説明

表示装置

【課題】カラー画像を表示する表示装置の開口率を高くする。
【解決手段】赤、緑、青の三色の画素R,G,Bを、行毎に、二つの赤色画素R,Rと二つの緑色画素G,Gと一つの青色画素Bとが同色の画素同士が隣り合わないように所定の順で並んだ配列順の繰り返しで配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カラー画像を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像を表示する表示装置としては、特許文献1に記載されているようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−209780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カラー画像を表示する液晶表示装置は、高精細な画像を表示するものほど、赤、緑、青の各色の画素の面積が小さくなり、開口率が低くなる。
【0005】
この発明は、開口率を高くすることができる表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、カラー画像を表示する表示装置であって、
赤、緑、青の三色の画素が複数行及び複数列に配列され、且つ行毎に、前記三色の画素が、二つの赤色画素と二つの緑色画素と一つの青色画素とが同色の画素同士が隣り合わないように所定の順で並んだ配列順の繰り返しで配置されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の表示装置において、前記二つの赤色画素と二つの緑色画素と一つの青色画素は、緑色画素、青色画素、赤色画素、緑色画素、赤色画素の順で並んでいることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1に記載の表示装置において、前記二つの赤色画素と二つの緑色画素と一つの青色画素は、赤色画素、青色画素、緑色画素、赤色画素、緑色画素の順で並んでいることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記請求項1〜3の何れかに記載の表示装置において、前記三色の画素は、同じ形状及び面積を有しており、前記行方向に一定のピッチで配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、カラー画像を表示する表示装置であって、
赤、緑、青の三色の画素が複数行及び複数列に配列され、且つ行毎に、前記三色の画素が、二つの赤色画素と二つの緑色画素と一つの青色画素とが同色の画素同士が隣り合わないように所定の順で並んだ配列順の繰り返しで配置された表示素子と、
前記各赤色画素に、赤の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、前記各緑色画素に、緑の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、前記各青色画素に、青の階調データを所定の条件で補正した補正階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加する駆動手段と、
を備え、
前記所定の順で並んだ二つの赤色画素と二つの緑色画素と一つの青色画素により二座標分のカラードットを表現することを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の表示装置において、前記駆動手段は、
表示するカラー画像の走査線方向の各座標点の色情報それぞれが赤、緑、青の三色の階調データを含む画像データを供給され、
前記所定の順で並んだ二つの赤色画素と二つの緑色画素と一つの青色画素のうち、
第一の赤色画素に、前記走査線方向の隣り合う二つの座標点のうちの一方の座標点の赤の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、
第二の赤色画素に、前記二つの座標点のうちの他方の座標点の赤の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、
第一の緑色画素に、前記一方の座標点の緑の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、
第二の緑色画素に、前記他方の座標点の緑の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、
前記青色画素に、前記一方の座標点の青の階調データと前記他方の座標点の青の階調データとから所定の条件により求めた前記補正階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加することを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、前記請求項6に記載の表示装置において、
前記表示素子は液晶表示素子であり、
前記駆動手段は、前記青色画素に、前記一方の座標点の青の階調データに対応した透過率と、前記他方の座標点の青の階調データに対応した透過率との平均透過率が得られる電圧値のデータ信号を印加することを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、前記請求項7に記載の表示装置において、前記駆動手段は、前記青色画素の前記一方の座標点の青の階調データに対応した透過率と、前記青色画素の前記他方の座標点の青の階調データに対応した透過率とを平均した平均透過率から前記補正階調データを求め、その補正階調データに対応した電圧値のデータ信号を前記青色画素に印加することを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、前記請求項8に記載の表示装置において、前記液晶表示素子の背後に、白色光に対して赤と緑の波長域の光強度を低くした分光分布の光を前記液晶表示素子に向けて照射するバックライトが配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、前記請求項6に記載の表示装置において、
前記表示素子はノーマリーブラックモードの液晶表示素子であり、
前記液晶表示素子の背後に、白色光を前記液晶表示素子に向けて照射するバックライトが配置され、
前記駆動手段は、前記青色画素に、前記一方の座標点の青の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加したときの透過率と、前記他方の座標点の青の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加したときの透過率との平均透過率に対応した電圧を所定の比率で高くした電圧値のデータ信号を印加することを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、前記請求項7に記載の表示装置において、
