説明

表面改質された無機充填材及び顔料

本発明は、所望の粒径の表面改質された無機充填材又は顔料を形成するための方法に関する。上記方法は、高分子分散材を使用して、圧縮力及び剪断力の作用下で、無機充填材又は顔料の充填材スラリー又は顔料スラリーが所望の粒径まで粉砕され、それにより、上記充填材及び/又は顔料が、充填材又は顔料に関連して、0.1〜2.0重量%の量の従来の粉砕補助材及び/又は分散材(活性材料)と更に接触されることを特徴としている。また、本発明は、上記方法により得られる充填材及び顔料に関し、また、製紙産業のための分散インク、接着剤、コーティング又はコーティング組成物、特に枚葉オフセット印刷、ロールオフセット印刷、グラビア印刷などの様々な産業区分で使用されるコーティング組成物を製造するための充填材及び顔料の使用、及びボール紙及び特殊紙を製造するための充填材及び顔料の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、所定の粒径の表面改質された無機充填材及び顔料を形成するためのプロセス、このようにして得られた充填材及び顔料、及びそれらの使用に関する。
【0002】
多くの技術分野では、例えば分散塗料、接着剤又は紙の形成において、高分子分散材の形態を成す結合材を用いて無機顔料又は充填材が結合される。
【0003】
欧州特許第0 515 928 B1号は、再パルプ化性が改善された表面改質された血小板状の顔料、それを形成するためのプロセス及びその使用に関するものである。上記血小板状の顔料、例えば血小板状の金属、金属酸化物、雲母顔料及び他の血小板状基質は、攪拌を伴う混合容器内で、ポリアクリレート又はポリメタクリレート又はそれらの水溶性塩、場合によっては溶媒又は溶媒の混合物でコーティングされる。
【0004】
例えば、紙の形成においては、多量の充填材が使用される。殆ど全ての紙は、特に印刷紙や原稿用紙に対して均一な構造、良好な柔軟性、白色度、グリップを与える充填材と混合される。
【0005】
天然の印刷紙(コーティングされていない紙)は、最大35重量%の充填材を含んでおり、コーティングされた紙は、25〜50重量%の充填材を含んでいる。充填材の量は、紙の意図する用途に大きく依存する。大きな負荷がかけられた紙は、強度が低く、サイジング能力が乏しい。
【0006】
紙の組成中の充填材含有量は通常5〜35重量%であり、充填材は、主要な顔料、又は、残留コーティング材又はコーティングされた廃棄物であってもよい再循環されたコーティング顔料から成っている。蛍光増白紙において重要な充填材の白色度に加えて、粒径も重要な役割を果たす。なぜなら、粒径は、充填材歩留まり及び紙の物理的特性、特に紙の孔隙率に大きな影響を与えるからである。紙の中に残る充填材の含有量は、繊維懸濁液に加えられる量の20〜80重量%である。歩留まりは、充填材のタイプ及び物質の組成の両方、粉砕の度合い、樹脂及び硫酸アルミニウムによる充填材粒子の固定、秤量、製紙機械の速度、水の回収方法、スクリーンの細かさによって決まる。
【0007】
以下の生成物、すなわち、カオリン、炭酸カルシウム、人工アルミニウムシリケート、酸化物水和物、二酸化チタン、サテンホワイト、滑石粉、カルシウムシリケートは、それらの消費量により判断すると、今日においては充填材及びコーティング顔料としてかなりの重要性を有している。
【0008】
欧州特許第0 595 723 B1号は、鉱物系が充填された顔料を形成するためのプロセスにおいて、少なくとも1つの分散材を備える少なくとも1つの粉砕補助材の存在下で水性媒体中において圧縮鉱物、層状鉱物及び/又はプラスチック顔料のコミリング(co−milling)が行なわれることを特徴とするプロセスについて記載している。しかしながら、この文献は、鉱物及びプラスチック顔料のコミリングにおける条件に関して非常に曖昧のままであり、分散材の使用について言及していない。
【0009】
国際公開第98/01621号は、コーティングプラント廃水、脱インクプラント、内部水処理プラント又はセパレータからの残留水スラッジから紙、板紙、ボール紙の前処理からの充填材及びコーティング顔料を再利用するためのプロセス、及び製紙産業におけるコーティング組成物の生成のため又は製紙のための用紙での使用のためにこのようにして得られた顔料スラリーを使用することについて記載している。本発明の必須の要素は、コーティングプラント廃水、脱インクプラント、内部水処理プラント又はセパレータからの残留水スラッジから紙、板紙、ボール紙の前処理からの充填材及びコーティング顔料を再利用するためのプロセスにおいて、充填材及びコーティング顔料を含む上記残留水スラッジが混合及びその後の粉砕に晒されることにより、新しい顔料又は新しい充填材を粉末として有する顔料スラリー、スラリーを含む新しい顔料及び/又はスラリーを含む新しい充填材が形成されることを特徴とするプロセスである。
【0010】
本発明の目的は、特に製紙産業及び塗料産業や接着剤産業などの更なる適用分野での充填材スラリー又は顔料スラリーの形成において、無機充填材及び顔料と高分子分散材の形態を成す結合材との接触を改善し、それにより、結合材の必要量を減少させ、あるいは、充填材又は顔料の互いに対する結合及び基質に対する結合を高めることである。
【0011】
本発明によれば、以下において高分子分散材と称される結合材が粉砕中にその表面にコーティングされる所定の粒径の無機顔料を、多くの技術分野で、例えば製紙産業及び塗料産業又は接着剤産業において有利に使用できることが見出された。
【0012】
したがって、本発明の第1の実施形態は、所望の粒径の表面改質された無機充填材又は顔料を形成するためのプロセスにおいて、高分子分散材を使用して、圧力及び剪断力の作用を用いて、無機充填材又は顔料の充填材スラリー又は顔料スラリーが所望の粒径まで粉砕され、上記充填材及び/又は顔料は、充填材又は顔料に基づき、0.1〜2.0重量%の量のそれ自体知られた粉砕補助材及び/又は分散材(活性材料)と更に接触されることを特徴とするプロセスである。
