAに接触もしくは移動された場合には、図6に示すように、バックライト300から照明された照明光Rが、その被検知体Fによって反射された反射光Hを、液晶パネル200に形成された位置センサ素子32aが受光する。
【0073】
ここでは、バックライト300が可視光線VRと赤外光線IRとを含む照明光Rを、平面光として、液晶パネル200の背面に照射する。そして、その照明光Rは、液晶パネル200を介して、被検知体Fに照射され、被検知体Fによって反射される。そして、その被検知体Fによって反射された反射光Hを、位置センサ素子32aが受光する。
【0074】
具体的には、図6に示すように、第1光透過層206とTFTアレイ基板201と液晶層203と対向基板202と第2光透過層207とを介して、照明光Rが被検知体Fに照射される。そして、被検知体Fによって反射された反射光Hを、第2光透過層207と液晶層203と対向基板202とを介して、位置センサ素子32aが受光する。
【0075】
本実施形態においては、第1光透過層206と第2光透過層207とが、可視光線VRよりも赤外光線IRに対する透過性が高くなるように形成されている。このため、照明光Rにおいて可視光線VRは、第1光透過層206や第2光透過層207などの液晶パネル200の各部において吸収され、その強度が低下した状態で、位置センサ素子32aによって受光される。これに対して、照明光Rにおいて赤外光線IRは、液晶パネル200の各部において吸収される割合が可視光線VRよりも小さい。よって、被検知体Fによって反射された反射光Hに含まれる赤外光線IRは、その反射光Hに含まれる可視光線VRよりも大きな強度であるので、位置センサ素子32aは、赤外光線IRを効果的に受光できる。
【0076】
そして、その受光した光の強度に応じた信号強度の受光データを位置センサ素子32aが生成する。その後、周辺回路によって受光データが読み出され、その受光データが読み出された位置センサ素子32aの位置と、その位置センサ素子32aから読み出された受光データの信号強度とのそれぞれに基づいて、被検知体Fが表示領域PAにおいて接触した位置が、位置検出部402によって検出される。
【0077】
図7は、本発明にかかる実施形態1において、位置センサ素子32aによって得られた受光データによる相対信号強度を示す図である。図7において、(a)は、本実施形態の場合を示し、(b)は、本実施形態において第1光透過層206と第2光透過層207とを、ワイヤグリッドを用いた反射型偏光板に置換した場合を示し、(c)は、本実施形態において、バックライト300が照射する照明光を可視光線のみにした場合を示している。そして、図7においては、縦軸が相対信号強度を示しており、横軸が表示領域PAの面方向(パネル面内長手方向)における端部からの距離を示している。
【0078】
ここでは、表示領域PAの中央部分に棒状の被検知体Fを接触させて、各部の受光データを収集後、その中央部分以外において得られた受光データの信号強度に対する信号強度の割合を、相対信号強度として算出した。具体的には、輝度を700nitに調整し、表示領域PAの中央に直径5mmで表面が平坦かつ光拡散性の棒を置いた状態にて、各位置センサ素子32aの電流分布を計測し、その計測データに基づいて、上記のように、相対信号強度を算出した。
【0079】
図7(a)に示すように、本実施形態においては、被検知体ついて得られた受光データは、相対信号強度が約3.5であるのに対して、図7(b)と図7(c)とに示すように、他の場合においては、相対信号強度が約1.7である。このように、本実施形態においては、高いS/N比で、受光データを得ることができる。
【0080】
以上のように、本実施形態は、可視光線VRよりも赤外光線IRに対する透過性が高い第1,第2の光透過層206,207が表示領域PAに形成されている液晶パネル200の背面へ、バックライト300が可視光線VRと赤外光線IRとを照明光Rとして出射する。そして、液晶パネル200の正面の側において照明光Rが被検知体Fによって反射された反射光Hを、位置センサ素子32aが、第2光透過層207を介して受光する。このため、本実施形態は、反射光Hに含まれる可視光線VRと赤外光線IRとの間で強度差が生じるので、受光データのS/N比を改善することができる。特に、暗環境下や黒表示の場合のように、可視光線VRが位置センサ素子32aへ照射されにくい状況においても、赤外光線IRを受光可能であるので、効果的である。
【0081】
また、本実施形態においては、第1光透過層206と第2光透過層207とが偏光作用を有するように形成している。このため、画像表示に寄与する可視光線は、第1光透過層206で減衰するが、第2光透過層207においては減衰することなく透過され、画像表示に利用されるので、好適である。また、本実施形態においては、位置センサ素子32aのコントロール電極43を遮光膜として機能するように形成しているため、さらに、受光データのS/N比を向上できる。
