表面実装型光半導体装置
【課題】表面実装型光半導体装置に、視認性のよい識別マークを形成する。
【解決手段】回路基板2上に光半導体ベアチップ1を実装し、透明樹脂に透過率低下部材が混和された封止樹脂にて前記基板表面を封止した封止樹脂部3を持つ表面実装型光半導体装置において、前記基板表面の電極端子が形成されていない辺のいずれかに沿うように光半導体実装領域を避けて極性識別マークとしてレジストもしくはシルク版による短冊状パターン5を形成し、前記封止樹脂部における前記短冊状パターンの上の領域を薄く削り、前記短冊状パターンが視認可能となる帯状領域7aを作成した。
【解決手段】回路基板2上に光半導体ベアチップ1を実装し、透明樹脂に透過率低下部材が混和された封止樹脂にて前記基板表面を封止した封止樹脂部3を持つ表面実装型光半導体装置において、前記基板表面の電極端子が形成されていない辺のいずれかに沿うように光半導体実装領域を避けて極性識別マークとしてレジストもしくはシルク版による短冊状パターン5を形成し、前記封止樹脂部における前記短冊状パターンの上の領域を薄く削り、前記短冊状パターンが視認可能となる帯状領域7aを作成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極を施した基板上に光半導体ベアチップを搭載し、ダイボンドおよびワイヤボンド等により前記電極と接続を行い、前記ベアチップおよび前記接続部周辺保護のために透光性樹脂で封止することにより形成された表面実装型光半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の表面実装型光半導体装置光は従来から、当業者間においてチップ型またはチップタイプと呼称されているものの一種であり、プリント回路基板等に表面実装されるものである。
【0003】
前記表面実装型光半導体装置で、現在よく用いられているパッケージの形態は以下の二種類である。
図15は一つめの形態である表面実装型光半導体装置150を示したもので、一対の対向する二辺縁部には表裏両面に敷設され、側面を介して導通される電極端子パターン部153a、153bが形成され、表面の中央部には光半導体ベアチップ実装領域と光半導体ベアチップ152が接続され前記電極端子パターン部153a、153bを繋ぐ二つの配線パターンが形成された四角形の基板と、前記基板の上面中央部の光半導体ベアチップ実装領域に実装された光半導体ベアチップ、及び光半導体ベアチップ表面と前記基板上面の光半導体ベアチップ実装領域周辺部を覆うように封止樹脂部154を備えている。
【0004】
一般的に、光半導体ベアチップ152がLEDベアチップのときに良く用いられるパッケージである。近年では、このパッケージ形態により、青色LEDと蛍光体を混和させ封止樹脂部を組合せて白色発光させるものや、LEDベアチップを複数個搭載したものや、封止樹脂を可視光カット樹脂として、LEDベアチップの代わりに受光ベアチップを搭載したものも製品化されている。
【0005】
図16は二つめの形態である表面実装型光半導体装置160を示したもので、基板161の裏面部には電極端子パターン163a、163bが敷設され、基板161の表面の中央部には光半導体ベアチップ実装領域と光半導体ベアチップ165に接続され電極数に応じた数の配線パターンが形成され、前記配線パターンは前記電極端子パターンとスルーホールを介して導通されており、四角形の基板161と、前記基板の上面中央部の光半導体ベアチップ実装領域に実装された光半導体ベアチップ165、及び光半導体ベアチップ表面と前記基板表面の前面を覆うように形成された封止樹脂部164を備えている。
【0006】
このパッケージは多面付けされた基板上一面に樹脂を塗布し、硬化後に回路サイズに応じた位置で切断するという方法で製造され、封止型を使用しない。また電極端子パターンは裏面パターンのみで形成されるため、電極の数が二つ以上であっても対応できる。
従って、近年では、様々な受光面サイズへの対応が求められる光センサー用途に、封止樹脂を可視光カット樹脂として、受光ベアチップや受光ICチップを搭載した光半導体装置等に用いられる様になってきている。
【0007】
ところで前記表面実装型光半導体装置150および160をプリント回路基板などに組付けるとき、あるいは検査するときに極性の識別が必要である。このためこれら表面実装型光半導体装置では極性識別マークが施こされている。
【0008】
例えば、文献1(実開昭62-010456)は、封止樹脂の内部あるいは外部に極性識別マークが施こすものである。
【0009】
また文献2(特開2007123704)は樹脂封止部の外形を正負電極方向に沿って非対称形状とするものである。
【0010】
また、今日、一般的に使用されているもので、基板部裏面に極性識別マークが設けるようにしているものがある。例えば、図17は前記基板部裏面を示すものであり、表面から導通している裏面電極170a、170bの間にレジストもしくはシルクによる極性識別マーク171が形成されている。図17の例では極性識別マークが矢尻形状となっていて裏面電極170a、170bの位置が識別できるようになっている。
【0011】
また文献3は、前記表面実装型光半導体装置150の構造例のみの適用に限られるが、図18に示すように、基板部184上面の正負端子部181a、181bに平行するLEDベアチップ183とその接続部周辺を覆う樹脂封止部182の基板部184と接する接合線96を含むようにハンダレジスト膜180a、180bが設けられており、この前記ハンダレジスト膜180a、180bの色を夫々異なる色とすることにより極性の識別を行うものとしている。
【0012】
また文献4も、前記表面実装型光半導体装置150の構造例のみの適用に限られるが、図19に示すように、電極190a、190bのいずれか一方の基板部193の表面側で封止樹脂体192より外側に位置する電極端子パターン領域に電極端子パターンを中抜きすることにより極性識別マーク191を形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実開昭62−010456号公報
【特許文献2】特開2007−123704号公報
【特許文献3】特開平8−330637号公報
【特許文献4】特開2008−258455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、文献1の極性識別マークの場合、樹脂封止領域外に電極パターン以外のスペースが必要となる。また基板表面の全面が封止樹脂で覆われた前記表面実装型光半導体装置160のパッケージ形態の場合、封止樹脂領域内部に極性識別マークを設けることになるが、封止樹脂が例えば、透明樹脂に顔料や染料や拡散材などの透過率低下部材が混和されている場合や可視光カット樹脂が使用されている場合には、極性識別マークの視認は困難になってしまう。
【0015】
また文献2の極性識別マークについては、近年の表面実装型光半導体装置の小型化の傾向に伴って、樹脂封止体の一部に形状変化を持たせたのみでは容易に極性識別マークを視認できないという問題も生じてきた。また形状変化箇所を装置サイズに対して大きくすると配光特性に悪影響という懸念もある。
また前記表面実装型光半導体装置160のパッケージ形態で用いられる製法では採用困難である。
【0016】
極性識別マークを基板部裏面に形成した場合は、基板アセンブリ段階でプリント基板に実装後に極性識別マークが視認できなくなるという問題がある。
【0017】
また文献3の極性識別マークは、近年の表面実装型光半導体装置の小型化の傾向に伴って、基板部自体が小型となり電極パターン領域に充分なスペースが確保できなくなってきているため、封止樹脂が例えば、透明樹脂に顔料や染料や拡散材などの透過率低下部材が混和されている場合、外部からの目視では極性識別マークのレジストパターンが樹脂封止体の外部にはみ出す極小部分しか確認できず、正負極の確認が困難となっている。
【0018】
また文献4の極性識別マークにおいても、基板部自体が小型となり電極パターン領域も小さくなってきているため、極性識別マークを中抜きで入れるようなスペースが確保できなくなってきている。仮に極性識別マークを設けたとしても、視認が困難なほど極小になってしまう。
また前記表面実装型光半導体装置160のパッケージ形態では基板表面部に電極パターン領域が配置されていない為、採用すらできない。
【0019】
さらに文献3および4の極性識別マークに共通して、面実装型光半導体装置の小型化とともに薄型化も求められており、それに伴って基板部自体も薄型化の傾向があり、0.1〜0.2mm程の基板を用いたものが一般化した状況である。このようなものをリフローはんだプロセスではんだ付けすると、前記基板上面の電極パターン領域まではんだが這い上がってくるのが通常の現象であり、その場合、クリームはんだの残留フラックスの付着により、極性識別マークを視認できないものとしてしまう。
【0020】
そこで、本発明は、上記した特許文献の問題点に鑑み、極性識別マーク形成のために樹脂封止金型や治具を複雑にせず、外側の電極部スペースを極小化でき、且つプリント基板等へ実装後も表面から識別できる極性識別マークを備えた表面実装型半導体装置およびその製造方法を提供とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたもので、請求項1の表面実装型光半導体装置は、前記表面実装型光半導体装置150の形態のパッケージを対象とするもので、
一対の対向する二辺縁部の各々には表裏両面に敷設され側面を介して導通される少なくとも一つ以上の電極端子パターンと、表面中央部の光半導体ベアチップ実装領域で光半導体ベアチップに接続される複数のボンディングパッドと、前記ボンディングパッドと前記電極端子パターンの各々を繋ぐ複数の配線パターンが形成された四角形の基板と、
前記光半導体ベアチップ実装領域に実装された光半導体ベアチップと、
前記光半導体ベアチップと前記光半導体ベアチップ実装領域周辺部および前記配線パターンとを覆う樹脂封止部を備えた表面実装型光半導体装置において、
前記基板の表面には光半導体ベアチップ実装領域を避けて、電極端子パターン形成されていない二辺のいずれかに沿うように、レジストもしくはシルク版による短冊状パターンが形成され
前記封止樹脂部は透明樹脂に透過率低下部材が混和されており、
さらに、前記封止樹脂部における前記短冊状パターンの上の領域が、半導体ベアチップ実装領域上の領域よりも薄くした帯状に形成され、該帯状領域を通して前記短冊状パターンが視認可能であることを特徴とする。
【0022】
また、請求項2の表面実装型光半導体装置は、前記前記表面実装型光半導体装置160の形態のパッケージを対象とするもので、
表面中央部の光半導体ベアチップ実装領域で光半導体ベアチップに接続されるボンディングパッドと、裏面部には電極端子パターンと、前記ボンディングパッドと裏面の前記電極端子パターンをスルーホールを介して導通させる配線パターンを複数組形成された四角形の基板と、
前記光半導体ベアチップ実装領域に実装された光半導体ベアチップと、
前記基板の表面の全面を覆う封止樹脂部を備えた表面実装型光半導体装置において
前記基板の表面には光半導体ベアチップ実装領域を避けて、四辺のいずれかに沿うように、レジストもしくはシルク版による短冊状パターンが形成され
前記封止樹脂部は透明樹脂に透過率低下部材が混和されており、
さらに、前記封止樹脂部における前記短冊状パターンの上の領域が、半導体ベアチップ実装領域上の領域よりも薄くした帯状に形成され、該帯状領域を通して前記短冊状パターンが視認可能であることを特徴とする。
