説明

表面改質されたバイオマス、その製造方法およびそれを用いた有価金属の回収方法

本発明は、細胞バイオマス表面にアミン基−含有カチオン性ポリマーが架橋された、表面改質されたバイオマス、その製造方法およびそれを用いた有価金属の回収方法に関し、本発明の表面改質されたバイオマスは、その表面にアミン基−含有カチオン性ポリマーの架橋によってカチオン性官能基がさらに導入され、アニオン性汚染物質に対する吸着性能および親和度が向上された利点を有する。また、本発明による有価金属回収方法は、環境に易しく、経済的であり、人体に無害な方法で有価金属を回収することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面改質されたバイオマス、その製造方法およびそれを用いた生物吸着剤に関し、より詳しくは、細菌バイオマスの表面にアミン基−含有カチオン性ポリマーが架橋され、アニオン性汚染物質に対する吸着性能および親和度が向上された、表面改質されたバイオマス、その製造方法およびそれを用いた有価金属の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
染色工場などの各種産業現場では、鉛、水銀、カドミウムなどの重金属または染料が含まれた廃水が発生している。このような重金属または染料含有廃水が水系に流入される時に深刻な汚染を誘発して水中生態系を破壊し、生物濃縮によって人間にまで有害な影響を及ぼすため、効果的な処理方法が模索されている。
【0003】
産業廃水中の染料および重金属などの汚染物質を除去する方法としては、化学的処理方法、物理化学的処理方法および生物学的処理方法などが利用されている。化学的処理方法としては、代表的に塩素系酸化法、フェントン試薬法、オゾン法などがある。しかし、このような化学的処理方法は、化学的汚泥を発生させ、有害な中間生成物が発生し、運転費用が高いという短所がある。
【0004】
生物学的処理方法は、一般的に活性化した好気性微生物によって有機物を吸着または分解させる活性スラッジ工程が最も多く利用されているが、これは、スラッジ発生量が多く、沈殿槽から固液分離が円滑になされないという短所がある。また、染色廃水内の染料は、大部分が生物学的に分解し難い物質から構成されており、分解されるとしても毒性物質が生成されるので処理効率が良くない。産業廃水の物理的な処理方法としては沈殿法、イオン交換樹脂法、吸着法、電気泳動法および膜除去法があるが、これらの方法は高いスラッジの生成、非選択性、過剰な初期施設費と高い運転費などの問題がある。よって、環境に優しく、且つ染料および重金属などの難分解性物質に対する高い選択性および効率性を有する生物学的方法が必要であるが、生物学的な方法によってこのような難分解性物質を除去する場合、選択的に除去することができ、適宜な固定化方法を利用すれば、既存の工程に比べて経済性および効率性が高いものと予想されるため、生物吸着技術に対する関心が高まっている。したがって、染料、重金属などのような難分解性汚染物質を効果的に処理できるバイオマスの開発が求められている。
【0005】
一方、鉱物資源と2次資源(製造工程から発生するスクラップと廃棄物、そして使用後捨てられる廃製品など)から白金族金属を回収する製錬工程は、白金族金属の濃縮、抽出、分離精製、そして回収工程からなっている。白金族金属の分離精製は溶液化学と非常に密接に関わっており、広く利用されている分離精製方法としては、大きく、化学沈殿および結晶化法、溶媒抽出およびイオン交換法、酸化蒸留法、電解精錬法などがある。この中、白金族金属の分離精製は化学沈殿法または溶媒抽出法を中心になされている。しかし、最近の環境規制や作業条件の人体危害性に対する規制が厳格になることに伴い、より環境に優しく、且つ安全な操業を保障できる新しい分離技術の開発が切実となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする1つの技術的課題は、アニオン性汚染物質の除去に卓越した性能を有する、表面改質されたバイオマスおよびそれを用いた生物吸着剤を提供することにある。
【0007】
本発明が解決しようとする1つの技術的課題は、環境に優しく、人体に無害な有価金属の回収方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一様態は、細菌バイオマスの表面に架橋されたアミン基−含有カチオン性ポリマーを含む、表面改質された細菌バイオマスに関する。
【0009】
本発明の一実現例による表面改質された細菌バイオマスは、前記アミン基−含有カチオン性ポリマーがアミン基またはヒドロキシ基によって細菌バイオマスの表面に架橋されることができる。
【0010】
本発明の一様態は、有価金属含有溶液に表面改質された細菌バイオマス、活性炭および炭素ナノチューブのうちの1つ以上を投入して有価金属を吸着させるステップと;前記有価金属が吸着された吸着素材を灰化させるステップと;前記灰化ステップで生成された灰(ash)と有価金属を前記有価金属の融点以上に加熱して、前記灰(ash)から前記有価金属を分離するステップとを含む有価金属回収方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の表面改質されたバイオマスは、発酵廃棄物を再活用するものであるので環境に優しくて経済的であり、既存の高価の吸着剤を代替できる低価の生物吸着素材として広く活用することができる。
【0012】
本発明のコリネバクテリウム菌体を用いた表面改質された細菌バイオマスは、吸着性能に優れ、経済的であり、繰り返し再生が可能であり、染色廃水中の色度を誘発する染料物質を効果的に吸着除去できる生物吸着剤を提供することができる。特に、本発明の表面改質されたバイオマスは、アニオン性汚染物質に対して卓越した吸着性能を実現する。
【0013】
本発明による有価金属回収方法は、溶媒や抽出剤、還元剤などの化学物質を用いることなく、表面改質されたバイオマスを用いて、環境に優しく、経済的および人体に無害な方法で固体相の濃縮された有価金属を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】細菌バイオマスが水溶液中に存在する時の主要官能基の構造を示す模式図である。
