説明

表面カバー装置

【課題】本発明は、摩擦を低減し、且つカバーを表面に対し、その周囲の大部分にわたって強固に取り付けることが可能な、自動化可能な表面カバー装置を提供する。
【解決手段】本発明のカバー装置(1)は、(a)回転自在に取り付けられ、且つカバー(10)の巻き取り又は巻き出しが可能なドラム(2)であって、前記表面(3)の両側に提供されたレール(6)を含む長手方向並進機構に取り付けられたドラム(2);(b)ドラムの並進及び回転(2)によってカバー(10)の巻き取り/巻き出しが被覆表面(3)の上方で起こるように、前記カバー(10)を被覆表面(3)の横断方向端部(27)に取り付けるためのシステム(8);(c)カバー(10)の長手方向縁部を前記レール(6)に連続的に係止するためのシステム(11)であって、巻き出し動作中、徐々に互いに嵌合する、システム(11)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い易く、関連する用途の要求を最大限に満たす表面カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カバーは表面に対し、そうした表面の性質に応じた理由によって適用される。
【0003】
従って、水泳プールなどの水槽の場合、カバーによって木の葉又は動物による汚濁を防止することができ、エネルギー、水及び試薬を節減することができ、且つ人、特に子供の安全を確保することができ、又は確保しなければならない。脱塩又は他の流体処理用の水槽では、カバーによって雨による液体の希釈又は熱による過度の蒸発を防止することが可能となる。
【0004】
屋外のクレー又は芝生テニスコートなどの運動競技場に関しては、カバーによってそれを悪天候、特に断続性の雨から保護することが可能となる。
【0005】
さらに、車体が覆われ、これは特に、車両が動くことによって引き起こされる圧力降下による負荷(suction loading)の安定性を確保したり、車両を悪天候から保護したりするために行われる。
【0006】
カバーはまた、内部の過熱を防止するための温室、冬園又は車両窓用のブラインドとして、及びテラスの庇用の日除けとしても用いられる。
【0007】
いずれの場合にも、使用者は、通常、カバーの着脱を容易に、安全に、再現性のある形で、且つ手早く行うことが可能であるとともに、人の介入を最小限しか必要としない、経済的なカバー装置を求める。
【0008】
水泳プールの場合に用いられる第1の全くの基本となる装置は、手動で巻き出され、拡げられて、水泳プールの縁部に取り付けられる膨張式又は非膨張式カバーを含む。このタイプの装置は、例えば、文献の米国特許第6,691,334号、英国特許第2 379 163号及び仏国特許第2 652 373号に説明されている。ここでは、取扱い及び保管の点から、関係するのは相当に小さいサイズの水泳プールのみであることは明らかである。
【0009】
より大きい寸法の表面については、被保護表面の横断方向端部の一方に取り付けられたドラムをさらに有するカバー装置を利用することが可能である。このカバーは、表面を覆うために、引っ張ってドラムから巻き出すことにより手動で展開される。カバーの重量及び寸法から、適切に設置するには数人の介入が必要となる。このカバーは、ドラムを回転させてドラムに巻き取ることによって取り込まれる。カバーは、表面上を摺動させることによって表面から取り込まれる。カバーを取り込むためのドラムの回転は、手動で行われるか、又は完全に展開されているカバーを引き込むのに十分なパワーを有する電気モータによって行われる。特に水泳プールの場合には、操作が面倒であるとカバーの利用が抑制され得るため、カバーの展開の容易さはその安全性に寄与することが強調されるべきである。
【0010】
本願において、「長手方向」、「横断方向」及びそれらの派生語は、それぞれドラムの移動方向及びドラムの回転軸の方向を指す。
【0011】
