説明

表紙を有する文書

本発明は、表紙(102,104)と個人化ページ(106)とを有する文書に関するものであり、個人化ページには表示装置(116)が配置されており、さらに表示装置を制御するための電子回路(138)を有しており、電子回路は表紙に組み込まれており、さらに表示装置と電子回路の間に延びるフレキシブル配線板(120)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表紙を有する文書、特にたとえばいわゆるパスポートのような証明文書に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1より、表紙の芯材にRFIDデータ担体を有しているパスポートが公知である。
【0003】
特許文献2より、トランスポンダユニットを担持する熱可塑性エラストマーからなる層を有する芯紙を備えたパスポートが公知である。
【0004】
特許文献3より、表示欄と集積回路とを担持する個人化ページを含んでいる旅券が公知である。集積回路と表示欄は柔軟な配線と接続されており、柔軟な配線は同じく個人化ページにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第102004008841A1号明細書
【特許文献2】国際公開第2006053679号パンフレット
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第102005030626A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それに対して本発明の課題は、改良された文書およびそのような文書を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に課された課題は、それぞれ独立請求項の構成要件によって解決される。本発明の実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明によると、表紙と個人化ページとを有する文書が提供される。個人化ページは、1つまたは複数の画像を表示するための、たとえば1つまたは複数の旅券用写真を表示するための、特にポートレート写真および/またはテキスト情報および/または2Dバーコードをシーケンシャルに表示するための、表示装置を担持している。
【0009】
この文書は、表示装置を制御するための電子回路を有しており、電子回路は表紙に組み込まれている。フレキシブル配線板が表示装置と回路の間に延びており、それにより、回路は配線板に配置された電気コンポーネントおよび/または電子コンポーネントを介して、特に条導体を介して、表示装置を制御することができる。
【0010】
本発明の実施形態が特別に好ましい理由は、表示装置の作動のために必要な電子装置の少なくとも一部が表紙に電子回路の形態で格納されているので、それに応じて個人化ページをいっそう薄く、かついっそう柔軟に構成できるからである。さらに、それによって修正や偽造に対する安全性を向上させることができる。特に、本型の文書から個人化ページを抜き取って、別の似た構成の文書に個人化ページを挿入することが困難になる。
【0011】
本発明の実施形態では文書は、有価証券やセキュリティ文書、たとえば証明文書、特に旅券、身分証明書、ビザ、運転免許証、自動車登録証、車検証、社員証、保険カード、あるいはその他のID文書、支払手段、運送状、あるいはその他の権利証明書であって、本型に構成されているものをいう。
【0012】
「個人化ページ」とは、ここでは個人化のために設けられた、もしくはすでに個人化されている文書のページを意味している。たとえば個人化ページは、レーザ個人化のための1つまたは複数のプラスチック層を含んでいる。個人化ページは文書の所有者に関するテキストの記載を有することができ、ならびに、機械で読み取り可能な行を有することができ、特に国際民間航空機関(ICAO)が仕様を決める機械可読領域(MRZ)を有することができる。
【0013】
「製本」とは、ここでは表紙と本型の文書のページの、特に個人化ページの、あらゆる形態の結合を意味しており、これは特に糸綴じおよび/または無線綴じによって行われ、特に当業者に周知の製本技術によって、たとえばラミネーション、貼り込み、縫い込みなどによって行われる。
【0014】
本発明による表示装置の補足として個人化ページは、印刷されていてよい、またはレーザ個人化によって個人化ページに埋め込まれていてよい、所有者の旅券用写真を担持することができる。旅券用写真はシルエットであってよい。
【0015】
「フレキシブル配線板」とは、ここでは特に1つまたは複数の電気コンポーネントまたは電子コンポーネントが、特に1つまたは複数の条導体が塗布されている可撓の層を意味している。このようなフレキシブル配線板はプリント回路板(PCB)とも呼ばれ、従来技術でたとえば電子カメラなどに用いられている。
【0016】
本発明の1つの実施形態では、個人化ページは150μmから600μmの間、特に150μmから400μmの間の厚みを有している。このような薄い設計形態は、個人化ページに表示装置が組み込まれているにもかかわらず、表示ページの制御とそのエネルギー供給のために必要なコンポーネントの少なくとも一部が、個人化ページにではなく表紙に組み込まれていることによって可能となる。