【0082】
<実施形態2>
以下より、本発明にかかる実施形態2について説明する。
【0083】
(液晶パネルの表示領域の構成)
図8は、本発明にかかる実施形態2において、液晶パネル200における表示領域PAに設けられた画素Pの概略を模式的に示す断面図である。図8は、前述の図3と同様に、図4においてX1−X2部分に対応する部分を示している。
【0084】
本実施形態においては、図8に示すように、液晶パネル200は、第3光透過層208を有する。この点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複するう個所については、説明を省略する。
【0085】
図8に示すように、第3光透過層208は、対向基板202においてTFTアレイ基板201に対面する面に設けられている。ここでは、第3光透過層208は、図8に示すように、遮光領域RAに設けられた受光領域SAに対応するように形成されている。
【0086】
具体的には、図8に示すように、第3光透過層208は、受光領域SAを被覆するように、たとえば、対向電極23上に設けられている。本実施形態においては、第3光透過層208は、第1光透過層206および第2光透過層207と同様に、可視光線よりも赤外光線に対する透過性が高くなるように構成されると共に、バックライト300が出射する照明光において、第2光透過層207を介して入射する可視光線を偏光するように構成されている。ここでは、第3光透過層208は、第2光透過層207の偏光軸に対して偏光軸が直交するように形成されている。たとえば、第3光透過層208は、リオトロピック液晶を偏光材料として含む塗布液を応力をかけながら塗布し硬化させた後に、その塗布膜をパターン加工することによって、形成される。たとえば、フォトリソグラフィ法やインクジェット塗布法によって形成されている。
【0087】
(動作)
以下より、上記の液晶表示装置100において、ユーザーの指などの被検知体が液晶パネル200の表示領域PAに接触もしくは移動された位置を検出する際の動作について説明する。
【0088】
図9は、本発明に係る実施形態2において、被検知体が液晶パネル200の表示領域PAに接触もしくは移動された位置を検出する際の様子を模式的に示す断面図である。図9においては、要部を記載し、その他の部分については、記載を省略している。
【0089】
図9に示すように、実施形態1の場合と同様に、バックライト300が可視光線VRと赤外光線IRとを含む照明光Rを、平面光として、液晶パネル200の背面に照射する。そして、その照明光Rは、液晶パネル200を介して、被検知体Fに照射され、被検知体Fによって反射される。そして、その被検知体Fによって反射された反射光Hを、位置センサ素子32aが受光する。
【0090】
本実施形態においては、上記したように、第2光透過層207と第3光透過層208との偏光軸が直交している。このため、受光領域SAにおいて液晶パネル200の正面側から第2光透過層207を介して入射する反射光Hに含まれる可視光線VRについては、第3光透過層208が遮光する。一方で、その受光領域SAにおいて第2光透過層207を介して入射する反射光Hに含まれる赤外光線IRについては、第3光透過層208を透過する。よって、被検知体Fによって反射された反射光Hにおいては、可視光線VRが含まず、赤外光線IRを含むので、位置センサ素子32aは、赤外光線IRを効果的に受光できる。
【0091】
そして、実施形態1と同様に、その受光した光の強度に応じた信号強度の受光データを位置センサ素子32aが生成後に読み出され、被検知体Fが表示領域PAにおいて接触した位置が、位置検出部402によって検出される。
【0092】
図10は、本発明にかかる実施形態2において、位置センサ素子32aによって得られた受光データによる相対信号強度を示す図である。図10においては、縦軸が相対信号強度を示しており、横軸が表示領域PAの面方向(パネル面内長手方向)における端部からの距離を示している。ここでは、実施形態1で示した方法と同様な方法によって、相対信号強度を計測した。
【0093】
図10に示すように、本実施形態においては、被検知体ついて得られた受光データは、相対信号強度が約4.5である。このため、本実施形態は、図7に示した結果と比較することによってわかるように、より高い強度で、受光データを得ることができる。
【0094】
以上のように、本実施形態は、可視光線VRと赤外光線IRとを含む照明光Rを、バックライト300が出射して、被検知体Fを照明した後、その被検知体Fによって反射された反射光Hを、第2光透過層207および第3光透過層208を介して位置センサ素子32aが受光する。ここでは、第2光透過層207の偏光軸と、第3光透過層の偏光軸とが、互いに直交するように、第2光透過層207と第3光透過層208とが形成されている。このため、上述したように、被検知体Fによって反射された反射光Hは、位置センサ素子32aによって受光される際には、可視光線VRが遮光され、赤外光線IRのみが透過する。したがって、本実施形態は、反射光Hに含まれる可視光線VRと赤外光線IRとの間で強度差が生じ、位置センサ素子32aが、その赤外光線IRを高い強度で検出可能であるため、受光データのS/N比を改善することができる。
