表示装置
【課題】 シュウ酸などの弱酸性溶液を用いたエッチングにおいても、透明導電膜の残渣
を生じず、特に発光素子の電極として適した電極構造を有する表示装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の表示装置は、透明導電膜が積層した積層構造の電極を有する表示
装置であり、前記電極は、弱酸性溶液を用いたエッチングにおいて残渣を生じない第1の
透明導電膜を最下層とし、仕事関数が5.0eV以上の第2の透明導電膜を最上層として
いることを特徴としている。
を生じず、特に発光素子の電極として適した電極構造を有する表示装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の表示装置は、透明導電膜が積層した積層構造の電極を有する表示
装置であり、前記電極は、弱酸性溶液を用いたエッチングにおいて残渣を生じない第1の
透明導電膜を最下層とし、仕事関数が5.0eV以上の第2の透明導電膜を最上層として
いることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に発光素子を有するアクティブマトリクス型の表示装置の電極構造に関する。
【背景技術】
【0002】
EL(Electro Luminescence)表示装置や液晶表示装置等では、画素部の電極としてインジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)等の透明導電膜が用いられている。
【0003】
ITO膜を所望の電極形状に加工する方法としては、レジスト膜をマスクとしてウェットエッチングを行う方法が主として用いられている。
【0004】
一般に、ITO膜のウェットエッチングは、結晶質ITO膜よりも非晶質ITO膜に対して行う方が容易であることが知られており、このような特性を考慮した液晶表示装置の電極構造が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3257913号(第2頁、第1図)
【0006】
上記液晶表示装置の電極構造は、上層が結晶質ITO膜、下層が非晶質ITO膜とすることにより、エッチング性の向上を図ったものである。
【0007】
ところが、例えばスパッタ法を用いて成膜した非晶質ITO膜中には、成膜時に僅かに結晶成分が混在し、この結晶成分がウェットエッチング後の残渣として残ってしまうという問題がある。この傾向は、エッチング液として、シュウ酸などの弱酸性溶液を用いた場合に特に顕著である。
【0008】
しかしながら、EL表示装置や液晶表示装置に於いては、アルミニウムなどの耐酸性の低い導電膜を用いて配線を形成する。従って、ITO膜エッチング時に当該導電膜が腐食されてしまうのを防ぐために、ITO膜のエッチングには、弱酸性の溶液を用いることが好ましい。さらに、溶液の取り扱い易さといった点からも、強酸性の溶液よりも弱酸性の溶液を用いる方が好ましい。以上のことから、弱酸性溶液を用いてエッチングしても、残渣が残らないような電極構造又はエッチング方法の開発が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような問題に鑑み、本発明では、弱酸性溶液を用いたエッチングにおいても、透明導電膜の残渣を生じず、特に発光素子の電極として適した電極構造を有する表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の表示装置は、透明導電膜が積層した積層構造の電極を有する表示装置であり、前記電極は、弱酸性溶液を用いたエッチングにおいて残渣を生じない第1の透明導電膜を最下層とし、仕事関数が5.0eV以上の第2の透明導電膜を最上層としていることを特徴としている。
【0011】
上記ような電極構造とすることにより、前記第2の透明導電膜のエッチング時に発生した残渣を前記第1の透明導電膜のエッチング時にリフトオフし、除去することができる。
従って、弱酸性溶液を用いても残渣を生じることなくエッチングできる。
【0012】
前記第1の透明導電膜としては、例えば、酸化珪素(SiO2)または珪素(Si)のいずれか一若しくは両方を含むインジウム錫酸化物(ITO)や酸化亜鉛(ZnO)、又はガリウム(Ga)を含有した酸化亜鉛(ZnO:Ga)等を用いることができる。
【0013】
特に、酸化珪素(SiO2)または珪素(Si)のいずれか一若しくは両方を含むインジウム錫酸化物(ITO)は、成膜時に結晶成分を混在することがなく、完全に非晶質であり、シュウ酸などの弱酸性溶液を用いてエッチングしても残渣を生じることがなく、容易にエッチングできる。また少なくとも250℃以下の熱処理では結晶化されず、非晶質のままである。さらに、突起の発生が少なく平滑性が高いため、第2の透明導電膜成膜後の研磨工程を容易にする効果も有する。なお、酸化珪素(SiO2)または珪素(Si)
のいずれか一若しくは両方を含むインジウム錫酸化物(ITO)は、酸化珪素(SiO2)を1〜10wt%含有するインジウム錫酸化物をターゲットとしてスパッタ法により形成することができる。
【0014】
また、前記第2の透明導電膜としては、例えば、結晶質のインジウム錫酸化物(ITO)や酸化錫(SnO2)等の仕事関数が5.0eV以上の膜を用いることができる。
【0015】
なお、結晶質のインジウム錫酸化物(ITO)は、非晶質のインジウム錫酸化物(ITO)を成膜後、弱酸性溶液を用いてエッチングして所望の形状に加工したのち、さらに熱処理して結晶化し形成する。また結晶化後、酸素プラズマやアルカリ系溶液などを用いた表面処理により、仕事関数をより高くし、特に発光素子の陽極として適した電極とすることができる。
【0016】
また、本発明は、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit)
の端子接続部が、低抵抗な導電膜と、弱酸性溶液を用いたエッチングにおいて残渣を生じないで第1の透明導電膜と、仕事関数が5.0eV以上の第2の透明導電膜との積層構造であることも特徴としている。
【0017】
比抵抗が3μΩ以下の低抵抗な導電膜として、アルミニウム(Al)や銅(Cu)などを用いることができる。また第1の透明導電膜と、第2の透明導電膜とで導電膜が覆われていることにより、導電膜の酸化を防ぐことができ、抵抗値の増大を防止できる。
【0018】
また、本発明は、透明導電膜が積層した積層構造の電極を有する表示装置であり、スパッタ法により成膜した窒化珪素膜の上に前記電極が設けられており、前記電極は、弱酸性溶液を用いたエッチングにおいて残渣を生じない第1の透明導電膜を最下層とし、仕事関数が5.0eV以上の第2の透明導電膜を最上層としていることを特徴としている。
【0019】
非晶質インジウム錫酸化物の膜のエッチングによる残渣は、特にスパッタ法により成膜した窒化珪素膜上において生じやすい。しかしながら、発光素子を有する表示装置においては、発光素子からTFTへの不純物混入を防止するため、発光素子の下部にスパッタ法により成膜した窒化珪素膜を設けることが好ましい。さらに、アクリルやポリイミドなどの軟質な有機樹脂膜を層間絶縁膜として用いた場合、第2の透明導電膜成膜後の研磨工程に於いて、第1の透明導電膜の下部に窒化珪素膜のような硬質の無機膜を有する構造とする方が、研磨が容易になる。従って、本発明は、スパッタ法により成膜した窒化珪素膜上に透明導電膜からなる電極を形成する場合にも有効である。
【0020】
本発明において、第2の透明導電膜として結晶質のインジウム錫酸化物を用いた場合、第2の透明導電膜表面の突起を除去するための研磨工程を化学的機械的研磨法(CMP法)を用いて行ったとき、研磨に用いる薬液中に含有される鉄(Fe)やカリウム(K)などの金属を強酸性溶液を用いて除去できるという効果を有する。この場合、耐強酸性のない導電膜は、第2の透明導電膜により全て覆われた構造とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、弱酸性溶液を用いたエッチングにおいても、透明導電膜の残渣を生じることなく、発光素子の電極を形成することができる。従って、透明導電膜のエッチング時における配線などの腐食を防止でき、線欠陥などの表示不良のない表示装置を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明について説明する図。
【図2】本発明の表示装置の作製方法について説明する図。
【図3】本発明の表示装置の作製方法について説明する図。
【図4】本発明の表示装置の作製方法について説明する図。
【図5】本発明の表示装置の作製方法について説明する図。
【図6】本発明の表示装置の作製方法について説明する図。
【図7】本発明の表示装置について説明する図。
【図8】本発明の表示装置について説明する図。
【図9】本発明の表示装置について説明する図。
【図10】本発明の表示装置について説明する図。
【図11】本発明の表示装置を適用した電子機器について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一態様について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から 逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0024】
本発明の一態様について、図1を用いて説明する。
【0025】
図1において、基板19上には発光素子駆動用TFT10および発光素子11が形成されている。発光素子11は、陽極として機能する電極17と発光層14、陰極として機能する電極15とが下から順に積層した構造である。また、発光素子駆動用TFT10と発光素子11とは、配線18を介して接続している。
【0026】
発光素子の陽極として機能する電極17は、第1の透明導電膜12と、第1の透明導電膜12よりも膜厚の薄い第2の透明導電膜13とが積層した構造となっている。
【0027】
第1の透明導電膜12は、結晶成分を含有せず、シュウ酸((COOH)2)等の弱酸性溶液を用いたエッチングが容易である。また突起の発生確率が少なく、平滑性が高い。
また、第2の透明導電膜13は、仕事関数の高い材料で形成されている。
【0028】
第1の透明導電膜12としては、例えば、酸化珪素(SiO2)または珪素(Si)のいずれか一若しくは両方を含むインジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)や酸化亜鉛(ZnO)、ガリウム(Ga)を含有した酸化亜鉛(ZnO:Ga)等を用いることができる。また、第2の透明導電膜13としては、仕事関数の高い材料、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)や酸化錫(SnO2)等、仕事関数が5.0eV以上の膜を用いることができる。
