説明

表示装置

【課題】1つの表示装置で、アナログ表示(動画像表示)とデジタル表示(静止画像表示)という2種類の表示モードに対応することを可能にすると共に、表示システムの大幅な低消費電力を図る。
【解決手段】 アナログ表示を行う第1の表示回路と、デジタル表示を行う第2の表示回路を備え、アナログ表示を停止するように切り換えるときには、外部から入力されるモード設定信号DHに基づき、ドレイン信号線61と第1の表示回路との接続を切ると共に、モード設定信号DHを遅延することにより生成される停止制御信号LAに応じて、不要な回路(DAコンバータ310、演算増幅器311、タイミングコントローラ305)への電源供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、特に携帯可能な表示装置に用いて好適な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯可能な表示装置、例えば携帯テレビ、携帯電話等が市場ニーズとして要求されている。かかる要求に応じて表示装置の小型化、軽量化、低消費電力化に対応すべく研究開発が盛んに行われている。
【0003】
図6に従来例に係る液晶表示装置の一表示画素の回路構成図を示す。絶縁性基板(不図示)上に、ゲート信号線51、ドレイン信号線61とが交差して形成されており、その交差部近傍に両信号線51、61に接続されたTFT65が設けられている。TFT65のソース11sは液晶21の表示電極80に接続されている。
【0004】
また、表示電極80の電圧を1フィールド期間、保持するための補助容量85が設けられており、この補助容量85の一方の端子86はTFT65のソース11sに接続され、他方の電極87には各表示画素に共通の電位が印加されている。ここで、ゲート信号線51に走査信号が印加されると、TFT65はオン状態となり、ドレイン信号線61からアナログ映像信号が表示電極80に伝達されると共に、補助容量85に保持される。表示電極80に印加された映像信号電圧が液晶21に印加され、その電圧に応じて液晶21が配向することにより液晶表示を得ることができる。したがって、動画像、静止画像に関係なく表示を得ることができる。かかる液晶表示装置に静止画像を表示する場合、例えば携帯電話の液晶表示部の一部に携帯電話を駆動するためのバッテリの残量表示として、乾電池の画像を表示することになる。
【0005】
しかしながら、上述した構成の液晶表示装置においては、静止画像を表示する場合であっても、動画像を表示する場合と同様に、走査信号でTFT65をオン状態にして、映像信号を各表示画素に再書き込みする必要が生じていた。そのため、走査信号及び映像信号等の駆動信号を発生するためのドライバ回路、及びドライバ回路の動作タイミングを制御するための各種信号を発生する外部LSIは常時動作するため、常に大きな電力を消費していた。このため、限られた電源しか備えていない携帯電話等では、その使用可能時間が短くなるという欠点があった。
【0006】
これに対して、各表示画素にスタティック型メモリを備えた液晶表示装置が特許文献1に開示されている。同公報の一部を引用して説明すると、この液晶表示装置は、図7に示すように、2段インバータINV1,INV2を正帰還させた形のメモリ、即ちスタティック型メモリをデジタル映像信号の保持回路として用いることにより、消費電力を低減するものである。ここで、スタティック型メモリに保持された2値デジタル映像信号に応じて、スイッチ素子24は参照線Vrefと表示電極80との間の抵抗値を制御し、液晶21のバイアス状態を調整している。一方、共通電極には交流信号Vcomを入力する。本装置は理想上、静止画像のように表示画像に変化がなければ、メモリへのリフレッシュは不要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−194205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来の液晶表示装置ではアナログ映像信号に対応してフルカラーの動画像を表示するのに適している。一方、デジタル映像信号を保持するためのスタティック型メモリを備えた液晶表示装置では、低階調度の静止画像を表示すると共に、消費電力を低減するのに適している。
【0009】
