説明

表示装置

【課題】より装飾性やデザイン性が高い表示を実現可能な表示装置を提供する。
【解決手段】光を放射する第1の光源54と、前記第1の光源54から放射される光が入射し、透過光を出射する透光部8bを少なくとも一部に有する背景板8と、前記透光部から出射される透過光の少なくとも一部が入射する透明部2bを少なくとも一部に有する、文字板2と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の車両用のメータに使用される表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両用のメータに使用される表示装置は、例えば液晶の表示部に各種情報を表示することにより、使用者に情報を認識させるためのものである。このような表示装置は、運転者の目に頻繁に触れるために、高い装飾性やデザイン性が要求されることが多い。これに対して、複数の色による表示部への表示を可能とし、表示品質を高めることを目的とする表示装置が提案されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009―210302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車等の車両用のメータに使用される表示装置は、一般的に、光源から放射される光を表示部に裏側から照射することにより、表示部を照明するようになっている。
【0005】
これに対して、特許文献1に開示された表示装置は、液晶表示部とこの液晶表示部を導光体を介して照明する光源を有するものである。光源は、それぞれが異なる色で発光する第1光源と第2光源とから成る。導光体は、光源ごとに互いに遮光する遮光部材を介して第1導光体と第2導光体に分割されたものである。第1導光体は、第1光源や第2光源からの光を液晶表示部に導光する照射部と、照射部に連設し第2導光体及び遮光部材の端部と液晶表示部の背面全体との間に介在する介在部とから成る。第1導光体には第1光源と第2光源を配置し、第2導光体には第1光源を配置している(特許文献1の図2参照。)。
【0006】
特許文献1に開示された表示装置は、以上の構成により、第1導光体に第1光源からの光を照射し、第2導光体にも第1光源からの光を照射するモードと、第1導光体には第2光源からの光を照射し、第2導光体には第1の光源からの光を照射するモードとを使い分けて、複数の色による表示を切り替え可能に表示するものである。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された表示装置では、平面上への複数の色による表示にとどまる。これに対して、近年では、より装飾性やデザイン性が高い表示を実現できる表示装置が求められている。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より装飾性やデザイン性が高い表示を実現可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係る表示装置は、下記(1)〜(7)を特徴としている。
(1) 光を放射する第1の光源と、
前記第1の光源から放射される光が入射し、透過光を出射する透光部を少なくとも一部に有する背景板と、
前記透光部から出射される透過光の少なくとも一部が入射する透明部を少なくとも一部に有する、文字板と、
を備えること。
(2) 上記(1)に記載の表示装置であって、
前記第1の光源とは波長の異なる光を放射する第2の光源をさらに備え、
前記文字板の前記透明部には、前記第2の光源から放射される光が入射すること。
(3) 上記(2)に記載の表示装置であって、
前記第1の光源から放射される光を前記背景板の前記透光部に導く第1のプリズムと、
前記第2の光源から放射される光を前記文字板の前記透明部に導く第2のプリズムと、
をさらに備えること。
(4) 上記(3)に記載の表示装置であって、
前記第1のプリズム及び前記第2のプリズムが固定されるケースをさらに備え、
前記背景板は、前記第1のプリズムと前記第2のプリズムとの間に挟持されること。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載の表示装置であって、
前記背景板の前記透光部の、前記第1の光源から放射される光が入射する面及び透過光を出射する面の少なくとも一方には、グラデーション印刷及びスモーク印刷の少なくとも一方が施されていること。
(6) 上記(3)〜(5)のいずれかに記載の表示装置であって、
