説明

表示装置

【課題】視野角を広げた立体像表示装置を提供する。
【解決手段】複数の観視位置に向けて画像を表示する表示装置であって、画像を表示する表示パネルと、表示パネルの裏面に平行光を照射するバックライト部と、バックライト部および表示パネルの間の光路上において、複数の観視位置のそれぞれに対応して設けられ、それぞれが対応する観視位置の方向へ平行光を屈折させる複数のフレネルプリズムと、バックライト部および表示パネルの間の光路上において、複数のフレネルプリズムのそれぞれに対応して設けられた複数のシャッター部と、複数のフレネルプリズムのそれぞれを通過した光を、それぞれのフレネルプリズムに対応する観視位置へと集光する光学部と、を備えるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の視点の方向に対して異なる画像を表示する多視点表示装置が知られている。多視点表示装置は、一例として、透過型表示モニタと、透過型表示モニタの裏面側から光を照射する光源と、透過型表示モニタと光源との間に設けられたレンチキュラレンズとを備える。レンチキュラレンズは、光源から射出した光を複数の視点位置のそれぞれの方向へと屈折させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このような多視点表示装置は、レンチキュラレンズにより光を屈折させているので、左右の視野角を広げることが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、複数の観視位置に向けて画像を表示する表示装置であって、画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルの裏面に平行光を照射するバックライト部と、前記バックライト部および前記表示パネルの間の光路上において、複数の観視位置のそれぞれに対応して設けられ、それぞれが対応する観視位置の方向へ前記平行光を屈折させる複数のフレネルプリズムと、前記バックライト部および前記表示パネルの間の光路上において、前記複数のフレネルプリズムのそれぞれに対応して設けられた複数のシャッター部と、前記複数のシャッター部のそれぞれおよび前記複数のフレネルプリズムのそれぞれを通過した光を、それぞれのフレネルプリズムに対応する観視位置へと集光する光学部と、を備え、前記複数のシャッター部のそれぞれは、前記表示パネルの水平方向の各位置において光を通過または遮断する複数のシャッターを有する表示装置を提供する。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本実施形態に係る表示装置10の構成を示す。
【図2】本実施形態に係る表示装置10に備えられる、表示パネル20、バックライト部22、シャッターパネル24、プリズムパネル26、垂直方向拡散板28および光学部30のそれぞれの構成を示す。
【図3】本実施形態に係る表示装置10の構成および表示装置10から第1観視者に与えられる光の一例を示す。
【図4】本実施形態に係る表示装置10の構成および表示装置10から第2観視者に与えられる光の一例を示す。
【図5】本実施形態に係るシャッターパネル24の構成の一例を示す。
【図6】複数人の観視者に対して同一の立体像を提供する場合の制御タイミングを示す。
【図7】複数人の観視者のそれぞれに対して異なる立体像を提供する場合の制御タイミングを示す。
【図8】本実施形態に係るバックライト部22の構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、本実施形態に係る表示装置10の構成を示す。表示装置10は、複数の観視位置に向けて画像を表示する。
【0009】
より詳しくは、表示装置10は、右眼用画像を表示して複数の観視者のそれぞれの右眼に与え、左眼用画像を表示して複数の観視者のそれぞれの左眼に与えることができる。このような表示装置10は、画像分離用の専用メガネを装着しない複数の観視者、即ち、裸眼の複数の観視者に対して立体像を提供することができる。
【0010】
表示装置10は、表示パネル20と、バックライト部22と、シャッターパネル24と、プリズムパネル26と、垂直方向拡散板28と、光学部30と、シャッター制御部32と、表示制御部34とを備える。表示パネル20は、右眼用画像および左眼用画像を表示する。表示パネル20は、裏面側から照射された光を透過することにより、表示した画像を観視者に与える透過型パネルである。