しかしながら、両液晶表示装置は映像信号源を異にしているため、1つの表示装置において、フルカラーの動画像表示と、静止画像表示とを同時に実現することができなかった。また、スタティック型メモリを備えた液晶表示装置で静止画像表示を行う場合、液晶表示装置に各種の制御信号を出力する外部LSIの低消費電力化の試みはなされていなかった。
【0010】
そこで、本発明の目的とするところは、1つの表示装置(例えば、1枚の液晶表示パネル)でフルカラーの動画像表示と、低消費電力の静止画像表示という2種類の表示に対応することを可能とすることである。
【0011】
また、本発明の他の目的は、表示装置に外付けされた外部LSIを含めた表示システム全体の大幅な低消費電力を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の表示装置は、基板上の一方向に配置された複数のゲート信号線と、前記ゲート信号線に順次走査信号を供給するゲートドライバと、前記ゲート線と交差する方向に配置された複数のドレイン信号線と、前記ドレイン信号線を順次選択し、該ドレイン信号線に映像信号を供給するドレインドライバと、前記ゲートドライバもしくは/及びドレインドライバにタイミング制御信号を供給するタイミング制御回路と、マトリックス状に配置され、前記ゲート信号線からの走査信号により選択されると共に前記ドレイン信号線から映像信号が供給される表示電極とを有する表示装置において、
入力デジタル映像信号をアナログ映像信号に変換するDA変換回路と、前記DA変換回路により変換された前記アナログ映像信号を、前記ドレイン信号線を介して前記表示電極に逐次供給し、アナログ表示を行う第1の表示回路と、前記入力デジタル映像信号を保持する保持回路を備え、該保持回路が保持した入力デジタル映像信号に応じた電圧を前記表示電極に供給し、デジタル表示を行う第2の表示回路と、を備え、
前記アナログ表示を停止するよう切り換えるときには、外部から入力されるモード設定信号に基づき、前記ドレイン信号線と前記第1の表示回路との接続を切ると共に、前記モード設定信号を遅延することにより生成される停止制御信号に応じて、前記DA変換回路への電源電圧の供給を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の表示装置によれば、1つの表示パネルで、アナログ表示モードによるフルカラーの動画像表示と、デジタル表示モードによる低消費電力対応の階調数の少ない静止画像表示という2種類の表示を選択することが可能なる。
【0014】
特に、デジタル表示モードが選択された場合には、不要な回路への動作を停止するだけでなく、電源供給を停止しているので、表示装置全体としての消費電力を大幅に低減することができる。
【0015】
これにより、バッテリ等の限られた電源を用いた携帯用テレビ、携帯電話に本発明の表示装置を用いた場合にも消費電力が少ないので長時間の表示を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の回路構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る映像信号の切換回路の回路構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の他の回路構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る液晶表示装置のタイミング図である。
【図5】反射型液晶表示装置の断面図である。
【図6】従来例に係る液晶表示装置の回路構成図である。
【図7】従来例に係る液晶表示装置の他の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態に係る表示装置について説明する。図1に本発明の表示装置を液晶表示装置に適用した場合の回路構成図を示す。
【0018】
301はフリップフロップ302,303から成るDFFである。初段のフリップフロップ302に入力されるデジタル表示モード切換信号DHが、「H(ハイ)」になると、タイミングコントローラ305からの垂直期間終了信号Vendに同期して、フリップフロップ302はモード切り換え信号MDを出力する。
【0019】
また、次の垂直期間終了信号Vendに同期して、フリップフロップ303は停止制御信号LAを出力する。モード切換信号MD、停止制御信号LAは後述する各回路の動作を制御する。
