説明

表面プラズモン共鳴測定用マイクロチップ及び表面プラズモン共鳴測定装置

【課題】マイクロチップを構成する基板の厚みにばらつきが存在する場合でも、観測結果に誤差が生じないようにするとともに、効率的かつ短時間で測定を可能とすること。
【解決手段】溝部が形成されている第1のマイクロチップ基板11と、金属薄膜13が成膜されている第2のマイクロチップ基板12とを接合したマイクロチップ10において、両側の側面に突出部16を形成し、その一方の面を第1、第2のマイクロチップ基板の接合面LLと同一平面とする。SPRセンサ装置は測定基準面Lが下面側に設定された試料固定部24を有し、この測定基準面Lにマイクロチップ10の突出部分16を押付けてマイクロチップ10を保持・固定する。このため、接合面LLは第2のマイクロチップ基板12の厚みのばらつきに左右されることなく測定基準面Lに一致し、金属薄膜13の裏面で反射した反射光のCCD受光面上での到達位置もばらつかない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面プラズモン共鳴を用いて内部に保持された検査体を測定をするために用いられるマイクロチップ、および、該チップ内に保持された検査体を測定するための表面プラズモン共鳴測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:以下、SPRともいう)現象を利用した様々な表面プラズモン共鳴測定装置(以下、SPRセンサ装置ともいう)が提案されている。
SPR現象は、金属薄膜上に存在する表面プラズモンと呼ばれるプラズマ波と金属薄膜裏面から照射した光が全反射した際に当該金属表面に生じるエバネッセント波との共鳴により、ある角度(共鳴角度)における反射光強度が減衰する現象である。この共鳴角度は金属表面の屈折率に依存する。
【0003】
図17は、Kretschmannにより提案されたSPRセンサ装置の基本構成を説明するための図である。
センサ本体は、大気中より屈折率の高いガラスからなるプリズム21上に金属薄膜13が設けられた構造を有する。そしてプリズム21と金属薄膜13との境界面に対して、レーザ光等の単色光が入射される。光の入射角θiは、境界面にて全反射が発生する臨界角θc以上の角度に設定される。単色光は境界面にて全反射されてプリズム21外へと進行するが、このときエバネッセント波が金属薄膜13の表面に滲み出す。上記エバネッセント波の波数が、金属表面で発生し得る表面プラズモンの波数と一致した場合、両者の共鳴(以下、表面プラズモン共鳴ともいう)が発生し、入射光のエネルギーの一部が表面プラズモン波のエネルギーに変化する。結果として上記境界面からの反射光が減衰する。
なお、表面プラズモンは金属表面に平行な方向に電子の疎密波として伝播するので、表面プラズモン共鳴を発生させるためには、この方向に電場の振動成分を有するP偏光の光を入射する必要がある。
【0004】
表面プラズモン共鳴は、入射する光の波長、入射角、金属薄膜13の表面の屈折率分布等に依存する。よって、金属薄膜表面に試料Sが設置された場合、金属薄膜表面の屈折率が変化するので、表面プラズモン共鳴が発生する際の上記入射する光の入射角も変化する。すなわち、反射光強度をモニタして、反射光強度が減衰するときの入射角(以下、共鳴角ともいう)を測定し解析することにより、金属薄膜表面の状態を特定することが可能となる。
【0005】
このようなSPRセンサ装置は様々な測定に利用されている。例えば特許文献1に記載されているように、SPRセンサ装置は、誘電体物質の表面近傍の情報や誘電体薄膜の膜厚分布を高感度で測定する顕微鏡として使用される。
また、特許文献2に記載されているように、SPRセンサ装置は、金属薄膜に接触した溶液(例えば、血液、尿等の試料)などの屈折率やその変動を検出し溶液中の物質量の変動を観測したり、金属薄膜上に固定された抗体が特異的に結合するタンパク質、核酸、その他の生体関連物質などを検出・定量する(抗体抗原反応をモニタリングする)のにも使用される。すなわち、SPRセンサ装置は、生化学や分子生物学や医療検査等の分野で使用されるバイオセンサとして使用される。
【0006】
以下、抗体抗原反応をモニタリングするバイオセンサを例に取り、SPRセンサ装置の構成例を説明する。図18にSPRセンサ装置の構成例を示す。
【0007】
被検査体は、マイクロチップ10として構成される。マイクロチップ10は、典型的には一対の基板(第1のマイクロチップ基板11、第2のマイクロチップ基板12)が対向して接合された構造を有し、少なくとも1つの上記基板の表面に微細な流路14(マイクロチャンネル:例えば、幅10〜数100μm、深さ10〜数100μm程度)が形成されている。
第2のマイクロチップ基板12に金属薄膜13が施され、当該金属薄膜13上に抗体Ig(抗原受容体)が固定される。図18においては流路14が第1のマイクロチップ基板11に形成されている。第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板12とを接合して構成されるマイクロチップにおいて、金属薄膜13および金属薄膜13に固定された抗体Igは、上記流路14内に存在する。
【0008】
上記マイクロチップ10は、SPRセンサ装置20の試料保持部27に設置される。上記したように、表面プラズモン共鳴を用いて測定するには、大気中より屈折率の高いガラスからなるプリズム上に金属薄膜が設けられる。よって、本来は図18における第2のマイクロチップ基板12はプリズムである必要がある。しかし、この場合、各マイクロチップ毎にプリズムを用意する必要があり、コストが増大する。
よって、第2のマイクロチップ基板12はプリズム21と同じ材質のガラス基板とし、第2のマイクロチップ基板12とプリズム21との間に、ガラスと同一の屈折率をもった媒質であるマッチングオイルMOを介在させる。このようにして、マイクロチップ10とプリズム21とは光学的に接合される。本構成によれば、各マイクロチップ毎にプリズムを用意する必要がなく、複数の測定を行う場合、マイクロチップを交換するだけでよい。
【0009】
なお、第2のマイクロチップ基板12ならびにプリズム21の材質は必ずしもガラスである必要はなく、大気中より屈折率の高い樹脂であってもよい。具体的には、シクロオレフィンポリマー (Cyclo Olefin Polymer:COP)、環状オレフィンコポリマー(Cyclic Olefin Copolymer:COC)といった環状オレフィン構造を有する樹脂を採用してもよい。この場合、マッチングオイルとしては、当該マッチングオイルの屈折率が環状オレフィン構造を有する樹脂の屈折率と同一となるようなものを使用する。
マッチングオイルMOとしては、例えば、オリンパス社製、米国CARGILLE研究所製のものが使用される。上記製造メーカからは所望の屈折率に応じたマッチングオイルを入手可能であり、対応可能範囲は、例えば、屈折率=1.515〜1.700である。
【0010】
金属薄膜13に対して光を照射する光源22は例えば半導体レーザ装置であり、例えば波長760nmのレーザビームが放出される。光源22からの光照射は制御部40により制御される。光源22から放出されるレーザビームは、図示を省略した偏光素子を通過後P偏光のレーザビームとなり金属薄膜13に照射される。
金属薄膜13からの反射光はCCD23により受光される。CCD23からの画像情報は制御部40に送出され、CCD23からの画像情報を受信した制御部40は、当該画像情報を解析して抗体抗原反応をモニタリングする。
【0011】
光源22およびCCD23の位置、レーザビームの出射方向、試料保持部27の基準面の高さは、試料保持部27の所定位置(マイクロチップの測定位置)にマイクロチップ10が載置して光源22からレーザビームを出射した際、当該レーザビームがマイクロチップ10の流路14内に位置する金属薄膜13に照射され、その反射光がCCD23の受光面に到達するようにそれぞれ設定されている。特に、試料保持部27の基準面の高さは、第2のマイクロチップ基板12の厚みを考慮して設定されている。
【0012】
抗体Igが固定された金属薄膜13表面に対して光源22からのP偏光レーザビームを照射すると、当該金属薄膜13からの反射光がCCD23の受光面に到達する。
このとき、抗体Igが固定された金属薄膜13の表面の屈折率に対応した共鳴角にて入射したレーザビームによる反射光は、表面プラズモン共鳴が発生するのでその強度が減衰する。すなわち、このように強度が減衰した反射光のCCD23の受光面上の位置は、ある特定された位置となる。ここで、上記した抗体Igが固定された金属薄膜13の表面の屈折率は、マイクロチップ10の流路14に細菌、ウイルスや微生物に感染した細胞等の検体が注入される前の屈折率である。
そして、上記検体(試薬)がマイクロチップ10の検体流入口14aより流路14に注入されると、抗体Igは検体を抗原として認識して結合し抗体抗原反応が起こる。そのため金属薄膜13に固定された抗体Igの状態が変化するので金属薄膜13の表面の屈折率が変化し、この屈折率変化に伴い共鳴角も変化する。よって、強度が減衰した反射光のCCD受光面上の位置も変化する。
【0013】
制御部40は、CCD受光面における強度が減衰した反射光の受光位置変化情報を画像情報として受信し、共鳴角の変化を求め解析することにより、金属薄膜表面にて発生した抗体抗原反応の状態(抗体と抗原との結合特性等)を特定する。
以上のように、上記したSPRセンサ装置は、マイクロチップを用いたマイクロ・トータル・アナリシス・システム(μTAS)として機能し、高速かつ高精度の反応分析を行い、コンパクトで自動化されたシステムを実現することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平6−167443号公報
