説明

表面再生型光記録媒体

【課題】 耐久性に優れた表面再生型光記録媒体を提供する。
【解決手段】 基板上に少なくとも反射層、記録層及び保護層をこの順に形成した表面再生型光記録媒体または基板上に少なくとも放熱層、熱遮断層、反射層、記録層および保護層をこの順に積層した表面再生型光記録媒体において、反射層がAuとCuとの合金で構成されており、Au含有量を50〜99.9原子%とする。また、放熱層がAuとCuとの合金で構成されており、Au含有量を0.1〜99.9原子%とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、書き換えが可能な光記録媒体の中で特に媒体表面から光を入射して記録再生する表面再生型光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】光記録媒体は、大容量・高密度記録が可能な可搬型記録媒体であり、近年のマルチメディア化に伴なうコンピュータの大容量ファイルや動画を記録する書き換え型メディアとして需要が急増しつつある。
【0003】光記録媒体の中で光磁気記録媒体は、一般にプラスチック等の透明な円盤状の基板に記録層を含む多層膜を形成し、磁界を加えながらレーザーを照射して記録、消去を行い、レーザーの反射光で再生する。記録方式は、従来、固定磁界を加えて消去した後、反対方向の固定磁界を加えて記録するいわゆる光変調記録が中心であったが、近年、レーザーを照射しながら、磁界を記録パターンに従って変調させる磁界変調方式が、1回転で記録(ダイレクトオーバーライト)可能でしかも高記録密度になっても正確に記録できる方式として注目を浴びている。
【0004】記録再生のためのレーザーは従来、基板を通して記録膜に照射されていたが、最近、光学ヘッドを記録膜に近付けて記録再生する、いわゆる、近接場光記録が高密度化の手段として注目されている(Appl.Phys.Lett.68,p.141(1996))。
【0005】この記録方法の一つとして、Solid Immersion Lens(以下SILと略す)ヘッドを使用し、レーザービームスポットサイズを縮小することにより、光源のレーザー波長(λ)によって決まる従来の記録限界(〜λ/2NA:NAは対物レンズの開口数)より短いマークでの再生が可能となる方法があり、超高記録密度の記録再生が実現できる。
【0006】この近接場光記録では、光学ヘッドを記録媒体に近付ける必要があるために(20〜200nm)、従来の光磁気記録媒体のように基板を通して記録膜にレーザービームを照射するのではなく、基板を通さずに直接記録膜にレーザービームを照射する方法を用いる。
【0007】すなわち、記録膜の構成が従来の光記録媒体では基板/第1保護層/記録層/第2保護層/反射層としているのが一般的であるのに対して、近接場光記録では基板/反射層/第1保護層/記録層/第2保護層という逆構成の膜構造として膜表面側からレーザービームを照射し、記録再生を行なう(表面読み出し型記録)。
【0008】近接場記録では、記録膜とSILヘッドとを近付けるために浮上式のスライダーヘッドを利用することが提案されている。また、記録に関しては、レーザービームを照射して記録層をキュリー温度以上に上げながら、スライダーヘッドに形成された薄膜コイルなどにより磁界を変調させながら記録する磁界変調記録が近接場光磁気記録には適していると言われている。
【0009】また、NAが0.7〜1.0までの高NA対物レンズを使ったシステムでは薄膜の上の保護コートを通して記録再生する表面記録方式の光記録システムが提案されている。(Jpn.J.Appl.Phys.36,p.456−459(1997))
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにSILを使うと高密度記録が可能であるが、近接場記録では、光記録媒体の薄膜の上を直接ヘッドが浮上するため、薄膜が直接大気にさらされ、耐久性の確保が重要な課題となっている。また、NAを1以下として薄膜の上の保護コートを通して記録再生する表面記録方式においても、保護コートが薄ければ異物欠陥を通して大気が侵入するので耐久性は同様に課題となる。
