表面形状センサとその製造方法
【課題】水分の侵入を防止しながら、被検体の表面の凹凸を感度良く検出することが可能な表面形状センサとその製造方法を提供すること。
【解決手段】シリコン基板10と、シリコン基板10の上方に形成された層間絶縁膜40と、層間絶縁膜40の上に形成された第1水分バリア絶縁膜41と、第1水分バリア絶縁膜41の上に形成された検出電極膜44aと、検出電極膜44aの上に形成された第2水分バリア絶縁膜51と、第2水分バリア絶縁膜51の上に形成され、検出電極膜44aの上に窓55aを備えた保護絶縁膜55とを有する表面形状センサによる。
【解決手段】シリコン基板10と、シリコン基板10の上方に形成された層間絶縁膜40と、層間絶縁膜40の上に形成された第1水分バリア絶縁膜41と、第1水分バリア絶縁膜41の上に形成された検出電極膜44aと、検出電極膜44aの上に形成された第2水分バリア絶縁膜51と、第2水分バリア絶縁膜51の上に形成され、検出電極膜44aの上に窓55aを備えた保護絶縁膜55とを有する表面形状センサによる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面形状センサとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴い、銀行カードや電子マネーの不正使用を防止するセキュリティ技術として、個人の身体的特徴により本人確認を行う生体認証技術が実用化されている。生体認証技術には、手のひら静脈や声紋を利用するものもあるが、中でも、指紋を利用する指紋認証技術は、これまでに多くの研究がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、指紋に光を当て、その反射光から光学的に指紋を照合している。
【0004】
そして、特許文献2では、指紋の凹凸によって発生する圧力差を圧電薄膜により読み取り、照合を行っている。
【0005】
また、特許文献3では、皮膚との接触により生じる感圧シートの抵抗変化又は容量変化に基づいて照合を行っている。
【0006】
しかしながら、これらの技術のうち、光学的な手法を用いる特許文献1の技術は、小型化するのが難しいうえ、汎用的に用いることができず、用途が限定されるという問題がある。また、感圧シートを用いる特許文献3の技術は、感圧シートの材料が特殊であり、更に感圧シートの加工も難しいことから、実用化が困難である。
【0007】
これらの問題を解決する技術として、特許文献4には、半導体基板に形成される容量型の指紋センサ(表面形状センサ)を開示している。その指紋センサでは、半導体基板の上にアレイ状に形成された複数の検出電極膜と皮膚とが対向し、各々の検出電極膜と皮膚とがそれぞれキャパシタの電極として機能する。そのキャパシタにおける電極同士の間隔は指紋の凹凸によって変化する。従って、各検出電極膜を一つの画素として機能させ、各キャパシタの静電容量をセンシングして可視化することにより指紋のイメージが得られる。この方式の指紋センサは、光学的な方式と比較して特殊なインターフェースが不要であり、且つ小型化が可能である。
【0008】
そのような容量型の指紋センサでは、外部の水分をブロックし、水分によって素子が劣化するのを防止する構造が必要となる。
【0009】
例えば、特許文献4では、パッシベーション膜として窒化シリコン膜を形成している。
同様に、特許文献5でも、水分のバリア性に優れた窒化シリコン膜を形成することにより、水分による基板の劣化を防いでいる。
【0010】
なお、この他にも、本発明に関連する技術が下記の特許文献6〜8にも開示される。
【特許文献1】特開昭61−221883号公報
【特許文献2】特開平5−61965号公報
【特許文献3】特開平7−168930号公報
【特許文献4】特開2003−269907号公報
【特許文献5】特開2003−172602号公報
【特許文献6】特開2005−159333号公報
【特許文献7】特開2005−326167号公報
【特許文献8】特開2000−213908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、水分の侵入を防止しながら、被検体の表面の凹凸を感度良く検出することが可能な表面形状センサとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一観点によれば、半導体基板と、前記半導体基板の上方に形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜の上に形成された第1水分バリア絶縁膜と、前記第1水分バリア絶縁膜の上に形成された検出電極膜と、前記検出電極膜の上に形成された第2水分バリア絶縁膜と、前記第2水分バリア絶縁膜の上に形成され、前記検出電極膜の上に窓を備えた保護絶縁膜とを有する表面形状センサが提供される。
【0013】
本発明では、検出電極膜の上に形成される第2水分バリア絶縁膜の他に、検出電極膜の下に第1水分バリア絶縁膜を形成するので、第2水分バリア絶縁膜が担う水分阻止の役割が軽減され、第2水分バリア絶縁膜を薄くすることができる。その結果、指等の被検体と検出電極膜との間隔が狭くなり、被検体と検出電極膜との間に形成されるキャパシタの静電容量が大きくなって、被検体の表面の凹凸を高い感度で検出することが可能となる。
【0014】
表面形状センサの検出感度を高めるには、第1水分バリア絶縁膜と第2水分バリア絶縁膜の合計膜厚を、水分の侵入を阻止するのに必要な最低限の膜厚に設定するのが好ましい。
【0015】
なお、第1水分バリア絶縁膜は窒化シリコン膜又は酸窒化シリコン膜であるのが好ましく、第2水分バリア絶縁膜は窒化シリコン膜であるのが好ましい。
【0016】
更に、絶縁性酸化金属膜を第1水分バリア絶縁膜として形成してもよい。絶縁性酸化金属膜は、水分のバリア性に優れているので、窒化シリコン膜や酸窒化シリコン膜で第1水分バリア絶縁膜を構成する場合と比較して、第1水分バリア絶縁膜の厚さを薄くすることができ、エッチングにより第1水分バリア絶縁膜にホールを形成するのが容易となる。
【0017】
また、第1水分バリア絶縁膜の上にキャップ絶縁膜を形成し、該キャップ絶縁膜の上に検出電極膜を形成するようにしてもよい。
【0018】
このようにすると、パターニングにより検出電極膜を形成する際のエッチングがオーバーエッチングとなっても、キャップ絶縁膜によりエッチングが吸収される。そのため、エッチングにより第1水分バリア絶縁膜が薄くなるのが防止され、第1水分バリア絶縁膜における水分阻止能力を高い状態に維持することができる。
【0019】
更に、検出電極膜の上にカバー絶縁膜を形成し、該カバー絶縁膜の上に第2水分バリア絶縁膜を形成してもよい。
【0020】
これによれば、第2水分バリア絶縁膜のストレスがカバー絶縁膜によって緩和され、ストレスに起因して膜剥がれ等が発生するのを防止できる。
【0021】
また、本発明の別の観点によれば、半導体基板の上方に層間絶縁膜を形成する工程と、前記層間絶縁膜の上に第1水分バリア絶縁膜を形成する工程と、前記第1水分バリア絶縁膜の上に検出電極膜を形成する工程と、前記検出電極膜の上に第2水分バリア絶縁膜を形成する工程と、前記検出電極膜の上に窓を備えた保護絶縁膜を前記第2水分バリア絶縁膜の上に形成する工程とを有する表面形状センサの製造方法が提供される。
【0022】
ここで、窒素含有雰囲気中において層間絶縁膜をアニールする工程を行い、このアニールの後に第1水分バリア絶縁膜を形成する工程を行ってもよい。
【0023】
このようなアニールにより、層間絶縁膜が脱水されると共に、その表面が窒化されて水分の再吸着が防止される。
【0024】
更に、半導体基板の上方に下地絶縁膜を形成する工程と、この下地絶縁膜の上に金属配線を形成する工程とを行ってもよい。この場合は、下地絶縁膜と金属配線の上に層間絶縁膜を形成することになる。
【0025】
そして、この層間絶縁膜を形成した後に、金属配線の上の該層間絶縁膜にホールを形成する工程と、該ホールを形成した後に層間絶縁膜をアニールする工程とを行い、ホール内と層間絶縁膜の上に上記の検出電極膜を形成するのが好ましい。
【0026】
このようにホールに対してアニールを行うことで、ホールから露出する層間絶縁膜の脱水が十分になされる。その結果、ホールから出る脱ガスを低減することができ、脱ガスによってホール内に検出電極膜が未形成になるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、第2水分バリア絶縁膜の他に第1水分バリア絶縁膜を形成するので、第2水分バリア絶縁膜を薄くすることが可能となり、指等の被検体と検出電極膜との間隔を狭めることができ、検出感度の高い表面形状センサを提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明の実施の形態に係る容量型の表面形状センサについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
図1〜図21は、本実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図である。以下では、指紋を認識するためのセンサ領域Iと、パッケージの際にボンディングワイヤが接合されるパッド領域IIとをこれらの図に併記する。
【0030】
最初に、図1(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0031】
まず、n型又はp型のシリコン(半導体)基板10の表面を熱酸化することにより素子分離絶縁膜11を形成し、この素子分離絶縁膜11でトランジスタの活性領域を画定する。シリコン基板10の表面から素子分離絶縁膜11の上面までの高さは約100nmである。このような素子分離構造はLOCOS(Local Oxidation of Silicon)と呼ばれるが、これに代えてSTI(Shallow Trench Isolation)を採用してもよい。
【0032】
次いで、シリコン基板10の活性領域にp型不純物、例えばボロンを導入して第1、第2pウェル12、13を形成した後、その活性領域の表面を熱酸化することにより、ゲート絶縁膜14となる熱酸化膜を約6〜7nmの厚さに形成する。
【0033】
続いて、シリコン基板10の上側全面に、厚さ約50nmの非晶質シリコン膜と厚さ約150nmのタングステンシリサイド膜を順に形成する。なお、非晶質シリコン膜に代えて多結晶シリコン膜を形成してもよい。その後に、フォトリソグラフィによりこれらの膜をパターニングして、シリコン基板10上にゲート電極15を形成すると共に、素子分離絶縁膜11上に配線16を形成する。
【0034】
更に、ゲート電極15をマスクにするイオン注入により、ゲート電極15の横のシリコン基板10にn型不純物としてリンを導入し、第1〜第3ソース/ドレインエクステンション17a〜17cを形成する。
【0035】
その後に、シリコン基板10の上側全面に絶縁膜を形成し、その絶縁膜をエッチバックしてゲート電極15と配線16の横に絶縁性スペーサ18として残す。その絶縁膜として、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により酸化シリコン膜を形成する。
【0036】
続いて、この絶縁性スペーサ18とゲート電極15をマスクにしながら、シリコン基板10に砒素等のn型不純物を再びイオン注入することにより、ゲート電極15の側方のシリコン基板10に第1〜第3ソース/ドレイン領域19a〜19cを形成する。
【0037】
更に、シリコン基板10の上側全面に、スパッタ法によりコバルト膜等の高融点金属膜を形成する。そして、その高融点金属膜を加熱させてシリコンと反応させることにより、第1〜第3ソース/ドレイン領域19a〜19cにおけるシリコン基板10上にコバルトシリサイド層等の高融点シリサイド層20を形成し、各ソース/ドレイン領域19a〜19cを低抵抗化する。
【0038】
なお、このような高融点金属シリサイド層は、素子分離絶縁膜11が形成されていない部分のシリコン基板10の表層にも形成される。
【0039】
その後に、素子分離絶縁膜11の上等で未反応となっている高融点金属層をウエットエッチングして除去する。
【0040】
ここまでの工程により、シリコン基板10の活性領域には、ゲート絶縁膜14、ゲート電極15、及び第1〜第3ソース/ドレイン領域19a〜19c等によって構成される第1〜第3MOSトランジスタTR1〜TR3が形成されたことになる。
【0041】
次に、図1(b)に示すように、シリコン基板10の上側全面に、プラズマCVD法により酸窒化シリコン(SiON)膜を厚さ約200nmに形成し、この酸窒化シリコン膜をカバー絶縁膜21とする。
【0042】
続いて、TEOS(tetra ethoxy silane)ガスを使用するプラズマCVD法により、第1絶縁膜22としてカバー絶縁膜21の上に酸化シリコン膜を厚さ約1000nmに形成する。その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により第1絶縁膜22を200nm程度研磨することにより、第1絶縁膜22の上面を平坦化する。
【0043】
本実施形態では、このようにして形成されたカバー絶縁膜21と第1絶縁膜22により第1層間絶縁膜23が構成される。
【0044】
続いて、図2(a)に示すように、第1層間絶縁膜23の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像することにより、窓24a〜24eを備えた第1レジストパターン24を形成する。
【0045】
そして、この第1レジストパターン24をマスクにして第1層間絶縁膜23をドライエッチングすることにより、図示のような第1〜第5コンタクトホール23a〜23eを形成する。この後に、第1レジストパターン24は除去される。
【0046】
次に、図2(b)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0047】
まず、第1〜第5コンタクトホール23a〜23eの内面と第1層間絶縁膜23の上面に、スパッタ法によりグルー膜として厚さ約20nmのチタン(Ti)膜と厚さ約50nmの窒化チタン(TiN)膜とをこの順に形成する。
【0048】
次いで、このグルー膜の上にCVD法によりタングステン膜を形成し、このタングステン膜で第1〜第5コンタクトホール23a〜23eを完全に埋め込む。
