説明

表示装置

【課題】投影型の表示装置において、視野角による画像の歪みを生じることなく立体感のある表示が可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示画像を示す表示光Lを出射する投射型表示器110と、表示光Lが投影され前記表示画像を表示する被投影部材と、を備えてなる表示装置であって、前記被投影部材として、第1の被投影部材130とこの第1の被投影部材130よりも空間を隔てて前方側に配置された第2の被投影部材140とを有し、第1、第2の被投影部材130、140は、互いの一部が重なり合うように配置されてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射型表示器から出射される表示光を被投影部材に投影して表示画像を表示する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリーン(被投影部材)にプロジェクタ(投射型表示器)から出射される表示光を投影させ、画像を表示する投影型の表示装置が知られている。
【0003】
かかる表示装置としては、複数のスクリーンを並置してこれに画像を表示するものが知られている(例えば特許文献1参照)。しかし、特許文献1記載の表示装置においては、複数のスクリーンで1つの平面を成すものであり、表示される画像に立体感がなく、面白味に欠ける問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−175949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対して、複数のスクリーンに段差を持たせて配置する、すなわち複数のスクリーンを立体的に配置することで、各スクリーンに表示される画像に奥行きの差が生じて立体感のある表現が可能となる。しかしながら、かかる方法は、複数のスクリーン間に段差が生じることから、視野角によってはこの段差から露出するスクリーンを保持するホルダなどに表示画像が投射されて歪んだ画像が視認されてしまうという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題に着目してなされたものであり、投影型の表示装置において、視野角による画像の歪みを生じることなく立体感のある表示が可能な表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するため、表示画像を示す表示光を出射する投射型表示器と、前記表示光が投影され前記表示画像を表示する被投影部材と、を備えてなる表示装置であって、
前記被投影部材として、第1の被投影部材とこの第1の被投影部材よりも空間を隔てて前方側に配置された第2の被投影部材とを有し、
前記第1、第2の被投影部材は、互いの一部が重なり合うように配置されてなることを特徴とする。
【0008】
前記第1の被投影部材を保持する第1の保持部材と、
前記第2の被投影部材を保持する保持部とこの保持部を支持する支持部とを有する第2の保持部材と、を備え、
前記第2の保持部材は、前記支持部が前記第1の保持部材の前記第1の被投影部材よりも外周領域と当接するように形成されてなることを特徴とする。
【0009】
前記第2の保持部材は、前記支持部の前記第1の被投影部材側の面が後方向きに傾斜してなることを特徴とする。
【0010】
前記第2の被投影部材の端部に装飾部材を配設してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、視野角による画像の歪みを生じることなく立体感のある表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態である表示装置の概観を示す図。
【図2】同上の表示装置の電気的構成を示す図。
【図3】同上の表示装置を示す正面図及び断面図。
【図4】同上の表示装置の別例を示す断面図。
【図5】同上の表示装置の別例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
まず、図1及び図2を用いて表示装置100の基本的な構成を説明する。表示装置100は、プロジェクタ(投射型表示器)110と、ミラー120と、第1のスクリーン(第1の被投影部材)130と、第2のスクリーン(第2の被投影部材)140と、第3のスクリーン(第3の被投影部材)150と、制御手段160と、記憶手段170と、から主に構成されている。なお、図1では後述する第1のスクリーンホルダ及び第2のスクリーンホルダを省略して図示している。
【0015】
プロジェクタ110は、表示画像を示す表示光Lを第1〜第3のスクリーン130〜150に向けて出射するものであり、例えば光源からの光を液晶パネルを透過させて表示光を形成する液晶プロジェクタからなる。なお、プロジェクタ110は複数であってよい。
【0016】
ミラー120は、例えばポリカーボネートなどの樹脂材料に例えばアルミニウムなどの金属を蒸着させて反射面を形成してなる反射部材である。プロジェクタ110から出射された表示光Lは、ミラー120を反射し、第1〜第3のスクリーン130〜150に投影される。
【0017】
第1〜第3のスクリーン130〜150は、プロジェクタ110から出射された表示光Lが投影されてそれぞれ表示画像を映し出す(表示する)ものである。本実施形態において、第1〜第3のスクリーン130〜150は、表示光Lを反射して表示画像を表示する反射スクリーンである。中央に位置する第1のスクリーン130と、側方に位置する第2、第3のスクリーン140、150とは、後述する第1、第2のスクリーンホルダによってそれぞれ保持されることで空間を隔てて奥行き方向の位置が異なるように配置され、第1のスクリーン130に対して第2、第3のスクリーン140、150が空間を隔てて前方側(観察者側)に位置するように配置される。これにより、第1のスクリーン130に表示される表示画像と第2、第3のスクリーン140、150に表示される表示画像とは奥行きが異なり、立体感のある表示が可能となる。
【0018】
制御手段160は、CPU,ROM,RAM及び入出力インターフェイス等を備えたマイクロコンピュータから構成される。制御手段160は、外部信号の入力や操作手段(図示しない)からの操作信号の入力などに応じて記憶手段170から画像データを取得し、前記画像データに応じた駆動信号を所定周期でプロジェクタ110へ出力して第1〜第3のスクリーン130〜150に表示画像を示す表示光Lを出射させるべく発光表示駆動制御をするものである。
【0019】
記憶手段170は、EPROMなどの不揮発性メモリからなり、表示装置100にて表示する表示画像を示す画像データを記憶する。
【0020】
次に、図3を用いて表示装置100における第1〜第3のスクリーン130〜150の配置構成について説明する。
【0021】
