説明

表示装置

【課題】タッチパネルを備えた表示装置において、ユーザの誤操作による誤表示を防止する。
【解決手段】ECU10は、表面にタッチパネルが貼り付けられたディスプレイの表示情報を制御する。ECU10は、判断部11、第1処理部12、第2処理部13を含む。判断部11は、タッチパネルからの信号Dtの入力の有無、および、タッチパネルの裏面側に設けられたスイッチからの信号Dsの入力の有無を判断する。第1処理部12は、信号Dtが入力されている場合、信号Dtに対応する正規処理の実行開始の許否をユーザに確認するための確認情報をディスプレイに表示させる。第2処理部13は、信号Dtの入力によってディスプレイに確認情報が表示されている状態でさらに信号Dsが入力された場合、信号Dtに対応する正規処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラや携帯電話などに搭載され映像などの情報を表示する表示装置に関し、特に、タッチパネルを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、携帯電話、カーナビゲーションなどに搭載される表示装置には、タッチパネルを備えたものが多く存在する。従来のタッチパネルは、通常のボタン入力のようなクリック感がなく、入力されたかどうかの確認がしづらいものがあった。このような問題に鑑み、特開2010−49316号公報(特許文献1)には、タッチパネルの裏面にメタルドームスイッチを配置することで、タッチパネルにクリック感を持たせる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−49316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、タッチパネルにクリック感を持たせることはできても、タッチパネル操作そのものがユーザによる誤操作であった場合には、その誤操作による誤表示を防止することはできない。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、タッチパネルを備えた表示装置において、ユーザの誤操作による誤表示を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る表示装置は、ディスプレイと、ディスプレイの表面側に設けられ、ユーザが触れた位置を示す第1信号を出力するタッチパネルと、ディスプレイの裏面側に設けられ、ユーザがタッチパネルに触れた状態でさらにタッチパネルを押し方向に押した場合に第2信号を出力する出力装置とを備え、ディスプレイとタッチパネルと出力装置とに接続され、ディスプレイに表示させる情報を制御する制御装置とを備える。制御装置は、第1信号および第2信号に応じて情報を変更する。
【0007】
好ましくは、制御装置は、第1信号が入力されかつ第2信号が入力されていない場合、第1信号に対応する正規処理の実行開始の許否をユーザに確認するための確認情報をディスプレイに表示させる。
【0008】
好ましくは、制御装置は、第1信号の入力によってディスプレイに確認情報が表示されている状態でさらに第2信号が入力された場合、正規処理の実行を開始する。
【0009】
好ましくは、制御装置は、第1信号の入力によってディスプレイに確認情報が表示されている状態で第1信号が入力されなくなった場合、正規処理を実行しない。
【0010】
好ましくは、ディスプレイおよびタッチパネルは、押し方向に一体的に移動可能に構成される。出力装置は、ディスプレイおよびタッチパネルがユーザによって押し方向に移動されたことに応じて開状態から閉状態に切替えられるスイッチ回路である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タッチパネルを備えた表示装置において、ユーザの誤操作による誤表示を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】表示装置の断面を模式的に示す図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】ECUの機能ブロック図である。
【図4】ECUの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】誤操作防止機能によるディスプレイの表示画像の状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則として繰り返さない。
【0014】
図1は、本実施の形態に従う表示装置100の断面を模式的に示す図である。図2は、図1のA−A断面図である。なお、以下では、表示装置100がデジタルカメラに搭載されデシタルカメラで撮像した映像の表示に用いられるものとして説明するが、用途はこれに限定されない。
【0015】
この表示装置100は、ケース1、タッチパネル2、ディスプレイ3、弾性支柱4、スイッチ5、電子制御装置(以下、「ECU」という)10を備える。
【0016】
ケース1は、撮像用レンズや撮像素子(図示せず)、ECU10など、デジタルカメラ全体を覆う容器である。ケース1の表面の一部には凹形状の窪み部分1Aが設けられ、この窪み部分1Aにタッチパネル2、ディスプレイ3、弾性支柱4、スイッチ5が設けられる。
【0017】
ディスプレイ3は、略長方形状(図2参照)の液晶パネルである。ディスプレイ3は、ECU10に接続され、ECU10からの制御信号S1に応じた画像を表示する。
