説明

表面弾性波フィルターおよびその製造方法

【課題】高い表面弾性波伝播速度を有し、高い周波数で効果的に動作する、窒化物系半導体を用いた表面弾性波フィルターおよびその高能率、高歩留まり、低コストの製造方法を提供すること。
【解決手段】サファイア基板1上に(AlN)(Al)1−x層2と、AlN層3とをこの順序で順次形成し、さらに、AlN層3上にGaN層4を形成してなる薄膜構造を有し、かつ、該薄膜構造上に櫛型電極5を有する表面弾性波フィルターであって、(AlN)(Al)1−x層2の組成式におけるxの値が基板1側からAlN層3側に向かって増加していることを特徴とする表面弾性波フィルターを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は窒化物系半導体を用いた表面弾性波フィルターおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話を中心とした移動体通信の利用者数は急激に増加している。このような状況の中、高い周波数領域においても安定に動作する高性能のフィルターの開発が進められている。また、最近の移動体通信機器の小型化のニーズにより、フィルター類も従来のLCフィルターから誘電体フィルター、さらに表面弾性波(Surface acoustic wave、略してSAWと称す)フィルターへと移り変わっているのが現状である。
【0003】
高い周波数領域で動作するSAWフィルターの実現のために高い表面弾性波伝播速度(以下SAW伝播速度と称す)を有する結晶材料が求められている。SAWフィルターの共振周波数は次式によって類推することができる。
【0004】
f = Vs/(2×L)
ここで、fは共振周波数、VsはSAW伝播速度、Lは櫛型電極(IDT:Interdigital transducer)の間隔である。この式からSAWフィルターの高周波数化のためにはSAWフィルターを形成する結晶材料のSAW伝播速度の向上が効果的であることが分かる。
【0005】
SAWフィルターの結晶材料には、従来、水晶、LiNbO、LiTaO等が用いられてきた。また、最近では、高いSAW伝播速度を有する結晶材料としてGaNやAlN等の窒化物系半導体が注目されている(例えば下記特許文献1参照)。下表にこれらの材料のSAW伝播速度についてまとめた。
【0006】
【表1】


この表から同じ櫛型電極(以下IDT電極と称す)の間隔の場合には、従来の水晶、LiNbO、LiTaOと比較してGaNやAlNの窒化物系半導体の方がより高い周波数で動作すると期待できる。また、特に窒化物系半導体を用いた結晶材料の場合には、電子デバイスの作製も可能であることから、窒化物半導体を用いたフィルターとアンプの集積化が期待されている。
【0007】
GaNやAlNの結晶材料は従来、サファイアを基板として用い、有機金属気相成長法(以下MOCVD法と称す)や分子線エピタキシー法(以下MBE法と称す)によって結晶の成長が行われている。しかし、サファイア基板と窒化物半導体との間には10〜20%の格子不整合があるため、サファイア基板上に直接、窒化物半導体を成長すると3次元成長が起き、表面荒れが発生するとともに、多くの結晶欠陥が発生する問題があった。
【0008】
この問題を解決するため、サファイア基板上への窒化物半導体の成長は一般的に次の手順で行われている。サファイア基板をまず1000℃以上の高温、水素雰囲気中でクリーニングした後、基板温度を約500℃まで降温させてGaN層やAlN層(以下低温バッファー層と称す)を低温で成長した後、さらに、基板温度を約1000℃まで昇温させて目的とする窒化物系半導体を成長している(例えば下記非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0009】
さらに、前記の結晶材料上にはフォトリソグラフィ工程とAl等の金属材料の蒸着により、IDT電極を形成することでSAWフィルターは作製されている。
【0010】
【特許文献1】特開2001−203561号公報
【非特許文献1】S.Nakamura、“GaN growth usi GaN buffer layer”,Jpn.J.Appl.Phys.Vol.30,L1705(1991)