【特許文献2】特開2000−55805号公報
【特許文献3】特開2006−187730号公報
【特許文献4】特許3714338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記したように、SPRセンサ装置に使用するマイクロチップ10は、例えば、第1のマイクロチップ基板11と、表面の一部に金属薄膜が施されているガラス基板である第2のマイクロチップ基板12とを接合して構成される。図18に示すように、上記マイクロチップ10は、第2のマイクロチップ基板12の下面(金属薄膜が施されている面と反対側の面)がSPRセンサ装置の試料保持部27の基準面と接触するように保持される。この基準面の高さは、第2のマイクロチップ基板12の厚みを考慮して設定されている。
すなわち、このように設定された基準面上にマイクロチップを保持した場合、マイクロチップの第2のマイクロチップ基板12側に照射される光源からの光は、金属薄膜13の裏面の所定位置に到達し、金属薄膜13によって反射され、CCD23の受光面に到達する。
光源22の光出射方向、CCD23の位置は固定されており、第2のマイクロチップ基板12の厚みや金属表面上の抗体Ig等の検査体の状態が同一であるならば、任意のマイクロチップを設置しても、SPRにより強度が減衰した反射光のCCD受光面上での到達位置は同一となる。
しかしながら、第2のマイクロチップ基板12を構成するガラス基板の厚みは必ずしも同一ではなく、ある程度のばらつきが存在する。
【0016】
同一材質の金属薄膜13上に同種の抗体Igが固定された検査体を有し、第2のマイクロチップ基板12の厚みのばらつきがΔtであるマイクロチップ10を計測する場合を考える。ここで、SPRセンサ装置の光源22、CCD23の配置は一定である。
図19(a)(b)に示すように、両マイクロチップの共鳴角θiは同一であるものの、第2のマイクロチップ基板12の厚みのばらつきのため金属薄膜13の上下方向の位置が互いに相違する。よって、金属薄膜13の裏面に到達後、SPRにより強度が減衰した反射光のCCD受光面上での到達位置はΔxだけずれてしまう。すなわち、同一状態の検査体を有するマイクロチップを観測しても、観測結果データに誤差が生じてしまうという不具合が発生する。
【0017】
ところで、マイクロチップに構成する流路の数は1つでも複数でもよい。しかしながら、複数回の測定を行う場合、流路が1つの場合は測定の都度マイクロチップを交換する必要があるので測定に要する時間が長くなる。一方、1つのマイクロチップに複数の流路を設ける場合は、マイクロチップの複数回の測定を短時間で行うことが可能となる。また、第1の基板に溝部を1箇所成型する場合も複数箇所成型する場合も製造コストに差はあまりなく、1つのマイクロチップに複数の流路を設ける場合、マイクロチップの接合工程が1回でよいので、流路が1つのマイクロチップを複数個用意するよりもコストダウンとなる。よって、マイクロチップには複数個の流路が形成される場合が多い。
しかしながら従来は、1枚のマイクロチップを用いて複数回測定を行う際、具体的にどのように複数の流路を配置し、どのように測定をすれば、効率的に短時間で測定できるか検討されていなかった。
【0018】
本発明は上記事情によりなされたものであり、その課題はマイクロチップを構成する基板の厚みにばらつきが存在する場合でも、SPRセンサ装置による観測結果に誤差が生じないようにすることができ、また、効率的かつ短時間で測定が可能なマイクロチップ、および当該マイクロチップを使用する表面プラズモン共鳴測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
図1に本発明のマイクロチップの断面構造と、当該マイクロチップのSPRセンサ装置への固定方法を示す。なお、図1(a)(b)は、第2のマイクロチップ基板12の厚さが違うマイクロチップをSPRセンサ装置に固定した場合を示している。
図1に示すように、本発明のマイクロチップ10は、第1のマイクロチップ基板11とガラス基板である第2のマイクロチップ基板12とが接合されて構成され、第2のマイクロチップ基板12の第1のマイクロチップ基板11との接合面LLの一部に金属薄膜13が施されていて、上記接合面LLが突出した突出部16が設けられている。すなわち、上記第2のマイクロチップ基板12の両側の側面が突出した突出部16が形成され、該突出部16の上側の面は、上記接合面LLと同一平面となっている。
従来のSPRセンサ装置は、前記図18、図19に示すように、測定基準面Lが上面側に設定された試料保持部27によってマイクロチップを保持・固定する構造であった。
これに対し、図1に示すように、本発明のマイクロチップを使用するSPRセンサ装置は測定基準面Lが下面側に設定された試料固定部24を有し、当該試料固定部24の測定基準面Lに押付け機構35によって本発明のマイクロチップの突出部分16を押付けることにより、上記マイクロチップを保持・固定する。
【0020】
図1から明らかなように、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板12の接合面LLが測定基準面Lに押付けられるので、上記接合面LLは第2のマイクロチップ基板12の厚みのばらつきに左右されることなく測定基準面Lに一致する。金属薄膜13は上記接合面LL上に設けられるので、金属薄膜13の上下方向の位置もばらつかず一定となる。そのため、金属薄膜13の裏面に到達後、SPRにより強度が減衰した反射光のCCD受光面上での到達位置もばらつかず、観測結果データの誤差の発生を抑制することができる。
【0021】
ここで、図1に示した例では、本願発明のマイクロチップ10の突出部16は、第1のマイクロチップ基板11に対して第2のマイクロチップ基板12を突出させることにより形成しているが、必ずしもこれに限るものではない。
例えば、図2に示すように第2のマイクロチップ基板12に対して第1のマイクロチップ基板11を突出させることにより、マイクロチップの突出部16を形成してもよい。なお、図2(a)(b)は図1と同様、第2のマイクロチップ基板12の厚さが違うマイクロチップをSPRセンサ装置に固定した場合を示しており、図1に示したものと同一のものには同一の符号が付されている。
この場合に使用されるSPRセンサ装置は、従来のSPRセンサ装置と同様、測定基準面Lが上面側に設定された試料固定部24によってマイクロチップ10を保持・固定する構造となる。
【0022】
図2から明らかなように、本構成においても第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板12の接合面LLは第2のマイクロチップ基板12の厚みのばらつきに左右されることなく測定基準面Lに一致する。よって、図1に示した例と同様、上記接合面LL上に設けられた金属薄膜13の上下方向の位置もばらつかず一定となる。そのため、金属薄膜13の裏面に到達後、SPRにより強度が減衰した反射光のCCD受光面上での到達位置もばらつかず、観測結果データの誤差の発生を抑制することができる。
以上のように、本発明のマイクロチップ10は、マイクロチップ10の流路が設けられた面の両側の側面を突出させて突出部16を形成し、該突出部16の一方の面が上記接合面LLと同一平面となるように構成している。
すなわち、上記突出部16は、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板12を接合させた状態において、流路が設けられた面の両側の側面において、いずれか一方の基板が他方の基板より突出し、突出した表面が上記接合面LLと同一平面であるように構成されている。なお、本発明のマイクロチップ10において、上記突出部16を除いた部分をマイクロチップ本体部15という。
【0023】
なお、図2のように第1のマイクロチップ基板11の突出した接合面LLに測定基準面が上面側に設定された試料固定部24を接触させてマイクロチップ10を保持する場合、第1のマイクロチップ基板11の材質に注意する必要がある。
図2に示す構成の場合、マイクロチップ10の支持は第1のマイクロチップ基板11とSPRセンサ装置の試料固定部24より行われる。ここで、例えば、第1のマイクロチップ基板11の材質がポリジメチルシロキサン(Plydimethylsiloxane:PDMS)のような柔らかい材質である場合、マイクロチップに作用する重力の影響により、SPRセンサ装置にマイクロチップを設置した後で第1のマイクロチップ基板11が徐々に変形し、結果として第2のマイクロチップ基板12上にある金属薄膜13の位置が測定基準面からずれてしまう可能性がある。
【0024】
また、第2のマイクロチップ基板12の下にマッチングオイルMOを介してプリズム21を光学的に接合する場合や、マイクロチップ10に設けられた流路14の検体流入口に外部から図示を省略した検体供給手段の検体送液用チューブを接続する場合にも、プリズム21やチューブを介してマイクロチップに対してある程度の力が作用する。この場合においても、マイクロチップに作用した力の影響で第1のマイクロチップ基板11が変形し、第2のマイクロチップ基板12上の金属薄膜13の位置が測定基準面からずれてしまう可能性がある。
【0025】
一方、図1のような第2のマイクロチップ基板12の突出した接合面LLを測定基準面Lに一致させる構造においては、第2のマイクロチップ基板12がPDMS樹脂よりも硬いガラスや環状オレフィン構造を有する樹脂で作られるため、上記したようなマイクロチップ基板の変形に伴い金属薄膜13の位置が測定基準面からずれるという問題が起こる可能性は極めて小さい。