【0018】
タッチパネル2は、ディスプレイ3の表面(ユーザに映像を表示する面)の全体に貼付けられる。タッチパネル2は、ECU10に接続され、ユーザがタッチパネル2に触れると、ユーザが触れた位置を示す信号DtをECU10に出力する。
【0019】
弾性支柱4は、ディスプレイ3の裏面の四隅にそれぞれ1本づつ(合計4本)設けられ、ディスプレイ3の裏面と窪み部分1Aの底面1Bとの間に固定される。ユーザがタッチパネル2に触れた状態でさらにタッチパネル2を押し方向(矢印αの方向)に押す操作(以下、単に「押し操作」ともいう)をした場合、押す力が弾性支柱4の弾性力よりも大きな力であると弾性支柱4が弾性変形し、タッチパネル2およびディスプレイ3が一体的に押し方向αに移動する。ユーザがタッチパネル2を押す力を緩めると、弾性支柱4は元の状態に戻り、タッチパネル2およびディスプレイ3が元の位置に戻る。
【0020】
スイッチ5は、ディスプレイ3の裏面と底面1Bとの間に設けられる。スイッチ5は、底面1Bの略中央部に固定される。スイッチ5は、バネ性を有しており、通常は開状態に維持される。ディスプレイ3の裏面がスイッチ5に当接した状態でユーザがさらにスイッチ5の弾性力よりも大きい力を加える(すなわち弾性支柱4の弾性力とスイッチ5の弾性力との合計値よりも大きな力でタッチパネル2を押す)と、ディスプレイ3の裏面でスイッチ5が押される(開状態から閉状態に変化する)。スイッチ5が押されると、スイッチ5から信号DsがECU10に出力される。
【0021】
ECU10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵し、当該メモリに記憶された画像データによる画像や文字などの情報をディスプレイ3に表示させるための制御信号S1を生成し、ディスプレイ3に出力する。この際、ECU10は、タッチパネル2からの信号Dtおよびスイッチ5からの信号Dsに応じてディスプレイ3の表示情報を変更する。具体的には、ECU10は、信号Dtおよび信号Dsに基づいて、ユーザの誤操作による誤表示の防止を促す態様でディスプレイ3の表示情報を制御する。このような機能(以下、「誤操作防止機能」という)を有する点が本実施の形態に従う表示装置100の最も特徴的な点である。
【0022】
図3は、誤操作防止機能に関する部分のECU10の機能ブロック図である。図3に示した各機能ブロックは、電子回路等によるハードウェアによって実現してもよいし、プログラムの実行等によるソフトウェアによって実現してもよい。
【0023】
ECU10は、判断部11、第1処理部12、第2処理部13を含む。
判断部11は、タッチパネル2からの信号Dtの入力の有無、および、スイッチ5からの信号Dsの入力の有無を判断する。
【0024】
第1処理部12は、信号Dtが入力されている場合、信号Dtに対応する正規処理の実行開始の許否をユーザに確認するための確認情報をディスプレイ3に表示させる処理(以下、「確認処理」という)を行なう。第1処理部12は、信号Dtが入力されなくなった場合、または、信号Dtが入力されている状態でさらに信号Dsが入力された場合、確認処理を停止する。
【0025】
第2処理部13は、信号Dtの入力によってディスプレイ3に確認情報が表示されている状態でさらに信号Dsが入力された場合、信号Dtに対応する正規処理を実行する。
【0026】
なお、以下では、理解し易くするため、正規処理を「ユーザが触れた位置に対応する画像を全画面表示する処理」とし、確認処理を「ユーザが触れた位置に対応する画像を反転・部分拡大する処理」として説明する。
【0027】
図4は、誤操作防止機能を実現するためのECU10の処理手順を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートの各ステップ(以下、ステップを「S」と略す)は、上述したようにハードウェアによって実現してもよいしソフトウェアによって実現してもよい。図4に示すフローチャートは、所定の周期で繰り返し実行される。
【0028】
S10にて、ECU10は、信号Dtが入力されたか否かを判断する。信号Dtが入力されている場合(S10にてYES)、処理はS20に移される。信号Dtが入力されていない場合(S10にてNO)、処理はS50に移される。
【0029】
S20にて、ECU10は、確認処理を実行し、ユーザが触れた位置に対応する画像を反転・部分拡大させる。
【0030】
S30にて、ECU10は、信号Dsが入力されたか否かを判断する。信号Dsが入力されると(S30にてYES)、処理はS40に移される。そうでないと(S30にてNO)、この処理は終了される。
【0031】
S40にて、ECU10は、正規処理を実行し、ユーザが触れた位置に対応する画像を全画面表示させる。
【0032】
S50にて、ECU10は、確認処理中であるか否かを判断する。確認処理中である場合(S50にてYES)、処理はS60に移される。そうでないと(S50にてNO)、この処理は終了される。
【0033】
S60にて、ECU10は、確認処理の実行を終了させ、ユーザがタッチパネル2に触れる前の画像を表示させる。
【0034】
図5は、誤操作防止機能によるディスプレイ3の表示画像の状態遷移図である。
図5(A)は、ユーザがタッチパネル2に触れる前の初期画像を示す。図5(A)では、いわゆるマルチ表示によって、複数の画像1a〜3d(合計12)が表示されている。図5(B)は確認処理時の画像を示す。図5(C)は正規処理時の画像を示す。