【0011】
バックライト部22は、表示パネル20の裏面側に設けられる。バックライト部22は、表示パネル20の裏面に光を照射する。本実施形態においては、バックライト部22は、平行光を、表示パネル20の裏面に照射する。表示パネル20の裏面に照射された光は、表示パネル20を透過して複数の観視者のそれぞれに与えられる。これにより、複数の観視者のそれぞれは、表示パネル20に表示された画像を見ることができる。
【0012】
シャッターパネル24は、バックライト部22および表示パネル20の間の光路上に設けられる。シャッターパネル24は、表示パネル20の領域毎にバックライト部22から出力された光を透過または遮断する。
【0013】
プリズムパネル26は、バックライト部22および表示パネル20の間の光路上に設けられる。プリズムパネル26は、バックライト部22から出力された光を表示パネル20の領域毎に異なる方向に屈折させる。
【0014】
垂直方向拡散板28は、プリズムパネル26と表示パネル20との間の光路上に設けられる。垂直方向拡散板28は、シャッターパネル24から出射する光を表示パネル20の垂直方向に拡散する。
【0015】
光学部30は、シャッターパネル24およびプリズムパネル26を通過した光を、複数の観視位置のそれぞれの方向へと集光する。例えば、第1の観視者および第2の観視者のそれぞれに立体像を提供する場合には、光学部30は、第1の観視者の右眼に対応する観視位置、第1の観視者の左眼に対応する観視位置、第2の観視者の右眼に対応する観視位置、および、第2の観視者の左眼に対応する観視位置のそれぞれに、それぞれの観視位置に対応する光を集光する。
【0016】
シャッター制御部32は、シャッターパネル24における光を透過および遮断する位置およびタイミングを制御する。表示制御部34は、右眼用画像および左眼用画像の表示タイミングを制御する。
【0017】
図2は、本実施形態に係る表示装置10に備えられる、表示パネル20、バックライト部22、シャッターパネル24、プリズムパネル26、垂直方向拡散板28および光学部30のそれぞれの構成を示す。
【0018】
バックライト部22は、バックライトパネル36と、コリメータレンズパネル38とを有する。バックライトパネル36は、表示パネル20の裏面の全面に対して光を照射する。バックライトパネル36は、一例として、予め定められたピッチで表示パネル20の水平方向および垂直方向に配列された複数の光源50を有する。
【0019】
コリメータレンズパネル38は、バックライトパネル36の複数の光源50から出力されたそれぞれの光を平行光に変換する。コリメータレンズパネル38は、一例として、水平方向に並んだ、垂直方向に延伸した細長い複数のコリメータレンズ52を含む。複数のコリメータレンズ52のそれぞれは、表示パネル20の水平方向に配列された複数の光源50のそれぞれに、対応して設けられる。複数のコリメータレンズ52のそれぞれは、対応する光源50からの光における水平方向の成分を平行光とする。
【0020】
プリズムパネル26は、バックライト部22および表示パネル20の間の光路上に設けられる。プリズムパネル26は、一例として、シャッターパネル24と表示パネル20との間に配置される。また、プリズムパネル26は、一例として、バックライト部22とシャッターパネル24との間に配置されてもよい。
【0021】
プリズムパネル26は、バックライト部22および表示パネル20の間の光路上において、複数の観視位置のそれぞれに対応して設けられる複数のフレネルプリズム44を有する。複数のフレネルプリズム44は、それぞれが対応する観視位置の方向へ、バックライト部22から出力された平行光を屈折させる。
【0022】
複数のフレネルプリズム44のそれぞれは、表示パネル20の水平方向に延伸した帯状である。複数のフレネルプリズム44は、垂直方向に並べて配置される。
【0023】
複数のフレネルプリズム44のそれぞれは、予め定められたピッチで表示パネル20の水平方向に配列された複数のプリズム54を含む。複数のプリズム54のそれぞれは、対応する観察位置(観視者)に応じた角度の傾斜面を有し、裏面側から入射された平行光を対応する観察位置の方向に屈折させる。