【0029】
ITOやSnO2等からなる膜は、非晶質状態に於いて、弱酸性溶液によるエッチングが可能である。しかしながら、非晶質のITO膜中に僅かに形成される結晶質の部分が、エッチングの残渣として残ってしまうことがある。第1の透明導電膜12として弱酸性溶液を用いたエッチングによっても残渣を生じない膜を用いることにより、弱酸性溶液による第2の透明導電膜13のエッチング時に生じる残渣をリフトオフし、除去することができる。なお、ここで電極17を、弱酸性溶液を用いてエッチングするのは、エッチング溶液に触れた配線(通常、アルミニウムなどの耐酸性の低い材料で形成される)が腐食されるのを防止するためである。
【0030】
このように、第2の透明導電膜のエッチングにおける残渣の発生を抑制することができる。
【0031】
また、透明導電膜を形成したとき、膜表面に最大で数百μmの突起が形成される。通常、これらの突起は、発光素子がショートする原因となるため、膜表面を研磨して除去する。酸化珪素(SiO2)または珪素(Si)のいずれか一若しくは両方を含むインジウム錫酸化物(ITO)及びZnO、Gaを含有したZnO等から選ばれる一の物質で形成される透明導電膜は、突起に起因した凹凸が少なく、平滑性が高い。これらの平滑性の高い膜を第1の透明導電膜12に用いることにより、突起の発生数が減少し、研磨工程が容易になる。
【0032】
第1の透明導電膜12に用いられている酸化珪素(SiO2)または珪素(Si)のいずれか一若しくは両方を含むインジウム錫酸化物(ITO)及びZnO、Gaを含有したZnOから選ばれる一の物質は、弱酸性溶液を用いてエッチングしても残渣が生じず、容易にエッチングできる。
【0033】
また、第2の透明導電膜13をITOやSnO2等のような仕事関数の高い材料で形成することにより、発光素子の発光効率を高めることができる。なお、ITOやSnO2等の突起は成膜膜厚が厚くなる程、発生数が増加し、また凹凸が大きくなる傾向を示す。このため、約30nm以下の膜厚で成膜し、突起の発生を抑制する。但し、単層で約30nm以下の膜厚とした場合、配線による段差を被覆することが困難であるため、本実施の形態においては、下層に膜厚80〜120nmの厚さで第1の透明導電膜12を形成している。つまり第1の透明導電膜12は、第2の透明導電膜13の断切れを防止する機能も有する。
【0034】
本実施の形態において、第2の透明導電膜13は、熱処理により結晶化した後、表面処理をして仕事関数を高めたものを用いる。ここで、表面処理として、酸素プラズマ中にさらす方法等を用いることができる。
【0035】
以上のように、本発明を適用することにより、エッチングによる残渣の発生を抑制し、また平滑化を容易にすることが可能である。さらに、発光効率を高めることができる。
【実施例1】
【0036】
本実施例では、本発明の発光装置の作製方法を用いて、薄膜トランジスタ(TFT)と発光素子を備えたアクティブマトリクス型の表示装置の方法について図2〜6を用いて説明する。
【0037】
基板1500上に膜厚50〜100nmの下地絶縁膜1501aおよび膜厚50〜100nmの膜厚の下地絶縁膜1501bを積層成膜して形成する。下地絶縁膜1501(1501a、1501b)は、基板1500から半導体層への不純物拡散を防ぐために形成される。本実施例では、低アルカリガラスを用い、下地絶縁膜1501aには膜厚100nmの窒化珪素膜を下地絶縁膜1501bには膜厚100nmの酸化珪素膜をそれぞれプラズマCVD法により成膜した。また本実施例では、下地絶縁膜を二層の積層成膜しているが、不純物拡散の防止効果を得られるなら、一層あるいは三層以上の積層としてもよい。なお、TFT作製工程では、ガラスや石英等の透光性を有するものを用いるが、本実施例においては、下面発光型の発光装置を作製するため、各工程における処理温度に耐えうるものであれば、透光性を有するものに限らず他の基板を用いてもよい。
【0038】
次に、下地絶縁膜1501の上に半導体膜1502a〜1502dを形成する。半導体膜1502a〜1502dは、公知の成膜方法(CVD法やスパッタ法等)を用いて非晶質半導体膜を成膜後、公知の結晶化方法(固相成長法、レーザー結晶化法、ニッケルを触媒金属元素として用いた固相成長法等)により得られた結晶質珪素膜を所望の形状に加工して形成する。
【0039】
本実施例では、非晶質半導体膜として膜厚55nmの非晶質珪素膜をプラズマCVD法により形成した。なお、非晶質珪素膜以外に、非晶質シリコンゲルマニウム(SixGe1-X(X=0.0001〜0.02))等の非晶質半導体膜を用いてもよい。或いは、非晶質半導体膜を結晶化して結晶質半導体膜を得るのではなく、結晶質半導体膜を成膜してもよい。膜厚に関しても上記の膜厚に限らず適宜変更して構わない。
【0040】
また、非晶質珪素膜の結晶化は、ニッケルを触媒金属元素とした固相成長法(550℃、4時間の熱処理)を用いて行った。さらに結晶性を向上させるためにエキシマレーザーによる処理を行い、結晶質珪素膜を得る。
【0041】
次に、オゾン水を用いて結晶質珪素膜表面に1〜2nmの膜厚の薄い酸化膜を形成し、さらにその上に非晶質珪素膜をスパッタ法により100nmの膜厚で形成した。そして、550℃、4時間のファーネスによる熱処理を行い、結晶質珪素膜中に含有されている触媒金属元素を、非晶質珪素膜中へと移動させた(ゲッタリング処理)。ゲッタリング処理後、不要になった非晶質珪素膜(ゲッタリング後は触媒金属元素の効果により結晶質珪素膜となる場合がある)をTMAH溶液を用いて除去し、さらにフッ酸溶液を用いて除去した。
【0042】
次に、結晶質珪素膜をフォトリソグラフィーによるパターニングおよびエッチングにより所望の形状に加工し、半導体膜1502a〜1502dを形成した。
【0043】
なお、半導体膜1502a〜1502dを形成する前、もしくは形成した後、TFTの閾値を制御するための不純物添加(チャネルドープ)を行ってもよい。添加する不純物としては、ボロン又は燐などを用いればよい。
【0044】
レーザー結晶化法で結晶質半導体膜を形成する場合、レーザー媒質としてエキシマ(XeCl)やYAG、YVO4を用いたパルス発振型または連続発振型のレーザーを用いることができる。エキシマレーザーを用いる場合はパルス発振周波数を約300Hzとし、レーザーエネルギー密度を100〜400mJ/cm2とすればよい。また、YAGレーザーを用いる場合は第2高調波を用いてパルス発振周波数を30〜300Hzとし、レーザーエネルギー密度を300〜600mJ/cm2とすればよい。発振したレーザー光を幅100〜1000μmの線状に集光した線状レーザー光を、重ね合わせ率(オーバーラップ率)50〜90%として基板全面に渡って照射する方法を用いてもよい。
【0045】
次に、半導体膜1502a〜1502dを覆うようにゲート絶縁膜1503を形成する。本実施例では、プラズマCVD法を用いて110nmの膜厚の酸化珪素膜を成膜して形成した。なお、酸化珪素膜に限らず他の絶縁性を有する膜を用いて形成してもよい。膜厚も上記の値に限らず誘電率などを考慮し適宜変更して構わない。
【0046】
次に、ゲート絶縁膜1503の上に導電性膜1504と導電性膜1505を積層して形成する。本実施例では、スパッタ法により30nmの膜厚で窒化タンタル(TaN)を成膜して導電性膜1504を形成し、同じくスパッタ法により370nmの膜厚でタングステン(W)を成膜して導電性膜1505を形成した。なお導電性膜1504、1505に用いる材料としては、窒化タンタルやタングステンに限定されず、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を組み合わせた合金膜もしくは化合物材料、若しくは燐などの不純物元素を添加した多結晶珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。導電性膜1504としてはゲート絶縁膜との密着性がよい材料、また導電性膜1505については、9〜20μΩ・cm程度の抵抗値が得られる低抵抗な材料を選択すればよい。
【0047】
次に、導電性膜1504、1505をパターニングおよびエッチングにより所望の形状に加工する。まず、側壁に傾斜のついたレジストマスク1510〜1513を形成する。
次に、レジストマスク1510〜1513をマスクとして導電性膜1505をエッチングし、続いて導電性膜1504をエッチングして加工する。レジストマスク1510〜1513の側壁の傾斜角度(テーパー角度)に依存して、導電性膜1505は側壁に約26°のテーパー角度をもった導電性膜1506b、1507b、1508b、1509bに加工される。また、導電性膜1504も側壁に15〜45°のテーパー角度をもった導電性膜1506a、1507a、1508a、1509aに加工される。
【0048】
次に、レジストマスク1518〜1521をマスクとして導電性膜1506b、1507b、1508b、1509bを選択的にエッチングする。これにより、導電性膜1506b、1507b、1508b、1509bは、側壁がほぼ垂直である導電性膜1514b、1515b、1516b、1517bに加工される。この場合、エッチングには垂直方向を主体とした異方性エッチングを用いなければならない。またレジストマスク1518〜1521としては、前述の導電性膜1504、1505のエッチングに用いたレジストマスク1510〜1513をそのまま用いればよい。導電性膜1506a、1507a、1508a、1509aは加工されずに、そのまま導電性膜1514a、1515a、1516a、1517aとして残る。
【0049】
以上のようにして導電性膜1514a、1514bからなるゲート電極1514、導電性膜1515a、1515bからなるゲート電極1515、導電性膜1516a、1516bからなるゲート電極1516、導電性膜1517a、1517bからなるゲート電極1517が形成される。
【0050】
次に、ゲート電極1514〜1517をマスクとして低濃度のn型不純物の不純物添加を行う。本実施例では、低濃度の不純物として1×1017atoms/cm3の濃度の燐を半導体膜1502a〜1502dに添加し、低濃度不純物領域1522a〜1522dを形成した。ここで行った低濃度不純物添加は、TFTのオフリーク電流を抑制するためのLDD(Lightly Doped Drain)領域を形成するためのものであり、添加した不純物濃度によってオフリーク電流は変わる。従って、規定以下のオフリーク電流となるように、不純物の添加量は適宜変更すればよい。本実施例では、n型不純物として燐を用いているが、これに限らず他のものでもよい。