【0035】
図5(A)のような初期画像が表示されている状態で、ユーザが画像3aの表示箇所に軽く(スイッチ5が押されない程度の力で)触れると、画像3aの表示位置を示す信号Dtがタッチパネル2からECU10に出力される。これに伴ない、確認処理が実行され、図5(B)に示すように、画像3aが反転・部分拡大される。この図5(B)に示す画像が確認画像(確認情報)である。ユーザは、正規処理時の画像への遷移前に、自らが選択したい画像とECU10が認識している画像3aとが一致するか否かを図5(B)に示す確認画像を見て確認することができる。
【0036】
図5(B)の確認画像を見みながら(確認画像が表示された状態で)自らが選択したい画像と画像3aとが一致することを確認したユーザがさらに強い力(弾性支柱4の弾性力とスイッチ5の弾性力の合計値よりも大きな力)でタッチパネル2を押すと、スイッチ5が押されて信号Dsがスイッチ5からECU10に出力される。これに伴ない、正規処理が実行され、図5(C)に示すように、画像3aがディスプレイ3の全画面に表示される。
【0037】
一方、図5(B)の確認画像を見ながら(確認画像が表示された状態で)自らが選択したい画像と画像3aとが異なることを確認したユーザがタッチパネル2に触れるのを止めると、図5(C)に示す全画面表示には遷移されず(正規処理は実行されず)、図5(A)に示す初期画面に戻される。
【0038】
このように、本実施の形態に従う表示装置100は、ユーザによるタッチパネル操作の検出を、タッチパネル2とスイッチ5とを組合わせた2段階とすることで、ユーザの誤操作による誤表示を防止することができる。また、従来のタッチパネルはクリック感がなく押したかどうかの判断が難しいものもあるが、本実施の形態に従う表示装置100では、スイッチ5にバネ性を持たせることでクリック感の改善も図ることができる。また、タッチパネル操作を2段階で検出することにしたことによって、誤操作防止機能に限らず、他の新たな機能化にも応用でき、さらなる多機能化が実現可能である。
【0039】
なお、本実施の形態においては、弾性支柱4をディスプレイ3の四隅にそれぞれ1本づつ合計4本設けたが、押し操作に応じてスイッチ5を押すことが可能であれば、弾性支柱4の配置および数はこれに限定されない。また、押し操作に応じたタッチパネル2およびディスプレイ3自身のたわみによってスイッチ5を押すことが可能であれば、弾性支柱4に代えて非弾性の支柱を用いることも可能である。
【0040】
また、本実施の形態においては、スイッチ5を底面1Bの略中央部に1つ設けたが、押し操作を検出可能であれば、スイッチ5の配置および数はこれに限定されない。
【0041】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0042】
1 ケース、1A 窪み部分、1B 底面、1a〜3d 画像、2 タッチパネル、3 ディスプレイ、4 弾性支柱、5 スイッチ、10 ECU、11 判断部、12 第1処理部、13 第2処理部、100 表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、
前記ディスプレイの表面側に設けられ、ユーザが触れた位置を示す第1信号を出力するタッチパネルと、
前記ディスプレイの裏面側に設けられ、ユーザが前記タッチパネルに触れた状態でさらに前記タッチパネルを押し方向に押した場合に第2信号を出力する出力装置とを備え、
前記ディスプレイと前記タッチパネルと前記出力装置とに接続され、前記ディスプレイに表示させる情報を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第1信号および前記第2信号に応じて前記情報を変更する、表示装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1信号が入力されかつ前記第2信号が入力されていない場合、前記第1信号に対応する正規処理の実行開始の許否をユーザに確認するための確認情報を前記ディスプレイに表示させる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1信号の入力によって前記ディスプレイに前記確認情報が表示されている状態でさらに前記第2信号が入力された場合、前記正規処理の実行を開始する、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1信号の入力によって前記ディスプレイに前記確認情報が表示されている状態で前記第1信号が入力されなくなった場合、前記正規処理を実行しない、請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記ディスプレイおよび前記タッチパネルは、前記押し方向に一体的に移動可能に構成され、
前記出力装置は、前記ディスプレイおよび前記タッチパネルがユーザによって前記押し方向に移動されたことに応じて開状態から閉状態に切替えられるスイッチ回路である、請求項1〜4のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−94035(P2012−94035A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241937(P2010−241937)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】