【図2】本発明の一実現例による表面改質された細菌バイオマスの製造方法を説明するための模式図である。
【図3】実施例1−10および比較例1のバイオマスを利用して染料を吸着した結果を比較して示すグラフである。
【図4】上部写真は金が吸着されていない原料バイオマスとこれを灰化したものを示し、下部写真は金が吸着された原料バイオマスとこれを灰化した後の金含有吸着素材を示す。
【図5】実施例11および比較例2による金に対するバイオマスの最大吸着量を示すグラフである。
【図6】0.1M HCl溶液に添加されたチオ尿素の含量に応じたパラジウムの脱着率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0016】
本発明の一実現例は、細菌バイオマスの表面に架橋されたアミン基−含有カチオン性ポリマーを含む、表面改質された細菌バイオマスに関する。
【0017】
本発明において、「バイオマス(biomass)」とは、産業生産に使用できる生きているものや死んている生物学的材料(biological material)を意味するものであり、特に本発明の細菌バイオマスは、大腸菌またはコリネバクテリウムなどの死滅した細菌菌体からなるバイオマスを意味する。
【0018】
大腸菌やコリネバクテリウムのような細菌は、抗生剤、抗ガン剤、アミノ酸、核酸などの物質を生産する菌株として多く利用されるが、使われた後に死滅し、固形の発酵廃棄物として廃棄される。
【0019】
図1は、固形廃棄物である細菌バイオマスが水溶液中に存在する時の主要官能基の構造を示す模式図である。図1を参照すれば、細菌バイオマスには、アニオン性官能基(カルボキシル基またはリン酸基)とカチオン性官能基(アミン基)が豊富である。
【0020】
本発明においては、溶液において、アニオン性を示す有価金属を吸着するために、カチオン性官能基であるアミン基を多量で含むカチオン性ポリマーを細菌バイオマスの表面にさらに導入してカチオン性官能基の含量を増大させるか、またはアニオン性官能基が封鎖または除去されたものを利用することができる。
【0021】
前記細菌バイオマスは、その表面に架橋されたアミン基−含有カチオン性ポリマーを含むことが好ましい。
【0022】
本発明において、「アミン基−含有カチオン性ポリマー(cationic polymer)」という用語は、主鎖または側鎖にアミン基を含み、全体的に陽電荷を帯びるポリマーを意味する。本発明のアミン基−含有カチオン性ポリマーは、1つ以上のカチオン性モノマーを重合するか、1つ以上の非イオン性モノマーと1つ以上のカチオン性モノマーを重合して製造することができる。
【0023】
前記細菌バイオマスにアミン基−含有カチオン性ポリマーを架橋させる方法は特に制限されないが、好ましくは、前記アミン基−含有カチオン性ポリマーがアミン基またはヒドロキシ基によって細菌バイオマスの表面に架橋されていることが好ましい。
【0024】
本発明において、細菌バイオマスは、コリネバクテリウム(Corynebacterium sp.)、エシェリキア(Escherichia sp.)、バチルス(Bacillus sp.)およびセラチア(Serratia sp.)からなる群から選択された1種以上の細菌菌体から構成されることができる。
【0025】
このような細菌バイオマスを構成する細菌の非制限的な例は、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megatherium)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)およびブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)などの細菌を含むことができる。
【0026】
上述した細菌の以外に、Corynebacterium betae、Corynebacterium beticola、Corynebacterium bovis、Corynebacterium callunae、Corynebacterium cystitidis、Corynebacterium diphtheriae、Corynebacterium equi、Corynebacterium fascians、Corynebacterium flaccumfaci、Corynebacterium flavescens、Corynebacterium hoagii、Corynebacterium ilicis、Corynebacterium insidiosum、Corynebacterium kutscheri、Corynebacterium liliumなどの細菌も含むことができる。
【0027】
本発明で使用可能な前記アミン基−含有カチオン性ポリマーの例は、ポリエチレンイミン、アミン−ターミネイテッド・ポリエチレンオキシド、アミン−ターミネイテッド・ポリエチレン/プロピレンオキシド、ジメチルアミノエチルメタクリレートのポリマーおよびジメチルアミノエチルメタクリレートとビニルピロリドンのコポリマー、エピクロロヒドリンとジメチルアミンの線状ポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエタノールアミン/メチルクロライドおよび改質されたポリエチレンイミンからなる群から選択することができる。1次、2次、3次アミンを有するポリマーのうち、1次アミンを有したポリマーがより好ましい。
【0028】
前記アミン基−含有カチオン性ポリマーは、下記化学式1のポリエチレンイミンホモポリマーまたは改質されたポリエチレンイミンであってもよい。
【0029】
【化1】

(化学式1)
【0030】
前記式において、nは10〜500である。
【0031】
前記アミン基−含有カチオン性ポリマーは70モル%以上の陽電荷(cationic charge)を有してもよく、前記アミン基−含有カチオン性ポリマーの分子量は特に制限されないが、一例として1000〜200,000の範囲内であってもよい。
