説明

表示装置

【課題】画質を向上することができる表示装置を得る。
【解決手段】互いに異なる複数の視点画像の各画素情報P1〜P5を、表示面において複数の視点画像間で巡回するような順番で配置してそれぞれ表示する表示部20と、第1の方向に延伸するとともに第2の方向に並設され、それぞれが、並設された複数の枝状電極を含んで構成された液晶バリア(開閉部11,12)を有するバリア部(液晶バリア部10)とを備える。上記枝状電極の第2の方向におけるピッチsは、次の式(A)を満たす。Sin-1(λ/s)〜θt・・・(A)ただし、λは、開状態になっている一の液晶バリアを透過する光の波長であり、θtは、第2の方向と表示面の法線方向とを含む面内における、開状態になっている複数の液晶バリアのうちの一の液晶バリアとは異なる他の液晶バリアに対応する位置に配置された一の画素と一の液晶バリアとを結ぶ線と、法線方向との間の角度である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、立体視表示が可能なパララックスバリア方式の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、立体視表示を実現できる表示装置が注目を集めている。立体視表示は、互いに視差のある(視点の異なる)左眼映像と右眼映像を表示するものであり、観察者が左右の目でそれぞれを見ることにより奥行きのある立体的な映像として認識することができる。また、互いに視差がある3つ以上の映像を表示することにより、観察者に対してより自然な立体映像を提供することが可能な表示装置も開発されている。
【0003】
このような表示装置は、専用の眼鏡が必要なものと、不要なものとに大別されるが、観察者にとっては専用の眼鏡は煩わしく感じるものであり、専用の眼鏡が不要なものが望まれている。専用の眼鏡が不要な表示装置としては、例えば、レンチキュラーレンズ方式や、視差バリア(パララックスバリア)方式などがある。これらの方式では、互いに視差がある複数の映像(視点映像)を同時に表示し、表示装置と観察者の視点との相対的な位置関係(角度)によって見える映像が異なるようになっている。例えば、特許文献1には、バリアとして液晶素子を用いた、パララックスバリア方式の表示装置が開示されている。
【0004】
ところで、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)では、例えばVA(Vertical Alignment)モードの液晶がしばしば用いられている。例えば、特許文献2には、画素電極に複数のスリットを設け、液晶分子を所望の方向に配向しやすくする液晶表示装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−119889号公報
【特許文献2】特開2002−107730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般に、表示装置では、高い画質が望まれており、パララックスバリア方式の表示装置でも、画質の向上が望まれている。
【0007】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、画質を向上することができる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の表示装置は、表示部と、バリア部とを備えている。表示部は、互いに異なる複数の視点画像の各画素情報を、表示面においてその複数の視点画像間で巡回するような順番で配置してそれぞれ表示するものである。バリア部は、第1の方向に延伸するとともにその第1の方向と交差する第2の方向に並設され、それぞれが、並設された複数の枝状電極を含んで構成された、開状態と閉状態とを切り換え可能な複数の液晶バリアを有するものである。上記枝状電極の第2の方向におけるピッチsは、次の式(A)を満たすものである。
Sin-1(λ/s) 〜 θt ・・・ (A)
ただし、
λは、開状態になっている一の液晶バリアを透過する光の波長であり、
θtは、第2の方向と表示面の法線方向とを含む面内における、開状態になっている複数の液晶バリアのうちの一の液晶バリアとは異なる他の液晶バリアに対応する位置に配置された一の画素と一の液晶バリアとを結ぶ線と、法線方向との間の角度である。
【0009】
本開示の第2の表示装置は、表示部と、バリア部とを備えている。表示部は、互いに異なる複数の視点画像の各画素情報を、表示面においてその複数の視点画像間で巡回するような順番で配置してそれぞれ表示するものである。バリア部は、光を透過する複数の透過部分と光を遮蔽する複数の遮蔽部分とが並設されたものである。ここで、複数の視点画像のうちの一の視点画像に係る光であって、複数の透過部分のうちの一の透過部分に対応する位置に配置された画素から射出し一の透過部分を透過した第1の光は、一の視点画像に係る、複数の透過部分のうちの一の透過部分とは異なる他の透過部分に対応する位置に配置された画素から射出し一の透過部分を直進する第2の光の直進方向に沿うように屈曲するものである。
【0010】
本開示の第1の表示装置では、液晶バリアを透過状態にすることにより、表示部に表示された複数の視点画像が観察者に視認される。この表示装置では、ピッチsは、式(A)を満たすように設定されている。
【0011】
本開示の第2の表示装置では、液晶バリアを透過状態にすることにより、表示部に表示された複数の視点画像が観察者に視認される。その際、一の視点画像に係る第1の光は、その同じ一の視点画像に係る、他の透過部分に対応する位置に配置された画素から射出し一の透過部分を直進する第2の光の直進方向に沿うように屈曲する。
【発明の効果】
【0012】
本開示の第1の表示装置によれば、式(A)を満たすようにピッチsを設定したので、画質を向上することができる。
【0013】
本開示の第2の表示装置によれば、一の視点画像に係る第1の光が、その同じ一の視点画像に係る、他の透過部分に対応する位置に配置された画素から射出し一の透過部分を直進する第2の光の直進方向に沿うように屈曲するようにしたので、画質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本開示の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図2】図1に示した立体表示装置の一構成例を表す説明図である。
【図3】図1に示した表示駆動部の一構成例を表すブロック図である。
【図4】図1に示した表示部の一構成例を表す説明図である。
【図5】図1に示した液晶バリア部の一構成例を表す説明図である。