【0020】
タイミングコントローラ305はシステムクロックCLK、水平同期信号Hsync、垂直同期信号Vsyncに基づいて、パネル制御信号PC、垂直期間終了信号Vend、表示パネル100に収納された液晶の対向電極を反転駆動するための交流駆動信号FRP、DAコンバータ310の動作クロックDACCLKを出力する。ここで、上記のパネル制御信号PCにはパネル走査信号のトリガ信号となる水平スタートパルスSTH、垂直スタートパルスSTVが含まれる。
【0021】
ANDゲート306はタイミングコントローラ305の動作を停止させるための信号を出力する。このANDゲートには上記の停止制御信号LA及びデジタル表示モード切換信号DHが入力されている。したがって、タイミングコントローラ305は両信号が「H」のとき動作が停止する(デジタル表示モード時)。また、デジタル表示モード切換信号DHが「L」になると、停止状態が解除され、アナログ表示モードへ復帰可能に構成されている。
【0022】
また、タイミングコントローラ305とは独立して発振器307が設けられている。発振器307は、デジタル表示モード時の交流駆動信号の信号源となるもので、タイミングコントローラ305が出力する交流駆動信号FRPの信号周期(通常は一水平期間)に比して長周期の交流駆動信号を発生する。
【0023】
ここで、デジタル表示モード時には、後述するように、デジタル映像信号をスタティックな保持回路によって保持すると共に、その保持信号に応じて表示電極に印加する信号を選択するという構成を採用しているので、アナログ表示モード時のように補助容量のリークによる映像信号の減衰のおそれがないため、比較的低周波の交流駆動信号で足りるのである。そして、その信号周期は一垂直期間(60HZに相当する)以上であることが低消費電力化のために好ましい。
【0024】
発振器307の出力と、タイミングコントローラ305が出力する交流駆動信号FRPとはモード切換信号MDに応じて、切換回路SW3によって切り換えられ演算増幅器308によって増幅された後に対向電極端子COMに入力される。
また、発振器307の出力信号はインバータ回路309によって位相が反転され、さらに演算増幅器315によって増幅された後に信号端子LSIGに入力される。これら2つの逆位相の信号ペアは後述するようにデジタル表示モードにおいて、「白」又は「黒」を表示するために利用される。
【0025】
DAコンバータ310は外部から入力されるR,G,Bのデジタル映像信号データをアナログ映像信号に変換する。ここで、R,G,Bの各デジタル映像信号データは通常8ビット構成である。その最上位ビットとDA変換され更に演算増幅器311によって増幅されたアナログ映像信号は、切換回路SW1に入力される。そして両信号は、モード切換信号MDに応じて切換回路SW1によって切り換えられ、表示パネル100のR,G,B端子へと出力される。
【0026】
なお、本実施の形態では後述する表示パネル100内のデジタル映像信号データを保持するための保持回路が1ビット構成になっているため、最上位ビットのみを出力する構成になっているが、保持回路を多ビット構成にすればそれに応じた多ビットのデジタル映像信号を出力する構成に変更することができる。
【0027】
また、切換回路SW2はモード切換信号MDに応じて、表示パネル100の端子LVDDに「H」又は「L」を出力する。これに応じて、表示パネル100は後述するように、アナログ表示モード(LVDD=「L」)、デジタル表示モード(LVDD=[H])に切り換えられる。
【0028】
また、電源回路320は電源入力に基づいて、電源電圧VDD1,VDD2(例えば5V)、VCC1,VCC2(例えば8〜10V)、VEE1,VEE2(例えば−4〜−5V)を生成する。電源回路320の各電源出力線321,322,323には切換回路SW4,SW5,SW6が設けられ、前述したANDゲート306の出力に応じて開閉し、所定回路へのVDD1、VCC1、VEE1の供給を制御可能に構成されている。
【0029】
ここで、ANDゲート306の出力が「H」になると、切換回路SW4,SW5,SW6が開き、電源電圧VDD1,VCC1,VEE1が供給された回路、即ちDAコンバータ310、演算増幅器311、タイミングコントローラ305、表示パネル100の内部ドライバへの電源供給が停止される。