【0013】
一般に接着効果を有している高分子分散材は、所望の粒径を与えるために充填材及び顔料の粉砕中に結合材が無機充填材及び顔料の表面と接触される場合、従来技術から知られる同じ粒径分布の充填材及び顔料と比べて高い結合能力を与える形態の無機充填材及び顔料を提供するのに適していることが分かった。結合材は、再使用される材料、例えば残留水スラッジから得られてもよく、あるいは、直接に加えられてもよい。
【0014】
驚くべきことに、高分子粒子は、充填材粒子及び顔料粒子の凝集又は集積を引き起こさないが、互いに対する接着性及び製紙産業における例えば繊維等の基質に対する接着性が非常に高い繊細な膜を充填材又は顔料の表面上に確実に形成することが分かった。
【0015】
本発明の目的の範囲内の変形における特に好ましい充填材又は顔料は、炭酸カルシウムであり、特に天然及び/又は沈殿炭酸カルシウムである。
【0016】
炭酸カルシウム以外に、従来技術で知られている他の充填材及び顔料、例えば、カオリン、人工及び/又は天然珪酸アルミニウム、酸化物水和物、二酸化チタン、サテンホワイト、白雲石、雲母、金属薄片、特にアルミニウム薄片、ベントナイト、ルチル、水酸化マグネシウム、石膏、シートシリケート、滑石粉、ケイ酸カルシウム、他の岩石及び土が使用されてもよい。
【0017】
本発明においては、スラリー、特に水に基づいて充填材又は顔料の含有量が10〜90重量%、特に30〜70重量%の前述した充填物又は顔料を使用することが特に好ましい。
【0018】
例えば製紙におけるコーティングの成分として充填材又は顔料が適用される場合には、通常、高い比率の結合材が紙表面中に入り込む(移動する)。大部分の結合材は、膜形成が起こる前に未加工の紙に吸収される。最も上側のコーティング層は結合材が不足するようになり、いわゆる引張りが生じる。しかしながら、高分子結合材が充填材上又は顔料上へと粉砕される場合には、結合材の入り込み(移動)が起こらず、あるいは、僅かな程度までしか起こらない。すなわち、結合材が吸収によって全く失われない(あるいは、殆ど失われない)ため、オフセット強度(引張りに対する抵抗)は高い。一方、従来技術において、結合材の損失は、コーティング中の結合材の比率を高めることにより補償されなければならない。
【0019】
本発明の目的の範囲内にある高分子分散材は、樹脂固体それ自体と、特に0.005〜6μmの粒径で細かく分散された天然及び/又は合成高分子の上記樹脂固体の分散材(ラテックス)とを備えている。通常、これらは、水性分散材の形態又はそれほど多くはないが非水性分散材の形態を成している。これらは、天然ゴム(ラテックス)及び合成ゴム(ラテックス)並びに人工樹脂(人工樹脂分散材)及びプラスチック材料(プラスチック分散材)、例えば、特にポリウレタン、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリル酸又はアクリルエステル、スチレン/ブタジエン/アクリル酸又はアクリルエステル、及びビニルアセテート/アクリル酸又はアクリルエステル及びアクリロニトリルを含む懸濁液、に基づく重合物、重縮合物、重付加化合物などの高分子の分散材を含んでいる。
【0020】
製品表記Basonal(登録商標),Acronal(登録商標),Styronal(登録商標)の下で、分散塗料産業のため、並びに、紙及びボール紙コーティングのための結合材として、対応する高分子分散材が市販されている。従来技術において、これらの高分子分散材は充填材スラリー又は顔料スラリー中に組み込まれ、攪拌により多量の剪断を伴うことなく、充填材粒子又は顔料粒子の粒径を変化が生じることなく、中性からアルカリ性になるように調整される。しかしながら、本発明によれば、これらは、圧力及び剪断力の作用により、無機充填材及び顔料と直接に接触される。無論、同じことは、例えば水が別個に加えられない接着剤の形成のような充填材スラリー又は顔料スラリーの形成にも当てはまる。粉砕中の圧力及び剪断力の作用下では、従来技術と比べて結合作用の向上を示す表面改質された無機充填材及び顔料が得られる。本発明によれば、高分子分散材の存在下で湿った無機充填材又は顔料を所望の粒径まで粉砕することが特に有益である。このようにすると、白い充填材又は顔料における充填材又は顔料の白色度及びサイズ分布の大きな変化を与えることができ、また、そのような変化は、特に粉砕方法及び粉砕持続時間によって制御することができる。
【0021】
無機充填材又は顔料と接触される高分子分散材の量は、ある程度重要である。したがって、本発明においては、上記無機充填材又は顔料を、顔料の量に基づき0.1〜50重量%、特に5〜15重量%の高分子分散材(固体)と接触させることが特に好ましい。高分子分散材は、通常、固体含有量が40〜60重量%、特に50重量%の水性形態又は非水性形態を成している。
【0022】
高分子分散材に加えて、本発明においては、無機充填材又は顔料が、それ自体知られた分散材又は粉砕補助材、特にポリアクリレートと更に接触される。このようなポリアクリレートは、参照として本明細書に組み込まれる例えば最初に言及した欧州特許第0 515 928 B1号に記載されている。
【0023】
本発明において、分散材又は顔料は、固体含有量に基づき0.1〜2.0重量%の量、更に好ましくは0.2〜0.4重量%の量の前述した分散材活性材料と接触される。
【0024】
製紙プラント及び脱インクプラント、内部水処理プラント又はセパレータのコーティングプラント廃水からの残留水スラッジにおいて、充填材及びコーティング顔料は頻繁に凝集形態を成して低い白色度を有し、それにより、未加工材料処理における直接的な再利用、特に製紙コーティングにおける直接的な再利用が制限され或いは妨げられる。
【0025】
前述したプロセスの本発明を用いると、残留水スラッジが使用される場合であっても、例えば紙、板紙、ボール紙の形成又は塗料産業及び接着剤産業において使用されてもよい所定の凝縮された顔料スラリー又は充填材スラリーが得られる。
【0026】