【0032】
前記アミン基−含有カチオン性ポリマーはポリエチレンイミンホモポリマーであり、前記バイオマスはコリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)のバイオマスであってもよい。
【0033】
本発明の一実現例の表面改質された細菌バイオマスは、アニオン性汚染物質の吸着能力の増大のために表面上のアニオン性官能基がさらに封鎖されてもよい。
【0034】
本発明の方法により、表面改質された細菌バイオマスを製造する場合には、先ず乾燥された細菌バイオマスをアミン基−含有カチオン性ポリマー溶液に加えて反応させる。次に、前記細菌バイオマスとアミン基−含有カチオン性ポリマー溶液に架橋剤を加えて反応させ、最後にバイオマスを洗浄した後に乾燥させ、表面改質された細菌バイオマスを製造することができる。
【0035】
本発明に用いられる前記アミン基−含有カチオン性ポリマーは70モル%以上の陽電荷(cationic charge)を有し、分子量は1000〜200,000の範囲内であることが好ましい。本発明の方法は、前記表面改質された細菌バイオマスは、表面上のアニオン性官能基を封鎖してアニオン性汚染物質に対して反発力を示す官能基を最小化するステップをさらに含むことができる。前記表面改質された細菌バイオマスは、表面上のアニオン性官能基がアミン基またはアミノ基などのカチオン性官能基を有する化合物で置換され封鎖されることができる。
【0036】
前記アミン基−含有カチオン性ポリマー溶液は、溶媒として、水、アルコール、クロロホルム、ピリジンからなる群から選択された1種以上を含むことができる。このステップにおいて、前記バイオマスを十分な量のアミン基−含有カチオン性ポリマーに分散させることが好ましく、例えば、バイオマスとアミン基−含有カチオン性ポリマーの比率を1:0.5〜2(w:w)、好ましくは1:1〜2(w:w)で混合することが好ましい。
【0037】
細菌バイオマスとアミン基−含有カチオン性ポリマーを反応させるための温度は特に制限されないが、一例として、反応効率を上げるために約20℃〜150℃の温度で反応させることができる。
【0038】
細菌バイオマスの表面にアミン基−含有カチオン性ポリマーが架橋されれば、細菌バイオマスとアミン基−含有カチオン性ポリマーとの間の化学的結合を堅固にするために架橋剤を処理する。この時、架橋剤としては、グルタルアルデヒド(glutaraldehyde)、イソシアニド誘導体(isocyanide derivatives)およびビスジアゾベンジジンからなる群から選択された1種以上を用いることができる。
【0039】
図2に示すように、架橋剤を処理する場合には、架橋剤を溶液状態で、バイオマスとアミン基−含有カチオン性ポリマーの混合液に対して、約1:1〜10:1の体積比で混合することができ、好ましくは、約5:1の体積比で混合した方が良い。
【0040】
溶媒としては水、メタノール、クロロホルム、ピリジン、(エタノール、ブタノールのようなアルコール類)からなる群から選択された1種以上を用いることができる。
【0041】
架橋剤の処理が完了すれば、前記バイオマスを洗浄および乾燥させる。前記洗浄および乾燥方法は特に制限されるものではない。一例として、バイオマスを凍結乾燥してもよく、高温のオーブンで一定時間乾燥させてもよい。乾燥温度および乾燥時間は、バイオマスの含水率などに応じて任意に調整することができる。
【0042】
本発明で使用可能な表面改質された細菌バイオマスは、アニオン性錯化物の吸着能力の増大のために、表面上のアニオン性官能基が封鎖または除去されたものであってもよい。
【0043】
図1に示すように、細菌バイオマスの表面に存在するカルボキシル基およびリン酸基などのアニオン性官能基は水中で陰電荷を帯びた状態で存在するため、アニオン性有価金属錯化物とは反発力が作用するようになる。このような反発力は、バイオマスとアニオン性錯化物との結合を阻害する役割をする。
【0044】
前記細菌バイオマスは、阻害基の役割をするアニオン性官能基であるカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基をアミン基またはアミノ基などのカチオン性官能基を有する化合物で置換した、表面改質されたバイオマスを用いることができる。
【0045】
前記細菌バイオマスは、その表面のカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基がアルキル化、シクロアルキル化、またはアリール化した、表面改質されたバイオマスを用いることができる。
【0046】
前記表面改質されたバイオマスの1例として下記化学式1で表わすことができるが、前記化学式1は、前記細菌バイオマスのカルボキシル基またはリン酸基の水素がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアミン基で置換された構造である。
【0047】
(化2)
Biomass−COOR
(化学式2)
【0048】
前記式において、Rは炭素数1〜10個のアルキル基、炭素数3〜10個のシクロアルキル基または炭素数6〜15個のアリール基であるか、NR1R2である。ここで、RおよびRは、各々、水素、炭素数1〜10個のアルキル基、炭素数3〜10個のシクロアルキル基または炭素数6〜15個のアリール基である。
【0049】
前記式において、炭素数が多すぎると商用化に多少困難があり得るので、炭素数1〜6個のアルキル基でアルキル化することがより好ましく、メチル化することが最も好ましい。
【0050】
前記バイオマスのアミノ基をアルキル化、シクロアルキル化、アリール化させる方法は、前記バイオマスをアルデヒドとカルボン酸の混合溶液に入れた後に反応させるステップを含むことができる。
【0051】
前記アルデヒド、カルボン酸、バイオマスの含量比に制限が必ずしもあるのではないが、バイオマス1gを基準にアルデヒド1ml〜40ml、カルボン酸1ml〜160mlの混合溶液に反応させることが好ましい。
