説明

表面処理皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料及びその表面処理方法

【課題】アルミニウム又はアルミニウム合金基材の表面に長期間にわたり親水性、高耐食性、抗菌性及び防臭性を保持することができる表面処理皮膜を設けてなるアルミニウム又はアルミニウム合金材料、及びその表面処理方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム又はアルミニウム合金基材の表面に第1保護層と第2保護層とをその順で有し、前記第1保護層が、バナジウムと、チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属とを含有する化成皮膜であり、前記第2保護層が、(1)キトサン誘導体及び可溶化剤と、(2)ポリビニルアルコールの側鎖に親水性ポリマーがグラフト重合してなる変性ポリビニルアルコールと、(3)水溶性架橋剤と、を含有する組成物からなる有機皮膜であるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料及びその表面処理方法に関する。特にそのアルミニウム又はアルミニウム合金材料を自動車等に組み込んで使用する熱交換器及びその表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器、特にアルミニウム製又はアルミニウム合金製のフィンを有する熱交換器の多くは、限られたスペースの中で優れた放熱効率或いは冷却効率を得るために、放熱部及び冷却部の表面積をできる限り大きくとるように設計されている。そのため、フィンとフィンとの間隔が極めて狭くなっている。これら熱交換器を冷却用として使用する場合、大気中の水分がフィンの表面に凝縮し、水滴として表面に付着することがある。こうした水滴の付着は、フィン間で目詰まりを起こして通風抵抗を増大させ、熱交換効率を低下させる原因となる。
【0003】
また、フィン表面の凝縮水により、アルミニウム又はアルミニウム合金の腐食が誘発され、フィン表面に白色粉末状の酸化アルミニウムが多量に生成することがある。また、凝縮水がフィン表面に保持された状態で高温状態に曝される場合には、高温高湿雰囲気となり、フィン表面に白色粉末状の酸化アルミニウム層が厚く生成することがある。フィン表面に堆積した酸化アルミニウムの白色粉末は、熱交換器の送風機によって自動車室内等に飛散し、使用者に不快感を与える。
【0004】
また、フィン表面の凝縮水が滞留した場合には、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面に菌が繁殖し易くなり、悪臭が発生したり、使用者の健康を損ねる可能性がある。また、車室内等より熱交換器に供給されるタバコ煙等の臭気成分が、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面に付着し、蓄積した場合には、熱交換器から悪臭を発する。
【0005】
したがって、熱交換器を構成するアルミニウム又はアルミニウム合金には、長期間にわたり親水性、高耐食性、抗菌性及び防臭性を保持する機能を、不足無く付与させることが望まれる。
【0006】
これらの問題を解決するための従来技術として、特許文献1のように、アルミニウム含有金属基体の表面に化成層を形成し、その上に、スルホン酸塩基などの親水性基を有する水溶性架橋性重合体化合物と架橋剤との架橋反応により水不溶性三次元ネットワーク構造を有する樹脂層を形成し、このネットワーク構造中に、水溶性重合体化合物を保持し、その溶出を防止する方法が提案されている。同文献には、こうした方法により、長期にわたって親水性、耐水性及び耐水膨潤性を保持し、優れた防菌性及び悪臭発生防止性を有する樹脂皮膜をアルミニウム含有金属材料上に均一に形成することができるとされている。しかしながら、この方法では、車室内等より熱交換器に供給されるタバコ煙等の臭気成分が親水性皮膜に吸着蓄積してしまい、十分な防臭性を保持することができず、また、高温湿潤雰囲気での耐食性を十分発揮することができなかった。
【0007】
また、特許文献2のように、アルミニウム合金製熱交換器表面の少なくとも一部分に、(A)キトサン及びその誘導体から選ばれた1種以上と、(B)1分子当り2個以上のカルボキシル基を存する1種以上の特定有機化合物とを、それらの合計固形分含有量(A)+(B)が20質量%以上になるように含有している有機親水性皮膜をも被覆することによって、アルミニウム合金製熱交換器に、タバコ等の臭い成分がつきにくくする方法が提案されている。しかしながら、この方法では、長期間にわたり親水性を保持することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−323500号公報
【特許文献2】特開2008−150585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した従来の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、アルミニウム又はアルミニウム合金基材の表面に長期間にわたり親水性、高耐食性、抗菌性及び防臭性を保持することができる表面処理皮膜を設けてなるアルミニウム又はアルミニウム合金材料、及びその表面処理方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、特に自動車等に組み込んで使用するアルミニウム又はアルミニウム合金製の熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金基材の表面に第1保護層と第2保護層とをその順で有し、前記第1保護層が、バナジウムと、チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属とを含有し、前記バナジウムの付着量が0.3〜200mg/m2であり、前記チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属の合計付着量が前記バナジウムの付着量を1としたときのモル比で0.1〜5である化成皮膜であり、前記第2保護層が、(1)キトサン誘導体及び可溶化剤と、(2)ポリビニルアルコールの側鎖に親水性ポリマーがグラフト重合してなる変性ポリビニルアルコールと、(3)水溶性架橋剤とを含有する組成物からなり、前記(1)〜(3)の化合物の合計が固形分換算で第2保護層全体の50質量%以上であり、前記(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算の質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.1〜0.8、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.1〜0.6、及び(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.05〜0.3であり、単位面積あたりの乾燥質量が0.05〜6.0g/m2の有機皮膜である、ことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、アルミニウム又はアルミニウム合金基材上に耐食性に優れた第1保護層が上記範囲内で形成され、さらにその第1保護層上に、主として抗菌性と防臭性を向上させる(1)の化合物と、主として親水性を向上させる(2)及び(3)の化合物とを含有する組成物からなる第2保護層を上記範囲内で有するので、そうした表面処理皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料は、長期間にわたり親水性、高耐食性、抗菌性及び防臭性を不足無く保持することができる。本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料は、熱交換器への適応性が高いだけでなく、その他の広い用途にも適用することができる。
【0012】
本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料において、前記第2保護層を形成する前記(2)の変性ポリビニルアルコールが有する側鎖親水性ポリマーが、ポリオキシアルキレンエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアミン及びポリエチレンイミンから選ばれる1種以上のポリマーである。
【0013】
本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料において、前記第2保護層を形成する前記(3)の水溶性架橋剤が、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸及びフィチン酸から選ばれる1種以上である。
【0014】
上記課題を解決するための本発明に係る熱交換器は、上記本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料で形成されてなることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、長期間にわたり親水性、高耐食性、抗菌性及び防臭性を保持する上記本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料を熱交換器の構成材料とするので、長期間にわたる熱交換率の低下防止、腐食による白粉飛散の防止、菌繁殖の防止、タバコ煙等の臭気成分付着蓄積による悪臭発生の防止等に効果を発揮し、快適な室内雰囲気を実現することができる。
【0016】
上記課題を解決するため本発明に係る表面処理方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金基材表面を化成皮膜の形成に適した状態にする表面調整工程、水洗工程、前記アルミニウム又はアルミニウム合金基材の表面に化成皮膜からなる第1保護層を形成する工程、水洗工程、前記第1保護層上に有機皮膜である第2保護層を塗布する工程、及び乾燥工程をその順で経てなる表面処理方法であって、前記第1保護層を、バナジウムと、チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属とを含有する化成処理液で形成し、前記第2保護層を、(1)キトサン誘導体及び可溶化剤と、(2)ポリビニルアルコールの側鎖に親水性ポリマーがグラフト重合してなる変性ポリビニルアルコールと、(3)水溶性架橋剤とを含有する組成物で形成する、ことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る表面処理方法は、前記第1保護層において、前記バナジウムの付着量を0.3〜200mg/m2とするとともに、前記チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属の合計付着量を前記バナジウムの付着量を1としたときのモル比で0.1〜5とし、前記第2保護層において、前記(1)〜(3)の化合物の合計を固形分換算で第2保護層全体の50質量%以上とするとともに、前記(1)〜(3)の化合物それぞれを固形分換算の質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.1〜0.8、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.1〜0.6、及び(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.05〜0.3とし、単位面積あたりの乾燥質量を0.05〜6.0g/m2とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料によれば、長期間にわたり親水性、高耐食性、抗菌性及び防臭性を不足無く保持することができる。本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料は、熱交換器への適応性が高いだけでなく、その他の広い用途にも適用することができる。
【0019】
本発明に係る熱交換器によれば、長期間にわたる熱交換率の低下防止、腐食による白粉飛散の防止、菌繁殖の防止、タバコ煙等の臭気成分付着蓄積による悪臭発生の防止等に効果を発揮し、快適な室内雰囲気を実現することができる。
【0020】
本発明に係る表面処理方法によれば、上記本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料及び熱交換器を効率的且つ安定品質で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料の一例を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明に係る熱交換器の一例を示す模式的な断面図である。
【図3】タバコ臭成分の付着性試験装置及びその試験方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料、熱交換器及び表面処理方法について、実施の形態を挙げて更に詳しく説明する。
【0023】
[アルミニウム又はアルミニウム合金材料]
本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料10は、図1に示すように、アルミニウム又はアルミニウム合金基材1の表面に第1保護層2,2’と第2保護層3,3’とをその順で有している。そして、第1保護層2,2’は、バナジウムと、チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属とを含有する化成皮膜である。また、第2保護層3,3’は、(1)キトサン誘導体及び可溶化剤と、(2)ポリビニルアルコールの側鎖に親水性ポリマーがグラフト重合してなる変性ポリビニルアルコールと、(3)水溶性架橋剤と、を含有する組成物からなる有機皮膜である。なお、第1保護層及び第2保護層は、図1に示すように両面に設けられていることが好ましいが、片面に設けられていても構わない。符号1は、第1保護層と第2保護層が設けられていないアルミニウム又はアルミニウム合金製の基材を表し、符号10は、表面処理皮膜である第1保護層と第2保護層が設けられたアルミニウム又はアルミニウム合金材料を表している。
【0024】
(アルミニウム又はアルミニウム合金基材)
アルミニウム又はアルミニウム合金基材のうち、アルミニウム合金としては、アルミニウム−マグネシウム合金、アルミニウム−シリコン合金、及びアルミニウム−マンガン合金、等を挙げることができる。また、アルミニウムとしては、純アルミニウム、不可避不純物を含むアルミニウム、を挙げることができる。なお、「又は」は、基材が、アルミニウムからなる基材であってもよいし、アルミニウム合金からなる基材であってもよいし、場合によってはアルミニウムとアルミニウム合金との複合基材であってもよいことを意味する。