【0049】
そして、第1層間絶縁膜23の上の余分なグルー膜とタングステン膜とをCMP法により研磨し、これらの膜を第1〜第5コンタクトホール23a〜23eの中に第1〜第5導電性プラグ25a〜25eとして残す。
【0050】
続いて、図3(a)に示すように、各第1〜第5導電性プラグ25a〜25eと第1層間絶縁膜23のそれぞれの上面に第1金属積層膜26を形成する。その金属積層膜は、スパッタ法により形成され、下から順に厚さ約500nmの銅含有アルミニウム膜、厚さ約5nmのチタン膜、及び厚さ約150nmの窒化チタン膜を形成してなる。
【0051】
この後に、第1金属積層膜26の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第2レジストパターン27とする。
【0052】
次いで、図3(b)に示すように、第2レジストパターン27をマスクにして第1金属積層膜26をドライエッチングすることにより一層目金属配線26aを形成する。このエッチングを終了後、第2レジストパターン26は除去される。
【0053】
次に、図4に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0054】
まず、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により、シリコン基板10の上側全面に酸化シリコン膜を厚さ約2200nm程度に形成し、この酸化シリコン膜を第2絶縁膜28とする。
【0055】
特に図示はしないが、TEOSガスを用いて形成された第2絶縁膜28は、隣接する一層目金属配線26aの間に「す」が形成されやすい。その「す」が形成されたままだと、「す」の内部に水分や不純物が残留し、配線26aにストレスマイグレーションが発生し易くなる。
【0056】
そこで、この第2絶縁膜28を形成した後に、第2絶縁膜28の上面をCMP法により研磨し、第2絶縁膜28の表面に「す」を表出させる。このCMPの研磨量は、典型的には約1000nm程度である。
【0057】
その後、再びTEOSガスを使用するプラズマCVD法により、第2絶縁膜28の上面に第1キャップ絶縁膜29として酸化シリコン膜を形成し、このキャップ絶縁膜29で「す」を完全に埋める。
【0058】
第1キャップ絶縁膜29は、その下の第2絶縁膜28と共に第2層間絶縁膜(下地絶縁膜)30を構成する。
【0059】
続いて、図5に示すように、第2層間絶縁膜30の上に第3レジストパターン32を形成する。そして、第3レジストパターン32の窓32aを通じて第2層間絶縁膜30をドライエッチングすることにより、一層目金属配線26aに至る深さの第1ホール30aを形成する。
【0060】
この後に、第3レジストパターン32は除去される。
【0061】
次に、図6に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0062】
まず、第1ホール32aの内面と第2層間絶縁膜30の上面に、スパッタ法によりグルー膜として厚さ約50nmの窒化チタン膜を形成する。
【0063】
次いで、このグルー膜の上にCVD法によりタングステン膜を厚さ約700nmに形成し、このタングステン膜で第1ホール30aを完全に埋め込む。
【0064】
そして、第2層間絶縁膜30の上の余分なグルー膜とタングステン膜とをCMP法により研磨し、これらの膜を第1ホール30aの中に第6導電性プラグ34として残す。
【0065】
続いて、図7に示すように、第2層間絶縁膜30と第6導電性プラグ34のそれぞれの上に、スパッタ法により銅含有アルミニウム膜と窒化チタン膜とをこの順に形成し、これらの膜を第2金属積層膜35とする。なお、この第2金属積層膜35の膜厚は限定されないが、銅含有アルミニウムの厚さは約500nmであり、窒化チタン膜の厚さは約120nmである。
【0066】
その後に、第2金属積層膜35の上に第4レジストパターン36を形成する。
【0067】
次いで、図8に示すように、第4レジストパターン36をマスクして第2金属積層膜35をドライエッチングし、エッチングされずに残存した第2金属積層膜35を二層目金属配線35a及びボンディングパッド35bとする。
【0068】
この後に、第4レジストパターン36は除去される。
【0069】
次に、図9に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0070】
まず、二層目金属配線35aと第2層間絶縁膜30のそれぞれの上に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により酸化シリコン膜を厚さ約400nmに形成し、この酸化シリコン膜をカバー絶縁膜37とする。
【0071】
このカバー絶縁膜37には、二層目金属配線35aを反映して表面に凹凸が形成される。そこで、次の工程では、この凹凸を埋め込むために、カバー絶縁膜37の上に第3絶縁膜38として酸化シリコン膜を形成する。
【0072】
本実施形態では、その第3絶縁膜38の形成方法として埋め込み性に優れたSOG(Spin On Glass)を採用し、カバー絶縁膜37の平坦面上での第3絶縁膜38の厚さを約500nmとする。
【0073】
その後、この第3絶縁膜38の上に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法を用い、犠牲絶縁膜39として厚さ約2000nmの酸化シリコン膜を形成する。
【0074】
このように形成された絶縁膜37〜39により第3層間絶縁膜40が構成される。
【0075】
上記のように埋め込み性の良いSOGにより第3絶縁膜38を形成しても、二層目金属配線35aを反映した僅かな凹凸が第3層間絶縁膜40の表面に残る。
【0076】
そこで、次に、図10に示すように、犠牲絶縁膜39の上面をCMP法により研磨して平坦化する。このCMP法においける研磨量は、典型的には約1000nmである。
【0077】
次いで、図11に示すように、各絶縁膜37〜39の成膜時や図10のCMP時に第3層間絶縁膜40中に取り込まれた水分を除去するために、窒素含有雰囲気中、例えばN2Oプラズマ雰囲気中において第3層間絶縁膜40をアニールして脱水すると共に、その表面を窒化して水分の再吸着を防止する。
【0078】
そのN2Oプラズマアニールの条件は特に限定されないが、本実施形態では、CVD装置をアニール装置として代用し、基板温度を350℃、処理時間を2分〜4分としてこのN2Oプラズマアニールを行う。なお、このCVD装置には、周波数が13.56MHzでパワーが500Wの高周波電力がプラズマ化用の電力として印加される。
【0079】
このN2Oプラズマアニールは、膜中に多くの水分が含まれ得るSOGにより第3絶縁膜38を形成する場合に特に有効である。
【0080】
ところで、上記のように第3層間絶縁膜40を脱水しても、実使用下において外部の水分が第3層間絶縁膜40に侵入してしまうことがある。こうなると、例えば、回路が動作して発熱している状態の一層目金属配線26aや二層目金属配線35aに水が触れ、これらの配線にストレスマイグレーションが発生し、最悪の場合には配線が断線する等の不都合が発生する。
【0081】
そこで、次の工程では、図12に示すように、外部からの水分の侵入を確実に防止するために、第3層間絶縁膜40の上に第1水分バリア絶縁膜41を形成する。
【0082】
上記のN2Oプラズマアニールを終了してから大気中に第3層間絶縁膜40を長期にわたって放置すると、第3層間絶縁膜40に水分が再吸着してしまうので、N2Oプラズマアニールを終了してから12時間以内に第1水分バリア絶縁膜41を形成するのが好ましい。
【0083】
その第1水分バリア絶縁膜41としては、プラズマCVD法で形成された窒化シリコン膜又は酸窒化シリコン膜を採用し得る。
【0084】
このうち、窒化シリコン膜は、シラン(SiH4)とアンモニア(NH3)との混合ガスを反応ガスとして用いるプラズマCVD法により、成膜温度を400℃にして形成される。一方、酸窒化シリコン膜は、シランとN2Oとの混合ガスを反応ガスとして用いるプラズマCVD法により、成膜温度を400℃にして形成される。
【0085】
第1水分バリア絶縁膜41は、表面形状センサを構成する積層膜の途中の部分に形成される膜であるから、ストレスが強い膜を第1水分バリア絶縁膜41として形成すると、上記の積層膜に膜剥がれが生じる恐れがある。従って、膜剥がれの防止という観点からすると、窒化シリコン膜よりも膜ストレスが小さい酸窒化シリコン膜を第1水分バリア絶縁膜41として形成するのが好ましい。
【0086】
なお、窒化シリコンや酸窒化シリコンで第1水分バリア絶縁膜41を構成する場合の絶縁膜41の膜厚については後述する。
【0087】
また、アルミナ(酸化アルミニウム)膜や酸化チタン膜等の絶縁性酸化金属膜を第1水分バリア絶縁膜41として形成してもよい。これらの絶縁性酸化金属膜はスパッタ法により形成され得る。
【0088】
絶縁性酸化金属膜は、窒化シリコン膜や酸窒化シリコン膜よりも水分のバリア性に優れているので、第1水分バリア絶縁膜41を20〜100nm程度にまで薄く形成することができる。膜厚の下限を20nmとしたのは、これよりも薄いと水分バリアの効果が現れ難いからである。
【0089】
但し、この値は、本実施形態のように平坦化された第3層間絶縁膜40の上に第1水分バリア絶縁膜41を形成する場合のものである。スパッタ法で形成される絶縁性酸化金属膜のカバレッジ特性は悪いので、第3層間絶縁膜40を平坦化しない場合には、第1水分バリア絶縁膜41の膜厚は50nmにするのが好ましい。
【0090】
一方、絶縁性酸化金属膜は化学反応によるエッチングが困難なため、以下の工程において第1水分バリア絶縁膜41をエッチングし易くするという観点から、上記のように第1水分バリア絶縁膜41の上限を100nmとし、これよりも厚い膜厚に第1水分バリア絶縁膜41を形成しないのが好ましい。
【0091】
なお、絶縁性酸化金属膜としては、上記のアルミナ膜と酸化チタン膜の他に、酸化ジルコニウム(ZrOx)膜、酸化マグネシウム(MgOx)膜、及び酸化チタンマグネシウム(MgTiOx)膜等もある。
【0092】
このようにして第1水分バリア絶縁膜41を形成した後に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により、シリコン基板10の上側全面に第2キャップ絶縁膜42として酸化シリコン膜を50〜100nmの厚さに形成する。
【0093】
次に、図13に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0094】
まず、第2キャップ絶縁膜42の上に第5レジストパターン43を形成する。
【0095】
次いで、この第5レジストパターン43の窓43a、43bを通じて各絶縁膜40〜42をドライエッチングすることにより、二層目金属配線35aの上のこれらの絶縁膜に第2、第3ホール40a、40bを形成する。
【0096】
このエッチングの条件は、第1水分バリア絶縁膜41の材料によって異なる。
【0097】
例えば、第1水分バリア絶縁膜41として窒化シリコン膜又は酸窒化シリコン膜を形成する場合は、エッチングガスとしてCF4(流量:159sccm)、C4F8(流量:188sccm)、及びAr(流量:429sccm)の混合ガスを使用する。また、エッチング雰囲気の圧力は46.6Pa(350mTorr)、エッチング雰囲気に印加される高周波電力(周波数:13.56MHz)のパワーは1000W、エッチング時間は6分とされる。
【0098】
なお、CHF3系のエッチングガスで第1ステップのエッチングを行った後、上記の条件で第2ステップのエッチングを行うようにしてもよい。
【0099】
一方、第1水分バリア絶縁膜41としてアルミナ膜等の絶縁性酸化金属膜を形成する場合は、エッチングガスとしてC4F8(流量:20sccm)、Ar(流量:500sccm)、及びO2(12sccm)の混合ガスを使用する。そして、エッチング雰囲気の圧力を6.6Pa(50mTorr)、エッチング時間を200秒とする。また、周波数が27.12MHzの高周波電力のパワーを2000W、周波数が800Hzの高周波電力のパワーを900Wとする。
【0100】
絶縁性酸化金属膜は、窒化シリコン膜や酸窒化シリコン膜よりも水分のバリア性に優れているので、これらの膜を第1水分バリア絶縁膜41に用いる場合と比較して、第1水分バリア絶縁膜41の厚さを薄くすることができる。第3層間絶縁膜40よりもエッチングが困難な材料よりなる第1水分バリア絶縁膜41を薄くすることで、本工程において第2、第3ホール40a、40bをエッチングにより綺麗に形成することができる。
【0101】
この後に、第5レジストパターン43は除去される。
【0102】
続いて、図14に示すように、N2雰囲気において第3層間絶縁膜40をアニールすることにより、第3層間絶縁膜40になおも含まれる水分を各ホール40a、40bから外部に放出させる。
【0103】
このN2アニールは、基板温度が350℃の条件で、N2流量を20リットル/分、処理時間を30分として行われる。
【0104】
次に、図15に示すように、第2キャップ絶縁膜42の上面と第2、第3ホール40a、40bの内面に、導電膜44として窒化チタン膜をスパッタ法により厚さ約200nmに形成する。
【0105】
導電膜44は、窒化チタン膜に限定されず、チタン膜や窒化チタンアルミニウム膜でもよい。後述するように、導電膜44は、指が近接する検出電極膜となるものであり、上記のようにチタンを含む材料で導電膜44を構成することで、検出電極膜の耐腐食性が高められる。
【0106】
また、Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、及びOs等の貴金属で導電膜44を構成しても、耐腐食性の高い検出電極膜が得られる。
【0107】
ここで、導電膜44を形成する前に、図14の工程において第3層間絶縁膜40の水分をホール40a、40bから十分に逃がしておいたので、導電膜44の形成時にホール40a、40bから出る脱ガスが低減され、ホール40a、40b内において導電膜44が未形成になるのを防止できる。
【0108】
なお、図14のアニール工程から長時間経過した後に導電膜44を形成したのでは、ホール40a、40bに水分が吸収されてしまい、これらのホール40a、40bにおいて導電膜44が未形成になる恐れがある。従って、上記のアニール工程をおこなってから1時間以内に導電膜44を形成するのが好ましい。