【0017】
本発明の1つの実施形態では、個人化ページは互いに向き合う少なくとも2つのプラスチック層を有しており、これらの間に表示装置と、表示装置と接触するフレキシブル配線板の第1の領域とが配置されている。配線板の第2の領域は、個人化ページから突き出している。この第2の領域は、個人化ページが表紙と接続されたときに表紙の切欠きに格納される電子回路を担持している。
【0018】
本発明の1つの実施形態では、文書に組み込まれた表示装置は、双安定表示装置、電気泳動表示器、エレクトロクロミック表示器、液晶表示器(LCD)、LED表示器、特に無機LED表示器または有機LED表示器(OLED)、回転素子表示器、棒グラフ表示器、フォトルミネセンス消光型表示器、またはエレクトロウェッティング効果をベースとする表示器、もしくはハイブリッド型表示器である。
【0019】
本発明の1つの実施形態では、電子回路は、画像データすなわち画像再生のために意図されるデータを記憶するためのメモリと、画像データの再生のために表示装置を制御する論理コンポーネント、特にマイクロプロセッサとを含んでいる。
【0020】
論理コンポーネントは、表示装置のドライバ回路を含むことができる。あるいは実施形態に応じて、ドライバ回路がたとえば表示装置の一部として個人化ページに組み込まれていてもよい。論理回路は、特に国際民間航空機関(ICAO)により仕様が決められている、いわゆる基本アクセス制御(BAC)および/または拡張アクセス制御(EAC)のために、1つまたは複数の暗号プロトコルをインプリメントすることができる。
【0021】
本発明の1つの実施形態では、電子回路および/または表示装置を作動させるための電気エネルギーを文書へ入力結合するために、アンテナまたはコイルが表紙に組み込まれている。たとえば電子回路はRFIDチップとして構成されており、コイルを介して、RFID方式またはNFC方式により誘導電気エネルギーが入力結合される。
【0022】
本発明の1つの実施形態では、コイルは、たとえば個人化ページから突き出している配線板の領域で、フレキシブル配線板と電気接続されている。それにより、特別に高いコスト効率で製造可能な、コイルと電子回路および/または表示装置との接触が与えられる。
【0023】
本発明の1つの実施形態では、表示装置は異方性導電フィルム(Anisotrop Conductive Film−ACF)によって電気接触される。
【0024】
本発明の1つの実施形態では、個人化ページは文書の1つまたは複数の内側枚葉紙と縫合部により結合されており、縫合部は配線板を通って延びる糸を有している。内側枚葉紙はたとえば紙でできていてよく、たとえばビザのように、のちに記入をするために設けられていてよい。
【0025】
本発明の1つの実施形態では、縫合部の糸は少なくとも1つの区域で導電性であり、配線板の少なくとも第1および第2の条導体の間で電気接触を成立させる。それにより、条導体と文書の間で特別に密着した結合が与えられ、このことは偽造防止性をいっそう高める。
【0026】
本発明の1つの実施形態では、配線板は、電子回路と接続された第1の条導体と、表示装置と接続された第2の条導体とを担持している。第1の条導体と第2の条導体は、縫合部の糸によって互いに電気接続される。電子回路は、それが実際に成り立っているかどうかチェックするために、照会ロジックを含んでいる。この電気接続が成立していないとき、このことは文書の偽造を示唆しているので、たとえエネルギーが文書に入力結合されても、電子回路が表示装置を制御しなくなり、すなわち画像が表示装置に現れなくなる。
【0027】
本発明の1つの実施形態では、電子回路および/または表示装置の電圧供給は縫合部の糸の一区域を介して行われ、それにより、さらに別の安全性指標が与えられる。その代替または追加として、配線板に配置された1つまたは複数の条導体をつなぐブリッジが糸によって形成される。条導体はたとえば行または列の配線であってよく、それは、この場合にマトリクスディスプレイとして構成される表示装置を制御するためである。
【0028】
本発明の1つの実施形態では、電子回路と配線板の一領域は表紙の見返しに配置されている。
【0029】
本発明の1つの実施形態では、電子回路はISO14443A/BまたはICAO9303MRTDに定めるRFID電子装置として構成されており、前側および/後側のパスポート表紙に組み込まれている。
【0030】
本発明の1つの実施形態では、表示装置はアクティブ・マトリクスOLED表示装置である。この表示装置は、無機パッシベーション層ないしバリア層を備える、厚さ約50μmの薄い柔軟なガラス基板を有することができる。フレキシブル配線板はたとえばポリアミド(PI)でできていてよく、個人化ページは1つまたは複数のポリカーボネート(PC)層を有することができ、これに配線板が積層されていてよい。フレキシブル配線板は、パスポートの背を介して、パスポート表紙の前側または後側の内面に通じていてよい。
【0031】