前記表示素子は有機EL表示素子またはプラズマ表示素子であり、
前記駆動手段は、前記青色画素に、前記一方の座標点の青の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加したときの輝度と、前記他方の座標点の青の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加したときの輝度との平均輝度に対応した電圧を所定の比率で高くした電圧値のデータ信号を印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、行方向に配列する画素数が、赤、緑、青の三色の画素を交互に並べて配列した表示装置の5/6であり、従って、各画素の面積を大きくし、開口率を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の第一実施例を示す表示装置の構成図。
【図2】第一実施例における液晶表示素子とバックライトの斜視図。
【図3】前記液晶表示素子の第一基板の一部分の平面図。
【図4】前記液晶表示素子の図3のIV−IV矢視線に沿う断面図。
【図5】前記液晶表示素子の画素配列図。
【図6】前記液晶表示素子を駆動するデータ信号線駆動回路の構成図。
【図7】前記液晶表示素子の電圧−透過率特性図。
【図8】前記液晶表示素子の青色画素の各階調に対応した透過率を示す図。
【図9】前記バックライトからの照射光の分光分布図。
【図10】前記表示装置における白表示の色度を示すCIE色度図。
【図11】第一実施例の液晶表示素子と通常の液晶表示素子の画素幅の対比図。
【図12】第一実施例の液晶表示素子と通常の液晶表示素子の一つの画素の開口面積の対比図。
【図13】この発明の第二実施例を示す液晶表示素子の画素配列図。
【図14】この発明の第三実施例を示す液晶表示素子の画素配列図。
【図15】この発明の第四実施例を示す液晶表示素子の画素配列図。
【図16】この発明の第五実施例を示す液晶表示素子の画素配列図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第一実施例]
この発明の第一実施例の表示装置は、図1のように、表示素子1と、その駆動手段28とを備えている。
【0020】
この実施例において、表示素子1は、図2〜図5に示した構成の液晶表示素子であり、画面エリア1aに、赤色フィルタ19を備えた赤色画素Rと、緑色フィルタ19を備えた緑色画素Gと、青色フィルタ19を備えた青色画素Bとの三色の画素が、複数行及び複数列に配列されている。
【0021】
この液晶表示素子1は、TFT(薄膜トランジスタ)をスイッチング素子としたアクティブマトリックス液晶表示素子であり各画素R,G,B毎に、TFT7に接続された透明な画素電極6が設けられている。
【0022】
前記画素電極6とTFT7は、液晶層5を挟んで対向する透明な第一基板2と第二基板3のうちの表示面側とは反対側の第一基板2に、行方向及び列方向に配列させて設けられており、第二基板3には、各画素電極6と対向する一枚膜状の透明な共通電極20が設けられている。
【0023】
なお、各画素電極6は、同じ形状、例えば、縦幅(列方向の幅)が横幅(行方向の幅)よりも大きい縦長の矩形形状に形成されており、行方向に一定のピッチで配置されると共に、列方向にも一定のピッチで配置されている。
【0024】
TFT7は、図3のように、第一基板3上に形成されたゲート電極8と、前記第一基板3上の全域にゲート電極8を覆って形成された透明なゲート絶縁膜9と、このゲート絶縁膜9の上にゲート電極8と対向させて形成された真正アモルファスシリコンからなる半導体薄膜10と、この半導体薄膜10のチャネル領域を挟んで、その一方の側と他方の側との上にそれぞれn型アモルファスシリコンからなるコンタクト層(図示せず)を介して形成されたソース電極11及びドレイン電極12とからなっている。
【0025】
また、第一基板2には、各画素電極6の行毎に行方向に延伸させて配線された複数の走査信号線13と、各画素電極6の列毎に列方向に延伸させて配線された複数のデータ信号線14とが設けられている。
【0026】
走査信号線13は、第一基板2上に、TFT7のゲート電極8と一体に形成されている。また、データ信号線14は、ゲート絶縁膜9の上に、TFT7のソース電極11と一体に形成されている。
【0027】
そして、画素電極6は、ゲート絶縁膜9の上に形成され、その一つの角部においてTFT7のドレイン電極11に接続されている。
【0028】
さらに、第一基板2には、各画素R,G,B毎に、画素電極6の辺部とゲート絶縁膜9を介して対向し、画素電極6との間にゲート絶縁膜9を誘電層とする補償容量を形成する容量電極15が設けられている。
【0029】
この容量電極15は、画素電極7の全周の辺部に、TFT7が接続された部分を除いて重なるような枠形状に形成されている。そして、各容量電極15は、行毎に、画素電極7のTFT7が接続された側とは反対側の辺(行方向に沿った辺)の端部同士を連続させて形成することにより共通接続されている。
【0030】
また、第一基板2には、各TFT7及び各データ信号線14を覆ってオーバーコート絶縁膜16が形成され、その上に第一配向膜17が形成されている。なお、図3ではオーバーコート絶縁膜16と第一配向膜17を省略している。
【0031】
一方、第二基板3には、各行及び各列の隣り合う画素R,G,Bの境界部に、TFT7と走査信号線13及びデータ信号線14と容量電極15を覆い隠すように形成された遮光膜18が設けられている。さらに、第二基板3には、赤色フィルタ19と緑色フィルタ19と青色フィルタ19とを後述するように配列させて形成したカラーフィルタが設けられており、このカラーフィルタの上に共通電極7が形成され、その上に第二配向膜21が形成されている。
【0032】
前記第一基板2と第二基板3は、第一基板2の画素電極6及び第一配向膜17が形成された面と、第二基板3の共通電極20及び第二配向膜21が形成された面とを、所定の間隙をおいて対向させて配置され、画面エリア1aを囲む枠状のシール材4を介して貼り合わされている。そして、これらの2,3間の間隙のシール材4で囲まれた領域に液晶が充填されて液晶層5が形成されている。
【0033】
また、第一基板2の外面には、第一偏光板22が、その吸収軸を所定の方向に向けて配置され、第二基板3の外面には、第二偏光板23が、その吸収軸を所定の方向に向けて配置されている。
【0034】