【図6】図5に示した透明電極層の一構成例を表す平面図である。
【図7】図1に示した表示部および液晶バリア部の関係を表す模式図である。
【図8】映像信号の画素情報の配列の一例を表す説明図である。
【図9】図1に示した立体表示装置の一動作例を表す模式図である。
【図10】図1に示した立体表示装置における屈曲光を説明するための模式図である。
【図11】図1に示した立体表示装置における表示例を表す模式図である。
【図12】図1に示した立体表示装置における他の表示例を表す模式図である。
【図13】図1に示した立体表示装置における屈曲光の進行方向を説明するための模式図である。
【図14】比較例に係る立体表示装置における屈曲光を説明するための模式図である。
【図15】比較例に係る立体表示装置における表示例を表す模式図である。
【図16】変形例に係る立体表示装置における屈曲光を説明するための模式図である。
【図17】変形例に係る立体表示装置における屈曲光の進行方向を説明するための模式図である。
【図18】他の変形例に係る立体表示装置の液晶バリア部の一例を表す平面図である。
【図19】他の変形例に係る立体表示装置の透明電極層の一構成例を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
[構成例]
(全体構成例)
図1は、実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を表すものである。立体表示装置1は、液晶バリアを用いた、パララックスバリア方式の表示装置である。立体表示装置1は、制御部41と、バックライト駆動部42と、バックライト30と、表示駆動部50と、表示部20と、バリア駆動部43と、液晶バリア部10とを備えている。
【0017】
制御部41は、外部より供給される映像信号Sdispに基づいて、バックライト駆動部42、表示駆動部50、およびバリア駆動部43に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する回路である。具体的には、制御部41は、バックライト駆動部42に対してバックライト制御信号CBLを供給し、表示駆動部50に対して映像信号Sdispに基づく映像信号Sを供給し、バリア駆動部43に対してバリア制御信号CBRを供給するようになっている。映像信号Sは、立体表示装置1が通常表示(2次元表示)を行う場合には、1つの視点映像を含む映像信号S2Dであり、立体表示装置1が立体視表示を行う場合には、後述するように、複数(この例では5つ)の視点映像を含む映像信号S3Dである。
【0018】
バックライト駆動部42は、制御部41から供給されるバックライト制御信号CBLに基づいてバックライト30を駆動するものである。バックライト30は、表示部20に対して面発光した光を射出する機能を有している。バックライト30は、例えば、LED(Light Emitting Diode)や、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)などを用いて構成されるものである。
【0019】
表示駆動部50は、制御部41から供給される映像信号Sに基づいて表示部20を駆動するものである。表示部20は、この例では液晶表示部であり、液晶表示素子を駆動して、バックライト30から射出した光を変調することにより表示を行うようになっている。
【0020】
バリア駆動部43は、制御部41から供給されるバリア制御信号CBRに基づいて、液晶バリア部10を駆動するものである。液晶バリア部10は、バックライト30から射出し表示部20を透過した光を透過(開動作)または遮断(閉動作)するものであり、液晶を用いて構成された複数の開閉部11,12(後述)を有している。
【0021】
図2は、立体表示装置1の要部の一構成例を表すものであり、(A)は立体表示装置1の分解斜視構成を示し、(B)は立体表示装置1の側面図を示す。図2に示したように、立体表示装置1では、これらの各部品は、バックライト30、表示部20、および液晶バリア部10の順に配置されている。つまり、バックライト30から射出した光は、表示部20および液晶バリア部10を介して、観察者に届くようになっている。
【0022】
(表示駆動部50および表示部20)
図3は、表示駆動部50のブロック図の一例を表すものである。表示駆動部50は、タイミング制御部51と、ゲートドライバ52と、データドライバ53とを備えている。タイミング制御部51は、ゲートドライバ52およびデータドライバ53の駆動タイミングを制御するとともに、制御部41から供給された映像信号Sを映像信号S1としてデータドライバ53へ供給するものである。ゲートドライバ52は、タイミング制御部51によるタイミング制御に従って、表示部20内の画素Pixを行ごとに順次選択して、線順次走査するものである。データドライバ53は、表示部20の各画素Pixへ、映像信号S1に基づく画素信号を供給するものである。具体的には、データドライバ53は、映像信号S1に基づいてD/A(デジタル/アナログ)変換を行うことにより、アナログ信号である画素信号を生成し、各画素Pixへ供給するようになっている。
【0023】
図4は、表示部20の一構成例を表すものであり、(A)は画素Pixを構成するサブ画素SPixの回路図の一例を示し、(B)は表示部20の断面構成を示す。
【0024】
画素Pixは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)にそれぞれ対応する3つのサブ画素SPixを有している。各サブ画素SPixは、図4(A)に示したように、TFT(Thin Film Transistor)素子Trと、液晶素子LCと、保持容量素子Csを備えている。TFT素子Trは、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)により構成されるものであり、ゲートがゲート線GCLに接続され、ソースがデータ線SGLに接続され、ドレインが液晶素子LCの一端と保持容量素子Csの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は接地されている。保持容量素子Csは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は保持容量線CSLに接続されている。ゲート線GCLはゲートドライバ52に接続され、データ線SGLはデータドライバ53に接続されている。
【0025】