個人化ページは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)からなる1つまたは複数の層を有することができる。あるいは、これ以外の熱可塑性エラストマーを使用することもできる。そのために、熱可塑性ポリウレタンの群全体、熱可塑性コポリエステルの群、および熱可塑性ポリエーテルブロックアミドの群を利用することができる。高温安定性のプラスチックとしては、たとえばポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、特にPETgまたはPETf、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、またはポリアミド(PA)を適用することができる。別の実施形態では、1つまたは複数の層はアクリルニトリルブタジエンスチロール共重合体(ABS)および/またはポリエチレンナフタレート(PEN)を有することができる。
【0032】
本発明の1つの実施形態では、OLED表示装置は片側または両側に薄いポリカーボネート層を備えている。このことは含浸、スプレー、ドクターブレード塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷などの手法によって溶液から行うことができ、または、薄いポリカーボネートフィルムを用いた積層技術によって実施することができる。それによってOLED表示装置のほか、フレキシブル配線板の一区域も覆われる。このように防護されたOLED表示装置は、曲げたときにはるかに影響を受けにくく、したがって、容易に他のポリカーボネートフィルムと積層して個人化ページにすることができる。
【0033】
本発明の1つの実施形態では、表示装置はICO9303標準に適合するように構成される。
【0034】
本発明はさらに別の態様において、文書を製造する方法を対象としている。この方法は次のステップを含んでいる:表示装置と、表示装置と接触するフレキシブル配線板とを備える個人化ページを製作し、このとき配線板は個人化ページから突き出す領域を有しており、個人化ページから突き出した領域は表示装置を制御するための電子回路を有しており、表紙に前記領域を取り付け、表紙に個人化ページを旋回可能に取り付ける。
【0035】
個人化ページを製作するために、たとえば異方性導電フィルム(Anisotrop Conductive Film−ACF)を用いて、表示装置がフレキシブル配線板と接触するように手順を進めることができる。そして表示装置とフレキシブル条導体の一区域とに、たとえばポリカーボネート層のようなプラスチック層が備え付けられる。そして、このように防護された表示装置およびこれと接触したフレキシブル条導体を、別のプラスチック層または紙層と接合して個人化ページにすることができ、それは、たとえば表示装置およびこれと接触するフレキシブル配線板が他のポリカーボネートフィルムと積層されて個人化ページになることによって行われる。
【0036】
本発明の1つの実施形態では、個人化ページは縫合によって他の内側枚葉紙と結合される。縫合部は、個人化ページから突き出すフレキシブル配線板の領域を通って延びているのが好ましい。このとき、縫合部の糸が条導体の1つまたは複数の電気接触を閉じることが意図されていてよい。
【0037】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による本型の文書の一実施形態を示す模式的な斜視図である。
【図2】本発明による文書の一実施形態を示すブロック図である。
【図3】本発明による文書の別の実施形態を示すブロック図であり、ドライバは表紙に配置されている。
【図4】本発明による文書の別の実施形態を示すブロック図であり、ドライバは個人化ページに配置されている。
【図5】前側の表紙に回路を有する、本発明による文書の一実施形態を示す平面図である。
【図6】後側の表紙に回路を有する、本発明による文書の別の実施形態を示す平面図である。
【図7】本発明による文書の別の実施形態を示す斜視図である。
【図8】縫合部が延びているフレキシブル条導体の領域を示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下において、下記の実施形態の互いに対応する部材には同じ符号が付されている。
【0040】
図1は、本型に構成された本発明による文書100の一実施形態を示している。この文書100は特に証明用文書、たとえばパスポートであってよい。文書100は文書のひな型であってよく、または、すでに部分的もしくは全面的に個人化された文書であってよい。
【0041】
文書100は前側の表紙102、特に前側のパスポート表紙と、後側の表紙104、特に後側のパスポート表紙とを有している。
【0042】
表紙102および104の間に個人化ページ106がある。個人化ページ106は層状の構造を有することができ、個人化ページ106の前面は第1の層108によって形成され、個人化ページ106の裏面は第2の層110によって形成される。層108および110はプラスチック層、特にポリカーボネート層であってよい。
【0043】