【0109】
更に、図11の工程でも第3層間絶縁膜40を脱水したので、導電膜44の形成時に第3層間絶縁膜40に熱が加わっても、第1水分バリア絶縁膜41によって逃げ場を失った第3層間絶縁膜40中の水分によって二層目金属配線35aが蒸し焼きになるのを防ぐことができる。
【0110】
次に、図16に示すように、導電膜44の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第6レジストパターン46を形成する。
【0111】
続いて、図17に示すように、第6レジストパターン46をマスクにして導電膜44をドライエッチングすることにより、第2、第3ホール40a、40bの内部とその周辺にのみ導電膜44を検出電極膜44a及び接地電極膜44bとして残す。
【0112】
各電極膜44a、44bは互いに独立しており、それぞれ第2、第3ホール40a、40bを介して二層目金属配線35aと電気的に接続される。また、接地電極膜44bは、接地電位のシリコン基板10と電気的に接続される。
【0113】
ところで、この工程では、導電膜44のエッチング残渣を残さないために、エッチング量を導電膜44の膜厚よりも多くするオーバーエッチングが行われる。このようにオーバーエッチングを行っても、第2キャップ絶縁膜42によりエッチングが吸収されるので、第1水分バリア絶縁膜41までエッチングが及ばない。その結果、エッチングにより第1水分バリア絶縁膜41が薄くなるのが防止され、第1水分バリア絶縁膜41における水分阻止能力を高い状態に維持することができる。
【0114】
この後に、第6レジストパターン46は除去される。
【0115】
次いで、図18に示すように、シリコン基板10の上側全面に第7レジストパターン48を形成する。
【0116】
そして、この第7レジストパターン48の窓48aを通じて各絶縁膜40〜42をエッチングすることにより、ボンディングパッド35bの上に電極引き出し窓40bを形成する。
【0117】
このエッチングを終了した後に、第7レジストパターン48は除去される。
【0118】
続いて、図19に示すように、第3層間絶縁膜40と電極膜44a、44bのそれぞれの上に酸化シリコン膜を厚さ約100nmに形成し、この酸化シリコン膜をカバー絶縁膜50とする。このカバー絶縁膜50は、例えば、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により形成される。
【0119】
ところで、水分の侵入を阻止する膜として第1水分バリア絶縁膜41を既に形成したが、水分の侵入をより確実に防止するためには、外気に近い部分に更に水分バリア絶縁膜を形成する必要がある。
【0120】
そこで、次の工程では、カバー絶縁膜50の上に、第2水分バリア絶縁膜51としてプラズマCVD法により窒化シリコン膜を形成する。この窒化シリコン膜の成膜ガスとしては、アンモニアとシランとの混合ガスが使用される。また、成膜温度は400℃であり、周波数が13.56MHzでパワーが600Wの高周波電力と、周波数が400kHzでパワーが200Wの高周波電力が成膜雰囲気に印加される。このようにして形成された窒化シリコン膜の屈折率は約1.98となる。
【0121】
この第2水分バリア絶縁膜51は、第1水分バリア絶縁膜41よりも外気に近い部分に形成されるので、膜ストレスの低減よりも水分のバリア性を優先させる必要がある。そのため、本実施形態では、第2水分バリア絶縁膜51の材料として、酸窒化シリコンよりも水分バリア性に優れた窒化シリコンを採用する。
【0122】
比較的ストレスが大きな窒化シリコン膜を第2水分バリア絶縁膜51として形成しても、酸化シリコンよりなるカバー絶縁膜50がストレスを緩和するように機能するので、第2水分バリア絶縁膜51に起因した膜剥がれは防止される。
【0123】
本実施形態では、第1水分バリア絶縁膜41と第2水分バリア絶縁膜51とが協働して水分の侵入を阻止し、水分バリア性は各絶縁膜41、51の合計膜厚で定まる。その合計膜厚については後で詳述する。
【0124】
次に、図20に示すように、第2水分バリア絶縁膜51の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第8レジストパターン53を形成する。
【0125】
そして、この第8レジストパターン53の窓53a、53bを通じてカバー絶縁膜50と第2水分バリア絶縁膜51とをドライエッチングする。
【0126】
これにより、接地電極膜44bの上の第2水分バリア絶縁膜51に第1開口51aが形成され、この第1開口51aから接地電極44bが露出する。この第1開口51aはESD(Electro Static Discharge)ホールとも呼ばれる。
【0127】
また、パッド領域IIでは、ボンディングパッド35bが露出する第2開口51bが形成される。
【0128】
そして、第8レジストパターン53を除去した後に、N2雰囲気中において基板温度を430℃とする条件の脱水処理を30分間行う。
【0129】
次に、図21に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0130】
まず、第2水分バリア絶縁膜51の上に非感光性ポリイミドよりなる塗布膜を厚さ約1200nmに塗布した後、その塗布膜をベークする。
【0131】
次いで、塗布膜の上にレジストパターン(不図示)を形成し、このレジストパターンをマスクにしながら、ポリイミド用のエッチング液で塗布膜をエッチングすることで、第1、第2窓55a、55bを備えた最上層の保護絶縁膜55を形成する。その保護絶縁膜55は、物理的な衝撃から回路を保護する緩衝材として機能するものである。
【0132】
更に、リンス液でレジストパターンを除去した後、基板温度350℃、N2流量18リットル/分の条件で保護絶縁膜55をキュアして硬化する。
【0133】
なお、キュア時に保護絶縁膜55の表面に不純物が付着する場合があるので、この不純物を除去する目的で、プラズマアッシングにより保護絶縁膜55の上面を200nm程度削る。このようなプラズマアッシングを行うことで、保護絶縁膜55の最終的な厚さは約800nmとなる。
【0134】
保護絶縁膜55の厚さが800nmを切ると膜強度が落ち、緩衝材としての効果も低下するので、保護絶縁膜55の厚さは最低でも800nm必要である。
【0135】
ここで、非感光性ポリイミドに代えて感光性ポリイミドで保護絶縁膜55を構成することも考えられる。しかし、感光性ポリイミドは、感光剤や架橋剤が含まれるため、非感光性ポリイミドよりも軟らかく、指が直接触れられる保護絶縁膜55として採用すると傷が付きやすいという問題がある。
【0136】
これに対し、本実施形態のように非感光性ポリイミドで保護絶縁膜55を構成すると、感光性ポリイミドを用いる場合よりも保護絶縁膜55の硬度を高くすることができるので、デバイスを保護するのに必要な硬度を保ちながら、保護絶縁膜55の厚さを極限まで薄くすることができる。
【0137】
図22は、この工程を終了後のセンサ領域Iの平面図であり、先の図21は図22のA−A線に沿う断面図に相当する。同図では検出電極膜44aが一枚しか描かれていないが、実際には検出電極膜44aはマトリクス状に複数(例えば1024×1024個)形成され、その各々が一つの画素として機能する。
【0138】
各電極膜44a、44bの平面サイズは特に限定されないが、本実施形態では、図示のようにL1を約50μmとし、L2を約6μmとする。
【0139】
以上により、本実施形態に係る表面形状センサの基本構造が完成した。
【0140】
図23は、表面形状センサの動作について説明するための断面図である。なお、図23では、パッド領域IIを省いてある。
【0141】
この表面形状センサでは、図23に示すように、保護絶縁膜55に指(被検体)Fを触れることで、指Fと検出電極膜44aとの間にキャパシタCが形成される。そのキャパシタCの静電容量は、指Fの表面の凹凸(指紋)によって変化するので、この静電容量の違いを検出電極膜44aにおいて読み取ることで、指紋の画像が得られる。
【0142】
また、指Fに帯電している静電気は、接地電極41bからシリコン基板10に逃がされ、シリコン基板10に形成されている回路が静電気によって破壊されるのが防止される。
【0143】
図24はこの表面形状センサの等価回路である。
【0144】
図示のように、この表面形状センサは、図1に示した第1〜第3MOSトランジスタTR1〜TR3の他に第4MOSトランジスタTR4を有する。そして、各トランジスタTR1〜TR4には、行駆動線111、列センス線112、電源線113、リセット線114、チャージ制御線115、及びチャージ用電流源Icが図示のように接続され、いわゆる電流チャージ法によって表面形状センサが駆動する。
【0145】
再び図23を参照する。
【0146】
図23に示されるように、指Fと検出電極膜44aとの間隔Deは、第2水分バリア絶縁膜51と保護絶縁膜55によって規制されており、これらの膜の厚さが薄いほど間隔Deが狭くなってキャパシタCの静電容量は大きくなる。
【0147】
指紋の検出感度は、キャパシタCの静電容量が大きい方が高まるので、第2水分バリア絶縁膜51と保護絶縁膜55の膜厚はなるべく薄くするのが好ましい。このうち、非感光性ポリイミドよりなる保護絶縁膜55は、ピンホールの発生を防止し得る限界の薄さに形成しているので、これ以上薄膜化することはできない。
【0148】
従って、検出感度を高めるには、第2水分バリア絶縁膜51を薄くする必要があるが、その厚さを薄くし過ぎると、第2水分バリア絶縁膜51において水分の侵入を阻止できなくなる恐れがある。
【0149】
そこで、本実施形態では、検出電極膜44aの下に第1水分バリア絶縁膜41を形成し、水分バリアの役割を第1水分バリア絶縁膜41と第2水分バリア膜51の両方に分担させるようにした。これにより、水分の阻止能力が第1水分バリア絶縁膜41により補われるので、各絶縁膜41、51の全体としての水分の阻止能力を維持しながら、第2水分バリア絶縁膜51を薄くすることができる。その結果、指Fと検出電極膜44aとの間隔Deを狭めることができるようになるので、キャパシタCの静電容量を大きくして指紋の検出感度を高めることが可能となる。
【0150】
ここで、上記の間隔Deをなるべく狭くするには、第1水分バリア絶縁膜41と第2水分バリア絶縁膜51の合計膜厚を、水分の侵入を阻止するのに必要な最低限の膜厚に設定するのが好ましい。
【0151】
第1水分バリア絶縁膜41と第2水分バリア絶縁膜51の双方を窒化シリコン膜で構成する場合は、上記の合計膜厚は500nm以上である。
【0152】
但し、合計膜厚が500nm以上の範囲であっても、第2水分バリア絶縁膜51を厚くしたのでは間隔Deを狭めることができず、水分バリア絶縁膜を各膜41、51に分けた効果が薄らぐ。
【0153】
そのため、第1水分バリア絶縁膜41の材料に関わらず、窒化シリコンよりなる第2水分バリア絶縁膜51の厚さは500nm以下であるのが好ましい。
【0154】
例えば、各絶縁膜41、51の合計膜厚を500nmに設定した場合、第1水分バリア絶縁膜41の厚さは400nm、第2水分バリア絶縁膜51の厚さは100nmとすればよい。
【0155】
一方、窒化シリコンよりも水分バリア性が劣る酸窒化シリコンで第1水分バリア絶縁膜41を構成するときは、窒化シリコン膜で第1水分バリア絶縁膜41を構成する場合と比較して、第1水分バリア絶縁膜41の厚さを1.2倍にするのが好ましい。例えば、500nmから第2水分バリア絶縁膜51の厚さを引いた値の1.2倍の厚さに第1水分バリア絶縁膜41を形成するのが好ましい。この場合、第2水分バリア絶縁膜51の厚さが100nmであるとすると、第1水分バリア絶縁膜41の厚さは480nm(=(500nm−100nm)×1.2)となる。
【0156】
第1、第2水分バリア絶縁膜41の膜厚をこのような値に設定すると、上記の間隔De、すなわち検出電極膜44aの上面と保護絶縁膜55の上面との間隔を1500nm以下に抑えることが可能となる。
【0157】
ここで、間隔Deを狭めるには、第2水分バリア絶縁膜51を形成せずに、第1水分絶縁膜41だけに水分阻止の役割を担わせることも考えられる。
【0158】
しかし、これでは、窒化シリコンと比較して水分を透過し易い酸化シリコンよりなるカバー絶縁膜50が水分を吸収し、その水分によって金属配線26a、35aにストレスマイグレーションが発生する等の不都合が生じる。このような不都合を回避するためにも、第2水分バリア絶縁膜51は必須となる。
【0159】
比較例
次に、本実施形態の比較例について説明する。
【0160】
図25は、比較例に係る表面形状センサの断面図である。
【0161】
上記した本実施形態では、第2水分バリア絶縁膜51の他に第1水分バリア絶縁膜41を形成することで、第2水分バリア絶縁膜51が担う水分阻止の役割を軽減し、第2水分バリア絶縁膜51を薄くした。
【0162】
これに対し、本比較例では、第1水分バリア絶縁膜41を形成せずに、図25のように第2水分バリア絶縁膜51のみを形成する。このような構造は、特許文献4及び特許文献5の構造に相当する。
【0163】
第1水分バリア絶縁膜41を形成しないことから、第2水分バリア絶縁膜51に水分阻止の役割が集中するので、水分を確実にブロックするために必要な第2水分バリア絶縁膜51の厚さは本実施形態よりも厚くなり、典型的には約700nmの厚さが必要となる。
【0164】
このように第2水分バリア絶縁膜51が厚くなる分だけ、指Fと検出電極膜44aとの間隔Dcは本実施形態よりも広くなる。その結果、キャパシタCの静電容量が小さくなり、指紋の検出感度が低くなってしまう。
【0165】
図26は、本実施形態と比較例のそれぞれの表面形状センサを使用して得られた指紋の画像である。なお、比較例では、間隔Dcが2800〜3000nmの場合と1600〜1800nmの場合の二つの画像を得た。
【0166】
そして、これらの画像データを利用した指紋照合のマッチング率を調べた。なお、マッチング率とは、同一人物が本人確認をする場合に、指紋認証により同一人物であると判定される割合のことをいい、その値が高いほど指紋認証の精度が高いということになる。
【0167】