【0023】
また、請求項3の表面実装型光半導体装置は、前記透過率低下部材が蛍光体顔料である場合においても請求項1および2の構成を適用するものである。
【0024】
また、請求項4の表面実装型光半導体装置は、光半導体ベアチップが受光ベアチップの場合に封止樹脂として可視光カット樹脂が用いられることを想定したもので、請求項1および2の構成に関して、前記透過率低下部材が混和された透明樹脂は可視光カット樹脂で、カットオフ波長以下の短波長側に透過率ピークが5%以下のバンドパス波長領域を有しているものであり、
前記短冊状パターンの色または前記基板の表面色のどちらかが前記バンドパス波長領域内のいずれかの波長で示される色が選択されていることを特徴としたものである。
【0025】
また、請求項5による製造方法は、請求項1乃至4記載の表面実装型光半導体装置に関して、
分割ラインに沿う所定の位置に前記短冊状パターンが形成された請求項1または2における四角形の基板回路パターンが複数個形成された多面付け基板を用意する工程と、
前記多面付け基板に取り数に応じた数の光半導体ベアチップを前記回路基板に実装し、回路と接続するボンディング工程と、
光半導体ベアチップが実装された前記面付け回路基板の光半導体ベアチップ実装面側に透過率低下部材が混和された樹脂を塗布あるいは成形型により注入した後に加熱硬化させて行う樹脂封止工程と、
多面付け基板の分割ラインに重なるように前記短冊状パターンが視認可能となる樹脂厚みですりわり状の溝を削成する溝削成工程と、
前記溝の幅以下の刃幅を持つ切断機で前記溝幅内の分割ラインに沿って、前記回路基板と前記溝底面の樹脂を同時に切断した後に分離する切断・分離工程からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、前記表面実装型光半導体装置150および前記表面実装型光半導体装置160のパッケージ形態の双方において、透明樹脂に染料や顔料や散乱材などの透過率低下部材が混和された封止樹脂部を持つ場合に、基板表面の封止樹脂内に設けられた短冊上の極性識別マークを前記封止樹脂部に設けられた薄肉の帯状領域を通して視認可能としたことで、電極パターン領域に充分なスペースがなくとも極性識別マークを設けることが可能であり、アセンブリ基板へのはんだ付け実装工程後も極性識別マークがはんだのフラックスに埋もれることなく、実装後も確実に認識でき、製品検査時にも、誤組立が行われたものの発見を容易とすることができる。
【0027】
さらに前記表面実装型光半導体装置が封止樹脂として可視光カット樹脂を備えた受光装置であっても前記可視光カット樹脂をカットオフ波長以下の短波長側に透過率ピークが5%以下のバンドパス波長領域を有しているものを採用し、短冊上の極性識別マークの色または前記基板の表面色のどちらかが前記バンドパス波長領域内のいずれかの波長で示される色が選択することで、極性識別マークが充分に視認可能な可視光カット樹脂付の表面実装型受光装置とすることができる。
【0028】
さらに前記封止樹脂部の帯状領域の加工を前記表面実装型光半導体装置の切断分離工程における切断をダイサーブレードの刃幅を変えて二段階で行うことにより、前記表面実装型光半導体装置150および前記表面実装型光半導体装置160のパッケージ形態双方で採用可能となり、樹脂封止金型や樹脂塗布に用いる治具等を複雑化させたり、精度を高めたりせずに従来製造工程を極端に変更することなく作成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は本発明による実施形態を示すものである。
【図2】図2は図1の実施形態を上方から見た様子を示す模式図である。
【図3】図3は本発明による別の実施形態を示すものである。
【図4】図4は本発明による別の実施形態で採用される可視光カット樹脂の分光透過率特性例である。
【図5】図5は図3の実施形態を上方から見た様子を示す模式図である。
【図6】図6は光半導体装置の製造プロセスを模式的に示すものである。
【図7】図7は別の光半導体装置の製造プロセスを模式的に示すものである。
【図8】図8はトランスファモールド工法でモールド欠陥の発生する様子を模式的に示したものである。
【図9】図9は帯状領域をスタンピングで作成する場合に治具類が複雑になり、光半導体ベアチップへの損傷が生ずる可能性があることを説明する模式図である。
【図10】図10は本発明による溝削成工程を模式的に示すものである。
【図11】図11は本発明による切断・分離工程を模式的に示すものである。
【図12】図12は本発明による溝と分割ラインの関係を示したものである。
【図13】図13は本発明の別の実施形態で用いられる回路基板のパターン配置にチップボンディングされた状態を示すものである。
【図14】図14は本発明の別の実施形態を示すものである。
【図15】図15は従来の光半導体装置のパーケージ形態を示すものである。
【図16】図16は従来の別の光半導体装置のパーケージ形態を示すものである。
【図17】図17は従来の極性識別マークの例を示すものである。
【図18】図18は従来の別の極性識別マークの例を示すものである。
【図19】図19は従来の別の極性識別マークの例を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(第一の実施形態)つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る表面実装型光半導体装置の第一実施形態であり、前記光半導体装置150のパッケージ形態に対応するものとして、LEDベアチップ1を搭載したチップ型LEDを示すものである。このチップ型LEDの、例えば長方形とした基板2の表面側には、短辺側に電極パターン4a、4bが設けられている。
【0031】
そして、前記基板2の前記電極パターン4a、4bに対応して裏面側に裏電極パターンが4a’、4b’敷設されている。そして、表電極パターン4aと裏電極パターン4a’は、基板2の板厚面に施された無電界メッキなどにより各々電気的に接続され、同様に、表電極パターン4bと裏電極パターン4b’も電気的に接続されている。
【0032】
また、前記基板2の表面側においては、表電極パターン4a上にLEDベアチップ1がダイボンドされ、金線6などで表電極パターン4bと接続される。そしてエポキシ樹脂などによる樹脂封止部3がトランスファモールド等適宜な方法で形成され、前記LEDベアチップ1、及び、金線6を覆い、湿度、外部応力などから保護している。尚、LEDベアチップの接続は電極配置に応じて、バンプや共晶接続によるフリップチップボンディング等様々な接続方法が選択される。
【0033】
尚、図1では樹脂封止部を透視して描いているが、前記樹脂封止部3は透明樹脂に光学的機能付与を目的として添加剤を加え透明度が低下している樹脂である。
具体的には、散乱効果を付与するために散乱材が混和された樹脂、青色LEDと白色光を合成するための補色光を発する蛍光体顔料が混和された樹脂あるいは前記散乱材もさらに加えた樹脂、可視光成分を遮断するようなフィルタ特性を付与する染料が混和された可視光カット樹脂、などがある。
【0034】
ここで、本実施形態においては、前記基板2の表面側二つの正負電極パターン4a、4bが敷設されていない他の二辺のいずれかに沿うように、LEDベアチップ1の実装領域を避けて極性識別マーク5がレジストもしくはシルク版による短冊状のパターンで設けられている。
【0035】
さらに前記封止樹脂3の極性識別マーク5の上の領域が、前記LEDベアチップ1実装領域上の領域よりも薄くした帯状に形成され、該帯状領域を通して前記短冊状パターン5が視認可能となるようにしている。
【0036】
次に、図2は、図1におけるチップ型LEDを上方から見た様子を模式的に表した図である。ここで、前記帯状領域7aの短手寸法S1は前記極性識別マーク5を特別な光学検査装置を使用せずに視認可能とするために少なくとも0.2mm、好ましくは0.3mm以上であることが望ましい。
【0037】
また、前記極性識別マーク5に関する留意点として、表示コントラストを稼ぐため、図2に示すように、長手寸法L2は前記帯状領域7aの長手寸法L1よりも短くし、周囲に対して明度対比が高くなるような表示色を選択しておくことが好ましい。
例えば、図1の光半導体装置150が青色LEDベアチップと補色発光用の蛍光材を混和し封止樹脂で構成される白色LEDであれば、樹脂色は外光によって蛍光材が励起されるため、薄黄色として視認される色となっている。この場合、極性識別マーク5の表示色は黒色や濃い緑色を選択すればよい。これらの色はレジストとして一般的に供給されているものである。
尚、前記帯状領域7aの短手寸法S1が非常に小さく、この範囲で前述のように方向識別用マーク5の配置によって明度対比を感じるのは困難である。また方向識別用マーク5を視認するためには、太さが必要であり、細すぎると汚れなどと識別できない。それ故、方向識別用マーク5の短手寸法S2は、可能なかぎり前記短手寸法S1の幅一杯に方向識別用マーク5の短手寸法S2を設定するのが望ましく、さらに、図2に示すように、方向識別用マーク5の短手寸法S2を大きくして、前記帯状領域7aの短手寸法S1による範囲を超えて光半導体ベアチップ搭載領域にはみ出すように設定してもよい。
【0038】
尚、図2において7bで示される帯状領域は製造過程で帯状領域7aを形成するときに、副次的に形成されるものである。また製造過程の初期に用いられる多面付け回路基板における個々のパターンの配置によっては前記領域7b形成されないようにすることも可能である。領域7bの形成の有無については後述する製造方法とともに説明する。
【0039】
(第二の実施形態)次に、本発明の別の実施形態について説明する。図3は本発明に係る光半導体装置の別の実施形態であり、前記光半導体装置160のパッケージ形態に対応するものとして、受光ベアチップ31を搭載した面実装光半導体受光装置を示すものである。この面実装光半導体受光装置の、基板32の表面側には、受光ベアチップ31が戴置され前記受光ベアチップ31の電極パッドと接続するための表面パターンが敷説されている(図示せず)。また前記基板32の裏面側には面実装光半導体受光装置の端子電極パターン34a、34bが敷設されており、各々前記表面パターンとスルーホール等を介して導通されている。
【0040】
尚、図3では端子電極パターンを二端子として図示しているが、本実施形態では受光ベアチップ31の電極数に応じて、前記基板32の裏面側に端子電極パターンの数を設けることが可能である。
即ち、前記受光ベアチップ31の電極数は、例えばフォトダイオードであれば、正負電極の二端子で、フォトトランジスタであれば、コレクタ、エミッタ、ベース、の三端子となり、その他フォトICであれば電源の二端子に出力を加えた三端子以上であり、面実装光半導体受光装置の端子電極パターンは前記受光ベアチップ31の電極数に応じたそして、基板裏面内で適宜配置が決められる。
【0041】
そして、受光ベアチップ31は前記表面パターンとワイヤーボンディングあるいはフリップバンプボンディング等により接続され、更にエポキシ樹脂などによる樹脂封止部33が基板32の表面全面に形成され、前記受光ベアチップ31、及び、基板32表面全体を覆い、湿度、外部応力などから保護している。
【0042】