製紙においては、充填材及びコーティング顔料を粉末として或いは固体含有量が50〜80重量%の凝縮スラリーの形態で使用するのが普通である。これらの充填材及び顔料は、通常、所望の白色度及び粒径分布をもって製造メーカーにより供給される。ここで、本発明の必須の要素は、固体含有量が、例えば、70重量%〜85重量%以上で且つ平均粒径が例えば1μmの50%〜15μmの50%、特に3μmの50%〜8μmの50%の「基本グレード」の状態で、好ましくは固体として又は高凝縮スラリーとして無機充填材及び顔料を使用して、高分子分散材の不存在下で、特に水相で、粉砕することにより所望の粒径を得ることにある。このようにして、製紙産業においては、新しい顔料を含むスラリー及び/又は新しい充填材を含むスラリーを、混合してその後に粉末の形態を成す新しい顔料又は新しい充填材と共に粉砕することにより、所望の白色度及び細度まで粉砕することができ、その後、充填材又はコーティング顔料として使用することができる。鉱物の充填材及び顔料は、通常、湿式又は乾式粉砕(ミリング)方法により所望の粒径を与えるように粉砕される。湿式粉砕においては、本質的に、特定の比率の水が必要とされる。無機顔料の粉砕のために必要な水の一部及び全ては、残留水スラッジと置き換えることができる。残留水スラッジ中に通常存在する充填材又は顔料の凝集体は、湿式粉砕プロセスの過程で所望の粒径まで細分されるため、全く干渉せず、或いは殆ど干渉しない。
【0027】
充填材又は顔料として使用するために指定される残留水スラッジの顔料及び充填材は、粉砕プロセスにおいて凝集体をバラバラにするための粉砕補助材及び分散補助材としての機能を果たす。同時に、負荷粒子を含む残留水スラッジは、粉砕プロセスにおける充填材及び顔料のための分散補助材及び粉砕補助材としての機能を果たし、それにより、結合材、分散補助材、粉砕補助材の通常の量を本発明にしたがって減らすことができる。
【0028】
したがって、本発明によれば、上記混合及びその後における粉末、新しい顔料を含むスラリー及び/又は新しい充填材を含むスラリーの形態を成す新しい顔料又は新しい充填材及び高分子分散材を加えた粉砕においては、0.02重量%〜60重量%、特に1重量%〜30重量%の固体濃度まで残留水スラッジを調整することが特に好ましい。濃度が非常に低いと、リサイクルプロセスが不経済になる。
【0029】
製紙産業の残留水スラッジにおける繊維に対する充填材及び/又は顔料の比率は幅広く変化してもよい。本発明においては、固体含有量に基づき1重量%〜80重量%の範囲、特に20重量%〜60重量%の範囲の場合によって増大された充填材濃度及び/又は顔料濃度を有する残留水スラッジを使用することが特に好ましい。このように、繊維含有量及び充填材及び/又は顔料の含有量の両方が例えば2重量%から98重量%へ、あるいは、98重量%から2重量%へ変化してもよい。無論、製紙産業においては、本発明にしたがって繊維が無い残留水スラッジも使用できる。
【0030】
一例として、様々な残留水スラッジ又は廃水スラッジの好ましい組成を以下に示す。好ましくは、製造からの廃水は、10〜100l/kg、特に10l/kgの特定の淡水要件で0.5〜5重量%、特に2.5重量%の損失物質を含んでいる。残留水スラッジの濃度は、好ましくは0.02〜5.0重量%であり、特に1.5重量%である。本発明において、充填材及び/又は顔料含有量に対する繊維含有量の比率は、20重量%:80重量%又は80重量%:20重量%であることが特に好ましく、特に、製紙製造からの廃水に関しては、顔料に対する繊維の比率が40重量%:60重量%であることが好ましい。
【0031】
10〜95重量%、特に40〜80重量%の固体含有量を有するスラリーが粉砕のために使用されることが好ましい。
【0032】
これにより、例えば用紙のための異なる製紙未加工材料、プリコーティング、トップコーティング及びシングルコーティング又は色素沈着だけのための充填材又は顔料又はスラリー、及び他の充填材又は顔料との混合に関して、品質要件及び製造要件の変化に柔軟且つ迅速に対応することができる。
【0033】
本発明においては、無機充填材及び顔料の混合及び/又は粉砕中に、それ自体知られた添加剤、例えば湿潤剤、安定剤、粉砕補助材及び分散補助材が使用されてもよい。
【0034】
本発明にしたがって得ることができる顔料スラリーは、製紙産業において、特に紙コーティングのためのコーティング材の形成のため、又は、用紙において特に有利に使用されてもよい。それらをオフセット用紙のためのコーティング顔料スラリーの形成のために使用することが特に好ましい。また、本発明に係るスラリーは、特に速いコーティング速度での軽量コーティング紙のためのコーティング化合物の形成にも適しており、また、ロータリーオフセット紙の形成、特に軽量コーティングロータリオフセット紙の形成、ボール紙及び特殊紙のコーティング、例えばラベル、壁紙、シリコン系の紙、自動コピー紙、包装紙のコーティング、凹版紙との混合にも適している。このように、本発明にしたがって得ることができるコーティング顔料スラリーは、特に、枚葉給紙オフセット紙、特に、枚葉給紙オフセットシングルコーティング、枚葉給紙オフセットダブルコーティングすなわち枚葉給紙オフセットプリコーティング及び枚葉給紙オフセットトップコーティングのための枚葉給紙オフセット紙において、ロータリーオフセット紙、特に、LWCロータリーオフセットシングルコーティング、ロータリーオフセットダブルコーティングすなわちロータリーオフセットプリコーティング及びロータリーオフセットトップコーティングのためのロータリーオフセット紙において、特にLWC凹版シングルコーティング、凹版ダブルコーティングすなわち凹版プリコーティング及び凹版トップコーティングのための凹版印刷において、特にボール紙ダブルコーティングすなわちボール紙プリコーティング及びボール紙トップコーティングのためのボール紙において、また、特にラベル及び柔軟な包装のためのフレキソ印刷及び特殊紙において使用されてもよい。また、本発明に係る充填材及び顔料は、デジタル印刷方法のための紙において有利に使用されてもよい。