【0052】
前記含量において、アルデヒドとカルボン酸の体積比が1〜1/4であることがより好ましい。
【0053】
前記アルデヒドとカルボン酸、バイオマスの含量比が20ml:40ml:1gであることが最も好ましい。
【0054】
前記アルデヒドがホルムアルデヒドであり、カルボン酸がギ酸であることが還元性の面で好ましく、これを用いて、バイオマスのアミノ基をアルキル化する方法を下記反応式1で示すことができる。
【0055】
【化3】

(反応式1)
【0056】
前記反応は、10〜100℃で1〜48時間反応させることが好ましい。前記反応を混合反応器にて10〜1000rpmで反応させることができる。
【0057】
一方、有価金属錯化物がカチオン性を帯びる場合には、アニオン性が増大した表面改質されたバイオマスを用いることができる。前記原料バイオマスにカルボキシル基、スルホン酸基およびリン酸基のうちの1つ以上を備える化合物をさらに結合させ、アニオン性が増大した細菌バイオマスを製造することができる。
【0058】
前記原料バイオマスにさらに結合されたカルボキシル基を有する化合物は下記化学式3で示すことができる。
【0059】
(化4)
R1−CH2−OOCH2−Biomass
(化学式3)
【0060】
前記式において、R1はカルボキシル基、1つ以上のカルボキシル基を含む炭素数1〜10の線状または分枝状のアルキル基、アルケニル基またはアルコキシ基であり、または下記化学式4で示される。
【0061】
【化5】

(化学式4)
【0062】
ここで、R2およびR3は、各々、H、−OH、−COOH、−CH2−OOHである。
【0063】
前記カルボキシル基を有する化合物は下記化学式5で示すことができる。下記化学式5は、原料バイオマスのアミン基またはアミノ基を、カルボキシル基を有した化合物で置換した構造である。
【0064】
(化6)
Biomass−NHR4COOR5
(化学式5)
【0065】
前記式において、R4は炭素数1〜10の線状または分枝状のアルキレン基、炭素数2〜10の線状または分枝状のアルケニレン基であり、R5はH、NaまたはKである。
【0066】
前記バイオマスのアミン基またはアミノ基がアルキル化、シクロアルキル化、アリール化された構造は下記化学式1で示すことができる。アミノ基を、アルキル基で、シクロアルキル基で、アリール基で置換したものをアルキル化、シクロアルキル化、アリール化で表現することにする。
【0067】
(化7)
Biomass−N(R)2
(化学式6)
【0068】
前記式において、Rは炭素数1〜10個のアルキル基、炭素数3〜10個のシクロアルキル基または炭素数6〜15個のアリール基である。
【0069】
以下、前記表面改質されたバイオマスを利用して有価金属を回収する方法について詳述する。
【0070】
(有価金属吸着ステップ)
前記ステップは、前述した前記表面改質された細菌バイオマスを利用して有価金属含有溶液において有価金属を吸着させるステップである。前記表面改質された細菌バイオマスが吸着素材として使われる。
【0071】
前記有価金属を含有した溶液としては、廃触媒、廃スクラップ、廃乾電池、産業廃液、電炉ダスト、廃カンなどの非鉄金属含有廃棄物を例に挙げることができる。
【0072】
有価金属が含まれている産業廃液は、主に化学工程において有価金属を触媒として用いる産業と電機電子産業で発生する。特に、化学工場で発生する酢酸廃液にはルテニウム(Ru)とイリジウム(Ir)が含まれた状態で廃水が発生し、ICP分析廃水には多様な有価金属種(特に、白金、ロジウムなど)が含まれている。
【0073】
前記有価金属は、金、銀、パラジウム、白金、イリジウム、オスミウム、ロジウムおよびルテニウムからなる群から選択された1つ以上であってもよい。
【0074】
前記有価金属が多様な配位子と配位錯体を形成するように溶解剤を使って前記有価金属を溶解して水溶液に作ることが好ましい。
【0075】
前記溶解剤としては、前記有価金属の種類に応じて公知の溶解剤を適宜に選択することができる。前記溶解剤としては、塩酸、硝酸、王水、硫酸、シアン(CN)およびハロゲン元素のうちの1つ以上を含むことができる。前記ハロゲン元素としてはフッ素(F)・塩素(Cl)・臭素(Br)・ヨウ素(I)・アスタチン(At)などがあり、好ましくは、ヨウ素および臭素のうちの1つ以上を含むことができる。
【0076】
一例として、酸に非常に難溶性である白金族金属は、酸化剤の存在下で塩酸によって溶解される。酸化剤としては、硝酸、塩素ガス、次亜塩素酸(HOCl)、次亜塩素酸ソーダ(NaOCl)、塩素酸ナトリウム(NaClO3)、過酸化水素(H2O2)などがある(Bradford、1975)。白金、パラジウムおよびロジウムは、塩素系酸化剤の存在下で塩酸によって各々PtClー2とPdClー2とRhClー3として溶解される。
【0077】
前記溶解剤としては硫酸を用いることができ、より具体的には、60% H2SO4溶液+0.1M溶液を使って白金族金属を溶解することができる。
【0078】
前記溶解剤としてヨウ素/ヨウ素化物を用いることができ、パラジウムの溶解が好ましい。
【0079】
前記溶解はシアン(CN)を用いるシアン化法を利用することができる。
【0080】
前記溶解剤によって溶解して形成された錯化物の構造としては、パラジウム(PdCl2−、PdCl)、金(Au(CN))、白金(PtCl2−、PtCl2−)などを一例に挙げることができる。
【0081】
前記有価金属錯化物は電荷を帯びるが、好ましくはアニオン性を示す。前述したカチオン性官能基の含量が増大したり、アニオン性官能基が封鎖されたりした細菌バイオマスは、静電気的引力によって前記アニオン性の有価金属錯化物を吸着することができる。
【0082】
本発明の有価金属回収方法に用いられる吸着素材としては、活性炭素、炭素ナノチューブを用いることができる。
【0083】
活性炭素(Activated Carbon)は、多孔性物質であるヤシ殻、木材、オリーブ実の殻、および石炭系そして泥炭などを使って、蒸気および化学活性化工程を経て内部表面積を活性化させた炭素製品として公知されたものを用いることができる。
