説明

表面にパターンを有するボードを製作する装置及びその方法

【課題】 生産の速度が速く、ボードに応力が残留しない表面にパターンを有するボードを製作する装置及びその方法を提供する。
【解決手段】 基材供給装置10は、溶融状態を呈し、幅が一定した基材22を提供する。冷却器20は、基材22を固体に冷却させる。表面層供給装置24は、基材22に溶融状態の表面層26を提供する。複数個のローラー30及びローラー32は、表面層供給装置24の後方に装着され、基材22と表面層26を押し、そのうちの一つのローラー30は表面に表面層26の表面にパターンを形成するための模様を有する。裁断装置36は、ローラー30及びローラー32の後方に装着され、基材22と表面層26を裁断し、複数個の表面にパターンを有するボードを製作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具機関に関し、詳しく言えば、表面にパターンを有するボードを製作する装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知の複合材料による成形方法は、押出し(extrusion)、射出成形(injection molding)及び圧縮成形(compression molding)などの方法を含む。
一般的によく使われている成形法は射出成形法であり、その主なステップは、粉末または顆粒状のプラスチック原料を噴射器(injector)に送入し、噴射器の中でプラスチック原料を加熱、溶融してから、ノズル(nozzle)により型の穴に注入し、冷却させた後、型を開けると、所定の形状のユニットが完成することである。射出成形法の特徴は、構造が複雑または微細であるユニットを成形できることである。しかし、大型のユニットを成形する場合、型にかかるコストを増加させ、ユニットの中に応力が残留する問題がある。
【0003】
表面にパターンを有するプラスチック板(例えば、バックライトの光誘導板)を製作する場合、まず押出し法によりボードを成形し、続いて、ローラーによりボードの表面にパターンを成形する。このような方法は、射出成形法と比べてみると、生産の速度が比較的速く、ボードに応力が残留することがない長所がある。図3に示すように、プラスチック材料70が二つのローラー72とローラー74との間を経て押される時、ローラー72における模様721により材料70の表面にパターン701が形成される。材料70の中心の温度が表面より高いため、温度差により生じる応力Tはパターン701の斜度を緩める。したがって、構造がかなり細かいパターンを成形する場合、ローラーによる方法は所定の表面輪郭を成形することができない。
【0004】
最も有効な解決法は、材料に作用するローラーの圧力を増加させ、使用する際に二つのローラーの間の距離を縮小することである。しかし、基材が一定の厚さに設定される(大部分の基材にこのような制限がある)場合、この方法は上述の問題を解決できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、生産の速度が速く、ボードに応力が残留することがない表面にパターンを有するボードを製作する装置及び方法を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、ボードのパターンに所定の表面輪郭を形成可能である表面にパターンを有するボードを製作する装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明による表面にパターンを有するボードを製作する装置は、基材供給装置、冷却器、表面層供給装置、ローラー装置及び裁断装置を備える。基材供給装置は溶融状態の基材を提供し、冷却器は基材を固体に冷却させる。表面層供給装置は基材に溶融状態の表面層を提供し、ローラー装置は基材と表面層を押すと同時に表面層の表面にパターンを形成する。裁断装置は基材と表面層を裁断し、複数個のボードを製作する。
【0007】
また、本発明による表面にパターンを有するボードを製作する方法は、下記のステップを含む。
a)溶融状態の基材を提供する。
b)基材を成形する。
【0008】
c)基材を冷却させる。
d)冷却した基材に溶融状態の表面層を提供する。
e)ローラーにより表面層と基材を押し、表面層の表面にパターンを形成する。
f)ローラーにより押された表面層と基材を裁断する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の構造と特徴を実施例と図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の一実施例による表面にパターンを有するボードを製作する装置は、基材供給装置10、冷却器20、表面層供給装置24、ローラー装置及び裁断装置36を備える。
【0010】
