説明

表示装置

【課題】隣り合う意匠部同士が近接した位置に設けられた際においても、輝度ムラを抑制して視認性の向上を図った表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、凹部2Aが設けられたケース部2と、移動体の状況を示す意匠部5aが設けられ、前記凹部2Aの開口部3を覆う表示板5と、前記凹部2A内の前記意匠部5aの背面側に配置され、前記意匠部5aに向かって光を出射する光源6と、を備え、前記凹部2Aの内周面21は、前記光源6からの光を前記意匠部5aに導くために反射するように設けられている。前記内周面21には、前記開口部3側に設けられた第1内周面21aと、前記第1内周面21aの前記開口部3から離れた側に設けられた第2内周面21bと、が設けられ、前記第1内周面21aと前記表示板5とがなす第1の角度θ1は、前記第2内周面21bと前記表示板5とがなす第2の角度θ2よりも大きくなるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの移動体に搭載される表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した表示装置としては、例えば、図2に示すように、移動体としての自動車などの車両に搭載されたメータ101などが知られている。同図に示すメータ101は、凹部102A、102Bが設けられたケース部102と、移動体の状況を示すための複数の意匠部5aが設けられ、前記凹部102A、102Bの開口部としての表示用開口部3を覆う表示板5と、前記凹部102A、102B内の前記意匠部5aの背面側に配置され、該意匠部5aに向かって光L10を出射する光源6と、を備えている。
【0003】
上記複数の凹部102A、102Bは、互いに隣り合う位置に設けられている。また、各凹部102A、102Bの内周面121は、前記光源6からの光L10を前記意匠部5aに導くために反射するように設けられている。また、各凹部102A、102Bには、前記表示用開口部3と対向する位置に開口した光源用開口部104が設けられている。この光源用開口部104には、配線板7に搭載された光源6が通される。
【0004】
上記表示板5の正面側の表面には、移動体の状況を示す複数の意匠部5aが設けられている。図2中の凹部102Bに示すように、これら複数の意匠部5aそれぞれの、表示用開口部3の端部3aに位置付けられた縁部には、内周面121に反射した光L10は出射されないので、該意匠部5aは、表示用開口部3の端部3aから一定寸法Rをあけた位置(中央部)に位置付けられるように設けられている。この一定寸法Rには、表示板5の後述する遮光層53が設けられている。
【0005】
また、表示板5は、透明基板51と、該透明基板51の正面側に設けられた意匠表示層52と、前記意匠表示層52の前記正面側に設けられた遮光層53と、によって構成されている。上記遮光層53は、前記意匠部5aが除かれた部分に設けられている。
【0006】
上記光源6は、複数設けられている。また、各光源6は、配線板7に搭載された状態で、各光源用開口部104それぞれを通される。こうして、各光源6は、凹部102A、102B内の意匠部5a(表示板5)の背面側に配置され、該意匠部5aに向かって光L10を出射する。
【0007】
しかしながら、前述した従来のメータ101には、以下に示す問題があった。即ち、従来のメータ101において、隣り合う意匠部5a同士を近接した位置に設ける場合には、図2中の凹部102Aに示すように、各意匠部5aの縁部が、表示用開口部3の端部3aに近接した位置に位置付けられることとなり、各意匠部5aと、表示用開口部3の端部3aとの間に一定寸法Rを設けることができなくなり、表示用開口部3の端部3aに近接した位置に位置付けられた各意匠部5aの縁部の輝度が、前記表示用開口部3の中央部に位置付けられた前記縁部以外の輝度に比べて低くなってしまうことで、当該意匠部5aの縁部が明確に視認されなくなり、輝度ムラが生じてしまう問題があった。
【0008】
そこで、隣り合う意匠部5a同士を近接した位置に設ける場合には、意匠部5aを、前記表示用開口部3の端部3aから一定寸法Rをあけた前記表示用開口部3の中央部に設けられるように、該意匠部5aを小さくするなどして対応してきたが、意匠部5aを小さくすることで、該意匠部5aの視認性が悪くなるとともに、該意匠部5aのデザインに制限が生じてしまう問題があった。
【0009】