【0025】
アルミニウム又はアルミニウム合金基材の形態は、シート状、ストリップ状、プレート状、及びその他の成形物品を挙げることができる。成形物品は、例えば、エアコンディショナー等の熱交換器に用いられるチューブ、フィン及び中空プレート等を包含する。
【0026】
(第1保護層)
第1保護層は、アルミニウム又はアルミニウム合金基材の表面に設けられる。第1保護層は、バナジウムと、チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属とを必須の構成として含有する化成皮膜である。この第1保護層は、それらの必須の金属成分を水酸化物、酸化物及び複合酸化物(以下、これらを「酸化物等」と総称することがある。)のいずれか1種又は2種以上の状態で含んでいる。なお、それらの酸化物等は脱水されたものであることが好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金基材上に設けられた第1保護層は、アルミニウム又はアルミニウム合金基材の耐食性を向上させるように作用する。
【0027】
第1保護層中の必須金属の構造や結晶性は、層断面の透過型電子顕微鏡観察(TEM)、薄膜X線回折法、グロー放電分光分析によって確認することができる。また、厚さは、層断面のTEMによって確認できる。
【0028】
第1保護層は、バナジウムの付着量が0.3〜200mg/mであり、チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属の合計付着量が、バナジウムの付着量を1としたときのモル比で、0.1〜5の範囲内であることが好ましい。
【0029】
バナジウムの付着量が0.3mg/mよりも少ない場合には、耐食性が不十分となることがある。バナジウムの付着量が200mg/mよりも多い場合には、コスト高となり、それに見合う耐食性の向上が得られない。一方、チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属の合計付着量が、バナジウムの付着量を1としたときのモル比で0.1よりも少ない場合には、第1保護層の水に対するバリア性が不十分となり、さらにその上に設けられる第2保護層との密着性が不十分となって、十分な耐食性が得られないことがある。また、合計付着量が、バナジウムの付着量を1としたときのモル比で5よりも多い場合には、コスト高となり、それに見合う耐食性の向上が得られない。
【0030】
(第2保護層)
第2保護層は、第1保護層上に設けられる。第2保護層は、(1)キトサン誘導体及び可溶化剤と、(2)ポリビニルアルコールの側鎖に親水性ポリマーがグラフト重合してなる変性ポリビニルアルコールと、(3)水溶性架橋剤と、を含有する組成物からなる有機皮膜である。この組成物において、(1)の化合物は主として抗菌性と防臭性を向上させる役割があり、(2)と(3)の化合物は主として親水性を向上させる役割がある。第2保護層はこうした化合物を含む組成物を塗布して形成されるので、第1保護層上に第2保護層を塗布形成してなるアルミニウム又はアルミニウム合金材料は、長期間にわたり親水性、高耐食性、抗菌性及び防臭性を不足無く保持することができる。
【0031】
第2保護層を構成する前記(1)の化合物であるキトサン誘導体及び可溶化剤は、第2保護層に抗菌性及び防臭性を付与するように作用する。キトサン誘導体とは、キトサンの有する一部又は全部の1級アミノ基に、グリセリル基、ポリオキシアルキレンエーテル基及びポリアクリル酸基から選ばれる1種又は2種以上の官能基を付加してなる化合物群のことである。キトサン誘導体は、例えば、キチンを60%以上100%以下の割合で脱アセチル化したキトサンと、前記した付加化合物とを水溶液中で混合し、必要に応じて加熱することによって反応させて得ることができる。このキトサン誘導体は、必ずしも純粋な状態である必要はなく、前記反応により生じる多少の副生成物や未反応物質を含むものであってもよく、また、粉末状でも水溶液状でもよい。なお、キトサンとは、キチンを脱アセチル化して得られた化合物である。
【0032】
可溶化剤は、水溶性の低いキトサンの水溶性を高めるものである。可溶化剤としては多価カルボン酸が望ましく、多価カルボン酸としては、クエン酸、ブタンテトラカルボン酸、メリト酸、リンゴ酸、フマル酸等を挙げることができる。この可溶化剤は、前記のキトサン誘導体に対する質量比で、0.3〜2.0の範囲であることが好ましい。
【0033】
第2保護層を構成する前記(2)の化合物である変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールの側鎖に親水性ポリマーがグラフト重合されたものである。こうした変性ポリビニルアルコールは、耐流水固定性に優れたポリビニルアルコールの性質と、側鎖の親水性ポリマーの性質の両方を有し、流水劣化後においても非常に良好な親水性を保持させることができる。なお、「耐流水固定性に優れる」とは、第2保護層を流水と接触させた場合に、その第2保護層に含有する成分が流水浸漬に対して固定化される性質に優れていることを意味し、「流水劣化」とは、親水性が高い成分が水に浸漬することで流去し易く、流水浸漬により親水性が劣化することを意味する。前記特性を有する変性ポリビニルアルコールは、その側鎖の親水性ポリマーが、ポリオキシアルキレンエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアミン及びポリエチレンイミンから選ばれる1種以上のポリマーであることが好ましい。
【0034】
この変性ポリビニルアルコールにおいて、主鎖を構成するポリビニルアルコールの重合度は400〜3,000の範囲内であり、側鎖を構成する親水性ポリマーの分子量は1,000〜200,000の範囲内であることが好ましい。
【0035】
第2保護層を構成する前記(3)の化合物である水溶性架橋剤は、前記した(2)の化合物である変性ポリビニルアルコールの側鎖の親水性ポリマーと結合可能な架橋剤であって、その変性ポリビニルアルコールを第2保護層に繋ぎ止めるための架橋剤として機能する。そのため、この水溶性架橋剤は、変性ポリビニルアルコールが有する水酸基に対して架橋性に優れる基を複数持つことが望ましい。そうした基の代表的なものとしてはホスホン酸基が好ましい。具体的な、ホスホン酸基を有する水溶性架橋剤としては、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸及びフィチン酸から選ばれる1種以上が好ましい。
【0036】
第2保護層の単位面積あたりの乾燥質量は、0.05〜6.0g/m2であることが好ましく、0.1〜2.0g/m2であることがより好ましい。この範囲内の乾燥質量とすることにより、長期間にわたる親水性、高耐食性、抗菌性及び防臭性をより高めることができる。第2保護層の単位面積あたりの乾燥質量が0.05g/mよりも少ない場合には、第2保護層の被覆性が不十分となり、親水性、抗菌性及び防臭性が不足する場合がある。また、第2保護層の単位面積あたりの乾燥質量6.0g/mよりも多い場合には、第2保護層の形成時に生ずる膜内応力が高くなり、膜剥がれが生ずる場合があった。
【0037】
第2保護層の全体に占める前記(1)〜(3)の化合物の合計が、固形分換算で50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。なお、上限は100質量%である。固形分換算で50質量%以上とすることにより、十分な親水性、抗菌性及び防臭性を保持することができる。固形分換算が50質量%よりも少ない場合には、十分な親水性、抗菌性及び防臭性を保持できないことがある。なお、第2保護層の全体に占める前記(1)〜(3)の化合物の合計の固形分換算とは、第2保護層を構成する有機皮膜のうち、前記(1)〜(3)の化合物に該当する固形分の合計を意味する。
【0038】
更に詳しくは、第2保護層に占める前記(1)〜(3)の化合物について、それぞれの固形分換算の質量比(以下、固形分換算質量比という。)が、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.1〜0.8、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.1〜0.6、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.05〜0.3、であることが好ましい。前記(1)〜(3)の化合物を固形分換算質量比で上記範囲内とすることにより、各化合物の性質を十分に発揮させることができ、長期間にわたる親水性、高耐食性、抗菌性及び防臭性をより高めることができる。
【0039】
固形分換算質量比(1)/{(1)+(2)+(3)}が0.1よりも小さい場合には、抗菌性が不十分となることがある。また、固形分換算質量比(1)/{(1)+(2)+(3)}が0.8よりも大きい場合には、親水性が不十分となることがある。
【0040】
固形分換算質量比(2)/{(1)+(2)+(3)}が0.1よりも小さい場合には、流水劣化後の親水性が不十分となることがある。また、固形分換算質量比(2)/{(1)+(2)+(3)}が0.6よりも大きい場合には、タバコ煙等の臭気成分が第2保護層に吸着蓄積し易くなり、防臭性が不十分となることがある。
【0041】
固形分換算質量比(3)/{(1)+(2)+(3)}が0.05よりも小さい場合には、前記(2)の化合物が第2保護層の構成成分として固定し難く、流水劣化後の親水性が不十分となることがある。また、固形分換算質量比(3)/{(1)+(2)+(3)}が0.3よりも大きい場合には、コスト高となり、それに見合う効果が認められない。
【0042】
こうして構成された第2保護層が上記(1)〜(3)の化合物を含む組成物で形成されていることは、FT−IR分析により確認することができる。具体的には、処理物サンプル片の表面についてFT−IR分析を行い、第2保護層について、(1)に含まれるカルボキシル基のピーク、(2)を構成する親水性ポリマーのピーク、及び(3)に含まれるホスホン酸基のピークの比を測定し、そのピーク比より固形分換算質量比を特定できる。
【0043】
第2保護層を形成するための組成物には、必要に応じ、防錆剤、レベリング剤、コロイダルシリカ、プラスチックピグメント等の充填剤、着色剤、界面活性剤、消泡剤等を、本発明の趣旨や皮膜性能を損なわない範囲で添加することができる。
【0044】
以上のように、アルミニウム又はアルミニウム合金基材上に第1保護層と第2保護層をその順で設けたので、長期間にわたり親水性、高耐食性、抗菌性及び防臭性を不足無く保持することができ、熱交換器への適応性が高いだけでなく、その他の広い用途にも適用することができる。
【0045】
[熱交換器]
本発明に係る熱交換器20は、図2に示すように、上記本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料10で形成されてなるものである。その結果、長期間にわたる熱交換率の低下防止、腐食による白粉飛散の防止、菌繁殖の防止、タバコ煙等の臭気成分付着蓄積による悪臭発生の防止等に効果を発揮し、快適な室内雰囲気を実現することができる。図2の例では、隣り合う冷媒配管(チューブ)22,22の間に放熱部(フィン)21,…,21を有するアルミニウム又はアルミニウム合金製熱交換器20を挙げているが、本発明はこうした形態の熱交換器のみに限定されない。すなわち、熱交換器は、チューブ状(中空管状)、中実管状、中空板状、中実板状のいずれであってもよく、それらに第1保護層と第2保護層からなる処理皮膜が設けられて、本発明に係る熱交換器20となる。
【0046】
[表面処理方法]
本発明に係る表面処理方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金基材の表面を化成皮膜の形成に適した状態にする表面調整工程、水洗工程、前記アルミニウム又はアルミニウム合金基材の表面に化成皮膜からなる第1保護層を形成する工程、水洗工程、前記第1保護層上に有機皮膜である第2保護層を形成する工程、及び乾燥工程、をその順で経てなる表面処理方法である。そして、この表面処理方法においては、第1保護層を、バナジウムと、チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属とを含有する化成処理液で形成し、第2保護層を、(1)キトサン誘導体及び可溶化剤と、(2)ポリビニルアルコールの側鎖に親水性ポリマーがグラフト重合してなる変性ポリビニルアルコールと、(3)水溶性架橋剤とを含有する組成物で形成する。こうした本発明に係る表面処理方法によれば、上記本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料及び熱交換器を効率的且つ安定品質で得ることができる。
【0047】
以下、各工程について詳しく説明する。
【0048】
(表面調整工程)
表面調整工程は、アルミニウム又はアルミニウム合金基材の表面に存在する汚れ、不均一なアルミニウム酸化膜、フラックス等を取り除き、後工程の化成皮膜(第1保護層)の形成に適した清浄な表面を得るために行われる。表面調整液としては、水、硝酸、硫酸、フッ酸、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選ばれる少なくとも1種以上を用いる。これらの表面調整液の実施可能な処理方式としては、スプレー方式、ディッピング方式等を挙げることができる。
【0049】
表面調整液の温度は10℃〜70℃であることが好ましい。表面調整液の温度が10℃よりも低い場合には、十分な表面の清浄化が行われず、目的とする化成皮膜の形成に適した表面が得られないことがある。また、表面調整液の温度が70℃よりも高い場合には、表面調整処理装置が腐食を招いたり、表面調整液のミストが飛散することにより作業環境を悪化させることがある。
【0050】
表面調整時間は5秒〜600秒であることが好ましい。表面調整時間が5秒よりも短い場合には、十分な表面の清浄化が行われず、目的とする化成皮膜の形成に適した表面が得られないことがある。また、表面調整時間が600秒よりも長い場合には、アルミニウム合金基材中に含まれる合金成分が著しく表面に偏析し、目的とする化成皮膜の形成に適した表面が得られないことがある。
【0051】
(第1保護層の形成工程)
第1保護層の形成工程は、表面調整工程で清浄化されたアルミニウム又はアルミニウム合金基材の表面に、主として優れた耐食性を付与する化成皮膜である第1保護層を形成する化成処理工程である。
【0052】