【0024】
本例において、プリズムパネル26は、第1の観視者に対応する複数のフレネルプリズム44−1と、第2の観視者に対応する複数のフレネルプリズム44−2とを有する。本例において、プリズムパネル26は、第1の観視者に対応するフレネルプリズム44−1と第2の観視者に対応するフレネルプリズム44−2とが垂直方向に交互に配置される。このような、複数のフレネルプリズム44のそれぞれは、他の観察位置の方向へ平行光を屈折させる他のフレネルプリズム44が垂直方向に隣接して設けられる。
【0025】
また、本例においては、第1の観視者に対応するフレネルプリズム44−1が有する複数のプリズム54のそれぞれは、裏面から入射された平行光を表示パネル20の左側へと屈折させる。また、第2の観視者に対応するフレネルプリズム44−2が有する複数のプリズム54のそれぞれは、裏面から入射された平行光を表示パネル20の右側へと屈折させる。
【0026】
シャッターパネル24は、バックライト部22および表示パネル20の間の光路上において、複数のフレネルプリズム44のそれぞれに対応して設けられた複数のシャッター部42を有する。即ち、シャッターパネル24は、複数の観察位置のそれぞれに対応して、対応する複数のシャッター部42を有する。複数のシャッター部42のそれぞれは、一例として、対応するフレネルプリズム44と同様の形状であり、対応するフレネルプリズム44から出射された光または対応するフレネルプリズム44へと入射される光を、透過および遮断可能な位置に配置される。
【0027】
本例において、シャッターパネル24は、第1の観視者に対応する複数のフレネルプリズム44−1のそれぞれに対応した複数のシャッター部42−1と、第2の観視者に対応する複数のフレネルプリズム44−2のそれぞれに対応した複数のシャッター部42−2とを有する。即ち、複数のシャッター部42−1は、第1の観視者に対応する。また、複数のシャッター部42−2は、第2の観視者に対応する。
【0028】
垂直方向拡散板28は、複数のシャッター部42から出射される光を表示パネル20の垂直方向に拡散する。これにより、垂直方向拡散板28は、水平方向に伸びた帯状のシャッター部42のそれぞれから出力された光を、表示パネル20に対して垂直方向に均一に照射することができる。
【0029】
光学部30は、表示パネル20およびシャッターパネル24との間に設けられる。光学部30は、複数のシャッター部42のそれぞれおよび複数のフレネルプリズム44のそれぞれを通過した光を、それぞれのフレネルプリズム44に対応する観視位置へと集光する。
【0030】
本例においては、光学部30は、第1の観視者に対応する複数のシャッター部42−1のそれぞれおよび複数のフレネルプリズム44−1のそれぞれを通過した光を、第1の観視者に対応する観視位置へと集光する。また、光学部30は、本例においては、光学部30は、第2の観視者に対応する複数のシャッター部42−2のそれぞれおよび複数のフレネルプリズム44−2のそれぞれを通過した光を、第2の観視者に対応する観視位置へと集光する。
【0031】
光学部30は、一例として、レンチキュラレンズ46と、レンズ48とを有する。レンチキュラレンズ46は、複数のシャッター部42のそれぞれおよび複数のフレネルプリズム44のそれぞれを通過した光を、それぞれのフレネルプリズム44に対応する観視位置の方向へと屈折させる。レンチキュラレンズ46は、一例として、水平方向に並んだ、垂直方向に延伸した細長い複数のレンズを含む。レンチキュラレンズ46は、レンズ間のピッチが、複数のフレネルプリズム44のそれぞれにおけるプリズム54間のピッチと同一である。これにより、レンチキュラレンズ46は、対応する観察位置の方向に精度良く光を屈折させることができる。
【0032】
本例においては、レンチキュラレンズ46は、第1の観視者に対応する複数のシャッター部42−1のそれぞれおよび複数のフレネルプリズム44−1のそれぞれを通過した光を、第1の観視者に対応する観視位置の方向へと屈折させる。また、本例においては、レンチキュラレンズ46は、第2の観視者に対応する複数のシャッター部42−2のそれぞれおよび複数のフレネルプリズム44−2のそれぞれを通過した光を、第2の観視者に対応する観視位置の方向へと屈折させる。