人の介入をなくすため、(完全)自動装置が提案されている。カバーは、それを取り込むことのできる電動式ドラムに巻き取られ、ドラムは、被保護表面の横断方向端部の一方に取り付けられている。カバーの展開は、ラック若しくはチェーンタイプ又はアイドラプーリがあっても、若しくはなくてもよい牽引ケーブルの自動牽引手段により、カバーを、その露出している端部を介して引っ張ることにより行われ、必要であれば、被覆表面の長手方向端部に配置されたランナー(runners)により、カバーを案内することができる。こうしてカバーは、表面を覆いながら表面上を摺動する。同様に、カバーを取り込むときにも、カバーはドラムに巻き取られながら、被覆表面上を摺動する。この自動カバー装置は、特に以下の文献:米国特許第3,574,979号、英国特許第2 199 741号、米国特許出願公開第2005/0097834号、加国特許第2,115,113号、米国特許出願公開第2001/0023506号、米国特許第5,930,848号、米国特許第4,001,900号及びサイトwww.aquatop.be上に説明されている。
【0012】
上述した2つのタイプのドラム付きカバー装置は、カバーを摺動させるという大きい欠点を有し、カバーがその展開中及びその取込み中に被保護表面上で引き摺られるため、摩耗が早まったり、それにより発生する摩擦のために余分な労力が生じたりする。
【0013】
この欠点を軽減するため、新規のタイプのドラム付きカバー装置が開発されており、ここで電動式ドラムは長手方向並進機構に取り付けられる。長手方向並進機構が被覆表面の上方でドラムを動かすため、カバーを展開するときは、ドラムが長手方向に移動する間に同時にカバーをドラムから巻き出すことで、文字通りカバーを表面上に「載せる」ことが可能となり、次にカバーを取り込むときは、ドラムが長手方向に移動する間に同時にカバーをドラムに巻き取ることで、カバーを持ち上げることが可能となる。従って、カバーがその展開中及びその取込み中に表面上を摺動することはない。カバー装置はまた、ドラムの並進及び回転によってカバーの巻き出し又は巻き取りが被覆表面の上方で起こるようにカバーを被覆表面の一方の横断方向端部に取り付けるためのシステムも含む。
【0014】
このタイプの自動装置の例が、例えば以下の文献:国際公開第2005/026473号、仏国特許第2 900 951号、独国特許第2 257 231号、仏国特許第2 893 651号、仏国特許第2 789 425号、仏国特許第2 743 502号、欧州特許第1 719 858号、及びサイトwww.kimbay.fr上に開示されている。さらに、長手方向に並進するように取り付けられたドラムの完全に手動の変形例が、文献の国際公開第2007/036625号及び米国特許第4,195,370号に説明されている。
【0015】
上記に説明した可動ドラム付きカバー装置は、カバーの横断方向縁部と被覆表面の横断方向端部との1つの取付けしか提供せず、カバーの反対側の縁部はドラムに連結されたままである。また、カバーの長手方向縁部には取付けシステムは提供されない。特に、水泳プールの場合、カバーに上がり込んだ人はその長手方向縁部によっては支えられず、水中に投げ出され得る。さらに、カバーはその長手方向縁部の密閉性が不十分であり、水泳プールへのネズミやヘビなどの小動物の侵入を助長し得る。
【0016】
別の可動ドラム付き自動装置が、文献の仏国特許第2 803 769号に開示されている。この特許は、対照的に、カバーの長手方向縁部を取り付けるための、格子セクションからなるシステムを提供し、カバーが巻き出されるに従い、徐々にセクションを持ち上げ、次にカバーの前記長手方向縁部上にセクションを一つずつ下ろすとともに、それらの縁部を溝の内側に保持する。この設計では、カバーの長手方向縁部は係止されることなく挟持されるため、特に水泳プールの場合には安全性が低くなる。
【0017】
車体カバーの分野では、カバーシートの長手方向縁部は、車両が高速で進むときに開かないよう、車体の周囲に固定的に取り付けられなければならない。
【0018】