第1保護層の形成は、バナジウム化合物と、チタン化合物、ジルコニウム化合物及びハフニウム化合物から選ばれるいずれか1種又は2種以上の化合物とを含む第1保護層形成用組成物をアルミニウム又はアルミニウム合金基材と接触させて行う。バナジウム化合物としては、メタバナジン酸ナトリウム、メタバナジン酸カリウム、メタバナジン酸アンモニウム、バナジン酸ナトリウム、バナジン酸カリウム、バナジン酸アンモニウム、硫酸バナジール、オキシ硫酸バナジウム、バナジールアセチルアセトネート、オキシシュウ酸バナジウム等の1種又は2種以上を用いることができる。また、チタン化合物としては、例えば、TiCl、Ti(SO、TiOSO、Ti(NO)、TiO(NO、TiOOC、HTiF、HTiFの塩、TiO、TiF等の1種又は2種以上を用いることができる。また、ジルコニウム化合物としては、例えば、ZrCl、ZrOCl、Zr(SO、ZrOSO、Zr(NO、ZrO(NO、HZrF、HZrFの塩、ZrO、ZrOBr、ZrF等の1種又は2種以上を用いることができる。また、ハフニウム化合物としては、例えば、HfCl、Hf(SO、Hf(NO)、HfOOC、HHfF、HHfFの塩、HfO、HfF等の1種又は2種以上を用いることができる。
【0053】
第1保護層形成用組成物には、酸化剤又は還元剤を配合することもできる。酸化剤又は還元剤としては、例えば、HClO、HBrO、HNO、HNO、HMnO、HVO、H、HWO、HMoO、過酸化物、ペルオキソ化合物、NHOH、(NHOH)・HSO、(NHOH)・HPO、NHOH・HCl等のヒドロキシルアミン類、ヒドラジン、亜硫酸塩、が挙げられる。また、第1保護層形成用組成物には、さらに、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上の界面活性剤を配合することもできる。
【0054】
第1保護層形成用組成物中のバナジウム化合物の配合量は、得られる第1保護層におけるバナジウムの付着量が0.3〜200mg/m2となるように調整される。また、チタン化合物、ジルコニウム化合物及びハフニウム化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物の配合量も、得られる第1保護層における各金属成分の合計付着量が、バナジウムの付着量を1としたときのモル比で0.1〜5となるように調整される。
【0055】
第1保護層形成用組成物の処理温度は、20℃〜80℃であることが好ましい。処理温度が20℃よりも低い場合には、十分な化成析出反応が進行せず、目的の第1保護層が得られなくなることがある。また、処理温度が80℃よりも高い場合には、処理後から水洗までのドレン区間で、処理液の乾きにより粉吹きが生じ、第2保護層との密着性を損ねることがある。
【0056】
第1保護層形成用組成物の処理時間は、10秒〜600秒であることが好ましい。処理時間が10秒よりも短い場合には、十分な化成析出反応が進行せず、目的の第1保護層が得られなくなることがある。また、処理時間が600秒よりも長い場合は、生産性が低くなり、それに見合う効果は認められない。
【0057】
(第2保護層の塗布工程)
第2保護層の塗布工程は、第1保護層上に、主として優れた抗菌性と防臭性と親水性を付与する有機皮膜である第2保護層を塗布する処理工程である。
【0058】
第2保護層形成用組成物は、上記のアルミニウム又はアルミニウム合金材料の説明欄で説明した組成物からなる処理液を用いる。その処理液は、第2保護層の構成成分を含有した水溶液であることが好ましい。また、第2保護層を塗布可能な処理方式として、スプレー方式、ディッピング方式、ロールコート方式等を挙げることができる。
【0059】
第2保護層塗布用の処理液は、第2保護層の乾燥質量が0.05〜6.0g/m2となるように調整される。また、第2保護層塗布用の処理液は、得られた第2保護層の全体に占める前記(1)〜(3)の化合物の合計が、固形分換算で50質量%以上となるように調整される。さらに具体的には、第2保護層塗布用の処理液は、第2保護層に占める前記(1)〜(3)の化合物それぞれが、固形分換算の質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.1〜0.8、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.1〜0.6、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.05〜0.3、となるように調整される。
【0060】
塗布された第2保護層の乾燥重量や固形分換算での質量比が上記範囲内になる処理液は、その処理液に含まれる水性樹脂が固形分濃度で0.5〜20質量%であることが好ましい。水性樹脂の固形分濃度が0.5質量%よりも薄い場合には、アルミニウム又はアルミニウム合金基材の表面に塗布斑が生じ、第2保護層による被覆が十分行えないことがある。また、水性樹脂の固形分濃度が20%質量よりも濃い場合には、処理液の粘度が上昇し、アルミニウム又はアルミニウム合金基材に十分均一な塗布が行われないことがある。
【0061】
(乾燥工程)
乾燥工程での乾燥温度は120℃〜220℃であることが好ましい。乾燥温度が120℃よりも低い場合には、第2保護層の架橋が十分に行われず、親水性、抗菌性、防臭性が劣化する場合がある。また、乾燥温度が220℃よりも高い場合には、第2保護層の樹脂成分が分解し、親水性が損なわれることがある。また、乾燥時間は0.5〜120分であることが好ましい。乾燥時間が0.5分よりも短い場合には、第2保護層の架橋が十分に行われず、親水性、抗菌性、防臭性が劣化する場合がある。また、乾燥時間が120分よりも高い場合には、第2保護層の樹脂成分が分解し、親水性が損なわれることがある。
【0062】
(水洗工程)
水洗工程は、アルミニウム又はアルミニウム合金基材の表面を化成皮膜の形成に適した状態にする表面調整後と、アルミニウム又はアルミニウム合金基材の表面に化成皮膜からなる第1保護層を形成した後に行う。水洗工程は特に限定されず、シャワー式、ディップ式等の種々の水洗手段を採用できる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明に係る、表面処理皮膜を有したアルミニウム又はアルミニウム合金材料及び表面処理方法について、実施例と比較例により更に詳しく説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器」とは、熱交換器がアルミニウムで構成された部分とアルミニウム合金で構成された部分とが存在することを意味する。
【0064】
<実施例1>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器(図2参照)を被処理物とし、10℃の6%硝酸溶液に120秒間浸漬させて表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、メタバナジン酸アンモニウム(Vとして150mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして50mg/L)とを含有するpH3.2の処理液を用い、この処理液を温度70℃にして、被処理物を60秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:100mg/m、チタン付着量:94mg/mであり、Ti/Vのモル比が1.0であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0065】
次に、(1)グリセリル化キトサン/ブタンテトラカルボン酸(質量比=1.0)を固形分として0.24質量%、(2)ポリオキシアルキレンエーテル変性ポリビニルアルコールを固形分として1.45質量%、(3)ホスホノブタントリカルボン酸を固形分として0.73質量%を含有し、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として0.52質量%、非イオン性界面活性剤(三洋化成株式会社製ニューポールPE−62)を固形分として0.06質量%含有する、固形分濃度が3.0質量%の処理液を用い、常温(約25℃程度。以下同じ。)の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を2秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が16.7mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度160℃にて20分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が0.50g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で80.7質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.10、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.60、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.3であった。こうして実施例1の熱交換器を作製した。
【0066】
<実施例2>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、40℃の5%水酸化カリウム溶液に60秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、メタバナジン酸アンモニウム(Vとして150mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして100mg/L)とを含有するpH3.8の処理液を用い、この処理液を温度65℃にして、被処理物を40秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:50mg/m、ジルコニウム付着量:143mg/mであり、Zr/Vのモル比が1.6であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0067】
次に、(1)グリセリル化キトサン/クエン酸(質量比=0.8)を固形分として1.45質量%、(2)ポリオキシアルキレンエーテル変性ポリビニルアルコールを固形分として1.30質量%、(3)ニトリロトリメチレンホスホン酸を固形分として0.14質量%を含有し、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として1.11質量%含有する、固形分濃度が4.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を20秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が12.5mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度220℃にて0.5分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が0.50g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で72.3質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.50、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.45、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.05であった。こうして実施例2の熱交換器を作製した。
【0068】
<実施例3>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、70℃の水に5秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、バナジン酸アンモニウム(Vとして40mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして40mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして200mg/L)とを含有するpH3.5の処理液を用い、この処理液を温度20℃にして、被処理物を10秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:2mg/m、チタン付着量:7mg/m、ジルコニウム付着量:4.6mg/mであり、(Ti+Zr)/Vのモル比が5.0であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0069】
次に、(1)ポリオキシアルキレンエーテル変性キトサン/ブタンテトラカルボン酸(質量比=1)を固形分として2.42質量%、(2)ポリオキシアルキレンエーテル変性ポリビニルアルコールを固形分として1.61質量%、(3)エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸を固形分として1.35質量%を含有し、さらに、ケン化度が85〜90%のポリビニルアルコールを固形分として1.52質量%、非イオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、ノイゲンXL−60)を固形分として0.10質量%含有する、固形分濃度が7.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を10秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が21.4mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度150℃にて15分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が1.50g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で76.9質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.45、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.30、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.25であった。こうして実施例3の熱交換器を作製した。
【0070】