【0051】
次に、レジストマスク1525〜1527および導電性膜1514bをマスクとして高濃度のn型不純物の不純物添加を行う。なお、レジストマスク1525は半導体膜1502bおよびゲート電極1515を覆うように、レジストマスク1526は半導体膜1502cの一部(TFTのLDD領域となる部分)およびゲート電極1516を覆うように、レジストマスク1527は半導体膜1502dおよびゲート電極1507を覆うように形成されている。本実施例では、半導体膜1502aのうち上に導電性膜1514aが形成されていない部分、および半導体膜1502cのうち上にレジストマスク1526が形成されていない部分に1×1020atoms/cm3の高濃度の燐を添加した。同時に、半導体膜1502aのうち、上に導電性膜1514aが形成されている部分には1×1018atoms/cm3の低濃度の燐が添加されるようにした。これにより、高濃度の燐を含む高濃度不純物領域1523a、1523b、低濃度の燐を含む低濃度不純物領域1524が形成される。これは、導電性膜1514aが形成されている部分と、形成されていない部分とで添加される不純物に対する阻止能が異なることを利用している。本実施例では、n型不純物として燐を用いているが、これに限らず他のものでもよい。
【0052】
次に、レジストマスク1530、1531および導電性膜1515b、1517bをマスクとして高濃度のp型不純物の不純物添加を行う。レジストマスク1530は半導体膜1502aおよびゲート電極1514を覆うように、レジストマスク1531は半導体膜1502cおよびゲート電極1516を覆うように形成されている。本実施例では、半導体膜1502b、1502dのうち上に導電性膜1515a、1517aが形成されていない部分に1×1020atoms/cm3の高濃度のボロンを添加されるようにし、高濃度不純物領域1528a、1528bを形成した。同時に、半導体膜1502b、1502dのうち上に導電性膜1515a、1517aが形成されている部分には1×1019atoms/cm3の低濃度のボロンが添加されるようにし、低濃度不純物領域1529a、1529bを形成した。本実施例では、p型不純物としてボロンを用いているが、これに限らず他のものでもよい。
【0053】
以上のようにして、TFT1550〜1553を作製する。TFT1550、1551は駆動用回路用TFTであり、TFT1552はスイッチング用TFT、TFT1553は発光素子駆動用TFTである。
【0054】
次に、添加した不純物を活性化するための熱処理を行う。本実施例では、酸素濃度が0.1ppm以下の窒素雰囲気で550℃、4時間のファーネスによる熱処理を行った。なお、酸素濃度が0.1ppm以下の窒素雰囲気中で熱処理を行うのは、ゲート電極1514〜1517が酸化されるのを防止するためである。なお、TFT1550〜1553の上に酸化珪素膜などの絶縁性を有する膜を形成し、ゲート電極1514〜1517の酸化を防止する方法を用いるのであれば、酸素濃度は0.1ppm以上1ppm以下でもよい。またファーネス以外にレーザーによる活性化、またはRTA(Rapid Thermal Anneal)法など他の方法を用いてもよい。
【0055】
次に、TFT1550〜1553を覆うように層間絶縁膜1532を形成する。本実施例では、プラズマCVD法を用いて100nmの膜厚の窒化酸化珪素膜(SiNO)を成膜して形成した。なお、窒化酸化珪素膜に限らず他の絶縁性を有する膜を用いて形成してもよい。膜厚も上記の値に限らず誘電率などを考慮し適宜変更して構わない。
【0056】
次に、半導体膜のダングリングボンドを終端化するための水素化を行う。本実施例では、100%の水素雰囲気中で、410℃、1時間の熱処理を施し水素化を行った。熱処理による水素化以外に、プラズマを用いた水素化を行ってもよい。
【0057】
次に、層間絶縁膜1532の上に、層間絶縁膜1533を形成する。本実施例では、1.0μmのアクリルを塗布により成膜して層間絶縁膜1533を形成する。なお、アクリル以外にポリイミドなどの自己平坦性を有する有機膜を用いることができる。さらに、有機膜以外に、例えば酸化珪素などの無機膜を成膜した後、研磨などによりこれを平坦化した膜を用いてもよい。
【0058】
次に、層間絶縁膜1533の上に、さらに層間絶縁膜1534を形成する。本実施例では、スパッタ法を用いて100nmの膜厚の窒化珪素膜を成膜し、層間絶縁膜1534を形成した。ここで、層間絶縁膜1534は、後の工程で形成する発光素子からTFTへの不純物混入を阻止するためのバリア膜として機能する。
【0059】
次に、高濃度不純物領域1523a、1523b、1528a、1528bに達するコンタクトホールをパターニングおよびエッチングにより形成する。
【0060】
次に、TFT1550〜1553に電気的信号を伝達するための配線(又は電極)1535を形成する。コンタクトホールを形成後、層間絶縁膜1534の上にチタン(Ti)
、珪素を含有したアルミニウム(Al−Si)、チタン(Ti)を順に膜厚100nm、350nm、100nmの厚さで積層成膜した後、パターニング及びエッチングにより所望の形状に加工して、配線(又は電極)1535を形成する。
【0061】
次に、配線および電極1535を覆う第1の透明導電膜1536を形成する。5wt%の酸化珪素(SiO2)と85wt%の酸化インジウム(In2O3)と10wt%の酸化錫(SnO2)とを含有するターゲットを用い、50sccmのアルゴン(Ar)ガスおよび3sccmの酸素(O2)ガスを流してスパッタ法により、酸化珪素(SiO2)や珪素(Si)を含有するITOを膜厚90nmで成膜し、第1の透明導電膜1536とする。なお、上記のような条件で成膜した透明導電膜を、X線光電子分析装置(ESCA/XPS)を用いて分析したとき、酸素(O):珪素(Si):インジウム(In):錫(Sn)の組成比は、61:3:34:2であった。
【0062】
次に、第1の透明導電膜1536の上に、第2の透明導電膜1537を形成する。本実施例では、90wt%の酸化インジウム(In2O3)と10wt%の酸化錫(SnO2)
とを含有するターゲットを用い、50sccmのアルゴン(Ar)ガス、0.5sccmの酸素(O2)ガス、及び0.5sccmの水(H2O)を流してスパッタ法により、ITOを膜厚20nmの厚さで成膜して、第2の透明導電膜1537とする。なお、上記のような条件で成膜した透明導電膜を、X線光電子分析装置(ESCA/XPS)を用いて分析したとき、酸素(O):インジウム(In):錫(Sn)の組成(atomic%)は、62:36:2であった。
【0063】
次に、機械的な研磨法により、第2の透明導電膜1537の表面を研磨して、突起による凹凸を除去する。本実施例においては、スパッタ法により成膜した窒化珪素膜(SiN)を第1の透明導電膜の下部に有する構造となっており、研磨工程における第1の透明導電膜の膜剥がれが生じにくい。なお、研磨条件は、研磨加圧43gf/cm2、上定盤の回転数30rpm、下定盤の回転数20rpmであり、スエードタイプの研磨布および平均径0.4μmのアルミナ砥粒(砥粒濃度4wt%)のスラリーを用いて行う。
【0064】
次に、レジストマスクをマスクとし、弱酸であるシュウ酸((COOH)2)を5.0%以下の濃度で含有した水溶液を45℃の液温で用いて、第1の透明導電膜1536および第2の透明導電膜1537をエッチングし、所望の形状に加工する。
【0065】
次に、250℃の熱処理をして、第2の透明導電膜1537を結晶化する。なお、250℃の熱処理をしても、第1の透明導電膜1536は、結晶化されず非晶質のままである。
【0066】
ここで、希フッ酸溶液を用いて、第2の透明導電膜1537表面を処理し、先の研磨工程において第2の透明導電膜表面に付着した不純物を除去しても良い。結晶化した第2の透明導電膜1537は耐酸性が増しているため、希フッ酸溶液で短時間の処理であれば問題ない。但し、希フッ酸による処理を行う場合は、図8に示すように、配線(又は)電極1535および第1の透明導電膜1536を第2の透明導電膜1537で覆うような構造にしておくことが好ましい。
【0067】
次に、結晶化した第2の透明導電膜1537の表面を酸素プラズマ雰囲気で処理する。
これにより、第2の透明導電膜1537の仕事関数は約5.3eVと高くなる(なお、酸素プラズマ処理前は約4.8eVであった)。
【0068】
なお、本実施例では、第2の透明導電膜1537を所望の形状に加工する前に研磨処理を行っているが、第2の透明導電膜1537を加工後、若しくは加工後さらに結晶化した後、研磨処理を行ってもよい。
【0069】
以上のようにして、第1の透明導電膜1536および第2の透明導電膜1537からなる発光素子の電極1538を形成する。これにより、シュウ酸などの弱酸性溶液を用いても透明導電膜の残渣を生じることなくエッチングすることができる。
【0070】
なお、上記に示した工程により、本発明の表示装置に於いて、FPC端子部の構造を、配線(又は電極)1535と同一の層で形成される接続配線と、第1の透明導電膜および第2の透明導電膜との積層構造となっている。このような構造にすることにより、配線(又は電極)1535と同一の層で形成される接続配線が外気と接触して酸化されるのを防止でき、表示装置の信頼性が向上する。
【0071】
次に、発光素子の電極1538の一部が露出するように開口部を設けた絶縁膜1542を形成する。感光性アクリルを1.5μmの膜厚に塗布した後、これを現像および露光して絶縁膜1542を形成する。ここで、絶縁膜1542のエッジ部は丸みを帯びた形状をしている。なお、感光性アクリル以外に、非感光性アクリル、ポリイミド(感光性又は非感光性のいずれでもよい)、レジストなどの絶縁性を有する樹脂材料を用いてもよい。また、酸化珪素膜などの絶縁性を有する無機材料を用いてもよい。
【0072】
次に、TFTアレイ基板に残留している水分を除去するためのベークや紫外線照射などの前処理を行った後、発光素子の電極1538の上に、0.3%のDMQdを含有するAlq3を37.5nmの膜厚で成膜して発光層1543を形成する。なお、発光層1543の下方には正孔注入層としてCuPcを20nm、正孔輸送層としてα−NPDを40nmで成膜し、発光層1543の上方には電子輸送層としてAlq3を37.5nmの膜厚で成膜する。