【0084】
前記活性炭の平均細孔直径に対して特に制限はないが、平均細孔直径が15超過30Å以下、好ましくは、20以上30Å以下である。
【0085】
(灰化ステップ)
前記ステップは、前記有価金属が吸着された吸着素材を灰化させるステップである。
【0086】
前記灰化ステップは、前記有価金属含有吸着素材を溶液から分離した後、20〜100℃で乾燥させるステップを含むことができる。前記乾燥ステップにおいて、吸着素材に残存する水を全て除去することができる。
【0087】
次に、前記灰化ステップは、前記有価金属含有吸着素材を300℃以上前記有価金属の融点未満で燃焼させることができる。好ましくは600〜1000℃、最も好ましくは800〜1000℃で灰化することができる。前記温度が約900℃付近である時に金属の回収率および純度が最も高い。
【0088】
活性炭に吸着された有価金属を灰化させて回収するのは、灰化条件(特に、温度と酸素の濃度)に応じて有価金属の回収率を調節することができる。
【0089】
前記吸着素材である細菌バイオマスは、一般的に600℃で点火されて燃焼されるが、前記有価金属は前記温度で溶けたり燃焼したりしない。
【0090】
灰化が完了すれば、装置を冷却させ、金属が含まれた灰を収集する。
【0091】
(分離ステップ)
前記分離ステップは、前記有価金属を溶かして前記灰から分離するステップである。
【0092】
前記ステップは、前記灰(ash)の中に含まれた有価金属を前記有価金属の融点以上に加熱して溶かし、液相の有価金属を前記灰(ash)から分離するステップを含むことができる。
【0093】
前記有価金属中の1つである金の融点は1064℃であり、白金の融点は1768.3℃であるため、前記温度以上に加熱すれば有価金属を溶かすことができる。好ましくは、前記加熱温度は融点以上3100℃以下である。
【0094】
他の様相で、本発明は、有価金属含有溶液に前記表面改質された細菌バイオマスを投入して有価金属を吸着させるステップ;および前記細菌バイオマスを強酸溶液に入れ、吸着された有価金属を前記細菌バイオマスから脱着させるステップを含む有価金属回収方法に関する。
【0095】
本発明は、前記細菌バイオマスに吸着された有価金属を脱着(desorption)によって回収する方法である。
【0096】
前記脱着ステップは、前記細菌バイオマスをチオ尿素(thiourea)と強酸の混合溶液に入れて脱着させるステップであってもよい。前記脱着に用いられる混合溶液としては、酸とチオ尿素(thiourea)を混合したものを用いれば脱着効率が非常に増大する。
【0097】
前記強酸は、塩酸、硫酸または硝酸水溶液を用いることが好ましい。前記強酸水溶液は0.01M〜10M、好ましくは0.1M〜3Mの範囲であり、チオ尿素は0.005M〜5M、好ましくは0.1M〜1M範囲である。
【0098】
以下、実施例を挙げ、本発明についてより詳細に説明するが、これらは単に本発明の好ましい実現例を例示するためのものであって、実施例が本発明の範囲を制限するのではない。
【0099】
(実施例1−10)
前処理なしで乾燥させた発酵廃棄物であるコリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)バイオマス2gを下記表1に表記されたような多様な濃度のPEIが入っている500mlの蒸留水に入れ、常温で2時間攪拌した。次に、下記表1に示すように、濃度が異なるグルタルアルデヒド(glutaraldehyde(GA))500ml溶液をバイオマスが含まれた混合液に入れ、反応時間を下記表1に示すように異にして攪拌した。この時、各成分比は下記表の通りである。反応完了後、脱イオン水で洗浄し凍結乾燥して、PEI−表面改質されたバイオマスを収得し、吸着量を下記の方法で評価し、その結果を下記表1および図3に示す。
【0100】
(等温吸着実験)
バイオマスの染料吸着性能を確認するために、pH=2において等温吸着実験を行った。この実験は、温度とpHを一定に維持し、多様な染料濃度において染料の吸着量を測定する実験である。実験は、いくつかの50mLチューブに、実施例1−10および比較例1のバイオマス0.4gと、染料初期濃度を50mg/Lから2000mg/Lに異にしたRR4染料水溶液40mLずつを入れ、各チューブのpHを特定値に一定にした。各チューブは、約25℃の常温にて24時間160rpmで攪拌した。吸着実験が進行される間にpHを観察しながら、1N HNO3水溶液を用いて溶液のpHを6に一定に調節した。吸着が平衡に達した後、染料の残留濃度を分析した。最大吸着性能と結合親和力を計算するために、実験データを下記数学式1のラングミュアモデル(Langmuir model)および下記数学式2のシプスモデル(Sips model)を使ってモデリングした。
【0101】
【数1】

(数学式1)
前記式において、Qmaxは最大染料吸着量(mg/g)であり、bLはラングミュア平衡定数(l/mg)であり、Cfは染料の最終濃度である。
【0102】
【数2】

(数学式2)
【0103】
前記式において、Kはシプスモデル等温定数((1/g)β)であり、aはシプスモデル定数であり、βはシプスモデル指数((l/mg)βであり、Cfは染料の最終濃度である。
【0104】
(比較例1)
発酵廃棄物であるコリネバクテリウム・グルタミクム・バイオマスを洗浄した後、いかなる処理も加えない状態で、吸着剤として使って、同一の方法で吸着量を評価した後、その結果を下記表1および図3に共に示す。
【0105】
【表1】

【0106】
前記表1および図3の結果から確認できるように、PEI−表面改質されたバイオマスは、PEI、GA、反応時間によって顕著な吸着性能差を示し、その中、PEI(w/v):GA(v/v)の比率が5:1、反応時間が60分である時にRR4(反応性染料)の最大吸着量が613mg/gで最も優秀であった。これは、原料バイオマスに比べ、約5.5倍ほど吸着性能が増加した結果である。
(実施例11)