【0011】従って、本発明の目的は、耐久性に優れた表面再生型記録媒体を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述のような現状に鑑み、鋭意検討を重ね、以下のような本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明は基板上に少なくとも反射層、記録層および保護層をこの順に積層した表面再生型光記録媒体において、反射層がAuとCuとの合金で構成されることを特徴とする表面再生型光記録媒体に関する。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】図1に本発明の光記録媒体の一実施態様の部分断面図を示す。基板11上に反射層12、記録層13および保護層14が積層されている。
【0016】基板11としては、機械特性などの媒体基板としての特性を満たすものであれば特に限定されず、ガラスや、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、熱可塑性エンジニアリングプラスチック等の熱可塑性樹脂を用いることができる。基板上には、情報を記録するためにピット、ランド部や案内溝等を片面または両面に射出成形等により設けることができ、近接場記録用の基板としては、基板の両面にそれらを設けることが、記録容量を増大させる点で好ましい。
【0017】反射層12としては、AuとCuとの合金から構成される膜を用いればよい。
【0018】Au単体で反射膜を構成した場合、密着させるべき基板等の上にシリカ等の酸化物からなるゴミが存在すると、この酸化物とAu膜との密着性が悪いために耐久性試験を行うと、このゴミの部分から剥離が起こる場合がある。従って、Auの含有量としては、Auの高反射率・高耐食性という特性を維持しつつ、Cu添加による効果、すなわち、基板や記録層と反射層との密着性を向上させて耐久性を改善し、かつ、反射層における結晶成長を抑えて表面粗さを改良してSNRを向上させ、さらに反射層の硬度を増加させて、ヘッドの浮上性を向上させるために、50〜99.9原子%が好ましく、更に好ましくは、95〜99.9原子%である。
【0019】また、本発明の反射層はAuとCuの合金に硬さなどを調節する目的でTi、Ta、Crなどのその他の元素を5原子%以下含んでいてもよい。
【0020】記録層13としては、光磁気記録の場合、TbFeCo、TbDyFeCo、NdDyFeCoなど垂直磁気異方性の大きなアモルファス希土類遷移金属膜や、Pt/Coなどの人工格子膜で構成される。記録層13の膜厚は10nm〜200nmが好ましく、記録層が単層の場合、SNRを考慮すると、記録層13の膜厚は15nm〜40nmが更に好ましい。
【0021】記録層13は、必ずしも単層膜である必要はなく、GdFeCoなどの記録磁界感度を高める層との積層、あるいは磁気超解像の中間層、再生層との積層などでもよい。ここで記録層13には耐食性を高めるために Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,MoおよびWなどの耐食性元素を添加したり、短波長でのカー回転角を高めるために数原子%のNdなどを添加したものであってもよい。
【0022】また、相変化記録の場合、記録層13としては、GeSbTe、AgInSbTeなど結晶とアモルファスとの間で光学定数が変化する材料で構成される。記録層13の膜厚は10nm〜40nmが好ましい。
【0023】記録層13の上には、AlN、SiN、GeN、Ta25、ZnS−SiO2等の透明な誘電体からなる保護層14を形成する。保護層14の膜厚は、記録されたマークからの信号出力が増大するような膜厚に設定される。
【0024】保護層14は、上述のような誘電体の単層であってもよいが、単層の誘電体とダイヤモンドライクカーボン(DLC)などの固体潤滑膜等との積層であってもよい。
【0025】さら、このDLC層の上に、必要に応じて極薄いパ−フルオロポリエ−テルなどの潤滑剤層をディップ引き上げ法等の方法で形成してもよく、そのような構成とすることがスライダーヘッドの浮上特性上さらに好ましい。
【0026】図2に、本発明の光記録媒体の別の一実施態様の部分断面図を示す。基板21上に反射層22、第1保護層23、記録層24、第2保護層25が積層されている。
【0027】第1保護層23および第2保護層25としては、AlN、SiN、GeN、Ta25、ZnS−SiO2等の透明な誘電体を用いることができる。第1保護層23により、記録感度および記録のパワーマージンを高めることが可能である。第1保護層23としては、光磁気記録媒体の場合、Auとの密着性の点から窒化物が好ましいが、相変化記録媒体ではZnS−SiO2を用いる方が記録特性の点で好ましく、どちらの記録媒体においてもAuおよびCuからなる合金を反射層22として用いることにより、第1保護層23への反射層の密着性が確保される。