前記文字板の前記透明部は、該文字板に表示する各種情報に対応する開口部を有し、
前記第2のプリズムは、前記開口部を通して前記文字板から突出する突出部を有し、
前記突出部は、前記第2の光源から放射される光の少なくとも一部を出射すること。
(7) 上記(6)に記載の表示装置であって、
前記突出部は、前記文字板から突出する側面の少なくとも一部に、所定の波長の光を透過させる着色層を有すること。
【0010】
上記(1)の構成の表示装置によれば、文字板の透明部から出射される光が視認される場合に、背景板の透光部は、文字板の透明部よりも、透明部から出射される光の出射方向において後方に位置するように視認される。
上記(2)の構成の表示装置によれば、文字板の透明部から出射される光が視認される場合に、第2の光源は、背景板の透光部とは、異なる色で、且つ、透明部から出射される光の出射方向において異なる位置に位置するように視認される。
上記(3)の構成の表示装置によれば、第1の光源及び第2の光源の設置箇所は、任意に選択される。
上記(4)の構成の表示装置によれば、背景板は、第1のプリズムと第2のプリズムによりケースに対して固定される。
上記(5)の構成の表示装置によれば、背景板の透光部から出射される透過光は、グラデーション印刷又はスモーク印刷が施された層を通過して出射される。
上記(6)の構成の表示装置によれば、第2のプリズムの突出部から出射される光が視認される場合に、突出部は、文字板よりも、突出部から出射する光の出射方向において前方に位置するように視認される。
上記(7)の構成の表示装置によれば、突出部の色は、所定の色として視認される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の表示装置によれば、より装飾性やデザイン性が高い表示を実現可能な表示装置を提供できる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施形態による表示装置を正面から視た正面図である。
【図2】図2は、図1におけるII−II線断面図である。
【図3】図3は、図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】図4は、実施形態による表示装置の背景板の一部を、図1におけるIII−III線断面から斜視した斜視図である。
【図5】図5は、実施形態による表示装置を、図1におけるIII−III線断面から斜視した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の表示装置に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0015】
図1は、自動車等の車両用のメータに使用される表示装置1を示している。表示装置1は、該表示装置1が各種情報を呈示する表示領域の一部に、運転者に現在の速度を表示するための速度計11を備えている。以下、図1を参照して、速度計11の外観についてまず説明する。
【0016】
速度計11には、文字板2、指針23、液晶表示器3、及び見返し43が設けられている。文字板2は、樹脂により円盤状に形成され、前側(図1の図面手前に向かう方向を前、図1の図面奥に向かう方向を後、と称することがある。)に配置されている。文字板2には、目盛部94及び数字部21により構成された円弧状の速度スケール22が前面に設けられている。数字部21は、文字板2の前面に白色で描かれている。目盛部94は、後述するように、第2のプリズム9の一部として形成されており、文字板2に形成された孔24から前方に突出している。
【0017】
また、文字板2は、遮光印刷が施され光が通過しない遮光部2aと、透明材料により形成され光が通過する透明部2bとを有している。遮光部2aは、文字板2と同心の円状に配設されており、透明部2bは、遮光部2aの半径方向外側に環状に配設されている。
【0018】
指針23は、文字板2の中心付近から目盛部94付近まで延びる透光性材料から成る棒状の部材である。指針23は、文字板2の前方に配置されている。速度計11は、指針23の先端が速度スケール22の一部を指し示すことにより、運転者に現在の速度を示す。
【0019】
液晶表示器3は、デジタル画面が文字板に形成された開口から露出している。液晶表示器3は、トリップ距離と総走行距離とをデジタル画面上に数値表示する。
【0020】
見返し43は、筒状の形状であり、その筒状内部に、文字板2、指針23、及び液晶表示部3が収容される。見返し43の前方端面には、表硝子44が取付けられている。
【0021】