層108および110の間には、たとえば個人化ページ106を形成するために相互に積層により結合された、別のプラスチック層および/または紙層があってよい。特に、それによって与えられる個人化ページ106の層構造はレーザ個人化をするために、またはその他の個人化方式を実施するために構成されていてよい。個人化によって、たとえば個人化ページ106の前面に、文書100の所有者に関する個人情報を含む、たとえばその氏名、誕生日、住所などを含む、テキスト欄112が埋め込まれる。個人化ページ106の前面にある別のテキスト欄114は、たとえばICAOが仕様を決めるいわゆる機械可読領域(MRZ)として、機械で読み取り可能に構成されていてよい。
【0044】
層108および110の間には、表示装置116が個人化ページ106に組み込まれている。表示装置116は、たとえば電気エネルギー供給が利用できない場合にも、たとえばパスポート写真のような画像118を表示することができる双安定表示装置であってよく、あるいはエミッシブディスプレイ、たとえばOLEDディスプレイ、特にアクティブマトリクス(AM)OLEDディスプレイであってよい。
【0045】
表示装置116はフレキシブル配線板120と電気接続されている。配線板120は、個人化ページ106にある領域122と、個人化ページ106の範囲外にある領域124(図2)とを有している。
【0046】
配線板120の上には、特に導線126や導線128のように、さまざまな電気コンポーネントおよび/または電子コンポーネントが配置されていてよい。導線126および128の端部は、ここでは表示装置116の対応する接続接点130および132と、たとえばACFを用いて電気接続されている。特に表示装置116のエッジは、配線板120の端部領域とACFによって接続されていてよく、配線板120に塗布されているパッシベーション層が、接続接点130および132のある個所で中断されており、それにより、ACFによってそこに電気接触部が構成される。
【0047】
導線126および128を介してたとえば表示装置116、の電圧供給が行われ、またはその制御が行われる。好ましくは、表示装置116および個人化ページ106の層108と110の間の配線板120の領域122は封入されており、それによって環境が及ぼす影響から保護されている。
【0048】
文書100は、紙または紙に類似する材料からなる複数の内側枚葉紙134を有している。個人化ページ106と内側枚葉紙134は縫合部136によって相互に結合されており、ならびに表紙102および104とも結合されている。その代替または追加として、たとえば無線綴じなど、これ以外の種類の製本を選択することもできる。導線126,128および/または配線140は製本部分を貫いて延びている。たとえば図8の実施形態を参照されたい。
【0049】
図2は、本発明による文書100のブロック図を示している。この実施形態では配線板120の領域124は、表示装置116を制御するための電子回路138を担持している。電子回路138を備える領域124は、ここで考察している実施形態では、表紙104に組み込まれている。電子回路138は、表示装置116を制御する役目をする。そのために電子回路138は、配線140を介して表示装置116と接続されている。
【0050】
ここで考察している実施形態では、電子回路138は、配線126および128を介してコイル142と接続されたRFIDチップとして構成されている。コイル142は同じく表紙104に組み込まれており、読み取り装置の電気エネルギーを入力結合し、ならびに読み取り装置と通信する役目をする。この通信はRFID方式またはNFC方式により行うことができる。たとえば読み取り装置は搬送波を送信し、これによって誘導電気エネルギーがコイル142に入力結合され、それにより、電子回路138と表示装置116のための電圧供給が惹起される。
【0051】
電子回路138は画像データを記憶するためのメモリを有しており、電気エネルギーがコイル142に入力結合されるとただちに、電子回路138がこのメモリにアクセスして、表示装置116を画像データの再生のために制御する。電子回路138は、たとえば特に文書100の所有者の生体データのような保護の必要があるデータを記憶するために、これ以外の機能コンポーネントを含むことができ、ならびに、たとえばICAOが仕様を決める基本アクセス制御(BAC)および/または拡張アクセス制御(EAC)をインプリメントするための暗号化機能を有することができる。
【0052】
図3は、文書100の電子回路138の一実施形態を示している。この電子回路138は、画像データを記憶するためのメモリ144を有している。たとえばメモリ144には、文書100の所有者のデジタルポートレート写真が、たとえばJPEGのフォーマットで保存されている。メモリ144には、たとえば異なる撮影角度から撮影されたポートレート画像の画像シーケンスのように、複数の画像が保存されていてもよい。メモリ144には、たとえばテキスト情報、2Dバーコード等のように、表示装置116で表示を生成するためのそれ以外のデータが保存されていてもよい。回路138は、プログラム命令を実行するためのマイクロプロセッサ146を含んでおり、ならびにドライバ148を含んでおり、これを介して、たとえば行と列の配線を通じて表示装置116の表示部材が直接制御される。