【0073】
なお、発光層1543を形成するための材料や膜厚などは上記のものに限らず他の公知の材料を用いても構わない。また、多色発光とするために、積層構造、材料等の異なる発光層を複数形成しても構わない。また、上記に示したような有機材料以外に無機材料を用いて発光層を形成しても構わない。
【0074】
次に、発光素子の電極1544を形成する。発光素子の電極1544は、フッ化カルシウム(CaF2)と数%のLiを含有したアルミニウム(Al−Li)を積層して形成する。
【0075】
以上のようにして、発光素子の電極1538,発光層1543、発光素子の電極1544が積層した発光素子1545を形成する。なお、本実施例において、発光素子の電極1544は透光性を有しない膜で形成されており、発光素子1545の下方側(TFTが設けられている側)から採光する下面発光型の表示装置となっている。
【0076】
しかしながら、これに限らず、発光素子の電極1544を透光性のある膜(例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有する薄膜と、透明導電膜との積層膜)で形成し、発光素子1545の上方側からも採光できるようにした両面発光型の表示装置としてもよい。或いは、発光素子の電極1538を、反射膜として用いるアルミニウム(Al)と、第1の透明導電膜と、第2の透明導電膜との積層膜で形成し、発光素子1545の上方側から採光する上面発光型の表示装置としてもよい。
【0077】
次に、発光素子1545を保護するための保護膜1546を形成する。本実施例では、スパッタ法により窒化珪素膜を形成し、保護膜1546を形成した。なお、窒化珪素膜以外にも、DLC(Diamond like Carbon)など、他の材料を用いて形成してもよい。
【0078】
さらに、封止基板およびFPCを装着し、本発明を適用した表示装置を作製する。なお、水分混入による発光素子の劣化防止用として、封止基板に乾燥剤を取り付けてもよい。
【0079】
図7(A)は、本発明の表示装置の上面図、図7(B)は図7(A)をA−A’で切断した断面図である(断面A−A’には、同一構造を有するTFTが複数形成されているので、その一部のみを断面図には記載している。)。点線で示された2001はソース信号線駆動回路、2002は画素部、2003はゲート信号線駆動回路である。また、2004は封止基板、2005はシール剤であり、封止基板2004とシール剤2005で囲まれた内側は、空間になっている。
【0080】
2008はソース信号線駆動回路2001及びゲート信号線駆動回路2003に入力される信号を伝送するための接続配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)2009からビデオ信号やクロック信号を受け取る。また、接続配線2008は、二層(第1の透明導電膜2031と第2の透明導電膜2032)から成る透明導電膜によって覆われている。そして接続配線2008とFPC2009とは、異方導電性接着剤2036と透明導電膜とを介して電気的に接続している。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。
【実施例2】
【0081】
本実施例では、実施例1とは異なる構造の表示装置について図9を用いて説明する。
【0082】
図9において、各々のTFTに電気的信号を伝達するための配線(又は電極)1735は、第1の透明導電膜1736及び第2の透明導電膜1737から形成される発光素子の電極1738よりも上層に形成されている。このような構造の表示装置に於いては、発光素子の電極1738を形成した後、配線(又は電極)を形成している。なお、図9においては、発光素子の電極1738上に形成する絶縁膜や発光層等は図示していない。
【0083】
従って、例えば塩化第二鉄などの強酸性の溶液を用いて第1の透明導電膜1736及び第2の透明導電膜1737を加工することも可能ではあるが、溶液の取り扱い易さや溶液中に含有される金属元素からの汚染等を考慮すると、弱酸性溶液を用いたエッチングを行う方が好ましい。
【0084】
従って、上記のような構造の表示装置においても、本発明を適用し、弱酸性溶液を用いてエッチングすることが有効である。
【0085】
また、本実施例に於いても、発光素子の電極1738の下部にスパッタ法により成膜した窒化珪素膜を設けることで、研磨工程を容易にすることができる。
【実施例3】
【0086】
本実施例では、実施例1および実施例2とは異なる構造の表示装置について図10を用いて説明する。
【0087】
図10において、各々のTFTに電気的信号を伝達するための配線(又は電極)1835は第1の層間絶縁膜(1860、1861)上に設けられており、さらに配線(又は電極)1835の上には第2の層間絶縁膜(1862、1863)が設けられており、第2の層間絶縁膜(1862、1863)上には、第1の透明導電膜1836及び第2の透明導電膜1837からなる発光素子の電極1838が設けられている。第2の層間絶縁膜(1862、1863)は、アクリル又はポリイミドなどの有機樹脂膜1862と、その上にスパッタ法により形成された窒化珪素膜1863との2層構造となっている。なお、図10においては、発光素子の電極1838上に形成する絶縁膜や発光層等は図示していない。
【0088】
実施例2と同様に、本実施例に於いても、例えば塩化第二鉄などの強酸性の溶液を用いて第1の透明導電膜1836及び第2の透明導電膜1837を加工することも可能ではあるが、溶液の取り扱い易さや溶液中に含有される金属元素からの汚染等を考慮すると、弱酸性溶液を用いたエッチングを行う方が好ましい。
【0089】
従って、上記のような構造の表示装置においても、本発明を適用し、弱酸性溶液を用いてエッチングすることが有効である。
【0090】
また、本実施例に於いても、発光素子の電極1838の下部にスパッタ法により成膜した窒化珪素膜を設けることで、研磨工程を容易にすることができる。
【実施例4】
【0091】
本実施例においては、本発明を適用した電子機器について説明する。本発明を適用することにより、良好な画像を写す表示装置を搭載した電子機器を提供できる。
【0092】
図11(A)は表示装置であり、筐体5501、支持台5502、表示部5503を含む。本発明は表示部5503を有する表示装置に適用が可能である。
【0093】
図11(B)はビデオカメラであり、本体5511、表示部5512、音声入力部5513、操作スイッチ5514、バッテリー5515、受像部5516などによって構成されている。
【0094】
図11(C)は、本発明を適用して作製したノート型のパーソナルコンピュータであり、本体5521、筐体5522、表示部5523、キーボード5524などによって構成されている。
【0095】
図11(D)は、本発明を適用して作製した携帯情報端末(PDA)であり、本体5531には表示部5533と、外部インターフェイス5535と、操作ボタン5534等が設けられている。また操作用の付属品としてスタイラス5532がある。
【0096】
図11(E)はデジタルカメラであり、本体5551、表示部(A)5552、接眼部5553、操作スイッチ5554、表示部(B)5555、バッテリー5556などによって構成されている。
【0097】
図11(F)は、本発明を適用して作製した携帯電話である。本体5561には表示部5564と、音声出力部5562、音声出力部5563、操作スイッチ5565、アンテナ5566等が設けられている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に発光素子を有するアクティブマトリクス型の表示装置の電極構造に関する。
【背景技術】
【0002】
EL(Electro Luminescence)表示装置や液晶表示装置等では、画素部の電極としてインジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)等の透明導電膜が用いられている。
【0003】
ITO膜を所望の電極形状に加工する方法としては、レジスト膜をマスクとしてウェットエッチングを行う方法が主として用いられている。
【0004】
一般に、ITO膜のウェットエッチングは、結晶質ITO膜よりも非晶質ITO膜に対して行う方が容易であることが知られており、このような特性を考慮した液晶表示装置の電極構造が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3257913号(第2頁、第1図)
【0006】
上記液晶表示装置の電極構造は、上層が結晶質ITO膜、下層が非晶質ITO膜とすることにより、エッチング性の向上を図ったものである。
【0007】
ところが、例えばスパッタ法を用いて成膜した非晶質ITO膜中には、成膜時に僅かに結晶成分が混在し、この結晶成分がウェットエッチング後の残渣として残ってしまうという問題がある。この傾向は、エッチング液として、シュウ酸などの弱酸性溶液を用いた場合に特に顕著である。
【0008】
しかしながら、EL表示装置や液晶表示装置に於いては、アルミニウムなどの耐酸性の低い導電膜を用いて配線を形成する。従って、ITO膜エッチング時に当該導電膜が腐食されてしまうのを防ぐために、ITO膜のエッチングには、弱酸性の溶液を用いることが好ましい。さらに、溶液の取り扱い易さといった点からも、強酸性の溶液よりも弱酸性の溶液を用いる方が好ましい。以上のことから、弱酸性溶液を用いてエッチングしても、残渣が残らないような電極構造又はエッチング方法の開発が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような問題に鑑み、本発明では、弱酸性溶液を用いたエッチングにおいても、透明導電膜の残渣を生じず、特に発光素子の電極として適した電極構造を有する表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の表示装置は、透明導電膜が積層した積層構造の電極を有する表示装置であり、前記電極は、弱酸性溶液を用いたエッチングにおいて残渣を生じない第1の透明導電膜を最下層とし、仕事関数が5.0eV以上の第2の透明導電膜を最上層としていることを特徴としている。
【0011】
上記ような電極構造とすることにより、前記第2の透明導電膜のエッチング時に発生した残渣を前記第1の透明導電膜のエッチング時にリフトオフし、除去することができる。
従って、弱酸性溶液を用いても残渣を生じることなくエッチングできる。
【0012】
