説明

表示駆動装置及び表示装置

【課題】表示する映像の階調に応じてFRC方式を用いる階調レベルの設定を行うことにより、表示の品質の劣化を低減することが可能な表示駆動装置及び表示装置を提供すること。
【解決手段】信号ドライバ30に表示データDataが入力されると、ヒストグラム演算部303において表示データDataが示す階調レベルの出現頻度を示す階調ヒストグラムが作成される。階調電圧設定部304は階調ヒストグラムに従って出現頻度の高い階調レベルに対応した階調電圧が極力生成される組み合わせとなるように階調電圧生成部305内の階調電圧設定スイッチの設定を行う。この設定と表示データとに従ってFRC駆動用の表示データData(FRC)が生成され、この表示データData(FRC)に従って表示が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームレート制御(FRC)方式を用いて映像表示を行う表示駆動装置及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置等の表示装置において階調表示を行うための方式の1つとして、フレームレート制御(FRC)方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。このFRC方式は、表示装置を駆動するための表示駆動装置において生成可能な階調電圧の表示よりも多くの階調レベルに対応した表示を行うための手法である。FRC方式においては、1表示周期を複数フレームによって構成しておき、フレーム毎に異なる階調レベルに対応した階調電圧を表示画素に印加して、1表示周期内の平均として所望の階調レベルの表示が見えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−119417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、表示駆動装置において生成不能な階調レベルを、FRC方式を用いて表示させる際には、ちらつき(フリッカ)が発生して表示の品質が低下することが知られている。ここで、映像の表示においては長時間同じ階調レベルでの表示を行うこともあり、このような場合にまでFRC方式を用いての表示を行うのは表示の品質の劣化の観点等から見ても余り好ましくない。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、表示する映像の階調に応じてFRC方式を用いる階調レベルの設定を行うことにより、表示の品質の劣化を低減することが可能な表示駆動装置及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様の表示駆動装置は、表示データが取り得る階調レベルよりも少ない複数の階調レベルに対応した複数の階調電圧を生成する階調電圧生成手段と、前記表示データが入力され、前記表示データが示す階調レベルの出力頻度を演算する頻度演算手段と、前記頻度演算手段によって演算された出現頻度に応じて前記階調電圧生成手段が生成する階調電圧の設定を行う設定手段と、前記表示データに応じて前記階調電圧生成手段が生成した複数の階調電圧を選択し、該選択した階調電圧を表示画素に供給して、該供給した複数の階調電圧がそれぞれ示す階調レベルの平均の階調レベルに対応した表示を行う階調電圧選択手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
また、上記の目的を達成するために、本発明の第2の態様の表示装置は、2次元に配列された複数の表示画素を有する表示パネルを表示データに基づいて駆動して表示を行う表示装置において、前記表示データが取り得る階調レベルよりも少ない複数の階調レベルに対応した複数の階調電圧を生成する階調電圧生成手段と、前記表示データが入力され、前記表示データが示す階調レベルの出力頻度を演算する頻度演算手段と、前記頻度演算手段によって演算された出現頻度に応じて前記階調電圧生成手段が生成する階調電圧の設定を行う設定手段と、前記表示データに応じて前記階調電圧生成手段が生成した複数の階調電圧を選択し、該選択した階調電圧を表示画素に供給して、該供給した複数の階調電圧がそれぞれ示す階調レベルの平均の階調レベルに対応した表示を行う階調電圧選択手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表示する映像の階調に応じてFRC方式を用いる階調レベルの設定を行うことにより、表示の品質の劣化を低減することが可能な表示駆動装置及び表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示駆動装置を適用した表示装置の構成を示す図である。