<実施例4>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、40℃の0.2%硝酸溶液に600秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、メタバナジン酸アンモニウム(Vとして150mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして50mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして200mg/L)、Hfのフッ酸溶液(Hfとして50mg/L)とを含有するpH3.5の処理液を用い、この処理液を温度30℃にて600秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:20mg/m、チタン付着量:52mg/m、ジルコニウム付着量:41mg/m、ハフニウム付着量:36mg/mであり、(Ti+Zr+Hf)/Vのモル比が4.4であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0071】
次に、(1)ポリオキシアルキレンエーテル変性キトサン/クエン酸(質量比=0.8)を固形分として4.28質量%、(2)ポリオキシアルキレンエーテル変性ポリビニルアルコールを固形分として1.65質量%、(3)フィチン酸を固形分として0.66質量%含有し、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として2.21質量%、非イオン性界面活性剤(三洋化成株式会社製ニューポールPE−62)を固形分として0.20質量%含有する、固形分濃度が9.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を2秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が22.2mL/m2になるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度120℃にて120分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が2.00g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で73.2質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.65、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.25、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.10であった。こうして実施例4の熱交換器を作製した。
【0072】
<実施例5>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、60℃の3%硫酸溶液に20秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、メタバナジン酸アンモニウム(Vとして150mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして40mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして50mg/L)とを含有するpH3.5の処理液を用い、この処理液を温度65℃にて50秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:80mg/m、Ti付着量:65mg/m、Zr付着量:91mg/mであり、(Ti+Zr)/Vのモル比が1.5であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0073】
次に、(1)グリセリル化キトサン/ブタンテトラカルボン酸(質量比=2)を固形分として1.04質量%、(2)ポリオキシアルキレンエーテル変性ポリビニルアルコールを固形分として0.20質量%、(3)エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸を固形分として0.06質量%含有し、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として0.70質量%含有する、固形分濃度が2.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を30秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が15.0mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度150℃にて40分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が0.30g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で65.0質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.80、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.15、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.05であった。こうして実施例5の熱交換器を作製した。
【0074】
<実施例6>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、10℃の硝酸を5%とフッ酸を0.1%含有する溶液に30秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、メタバナジン酸アンモニウム(Vとして250mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして20mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして30mg/L)とを含有するpH4.2の処理液を用い、この処理液を温度80℃にて60秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:120mg/m、Ti付着量:92mg/m、Zr付着量:82mg/mであり、(Ti+Zr)/Vのモル比が1.2であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0075】
次に、(1)グリセリル化キトサン/クエン酸(質量比=0.8)を固形分として2.10質量%、(2)ポリビニルピロリドン変性ポリビニルアルコールを固形分として0.30質量%、(3)ホスホノブタントリカルボン酸を固形分として0.60質量%含有する、固形分濃度が3.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を2秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が23.3mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度160℃にて20分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が0.70g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で100質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.70、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.10、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.20であった。こうして実施例6の熱交換器を作製した。
【0076】
<実施例7>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、35℃の1%硝酸溶液に100秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、硫酸バナジール(Vとして300mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして40mg/L)とを含有するpH3.5の処理液を用い、この処理液を温度70℃にて120秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:200mg/m、Ti付着量:94mg/mであり、Ti/Vのモル比が0.5であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0077】
次に、(1)ポリオキシアルキレンエーテル変性キトサン/ブタンテトラカルボン酸(質量比=1)を固形分として3.53質量%、(2)ポリビニルピロリドン変性ポリビニルアルコールを固形分として1.77質量%、(3)エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸を固形分として0.59質量%含有し、さらに、ケン化度が85〜90%のポリビニルアルコールを固形分として1.02質量%、非イオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、ノイゲンXL−100)を固形分として0.09質量%含有する、固形分濃度が7.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を20秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が14.3mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度140℃にて30分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が1.00g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で84.1質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.60、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.30、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.10であった。こうして実施例7の熱交換器を作製した。
【0078】
<実施例8>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、50℃の1%水酸化ナトリウム溶液に15秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、メタバナジン酸アンモニウム(Vとして100mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして20mg/L)とを含有するpH4.0の処理液を用い、この処理液を温度65℃にて60秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:20mg/m、Ti付着量:38mg/mであり、Ti/Vのモル比が2.0であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0079】
次に、(1)グリセリル化キトサン/クエン酸(質量比=0.8)を固形分として0.25質量%、(2)ポリビニルピロリドン変性ポリビニルアルコールを固形分として0.14質量%、(3)ニトリロトリメチレンホスホン酸を固形分として0.07質量%含有し、さらに、非イオン性界面活性剤(三洋化成株式会社製ニューポールPE−62)を固形分として0.05質量%含有する、固形分濃度が0.5質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を40秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が10.0mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度150℃にて30分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が0.05g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で90.0質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.55、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.3、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.15であった。こうして実施例8の熱交換器を作製した。
【0080】
<実施例9>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、40℃の3%硝酸溶液に60秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、硫酸バナジール(Vとして150mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして50mg/L)とを含有するpH3.5の処理液を用い、この処理液を温度70℃にて40秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:20mg/m、Zr付着量:3.6mg/mであり、Zr/Vのモル比が0.1であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0081】
次に、(1)グリセリル化キトサン/ブタンテトラカルボン酸(質量比=2)を固形分として1.82質量%、(2)ポリビニルピロリドン変性ポリビニルアルコールを固形分として0.52質量%、(3)ヒドロキシエチリデンジホスホン酸を固形分として0.26質量%含有し、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として1.32質量%、非イオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、ノイゲンXL−60)を固形分として0.08質量%含有する、固形分濃度が4.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を20秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が25.0mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度180℃にて10分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が1.00g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で65.0質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.70、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.20、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.10であった。こうして実施例9の熱交換器を作製した。