この液晶表示素子1は、例えばTN型のものであり、第一配向膜17と第二配向膜21は、ポリイミド膜等の水平配向膜からなり、互いに直交する方向にラビング処理されている。また、液晶層5は、誘電異方性が正のネマティック液晶により形成されており、この液晶層5の液晶分子は、第一基板2から第二基板3に向かって90度の捩れ角でツイスト配向している。
【0035】
そして、第一偏光板22と第二偏光板23は、画素電極R,G,Bと共通電極20との間との間への印加電圧が0Vのときの表示が最も明るいノーマリーホワイトモードの液晶表示素子を構成するように、第一偏光板22の吸収軸を第一配向膜17のラビング方向と直交させるか或いは平行にし、第二偏光板23の吸収軸を第一偏光板22の吸収軸と直交させて配置されている。
【0036】
この液晶表示素子1において、前記赤色フィルタ19と緑色フィルタ19と青色フィルタ19は、赤色画素Rと緑色画素Gと青色画素Bとを図5のような配列で形成するように配置されている。
【0037】
すなわち、赤色フィルタ19が設けられた赤色画素Rと、緑色フィルタ19が設けられた緑色画素Gと、青色フィルタ19が設けられた青色画素Bは、行毎に、二つの赤色画素R,Rと二つの緑色画素G,Gと一つの青色画素Bとが同色の画素同士が隣り合わないように所定の順で並んだ配列順の繰り返しで配置されている。
【0038】
なお、図5に示した画素配列パターンでは、二つの赤色画素R,Rと二つの緑色画素G,Gと一つの青色画素Bとを、行方向の左端方向から右端方向に向かって、緑色画素G、青色画素B、赤色画素R、緑色画素G、赤色画素Rの順で並ぶように配置している。
【0039】
さらに、赤色画素Rと緑色画素Gと青色画素Bは、同じ形状及び面積を有しており、行方向に一定のピッチで配置されている。なお、この実施例では、赤、緑、青の各色の画素R,G,Bを、列方向に沿った縦幅が行方向に沿った横幅よりも大きい縦長の矩形形状に形成している。
【0040】
また、第一基板2には、図1のように、例えば画面エリア1aの上下方向(列方向)の一端側に、第二基板3の外方に張出すドライバ搭載部2aが形成されており、このドライバ搭載部2aに、複数の入力端子と複数の走査信号出力端子及び複数のデータ信号出力端子(図示せず)が形成されたLSIからなるドライバ素子24が搭載されている。
【0041】
そして、各走査信号線13は、画面エリア1aの外側を引き回してドライバ素子24の各走査信号出力端子にそれぞれ接続され、各データ信号線14は、ドライバ素子24の各データ信号出力端子にそれぞれ接続されている。
【0042】
なお、図1では省略しているが、前記ドライバ搭載部2aには、共通電圧入力端子が形成されており、共通電極20は、枠状のシール材4による基板接合部に設けられたクロス接続部(図示せず)を介して、共通電圧入力端子に接続されている。
【0043】
また、行毎に共通接続された全ての行の容量電極15は、画面エリア1aの外側に配線された図示しない共通電圧供給線に接続され、この共通電圧供給線を介して、前記共通電極20と共に前記共通電圧入力端子に接続されている。
【0044】
前記液晶表示素子1は、各画素R,G,Bの行(以下、画素行という)を一行ずつ順次選択し、各画素行毎に、その行の各画素R,G,Bの画素電極6と共通電極20との間に電圧を印加することにより駆動され、前記電圧の印加による液晶分子の配向状態の変化により、各画素R,G,Bの光の透過率を制御して画像を表示する。
【0045】
また、前記液晶表示素子1の背後(表示面側とは反対側)には、図1のように、液晶表示素子1の画面エリア1aの全域に向けて均一な照度の光を照射するバックライト25が配置されている。
【0046】
このバックライト25は、液晶表示素子1の平面形状に対応した形状の透明板からなり、一端面に光を入射させる入射端面26aが形成され、二つの板面の一方に、入射端面26aから入射した光の出射面26bが形成されると共に、他方の板面に、入射端面26aから入射した光を前記出射面26bに向けて反射する反射面26cが形成された導光板26と、この導光板26の入射端面26aに対向させて配置された複数の発光素子27とにより構成されている。
【0047】
このバックライト25は、複数の発光素子27が発する光を導光板26にその入射端面26aから入射させ、その光を導光板26の出射面26bの全域から出射するものであり、前記出射面26bを液晶表示素子1に対向させて配置されている。
【0048】
このバックライト25の複数の発光素子27は、その構造は図示しないが、赤、緑、青の三色のLED(発光ダイオード)を備えており、この三色のLEDを点灯させることにより、赤、緑、青の光の加法混色光を導光板26の入射端面26aに向けて出射する。
【0049】
この表示装置は、駆動手段28により、液晶表示素子1の各赤色画素Rに、赤の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、各緑色画素Gに、緑の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、各青色画素Bに、青の階調データを所定の条件で補正した補正階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加することにより、所定の順で並んだ二つの赤色画素R,Rと二つの緑色画素G,Gと一つの青色画素Bにより二座標分のカラードット(図5参照)を表現する。図5において、破線ハッチングを施した領域は、二座標分のカラードット表現領域である。
【0050】
駆動手段28は、図1のように、外部から供給される画像データを一時的に記憶する画像メモリ29と、液晶表示素子1の各走査信号線13に走査信号を印加する走査信号線駆動回路30と、液晶表示素子1の各データ信号線14にデータ信号を印加するデータ信号線駆動回路31と、前記走査信号線駆動回路30及びデータ信号線駆動回路31を制御する制御部33とを備えている。なお、走査信号線駆動回路30とデータ信号線駆動回路31は、液晶表示素子1のドライバ搭載部2aに搭載されたドライバ素子24に形成されている。
【0051】
駆動手段28に供給される画像データは、赤色画素と緑色画素と青色画素が行方向に交互に並ベて配置され、互いに隣り合う赤、緑、青の各色の三つの画素により、一座標分のカラードットを表現する表示装置に供給される画像データと同じデータであり、表示するカラー画像の走査線方向の各座標点の色情報それぞれが赤、緑、青の三色の階調データを含んでいる。
【0052】
制御部33は、画像メモリ29に一時的に記憶された画像データを一走査線分ずつ取り込み、その画像データから垂直同期信号を分離して走査信号線駆動回路30とデータ信号線駆動回路31とに供給する。
【0053】