同様に、温室若しくは冬園のブラインド(特に屋外ブラインド)、又は脱塩槽のカバーは、ときに非常に強いこともある突風に耐えなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従って、摩擦を低減し、且つカバーを表面に対し、その周囲の大部分にわたって強固に取り付けることが可能な、自動化可能な表面カバーシステムが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の目的は、使い易く、且つ、特に水泳プールの場合に、より高い安全性、より高い安定性、及びより良好なカバーの密閉性を達成することができるように、カバーの縁部を被覆表面に対し、その周囲の大部分にわたって取り付けることが可能な表面カバー装置を提供することである。
【0021】
本発明は、主請求項に定義されるとおりであり、特に、
表面のカバー装置であって、
(a)カバーの巻き取り又は巻き出しが可能な回転自在に取り付けられたドラムであって、表面の両側に配置されたレールを含む長手方向並進機構に取り付けられており、前記レールの各々が、その端面のうちの1つに開口部を有する異形材からなるドラムと、
(b)ドラムの並進及び回転によって被覆表面の上方でカバーの巻き出し/巻き取りが起こるように、前記カバーを表面の一方の横断方向端部(横断方向に延びる端部)に取り付けるためのシステムと、
(c)カバーの長手方向縁部(長手方向に延びる端部)を前記レールに連続的に係止するためのシステムであって、カバーが巻き出されるに従い徐々に互いに係合する、システムと、
を含み、
前記連続的に係止するための係止システムにおいて、
(i)前記レールのうちの少なくとも1本が、前記開口部を両側で部分的に閉鎖するフランジを含み、
(ii)前記カバーが、少なくとも1つの異形材を含み、その異形材が、カバーによって定義される平面から張り出し、且つカバーの長手方向縁部の少なくとも1つに沿って、前記縁部からある距離のところまで延在しそれによりリップを形成しており、
(iii)カバーが巻き出されるときレールに係止されるように、レールのフランジによって形成される開口部に前記異形材を係合することを可能にする係合手段が提供される、
ことを特徴とする、カバー装置を含む。
【0022】
本発明の利点は、このカバー装置が自動化可能であり、且つカバーの巻き出し中、同時にカバーを敷く(従って、カバーを摺動させない)こと、及びその周囲の大部分にわたり強固且つ連続的に取り付けることが可能となることである。
【0023】
好ましい実施形態に従えば、カバー装置は、例えば、水泳プール、水の貯留層、処理層又は脱塩層などの、液体が満水の、又は満水でない水槽、テニスコート又はクリケット競技場などの運動競技場、トラック又は貨物トレーラなどの車体、温室、冬園又は車両窓(電車、バス等)などのガラス張りの表面など多くの表面を被覆するのに好適である。
【0024】
この実施形態の一つの利点としては、このカバー装置は、例えば悪天候、圧力降下又は他のあらゆる過負荷によりカバーが大きい応力を受ける場合にも、カバーを所定位置に保つ能力が高いため、多くの屋外用途に用いることができることである。
【0025】
別の有利な実施形態に従えば、カバー装置は、カバーが巻き出されるときにカバーに対して横断方向引張応力を加えるための手段を含み、前記応力は、カバーを前記レールに係止する間にわたり維持される。水泳プールの場合におけるこの実施形態の一つの利点は、張力下におかれたカバーが、その展開状態において僅かな撓みを有するため、水面とカバーの中央との間に安全距離を維持することが可能なことである。この安全距離により、カバーの下に入った遊泳者が十分に呼吸することが可能となる。この距離はまた、空気断熱のクッションも作り出すため、特に半透明又は透明カバーの場合に、水泳プールの水を温めることのできる温室効果を生じさせることが可能となる。横断方向張力を加えることにより、水泳プールの2つの横断方向縁部の間の6mの幅に対して6〜8cm程度の撓みをもたせることが可能である。
【0026】
加えて、緊張したカバーは外観上、より魅力的であり、表面に溜まった水がはけ易く、従って表面をより長い時間にわたり清浄に保つことが可能となる。最後に、カバーを実質的に水平面状にすることによる張力は、それによりカバーの、例えば人の重量に耐える能力が増すため、人がカバーにアクセスし易くなり、カバーの保守作業(清掃、高圧洗浄等)が容易となる。