表示部20は、図4(B)に示したように、駆動基板207と対向基板208との間に、液晶層203を封止したものである。駆動基板207は、透明基板201と、画素電極202と、偏光板206aとを有している。透明基板201は、上記TFT素子Trを含む画素駆動回路(図示せず)が形成されたものであり、この透明基板201上には、画素Pix毎に画素電極202が配設されている。そして、透明基板201の、画素電極202が配設された面とは反対の面には、偏光板206aが貼り付けられている。対向基板208は、透明基板205と、対向電極204と、偏光板206bとを有している。透明基板205には、図示しないカラーフィルタやブラックマトリクスが形成されており、更に液晶層203側の面には、対向電極204が各画素Pixに共通の電極として配設されている。透明基板205の、対向電極204が配設された面とは反対の面には、偏光板206bが貼り付けられている。偏光板206aおよび偏光板206bは、互いにクロスニコルまたはパラレルニコルとなるように貼り合わせられている。
【0026】
(液晶バリア部10およびバリア駆動部43)
図5は、液晶バリア部10の一構成例を表すものであり、(A)は液晶バリア部10の平面図を示し、(B)は(A)の液晶バリア部10のV−V矢視方向の断面構成を示す。なお、この例では、液晶バリア部10はノーマリーブラック動作を行うものとする。つまり、液晶バリア部10は、駆動されていない状態では光を遮断するものとする。
【0027】
液晶バリア部10は、いわゆるパララックスバリアであり、図5(A)に示したように、光を透過または遮断する複数の開閉部(液晶バリア)11,12を有している。これらの開閉部11および開閉部12は、この例ではY方向に延在して設けられている。この例では、開閉部11の幅E1と、開閉部12の幅E2とは、互いに異なっており、ここでは例えばE1>E2となっている。但し、開閉部11,12の幅の大小関係はこれに限定されず、E1<E2であってもよく、また、E1=E2であってもよい。これらの開閉部11,12は、液晶層(後述する液晶層19)を含んで構成されており、この液晶層19への駆動電圧によって、開閉が切り替わるようになっている。これらの開閉部11,12は、後述するように、立体表示装置1が通常表示(2次元表示)および立体視表示のどちらを行うかにより、異なる動作を行う。具体的には、開閉部11は、後述するように、通常表示の際には開状態(透過状態)になり、立体視表示を行う際には、閉状態(遮断状態)となるものである。また、開閉部12は、常に開状態(透過状態)となるものである。
【0028】
液晶バリア部10は、図5(B)に示したように、駆動基板310と、対向基板320との間に液晶層300を備えたものである。
【0029】
駆動基板310は、透明基板311と、透明電極層312と、偏光板323とを備えている。透明基板311は、例えばガラス等から構成されるものであり、その表面には、図示しないTFTが形成されている。透明基板311の液晶層300側の面には、例えばITOなどからなる透明電極層312が形成され、さらにその上には、図示しない配向膜が形成されている。また、透明基板311の、これらの透明電極層312などが形成された面とは反対の面には、偏光板313が貼り付けられている。
【0030】
対向基板320は、透明基板321と、透明電極層322と、偏光板323とを備えている。透明基板321は、透明基板311と同様に、例えばガラス等から構成されるものである。透明基板321の液晶層300側の面には、透明電極層322が形成されている。この透明電極層322は、全面にわたって一様に形成された電極であり、透明電極層312と同様に、例えばITO等の透明導電膜により構成されている。そして、この透明電極層322の上には、図示しない配向膜が形成されている。また、透明基板321の、これらの透明電極層322などが形成された面とは反対の面には、偏光板323が貼り付けられている。偏光板313および偏光板323は、互いにクロスニコルになるように貼り合わせられている。具体的には、例えば、偏光板313の透過軸は水平方向Xに配置され、偏光板323の透過軸は垂直方向Yに配置されている。
【0031】
液晶層300は、例えば、負の誘電率異方性を有する液晶分子を含むものであり、配向膜により、垂直配向されるものである。
【0032】
透明電極層312は、複数の透明電極110,120を有している。これらの透明電極110,120は、バリア駆動部43により駆動されるようになっている。また、透明電極層322は、各透明電極110,120に共通の電極として設けられている。この例では、透明電極層322には、バリア駆動部43により、共通信号Vcom(この例では0Vの直流電圧)が印加される。透明電極層312の透明電極110と、液晶層300および透明電極層322におけるその透明電極110に対応する部分とは、開閉部11を構成している。同様に、透明電極層312の透明電極120と、液晶層300および透明電極層322におけるその透明電極120に対応する部分とは、開閉部12を構成している。
【0033】
この構成により、透明電極層312(透明電極110,120)および透明電極層322に電圧を印加してその電位差が大きくなると、液晶層300における光の透過率が増大し、開閉部11,12は透過状態(開状態)になる。一方、その電位差が小さくなると、液晶層300における光の透過率が減少し、開閉部11,12は遮断状態(閉状態)となる。
【0034】
なお、この例では、液晶バリア部10はノーマリーブラック動作を行うものとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばノーマリーホワイト動作を行うものであってもよい。この場合には、液晶層300に印加される電圧の電位差が大きくなると、開閉部11,12は遮断状態となり、その電位差が小さくなると、開閉部11,12は透過状態となる。
【0035】
図6は、液晶バリア部10における透明電極層312の一構成例を表すものである。
【0036】
透明電極110,120は、それぞれ、開閉部11,12の延伸方向と同じ方向(垂直方向Y)に延伸する幹部分61を有している。透明電極110,120には、それぞれ、幹部分61の延伸方向に沿って複数のサブ電極領域70が並設されている。各サブ電極領域70は、幹部分62と、枝部分63とを有している。幹部分62は、幹部分61と交差する方向に延伸するように形成されており、この例では、水平方向Xの方向に延伸している。並設された複数の枝部分63は、互いに隣接する枝部分63との間にスリットを構成する。各サブ電極領域70には、幹部分61および幹部分62により区切られた4つの枝領域(ドメイン)71〜74が設けられている。
【0037】