ここで、図3では樹脂封止部33を透視して描いているが、本実施例においては、前記樹脂封止部33は、例えば750nm以下の光をカットし赤外光を透過するフィルタ特性を有する可視光カット樹脂用いており、実物は黒く不透明に観えている。可視光カット樹脂の分校透過率特性を図4に示す。このような樹脂材料は日東電工株式会社製よりNT−8510−75000として入手できる。一般に染料添加方式による赤外透過の可視光カットフィルタでは、カットオフ波長以下の短波長側にバンドパス波長領域が発生しやすい傾向にあり、市場に供給されている可視光カット樹脂の代表的特性例である。尚、該バンドパス波長領域は図4の例で一点鎖線内示される部分であり、ピーク透過率が5%以下と軽微なため実使用上は問題にならない。
【0043】
また、本実施形態においても、第一の実施形態の措置と同様に、前記基板32の表面側の各四辺のいずれか一つに沿うように極性識別マーク35がレジストもしくはシルク版による短冊状パターンを用いて設けられており、さらに前記封止樹脂33の極性識別マーク35の上の領域が、前記受光ベアチップ31実装領域上の領域よりも薄くした帯状に形成され、該帯状領域を通して前記短冊状パターン35が視認可能となるようにしている。
【0044】
ここで、本実施形態では、前記極性識別マーク35の視認性を確保するために、前記極性識別マーク35あるいは基板32の表面のいずれか一方は前記バンドパス波長領域内の少なくとも一部の光波長を反射可能な色が選択される。この場合、もう一方は該選択色に明度対比を考慮してコントラストを保たれる色を選択しておくことが好ましい。すなわち、第一の実施形態と異なり、極性識別マーク35が明度対比の比較対象は周囲の樹脂色ではなく、背景の基板色であることに留意が必要である。
例えば、前記基板32において、基材がガラエポ_FR−4のように基材色が薄青色、あるいはBTレジン(三菱瓦斯化学株式会社商標)のように基材を白色化したものの場合、極性識別マークは黒色が好ましく、また基材表面が予めレジストにより黒色や濃い緑色に着色されている場合、極性識別マークは黄色や白色のシルク版が好ましい。
【0045】
次に、図5は、図3における面実装光半導体受光装置を上方から見た様子を模式的に表した図である。ここで、前記帯状領域37aの短手寸法S1’は前記極性識別マーク35を特別な光学検査装置を使用せずに視認可能とするために少なくとも0.2mm、好ましくは0.3mm以上であることが望ましい。
【0046】
さらに、前記極性識別マーク35に関する留意点として、表示コントラストを稼ぐため、図5に示すように、長手寸法L2’は前記帯状領域37aの長手寸法L1’よりも短くしておくことが望ましい。
尚、前記帯状領域37aの短手寸法S1’が非常に小さく、この範囲で前述のように方向識別用マーク35の配置によって明度対比を感じるのは困難である。また方向識別用マーク35を視認するためには、太さが必要であり、細すぎると汚れなどと識別できない。それ故、方向識別用マーク35の短手寸法S2’は、可能なかぎり前記短手寸法S1’の幅一杯に方向識別用マーク35の短手寸法S2’を設定するのが望ましく、さらに、図2に示すように、方向識別用マーク35の短手寸法S2’を大きくして、前記帯状領域37aの短手寸法S1’による範囲を超えて光半導体ベアチップ搭載領域にはみ出すように設定してもよい。
【0047】
尚、図5において37bで示される帯状領域は製造過程で帯状領域37aを形成するときに、副次的に形成されるものである。また製造過程の初期に用いられる多面付け回路基板における個々のパターンの配置によっては前記領域37bを形成されないようにすることも可能である。領域37bの形成の有無については後述する製造方法とともに説明する。
【0048】
(樹脂厚みに関する透視性評価試験)ここで、蛍光体が混和された透明樹脂と可視カット樹脂の二つの不透明樹脂を用いて、樹脂厚みに関して透視性の評価を行った。
試料の構成を以下に示す。透視性評価マークは前述のように周囲および背景に対して明度対比が高くなる組み合わせを選択した。
以下の試料構成1および試料構成2でトランスファー工法により図6における面実装光半導体装置60の形状に基板上に封止樹脂部を形成したものを各々試料1、試料2とした。
・試料構成1
樹脂:オルトシリケート系蛍光材15%重量費で混合したエポキシ樹脂
基板:BTレジン(三菱瓦斯化学株式会社商標)
透視性評価マーク:緑色レジスト、大きさ1.2X0.3mmの短冊形状
・試料構成2
樹脂:図4の分光透過率特性と同等のカットオフ波長750nmのフィルタ特性を有するエポキシベースの可視光カット樹脂
基板:ガラエポ(FR−4)、表面に黒レジスト面付き
透視性評価マーク:黄色レジスト、大きさ1.2X0.3mmの短冊形状
【0049】
次に、試料1および試料2の透視性評価マーク上方の樹脂領域を樹脂封止部上面から樹脂厚みを都度測定しながら少しずつ薄くなるよう削った。尚、加工には電動式ハンドリューターを用いた。
【0050】
試料1では、樹脂厚みがほぼ200μmとなる時に、蛍光色により黄色く見える樹脂面に前記透視性評価マークが緑斑状に視認可能となることを確認した。
試料2では、樹脂厚みがほぼ300μmとなる時に、黒い基板面に対して黄色レジストによるマークが浮かび上がるようにして視認可能となることを確認した。
従って、マーク上方の樹脂厚みをさらに薄く安定して削成すれば、着実に視認可能な方向識別マークとして機能することが確認できた。
【0051】
( 製造方法 )第1の実施の形態のように基板部表面にも電極端子パターンを有した形態の装置は、図6に示す様なプロセスで製造される。尚図6は用いる光半導体ベアチップがLEDベアチップの場合を例に描いているが、受光ベアチップを用いる場合も同様のプロセスである。
【0052】
図6において61はLEDベアチップ、62はLED接続回路パターンを多面付け状に敷設した回路基板である。まずLEDボンディング工程では、回路基板62の面付け数に応じた複数個のLEDベアチップ61が回路基板62のLED接続回路パターンに戴置しワイヤーやバンプ等を用いて接続される。
次の樹脂封止工程では、前記LEDベアチップ61とその接続部周辺を被覆するために、封止金型にセットし、トランスファモールド工法により、一列毎にエポキシ樹脂で封止して前記基板62の表面に棒状の封止体63を作成する。
そして切断・分離工程では、基板裏面に粘着シート(図示せず)を貼り、ダイサーブレード64により前記基板62と封止樹脂による棒状の封止体63を同時に切断した後、前記粘着シートから個々のチップ型LEDを剥がし、個片状態とする。
【0053】
尚、封止樹脂に顔料や染料や拡散材などの光学的添加剤が混和された樹脂を用いる場合、該添加剤は予め粉体化したエポキシ樹脂と所定の混合比で混合した後に打錠されてタブレット状に加工して用いられる。この場合、封止体成形条件のみが設定変更されるだけで、樹脂封止工程手順に変化はない。
【0054】
次に第2の実施形態のように基板部表面前面を樹脂封止部が覆う形態の装置は、図7に示すようなプロセスで製造される。図6のプロセスと類似しているが、樹脂封止が金型を使用しないで行われるという違いがあり、金型を使用しないため様々な大きさの半導体ベアチップに基板の回路パターンと分割ラインを変更するだけで対応可能という利点がある。
【0055】
図7において71は光半導体ベアチップ、72は光半導体接続回路パターンを多面付け状に敷設した回路基板である。まずチップボンディング工程では、回路基板72の面付け数に応じた複数個の光半導体ベアチップ71が回路基板72の光半導体接続回路パターンに戴置しワイヤーやバンプ等を用いて接続される。
次の樹脂封止の段階は、塗布・第1硬化工程と、平坦化・第2硬化工程の二段階で構成される。塗布・第1硬化工程では、チップボンディングされた基板72に液状の樹脂を真空下で印刷により塗布し、前記樹脂を加熱して、外部からの加圧により変形可能な程度の半硬化状態まで硬化させて半硬化封止樹脂層73を形成する。平坦化・第2硬化工程では、前記第1硬化工程後に室温まで冷却し、当該室温下において前記樹脂の表面に金属平板を押しつけて樹脂表面を平坦面74とした後に樹脂を加熱して硬化させる。
そして切断・分離工程では、基板裏面に粘着シート(図示せず)を貼り、ダイサーブレード75により前記基板72と封止樹脂76を同時に切断した後、前記粘着シートから個々のチップ型光半導体装置を剥がし、個片状態とする。
【0056】
ここで本発明は、前述の図6および図7よる製造プロセスにより製造される光半導体装置に関するものであるため、樹脂封止部は多面付け付けされた光半導体ベアチップ及び回路パターン部を全体一括に、あるいは一列毎にまとめて樹脂が塗布される。従って、方向識別用マークの上の領域を薄くして帯状領域を形成するのは、樹脂封止後に削成する方法が実現性があり合理的である。
【0057】
すなわち、図6の製造プロセスでは元来トランスファモールド工法における射出圧力は一般的に低く設定されるものであるため、前述のような薄肉となる帯状領域を介してキャビティから次のキャビティへと樹脂を送ることは容易でなく、未充填となるモールド欠陥が発生する。図8は、樹脂の流れ84が薄肉部82を基板83の界面に接しながら押し出され次のキャビティで圧力が低下してモールド欠陥81が発生している様子を模式的に表したものである。
【0058】
また図7の製造プロセスでは、樹脂平坦化工程用いる治具類が複雑になる。図9はその様子を模式的に描いたもので、91は樹脂押さえ板、92は半硬化状態の樹脂層、93は多面付け回路基板、94は光半導体ベアチップである。樹脂押さえ板91は帯状領域をスタンピングで作成するために、平板ではなく下駄歯状の突起部を持つ。従って、多面付け回路基板93および半導体ベアチップとの位置合わせに精度が求められることになる。
【0059】
図9(b)は前記樹脂押さえ板91を樹脂層92に押さえ始めた様子を描いたもので、押さえ時に余分となる樹脂の逃げを矢印95で表している。この場合、樹脂が半硬化状態光であるため接続ワイヤーへのストレスを与える懸念や、添加剤が混和された樹脂が使用される場合は、フィラーアタックにより光半導体ベアチップに損傷が生ずる可能性もある。
【0060】
従って、本発明における極性識別マークを視認するための薄肉箇所の形成には、図6および図7の製造プロセスにより樹脂封止まで終えた後に、極性識別マーク上方の樹脂を削るのが簡便である。例えばすりわり状の溝を削成し、視認可能となるまで溝底面に樹脂を薄く残すようにした後に、切断を行うようにすればよい。
【0061】
そこで、本発明においては、第1の実施の形態および第2の実施の形態の製造方法、すなわち前述の図6および図7による製造プロセスにおける切断・分離工程を次の溝削成工程と、切断・分離工程の二つの工程にて実施する。
【0062】
ここで本発明における製造プロセスを纏めると、まず、光半導体ベアチップ実装領域と光半導体ベアチップと接続されるボンディングパッドや電極端子パターンおよびそれらを繋ぐ配線パターンが形成された四角形の基板パターンが複数個形成され、分割ラインに沿うように取り数に応じて極性識別マークがレジストあるいはシルク版で設けてある多面付け基板が用意される。
【0063】
次に前述の図6や図7による方法で樹脂封止工程まで実施する。
すなわち、前記多面付け回路基板に取り数に応じた数の光半導体ベアチップを前記回路基板に実装し、回路と接続するボンディング工程後に、光半導体ベアチップが搭載された前記面付け回路基板の光半導体ベアチップ実装面側に前記極性識別マークを含めて覆うように樹脂を塗布あるいは成形型により樹脂注入した後に加熱硬化する。
【0064】
次に、本発明では、前記樹脂封止工程後に多面付け状態から製品個片に分ける切断・分離工程を刃幅が異なる二つダイサーブレードにより二段階の工程に分けて行う。