【0027】
有利には、本発明に係るカバー装置は、カバーが巻き出されるとき、カバーに対して長手方向引張応力を加えるための手段を含む。その利点は、横断方向張力に関するものと同様である。これらの2つの張力が組み合わされば、利点は高まる。
【0028】
カバー装置の長手方向並進機構は、有利には、前記レールに取り付けられたラックシステム又は牽引ケーブル又はチェーンを含む。それらは、有利には並進キャリッジによってドラムに取り付けられる。
【0029】
長手方向並進機構は手動で作動されてもよいが、別の実施形態に従えば、システムを少なくとも部分的に自動化するための少なくとも1つのモータを含み、これは、比較的大きいサイズのカバーの場合に特に有利である。例えば水泳プールに関しては、自動化によって安全性が左右される。これは、取扱い作業が煩雑であれば、毎回カバーの展開が必要になるたびに、使用者は展開することを躊躇してすぐに止めてしまうであろうためである。
【0030】
別の実施形態に従えば、本発明のカバー装置は、各レールについて、レール閉鎖ストリップを含むシステムを含み、このストリップはレールに挿入され、ひいてはカバーがドラムに巻き取られるに従い、徐々にレールの開口部を塞ぐ。このストリップの目的は、例えば水泳プールにカバーがかけられていない場合に、遊泳者がレールに接触して負傷するのを防止することである。さらに、水泳プールにカバーがないときに前記ストリップによってレールを閉鎖すると、レールが清浄に保たれる。
【0031】
さらに、本発明に係る装置のカバーは、例えばフラップにより塞ぐことのできるハッチを形成する開口部を含んでもよい。このフラップは、カバーの片側又は両側で動かすことのできるジップファスナーか、又は自己グリップ式ストリップ(self-gripping strip)によってカバーに連結される。この手段は、例えば、展開したカバーの下に入った遊泳者用の安全出口として機能する。
【0032】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、本発明の特定の実施形態の詳細な説明において明らかとなり、図面の図が参照される:
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】動いているドラムを伴う表面の概略斜視図である。
【図2】本発明の係止システムの好ましい変形例の断面である。
【図3】本発明に係る別の好ましい変形例の斜視図である。
【図4】本発明の装置の別の実施形態の斜視図であり、安全用アイレット及びアイボルトをさらに含む。
【図5】本発明に係る装置の追加的な実施形態の斜視図であり、ドラムの並進を可能にするラックとして用いられる2本の可撓性ベルトを含む。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1に示されるとおり、本発明に係る表面(3)の自動カバー装置(1)は、前記表面(3)を保護するように設計されたカバー(10)を含む。装置(1)は、特に、水泳プール、水処理槽、廃水浄化ステーション、貯留槽、脱塩ステーション等の水槽の輪郭によって定義される表面の被覆を可能とする。しかしながら、本発明は、例えば、クレー又は芝生テニスコート、車体、温室か、電車若しくはバスなどの車両の窓か、又は冬園のガラス張りの表面等、表面の被覆を必要とするいかなる分野においても使用することができる。従って、概して本願において「表面」とは、周囲によって画定される任意の領域を意味する。
【0035】
装置(1)は、少なくともカバー(10)の幅に等しい長さを有するドラム(2)を含み、カバー(10)は、それが展開したとき、被保護表面(3)の全体を被覆するのに十分な幅及び長さを有しなければならない。ドラム(2)は、前記表面(3)の両側に配置されたレール(6)を含む長手方向並進機構に取り付けられている。ドラム(2)は2つの回転方向を有する。第1の回転方向により、ドラム(2)がカバー(10)を巻き出してそれを展開し、被保護表面(3)を被覆することが可能となり、及び第2の回転方向により、ドラム(2)がカバー(10)を巻き取ってそれを取り込み、前記表面(3)へのアクセスが可能となる。