【0030】
次に、上述した構成の表示装置の動作について図2のタイミング図を参照しながら説明する。デジタル表示モード切換信号DHが「H」に切り換えられると、垂直期間が終了したタイミングで発生する垂直期間信号Vendの立ち上がりに同期して、モード切換信号MDが「H」に立ち上がる。
【0031】
すると、切換回路SW3により端子LVDDが「H」に立ち上がり、表示パネル100はデジタル表示モードに切り換えられる。同時に、切換回路SW1が切り換えられ、最上位ビットのデジタル映像信号データがR,G,B端子に出力される。また、切換回路SW2により交流駆動信号(対向電極端子COMに入力される信号)が低周波に切り換えられる。こうして、一垂直期間(次のVendが立ち上がるまでの期間)をかけて、表示パネル100の1フィールドにデジタル映像信号データが書き込まれる。
【0032】
書き込みのための一垂直期間が終了し、次の信号Vendが到来すると、これに同期して停止制御信号LAが立ち上がる。すると、ANDゲート306の出力が「H」に立ち上がり、これに基づいてタイミングコントローラ305の動作が停止する。すなわち、各種パネル制御信号PC、DAコンバータ310への動作クロックDACCLK等の出力信号が固定される。これにより、DAコンバータ310の動作も停止する。
【0033】
さらに、ANDゲート306の出力が「H」に立ち上がると、切換回路SW4,SW5,SW6が開き、DAコンバータ310、演算増幅器311、タイミングコントローラ305、表示パネル100の内部ドライバへの電源供給が停止される。
【0034】
このように本発明によれば、デジタル表示モードにおいて不要な回路の動作を停止させるだけでなく、電源電圧の供給を停止しているので、回路の静消費電流も無くすことができ、大幅に消費電力を低減することができる。その効果は、動作を停止させるだけの場合の約1/5である。
【0035】
次に、アナログ表示モードに復帰させる場合には、デジタル表示モード切換信号DHが「L」に切り換えられる。すると、ANDゲート306の出力が「L」になるので、タイミングコントローラ305が再び動作を開始する。また、モード切換信号MDが「L」に立ち下がると、切換回路SW1はアナログ映像信号を出力するように切り換わる。同時に、切換回路SW2はタイミングコントローラ305からの交流駆動信号FRPを端子COMへ出力するように切り換えられる。さらに切換回路SW3はVEE側に切り換えられ、表示パネル100は通常のアナログ表示モードに設定される。
【0036】
また、ANDゲート306の出力が「L」になると、切換回路SW4,SW5,SW6が閉じ、DAコンバータ310、演算増幅器311、タイミングコントローラ305、表示パネル100の内部ドライバへの電源供給が再開される。こうして、表示パネル100は、通常のアナログ表示モードに復帰する。
【0037】
次に上述した表示パネル100本体の回路構成について図3を参照しながら詳しく説明する。絶縁基板10上に、走査信号を供給するゲートドライバ50に接続された複数のゲート信号線51が一方向に配置されており、これらのゲート信号線51と交差する方向に複数のドレイン信号線61が配置されている。
【0038】
ドレイン信号線61には、ドレインドライバ60から出力されるサンプリングパルスのタイミングに応じて、サンプリングトランジスタSP1,SP2,…,SPnがオンし、データ信号線62のデータ信号が供給される。ここで、データ信号線62のデータ信号は、前述した表示パネル100の外部の切換回路SW1の切り換えに応じて供給されるデジタル映像信号又はアナログ映像信号である(図1)。
【0039】
液晶表示パネル100は、ゲート信号線51からの走査信号により選択されると共に、ドレイン信号線61からのデータ信号が供給される複数の表示画素200がマトリックス状に配置されて構成されている。
【0040】
以下、表示画素200の詳細な構成について説明する。ゲート信号線51とドレイン信号線61の交差部近傍には、Pチャネル型TFT41及びNチャネル型42から成る回路選択回路40が設けられている。TFT41,42の両ドレインはドレイン信号線61に接続されると共に、それらの両ゲートは選択信号線88に接続されている。TFT41,42は、選択信号線88からの選択信号に応じていづれか一方がオンする。また、後述するように回路選択回路40と対を成して、回路選択回路43が設けられている。ここで、選択信号線88は、表示パネル100の端子LVDDから配線された信号線である。