【0033】
レンズ48は、レンチキュラレンズ46を通過した光を、対応する観視位置へと集光する。本例においては、レンズ48は、第1の観視者に対応する複数のシャッター部42−1のそれぞれおよび複数のフレネルプリズム44−1のそれぞれを通過した光を、第1の観視者に対応する観視位置上に集光する。また、本例においては、レンズ48は、第2の観視者に対応する複数のシャッター部42−2のそれぞれおよび複数のフレネルプリズム44−2のそれぞれを通過した光を、第2の観視者に対応する観視位置上に集光する。
【0034】
なお、レンチキュラレンズ46は、レンズ48の機能も更に備えてもよい。この場合、レンチキュラレンズ46は、垂直方向に延伸した細長い複数のレンズの水平方向のピッチを、複数の光源50のピッチよりも短くすることが好ましい。
【0035】
図3は、本実施形態に係る表示装置10の構成および表示装置10から第1観視者に与えられる光の一例を示す。図4は、本実施形態に係る表示装置10の構成および表示装置10から第2観視者に与えられる光の一例を示す。
【0036】
図3に示されるように、バックライト部22から出射された平行光は、第1の観視者に対応して設けられた複数のシャッター部42−1、第1の観視者に対応して設けられた複数のフレネルプリズム44−1、垂直方向拡散板28、光学部30および表示パネル20を順次に通過して、第1の観視者の観視位置に集光される。また、図4に示されるように、バックライト部22から出射された平行光は、第2の観視者に対応して設けられたシャッター部42−2、第1の観視者に対応して設けられたフレネルプリズム44−2、垂直方向拡散板28、光学部30および表示パネル20を順次に通過して、第2の観視者の観視位置に集光される。
【0037】
ここで、表示パネル20は、右眼用画像と左眼用画像とを時分割で表示する。右眼用画像および左眼用画像の表示タイミングは、表示制御部34により制御される。
【0038】
そして、図3に示されるように、第1の観視者に対応するシャッター部42−1は、右眼用画像が表示されている期間において、複数の右眼用の開口70−1−Rを形成する。複数の右眼用の開口70−1−Rのそれぞれは、バックライト部22から出力された光のうち、第1の観視者の右眼の観視位置へと与えられる方向の光のみを透過する。そして、第1の観視者に対応するフレネルプリズム44−1は、対応するシャッター部42−1から出射された光または対応するシャッター部42−1へ入射される光を、第1の観視者の右眼に向かう方向に屈折させる。
【0039】
これにより、第1の観視者に対応するシャッター部42−1は、右眼用画像が表示されている期間において、第1の観視者の右眼へと向かう光を透過させ、他の光を遮断することができる。そして、第1の観視者に対応するフレネルプリズム44−1は、右眼用画像が表示されている期間において、対応するシャッター部42−1が透過する光を、第1の観視者の右眼へと屈折させることができる。従って、表示装置10は、右眼用画像を第1の観視者の右眼のみに与えることができる。
【0040】
また、図3に示されるように、第1の観視者に対応するシャッター部42−1は、左眼用画像が表示されている期間において、複数の左眼用の開口70−1−Lを形成する。複数の左眼用の開口70−1−Lのそれぞれは、バックライト部22から出力された光のうち、第1の観視者の左眼の観視位置へと与えられる方向の光のみを透過する。そして、第1の観視者に対応するフレネルプリズム44−1は、対応するシャッター部42−1から出射された光または対応するシャッター部42−1へ入射される光を、第1の観視者の左眼に向かう方向に屈折させる。
【0041】
これにより、第1の観視者に対応するシャッター部42−1は、左眼用画像が表示されている期間において、第1の観視者の左眼へと向かう光を透過させ、他の光を遮断することができる。そして、第1の観視者に対応するフレネルプリズム44−1は、左眼用画像が表示されている期間において、対応するシャッター部42−1が透過する光を、第1の観視者の左眼へと屈折させることができる。従って、表示装置10は、左眼用画像を第1の観視者の左眼のみに与えることができる。
【0042】