図2は、図1におけるII−II線断面図を示しており、図3は、図1におけるIII−III線断面図を示している。速度計11は、ケース41、背面カバー42、見返し43、及び表硝子44によって覆われている。速度計11は、これらの部材によって覆われた内部に、文字板2、指針23、第1のプリズム7、背景板8、第2のプリズム9、配線板51、光源52、光源53、第1の光源54、第2の光源55、及び内機6が収容されている。以下、図2及び図3を参照して、速度計11内部の構造について説明する。
【0022】
速度計11は、ケース41に、配線板51、第1のプリズム7、背景板8、第2のプリズム9及び文字板2が組付けられる。まず、配線板51の構成について説明する。
【0023】
配線板51は、樹脂により板状に形成された前面に基板面を有する部材である。配線板51には、複数の光源52〜55が、前方に向かって光を照射可能に、基板面に配置されている。特に、第1の光源54は、青色光で発光するLEDで構成されている。また、第2の光源55は、白色光で発光するLEDで構成されている。また、配線板51には、内機6が後面に取付けられている。内機6は、指針23を駆動するステッピングモータ(図示せず。)を備えており、ステッピングモータの軸部61が配線板51の前面から突出している。配線板51は、ケース41に設けられた遮光壁41aが第1の光源54と第2の光源55との間に位置するように、ケース41に対して組付けられる。
【0024】
第1のプリズム7は、第1の光源54から放射される光を背景板8の後面に導くための導光部材である。第1のプリズム7は、前方に延びる、第1の光源54からの光が入射する入射面71aを有する基部71と、基部71に対して屈曲した向きに該基部71から延びる、入射面71aに入射し基部71から伝搬した光を屈曲した向きに反射する第1傾斜面72aを有する屈曲部72と、この屈曲部72に連続して背景板8に向かって延びる、光を背景板8に導く照射部73とを備えている。照射部73の後面には、第1傾斜面72aで反射した光をさらに背景板8に向けて反射する第2傾斜面73aが設けられている。また、照射部73の前面は、平面形状になっている。
【0025】
第1のプリズム7は、ケース41に対して、基部71、屈曲部72及び照射部73のいずれかの後面がケース41に接触するように、且つ、入射面71aが第1の光源と向かい合うように組付けられる。この際、第1のプリズム7は、ケース41に対して、所定の係合手段を用いて位置決めして組付けられる。この係合手段としては、例えば、凹凸形状を用いた両部材の嵌合による係合を用いることができる。こうしてケース41に組付けられた第1のプリズム7は、照射部73の前面が文字板2の前面に平行に位置する。
【0026】
背景板8は、前方から正面視した際、円弧状に形成された板状の部材である。背景板8は、透光性材料で形成されており、透光性を備えている。
図4は、実施形態による表示装置の背景板の一部を、図1におけるIII−III線断面から斜視した斜視図である。背景板8は、全体として円弧形状であり、遮光印刷が施され光を通過させない遮光部8aと、光を透過する透光部8bとを有している。遮光部8aは、円弧状に形成された背景板8の半径方向の内側に位置する領域である。透光部8bは、遮光部8aの外縁に連続して背景板8の半径方向の外側に位置する領域である。透光部8bの前面には、半径方向の外側に向かって透過光を視認したときの色が薄くなるように、グラデーション印刷が施されている。さらに、透光部8bの前面に施されたグラデーション印刷上には、光の通過量が制限されるように、スモーク印刷が施されている。
【0027】
再び図2及び図3を参照して、背景板8をケース41に組付ける際の様子を説明する。背景板8は、ケース41に対して、透光部8bの後面が第1のプリズム7の照射部73の前面に対向し、且つ接触するように組付けられる。本実施形態では、背景板8は、第1のプリズム7の前面によって、ケース41に対して前後方向に位置決めされるだけではなく、ケース41の周縁部及び遮光壁41aの先端部によっても、ケース41に対して上下方向に位置決めして組付けられる(図2の図面上方に向かう方向を上、図2の図面下方に向かう方向を下、と称することがある。)。
【0028】
第2のプリズム9は、第2の光源55から放射される光を文字板2の後面に導くための導光部材である。第2のプリズム9は、前方に延びる、第2の光源55からの光が入射する入射面91aを有する基部91と、基部91に対して屈曲した向きに該基部91から延びる、入射面91aに入射し基部91から伝搬した光を屈曲した向きに反射する第1傾斜面92aを有する屈曲部92と、この屈曲部92に連続して文字板2に向かって延びる、光を文字板2に導く照射部93とを備えている。また、照射部93の前面は、平面形状になっている。