【0041】
回路選択回路40,43により、後述するアナログ映像信号表示(フルカラー動画像対応)とデジタル映像表示(低消費電力、静止画像対応)とを選択して切換えることが可能となる。また、回路選択回路40に隣接して、Nチャネル型TFT71及びNチャネル型TFT72から成る画素選択回路70が配置されている。TFT71,72はそれぞれ回路選択回路40のTFT41,42と縦列に接続されると共に、それらの両ゲートにはゲート信号線51が接続されている。TFT71,72はゲート信号線51からの走査信号に応じて両方が同時にオンするように構成されている。
【0042】
また、アナログ映像信号を保持するための補助容量85が設けられている。補助容量85の一方の電極86はTFT71のソース71sに接続されている。他方の電極87は共通の補助容量線88に接続され、バイアス電圧VSCが供給されている。回路選択回路70の各TFTのゲートが開いてアナログ映像信号が液晶21に印加されると、その信号は1フィールド期間保持されなければならないが、液晶21のみではその信号の電圧は時間経過とともに次第に低下してしまう。そうすると、表示むらとして現れてしまい良好な表示が得られなくなる。そこでその電圧を1フィールド期間保持するために補助容量85を設けている。
【0043】
この補助容量85と液晶21との間には、回路選択回路43のPチャネル型TFT44が設けられ、回路選択回路43のTFT41と同時にオンオフするように構成されている。
【0044】
また、画素選択回路70のTFT72と液晶21の表示電極80との間には、保持回路110、信号選択回路120が設けられている。保持回路110は、正帰還された2つのインバータ回路から成り、デジタル2値を保持するスタティック型メモリを構成している。
【0045】
また、信号選択回路120は、保持回路110からの信号に応じて信号を選択する回路であって、2つのNチャネル型TFT121、122で構成されている。TFT121、122のゲートには保持回路110からの相補的な出力信号がそれぞれ印加されているので、TFT121、122は相補的にオンオフする。
【0046】
ここで、TFT122がオンすると交流駆動信号(信号B)が選択され、TFT121がオンすると、対向電極信号VCOM(信号A)が選択され、回路選択回路43のTFT45を介して、液晶21に電圧を印加する表示電極80に供給される。ここで、対向電極信号VCOM(信号A)は前述した発振器307からの信号に相当し、信号Bは前述した発振器307の出力が反転された信号に相当している。
【0047】
上述した構成を要約すれば、画素選択素子であるTFT71及びアナログ映像信号を保持する補助容量85から成る回路(第1の表示装置)と、画素選択素子であるTFT72、2値のデジタル映像信号を保持する保持回路110、信号選択回路12から成る回路(第2の表示装置)とが1つの表示画素200内に設けられ、更に、これら2つの回路を選択するための回路選択回路40,43が設けられている。
【0048】
次に、液晶パネル200の周辺回路について説明する。液晶パネル200の絶縁性基板10とは別基板の外付け回路基板90には、パネル駆動用LSI91が設けられている。この外付け回路基板90のパネル駆動用LSI91から垂直スタート信号STVがゲートドライバ50に入力され、水平スタート信号STHがドレインドライバ60に入力される。また映像信号がデータ線62に入力される。ここで、パネル駆動用LSI91は前述したタイミングコントローラ305に相当するものである。
【0049】
次に、図1乃至図4を参照しながら、上述した構成の表示パネルの駆動方法について説明する。図4は、液晶表示装置がデジタル表示モードに選択された場合のタイミング図である。
(1)アナログ表示モードの場合
モード切換信号MD(「L」)に応じて、アナログ表示モードが選択されると、切換回路SW1により、データ信号線62にアナログ映像信号が出力される状態に設定されると共に、回路選択信号線88の電位が「L」となり、回路選択回路40,43のTFT41,44がオンする。
【0050】
また、水平スタート信号STHに基づくサンプリング信号に応じてサンプリングトランジスタSPがオンしデータ信号線62のアナログ映像信号がドレイン信号線61に供給される。