同様に、図4に示されるように、第2の観視者に対応するシャッター部42−2は、右眼用画像が表示されている期間において、複数の右眼用の開口70−2−Rを形成する。複数の右眼用の開口70−2−Rのそれぞれは、バックライト部22から出力された光のうち、第2の観視者の右眼の観視位置へと与えられる方向の光のみを透過する。そして、第2の観視者に対応するフレネルプリズム44−2は、対応するシャッター部42−2から出射された光または対応するシャッター部42−2へ入射される光を、第2の観視者の左眼に向かう方向に屈折させる。
【0043】
これにより、第2の観視者に対応するシャッター部42−2は、右眼用画像が表示されている期間において、第2の観視者の右眼へと向かう光を透過させ、他の光を遮断することができる。そして、第2の観視者に対応するフレネルプリズム44−2は、右眼用画像が表示されている期間において、対応するシャッター部42−2が透過する光を、第2の観視者の右眼へと屈折させることができる。従って、表示装置10は、右眼用画像を第2の観視者の右眼のみに与えることができる。
【0044】
また、図4に示されるように、第2の観視者に対応するシャッター部42−2は、左眼用画像が表示されている期間において、複数の左眼用の開口70−2−Lを形成する。複数の左眼用の開口70−2−Lのそれぞれは、バックライト部22から出力された光のうち、第2の観視者の左眼の観視位置へと与えられる方向の光のみを透過する。そして、第2の観視者に対応するフレネルプリズム44−2は、対応するシャッター部42−2から出射された光または対応するシャッター部42−2へ入射される光を、第2の観視者の左眼に向かう方向に屈折させる。
【0045】
これにより、第2の観視者に対応するシャッター部42−2は、左眼用画像が表示されている期間において、第2の観視者の左眼へと向かう光を透過させ、他の光を遮断することができる。そして、第2の観視者に対応するフレネルプリズム44−2は、左眼用画像が表示されている期間において、対応するシャッター部42−2が透過する光を、第2の観視者の左眼へと屈折させることができる。従って、表示装置10は、左眼用画像を第2の観視者の左眼のみに与えることができる。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る表示装置10によれば、複数の観視位置のそれぞれに向けて、個別の画像を表示することができる。従って、表示装置10によれば、画像分離用の専用メガネを装着しない複数の観視者、即ち、裸眼の複数の観視者に対して立体像を提供することができる。
【0047】
さらに、本実施形態に係る表示装置10は、バックライト部22から出力された平行光を、複数の観視位置のそれぞれに対応した複数のフレネルプリズム44により屈折されている。従って、表示装置10によれば、左右の視野角を広くすることができる。
【0048】
図5は、本実施形態に係るシャッターパネル24の構成の一例を示す。シャッターパネル24が有する複数のシャッター部42のそれぞれは、表示パネル20の水平方向の各位置において光を通過または遮断する複数のシャッター60を有する。複数のシャッター60は、一例として、水平方向に配列された液晶シャッター群である。
【0049】
また、複数のシャッター60のそれぞれは、1つの光源50の発光面の大きさよりも十分に小さい。これにより、複数のシャッター60のそれぞれは、1つの光源50から出力された光のうちの一部を透過して、他を遮断することができる。
【0050】
このような複数のシャッター60は、複数の光源50のそれぞれに対応して水平方向に並んだ複数の開口70を形成する。複数の開口70は、遮断状態とされた複数のシャッター60の一部分に、透過状態とされた少なくとも1つの隣接するシャッター60のグループが設けられることにより、形成される。
【0051】
また、複数の開口70のそれぞれは、対応する光源50に対する水平方向の位置が、対応する観視位置によって異なる。例えば、右眼に照射する光を透過する右眼用の開口70−R、および、左眼に照射する光を透過する左眼用の開口70−Lは、水平方向の位置がそれぞれ異なる。
【0052】