【図2】表示画素の等価回路を示す図である。
【図3】1ビットのFRC駆動を行う際の表示装置の各ブロックの動作を示すタイミングチャートである。
【図4】信号ドライバの概要を示す構成図である。
【図5】階調ヒストグラムを示す図である。
【図6】階調電圧生成部の構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態の一例としての階調電圧の設定について説明するための図である。
【図8】本発明の一実施形態の変形例としての階調電圧の設定について説明するための図である。
【図9】階調電圧選択部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る表示駆動装置を適用した表示装置の構成を示す図である。図1に示す表示装置1は、表示パネル10と、走査ドライバ20と、信号ドライバ30と、共通電極駆動回路40と、電源調整回路50と、映像メモリ60と、制御部70とを有している。
【0011】
表示パネル10は、画素側基板11と対向側基板12との間に液晶が狭持されて構成されている。画素側基板11と対向側基板12とはシール材13によって接着され、またこのシール材13によって画素側基板11と対向側基板12との間から液晶が漏れ出さないように封止されている。
【0012】
画素側基板11はガラス基板等の透明性を有する基板であり、複数の走査線G(j)(j=1、2、…、n)と複数の信号線S(i)(i=1、2、…、m)とがそれぞれ交差するように配設されている。さらに、走査線G(j)と信号線S(i)との各交点に対応した位置には表示画素14が設けられている。なお、図1においては、表示画素14を1つのみ図示している。
【0013】
対向側基板12には、共通電極15が形成され、この共通電極15の電位はVcomとなっている。詳細は後述するが、共通電極15の電位Vcomは、所定期間毎に、高レベル側電位Vchと低レベル側電位Vclとの間で切り替えられるものである。
【0014】
図2は、表示画素14の等価回路を示す図である。表示画素は、画素側基板11に形成される画素電極と対向側基板12に形成される共通電極との間に液晶を挟持してなる容量Clcdとして構成されている。画素電極は薄膜トランジスタ(TFT)141を介して信号線S(i)に接続され、さらにTFT141のゲートは走査線G(j)に接続されている。また、容量Clcdと並列に補助容量Ccsが接続されている。このような構成の表示画素において、画素電極と共通電極との間に電圧が印加されると、これら印加された電圧に応じて画素電極と共通電極との間に充填された液晶の配向状態が変化して液晶層中における光の透過率が変化する。これにより、表示画素の背面等に配置された図示しない光源(バックライト)からの光の透過状態が変化して所定の階調レベルでの映像表示が行われる。
【0015】
走査ドライバ20には、走査線G(j)が接続されている。この走査ドライバ20は、制御部70からの垂直制御信号Vsを受けてn本の走査線G(j)の駆動を開始する。この際、走査ドライバ20は、制御部70からの水平制御信号Hsを受ける毎に、1行分のTFT141をオンするための走査信号をゲートオフレベルVglからゲートオンレベルVghに切り替える。
【0016】
図3に示すように、垂直制御信号Vsは表示パネル10の1画面分の表示を行うための期間である1フレーム毎に印加される。また、水平制御信号Hsは表示パネル10の1行分(1本の走査線分)の階調電圧を書き込むための期間である1水平期間毎に印加される。この水平制御信号Hsに同期するように、走査ドライバ20は、走査線G(1)から順次、電位をゲートオンレベルVghとする。走査線G(j)の電位がゲートオンレベルVghとなることにより、当該走査線に接続されているTFT141がオン状態となる。このとき、そのオン状態となったTFT141を介して信号線S(i)に印加されている階調電圧が表示画素14の画素電極に印加される。
【0017】
信号ドライバ30は、表示データdataが入力され、表示データdataによって示される階調レベルに応じた階調電圧を選択し、選択した階調電圧を、信号線S(i)を介して表示画素14の画素電極に供給する。ここで、本実施形態における信号ドライバ30は、FRC方式を利用して表示パネル10を駆動可能なドライバを想定している。この信号ドライバ30の詳細については後述する。