【0065】
第一の工程は溝削成工程で、刃幅の大きいダイサーブレードにより、多面付け状態の樹脂封止部にすりわり状の溝を削成する。図10は図6による棒状の樹脂封止体63に溝削成を行う様子を模式的に表したもので、棒状の樹脂封止体63を一列のみ描いているが、他の列は省略している。102は極性識別マークである。 また、図7の封止樹脂層76については、図示しないが、図10に示した封止体63と同様に刀幅の大きいダイサーブレードにより複数列(または行)の溝を形成する。
【0066】
溝削成は刃幅の大きい第一のダイサーブレード101により、前記多面付け回路基板の分割ライン105を位置基準として、上方からみて前記分割ラインを溝幅内に含む位置で、封止樹脂に残される厚みtまで多面付け状態の樹脂封止体を切削加工するようにして行う。尚、封止樹脂に残される厚みtは前記極性識別マーク102が透けて視認可能となる厚さ以下の値で予め定められているものである。
【0067】
第二の工程は切断・分離工程で、刃幅の小さいダイサーブレードを用い、第一の工程により樹脂封止体に削成された溝と底面と樹脂部を支える前記多面付け回路基板62を前記多面付け回路基板の分割ライン105上を同時に切断するものである。図11は刃幅の小さいダイサーブレード106によって前記分割ライン上を切断する様子を模式的に表している。尚、図示していないが、切断後の装置各個片がバラバラにならないように、第一の溝削成工程および第二の切断・分離工程をとおして、前記多面付け回路基板は粘着シートで保持されている。
【0068】
ここで図12は分割方向からみた樹脂封止体63の断面を示すものである。図12に示すように、前記溝の位置は上方からみて前記回路基板62の分割ライン105を溝幅内に含む位置であればよく、溝の中心線が分割ラインに一致する位置である必要はなく、前記極性識別マーク102の方向へ偏心していても良い。
従って、ここで用いるダイサーブレードの刃幅W1は少なくとも次の切断に使用するダイサーブレードの刃幅W2に、前記極性識別マーク102を視認するための薄肉部の幅W3を加えた幅(W2+W3)以上である必要がある。
例えば、切断に用いる刃幅の小さいダイサーブレードの刃幅W2が50μmで前記薄肉部の幅を250μmに設定すれば、溝削成に用いる刃幅の大きいダイサーブレードは300μm以上の刃幅W1を持つものを使用する。
尚、ここでは図6における樹脂封止体63を例に説明しているが、図7の封止樹脂層76についても各ダイサーブレードの位置関係は同様な措置となる。
【0069】
尚、第一の溝削成工程において前記溝の底面の表面粗さ状態は、ダイサーブレード砥粒の設定およびブレードの回転数、ブレードの送り速度などのダイシング条件により変化する。表面状態で前記極性識別マーク102が視認可能となる前記薄肉部厚みtが変化するので、前記ダイシング条件は十分に管理が必要である。
もし必要であれば、第一の溝削成工程と第二の切断・分離工程の間に前記溝の底面を対象としたバフ研磨工程を挿入しても良い。
【0070】
また図12において、厚肉部124は光半導体ベアチップ接続領域を覆う部分で、極性識別マーク102の上に位置する薄肉部126は図2において帯状領域7aとなる部分である。また薄肉部127は図2において帯状領域7bに相当する部分である。
ここで、前記第二の切断・分離工程において刃幅の小さいダイサーブレード106の切断位置を刃幅の大きいダイサーブレード101によって削成された溝の側面に面一で設定することが難しい。それ故、薄肉部127(帯状領域7b)は薄肉部126(帯状領域7a)形成時に副次的に形成されてしまう箇所である。
【0071】
帯状領域7bについては、必ずしも不要な部分とは言い切れない。それは例えば、帯状領域7bがないと厚肉部124の中心が光半導体ベアチップの位置により定まる光学中心に対してずれが生じ、配光に偏りが生じるので好ましくないという場合や、図1において該チップ型LEDが小さくなり極性識別マーク5及び薄肉箇所7aが極小化された場合に、前記薄肉箇所7aと7bとを対比することで、極性識別の判断がしやすくなるという場合があるからである。
このような場合、帯状領域7aと帯状領域7bは装置の両側面にバランスよく設置されるべきであろう。
【0072】
もし、例えば図1のチップ型LEDの短手寸法に制約がある場合や、ワイヤーボンディングスペースに制約がある場合のように、帯状領域7bが機能的に有害であれば、複数個の光半導体ベアチップ実装パターンが形成された多面付け回路基板の個々のパターン方向を工夫することで、帯状領域7b部が形成されないようにすることも可能である。
【0073】
(第三の実施形態)図13はチップ型LED用の多面付け回路基板の個々のパターン方向を互い違いに配置していくことで帯状領域7bが形成されないようにした例である。
図13(a)は前記多面付け回路基板の各ダイボンデングパッド133bにLEDベアチップを戴置しワイヤー132にてワイヤーパッド133cに接続された様子を装置上方から樹脂134を透視した状態で模式的に描いたものである。LEDベアチップの搭載位置はここの装置中心に整然配置されているが、ダイボンデングパッド133b、ワイヤーパッド133cは互い違いに両端の各電極端子パターン133aに延設されていて、ワイヤー132も互い違いに接続方向が変えられている。また極性識別マーク135は一つ置きに分割ラインと極性識別マーク135中心が重なるように配置されている。
図13(b)は図13(a)の状態における接続回路図を示したものである。各ダイオード記号がアンチパラレル状態で階段状に繰返し接続されていることになる。
【0074】
ここで図13(a)に示す如く、溝中心が分割ライン中心と重なるように、かつ一つ置きに配置された極性識別マーク上のみにすりわり状の溝加工をすればよい。分割ラインに沿って切断・分離すれば前記帯状領域7bのないチップ型LEDが得られる。
【0075】
尚、ここではLEDを例として説明したが、フォトダイオードの場合も同様の措置が可能である。また三端子以上の装置の場合は前述の第二の実施形態により同様な措置が可能である。また、多面付け回路基板の個々のパターン方向を互い違いに配置していく方法の他にここのパターン間隔を空けて分割を二本のラインで行うようにしても同様に帯状領域7bのないものが得られる。
【0076】
(第四の実施形態)前記帯状領域は短手方向に少なくとも0.3mm以上の幅が必要であるため、特に小型化が求められるチップ型LEDの場合には、図14(a)に示すように、電極端子パターン141の四隅に基板短手方向に幅W4の切り欠きを入れるような基板形状であってもよい。ここで前記幅W4は前記帯状領域の短手方向の幅と同程度とする。
図14(b)にプリント基板のはんだ付けパターンにマウントした状態を示す。145ははんだ付けパターンである。前記幅W4により、実装されるプリント基板のはんだ付けパターン長手幅W5は、2XW4分だけ短くすることができる。
一般的に面実装部品のはんだ付けパターンははんだ付け時のフィレット形成のため電極端子に対して左右両端に0.2〜0.3mm程度の余裕(クリアランス)をとるのが普通である。
従って、この措置により実装されるプリント基板への実装面積を極端に大きくすることのないチップ型LEDとすることができる。
【0077】
尚、本発明における四角形の基板における四角形とは包絡的な意味をも有するものであって、上記図14(a)のような形状変化を含むものである。
当業者であれば図14(a)の四隅の切り欠きは例えばスルーホールによるコンジット形成により容易に作成可能と理解されるであろう。
【0078】
以上述べたように、本発明によれば、不透明な樹脂により封止されたチップ型光半導体装置において、極性識別マークを封止樹脂の光入出力面に設たり、外側の電極上に配置形成したりする必要がないため、極性識別マーク形成のために樹脂封止金型や治具を複雑にせず、外側の電極部スペースを極小化でき、且つプリント基板等へ実装後も表面から識別できる極性識別マークとすることできる。
【符号の説明】
【0079】
1 LEDベアチップ
31 受光ベアチップ
2,32 基板部
3,33 樹脂封止部
4a,4b,34a,34b 端子電極パターン
5,35 極性識別マーク
6 金線
7a,37a 帯状領域
101 刃幅の大きいダイサーブレード
105 分割ライン
106 刃幅の大きいダイサーブレード
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極を施した基板上に光半導体ベアチップを搭載し、ダイボンドおよびワイヤボンド等により前記電極と接続を行い、前記ベアチップおよび前記接続部周辺保護のために透光性樹脂で封止することにより形成された表面実装型光半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の表面実装型光半導体装置光は従来から、当業者間においてチップ型またはチップタイプと呼称されているものの一種であり、プリント回路基板等に表面実装されるものである。
【0003】
前記表面実装型光半導体装置で、現在よく用いられているパッケージの形態は以下の二種類である。
図15は一つめの形態である表面実装型光半導体装置150を示したもので、一対の対向する二辺縁部には表裏両面に敷設され、側面を介して導通される電極端子パターン部153a、153bが形成され、表面の中央部には光半導体ベアチップ実装領域と光半導体ベアチップ152が接続され前記電極端子パターン部153a、153bを繋ぐ二つの配線パターンが形成された四角形の基板と、前記基板の上面中央部の光半導体ベアチップ実装領域に実装された光半導体ベアチップ、及び光半導体ベアチップ表面と前記基板上面の光半導体ベアチップ実装領域周辺部を覆うように封止樹脂部154を備えている。
【0004】
一般的に、光半導体ベアチップ152がLEDベアチップのときに良く用いられるパッケージである。近年では、このパッケージ形態により、青色LEDと蛍光体を混和させ封止樹脂部を組合せて白色発光させるものや、LEDベアチップを複数個搭載したものや、封止樹脂を可視光カット樹脂として、LEDベアチップの代わりに受光ベアチップを搭載したものも製品化されている。
【0005】
図16は二つめの形態である表面実装型光半導体装置160を示したもので、基板161の裏面部には電極端子パターン163a、163bが敷設され、基板161の表面の中央部には光半導体ベアチップ実装領域と光半導体ベアチップ165に接続され電極数に応じた数の配線パターンが形成され、前記配線パターンは前記電極端子パターンとスルーホールを介して導通されており、四角形の基板161と、前記基板の上面中央部の光半導体ベアチップ実装領域に実装された光半導体ベアチップ165、及び光半導体ベアチップ表面と前記基板表面の前面を覆うように形成された封止樹脂部164を備えている。
【0006】
このパッケージは多面付けされた基板上一面に樹脂を塗布し、硬化後に回路サイズに応じた位置で切断するという方法で製造され、封止型を使用しない。また電極端子パターンは裏面パターンのみで形成されるため、電極の数が二つ以上であっても対応できる。
従って、近年では、様々な受光面サイズへの対応が求められる光センサー用途に、封止樹脂を可視光カット樹脂として、受光ベアチップや受光ICチップを搭載した光半導体装置等に用いられる様になってきている。
【0007】
ところで前記表面実装型光半導体装置150および160をプリント回路基板などに組付けるとき、あるいは検査するときに極性の識別が必要である。このためこれら表面実装型光半導体装置では極性識別マークが施こされている。