【非特許文献2】H.Amano,N.Sawaki,I.Akasaki and Y.Toyoda,“Metalorganic vapor phase epitaxial growth of a high quality GaN film using an AlN buffer layer”,Appl.Phys.Lett.Vol.48,353(1986)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記のように高い周波数領域で動作するSAWフィルター用材料として期待されている窒化物系半導体の成長では成長温度を3段階に昇・降温する工程が必要なため、成長プロセスが複雑であることから高抵抗層を再現性良く、すなわち高歩留まりで、作製することが難しく、かつ、成長時間も長くなる問題点があった。また、500〜1000℃以上の温度範囲で頻繁に基板温度を変化させる成長プロセスが成長装置のヒーター材料の劣化を引き起こし、その部品寿命を短くする問題も発生した。
【0012】
本願発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、本願発明が解決しようとする課題は、高い表面弾性波伝播速度を有し、高い周波数で効果的に動作する、窒化物系半導体を用いた表面弾性波フィルターおよびその高能率、高歩留まり、低コストの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本願発明では、請求項1に記載のように、
サファイア、SiまたはSiCからなる基板上に(AlN)(Al)1−xからなる第1の層と、AlNからなる第2の層とをこの順序で順次形成し、さらに、前記第2の層上にGaN、AlN、または、GaNとAlNとの混晶からなる第3の層を形成してなる薄膜構造を有し、かつ、該薄膜構造上に櫛型電極を有する表面弾性波フィルターであって、前記第1の層の組成式におけるxの値が前記基板側から前記第2の層側に向かって増加していることを特徴とする表面弾性波フィルターを構成する。
【0014】
また、本願発明では、請求項2に記載のように、
サファイア、SiまたはSiCからなる基板上に(AlN)(Al)1−xからなる第1の層と、AlNからなる第2の層と、Alからなる中間層とをこの順序で順次形成し、さらに、前記中間層上にGaN、AlN、または、GaNとAlNとの混晶からなる第3の層を形成してなる薄膜構造を有し、かつ、該薄膜構造上に櫛型電極を有する表面弾性波フィルターであって、前記第1の層の組成式におけるxの値が前記基板側から前記第2の層側に向かって増加していることを特徴とする表面弾性波フィルターを構成する。
【0015】
また、本願発明では、請求項3に記載のように、
上記第3の層に、マグネシウム、亜鉛、ベリリウム、炭素、鉄の内の少なくとも1つの元素が添加されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表面弾性波フィルターを構成する。
【0016】
また、本願発明では、請求項4に記載のように、
サファイア、SiまたはSiCからなる基板上に(AlN)(Al)1−xからなる第1の層とAlNからなる第2の層とをこの順序で順次形成する第1の工程と、前記第2の層上にGaN、AlN、または、GaNとAlNとの混晶からなる第3の層を形成する第2の工程と、前記第3の層上に櫛型電極を形成する第3の工程とを有する表面弾性波フィルターの製造方法であって、前記第1の層を形成する際に、窒素原料の供給量と酸素原料の供給量とを時間経過とともに変化させて、前記第1の層の組成式におけるxの値が前記基板側から前記第2の層側に向かって増加している前記第1の層を形成することを特徴とする表面弾性波フィルターの製造方法を構成する。
【0017】
また、本願発明では、請求項5に記載のように、
サファイア、SiまたはSiCからなる基板上に(AlN)(Al)1−xからなる第1の層と、AlNからなる第2の層と、Alからなる中間層とをこの順序で順次形成する第1の工程と、前記中間層上にGaN、AlN、または、GaNとAlNとの混晶からなる第3の層を形成する第2の工程と、前記第3の層上に櫛型電極を形成する第3の工程とを有する表面弾性波フィルターの製造方法であって、前記第1の層を形成する際に、窒素原料の供給量と酸素原料の供給量とを時間経過とともに変化させて、前記第1の層の組成式におけるxの値が前記基板側から前記第2の層側に向かって増加している前記第1の層を形成することを特徴とする表面弾性波フィルターの製造方法を構成する。
