説明

表面洗浄装置

【課題】 製造コストを従来より下げることができる表面洗浄装置を提供する。
【解決手段】 表面洗浄装置は、板状の対象物であるプリント基板90の表面90bに付着しているゴミ92を吸着する粘着ラバーロール21、26と、プリント基板90を粘着ラバーロール21、26に対して移動させる丸ベルト79と、丸ベルト79が架けられたプーリであって粘着ラバーロール21、26との接触によって駆動されるプーリ76、77とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を組み込むプリント基板、液晶パネル等の樹脂薄板製品及びそれらの原材料となるフィルム材料製品などの板状の対象物の表面を洗浄する表面洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の表面洗浄装置として、板状の対象物の表面に付着しているゴミを吸着する粘着ラバーロールと、粘着ラバーロールに付着したゴミを転写する粘着テープロールと、対象物を粘着ラバーロールに対して移動させるベルトと、ベルトのうち粘着ラバーロールから押される部分である押圧部を支持することによってベルトの垂れを防止するベルト支えベースと、ベルトを駆動するベルト駆動プーリとを有する表面洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−329719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の表面洗浄装置においては、粘着ラバーロールと、ベルト駆動プーリとが同一のモータによって駆動される場合、モータから粘着ラバーロールへの動力の伝達機構と、モータからベルト駆動プーリへの動力の伝達機構とが別々であると、構造が複雑となって製造コストが高くなるという問題がある。
【0004】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、製造コストを従来より下げることができる表面洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の表面洗浄装置は、板状の対象物の表面に付着しているゴミを吸着する粘着ロールと、前記対象物を前記粘着ロールに対して移動させるベルトと、前記ベルトが架けられたプーリであって前記粘着ロールとの接触によって駆動される駆動プーリとを有することを特徴とする。
【0006】
この構成により、本発明の表面洗浄装置は、駆動プーリが粘着ロールとの接触によって駆動されるので、モータから駆動プーリへの動力の伝達機構が従来より簡素化されて、製造コストを従来より下げることができる。
【0007】
また、本発明の表面洗浄装置は、前記粘着ロールの延在方向における位置を調整可能な位置調整部材を有し、前記駆動プーリは、前記位置調整部材に支持されていることが好ましい。
【0008】
この構成により、本発明の表面洗浄装置は、取り扱うことができる対象物の幅の範囲を拡大することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、製造コストを従来より下げることができる表面洗浄装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
まず、本実施の形態に係る表面洗浄装置の構成について説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態に係る表面洗浄装置10は、地面に設置される台11と、台11上に立てられたフレーム12、13と、表面90aに複数の電子部品91が実装されている板状の対象物としてのプリント基板90の表面90aに対向する表面90bに付着しているゴミ92(図2参照。)を洗浄する洗浄装置20と、洗浄装置20を駆動する駆動装置50と、プリント基板90を搬送する搬送装置60とを有している。
【0013】
なお、搬送装置60は、プリント基板90の表面90aや電子部品91への接触を避けるために、プリント基板90のフレーム12側の端部90cと、プリント基板90のフレーム13側の端部90dとにのみ接触するようになっている。
【0014】
洗浄装置20は、プリント基板90の表面90bに付着しているゴミ92を吸着する粘着ロールとしての粘着ラバーロール21と、粘着ラバーロール21を回転可能に支持するとともにフレーム12、13に上下方向に移動可能に支持されたロールスライダ22、23と、プリント基板90の表面90bに付着しているゴミ92を吸着する粘着ロールとしての粘着ラバーロール26(図2参照。)と、粘着ラバーロール26を回転可能に支持するとともにフレーム12、13に上下方向に移動可能に支持された図示していないロールスライダと、粘着ラバーロール21、26に付着したゴミ92を吸着して粘着ラバーロール21、26の表面を常に清潔な状態に保つ粘着テープロール31と、粘着テープロール31を回転可能に支持するとともにフレーム12、13に上下方向に移動可能に支持されたテープスライダ32、33と、フレーム12、13に固定されてテープスライダ32、33を下方向に加圧する圧縮空気用エアーシリンダ41、42とを有している。
【0015】