【0051】
また、垂直スタート信号STVに基づいて、走査信号がゲート信号線51に供給される。走査信号に応じて、TFT71がオンすると、ドレイン信号線61からアナログ映像信号Sigが表示電極80に伝達されると共に、補助容量85に保持される。表示電極80に印加された映像信号電圧が液晶21に印加され、その電圧に応じて液晶21が配向することにより液晶表示を得ることができる。
【0052】
このアナログ表示モードでは、映像信号電圧を逐次入力するので、フルカラーの動画像を表示するのに好適である。ただし、外付け回路基板90のLSI91、各ドライバ50,60にはそれらを駆動するために、絶えず電力が消費されている。
(2)デジタル表示モード
モード信号切換信号MD(「H」)に応じて、デジタル表示モードが選択されると、データ信号線62にデジタル映像信号が出力される状態に設定されると共に、回路選択信号線88の電位が「H」となり、保持回路110が動作可能な状態になる。また、回路選択回路40,43のTFT41,44がオフすると共に、TFT42,45がオンする。
【0053】
また、外付け回路基板90のパネル駆動用LSI91(タイミングコントローラ305)から、ゲートドライバ50及びドレインドライバ60にスタート信号STV,STHが入力される。それに応じてサンプリング信号が順次発生し、それぞれのサンプリング信号に応じてサンプリングトランジスタSP1,SP2,…,SPnが順にオンしてデジタル映像信号Sigをサンプリングして各ドレイン信号線61に供給する。
【0054】
ここで第1行、即ち走査信号G1が印加されるゲート信号線51について説明する。まず、走査信号G1によってゲート信号線51に接続された各表示画素P11、P12、…P1nの各TFTが1水平走査期間オンする。
【0055】
第1行第1列の表示画素P11に注目すると、サンプリング信号SP1によってサンプリングしたデジタル映像信号S11がドレイン信号線61に入力される。そしてTFT72が走査信号G1によってオン状態になるとそのドレイン信号D1が保持回路110に入力される。
【0056】
この保持回路110で保持された信号は、信号選択回路120に入力されて、この信号選択回路120で信号A又は信号Bを選択して、その選択した信号が表示電極80に印加され、その電圧が液晶21に印加される。
【0057】
こうしてゲート信号線51から最終行のゲート信号線51まで走査することにより、1画面分(1フィールド期間)のスキャン、即ち全ドットスキャンによるデジタル信号の書き込みが終了し、保持回路110に書き込まれたデジタル映像信号に応じた1画面が表示される。
【0058】
ここで、1画面が表示されると、前述したように、停止制御信号LAに基づいて、ゲートドライバ50並びにドレインドライバ60、外付けのパネル駆動用LSI91(タイミングコントローラ305)等の不要な回路への電圧供給を停止しそれらの駆動を止める。
【0059】
保持回路110には常に電圧VDD,VSSを供給して駆動し、また、低周波の交流駆動信号VCOM(例えば60Hz)を液晶21の対向電極32に、各信号A及び信号Bを選択回路120に供給する。即ち、対向電極32には交流駆動信号VCOM印加し、液晶表示パネル100がノーマリーホワイト(NW)の場合には、信号Aには対向電極32と同じ交流駆動信号VCOMを印加し、信号Bには信号Aと逆位相の交流駆動信号が印加される。
【0060】
このとき、ドレイン信号線61にデジタル映像信号で「H(ハイ)」が保持回路110に入力された場合には、信号選択回路120において第1のTFT121には「L」が入力されることになるので第1のTFT121はオフとなり、他方の第2のTFT122には「H」が入力されることになるので第2のTFT122はオンとなる。
【0061】
そうすると、信号Bが選択されて液晶の表示電極80には、対向電極32と逆位相の信号Bの電圧が印加され、液晶が電界によって立ち上がるため、ノーマリーホワイトの表示パネルでは表示としては黒表示として観察できる。
【0062】