【0053】
作動時には、マイクロプロセッサ146がプログラム命令を実行することで、メモリ144に保存されているデータにアクセスし、メモリ144から読み取られたデータを用いて、相応の画像を表示装置116で再生するためにドライバ148を制御する。
【0054】
図4に示すように、ドライバは表示装置116の統合された構成要素であってよく、すなわち個人化ページ106に配置されていてよい。この場合、マイクロプロセッサ146は配線140を介してドライバを制御する。
【0055】
図5は、電子回路138が表紙102のキャビティ150に配置された文書100の実施形態を示している。図5に示すように、表紙を貫いて配線板120の領域122が延びている。
【0056】
図6は、キャビティ150が電子回路138とともに後側の表紙104に配置された別案の実施形態を示している。
【0057】
図7は、複数の内側枚葉紙134が縫合部136を介して個人化ページ106と結合された文書100の実施形態を示している。個人化ページ106と内側枚葉紙134は、表紙102および104の見返し152と、たとえば接着によって結合されている。見返し152は、上方に向かってキャビティ150(図5および6参照)を閉止している。
【0058】
図8は、個人化ページ106がある領域122と、表紙102ないし表紙104がある領域124との間の移行領域で、フレキシブル配線板120の平面図を示している。この移行領域を貫いて、糸154を有する縫合部136が延びている。この糸は導電性材料でできており、または、導電性材料で少なくとも区域的にコーティングされている。
【0059】
ここで考察している実施形態では、糸154は配線板120の移行領域で2つのブリッジ156および158を形成しており、その下を配線140が貫いて延びている。配線板120の移行領域を通る糸154の通過個所160,162および164で、糸154は、配線板120に配置された配線との電気接点を形成している。ここで考察している実施形態では、これは糸154が通過個所160,162ないし164で電気接点を形成する条導体166,168および170である。それにより、条導体166および170は条導体168と電気接続される。
【0060】
条導体168は表示装置116と接続されており、条導体166および170は電子回路138と接続されている。回路138は、この実施形態では、プログラム命令172を実行するために、およびプログラム命令174を実行するために構成されたマイクロプロセッサ146を含んでいる。プログラム命令174は、縫合部136が無傷であるかどうか、または不正操作の試みがなされているかどうかをチェックする役目をする。
【0061】
電気エネルギーが文書100へ入力結合されるとただちに、プログラム命令174の実行により、表示装置から条導体168を介して出される特定の信号が条導体166および170に印加されているかどうかが判定される。これが該当するケースでのみ、通過個所160,162および164で形成される電気接触が無傷であり、すなわち縫合部136が正常である。それが該当している場合には、次いで、たとえば画像データをメモリ144から読み出してこれを表示装置116で再生するために、プログラム命令172の実行が開始される。
【0062】
条導体の代替または追加として、糸154によって互いに電気接続される、これ以外の電気コンポーネントまたは電子コンポーネントが配線板120に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
100 文書
102 表紙
104 表紙
106 個人化ページ
108 層
110 層
112 テキスト欄
114 テキスト欄
116 表示装置
118 画像
120 配線板
122 領域
124 領域
126 導線
128 導線
130 接続接点
132 接続接点
134 内側枚葉紙
136 縫合部
138 回路
140 配線
142 コイル
144 メモリ
146 マイクロプロセッサ
148 ドライバ
150 キャビティ
152 見返し
154 糸
156 領域
158 領域
160 通過個所
162 通過個所
164 通過個所
166 条導体
168 条導体
170 条導体
172 プログラム命令
174 プログラム命令

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表紙(102,104)と、
表示装置(116)が配置された個人化ページ(106)と、
前記表示装置を制御するための、前記表紙に組み込まれた電子回路(138)と、
前記表示装置と前記電子回路との間に延びるフレキシブル配線板(120)と
を有する文書。
【請求項2】
前記文書は有価証券またはセキュリティ文書、たとえば証明文書、特に旅券、身分証明書、ビザ、運転免許証、自動車登録証、車検証、社員証、保険カード、あるいはその他のID文書、支払手段、運送状、あるいはその他の権利証明書であって、本型に構成されているものである、請求項1に記載の文書。
【請求項3】