前記第1の透明導電膜としては、例えば、酸化珪素(SiO2)または珪素(Si)のいずれか一若しくは両方を含むインジウム錫酸化物(ITO)や酸化亜鉛(ZnO)、又はガリウム(Ga)を含有した酸化亜鉛(ZnO:Ga)等を用いることができる。
【0013】
特に、酸化珪素(SiO2)または珪素(Si)のいずれか一若しくは両方を含むインジウム錫酸化物(ITO)は、成膜時に結晶成分を混在することがなく、完全に非晶質であり、シュウ酸などの弱酸性溶液を用いてエッチングしても残渣を生じることがなく、容易にエッチングできる。また少なくとも250℃以下の熱処理では結晶化されず、非晶質のままである。さらに、突起の発生が少なく平滑性が高いため、第2の透明導電膜成膜後の研磨工程を容易にする効果も有する。なお、酸化珪素(SiO2)または珪素(Si)
のいずれか一若しくは両方を含むインジウム錫酸化物(ITO)は、酸化珪素(SiO2)を1〜10wt%含有するインジウム錫酸化物をターゲットとしてスパッタ法により形成することができる。
【0014】
また、前記第2の透明導電膜としては、例えば、結晶質のインジウム錫酸化物(ITO)や酸化錫(SnO2)等の仕事関数が5.0eV以上の膜を用いることができる。
【0015】
なお、結晶質のインジウム錫酸化物(ITO)は、非晶質のインジウム錫酸化物(ITO)を成膜後、弱酸性溶液を用いてエッチングして所望の形状に加工したのち、さらに熱処理して結晶化し形成する。また結晶化後、酸素プラズマやアルカリ系溶液などを用いた表面処理により、仕事関数をより高くし、特に発光素子の陽極として適した電極とすることができる。
【0016】
また、本発明は、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit)
の端子接続部が、低抵抗な導電膜と、弱酸性溶液を用いたエッチングにおいて残渣を生じないで第1の透明導電膜と、仕事関数が5.0eV以上の第2の透明導電膜との積層構造であることも特徴としている。
【0017】
比抵抗が3μΩ以下の低抵抗な導電膜として、アルミニウム(Al)や銅(Cu)などを用いることができる。また第1の透明導電膜と、第2の透明導電膜とで導電膜が覆われていることにより、導電膜の酸化を防ぐことができ、抵抗値の増大を防止できる。
【0018】
また、本発明は、透明導電膜が積層した積層構造の電極を有する表示装置であり、スパッタ法により成膜した窒化珪素膜の上に前記電極が設けられており、前記電極は、弱酸性溶液を用いたエッチングにおいて残渣を生じない第1の透明導電膜を最下層とし、仕事関数が5.0eV以上の第2の透明導電膜を最上層としていることを特徴としている。
【0019】
非晶質インジウム錫酸化物の膜のエッチングによる残渣は、特にスパッタ法により成膜した窒化珪素膜上において生じやすい。しかしながら、発光素子を有する表示装置においては、発光素子からTFTへの不純物混入を防止するため、発光素子の下部にスパッタ法により成膜した窒化珪素膜を設けることが好ましい。さらに、アクリルやポリイミドなどの軟質な有機樹脂膜を層間絶縁膜として用いた場合、第2の透明導電膜成膜後の研磨工程に於いて、第1の透明導電膜の下部に窒化珪素膜のような硬質の無機膜を有する構造とする方が、研磨が容易になる。従って、本発明は、スパッタ法により成膜した窒化珪素膜上に透明導電膜からなる電極を形成する場合にも有効である。
【0020】
本発明において、第2の透明導電膜として結晶質のインジウム錫酸化物を用いた場合、第2の透明導電膜表面の突起を除去するための研磨工程を化学的機械的研磨法(CMP法)を用いて行ったとき、研磨に用いる薬液中に含有される鉄(Fe)やカリウム(K)などの金属を強酸性溶液を用いて除去できるという効果を有する。この場合、耐強酸性のない導電膜は、第2の透明導電膜により全て覆われた構造とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、弱酸性溶液を用いたエッチングにおいても、透明導電膜の残渣を生じることなく、発光素子の電極を形成することができる。従って、透明導電膜のエッチング時における配線などの腐食を防止でき、線欠陥などの表示不良のない表示装置を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明について説明する図。
【図2】本発明の表示装置の作製方法について説明する図。
【図3】本発明の表示装置の作製方法について説明する図。
【図4】本発明の表示装置の作製方法について説明する図。
【図5】本発明の表示装置の作製方法について説明する図。
【図6】本発明の表示装置の作製方法について説明する図。
【図7】本発明の表示装置について説明する図。
【図8】本発明の表示装置について説明する図。
【図9】本発明の表示装置について説明する図。
【図10】本発明の表示装置について説明する図。
【図11】本発明の表示装置を適用した電子機器について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一態様について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から 逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0024】
本発明の一態様について、図1を用いて説明する。
【0025】
図1において、基板19上には発光素子駆動用TFT10および発光素子11が形成されている。発光素子11は、陽極として機能する電極17と発光層14、陰極として機能する電極15とが下から順に積層した構造である。また、発光素子駆動用TFT10と発光素子11とは、配線18を介して接続している。
【0026】
発光素子の陽極として機能する電極17は、第1の透明導電膜12と、第1の透明導電膜12よりも膜厚の薄い第2の透明導電膜13とが積層した構造となっている。
【0027】
第1の透明導電膜12は、結晶成分を含有せず、シュウ酸((COOH)2)等の弱酸性溶液を用いたエッチングが容易である。また突起の発生確率が少なく、平滑性が高い。
また、第2の透明導電膜13は、仕事関数の高い材料で形成されている。
【0028】
第1の透明導電膜12としては、例えば、酸化珪素(SiO2)または珪素(Si)のいずれか一若しくは両方を含むインジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)や酸化亜鉛(ZnO)、ガリウム(Ga)を含有した酸化亜鉛(ZnO:Ga)等を用いることができる。また、第2の透明導電膜13としては、仕事関数の高い材料、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)や酸化錫(SnO2)等、仕事関数が5.0eV以上の膜を用いることができる。
【0029】
ITOやSnO2等からなる膜は、非晶質状態に於いて、弱酸性溶液によるエッチングが可能である。しかしながら、非晶質のITO膜中に僅かに形成される結晶質の部分が、エッチングの残渣として残ってしまうことがある。第1の透明導電膜12として弱酸性溶液を用いたエッチングによっても残渣を生じない膜を用いることにより、弱酸性溶液による第2の透明導電膜13のエッチング時に生じる残渣をリフトオフし、除去することができる。なお、ここで電極17を、弱酸性溶液を用いてエッチングするのは、エッチング溶液に触れた配線(通常、アルミニウムなどの耐酸性の低い材料で形成される)が腐食されるのを防止するためである。
【0030】
このように、第2の透明導電膜のエッチングにおける残渣の発生を抑制することができる。
【0031】
また、透明導電膜を形成したとき、膜表面に最大で数百μmの突起が形成される。通常、これらの突起は、発光素子がショートする原因となるため、膜表面を研磨して除去する。酸化珪素(SiO2)または珪素(Si)のいずれか一若しくは両方を含むインジウム錫酸化物(ITO)及びZnO、Gaを含有したZnO等から選ばれる一の物質で形成される透明導電膜は、突起に起因した凹凸が少なく、平滑性が高い。これらの平滑性の高い膜を第1の透明導電膜12に用いることにより、突起の発生数が減少し、研磨工程が容易になる。
【0032】
第1の透明導電膜12に用いられている酸化珪素(SiO2)または珪素(Si)のいずれか一若しくは両方を含むインジウム錫酸化物(ITO)及びZnO、Gaを含有したZnOから選ばれる一の物質は、弱酸性溶液を用いてエッチングしても残渣が生じず、容易にエッチングできる。
【0033】
また、第2の透明導電膜13をITOやSnO2等のような仕事関数の高い材料で形成することにより、発光素子の発光効率を高めることができる。なお、ITOやSnO2等の突起は成膜膜厚が厚くなる程、発生数が増加し、また凹凸が大きくなる傾向を示す。このため、約30nm以下の膜厚で成膜し、突起の発生を抑制する。但し、単層で約30nm以下の膜厚とした場合、配線による段差を被覆することが困難であるため、本実施の形態においては、下層に膜厚80〜120nmの厚さで第1の透明導電膜12を形成している。つまり第1の透明導電膜12は、第2の透明導電膜13の断切れを防止する機能も有する。
【0034】
本実施の形態において、第2の透明導電膜13は、熱処理により結晶化した後、表面処理をして仕事関数を高めたものを用いる。ここで、表面処理として、酸素プラズマ中にさらす方法等を用いることができる。
【0035】
以上のように、本発明を適用することにより、エッチングによる残渣の発生を抑制し、また平滑化を容易にすることが可能である。さらに、発光効率を高めることができる。
【実施例1】
【0036】
本実施例では、本発明の発光装置の作製方法を用いて、薄膜トランジスタ(TFT)と発光素子を備えたアクティブマトリクス型の表示装置の方法について図2〜6を用いて説明する。
【0037】
基板1500上に膜厚50〜100nmの下地絶縁膜1501aおよび膜厚50〜100nmの膜厚の下地絶縁膜1501bを積層成膜して形成する。下地絶縁膜1501(1501a、1501b)は、基板1500から半導体層への不純物拡散を防ぐために形成される。本実施例では、低アルカリガラスを用い、下地絶縁膜1501aには膜厚100nmの窒化珪素膜を下地絶縁膜1501bには膜厚100nmの酸化珪素膜をそれぞれプラズマCVD法により成膜した。また本実施例では、下地絶縁膜を二層の積層成膜しているが、不純物拡散の防止効果を得られるなら、一層あるいは三層以上の積層としてもよい。なお、TFT作製工程では、ガラスや石英等の透光性を有するものを用いるが、本実施例においては、下面発光型の発光装置を作製するため、各工程における処理温度に耐えうるものであれば、透光性を有するものに限らず他の基板を用いてもよい。