【0008】
例えば、文献1(実開昭62-010456)は、封止樹脂の内部あるいは外部に極性識別マークが施こすものである。
【0009】
また文献2(特開2007123704)は樹脂封止部の外形を正負電極方向に沿って非対称形状とするものである。
【0010】
また、今日、一般的に使用されているもので、基板部裏面に極性識別マークが設けるようにしているものがある。例えば、図17は前記基板部裏面を示すものであり、表面から導通している裏面電極170a、170bの間にレジストもしくはシルクによる極性識別マーク171が形成されている。図17の例では極性識別マークが矢尻形状となっていて裏面電極170a、170bの位置が識別できるようになっている。
【0011】
また文献3は、前記表面実装型光半導体装置150の構造例のみの適用に限られるが、図18に示すように、基板部184上面の正負端子部181a、181bに平行するLEDベアチップ183とその接続部周辺を覆う樹脂封止部182の基板部184と接する接合線96を含むようにハンダレジスト膜180a、180bが設けられており、この前記ハンダレジスト膜180a、180bの色を夫々異なる色とすることにより極性の識別を行うものとしている。
【0012】
また文献4も、前記表面実装型光半導体装置150の構造例のみの適用に限られるが、図19に示すように、電極190a、190bのいずれか一方の基板部193の表面側で封止樹脂体192より外側に位置する電極端子パターン領域に電極端子パターンを中抜きすることにより極性識別マーク191を形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実開昭62−010456号公報
【特許文献2】特開2007−123704号公報
【特許文献3】特開平8−330637号公報
【特許文献4】特開2008−258455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、文献1の極性識別マークの場合、樹脂封止領域外に電極パターン以外のスペースが必要となる。また基板表面の全面が封止樹脂で覆われた前記表面実装型光半導体装置160のパッケージ形態の場合、封止樹脂領域内部に極性識別マークを設けることになるが、封止樹脂が例えば、透明樹脂に顔料や染料や拡散材などの透過率低下部材が混和されている場合や可視光カット樹脂が使用されている場合には、極性識別マークの視認は困難になってしまう。
【0015】
また文献2の極性識別マークについては、近年の表面実装型光半導体装置の小型化の傾向に伴って、樹脂封止体の一部に形状変化を持たせたのみでは容易に極性識別マークを視認できないという問題も生じてきた。また形状変化箇所を装置サイズに対して大きくすると配光特性に悪影響という懸念もある。
また前記表面実装型光半導体装置160のパッケージ形態で用いられる製法では採用困難である。
【0016】
極性識別マークを基板部裏面に形成した場合は、基板アセンブリ段階でプリント基板に実装後に極性識別マークが視認できなくなるという問題がある。
【0017】
また文献3の極性識別マークは、近年の表面実装型光半導体装置の小型化の傾向に伴って、基板部自体が小型となり電極パターン領域に充分なスペースが確保できなくなってきているため、封止樹脂が例えば、透明樹脂に顔料や染料や拡散材などの透過率低下部材が混和されている場合、外部からの目視では極性識別マークのレジストパターンが樹脂封止体の外部にはみ出す極小部分しか確認できず、正負極の確認が困難となっている。
【0018】
また文献4の極性識別マークにおいても、基板部自体が小型となり電極パターン領域も小さくなってきているため、極性識別マークを中抜きで入れるようなスペースが確保できなくなってきている。仮に極性識別マークを設けたとしても、視認が困難なほど極小になってしまう。
また前記表面実装型光半導体装置160のパッケージ形態では基板表面部に電極パターン領域が配置されていない為、採用すらできない。
【0019】
さらに文献3および4の極性識別マークに共通して、面実装型光半導体装置の小型化とともに薄型化も求められており、それに伴って基板部自体も薄型化の傾向があり、0.1〜0.2mm程の基板を用いたものが一般化した状況である。このようなものをリフローはんだプロセスではんだ付けすると、前記基板上面の電極パターン領域まではんだが這い上がってくるのが通常の現象であり、その場合、クリームはんだの残留フラックスの付着により、極性識別マークを視認できないものとしてしまう。
【0020】
そこで、本発明は、上記した特許文献の問題点に鑑み、極性識別マーク形成のために樹脂封止金型や治具を複雑にせず、外側の電極部スペースを極小化でき、且つプリント基板等へ実装後も表面から識別できる極性識別マークを備えた表面実装型半導体装置およびその製造方法を提供とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたもので、請求項1の表面実装型光半導体装置は、前記表面実装型光半導体装置150の形態のパッケージを対象とするもので、
一対の対向する二辺縁部の各々には表裏両面に敷設され側面を介して導通される少なくとも一つ以上の電極端子パターンと、表面中央部の光半導体ベアチップ実装領域で光半導体ベアチップに接続される複数のボンディングパッドと、前記ボンディングパッドと前記電極端子パターンの各々を繋ぐ複数の配線パターンが形成された四角形の基板と、
前記光半導体ベアチップ実装領域に実装された光半導体ベアチップと、
前記光半導体ベアチップと前記光半導体ベアチップ実装領域周辺部および前記配線パターンとを覆う樹脂封止部を備えた表面実装型光半導体装置において、
前記基板の表面には光半導体ベアチップ実装領域を避けて、電極端子パターン形成されていない二辺のいずれかに沿うように、レジストもしくはシルク版による短冊状パターンが形成され
前記封止樹脂部は透明樹脂に透過率低下部材が混和されており、
さらに、前記封止樹脂部における前記短冊状パターンの上の領域が、半導体ベアチップ実装領域上の領域よりも薄くした帯状に形成され、該帯状領域を通して前記短冊状パターンが視認可能であることを特徴とする。
【0022】
また、請求項2の表面実装型光半導体装置は、前記前記表面実装型光半導体装置160の形態のパッケージを対象とするもので、
表面中央部の光半導体ベアチップ実装領域で光半導体ベアチップに接続されるボンディングパッドと、裏面部には電極端子パターンと、前記ボンディングパッドと裏面の前記電極端子パターンをスルーホールを介して導通させる配線パターンを複数組形成された四角形の基板と、
前記光半導体ベアチップ実装領域に実装された光半導体ベアチップと、
前記基板の表面の全面を覆う封止樹脂部を備えた表面実装型光半導体装置において
前記基板の表面には光半導体ベアチップ実装領域を避けて、四辺のいずれかに沿うように、レジストもしくはシルク版による短冊状パターンが形成され
前記封止樹脂部は透明樹脂に透過率低下部材が混和されており、
さらに、前記封止樹脂部における前記短冊状パターンの上の領域が、半導体ベアチップ実装領域上の領域よりも薄くした帯状に形成され、該帯状領域を通して前記短冊状パターンが視認可能であることを特徴とする。
【0023】
また、請求項3の表面実装型光半導体装置は、前記透過率低下部材が蛍光体顔料である場合においても請求項1および2の構成を適用するものである。
【0024】
また、請求項4の表面実装型光半導体装置は、光半導体ベアチップが受光ベアチップの場合に封止樹脂として可視光カット樹脂が用いられることを想定したもので、請求項1および2の構成に関して、前記透過率低下部材が混和された透明樹脂は可視光カット樹脂で、カットオフ波長以下の短波長側に透過率ピークが5%以下のバンドパス波長領域を有しているものであり、
前記短冊状パターンの色または前記基板の表面色のどちらかが前記バンドパス波長領域内のいずれかの波長で示される色が選択されていることを特徴としたものである。
【0025】
また、請求項5による製造方法は、請求項1乃至4記載の表面実装型光半導体装置に関して、
分割ラインに沿う所定の位置に前記短冊状パターンが形成された請求項1または2における四角形の基板回路パターンが複数個形成された多面付け基板を用意する工程と、
前記多面付け基板に取り数に応じた数の光半導体ベアチップを前記回路基板に実装し、回路と接続するボンディング工程と、
光半導体ベアチップが実装された前記面付け回路基板の光半導体ベアチップ実装面側に透過率低下部材が混和された樹脂を塗布あるいは成形型により注入した後に加熱硬化させて行う樹脂封止工程と、
多面付け基板の分割ラインに重なるように前記短冊状パターンが視認可能となる樹脂厚みですりわり状の溝を削成する溝削成工程と、
前記溝の幅以下の刃幅を持つ切断機で前記溝幅内の分割ラインに沿って、前記回路基板と前記溝底面の樹脂を同時に切断した後に分離する切断・分離工程からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、前記表面実装型光半導体装置150および前記表面実装型光半導体装置160のパッケージ形態の双方において、透明樹脂に染料や顔料や散乱材などの透過率低下部材が混和された封止樹脂部を持つ場合に、基板表面の封止樹脂内に設けられた短冊上の極性識別マークを前記封止樹脂部に設けられた薄肉の帯状領域を通して視認可能としたことで、電極パターン領域に充分なスペースがなくとも極性識別マークを設けることが可能であり、アセンブリ基板へのはんだ付け実装工程後も極性識別マークがはんだのフラックスに埋もれることなく、実装後も確実に認識でき、製品検査時にも、誤組立が行われたものの発見を容易とすることができる。
【0027】
さらに前記表面実装型光半導体装置が封止樹脂として可視光カット樹脂を備えた受光装置であっても前記可視光カット樹脂をカットオフ波長以下の短波長側に透過率ピークが5%以下のバンドパス波長領域を有しているものを採用し、短冊上の極性識別マークの色または前記基板の表面色のどちらかが前記バンドパス波長領域内のいずれかの波長で示される色が選択することで、極性識別マークが充分に視認可能な可視光カット樹脂付の表面実装型受光装置とすることができる。
【0028】
さらに前記封止樹脂部の帯状領域の加工を前記表面実装型光半導体装置の切断分離工程における切断をダイサーブレードの刃幅を変えて二段階で行うことにより、前記表面実装型光半導体装置150および前記表面実装型光半導体装置160のパッケージ形態双方で採用可能となり、樹脂封止金型や樹脂塗布に用いる治具等を複雑化させたり、精度を高めたりせずに従来製造工程を極端に変更することなく作成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は本発明による実施形態を示すものである。
【図2】図2は図1の実施形態を上方から見た様子を示す模式図である。
【図3】図3は本発明による別の実施形態を示すものである。
【図4】図4は本発明による別の実施形態で採用される可視光カット樹脂の分光透過率特性例である。
【図5】図5は図3の実施形態を上方から見た様子を示す模式図である。
【図6】図6は光半導体装置の製造プロセスを模式的に示すものである。
【図7】図7は別の光半導体装置の製造プロセスを模式的に示すものである。
【図8】図8はトランスファモールド工法でモールド欠陥の発生する様子を模式的に示したものである。
【図9】図9は帯状領域をスタンピングで作成する場合に治具類が複雑になり、光半導体ベアチップへの損傷が生ずる可能性があることを説明する模式図である。