【0036】
装置(1)はまた、被覆表面の一方の横断方向端部に位置する固定システム(8)も含み、これによりドラム(2)が並進及び回転する間、被覆表面(3)の上方でカバーの巻き出し/巻き取りを行うことが可能となる。この目的上、用途に従う応力及び安全性の基準を満たすいかなるタイプの公知の固定システムを使用してもよい。例えば、固定システム(8)は、カバー(10)の横断方向端部に連結された複数のストラップを含んでもよく、前記ストラップは、例えば係留フックを備えており、それらの係留フックが被覆表面(3)を画定する輪郭の横断方向部分に取り付けられる。或いは、カバーの取付け用端部がアイレットを備えることも可能であり、それらのアイレットが、一連のアイボルト、ねじ、ケーブル又は任意の他の手段を用いて表面の横断方向縁部に取り付けられる。これらの係留手段がカバー(10)の横断方向端部を動かないように保つため、カバー(10)に長手方向引張り力を生じさせることが可能であり、且つ必要であれば、ドラム(2)が表面(3)を被覆するため動くときに、モータなしでカバー(10)を巻き出すことが可能となる。
【0037】
カバーは、当該の用途に好適ないかなる材料で作製されてもよい。合成又は天然材料、ポリマーフィルム、ポリマー製、金属製又は木材製の小幅板等。カバーは、透明であっても、不透明であっても、又は半透明であってもよく、及び流体の遮断層を形成しても、又は逆に多孔質であってもよく、さらにはネットにあるような網目を含んでもよい。
【0038】
長手方向張力は、カバーの展開中、単純にドラムの回転によってカバーを巻き出す速度をドラムの長手方向並進速度より確実に遅くすることによるか、又はドラムを回転させるシステム内のブレーキ若しくはバネを介するか、又はドラムの回転及び並進動作とは別の電動式制御装置によって、カバーに加えられ得る。水泳プールなどの空洞を含む表面を被覆する場合、これらの2つの速度が同期すれば、それ自体の重量によって生じる張力以外には張力がない状態でカバーが展開される。
【0039】
カバーはまた、その表面に溜まった任意の流体を取り除き、ひいては取り扱いを容易にすることが可能な排水手段を備えてもよい。
【0040】
本発明の主題である装置(1)は、カバー(10)の長手方向縁部をレール(6)に連続的に係止するためのシステム(11)であって、カバーが巻き出されるに従い徐々に互いに係合し、且つカバーが巻き取られるに従い徐々に係合が外れる、システム(11)を含む点が、注目に値する。例として、図2及び図3に本発明に係る可逆的な係止システムを示し、これは以下を含む:
(a)異形材であって、端面の一つに外向きの開口部(14)を有し、且つ両端に前記開口部(14)を部分的に閉鎖するフランジを含む異形材からなる少なくとも1本のレール(6);
(b)好ましくは実質的に「I」、「L」又は「T」字型の少なくとも1つの異形材(12)であって、カバー(10)によって定義される平面から張り出し、且つカバー(10)の長手方向縁部の少なくとも1つに沿って、前記縁部からある距離のところで延在し、それによりリップ(13)を形成する異形材(12)を含むカバー(10);
(c)前記異形材(12)をレール(6)のフランジによって形成される開口部に係合し、且つカバー(10)がレール(6)と係止するようにカバーの自由端リップ(13)をフランジの一方の下に摺動させることを可能にする係合手段(15)。
【0041】
この係止システムにより、異形材(12)及びリップ(13)の自由端をレール(6)の開口部(14)に摺動させ、それによりカバー(10)の対応する長手方向縁部を前記レール(6)に連続的に捕捉し、従って取り付け、及びレール(6)により、例えば圧力降下又は重力に起因して極めて高い機械的応力がかかる場合にも、カバー(10)を被覆表面(3)の上方に保つことが可能となる。水泳プールの場合には、カバーに(許可を受けて、又は許可無しに)アクセスがあった場合の安全性を提供する。係止システムの強度は、用いる材料に応じて、好ましくは5〜10kN/m(500〜1000kg/m)の範囲にある。
【0042】