【0095】
さらに、本実施形態においては、対向基板202においてTFTアレイ基板201に対面する面に第3光透過層208が形成されている。対向基板202ではなく、TFTアレイ基板201において対向基板202に対面する面に、この第3光透過層208を形成した場合には、液晶層203を介して、反射光Hが第3光透過層208に入射される。この場合には、液晶層203の液晶分子の配向方向の影響を受けて、反射光Hが第3光透過層208に入射される。このため、反射光Hに含まれる可視光線VRの偏光状態が所望の状態でない場合、第3光透過層208が、その可視光線VRを十分に遮光することが困難になり、反射光Hに含まれる可視光線VRと赤外光線IRとの間で十分な強度差を得ることが、容易ではなくなる場合がある。しかし、本実施形態においては、対向基板202においてTFTアレイ基板201に対面する面に第3光透過層208を形成しているので、液晶層203を介在しないで、反射光Hが第3光透過層208に入射される。このため、反射光Hに含まれる可視光線VRと赤外光線IRとの間で十分な強度差が得られるので、受光データのS/N比を更に改善することができる。
【0096】
なお、本発明の実施に際しては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形形態を採用することができる。
【0097】
たとえば、本実施形態においては、画素スイッチング素子31を、ボトムゲート型の薄膜トランジスタとして構成する場合について説明したが、これに限定されない。
【0098】
図11は、本発明にかかる実施形態において、画素スイッチング素子31の構成の変形形態を示す断面図である。
【0099】
図11に示すように、たとえば、トップゲート型のTFTを、画素スイッチング素子31として形成してもよい。この場合には、図11に示すように、たとえば、半導体層48とTFTアレイ基板201との間に遮光膜50を設ける。ここでは、チャネル長よりも長くなるように遮光膜50を設ける。そして、その遮光膜50を被覆するように、層間絶縁膜42をTFTアレイ基板201の面に形成後、その層間絶縁膜42上に、画素スイッチング素子31を形成する。これにより、液晶パネル200の裏面側から画素スイッチング素子31の半導体層48へ入射される光が遮光膜50によって遮光される。
【0100】
また、本実施形態においては、複数の画素Pに対応するように複数の位置センサ素子32aを設ける場合について示したが、これに限定されない。たとえば、複数の画素Pに対して1つの位置センサ素子32aを設けてもよく、逆に、1つの画素Pに対して複数の位置センサ素子32aを設けてもよい。
【0101】
また、本実施形態の液晶表示装置100は、さまざまな電子機器の部品として適用することができる。
【0102】
図12から図16は、本発明にかかる実施形態の液晶表示装置100を適用した電子機器を示す図である。
【0103】
図12に示すように、テレビジョン放送を受信し表示するテレビにおいて、その受信した画像を表示画面に表示すると共に、オペレータの操作指令が入力される表示装置として液晶表示装置100を適用することができる。
【0104】
また、図13に示すように、デジタルスチルカメラにおいて、その撮像画像などの画像を表示画面に表示すると共に、オペレータの操作指令が入力される表示装置として液晶表示装置100を適用することができる。
【0105】
また、図14に示すように、ノート型パーソナルコンピュータにおいて、操作画像などを表示画面に表示すると共に、オペレータの操作指令が入力される表示装置として液晶表示装置100を適用することができる。
【0106】
また、図15に示すように、携帯電話端末において、操作画像などを表示画面に表示すると共に、オペレータの操作指令が入力される表示装置として液晶表示装置100を適用することができる。
【0107】
また、図16に示すように、ビデオカメラにおいて、操作画像などを表示画面に表示すると共に、オペレータの操作指令が入力される表示装置として液晶表示装置100を適用することができる。
【0108】
この他に、本実施形態においては、位置センサ素子32aについて、受光素子であるPINセンサを設けた場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、チャネル領域に不純物がドープされたPDN構造のフォトダイオードを含む、PDNセンサを、位置センサ素子32aとして形成しても同様な効果を奏することができる。また、この他に、たとえば、位置センサ素子32aとしてフォトトランジスタを形成してもよい。
【0109】