【0028】図3に本発明の光記録媒体の別の一実施態様の部分断面図を示す。基板31上に放熱層32、熱遮断層33、反射層34、記録層35および保護層36が積層されている。このような光記録媒体では、基板31と反射層34との間にAuおよびCuの合金で構成される放熱層32、および熱遮断層33をこの順に積層することにより記録のパワーマージンが向上し、高密度記録で良好なSNRが安定して得られるので好ましい。
【0029】ここで、熱遮断層33としては、SiN、GeN、Ta25、ZnS−SiO2等の熱絶縁性に優れた誘電体により構成されることが好ましく、Auとの密着性の点からは、窒化物がさらに好ましい。
【0030】窒化物であっても環境試験後は異物などの影響で酸化し密着性が落ちる場合があるが、AuおよびCuの合金で構成される反射層22により熱遮断層33との密着性が確保され、耐久性が向上する。
【0031】放熱層32としては、反射層と同じくAuおよびCuの合金で構成されることが好ましく、その際のAu含有率としては、0.1〜99原子%の範囲が好ましい。
【0032】放熱層32、熱遮断層33および反射層34の膜厚は、各々10〜100nm、2〜100nm、2〜50nmが好ましい。放熱層32と反射層34との膜厚の合計は、充分な反射効果を得るため、20nm以上であることが好ましい。放熱層32および反射層34の膜厚が厚すぎると記録感度が悪くなったり、表面が荒れてきたりするため、それぞれ100nm以下、50nm以下が好ましい。また熱遮断層33については、薄すぎると熱遮断効果が少なくなり、厚すぎると熱遮断効果が大きくなりすぎて放熱層32の効果が不足する。
【0033】本発明の表面再生型記録媒体の反射層と基板の間に、更に膜厚が1〜30nmのTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,MoおよびWのいずれか一つ以上の元素で構成された下地層を設けることにより、反射層の結晶の粒径制御が可能でSNRが向上し、基板との接着性、耐食性がさらに高めることができる。
【0034】本発明の表面再生型光記録媒体の保護層上に、厚みが1〜200μmの無機あるいは有機材料で構成された保護コートを積層することで、NAが1以下の高NA対物レンズを用いた表面光記録システムに対応が可能である。この場合、保護コート中の異物欠陥を通して大気が侵入することがあっても良好な耐久性を維持することができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0036】実施例1図1に示すような構造の近接場光磁気記録用の媒体を製造した。すなわち、トラックピッチ0.43μmの案内溝の付いたポリカーボネート製の基板11上にAu0.99Cu0.01からなる反射層12をDCスパッタ法で40nmの膜厚に形成した。この上にTbFeCoからなる記録層13を20nm、DCスパッタ法により形成した。
【0037】さらにその上に、ArおよびN2の混合雰囲気中でSiターゲットを使用した反応性DCスパッタ法により、膜厚50nmのSiNとArおよびH2の混合雰囲気中でCターゲットを使用した反応性DCスパッタ法により、膜厚20nmのDLCを順次積層して保護層14を形成した。その後、パーフルオロポリエーテル系液体潤滑層を引き上げ法で1nm塗布して表面再生型光磁気記録媒体を製造した。
【0038】比較例1反射層12を純度99.99%のAuにより形成した以外は、実施例1と同様の方法で表面再生型光磁気記録媒体を製造した。
【0039】実施例2反射層12をAu0.97Cu0.03により形成した以外は、実施例1と同様の方法で表面再生型光磁気記録媒体を製造した。
【0040】実施例3反射層12をAu0.90Cu0.10により形成した以外は、実施例1と同様の方法で表面再生型光磁気記録媒体を製造した。
【0041】実施例4反射層12をAu0.70Cu0.30により形成した以外は、実施例1と同様の方法で表面再生型光磁気記録媒体を製造した。
【0042】比較例2反射層12を純度99.99%のCuにより形成した以外は、実施例1と同様の方法で表面再生型光磁気記録媒体を製造した。
【0043】実施例5基板11の上にDCスパッタ法で下地層としてCrを10nm形成した後、反射層12を形成した他は、実施例1と同様の方法で表面再生型光磁気記録媒体を製造した。
【0044】実施例6図4に示すような構造の近接場光磁気記録用の媒体を製造した。すなわち、トラックピッチ0.43μmの案内溝の付いたポリカーボネート製の基板31上にAu0.98Cu0.02からなる放熱層32をDCスパッタ法で30nmの膜厚に形成した。さらにその上に、ArおよびN2の混合雰囲気中でSiターゲットを使用した反応性DCスパッタ法により、膜厚20nmのSiNからなる熱遮断層33を形成し、さらにその上にAu0.99Cu0.01からなる反射層34をDCスパッタ法で20nmの膜厚に形成した。