【0082】
<実施例10>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、50℃の3%硫酸溶液に20秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、硫酸バナジール(Vとして150mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして50mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして70mg/L)とを含有するpH3.4の処理液を用い、この処理液を温度60℃にて40秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:40mg/m、Ti付着量:44mg/m、Zr付着量:23mg/mであり、(Ti+Zr)/Vのモル比が1.5であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0083】
次に、(1)グリセリル化キトサン/クエン酸(質量比=0.8)を固形分として0.58質量%、(2)ポリビニルピロリドン変性ポリビニルアルコールを固形分として1.15質量%、(3)ニトリロトリメチレンホスホン酸を固形分として0.19質量%含有し、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として0.99質量%、非イオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、ノイゲンXL−100)を固形分として0.09質量%含有する、固形分濃度が3.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を30秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が23.3mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度160℃にて20分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が0.70g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で64.0質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.30、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.60、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.10であった。こうして実施例10の熱交換器を作製した。
【0084】
<実施例11>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、30℃の0.5%フッ酸溶液に120秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、硫酸バナジール(Vとして100mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして50mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして100mg/L)と、Hfのフッ酸溶液(Hfとして40mg/L)とを含有するpH3.8の処理液を用い、この処理液を温度60℃にて90秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:20mg/m、Ti付着量:25mg/m、Zr付着量:23mg/m、Hf付着量:16mg/mであり、(Ti+Zr+Hf)/Vのモル比が2.2であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0085】
次に、(1)ポリオキシアルキレンエーテル変性キトサン/ブタンテトラカルボン酸(質量比=1)を固形分として1.34質量%、(2)ポリビニルアミン変性ポリビニルアルコールを固形分として0.75質量%、(3)ヒドロキシエチリデンジホスホン酸を固形分として0.89質量%含有し、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として1.02質量%含有する、固形分濃度が4.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を20秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が12.5mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度150℃にて40分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が0.50g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で74.5質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.45、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.25、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.30であった。こうして実施例11の熱交換器を作製した。
【0086】
<実施例12>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、40℃の5%水酸化ナトリウム溶液に50秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、硫酸バナジール(Vとして100mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして400mg/L)とを含有するpH3.5の処理液を用い、この処理液を温度70℃にて100秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:100mg/m、Zr付着量:90mg/mであり、Zr/Vのモル比が0.5であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0087】
次に、(1)グリセリル化キトサン/クエン酸(質量比=0.8)を固形分として9.20質量%、(2)ポリビニルアミン変性ポリビニルアルコールを固形分として4.60質量%、(3)エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸を固形分として1.53質量%含有し、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として4.32質量%、非イオン性界面活性剤(三洋化成株式会社製ニューポールPE−62)を固形分として0.35質量%含有する、固形分濃度が20.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を10秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が30.0mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度190℃にて10分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が6.00g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で76.7質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.60、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.30、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.10であった。こうして実施例12の熱交換器を作製した。
【0088】
<実施例13>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、30℃の4%硫酸溶液に20秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、硫酸バナジール(Vとして40mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして150mg/L)とを含有するpH3.0の処理液を用い、この処理液を温度30℃にて10秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:0.3mg/m、Ti付着量:1.3mg/mであり、Ti/Vのモル比が4.6であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0089】
次に、(1)ポリオキシアルキレンエーテル変性キトサン/ブタンテトラカルボン酸(質量比=1)を固形分として3.75質量%、(2)ポリエチレンイミン変性ポリビニルアルコールを固形分として0.75質量%、(3)フィチン酸を固形分として0.50質量%含有し、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として4.89質量%、非イオン性界面活性剤(三洋化成株式会社製ニューポールPE−62)を固形分として0.11質量%含有する、固形分濃度が10.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を20秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が15.0mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度160℃にて20分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が1.50g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で50.0質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.75、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.15、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.10であった。こうして実施例13の熱交換器を作製した。
【0090】
<比較例1>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、表面調整処理を行わずに、メタバナジン酸アンモニウム(Vとして70mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして200mg/L)とを含有するpH3.5の処理液を用い、この処理液を温度40℃にて30秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:0.1mg/m、Zr付着量:0.36mg/mであり、Zr/Vのモル比が2.0であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0091】
次に、(1)ポリオキシアルキレンエーテル変性キトサン/ブタンテトラカルボン酸(質量比=1)を固形分として1.26質量%、(2)ポリエチレンイミン変性ポリビニルアルコールを固形分として0.63質量%、(3)フィチン酸を固形分として0.21質量%含有し、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として0.85質量%、非イオン性界面活性剤(三洋化成株式会社製ニューポールPE−62)を固形分として0.05質量%含有する、固形分濃度が3.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を2秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が16.7mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度150℃にて40分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が0.50g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で70.0質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.60、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.30、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.10であった。こうして比較例1の熱交換器を作製した。
【0092】
<比較例2>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、40℃の5%硝酸溶液に40秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、チタンフッ化水素酸(Tiとして50mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして100mg/L)と、Hfのフッ酸溶液(Hfとして50mg/L)とを含有するpH3.5の処理液を用い、この処理液を温度50℃にて90秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、チタン付着量:80mg/m、ジルコニウム付着量:36mg/m、ハフニウム付着量:10mg/mであった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0093】