枝部分63は、各枝領域71〜74において、幹部分61,62から延びるように形成されている。枝部分63のライン幅は互いに等しくなっており、同様にスリット幅も互いに等しくなっている。枝部分63は、枝領域71〜74のそれぞれにおいて同じ方向に延伸している。枝領域71の枝部分63の延伸方向と、枝領域73の枝部分63の延伸方向とは、垂直方向Yを軸として線対称になっており、同様に、枝領域72の枝部分63の延伸方向と、枝領域74の枝部分63の延伸方向とは、垂直方向Yを軸として線対称になっている。また、枝領域71の枝部分63の延伸方向と、枝領域72の枝部分63の延伸方向とは、水平方向Xを軸として線対称になっており、同様に、枝領域73の枝部分63の延伸方向と、枝領域74の枝部分63の延伸方向とは、水平方向Xを軸として線対称になっている。この例では、具体的には、枝領域71,74の枝部分63は、水平方向Xから反時計まわりに所定の角度φだけ回転させた方向に延伸しており、枝領域72,73の枝部分63は、水平方向Xから時計まわりに所定の角度φだけ回転させた方向に延伸している。角度φは、例えば45度が望ましい。
【0038】
このように構成することにより、観察者が立体表示装置1の表示画面を観察する際、左方向および右方向から観察したときの視野角特性を対称にすることができるとともに、上方向および下方向から観察したときの視野角特性を対称にすることができる。
【0039】
図7は、立体視表示および通常表示(2次元表示)を行う場合の液晶バリア部10の状態を、断面構造を用いて模式的に表すものであり、(A)は立体視表示を行う状態を示し、(B)は通常表示を行う状態を示す。図7に示したように、表示部20と液晶バリア部10とは、距離dだけ離れて配置されている。また、表示部20には、画素PixがピクセルピッチPで配置されている。この例では、開閉部12は、表示部20の5つの画素Pixに1つの割合で設けられている。なお、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、開閉部12を、表示部20の5つのサブ画素SPixに1つの割合で設けるようにしてもよい。図7において、斜線で示した開閉部11は、光が遮断されている状態を示している。
【0040】
立体視表示を行う場合には、液晶バリア部10では、図7(A)に示したように、開閉部12が開状態(透過状態)になるとともに、開閉部11が閉状態(遮断状態)になる。そして、表示駆動部50は、供給された映像信号S3Dに基づいて表示部20を駆動し、表示部20は、後述するように、映像信号S3Dに含まれる5つの視点映像に対応する画素情報を、開閉部12に対応した位置に配置された互いに隣接する5つの画素Pixにおいてそれぞれ表示するようになっている。
【0041】
また、通常表示(2次元表示)を行う場合には、液晶バリア部10では、図7(B)に示したように、開閉部11および開閉部12がともに開状態(透過状態)になる。そして、表示駆動部50は、供給された映像信号S2Dに基づいて表示部20を駆動し、表示部20は、後述するように、映像信号S2Dに含まれる1つの視点映像をそのまま表示するようになっている。
【0042】
立体表示装置1では、後述するように、枝部分63のピッチ(図6に示した水平方向のピッチ(水平ピッチs))、視点映像数n(この例では5)、ピクセルピッチP、距離d、などが所定の関係式を満たすように設定されている。これにより、後述するように、例えば、開状態にある開閉部12において光の一部が屈曲した場合でも、画質が低下しないようになっている。
【0043】
ここで、開閉部11,12は、本開示における「液晶バリア」の一具体例に対応する。液晶バリア部10は、本開示における「バリア部」の一具体例に対応する。枝部分63は、本開示における「枝状電極」の一具体例に対応する。水平ピッチsは、本開示における「ピッチs」の一具体例に対応する。
【0044】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の立体表示装置1の動作および作用について説明する。
【0045】
(全体動作概要)
まず、図1を参照して、立体表示装置1の全体動作概要を説明する。制御部40は、外部より供給される映像信号Sdispに基づいて、表示駆動部50、バックライト駆動部42、およびバリア駆動部43に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する。バックライト駆動部42は、制御部40から供給されるバックライト制御信号CBLに基づいてバックライト30を駆動する。バックライト30は、面発光した光を表示部20に対して射出する。表示駆動部50は、制御部40から供給される映像信号Sに基づいて表示部20を駆動する。表示部20は、バックライト30から射出した光を変調することにより表示を行う。バリア駆動部43は、制御部40から供給されるバリア制御信号CBRに基づいて液晶バリア部10を駆動する。液晶バリア部10の開閉部11,12は、バリア駆動部43からの指示に基づいて開閉動作を行い、バックライト30から射出し表示部20を透過した光を透過または遮断する。
【0046】
(立体視表示の詳細動作)
次に、いくつかの図を参照して、立体視表示を行う場合の詳細動作を説明する。
【0047】
図8は、画素情報の配列を模式的に表すものであり、(A)は各視点映像における画素情報の配列を示し、(B)は映像信号S3Dにおける画素情報の配列を示す。なお、図8(A)では、視点映像の例として、1番目の視点映像における画素情報P1の配列を示したが、2番目〜5番目の視点映像における画素情報P2〜P5の配列も、図8(A)と同様である。
【0048】
1番目の視点映像では、図8(A)に示したように、画素情報P1が、水平方向Xおよび垂直方向Yにマトリックス状に配置されている。具体的には、図8(A)において、座標(x,y)に係る画素情報P1(x,y)の左側には、座標(x-1,y)に係る画素情報P1(x-1,y)が配置され、画素情報P1(x,y)の右側には、座標(x+1,y)に係る画素情報P1(x+1,y)が配置されている。
【0049】
映像信号S3Dでは、図8(B)に示したように、立体画素情報P3Dがマトリックス状に配置されている。ここで、立体画素情報P3Dは、各視点映像における同じ座標に係る5つの画素情報を並べて配列したものである。具体的には、例えば、座標(x,y)に係る立体画素情報P3D(x,y)は、図8(B)に示したように、各視点映像における座標(x,y)に係る画素情報P1(x,y),P2(x,y),P3(x,y),P4(x,y),P5(x,y)をこの順で配置したものである。図8(B)において、立体画素情報P3D(x,y)の左側には、立体画素情報P3D(x-1,y)が配置され、立体画素情報P3D(x,y)の右側には、立体画素情報P3D(x+1,y)が配置されている。