【0029】
照射部93の前面には、矩形状に形成された、該前面から前方に向かって突出した目盛部94が形成されている。目盛部94は、目盛部94aと目盛部94bとを備え、目盛部94の一方の目盛部94bには、その前面に、遮光性を有する黒色の層が印刷形成されている。目盛部94の他方の目盛部94aには、黒色の層が印刷形成されていない。図1に示すように、目盛部94aと目盛部94bとは、速度スケール22上に交互に並ぶように配置されている。
【0030】
第2のプリズム9は、ケース41に対して、照射部93の後面が背景板8の前面に対向し、且つ接触するとともに、入射面91aが第2の光源55と向かい合うように組付けられる。第2のプリズム9は、ケース41に対して、所定の係合手段を用いて位置決めして組付けられる。この係合手段としては、第1のプリズム7をケース41に対して係合するために用いた係合手段を用いることもできるし、他の異なる係合手段を用いてもよい。こうしてケース41に組付けられた第2のプリズム9は、照射部93の後面が背景板8の前面に平行に、且つ照射部93の前面が文字板2の前面に平行に、位置する。また、組付け時には、第2のプリズム9に形成された目盛部94は、文字板2の透明部2bに垂直に穿たれた孔24に挿入され、文字板2の前面から前方に突出する。これにより、第2のプリズム9は、文字板2に対して、文字板2の前面に沿う方向に位置決めして組付けられる。
【0031】
文字板2には、液晶表示器(TFT−LCD:Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)3が後面に取付けられている。液晶表示器3の後面側には拡散板が取付けられており、拡散板が配線板51に設けた光源52からの光を液晶表示器3の後面に向けて拡散することにより、液晶表示器3が照明される。
【0032】
文字板2は、ケース41に対して、透明部2bの後面が第2のプリズム9の前面に接触するように、且つ、拡散板が光源55と向かい合うように組付けられる。
【0033】
指針23は、文字板2のケース41に対する組付け後に、回転軸が文字板2の中心部に形成された孔に挿入されてステッピングモータの軸部61に結合される。指針23は、配線板51に設けた光源53により照明される。
【0034】
以上のように、ケース41に、配線板51、第1のプリズム7、背景板8、第2のプリズム9及び文字板2が組付けられる。第1のプリズム7、背景板8、及び第2のプリズム9は、ケース41と文字板2との間に挟持されることにより、ケース41に対して固定されている。また、背景板8は、第1のプリズム7と第2のプリズム9との間に挟持されることにより、ケース41に対して固定されている。これらの組付け後、ケース41に、見返し43、背面カバー42が組付けられる。見返し43は、上側が下側よりも前方に張り出しており、上側からの文字板2への光の入射を制限して速度計11の視認性を確保している。見返し43の開口部には、弧状部を下側に向け、反射光が前方に向かないようにした表硝子44が取付けられている。
【0035】
次に、第1の光源54及び第2の光源55から放射された光の進路について説明する。
図5は、実施形態による表示装置を、図1におけるIII−III線断面から斜視した斜視図である。図5では、説明のために文字板2の前面に施された遮光印刷は図示せず、文字板2の後方に配置された背景板8を透過させて示している。図5に示すように、数字部21は、文字板2の透明部2bに描かれており、背景板8の遮光部8aと透光部8bとの境界部の前方に配設されている。孔24は、文字板2の透明部2bに形成されており、背景板8の透光部8bの前方に配設されている。第2のプリズム9に形成された目盛部94は、孔24の位置において文字板2から前方に突出している。
【0036】
第1の光源54から放射された青色光は、第1のプリズム7の入射面71aに入射する。入射面71aに入射した光は、第1傾斜面72a及び第2傾斜面73aで反射されて第1のプリズム7の前面より出射される。第1のプリズム7の前面より出射された光は、背景板8の透光部8bに入射した後、透過光として透光部8bから出射される。この際、透過光は、背景板8の前面に施されたグラデーション印刷及びスモーク印刷が施された層を通過して出射される。その後、透過光は、第2のプリズム9を通過して、文字板2の透明部2bから出射される。即ち、第1の光源54から放射された青色光は、文字板2の透明部2bのうち、背景板8の透光部8bの前方に位置する部分から出射される。