【0035】
本プロセスは、原紙の品質、コーティング材の品質及び特にこれらに伴って形成される最終的な品質を落とすことなく、本発明にしたがって形成される顔料スラリーを使用する機会を与える。
【0036】
また、本発明は、特に、接着剤の形成のために使用されてもよい。接着剤は、接着及び密着(付着)により接合される部品同士を結合する非金属物質であることで知られている。「接着剤」は、物理的又は化学的な性状又は処理技術の態様下で選択される接着剤タイプにおける他の普通の用語、例えば、のり、ペースト、分散材、溶媒、反応接着剤又は接触接着剤を含む総称である。接着剤の意味は、しばしば、ベース材料(例えば、でんぷん糊、人工樹脂のり、膠)、処理条件(例えば、冷たいのり、ホットシール、ホットメルト接着剤、接合のり)、意図する使用(例えば、ペーパー接着剤、木材用のり、金属接着剤、壁紙ペースト、ゴム接着剤)、供給形態(例えば、液体接着剤、グルー溶液、のりパウダー、プレートのり、のりゼリー、パテ、接着テープ、接着フィルム)を指定するための添加物を含む。
【0037】
接着剤は主に有機化合物に基づいているが、無機接着剤も使用される。
【0038】
DIN 16 920規格は、接着剤のタイプを、物理的に硬化する接着剤(のり、ペースト、溶媒、分散材、プラスチゾル及びホットメルト接着剤)と化学的に硬化する接着剤(例えば、シアノアクリレート接着剤)とに分類している。物理的に硬化する接着剤は、溶媒が無いもの(ホットメルト接着剤)又は溶媒を含むものであってもよい。これらは、それらの物質状態を変える(液体から固体へ)ことにより、或いは接着プロセス前又は接着プロセス中の溶媒の蒸発により硬化し、一般に一液形である。
【0039】
化学的に硬化する一液形又は多液形反応接着剤は任意の重合反応に基づいていてもよい。すなわち、2成分系のエポキシ樹脂及び酸無水物又はポリアミンは重付加メカニズムにしたがって反応し、シアノアクリレート又はメタクリレートは重合メカニズムにしたがって反応し、また、アミノ樹脂又はフェノール樹脂系は重縮合メカニズムにしたがって反応する。
【0040】
接着剤未加工材料として使用できるモノマー又はポリマーの範囲は、幅広く変えられ、ほぼ全ての材料間の結合を可能にする。プラスチック材料の結合が問題となり易い。
【0041】
現在の接着剤開発の主要な目的は、有機溶媒を含む系から溶媒が無い系又は溶媒として水を含む系(環境保護の観点及び経済的な観点から必須である)への変換である。
【0042】
本発明に係る充填材又は顔料は、塗料やラッカーの形成にも適している。特に、充填材又は顔料は、分散塗料及び分散染料の形成に役立つ。後者の用語は、アセテート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、PVC、ポリウレタン繊維の染色及び印刷のために分散材と共に非常に細かく磨り潰された状態で使用される水にやや溶けにくい合成染料(殆どの場合、アゾ染料又はアントラキノン誘導体、ナフトールAS染料も)のグループを含んでいる。染色中、染料槽中で分子的に溶解される染料内容物は、拡散により繊維中に浸透する。この場合、これらの染料内容物は、固溶体を形成し、したがって高速染色をもたらす。現代の改良版は、分散染料が紙から織物へと熱的に転写される、いわゆる転写染色である。
【0043】
このようにして、比較的粗い無機充填材又は顔料を細かい粉砕に晒すことができる。本発明にしたがった充填材及び顔料の使用は、未加工材料の供給者によって指定された粒径に拘束されない。従来技術の多くの分野においては、未加工材料の供給者の仕上がった充填物スラリー又は顔料スラリーを、例えばグレード、細度又はタイプ95,90,75,60,50などのように、2μm未満の粒子の重量パーセントにより特徴付けることが普通である。
【0044】
多くの技術分野において、粒径分布は、充填材又は顔料の使用において特定の役割を果たす。本発明においては、それぞれ等しい直径に基づき10μm未満の粒子の10〜99重量%の粒径分布、特に1μm未満の粒子の10〜95重量%の粒径分布を有する充填材又は顔料を使用することが特に好ましい。
【0045】
本発明においては、それぞれ等しい直径に基づき、
a)20μm未満の粒子の95〜100重量%の粒径分布、及び/又は、
b)2μm未満の粒子の50〜100重量%の粒径分布、特に2μm未満の粒子の50〜95重量%の粒径分布、及び/又は、
c)1μm未満の粒子の27〜99重量%の粒径分布、特に1μm未満の粒子の27〜75重量%の粒径分布、及び/又は、
d)0.2μm未満の粒子の0.1〜55重量%の粒径分布、特に0.2μm未満の粒子の0.1〜35重量%の粒径分布、
を有する充填材又は顔料が特に好ましい。
【0046】
以下、本発明に係るプロセスにとって好ましい適用分野及びこのようにして得られる充填材又は顔料について説明する。
【0047】
[塗料産業]
屋内分散塗料の伝統的な組成物(formulation)は、通常、スチレンアクリル酸塩に基づく約10%の比率の高分子分散材(dispersion)を含んでいる。伝統的な外観塗料組成物は、通常、18〜25%の比率の高分子分散材を有している。
【0048】
本発明によれば、高分子分散材でコーティングされた充填材スラリーを使用すると、分散材全体の比率又は最終的な組成物中における樹脂比率を減らすことができる一方で、組成物の強度が以前と同じであること、あるいは、強度が著しく増大される一方で、組成物中の樹脂比率が以前と同じであることが見出された。したがって、この場合、標準的な組成物は、組成物中に含まれる結合材の50%を変えることにより調整される。コーティングされた炭酸カルシウムスラリーが実験の基準として利用されるという必要性に起因して、類似により、標準的な組成物中における炭酸カルシウムの固体内容物が比較の組成物中で再発されて改質され、それにより、予め分散材に加えられていた乾燥充填材が、固体として見積もられた同じ量のスラリーと適切に置き換わる。この結果、適切に同じ量の結合材及び同じ量の無機充填材を伴う2つの同一の組成物が得られる。しかしながら、後者の場合、先の標準的組成物比率の前述したような部分は、本発明にしたがって新たに形成されたコーティングされた炭酸塩スラリーに取って代えられた。そのため、DINによる洗浄能力に基づき塗料の強度が適切に増大されることが明らかになった。本発明にしたがって充填材又は顔料を使用することにより形成される塗料は、明らかに改善された抵抗を有していた。