また、凹部102A、102Bの内周面121と表示板5とがなす角度を大きくすることで、表示用開口部3を大きくして、各意匠部5aの縁部と、表示用開口部3の端部3aとの間に、一定寸法Rを確保すると、内周面121に反射する光L10の反射角度が大きくなってしまい、該内周面121に反射される光L10の反射回数が変わってしまうことで、表示板5上に形成された意匠部5aの輝度が変わってしまい、予め表示板5に施された調光印刷の程度を、再度調整しなおさなければいけなくなり、コストがかかってしまうという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、隣り合う意匠部同士が近接した位置に設けられた際においても、デザインに制限が生じることなく意匠部を形成することができるとともに、輝度ムラを抑制して視認性の向上を図った表示装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の本発明は、凹部が設けられたケース部と、移動体の状況を示す意匠部が設けられ、前記凹部の開口部を覆う表示板と、前記凹部内の前記意匠部の背面側に配置され、前記意匠部に向かって光を出射する光源と、を備え、前記凹部の内周面は、前記光源からの光を前記意匠部に導くために反射するように設けられた表示装置において、前記内周面には、前記開口部側に設けられた第1内周面と、前記第1内周面の前記開口部から離れた側に設けられた第2内周面と、が設けられ、前記第1内周面と前記表示板とがなす第1の角度は、前記第2内周面と前記表示板とがなす第2の角度よりも大きくなるように形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明において、前記第1内周面には、シボ部が形成された光拡散部が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の本発明によれば、凹部が設けられたケース部と、移動体の状況を示す意匠部が設けられ、前記凹部の開口部を覆う表示板と、前記凹部内の前記意匠部の背面側に配置され、前記意匠部に向かって光を出射する光源と、を備え、前記凹部の内周面は、前記光源からの光を前記意匠部に導くために反射するように設けられた表示装置において、前記内周面には、前記開口部側に設けられた第1内周面と、前記第1内周面の前記開口部から離れた側に設けられた第2内周面と、が設けられ、前記第1内周面と前記表示板とがなす第1の角度は、前記第2内周面と前記表示板とがなす第2の角度よりも大きくなるように形成されているので、隣り合う意匠部同士が近接した位置に設けられた際においても、各意匠部の縁部と、表示用開口部の端部との間に、一定寸法を確保することができるので、デザインに制限が生じることなく意匠部を形成することができるとともに、輝度ムラを抑制して視認性の向上を図った表示装置を提供することができる。
【0014】
請求項2記載の本発明によれば、前記第1内周面には、シボ部が形成された光拡散部が設けられているので、前記第1内周面から正面側に出射された光は拡散されることとなり、よって、より一層、照明ムラの発生の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は、本発明の一実施の形態にかかるメータの上面図であり、(b)は、(a)中のI−I線に沿う断面図である。
【図2】(a)は、従来のメータの上面図であり、(b)は、(a)中のII−II線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施の形態にかかる表示装置としてのメータを、図1を参照して説明する。
【0017】
上記メータ1は、図1に示すように、複数の凹部2A、2Bが設けられたケース部2と、移動体の状況を示す意匠部5aが設けられ、前記凹部2A、2Bの開口部としての表示用開口部3を覆う表示板5と、前記意匠部5aに向かって光L1を出射する光源6と、前記光源6が搭載される配線板7と、を備えている。これら表示板5と、光源6と、配線板7とは、ケース部2に収容されている。上記表示板5と、光源6と、配線板7については、上述した背景技術で説明したものと同等であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0018】
上記複数の凹部2A、2Bは、互いに隣り合う位置に設けられている。また、各凹部2A、2Bの内周面21は、前記光源6からの光L1を前記意匠部5aに導くために反射するように設けられている。また、各凹部2A、2Bには、前記表示用開口部3と対向する位置に開口した光源用開口部4が設けられている。この光源用開口部4には、配線板7に搭載された光源6が通される。
【0019】