【0038】
次に、下地絶縁膜1501の上に半導体膜1502a〜1502dを形成する。半導体膜1502a〜1502dは、公知の成膜方法(CVD法やスパッタ法等)を用いて非晶質半導体膜を成膜後、公知の結晶化方法(固相成長法、レーザー結晶化法、ニッケルを触媒金属元素として用いた固相成長法等)により得られた結晶質珪素膜を所望の形状に加工して形成する。
【0039】
本実施例では、非晶質半導体膜として膜厚55nmの非晶質珪素膜をプラズマCVD法により形成した。なお、非晶質珪素膜以外に、非晶質シリコンゲルマニウム(SixGe1-X(X=0.0001〜0.02))等の非晶質半導体膜を用いてもよい。或いは、非晶質半導体膜を結晶化して結晶質半導体膜を得るのではなく、結晶質半導体膜を成膜してもよい。膜厚に関しても上記の膜厚に限らず適宜変更して構わない。
【0040】
また、非晶質珪素膜の結晶化は、ニッケルを触媒金属元素とした固相成長法(550℃、4時間の熱処理)を用いて行った。さらに結晶性を向上させるためにエキシマレーザーによる処理を行い、結晶質珪素膜を得る。
【0041】
次に、オゾン水を用いて結晶質珪素膜表面に1〜2nmの膜厚の薄い酸化膜を形成し、さらにその上に非晶質珪素膜をスパッタ法により100nmの膜厚で形成した。そして、550℃、4時間のファーネスによる熱処理を行い、結晶質珪素膜中に含有されている触媒金属元素を、非晶質珪素膜中へと移動させた(ゲッタリング処理)。ゲッタリング処理後、不要になった非晶質珪素膜(ゲッタリング後は触媒金属元素の効果により結晶質珪素膜となる場合がある)をTMAH溶液を用いて除去し、さらにフッ酸溶液を用いて除去した。
【0042】
次に、結晶質珪素膜をフォトリソグラフィーによるパターニングおよびエッチングにより所望の形状に加工し、半導体膜1502a〜1502dを形成した。
【0043】
なお、半導体膜1502a〜1502dを形成する前、もしくは形成した後、TFTの閾値を制御するための不純物添加(チャネルドープ)を行ってもよい。添加する不純物としては、ボロン又は燐などを用いればよい。
【0044】
レーザー結晶化法で結晶質半導体膜を形成する場合、レーザー媒質としてエキシマ(XeCl)やYAG、YVO4を用いたパルス発振型または連続発振型のレーザーを用いることができる。エキシマレーザーを用いる場合はパルス発振周波数を約300Hzとし、レーザーエネルギー密度を100〜400mJ/cm2とすればよい。また、YAGレーザーを用いる場合は第2高調波を用いてパルス発振周波数を30〜300Hzとし、レーザーエネルギー密度を300〜600mJ/cm2とすればよい。発振したレーザー光を幅100〜1000μmの線状に集光した線状レーザー光を、重ね合わせ率(オーバーラップ率)50〜90%として基板全面に渡って照射する方法を用いてもよい。
【0045】
次に、半導体膜1502a〜1502dを覆うようにゲート絶縁膜1503を形成する。本実施例では、プラズマCVD法を用いて110nmの膜厚の酸化珪素膜を成膜して形成した。なお、酸化珪素膜に限らず他の絶縁性を有する膜を用いて形成してもよい。膜厚も上記の値に限らず誘電率などを考慮し適宜変更して構わない。
【0046】
次に、ゲート絶縁膜1503の上に導電性膜1504と導電性膜1505を積層して形成する。本実施例では、スパッタ法により30nmの膜厚で窒化タンタル(TaN)を成膜して導電性膜1504を形成し、同じくスパッタ法により370nmの膜厚でタングステン(W)を成膜して導電性膜1505を形成した。なお導電性膜1504、1505に用いる材料としては、窒化タンタルやタングステンに限定されず、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を組み合わせた合金膜もしくは化合物材料、若しくは燐などの不純物元素を添加した多結晶珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。導電性膜1504としてはゲート絶縁膜との密着性がよい材料、また導電性膜1505については、9〜20μΩ・cm程度の抵抗値が得られる低抵抗な材料を選択すればよい。
【0047】
次に、導電性膜1504、1505をパターニングおよびエッチングにより所望の形状に加工する。まず、側壁に傾斜のついたレジストマスク1510〜1513を形成する。
次に、レジストマスク1510〜1513をマスクとして導電性膜1505をエッチングし、続いて導電性膜1504をエッチングして加工する。レジストマスク1510〜1513の側壁の傾斜角度(テーパー角度)に依存して、導電性膜1505は側壁に約26°のテーパー角度をもった導電性膜1506b、1507b、1508b、1509bに加工される。また、導電性膜1504も側壁に15〜45°のテーパー角度をもった導電性膜1506a、1507a、1508a、1509aに加工される。
【0048】
次に、レジストマスク1518〜1521をマスクとして導電性膜1506b、1507b、1508b、1509bを選択的にエッチングする。これにより、導電性膜1506b、1507b、1508b、1509bは、側壁がほぼ垂直である導電性膜1514b、1515b、1516b、1517bに加工される。この場合、エッチングには垂直方向を主体とした異方性エッチングを用いなければならない。またレジストマスク1518〜1521としては、前述の導電性膜1504、1505のエッチングに用いたレジストマスク1510〜1513をそのまま用いればよい。導電性膜1506a、1507a、1508a、1509aは加工されずに、そのまま導電性膜1514a、1515a、1516a、1517aとして残る。
【0049】
以上のようにして導電性膜1514a、1514bからなるゲート電極1514、導電性膜1515a、1515bからなるゲート電極1515、導電性膜1516a、1516bからなるゲート電極1516、導電性膜1517a、1517bからなるゲート電極1517が形成される。
【0050】
次に、ゲート電極1514〜1517をマスクとして低濃度のn型不純物の不純物添加を行う。本実施例では、低濃度の不純物として1×1017atoms/cm3の濃度の燐を半導体膜1502a〜1502dに添加し、低濃度不純物領域1522a〜1522dを形成した。ここで行った低濃度不純物添加は、TFTのオフリーク電流を抑制するためのLDD(Lightly Doped Drain)領域を形成するためのものであり、添加した不純物濃度によってオフリーク電流は変わる。従って、規定以下のオフリーク電流となるように、不純物の添加量は適宜変更すればよい。本実施例では、n型不純物として燐を用いているが、これに限らず他のものでもよい。
【0051】
次に、レジストマスク1525〜1527および導電性膜1514bをマスクとして高濃度のn型不純物の不純物添加を行う。なお、レジストマスク1525は半導体膜1502bおよびゲート電極1515を覆うように、レジストマスク1526は半導体膜1502cの一部(TFTのLDD領域となる部分)およびゲート電極1516を覆うように、レジストマスク1527は半導体膜1502dおよびゲート電極1507を覆うように形成されている。本実施例では、半導体膜1502aのうち上に導電性膜1514aが形成されていない部分、および半導体膜1502cのうち上にレジストマスク1526が形成されていない部分に1×1020atoms/cm3の高濃度の燐を添加した。同時に、半導体膜1502aのうち、上に導電性膜1514aが形成されている部分には1×1018atoms/cm3の低濃度の燐が添加されるようにした。これにより、高濃度の燐を含む高濃度不純物領域1523a、1523b、低濃度の燐を含む低濃度不純物領域1524が形成される。これは、導電性膜1514aが形成されている部分と、形成されていない部分とで添加される不純物に対する阻止能が異なることを利用している。本実施例では、n型不純物として燐を用いているが、これに限らず他のものでもよい。
【0052】
次に、レジストマスク1530、1531および導電性膜1515b、1517bをマスクとして高濃度のp型不純物の不純物添加を行う。レジストマスク1530は半導体膜1502aおよびゲート電極1514を覆うように、レジストマスク1531は半導体膜1502cおよびゲート電極1516を覆うように形成されている。本実施例では、半導体膜1502b、1502dのうち上に導電性膜1515a、1517aが形成されていない部分に1×1020atoms/cm3の高濃度のボロンを添加されるようにし、高濃度不純物領域1528a、1528bを形成した。同時に、半導体膜1502b、1502dのうち上に導電性膜1515a、1517aが形成されている部分には1×1019atoms/cm3の低濃度のボロンが添加されるようにし、低濃度不純物領域1529a、1529bを形成した。本実施例では、p型不純物としてボロンを用いているが、これに限らず他のものでもよい。
【0053】
以上のようにして、TFT1550〜1553を作製する。TFT1550、1551は駆動用回路用TFTであり、TFT1552はスイッチング用TFT、TFT1553は発光素子駆動用TFTである。
【0054】
次に、添加した不純物を活性化するための熱処理を行う。本実施例では、酸素濃度が0.1ppm以下の窒素雰囲気で550℃、4時間のファーネスによる熱処理を行った。なお、酸素濃度が0.1ppm以下の窒素雰囲気中で熱処理を行うのは、ゲート電極1514〜1517が酸化されるのを防止するためである。なお、TFT1550〜1553の上に酸化珪素膜などの絶縁性を有する膜を形成し、ゲート電極1514〜1517の酸化を防止する方法を用いるのであれば、酸素濃度は0.1ppm以上1ppm以下でもよい。またファーネス以外にレーザーによる活性化、またはRTA(Rapid Thermal Anneal)法など他の方法を用いてもよい。
【0055】
次に、TFT1550〜1553を覆うように層間絶縁膜1532を形成する。本実施例では、プラズマCVD法を用いて100nmの膜厚の窒化酸化珪素膜(SiNO)を成膜して形成した。なお、窒化酸化珪素膜に限らず他の絶縁性を有する膜を用いて形成してもよい。膜厚も上記の値に限らず誘電率などを考慮し適宜変更して構わない。
【0056】
次に、半導体膜のダングリングボンドを終端化するための水素化を行う。本実施例では、100%の水素雰囲気中で、410℃、1時間の熱処理を施し水素化を行った。熱処理による水素化以外に、プラズマを用いた水素化を行ってもよい。