【0049】
他のケースにおいて、組成物中における樹脂含有量は、標準的な組成物と比べると重量で20%だけ減少された。組成物中に含まれる樹脂の残りの重量の80%は、絶対的な観点から、この残りの80重量%の半分を通常の標準的な分散材を加えることにより使用し且つ他の半分においては新規なプロセスに基づき本発明にしたがってコーティングされた炭酸塩スラリーを加えることにより使用することで置き換えられた。このケースにおいても、標準的なものと比べて洗浄能力が測定された。本発明にしたがって充填材又は顔料を使用して形成された塗料は、明らかに改善された抵抗を有していた。
【0050】
[接着剤産業]
織物又は他のフロアを接着するための典型的なフロア接着剤における接着剤組成物は、伝統的に、樹脂含有量が50%であるターポリマー分散材を35%の比率で含んでいる。
【0051】
この場合、結合材の一部が本発明に係る一部に取って代えられ、それにより、組成物中の樹脂の全体の比率は以前と同じままであり、また、組成物中における充填材の比率は標準的な組成物の場合と同じのままであった。強度が標準的なものよりも明らかな改善が見られた。
【0052】
このように形成された組成物は、既に規定された標準的な作り付けのカーペットを硬い地面の上に接着し、その後、このように接着された層を剥離するために力が必要であったものを互いに比較することにより使用された。本発明にしたがって充填材又は顔料を使用して形成された接着剤は、明らかに高い剥離力を有していた。
【0053】
[製紙産業]
製紙産業では、通常、表面コーティングのために、重量で約10%の高分子分散材(固体)を含むコーティング塗料が使用される。この場合、標準的なコーティング塗料は、重量で10%の高分子分散材(固体)を有する炭酸カルシウムに基づいていた。代替として、同じ量の炭酸塩及び結合材を用いて同じ組成物が形成されたが、結合材及び炭酸カルシウムの両方を本発明にしたがってコーティングされた炭酸カルシウムスラリーと適切に置き換えることにより前の組成物の一部が改質された。この場合、予め組成物中に成分として単に加えられた同じ高分子分散材がコーティングのために使用された。その後、コーティングの引張強さが標準的なもの或いは他のものと比較された。いずれの場合にも、未加工の紙が約14〜15g/mの前述した組成物でコーティングされた。引張強さは、どのコーティング膜が未加工の紙と良好に接続されるのかを示している。本発明にしたがって充填材及び顔料を使用する紙の引張強さは、標準的な充填材及び顔料と比べて明らかに高められた。
【0054】
ここで、これらの3つの例を用いると、アプリケーション技術に関しては、分散材と無機充填材とを単に混合するだけで、無機充填材の液相中のコーティングが、従来の用途よりもコーティングの強度値の明らかな改善を与えることを立証できる。
【0055】
本発明の特に好ましい用途は、特に製紙産業における残留水スラッジの使用に関するものである。
【0056】
製紙製造時には、コーティング塗料又はコーティング塗料成分の損失が、使用される材料の4重量%〜12重量%で生じる。
【0057】
これらの残りのコーティング塗料又は廃棄物は、主に、図の位置Aで、すなわち、
・コーティング凝集体上で、例えばプラントのグレード、中止、運転停止、始動を変えることにより、
・コーティング塗料の処理において、例えば、欠陥のあるバッチ、フィルタリングにおいて、
・未加工材料ストックにおいて、タンクローリの荷下ろし、コンテナの積み込み及び排出において、
得られる。
【0058】
そのような割り込みはクリーニング作業によって成し遂げられ、それにより、廃棄水は、通常、重量で約1〜2%の低い固体含有量のみを示す。廃棄物は、このケースの例の場合と同様、殆ど、位置Bにおける「残留物収集容器」で分離されることなく集められる。
【0059】
この時点で、製紙工場は、例えば以下のような異なるルートを選択できる。
a)ごみ集積場へのルート
殆どの場合、例えば本明細書で説明した適用ケースの場合、廃棄物は、例えば遠心分離機(位置C)又は沈殿プロセス(位置D)により凝集されて、脱水され、最大固体含有量(55%を超える)の状態に至って、この形態でごみ集積場に「捨てられる」。顔料や結合材などの貴重な出発原料が製造プロセスのために失われる。
b)本発明による紙コーティングプロセスへのリサイクル
炭酸カルシウム顔料の質は高められる。したがって、本発明は、製紙工場の製造サイクルに組み込まれる。
【0060】
最初に、廃棄物は、陽イオン生成物を加えることにより凝集される。顔料及び凝固された結合材が水から分離される。沈殿手段(位置D)又はデカンタ(位置E)がこの目的を果たしてもよい。また、位置Cにおける遠心分離機からの密度の高い遠心分離物質が使用されてもよく、得られたきれいな水が生成水として使用され、或いはそれに負荷を置くことなく処理プラントへ供給される。
【0061】
位置C,Dは、通常は製紙工場の一部であり、位置Eは本発明の一部である。本明細書で説明した適用ケースにおいて、工場自体の沈殿ファネルからの凝縮された廃棄物は粉砕プラントへ加えられる。後者は以下の要素から成る。
Pos.F 凝集され且つ凝縮された廃棄物のためのバッファ容器;
Pos.G CaCO粉末ストックのためのサイロ;
Pos.H 乾燥CaCOと廃棄物との混合物のためのミキサ
Pos.I CaCOスラリーのための貯蔵容器
Pos.K 2ステップボールミル
場合によってPos.L 場合によって、既に粉砕されたCaCOスラリーのための中間容器