【0107】
発効工程から乾燥された粉状で収得した発酵廃棄物であるコリネバクテリウム・グルタミクム・バイオマス(C.glutamicum biomass)(Daesang(株)、群山工場、全羅北道、群山)10gを、2.5mlのピリジン(pyridine)と95mlのクロロホルム(chloroform)とからなる混合溶液に入れ、常温で攪拌した。次に、混合溶液に5mlの4−ブロモブチリルクロライド(bromobutyryl chloride)を滴加し、密封した状態で25度で12時間攪拌しながら反応させ、バイオマスをアシル化した。アシル化されたバイオマスをクロロホルムで洗浄して、反応しない4−ブロモブチリルクロライドを除去した。
【0108】
次に、10gのポリエチレンイミド(重量平均分子量25000g/l)と0.1gのKOHが添加された90mlのtert−アミルアルコール溶液に前ステップで得られたバイオマスを入れ、75℃で約24時間攪拌した。反応が完了した後、バイオマスをメタノールと脱イオン水で何回も洗浄した後に凍結乾燥し、ポリエチレンイミドで表面改質されたバイオマスを収得した。
【0109】
主に白金とロジウムを含んでいるICP分析廃水を対象に白金とロジウムを回収するために、前記で収得した表面改質されたバイオマス5g/Lを投入し、pH−0.58条件で2時間攪拌して金を吸着させた。次に、白金とロジウムが吸着されたバイオマスを乾燥器にて200〜100℃に加熱して水分を除去した。前記バイオマスを燃焼炉にて約600℃に加熱した。燃焼によって生成された灰と白金、ロジウムを収集し、乾式炉装置にて約1850℃に加熱して白金を溶かし灰から分離し、約2000℃に加熱してロジウムを溶かし灰から分離した。
(実施例12)
【0110】
発効工程から乾燥された粉状で収得した発酵廃棄物であるコリネバクテリウム・グルタミクム・バイオマス(C.glutamicum biomass)(Daesang(株)、群山工場、全羅北道、群山)を1N HNO3溶液で24時間常温で酸処理を行った。このように酸処理されたバイオマスは、蒸留水で洗浄する過程を3回繰り返し行い、60℃で24時間乾燥した。前記乾燥されたバイオマス3gを無水メタノール300mLに分散させ、これに酸触媒であるHNO3を添加して、最終濃度が1Mになるようにした。その後、この混合物を常温で回転攪拌器にて6時間160rpmで攪拌し反応させた後、カルボキシル基が除去されたバイオマスを収得した。
【0111】
金混合物(KAu(CN)2)に溶解剤の塩酸を入れて金を溶解させた後、前記で収得した表面改質されたバイオマス5g/Lを投入し、pH2.5条件で2時間攪拌して金を吸着させた。次に、金が吸着されたバイオマスを乾燥器にて20〜100℃に加熱して水分を除去した。前記バイオマスを燃焼炉にて約600℃に加熱した。燃焼によって生成された灰と金を収集し、乾式炉装置にて約1200℃に加熱して金を溶かし灰から分離した。
【0112】
(比較例2)
発酵廃棄物であるコリネバクテリウム・グルタミクム・バイオマスを洗浄した後、いかなる処理も加えない状態で、実施例12と同一に実施した。
【0113】
下記表1は実施例11および12における有価金属の吸着量と純度を示す。
【0114】
【表2】

【0115】
前記表2を参照すれば、細菌バイオマスを利用して、金、白金などの有価金属を、既存の化学沈殿法や溶媒抽出法に比べて、吸着/灰化/分離方法の簡単な工程を経つつも人体に無害な方法で収得できることを確認することができる。
【0116】
図4の上部写真は金が吸着されていない原料バイオマスとこれを灰化したものを示し、下部写真は金が吸着された原料バイオマスとこれを灰化した後の金含有吸着素材を示す(実施例12の場合)。図4の下部写真を参照すれば、実施例12の場合、バイオマスに金が相当量で吸着していることを確認することができる。
【0117】
図5は、実施例12および比較例2による金に対するバイオマスの最大吸着量を示すグラフである。図5を参照すれば、比較例2のバイオマスの最大吸着量は約30mg/gに過ぎないが、実施例12の場合には72mg/gであり、2.4倍の吸着性能の向上があった。
【0118】
(実施例13)
パラジウム(Pd)溶液(100mg/L)30mLに実施例11で収得したポリエチレンイミドで表面処理されたバイオマス(PEIB)0.03gを入れ、常温で1日間攪拌した。次に、パラジウムが吸着されたPEIBを0.1M HCl溶液に0〜2M範囲のチオ尿素(thiourea)が混合された溶液に入れ、常温で1日間攪拌した。
【0119】
図6は、0.1M HCl溶液に添加されたチオ尿素の含量に応じたパラジウムの脱着率を示すグラフである。図6を参照すれば、チオ尿素が入っていないサンプルだけが30%の脱着率を示し、その他チオ尿素が含まれたサンプルはほぼ100%に近い脱着率を示すことが分かる。ここで、脱着率は、パラジウムがPEIBに吸着された量である86.5mg/gを100で換算した値である。
【0120】
以上、本発明の好ましい実現例を挙げて詳細に説明したが、このような説明は単に本発明の例示的な実施例を説明および開示したものである。当業者は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく前記説明および添付図面から多様な変更、修正、および変形例が可能であることを容易に認識するはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌バイオマスの表面に架橋されたアミン基−含有カチオン性ポリマーを含む表面改質された細菌バイオマス。
【請求項2】
前記アミン基−含有カチオン性ポリマーが、アミン基またはヒドロキシ基によって細菌バイオマスの表面に架橋されていることを特徴とする、請求項1に記載の表面改質された細菌バイオマス。
【請求項3】
前記細菌は、コリネバクテリウム(Corynebacterium sp.)、エシェリキア(Escherichia sp.)、バチルス(Bacillus sp.)およびセラチア(Serratia sp.)からなる群から選択された細菌であることを特徴とする、請求項1に記載の表面改質された細菌バイオマス。