また、このような複数の開口70のそれぞれの水平方向の位置は、シャッター制御部32により制御される。そして、シャッター制御部32は、複数の観視者のそれぞれの位置に応じて、それぞれの観視者の右眼および左眼へと照射する光を透過する複数の開口70を適切な位置に形成する。シャッター制御部32は、一例として、予め登録された情報および観視位置に基づいて、複数の開口70の位置を変更する。
【0053】
このように複数の開口70が形成されることにより、表示装置10は、複数の観察位置のそれぞれに、対応する光のみを照射し、他の光を照射させないことができる。これにより、本実施形態に係る表示装置10は、複数の観視位置のそれぞれに光を正確に集光して、他の観視位置への漏れを無くすことができる。
【0054】
図6は、複数の観視者に対して同一の立体像を提供する場合の制御タイミングを示す。表示装置10は、図6に示されるように、シャッター部42の開閉タイミングおよび表示パネル20の表示タイミングを制御する。
【0055】
まず、表示パネル20は、当該表示パネル20を観視位置から観視する複数の観視者の、右眼に対応するべき右眼位置に向けて表示する右眼用画像と、左眼に対応するべき左眼位置に向けて表示する左眼用画像とを、時分割で表示する。より具体的には、表示パネル20は、右眼用画像と左眼用画像とを交互に表示する。
【0056】
そして、複数のシャッター部42のそれぞれは、表示パネル20が右眼用画像を表示するタイミングにおいて、それぞれのシャッター部42に対応する複数の観視者のそれぞれの右眼位置に向かう光が入射するシャッター60を開き、左眼位置に向かう光が入射するシャッター60を閉じる。これにより、複数のシャッター部42のそれぞれは、右眼用画像を複数の観視者のそれぞれの右眼のみに与え、左眼には与えないことができる。
【0057】
また、複数のシャッター部42のそれぞれは、表示パネル20が左眼用画像を表示するタイミングにおいて、それぞれのシャッター部42に対応する複数の観視者のそれぞれの右眼位置に向かう光が入射するシャッター60を閉じ、左眼位置に向かう光が入射するシャッター60を開く。これにより、複数のシャッター部42のそれぞれは、左眼用画像を複数の観視者のそれぞれの左眼のみに与え、右眼には与えないことができる。
【0058】
以上のようなタイミングによりシャッター60の開閉および表示を制御することにより、表示装置10は、専用のメガネを装着していない複数の観視者に対して同一の立体像を提供することができる。
【0059】
図7は、複数の観視者に対してそれぞれ異なる立体像を提供する場合の制御タイミングを示す。それぞれ異なる立体像を提供する場合、表示装置10は、図7に示されるように、シャッター部42の開閉タイミングおよび表示パネル20の表示タイミングを制御する。
【0060】
まず、表示パネル20は、当該表示パネル20を観視位置から観視する観視者毎の、右眼に対応するべき右眼位置に向けて表示する複数の右眼用画像と、左眼に対応するべき左眼位置に向けて表示する複数の左眼用画像とを、時分割で表示する。
【0061】
例えば、表示パネル20は、第1から第N(Nは2以上の整数)の観視者に対して異なる立体像を表示する場合、一例として、まず、第1観視者の右眼用画像を表示し、続いて、第1観視者の左眼用画像を表示し、続いて、第2観視者の右眼用画像を表示し、続いて、第2観視者の左眼用画像を表示する。以後、表示パネル20は、同様に、それぞれの観視者の右眼用画像および左眼用画像を表示する。そして、表示パネル20は、第N観視者の右眼用画像および左眼用画像まで表示した後に、第1観視者の右眼用画像および左眼用画像の表示に戻す。
【0062】
そして、複数のシャッター部42のそれぞれは、表示パネル20がそれぞれのシャッター部42に対応する観視位置に向けた右眼用画像を表示するタイミングにおいて、それぞれのシャッター部42に対応する観視者の右眼位置に向かう光が入射するシャッター60を開き、左眼位置に向かう光が入射するシャッター60を閉じる。これにより、複数のシャッター部42のそれぞれは、対応する観視位置の観視者に対して表示するべき右眼用画像を、その観視者の右眼のみに与え、その観視者の左眼には与えないことができる。
【0063】
また、複数のシャッター部42のそれぞれは、表示パネル20がそれぞれのシャッター部42に対応する観視位置に向けた左眼用画像を表示するタイミングにおいて、それぞれのシャッター部42に対応する観視者の右眼位置に向かう光が入射するシャッター60を閉じ、左眼位置に向かう光が入射するシャッター60を開く。これにより、複数のシャッター部42のそれぞれは、対応する観視位置の観視者に対して表示するべき左眼用画像を、その観視者の左眼のみに与え、その観視者の右眼には与えないことができる。