そのマッチング率は、比較例の二例では30.3%、56.3%と低い値となったのに対し、本実施形態では87.9%と高い値が得られた。これにより、本実施形態において、指紋の検出感度が実際に高められることが裏付けられた。
【0168】
以下に、本発明の特徴を付記する。
【0169】
(付記1) 半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜の上に形成された第1水分バリア絶縁膜と、
前記第1水分バリア絶縁膜の上に形成された検出電極膜と、
前記検出電極膜の上に形成された第2水分バリア絶縁膜と、
前記第2水分バリア絶縁膜の上に形成され、前記検出電極膜の上に窓を備えた保護絶縁膜と、
を有することを特徴とする表面形状センサ。
【0170】
(付記2) 前記第1水分バリア絶縁膜と前記第2水分バリア絶縁膜の合計膜厚を、水分の侵入を阻止するのに必要な最低限の膜厚に設定することを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0171】
(付記3) 前記第1水分バリア絶縁膜と前記第2水分バリア絶縁膜は窒化シリコン膜であり、前記第2水分バリア絶縁膜の膜厚は500nm以下であって、前記合計膜厚は500nm以上であることを特徴とする付記2に記載の表面形状センサ。
【0172】
(付記4) 前記第2水分バリア絶縁膜は、厚さが500nm以下の窒化シリコン膜であり、
前記第1水分バリア絶縁膜は、500nmから前記第2水分バリア絶縁膜の厚さを引いた値の1.2倍の厚さの酸窒化シリコン膜であることを特徴とする付記2に記載の表面形状センサ。
【0173】
(付記5) 前記第1水分バリア絶縁膜は、絶縁性酸化金属膜であることを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0174】
(付記6) 前記絶縁性酸化金属膜は、酸化アルミニウム膜又は酸化チタン膜であることを特徴とする付記5に記載の表面形状センサ。
【0175】
(付記7) 前記第1水分バリア絶縁膜の上にキャップ絶縁膜が形成され、該キャップ絶縁膜の上に前記検出電極膜が形成されたことを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0176】
(付記8) 前記キャップ絶縁膜は酸化シリコン膜であることを特徴とする付記7に記載の表面形状センサ。
【0177】
(付記9) 前記検出電極膜の上にカバー絶縁膜が形成され、該カバー絶縁膜の上に前記第2水分バリア絶縁膜が形成されたことを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0178】
(付記10) 前記検出電極膜は、チタン又はチタン化合物よりなる膜であることを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0179】
(付記11) 前記チタン化合物は、窒化チタン膜又は窒化チタンアルミニウムであることを特徴とする付記10に記載の表面形状センサ。
【0180】
(付記12) 前記検出電極膜の上面と、前記保護絶縁膜の上面との間隔が1500nm以下であることを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0181】
(付記13) 前記半導体基板の上方に形成された下地絶縁膜と、
前記下地絶縁膜の上に形成された金属配線とを有し、
前記層間絶縁膜は、前記下地絶縁膜と前記金属配線の上に形成されて、前記金属配線の上にホールを有し、
前記検出電極膜は、前記ホールを介して前記金属配線と電気的に接続されたことを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0182】
(付記14) 前記窓の下の前記第1水分バリア絶縁膜の上に、前記検出電極膜から独立した接地電極膜が形成され、
前記接地電極膜の上の前記第2水分バリア絶縁膜の上に開口が形成され、該開口から前記接地電極が露出することを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0183】
(付記15) 前記保護絶縁膜は、非感光性ポリイミドよりなることを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0184】
(付記16) 半導体基板の上方に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜の上に第1水分バリア絶縁膜を形成する工程と、
前記第1水分バリア絶縁膜の上に検出電極膜を形成する工程と、
前記検出電極膜の上に第2水分バリア絶縁膜を形成する工程と、
前記検出電極膜の上に窓を備えた保護絶縁膜を前記第2水分バリア絶縁膜の上に形成する工程と、
を有することを特徴とする表面形状センサの製造方法。
【0185】
(付記17) 窒素含有雰囲気中において前記層間絶縁膜をアニールする工程を更に有し、
前記アニールの後に、前記第1水分バリア絶縁膜を形成する工程を行うことを特徴とする付記16に記載の表面形状センサの製造方法。
【0186】
(付記18) 前記層間絶縁膜を形成する工程において、該層間絶縁膜として塗布型の酸化シリコン膜を形成し、
前記層間絶縁膜をアニールする工程を行ってから12時間以内に、前記第1水分バリア絶縁膜を形成する工程を行うことを特徴とする付記17に記載の表面形状センサの製造方法。
【0187】
(付記19) 前記半導体基板の上方に下地絶縁膜を形成する工程と、
前記下地絶縁膜の上に金属配線を形成する工程とを更に有し、
前記層間絶縁膜を形成する工程において、前記下地絶縁膜と前記金属配線の上に該層間絶縁膜を形成して、
前記層間絶縁膜を形成した後に、前記金属配線の上の該層間絶縁膜にホールを形成する工程と、該ホールを形成した後に前記層間絶縁膜をアニールする工程とを行い、
前記検出電極膜を形成する工程において、前記ホール内と前記層間絶縁膜の上に前記検出電極膜を形成することを特徴とする付記16に記載の表面形状センサの製造方法。
【0188】
(付記20) 前記層間絶縁膜をアニールする工程を行ってから1時間以内に、前記検出電極膜を形成する工程を行うことを特徴とする付記19に記載の表面形状センサの製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】図1(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その1)である。
【図2】図2(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その2)である。
【図3】図3(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その3)である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その4)である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その5)である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その6)である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その7)である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その8)である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その9)である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その10)である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その11)である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その12)である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その13)である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その14)である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その15)である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その16)である。
【図17】図17は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その17)である。
【図18】図18は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その18)である。
【図19】図19は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その19)である。
【図20】図20は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その20)である。
【図21】図21は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その21)である。
【図22】図22は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの平面図である。
【図23】図23は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの動作について説明するための断面図である。
【図24】図24は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの等価回路である。
【図25】図25は、比較例に係る表面形状センサの断面図である。
【図26】図26は、本発明の実施の形態と比較例のそれぞれの表面形状センサを使用して得られた指紋の画像である。
【符号の説明】
【0190】
10…シリコン基板、11…素子分離絶縁膜、12…第1pウェル、13…第2pウェル、14…ゲート絶縁膜、15…ゲート電極、16…配線、17a〜17c…第1〜第3ソース/ドレインエクステンション、18…絶縁性スペーサ、19a〜19c…第1〜第3ソース/ドレイン領域、20…高融点シリサイド層、21…カバー絶縁膜、22…第1絶縁膜、23…第1層間絶縁膜、23a〜23e…第1〜第5コンタクトホール、24…第1レジストパターン、24a〜24e…窓、25a〜25e…第1〜第5導電性プラグ、26…第1金属積層膜、26a…一層目金属配線、27…第2レジストパターン、28…第2絶縁膜、29…第1キャップ絶縁膜、30…第2層間絶縁膜、30a…第1ホール、32…第3レジストパターン、34…第6導電性プラグ、35…第2金属積層膜、36…第4レジストパターン、37…カバー絶縁膜、38…第3絶縁膜、39…犠牲絶縁膜、40…第3層間絶縁膜、41…第1水分バリア絶縁膜、42…第2キャップ絶縁膜、43…第5レジストパターン、43a、43b…窓、44…導電膜、44a…検出電極膜、44b…接地電極膜、46…第6レジストパターン、48…第7レジストパターン、48a…窓、50…カバー絶縁膜、51…第2水分バリア絶縁膜、53…第8レジストパターン、53a、53b…窓、55…保護絶縁膜、55a、55b…第1、第2窓。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面形状センサとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴い、銀行カードや電子マネーの不正使用を防止するセキュリティ技術として、個人の身体的特徴により本人確認を行う生体認証技術が実用化されている。生体認証技術には、手のひら静脈や声紋を利用するものもあるが、中でも、指紋を利用する指紋認証技術は、これまでに多くの研究がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、指紋に光を当て、その反射光から光学的に指紋を照合している。
【0004】
そして、特許文献2では、指紋の凹凸によって発生する圧力差を圧電薄膜により読み取り、照合を行っている。
【0005】
また、特許文献3では、皮膚との接触により生じる感圧シートの抵抗変化又は容量変化に基づいて照合を行っている。
【0006】
しかしながら、これらの技術のうち、光学的な手法を用いる特許文献1の技術は、小型化するのが難しいうえ、汎用的に用いることができず、用途が限定されるという問題がある。また、感圧シートを用いる特許文献3の技術は、感圧シートの材料が特殊であり、更に感圧シートの加工も難しいことから、実用化が困難である。
【0007】
これらの問題を解決する技術として、特許文献4には、半導体基板に形成される容量型の指紋センサ(表面形状センサ)を開示している。その指紋センサでは、半導体基板の上にアレイ状に形成された複数の検出電極膜と皮膚とが対向し、各々の検出電極膜と皮膚とがそれぞれキャパシタの電極として機能する。そのキャパシタにおける電極同士の間隔は指紋の凹凸によって変化する。従って、各検出電極膜を一つの画素として機能させ、各キャパシタの静電容量をセンシングして可視化することにより指紋のイメージが得られる。この方式の指紋センサは、光学的な方式と比較して特殊なインターフェースが不要であり、且つ小型化が可能である。
【0008】
そのような容量型の指紋センサでは、外部の水分をブロックし、水分によって素子が劣化するのを防止する構造が必要となる。
【0009】
例えば、特許文献4では、パッシベーション膜として窒化シリコン膜を形成している。
同様に、特許文献5でも、水分のバリア性に優れた窒化シリコン膜を形成することにより、水分による基板の劣化を防いでいる。
【0010】
なお、この他にも、本発明に関連する技術が下記の特許文献6〜8にも開示される。
【特許文献1】特開昭61−221883号公報
【特許文献2】特開平5−61965号公報
【特許文献3】特開平7−168930号公報
【特許文献4】特開2003−269907号公報
【特許文献5】特開2003−172602号公報
【特許文献6】特開2005−159333号公報
【特許文献7】特開2005−326167号公報