表示装置100は、第1のスクリーン130を保持する第1のスクリーンホルダ(第1の保持部材)180と、第2、第3のスクリーン140、150を保持する第2のスクリーンホルダ(第2の保持部材)190と、を備える。
【0022】
第1のスクリーンホルダ180は、例えばABSライク樹脂からなり、熱収縮が起こらない粘着材(図示しない)を介して第1のスクリーン130を所定位置に保持する板状部材である。なお、第1のスクリーン130はベゼルなどの枠状部材によって固定してもよい。
【0023】
第2のスクリーンホルダ190は、例えばABSライク樹脂からなり、熱収縮が起こらない粘着材(図示しない)を介して第2、第3のスクリーン140、150を保持する平板状の保持部191と、保持部191の中央領域に形成され観察者側に第1のスクリーン130の一部を露出させる開口部192と、保持部191の背面から突出し第1のスクリーンホルダ180と当接する支持部193と、を備える。また、第2のスクリーンホルダ190は、例えば第1のスクリーンホルダ180の背面側から支持部193をネジ止めすることで第1のスクリーンホルダ180に固定される。
【0024】
ここで、第2のスクリーンホルダ190の開口部192が第1のスクリーン130よりも小さく形成されることで、空間を隔てて立体的に配置される第1のスクリーン130と第2、第3のスクリーン140、150とは、互いの一部が重なり合うように配置される。すなわち、中央に位置する第1のスクリーン130の左右両端が側方に位置する第2、第3のスクリーン140、150の一端と重なり合うように配置される。また、第2のスクリーンホルダ190の支持部193は、第1のスクリーン130側の面が後方向きになるように傾斜して形成され、第1のスクリーンホルダ180の第1のスクリーン130よりも外周領域と当接するように形成される。これにより、観察者のアイポイントEからの視線には第1のスクリーン130と第2、第3のスクリーン140、150との段差が入るものの、第1のスクリーン130の第2、第3のスクリーン140、150と重なり合った部分に投射された表示画像を視認することとなるため、第2のスクリーンホルダ190の支持部193や第1のスクリーンホルダ180が視認される場合のようにスクリーンでない部材に表示画像が投射されて歪んだ画像が視認されることを抑制することができる。なお、支持部193の傾斜角度は支持部193が観察者の視線上に位置しないように適宜定められる。さらに、第1のスクリーン130に表示された表示画像の反射光が支持部193に再反射して第1のスクリーン130に映り込むことを防ぐため、第2のスクリーンホルダ190は黒色等の反射性の低い色とし、支持部193にシボ形状を形成することが望ましい。
【0025】
以上のように、本実施形態によれば、視野角による表示画像の歪みを生じることなく立体感のある表示が可能となる。
【0026】
なお、第2のスクリーンホルダ190の支持部193は、観察者のアイポイントEからの視線に入らないように、第1のスクリーンホルダ180の第1のスクリーン130よりも外周領域と当接するように形成されればよく、図4のように開口部192よりも外周側に形成して第1のスクリーンホルダ180に対して垂直に突出させてもよい。
【0027】
また、第1〜第3のスクリーンの形状は平面、矩形状に限定されるものではなく、図5に示すように第2のスクリーンホルダ190の保持部191を曲面状として、第2、第3のスクリーン140、150を曲面状としてもよい。スクリーンを曲面状とすることで平面スクリーンでは表現できないより立体感のある新規な表現が可能となる。また、第1〜第3のスクリーン130〜150を円状などの矩形以外の形状としてもよい。また、図5に示すように、前方側に配置される第2、第3のスクリーン140、150の端面が表示光Lを反射して視認性が損なわれないように、第2、第3のスクリーン140、150の中央側の端面に低反射性の装飾部材194を配設してもよく、表示品位を高めることができる。また、デザイン性向上を目的として装飾部材194に表示光Lを照射して淡く光らせてもよい。装飾部材194は第2、第3のスクリーン140、150を第2のスクリーンホルダ190の保持部191に固定する部材を兼用してもよい。
【0028】
なお、本実施形態においては、第1〜第3のスクリーン130〜150を配置する構成であったが、本発明の表示装置は、空間を隔てて立体的に配置される2以上のスクリーンが配置されるものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、投射型表示器から出射される表示光を被投影部材に投影して表示画像を表示する表示装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
100 表示装置
110 プロジェクタ(投射型表示器)
120 ミラー
130 第1のスクリーン(第1の被投影部材)
140 第2のスクリーン(第2の被投影部材)
150 第3のスクリーン(第3の被投影部材)
160 制御手段
170 記憶手段
180 第1のスクリーンホルダ(第1の保持部材)
190 第2のスクリーンホルダ(第2の保持部材)
191 保持部
192 開口部
193 支持部
194 装飾部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画像を示す表示光を出射する投射型表示器と、前記表示光が投影され前記表示画像を表示する被投影部材と、を備えてなる表示装置であって、
前記被投影部材として、第1の被投影部材とこの第1の被投影部材よりも空間を隔てて前方側に配置された第2の被投影部材とを有し、
前記第1、第2の被投影部材は、互いの一部が重なり合うように配置されてなることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1の被投影部材を保持する第1の保持部材と、
前記第2の被投影部材を保持する保持部とこの保持部を支持する支持部とを有する第2の保持部材と、を備え、
前記第2の保持部材は、前記支持部が前記第1の保持部材の前記第1の被投影部材よりも外周領域と当接するように形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2の保持部材は、前記支持部の前記第1の被投影部材側の面が後方向きに傾斜してなることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2の被投影部材の端部に装飾部材を配設してなることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−61387(P2013−61387A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198057(P2011−198057)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】