したがって、第1のマイクロチップ基板11を変形する可能性のある柔らかい材質で作る場合においては、図1に示すように、ガラスや環状オレフィン構造を有する樹脂といった比較的硬い材質からなる第2のマイクロチップ基板12とSPRセンサ装置の試料固定部24とによりマイクロチップの支持を行うような構造にすることが望ましい。
【0026】
以上のように、マイクロチップ10に突出部16を設け、突出部16の一方の面がマイクロチップの接合面LLと同一平面となるように構成し、SPRセンサ装置の試料固定部24の測定基準面Lに、上記突出部16の接合面LLと同一平面となっている面を押しつけることで、上記接合面LLは第2のマイクロチップ基板12の厚みのばらつきに左右されることなく測定基準面Lに一致させることができる。
本発明においては、上記構成のマイクロチップにおいて、さらに、以下のように構成することで、効率的かつ短時間での測定を可能とする。
すなわち、後述する図12に示すように、マイクロチップ本体部15が矩形状のマイクロチップ10に複数の流路14を設け、各流路14に含まれる複数の金属薄膜13を、上記マイクロチップ本体部15の接合面LL上において、マイクロチップ10から突出部14を除いたマイクロチップ本体部15の該突出部が設けられた両側の辺に平行で、該辺に等距離にある中央線上の点に対して、点対称となるような位置に配列する。そして、本発明のマイクロチップを用いて、以下のように測定を行う。
【0027】
図3は図12に示すマイクロチップを用いて流路内に保持された検体の測定を行う手順の概略を示した図である。図3に示すマイクロチップ10では、行列状に20の流路が設けられ、A列、B列の2つの流路(例えばa1,b1)を組みとして測定対象とし、2つの流路a1,b1のうち、一方の流路を比較参照部として用い、他方の流路を検体中の抗原濃度を測定するための測定部として用いる。なお、一つの流路を測定対象とするようにしてもよい。
(1)測定1回目
図3(a)に示すように、マイクロチップ10の測定したい個所(同図の矢印で示す流路a1,b1)をSPRセンサ装置の試料固定部24の測定領域R(同図の線で囲った領域)に位置決めする。測定領域の下側(裏側)には、前記図1に示したように、光源22とCCD23が設けられている。上記流路の真下にマッチングオイルMOを塗り、プリズム21を取り付けて、流路a1に検体を注入し、前記したように、光源22からの光を測定領域Sの金属薄膜13に照射し、その反射光をCCD23で受光する。
なお、
【0028】
(2)測定2〜5回目
図3(b)に示すようにマイクロチップ10の位置をずらし、上記(1)と同様に次の測定対象となるA列、B列の流路a2,b2を測定領域Rに位置決めし、上記と同様の測定を行う。
以下同様に、マイクロチップ10の位置をずらしながら、測定対象となるA列、B列の各流路a3,b3−a5,b5の測定を行う。
(3)測定6〜10回目
図3(c)に示すように5回目の測定が終わったら、図3(d)に示すようマイクロチップ10を取り出して、180°回転させる。前記したように、マイクロチップの金属薄膜13は、前記接合面LL上であって、突出部16が設けられたマイクロチップ本体部15の辺に平行で、該辺に等距離にある中央線上の点に対して、点対称となるような位置に配列されており、上記のように180°回転させることで、測定済みのA列、B列と未測定のC列、D列が上下段で入れ替わる。
そして、図3(e)のように試料固定部24上に位置決めし、上記(1)(2)の同様に、C列、D列の測定対象となる流路c5,d5−c1,d1の測定を行う。
【0029】
本発明においては、上記のようにマイクロチップをSPRセンサ装置の試料固定部24上で少しずつ移動させて位置決めすることにより、SPRセンサ装置に複数の光源22,CCD23の組を設けることなく、測定対象となる各流路の測定を迅速かつ効率的に行うことができる。また、マイクロチップ10の金属薄膜13を上記のように点対称に配列することにより、該点対称となる点を中心にマイクロチップを180°回転させることで、測定済みの行と未測定の行を上下段で入れ替えることができ、効率的かつ短時間での測定が可能となる。
【0030】
以上に基づき、本発明においては、以下のようにして前記課題を解決する。
(1)一方の面に溝部が形成されている第1のマイクロチップ基板と、表面に金属薄膜が成膜されている第2のマイクロチップ基板とからなり、第1のマイクロチップ基板の溝部が形成されている面と第2のマイクロチップ基板の金属薄膜が成膜されている側の面とが接合され、第1のマイクロチップ基板の溝部と第2のマイクロチップ基板表面とにより形成される流路内に上記金属薄膜が内包され、上記第2のマイクロチップ基板の上記金属薄膜が形成されている面とは反対側の面から上記金属薄膜に対して光照射し、上記金属薄膜上の試料に対して表面プラズモン共鳴測定を行う際に使用されるマイクロチップにおいて、上記流路が設けられた面の両側の側面に突出部を形成し、該突出部の一方の面を、上記第1のマイクロチップ基板と第2のマイクロチップ基板の接合面と同一平面とする。
(2)上記(1)において、第2のマイクロチップ基板がガラスもしくは環状オレフィン構造を持つ樹脂から成り、第1のマイクロチップ基板と比較して第2のマイクロチップ基板の方が大きく、該第2のマイクロチップ基板の一部が上記突出部を形成し、上記突出部の一方の面は、第2のマイクロチップ基板の第1のマイクロチップ基板との接合面と同一平面とする。
(3)上記(1)(2)において、第2のマイクロチップ基板上に、複数の金属薄膜を設け、複数の金属薄膜を1乃至複数の行列状に配列し、各行および列を構成する各金属薄膜の光照射される位置がほぼ同一直線上にあるように配列する。
(4)上記(1)(2)(3)において、上記マイクロチップから前記突出部を除いた部分であるマイクロチップ本体部の金属薄膜が設けられる面は矩形状であって、複数の金属薄膜の光照射される位置は、上記マイクロチップ本体部において、突出部が設けられた辺に平行で、該辺に等距離にある中央線上の点に対して、点対称となるような位置に配列されている
(5)上記(1)(2)(3)のマイクロチップを保持する板状の試料固定部と、光源と、プリズムと、光検出器とを備え、該光源から放出される光を上記マイクロチップの金属薄膜に対して照射し、上記金属薄膜からの反射光を上記光検出器で検出して金属薄膜上の試料特性を求める表面プラズモン共鳴センサ装置において、上記試料固定部のいずれか一方の面が、上記マイクロチップの接合面と同一平面である突出部の一方の面と接触する測定基準面として設定され、この測定基準面は、上記マイクロチップを、上記突出部の上記一方の面が該測定基準面と接触するように上記試料固定部に保持させたとき、上記マイクロチップの金属薄膜に対して上記光源からの光を光照射可能であって、かつ、上記金属薄膜からの反射光を上記光検出器で検出可能な位置に設定されている。
(6)上記(5)において、マイクロチップを上記試料固定部に保持させる際、該マイクロチップの接合面と同一平面である突出部の一方の面と上記試料固定部に設定された測定基準面とが一致するように、上記突出部の他方の面に、上記測定基準面に垂直でかつ上記測定基準面に向かう方向の力を作用させる加圧機構を設ける。
(7)上記(5)(6)において、上記試料固定部には、上記試料固定部の測定基準面に平行な平面上において、上記マイクロチップを位置決めするための位置決め機構が設けられる。該位置決め機構により、上記マイクロチップの各金属薄膜が、上記光源からの光を光照射可能であって、かつ、該金属薄膜からの反射光を上記光検出器で検出可能な位置に位置決めされる。
【発明の効果】
【0031】
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)マイクロチップの流路が設けられた面の両側の側面に突出部を形成し、該突出部の一方の面を、上記第1のマイクロチップ基板と第2のマイクロチップ基板の接合面と同一平面としたので、突出部の接合面同一平面となっている面をSPRセンサ装置の測定基準面と一致させることにより、第2のマイクロチップ基板の厚みのばらつきに関係なく、第2のマイクロチップ基板上の金属薄膜の上下方向の位置を一定の位置に設定することができる。
このため、金属薄膜裏面に到達後、SPRにより強度が減衰した反射光のCCD受光面上での到達位置もばらつかず、観測結果データの誤差の発生を抑制することができる。
(2)第2のマイクロチップ基板に、ガラスもしくは環状オレフィン構造を持つ樹脂等の比較的硬い材質のものを用い、第1のマイクロチップ基板より第2のマイクロチップ基板を大きくし、第2のマイクロチップ基板の一部が上記突出部を形成するように構成することにより、重力の影響を受けても変形せず、またプリズム接合時や、検体供給手段の検体送液用チューブを流路に接続する際にマイクロチップに対してある程度の力が作用しても変形しない。そのため、第2のマイクロチップ基板上にある金属薄膜の位置が測定基準面からずれてしまうことを防ぐことができる。
(3)第2のマイクロチップ基板上に、複数の金属薄膜を設け、複数の金属薄膜を1乃至複数の行列状に配列し、各行および列を構成する各金属薄膜の光照射される位置がほぼ同一直線上にあるように配列することにより、各流路における測定を行う場合のマイクロチップの位置決めは、この同一直線と同じ方向にずらすことにより行うことができ、位置決めが容易となる。
(4)マイクロチップから前記突出部を除いた部分であるマイクロチップ本体部の金属薄膜が設けられる面を矩形状とし、複数の金属薄膜の光照射される位置を、マイクロチップ本体部において、突出部が設けられた辺に平行で、該辺に等距離にある中央線上の点に対して、点対称となるような位置に配列することにより、マイクロチップを180°反転させることで、SPRセンサ装置の測定領域に、異なった列の流路を配置することができ、効率的かつ短時間での測定が可能となる。