【図10】図10は本発明による溝削成工程を模式的に示すものである。
【図11】図11は本発明による切断・分離工程を模式的に示すものである。
【図12】図12は本発明による溝と分割ラインの関係を示したものである。
【図13】図13は本発明の別の実施形態で用いられる回路基板のパターン配置にチップボンディングされた状態を示すものである。
【図14】図14は本発明の別の実施形態を示すものである。
【図15】図15は従来の光半導体装置のパーケージ形態を示すものである。
【図16】図16は従来の別の光半導体装置のパーケージ形態を示すものである。
【図17】図17は従来の極性識別マークの例を示すものである。
【図18】図18は従来の別の極性識別マークの例を示すものである。
【図19】図19は従来の別の極性識別マークの例を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(第一の実施形態)つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る表面実装型光半導体装置の第一実施形態であり、前記光半導体装置150のパッケージ形態に対応するものとして、LEDベアチップ1を搭載したチップ型LEDを示すものである。このチップ型LEDの、例えば長方形とした基板2の表面側には、短辺側に電極パターン4a、4bが設けられている。
【0031】
そして、前記基板2の前記電極パターン4a、4bに対応して裏面側に裏電極パターンが4a’、4b’敷設されている。そして、表電極パターン4aと裏電極パターン4a’は、基板2の板厚面に施された無電界メッキなどにより各々電気的に接続され、同様に、表電極パターン4bと裏電極パターン4b’も電気的に接続されている。
【0032】
また、前記基板2の表面側においては、表電極パターン4a上にLEDベアチップ1がダイボンドされ、金線6などで表電極パターン4bと接続される。そしてエポキシ樹脂などによる樹脂封止部3がトランスファモールド等適宜な方法で形成され、前記LEDベアチップ1、及び、金線6を覆い、湿度、外部応力などから保護している。尚、LEDベアチップの接続は電極配置に応じて、バンプや共晶接続によるフリップチップボンディング等様々な接続方法が選択される。
【0033】
尚、図1では樹脂封止部を透視して描いているが、前記樹脂封止部3は透明樹脂に光学的機能付与を目的として添加剤を加え透明度が低下している樹脂である。
具体的には、散乱効果を付与するために散乱材が混和された樹脂、青色LEDと白色光を合成するための補色光を発する蛍光体顔料が混和された樹脂あるいは前記散乱材もさらに加えた樹脂、可視光成分を遮断するようなフィルタ特性を付与する染料が混和された可視光カット樹脂、などがある。
【0034】
ここで、本実施形態においては、前記基板2の表面側二つの正負電極パターン4a、4bが敷設されていない他の二辺のいずれかに沿うように、LEDベアチップ1の実装領域を避けて極性識別マーク5がレジストもしくはシルク版による短冊状のパターンで設けられている。
【0035】
さらに前記封止樹脂3の極性識別マーク5の上の領域が、前記LEDベアチップ1実装領域上の領域よりも薄くした帯状に形成され、該帯状領域を通して前記短冊状パターン5が視認可能となるようにしている。
【0036】
次に、図2は、図1におけるチップ型LEDを上方から見た様子を模式的に表した図である。ここで、前記帯状領域7aの短手寸法S1は前記極性識別マーク5を特別な光学検査装置を使用せずに視認可能とするために少なくとも0.2mm、好ましくは0.3mm以上であることが望ましい。
【0037】
また、前記極性識別マーク5に関する留意点として、表示コントラストを稼ぐため、図2に示すように、長手寸法L2は前記帯状領域7aの長手寸法L1よりも短くし、周囲に対して明度対比が高くなるような表示色を選択しておくことが好ましい。
例えば、図1の光半導体装置150が青色LEDベアチップと補色発光用の蛍光材を混和し封止樹脂で構成される白色LEDであれば、樹脂色は外光によって蛍光材が励起されるため、薄黄色として視認される色となっている。この場合、極性識別マーク5の表示色は黒色や濃い緑色を選択すればよい。これらの色はレジストとして一般的に供給されているものである。
尚、前記帯状領域7aの短手寸法S1が非常に小さく、この範囲で前述のように方向識別用マーク5の配置によって明度対比を感じるのは困難である。また方向識別用マーク5を視認するためには、太さが必要であり、細すぎると汚れなどと識別できない。それ故、方向識別用マーク5の短手寸法S2は、可能なかぎり前記短手寸法S1の幅一杯に方向識別用マーク5の短手寸法S2を設定するのが望ましく、さらに、図2に示すように、方向識別用マーク5の短手寸法S2を大きくして、前記帯状領域7aの短手寸法S1による範囲を超えて光半導体ベアチップ搭載領域にはみ出すように設定してもよい。
【0038】
尚、図2において7bで示される帯状領域は製造過程で帯状領域7aを形成するときに、副次的に形成されるものである。また製造過程の初期に用いられる多面付け回路基板における個々のパターンの配置によっては前記領域7b形成されないようにすることも可能である。領域7bの形成の有無については後述する製造方法とともに説明する。
【0039】
(第二の実施形態)次に、本発明の別の実施形態について説明する。図3は本発明に係る光半導体装置の別の実施形態であり、前記光半導体装置160のパッケージ形態に対応するものとして、受光ベアチップ31を搭載した面実装光半導体受光装置を示すものである。この面実装光半導体受光装置の、基板32の表面側には、受光ベアチップ31が戴置され前記受光ベアチップ31の電極パッドと接続するための表面パターンが敷説されている(図示せず)。また前記基板32の裏面側には面実装光半導体受光装置の端子電極パターン34a、34bが敷設されており、各々前記表面パターンとスルーホール等を介して導通されている。
【0040】
尚、図3では端子電極パターンを二端子として図示しているが、本実施形態では受光ベアチップ31の電極数に応じて、前記基板32の裏面側に端子電極パターンの数を設けることが可能である。
即ち、前記受光ベアチップ31の電極数は、例えばフォトダイオードであれば、正負電極の二端子で、フォトトランジスタであれば、コレクタ、エミッタ、ベース、の三端子となり、その他フォトICであれば電源の二端子に出力を加えた三端子以上であり、面実装光半導体受光装置の端子電極パターンは前記受光ベアチップ31の電極数に応じたそして、基板裏面内で適宜配置が決められる。
【0041】
そして、受光ベアチップ31は前記表面パターンとワイヤーボンディングあるいはフリップバンプボンディング等により接続され、更にエポキシ樹脂などによる樹脂封止部33が基板32の表面全面に形成され、前記受光ベアチップ31、及び、基板32表面全体を覆い、湿度、外部応力などから保護している。
【0042】
ここで、図3では樹脂封止部33を透視して描いているが、本実施例においては、前記樹脂封止部33は、例えば750nm以下の光をカットし赤外光を透過するフィルタ特性を有する可視光カット樹脂用いており、実物は黒く不透明に観えている。可視光カット樹脂の分校透過率特性を図4に示す。このような樹脂材料は日東電工株式会社製よりNT−8510−75000として入手できる。一般に染料添加方式による赤外透過の可視光カットフィルタでは、カットオフ波長以下の短波長側にバンドパス波長領域が発生しやすい傾向にあり、市場に供給されている可視光カット樹脂の代表的特性例である。尚、該バンドパス波長領域は図4の例で一点鎖線内示される部分であり、ピーク透過率が5%以下と軽微なため実使用上は問題にならない。
【0043】
また、本実施形態においても、第一の実施形態の措置と同様に、前記基板32の表面側の各四辺のいずれか一つに沿うように極性識別マーク35がレジストもしくはシルク版による短冊状パターンを用いて設けられており、さらに前記封止樹脂33の極性識別マーク35の上の領域が、前記受光ベアチップ31実装領域上の領域よりも薄くした帯状に形成され、該帯状領域を通して前記短冊状パターン35が視認可能となるようにしている。
【0044】
ここで、本実施形態では、前記極性識別マーク35の視認性を確保するために、前記極性識別マーク35あるいは基板32の表面のいずれか一方は前記バンドパス波長領域内の少なくとも一部の光波長を反射可能な色が選択される。この場合、もう一方は該選択色に明度対比を考慮してコントラストを保たれる色を選択しておくことが好ましい。すなわち、第一の実施形態と異なり、極性識別マーク35が明度対比の比較対象は周囲の樹脂色ではなく、背景の基板色であることに留意が必要である。
例えば、前記基板32において、基材がガラエポ_FR−4のように基材色が薄青色、あるいはBTレジン(三菱瓦斯化学株式会社商標)のように基材を白色化したものの場合、極性識別マークは黒色が好ましく、また基材表面が予めレジストにより黒色や濃い緑色に着色されている場合、極性識別マークは黄色や白色のシルク版が好ましい。
【0045】
次に、図5は、図3における面実装光半導体受光装置を上方から見た様子を模式的に表した図である。ここで、前記帯状領域37aの短手寸法S1’は前記極性識別マーク35を特別な光学検査装置を使用せずに視認可能とするために少なくとも0.2mm、好ましくは0.3mm以上であることが望ましい。
【0046】
さらに、前記極性識別マーク35に関する留意点として、表示コントラストを稼ぐため、図5に示すように、長手寸法L2’は前記帯状領域37aの長手寸法L1’よりも短くしておくことが望ましい。
尚、前記帯状領域37aの短手寸法S1’が非常に小さく、この範囲で前述のように方向識別用マーク35の配置によって明度対比を感じるのは困難である。また方向識別用マーク35を視認するためには、太さが必要であり、細すぎると汚れなどと識別できない。それ故、方向識別用マーク35の短手寸法S2’は、可能なかぎり前記短手寸法S1’の幅一杯に方向識別用マーク35の短手寸法S2’を設定するのが望ましく、さらに、図2に示すように、方向識別用マーク35の短手寸法S2’を大きくして、前記帯状領域37aの短手寸法S1’による範囲を超えて光半導体ベアチップ搭載領域にはみ出すように設定してもよい。
【0047】
尚、図5において37bで示される帯状領域は製造過程で帯状領域37aを形成するときに、副次的に形成されるものである。また製造過程の初期に用いられる多面付け回路基板における個々のパターンの配置によっては前記領域37bを形成されないようにすることも可能である。領域37bの形成の有無については後述する製造方法とともに説明する。
【0048】
(樹脂厚みに関する透視性評価試験)ここで、蛍光体が混和された透明樹脂と可視カット樹脂の二つの不透明樹脂を用いて、樹脂厚みに関して透視性の評価を行った。
試料の構成を以下に示す。透視性評価マークは前述のように周囲および背景に対して明度対比が高くなる組み合わせを選択した。
以下の試料構成1および試料構成2でトランスファー工法により図6における面実装光半導体装置60の形状に基板上に封止樹脂部を形成したものを各々試料1、試料2とした。
・試料構成1
樹脂:オルトシリケート系蛍光材15%重量費で混合したエポキシ樹脂
基板:BTレジン(三菱瓦斯化学株式会社商標)
透視性評価マーク:緑色レジスト、大きさ1.2X0.3mmの短冊形状
・試料構成2
樹脂:図4の分光透過率特性と同等のカットオフ波長750nmのフィルタ特性を有するエポキシベースの可視光カット樹脂