前記個人化ページは150μmから600μm、特に150μmから400μmの厚みを有している、請求項1または2に記載の文書。
【請求項4】
前記個人化ページは1つまたは複数のプラスチック層を有している、請求項1から3の何れか1項に記載の文書。
【請求項5】
前記個人化ページは第1および第2のプラスチック層を有しており、これらの間に前記表示装置と前記フレキシブル配線板の第1の領域(122)がある、請求項4に記載の文書。
【請求項6】
前記表示装置は双安定表示装置、電気泳動表示器、エレクトロクロミック表示器、液晶表示器(LCD)、LED表示器、特に無機LED表示器または有機LED表示器(OLED)、回転素子表示器、棒グラフ表示器、フォトルミネセンス消光型表示器、またはエレクトロウェッティング効果をベースとする表示器、もしくはハイブリッド型表示器である、請求項1から5のいずれか1項に記載の文書。
【請求項7】
前記回路は、画像データを記憶するためのメモリ(144)と、前記メモリに保存された画像データの再生のために前記表示装置を制御する論理コンポーネント(146;148)とを含んでいる、請求項1から6のいずれか1項に記載の文書。
【請求項8】
前記文書へエネルギーを入力結合するためのコイル(142)を有しており、前記コイルは前記回路および/または前記表示装置へのエネルギー供給のために前記フレキシブル配線板と電気接続されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の文書。
【請求項9】
前記電子回路は前記配線板の第2の区域(124)にあり、前記配線板はその第1の区域(122)で前記表示装置と接触する、請求項1から8のいずれか1項に記載の文書。
【請求項10】
前記個人化ページを1つまたは複数の内側枚葉紙(134)と結合するための縫合部(136)を有しており、前記縫合部は前記配線板を貫いて(160,162,164)延びる糸(154)を有している、請求項1から9のいずれか1項に記載の文書。
【請求項11】
前記糸は導電性であり、前記配線板の少なくとも第1および第2の条導体(166,168,170)の間の電気接触を成立させる、請求項10に記載の文書。
【請求項12】
前記第1の条導体(166,170)は前記電気回路と接続されるとともに前記第2の条導体(168)は前記表示装置と接続されており、前記電気回路は前記第2の条導体が前記糸を介して前記第1の条導体と電気接続されているかどうかチェックするために照会ロジック(146,174)を含んでいる、請求項11に記載の文書。
【請求項13】
前記回路および/または前記表示装置への電圧供給は前記糸の一区域を介して行われる、請求項11に記載の文書。
【請求項14】
前記糸により前記配線板の1つまたは複数の別の条導体(140)を介してブリッジ(156,158)が形成される、請求項10から13のいずれか1項に記載の文書。
【請求項15】
前記別の条導体は前記表示装置を制御するための行または列の配線である、請求項14に記載の文書。
【請求項16】
前記電子回路および前記回路を担持する前記配線板の前記第2の区域は表紙の見返し(152)に配置されている、請求項1から15のいずれか1項に記載の文書。
【請求項17】
前記個人化ページは製本によって表紙と結合されており、前記フレキシブル配線板は製本部を介して、または製本部を通って延びている、請求項1から16のいずれか1項に記載の文書。
【請求項18】
表示装置(116)、及び、当該表示装置と接触する、個人化ページから突き出す領域(124)を有するフレキシブル配線板(120)を備える個人化ページ(106)を製作し、
表紙に前記領域を取り付け、表紙に前記個人化ページを旋回可能に取り付ける
文書を製造する方法であって、
前記個人化ページから突き出した前記領域は前記表示装置を制御するための電子回路(138)を有する
方法。
【請求項19】
次の別のステップを有しており、すなわち、
縫合部(136)によって前記個人化ページを1つまたは複数の内側枚葉紙と結合し、このとき前記縫合部は前記配線板を通って延びている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記縫合部の糸は導電性であり、前記配線板に配置された少なくとも第1および第2の電気コンポーネントまたは電子コンポーネント(166,168,170)が前記糸によって相互に接触する、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−521153(P2013−521153A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555370(P2012−555370)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052815
【国際公開番号】WO2011/107402
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(599147447)ブンデスドルケライ ゲーエムベーハー (21)
【氏名又は名称原語表記】BUNDESDRUKEREI GMBH
【Fターム(参考)】