【0064】
さらに、複数のシャッター部42のそれぞれは、表示パネル20が他のシャッター部42に対応する観視位置に向けた右眼用画像および左眼用画像を表示するタイミングにおいて、それぞれのシャッター部42に対応する観視者の右眼位置および左眼位置に向かう光が入射するシャッター60を閉じる。これにより、複数のシャッター部42のそれぞれは、対応する観視位置の観視者以外に表示するべき右眼用画像および左眼用画像を、その観視者の右眼および左眼には与えないことができる。
【0065】
以上のようなタイミングによりシャッター60の開閉および表示を制御することにより、表示装置10は、専用のメガネを装着していない複数の観視者のそれぞれに対して、互いに異なる立体像を提供することができる。
【0066】
図8は、本実施形態に係るバックライト部22の構成の一例を示す。バックライト部22は、一例として、下記の文献1に記載された光源を適用した構成であってもよい。
【0067】
文献1 Adrian Travis, Tim Large, Neil Emerton, and Steven Bathiche、"Collimated light from a waveguide for a display backlight"、OPTICS EXPRESS 19719、Vol. 17,No.22、2009年
【0068】
文献1に記載された光源が適用されたバックライト部22は、一例として、薄板状の照射導光部82と、少なくとも1つの光源50とを有する。少なくとも1つの光源50は、照射導光部82の1つの側部から、照射導光部82の内部へと光を入射する。
【0069】
照射導光部82は、光源50から内部へ入射された光を一方の主面から当該主面に対して垂直に光を射出する。このようなバックライト部22は、表示パネル20の裏面に対して均一な平行光を射出することができる。
【0070】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0071】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0072】
10 表示装置、20 表示パネル、22 バックライト部、24 シャッターパネル、26 プリズムパネル、28 垂直方向拡散板、30 光学部、32 シャッター制御部、34 表示制御部、36 バックライトパネル、38 コリメータレンズパネル、42 シャッター部、44 フレネルプリズム、46 レンチキュラレンズ、48 レンズ、50 光源、52 コリメータレンズ、54 プリズム、60 シャッター、70 開口、82 照射導光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の観視位置に向けて画像を表示する表示装置であって、
画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの裏面に平行光を照射するバックライト部と、
前記バックライト部および前記表示パネルの間の光路上において、複数の観視位置のそれぞれに対応して設けられ、それぞれが対応する観視位置の方向へ前記平行光を屈折させる複数のフレネルプリズムと、
前記バックライト部および前記表示パネルの間の光路上において、前記複数のフレネルプリズムのそれぞれに対応して設けられた複数のシャッター部と、
前記複数のシャッター部のそれぞれおよび前記複数のフレネルプリズムのそれぞれを通過した光を、それぞれのフレネルプリズムに対応する観視位置へと集光する光学部と、
を備え、
前記複数のシャッター部のそれぞれは、前記表示パネルの水平方向の各位置において光を通過または遮断する複数のシャッターを有する
表示装置。
【請求項2】
前記複数のフレネルプリズムのそれぞれは、前記表示パネルの水平方向に延伸した帯状であって、他の観察位置の方向へ前記平行光を屈折させる他のフレネルプリズムが垂直方向に隣接して設けられる
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光学部は、レンチキュラレンズである