(5)SPRセンサ装置において、試料固定部のいずれか一方の面を、マイクロチップの接合面と同一平面である突出部の一方の面と接触する測定基準面として設定し、マイクロチップを、上記突出部の上記一方の面が該測定基準面と接触するように上記試料固定部に保持させたとき、マイクロチップの金属薄膜に対して光源からの光を光照射可能であって、かつ、上記金属薄膜からの反射光を上記光検出器で検出可能な位置に設定することにより、突出部の接合面同一平面となっている面をSPRセンサ装置の測定基準面と一致させることにより、第2のマイクロチップ基板の厚みのばらつきに関係なく、第2のマイクロチップ基板上の金属薄膜の上下方向の位置を一定の位置に設定することができる。
(6)SPRセンサ装置において、突出部の他方の面に、上記測定基準面に垂直でかつ上記測定基準面に向かう方向の力を作用させる加圧機構を設けることにより、確実に第2のマイクロチップ基板上の金属薄膜の上下方向の位置を一定の位置に設定することができる。
(7)SPRセンサ装置の試料固定部に、試料固定部の測定基準面に平行な平面上において、上記マイクロチップを位置決めするための位置決め機構を設けることにより、マイクロチップの各金属薄膜が、上記光源からの光を光照射可能であって、かつ、該金属薄膜からの反射光を上記光検出器で検出可能な位置に確実に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のマイクロチップの断面構造と、SPRセンサ装置への固定方法を示す図である。
【図2】図1において、第1のマイクロチップ基板を突出させて突出部を形成した場合を示す図である。
【図3】各流路に含まれる金属薄膜を点対称となるように配置したマイクロチップを用いて、流路内に保持された検体の測定を行う手順の概略を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例のマイクロチップの外観図である。
【図5】図4に示すマイクロチップ各部分の詳細を示す図である。
【図6】第1の実施例のマイクロチップを用いるSPRセンサ装置の構成例を示す図である。
【図7】位置決め機構の詳細構成を示す図である。
【図8】第1の実施例のマイクロチップを用いた測定の手順を説明する図である。
【図9】本発明のマイクロチップの変形例を示す図である。
【図10】プリズムや光源、CCDを上側に配置した場合を示す図である。
【図11】プリズムや光源、CCDを上側に配置したSPRセンサ装置の概略構成を示す図である。
【図12】第2の実施例のマイクロチップの外観図である。
【図13】図12に示すマイクロチップの各部分の詳細を示す図である。
【図14】第2の実施例のマイクロチップを用いるSPRセンサ装置の構成例を示す図である。
【図15】第2の実施例のマイクロチップを用いた測定の手順(1)を説明する図である。
【図16】第2の実施例のマイクロチップを用いた測定の手順(2)を説明する図である
【図17】SPRセンサ装置の基本構成を説明するための図である。
【図18】SPRセンサ装置の構成例を示す図である。
【図19】第2のマイクロチップ基板の厚みのばらつきにより金属薄膜の上下方向の位置が相違することを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(1)第1の実施例
図4に本発明の第1の実施例のマイクロチップの外観図、図5に図4に示すマイクロチップ各部分の詳細説明図を示す。図5(a)は本実施例のマイクロチップの断面図であり、同図(c)のC−C断面図を示す。図5(b)は同図(a)のA−A断面図、同図(c)は同図)(a)のB−B断面図である。
従来のマイクロチップと同様、本実施例のマイクロチップ10は一対の基板(第1のマイクロチップ基板11、第2のマイクロチップ基板12)が対向して接合された構造を有する。
本実施例のマイクロチップ10は、図4に示すように第1のマイクロチップ基板11に比べて第2のマイクロチップ基板12の方が大きい。これにより、同図に示すように、流路が形成された面の両側の側面が突出した突出部16が形成され、突出部16の一方の面は、上記第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板12の接合面LLと同一平面を有する。なお、以下では、マイクロチップ10において、上記突出部16を除いた部分をマイクロチップ本体部15という。
【0034】
第1のマイクロチップ基板11は、例えば、ポリジメチルシロキサン(Polydimethylsiloxane:PDMS)などのシリコーンからなる。一方、上記したように第2のマイクロチップ基板12は、プリズム21と同じ材質のガラス基板からなる。なお、第2のマイクロチップ基板12、プリズム21の材質として環状オレフィン構造を有する樹脂を採用してもよい。
前記したように、第2のマイクロチップ基板12とプリズム21とは同じ材質のものが採用されるが、必ずしも両者の材質が同じである必要はない。但し、入射光に対する両者の屈折率の違いが大きいと、第2のマイクロチップ基板12の厚みのばらつきによる入射光の光路のばらつきが無視できなくなる場合もある。よって、第2のマイクロチップ基板12の材質とプリズム21の材質とが相違する場合、両者の屈折率の差はできるだけ小さい方が望ましい。
【0035】
マイクロチップ基板11,12の接合は、第1のマイクロチップ基板11の接合側表面に真空紫外光を照射して当該表面を活性化させた後、第2のマイクロチップ基板12を貼り合わせて行われる。具体的には、例えば特許文献3や特許文献4に示されているように、第1のマイクロチップ基板11に波長172nmに輝線を有するエキシマランプからの光を照射して当該表面に改質処理(酸化処理)を施し、ガラス基板である第2のマイクロチップ基板12を第1のマイクロチップ基板11の被改質処理表面に密着させて、両基板を接合する。
【0036】
図4、図5(a)に示すマイクロチップにおいて、第1のマイクロチップ基板11の表面に、例えば幅10〜数100μm、深さ10〜数100μm程度の微細な溝部(流路14)が複数個形成されている。具体的には、第1のマイクロチップ基板11に形成された微細な溝部と第2のマイクロチップ基板12表面とにより、上記流路14が構成される。
ここでマイクロチップに構成する流路14の数は1つでも複数でもよい。しかしながら複数回の測定を行う場合、流路14が1つの場合は測定の都度マイクロチップを交換する必要があるので測定に要する時間が長くなる。一方、1つのマイクロチップに複数の流路14を設ける場合は、マイクロチップの測定位置を都度ずらすだけで複数回の測定を短時間で行うことが可能となる。また、第1のマイクロチップ基板11に溝部を1箇所成型する場合も複数箇所成型する場合も製造コストに差はあまりなく、1つのマイクロチップに複数の流路14を設ける場合、マイクロチップの接合工程が1回でよいので、流路14が1つのマイクロチップを複数個用意するよりもコストダウンとなる。よって、マイクロチップには複数個の流路14が形成される場合が多い。
【0037】
図5(a)に示すように、本実施例のマイクロチップには10個の流路14が設けられている。詳細には、上記マイクロチップには、1列5個の流路14が2行設けられおり(ここでは横方向の並びを「列」、縦方向の並びを「行」と呼ぶこととする)、各行、列の流路14は等間隔、かつ、ほぼ直線状に配置されている。後で述べる測定例のように1回の測定で2つの流路14を使用する場合、このマイクロチップでは5回の測定を行うことが可能となっている。この場合、一方の流路14は比較参照部として用いられ、他方の流路14は検体中の抗原濃度を測定するための測定部として用いられる。なお、以下では比較参照部の流路14をa1〜a5といい、測定部の流路14をb1〜b5という。
図5(b)に示すように、流路14内には金属薄膜13が設置される。金属薄膜13は流路14内の第2のマイクロチップ表面(すなわち、第1および第2のマイクロチップ基板11,12の接合面LL)上に設けられる。金属薄膜13はクロム(Cr)薄膜上に金(Au)薄膜が積層された構造を有する。抗体抗原反応をモニタリングする場合、金属薄膜13上に抗体(抗原受容体)が設置される。なお、以下の説明では、比較参照部として使用される金属薄膜13をc1〜c5といい、測定部として使用される金属薄膜13をd1〜d5という。
まず上記したAu薄膜と例えばアルカンチオールとを反応させて当該Au薄膜上に自己組織化膜(Self−Assembled Monolayer:SAM膜)が形成される。そしてこのSAM膜と抗体とを化学的に結合させることにより、抗体がSAM膜上に固定される。すなわち、金属薄膜13上に抗体が固定される。
【0038】
図4、図5(a)、図5(c)に示すように第2のマイクロチップ基板12は第1のマイクロチップ基板11よりも大きく、両者を接合した際、第2のマイクロチップ基板12の接合面LLは第1のマイクロチップ基板11から突出した状態となる。すなわち、前記したように図4、図5(a)、図5(c)に示す本発明のマイクロチップは、第1、第2のマイクロチップ基板11,12の接合面LLが突出した突出部16が設けられている。
後述する図6に示すSPRセンサ装置の測定基準面Lにこの突出部16の接合面LL側表面を接触させるようにして当該マイクロチップ10を保持することにより、抗体Igが固定された金属薄膜13が設けられた上記接合面LLは第2のマイクロチップ基板12の厚みのばらつきに左右されることなく測定基準面Lに一致し、金属薄膜13の上下方向の位置はばらつかず一定となる。