基板:ガラエポ(FR−4)、表面に黒レジスト面付き
透視性評価マーク:黄色レジスト、大きさ1.2X0.3mmの短冊形状
【0049】
次に、試料1および試料2の透視性評価マーク上方の樹脂領域を樹脂封止部上面から樹脂厚みを都度測定しながら少しずつ薄くなるよう削った。尚、加工には電動式ハンドリューターを用いた。
【0050】
試料1では、樹脂厚みがほぼ200μmとなる時に、蛍光色により黄色く見える樹脂面に前記透視性評価マークが緑斑状に視認可能となることを確認した。
試料2では、樹脂厚みがほぼ300μmとなる時に、黒い基板面に対して黄色レジストによるマークが浮かび上がるようにして視認可能となることを確認した。
従って、マーク上方の樹脂厚みをさらに薄く安定して削成すれば、着実に視認可能な方向識別マークとして機能することが確認できた。
【0051】
( 製造方法 )第1の実施の形態のように基板部表面にも電極端子パターンを有した形態の装置は、図6に示す様なプロセスで製造される。尚図6は用いる光半導体ベアチップがLEDベアチップの場合を例に描いているが、受光ベアチップを用いる場合も同様のプロセスである。
【0052】
図6において61はLEDベアチップ、62はLED接続回路パターンを多面付け状に敷設した回路基板である。まずLEDボンディング工程では、回路基板62の面付け数に応じた複数個のLEDベアチップ61が回路基板62のLED接続回路パターンに戴置しワイヤーやバンプ等を用いて接続される。
次の樹脂封止工程では、前記LEDベアチップ61とその接続部周辺を被覆するために、封止金型にセットし、トランスファモールド工法により、一列毎にエポキシ樹脂で封止して前記基板62の表面に棒状の封止体63を作成する。
そして切断・分離工程では、基板裏面に粘着シート(図示せず)を貼り、ダイサーブレード64により前記基板62と封止樹脂による棒状の封止体63を同時に切断した後、前記粘着シートから個々のチップ型LEDを剥がし、個片状態とする。
【0053】
尚、封止樹脂に顔料や染料や拡散材などの光学的添加剤が混和された樹脂を用いる場合、該添加剤は予め粉体化したエポキシ樹脂と所定の混合比で混合した後に打錠されてタブレット状に加工して用いられる。この場合、封止体成形条件のみが設定変更されるだけで、樹脂封止工程手順に変化はない。
【0054】
次に第2の実施形態のように基板部表面前面を樹脂封止部が覆う形態の装置は、図7に示すようなプロセスで製造される。図6のプロセスと類似しているが、樹脂封止が金型を使用しないで行われるという違いがあり、金型を使用しないため様々な大きさの半導体ベアチップに基板の回路パターンと分割ラインを変更するだけで対応可能という利点がある。
【0055】
図7において71は光半導体ベアチップ、72は光半導体接続回路パターンを多面付け状に敷設した回路基板である。まずチップボンディング工程では、回路基板72の面付け数に応じた複数個の光半導体ベアチップ71が回路基板72の光半導体接続回路パターンに戴置しワイヤーやバンプ等を用いて接続される。
次の樹脂封止の段階は、塗布・第1硬化工程と、平坦化・第2硬化工程の二段階で構成される。塗布・第1硬化工程では、チップボンディングされた基板72に液状の樹脂を真空下で印刷により塗布し、前記樹脂を加熱して、外部からの加圧により変形可能な程度の半硬化状態まで硬化させて半硬化封止樹脂層73を形成する。平坦化・第2硬化工程では、前記第1硬化工程後に室温まで冷却し、当該室温下において前記樹脂の表面に金属平板を押しつけて樹脂表面を平坦面74とした後に樹脂を加熱して硬化させる。
そして切断・分離工程では、基板裏面に粘着シート(図示せず)を貼り、ダイサーブレード75により前記基板72と封止樹脂76を同時に切断した後、前記粘着シートから個々のチップ型光半導体装置を剥がし、個片状態とする。
【0056】
ここで本発明は、前述の図6および図7よる製造プロセスにより製造される光半導体装置に関するものであるため、樹脂封止部は多面付け付けされた光半導体ベアチップ及び回路パターン部を全体一括に、あるいは一列毎にまとめて樹脂が塗布される。従って、方向識別用マークの上の領域を薄くして帯状領域を形成するのは、樹脂封止後に削成する方法が実現性があり合理的である。
【0057】
すなわち、図6の製造プロセスでは元来トランスファモールド工法における射出圧力は一般的に低く設定されるものであるため、前述のような薄肉となる帯状領域を介してキャビティから次のキャビティへと樹脂を送ることは容易でなく、未充填となるモールド欠陥が発生する。図8は、樹脂の流れ84が薄肉部82を基板83の界面に接しながら押し出され次のキャビティで圧力が低下してモールド欠陥81が発生している様子を模式的に表したものである。
【0058】
また図7の製造プロセスでは、樹脂平坦化工程用いる治具類が複雑になる。図9はその様子を模式的に描いたもので、91は樹脂押さえ板、92は半硬化状態の樹脂層、93は多面付け回路基板、94は光半導体ベアチップである。樹脂押さえ板91は帯状領域をスタンピングで作成するために、平板ではなく下駄歯状の突起部を持つ。従って、多面付け回路基板93および半導体ベアチップとの位置合わせに精度が求められることになる。
【0059】
図9(b)は前記樹脂押さえ板91を樹脂層92に押さえ始めた様子を描いたもので、押さえ時に余分となる樹脂の逃げを矢印95で表している。この場合、樹脂が半硬化状態光であるため接続ワイヤーへのストレスを与える懸念や、添加剤が混和された樹脂が使用される場合は、フィラーアタックにより光半導体ベアチップに損傷が生ずる可能性もある。
【0060】
従って、本発明における極性識別マークを視認するための薄肉箇所の形成には、図6および図7の製造プロセスにより樹脂封止まで終えた後に、極性識別マーク上方の樹脂を削るのが簡便である。例えばすりわり状の溝を削成し、視認可能となるまで溝底面に樹脂を薄く残すようにした後に、切断を行うようにすればよい。
【0061】
そこで、本発明においては、第1の実施の形態および第2の実施の形態の製造方法、すなわち前述の図6および図7による製造プロセスにおける切断・分離工程を次の溝削成工程と、切断・分離工程の二つの工程にて実施する。
【0062】
ここで本発明における製造プロセスを纏めると、まず、光半導体ベアチップ実装領域と光半導体ベアチップと接続されるボンディングパッドや電極端子パターンおよびそれらを繋ぐ配線パターンが形成された四角形の基板パターンが複数個形成され、分割ラインに沿うように取り数に応じて極性識別マークがレジストあるいはシルク版で設けてある多面付け基板が用意される。
【0063】
次に前述の図6や図7による方法で樹脂封止工程まで実施する。
すなわち、前記多面付け回路基板に取り数に応じた数の光半導体ベアチップを前記回路基板に実装し、回路と接続するボンディング工程後に、光半導体ベアチップが搭載された前記面付け回路基板の光半導体ベアチップ実装面側に前記極性識別マークを含めて覆うように樹脂を塗布あるいは成形型により樹脂注入した後に加熱硬化する。
【0064】
次に、本発明では、前記樹脂封止工程後に多面付け状態から製品個片に分ける切断・分離工程を刃幅が異なる二つダイサーブレードにより二段階の工程に分けて行う。
【0065】
第一の工程は溝削成工程で、刃幅の大きいダイサーブレードにより、多面付け状態の樹脂封止部にすりわり状の溝を削成する。図10は図6による棒状の樹脂封止体63に溝削成を行う様子を模式的に表したもので、棒状の樹脂封止体63を一列のみ描いているが、他の列は省略している。102は極性識別マークである。 また、図7の封止樹脂層76については、図示しないが、図10に示した封止体63と同様に刀幅の大きいダイサーブレードにより複数列(または行)の溝を形成する。
【0066】
溝削成は刃幅の大きい第一のダイサーブレード101により、前記多面付け回路基板の分割ライン105を位置基準として、上方からみて前記分割ラインを溝幅内に含む位置で、封止樹脂に残される厚みtまで多面付け状態の樹脂封止体を切削加工するようにして行う。尚、封止樹脂に残される厚みtは前記極性識別マーク102が透けて視認可能となる厚さ以下の値で予め定められているものである。
【0067】
第二の工程は切断・分離工程で、刃幅の小さいダイサーブレードを用い、第一の工程により樹脂封止体に削成された溝と底面と樹脂部を支える前記多面付け回路基板62を前記多面付け回路基板の分割ライン105上を同時に切断するものである。図11は刃幅の小さいダイサーブレード106によって前記分割ライン上を切断する様子を模式的に表している。尚、図示していないが、切断後の装置各個片がバラバラにならないように、第一の溝削成工程および第二の切断・分離工程をとおして、前記多面付け回路基板は粘着シートで保持されている。
【0068】
ここで図12は分割方向からみた樹脂封止体63の断面を示すものである。図12に示すように、前記溝の位置は上方からみて前記回路基板62の分割ライン105を溝幅内に含む位置であればよく、溝の中心線が分割ラインに一致する位置である必要はなく、前記極性識別マーク102の方向へ偏心していても良い。
従って、ここで用いるダイサーブレードの刃幅W1は少なくとも次の切断に使用するダイサーブレードの刃幅W2に、前記極性識別マーク102を視認するための薄肉部の幅W3を加えた幅(W2+W3)以上である必要がある。
例えば、切断に用いる刃幅の小さいダイサーブレードの刃幅W2が50μmで前記薄肉部の幅を250μmに設定すれば、溝削成に用いる刃幅の大きいダイサーブレードは300μm以上の刃幅W1を持つものを使用する。
尚、ここでは図6における樹脂封止体63を例に説明しているが、図7の封止樹脂層76についても各ダイサーブレードの位置関係は同様な措置となる。
【0069】
尚、第一の溝削成工程において前記溝の底面の表面粗さ状態は、ダイサーブレード砥粒の設定およびブレードの回転数、ブレードの送り速度などのダイシング条件により変化する。表面状態で前記極性識別マーク102が視認可能となる前記薄肉部厚みtが変化するので、前記ダイシング条件は十分に管理が必要である。
もし必要であれば、第一の溝削成工程と第二の切断・分離工程の間に前記溝の底面を対象としたバフ研磨工程を挿入しても良い。
【0070】
また図12において、厚肉部124は光半導体ベアチップ接続領域を覆う部分で、極性識別マーク102の上に位置する薄肉部126は図2において帯状領域7aとなる部分である。また薄肉部127は図2において帯状領域7bに相当する部分である。
ここで、前記第二の切断・分離工程において刃幅の小さいダイサーブレード106の切断位置を刃幅の大きいダイサーブレード101によって削成された溝の側面に面一で設定することが難しい。それ故、薄肉部127(帯状領域7b)は薄肉部126(帯状領域7a)形成時に副次的に形成されてしまう箇所である。
【0071】
帯状領域7bについては、必ずしも不要な部分とは言い切れない。それは例えば、帯状領域7bがないと厚肉部124の中心が光半導体ベアチップの位置により定まる光学中心に対してずれが生じ、配光に偏りが生じるので好ましくないという場合や、図1において該チップ型LEDが小さくなり極性識別マーク5及び薄肉箇所7aが極小化された場合に、前記薄肉箇所7aと7bとを対比することで、極性識別の判断がしやすくなるという場合があるからである。
このような場合、帯状領域7aと帯状領域7bは装置の両側面にバランスよく設置されるべきであろう。
【0072】