【0050】
図9は、表示部20および液晶バリア部10における立体視表示の動作例を表すものである。立体視表示を行う場合には、液晶バリア部10では、開閉部12が開状態(透過状態)になるとともに、開閉部11が閉状態(遮断状態)になる。そして、表示部20は、映像信号S3Dの画素情報を表示する。このとき、図9に示したように、開閉部12付近に配置された5つの画素Pixが、立体画素情報P3Dを表示する。表示部20の各画素Pixから出た光は、開閉部12によりそれぞれ角度が制限されて出力される。これにより、観察者は、例えば左眼で画素情報P3を、右眼で画素情報P4を見ることとなる。このように、観察者が、左眼と右眼とで、画素情報P1〜P5のうちの異なる画素情報を見るため、観察者は表示映像を立体的な映像として感じることができる。
【0051】
(開閉部12における光の屈曲)
立体視表示を行う場合において、表示部20から射出した光は、液晶バリア部10の開状態になっている開閉部12を介して、観察者に届く。その際、開閉部12に係る透明電極120が、図6に示したような複数の枝部分63を有しているため、開閉部12に入射した光が、例えば回折や屈折などにより屈曲するおそれがある。立体表示装置1では、このように開閉部12において光が屈曲する場合でも、観察者が画質の低下を感じにくいようになっている。以下に、その詳細を説明する。
【0052】
図10は、開閉部12において光が屈曲する例を模式的に表すものである。この図10は、立体表示装置1の水平方向と表示面の法線方向とを含む面で切断したときの断面図を用いて、光の屈曲を説明するものである。すなわち、図10は、光の進行方向を、この切断面上に投影して説明するものである。この例では、説明の便宜上、表示部20は、5つの視点映像のうち3つ目の視点映像(画素情報P3)のみを表示し、液晶バリア部10は、複数の開閉部12のうちの、一つの開閉部12だけを透過状態にしている。
【0053】
表示部20に表示された画素情報P3に係る光は、液晶バリア部10の開状態にある開閉部12を透過して直進する。この時、図10に示したように、表示部20における互いに異なる画素Pixにそれぞれ表示された複数の画素情報P3が、開閉部12を透過して、それぞれの方向に向かって、各画素情報P3に対応した透過光T3として直進する。これにより、各透過光T3の進行方向に対応して、図10に示したような透過光分布DT3がそれぞれ生じる。
【0054】
一方、開閉部12の正面の位置に配置された画素Pixから射出した画素情報P3の光は、図10において破線で示すように、開閉部12において屈曲し、屈曲角θdの方向に向かって屈曲光D3として進む。この屈曲角θdは、開閉部12における枝部分63の水平ピッチs(図6)を用いて、次式のように表すことができる。
θd = Sin-1(λ/s) ・・・(1)
ここで、λは画素情報P3の光の波長である。
【0055】
立体表示装置1では、この屈曲光D3の進行方向が、同じ視点映像(3番目の視点映像)に係る他の画素情報P3に係る透過光T3の進行方向とほぼ同じになる。具体的には、この例では、図10に示したように、立体画素情報P3D(x,y)の画素情報P3に係る屈曲光D3の進行方向は、立体画素情報P3D(x,y)の隣の立体画素情報P3D(x+1,y)の画素情報P3に係る透過光T3の進行方向とほぼ同じになる。これにより、図10に示したように、透過光分布DT3に対応した位置に、屈曲光D3に基づく屈曲光分布DD3が現れる。このように、立体表示装置1では、屈曲光D3と、その屈曲光D3とほぼ同じ方向に進む透過光T3とは、同じ視点映像(3番目の視点映像)における互いに異なる画素情報P3から生じるようになっている。
【0056】
図11(A)は、観察者が3番目の視点映像を見る場合の立体表示装置1の動作例を模式的に表すものであり、図11(B)は、観察者が5番目の視点映像を見る場合の立体表示装置1の動作例を模式的に表すものである。また、図12は、観察者が、表示画面の正面からずれた方向から3番目の視点映像を見る場合の立体表示装置1の動作例を模式的に表すものである。
【0057】
観察者が3番目の視点映像を見る場合には、図11(A)に示したように、各画素情報P3に係る光は、光を射出した画素Pixに対応する位置に配置された開閉部12を透過し、表示画面の法線方向に向かって透過光T3として直進するとともに、その光の一部が開閉部12で屈曲され、表示画面の法線方向から屈曲角θdだけずれた方向に向かって屈曲光D3として進む。このとき、図11(A)に示したように、透過光T3の進行方向と屈曲光D3の進行方向とが互いに異なるため、表示面の正面から観察する観察者は透過光T3のみを観察することとなり、屈曲光D3を観察することはない。
【0058】
同様に、観察者が5番目の視点映像を見る場合には、図11(B)に示したように、各画素情報P5に係る光は、開閉部12を透過して、表示画面の法線方向から角度θtだけずれた方向に向かって透過光T5として直進する。また、各画素情報P3に係る光の一部は、開閉部12で屈曲され、表示画面の法線方向から屈曲角θdだけずれた方向に向かって屈曲光D3として進む。この場合でも、図11(B)に示したように、透過光T5の進行方向と屈曲光D3の進行方向とが互いに異なるため、角度θtの方向から観察する観察者は透過光T5のみを観察することとなり、屈曲光D3を観察することはない。
【0059】
一方、図12に示したように、観察者が表示画面の正面からずれた位置から3番目の視点映像を見る場合には、各画素情報P3に係る光は、この例では、光を射出した画素Pixの正面に配置された開閉部12ではなく、その開閉部12の隣の開閉部12を透過し、表示画面の法線方向から角度θtだけずれた方向に向かって透過光T3として直進する。また、各画素情報P3に係る光の一部は、その画素Pixに対応する位置に配置された開閉部12で屈曲され、屈曲角θdの方向に向かって屈曲光D3として進む。このとき、これらの透過光T3と屈曲光D3の進行方向がほぼ一致している。すなわち、屈曲角θdは、以下の式で表される。
θd 〜 θt ・・・(2)
言い換えれば、液晶バリア部10における枝部分63の水平ピッチsは、式(1),(2)より得られた次式を満たす。
Sin-1(λ/s) 〜 θt ・・・(A)
これにより、角度θtの方向から観察する観察者は、透過光T3と屈曲光D3の両方を観察することとなる。ここで、透過光T3に係る画素情報P3と、屈曲光D3に係る画素情報P3とは、上述したように、同じ視点映像(3番目の視点映像)に属する、互いに異なる画素Pixに表示されたものである。すなわち、例えば屈曲光D3の光の強度が透過光T3に比べて無視できないレベルである場合であっても、透過光T3に係る画素情報P3と、屈曲光D3に係る画素情報P3とが、同じ視点映像に属するものであり、異なる視点映像に属するものではないため、比較例と対比して後述するように、異なる視点映像が混ざり合う、いわゆるクロストークが生じるおそれを低減することができる。