【0018】
図3は、FRC方式を利用した場合のタイミングチャートを示している。図3の例は、液晶表示装置において1ビットのFRC方式の表示を行う例を示しており、1表示周期を4フレームで構成している。図3に示す4フレームのうち、奇数番目のフレームが表示画素14に印加される階調電圧が共通電圧よりも高電圧となる期間(以下、正極期間という)であり、偶数番目のフレームが表示画素14に印加される階調電圧が共通電圧よりも低電圧となる期間(以下、負極期間という)である。一般に、表示画素14を構成する液晶は、直流電圧を長時間印加すると特性が劣化する性質を有しているため、表示画素14に印加する階調電圧及び共通電圧の極性(階調電圧と共通電圧の大小関係)を一定期間毎に反転させて長時間の直流電圧が液晶に印加されないようにする必要がある。このための手法としては種々の手法が考えられるが、本実施形態では一例として、正極期間と負極期間とで階調電圧及び共通電圧の極性を反転させるようにしている。
【0019】
液晶表示装置における1ビットのFRC方式では、正極期間及び負極期間をそれぞれ2フレームで構成し、各期間でFRC方式を用いた表示を行う。即ち、正極期間及び負極期間をそれぞれ構成する2フレームの間で表示画素14に印加する階調電圧のレベルを変化させることにより、人間の眼には各期間を構成する2フレームの平均の階調レベルの表示がなされているように認識させることができる。
【0020】
共通電極駆動回路40は、制御部70から出力される極性反転制御信号Polに基づいて対向側基板12の共通電極15に共通電圧Vcomを供給する。図3に示すように、極性反転制御信号Polは例えば1フレーム毎に印加される信号である。なお、共通電極駆動回路40は、極性反転制御信号Polがローレベルのときに共通電極15の電位を高レベル側電位Vchとし、極性反転制御信号Polがハイレベルのときに共通電極15の電位を低レベル側電位Vclとする。
【0021】
電源調整回路50は、電源Vccから図1に示す表示装置1の各ブロックが必要とする電源電圧を生成して供給する。映像メモリ60は、例えば表示装置1の外部から入力されてくる表示データが一時記憶される。制御部70は、図1に示す表示装置1の各ブロックの制御信号を供給する。
【0022】
次に、信号ドライバ30について詳細に説明する。図4は、信号ドライバ30の概要を示す構成図である。なお、説明を単純化するため、以下の説明においては、信号ドライバ30が5つの階調レベルに対応した5種類の階調電圧を生成できるドライバであるとする。また、1ビットのFRC駆動を用いて8つの階調レベル(V0〜V7)の表示を行えるものとする。しかしながら、本実施形態の手法は1ビット以外のFRC方式にも適用でき、また8階調よりも多階調の表示に対しても適用できる。
【0023】
図4に示すように、本実施形態における信号ドライバ30は、メモリ制御部301と、表示データメモリ302と、ヒストグラム演算部303と、階調電圧設定部304と、階調電圧生成部305と、FRC用表示データ生成部306と、データレジスタ部307と、データラッチ部308と、階調電圧選択部309とを有している。
【0024】
メモリ制御部301は、表示データメモリ302のデータ格納状態を監視しつつ、表示データメモリ302への表示データDataの書き込み及び表示データメモリ302からの表示データDataの読み出しを制御する。
【0025】
表示データメモリ302は、2つのメモリ領域A、Bを有して構成されている。ここで、各メモリ領域はそれぞれ1フレーム分の表示データを格納できるだけの容量を有しているものとする。メモリ制御部301は、外部から1フレーム分の表示データDataが入力される毎に、入力された表示データDataを表示データメモリ302の空いている側のメモリ領域に書き込む。そして、1フレーム分の表示データDataの書き込みが終了すると、メモリ制御部301は、書き込みが終了したメモリ領域から表示データDataを読み出し、読み出した表示データDataをヒストグラム演算部303とFRC用表示データ生成部306とに出力する。
【0026】
頻度演算手段としての機能を有するヒストグラム演算部303は、表示データが示す階調レベルの頻度分布(階調ヒストグラム)を演算する。図5は、階調ヒストグラムを示している。図5に示すように、階調ヒストグラムは、表示データDataが示す階調レベルV0〜V7の出現頻度を求めたものである。なお、階調ヒストグラムは、表示装置1の電源オン後から現在までのヒストグラムを求めるようにしても良いし、所定の表示周期前までのヒストグラムを求めるようにしても良い。