【特許文献8】特開2000−213908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、水分の侵入を防止しながら、被検体の表面の凹凸を感度良く検出することが可能な表面形状センサとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一観点によれば、半導体基板と、前記半導体基板の上方に形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜の上に形成された第1水分バリア絶縁膜と、前記第1水分バリア絶縁膜の上に形成された検出電極膜と、前記検出電極膜の上に形成された第2水分バリア絶縁膜と、前記第2水分バリア絶縁膜の上に形成され、前記検出電極膜の上に窓を備えた保護絶縁膜とを有する表面形状センサが提供される。
【0013】
本発明では、検出電極膜の上に形成される第2水分バリア絶縁膜の他に、検出電極膜の下に第1水分バリア絶縁膜を形成するので、第2水分バリア絶縁膜が担う水分阻止の役割が軽減され、第2水分バリア絶縁膜を薄くすることができる。その結果、指等の被検体と検出電極膜との間隔が狭くなり、被検体と検出電極膜との間に形成されるキャパシタの静電容量が大きくなって、被検体の表面の凹凸を高い感度で検出することが可能となる。
【0014】
表面形状センサの検出感度を高めるには、第1水分バリア絶縁膜と第2水分バリア絶縁膜の合計膜厚を、水分の侵入を阻止するのに必要な最低限の膜厚に設定するのが好ましい。
【0015】
なお、第1水分バリア絶縁膜は窒化シリコン膜又は酸窒化シリコン膜であるのが好ましく、第2水分バリア絶縁膜は窒化シリコン膜であるのが好ましい。
【0016】
更に、絶縁性酸化金属膜を第1水分バリア絶縁膜として形成してもよい。絶縁性酸化金属膜は、水分のバリア性に優れているので、窒化シリコン膜や酸窒化シリコン膜で第1水分バリア絶縁膜を構成する場合と比較して、第1水分バリア絶縁膜の厚さを薄くすることができ、エッチングにより第1水分バリア絶縁膜にホールを形成するのが容易となる。
【0017】
また、第1水分バリア絶縁膜の上にキャップ絶縁膜を形成し、該キャップ絶縁膜の上に検出電極膜を形成するようにしてもよい。
【0018】
このようにすると、パターニングにより検出電極膜を形成する際のエッチングがオーバーエッチングとなっても、キャップ絶縁膜によりエッチングが吸収される。そのため、エッチングにより第1水分バリア絶縁膜が薄くなるのが防止され、第1水分バリア絶縁膜における水分阻止能力を高い状態に維持することができる。
【0019】
更に、検出電極膜の上にカバー絶縁膜を形成し、該カバー絶縁膜の上に第2水分バリア絶縁膜を形成してもよい。
【0020】
これによれば、第2水分バリア絶縁膜のストレスがカバー絶縁膜によって緩和され、ストレスに起因して膜剥がれ等が発生するのを防止できる。
【0021】
また、本発明の別の観点によれば、半導体基板の上方に層間絶縁膜を形成する工程と、前記層間絶縁膜の上に第1水分バリア絶縁膜を形成する工程と、前記第1水分バリア絶縁膜の上に検出電極膜を形成する工程と、前記検出電極膜の上に第2水分バリア絶縁膜を形成する工程と、前記検出電極膜の上に窓を備えた保護絶縁膜を前記第2水分バリア絶縁膜の上に形成する工程とを有する表面形状センサの製造方法が提供される。
【0022】
ここで、窒素含有雰囲気中において層間絶縁膜をアニールする工程を行い、このアニールの後に第1水分バリア絶縁膜を形成する工程を行ってもよい。
【0023】
このようなアニールにより、層間絶縁膜が脱水されると共に、その表面が窒化されて水分の再吸着が防止される。
【0024】
更に、半導体基板の上方に下地絶縁膜を形成する工程と、この下地絶縁膜の上に金属配線を形成する工程とを行ってもよい。この場合は、下地絶縁膜と金属配線の上に層間絶縁膜を形成することになる。
【0025】
そして、この層間絶縁膜を形成した後に、金属配線の上の該層間絶縁膜にホールを形成する工程と、該ホールを形成した後に層間絶縁膜をアニールする工程とを行い、ホール内と層間絶縁膜の上に上記の検出電極膜を形成するのが好ましい。
【0026】
このようにホールに対してアニールを行うことで、ホールから露出する層間絶縁膜の脱水が十分になされる。その結果、ホールから出る脱ガスを低減することができ、脱ガスによってホール内に検出電極膜が未形成になるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、第2水分バリア絶縁膜の他に第1水分バリア絶縁膜を形成するので、第2水分バリア絶縁膜を薄くすることが可能となり、指等の被検体と検出電極膜との間隔を狭めることができ、検出感度の高い表面形状センサを提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明の実施の形態に係る容量型の表面形状センサについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
図1〜図21は、本実施形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図である。以下では、指紋を認識するためのセンサ領域Iと、パッケージの際にボンディングワイヤが接合されるパッド領域IIとをこれらの図に併記する。
【0030】
最初に、図1(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0031】
まず、n型又はp型のシリコン(半導体)基板10の表面を熱酸化することにより素子分離絶縁膜11を形成し、この素子分離絶縁膜11でトランジスタの活性領域を画定する。シリコン基板10の表面から素子分離絶縁膜11の上面までの高さは約100nmである。このような素子分離構造はLOCOS(Local Oxidation of Silicon)と呼ばれるが、これに代えてSTI(Shallow Trench Isolation)を採用してもよい。
【0032】
次いで、シリコン基板10の活性領域にp型不純物、例えばボロンを導入して第1、第2pウェル12、13を形成した後、その活性領域の表面を熱酸化することにより、ゲート絶縁膜14となる熱酸化膜を約6〜7nmの厚さに形成する。
【0033】
続いて、シリコン基板10の上側全面に、厚さ約50nmの非晶質シリコン膜と厚さ約150nmのタングステンシリサイド膜を順に形成する。なお、非晶質シリコン膜に代えて多結晶シリコン膜を形成してもよい。その後に、フォトリソグラフィによりこれらの膜をパターニングして、シリコン基板10上にゲート電極15を形成すると共に、素子分離絶縁膜11上に配線16を形成する。
【0034】
更に、ゲート電極15をマスクにするイオン注入により、ゲート電極15の横のシリコン基板10にn型不純物としてリンを導入し、第1〜第3ソース/ドレインエクステンション17a〜17cを形成する。
【0035】
その後に、シリコン基板10の上側全面に絶縁膜を形成し、その絶縁膜をエッチバックしてゲート電極15と配線16の横に絶縁性スペーサ18として残す。その絶縁膜として、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により酸化シリコン膜を形成する。
【0036】
続いて、この絶縁性スペーサ18とゲート電極15をマスクにしながら、シリコン基板10に砒素等のn型不純物を再びイオン注入することにより、ゲート電極15の側方のシリコン基板10に第1〜第3ソース/ドレイン領域19a〜19cを形成する。
【0037】
更に、シリコン基板10の上側全面に、スパッタ法によりコバルト膜等の高融点金属膜を形成する。そして、その高融点金属膜を加熱させてシリコンと反応させることにより、第1〜第3ソース/ドレイン領域19a〜19cにおけるシリコン基板10上にコバルトシリサイド層等の高融点シリサイド層20を形成し、各ソース/ドレイン領域19a〜19cを低抵抗化する。
【0038】
なお、このような高融点金属シリサイド層は、素子分離絶縁膜11が形成されていない部分のシリコン基板10の表層にも形成される。
【0039】
その後に、素子分離絶縁膜11の上等で未反応となっている高融点金属層をウエットエッチングして除去する。
【0040】
ここまでの工程により、シリコン基板10の活性領域には、ゲート絶縁膜14、ゲート電極15、及び第1〜第3ソース/ドレイン領域19a〜19c等によって構成される第1〜第3MOSトランジスタTR1〜TR3が形成されたことになる。
【0041】
次に、図1(b)に示すように、シリコン基板10の上側全面に、プラズマCVD法により酸窒化シリコン(SiON)膜を厚さ約200nmに形成し、この酸窒化シリコン膜をカバー絶縁膜21とする。
【0042】
続いて、TEOS(tetra ethoxy silane)ガスを使用するプラズマCVD法により、第1絶縁膜22としてカバー絶縁膜21の上に酸化シリコン膜を厚さ約1000nmに形成する。その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により第1絶縁膜22を200nm程度研磨することにより、第1絶縁膜22の上面を平坦化する。
【0043】
本実施形態では、このようにして形成されたカバー絶縁膜21と第1絶縁膜22により第1層間絶縁膜23が構成される。
【0044】
続いて、図2(a)に示すように、第1層間絶縁膜23の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像することにより、窓24a〜24eを備えた第1レジストパターン24を形成する。
【0045】
そして、この第1レジストパターン24をマスクにして第1層間絶縁膜23をドライエッチングすることにより、図示のような第1〜第5コンタクトホール23a〜23eを形成する。この後に、第1レジストパターン24は除去される。
【0046】
次に、図2(b)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0047】
まず、第1〜第5コンタクトホール23a〜23eの内面と第1層間絶縁膜23の上面に、スパッタ法によりグルー膜として厚さ約20nmのチタン(Ti)膜と厚さ約50nmの窒化チタン(TiN)膜とをこの順に形成する。
【0048】
次いで、このグルー膜の上にCVD法によりタングステン膜を形成し、このタングステン膜で第1〜第5コンタクトホール23a〜23eを完全に埋め込む。
【0049】
そして、第1層間絶縁膜23の上の余分なグルー膜とタングステン膜とをCMP法により研磨し、これらの膜を第1〜第5コンタクトホール23a〜23eの中に第1〜第5導電性プラグ25a〜25eとして残す。
【0050】
続いて、図3(a)に示すように、各第1〜第5導電性プラグ25a〜25eと第1層間絶縁膜23のそれぞれの上面に第1金属積層膜26を形成する。その金属積層膜は、スパッタ法により形成され、下から順に厚さ約500nmの銅含有アルミニウム膜、厚さ約5nmのチタン膜、及び厚さ約150nmの窒化チタン膜を形成してなる。
【0051】
この後に、第1金属積層膜26の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第2レジストパターン27とする。
【0052】
次いで、図3(b)に示すように、第2レジストパターン27をマスクにして第1金属積層膜26をドライエッチングすることにより一層目金属配線26aを形成する。このエッチングを終了後、第2レジストパターン26は除去される。
【0053】
次に、図4に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0054】
まず、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により、シリコン基板10の上側全面に酸化シリコン膜を厚さ約2200nm程度に形成し、この酸化シリコン膜を第2絶縁膜28とする。
【0055】
特に図示はしないが、TEOSガスを用いて形成された第2絶縁膜28は、隣接する一層目金属配線26aの間に「す」が形成されやすい。その「す」が形成されたままだと、「す」の内部に水分や不純物が残留し、配線26aにストレスマイグレーションが発生し易くなる。
【0056】
そこで、この第2絶縁膜28を形成した後に、第2絶縁膜28の上面をCMP法により研磨し、第2絶縁膜28の表面に「す」を表出させる。このCMPの研磨量は、典型的には約1000nm程度である。
【0057】
その後、再びTEOSガスを使用するプラズマCVD法により、第2絶縁膜28の上面に第1キャップ絶縁膜29として酸化シリコン膜を形成し、このキャップ絶縁膜29で「す」を完全に埋める。
【0058】
第1キャップ絶縁膜29は、その下の第2絶縁膜28と共に第2層間絶縁膜(下地絶縁膜)30を構成する。
【0059】
続いて、図5に示すように、第2層間絶縁膜30の上に第3レジストパターン32を形成する。そして、第3レジストパターン32の窓32aを通じて第2層間絶縁膜30をドライエッチングすることにより、一層目金属配線26aに至る深さの第1ホール30aを形成する。
【0060】
この後に、第3レジストパターン32は除去される。
【0061】
次に、図6に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0062】
まず、第1ホール32aの内面と第2層間絶縁膜30の上面に、スパッタ法によりグルー膜として厚さ約50nmの窒化チタン膜を形成する。
【0063】
次いで、このグルー膜の上にCVD法によりタングステン膜を厚さ約700nmに形成し、このタングステン膜で第1ホール30aを完全に埋め込む。
【0064】
そして、第2層間絶縁膜30の上の余分なグルー膜とタングステン膜とをCMP法により研磨し、これらの膜を第1ホール30aの中に第6導電性プラグ34として残す。
【0065】
続いて、図7に示すように、第2層間絶縁膜30と第6導電性プラグ34のそれぞれの上に、スパッタ法により銅含有アルミニウム膜と窒化チタン膜とをこの順に形成し、これらの膜を第2金属積層膜35とする。なお、この第2金属積層膜35の膜厚は限定されないが、銅含有アルミニウムの厚さは約500nmであり、窒化チタン膜の厚さは約120nmである。
【0066】
その後に、第2金属積層膜35の上に第4レジストパターン36を形成する。