【0057】
次に、層間絶縁膜1532の上に、層間絶縁膜1533を形成する。本実施例では、1.0μmのアクリルを塗布により成膜して層間絶縁膜1533を形成する。なお、アクリル以外にポリイミドなどの自己平坦性を有する有機膜を用いることができる。さらに、有機膜以外に、例えば酸化珪素などの無機膜を成膜した後、研磨などによりこれを平坦化した膜を用いてもよい。
【0058】
次に、層間絶縁膜1533の上に、さらに層間絶縁膜1534を形成する。本実施例では、スパッタ法を用いて100nmの膜厚の窒化珪素膜を成膜し、層間絶縁膜1534を形成した。ここで、層間絶縁膜1534は、後の工程で形成する発光素子からTFTへの不純物混入を阻止するためのバリア膜として機能する。
【0059】
次に、高濃度不純物領域1523a、1523b、1528a、1528bに達するコンタクトホールをパターニングおよびエッチングにより形成する。
【0060】
次に、TFT1550〜1553に電気的信号を伝達するための配線(又は電極)1535を形成する。コンタクトホールを形成後、層間絶縁膜1534の上にチタン(Ti)
、珪素を含有したアルミニウム(Al−Si)、チタン(Ti)を順に膜厚100nm、350nm、100nmの厚さで積層成膜した後、パターニング及びエッチングにより所望の形状に加工して、配線(又は電極)1535を形成する。
【0061】
次に、配線および電極1535を覆う第1の透明導電膜1536を形成する。5wt%の酸化珪素(SiO2)と85wt%の酸化インジウム(In2O3)と10wt%の酸化錫(SnO2)とを含有するターゲットを用い、50sccmのアルゴン(Ar)ガスおよび3sccmの酸素(O2)ガスを流してスパッタ法により、酸化珪素(SiO2)や珪素(Si)を含有するITOを膜厚90nmで成膜し、第1の透明導電膜1536とする。なお、上記のような条件で成膜した透明導電膜を、X線光電子分析装置(ESCA/XPS)を用いて分析したとき、酸素(O):珪素(Si):インジウム(In):錫(Sn)の組成比は、61:3:34:2であった。
【0062】
次に、第1の透明導電膜1536の上に、第2の透明導電膜1537を形成する。本実施例では、90wt%の酸化インジウム(In2O3)と10wt%の酸化錫(SnO2)
とを含有するターゲットを用い、50sccmのアルゴン(Ar)ガス、0.5sccmの酸素(O2)ガス、及び0.5sccmの水(H2O)を流してスパッタ法により、ITOを膜厚20nmの厚さで成膜して、第2の透明導電膜1537とする。なお、上記のような条件で成膜した透明導電膜を、X線光電子分析装置(ESCA/XPS)を用いて分析したとき、酸素(O):インジウム(In):錫(Sn)の組成(atomic%)は、62:36:2であった。
【0063】
次に、機械的な研磨法により、第2の透明導電膜1537の表面を研磨して、突起による凹凸を除去する。本実施例においては、スパッタ法により成膜した窒化珪素膜(SiN)を第1の透明導電膜の下部に有する構造となっており、研磨工程における第1の透明導電膜の膜剥がれが生じにくい。なお、研磨条件は、研磨加圧43gf/cm2、上定盤の回転数30rpm、下定盤の回転数20rpmであり、スエードタイプの研磨布および平均径0.4μmのアルミナ砥粒(砥粒濃度4wt%)のスラリーを用いて行う。
【0064】
次に、レジストマスクをマスクとし、弱酸であるシュウ酸((COOH)2)を5.0%以下の濃度で含有した水溶液を45℃の液温で用いて、第1の透明導電膜1536および第2の透明導電膜1537をエッチングし、所望の形状に加工する。
【0065】
次に、250℃の熱処理をして、第2の透明導電膜1537を結晶化する。なお、250℃の熱処理をしても、第1の透明導電膜1536は、結晶化されず非晶質のままである。
【0066】
ここで、希フッ酸溶液を用いて、第2の透明導電膜1537表面を処理し、先の研磨工程において第2の透明導電膜表面に付着した不純物を除去しても良い。結晶化した第2の透明導電膜1537は耐酸性が増しているため、希フッ酸溶液で短時間の処理であれば問題ない。但し、希フッ酸による処理を行う場合は、図8に示すように、配線(又は)電極1535および第1の透明導電膜1536を第2の透明導電膜1537で覆うような構造にしておくことが好ましい。
【0067】
次に、結晶化した第2の透明導電膜1537の表面を酸素プラズマ雰囲気で処理する。
これにより、第2の透明導電膜1537の仕事関数は約5.3eVと高くなる(なお、酸素プラズマ処理前は約4.8eVであった)。
【0068】
なお、本実施例では、第2の透明導電膜1537を所望の形状に加工する前に研磨処理を行っているが、第2の透明導電膜1537を加工後、若しくは加工後さらに結晶化した後、研磨処理を行ってもよい。
【0069】
以上のようにして、第1の透明導電膜1536および第2の透明導電膜1537からなる発光素子の電極1538を形成する。これにより、シュウ酸などの弱酸性溶液を用いても透明導電膜の残渣を生じることなくエッチングすることができる。
【0070】
なお、上記に示した工程により、本発明の表示装置に於いて、FPC端子部の構造を、配線(又は電極)1535と同一の層で形成される接続配線と、第1の透明導電膜および第2の透明導電膜との積層構造となっている。このような構造にすることにより、配線(又は電極)1535と同一の層で形成される接続配線が外気と接触して酸化されるのを防止でき、表示装置の信頼性が向上する。
【0071】
次に、発光素子の電極1538の一部が露出するように開口部を設けた絶縁膜1542を形成する。感光性アクリルを1.5μmの膜厚に塗布した後、これを現像および露光して絶縁膜1542を形成する。ここで、絶縁膜1542のエッジ部は丸みを帯びた形状をしている。なお、感光性アクリル以外に、非感光性アクリル、ポリイミド(感光性又は非感光性のいずれでもよい)、レジストなどの絶縁性を有する樹脂材料を用いてもよい。また、酸化珪素膜などの絶縁性を有する無機材料を用いてもよい。
【0072】
次に、TFTアレイ基板に残留している水分を除去するためのベークや紫外線照射などの前処理を行った後、発光素子の電極1538の上に、0.3%のDMQdを含有するAlq3を37.5nmの膜厚で成膜して発光層1543を形成する。なお、発光層1543の下方には正孔注入層としてCuPcを20nm、正孔輸送層としてα−NPDを40nmで成膜し、発光層1543の上方には電子輸送層としてAlq3を37.5nmの膜厚で成膜する。
【0073】
なお、発光層1543を形成するための材料や膜厚などは上記のものに限らず他の公知の材料を用いても構わない。また、多色発光とするために、積層構造、材料等の異なる発光層を複数形成しても構わない。また、上記に示したような有機材料以外に無機材料を用いて発光層を形成しても構わない。
【0074】
次に、発光素子の電極1544を形成する。発光素子の電極1544は、フッ化カルシウム(CaF2)と数%のLiを含有したアルミニウム(Al−Li)を積層して形成する。
【0075】
以上のようにして、発光素子の電極1538,発光層1543、発光素子の電極1544が積層した発光素子1545を形成する。なお、本実施例において、発光素子の電極1544は透光性を有しない膜で形成されており、発光素子1545の下方側(TFTが設けられている側)から採光する下面発光型の表示装置となっている。
【0076】
しかしながら、これに限らず、発光素子の電極1544を透光性のある膜(例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有する薄膜と、透明導電膜との積層膜)で形成し、発光素子1545の上方側からも採光できるようにした両面発光型の表示装置としてもよい。或いは、発光素子の電極1538を、反射膜として用いるアルミニウム(Al)と、第1の透明導電膜と、第2の透明導電膜との積層膜で形成し、発光素子1545の上方側から採光する上面発光型の表示装置としてもよい。
【0077】
次に、発光素子1545を保護するための保護膜1546を形成する。本実施例では、スパッタ法により窒化珪素膜を形成し、保護膜1546を形成した。なお、窒化珪素膜以外にも、DLC(Diamond like Carbon)など、他の材料を用いて形成してもよい。
【0078】
さらに、封止基板およびFPCを装着し、本発明を適用した表示装置を作製する。なお、水分混入による発光素子の劣化防止用として、封止基板に乾燥剤を取り付けてもよい。
【0079】
図7(A)は、本発明の表示装置の上面図、図7(B)は図7(A)をA−A’で切断した断面図である(断面A−A’には、同一構造を有するTFTが複数形成されているので、その一部のみを断面図には記載している。)。点線で示された2001はソース信号線駆動回路、2002は画素部、2003はゲート信号線駆動回路である。また、2004は封止基板、2005はシール剤であり、封止基板2004とシール剤2005で囲まれた内側は、空間になっている。
【0080】
2008はソース信号線駆動回路2001及びゲート信号線駆動回路2003に入力される信号を伝送するための接続配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)2009からビデオ信号やクロック信号を受け取る。また、接続配線2008は、二層(第1の透明導電膜2031と第2の透明導電膜2032)から成る透明導電膜によって覆われている。そして接続配線2008とFPC2009とは、異方導電性接着剤2036と透明導電膜とを介して電気的に接続している。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。
【実施例2】
【0081】
本実施例では、実施例1とは異なる構造の表示装置について図9を用いて説明する。
【0082】
図9において、各々のTFTに電気的信号を伝達するための配線(又は電極)1735は、第1の透明導電膜1736及び第2の透明導電膜1737から形成される発光素子の電極1738よりも上層に形成されている。このような構造の表示装置に於いては、発光素子の電極1738を形成した後、配線(又は電極)を形成している。なお、図9においては、発光素子の電極1738上に形成する絶縁膜や発光層等は図示していない。
【0083】
従って、例えば塩化第二鉄などの強酸性の溶液を用いて第1の透明導電膜1736及び第2の透明導電膜1737を加工することも可能ではあるが、溶液の取り扱い易さや溶液中に含有される金属元素からの汚染等を考慮すると、弱酸性溶液を用いたエッチングを行う方が好ましい。
【0084】