【0027】
設定手段としての機能を有する階調電圧設定部304は、ヒストグラム演算部303で演算された階調ヒストグラムに基づいて階調電圧生成部305が生成する階調電圧の設定を行うための階調電圧設定信号Setを階調電圧生成部305とFRC用表示データ生成部306とに供給する。
【0028】
階調電圧生成部305は、電源調整回路50から供給される電圧VγH、VγLを電源として表示画素14の画素電極に印加される階調電圧を生成する。
【0029】
ここで、階調電圧生成部305について詳細に説明する。図6は、本実施形態における階調電圧生成部305の構成を示す図である。図6に示すように、階調電圧生成部305は、極性切替スイッチ部3051と、抵抗部3052と、階調電圧設定スイッチ部3053と、階調アンプ部3054とを有している。
【0030】
極性切替スイッチ部3051は、極性切替スイッチSWa、SWbを有して構成されている。極性切替スイッチSWa、SWbは、極性反転制御信号Polのレベルに応じて電源調整回路50から供給される電源VγH、VγLの何れかに接続される。なお、電源VγH、VγLの電位はVγHのほうが高く設定されている。本例では、極性反転制御信号Polがハイレベルのときに極性切り替えスイッチSWaが高レベル側電源VγHに、極性切替スイッチSWbが低レベル側電源VγLに接続される。一方、極性反転制御信号Polがローレベルのときに極性切り替えスイッチSWaが低レベル側電源VγLに、極性切替スイッチSWbが高レベル側電源VγHに接続される。このように極性切替スイッチSWa、SWbを切り替えることにより、階調電圧生成部305において生成される階調電圧の極性(レベル)が例えば1フレーム毎に反転される。
【0031】
抵抗部3052は、(表示データが取り得る階調レベル−1)個(本例では7個)の抵抗を有し、各抵抗が直列に接続されて構成されている。このような構成を有する抵抗部3052は、電源調整回路50から供給される電圧VγHと電圧VγLとの間に発生する電圧を分割して階調電圧を生成する。ここで、抵抗R7とR6との間、抵抗R6とR5との間、抵抗R5とR4との間、抵抗R4とR3との間、抵抗R3とR2との間、及び抵抗R2とR1との間には階調電圧設定スイッチ部3053を構成する階調電圧設定スイッチと接続される接続端子が設けられている。また、抵抗R1、R7の一端は階調電圧設定スイッチが接続されずに階調アンプ部3054を構成する階調アンプに接続されている。
【0032】
階調電圧設定スイッチ部3053は、(階調電圧生成部305が生成可能な階調電圧の数−2)個(本例では3個)の階調電圧設定スイッチSWc1〜SWc3を有して構成されている。各階調電圧設定スイッチは、階調電圧設定信号Setのレベルに応じて、奇数番号が付された抵抗と偶数番号が付された抵抗との間に設けられた接続端子と、偶数番号が付された抵抗と奇数番号が付された抵抗との間に設けられた接続端子との何れかに接続される。本例では、階調電圧設定信号Setがハイレベルのときに、各階調電圧設定スイッチが、奇数番号が付された抵抗と偶数番号が付された抵抗との間(図6の例では抵抗R7とR6との間、抵抗R5とR4との間、抵抗R3とR2との間)に設けられた接続端子に接続される。一方、階調電圧設定信号Setがローレベルのときに、各階調電圧設定スイッチが、偶数番号が付された抵抗と奇数番号が付された抵抗との間(図6の例では抵抗R6とR5との間、抵抗R4とR3との間、抵抗R2とR1との間)に設けられた接続端子に接続される。
【0033】
階調アンプ部3054は、階調電圧設定スイッチ部3053を介して供給される階調電圧にそれぞれ対応した数(図6の例では5個)の階調アンプを有している。各階調アンプは、バッファ回路として動作し、階調電圧設定スイッチ部3053を介して供給される階調電圧をそれぞれ増幅する。
【0034】
以上のような構成により、階調電圧生成部305は、階調電圧設定信号Setのレベルに応じて、電源電圧VγH、VγLから階調電圧V0、V1、V3、V5、V7とV0、V2、V4、V6、V7の何れかを生成する。
【0035】
ここで、階調電圧設定信号Setのレベルはヒストグラム演算部303で生成される階調ヒストグラムに応じて設定する。図7は、階調ヒストグラムと階調電圧設定スイッチの状態(階調電圧設定信号Setのレベルに対応する)との対応関係を示す図である。
【0036】