【0062】
例えば本適用ケースでは、その後、以下の手続きが行なわれる。
・凝縮された廃棄物はバッファ容器F内に集められる。廃棄物が得られない場合、容器には水が満たされる。
・ミキサH内には、廃棄物及び場合によって分散材が充填され、その後、サイロGからのCaCO粉末が75〜80重量%固体で分散される。
・貯蔵容器I内には、中間的にスラリーが蓄えられ、このスラリーは、
・ボールミルKへと連続して供給され、ミル内では、粉砕補助の添加物と共に、スラリーが所望の細かい部分へと粉砕される。この炭酸カルシウムスラリーは、
・容器L内に中間的に蓄えられ、その後、粒径、固体含有量、粘性、pH値をチェックした後、コーティングキッチン内で同じスラリーが高分子分散材と混合される。また、このようにして製造されたコーティング塗料は、
・コーティング塗料の貯蔵容器M内へ搬送される。連続的な動作を使用すると、本発明に係るプロセスでは容器F,Iを省くこともできる。
【0063】
廃棄物が本発明にしたがって再利用されると、理論的には、顔料だけを分離してリサイクルすることができる。しかしながら、本発明に係るプロセスは結合材のリサイクルも行なう。これは、結合材と共に顔料を粉砕することは、形成される炭酸塩顔料の質にとって非常に重要だからである。結合材が、細かく分散された高分子分散剤のようなその当初の形態にあるかどうか、あるいは、球状塊のように凝集された、すなわち、凝固された状態にあるかどうかは重要ではない。なぜなら、結合材は、凝固材としてのその活性能力を有しているからである。粉砕中、結合材は、個々の粒子として或いは塊としてであろうとなかろうと、結合材の小球間の機械的な磨砕作業により顔料粒子上に擦り込まれ、高温により膜に変換される。このようにして、充填材又は顔料が結合材膜でコーティングされる。
【0064】
したがって、この結合材部分は、既にしっかりと固定されるとともに、もはや吸収性基質(未加工紙又は未加工ボール紙)中に吸収されなくなる可能性がある。吸収は、結合材の損失又は結合材中のコーティングの欠陥を意味し、したがって、例えば引張抵抗及び印刷光沢が低くなる。また、未加工紙中に吸収率が異なる領域が存在する場合には、吸収を不規則に行なうこともできる。これにより、印刷された画像がまだらになる。
【0065】
これに対し、既に結合材でコーティングされた紙/ボール紙に対して充填物又は顔料が塗布される場合、本発明に係るプロセスなどにおいては、この結合材の移動がない。結合材の「歩留まり」は高く、したがって、少ない結合材を使用して、更に密度の高いコーティング、更に高い引張抵抗、良好な印刷光沢が得られる。コーティング顔料が均一に分布されると、結合材も均一に分布され、それにより、印刷インクの受け入れが均一になり、まだらが解消される。これは、安定化された高分子分散材及び不安定化された結合材すなわち結合材凝集体の両方の形態を成す異なる結合材を用いた試み及び経験により明らかにされた。
【0066】
通常の製紙工場における本発明に係るプロセスの性能は、以下のように記載することができる。
【0067】
任意の所望サイズ、例えば50〜1000mのサイロは、均一な或いは場合によって異なる基本粒径分布を有する乾燥した充填材及び顔料、例えば炭酸カルシウムを収容して蓄えるのに役立つ。投与装置は、充填材及び/又は顔料粉末の排出を確保し、その後、場合によっては、浄化装置を場合によって有するデイリーサービスタンクへ搬送する。電子的に組み込まれた公式を用いたプログラム内蔵制御(SPC)により場合によって制御される1又は複数の粉末のための投与装置は、重量測定及び/又は容量分析により、製紙工場からの水、淡水又は白水と混合される成分の所要量を決定する。本発明によれば、残留水スラッジの濃度が高い場合に、淡水又は白水の一部又は全てを場合によって水の添加に取って代えるために、特に0.02〜50重量%の固体含有量を有する残留水スラッジが使用される。したがって、残留水スラッジを蓄えるための容器、及び使用される量を重量測定又は容量分析により決定する残留水スラッジ用の投与装置が更に必要とされる。また、粉末の形態を成す新しい顔料又は新しい充填材、新しい顔料を含む及び/又は新しい充填材を含むスラリー、残留水スラッジ/水、場合によっては粉砕補助材及び分散補助材又は他の補助材の混合物を受けるための容器も必要である。分散及び安定性調整のため、分散手段(溶解機)又は他の攪拌器が必要とされる。
【0068】
表面改質された充填材及び顔料の粉砕は、例えば700〜5000l以上の容量を有する通常の攪拌器ボールミル内で本発明にしたがって連続的に行なうことができる。特に1〜4mmの直径を有する粉砕媒体、好ましくはミリングボールが使用される。
【0069】
残留水スラッジの処理のため、通常、不純物(ボールクラッシング、分離材料、さび等)を分離するためのスクリーン、好ましくはふるい分けベンドが使用される。レーザ測定機器は、粉砕プロセス中に粉砕の細かさを決定して制御するのに役立つとともに、攪拌器ボールミルプラントのコンピュータを使った制御に役立つ。分散補助材及び粉砕補助材を攪拌器に対して事後投与するための他の投与注入手段も必要となる場合がある。顔料スラリーの排出後、20μmを越えるサイズを有する汚染物質を再び分離するためのスクリーンが必要となる場合がある。一般に、使用される新しい顔料及び/又は充填材料、特に炭酸カルシウム粉末は、90%を超えるDIN53163に従った乾燥型の白色度、特に95%を超える白色度を有しており、d97≦25μmの細かさで且つd97≦100μmを超えない細かさを持つとともに、≧98%の炭酸塩純度、≦1.0%のSiO含有量、特に≦0.2%のSiO含有量を有している。