もし、例えば図1のチップ型LEDの短手寸法に制約がある場合や、ワイヤーボンディングスペースに制約がある場合のように、帯状領域7bが機能的に有害であれば、複数個の光半導体ベアチップ実装パターンが形成された多面付け回路基板の個々のパターン方向を工夫することで、帯状領域7b部が形成されないようにすることも可能である。
【0073】
(第三の実施形態)図13はチップ型LED用の多面付け回路基板の個々のパターン方向を互い違いに配置していくことで帯状領域7bが形成されないようにした例である。
図13(a)は前記多面付け回路基板の各ダイボンデングパッド133bにLEDベアチップを戴置しワイヤー132にてワイヤーパッド133cに接続された様子を装置上方から樹脂134を透視した状態で模式的に描いたものである。LEDベアチップの搭載位置はここの装置中心に整然配置されているが、ダイボンデングパッド133b、ワイヤーパッド133cは互い違いに両端の各電極端子パターン133aに延設されていて、ワイヤー132も互い違いに接続方向が変えられている。また極性識別マーク135は一つ置きに分割ラインと極性識別マーク135中心が重なるように配置されている。
図13(b)は図13(a)の状態における接続回路図を示したものである。各ダイオード記号がアンチパラレル状態で階段状に繰返し接続されていることになる。
【0074】
ここで図13(a)に示す如く、溝中心が分割ライン中心と重なるように、かつ一つ置きに配置された極性識別マーク上のみにすりわり状の溝加工をすればよい。分割ラインに沿って切断・分離すれば前記帯状領域7bのないチップ型LEDが得られる。
【0075】
尚、ここではLEDを例として説明したが、フォトダイオードの場合も同様の措置が可能である。また三端子以上の装置の場合は前述の第二の実施形態により同様な措置が可能である。また、多面付け回路基板の個々のパターン方向を互い違いに配置していく方法の他にここのパターン間隔を空けて分割を二本のラインで行うようにしても同様に帯状領域7bのないものが得られる。
【0076】
(第四の実施形態)前記帯状領域は短手方向に少なくとも0.3mm以上の幅が必要であるため、特に小型化が求められるチップ型LEDの場合には、図14(a)に示すように、電極端子パターン141の四隅に基板短手方向に幅W4の切り欠きを入れるような基板形状であってもよい。ここで前記幅W4は前記帯状領域の短手方向の幅と同程度とする。
図14(b)にプリント基板のはんだ付けパターンにマウントした状態を示す。145ははんだ付けパターンである。前記幅W4により、実装されるプリント基板のはんだ付けパターン長手幅W5は、2XW4分だけ短くすることができる。
一般的に面実装部品のはんだ付けパターンははんだ付け時のフィレット形成のため電極端子に対して左右両端に0.2〜0.3mm程度の余裕(クリアランス)をとるのが普通である。
従って、この措置により実装されるプリント基板への実装面積を極端に大きくすることのないチップ型LEDとすることができる。
【0077】
尚、本発明における四角形の基板における四角形とは包絡的な意味をも有するものであって、上記図14(a)のような形状変化を含むものである。
当業者であれば図14(a)の四隅の切り欠きは例えばスルーホールによるコンジット形成により容易に作成可能と理解されるであろう。
【0078】
以上述べたように、本発明によれば、不透明な樹脂により封止されたチップ型光半導体装置において、極性識別マークを封止樹脂の光入出力面に設たり、外側の電極上に配置形成したりする必要がないため、極性識別マーク形成のために樹脂封止金型や治具を複雑にせず、外側の電極部スペースを極小化でき、且つプリント基板等へ実装後も表面から識別できる極性識別マークとすることできる。
【符号の説明】
【0079】
1 LEDベアチップ
31 受光ベアチップ
2,32 基板部
3,33 樹脂封止部
4a,4b,34a,34b 端子電極パターン
5,35 極性識別マーク
6 金線
7a,37a 帯状領域
101 刃幅の大きいダイサーブレード
105 分割ライン
106 刃幅の大きいダイサーブレード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の対向する二辺縁部の各々には表裏両面に敷設され側面を介して導通される少なくとも一つ以上の電極端子パターンと、表面中央部の光半導体ベアチップ実装領域で光半導体ベアチップに接続される複数のボンディングパッドと、前記ボンディングパッドと前記電極端子パターンの各々を繋ぐ複数の配線パターンが形成された四角形の基板と
前記光半導体ベアチップ実装領域に実装された光半導体ベアチップと、
前記光半導体ベアチップと前記光半導体ベアチップ実装領域周辺部および前記配線パターンとを覆う樹脂封止部を備えた表面実装型光半導体装置において
前記基板の表面には光半導体ベアチップ実装領域を避けて、電極端子パターン形成されていない二辺のいずれかに沿うように、レジストもしくはシルク版による短冊状パターンが形成され
前記封止樹脂部は透明樹脂に透過率低下部材が混和されており、
さらに、前記封止樹脂部における前記短冊状パターンの上の領域が、半導体ベアチップ実装領域上の領域よりも薄くした帯状に形成され、該帯状領域を通して前記短冊状パターンが視認可能であることを特徴とする表面実装型光半導体装置。
【請求項2】
表面中央部の光半導体ベアチップ実装領域で光半導体ベアチップに接続されるボンディングパッドと、裏面部には電極端子パターンと、前記ボンディングパッドと裏面の前記電極端子パターンをスルーホールを介して導通させる配線パターンを複数組形成された四角形の基板と、
前記光半導体ベアチップ実装領域に実装された光半導体ベアチップと、
前記基板の表面の全面を覆う封止樹脂部を備えた表面実装型光半導体装置において
前記基板の表面には光半導体ベアチップ実装領域を避けて、四辺のいずれかに沿うように、レジストもしくはシルク版による短冊状パターンが形成され
前記封止樹脂部は透明樹脂に透過率低下部材が混和されており、
さらに、前記封止樹脂部における前記短冊状パターンの上の領域が、半導体ベアチップ実装領域上の領域よりも薄くした帯状に形成され、該帯状領域を通して前記短冊状パターンが視認可能であることを特徴とする表面実装型光半導体装置。
【請求項3】
前記透過率低下部材は蛍光体顔料である請求項1あるいは2記載の表面実装型光半導体装置。
【請求項4】
前記透過率低下部材が混和された透明樹脂は可視光カット樹脂で、カットオフ波長以下の短波長側に透過率ピークが5%以下のバンドパス波長領域を有しているものであり、
前記短冊状パターンの色または前記基板の表面色のどちらかが前記バンドパス波長領域内のいずれかの波長で示される色が選択されていることを特徴とする請求項1あるいは2記載の表面実装型光半導体装置。
【請求項5】
分割ラインに沿う所定の位置に前記短冊状パターンが形成された請求項1または2における四角形の基板回路パターンが複数個形成された多面付け基板を用意する工程と、
前記多面付け基板に取り数に応じた数の光半導体ベアチップを前記回路基板に実装し、回路と接続するボンディング工程と、
光半導体ベアチップが実装された前記面付け回路基板の光半導体ベアチップ実装面側に透過率低下部材が混和された樹脂を塗布あるいは成形型により注入した後に加熱硬化させて行う樹脂封止工程と、
多面付け基板の分割ラインに重なるように前記短冊状パターンが視認可能となる樹脂厚みですりわり状の溝を削成する溝削成工程と、
前記溝の幅以下の刃幅を持つ切断機で前記溝幅内の分割ラインに沿って、前記回路基板と前記溝底面の樹脂を同時に切断した後に分離する切断・分離工程からなることを特徴とする請求項1乃至4記載の表面実装型光半導体装置の製造方法。
【請求項1】
一対の対向する二辺縁部の各々には表裏両面に敷設され側面を介して導通される少なくとも一つ以上の電極端子パターンと、表面中央部の光半導体ベアチップ実装領域で光半導体ベアチップに接続される複数のボンディングパッドと、前記ボンディングパッドと前記電極端子パターンの各々を繋ぐ複数の配線パターンが形成された四角形の基板と
前記光半導体ベアチップ実装領域に実装された光半導体ベアチップと、
前記光半導体ベアチップと前記光半導体ベアチップ実装領域周辺部および前記配線パターンとを覆う樹脂封止部を備えた表面実装型光半導体装置において
前記基板の表面には光半導体ベアチップ実装領域を避けて、電極端子パターン形成されていない二辺のいずれかに沿うように、レジストもしくはシルク版による短冊状パターンが形成され
前記封止樹脂部は透明樹脂に透過率低下部材が混和されており、
さらに、前記封止樹脂部における前記短冊状パターンの上の領域が、半導体ベアチップ実装領域上の領域よりも薄くした帯状に形成され、該帯状領域を通して前記短冊状パターンが視認可能であることを特徴とする表面実装型光半導体装置。
【請求項2】
表面中央部の光半導体ベアチップ実装領域で光半導体ベアチップに接続されるボンディングパッドと、裏面部には電極端子パターンと、前記ボンディングパッドと裏面の前記電極端子パターンをスルーホールを介して導通させる配線パターンを複数組形成された四角形の基板と、
前記光半導体ベアチップ実装領域に実装された光半導体ベアチップと、
前記基板の表面の全面を覆う封止樹脂部を備えた表面実装型光半導体装置において
前記基板の表面には光半導体ベアチップ実装領域を避けて、四辺のいずれかに沿うように、レジストもしくはシルク版による短冊状パターンが形成され
前記封止樹脂部は透明樹脂に透過率低下部材が混和されており、
さらに、前記封止樹脂部における前記短冊状パターンの上の領域が、半導体ベアチップ実装領域上の領域よりも薄くした帯状に形成され、該帯状領域を通して前記短冊状パターンが視認可能であることを特徴とする表面実装型光半導体装置。
【請求項3】
前記透過率低下部材は蛍光体顔料である請求項1あるいは2記載の表面実装型光半導体装置。
【請求項4】
前記透過率低下部材が混和された透明樹脂は可視光カット樹脂で、カットオフ波長以下の短波長側に透過率ピークが5%以下のバンドパス波長領域を有しているものであり、
前記短冊状パターンの色または前記基板の表面色のどちらかが前記バンドパス波長領域内のいずれかの波長で示される色が選択されていることを特徴とする請求項1あるいは2記載の表面実装型光半導体装置。
【請求項5】
分割ラインに沿う所定の位置に前記短冊状パターンが形成された請求項1または2における四角形の基板回路パターンが複数個形成された多面付け基板を用意する工程と、
前記多面付け基板に取り数に応じた数の光半導体ベアチップを前記回路基板に実装し、回路と接続するボンディング工程と、
光半導体ベアチップが実装された前記面付け回路基板の光半導体ベアチップ実装面側に透過率低下部材が混和された樹脂を塗布あるいは成形型により注入した後に加熱硬化させて行う樹脂封止工程と、
多面付け基板の分割ラインに重なるように前記短冊状パターンが視認可能となる樹脂厚みですりわり状の溝を削成する溝削成工程と、
前記溝の幅以下の刃幅を持つ切断機で前記溝幅内の分割ラインに沿って、前記回路基板と前記溝底面の樹脂を同時に切断した後に分離する切断・分離工程からなることを特徴とする請求項1乃至4記載の表面実装型光半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−129399(P2012−129399A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280503(P2010−280503)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]