【請求項4】
前記細菌は、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megatherium)およびセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)およびブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)からなる群から選択された細菌であることを特徴とする、請求項1に記載の表面改質された細菌バイオマス。
【請求項5】
前記アミン基−含有カチオン性ポリマーは、ポリエチレンイミン、アミン−ターミネイテッド・ポリエチレンオキシド、アミン−ターミネイテッド・ポリエチレン/プロピレンオキシド、ジメチルアミノエチルメタクリレートのポリマーおよびジメチルアミノエチルメタクリレートとビニルピロリドンのコポリマー、エピクロロヒドリンとジメチルアミンの線状ポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエタノールアミン/メチルクロライドおよび改質されたポリエチレンイミンからなる群から選択されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の表面改質された細菌バイオマス。
【請求項6】
前記アミン基−含有カチオン性ポリマーは、ポリエチレンイミンホモポリマーであり、前記バイオマスはコリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)のバイオマスであることを特徴とする、請求項1に記載の表面改質された細菌バイオマス。
【請求項7】
前記アミン基−含有カチオン性ポリマーは、70モル%以上の陽電荷(cationic charge)を有することを特徴とする、請求項1に記載の表面改質された細菌バイオマス。
【請求項8】
前記アミン基−含有カチオン性ポリマーの分子量は、1000〜200,000の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の表面改質された細菌バイオマス。
【請求項9】
前記表面改質された細菌バイオマスは、表面上のアニオン性官能基が封鎖されていることを特徴とする、請求項1に記載の表面改質された細菌バイオマス。
【請求項10】
前記表面改質された細菌バイオマスは、表面上のアニオン性官能基がアミン基またはアミノ基を有する化合物によって置換し封鎖されていることを特徴とする、請求項1に記載の表面改質された細菌バイオマス。
【請求項11】
請求項1〜10のうちのいずれか一項の表面改質された細菌バイオマスを含む生物吸着剤。
【請求項12】
乾燥された細菌バイオマスをアミン基−含有カチオン性ポリマー溶液に加えて反応させるステップ;
前記細菌バイオマスとアミン基−含有カチオン性ポリマー溶液に架橋剤を加えて反応させるステップ;および
バイオマスを洗浄した後に乾燥させるステップを含むことを特徴とする表面改質された細菌バイオマスの製造方法。
【請求項13】
前記細菌は、コリネバクテリウム(Corynebacterium sp.)、エシェリキア(Escherichia sp.)、バチルス(Bacillus sp.)およびセラチア(Serratia sp.)からなる群から選択された細菌であることを特徴とする、請求項12に記載の表面改質された細菌バイオマスの製造方法。
【請求項14】
前記細菌は、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megatherium)およびセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)およびブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)からなる群から選択された細菌であることを特徴とする、請求項12に記載の表面改質された細菌バイオマスの製造方法。
【請求項15】
前記アミン基−含有カチオン性ポリマーは、ポリエチレンイミン、アミン−ターミネイテッド・ポリエチレンオキシド、アミン−ターミネイテッド・ポリエチレン/プロピレンオキシド、ジメチルアミノエチルメタクリレートのポリマーおよびジメチルアミノエチルメタクリレートとビニルピロリドンのコポリマー、エピクロロヒドリンとジメチルアミンの線状ポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエタノールアミン/メチルクロライドおよび改質されたポリエチレンイミンからなる群から選択されたものであることを特徴とする、請求項12に記載の表面改質された細菌バイオマスの製造方法。
【請求項16】
前記アミン基−含有カチオン性ポリマーはポリエチレンイミンホモポリマーであり、前記バイオマスはコリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)のバイオマスであることを特徴とする、請求項15に記載の表面改質された細菌バイオマスの製造方法。
【請求項17】
前記アミン基−含有カチオン性ポリマーは、70モル%以上の陽電荷(cationic charge)を有することを特徴とする、請求項12に記載の表面改質された細菌バイオマスの製造方法。
【請求項18】
前記アミン基−含有カチオン性ポリマーの分子量は、1,000〜200,000の範囲内であることを特徴とする、請求項12に記載の表面改質された細菌バイオマスの製造方法。
【請求項19】
前記表面改質された細菌バイオマスは、表面上のアニオン性官能基が封鎖されていることを特徴とする、請求項12に記載の表面改質された細菌バイオマスの製造方法。
【請求項20】
前記表面改質された細菌バイオマスは、表面上のアニオン性官能基がアミン基またはアミノ基を有する化合物によって置換し封鎖されていることを特徴とする、請求項15に記載の表面改質された細菌バイオマスの製造方法。
【請求項21】