また、制御部33は、画像メモリ29から取り込んだ一走査線分の画像データの各座標点の赤、緑、青の三色の階調データのうち、青の階調データを、走査線方向の隣り合う二つの座標点毎に、一方の座標点の青の階調データと他方の座標点の青の階調データとから所定の条件により求めた補正階調データに変換し、各座標点の赤及び緑の階調データと、前記二つの座標点毎の青の補正階調データとを水平同期信号及び規準クロック信号と共にデータ信号線駆動回路31に供給する。
【0054】
すなわち、制御部33は、図1のように、走査線方向の隣り合う二つの座標点の三色の階調データのうち、一方の座標点の赤の階調データD1R及び緑の階調データD1Gと、他方の座標点の赤の階調データD2R及び緑の階調データD2Gを、そのままデータ信号線駆動回路31に供給し、前記一方の座標点の青の階調データと他方の座標点の青の階調データを、その両方の階調データから所定の条件により求めた一つの補正階調データDに変換してデータ信号線駆動回路31に供給する。これは、画像データの他の各座標点の三色の階調データについても同じである。
【0055】
なお、液晶表示素子1の各行の画素配列が、図5のような配列である場合、一つ目(図5の左端)の二座標分のカラードット表現領域Aの青色画素Bに対する青の補正階調データDは、走査線方向の左端方向から見て一番目の座標点の青の階調データと、二番目の座標点の青の階調データとから求める。また、二つ目の二座標分のカラードット表現領域の青色画素Bに対する青の補正階調データDは、三番目の座標点の青の階調データと、四番目の座標点の青の階調データとから求める。また、三つ目の二座標分のカラードット表現領域の青色画素Bに対する青の補正階調データDは、五番目の座標点の青の階調データと、六番目の座標点の青の階調データとから求める。このように各カラードット表現領域Aの青色画素Bに対する青の補正階調データDは、隣り合う二つの座標点それぞれの青の階調データから求める。
【0056】
この青の補正階調データDは、青色画素Bの透過率が、前記一方の座標点の青の階調データに対応した透過率と、他方の座標点の青の階調データに対応した透過率とを平均した値になるような条件で求める。
【0057】
すなわち、青の補正階調データDは、青色画素Bの前記一方の座標点の青の階調データに対応した透過率と他方の座標点の青の階調データに対応した透過率とを平均した平均透過率が得られる印加電圧値から階調値を逆算することにより求める。
【0058】
ここで、青色画素Bの前記一方の座標点の青の階調データに対応した透過率をT1、前記青色画素Bの前記他方の座標点の青の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加したときの透過率をT2、その両方の透過率T1,T2を平均した平均透過率をTとすると、平均透過率Tは、次の(1)式により表わされる。
【0059】
T=(T1+T2)/2 …(1)
また、前記液晶表示素子1はノーマリーホワイトモードのものであり、図7のような電圧−透過率特性をもっている。
【0060】
そこで、
前記一方の座標点の青の階調データの階調値をD1
他方の座標点の青の階調データの階調値をD2
青の最大階調値をDf
とすると、
青色画素Bの透過率が前記平均透過率T=(T1+T2)/2になる階調値Dは、γ系数が2.2の場合、次の(2)式により求めることができる。
【0061】
D=Df[{(D1/Df)2.2+(D2/Df)2.2}/2](1/2.2) …(2)
なお、前記最大階調値Dfは、最も高い透過率に対応した階調値であり、例えば階調値を0〜255の範囲で制御する256階調の表示を行なう場合の最大階調値Dfは255である。
【0062】
但し、上記(1)式により求められる平均透過率Tは、(2)式で表される階調値Dとは必ずしも対応しない。そのため、この実施例では、青色画素Bの透過率を、最小階調に対する透過率を0.0、最大階調値Dfに対する透過率を1.0として階調毎に規格化し、青色画素Bの階調−透過率特性に基づいて、前記平均透過率Tを規格化した透過率に対応した階調値を、前記補正階調データDとして制御部33からデータ信号線駆動回路31に供給するようにしている。
【0063】
図8は青色画素Bの256階調の表示を行なう場合の青色画素Bの各階調に対応した透過率を示している。図8のように、青色画素Bの各階調に対する透過率(規格化値)は、最小階調0で透過率0.0、最大階調255で透過率1.0000であり、その間の各階調では、例えば階調100で透過率0.12753、階調200で透過率0.58597である。
【0064】
そして、走査信号線駆動回路30は、制御部33からのクロック信号に基づいて、各走査信号線13に、各行のTFT7を行毎にずれた周期でオン/オフさせる走査信号を印加する。この走査信号は、該走査信号を印加する走査信号線7の選択期間にTFT7をオンさせる電位になり、選択期間以外はTFT7をオフさせる電圧になるパルス波形の信号である。
【0065】
また、データ信号線駆動回路31は、制御部33から供給された赤の階調データD1R,D2R及び緑の階調データD1G,D2Gと、前記条件により求めた一つの青の補正階調データDとを、一走査線分ずつ、つまり一画素行分ずつ一時的に格納し、制御部33からのクロック信号に基づいて、各走査信号線13の選択期間毎に、格納した一画素行分の階調データD1R,D1G,D2R,D2G,Dを各データ信号線14に印加する。
【0066】
図6はデータ信号線駆動回路31の構成図であり、このデータ信号線駆動回路31は、サンプリングメモリ131、データラッチ部132、D/A変換回路133、及び表示信号電圧生成回路134からなっている。
【0067】
サンプリングメモリ131は、制御部33からの水平同期信号Hs及び規準クロック信号CLKに同期して、制御部33から供給された一画素行分(一走査線分)の画像データData、つまり、カラードット表現領域A毎の二つの赤の階調データD1R,D2R及び緑の階調データD1G,D2Gと、一つの青の補正階調データDを取り込み、これらの階調データを、液晶表示素子1の一画素行の画素R,G,Bの並び順に対応させて各データ格納領域M〜Mに格納する。
【0068】
すなわち、液晶表示素子1の一画素行の各カラードット表現領域のうち、図5において左側のカラードット表現領域Aに対する階調データD1R,D1G,D,D2R,D2Gは、第1〜第5データ格納領域M,M,M,M,Mに、緑の階調データD1G、青の補正階調データD、赤の階調データD1R、緑の階調データD2G、赤の階調データD2Rの順で格納される。
【0069】
同等に、左から二つ目のカラードット表現領域に対する階調データD1R,D1G,D,D2R,D2Gは、第6〜第10データ格納領域M,M,M,M,M10(第9及び第10データ格納領域M,M10は図示せず)に、緑の階調データD1G、青の補正階調データD、赤の階調データD1R、緑の階調データD2G、赤の階調データD2Rの順で格納される。