次に、(1)グリセリル化キトサン/クエン酸(質量比=0.8)を固形分として2.20質量%、(2)ポリビニルピロリドン変性ポリビニルアルコールを固形分として0.44質量%、(3)ニトリロトリメチレンホスホン酸を固形分として0.29質量%含有し、さらに、非イオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、ノイゲンXL−100)を固形分として0.07質量%含有する、固形分濃度が3.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を30秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が16.7mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度160℃にて10分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が0.50g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で97.7質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.75、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.15、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.10であった。こうして比較例2の熱交換器を作製した。
【0094】
<比較例3>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、60℃の5%水酸化ナトリウム溶液に20秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、メタバナジン酸アンモニウム(Vとして80mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして100mg/L)とを含有するpH3.5の処理液を用い、この処理液を温度45℃にて40秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:10mg/m、チタン付着量:29mg/mであり、Ti/Vのモル比が3.1であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0095】
次に、(1)キトサン誘導体及び多価カルボン酸からなる可溶化剤を含まず、(2)ポリビニルピロリドン変性ポリビニルアルコールを固形分として3.35質量%、(3)ヒドロキシエチリデンジホスホン酸を固形分として1.43質量%含有し、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として3.22質量%含有する、固形分濃度が8.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を10秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が18.8mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度160℃にて20分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が1.50g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で59.8質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.00、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.70、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.30であった。こうして比較例3の熱交換器を作製した。
【0096】
<比較例4>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、40℃の硝酸を2%とフッ酸を0.1%含有する溶液に30秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、硫酸バナジール(Vとして150mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして80mg/L)とを含有するpH3.8の処理液を用い、この処理液を温度60℃にて60秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:55mg/m、ジルコニウム付着量:79mg/mであり、Zr/Vのモル比が0.8であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0097】
次に、(1)グリセリル化キトサン/ブタンテトラカルボン酸(質量比=2)を固形分として7.73質量%、(2)ポリビニルアルコールの側鎖に親水性ポリマーがグラフト重合された変性ポリビニルアルコールを含まず、(3)エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸を固形分として2.58質量%含有し、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として4.50質量%、非イオン性界面活性剤(三洋化成株式会社製ニューポールPE−62)を固形分として0.20質量%含有する、固形分濃度が15.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を40秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が23.3mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度160℃にて30分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が3.50g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で68.7質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.75、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.00、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.25であった。こうして比較例4の熱交換器を作製した。
【0098】
<比較例5>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、40℃の硝酸を2%とフッ酸を0.1%含有する溶液に30秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、硫酸バナジール(Vとして200mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして70mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして100mg/L)とを含有するpH4.0の処理液を用い、この処理液を温度70℃にて60秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:75mg/m、チタン付着量:95mg/m、ジルコニウム付着量:100mg/mであり、(Ti+Zr)/Vのモル比が2.1であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0099】
次に、(1)ポリオキシアルキレンエーテル変性キトサン/クエン酸(質量比=0.8)を固形分として9.73質量%、(2)ポリオキシアルキレンエーテル変性ポリビニルアルコールを固形分として4.17質量%、(3)有機多価ホスホン酸は含まないものとし、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として6.10%質量含有する、固形分濃度が20.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を30秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が22.5mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度170℃にて20分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が4.50g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で69.5質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.70、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.30、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.00であった。こうして比較例5の熱交換器を作製した。
【0100】
<比較例6>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、35℃の1%硝酸溶液に20秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、硫酸バナジール(Vとして50mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして30mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして70mg/L)とを含有するpH4.0の処理液を用い、この処理液を温度30℃にて20秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:50mg/m、チタン付着量:1.9mg/m、ジルコニウム付着量:0.91mg/mであり、(Ti+Zr)/Vのモル比が0.05であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0101】
次に、(1)ポリオキシアルキレンエーテル変性キトサン/ブタンテトラカルボン酸(質量比=1)を固形分として1.60質量%、(2)ポリビニルピロリドン変性ポリビニルアルコールを固形分として0.87質量%、(3)エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸を固形分として0.44質量%含有し、さらに、非イオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、ノイゲンXL−100)を固形分として0.1質量%含有する、固形分濃度が3.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を20秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が30.0mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度140℃にて30分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が0.90g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で96.7質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.55、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.30、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.15であった。こうして比較例6の熱交換器を作製した。
【0102】
<比較例7>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、50℃の1%水酸化ナトリウム溶液に15秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、メタバナジン酸アンモニウム(Vとして100mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして50mg/L)とを含有するpH4.0の処理液を用い、この処理液を温度65℃にて60秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:20mg/m、Ti付着量:60mg/mであり、Ti/Vのモル比が3.2であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0103】
次に、(1)グリセリル化キトサン/クエン酸(質量比=0.8)を固形分として4.17質量%、(2)ポリビニルピロリドン変性ポリビニルアルコールを固形分として0.49質量%、(3)ニトリロトリメチレンホスホン酸を固形分として0.25質量%含有し、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として1.05質量%含有し、非イオン性界面活性剤(三洋化成株式会社製ニューポールPE−62)を固形分として0.05質量%含有する、固形分濃度が6.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を40秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が16.7mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度150℃にて30分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が1.00g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で81.7質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.85、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.1、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.05であった。こうして比較例7の熱交換器を作製した。