請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記レンチキュラレンズは、レンズ間のピッチが、前記複数のフレネルプリズムのそれぞれにおけるプリズム間のピッチと同一である
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数のフレネルプリズムは、前記バックライト部および前記複数のシャッター部の間に配置される請求項1から4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数のフレネルプリズムは、前記複数のシャッター部および前記表示パネルの間に配置される請求項1から4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記バックライト部は、
前記表示パネルの水平方向に配列された複数の光源と、
前記複数の光源のそれぞれに対応して設けられ、それぞれが対応する光源からの光を平行光とする複数のコリメータレンズと、
を有する
請求項1から6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記バックライト部は、
薄板状の照射導光部と、
前記照射導光部の1つの側部から、前記照射導光部の内部へと光を入射する光源と、
を有し、
前記照射導光部は、前記光源から内部へ入射された光を一方の主面から当該主面に対して垂直に光を射出する
請求項1から6の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数のシャッター部から出射する光を前記表示パネルの垂直方向に拡散する垂直方向拡散板を更に備える請求項1から8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示パネルは、当該表示パネルを観視位置から観視する観視者の、右眼に対応するべき右眼位置に向けて表示する右眼用画像と、左眼に対応するべき左眼位置に向けて表示する左眼用画像とを、時分割で表示し、
前記複数のシャッター部のそれぞれは、
前記表示パネルが右眼用画像を表示するタイミングにおいて、それぞれのシャッター部に対応する観視者の右眼位置に向かう光が入射するシャッターを開き、左眼位置に向かう光が入射するシャッターを閉じ、
前記表示パネルが左眼用画像を表示するタイミングにおいて、それぞれのシャッター部に対応する観視者の右眼位置に向かう光が入射するシャッターを閉じ、左眼位置に向かう光が入射するシャッターを開く、
請求項1から9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示パネルは、当該表示パネルを観視位置から観視する観視者毎の、右眼に対応するべき右眼位置に向けて表示する複数の右眼用画像と、左眼に対応するべき左眼位置に向けて表示する複数の左眼用画像とを、時分割で表示し、
前記複数のシャッター部のそれぞれは、
前記表示パネルがそれぞれのシャッター部に対応する観視位置に向けた右眼用画像を表示するタイミングにおいて、それぞれのシャッター部に対応する観視者の右眼位置に向かう光が入射するシャッターを開き、左眼位置に向かう光が入射するシャッターを閉じ、
前記表示パネルがそれぞれのシャッター部に対応する観視位置に向けた左眼用画像を表示するタイミングにおいて、それぞれのシャッター部に対応する観視者の右眼位置に向かう光が入射するシャッターを閉じ、左眼位置に向かう光が入射するシャッターを開き、
前記表示パネルが他のシャッター部に対応する観視位置に向けた右眼用画像および左眼用画像を表示するタイミングにおいて、それぞれのシャッター部に対応する観視者の右眼位置および左眼位置に向かう光が入射するシャッターを閉じる、
請求項1から10のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−133024(P2012−133024A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283589(P2010−283589)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】