【0070】
以下はその繰り返しであり、最も右端のカラードット表現領域に対する階調データD1R,D1G,D,D2R,D2Gは、第n−4〜第nデータ格納領域Mn−4,Mn−3,Mn−2,Mn−1,M(第n−4〜第n−2データ格納領域Mn−4〜Mn−2は図示せず)に、緑の階調データD1G、青の補正階調データD、赤の階調データD1R、緑の階調データD2G、赤の階調データD2Rの順で保持される。
【0071】
そして、サンプリングメモリ131は、各データ格納領域M〜Mに格納された一画素行分の階調データD1G,D,D1R,D2G,D2Rを、制御部33からの水平同期信号Hsに基づいて後段のデータラッチ部132に転送し、次の一画素行分の画像データData(各カラードット表現領域A毎の二つの赤の階調データD1R,D2R及び緑の階調データD1G,D2Gと、一つの青の補正階調データD)を取り込んで各データ格納領域M〜Mに格納する。
【0072】
データラッチ部132は、サンプリングメモリ131から転送された一画素行分の階調データD1G,D,D1R,D2G,D2Rを一斉に取得し、取得した階調データD1G,D,D1R,D2G,D2Rを後段のD/A変換回路133に出力する。
【0073】
D/A変換回路133は、複数のDAC部135及び出力アンプ回路136により構成されており、DAC部135により、データラッチ部132からの各階調データD1G,D,D1R,D2G,D2Rをアナログ電圧に変換し、その電圧を出力アンプ回路136により増幅したデータ信号を液晶表示素子1の各データ信号線14に印加する。
【0074】
なお、各階調データD1G,D,D1R,D2G,D2Rは、例えば8ビットのデジタルデータであり、DAC部135は、表示信号電圧生成回路134において生成された各階調毎の表示信号電圧から各階調データD1G,D,D1R,D2G,D2Rに対応した電圧を選択し、その電圧を出力アンプ回路136に出力する。
【0075】
そして、出力アンプ回路136から出力された各データ信号は、選択された画素行の各画素電極6にTFT7のオンによって供給され、その行の各画素R,G,Bに、共通電極20と画素電極6との電位差に対応した電圧が印加される。
【0076】
すなわち、前記駆動手段28は、液晶表示素子1の各画素行の所定の順で並んだ二つの赤色画素R,Rと二つの緑色画素G,Gと一つの青色画素Bのうち、第一の赤色画素(図5においてカラードット表現領域Aの左端の画素)Rに、前記走査線方向の隣り合う二つの座標点のうちの一方の座標点の赤の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、第二の赤色画素(図5においてカラードット表現領域Aの左端から四つ目の画素)Rに、前記二つの座標点のうちの他方の座標点の赤の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、第一の緑色画素(図5においてカラードット表現領域Aの左端から三つ目の画素)Gに、前記一方の座標点の緑の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、第二の緑色画素(図5においてカラードット表現領域Aの右端の画素)Bに、前記他方の座標点の赤の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、青色画素Bに、前記一方の座標点の青の階調データと前記他方の座標点の青の階調データとから所定の条件により求めた前記補正階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加する。
【0077】
この実施例の表示装置は、行毎に、二つの赤色画素R,Rと二つの緑色画素G,Gと一つの青色画素Bとが同色の画素同士が隣り合わないように所定の順で並んだ配列順の繰り返しで配置された液晶表示素子1を備え、この液晶表示素子1を前記駆動手段28によって駆動することにより、所定の順で並んだ二つの赤色画素R,Rと二つの緑色画素G,Gと一つの青色画素Bにより二座標分のカラードットを表現し、これらのカラードットによりカラー画像を表示するようにしたものである。
【0078】
この実施例の表示装置は、液晶表示素子1のカラードット表現領域Aの二つの赤色画素R,Rと二つの緑色画素G,Gと一つの青色画素Bの配置が、同色の画素同士が隣り合わないような配置であるため、赤、緑、青の輝点がバランス良く分布した色混ざりの良いカラードットを表現し、高品位のカラー画像を表示することができる。
【0079】
なお、前記液晶表示素子1の各カラードット表現領域Aの画素数は、二つの赤色画素R,Rと二つの緑色画素G,Gと一つの青色画素Bとの計五画素である。そして、赤、緑、青の各色の画素R,G,Bは同じ形状及び面積を有しており、行方向に一定のピッチで配置されているため、一つのカラードット表現領域Aにおける青色画素Bの面積は、二つの赤色画素R,Rの総面積及び二つの緑色画素G,Gの総面積の1/2である。
【0080】
そのため、青色画素Bに、画像データの走査線方向の隣り合う二つの座標点のうちの何れか一方の座標点の青の階調データをそのまま印加したのでは、赤色画素Rにより表示される赤の輝点と緑色画素G,Bにより表示される緑の輝点に対して、青色画素Bにより表示される青の輝点の輝度が弱くなり、黄色味を帯びたカラードットが表示される。
【0081】
しかし、この表示装置では、前記液晶表示素子1の青色画素Bに、青の階調データを所定の条件で補正した補正階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加するようにしているため、青の輝点の輝度の弱さを補うことができる。
【0082】
上記実施例では、カラードット表現領域Aの第一の赤色画素Rに、前記走査線方向の隣り合う二つの座標点のうちの一方の座標点の赤の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、第二の赤色画素Rに、前記二つの座標点のうちの他方の座標点の赤の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、第一の緑色画素Gに、前記一方の座標点の緑の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、第二の緑色画素Bに、前記他方の座標点の赤の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、青色画素Bに、前記一方の座標点の青の階調データと前記他方の座標点の青の階調データとから所定の条件により求めた前記補正階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加するようにしているため、青の輝点の輝度の弱さを補うことができる。