【0060】
角度θtは、ピクセルピッチPと距離dを用いて、次式のように表すことができる。
θt = Tan-1(n・P/d) ・・・(3)
ここで、nは視点映像の視点数であり、この例では5である。よって、立体表示装置1では、式(2),(3)により、屈曲光D3の屈曲角θdが以下の式を満たすようになっている。
θd 〜 Tan-1(n・P/d) ・・・(4)
言い換えれば、水平ピッチsは、水平ピッチsは、式(A),(3)より得られた次式を満たすようになっている。
Sin-1(λ/s) 〜 Tan-1(n・P/d) ・・・(5)
【0061】
なお、図12に示したような場合には、透過光T3に係る画素情報P3と、屈曲光D3に係る画素情報P3とは、互いに異なる画素Pixに表示されたものであるため、同じ映像が、その表示位置をずらして複数表示されるおそれがある。この場合には、観察者は、その表示映像に、いわゆるゴーストを観察することとなる。しかしながら、図12に示したように、混ざり合う画素情報は、互いに隣接する立体画素情報P3Dにおける、同じ視点映像(3番目の視点映像)に関するもの(画素情報P3)であるため、その表示映像のずれ量は少ないので、さほど画質は劣化しない。また、立体視表示を行う場合には、クロストークが画質劣化の主要因であり、このクロストークをいかに抑えるかが重要であるため、立体表示装置1は、ゴーストによる画質劣化がさほど問題ない場合に適用することができる。
【0062】
このように、立体表示装置1では、同じ視点映像における互いに異なる画素情報P3に係る屈曲光D3と透過光T3とが、ほぼ同じ方向に進む。ここで、この屈曲光D3の進行方向、および透過光T3の進行方向は、必ずしも完全に一致している必要はない。以下に、屈曲光D3の進行方向と、透過光T3の進行方向との関係について説明する。
【0063】
図13は、屈曲光D3の進行方向の許容範囲を表すものである。この例では、説明の便宜上、表示部20は、5つの視点映像のうち3つ目の視点映像(画素情報P3)のみを表示し、液晶バリア部10は、複数の開閉部12のうちの、一つの開閉部12だけを透過状態にしている。
【0064】
上述したように、3番目の視点映像に係る画素情報P3に係る光が開閉部12において屈曲された場合、クロストークの観点から、その屈曲光D3の進行方向は、透過光T3の進行方向とほぼ一致することが望ましい。言い換えれば、屈曲光D3の進行方向は、3番目以外の視点映像に係る画素情報P1,P2,P4,P5の透過光T1,T2,T4,T5の進行方向と異なるようにする必要がある。具体的には、図13に示したように、屈曲光D3が、透過光T3に係る透過光分布DT3の範囲RDT3の範囲内に進むようにする必要がある。ここで、範囲RDT3は、透過光分布DT2と透過光分布DT3との境界から、透過光分布DT3と透過光分布DT4との境界までの範囲である。すなわち、屈曲光D3の屈曲角θdは、次式を満たす必要がある。
θ1 ≦ θd ≦ θ2 ・・・(6)
言い換えれば、水平ピッチsは、式(1),(6)より得られた次式を満たす必要がある。
θ1 ≦ Sin-1(λ/s) ≦ θ2 ・・・(B)
ここで、θ1は、透過光分布DT2と透過光分布DT3との境界に対応する角度であり、θ2は、透過光分布DT3と透過光分布DT4との境界に対応する角度である。具体的には、角度θ1,θ2は、次式で表される。
θ1 = Tan-1((n-1/2)・P/d) ・・・(7)
θ2 = Tan-1((n+1/2)・P/d) ・・・(8)
【0065】
式(6),(7),(8)により、屈曲光D3の屈曲角θdが満たすべき式は、以下のようになる。
Tan-1((n-1/2)・P/d) ≦ θd ≦ Tan-1((n+1/2)・P/d) ・・・(9)
言い換えれば、水平ピッチsは、式(1),(9)より得られた次式を満たす必要がある。
Tan-1((n-1/2)・P/d) ≦ Sin-1(λ/s) ≦ Tan-1((n+1/2)・P/d) ・・・(10)
【0066】
このように、立体表示装置1では、視点数n、ピクセルピッチP、距離d、水平ピッチs、波長λが式(10)を満たすことにより、屈曲光D3の進行方向が、透過光T3の進行方向とほぼ同じにすることができ、クロストークにより画質が低下するおそれを低減することができる。
【0067】
(比較例)
次に、比較例と対比して、本実施の形態の作用を説明する。本比較例に係る立体表示装置1Rは、視点数n、ピクセルピッチP、距離d、水平ピッチs、波長λが式(10)を満たさないものである。
【0068】
図14は、立体表示装置1Rにおいて、光が屈曲する場合の例を模式的に表すものである。この例では、各画素情報P3の光は、開閉部12において屈曲し、表示画面の法線方向から屈曲角θdrだけずれた方向に向かって、屈曲光D3として進む。その際、立体表示装置1Rでは、図14に示したように、屈曲光D3は、透過光T3の進行方向とは異なる方向に進む。これにより、図14に示したように、透過光分布DT3の間に屈曲光分布DD3が現れる。
【0069】
図15は、観察者が5番目の視点映像を見る場合の立体表示装置1Rの動作例を模式的に表すものである。図15に示したように、各画素情報P5に係る光は、開閉部12を透過して、表示画面の法線方向から角度θtrだけずれた方向に向かって透過光T5として直進する。この例では、屈曲角θdrと角度θtrとが互いに等しくなっている。すなわち、3番目の視点映像に係る画素情報P3の屈曲光D3の進行方向と、5番目の視点映像に係る画素情報P5の透過光T5の進行方向とが、互いに等しくなっている。このとき、角度θtの方向から観察する観察者は、透過光T5を観察する際、同時に屈曲光D3をも観察してしまう。つまり、立体表示装置1Rでは、互いに異なる視点映像である、ずれ量が大きい3番目の視点映像と5番目の視点映像とが混ざり合って表示されることとなる。このように、立体表示装置1Rでは、観察者は、異なる視点映像が混ざり合ったものを観察してしまうため、クロストークによる画質低下を感じてしまうおそれがある。
【0070】
一方、本実施の形態に係る立体表示装置1では、図10〜12に示したように、3番目の視点映像に係る画素情報P3の屈曲光D3の進行方向と、その同じ3番目の視点映像に係る画素情報P3の透過光T3の進行方向とが、互いにほぼ等しくなっている。すなわち、透過光T3に係る画素情報P3と、屈曲光D3に係る画素情報P3とが、同じ視点映像に属するものであり、異なる視点映像に属するものではないため、クロストークが生じるおそれを低減することができる。