【0018】
また、本願発明では、請求項6に記載のように、
上記第2の工程において、上記第3の層にマグネシウム、亜鉛、ベリリウム、炭素、鉄の内の少なくとも1つの元素を添加して上記第3の層を形成することを特徴とする請求項4または5に記載の表面弾性波フィルターの製造方法を構成する。
【0019】
また、本願発明では、請求項7に記載のように、
上記第1の層および第2の層の形成にECRプラズマ製膜装置を用いることを特徴とする請求項4または6に記載の表面弾性波フィルターの製造方法を構成する。
【0020】
また、本願発明では、請求項8に記載のように、
上記第1の層、第2の層および中間層の形成にECRプラズマ製膜装置を用いることを特徴とする請求項5または6に記載の表面弾性波フィルターの製造方法を構成する。
【0021】
また、本願発明では、請求項9に記載のように、
上記第1の工程における層形成は、上記基板の昇温を目的とする加熱手段を用いずに行われることを特徴とする請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の表面弾性波フィルターの製造方法を構成する。
【発明の効果】
【0022】
本願発明の実施によって、サファイア基板上に(AlN)(Al)1−x(ここに、0≦x≦1であり、xは基板表面からの距離の増加とともに増加する)からなる第1の層と、AlNからなる第2の層を形成し、さらに、GaN、AlN、または、GaNとAlNとの混晶からなる第3の層を形成することによって、高い表面弾性波伝播速度を有し、高い周波数で効果的に動作する、窒化物系半導体を用いた表面弾性波フィルターおよびその高能率、高歩留まり、低コストの製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本願発明の窒化物系半導体を用いたSAWフィルターの層構成、および、その製造方法の詳細について説明する。
【0024】
図1は本願発明の実施の形態のSAWフィルターの層構成を示す断面の模式図である。図1において、1はサファイア基板、2は(AlN)(Al)1−xからなる第1の層、3はAlNからなる第2の層、4はGaNからなる第3の層、5はAlにより形成された櫛型電極(IDT電極)である。なお、(AlN)(Al)1−x層2において、0≦x≦1であり、xは層の厚さ方向に沿って、基板1表面からの距離の増加とともの増加するように変化している。このような層は、格子定数が層の厚さ方向に沿って変化している層であり、格子不整合に基づく不都合(3次元成長や格子欠陥の発生等)を軽減するためにきわめて有効である。
【0025】
本実施の形態においては、基板としてサファイア基板1を用いたが、SiまたはSiCを基板として用いても良い。また、本実施の形態においては、第3の層としてGaN層4を用いたが、第3の層としてAlN、または、GaNとAlNとの混晶からなる層を用いても良い。
【0026】
前記第1の層である(AlN)(Al)1−x層2はECR(Electron Cycrotron Resonance)プラズマ製膜装置によりAlと窒素と酸素とを原料に用い、室温において、基板の昇温を目的とする加熱手段を用いずに、Arプラズマ中で10nm程度の膜厚になるように堆積を行った。また、この時、酸素のガス流量を6.1sccmから0sccmへ、窒素原料の供給速度すなわち窒素ガスの流量を0sccmから6sccmに段階的に増加させ、(AlN)(Al)1−x層2中におけるxの値が基板1側から第2の層であるAlN層3側に向かって、この場合には0から1まで、増加するようにした。
【0027】
一方、前記の第2の層であるAlN層3は、同じ装置内で、Alと窒素を原料に用い、窒素のガス流量を6sccmで固定して、10nm程度の堆積を行った。なお、xの値が0から1まで変化することは必要ではなく、xの値が基板1側から第2の層であるAlN層3側に向かって増加していれば、本発明の効果は現われる。
【0028】
なお、例えば、第1の層である(AlN)(Al)1−x層2は1〜200nmの膜厚で設計することができるが、好ましくは5〜50nm程度である。また、第2の層であるAlN層3は1〜200nmの膜厚で設計することができるが、好ましくは5〜50nm程度である。
【0029】