すなわち、図4、図5に示すマイクロチップを使用する図6に示すSPRセンサ装置は、図4に示すようなガラスや環状オレフィン構造を有する樹脂といった比較的硬い材質からなる第2のマイクロチップ基板12とSPRセンサ装置の試料固定部24とによりマイクロチップの支持を行う方式を採用している。なお、図6に示すSPRセンサ装置にて上記マイクロチップを保持させる具体的な構造については後で述べる。
【0039】
図5(a)に戻り、本発明のマイクロチップの突出部16(第2のマイクロチップ基板12の突出部分)には、位置決め用穴部17が設けられている。これは図6に示すSPRセンサ装置に図4,5に示す複数個の流路14を有するマイクロチップ10を搭載して複数回測定を行う場合、各測定におけるマイクロチップ10の位置を図6に示すSPRセンサ装置の所定の位置に位置決めするためのものである。なお、マイクロチップ10の位置決めについての具体的な手順は後で述べる。
【0040】
図6に、本実施例のマイクロチップを用いたSPRセンサ装置の構成例を示す。なおここでは、上記SPRセンサ装置を、抗体抗原反応をモニタリングするバイオセンサとして使用する場合を例に取る。
ここで図6(a)はSPRセンサ装置の側面図、図6(b)はSPRセンサ装置の上面図、図6(c)は図6(d)のB−B断面図、図6(d)は図6(b)のA−A断面図である。
【0041】
図6に示すSPRセンサ装置は、底面側に設けられた底板33(図6(c)(d)参照)と、側面側に設けられた2枚の長手方向側板32(図6(b)(c)参照)およびマイクロチップ搬入・退出部34が設けられた2枚の側板31(図6(a)(b)参照)と、上面側に設けられた2枚の試料固定部24(図6(b)(c)参照)とから構成される筐体構造を有する。
なお、2枚の試料固定部24の間隔は、マイクロチップ挿入時、マイクロチップ10の第1のマイクロチップ基板11上面(マイクロチップ本体部15)が露出し、マイクロチップ10の突出部16の少なくとも一部は露出しないように設定されている。
すなわち、2枚の試料固定部24の間隔は、試料固定部24の下面とマイクロチップの突出部16の表面(第2のマイクロチップ基板12の上面)とが接触可能であるように設定されている。
この筐体構造の内部には、2枚の長手方向側板32の内側に各々設けられた押付け機構保持部35a(図6(c)参照)が設けられる。押付け機構保持部35a上には、例えば、ボールプランジャーからなる押付け機構35が、押付け機構保持部35aの長手方向に沿って複数設けられる(図6(d)参照)。
また、筐体構造の内部には、光源22と偏光子22aとレンズ22bとCCD23が設けられ、該光源22から出射し、偏光子22aで偏光されたP偏光レーザビームはレンズ22bを介して測定領域Rに配置された金属薄膜13に照射され、その反射光がCCD23で受光される。
また、プリズム21を保持するプリズム保持部21aと、マイクロチップの下面にプリズム21を取り付けるためのプリズム駆動機構21bが設けられる。
【0042】
マイクロチップ10は側板31に設けられたマイクロチップ搬入・退出部34より、SPRセンサ装置内に挿入される。挿入後、マイクロチップ10の下面(図4に示す第2のマイクロチップ基板12の下面)は、押付け機構保持部35aに設けられた押付け機構35(ボールプランジャー)により上方向へ力を受ける。よって、マイクロチップ10の突出部16上面の一部(接合面LL)は、試料固定部24の下面と接触する。試料固定部24の下面を測定基準面Lに設定したとき、マイクロチップにおける第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板12との接合面LLは、第2のマイクロチップ基板12の厚みのばらつきに左右されることなく測定基準面Lに一致する。よって、上記接合面LL上に設けられた金属薄膜13の上下方向の位置もばらつかず一定となる。
【0043】
マイクロチップ搬入・退出部34よりSPRセンサ装置内に挿入されたマイクロチップ10は、マイクロチップ10に設けられた流路14が所定の測定領域Rに位置するよう位置決めされる。ここで所定の測定領域Rとは、光源22からの光がマイクロチップ10に設けられた複数の流路14のうちの特定の流路14内の金属薄膜13に照射される位置である。
図5(a)に示すように、本実施例のマイクロチップには10個の流路14が設けられている。図6に示す例においては、10個の流路14のうちの2つの流路14内の金属薄膜13に光が照射されるように、上記測定領域Rは設定されている。すなわち、1つのマイクロチップで5回の測定が可能となっている。
【0044】
マイクロチップの位置決めは位置決め機構25によって行われる。
図7に位置決め機構の詳細図を示す。位置決め機構25は、位置決め機構本体25aと位置決めピン25bと固定用ねじ25cとからなる。位置決めピン25bは位置決め機構本体25aに嵌め込まれており、位置決めピン25bの一部は位置決め機構本体25aの下面より突出している。ここで、位置決めピン25bの突出長さをd、試料固定部24の厚みをt1、第2のマイクロチップ基板12の厚みをt2としたとき、これら3つの長さにはt1<d<t1+t2なる関係がある。一方、固定用ねじ25cは位置決め機構本体25aに設けられた固定用ねじ穴部24aに挿入される。
【0045】
図4、図5(a)に示すように、マイクロチップ10の両側に各々設けられた突出部16において、一方の突出部16には位置決め用穴部17(ここでは、この突出部の位置決め用穴部をA(A1,A2,A3,A4,A5)という)が所定の間隔Dで複数個設けられ、他方の突出部には位置決め用穴部17(ここでは、この突出部の位置決め用穴部をB(B1,B2,B3,B4,B5)という)が所定の間隔Dで複数個設けられている。位置決め用穴部Aと位置決め用穴部Bは、それぞれ1個づつ、各穴部の中心が同一直線上にほぼ位置するように設定されている。すなわち、位置決め用穴部A1と位置決め用穴部B1との中心、位置決め用穴部A2と位置決め用穴部B2との中心、位置決め用穴部A3と位置決め用穴部B3との中心、位置決め用穴部A4と位置決め用穴部B4との中心、位置決め用穴部A5と位置決め用穴部B5との中心が、それぞれ、同一直線上にほぼ位置するように設定されている。この同一直線上の位置決め用穴部Aと位置決め用穴部Bを、以下、一対の位置決め用穴部17と称することにする。
【0046】
図5(a)に示すように、一対の位置決め用穴部17と流路14中の金属薄膜13との位置関係は一定に設定されている。すなわち、一対の位置決め穴部A1,B1と流路a1中の金属薄膜c1,流路b1中の金属薄膜d1との位置関係と、一対の位置決め穴部A2,B2と流路a2中の金属薄膜c2,流路b2中の金属薄膜d2との位置関係とは同一である。同様に、これら2つの位置関係は、一対の位置決め穴部A3,B3と流路a3中の金属薄膜c3,流路b3中の金属薄膜d3との位置関係、一対の位置決め穴部A4,B4と流路a4中の金属薄膜c4,流路b4中の金属薄膜d4との位置関係、一対の位置決め穴部A5,B5と流路a5中の金属薄膜c5,流路b5中の金属薄膜d5との位置関係と同一である。
【0047】
一方、図7に示すように、SPRセンサ装置の試料固定部24には、位置決めピン貫通穴部24bと固定用ねじ穴部24aが設けられている。これらの穴部はマイクロチップ10の両側に配置される各試料固定部24に、それぞれ一箇所づつ設けられている。そして図6(b)に示すように、2つの位置決めピン貫通穴部24bの中心が同一直線上にほぼ位置するように、各試料固定部24における上記位置決めピン貫通穴部24bの位置が設定されている。
この各試料固定部24に設けられたほぼ同一直線上にある2つの位置決めピン貫通穴部24bの各中心位置と、マイクロチップ10に設けられた一対の位置決め用穴部17の各中心位置とを略一致させることにより、マイクロチップの位置決めが行われる。
【0048】
マイクロチップ10の位置決めは以下のように行われる。まず、SPRセンサ装置内に挿入されたマイクロチップ10の一対の位置決め用穴部17と各試料固定部24にそれぞれ設けられた位置決めピン貫通穴部24bとの位置を合わせる。次に、位置決め機構本体25aの下面から突出した位置決めピン25bを位置決めピン貫通穴部24bに挿入し、当該位置決めピン25bが位置決めピン貫通穴部24bおよび位置決め用穴部17の双方に挿入されるように、マイクロチップ10の位置を調整する。この後、固定用ねじ25cと試料固定部24に設けられている固定用ねじ穴部24aとにより各位置決め機構をねじ止めする。
【0049】
ここで、マイクロチップ10に設けられた一対の位置決め用穴部17の位置と試料固定部24に設けられた位置決めピン貫通穴部24bの位置は、マイクロチップ10が位置決めされたときこのマイクロチップ10の2つの流路14が測定領域Rに位置するように各々設定されている。
すなわち、一対の位置決め用穴部A1およびB1と各位置決めピン貫通穴部24bとが位置決めされると、比較参照部に相当する流路a1内の金属薄膜c1と測定部に相当する流路b1内の金属薄膜d1とが測定領域R内に位置決めされる。
同様に、一対の位置決め用穴部A2およびB2と各位置決めピン貫通穴部24bとが位置決めされると流路a2内の金属薄膜c2と流路b2内の金属薄膜d2とが測定領域R内に位置決めされ、一対の位置決め用穴部A3およびB3と各位置決めピン貫通穴部24bとが位置決めされると流路a3内の金属薄膜c3と流路b3内の金属薄膜d3とが測定領域R内に位置決めされ、一対の位置決め用穴部A4およびB4と各位置決めピン貫通穴部24bとが位置決めされると流路a4内の金属薄膜c4と流路b4内の金属薄膜d4とが測定領域R内に位置決めされ、一対の位置決め用穴部A5およびB5と各位置決めピン貫通穴部24bとが位置決めされると流路a5内の金属薄膜c5と流路b5内の金属薄膜d5とが測定領域R内に位置決めされる。