【0071】
[効果]
以上のように本実施の形態では、屈曲光と、その屈曲光とほぼ同じ方向に進む透過光とが、同じ視点映像における互いに異なる画素情報から生じるようにしたので、クロストークを低減することができ、画質の低減を抑えることができる。
【0072】
[変形例1−1]
上記実施の形態では、図10に示したように、立体画素情報P3D(x,y)の画素情報P3に係る屈曲光D3の進行方向が、立体画素情報P3D(x,y)の隣の立体画素情報P3D(x+1,y)の画素情報P3に係る透過光T3の進行方向とほぼ同じにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、図16, 17に示したように、立体画素情報P3D(x,y)の画素情報P3に係る屈曲光D3の進行方向が、立体画素情報P3D(x,y)の2つ隣の立体画素情報P3D(x+2,y)の画素情報P3に係る透過光T3の進行方向とほぼ同じにしてもよい。この場合、角度θ1,θ2は、次式で表される。
θ1 = Tan-1((2・n-1/2)・P/d) ・・・(11)
θ2 = Tan-1((2・n+1/2)・P/d) ・・・(12)
この場合でも、上記実施の形態と同様に、クロストークを低減することができ、画質の低下を抑えることができる。
【0073】
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0074】
例えば、上記の実施の形態等では、立体視表示を行う場合において、開閉部12を常に開状態にしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、開閉部12を複数のグループにグループ分けして、グループ間で時分割的に開閉駆動するようにしてもよい。例えば、開閉部12を2つのグループにグループ分けし、グループ間で交互に開閉動作させた場合には、立体表示装置の解像度を2倍に高めることができる。
【0075】
また、例えば、上記の実施の形態等では、立体表示装置は、立体視表示を行う場合において、5つの視点映像を表示したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、6つ以上の視点映像を表示してもよいし、4つ以下の視点映像を表示してもよい。
【0076】
また、例えば、上記の実施の形態等では、開閉部11,12は、Y方向に延在するように形成したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、図18に示したように、垂直方向Yから所定の角度θをなす方向に延在するように形成してもよい。角度θは、例えば18度に設定可能である。この場合、透明電極層15は、例えば図19のように形成可能である。なお、この場合には、上記実施の形態における水平ピッチsの代わりに、開閉部11,12の延伸方向と垂直な方向における、枝部分63Bのピッチss(図19)が用いられる。また、上記実施の形態における図10〜13を本変形例に適用する場合には、これらの図は、開閉部11,12の延伸方向と垂直な方向、およびその表示面の法線方向を含む面で切断したときの断面図を用いて説明したものとして解釈する必要がある。
【0077】
なお、本技術は以下のような構成とすることができる。
【0078】
(1)互いに異なる複数の視点画像の各画素情報を、表示面においてその複数の視点画像間で巡回するような順番で配置してそれぞれ表示する表示部と、
第1の方向に延伸するとともにその第1の方向と交差する第2の方向に並設され、それぞれが、並設された複数の枝状電極を含んで構成された、開状態と閉状態とを切り換え可能な複数の液晶バリアを有するバリア部と
を備え、
前記枝状電極の前記第2の方向におけるピッチsが、次の式(A)を満たす
表示装置。
Sin-1(λ/s) 〜 θt ・・・ (A)
ただし、
λは、開状態になっている一の液晶バリアを透過する光の波長であり、
θtは、前記第2の方向と前記表示面の法線方向とを含む面内における、開状態になっている複数の液晶バリアのうちの前記一の液晶バリアとは異なる他の液晶バリアに対応する位置に配置された一の画素と前記一の液晶バリアとを結ぶ線と、前記法線方向との間の角度である。
【0079】
(2)開状態になっている複数の液晶バリアのうち、前記一の液晶バリアは前記他の液晶バリアと隣り合っている
前記(1)に記載の表示装置。
【0080】
(3)前記ピッチsが、次の式(B)を満たす
請求項1に表示装置。
θ1 < Sin-1(λ/s) < θ2 ・・・ (B)
ただし、
θ1は、前記一の画素と隣接する画素との間の境界部分のうちの前記第2の方向における一方の境界部分と前記一の液晶バリアとを結ぶ線と、前記法線方向との間の角度であり、
θ2は、前記一の画素の前記第2の方向における他方の境界部分と前記一の液晶バリアを結ぶ線と、前記法線方向との間の角度である。
【0081】
(4)前記第1の方向と前記第2の方向は、互いに垂直である
前記(1)から(3)のいずれかに表示装置。
【0082】
(5)前記バリア部は、複数の第1系列の液晶バリアおよび複数の第2系列の液晶バリアを有する
前記(1)から(4)のいずれかに記載の表示装置。
【0083】
(6)3次元映像表示モードおよび2次元映像表示モードを含む複数の表示モードを有し、
前記3次元映像表示モードでは、前記表示部が前記複数の視点画像を表示し、前記複数の第1系列の液晶バリアが透過状態になるとともに、前記複数の第2系列の液晶バリアが遮断状態になることにより、3次元映像を表示する
前記(5)に記載の表示装置。
【0084】
(7)前記複数の第1系列の液晶バリアは、複数のバリアグループにグループ分けされ、
前記3次元映像表示モードでは、前記複数の第1系列の液晶バリアは、バリアグループごとに、時分割的に開状態および閉状態との間で切り換わる
前記(6)に記載の表示装置。
【0085】
(8)3次元映像表示モードおよび2次元映像表示モードを含む複数の表示モードを有し、
前記2次元映像表示モードでは、前記表示部が1つの視点画像を表示し、前記複数の第1系列の液晶バリアおよび前記複数の第2系列の液晶バリアが透過状態になることにより、2次元映像を表示する
前記(5)から(7)のいずれかに記載の表示装置。
【0086】
(9)バックライトをさらに備え、
前記表示部は液晶表示部であり、
前記液晶表示部は、前記バックライトと前記バリア部との間に配置されている
前記(5)から(8)のいずれかに記載の表示装置。
【0087】