駆動装置50は、粘着ラバーロール21、26を回転させる駆動力を発生させるモータ51と、モータ51の出力軸に固定された歯車52と、粘着ラバーロール21に固定されて歯車52に噛み合う歯車53と、粘着ラバーロール26に固定されて歯車52に噛み合う図示していない歯車とを有している。
【0016】
図3に示すように、搬送装置60は、粘着ラバーロール21、26(図2参照。)と同一方向に延在してフレーム12、13(図1参照。)に固定された搬送ベース61と、搬送ベース61に嵌まる溝部71a(図2参照。)を有し粘着ラバーロール21、26の延在方向における位置を調整可能である位置調整部材としての搬送側板71と、搬送側板71を搬送ベース61にネジ72a(図2参照。)によって固定するネジ付きノブ72(図2参照。)と、フレーム13側に突出して搬送側板71に固定された軸73a〜73dと、軸73a〜73dにそれぞれ軸受74a〜74dを介して回転可能に支持されたプーリ75〜78と、プーリ75〜78に架けられてプリント基板90(図2参照。)を粘着ラバーロール21、26に対して移動させるベルトである丸ベルト79と、搬送ベース61に嵌まる図示していない溝部を有し粘着ラバーロール21、26の延在方向における位置を調整可能であり搬送側板71に対してフレーム13側に配置された位置調整部材としての搬送側板81と、搬送側板81を搬送ベース61に図示していないネジによって固定するネジ付きノブ82(図1参照。)と、フレーム12側に突出して搬送側板81に固定された軸83a〜83dと、軸83a〜83dにそれぞれ軸受84a〜84dを介して回転可能に支持されたプーリ85〜88と、プーリ85〜88に架けられてプリント基板90を粘着ラバーロール21、26に対して移動させるベルトである丸ベルト89とを有している。
【0017】
搬送ベース61は、粘着ラバーロール21、26と同一方向に延在した穴部61aを有している。穴部61aは、ネジ付きノブ72のネジ72aやネジ付きノブ82のネジが通されている。
【0018】
図2に示すように、プーリ76は、丸ベルト79のうち粘着ラバーロール21からプリント基板90を介して押される部分である押圧部79aを支持するようになっている。プーリ77は、丸ベルト79のうち粘着ラバーロール26からプリント基板90を介して押される部分である押圧部79bを支持するようになっている。同様に、プーリ86(図3参照。)は、丸ベルト89(図3参照。)のうち粘着ラバーロール21からプリント基板90を介して押される部分である押圧部を支持するようになっている。プーリ87(図3参照。)は、丸ベルト89のうち粘着ラバーロール26からプリント基板90を介して押される部分である押圧部を支持するようになっている。
【0019】
また、図4に示すように、プーリ76は、丸ベルト79に対してフレーム12(図1参照。)側にツバ76aを有している。ツバ76aは、外周面76bで粘着ラバーロール21に接触して粘着ラバーロール21によって駆動されるようになっており、フレーム13(図1参照。)側の端面76cでプリント基板90の端部90cに接触してプリント基板90を搬送方向にガイドするようになっている。同様に、図3に示すように、プーリ77は、丸ベルト79に対してフレーム12(図1参照。)側にツバ77aを有している。ツバ77aは、外周面77bで粘着ラバーロール26(図2参照。)に接触して粘着ラバーロール26によって駆動されるようになっており、フレーム13(図1参照。)側の端面77cでプリント基板90(図1参照。)の端部90c(図1参照。)に接触してプリント基板90を搬送方向にガイドするようになっている。即ち、プーリ76、77は、本発明の駆動プーリを構成している。
【0020】
また、プーリ86、87は、丸ベルト89に対してフレーム13側にそれぞれツバ86a、87aを有している。ツバ86a、87aは、外周面86b、87bで粘着ラバーロール21、26に接触して粘着ラバーロール21、26によって駆動されるようになっており、フレーム12側の端面86c、87cでプリント基板90の端部90d(図1参照。)に接触してプリント基板90を搬送方向にガイドするようになっている。即ち、プーリ86、87は、本発明の駆動プーリを構成している。
【0021】
次に、表面洗浄装置10の動作について説明する。
【0022】
図1に示すように、モータ51の出力軸が図2における反時計回りに回転させられると、粘着ラバーロール21は、歯車52、歯車53を介してモータ51の駆動力が伝達されて図2における時計周りに回転する。同様に、粘着ラバーロール26は、歯車52、図示していない歯車を介してモータ51の駆動力が伝達されて図2における時計周りに回転する。
【0023】
粘着ラバーロール21が図2における時計周りに回転すると、プーリ76、86は、ツバ76aの外周面76b、ツバ86aの外周面86bで粘着ラバーロール21に接触しているので、粘着ラバーロール21の回転に伴って図2における反時計回りに回転する。また、粘着ラバーロール26が図2における時計周りに回転すると、プーリ77、87は、ツバ77aの外周面77b、ツバ87aの外周面87bで粘着ラバーロール26に接触しているので、粘着ラバーロール26の回転に伴って図2における反時計回りに回転する。
【0024】