【0045】この上に、DCスパッタ法によりTbFeCoからなる記録層35を20nm形成し、さらにその上に、ArおよびN2の混合雰囲気中でSiターゲットを使用した反応性DCスパッタ法により、膜厚50nmのSiNとArおよびH2の混合雰囲気中でCターゲットを使用した反応性DCスパッタ法により膜厚20nmのDLCを順次積層して保護層36を形成した。その後、パーフルオロポリエーテル系液体潤滑層を引き上げ法で1nm塗布して表面再生型光磁気記録媒体を製造した。
【0046】比較例3放熱層32および反射層34を、純度99.99%のAuで形成した他は、実施例6と同様の方法で表面再生型光磁気記録媒体を製造した。
【0047】実施例7図2に示すような構造の表面再生型相変化光記録媒体を製造した。すなわち、トラックピッチ0.43μmの案内溝の付いたポリカーボネート製の基板21上にAu0.97Cu0.03からなる反射層22をDCスパッタ法で50nmの膜厚に形成した。この上に膜厚20nmのZnS−SiO2からなる第1保護層23をRFスパッタ法により形成し、さらにその上にDCスパッタ法によりGeSbTeからなる記録層24を20nm形成した。
【0048】さらに、RFスパッタ法により膜厚60nmのZnS−SiO2と、Cターゲットを使用した反応性DCスパッタ法により膜厚40nmのDLCとを順次積層して第2保護層25を形成した。その後、パーフルオロポリエーテル系液体潤滑層を引き上げ法で1nm塗布して表面再生型相変化光記録媒体を製造した。
【0049】比較例4反射層22を純度99.99%のAuを用いて形成した他は、実施例7と同様の表面再生型相変化光記録媒体を製造した。
【0050】なお、実施例1〜6及び比較例1〜3の光記録媒体のTbFeCo組成は、いずれの媒体も後述する記録条件で記録感度がほぼ一致するように調整して製造した。
【0051】実施例1〜7及び比較例1〜4の表面再生型光記録媒体について、線速度7m/sで媒体を回転させながら、グライドテスト用の70%スライダーを50nmの高さに浮上させてグライドテストを行った。
【0052】その後、線速度10m/sで媒体を回転させて、薄膜面上にレーザー波長680nm、有効NA1.3のスライダーSILヘッドを100nmの高さに浮上させ、レーザーを周波数66MHzでパルス的に照射して記録層をキュリー温度以上に暖めながら、SILヘッド上のコイル磁界を16.5MHzで変調させることでマーク長0.3μmの2T信号を記録した。ここで、磁界の変調幅は±130Oeとした。記録後にレーザーパワー1mWで再生しながら、分解能バンド幅30kHzで1〜30MHzの範囲で信号のスペクトルを観測し、16.5MHzの信号のキャリアとノイズの比をCNRとした。ただし、実施例10および比較例4の媒体については16.5MHzの周波数の光変調により書き込みを行って同様の測定を行った。
【0053】その後、80℃、85%RHの条件で500時間の環境試験を行った。環境試験前後に目視と顕微鏡で検査を行い、環境試験による変化を調べた。
【0054】これらの結果を表1にまとめる。なお、グライドテストについてはヒットがないものを○、10個以内のものを△としてそれ以上のものを×とした。
【0055】
【表1】


【0056】グライドテスト結果については、比較例1、3および4以外は良好であった。比較例1、3および4についても大部分の領域では良好であったが、一部の領域でヒットがみられた。比較例1、3および4についてヒットが多発した領域を顕微鏡で調べたところ、部分的に薄膜がめくれていた。
【0057】CNRについては、比較例1〜2に対して、実施例1〜3ではCNRが高くなった。実施例5および6では実施例1に比べて更にCNRが向上し、下地層や放熱層/熱遮断層の付加によるCNRの改善効果が示された。
【0058】実施例7は相変化光記録媒体なので実施例1〜6までと直接比較はできないが、比較例4と比べてCNRが2dB改善された。
【0059】比較例1〜4以外は媒体全面でめだった孔食、膜浮きなどは視られなかった。比較例1および3については、媒体の最内周および最外周で製造中にマスクや治具等に接触することによって付着した異物を核にわずかに孔食が生じた。比較例3については、同じ部分での孔食が比較例1より進行していた。同じ部分での同様の異物付着は他の媒体にも視られたが、環境試験による顕著な変化はみられず良好であった。比較例2では全面で初期にあった欠陥の回りで孔食が生じていた。比較例4では全面でまばらに膜浮きが見られ、膜がはがれかけており、はがれた部分で孔食が生じていた。