【0037】
第2の光源55から放射された白色光は、第2のプリズム9の入射面91aに入射する。入射面91aに入射した光は、第1傾斜面B1で反射されて第2のプリズム9の前面より出射される。第2のプリズム9の前面より出射された光は、文字板2の透明部2bから出射される。即ち、第2の光源55から放射された白色光は、文字板2の透明部2bの全領域から出射される。
【0038】
つまり、文字板2の透明部2bのうち、背景板8の透光部8bの前方に位置する部分からは、第1の光源54から放射された青色光及び第2の光源55から放射された白色光が出射される。これに対して、文字板2の透明部2bのうち、背景板8の遮光部8aの前方に位置する部分からは、第2の光源55から放射された白色光のみが出射される。
【0039】
また、第1の光源54から放射された青色光は、第1のプリズム7及び背景板8及び第2のプリズム9を通過した後、目盛部94bの前面から出射される。また、第2の光源55から放射された白色光は、第2のプリズム9を通過した後、目盛部94bの前面から出射される。即ち、目盛部94bの前面からは、第1の光源54から放射された青色光及び第2の光源55から放射された白色光が出射される。目盛部94aの前面からは、遮光性を有する黒色の層が印刷形成されているために、第1の光源54及び第2の光源55から放射された光は出射されない。
【0040】
次に、図1を参照して、表示装置1による表示の視認態様を説明する。
文字板2の遮光部2aは、黒色として視認される。文字板2の透明部2bは、透明であるために視認されない。また、文字板2の透明部2bを透過してその後方が視えるが、背景板8の透光部8bにはスモーク印刷が施されているために、背景板8の後方にある部材は視認されない。このため、透明部2bからは、背景板8のうちの透明部2bの後方に位置する部分と、第2のプリズム9とが視認される。
【0041】
より詳細には、透明部2bからは、次のように視認される。すなわち、背景板8の遮光部8aは黒色として視認される。背景板8の透光部8bは、青色として視認され、文字板2の中心から半径方向の外側に向かって徐々に濃くなるように視認される。第2のプリズム9の前面は、白色光により照明されて視認される。また、目盛部94bの前面は、黒色として視認される。
【0042】
以下では、本実施形態に係る表示装置1の作用及び効果について説明する。
【0043】
本実施形態に係る表示装置1は、光を放射する第1の光源54と、第1の光源54から放射される光が入射し、透過光が出射する透光部8bを有する背景板8と、透光部8bから出射される透過光が入射する透明部2bを有する文字板2と、を備えている。
これにより、文字板2の透明部2bから出射する光が視認される場合に、背景板8の透光部8bは、文字板2の透明部2bよりも、透明部2bから出射する光の出射方向において後方に位置するように視認される。
この結果、使用者に奥行きを認識させる表示が可能となり、より装飾性やデザイン性の高い表示を実現できる。
【0044】
また、本実施形態に係る表示装置1は、第1の光源54とは波長の異なる光を放射する第2の光源55をさらに備え、文字板2の透明部2bには、第2の光源55から放射される光が入射している。
これにより、文字板2の透明部2bから出射される光が視認される場合に、第2の光源55は、背景板8の透光部8bとは、異なる色で、且つ、透明部2bから出射される光の出射方向において異なる位置に位置するように視認される。
この結果、使用者に奥行きをより認識させる表示が可能となり、より装飾性やデザイン性の高い表示を実現できる。
【0045】
また、本実施形態に係る表示装置1は、第1の光源54から放射される光を背景板8の透光部8bに導く第1のプリズム7と、第2の光源55から放射される光を文字板2の透明部2bに導く第2のプリズム9と、をさらに備えている。
これにより、第1のプリズム7または第2のプリズム9の形状を変形することにより、第1の光源54及び第2の光源55の設置箇所が、任意に選択される。
この結果、設計の自由度を増加させることができる。
【0046】
また、本実施形態に係る表示装置1は、第1のプリズム7と第2のプリズム9が固定されるケース41をさらに備え、背景板8は、第1のプリズム7と第2のプリズム9との間に挟持されている。
これにより、背景板8は、第1のプリズム7と第2のプリズム9によりケース41に対して固定される。