【0083】
さらに、上記実施例では、青色画素Bに、前記一方の座標点の青の階調データに対応した透過率と、前記他方の座標点の青の階調データに対応した透過率との平均透過率が得られる電圧値のデータ信号を印加するようにしているため、前記平均透過率に対応した輝度の青の輝点を表示することができる。
【0084】
前記青の補正階調データDは、上述したように、青色画素Bの前記一方の座標点の青の階調データに対応した透過率と他方の座標点の青の階調データに対応した透過率とを平均した平均透過率から求めるのが望ましく、この補正階調データDに対応した電圧値のデータ信号を青色画素Bに印加することにより、前記平均透過率に対応した強さの青の表示を得ることができる。
【0085】
なお、前記液晶表示素子1は、各画素行の青色画素Bの数が、赤色画素Rの数及び緑色画素Gの数の1/2であるため、表示されるカラー画像は、青色画素Bにより表示される青色情報の数が、赤色画素R及び緑色画素Gにより表示される赤色情報及び緑色情報の数に比べて1/2に減少した画像である。しかし、人間の眼は、短波長の光に対する相対的分解能が低いため、青色画素Bの数が少なくても、カラー画像の分解能の低下は目立たない。
【0086】
但し、前記液晶表示素子1は、青色画素Bの数が赤色画素Rの数及び緑色画素Gの数よりも少ないため、液晶表示素子1の背後から照射される光が白色光であると、青色画素Bに上記のような補正階調データDを印加しても、ある程度黄色味を帯びたカラードットが表示される。
【0087】
そのため、この実施例では、液晶表示素子1の背後に、白色光に対して赤と緑の波長域の光強度を低くした分光分布の光を液晶表示素子1に向けて照射するバックライト25を配置している。
【0088】
このバックライト25は、図2に示したように、導光板26と、この導光板26の入射端面26aに対向させて配置された複数の発光素子27からなっており、発光素子27は、上述したように赤、緑、青の三色のLEDを備え、赤、緑、青の光の加法混色光を出射する。
【0089】
そのため、このバックライト25は、発光素子27の赤、緑、青の三色のLEDそれぞれの駆動電圧を制御することにより、赤色LEDが発する赤色光と、緑色LEDが発する緑色光と、青色LEDが発する青色光の強度比を変化させ、任意の分光分布の光を液晶表示素子1に向けて照射することができる。
【0090】
この実施例では、発光素子27の三色のLEDのうち、赤色LEDと緑色LEDを、白色光を出射させるときの駆動電圧よりも低い電圧で駆動し、青色LEDを白色光を出射させるときの駆動電圧と同じ電圧で駆動することにより、発光素子27から、白色光に対して赤と緑の波長域の光強度を低くした分光分布の光を出射させるようにしている。
【0091】
図9はバックライト25からの照射光の分光分布図であり、この実施例の照射光は、図に破線で示した白色光の分光分布に対して、青の波長帯域の光強度が同じで、赤及び緑の波長帯域の光強度が低くなった、青味を帯びた光である。
【0092】
このように、バックライト25から白色光に対して赤と緑の波長域の光強度を低くした分光分布の光を液晶表示素子1に向けて照射させると、液晶表示素子1の表示色の赤及び緑の強さが照射光の分光分布によって打ち消されるため、カラードットの帯色を無くし、色再現性の高いカラー画像を表示することができる。
【0093】
図10は、前記表示装置における白表示(赤、緑、青の全ての画素R,G,Bを点灯させたときの表示)の色度を示すCIE色度図であり、W1は、液晶表示素子1に白色光を入射させたときの白表示の色度を示し、W2は、液晶表示素子1に図9の分光分布の光を入射させたときの白表示の色度を示している。
【0094】
図10のように、液晶表示素子1に図9の分光分布の光を入射させたときの白表示の色度W2は、白色光を入射させたときの白表示の色度W1よりも無彩色点(xコーディネイト=0.310、yコーディネイト=0.317)に近く、従って、色再現性の高いカラー画像を表示することができる。
【0095】
しかも、この実施例によれば、発光素子27の三色のLEDのうち、赤色LEDと緑色LEDを、白色光を出射させるときの駆動電圧よりも低い電圧で駆動するため、バックライト25の消費電力を少なくすることができる。
【0096】
そして、この表示装置は、行毎に、赤、緑、青の三色の画素R,G,Bが、二つの赤色画素R,Rと二つの緑色画素G,Gと一つの青色画素Bとが所定の順で並んだ配列順の繰り返しで配置された画素配列の液晶表示素子1を備えたものであるため、赤色画素と緑色画素と青色画素が行方向に交互に並ベて配置された通常の液晶表示素子を備えた表示装置に比べて開口率を高くすることができる。
【0097】
すなわち、通常の液晶表示素子は、行毎に、画像データの走査線方向の各座標点毎の三色の階調データの総数と同じ数の画素を配置したものである。一方、上記実施例の液晶表示素子1は、行毎の赤色画素Rと緑色画素Gの数は画像データの走査線方向の各座標点毎の赤と緑の階調データの数と同じであるが、青色画素Bの数が、前記画像データの走査線方向の各座標点毎の青の階調データの数の1/2である。
【0098】
従って、実施例の液晶表示素子1の画面サイズが通常の液晶表示素子の画面サイズと同じであるとすると、実施例の液晶表示素子1の一画素行の画素数は通常の液晶表示素子の5/6であり、各画素列毎に配置されたデータ信号線14の数も通常の液晶表示素子の5/6である。
【0099】
そのため、実施例の液晶表示素子1では、各画素R,G,Bを、通常の液晶表示素子の行方向に隣り合う二つのカラードット表現領域分の長さを五等分した幅に形成している。従って、実施例の液晶表示素子1の各画素R,G,Bの横幅(行方向の幅)は、通常の液晶表示素子よりも広くなっている。
【0100】
図11は実施例の液晶表示素子1と通常の液晶表示素子の画素幅の対比図であり、(a)は通常の液晶表示素子の画素幅を示し、(b)は実施例の液晶表示素子1の画素幅を示している。
【0101】
図11(a)のように、通常の液晶表示素子は、赤、緑、青の各色の三つの画素R,G,Bにより一座標分のカラードットを表現するものであり、一つのカラードット表現領域Aaが、三つの画素R,G,Bに空間分割されている。一方、実施例の液晶表示素子1は、二つの赤色画素R,Rと二つの緑色画素G,Gと一つの青色画素Bにより二座標分のカラードットをするものであり、図11(b)のように、一つのカラードット表現領域Aの行方向の長さが、通常の液晶表示素子の二つのカラードット表現領域Aa,Aa分の長さに相当する。そして、各カラードット表現領域Aが、五つの画素G,B,R,G,Rに空間分割されている。従って、通常の液晶表示素子の二つのカラードット表現領域Aa,Aa分の長さをLとすると、通常の液晶表示素子の各画素R,G,Bの横幅はL/6であるのに対し、実施例の液晶表示素子1の各画素R,G,Bの横幅はL/5である。なお、実施例の液晶表示素子1の各画素R,G,Bの縦幅(列方向の幅)は、通常の液晶表示素子と同じである。