基材供給装置10は、固化した長い形状の基材22を提供し、周知の押出し器(extruder)12と三つのローラー14、ローラー16及びローラー18を有する。押出し器12は、ポリカーボネート(Polycarbonate、PC)、ポリメタクリル酸メチル(Polymethyl Methacrylate、PMMA)、環状オレフィン重合物(Cyclic Olefins Polymer、COP)または環状オレフィン共重合物(Cyclic Olefins Copolymer、COC)などの溶融状態のプラスチック材料を提供する。ローラー14、ローラー16及びローラー18は、押出し器12の出口に装着され、押出し器12からのプラスチック材料を押す。プラスチック材料は、ローラーにより押された後、一定の形を保ち、一定の幅を有する連続基材22を形成する。
【0011】
冷却器20は、本実施例では、輸送装置としてローラー14、ローラー16及びローラー18により押された基材22を受ける。輸送装置20の温度(約60℃から90℃の間)はローラー14、ローラー16及びローラー18の温度(約80℃から150℃の間)より低いため、ローラー14、ローラー16及びローラー18により押された基材22を固体(或いは固体に近い状態)に冷却させることが可能である。
【0012】
表面層供給装置24は、輸送装置20の末端に装着され、基材22に溶融状態の表面層26を提供する。本実施例では、表面層供給装置24は、周知の押出し器(extruder)である。表面層26の厚さは、基材22の厚さより薄い。表面層26は、コーティング(coating)またはプリント(printing)などの方法により基材22の上に設けられる。
【0013】
ローラー装置は、二つのローラー30とローラー32とを有し、輸送装置20の後方に装着され、基材22と表面層26を押す。表面層26に対応するローラー30は、表面に模様34を有することで、表面層26の表面を押すと同時にパターン28を形成する。二つのローラー30とローラー32の温度は、輸送装置20の温度より高く、約80℃から150℃の間である。
【0014】
図2に示すように、基材22と表面層26が二つのローラー30とローラー32との間を経る場合、基材22は固体の状態(固体に近い状態)を呈するため、剛体(rigid body)と考えられる。実際にローラー30とローラー32により押される部位は、ローラー30と基材22との間に位置する表面層26である。剛性の基材22はローラー32の延伸部と考えられるため、表面層26はローラー30と基材22により押されると考えられる。言い換えれば、二つのローラー30とローラー32との間の距離dをローラー30と基材22との間の距離d1に縮小すれば、表面層26に比較的大きい圧力を提供できるだけでなく、表面層26におけるパターン28が所定の輪郭に近い形になる。
【0015】
二つのローラー30とローラー32により押された基材22と表面層26は、裁断装置36により裁断され、長さが一定して表面にパターンを有する複数個のボード(図中未表示)を形成する。
【0016】
基材22と表面層26は、同材質または不同材質から構成されるため、ボードに所定の光学特性または機械特性を持たせることが可能である。また、溶融状態の表面層を基材の両側(図中未表示)に設け、且つ二つのローラーに模様(図中未表示)を有することで、二つの表面層にパターン(図中未表示)を形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例による表面にパターンを有するボードを製作する装置を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施例による表面にパターンを有するボードを製作する装置のローラー装置が基材と表面層を押す状態を示す模式図である。
【図3】周知のローラー装置がプラスチック材料を押す状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0018】
10 基材供給装置、12 押出し器、14 ローラー、16 ローラー、18 ローラー、20 冷却器(輸送装置)、22 基材、24 表面層供給装置、26 表面層、28 パターン、30 ローラー、32 ローラー、34 模様、36 裁断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融状態を呈し、幅が一定した基材を提供する基材供給装置と、
基材を固体に冷却させる冷却器と、
基材に溶融状態の表面層を提供する表面層供給装置と、
表面層供給装置の後方に装着され、基材と表面層を押す複数個のローラーであって、そのうちの一つのローラーの表面に表面層の表面にパターンを形成するための模様を有する複数個のローラーと、
ローラー装置の後方に装着され、基材と表面層を裁断し、複数個の表面にパターンを有するボードを製作する裁断装置と、