(10)互いに異なる複数の視点画像の各画素情報を、表示面においてその複数の視点画像間で巡回するような順番で配置してそれぞれ表示する表示部と、
光を透過する複数の透過部分と光を遮蔽する複数の遮蔽部分とが並設されたバリア部と
を備え、
前記複数の視点画像のうちの一の視点画像に係る光であって、前記複数の透過部分のうちの一の透過部分に対応する位置に配置された画素から射出し前記一の透過部分を透過した第1の光が、前記一の視点画像に係る、前記複数の透過部分のうちの前記一の透過部分とは異なる他の透過部分に対応する位置に配置された画素から射出し前記一の透過部分を直進する第2の光の直進方向に沿うように屈曲する
表示装置。
【0088】
(11)前記一の透過部分は前記他の透過部分と隣り合っている
前記(10)に記載の表示装置。
【符号の説明】
【0089】
1,1A,1B…立体表示装置、10…液晶バリア部、11,12…開閉部、14…偏光板、15…透明電極層、16…透明基板、17…透明電極層、18…偏光板、19…液晶層、20…表示部、30…バックライト、41…制御部、42…バックライト駆動部、43…バリア駆動部、50…表示駆動部、51…タイミング制御部、52…ゲートドライバ、53…データドライバ、61,62…幹部分、63…枝部分、70…サブ電極領域、71〜74…枝領域、110,120…透明電極、201…透明基板、202…画素電極、203…液晶層、204…対向電極、205…透明基板、206a,206b…偏光板、207…駆動基板、208…対向基板、Cs…保持容量素子、CBR…バリア制御信号、CBL…バックライト制御信号、CSL…保持容量線、d…距離、D3…屈曲光、DD3…屈曲光分布、DT3…透過光分布、GCL…ゲート線、LC…液晶素子、P…ピクセルピッチ、P1〜P5…画素情報、Pix…画素、P3D…立体画素情報、RDT3…範囲、s…水平ピッチ、S,Sdisp,S2D,S3D…映像信号、SGL…データ線、SPix…サブ画素、Tr…TFT素子、T1〜T5…透過光、θd…屈曲角、θt,θ1,θ2…角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる複数の視点画像の各画素情報を、表示面においてその複数の視点画像間で巡回するような順番で配置してそれぞれ表示する表示部と、
第1の方向に延伸するとともにその第1の方向と交差する第2の方向に並設され、それぞれが、並設された複数の枝状電極を含んで構成された、開状態と閉状態とを切り換え可能な複数の液晶バリアを有するバリア部と
を備え、
前記枝状電極の前記第2の方向におけるピッチsが、次の式(A)を満たす
表示装置。
Sin-1(λ/s) 〜 θt ・・・ (A)
ただし、
λは、開状態になっている一の液晶バリアを透過する光の波長であり、
θtは、前記第2の方向と前記表示面の法線方向とを含む面内における、開状態になっている複数の液晶バリアのうちの前記一の液晶バリアとは異なる他の液晶バリアに対応する位置に配置された一の画素と前記一の液晶バリアとを結ぶ線と、前記法線方向との間の角度である。
【請求項2】
開状態になっている複数の液晶バリアのうち、前記一の液晶バリアは前記他の液晶バリアと隣り合っている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ピッチsが、次の式(B)を満たす
請求項1に表示装置。
θ1 < Sin-1(λ/s) < θ2 ・・・ (B)
ただし、
θ1は、前記一の画素と隣接する画素との間の境界部分のうちの前記第2の方向における一方の境界部分と前記一の液晶バリアとを結ぶ線と、前記法線方向との間の角度であり、
θ2は、前記一の画素の前記第2の方向における他方の境界部分と前記一の液晶バリアを結ぶ線と、前記法線方向との間の角度である。
【請求項4】
前記第1の方向と前記第2の方向は、互いに垂直である
請求項1に表示装置。
【請求項5】
前記バリア部は、複数の第1系列の液晶バリアおよび複数の第2系列の液晶バリアを有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
3次元映像表示モードおよび2次元映像表示モードを含む複数の表示モードを有し、
前記3次元映像表示モードでは、前記表示部が前記複数の視点画像を表示し、前記複数の第1系列の液晶バリアが透過状態になるとともに、前記複数の第2系列の液晶バリアが遮断状態になることにより、3次元映像を表示する
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記複数の第1系列の液晶バリアは、複数のバリアグループにグループ分けされ、
前記3次元映像表示モードでは、前記複数の第1系列の液晶バリアは、バリアグループごとに、時分割的に開状態および閉状態との間で切り換わる
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
3次元映像表示モードおよび2次元映像表示モードを含む複数の表示モードを有し、
前記2次元映像表示モードでは、前記表示部が1つの視点画像を表示し、前記複数の第1系列の液晶バリアおよび前記複数の第2系列の液晶バリアが透過状態になることにより、2次元映像を表示する
請求項5に記載の表示装置。
【請求項9】
バックライトをさらに備え、
前記表示部は液晶表示部であり、
前記液晶表示部は、前記バックライトと前記バリア部との間に配置されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
互いに異なる複数の視点画像の各画素情報を、表示面においてその複数の視点画像間で巡回するような順番で配置してそれぞれ表示する表示部と、
光を透過する複数の透過部分と光を遮蔽する複数の遮蔽部分とが並設されたバリア部と
を備え、
前記複数の視点画像のうちの一の視点画像に係る光であって、前記複数の透過部分のうちの一の透過部分に対応する位置に配置された画素から射出し前記一の透過部分を透過した第1の光が、前記一の視点画像に係る、前記複数の透過部分のうちの前記一の透過部分とは異なる他の透過部分に対応する位置に配置された画素から射出し前記一の透過部分を直進する第2の光の直進方向に沿うように屈曲する
表示装置。
【請求項11】
前記一の透過部分は前記他の透過部分と隣り合っている
請求項10に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−25111(P2013−25111A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160223(P2011−160223)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】