【0067】
次いで、図8に示すように、第4レジストパターン36をマスクして第2金属積層膜35をドライエッチングし、エッチングされずに残存した第2金属積層膜35を二層目金属配線35a及びボンディングパッド35bとする。
【0068】
この後に、第4レジストパターン36は除去される。
【0069】
次に、図9に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0070】
まず、二層目金属配線35aと第2層間絶縁膜30のそれぞれの上に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により酸化シリコン膜を厚さ約400nmに形成し、この酸化シリコン膜をカバー絶縁膜37とする。
【0071】
このカバー絶縁膜37には、二層目金属配線35aを反映して表面に凹凸が形成される。そこで、次の工程では、この凹凸を埋め込むために、カバー絶縁膜37の上に第3絶縁膜38として酸化シリコン膜を形成する。
【0072】
本実施形態では、その第3絶縁膜38の形成方法として埋め込み性に優れたSOG(Spin On Glass)を採用し、カバー絶縁膜37の平坦面上での第3絶縁膜38の厚さを約500nmとする。
【0073】
その後、この第3絶縁膜38の上に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法を用い、犠牲絶縁膜39として厚さ約2000nmの酸化シリコン膜を形成する。
【0074】
このように形成された絶縁膜37〜39により第3層間絶縁膜40が構成される。
【0075】
上記のように埋め込み性の良いSOGにより第3絶縁膜38を形成しても、二層目金属配線35aを反映した僅かな凹凸が第3層間絶縁膜40の表面に残る。
【0076】
そこで、次に、図10に示すように、犠牲絶縁膜39の上面をCMP法により研磨して平坦化する。このCMP法においける研磨量は、典型的には約1000nmである。
【0077】
次いで、図11に示すように、各絶縁膜37〜39の成膜時や図10のCMP時に第3層間絶縁膜40中に取り込まれた水分を除去するために、窒素含有雰囲気中、例えばN2Oプラズマ雰囲気中において第3層間絶縁膜40をアニールして脱水すると共に、その表面を窒化して水分の再吸着を防止する。
【0078】
そのN2Oプラズマアニールの条件は特に限定されないが、本実施形態では、CVD装置をアニール装置として代用し、基板温度を350℃、処理時間を2分〜4分としてこのN2Oプラズマアニールを行う。なお、このCVD装置には、周波数が13.56MHzでパワーが500Wの高周波電力がプラズマ化用の電力として印加される。
【0079】
このN2Oプラズマアニールは、膜中に多くの水分が含まれ得るSOGにより第3絶縁膜38を形成する場合に特に有効である。
【0080】
ところで、上記のように第3層間絶縁膜40を脱水しても、実使用下において外部の水分が第3層間絶縁膜40に侵入してしまうことがある。こうなると、例えば、回路が動作して発熱している状態の一層目金属配線26aや二層目金属配線35aに水が触れ、これらの配線にストレスマイグレーションが発生し、最悪の場合には配線が断線する等の不都合が発生する。
【0081】
そこで、次の工程では、図12に示すように、外部からの水分の侵入を確実に防止するために、第3層間絶縁膜40の上に第1水分バリア絶縁膜41を形成する。
【0082】
上記のN2Oプラズマアニールを終了してから大気中に第3層間絶縁膜40を長期にわたって放置すると、第3層間絶縁膜40に水分が再吸着してしまうので、N2Oプラズマアニールを終了してから12時間以内に第1水分バリア絶縁膜41を形成するのが好ましい。
【0083】
その第1水分バリア絶縁膜41としては、プラズマCVD法で形成された窒化シリコン膜又は酸窒化シリコン膜を採用し得る。
【0084】
このうち、窒化シリコン膜は、シラン(SiH4)とアンモニア(NH3)との混合ガスを反応ガスとして用いるプラズマCVD法により、成膜温度を400℃にして形成される。一方、酸窒化シリコン膜は、シランとN2Oとの混合ガスを反応ガスとして用いるプラズマCVD法により、成膜温度を400℃にして形成される。
【0085】
第1水分バリア絶縁膜41は、表面形状センサを構成する積層膜の途中の部分に形成される膜であるから、ストレスが強い膜を第1水分バリア絶縁膜41として形成すると、上記の積層膜に膜剥がれが生じる恐れがある。従って、膜剥がれの防止という観点からすると、窒化シリコン膜よりも膜ストレスが小さい酸窒化シリコン膜を第1水分バリア絶縁膜41として形成するのが好ましい。
【0086】
なお、窒化シリコンや酸窒化シリコンで第1水分バリア絶縁膜41を構成する場合の絶縁膜41の膜厚については後述する。
【0087】
また、アルミナ(酸化アルミニウム)膜や酸化チタン膜等の絶縁性酸化金属膜を第1水分バリア絶縁膜41として形成してもよい。これらの絶縁性酸化金属膜はスパッタ法により形成され得る。
【0088】
絶縁性酸化金属膜は、窒化シリコン膜や酸窒化シリコン膜よりも水分のバリア性に優れているので、第1水分バリア絶縁膜41を20〜100nm程度にまで薄く形成することができる。膜厚の下限を20nmとしたのは、これよりも薄いと水分バリアの効果が現れ難いからである。
【0089】
但し、この値は、本実施形態のように平坦化された第3層間絶縁膜40の上に第1水分バリア絶縁膜41を形成する場合のものである。スパッタ法で形成される絶縁性酸化金属膜のカバレッジ特性は悪いので、第3層間絶縁膜40を平坦化しない場合には、第1水分バリア絶縁膜41の膜厚は50nmにするのが好ましい。
【0090】
一方、絶縁性酸化金属膜は化学反応によるエッチングが困難なため、以下の工程において第1水分バリア絶縁膜41をエッチングし易くするという観点から、上記のように第1水分バリア絶縁膜41の上限を100nmとし、これよりも厚い膜厚に第1水分バリア絶縁膜41を形成しないのが好ましい。
【0091】
なお、絶縁性酸化金属膜としては、上記のアルミナ膜と酸化チタン膜の他に、酸化ジルコニウム(ZrOx)膜、酸化マグネシウム(MgOx)膜、及び酸化チタンマグネシウム(MgTiOx)膜等もある。
【0092】
このようにして第1水分バリア絶縁膜41を形成した後に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により、シリコン基板10の上側全面に第2キャップ絶縁膜42として酸化シリコン膜を50〜100nmの厚さに形成する。
【0093】
次に、図13に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0094】
まず、第2キャップ絶縁膜42の上に第5レジストパターン43を形成する。
【0095】
次いで、この第5レジストパターン43の窓43a、43bを通じて各絶縁膜40〜42をドライエッチングすることにより、二層目金属配線35aの上のこれらの絶縁膜に第2、第3ホール40a、40bを形成する。
【0096】
このエッチングの条件は、第1水分バリア絶縁膜41の材料によって異なる。
【0097】
例えば、第1水分バリア絶縁膜41として窒化シリコン膜又は酸窒化シリコン膜を形成する場合は、エッチングガスとしてCF4(流量:159sccm)、C4F8(流量:188sccm)、及びAr(流量:429sccm)の混合ガスを使用する。また、エッチング雰囲気の圧力は46.6Pa(350mTorr)、エッチング雰囲気に印加される高周波電力(周波数:13.56MHz)のパワーは1000W、エッチング時間は6分とされる。
【0098】
なお、CHF3系のエッチングガスで第1ステップのエッチングを行った後、上記の条件で第2ステップのエッチングを行うようにしてもよい。
【0099】
一方、第1水分バリア絶縁膜41としてアルミナ膜等の絶縁性酸化金属膜を形成する場合は、エッチングガスとしてC4F8(流量:20sccm)、Ar(流量:500sccm)、及びO2(12sccm)の混合ガスを使用する。そして、エッチング雰囲気の圧力を6.6Pa(50mTorr)、エッチング時間を200秒とする。また、周波数が27.12MHzの高周波電力のパワーを2000W、周波数が800Hzの高周波電力のパワーを900Wとする。
【0100】
絶縁性酸化金属膜は、窒化シリコン膜や酸窒化シリコン膜よりも水分のバリア性に優れているので、これらの膜を第1水分バリア絶縁膜41に用いる場合と比較して、第1水分バリア絶縁膜41の厚さを薄くすることができる。第3層間絶縁膜40よりもエッチングが困難な材料よりなる第1水分バリア絶縁膜41を薄くすることで、本工程において第2、第3ホール40a、40bをエッチングにより綺麗に形成することができる。
【0101】
この後に、第5レジストパターン43は除去される。
【0102】
続いて、図14に示すように、N2雰囲気において第3層間絶縁膜40をアニールすることにより、第3層間絶縁膜40になおも含まれる水分を各ホール40a、40bから外部に放出させる。
【0103】
このN2アニールは、基板温度が350℃の条件で、N2流量を20リットル/分、処理時間を30分として行われる。
【0104】
次に、図15に示すように、第2キャップ絶縁膜42の上面と第2、第3ホール40a、40bの内面に、導電膜44として窒化チタン膜をスパッタ法により厚さ約200nmに形成する。
【0105】
導電膜44は、窒化チタン膜に限定されず、チタン膜や窒化チタンアルミニウム膜でもよい。後述するように、導電膜44は、指が近接する検出電極膜となるものであり、上記のようにチタンを含む材料で導電膜44を構成することで、検出電極膜の耐腐食性が高められる。
【0106】
また、Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、及びOs等の貴金属で導電膜44を構成しても、耐腐食性の高い検出電極膜が得られる。
【0107】
ここで、導電膜44を形成する前に、図14の工程において第3層間絶縁膜40の水分をホール40a、40bから十分に逃がしておいたので、導電膜44の形成時にホール40a、40bから出る脱ガスが低減され、ホール40a、40b内において導電膜44が未形成になるのを防止できる。
【0108】
なお、図14のアニール工程から長時間経過した後に導電膜44を形成したのでは、ホール40a、40bに水分が吸収されてしまい、これらのホール40a、40bにおいて導電膜44が未形成になる恐れがある。従って、上記のアニール工程をおこなってから1時間以内に導電膜44を形成するのが好ましい。
【0109】
更に、図11の工程でも第3層間絶縁膜40を脱水したので、導電膜44の形成時に第3層間絶縁膜40に熱が加わっても、第1水分バリア絶縁膜41によって逃げ場を失った第3層間絶縁膜40中の水分によって二層目金属配線35aが蒸し焼きになるのを防ぐことができる。
【0110】
次に、図16に示すように、導電膜44の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第6レジストパターン46を形成する。
【0111】
続いて、図17に示すように、第6レジストパターン46をマスクにして導電膜44をドライエッチングすることにより、第2、第3ホール40a、40bの内部とその周辺にのみ導電膜44を検出電極膜44a及び接地電極膜44bとして残す。
【0112】
各電極膜44a、44bは互いに独立しており、それぞれ第2、第3ホール40a、40bを介して二層目金属配線35aと電気的に接続される。また、接地電極膜44bは、接地電位のシリコン基板10と電気的に接続される。
【0113】
ところで、この工程では、導電膜44のエッチング残渣を残さないために、エッチング量を導電膜44の膜厚よりも多くするオーバーエッチングが行われる。このようにオーバーエッチングを行っても、第2キャップ絶縁膜42によりエッチングが吸収されるので、第1水分バリア絶縁膜41までエッチングが及ばない。その結果、エッチングにより第1水分バリア絶縁膜41が薄くなるのが防止され、第1水分バリア絶縁膜41における水分阻止能力を高い状態に維持することができる。
【0114】
この後に、第6レジストパターン46は除去される。
【0115】
次いで、図18に示すように、シリコン基板10の上側全面に第7レジストパターン48を形成する。
【0116】
そして、この第7レジストパターン48の窓48aを通じて各絶縁膜40〜42をエッチングすることにより、ボンディングパッド35bの上に電極引き出し窓40bを形成する。
【0117】
このエッチングを終了した後に、第7レジストパターン48は除去される。
【0118】
続いて、図19に示すように、第3層間絶縁膜40と電極膜44a、44bのそれぞれの上に酸化シリコン膜を厚さ約100nmに形成し、この酸化シリコン膜をカバー絶縁膜50とする。このカバー絶縁膜50は、例えば、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により形成される。
【0119】
ところで、水分の侵入を阻止する膜として第1水分バリア絶縁膜41を既に形成したが、水分の侵入をより確実に防止するためには、外気に近い部分に更に水分バリア絶縁膜を形成する必要がある。
【0120】
そこで、次の工程では、カバー絶縁膜50の上に、第2水分バリア絶縁膜51としてプラズマCVD法により窒化シリコン膜を形成する。この窒化シリコン膜の成膜ガスとしては、アンモニアとシランとの混合ガスが使用される。また、成膜温度は400℃であり、周波数が13.56MHzでパワーが600Wの高周波電力と、周波数が400kHzでパワーが200Wの高周波電力が成膜雰囲気に印加される。このようにして形成された窒化シリコン膜の屈折率は約1.98となる。
【0121】
この第2水分バリア絶縁膜51は、第1水分バリア絶縁膜41よりも外気に近い部分に形成されるので、膜ストレスの低減よりも水分のバリア性を優先させる必要がある。そのため、本実施形態では、第2水分バリア絶縁膜51の材料として、酸窒化シリコンよりも水分バリア性に優れた窒化シリコンを採用する。
【0122】
比較的ストレスが大きな窒化シリコン膜を第2水分バリア絶縁膜51として形成しても、酸化シリコンよりなるカバー絶縁膜50がストレスを緩和するように機能するので、第2水分バリア絶縁膜51に起因した膜剥がれは防止される。
【0123】