本実施形態においては、ヒストグラム演算部303で生成される階調ヒストグラムに基づき、出現頻度の高い階調レベルに対応した階調電圧が極力生成されるように階調電圧設定スイッチ部3053の設定を行う。ただし、kビットのFRC駆動を行うためには、階調電圧生成部305で生成される階調電圧が対応している階調レベルが等間隔で且つ隣り合う階調レベルの差が(2−1)レベルを超えてはならない。この点も考慮して階調電圧設定スイッチ部3053の設定を行う。
【0037】
例えば、図6に示す構成の階調電圧生成部305を用いて1ビットのFRC駆動を行うためには、階調レベルの差が等しい階調電圧V0、V1、V3、V5、V7のグループと階調電圧V0、V2、V4、V6、V7のグループの何れかが生成されるようにすれば良い。ここで、最大及び最小の階調レベルに対応した階調電圧V0、V7については階調ヒストグラムの状態によらずに生成可能とする。これは、最大及び最小の階調レベルについてはFRC駆動によって表示することができないためである。
【0038】
階調レベルV0、V1、V3、V5、V7のグループとV0、V2、V4、V6、V7のグループの何れを生成可能とするかを階調ヒストグラムによって決定する。この決定手法としては、例えば、以下の2種類の手法が考えられる。
(1)階調ヒストグラムの最大頻度の階調レベルに応じて設定する手法
(2)奇数階調レベルの出現頻度の総和と偶数階調レベルの出現頻度の総和との比較結果に応じて設定する手法
(1)の手法において、階調ヒストグラムの最大頻度の階調レベルがV1、V3、V5のとき(V0、V7については出現頻度によらずに生成可能とするため無視する)には、図7(a)に示すように階調電圧V0、V1、V3、V5、V7が生成されるように、階調電圧設定信号Setをローレベルとする。一方、階調ヒストグラムの最大頻度の階調レベルがV2、V4、V6のときには、図7(b)に示すように階調電圧V0、V2、V4、V6、V7が生成されるように、階調電圧設定信号Setをハイレベルとする。
【0039】
また、(2)の手法において、階調レベルV1、V3、V5の出現頻度の総和(V0、V7については出現頻度によらずに生成可能とするため無視する)が階調レベルV2、V4、V6の出現頻度の総和よりも大きい場合には、図7(a)に示すように階調電圧V0、V1、V3、V5、V7が生成されるように、階調電圧設定信号Setをローレベルとする。一方、階調レベルV1、V3、V5の出現頻度の総和(V0、V7については出現頻度によらずに生成可能とするため無視する)が階調レベルV2、V4、V6の出現頻度の総和よりも小さい場合には、図7(b)に示すように階調電圧V0、V2、V4、V6、V7が生成されるように、階調電圧設定信号Setをハイレベルとする。
【0040】
以上のようにして階調電圧設定信号Setのレベルを決定することにより、正しくFRC駆動を行うことができ、且つ長期間に渡って映像表示を行っている階調レベルについては、実際に生成される階調電圧に基づいて表示しているのでFRC方式を用いた場合に発生するちらつき等の表示品位の劣化が生じない。さらに、(2)の手法は、複数の階調レベルの出現頻度を考慮しているため、(1)の手法に比べてより表示品位の劣化が生じにくい。
【0041】
ここで、図6の構成例においては、1種の階調電圧設定信号Setのレベルに応じて階調電圧設定スイッチSWc1〜SWc3を一括して切り替えるようにしているため、階調電圧生成部305が階調レベルV0、V1、V3、V5、V7のグループとV0、V2、V4、V6、V7のグループの何れかしか生成することができない。これに対し、3種の階調電圧設定信号Set1、Set2、Set3によって階調電圧設定スイッチSWc1〜SWc3を独立して切り替え可能とすることにより、上述の考え方とは異なる考え方に従って階調電圧生成部305で生成可能な階調電圧の設定を行うことも可能である。
【0042】
例えば、奇数階調レベルの出現頻度と当該階調レベルよりも1レベルだけ高レベルの偶数階調レベルの出現頻度とを比較して何れか大きいほうに対応した階調電圧が生成されるように設定を行う手法が考えられる。この手法において、例えば、図8(a)のような階調ヒストグラムが得られた場合には、階調レベルV1とV2の出現頻度、階調レベルV3とV4の出現頻度、階調レベルV5とV6の出現頻度をそれぞれ比較する(V0、V7については無視)。図8(a)の例では、階調レベルV1とV2では階調レベルV2の出現頻度が高く、階調レベルV3とV4では階調レベルV4の出現頻度が高く、階調レベルV5とV6では階調レベルV5の出現頻度が高い。したがって、図8(b)に示すように、階調電圧V2、V4、V5が生成されるように階調電圧設定スイッチSWc1〜SWc3の設定を行う。