プーリ76、77が図2における反時計回りに回転すると、丸ベルト79は、プーリ76、77に架けられているので、プーリ76、77の回転に伴って図2における反時計回りに回転する。同様に、丸ベルト89も、プーリ86、87の回転に伴って図2における反時計回りに回転する。
【0025】
なお、プーリ75、78は、丸ベルト79が架けられているので、丸ベルト79の回転に伴って図2における反時計回りに回転させられる。同様に、プーリ85、88は、丸ベルト89が架けられているので、丸ベルト89の回転に伴って図2における反時計回りに回転させられる。
【0026】
丸ベルト79、89が図2における反時計回りに回転すると、プリント基板90は、端部90cが丸ベルト79に載せられており、端部90dが丸ベルト89に載せられているので、丸ベルト79、89の回転に伴って図2における左方向に移動する。
【0027】
プリント基板90は、図2における左方向に移動するとき、搬送方向からずれて移動すると、プーリ76のツバ76aの端面76c、プーリ77のツバ77aの端面77c、プーリ86のツバ86aの端面86c又はプーリ87のツバ87aの端面87cに接触して搬送方向に移動させられる。
【0028】
そして、プリント基板90は、図2における時計回りに回転する粘着ラバーロール21、26によって表面90b上のゴミ92が吸着される。
【0029】
粘着テープロール31は、粘着ラバーロール21、26に接触しているので、粘着ラバーロール21、26が図2における時計回りに回転すると、粘着ラバーロール21、26の回転に伴って図2における反時計回りに回転する。したがって、粘着テープロール31は、粘着ラバーロール21、26に付着したゴミ92を吸着して粘着ラバーロール21、26の表面を常に清潔な状態に保つ。
【0030】
なお、丸ベルト79、89は、プリント基板90、粘着ラバーロール21、26及び粘着テープロール31を介して圧縮空気用エアーシリンダ41、42によって図2における下方向に加圧されるが、プーリ76、77、86、87によって支持されているので垂れない。
【0031】
次に、プリント基板90の幅が変更された場合の表面洗浄装置10の調整について説明する。
【0032】
搬送装置60は、ネジ付きノブ72、82が緩められた後、プリント基板90の幅に合わせて図5に示すように搬送側板71、81の位置が調整される。
【0033】
なお、搬送側板71は、溝部71a(図2参照。)が搬送ベース61に嵌まることによって、搬送側板81との平行度を維持できるようになっている。同様に、搬送側板81は、図示していない溝部が搬送ベース61に嵌まることによって、搬送側板71との平行度を維持できるようになっている。
【0034】
そして、搬送装置60は、ネジ付きノブ72、82(図1参照。)が再び締められることによって、搬送ベース61に搬送側板71、81が固定される。
【0035】
なお、搬送装置60は、図6に示すように例えばプーリ75の位置を変更することによってプリント基板90の搬送距離を変更することもできる。
【0036】
以上に説明したように、表面洗浄装置10は、プーリ76、77、86、87が粘着ラバーロール21、26との接触によって駆動されるので、モータ51からプーリ76、77、86、87への動力の伝達機構が従来より簡素化されて、製造コストを従来より下げることができる。
【0037】
また、表面洗浄装置10は、粘着ラバーロール21、26の延在方向における丸ベルト79、89の位置を調整可能であるので、取り扱うことができるプリント基板90の幅の範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る表面洗浄装置の正面図
【図2】図1のI−I矢視断面図
【図3】図1に示す表面洗浄装置の搬送装置の一部破断上面図
【図4】図3に示す搬送装置の一部の正面断面図
【図5】図1に示す表面洗浄装置の搬送装置の一部破断上面図であって、図3に示す状態とは異なる状態での図
【図6】図1のI−I矢視断面図であって、図2に示す状態とは異なる状態での図
【符号の説明】
【0039】
10 表面洗浄装置
21、26 粘着ラバーロール(粘着ロール)
71 搬送側板(位置調整部材)
76、77 プーリ(駆動プーリ)
79 丸ベルト(ベルト)
81 搬送側板(位置調整部材)
86、87 プーリ(駆動プーリ)
89 丸ベルト(ベルト)
90 プリント基板(板状の対象物)
90b 表面
92 ゴミ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の対象物の表面に付着しているゴミを吸着する粘着ロールと、前記対象物を前記粘着ロールに対して移動させるベルトと、前記ベルトが架けられたプーリであって前記粘着ロールとの接触によって駆動される駆動プーリとを有することを特徴とする表面洗浄装置。
【請求項2】
前記粘着ロールの延在方向における位置を調整可能な位置調整部材を有し、
前記駆動プーリは、前記位置調整部材に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の表面洗浄装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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