本実施形態では、第1水分バリア絶縁膜41と第2水分バリア絶縁膜51とが協働して水分の侵入を阻止し、水分バリア性は各絶縁膜41、51の合計膜厚で定まる。その合計膜厚については後で詳述する。
【0124】
次に、図20に示すように、第2水分バリア絶縁膜51の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第8レジストパターン53を形成する。
【0125】
そして、この第8レジストパターン53の窓53a、53bを通じてカバー絶縁膜50と第2水分バリア絶縁膜51とをドライエッチングする。
【0126】
これにより、接地電極膜44bの上の第2水分バリア絶縁膜51に第1開口51aが形成され、この第1開口51aから接地電極44bが露出する。この第1開口51aはESD(Electro Static Discharge)ホールとも呼ばれる。
【0127】
また、パッド領域IIでは、ボンディングパッド35bが露出する第2開口51bが形成される。
【0128】
そして、第8レジストパターン53を除去した後に、N2雰囲気中において基板温度を430℃とする条件の脱水処理を30分間行う。
【0129】
次に、図21に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0130】
まず、第2水分バリア絶縁膜51の上に非感光性ポリイミドよりなる塗布膜を厚さ約1200nmに塗布した後、その塗布膜をベークする。
【0131】
次いで、塗布膜の上にレジストパターン(不図示)を形成し、このレジストパターンをマスクにしながら、ポリイミド用のエッチング液で塗布膜をエッチングすることで、第1、第2窓55a、55bを備えた最上層の保護絶縁膜55を形成する。その保護絶縁膜55は、物理的な衝撃から回路を保護する緩衝材として機能するものである。
【0132】
更に、リンス液でレジストパターンを除去した後、基板温度350℃、N2流量18リットル/分の条件で保護絶縁膜55をキュアして硬化する。
【0133】
なお、キュア時に保護絶縁膜55の表面に不純物が付着する場合があるので、この不純物を除去する目的で、プラズマアッシングにより保護絶縁膜55の上面を200nm程度削る。このようなプラズマアッシングを行うことで、保護絶縁膜55の最終的な厚さは約800nmとなる。
【0134】
保護絶縁膜55の厚さが800nmを切ると膜強度が落ち、緩衝材としての効果も低下するので、保護絶縁膜55の厚さは最低でも800nm必要である。
【0135】
ここで、非感光性ポリイミドに代えて感光性ポリイミドで保護絶縁膜55を構成することも考えられる。しかし、感光性ポリイミドは、感光剤や架橋剤が含まれるため、非感光性ポリイミドよりも軟らかく、指が直接触れられる保護絶縁膜55として採用すると傷が付きやすいという問題がある。
【0136】
これに対し、本実施形態のように非感光性ポリイミドで保護絶縁膜55を構成すると、感光性ポリイミドを用いる場合よりも保護絶縁膜55の硬度を高くすることができるので、デバイスを保護するのに必要な硬度を保ちながら、保護絶縁膜55の厚さを極限まで薄くすることができる。
【0137】
図22は、この工程を終了後のセンサ領域Iの平面図であり、先の図21は図22のA−A線に沿う断面図に相当する。同図では検出電極膜44aが一枚しか描かれていないが、実際には検出電極膜44aはマトリクス状に複数(例えば1024×1024個)形成され、その各々が一つの画素として機能する。
【0138】
各電極膜44a、44bの平面サイズは特に限定されないが、本実施形態では、図示のようにL1を約50μmとし、L2を約6μmとする。
【0139】
以上により、本実施形態に係る表面形状センサの基本構造が完成した。
【0140】
図23は、表面形状センサの動作について説明するための断面図である。なお、図23では、パッド領域IIを省いてある。
【0141】
この表面形状センサでは、図23に示すように、保護絶縁膜55に指(被検体)Fを触れることで、指Fと検出電極膜44aとの間にキャパシタCが形成される。そのキャパシタCの静電容量は、指Fの表面の凹凸(指紋)によって変化するので、この静電容量の違いを検出電極膜44aにおいて読み取ることで、指紋の画像が得られる。
【0142】
また、指Fに帯電している静電気は、接地電極41bからシリコン基板10に逃がされ、シリコン基板10に形成されている回路が静電気によって破壊されるのが防止される。
【0143】
図24はこの表面形状センサの等価回路である。
【0144】
図示のように、この表面形状センサは、図1に示した第1〜第3MOSトランジスタTR1〜TR3の他に第4MOSトランジスタTR4を有する。そして、各トランジスタTR1〜TR4には、行駆動線111、列センス線112、電源線113、リセット線114、チャージ制御線115、及びチャージ用電流源Icが図示のように接続され、いわゆる電流チャージ法によって表面形状センサが駆動する。
【0145】
再び図23を参照する。
【0146】
図23に示されるように、指Fと検出電極膜44aとの間隔Deは、第2水分バリア絶縁膜51と保護絶縁膜55によって規制されており、これらの膜の厚さが薄いほど間隔Deが狭くなってキャパシタCの静電容量は大きくなる。
【0147】
指紋の検出感度は、キャパシタCの静電容量が大きい方が高まるので、第2水分バリア絶縁膜51と保護絶縁膜55の膜厚はなるべく薄くするのが好ましい。このうち、非感光性ポリイミドよりなる保護絶縁膜55は、ピンホールの発生を防止し得る限界の薄さに形成しているので、これ以上薄膜化することはできない。
【0148】
従って、検出感度を高めるには、第2水分バリア絶縁膜51を薄くする必要があるが、その厚さを薄くし過ぎると、第2水分バリア絶縁膜51において水分の侵入を阻止できなくなる恐れがある。
【0149】
そこで、本実施形態では、検出電極膜44aの下に第1水分バリア絶縁膜41を形成し、水分バリアの役割を第1水分バリア絶縁膜41と第2水分バリア膜51の両方に分担させるようにした。これにより、水分の阻止能力が第1水分バリア絶縁膜41により補われるので、各絶縁膜41、51の全体としての水分の阻止能力を維持しながら、第2水分バリア絶縁膜51を薄くすることができる。その結果、指Fと検出電極膜44aとの間隔Deを狭めることができるようになるので、キャパシタCの静電容量を大きくして指紋の検出感度を高めることが可能となる。
【0150】
ここで、上記の間隔Deをなるべく狭くするには、第1水分バリア絶縁膜41と第2水分バリア絶縁膜51の合計膜厚を、水分の侵入を阻止するのに必要な最低限の膜厚に設定するのが好ましい。
【0151】
第1水分バリア絶縁膜41と第2水分バリア絶縁膜51の双方を窒化シリコン膜で構成する場合は、上記の合計膜厚は500nm以上である。
【0152】
但し、合計膜厚が500nm以上の範囲であっても、第2水分バリア絶縁膜51を厚くしたのでは間隔Deを狭めることができず、水分バリア絶縁膜を各膜41、51に分けた効果が薄らぐ。
【0153】
そのため、第1水分バリア絶縁膜41の材料に関わらず、窒化シリコンよりなる第2水分バリア絶縁膜51の厚さは500nm以下であるのが好ましい。
【0154】
例えば、各絶縁膜41、51の合計膜厚を500nmに設定した場合、第1水分バリア絶縁膜41の厚さは400nm、第2水分バリア絶縁膜51の厚さは100nmとすればよい。
【0155】
一方、窒化シリコンよりも水分バリア性が劣る酸窒化シリコンで第1水分バリア絶縁膜41を構成するときは、窒化シリコン膜で第1水分バリア絶縁膜41を構成する場合と比較して、第1水分バリア絶縁膜41の厚さを1.2倍にするのが好ましい。例えば、500nmから第2水分バリア絶縁膜51の厚さを引いた値の1.2倍の厚さに第1水分バリア絶縁膜41を形成するのが好ましい。この場合、第2水分バリア絶縁膜51の厚さが100nmであるとすると、第1水分バリア絶縁膜41の厚さは480nm(=(500nm−100nm)×1.2)となる。
【0156】
第1、第2水分バリア絶縁膜41の膜厚をこのような値に設定すると、上記の間隔De、すなわち検出電極膜44aの上面と保護絶縁膜55の上面との間隔を1500nm以下に抑えることが可能となる。
【0157】
ここで、間隔Deを狭めるには、第2水分バリア絶縁膜51を形成せずに、第1水分絶縁膜41だけに水分阻止の役割を担わせることも考えられる。
【0158】
しかし、これでは、窒化シリコンと比較して水分を透過し易い酸化シリコンよりなるカバー絶縁膜50が水分を吸収し、その水分によって金属配線26a、35aにストレスマイグレーションが発生する等の不都合が生じる。このような不都合を回避するためにも、第2水分バリア絶縁膜51は必須となる。
【0159】
比較例
次に、本実施形態の比較例について説明する。
【0160】
図25は、比較例に係る表面形状センサの断面図である。
【0161】
上記した本実施形態では、第2水分バリア絶縁膜51の他に第1水分バリア絶縁膜41を形成することで、第2水分バリア絶縁膜51が担う水分阻止の役割を軽減し、第2水分バリア絶縁膜51を薄くした。
【0162】
これに対し、本比較例では、第1水分バリア絶縁膜41を形成せずに、図25のように第2水分バリア絶縁膜51のみを形成する。このような構造は、特許文献4及び特許文献5の構造に相当する。
【0163】
第1水分バリア絶縁膜41を形成しないことから、第2水分バリア絶縁膜51に水分阻止の役割が集中するので、水分を確実にブロックするために必要な第2水分バリア絶縁膜51の厚さは本実施形態よりも厚くなり、典型的には約700nmの厚さが必要となる。
【0164】
このように第2水分バリア絶縁膜51が厚くなる分だけ、指Fと検出電極膜44aとの間隔Dcは本実施形態よりも広くなる。その結果、キャパシタCの静電容量が小さくなり、指紋の検出感度が低くなってしまう。
【0165】
図26は、本実施形態と比較例のそれぞれの表面形状センサを使用して得られた指紋の画像である。なお、比較例では、間隔Dcが2800〜3000nmの場合と1600〜1800nmの場合の二つの画像を得た。
【0166】
そして、これらの画像データを利用した指紋照合のマッチング率を調べた。なお、マッチング率とは、同一人物が本人確認をする場合に、指紋認証により同一人物であると判定される割合のことをいい、その値が高いほど指紋認証の精度が高いということになる。
【0167】
そのマッチング率は、比較例の二例では30.3%、56.3%と低い値となったのに対し、本実施形態では87.9%と高い値が得られた。これにより、本実施形態において、指紋の検出感度が実際に高められることが裏付けられた。
【0168】
以下に、本発明の特徴を付記する。
【0169】
(付記1) 半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜の上に形成された第1水分バリア絶縁膜と、
前記第1水分バリア絶縁膜の上に形成された検出電極膜と、
前記検出電極膜の上に形成された第2水分バリア絶縁膜と、
前記第2水分バリア絶縁膜の上に形成され、前記検出電極膜の上に窓を備えた保護絶縁膜と、
を有することを特徴とする表面形状センサ。
【0170】
(付記2) 前記第1水分バリア絶縁膜と前記第2水分バリア絶縁膜の合計膜厚を、水分の侵入を阻止するのに必要な最低限の膜厚に設定することを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0171】
(付記3) 前記第1水分バリア絶縁膜と前記第2水分バリア絶縁膜は窒化シリコン膜であり、前記第2水分バリア絶縁膜の膜厚は500nm以下であって、前記合計膜厚は500nm以上であることを特徴とする付記2に記載の表面形状センサ。
【0172】
(付記4) 前記第2水分バリア絶縁膜は、厚さが500nm以下の窒化シリコン膜であり、
前記第1水分バリア絶縁膜は、500nmから前記第2水分バリア絶縁膜の厚さを引いた値の1.2倍の厚さの酸窒化シリコン膜であることを特徴とする付記2に記載の表面形状センサ。
【0173】
(付記5) 前記第1水分バリア絶縁膜は、絶縁性酸化金属膜であることを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0174】
(付記6) 前記絶縁性酸化金属膜は、酸化アルミニウム膜又は酸化チタン膜であることを特徴とする付記5に記載の表面形状センサ。
【0175】
(付記7) 前記第1水分バリア絶縁膜の上にキャップ絶縁膜が形成され、該キャップ絶縁膜の上に前記検出電極膜が形成されたことを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0176】
(付記8) 前記キャップ絶縁膜は酸化シリコン膜であることを特徴とする付記7に記載の表面形状センサ。
【0177】
(付記9) 前記検出電極膜の上にカバー絶縁膜が形成され、該カバー絶縁膜の上に前記第2水分バリア絶縁膜が形成されたことを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0178】
(付記10) 前記検出電極膜は、チタン又はチタン化合物よりなる膜であることを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0179】
(付記11) 前記チタン化合物は、窒化チタン膜又は窒化チタンアルミニウムであることを特徴とする付記10に記載の表面形状センサ。
【0180】
(付記12) 前記検出電極膜の上面と、前記保護絶縁膜の上面との間隔が1500nm以下であることを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0181】
(付記13) 前記半導体基板の上方に形成された下地絶縁膜と、
前記下地絶縁膜の上に形成された金属配線とを有し、
前記層間絶縁膜は、前記下地絶縁膜と前記金属配線の上に形成されて、前記金属配線の上にホールを有し、
前記検出電極膜は、前記ホールを介して前記金属配線と電気的に接続されたことを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0182】
(付記14) 前記窓の下の前記第1水分バリア絶縁膜の上に、前記検出電極膜から独立した接地電極膜が形成され、
前記接地電極膜の上の前記第2水分バリア絶縁膜の上に開口が形成され、該開口から前記接地電極が露出することを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0183】