【0060】実施例8図4に示すような構造の近接場光磁気記録用の媒体を製造した。すなわち、トラックピッチが0.5μmの案内溝の付いたポリカーボネート製の基板41上にAu0.98Cu0.02からなる反射層42をDCスパッタ法で40nmの膜厚に形成した。この上にDCスパッタ法によりTbFeCoからなる記録層43を20nm形成した。
【0061】さらに、ArおよびN2の混合雰囲気中でSiターゲットを使用した反応性DCスパッタ法により膜厚120nmのSiNからなる保護層44を形成した。その後、アクリル系の紫外線硬化樹脂からなる保護コート45を6μm塗布し、表面再生型光記録媒体を製造した。
【0062】実施例8で得られた表面再生型光記録媒体について、線速度10m/sで媒体を回転させて、保護コートから約0.1mm離れたNA0.8の対物レンズから保護コートを通して、波長680nmのレーザー光を周波数50MHzでパルス的に照射して記録層をキュリー温度以上に暖めながら、対物レンズと保護コートの間に設けられたコイルの磁界を12.5MHzで変調させることでマーク長0.4μmの2T信号を記録した。ここで、磁界の変調幅は±150Oeとした。記録後にレーザーパワー2mWで再生しながら、分解能バンド幅30kHzで1〜30MHzの範囲で信号のスペクトルを観測し、12.5MHzの信号のキャリアとノイズの比をCNRとした。CNRは45dBと良好な値が得られた。
【0063】この媒体は80℃、85%RHの条件で500時間の環境試験後においても媒体全面で孔食、膜浮きなどは視られず良好な状態であった。
【0064】
【発明の効果】反射層をAuおよびCuの合金で構成することにより、高耐久性の表面再生型光記録媒体が得られる。また、浮上型へッドを用いて記録再生する場合は良好な浮上特性が得られる。さらにAu単体で反射層を形成したときと比べて反射層の表面性が改善されるためCNRが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光磁気記録媒体の一例の構造を示す部分断面図である。
【図2】 本発明の光磁気記録媒体の別の一例の構造を示す部分断面図である。
【図3】 本発明の光磁気記録媒体の別の一例の構造を示す部分断面図である。
【図4】 本発明の光磁気記録媒体の別の一例の構造を示す部分断面図である。
【符号の説明】
11、21、31、41:基板
32 :放熱層
33 :熱遮断層
12、22、34、42:反射層
23 :第1保護層
13、24、35、43:記録層
14、36、44 :保護層
25 :第2保護層
45 :保護コート

【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板上に少なくとも反射層、記録層および保護層をこの順に積層した表面再生型光記録媒体において、反射層がAuとCuとの合金で構成されていることを特徴とする表面再生型光記録媒体。
【請求項2】 基板上に少なくとも放熱層、熱遮断層、反射層、記録層および保護層をこの順に積層した表面再生型光記録媒体において、反射層がAuとCuとの合金で構成されていることを特徴とする表面再生型光記録媒体。
【請求項3】 放熱層がAuとCuとの合金で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の表面再生型記録媒体。
【請求項4】 放熱層におけるAu含有量が0.1〜99.9原子%であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の表面再生型光記録媒体。
【請求項5】 反射層におけるAu含有量が50〜99.9原子%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面再生型光記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2001−266411(P2001−266411A)
【公開日】平成13年9月28日(2001.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−84732(P2000−84732)
【出願日】平成12年3月22日(2000.3.22)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】