を備えることを特徴とする表面にパターンを有するボードを製作する装置。
【請求項2】
基材供給装置は、溶融状態の基材を提供する押出し器と若干のローラーとを有することで、基材を押すことを特徴とする請求項1に記載の表面にパターンを有するボードを製作する装置。
【請求項3】
冷却器は、基材を輸送するローラー装置から構成される輸送装置を有することを特徴とする請求項1に記載の表面にパターンを有するボードを製作する装置。
【請求項4】
基材と表面層を押すローラーの温度は、冷却器の温度より高いことを特徴とする請求項2に記載の表面にパターンを有するボードを製作する装置。
【請求項5】
基材と表面層を押すローラーの温度は、冷却器の温度より高いことを特徴とする請求項1に記載の表面にパターンを有するボードを製作する装置。
【請求項6】
基材の厚さは、表面層の厚さより厚いことを特徴とする請求項1に記載の表面にパターンを有するボードを製作する装置。
【請求項7】
溶融状態の基材を提供するステップと、
基材を成形するステップと、
基材を冷却させるステップと、
冷却した基材に溶融状態の表面層を提供するステップと、
ローラーにより表面層と基材を押し、表面層の表面にパターンを形成するステップと、
ローラーにより押された表面層と基材を裁断するステップと、
を含むことを特徴とする表面にパターンを有するボードを製作する方法。
【請求項8】
基材は、ローラーにより押す方法で成形されることを特徴とする請求項7に記載の表面にパターンを有するボードを製作する方法。
【請求項9】
表面層は、押出し(extrusion)、コーティング(coating)またはプリント(printing)などの方法により基材の上に設けられることを特徴とする請求項7に記載の表面にパターンを有するボードを製作する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融状態を呈し、幅が一定した基材を提供する基材供給装置と、
基材を固体に冷却させる冷却器と、
基材に溶融状態の表面層を提供する表面層供給装置と、
表面層供給装置の後方に装着され、基材と表面層を押す複数個のローラーであって、そのうちの一つのローラーの表面に表面層の表面にパターンを形成するための模様を有する複数個のローラーと、
ローラー装置の後方に装着され、基材と表面層を裁断し、複数個の表面にパターンを有するボードを製作する裁断装置と、
を備えることを特徴とする表面にパターンを有するボードを製作する装置。
【請求項2】
基材供給装置は、溶融状態の基材を提供する押出し器と若干のローラーとを有することで、基材を押すことを特徴とする請求項1に記載の表面にパターンを有するボードを製作する装置。
【請求項3】
冷却器は、基材を輸送するローラー装置から構成される輸送装置を有することを特徴とする請求項1に記載の表面にパターンを有するボードを製作する装置。
【請求項4】
基材と表面層を押すローラーの温度は、冷却器の温度より高いことを特徴とする請求項2に記載の表面にパターンを有するボードを製作する装置。
【請求項5】
基材と表面層を押すローラーの温度は、冷却器の温度より高いことを特徴とする請求項1に記載の表面にパターンを有するボードを製作する装置。
【請求項6】
基材の厚さは、表面層の厚さより厚いことを特徴とする請求項1に記載の表面にパターンを有するボードを製作する装置。
【請求項7】
溶融状態の基材を提供するステップと、
基材を成形するステップと、
基材を冷却させるステップと、
冷却した基材に溶融状態の表面層を提供するステップと、
ローラーにより表面層と基材を押し、表面層の表面にパターンを形成するステップと、
ローラーにより押された表面層と基材を裁断するステップと、
を含むことを特徴とする表面にパターンを有するボードを製作する方法。
【請求項8】
基材は、ローラーにより押す方法で成形されることを特徴とする請求項7に記載の表面にパターンを有するボードを製作する方法。
【請求項9】
溶融状態の表面層は、基材の反対の両側に設けられることを特徴とする請求項7に記載の表面にパターンを有するボードを製作する方法。
【請求項10】
表面層は、押出し(extrusion)、コーティング(coating)またはプリント(printing)などの方法により基材の上に設けられることを特徴とする請求項7に記載の表面にパターンを有するボードを製作する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−248125(P2006−248125A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70393(P2005−70393)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(503003050)輔祥實業股▲分▼有限公司 (5)
【Fターム(参考)】