【0043】
ここで、階調レベルV1とV2の出現頻度、階調レベルV3とV4の出現頻度、階調レベルV5とV6の出現頻度をそれぞれ比較する手法では、階調レベルV1、V4、V5の組み合わせ等のように、隣り合う階調レベルの差が3レベルとなってしまう可能性がある。これではFRC駆動を行うことができないので、階調レベルV1ではなくV2を生成するようにするか、階調レベルV4ではなくV3を生成するようにするかの何れかとする必要がある。
【0044】
以下、図4に戻って説明を続ける。図4のFRC用表示データ生成部306は、階調電圧設定部304からの階調電圧設定信号Setの入力に同期して表示データDataからFRC駆動用の表示データData(FRC)を生成する。本実施形態では、例として表示データDataが1フレーム分のみ入力され、この1フレーム分の表示データDataから、1表示期間の表示を行うための4フレーム分の表示データData(FRC)を生成するものとする。
【0045】
図7、図8で説明したように、階調電圧設定信号Setのレベルから階調電圧生成部305で生成可能な階調電圧を判定可能である。階調電圧生成部305で生成可能な階調電圧に対応した階調レベルの表示を行う表示画素14についてはFRC駆動を用いる必要がない。したがってこの場合には、表示データData=表示データData(FRC)とする。例えば、本実施形態では、階調レベルV7に対応した階調電圧は階調ヒストグラムの状態によらずに生成可能としている。このため、表示データDataが示す階調レベルが階調レベルV7であった場合には、図3に示すように、1表示期間を構成する4フレームの全てで階調電圧V7が階調電圧選択部309において選択されるように表示データData(FRC)を生成する。
【0046】
一方、階調電圧生成部305で生成不能な階調電圧に対応した階調レベルの表示を行う表示画素14についてはFRC駆動を用いる必要がある。したがってこの場合には、表示データDataとは別の表示データData(FRC)を生成する。例えば、階調電圧V3が生成不能であったとすると、この階調電圧V3に対応した階調レベルの表示は、階調レベルV2の表示と階調レベルV4の表示の時間平均として実現できる。このため、表示データDataが示す階調レベルが階調レベルV3であった場合には、図3に示すように、1表示期間を構成する最初の2フレームで階調電圧V2が、後の2フレームで階調電圧V4が階調電圧選択部309において選択されるように表示データData(FRC)を生成する。
【0047】
データレジスタ部307は、制御部70からの水平同期信号Hsに同期したタイミング信号に応じてFRC用表示データ生成部306からの表示データData(FRC)を順次取り込む。
【0048】
データラッチ部308は、制御部70からの水平同期信号Hsに同期したタイミング信号に応じてデータレジスタ部307に保持された表示データData(FRC)を一斉に取り込み、取り込んだ表示データData(FRC)を階調電圧選択部309に出力する。
【0049】
階調電圧選択部309は、図9に示すように、信号線S(i)の数に対応したm個のDAC部3091とm個の出力アンプ3092とを有している。各DAC部3091はデコーダ3091aと階調電圧生成部305の出力数と同数のスイッチSWd0〜SWd7を有している。
【0050】
デコーダ3091aは、データラッチ部308から入力される表示データData(FRC)に対応したスイッチをオンするための切り替え信号を出力する。スイッチSWd0〜SWd7は階調電圧生成部305の出力に接続され、デコーダ3091aからの切り替え信号に応じて開閉する。スイッチSWd0〜SWd7が閉じることにより、そのスイッチ対応した階調電圧が信号線S(i)を介して表示画素14の画素電極に供給される。表示画素14に階調電圧が供給されることにより、表示画素14における表示が行われる。
【0051】
出力アンプ3092は、バッファ回路として動作し、スイッチSWd0〜SWd7を介して供給される階調電圧をそれぞれ増幅する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、階調電圧生成部305で生成不能な階調電圧については出現頻度が低い階調電圧に対応しているので、単純にFRC駆動を行うよりも表示品位の劣化が生じにくい。