(付記15) 前記保護絶縁膜は、非感光性ポリイミドよりなることを特徴とする付記1に記載の表面形状センサ。
【0184】
(付記16) 半導体基板の上方に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜の上に第1水分バリア絶縁膜を形成する工程と、
前記第1水分バリア絶縁膜の上に検出電極膜を形成する工程と、
前記検出電極膜の上に第2水分バリア絶縁膜を形成する工程と、
前記検出電極膜の上に窓を備えた保護絶縁膜を前記第2水分バリア絶縁膜の上に形成する工程と、
を有することを特徴とする表面形状センサの製造方法。
【0185】
(付記17) 窒素含有雰囲気中において前記層間絶縁膜をアニールする工程を更に有し、
前記アニールの後に、前記第1水分バリア絶縁膜を形成する工程を行うことを特徴とする付記16に記載の表面形状センサの製造方法。
【0186】
(付記18) 前記層間絶縁膜を形成する工程において、該層間絶縁膜として塗布型の酸化シリコン膜を形成し、
前記層間絶縁膜をアニールする工程を行ってから12時間以内に、前記第1水分バリア絶縁膜を形成する工程を行うことを特徴とする付記17に記載の表面形状センサの製造方法。
【0187】
(付記19) 前記半導体基板の上方に下地絶縁膜を形成する工程と、
前記下地絶縁膜の上に金属配線を形成する工程とを更に有し、
前記層間絶縁膜を形成する工程において、前記下地絶縁膜と前記金属配線の上に該層間絶縁膜を形成して、
前記層間絶縁膜を形成した後に、前記金属配線の上の該層間絶縁膜にホールを形成する工程と、該ホールを形成した後に前記層間絶縁膜をアニールする工程とを行い、
前記検出電極膜を形成する工程において、前記ホール内と前記層間絶縁膜の上に前記検出電極膜を形成することを特徴とする付記16に記載の表面形状センサの製造方法。
【0188】
(付記20) 前記層間絶縁膜をアニールする工程を行ってから1時間以内に、前記検出電極膜を形成する工程を行うことを特徴とする付記19に記載の表面形状センサの製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】図1(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その1)である。
【図2】図2(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その2)である。
【図3】図3(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その3)である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その4)である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その5)である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その6)である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その7)である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その8)である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その9)である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その10)である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その11)である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その12)である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その13)である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その14)である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その15)である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その16)である。
【図17】図17は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その17)である。
【図18】図18は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その18)である。
【図19】図19は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その19)である。
【図20】図20は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その20)である。
【図21】図21は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの製造途中の断面図(その21)である。
【図22】図22は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの平面図である。
【図23】図23は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの動作について説明するための断面図である。
【図24】図24は、本発明の実施の形態に係る表面形状センサの等価回路である。
【図25】図25は、比較例に係る表面形状センサの断面図である。
【図26】図26は、本発明の実施の形態と比較例のそれぞれの表面形状センサを使用して得られた指紋の画像である。
【符号の説明】
【0190】
10…シリコン基板、11…素子分離絶縁膜、12…第1pウェル、13…第2pウェル、14…ゲート絶縁膜、15…ゲート電極、16…配線、17a〜17c…第1〜第3ソース/ドレインエクステンション、18…絶縁性スペーサ、19a〜19c…第1〜第3ソース/ドレイン領域、20…高融点シリサイド層、21…カバー絶縁膜、22…第1絶縁膜、23…第1層間絶縁膜、23a〜23e…第1〜第5コンタクトホール、24…第1レジストパターン、24a〜24e…窓、25a〜25e…第1〜第5導電性プラグ、26…第1金属積層膜、26a…一層目金属配線、27…第2レジストパターン、28…第2絶縁膜、29…第1キャップ絶縁膜、30…第2層間絶縁膜、30a…第1ホール、32…第3レジストパターン、34…第6導電性プラグ、35…第2金属積層膜、36…第4レジストパターン、37…カバー絶縁膜、38…第3絶縁膜、39…犠牲絶縁膜、40…第3層間絶縁膜、41…第1水分バリア絶縁膜、42…第2キャップ絶縁膜、43…第5レジストパターン、43a、43b…窓、44…導電膜、44a…検出電極膜、44b…接地電極膜、46…第6レジストパターン、48…第7レジストパターン、48a…窓、50…カバー絶縁膜、51…第2水分バリア絶縁膜、53…第8レジストパターン、53a、53b…窓、55…保護絶縁膜、55a、55b…第1、第2窓。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜の上に形成された第1水分バリア絶縁膜と、
前記第1水分バリア絶縁膜の上に形成された検出電極膜と、
前記検出電極膜の上に形成された第2水分バリア絶縁膜と、
前記第2水分バリア絶縁膜の上に形成され、前記検出電極膜の上に窓を備えた保護絶縁膜と、
を有することを特徴とする表面形状センサ。
【請求項2】
前記第1水分バリア絶縁膜と前記第2水分バリア絶縁膜の合計膜厚を、水分の侵入を阻止するのに必要な最低限の膜厚に設定することを特徴とする請求項1に記載の表面形状センサ。
【請求項3】
前記第1水分バリア絶縁膜と前記第2水分バリア絶縁膜は窒化シリコン膜であり、前記第2水分バリア絶縁膜の膜厚は500nm以下であって、前記合計膜厚は500nm以上であることを特徴とする請求項2に記載の表面形状センサ。
【請求項4】
前記第2水分バリア絶縁膜は、厚さが500nm以下の窒化シリコン膜であり、
前記第1水分バリア絶縁膜は、500nmから前記第2水分バリア絶縁膜の厚さを引いた値の1.2倍の厚さの酸窒化シリコン膜であることを特徴とする請求項2に記載の表面形状センサ。
【請求項5】
前記第1水分バリア絶縁膜は、絶縁性酸化金属膜であることを特徴とする請求項1に記載の表面形状センサ。
【請求項6】
前記第1水分バリア絶縁膜の上にキャップ絶縁膜が形成され、該キャップ絶縁膜の上に前記検出電極膜が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の表面形状センサ。
【請求項7】
前記検出電極膜の上にカバー絶縁膜が形成され、該カバー絶縁膜の上に前記第2水分バリア絶縁膜が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の表面形状センサ。
【請求項8】
半導体基板の上方に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜の上に第1水分バリア絶縁膜を形成する工程と、
前記第1水分バリア絶縁膜の上に検出電極膜を形成する工程と、
前記検出電極膜の上に第2水分バリア絶縁膜を形成する工程と、
前記検出電極膜の上に窓を備えた保護絶縁膜を前記第2水分バリア絶縁膜の上に形成する工程と、
を有することを特徴とする表面形状センサの製造方法。
【請求項9】
窒素含有雰囲気中において前記層間絶縁膜をアニールする工程を更に有し、
前記アニールの後に、前記第1水分バリア絶縁膜を形成する工程を行うことを特徴とする請求項8に記載の表面形状センサの製造方法。
【請求項10】
前記半導体基板の上方に下地絶縁膜を形成する工程と、
前記下地絶縁膜の上に金属配線を形成する工程とを更に有し、
前記層間絶縁膜を形成する工程において、前記下地絶縁膜と前記金属配線の上に該層間絶縁膜を形成して、
前記層間絶縁膜を形成した後に、前記金属配線の上の該層間絶縁膜にホールを形成する工程と、該ホールを形成した後に前記層間絶縁膜をアニールする工程とを行い、
前記検出電極膜を形成する工程において、前記ホール内と前記層間絶縁膜の上に前記検出電極膜を形成することを特徴とする請求項8に記載の表面形状センサの製造方法。
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜の上に形成された第1水分バリア絶縁膜と、
前記第1水分バリア絶縁膜の上に形成された検出電極膜と、
前記検出電極膜の上に形成された第2水分バリア絶縁膜と、
前記第2水分バリア絶縁膜の上に形成され、前記検出電極膜の上に窓を備えた保護絶縁膜と、
を有することを特徴とする表面形状センサ。
【請求項2】
前記第1水分バリア絶縁膜と前記第2水分バリア絶縁膜の合計膜厚を、水分の侵入を阻止するのに必要な最低限の膜厚に設定することを特徴とする請求項1に記載の表面形状センサ。
【請求項3】
前記第1水分バリア絶縁膜と前記第2水分バリア絶縁膜は窒化シリコン膜であり、前記第2水分バリア絶縁膜の膜厚は500nm以下であって、前記合計膜厚は500nm以上であることを特徴とする請求項2に記載の表面形状センサ。
【請求項4】
前記第2水分バリア絶縁膜は、厚さが500nm以下の窒化シリコン膜であり、
前記第1水分バリア絶縁膜は、500nmから前記第2水分バリア絶縁膜の厚さを引いた値の1.2倍の厚さの酸窒化シリコン膜であることを特徴とする請求項2に記載の表面形状センサ。
【請求項5】
前記第1水分バリア絶縁膜は、絶縁性酸化金属膜であることを特徴とする請求項1に記載の表面形状センサ。
【請求項6】
前記第1水分バリア絶縁膜の上にキャップ絶縁膜が形成され、該キャップ絶縁膜の上に前記検出電極膜が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の表面形状センサ。
【請求項7】
前記検出電極膜の上にカバー絶縁膜が形成され、該カバー絶縁膜の上に前記第2水分バリア絶縁膜が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の表面形状センサ。
【請求項8】
半導体基板の上方に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜の上に第1水分バリア絶縁膜を形成する工程と、
前記第1水分バリア絶縁膜の上に検出電極膜を形成する工程と、
前記検出電極膜の上に第2水分バリア絶縁膜を形成する工程と、
前記検出電極膜の上に窓を備えた保護絶縁膜を前記第2水分バリア絶縁膜の上に形成する工程と、
を有することを特徴とする表面形状センサの製造方法。
【請求項9】
窒素含有雰囲気中において前記層間絶縁膜をアニールする工程を更に有し、
前記アニールの後に、前記第1水分バリア絶縁膜を形成する工程を行うことを特徴とする請求項8に記載の表面形状センサの製造方法。
【請求項10】
前記半導体基板の上方に下地絶縁膜を形成する工程と、
前記下地絶縁膜の上に金属配線を形成する工程とを更に有し、
前記層間絶縁膜を形成する工程において、前記下地絶縁膜と前記金属配線の上に該層間絶縁膜を形成して、
前記層間絶縁膜を形成した後に、前記金属配線の上の該層間絶縁膜にホールを形成する工程と、該ホールを形成した後に前記層間絶縁膜をアニールする工程とを行い、
前記検出電極膜を形成する工程において、前記ホール内と前記層間絶縁膜の上に前記検出電極膜を形成することを特徴とする請求項8に記載の表面形状センサの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2008−45999(P2008−45999A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−222015(P2006−222015)
【出願日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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