【0050】
以下、SPRセンサ装置を用いて、試薬中の抗原濃度を測定する場合の測定手順の例を示す。
測定には2つの流路14を用いる。前述したように測定領域Rに位置する2つの流路14のうち、一方の流路14は比較参照部として用いられ、他方の流路14は検体中の抗原濃度を測定するための測定部として用いられる。
【0051】
(1)まず、図示を省略した検体供給手段により、濃度が既知である抗原を含有する液体状の検体を比較参照部に相当する流路14の検体流入口14aより注入し、検体流出口14bより排出させる。これにより、流路14中の金属薄膜13上に固定されている抗原Igと検体中の抗原とが反応して結合する。
(2)一方、同じく図示を省略した検体供給手段により、濃度が未知である抗原を含有する液体状の検体を測定部に相当する流路14の検体流入口14aより注入し、検体流出口14bより排出させる。これにより、流路14中の金属薄膜13上に固定されている抗原Igと検体中の抗原とが反応して結合する。
【0052】
(3)次にプリズム保持部に設置されたプリズム21表面にマッチングオイルMOを塗布する。
(4)制御部40によりプリズム駆動機構21bの駆動を制御して、プリズム保持部21aの位置を上方に移動させ、マッチングオイルMOが塗布されたプリズム21表面と、マイクロチップ10の下面(第2のマイクロチップ基板12の下面)とを接触させる。上記したように、第2のマイクロチップ基板12はプリズム21と同じ材質のガラス基板であり、マッチングオイルはこのガラス材料と同一の屈折率をもった媒質であるので、マイクロチップとプリズム21とは光学的に接合される。
【0053】
(5)制御部40により光源22を駆動する。光源22は、例えば、半導体レーザ光源(以下、LD光源ともいう)であり、例えば波長760nmの光を放出する。このLD光源から放出された光は偏光素子22aによりP偏光の光となり、レンズ22bによって平行光にコリメートされる。
この平行光は、測定領域Rにある比較参照部に相当する流路14内の金属薄膜13と測定部に相当する流路14内の金属薄膜13とに照射され、両金属薄膜13による反射光がCCD23に到達する。ここで比較参照部、測定部に注入・排出する検体は、含有する抗原の濃度が相違するので、比較参照部、測定部の各々の金属薄膜13に固定された抗体Igの状態も相違する。よって、各金属薄膜13表面での屈折率変化や表面プラズモン共鳴角も相違するので、SPRにより強度が減衰した反射光のCCD受光面上の位置も互いに相違する。制御部40は、CCD23の受光面に到達した2つの強度が減衰した反射光の位置情報を画像情報として受信し、それらを比較・解析して、金属薄膜13表面にて発生した抗体抗原反応の状態(抗体と抗原との結合特性等)を特定し、例えば、測定部に注入した検体内の抗原濃度を算出する。
【0054】
(6)流路a1およびb1の隣に位置する流路a2およびb2を用いて2回目の測定を行う場合は、以下の手順で行う。まず、制御部40によりプリズム駆動機構21bの駆動を制御して、プリズム保持部21aの位置を下方に移動させ、マッチングオイルMOが塗布されたプリズム21表面と、マイクロチップ10の下面(第2のマイクロチップ基板12の下面)とを離間させる。
(7)次に、マイクロチップ10の位置決めを行う。図8に2回目以降の位置決め手順を示す。
図8(a)は1回目の測定におけるマイクロチップ10の配置を示す。測定領域Rには、測定部用および比較参照部用の流路14に相当する流路a1およびb1が位置している。図8(b)に示すように、まず位置決め機構25が解除され、次に流路a2およびb2が測定領域Rに位置するようマイクロチップ10が矢印方向に移動する。
そして、一対の位置決め用穴部A2およびB2(図5(a)参照)の各中心位置と、各試料固定部24に設けられた2つの位置決めピン貫通穴部24b(図6(a)、図7参照)の各中心位置とを略一致させる。次に、図8(c)に示すように、位置決め機構25により、マイクロチップ10の位置決めを行う。
【0055】
(7)その後、上記した手順(1)〜(5)を実行することにより2回目の測定が行われる。
(8)流路a3およびb3を用いた3回目の測定、流路a4およびb4を用いた4回目の測定、流路a55およびb5を用いた5回目の測定も、上記した2回目の測定と同様な手順を経て行われる。すなわち、試料固定部24の長さは、マイクロチップの流路a1およびb1を測定する場合も、マイクロチップの流路a5およびb5を測定する場合もマイクロチップの突出した接合面LLと上記試料固定部24の測定基準面とを一致させることが可能な長さとなっている。
【0056】
2回目〜5回目の測定においても、本発明のマイクロチップは、SPRセンサ装置の押付け機構保持部35aに設けられた押付け機構35(ボールプランジャー)により上方向へ力を受ける。よって、マイクロチップ10の突出部16上面の一部(接合面LL)の一部は、試料固定部24の下面(測定基準面L)と接触し、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板12との接合面LLは、第2のマイクロチップ基板12の厚みのばらつきに左右されることなく測定基準面Lに一致する。よって、上記接合面LL上に設けられた金属薄膜13の上下方向の位置もばらつかず一定となる。
【0057】
上記した実施例に示したマイクロチップ10は、図1に示すような第2のマイクロチップ基板12と試料固定部24とによりマイクロチップ10の支持を行う方式を採用するため、第2のマイクロチップ基板12が第1のマイクロチップ基板11よりも大きく、第1のマイクロチップ基板11の長手方向の長さと第2のマイクロチップ基板12の長手方向の長さとが同じとなっているが、必ずしも両基板の形状は必ずしもこれに限るものではない。
例えば、図9(a)に示すように、第1のマイクロチップ基板11の長手方向の長さが第2のマイクロチップ基板12の長手方向の長さより長くてもよい。また、図9(b)に示すように、第1のマイクロチップ基板11の長手方向の長さが第2のマイクロチップ基板12の長手方向の長さより短くてもよい。更には、図9(c)に示すように、第1のマイクロチップ基板11を複数個に分割して構成してもよい。すなわち、第2のマイクロチップ基板12が第1のマイクロチップ基板11よりも大きければよい。なお、図9に示す構成のマイクロチップ10においても、上記突出部16を除いた部分をマイクロチップ本体部15という。図9では、突出部16と本体部15の境界を点線で示している。
【0058】
なお、図10のように、プリズム21や光源22、CCD23を上側に配置して、試料固定部24の測定基準面Lとマイクロチップ10の第2のマイクロチップ基板12が突出した接合面LLとを一致させる場合は、図6に示すような押付け機構を設けなくても確実に第2のマイクロチップ基板12上の金属薄膜13の上下方向の位置を一定の位置に設定することができる。
【0059】
このような構成を採用したSPRセンサ装置の例を図11に示す。図6に示すSPRセンサ装置と一部の構成要素の位置が相違するだけなので、詳細な説明は省略する。上記したように、図11に示すSPRセンサ装置は、押付け機構を設けなくても確実に第2のマイクロチップ基板12上の金属薄膜13の上下方向の位置を一定の位置に設定することができるが、位置決め機構25を下側から取り付けることになるので、図6に示すSPRセンサ装置と比べて作業性にやや劣る。
【0060】
以上のように、本実施例のマイクロチップ10は、一方の面に溝部が形成されている第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板12とを接合した構造であって、第2のマイクロチップ基板12の接合面LL上に表面プラズモン共鳴を用いた測定用の金属薄膜13が施されていて、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板12の接合面LLが突出した構造を有しているので、突出した接合面LLをSPRセンサ装置の測定基準面Lと一致させることにより、第2のマイクロチップ基板12の厚みのばらつきに関係なく、第2のマイクロチップ基板12上の金属薄膜13の上下方向の位置を一定の位置に設定することができる。そのため、金属薄膜13裏面に到達後、SPRにより強度が減衰した反射光のCCD受光面上での到達位置もばらつかず、観測結果データの誤差の発生を抑制することができる。
【0061】
特に、第2のマイクロチップ基板12がガラスもしくは環状オレフィン構造を持つ樹脂からなり、第1のマイクロチップ基板11と比較して第2のマイクロチップ基板12の方が大きくなるように構成すると、両者を接合した際、第2のマイクロチップ基板12の接合面LLは第1のマイクロチップ基板11から突出した状態となる。この突出した接合面LLとSPRセンサ装置の試料固定部24の測定基準面Lとを一致させると、マイクロチップ10の支持は、第2のマイクロチップ基板12と試料固定部24とにより行われる。第2のマイクロチップ基板12はガラスや環状オレフィン構造を有する樹脂といった比較的硬い材質からなるので、マイクロチップ10に作用する重力の影響を受けても変形せず、また、マッチングオイルMOを介したプリズム接合時や検体供給手段の検体送液用チューブをマイクロチップ流路14に接続する際にプリズム21やチューブを介してマイクロチップに対してある程度の力が作用しても変形しない。そのため、第2のマイクロチップ基板12上にある金属薄膜13の位置が測定基準面からずれてしまう可能性は生じない。
【0062】