本発明に係るカバー装置(1)の係止システム(11)において、前記異形材(12)をレール(6)に係合することを可能にする手段(15)は、好ましくは、リップ(13)をレール(6)のフランジの下に押し込む少なくとも1つのワインダ(winder)又はガイドを含む。それらの手段により、カバーの縁部における摩擦が低下し、従ってリップ(13)の摩耗が少なくなり、且つエネルギーの吸収が少なくなることにより、本発明の装置をより経済的に利用することが可能となる。
【0043】
本発明に係るカバー装置(1)の係止システム(11)において、係合手段(15)は、有利には、係止動作中のカバー(10)に対し、レール(6)の方向に対して横断方向に引張応力を加える少なくとも1つのワインダ又は1つの張力調整ガイドを含む。この変形例により、撓みを低減するため、カバー(10)に横断方向の張力を加えることが可能となる。前記ワインダは、好ましくは、1本以上のレール(6)に係合される前記リップ(13)を含む長手方向縁部の少なくとも1つに沿って延在する当接ビード(16)に押し当てられる。
【0044】
本発明に係るカバー装置(1)の係止システム(11)において、長手方向並進機構は、有利には、前記係合手段(15)と連動するように取り付けられた駆動歯車(9)の噛み合いを可能にし、且つそれらの少なくとも1本のレールに沿った並進を可能にするラック(7)を含む。従ってラック及び関連する駆動歯車により、摺動のない並進移動が確実となる。有利には、本発明に係る装置(1)は、被覆表面(3)の両側に配置されたラック(7)を含み、それにより長手方向並進機構の動きの同期が促進される。ラック(7)は、例えば、カバー装置が嵩高くなるのを抑えるため、レール(6)の底面に配置されても、又は通常どおりレール(6)の外側に配置されてもよい。特に有利な形では、ラック(7)は、歯車(9)の周囲の大部分を被覆する可撓性ベルトの形態を有してもよく、それにより摺動の点で特に確実な噛み合いが確保される。カバー(10)がドラム(2)に取り付けられる場合、上述されるワインダ又は当接ビード及び歯車は、好ましくは並進キャリッジ(21)を介して、ドラムと一体化して取り付けられる。
【0045】
本発明のカバー装置は、有利には、連続的な係止システム(11)と平行に、離散的な安全システムを含む。安全システムは、図4に見ることができ、例えば、被覆表面(3)の両側で、その長手方向縁部(27)の各々と連続的な係止システム(11)の対応するレール(6)との間に配置されたアイボルト(17)を含む。アイボルト(17)は、カバー(3)が巻き出されるに従い、カバー(3)の長手方向縁部に沿って配置された対応するアイレット(18)に徐々に挿入される。このアイボルト(17)とアイレット(18)との組み合わせは、少なくとも1つのリップ(13)が全く偶発的にそのレール(6)から外れた場合におけるカバー(10)の保持に最大限の安全性をもたらす。
【0046】
本発明に係るカバー装置において、アイボルト(17)は、有利には、銛形又は係留柱形などの、その形状によって対応するアイレット(18)を保持することが可能となる連結ヘッドを備える。
【0047】
図5は、本発明の好ましい実施形態を示し、ここで前記並進キャリッジ(21)は、
(a)ラック(7)を形成する2本の可撓性ベルトであって、それらの端部(35)の各々でのみ被覆表面(3)の四隅に取り付けられ、且つ被覆表面(3)の2つの周辺長さに沿って配置された可撓性ベルト;
その端部の各々に取り付けられた:
(b)駆動歯車(9)であって、その回転軸が前記ドラム(2)の回転軸と平行な駆動歯車(9);
(c)被覆表面(3)に直接隣接して表面上に載置され、且つキャリッジ(21)の長手方向並進を可能にする少なくとも2つのワインダ(33)であって、駆動歯車(9)の両側に取り付けられ、駆動歯車(9)と共に三角形を形成して、その三角形の頂点を形成するワインダ(33)、
を含み、