従って、上記のような構造の表示装置においても、本発明を適用し、弱酸性溶液を用いてエッチングすることが有効である。
【0085】
また、本実施例に於いても、発光素子の電極1738の下部にスパッタ法により成膜した窒化珪素膜を設けることで、研磨工程を容易にすることができる。
【実施例3】
【0086】
本実施例では、実施例1および実施例2とは異なる構造の表示装置について図10を用いて説明する。
【0087】
図10において、各々のTFTに電気的信号を伝達するための配線(又は電極)1835は第1の層間絶縁膜(1860、1861)上に設けられており、さらに配線(又は電極)1835の上には第2の層間絶縁膜(1862、1863)が設けられており、第2の層間絶縁膜(1862、1863)上には、第1の透明導電膜1836及び第2の透明導電膜1837からなる発光素子の電極1838が設けられている。第2の層間絶縁膜(1862、1863)は、アクリル又はポリイミドなどの有機樹脂膜1862と、その上にスパッタ法により形成された窒化珪素膜1863との2層構造となっている。なお、図10においては、発光素子の電極1838上に形成する絶縁膜や発光層等は図示していない。
【0088】
実施例2と同様に、本実施例に於いても、例えば塩化第二鉄などの強酸性の溶液を用いて第1の透明導電膜1836及び第2の透明導電膜1837を加工することも可能ではあるが、溶液の取り扱い易さや溶液中に含有される金属元素からの汚染等を考慮すると、弱酸性溶液を用いたエッチングを行う方が好ましい。
【0089】
従って、上記のような構造の表示装置においても、本発明を適用し、弱酸性溶液を用いてエッチングすることが有効である。
【0090】
また、本実施例に於いても、発光素子の電極1838の下部にスパッタ法により成膜した窒化珪素膜を設けることで、研磨工程を容易にすることができる。
【実施例4】
【0091】
本実施例においては、本発明を適用した電子機器について説明する。本発明を適用することにより、良好な画像を写す表示装置を搭載した電子機器を提供できる。
【0092】
図11(A)は表示装置であり、筐体5501、支持台5502、表示部5503を含む。本発明は表示部5503を有する表示装置に適用が可能である。
【0093】
図11(B)はビデオカメラであり、本体5511、表示部5512、音声入力部5513、操作スイッチ5514、バッテリー5515、受像部5516などによって構成されている。
【0094】
図11(C)は、本発明を適用して作製したノート型のパーソナルコンピュータであり、本体5521、筐体5522、表示部5523、キーボード5524などによって構成されている。
【0095】
図11(D)は、本発明を適用して作製した携帯情報端末(PDA)であり、本体5531には表示部5533と、外部インターフェイス5535と、操作ボタン5534等が設けられている。また操作用の付属品としてスタイラス5532がある。
【0096】
図11(E)はデジタルカメラであり、本体5551、表示部(A)5552、接眼部5553、操作スイッチ5554、表示部(B)5555、バッテリー5556などによって構成されている。
【0097】
図11(F)は、本発明を適用して作製した携帯電話である。本体5561には表示部5564と、音声出力部5562、音声出力部5563、操作スイッチ5565、アンテナ5566等が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタと、
前記トランジスタ上の層間絶縁膜と、
前記トランジスタの一方の高濃度不純物領域と電気的に接続する前記層間絶縁膜上の第1の電極と、
前記第1の電極と電気的に接続する前記層間絶縁膜上の第2の電極と、
前記トランジスタの他方の高濃度不純物領域と電気的に接続する前記層間絶縁膜上の第3の電極と、
前記第3の電極と電気的に接続する前記層間絶縁膜上の第4の電極と、を有し、
前記第2の電極及び前記第4の電極は、
酸化珪素もしくは珪素を含むインジウム錫酸化物、酸化亜鉛、またはガリウムを含む酸化亜鉛で成る第1の透明導電膜と、
前記第1の透明導電膜上に形成され、インジウム錫酸化物または酸化錫で成る第2の透明導電膜と、を有し、
前記第1の電極及び前記第3の電極は、アルミニウム又は銅を用いて形成され、
前記第1の電極は、前記第2の電極に上面及び側面を完全に覆われ、
前記第3の電極は、前記第4の電極に上面及び側面を完全に覆われていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
基板上に複数のトランジスタと、
前記複数のトランジスタ上の層間絶縁膜と、
前記複数のトランジスタのそれぞれと電気的に接続する前記層間絶縁膜上の複数の第1の電極と、
前記複数の第1の電極のそれぞれと電気的に接続する前記層間絶縁膜上の複数の第2の電極を有し、
前記複数の第2の電極は、
酸化珪素もしくは珪素を含むインジウム錫酸化物、酸化亜鉛、またはガリウムを含む酸化亜鉛で成る第1の透明導電膜と、
前記第1の透明導電膜上に形成され、インジウム錫酸化物または酸化錫で成る第2の透明導電膜と、を有し、
前記複数の第1の電極は、アルミニウム又は銅を用いて形成され、
前記基板上のすべての前記第1の電極は、それぞれ前記第2の電極に上面及び側面を完全に覆われていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記第2の透明導電膜は、仕事関数が5.0eV以上であることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、前記第1の透明導電膜は非晶質であり、前記第2の透明導電膜は、結晶性を有することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、前記第1の透明導電膜の膜厚は80〜120nmであり、前記第2の透明導電膜の膜厚は30nm以下であることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、フレキシブルプリント基板と電気的に接続される端子接続部を有し、前記端子接続部は、比抵抗が3μΩ以下の導電膜と、前記第1の透明導電膜と前記第2の透明導電膜とを順に積層した積層構造であることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、前記層間絶縁膜は、前記第1の透明導電膜と接する窒化珪素膜を有することを特徴とする表示装置。
【請求項1】
トランジスタと、
前記トランジスタ上の層間絶縁膜と、
前記トランジスタの一方の高濃度不純物領域と電気的に接続する前記層間絶縁膜上の第1の電極と、
前記第1の電極と電気的に接続する前記層間絶縁膜上の第2の電極と、
前記トランジスタの他方の高濃度不純物領域と電気的に接続する前記層間絶縁膜上の第3の電極と、
前記第3の電極と電気的に接続する前記層間絶縁膜上の第4の電極と、を有し、
前記第2の電極及び前記第4の電極は、
酸化珪素もしくは珪素を含むインジウム錫酸化物、酸化亜鉛、またはガリウムを含む酸化亜鉛で成る第1の透明導電膜と、
前記第1の透明導電膜上に形成され、インジウム錫酸化物または酸化錫で成る第2の透明導電膜と、を有し、
前記第1の電極及び前記第3の電極は、アルミニウム又は銅を用いて形成され、
前記第1の電極は、前記第2の電極に上面及び側面を完全に覆われ、
前記第3の電極は、前記第4の電極に上面及び側面を完全に覆われていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
基板上に複数のトランジスタと、
前記複数のトランジスタ上の層間絶縁膜と、
前記複数のトランジスタのそれぞれと電気的に接続する前記層間絶縁膜上の複数の第1の電極と、
前記複数の第1の電極のそれぞれと電気的に接続する前記層間絶縁膜上の複数の第2の電極を有し、
前記複数の第2の電極は、
酸化珪素もしくは珪素を含むインジウム錫酸化物、酸化亜鉛、またはガリウムを含む酸化亜鉛で成る第1の透明導電膜と、
前記第1の透明導電膜上に形成され、インジウム錫酸化物または酸化錫で成る第2の透明導電膜と、を有し、
前記複数の第1の電極は、アルミニウム又は銅を用いて形成され、
前記基板上のすべての前記第1の電極は、それぞれ前記第2の電極に上面及び側面を完全に覆われていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記第2の透明導電膜は、仕事関数が5.0eV以上であることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、前記第1の透明導電膜は非晶質であり、前記第2の透明導電膜は、結晶性を有することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、前記第1の透明導電膜の膜厚は80〜120nmであり、前記第2の透明導電膜の膜厚は30nm以下であることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、フレキシブルプリント基板と電気的に接続される端子接続部を有し、前記端子接続部は、比抵抗が3μΩ以下の導電膜と、前記第1の透明導電膜と前記第2の透明導電膜とを順に積層した積層構造であることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、前記層間絶縁膜は、前記第1の透明導電膜と接する窒化珪素膜を有することを特徴とする表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−243592(P2011−243592A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195972(P2011−195972)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【分割の表示】特願2004−72314(P2004−72314)の分割
【原出願日】平成16年3月15日(2004.3.15)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【分割の表示】特願2004−72314(P2004−72314)の分割
【原出願日】平成16年3月15日(2004.3.15)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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