ここで、マイクロチップに金属薄膜13を内部に内包する流路14を複数設ける場合、各流路14内の金属薄膜13の位置が同一直線上に配置されていると、各測定を行う場合のマイクロチップの位置決めは、この同一直線と同じ方向にずらすことにより行うことができる。すなわち、図5(a)に示すように、金属薄膜c1、c2、c3、c4、c5の位置をほぼ同一線上に配置し、金属薄膜d1、d2、d3、d4、d5の位置をほぼ同一線上に配置することにより、マイクロチップをこの直線と同方向の一次元方向に移動させることにより、金属薄膜c1とd1、c2とd2、c3とd3、c4とd4、c5とd5をそれぞれ測定領域R内に配置することができる。
【0063】
本実施例のマイクロチップ10を使用するSPRセンサ装置は、測定基準面Lを有する試料固定部24を有している。そして、上記測定基準面Lと上記したマイクロチップ10の突出した接合面LLとを接触させて、測定基準面Lと上記接合面LLを一致させることが可能となっている。よって、マイクロチップ10の第2のマイクロチップ基板12の厚みのばらつきに関係なく、第2のマイクロチップ基板12上の金属薄膜13の上下方向の位置を一定の位置に設定することができる。そのため、金属薄膜13裏面に到達後、SPRにより強度が減衰した反射光のCCD23の受光面上での到達位置もばらつかず、観測結果データの誤差の発生を抑制することができる。
【0064】
また、本実施例のSPRセンサ装置において、第2のマイクロチップ基板12の接合面LLが第1のマイクロチップ基板11から突出した状態の本実施例のマイクロチップを使用する場合、第2のマイクロチップ基板12が突出した接合面LLと上記試料固定部24に設定された測定基準面Lとを一致させる際、第2のマイクロチップ基板12の測定基準面Lと一致する面とは反対側の第2のマイクロチップ基板12の面に、上記測定基準面Lに垂直かつ上記測定基準面Lに向かう方向の力を作用させる押し付け機構35を設けることにより、より確実に第2のマイクロチップ基板12上の金属薄膜13の上下方向の位置を一定の位置に設定することができる。
【0065】
ここで、第2のマイクロチップ基板12上の複数の金属薄膜13の光照射される位置がほぼ同一線上にあるように配置されているマイクロチップを用いて、マイクロチップを測定の都度、金属薄膜13が配置されている同一直線と同方向の一次元方向に移動させる場合を考える。
SPRセンサ装置において、マイクロチップ10を金属薄膜13が配置されている同一直線と同方向の一次元方向に移動させてもマイクロチップ10の突出部16が試料固定部24の測定基準面Lと一致しているように、上記試料固定部24の長さを設定しておくことにより、いかなる測定時においても確実に第2のマイクロチップ基板12上の金属薄膜13の上下方向の位置を一定の位置に設定することができる。
【0066】
(2)第2の実施例
次に、マイクロチップの複数の金属薄膜の光照射される位置を、突出部が設けられた辺に平行で、該辺に等距離にある中央線上の点に対して、点対称となるような位置に配置し、点対称となる点を中心にマイクロチップを180°回転させることで、測定済みの行と未測定の行を上下段で入れ替え、複数の流路の測定を迅速に行うことができるようにした実施例について説明する。
【0067】
図12に本実施例のマイクロチップの外観図、図13にマイクロチップ各部分の詳細説明図を示す。図13(a)は本実施例のマイクロチップの断面図であり、同図(c)のC−C断面図を示す。図13(b)は同図(a)のA−A断面図、同図(c)は同図)(a)のB−B断面図である。
本実施例のマイクロチップは、流路の数が相違するだけで、基本的に第1の実施例のマイクロチップと同様の構成を有する。
すなわち、本実施例のマイクロチップ10は、図12に示すように一対の基板(第1のマイクロチップ基板11、第2のマイクロチップ基板12)が対向して接合された構造を有し、図13(c)にも示すように、第1のマイクロチップ基板11に比べて第2のマイクロチップ基板12の方が大きく、マイクロチップ本体部15の流路が形成された面の両側の側面が突出し、突出部16が形成されている。突出部16の一方の面は、上記第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板12の接合面LLと同一平面を有する。
第1の実施例と同様、第1のマイクロチップ基板11は、例えば、ポリジメチルシロキサン(PolydimethylsiLoxane:PDMS)などのシリコーンからなる。一方、上記したように第2のマイクロチップ基板12は、プリズム21と同じ材質のガラス基板からなる。
【0068】
図12、図13(a)に示すように、第1のマイクロチップ基板11に形成された微細な溝部と第2のマイクロチップ基板12表面とにより、流路14が構成され、本実施例のマイクロチップには20個の流路14が設けられている。具体的には、上記マイクロチップ10には、1列5個の流路14が4行設けられおり、各行、列の流路14は等間隔、かつ、ほぼ直線状に配置されている。
各列の流路14は間隔Dで、等間隔に配置されている。後で述べる測定例のように1回の測定で2つの流路14を使用する場合、このマイクロチップでは10回の測定を行うことが可能となっている。すなわち、列A,列Bの対で5回の測定、列C,列Dの対で5回の測定が可能となる。ここで、列A、列Bの対と列C,列Dの対は、マイクロチップ本体部15の突出部16が設けられた辺に平行で、該辺に等距離にある中央線上の点に対して、点対称となるように配置されている。
【0069】
図13(b)に示すように、流路14内には第1の実施例と同様、金属薄膜13が設置される。金属薄膜13は流路14内の、第1および第2のマイクロチップ基板12の接合面LL上に設けられる。抗体抗原反応をモニタリングする場合、金属薄膜13上に抗体(抗原受容体)が設置される。ここで、列A、列B、列C,列Dの各流路の金属薄膜13の光照射される位置は、マイクロチップ本体部15の突出部16が設けられた辺に平行で、該辺に等距離にある中央線上の点に対して、点対称となるように配置されている。
マイクロチップ10の突出部16には、長手方向に沿って位置決め用穴部17が設けられている。
【0070】
図14に、本実施例のマイクロチップを用いたSPRセンサ装置の構成例を示す。なお、前記したように上記SPRセンサ装置を、抗体抗原反応をモニタリングするバイオセンサとして使用する場合を例に取る。
ここで図14(a)はSPRセンサ装置の上面図、図14(b)は図14(c)のB−B断面図、図14(c)は図14(a)のA−A断面図である。
図14に示すSPRセンサ装置は、一対の試料固定部24が本実施例のマイクロチップを搭載できる間隔に配置されている点を除き、前記第1の実施例で説明したものと基本的に同じ構成を有し、以下簡単に説明する。
図6に示したものと同様、SPRセンサ装置は、底板33と長手方向側板32およびマイクロチップ搬入・退出部34が設けられた2枚の側板31と、上面側に設けられた2枚の試料固定部24とから構成される筐体構造を有する。
この筐体構造の内部には、押付け機構保持部35aが設けられ、その上に押付け機構35が、複数設けられる。また、筐体構造の内部には、光源22と偏光子22aとレンズ22bとCCD23が設けられ、また、プリズム21を保持するプリズム保持部21aと、マイクロチップの下面にプリズム21を取り付けるためのプリズム駆動機構21bが設けられる。
【0071】
SPRセンサ装置内に挿入されたマイクロチップ10は、マイクロチップ10に設けられた流路14が所定の測定領域Rに位置するよう位置決めされる。ここで所定の測定領域Rとは、光源22からの光がマイクロチップ10に設けられた複数の流路14のうちの特定の流路14内の金属薄膜13に照射される位置である。
マイクロチップの位置決めをするために、位置決め機構25が設けられ、前記したように、試料固定部24に設けられた位置決めピン貫通穴部24bと、マイクロチップ10に設けられた位置決め用穴部17とを、位置決めピン25bにより位置合わせすることにより行われる。
【0072】
以下、上記SPR装置を用いて、試薬中の抗原濃度を測定する場合の測定手順の例を示す。なお、以下の(1)〜(5)までの手順は、前記第1の実施例の(1)〜(8)の手順と同じであり、簡単に説明する。
測定には、前記したように2つの流路を用いる。図13(a)には、列Aならびに列Bに配置されている流路を用いる例が示されている。測定領域に位置する2つの流路のうち、一方の流路は比較参照部として用いられ、他方の流路は検体中の抗原濃度を測定するための測定部として用いられる。
(1)図示を省略した検体供給手段により、濃度が既知である抗原を含有する液体状の検体を比較参照部に相当する流路b1の検体流入口より注入し、検体流出口より排出させる。これにより、流路b1中の金属薄膜13上に固定されている抗体と検体中の抗原とが反応して結合する。また、抗原濃度が未知である抗原を含有する液体状の検体を測定部に相当する流路a1の検体流入口より注入し、検体流出口より排出させる。これにより、流路a1中の金属薄膜13上に固定されている抗体と検体中の抗原とが反応して結合する。
【0073】
(2)次にプリズム保持部21aに設置されたプリズム21表面にマッチングオイルMOを塗布し、制御部40によりプリズム駆動機構21bの駆動を制御して、前記したように、マッチングオイルMOが塗布されたプリズム21表面と、マイクロチップ10の下面とを接触させる。
(3)制御部40により光源22を駆動し、P偏光の光を測定領域にある比較参照部に相当する流路b1内の金属薄膜13と、測定部に相当する流路a1内の金属薄膜13とに照射し、両金属薄膜13による反射光がCCD23に到達する。