ドレイン信号線61にデジタル映像信号で「L」が保持回路110に入力された場合には、信号選択回路120において第1のTFT121には「H」が入力されることになるので第1のTFT121はオンとなり、他方の第2のTFT122には「L」が入力されることになるので第2のTFT122はオフとなる。そうすると、信号Aが選択されて液晶には信号Aが印加される。即ち、対向電極32と同じ位相の信号が印加されるため、電界が発生せず液晶は立ち上がらないため、ノーマリーホワイトの表示パネルでは表示としては白表示として観察できる。
【0063】
このデジタル表示モードにおいては、1画面分を書き込みそれを保持することにより静止画像として表示でき、各ドライバ50,60及びLSI91等の駆動、及び電源の供給を停止するので、大幅に低消費電力化することができる。
【0064】
本発明の表示装置は、液晶表示装置の中でも特に、反射型液晶表示装置に適用することが好ましい。そこで、この反射型液晶表示装置のデバイス構造について図5を参照しながら説明する。
【0065】
図5に示すように、一方の絶縁性基板10上に、多結晶シリコンから成り島化された半導体層11上にゲート絶縁膜12を形成し、半導体層11の上方であってゲート絶縁膜12上にゲート電極13を形成する。
【0066】
ゲート電極13の両側に位置する下層の半導体層11には、ソース11s及びドレイン11dが形成されている。ゲート電極13及びゲート絶縁膜12上には層間絶縁膜14を堆積し、そのドレイン11dに対応した位置及びソース11sに対応した位置にコンタクトホール15が形成されており、そのコンタクトホール15を介してドレイン11dはドレイン電極16に接続されており、ソース11sは層間絶縁膜14上に設けた平坦化絶縁膜17に設けたコンタクトホール18も介して表示電極19に接続されている。
【0067】
平坦化絶縁膜17上に形成された各表示電極19はアルミニウム(Al)等の反射材料から成っている。各表示電極19及び平坦化絶縁膜17上には液晶21を配向するポリイミド等から成る配向膜20が形成されている。
【0068】
他方の絶縁性基板30上には、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を呈するカラーフィルタ31、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電性膜から成る対向電極32、及び液晶21を配向する配向膜33が順に形成されている。カラー表示としない場合にはカラーフィルタ31は不要である。
【0069】
こうして形成された一対の絶縁性基板10,30の周辺を接着性シール材によって接着し、それによって形成された空隙に液晶21を充填して、反射型液晶表示装置が完成する。
【0070】
図中点線矢印で示すように、観察者1側から入射した外光は、対向電極基板30から順に入射し、表示電極19によって反射されて、観察者1側に出射し、表示を観察者1が観察することができる。
【0071】
このように、反射型液晶表示装置は外光を反射させて表示を観察する方式であり、透過型の液晶表示装置のように、観察者側と反対側にいわゆるバックライトを用いる必要が無いため、そのバックライトを点灯させるための電力を必要としない。従って、本発明の表示装置として、バックライト不要で低消費電力化に適した反射型液晶表示装置であることが好ましい。
【0072】
上述の実施の形態においては、1画面の全ドットスキャン期間には、対向電極電圧及び信号A及びBの電圧は印加している場合について示したが、本発明はそれに限定されるものではなく、この期間においてもこれらの各電圧を印加しなくても良い。しかしながら消費電力を低減させるためには、好ましくは印加しない方が良い。
【0073】
また、上述の実施の形態においては、デジタル表示モードにおいて、1ビットのデジタルデータ信号を入力した場合について説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、複数ビットのデジタルデータ信号の場合でも適用することが可能である。そうすることにより、多階調の表示を行うことができる。その際、入力するビット数に応じた保持回路及び信号選択回路の数にする必要がある。
【0074】
また、上述の実施の形態においては、静止画像を液晶表示パネルの一部に表示する場合を説明したが、本願はそれに限定されるものではなく、全表示画素に静止画を表示することも可能であり、本願発明の特有の効果を奏するものである。
【0075】