上記複数の凹部2A、2Bのうち、一方の凹部2Aの内周面21には、表示用開口部3側に設けられた第1内周面としての第1反射面21aと、前記第1反射面21aの表示用開口部3から離れた側に設けられた第2内周面としての第2反射面21bと、が設けられ、前記第1反射面21aと表示板5とがなす第1の角度θ1は、前記第2反射面21bと後述する表示板5とがなす第2の角度θ2よりも大きくなるように形成されている。
【0020】
次に、上述した構成のメータ1において、第1反射面21aが設けられた凹部2Aの光源用開口部4を通された光源6から出射される光L1の進み方について以下説明する。
【0021】
光源6から出射した光L1は、第2反射面21bによって、一旦、反射された後、第1反射面21aによって表示板5に反射されて、該表示板5に入射(受光)された後、遮光層53が形成されていない部分(即ち、意匠部5a)を透過して正面側に出射される。これにより、前記運転者に表示板5上に形成された意匠部5aが光輝して視認される。
【0022】
上述した実施形態によれば、凹部2A、2Bが設けられたケース部2と、移動体の状況を示す意匠部5aが設けられ、前記凹部2A、2Bの開口部としての表示用開口部3を覆う表示板5と、前記凹部2A、2B内の前記意匠部5aの背面側に配置され、前記意匠部5aに向かって光L1を出射する光源6と、を備え、前記凹部2A、2Bの内周面21は、前記光源6からの光L1を前記意匠部5aに導くために反射するように設けられた表示装置において、前記内周面21には、前記表示用開口部3側に設けられた第1内周面としての第1反射面21aと、前記第1反射面21aの前記表示用開口部3から離れた側に設けられた第2内周面としての第2反射面21bと、が設けられ、前記第1反射面21aと前記表示板5とがなす第1の角度θ1は、前記第2反射面21bと前記表示板5とがなす第2の角度θ2よりも大きくなるように形成されているので、隣り合う意匠部5a同士が近接した位置に設けられた際においても、各意匠部5aの縁部と、表示用開口部3の端部3aとの間に、一定寸法Rを確保することができるので、デザインに制限が生じることなく意匠部5aを形成することができるとともに、輝度ムラを抑制して視認性の向上を図ったメータ1を提供することができる。
【0023】
なお、本発明では、第1内周面としての第1反射面21aに、シボ加工が施されることで得られたシボ部(図示しない)が形成された光拡散部を有していてもよい。第1反射面21aに、光拡散部が設けられていることで、前記第1反射面21aから正面側に出射された光は拡散されることとなり、よって、より一層、照明ムラの発生の抑制を図ることができる。
【0024】
また、上述した実施形態によれば、一方の凹部2Aのみに、第1内周面としての第1反射面21aが設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、他方の凹部2Bに第1内周面としての第1反射面21aが設けられていてもよい。
【0025】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 メータ(表示装置)
2 ケース部
2A 凹部
21 内周面
21a 第1反射面(第1内周面)
21b 第2反射面(第2内周面)
3 表示用開口部(開口部)
5 表示板
5a 意匠部
6 光源
L1 光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部が設けられたケース部と、
移動体の状況を示す意匠部が設けられ、前記凹部の開口部を覆う表示板と、
前記凹部内の前記意匠部の背面側に配置され、前記意匠部に向かって光を出射する光源と、を備え、
前記凹部の内周面は、前記光源からの光を前記意匠部に導くために反射するように設けられた表示装置において、
前記内周面には、前記開口部側に設けられた第1内周面と、前記第1内周面の前記開口部から離れた側に設けられた第2内周面と、が設けられ、
前記第1内周面と前記表示板とがなす第1の角度は、前記第2内周面と前記表示板とがなす第2の角度よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1内周面には、シボ部が形成された光拡散部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−103374(P2012−103374A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250425(P2010−250425)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】