【0104】
<比較例8>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、40℃の3%硝酸溶液に60秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、メタバナジン酸アンモニウム(Vとして150mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして50mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして200mg/L)、Hfのフッ酸溶液(Hfとして50mg/L)とを含有するpH3.5の処理液を用い、この処理液を温度70℃にて40秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:30mg/m、チタン付着量:42mg/m、ジルコニウム付着量:46mg/m、ハフニウム付着量:18mg/mであり、(Ti+Zr+Hf)/Vのモル比が2.5であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0105】
次に、(1)グリセリル化キトサン/ブタンテトラカルボン酸(質量比=2)を固形分として0.06質量%、(2)ポリビニルピロリドン変性ポリビニルアルコールを固形分として0.81質量%、(3)ヒドロキシエチリデンジホスホン酸を固形分として0.38質量%含有し、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として0.75質量%含有する、固形分濃度が2.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を20秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が15.0mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度180℃にて10分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が0.30g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で62.5質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.05、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.65、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.30であった。こうして比較例8の熱交換器を作製した。
【0106】
<比較例9>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、50℃の3%硫酸溶液に20秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、硫酸バナジール(Vとして70mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして40mg/L)とを含有するpH3.4の処理液を用い、この処理液を温度60℃にて40秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:25mg/m、Ti付着量:38mg/mであり、Ti/Vのモル比が1.6であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0107】
次に、(1)グリセリル化キトサン/クエン酸(質量比=0.8)を固形分として0.45質量%、(2)ポリビニルピロリドン変性ポリビニルアルコールを固形分として0.03質量%、(3)ニトリロトリメチレンホスホン酸を固形分として0.12質量%含有し、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として0.40質量%含有する、固形分濃度が1.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を30秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が20.0mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度160℃にて20分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が0.20g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で60.0質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.75、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.05、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.20であった。こうして比較例9の熱交換器を作製した。
【0108】
<比較例10>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、30℃の0.5%フッ酸溶液に120秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、硫酸バナジール(Vとして70mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして500mg/L)とを含有するpH4.2の処理液を用い、この処理液を温度60℃にて90秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:40mg/m、Zr付着量:143mg/mであり、Zr/Vのモル比が2.0であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0109】
次に、(1)ポリオキシアルキレンエーテル変性キトサン/ブタンテトラカルボン酸(質量比=1)を固形分として0.58質量%、(2)ポリビニルアミン変性ポリビニルアルコールを固形分として1.25質量%、(3)ヒドロキシエチリデンジホスホン酸を固形分として0.10質量%含有し、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として1.00質量%、非イオン性界面活性剤(三洋化成株式会社製ニューポールPE−62)を固形分として0.08質量%含有する、固形分濃度が3.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を20秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が23.3mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度150℃にて40分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が0.70g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で64.0質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.30、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.65、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.05であった。こうして比較例10の熱交換器を作製した。
【0110】
<比較例11>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、40℃の5%水酸化ナトリウム溶液に50秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、硫酸バナジール(Vとして80mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして30mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして80mg/L)とを含有するpH3.8の処理液を用い、この処理液を温度70℃にて50秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:50mg/m、Ti付着量:28mg/m、Zr付着量:18mg/mであり(Ti+Zr)/Vのモル比が0.8であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0111】
次に、(1)グリセリル化キトサン/クエン酸(質量比=0.8)を固形分として1.92質量%、(2)ポリビニルアミン変性ポリビニルアルコールを固形分として2.00質量%、(3)エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸を固形分として0.08質量%含有する、固形分濃度が4.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を10秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が12.5mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度190℃にて10分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が0.50g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で100質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.48、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.50、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.02であった。こうして比較例11の熱交換器を作製した。
【0112】
<比較例12>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、50℃の3%硫酸溶液に20秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、硫酸バナジール(Vとして150mg/L)と、チタンフッ化水素酸(Tiとして100mg/L)とを含有するpH3.2の処理液を用い、この処理液を温度60℃にて50秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:40mg/m、チタン付着量:83mg/mであり、Ti/Vのモル比が2.2であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0113】
次に、(1)グリセリル化キトサン/ブタンテトラカルボン酸(質量比=2)を固形分として0.11質量%、(2)ポリオキシアルキレンエーテル変性ポリビニルアルコールを固形分として0.05質量%、(3)エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸を固形分として0.02質量%含有し、さらに、非イオン性界面活性剤(三洋化成株式会社製ニューポールPE−62)を固形分として0.02質量%含有する、固形分濃度が0.2質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を20秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が10.0mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度150℃にて40分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が0.02g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で90.0質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.60、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.30、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.10であった。こうして比較例12の熱交換器を作製した。
【0114】
<比較例13>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、50℃の3%硫酸溶液に20秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、硫酸バナジール(Vとして100mg/L)と、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして250mg/L)とを含有するpH4.0の処理液を用い、この処理液を温度70℃にて60秒間浸漬処理した。被処理物の表面に形成された第1保護層は、バナジウム付着量:40mg/m、ジルコニウム付着量:72mg/mであり、Zr/Vのモル比が1.0であった。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0115】
次に、(1)グリセリル化キトサン/クエン酸(質量比=0.8)を固形分として1.20質量%、(2)ポリビニルピロリドン変性ポリビニルアルコールを固形分として0.60質量%、(3)ニトリロトリメチレンホスホン酸を固形分として0.60質量%含有し、さらに、ケン化度が95〜100%のポリビニルアルコールを固形分として3.50質量%含有する、固形分濃度が6.0質量%の処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を10秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が16.7mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度160℃にて20分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が1.00g/mであり、その第2保護層に占める(1)〜(3)の化合物の合計{(1)+(2)+(3)}が固形分換算で40.0質量%であり、(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.50、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.25、(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.25であった。こうして比較例13の熱交換器を作製した。