可撓性ベルト(7)の取付け点(35)とワインダ(33)との間に含まれる各可撓性ベルト(7)のセクション(7a)が、被覆表面の周辺の長さに押し当てられ、及び少なくとも2つのワインダ(33)の間に含まれる各ベルトのセクション(7b)が、摺動することなく駆動歯車(9)を被覆する。この実施形態の利点は、可撓性ベルトが、その駆動歯車(9)によるキャリッジ(21)の動きを可能にするラック(7)を形成することであり、ここでラック(7)は、特に確実な係合を確保するため、すなわちベルト(7)が駆動歯車(9)の周囲を滑らないために十分に大きい角度にわたり駆動歯車(9)を被覆して緊密に取り囲み、これはドラム(2)をその所定の軌道に保つことに役立つ。1本又は複数のレール(6)は、単に明確にするため図示していない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面(3)のカバー装置(1)であって、
(a)カバー(10)の巻き取り又は巻き出しが可能な回転自在に取り付けられたドラム(2)であって、前記表面(3)の両側に配置されたレール(6)を含む長手方向並進機構に取り付けられており、前記レール(6)の各々が、その端面のうちの1つに開口部(14)を有する異形材からなる、ドラム(2);
(b)前記ドラム(2)の並進及び回転によって前記被覆表面(3)の上方で前記カバー(10)の巻き出し/巻き取りが起こるように、前記カバー(10)を前記表面(3)の一方の横断方向端部に取り付けるためのシステム(8);
(c)前記カバー(10)の長手方向縁部を前記レール(6)の前記開口部(14)に連続的に係止するためのシステム(11)であって、前記カバー(10)が巻き出されるに従い徐々に互いに係合し、且つ前記カバー(10)が巻き取られるに従い徐々に係合が外れるシステム(11)、
を含み、
前記連続的に係止するための係止システム(11)において、
(i)前記レール(6)のうちの少なくとも1本が、前記開口部(14)を両側で部分的に閉鎖するフランジを含み;
(ii)前記カバー(10)が、少なくとも1つの異形材(12)を含み、当該異形材(12)が、前記カバー(10)によって定義される平面から張り出し、且つ前記カバー(10)の長手方向縁部の少なくとも1つに沿って、前記長手方向縁部からある距離のところで延在しそれによりリップ(13)を形成しており;
(iii)前記カバー(10)が巻き出されるとき前記レール(6)に係止されるように、前記レール(6)の前記フランジによって形成される前記開口部(14)に前記異形材を係合することを可能にする係合手段(15)が提供される、
ことを特徴とする、カバー装置(1)。
【請求項2】
前記被覆表面(3)が、水泳プール、水の貯留槽、処理槽又は脱塩槽などの、液体が満水の、又は満水でない水槽;テニスコート又はクリケット競技場などの運動競技場;車体、ガラス張りの表面、例えば、温室、冬園又は車両窓から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記連続的な係止システム(11)の前記係合手段(15)が、前記カバー(10)が巻き出されるとき、前記カバー(10)に対して横断方向引張応力を加えるための手段を含み、前記応力が、前記カバー(10)を前記レール(6)の少なくとも1つに係止している間にわたり維持される、請求項1又は2に記載のカバー装置。
【請求項4】
前記カバーが巻き出されるとき、前記カバーに対して長手方向引張応力を加えるための手段を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のカバー装置。
【請求項5】
前記長手方向並進機構がラックシステム(7)を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のカバー装置。
【請求項6】
前記長手方向並進機構が、前記レールのうちの少なくとも1本に取り付けられたキャリッジ(21)を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のカバー装置。
【請求項7】
前記長手方向並進機構が少なくとも1つのモータをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のカバー装置。
【請求項8】