また、本実施形態においては、位置センサ素子32aをボトムゲート構造になるように形成した場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、トップゲート構造になるように、この位置センサ素子32aを形成してもよい。また、デュアルゲート構造になるように、この位置センサ素子32aを形成してもよい。
【0110】
また、本実施形態においては、非可視光線として赤外光線を含むように照明光を照射する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、非可視光線として紫外光線を含むように照明光を照射してもよい。
【0111】
また、本実施形態においては、第1光透過層206および第2光透過層207と、第3光透過層208とを互いに異なる材料を用いて形成する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、第3光透過層208と同じ材料および方法にて、第1光透過層206および第2光透過層207を形成してもよい。
【0112】
また、本実施形態においては、赤フィルタ層21Rと緑フィルタ層21Gと青フィルタ層21Bとのそれぞれをストライプ形状とし、それぞれを水平方向xに並ぶように形成すると共に、赤フィルタ層21Rと緑フィルタ層21Gと青フィルタ層21Bとに並ぶように、受光領域SAを赤フィルタ層21Rの隣に形成しているが(図4参照)、これに限定されない。たとえば、赤フィルタ層21Rと緑フィルタ層21Gと青フィルタ層21Bと受光領域SAとを一組とし、その赤フィルタ層21Rと緑フィルタ層21Gと青フィルタ層21Bと受光領域SAとを、2×2のマトリクス状に配置しても良い。
【0113】
また、有機EL表示素子、電子ペーパーなどの他の表示装置においても、適用可能である。
【0114】
なお、上記の実施形態において、位置センサ素子32aは、本発明の受光素子に相当する。また、上記の実施形態において、コントロール電極43は、本発明の遮光層に相当する。また、上記の実施形態において、液晶表示装置100は、本発明の表示装置に相当する。また、上記の実施形態において、液晶パネル200は、本発明の表示パネルに相当する。また、上記の実施形態において、TFTアレイ基板201は、本発明の第1基板に相当する。また、上記の実施形態において、対向基板202は、本発明の第2基板に相当する。また、上記の実施形態において、液晶層203は、本発明の液晶層に相当する。また、上記の実施形態において、第1光透過層206は、本発明の光透過層および第1光透過層に相当する。また、上記の実施形態において、第2光透過層207は、本発明の光透過層および第2光透過層に相当する。また、上記の実施形態において、第3光透過層208は、本発明の光透過層および第3光透過層に相当する。また、上記の実施形態において、バックライト300は、本発明の照明部に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】図1は、本発明にかかる実施形態1において、液晶表示装置100の構成を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明にかかる実施形態1において、液晶パネル200を示す平面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態1において、液晶パネル200における表示領域PAに設けられた画素Pの概略を模式的に示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態1において、液晶パネル200の表示領域PAに設けられた画素Pの概略を模式的に示す平面図である。
【図5】図5は、本発明にかかる実施形態1において、第1光透過層206の透過スペクトルを示す図である。
【図6】図6は、本発明に係る実施形態1において、被検知体が液晶パネル200の表示領域PAに接触もしくは移動された位置を検出する際の様子を模式的に示す断面図である。
【図7】図7は、本発明にかかる実施形態1において、位置センサ素子32aによって得られた受光データによる相対信号強度を示す図である。
【図8】図8は、本発明にかかる実施形態2において、液晶パネル200における表示領域PAに設けられた画素Pの概略を模式的に示す断面図である。
【図9】図9は、本発明に係る実施形態2において、被検知体が液晶パネル200の表示領域PAに接触もしくは移動された位置を検出する際の様子を模式的に示す断面図である。
【図10】図10は、本発明にかかる実施形態2において、位置センサ素子32aによって得られた受光データによる相対信号強度を示す図である。
【図11】図11は、本発明にかかる実施形態において、画素スイッチング素子31の構成の変形形態を示す断面図である。
【図12】図12は、本発明にかかる実施形態の液晶表示装置100を適用した電子機器を示す図である。