【0116】
<比較例14>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、60℃の2%水酸化ナトリウム溶液に20秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、りん酸ジルコニウム化成処理剤(日本パーカライジング株式会社製、アロジン4040)を20g/Lの割合で水に希釈した処理液を用い、40℃で30秒間浸漬させ、第1保護層を形成した。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0117】
次に、ポリアクリルアミドを固形分として0.77質量%、水溶性ナイロン(株式会社東レ製、P70)を固形分として0.62質量%、ポリビニルスルホン酸を固形分として0.38質量%、硫酸クロムを固形分として0.12質量%、2−チオシアノメチルベンゾチアゾールを固形分として0.08質量%、及び非イオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社、ノイゲンET135)を固形分として0.03質量%含有する、固形分濃度が2質量%の水系処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を20秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が22.5mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度140℃にて20分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が0.45g/mであった。こうして比較例14の熱交換器を作製した。
【0118】
<比較例15>
アルミニウム及びアルミニウム合金製熱交換器を被処理物とし、45℃の2%硫酸溶液に20秒間浸漬させ表面調整を行った。表面調整後、浸漬法にて水洗した。次に、ジルコンフッ化水素酸(Zrとして400mg/L)を含有するpH4.0の処理液を用い、この処理液を温度60℃にて50秒間浸漬処理し、第1保護層を形成した。処理後、浸漬法にて水洗した。
【0119】
次に、グリセリル化キトサンを固形分として0.3質量%、クエン酸を固形分として0.5質量%、ポリエチレングリコール(Mw約20000)を固形分として0.04質量%、界面活性剤(ノニルフェニルEO20モル付加物)を固形分として0.1質量%含有する、固形分濃度が0.94質量%の水系処理液を用い、常温の処理液中に、第1保護層が形成された被処理物を30秒間浸漬処理した。処理後の塗布膜を、エアーブローを用いて塗布量が26.6mL/mになるように調整した。その後、乾燥炉で乾燥温度180℃にて30分間乾燥させ、第2保護層を形成した。得られた第2保護層は、乾燥質量が0.25g/mであった。こうして比較例15の熱交換器を作製した。
【0120】
[評価]
実施例1〜13及び比較例1〜15で作製した熱交換器について、下記の方法による評価を行った。表1は、実施例1〜13及び比較例1〜15をまとめたものである。
【0121】
<親水性評価>
熱交換器の流水浸漬(流水量:脱イオン水で0.5L/分)を90時間実施した。流水前後のフィン部について、着滴10秒後の耐水接触角を、自動接触角計DM−501(協和界面科学株式会社製)を用いて測定した。結果を表2に示した。表2中の評価基準として、「○」は初期接触角(流水前の接触角)が10°未満で、流水後の接触角が25°未満の場合であり、「△」は初期接触角が10°以上20°以下で、流水後の接触角が25°以上30°以下の場合であり、「×」は初期接触角が20°超で、流水後の接触角が35°超の場合である。
【0122】
<耐食性評価:塩水噴霧(SST)試験>
熱交換器をJIS Z−2371に基づく塩水噴霧試験法により、480時間暴露後の錆面積を外観により評価した。結果を表2に示した。表2中の評価基準として、「◎」は変色なし、「○」は錆発生が10%未満、「□」は錆び発生が10%以上30%以下、「△」は錆発生が30%超50%以下、「×」は錆発生が50%超の場合である。
【0123】
<耐食性評価:湿潤試験>
熱交換器を、温度:50±1℃、相対湿度:95%以上の高温高湿度雰囲気に保持された湿潤試験機(CT−3:スガ試験機株式会社製)内に2000時間暴露させ、試験後の錆面積を外観により評価した。結果を表2に示した。表2中の評価基準として、「◎」は変色なし、「○」は錆発生が5%未満、「△」は錆び発生が5%超50%以下、「×」は錆発生が50%超の場合である。
【0124】
<抗菌性評価>
流水浸漬(流水量:脱イオン水で0.5L/分)を90時間実施した後の熱交換器を50℃で3時間乾燥させ、1.5cm×4cm×3cmのサイズに切断して評価サンプルとした。次に、評価サンプルをアルミホイルで包み、115℃で15分間オートクレーブ中に暴露し、滅菌を行った。その後、Nutrient Broth(Difco:16g/L)0.5mLをマイクロピペットでフィンの間に均等に付着させ、クリーンベンチ(無菌状態)で18時間乾燥し、評価サンプルへの培養液の接種を行った。試験菌はブイヨン培養液に接種して培養した後、菌数を一定になるように調整した。調整菌数は、菌液の生菌数を混釈培養法にて計測し、これを初期菌数とした。なお、試験菌として、枯草菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌の3種を用いた。
【0125】
試験菌液0.2mLを予め培養液の接種を行った評価サンプルのフィン間に均等に接種し、28℃に調整した恒温槽中で18時間培養した。培養後、評価サンプルを50mLの滅菌生理食塩水に浸漬させ、ロータリーシェイカーで良く分散させ、菌分散液を得た。得られた菌分散液の菌数混釈培養法にて計測し、これを生菌数とした。
【0126】
以上より得られた初期菌数と生菌数から、生菌数/初期菌数を算出し、抗菌性を評価した。結果を表2に示した。表2中の評価基準として、「○」は生菌数/初期菌数が1/100未満、「△」は生菌数/初期菌数が1/100以上1以下、「×」は生菌数/初期菌数が1超の場合である。
【0127】
<防臭性評価>
防臭性評価には、図3に示すタバコ臭い成分付着性試験装置を用いた。この装置は、図3に示すように、供試試料32a、32b、32cを収容するための鐘形ガラス容器31と、タバコ34を収容し、導管31a及び入口35bを経由して、鐘形ガラス容器31に接続されている喫煙筒35を、導管33aを経由して喫煙筒35の入口35bに接続されているフローメータ33と、喫煙筒35に接続されている空気供給導管36とを有するものである。鐘形ガラス容器31中に1個以上の試料を収容し、空気を、所定流量で、導管36、フローメータ33、導管33a及び入口35bを経由して、喫煙筒に吹き込み、タバコを発煙させる。タバコの臭い成分を含む煙を、出口35a及び導管31aを経由して容器31中に吹き込む。臭い成分は、試料に付着し、残りの煙は、容器31から出口31bを経て除去される。この試料を、GC−MS分析器に入れ、試料から揮発した物質の量をGC−MS分析器により測定する。この試験において、実施例1〜14のフィン部32bと、比較例1〜8のフィン部32cと、比較例9のフィン部32cとの合計23個の試料を、鐘形容器に入れ、前述の方法により、タバコが燃え尽きるまでタバコの煙に暴露した。その後、試料32a、32b、32cの各々を、開口部37aを有するGC−MS分析器37に入れ、GC−MS分析に供した。各試料の臭い成分付着量を、試料から揮発した物質の量により表した。また、現行皮膜処理品であり、防臭性が良好であると位置付けられる試料32c(比較例15)の揮発物質の量を基準として、試料32a及び32bの試料の揮発分量を試料32cの揮発分量に対する比較値で表した。
【0128】
以上より得られた比較例15の揮発分量(基準)に対する比較値から防臭性を評価した。結果を表2に示した。表2中の評価基準として、「○」は1.00以下、「×」は1.00よりも大きい場合である。
【0129】
【表1】

【0130】
【表2】

【0131】
表2の結果から明らかなように、実施例1〜13の熱交換器は、優れた親水性、高耐食性、抗菌性、防臭性の全てを不足無く発現した。これに対して、比較例1、2、6の熱交換器は、耐食性が不十分であった。また、比較例3、8は、抗菌性及び防臭性が不十分であった。また、比較例4、5、7、9、11は、親水性が不十分であった。また、比較例12、13は、流水後の親水性、抗菌性及び防臭性が不十分であった。また、比較例14は、湿潤雰囲気での耐食性及び防臭性が不十分であった。また、比較例15は、親水性及び塩水噴霧での耐食性が不十分であった。
【符号の説明】
【0132】
1 アルミニウム又はアルミニウム合金基材
2,2’ 第1保護層
3,3’ 第2保護層
10 表面処理皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料
20 熱交換器(親水性皮膜が設けられたアルミニウム含有金属材)
21 放熱部(フィン)
22 冷媒配管(チューブ)
31 ガラス鐘
31a 導管
31b 入口
32a 実施例1〜14のフィン部
32b 比較例1〜8のフィン部
32c 比較例9のフィン部
33 フローメータ
33a 導管
34 タバコ
35 喫煙筒
35a 出口
35b 入口
36 導管
37 GC−MS揮発成分分析器
37a 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム又はアルミニウム合金基材の表面に第1保護層と第2保護層とをその順で有し、
前記第1保護層が、バナジウムと、チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属とを含有し、前記バナジウムの付着量が0.3〜200mg/m2であり、前記チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属の合計付着量が前記バナジウムの付着量を1としたときのモル比で0.1〜5である化成皮膜であり、
前記第2保護層が、(1)キトサン誘導体及び可溶化剤と、(2)ポリビニルアルコールの側鎖に親水性ポリマーがグラフト重合してなる変性ポリビニルアルコールと、(3)水溶性架橋剤とを含有する組成物からなり、前記(1)〜(3)の化合物の合計が固形分換算で第2保護層全体の50質量%以上であり、前記(1)〜(3)の化合物それぞれが固形分換算の質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.1〜0.8、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.1〜0.6、及び(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.05〜0.3であり、単位面積あたりの乾燥質量が0.05〜6.0g/m2の有機皮膜である、ことを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金材料。
【請求項2】
前記第2保護層を形成する前記(2)の変性ポリビニルアルコールが有する側鎖親水性ポリマーが、ポリオキシアルキレンエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアミン及びポリエチレンイミンから選ばれる1種以上のポリマーである、請求項1に記載のアルミニウム又はアルミニウム合金材料。
【請求項3】
前記第2保護層を形成する前記(3)の水溶性架橋剤が、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸及びフィチン酸から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載のアルミニウム又はアルミニウム合金材料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム又はアルミニウム合金材料で形成されてなることを特徴とする熱交換器。
【請求項5】
アルミニウム又はアルミニウム合金基材表面を化成皮膜の形成に適した状態にする表面調整工程、水洗工程、前記アルミニウム又はアルミニウム合金基材の表面に化成皮膜である第1保護層を形成する工程、水洗工程、前記第1保護層上に有機皮膜である第2保護層を塗布する工程、及び乾燥工程をその順で経てなる表面処理方法であって、
前記第1保護層を、バナジウムと、チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属とを含有する化成処理液で形成し、
前記第2保護層を、(1)キトサン誘導体及び可溶化剤と、(2)ポリビニルアルコールの側鎖に親水性ポリマーがグラフト重合してなる変性ポリビニルアルコールと、(3)水溶性架橋剤とを含有する組成物で形成する、ことを特徴とする表面処理方法。
【請求項6】
前記第1保護層において、前記バナジウムの付着量を0.3〜200mg/m2とするとともに、前記チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属の合計付着量を前記バナジウムの付着量を1としたときのモル比で0.1〜5とし、
前記第2保護層において、前記(1)〜(3)の化合物の合計を固形分換算で第2保護層全体の50質量%以上とするとともに、前記(1)〜(3)の化合物それぞれを固形分換算の質量比で、(1)/{(1)+(2)+(3)}=0.1〜0.8、(2)/{(1)+(2)+(3)}=0.1〜0.6、及び(3)/{(1)+(2)+(3)}=0.05〜0.3とし、単位面積あたりの乾燥質量を0.05〜6.0g/m2とする、請求項5に記載の表面処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−161876(P2011−161876A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29756(P2010−29756)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000229597)日本パーカライジング株式会社 (198)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】