さらに、第2の層であるAlN層3上に、同じ装置内で、Alからなる中間層を1〜100nm程度積層し、その上に第3の層であるGaN層4を形成した構造を用いても同様の効果を得ることができた。
【0030】
上記の、(AlN)(Al)1−x2とAlN層3とを形成する工程、または、その工程に上記中間層を形成する工程を追加した工程を第1の工程とする。
【0031】
上記第1の工程における層形成にECRプラズマ製膜装置を用いているが、これ以外に、基板の昇温を目的とする加熱手段を必要としない製膜装置、たとえばプラズマCVD装置等を用いてもよい。
【0032】
第3の層であるGaN層4はMOCVD装置を用いてエピタキシャル成長した。この時、原料ガスにトリメチルガリウムとアンモニアを用いた。以下、GaN層4の成長手順について説明する。前記の積層構造を有する試料をMOCVD装置の成長チャンバー内に設置し、アンモニア雰囲気中で1050℃まで温度を昇温した。次に、トリメチルガリウムを成長チャンバー内に導入、膜厚が2μmになるように、流量と時間を調整してGaN層4の成長を行った。成長終了後にはアンモニア雰囲気中で温度を室温まで低下させ試料を取り出した。上記の、第3の層であるGaN層4を形成する工程を第2の工程とする。
【0033】
本願発明の効果を説明するために、GaNの成長を行った時の成長温度の時間変化を図2に示す。また、比較のために、前述した従来の低温バッファー層を用いてGaN層を成長した場合の成長温度の時間変化を図3に示した。従来の方法においては、低温バッファー層形成のために、温度を一時的に500℃にまで下げなければならない。図2と図3との比較から明らかなように、本願発明によりその成長工程が簡略化され、かつ、成長時間も短縮できることが分かる。
【0034】
本願発明の手法で成長したGaN層の抵抗率は約3×10Ω・cmであった。しかし、成長チャンバー内の汚染の状況等によりGaN成長中にn型不純物が混入し、抵抗率の低下を招くことがあった。また、このような抵抗率の低下は、SAWフィルターの性能指数の1つである電気機械結合定数を低下させた。このようにGaN層の抵抗率が低下した場合には、GaNの成長中にマグネシウム、亜鉛、ベリリウム、炭素、鉄等のp型の不純物となる元素の少なくとも1つを含むガスを用いてドーピングを行うことで効果的に抵抗率は向上した。
【0035】
なお、例えば、第3の層であるGaN層4の膜厚は1〜20μmの範囲で設計することができるが、好ましくは0.5〜5μmである。さらに、第3の層としては、GaNに代えて、SAW伝播速度の大きなAlNやAlNとGaNの混晶にを用いても良い。また、成長法に関してもMOCVDの他、MBEやガスソースMBEを用いることができる。
【0036】
第3の層であるGaN層4を形成した後、図1に示したように、GaN層4上に、フォトリソグラフィ工程とAlの蒸着により200nmの膜厚でIDT電極5を形成した。このIDT電極5を形成する工程を第3の工程とする。
【0037】
また、本願発明の実施によって作製したSAWフィルターの特性解析から得られたSAW伝播速度は5800m/s、電気機械的結合定数は4.2%であり、その特性が実用上においても十分な性能であることが確認できた。
【0038】
本願発明では、前述のように窒化物半導体を成長する際の基板クリーニング、および、低温バッファー層成長の工程が不要となる。そのため、窒化物半導体の成長に必要な時間を短縮でき、かつ、ヒーター寿命を長くすることができるため、その結果として、低コストのSAWフィルターを短時間で再現性良く、すなわち高歩留まりで作製することを可能にする。
【0039】
すなわち、本願発明の実施によって、高い表面弾性波伝播速度を有し、高い周波数で効果的に動作する、窒化物系半導体を用いた表面弾性波フィルターおよびその高能率、高歩留まり、低コストの製造方法を提供することが可能となる。
【0040】
本願発明は、窒化物半導体を用いたSAWフィルターの実用化および応用を進展させる上で大きな効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態を説明する断面図である。
【図2】本発明に係る表面弾性波フィルターの製造方法における工程中の温度変化を示す図である。