【0102】
このように、実施例の液晶表示素子1は、各画素R,G,Bの横幅を通常の液晶表示素子よりも広くしているため、各画素R,G,Bの面積を通常の液晶表示素子よりも大きくすることができる。
【0103】
一方、液晶表示素子1の各画素R,G,Bの開口部は、TFT7と走査信号線13及びデータ信号線14と容量電極15を覆い隠すように形成された遮光膜18で囲まれた領域である。
【0104】
図12は実施例の液晶表示素子1と通常の液晶表示素子の一つの画素の開口面積の対比図であり、(a)は通常の液晶表示素子の一つの画素の開口面積を示し、(b)は実施例の液晶表示素子1の一つの画素の開口面積を示している。図12(a)及び(b)において、100は開口部、101は遮光膜18が形成された非開口部である。
【0105】
なお、実施例の液晶表示素子1は、各画素R,G,Bの横幅を通常の液晶表示素子よりも広くしたものであるが、画素電極6に対するTFT7の配置位置及び該TFT7の平面積と、走査信号線13及びデータ信号線14の線幅と、画素電極6と走査信号線13との間隔と、画素電極6とデータ信号線14との間隔と、画素電極6と容量電極16との重なり幅は、何れも通常の液晶表示素子と同じある。
【0106】
従って、実施例の液晶表示素子1の各画素R,G,Bの非開口部101は、該非開口部101のうち、画素の上下の横辺に沿った部分が、画素の横幅が通常の液晶表示素子よりも広くなるのに伴って横方向に延びた形状であり、非開口部101の他の部分は通常の液晶表示素子と同じ形状である。それに対して、実施例の液晶表示素子1の各画素R,G,Bの開口部101は、該開口部101の全体に亘って横幅が通常の液晶表示素子よりも広くなった形状である。
【0107】
そのため、通常の液晶表示素子に対する実施例の液晶表示素子1の各画素R,G,Bの開口部101の面積の増加率と、非開口部101の面積の増加率は、開口部101の面積の増加率の方が大きい。
【0108】
従って、実施例の液晶表示素子1によれば、通常の液晶表示素子に比べて開口率を高くすることができる。例えば、2.5型の液晶表示素子の場合、通常の液晶表示素子の開口率は49%程度であるが、実施例の液晶表示素子1の開口率は55%であり、光の透過率を通常の液晶表示素子に比べて13%程度向上させることができる。
【0109】
このように、上記実施例の表示装置は、液晶表示素子1の開口率を通常の液晶表示素子よりも高くすることができるため、明るいカラー画像を表示することができる。
【0110】
[第二実施例]
なお、液晶表示素子1の各行の画素配列は、図5の配列に限らず、例えば図13に示した第二実施例のように、行方向の左端方向から右端方向に向かって、赤色画素R、青色画素B、緑色画素G、赤色画素R、緑色画素Gの順で並ぶように配置してもよい。この画素配列も、同色の画素同士が隣り合わない配列であるため、赤、緑、青の輝点がバランス良く分布した色混ざりの良いカラードットを表現することができる。
【0111】
[第三実施例]
図14に示した第三実施例は、液晶表示素子1の各行の画素配列を、上記第一実施例とは左右が逆になった配列にしたものである。すなわち、この第三実施例では、赤、緑、青の三色の画素R,G,Bを、行方向の右端方向から左端方向に向かって、緑色画素G、青色画素B、赤色画素R、緑色画素G、赤色画素Rの順で並ぶように配置している。
【0112】
[第四実施例]
図15に示した第四実施例は、液晶表示素子1の各行の画素配列を、上記第二実施例とは左右が逆になった配列にしたものである。すなわち、この第四実施例では、赤、緑、青の三色の画素R,G,Bを、行方向の右端方向から左端方向に向かって、赤色画素R、青色画素B、緑色画素G、赤色画素R、緑色画素Gの順で並ぶように配置している。
【0113】
[第五実施例]
図16に示した第五実施例は、液晶表示素子1の各行の画素配列を、上記第一実施例と同じ配列にし、さらに、同じデータ信号線14からデータ信号を供給される同色の画素を、奇数行と偶数行とで交互に、行方向に所定ピッチずらして配置したものである。
【0114】
なお、図16では、同じデータ信号線14からデータ信号を供給される同色の画素を、行毎に0.5ピッチずらしているが、各行の同色の画素のずれ量は1.5ピッチでもよい。また、前記第五実施例では、各行の画素配列を第一実施例と同じにしているが、各行の画素配列は、上記第二実施例から第四実施例の何れかの配列にしてもよい。
【0115】
[他の実施例]
上記第一から第5実施例では、カラードット表現領域Aの両端と中央以外の個所、つまり左または右から二つ目に青色画素Rを配置しているが、カラードット表現領域Aの画素配列は、左端または右端、或いは中央に青色画素Rを配置した配列でもよい。
【0116】
その場合も、赤、緑、青の各色の画素R,G,Bを、同色の画素同士が隣り合わないようにな配列順で配置することにより、赤、緑、青の輝点がバランス良く分布した色混ざりの良いカラードットを表現し、高品位のカラー画像を表示することができる。
【0117】
また、上記各実施例の表示装置における液晶表示素子1はTN型液晶表示素子であるが、液晶表示素子は、TN型に限らず、STN型、非ツイストのホモジニアス配向型、垂直配向型、横電界制御型等の液晶表示素子でも、強誘電性または反強誘電性液晶表示素子でもよい。さらに、液晶表示素子は、ノーマリーホワイトモードに限らず、ノーマリーブラックモードの液晶表示素子でもよい。
【0118】
なお、ノーマリーブラックモードの液晶表示素子は、無電界時の透過率が最も低く、印加電圧を高くするのに伴って透過率が高くなるため、バックライトからの照射光が白色光であっても、青色画素への印加電圧を高くすることにより、青の表示色を強くすることができる。
【0119】
そのため、ノーマリーブラックモードの液晶表示素子を用いる場合は、前記液晶表示素子の背後に、白色光を液晶表示素子に向けて照射するバックライトを配置し、青色画素に、前記一方の座標点の青の階調データに対応した透過率と、前記他方の座標点の青の階調データに対応した透過率との平均透過率に対応した電圧を所定の比率で高くした電圧値のデータ信号を印加することにより、赤、緑、青の色バランスの良い高品位のカラー画像を表示することができる。
【0120】