【0070】
様々な量の例えば高分子分散材と混合された炭酸塩は、例えば直ぐに使用できるコーティングの固体含有量に調整できる固体含有量を有するスラリーへと粉砕される。場合によって、長時間にわたって顔料スラリーを一時的に蓄えなければならない場合には、固体含有量が更に高い値に調整されてもよい。スラリーの細かさは、主に、攪拌器ボールミル内での製造中におけるドウェル時間及び/又はエネルギ取り込みによって決定される。
【0071】
顔料スラリーの白色度は、特に、水又は残留水スラッジに対する新しい顔料の混合比によって、特に使用される新しい顔料のタイプによって決まる。
【0072】
[実施例]
実用的な試みにおいて、以下の試験を確認することができる。
・製紙機械を有し且つコーティング紙の年間生産量が100,000tの製紙工場
・プリコーティング及びトッピコーティングのためにコーティング凝集体がオンラインで供給される製紙機械
・プリコーティングのための細かさのグレードが#60のCaCOを20,000t含む40,000tの全顔料消費量
・廃棄物製造:3,200トン/年
・本発明に係るプロセスを実行するためのプラントの処理能力:CaCO(細かさ#60)を用いて24トン/日
・対象物:重量で75%の固体含有量において1tの廃棄物を伴う細かい顔料の20tの粉砕
*(#60の細かさとは、2μmよりも小さい粒子の重量で60%の比率を意味する)
【0073】
ミリングプラントの集積は、既に高分子分散材を収容するバッファ容器F内での約40重量%まで凝縮された既に凝集された廃棄物の収集から始まる。
【0074】
ミキサH内に廃棄物及び分散材が満たされ、75重量%の固体が得られるまで、乾燥したCaCO(30グレード)がサイロGから供給された。得られた懸濁液は貯蔵容器I内に圧送された。この場合、顔料に基づいて、1.8重量%の市販の粉砕補助材(ポリアクリレート)が加えられた。
【0075】
ここで、貯蔵容器Iから2ステップボールミルKに連続的に供給された。30グレードCaCOが60グレードCaCOまで粉砕された。粉砕のために、1トン当たり85kWを使用しなければならなかった。このように形成された60グレードスラリーは、粒径、粘性、固体含有量、pH値が定められるまで中間容器L内に蓄えられ、その後、コーティングキッチンのプリコーティング顔料のための貯蔵容器M内へ圧送された。その後、プリコーティング顔料は、約16重量%(市販製品)の市販の高分子分散材(Acronal(登録商標))と混合され、それにより、プリコーティング塗料が得られる。
【0076】
本明細書で説明した適用ケースにおいて、作業試行におけるプリコーティング塗料は、60重量%の標準的な60細度グレード炭酸塩と、40重量%の60細度グレードAlphaCarb(登録商標)とから成っていた。40重量%の後者の部分は、15重量%の廃棄物と、25重量%の30細度グレードCaCOとから成っており、これにより、プリコーティング塗料中の廃棄物の比率は、廃棄物の約7重量%であった。820m/分のコーティング速度で、10〜11g/m/sideがプリコーティングのフィルムプレスに加えられた。フィルムプレス上のコーティング塗料のその後の性質に問題はなく、ストリークを伴うことなくトップコートが塗布された。
【0077】
このようにコーティングされた試験製品が標準的なコーティング紙と比較された。
【0078】
[結果]
標準的な60グレード顔料を用いたコーティングと比較して、本発明に係る顔料を有するコーティングは、以下を生じた。
・スコア2と比べるとスコア1のオフセット試験において高い引張抵抗があった;
・75の印刷インク光沢と比べると、印刷インク光沢が82と高かった;
・Prufbau吸収試験後に約15sだけ印刷インクの吸収作用が遅かった;
・スコア3に比べて、スコア2の印刷均一性(視覚により評価した)が良好であった。
【0079】
また、本発明に係るプロセスにより形成された紙を使用する光学及び知覚試験では、試験紙に関して優れた品質が得られた。
【0080】
コーティング塗料を伴うCaCOの粉砕例
2μm未満の90重量%を越える微粉含有量を有する炭酸カルシウム顔料スラリーを形成するため、軟化剤及び溶媒が無い、n−ブチルアクリレート、アクリロニトリル及びスチレンに基づく陰イオン共重合体水溶液分散材(Acronal(登録商標)S360D)が、Calcicell(登録商標)30を使用するボールミルで使用された。この高分子分散材は、約50重量%の固体含有量と、約8のpH値とを有していた。
【0081】
スラリー中の炭酸カルシウムCalcicell(登録商標)30の量は75重量%であった。ミリングボールのように、1.6〜2.5mmの直径を有するSAZボールが使用された。ミルの有効容積は3lであった。電力は、400〜1500rpmの回転/分において1.3kWであった。
【0082】
表1に示された量の炭酸カルシウム及び水に対して、濃縮されたコーティング塗料(68.7重量%の固体含有量)が加えられた。スラリーを形成するため、1重量%の前述した高分子分散材(計算ベース:充填材比率)がそれぞれ蓄積物に対して加えられた。
【0083】
以下の表1は、実験プログラムを示している。
【表1】