制御部40は、CCD23受光面に到達した2つの強度が減衰した反射光の位置情報を画像情報として受信し、それらを比較・解析して、金属薄膜表面にて発生した抗体抗原反応の状態を特定し、例えば、測定部に注入した検体内の抗原濃度を算出する。
【0074】
(4)流路a1およびb1の隣に位置する流路a2およびb2を用いて2回目の測定を行う。
まず、制御部40によりプリズム保持部21aの位置を下方に移動させ、プリズム21表面と、マイクロチップ10の下面とを離間させる。次に、マイクロチップの位置決めを行う。
図15に2回目以降の位置決め手順を示す。図15(a)は1回目の測定におけるマイクロチップの配置を示す。測定領域Rには、測定部用および比較参照部用の流路に相当する流路a1およびb1が位置している。次に、まず位置決めピン25bを取り外し、図15(b)に示すように、流路a2およびb2が測定領域Rに位置するようマイクロチップ10を矢印方向に移動させる。そして、前記したように、位置決めピン25bを一対の位置決め用穴部17および位置決めピン貫通穴部24b(図7参照)に挿入してマイクロチップ10の位置決めを行う。
【0075】
(5)その後、上記した手順(1)〜(3)を実行することにより2回目の測定が行われる。流路a3およびb3を用いた3回目の測定、流路a4およびb4を用いた4回目の測定、流路a5およびb5を用いた5回目の測定も、上記した2回目の測定と同様な手順を経て行われる。
(6)6回目以降の測定は、マイクロチップの列Cにある流路(c1,C2,c3,C4,C5)と、列Dにある流路(d1,d2,d3,d4,d5)とを用いて行われる。6回目の測定を行う場合は、以下の手順で行う。
まず、制御部40によりプリズム保持部21aの位置を下方に移動させ、プリズム21表面と、マイクロチップ10の下面とを離間させる。
【0076】
(7)次に、図16(a)に示すように、位置決めピンを取り外した後にマイクロチップを180度反転させ、図16(b)に示すように、SPR装置の試料固定部24に設置する。そして、前記したように、位置決め機構25によりマイクロチップ10を位置決めする。これにより、測定領域Rには、流路c5、d5が位置決めされる。
(8)その後、上記した手順(1)〜(3)の手順を実行することにより6回目の測定が行われる。
(9)7回目の測定は、マッチングオイルが塗布されたプリズム21表面と、マイクロチップ10の下面とを離間させ、図16(c)に示すように、流路c4およびd4が測定領域に位置するようマイクロチップを矢印方向に移動させ、位置決め機構25により、マイクロチップ10を位置決めする。これにより、測定領域Rには、流路c4、d4が位置決めされる。
(10)その後、上記した手順(1)〜(3)の手順を実行することにより6回目の測定が行われる。
(11)流路c3およびd3を用いた8回目の測定、流路c2およびd2を用いた9回目の測定、流路c1およびd1を用いた10回目の測定も、上記した7回目の測定と同様な手順を経て行われる。
【0077】
以上のように、本実施例のマイクロチップは、前記第1の実施例と同様、第1のマイクロチップ基板とガラスからなる第2のマイクロチップ基板とを接合した構造であって、第2のマイクロチップ基板の接合面上に表面プラズモン共鳴を用いた測定用の金属薄膜が施されていて、マイクロチップに金属薄膜を内部に内包する流路を複数設けられている。
そして、前記第1の実施例と同様、各流路内の金属薄膜の位置が同一直線上に配置されており、複数回の測定を行う場合、上記同一直線状と同方向の一次元方向にマイクロチップを移動させるという単純な移動動作だけで、各金属薄膜をそれぞれ測定領域内に配置することができる。また、各金属薄膜の位置を等間隔に配置しておくとマイクロチップの上記移動量も等間隔となるので、自動でマイクロチップの移動を実施する場合においては移動量の制御が容易となる。
【0078】
さらに、本実施例のマイクロチップは、測定対象である同一直線上に配置された金属薄膜が内包された複数の流路の列について、マイクロチップ本体部の突出部が設けられた両側の辺に平行で該辺に等距離にある中央線上の点に対して、点対称となるような位置に当該列と同様の複数の流路の列を設けているので、ある列に属する流路を用いた測定終了後、マイクロチップを180度反転させて、他の列に属する流路を用いた測定を実施することができる。このため、効率的かつ短時間での測定が可能となる。
【符号の説明】
【0079】
10 マイクロチップ
11 第1のマイクロチップ基板
12 第2のマイクロチップ基板
13 金属薄膜
14 流路
14a 検体流入口
14b 検体流出口
15 マイクロチップ本体部
16 突出部
17 位置決め用穴部
20 SPRセンサ装置(表面プラズモン共鳴測定装置)
21 プリズム
21a プリズム保持部
22 光源
22a 偏光子
22b レンズ
23 CCD
24 試料固定部
24a 固定用ねじ穴部
24b 位置決めピン貫通穴部
25 位置決め機構
25a 位置決め機構本体
25b 位置決めピン
25c 固定用ねじ
25d 固定用ねじ貫通穴部
31 側板
32 長手方向側板
33 底板
34 マイクロチップ搬入・退出部
35 押付け機構
35a 押付け機構保持部
40 制御部
Ig 抗体
L 測定基準面
LL 接合面
MO マッチングオイル
R 測定領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に溝部が形成されている第1のマイクロチップ基板と、表面に金属薄膜が成膜されている第2のマイクロチップ基板とからなり、第1のマイクロチップ基板の溝部が形成されている面と第2のマイクロチップ基板の金属薄膜が成膜されている側の面とが接合されてなり、第1のマイクロチップ基板の溝部と第2のマイクロチップ基板表面とにより形成される流路内に上記金属薄膜が内包されていて、
上記第2のマイクロチップ基板の上記金属薄膜が形成されている面とは反対側の面から上記金属薄膜に対して光照射し、上記金属薄膜上の試料に対して表面プラズモン共鳴測定を行う際に使用されるマイクロチップであって、
上記マイクロチップにおいて、上記流路が設けられた面の両側の側面に突出部が形成され、該突出部の一方の面は、上記第1のマイクロチップ基板と第2のマイクロチップ基板の接合面(LL)と同一平面である
ことを特徴とする表面プラズモン共鳴測定用マイクロチップ。
【請求項2】
第2のマイクロチップ基板がガラスもしくは環状オレフィン構造を持つ樹脂から成り、第1のマイクロチップ基板と比較して第2のマイクロチップ基板の方が大きく、該第2のマイクロチップ基板の一部が上記突出部を形成し、上記突出部の一方の面は、第2のマイクロチップ基板の第1のマイクロチップ基板との接合面(LL)と同一平面である
ことを特徴とする請求項1記載の表面プラズモン共鳴測定用マイクロチップ。
【請求項3】
第2のマイクロチップ基板上には、複数の金属薄膜が設けられており、複数の金属薄膜は1乃至複数の行列状に配列され、各行および列を構成する各金属薄膜の光照射される位置がほぼ同一直線上にあるように配列されている、
ことを特徴とする請求項1もしくは請求項2のいずれかに記載のマイクロチップ。
【請求項4】
上記マイクロチップから前記突出部を除いた部分であるマイクロチップ本体部の金属薄膜が設けられる面は矩形状であって、複数の金属薄膜の光照射される位置は、上記マイクロチップ本体部において、突出部が設けられた辺に平行で、該辺に等距離にある中央線上の点に対して、点対称となるような位置に配列されている
ことを特徴とする請求項1,2もしくは3のいずれかに記載の表面プラズモン共鳴測定用マイクロチップ。
【請求項5】
請求項1,2,3もしくは請求項4に記載のマイクロチップを保持する板状の試料固定部と、光源と、プリズムと、光検出器とを備え、該光源から放出される光を上記マイクロチップの金属薄膜に対して照射し、上記金属薄膜からの反射光を上記光検出器で検出して金属薄膜上の試料特性を求める表面プラズモン共鳴センサ装置において、
上記試料固定部のいずれか一方の面は、上記マイクロチップの接合面(LL)と同一平面である突出部の一方の面と接触する測定基準面(L)として設定され、
上記測定基準面(L)は、上記マイクロチップを、上記突出部の上記一方の面が該測定基準面(L)と接触するように上記試料固定部に保持させたとき、上記マイクロチップの金属薄膜に対して上記光源からの光を光照射可能であって、かつ、上記金属薄膜からの反射光を上記光検出器で検出可能な位置に設定されている
ことを特徴とする表面プラズモン共鳴測定装置。
【請求項6】
マイクロチップを上記試料固定部に保持させる際、該マイクロチップの接合面(LL)と同一平面である突出部の一方の面と上記試料固定部に設定された測定基準面(L)とが一致するように、上記突出部の他方の面に、上記測定基準面(L)に垂直でかつ上記測定基準面(L)に向かう方向の力を作用させる加圧機構を備える
ことを特徴とする請求項5に記載の表面プラズモン共鳴測定装置。
【請求項7】
上記試料固定部には、上記試料固定部の測定基準面(L)に平行な平面上において、上記マイクロチップを位置決めするための位置決め機構が設けられ、該位置決め機構により、上記マイクロチップの各金属薄膜が、上記光源からの光を光照射可能であって、かつ、該金属薄膜からの反射光を上記光検出器で検出可能な位置に位置決めされる
ことを特徴とする請求項5もしくは請求項6にいずれか記載の表面プラズモン共鳴測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−98246(P2012−98246A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248351(P2010−248351)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】