【図3】従来の表面弾性波フィルターの製造方法における工程中の温度変化を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1…サファイア基板、2…(AlN)(Al)1−x層、3…AlN層、4…GaN層、5…IDT電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サファイア、SiまたはSiCからなる基板上に(AlN)(Al)1−xからなる第1の層と、AlNからなる第2の層とをこの順序で順次形成し、さらに、前記第2の層上にGaN、AlN、または、GaNとAlNとの混晶からなる第3の層を形成してなる薄膜構造を有し、かつ、該薄膜構造上に櫛型電極を有する表面弾性波フィルターであって、前記第1の層の組成式におけるxの値が前記基板側から前記第2の層側に向かって増加していることを特徴とする表面弾性波フィルター。
【請求項2】
サファイア、SiまたはSiCからなる基板上に(AlN)(Al)1−xからなる第1の層と、AlNからなる第2の層と、Alからなる中間層とをこの順序で順次形成し、さらに、前記中間層上にGaN、AlN、または、GaNとAlNとの混晶からなる第3の層を形成してなる薄膜構造を有し、かつ、該薄膜構造上に櫛型電極を有する表面弾性波フィルターであって、前記第1の層の組成式におけるxの値が前記基板側から前記第2の層側に向かって増加していることを特徴とする表面弾性波フィルター。
【請求項3】
上記第3の層に、マグネシウム、亜鉛、ベリリウム、炭素、鉄の内の少なくとも1つの元素が添加されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表面弾性波フィルター。
【請求項4】
サファイア、SiまたはSiCからなる基板上に(AlN)(Al)1−xからなる第1の層とAlNからなる第2の層とをこの順序で順次形成する第1の工程と、前記第2の層上にGaN、AlN、または、GaNとAlNとの混晶からなる第3の層を形成する第2の工程と、前記第3の層上に櫛型電極を形成する第3の工程とを有する表面弾性波フィルターの製造方法であって、前記第1の層を形成する際に、窒素原料の供給量と酸素原料の供給量とを時間経過とともに変化させて、前記第1の層の組成式におけるxの値が前記基板側から前記第2の層側に向かって増加している前記第1の層を形成することを特徴とする表面弾性波フィルターの製造方法。
【請求項5】
サファイア、SiまたはSiCからなる基板上に(AlN)(Al)1−xからなる第1の層と、AlNからなる第2の層と、Alからなる中間層とをこの順序で順次形成する第1の工程と、前記中間層上にGaN、AlN、または、GaNとAlNとの混晶からなる第3の層を形成する第2の工程と、前記第3の層上に櫛型電極を形成する第3の工程とを有する表面弾性波フィルターの製造方法であって、前記第1の層を形成する際に、窒素原料の供給量と酸素原料の供給量とを時間経過とともに変化させて、前記第1の層の組成式におけるxの値が前記基板側から前記第2の層側に向かって増加している前記第1の層を形成することを特徴とする表面弾性波フィルターの製造方法。
【請求項6】
上記第2の工程において、上記第3の層にマグネシウム、亜鉛、ベリリウム、炭素、鉄の内の少なくとも1つの元素を添加して上記第3の層を形成することを特徴とする請求項4または5に記載の表面弾性波フィルターの製造方法。
【請求項7】
上記第1の層および第2の層の形成にECRプラズマ製膜装置を用いることを特徴とする請求項4または6に記載の表面弾性波フィルターの製造方法。
【請求項8】
上記第1の層、第2の層および中間層の形成にECRプラズマ製膜装置を用いることを特徴とする請求項5または6に記載の表面弾性波フィルターの製造方法。
【請求項9】
上記第1の工程における層形成は、上記基板の昇温を目的とする加熱手段を用いずに行われることを特徴とする請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の表面弾性波フィルターの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−33434(P2006−33434A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209625(P2004−209625)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】