上述の実施の形態においては、反射型液晶表示装置の場合について説明したが、1画素内でTFT、保持回路、信号選択回路及び信号配線を除く領域に透明電極を配置することにより、透過型液晶表示装置にも用いることができる。
【符号の説明】
【0076】
301 DFF
305 タイミングコントローラ
306 ANDゲート
310 DAコンバータ
320 電源回路
10 絶縁性基板
13 ゲート
21 液晶
40 回路選択回路
43 回路選択回路
50 ゲートドライバ
51 ゲート信号線
60 ドレインドライバ
61 ドレイン信号線
70 画素選択回路
85 補助容量
110 保持回路
120 信号選択回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の一方向に配置された複数のゲート信号線と、
前記ゲート信号線に順次走査信号を供給するゲートドライバと、
前記ゲート線と交差する方向に配置された複数のドレイン信号線と、
前記ドレイン信号線を順次選択し、該ドレイン信号線に映像信号を供給するドレインドライバと、前記ゲートドライバもしくは/及びドレインドライバにタイミング制御信号を供給するタイミング制御回路と、
マトリックス状に配置され、前記ゲート信号線からの走査信号により選択されると共に前記ドレイン信号線から映像信号が供給される表示電極とを有する表示装置において、
入力デジタル映像信号をアナログ映像信号に変換するDA変換回路と、
前記DA変換回路により変換された前記アナログ映像信号を、前記ドレイン信号線を介して前記表示電極に逐次供給し、アナログ表示を行う第1の表示回路と、
前記入力デジタル映像信号を保持する保持回路を備え、該保持回路が保持した入力デジタル映像信号に応じた電圧を前記表示電極に供給し、デジタル表示を行う第2の表示回路と、を備え、
前記アナログ表示を停止するよう切り換えるときには、外部から入力されるモード設定信号に基づき、前記ドレイン信号線と前記第1の表示回路との接続を切ると共に、前記モード設定信号を遅延することにより生成される停止制御信号に応じて、前記DA変換回路への電源電圧の供給を停止することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記アナログ映像信号を増幅する増幅回路を更に備え、前記アナログ表示を停止するよう切り換えるときには、前記制御回路は、前記停止制御信号に応じて、前記増幅回路への電源電圧の供給を停止することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記アナログ表示を停止するよう切り換えるときには、前記制御回路は、前記停止制御信号に応じて、前記ゲートドライバもしくは/及びドレインドライバへの電源電圧の供給を停止することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記アナログ表示を停止するよう切り換えるときには、前記制御回路は、前記停止制御信号に応じて、前記タイミング制御回路への電源電圧の供給を停止することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記タイミング制御回路は前記表示パネルの液晶の対向電極に供給される第1の交流駆動信号を出力し、該第1の交流駆動信号に比較して長周期の第2の交流駆動信号を発生する発振器と、
前記アナログ表示を停止するよう切り換えるときには、前記第1の交流駆動信号から前記第2の交流駆動信号に切り換える切換回路と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
第2の交流駆動信号の周期は一垂直期間以上であることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−63790(P2012−63790A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−273250(P2011−273250)
【出願日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【分割の表示】特願2000−282175(P2000−282175)の分割
【原出願日】平成12年9月18日(2000.9.18)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】