前記連続的な係止システム(11)と平行な離散的な係止システム(17、18)であって、前記連続的な係止システム(11)が緩んだ場合に前記カバー(10)の前記長手方向縁部を前記被覆表面(3)に取り付けることが可能な係止システム(17、18)を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のカバー装置。
【請求項9】
各レール(6)について、ストリップであって、前記レール(6)に挿入され、前記カバー(10)が前記ドラム(2)に巻き取られるに従い徐々に前記レール(6)の開口部(14)を塞ぐストリップを含むシステムを含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のカバー装置。
【請求項10】
前記係合手段(15)により、前記カバー(10)の前記自由端リップ(13)を前記対応するレール(6)の前記フランジの1つの下側に摺動させることがさらに可能となる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のカバー装置。
【請求項11】
前記異形材(12)を前記レール(6)に係合することを可能にする前記手段(15)が、前記リップ(13)を前記レール(6)のフランジの下側に押さえ込む少なくとも1つのワインダ又は1つのガイドを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のカバー装置。
【請求項12】
前記係合手段(15)が、前記係止動作中に前記カバー(10)に対し、前記レール(6)の方向に対して横断方向に引張応力を加える少なくとも1つのワインダ又は1つの張力調整ガイドを含む、請求項3〜11のいずれか一項に記載のカバー装置。
【請求項13】
前記カバー(10)が、1本又は複数の前記レール(6)に係合される前記リップ(13)を含むその長手方向縁部の少なくとも一方に沿って延在する当接ビード(16)を含み、且つその当接ビード上に前記ワインダ又は張力調整ガイドを押し当てることができる、請求項12に記載のカバー装置。
【請求項14】
各レール(6)にラック(7)が配置され、前記係合手段(15)と連動するように取り付けられた駆動歯車(9)の噛み合いが可能となり、それらの各レール(6)に沿った並進が可能となる、請求項5〜13のいずれか一項に記載のカバー装置。
【請求項15】
前記キャリッジ(21)が、
(a)ラック(7)を形成する2本の可撓性ベルトであって、それらの端部(35)の各々でのみ前記被覆表面(3)の四隅に取り付けられ、且つ前記被覆表面(3)の2つの周辺長さに沿って配置された可撓性ベルト;
及び、その端部の各々に取り付けられた:
(b)前記駆動歯車(9)であって、その回転軸が前記ドラム(2)の回転軸と平行な駆動歯車(9);
(c)前記被覆表面(3)に直接隣接して表面上に載置され、且つ前記キャリッジ(21)の前記長手方向並進を可能にする少なくとも2つのワインダ(33)であって、前記駆動歯車(9)の両側に取り付けられ、前記駆動歯車(9)と共に三角形を形成して、その三角形の頂点を形成するワインダ(33)、
を含み、
前記可撓性ベルト(7)の取付け点(35)と前記ワインダ(33)との間に含まれる各可撓性ベルト(7)のセクション(7a)が、前記被覆表面の周辺の長さに押し当てられ、及び前記少なくとも2つのワインダ(33)の間に含まれる各ベルトのセクション(7b)が、摺動することなく前記駆動歯車(9)を被覆する、
ことを特徴とする、請求項6〜14のいずれか一項に記載のカバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−529144(P2011−529144A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519174(P2011−519174)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059504
【国際公開番号】WO2010/010152
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(511020933)
【Fターム(参考)】