この結果、背景板をケースに対して固定するための固定機構が不要となり、省スペース化及び低コスト化を実現できる。
【0047】
また、本実施形態に係る表示装置1は、背景板8の透光部8bの前面に、グラデーション印刷及びスモーク印刷が施されている。
これにより、背景板8の透光部8bから出射する透過光は、グラデーション印刷又はスモーク印刷が施された層を通過して出射される。
この結果、色の濃淡が強調されて表示されるようになり、より装飾性やデザイン性の高い表示を実現できる。
【0048】
また、本実施形態に係る表示装置1は、第2の光源55から放射される光を文字板2の透明部2bに導く第2のプリズム9をさらに備え、文字板2の透明部2bは、文字板2に表示する速度情報に対応する目盛部94を有し、目盛部94は、第2の光源55から放射される光を出射している。
これにより、目盛部94から出射する光が視認される場合に、目盛部94は、文字板2よりも、目盛部94から出射する光の出射方向において前方に位置するように視認される。
この結果、使用者により一層奥行きを認識させることができ、より装飾性やデザイン性の高い表示を実現できる。
【0049】
また、本実施形態に係る表示装置1では、目盛部94bの前面には、前面に遮光性を有する黒色の層が印刷形成されている。
これにより、目盛部94bは、黒色として視認される。
この結果、使用者に所定の模様又は色彩の規則性を認識させることができ、装飾性やデザイン性の高い表示を実現できる。
【0050】
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で種々の変形や改良等を伴うことができる。
【0051】
例えば、本実施形態では、第1の光源54は青色光で発光するLEDで構成されており、第2の光源55は白色光で発光するLEDで構成されている、としたが、第1の光源54は、可視光の波長領域に属する所定の波長の光を放射するものであればよいし、第2の光源55は、第1の光源54とは異なる波長の光を放射するものであればよい。
【0052】
また、本実施形態では、第1の光源54及び第2の光源55から放射された光を所定の照射位置に導くために、第1のプリズム7及び第2のプリズム9を用いる構成としたが、両光源からの光が所定の照射位置に照射される構成であればよい。例えば、光源からの光が直接所定の照射位置に照射される構成としてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、目盛部94bの前面に、遮光性を有する黒色の層が印刷形成されている構成としたが、可視光の波長領域に属する所定の波長の光を透過する着色層が印刷形成されている構成としてもよい。例えば、緑色や青色として視認される波長の光を透過する着色層を印刷形成してもよい。
【0054】
また、本実施形態では、目盛部94bの前面のみに、着色層が印刷形成されている構成としたが、目盛部94の前面及び文字板2から突出する側周面の一部又は全面に、着色層が印刷形成されている構成としてもよい。これにより、使用者に、奥行きを認識させることができ、より装飾性やデザイン性の高い表示を実現できる。
【0055】
また、本実施形態では、目盛部94は、目盛部94aと目盛部94bとを備え、目盛部94aと目盛部94bとは、速度スケール22上に交互に並ぶように配置されている構成としたが、目盛部94は、使用者に所定の模様又は色彩の規則性を認識させるものであればよい。例えば、速度スケール22上で80km/h以上を示す目盛部94の前面にのみ、着色層を印刷する構成としてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、文字板2の半径方向内側に遮光部2aを、半径方向外側に透明部2bを配置する構成としたが、文字板2の半径方向内側に透明部を、半径方向外側に遮光部を配置してもよい。この場合には、背景板8についても、文字板2の透明部に対応する位置に透光部を配置すればよい。
【0057】
また、本実施形態では、透光部8bの前面には、グラデーション印刷及びスモーク印刷の両方が施されている構成としたが、透光部8bの前面に、グラデーション印刷及びスモーク印刷のいずれか一方が施されていればよい。スモーク印刷を施すことにより、背景板8の後方に配置された部材、例えば配線板51が使用者に視認されて表示装置1のデザイン性や装飾性が損なわれることを防止できる。また、グラデーション印刷を施すことにより、使用者に立体感を認識させる等の効果を実現でき、表示装置1のデザイン性や装飾性を高めることができる。スモーク印刷及びグラデーション印刷は、両方を施すことにより、いずれか一方のみを施した場合と比較してデザイン性や装飾性を一層高めることができるし、いずれか一方のみを施した場合であっても、上記効果を独立に奏することができる。