【0053】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。例えば、上述の例では、信号ドライバ30に入力される現在の表示期間用の表示データDataも考慮して階調ヒストグラムを作成している。しかしながら、過去に信号ドライバ30に入力された表示データDataのみから階調ヒストグラムを作成するようにしても良い。
【0054】
また、上述の例は、表示装置として液晶表示装置を示しているが、必ずしも液晶表示装置を用いる必要はない。例えば有機EL表示装置において上述した本実施形態の手法を適用しても良い。なお、有機EL表示装置では液晶表示装置のような交流駆動が不要であるので1ビットのFRC駆動を行うためには1表示周期を2フレームで構成すれば良い。
【0055】
さらに、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0056】
10…表示パネル、11…画素側基板、12…対向側基板、20…走査ドライバ、30…信号ドライバ、40…共通電極駆動回路、50…電源調整回路、60…映像メモリ、70…制御部、301…メモリ制御部、302…表示データメモリ、303…ヒストグラム演算部、304…階調電圧設定部、305…階調電圧生成部、306…FRC用表示データ生成部、307…データレジスタ部、308…データラッチ部、309…階調電圧選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示データが取り得る階調レベルよりも少ない複数の階調レベルに対応した複数の階調電圧を生成する階調電圧生成手段と、
前記表示データが入力され、前記表示データが示す階調レベルの出力頻度を演算する頻度演算手段と、
前記頻度演算手段によって演算された出現頻度に応じて前記階調電圧生成手段が生成する階調電圧の設定を行う設定手段と、
前記表示データに応じて前記階調電圧生成手段が生成した複数の階調電圧を選択し、該選択した階調電圧を表示画素に供給して、該供給した複数の階調電圧がそれぞれ示す階調レベルの平均の階調レベルに対応した表示を行う階調電圧選択手段と、
を具備することを特徴とする表示駆動装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記表示データが取り得る階調レベルにおける最大及び最小の階調レベルに対応した階調電圧については前記出現頻度によらずに生成させるように前記設定を行うことを特徴とする請求項1に記載の表示駆動装置。
【請求項3】
前記設定手段は、階調レベルの差が等間隔となるように前記複数の階調電圧を生成させるように前記設定を行うことを特徴とする請求項2に記載の表示駆動装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記頻度演算手段で演算された出現頻度の中で最大の出現頻度の階調レベルを基準として前記設定を行うことを特徴とする請求項3に記載の表示駆動装置。
【請求項5】
前記階調レベルは、階調レベルの差が等しい複数のグループに分けられており、
前記設定手段は、前記頻度演算手段で演算された出現頻度の総和が最も大きいグループに属する階調レベルを基準として前記設定を行うことを特徴とする請求項3に記載の表示駆動装置。
【請求項6】
2次元に配列された複数の表示画素を有する表示パネルを表示データに基づいて駆動して表示を行う表示装置において、
前記表示データが取り得る階調レベルよりも少ない複数の階調レベルに対応した複数の階調電圧を生成する階調電圧生成手段と、
前記表示データが入力され、前記表示データが示す階調レベルの出力頻度を演算する頻度演算手段と、
前記頻度演算手段によって演算された出現頻度に応じて前記階調電圧生成手段が生成する階調電圧の設定を行う設定手段と、
前記表示データに応じて前記階調電圧生成手段が生成した複数の階調電圧を選択し、該選択した階調電圧を表示画素に供給して、該供給した複数の階調電圧がそれぞれ示す階調レベルの平均の階調レベルに対応した表示を行う階調電圧選択手段と、
を具備することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−181829(P2010−181829A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27677(P2009−27677)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】