【図13】図13は、本発明にかかる実施形態の液晶表示装置100を適用した電子機器を示す図である。
【図14】図14は、本発明にかかる実施形態の液晶表示装置100を適用した電子機器を示す図である。
【図15】図15は、本発明にかかる実施形態の液晶表示装置100を適用した電子機器を示す図である。
【図16】図16は、本発明にかかる実施形態の液晶表示装置100を適用した電子機器を示す図である。
【符号の説明】
【0116】
32a:位置センサ素子(受光素子)、43:コントロール電極(遮光層)、100:液晶表示装置(表示装置)、200:液晶パネル(表示パネル)、201:TFTアレイ基板(第1基板)、202:対向基板(第2基板)、203:液晶層(液晶層)、206:第1光透過層(光透過層,第1光透過層)、207:第2光透過層(光透過層,第2光透過層)、208:第3光透過層(光透過層,第3光透過層)、300:バックライト(照明部)、400:データ処理部、401:制御部、402:位置検出部、PA:表示領域(表示領域)、CA:周辺領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素が複数配置された表示領域に受光素子が複数形成されている表示パネルと、前記表示パネルの一方の面へ照明光を出射する照明部とを具備し、前記表示パネルの他方の面の側において前記照明光が被検知体によって反射された反射光を前記受光素子が受光することにより、前記表示領域における被検知体の位置を検出する表示装置であって、
前記照明部は、
可視光線と不可視光線とを前記照明光として出射するように構成されており、
前記表示パネルは、
前記可視光線よりも前記不可視光線に対する透過性が高い光透過層が、前記表示領域に形成されており、
前記受光素子は、前記光透過層を介して入射する前記反射光を受光する
表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルは、
第1基板と、
前記第1基板から間隔を隔てて対面している第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間にて挟持されている液晶層と
を含む液晶パネルであり、
前記照明部は、前記第1基板の側から前記第2基板の側へ前記照明光を出射するように配置されており、
前記光透過層は、前記第1基板と前記第2基板との少なくとも一方に形成されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光透過層は、前記照明部が出射する照明光において、可視光線を偏光するように構成されている、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記光透過層は、
前記第1基板に形成された第1光透過層と、
前記第2基板に形成された第2光透過層と
を含み、
前記第1光透過層は、前記照明部が出射する照明光において、可視光線を偏光するように構成され、
前記第2光透過層は、前記第1光透過層を介して入射される可視光線を偏光するように構成されている
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記光透過層は、
前記第2基板に形成された第3光透過層
を、さらに含み、
前記第2光透過層は、前記第2基板において前記第1基板に対面する面に対して反対側の面に形成されており、
前記第3光透過層は、前記第2基板において前記第1基板に対面する面に形成され、前記第2光透過層を介して入射される可視光線を偏光するように構成されており、
前記受光素子は、前記第1基板に形成され、前記第3光透過層を透過した光を受光する、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第3光透過層は、前記第2光透過層を介して入射される可視光線を遮光すると共に、前記第2光透過層を介して入射される不可視光線を透過するように、前記第2光透過層を透過した光を偏光し、
前記受光素子は、前記第3光透過層を透過した不可視光線を受光する、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記照明部が出射する照明光において前記受光素子へ出射される光を遮光する遮光部が、前記第1基板に形成されている、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記照明部は、赤外線を前記不可視光線として出射するように構成されている、
請求項7に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−134041(P2009−134041A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309734(P2007−309734)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】