【0058】
また、本実施形態では、透光部8bの前面の全体にグラデーション印刷及びスモーク印刷が施されている構成としたが、透光部8bの前面に部分的にグラデーション印刷及びスモーク印刷が施されていてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、透光部8bの前面には、半径方向の外側に向かって透過光の色が薄くなるように、グラデーション印刷が施されている構成としたが、半径方向の外側に向かって透過光の色が濃くなるように、グラデーション印刷が施されていてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、透光部8bの前面に、グラデーション印刷及びスモーク印刷の両方が施されている構成としたが、透光部8bの後面に、グラデーション印刷及びスモーク印刷が施される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 表示装置
11 速度計
2 文字板
2a 遮光部
2b 透明部
21 数字部
22 速度スケール
23 指針
24 孔
3 液晶表示器
41 ケース
41a 遮光壁
42 背面カバー
43 見返し
44 表硝子
51 配線板
52 光源
53 光源
54 第1の光源
55 第2の光源
6 内機
61 軸部
7 第1のプリズム
71 基部
71a 入射面
72 屈曲部
72a 第1傾斜面
73 照射部
73a 第2傾斜面
8 背景板
8a 遮光部
8b 透光部
9 第2のプリズム
91 基部
91a 入射面
92 屈曲部
92a 第1傾斜面
93 照射部
94 目盛部
94a 目盛部
94b 目盛部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を放射する第1の光源と、
前記第1の光源から放射される光が入射し、透過光を出射する透光部を少なくとも一部に有する背景板と、
前記透光部から出射される透過光の少なくとも一部が入射する透明部を少なくとも一部に有する、文字板と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1の光源とは波長の異なる光を放射する第2の光源をさらに備え、
前記文字板の前記透明部には、前記第2の光源から放射される光が入射することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1の光源から放射される光を前記背景板の前記透光部に導く第1のプリズムと、
前記第2の光源から放射される光を前記文字板の前記透明部に導く第2のプリズムと、
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1のプリズム及び前記第2のプリズムが固定されるケースをさらに備え、
前記背景板は、前記第1のプリズムと前記第2のプリズムとの間に挟持されることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記背景板の前記透光部の、前記第1の光源から放射される光が入射する面及び透過光を出射する面の少なくとも一方には、グラデーション印刷及びスモーク印刷の少なくとも一方が施されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記文字板の前記透明部は、該文字板に表示する各種情報に対応する開口部を有し、
前記第2のプリズムは、前記開口部を通じて前記文字板から突出する突出部を有し、
前記突出部は、前記第2の光源から放射される光の少なくとも一部を出射することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記突出部は、前記文字板から突出する側面の少なくとも一部に、所定の波長の光を透過する着色層を有することを特徴とする請求項6に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−101075(P2013−101075A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245594(P2011−245594)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】