また、表示素子は、液晶表示素子に限らず、有機EL表示素子またはプラズマ表示素子等の自発光型表示素子でもよい。その場合は、青色画素に、前記一方の座標点の青の階調データに対応した輝度と、前記他方の座標点の青の階調データに対応した輝度との平均輝度に対応した電圧を所定の比率で高くした電圧値のデータ信号を印加することにより、赤、緑、青の色バランスが良いカラー画像を表示することができる。
【符号の説明】
【0121】
1…液晶表示素子、R…赤色画素、G…緑色画素、B…青色画素、A…カラードット表現領域、25…バックライト、28…駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画像を表示する表示装置であって、
赤、緑、青の三色の画素が複数行及び複数列に配列され、且つ行毎に、前記三色の画素が、二つの赤色画素と二つの緑色画素と一つの青色画素とが同色の画素同士が隣り合わないように所定の順で並んだ配列順の繰り返しで配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記二つの赤色画素と二つの緑色画素と一つの青色画素は、緑色画素、青色画素、赤色画素、緑色画素、赤色画素の順で並んでいることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記二つの赤色画素と二つの緑色画素と一つの青色画素は、赤色画素、青色画素、緑色画素、赤色画素、緑色画素の順で並んでいることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記三色の画素は、同じ形状及び面積を有しており、前記行方向に一定のピッチで配置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の表示装置。
【請求項5】
カラー画像を表示する表示装置であって、
赤、緑、青の三色の画素が複数行及び複数列に配列され、且つ行毎に、前記三色の画素が、二つの赤色画素と二つの緑色画素と一つの青色画素とが同色の画素同士が隣り合わないように所定の順で並んだ配列順の繰り返しで配置された表示素子と、
前記各赤色画素に、赤の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、前記各緑色画素に、緑の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、前記各青色画素に、青の階調データを所定の条件で補正した補正階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加する駆動手段と、
を備え、
前記所定の順で並んだ二つの赤色画素と二つの緑色画素と一つの青色画素により二座標分のカラードットを表現することを特徴とする表示装置。
【請求項6】
前記駆動手段は、
表示するカラー画像の走査線方向の各座標点の色情報それぞれが赤、緑、青の三色の階調データを含む画像データを供給され、
前記所定の順で並んだ二つの赤色画素と二つの緑色画素と一つの青色画素のうち、
第一の赤色画素に、前記走査線方向の隣り合う二つの座標点のうちの一方の座標点の赤の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、
第二の赤色画素に、前記二つの座標点のうちの他方の座標点の赤の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、
第一の緑色画素に、前記一方の座標点の緑の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、
第二の緑色画素に、前記他方の座標点の緑の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加し、
前記青色画素に、前記一方の座標点の青の階調データと前記他方の座標点の青の階調データとから所定の条件により求めた前記補正階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示素子は液晶表示素子であり、
前記駆動手段は、前記青色画素に、前記一方の座標点の青の階調データに対応した透過率と、前記他方の座標点の青の階調データに対応した透過率との平均透過率が得られる電圧値のデータ信号を印加することを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記駆動手段は、前記青色画素の前記一方の座標点の青の階調データに対応した透過率と、前記青色画素の前記他方の座標点の青の階調データに対応した透過率とを平均した平均透過率から前記補正階調データを求め、その補正階調データに対応した電圧値のデータ信号を前記青色画素に印加することを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記液晶表示素子の背後に、白色光に対して赤と緑の波長域の光強度を低くした分光分布の光を前記液晶表示素子に向けて照射するバックライトが配置されていることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示素子はノーマリーブラックモードの液晶表示素子であり、
前記液晶表示素子の背後に、白色光を前記液晶表示素子に向けて照射するバックライトが配置され、
前記駆動手段は、前記青色画素に、前記一方の座標点の青の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加したときの透過率と、前記他方の座標点の青の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加したときの透過率との平均透過率に対応した電圧を所定の比率で高くした電圧値のデータ信号を印加することを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示素子は有機EL表示素子またはプラズマ表示素子であり、
前記駆動手段は、前記青色画素に、前記一方の座標点の青の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加したときの輝度と、前記他方の座標点の青の階調データに対応した電圧値のデータ信号を印加したときの輝度との平均輝度に対応した電圧を所定の比率で高くした電圧値のデータ信号を印加することを特徴とする請求項6に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−78491(P2012−78491A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222536(P2010−222536)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】