前記架橋剤は、グルタルアルデヒド(glutaraldehyde)、イソシアニド誘導体(isocyanide derivatives)およびビスジアゾベンジジンからなる群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項12に記載の細菌バイオマスの製造方法。
【請求項22】
前記アミン基−含有カチオン性ポリマー溶液は、溶媒として、水、メタノール、エタノール、ブタノール、クロロホルムおよびピリジンからなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項12に記載の表面改質された細菌バイオマスの製造方法。
【請求項23】
前記架橋剤を、溶液状態で、バイオマスとアミン基−含有カチオン性ポリマーの混合液に対して、10:1〜1:1の体積比で加えることを特徴とする、請求項12に記載の表面改質された細菌バイオマスの製造方法。
【請求項24】
前記架橋剤を、溶液状態で、バイオマスとアミン基−含有カチオン性ポリマーの混合液に対して、5:1の体積比で加えることを特徴とする、請求項12に記載の表面改質された細菌バイオマスの製造方法。
【請求項25】
有価金属含有溶液に、表面改質された細菌バイオマス、活性炭および炭素ナノチューブのうちの1つ以上の吸着素材を投入して有価金属を吸着させるステップと;
前記有価金属が吸着された吸着素材を灰化させるステップ;および
前記灰化ステップで生成された灰(ash)と有価金属を前記有価金属の融点以上に加熱して、前記灰(ash)から前記有価金属を分離するステップを含むことを特徴とする有価金属回収方法。
【請求項26】
前記細菌バイオマスは、請求項1〜10のうちのいずれか一項による表面改質された細菌バイオマスであることを特徴とする、請求項25に記載の有価金属回収方法。
【請求項27】
前記細菌バイオマスは、その表面のカルボキシル基がアルキル化、シクロアルキル化、アリール化またはアミン化されたものであることを特徴とする、請求項25に記載の有価金属回収方法。
【請求項28】
前記細菌バイオマスは、その表面にカルボキシル基、スルホン酸基およびリン酸基のうちの1つ以上を備える化合物をさらに含むことを特徴とする、請求項25に記載の有価金属回収方法。
【請求項29】
前記細菌バイオマスは、カチオン性官能基であるアミン基またはアミノ基が、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などのアニオン性官能基を有する化合物で置換されることを特徴とする、請求項25に記載の有価金属回収方法。
【請求項30】
前記有価金属は、金、銀、パラジウム、白金、イリジウム、オスミウム、ロジウムおよびルテニウムからなる群から選択された1つ以上であることを特徴とする、請求項25に記載の有価金属回収方法。
【請求項31】
前記有価金属含有溶液は、前記有価金属を溶解させる溶解剤として、塩酸、硝酸、王水、硫酸、シアン(CN)およびハロゲン元素のうちの1つ以上を含むことを特徴とする、請求項25に記載の有価金属回収方法。
【請求項32】
前記灰化ステップは、前記有価金属含有吸着素材を溶液から分離した後、20〜100℃で乾燥させるステップを含むことを特徴とする、請求項25に記載の有価金属回収方法。
【請求項33】
前記灰化ステップは、前記有価金属の融点未満において、前記有価金属が吸着された吸着素材を燃焼させることを特徴とする、請求項25に記載の有価金属回収方法。
【請求項34】
前記灰化ステップは、600〜1000℃で前記有価金属が吸着された吸着素材を燃焼させることを特徴とする、請求項25に記載の有価金属回収方法。
【請求項35】
前記分離ステップは、前記灰(ash)中に含まれた有価金属を前記有価金属の融点以上に加熱して溶かすステップ;および液相の有価金属を前記灰(ash)から分離するステップを含むことを特徴とする、請求項25に記載の有価金属回収方法。
【請求項36】
前記分離ステップは、前記有価金属を有価金属の融点以上3100℃以下に加熱して溶かすことを特徴とする、請求項35に記載の有価金属回収方法。
【請求項37】
前記アルキル化、シクロアルキル化、アリール化は、カルボキシル基の水素が、炭素数1〜10個のアルキル基、炭素数3〜10個のシクロアルキル基または炭素数6〜15個のアリール基で置換されることを特徴とする、請求項27に記載の有価金属回収方法。
【請求項38】
前記アミン化は、カルボキシル基の水素が、炭素数1〜10個のアルキル基、炭素数3〜10個のシクロアルキル基または炭素数6〜15個のアリール基を含む1次または2次アミンで置換されることを特徴とする、請求項27に記載の有価金属回収方法。
【請求項39】
有価金属含有溶液に、請求項1〜10のうちのいずれか一項による表面改質された細菌バイオマスを投入して有価金属を吸着させるステップ;および前記細菌バイオマスを強酸溶液に入れ、吸着された有価金属を前記細菌バイオマスから脱着させるステップを含むことを特徴とする有価金属回収方法。
【請求項40】
前記脱着ステップは、前記細菌バイオマスをチオ尿素(thiourea)と強酸の混合溶液に入れて脱着させるステップであることを特徴とする、請求項39に記載の有価金属回収方法。
【請求項41】
前記混合溶液は、強酸水溶液0.01M〜10M、チオ尿素0.005M〜5Mで混合されることを特徴とする、請求項40に記載の有価金属回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−523247(P2012−523247A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505794(P2012−505794)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【国際出願番号】PCT/KR2009/004151
【国際公開番号】WO2009/148292
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(507263715)全北大学校 産学協力▲団▼ (3)
【Fターム(参考)】