【0084】
使用された材料の細度は、Cilas装置を用いたレーザ回折方法により決定された。
【0085】
使用された未加工炭酸カルシウムの測定値

D50 4.63μm
D100 27.83μm
1μm未満 15.30%
2μm未満 30.20%

【0086】
使用されたコーティング塗料の測定値

D50 1.17μm
D100 9.95μm
1μm未満 41.50%
2μm未満 76.10%

【0087】
[実施例2]
以下の分析結果が純水を用いて得られた。

ボール容積 2.0l
スラリー体積 0.9l
回転/分 約1100rpm

【0088】
粒径分布を測定するためのサンプルは、20,40,60,80,100,120分後に取得された。粉砕試行中、ミルが水で冷却された。
【表2】

【0089】
120分後のスラリーからの充填材の明度(Elrepho測定装置)

Rx=90.3 /Ry=90.1 /Rz=88.8 /BGW=−1.7

【0090】
粘度測定値(120分後のサンプル)

温度 20℃
粘度計 Brookfield HBTD

【表3】

【0091】
[実施例3]
【表4】

【0092】
[実施例4]
【表5】

【0093】
110分後のスラリーからの充填材の明度(Elrepho測定装置)

Rx=92.2 /Ry=92.0 /Rz=90.7 /BGW=−1.6

【0094】
粘度測定値(110分後のサンプル)

温度 20℃
粘度計 Brookfield HBTD

【表6】

【0095】
[実施例5]
【表7】

【0096】
120分後のスラリーからの充填材の明度(Elrepho測定装置)

Rx=92.4 /Ry=92.2 /Rz=90.9 /BGW=−1.6

【0097】
粘度測定値(120分後のサンプル)

温度 20℃
粘度計 Brookfield HBTD

【表8】

【0098】
[実施例6]
【表9】


40μmスクリーンで僅かなオーバーサイズ、泡立ち、ボールの僅かな凝集

【0099】
120分後のスラリーからの充填材の明度(Elrepho測定装置)

Rx=91.7 /Ry=91.6 /Rz=90.4 /BGW=−1.4

【0100】
粘度測定値(120分後のサンプル)

温度 20℃
粘度計 Brookfield HBTD

【表10】

【0101】
[実施例7]
【表11】


例6よりも大きい40μmスクリーンでのオーバーサイズ、更に多い泡立ち、ボールの強い凝集

【0102】
120分後のスラリーからの充填材の明度(Elrepho測定装置)

Rx=90.6 /Ry=90.4 /Rz=89.1 /BGW=−1.7

【0103】
粘度測定値(120分後のサンプル)

温度 20℃
粘度計 Brookfield HBTD

【表12】



【表13】

【0104】
120分後のスラリーからの充填材の明度(Elrepho測定装置)

Rx=92.0 /Ry=91.8 /Rz=90.9 /BGW=−1.2

【0105】
粘度測定値(120分後のサンプル)

温度 20℃
粘度計 Brookfield HBTD

【表14】

【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明のプロセスが適用可能なシステムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の粒径の表面改質された無機充填材又は顔料を形成するためのプロセスにおいて、
高分子分散材を使用して、圧力及び剪断力の作用を用いて、無機充填材又は顔料の充填材スラリー又は顔料スラリーが、所望の粒径まで粉砕され、前記充填材及び/又は顔料が、充填材又は顔料に基づき、0.1〜2.0重量%の量のそれ自体知られた粉砕補助材及び/又は分散材(活性材料)と更に接触されることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
天然及び/又は沈殿炭酸カルシウム、カオリン、人工及び/又は天然珪酸アルミニウム、酸化物水和物、二酸化チタン、サテンホワイト、白雲石、雲母、金属薄片、特にアルミニウム薄片、ベントナイト、ルチル、水酸化マグネシウム、石膏、シートシリケート、滑石粉、ケイ酸カルシウム、他の岩石及び土又はこれらの混合物が粉砕されることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
スラリーに基づいて充填材又は顔料の含有量が10〜90重量%、特に30〜70重量%の充填物スラリー又は顔料スラリーが使用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
水相又は非水相中で特に0.005〜6μmの粒径を有する天然及び/又は合成高分子から選択される高分子分散材が使用されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
天然ゴム、合成ゴム、人工樹脂、プラスチック材料から選択され、特にポリウレタン、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリル酸又はアクリルエステル、スチレン/ブタジエン/アクリル酸又はアクリルエステル、及びビニルアセテート/アクリル酸又はアクリルエステルに基づく高分子分散材が使用されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記充填材及び/又は顔料が、顔料の量に基づき0.1〜50重量%、特に5〜15重量%の量の高分子分散材(固体)と接触されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記充填材及び/又は顔料がポリアクリレートと接触されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記分散材が、前記充填材又は顔料に基づき0.2〜0.4重量%の量の充填材又は顔料と接触されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記充填材スラリー及び/又は顔料スラリーが、コーティングプラント廃水、脱インクプラント、内部水処理プラント又は紙、塗料、接着剤のセパレータ又は他の工場からの残留水スラッジを含むコーティング顔料スラリー、及び/又は、充填材及びコーティング顔料と接触されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
充填材及び/又は顔料含有量に対する繊維含有量の比率が2〜98重量%から98〜2重量%である残留水スラッジを含むコーティング顔料スラリー及び/又は充填材及び/又はコーティング顔料が使用されることを特徴とする、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
固体濃度が0.02〜80重量%、特に20〜70重量%の残留水スラッジを含むコーティング顔料スラリー及び/又は充填材及び/又はコーティング顔料が使用されることを特徴とする、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
10〜95重量%、特に40〜80重量%の固体含有量を有する充填材及び/又は顔料スラリーを形成するための、請求項1〜11に記載のプロセス。
【請求項13】
スラリーの前記充填材及び/又は顔料が、それぞれ等しい直径に基づき、10μm未満の粒子の10〜99重量%の粒径分布、特に1μm未満の粒子の10〜95重量%の粒径分布まで粉砕されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
スラリーの前記充填材及び/又は顔料が、それぞれ等しい直径に基づき、
a)20μm未満の粒子の95〜100重量%の粒径分布、及び/又は、
b)2μm未満の粒子の50〜100重量%の粒径分布、特に2μm未満の粒子の50〜95重量%の粒径分布、及び/又は、
c)1μm未満の粒子の27〜99重量%の粒径分布、特に1μm未満の粒子の27〜75重量%の粒径分布、及び/又は、
d)0.2μm未満の粒子の0.1〜55重量%の粒径分布、特に0.2μm未満の粒子の0.1〜35重量%の粒径分布、
まで粉砕されることを特徴とする、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
請求項1〜14に記載のプロセスによって得られる表面改質された無機充填材及び/又は顔料。
【請求項16】
製紙産業のための分散塗料、接着剤、コーティング又はコーティング組成物、特に、枚葉オフセット印刷、回転オフセット印刷、凹版印刷、ボール紙及び特殊紙などの様々なセグメントのためのコーティング組成物を形成するための、請求項15に記載の表面改質された無機充填材及び/又は顔料の使用。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2007−537320(P2007−537320A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512209(P2007−512209)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052112
【国際公開番号】WO2005/111153
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(503400374)アルファ カルツィット フィルシュトッフ ゲゼルシャフト エム・ベー・ハー (2)
【Fターム(参考)】