説明

袋に入れて納入される無菌キャップをボトルまたは類似のものの充填装置に供給する装置。

本発明は、袋に入れて納入される無菌キャップをボトルまたは類似のもの用の充填装置に供給するための装置で、袋用の入口開口部(2)、キャップ用の出口開口部(3)、殺菌装置(4)を有するハウジング(1)を備えている装置に関するもので、そのときハウジング(1)内に袋を移送するコンベア装置(5)が設けられており、袋用のコンベア装置が吊り下げコンベア(5)として構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブルによる、無菌キャップを供給するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置は既に使用されており、その装置ではコンベア装置が、上に袋が載るマットチェーンとして構成されている。
【0003】
この公知の装置を使う場合には、部分的に袋の外側面がマットチェーンにより隠れるから、袋の完全な殺菌が不可能である。よって、ハウジング内で袋を開けた後に出て来るキャップが、袋について持ち込まれたバイ菌により再度汚染されることを排除できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、最初に述べた種類の装置において簡単な手段により、袋を開けた後のキャップの再汚染を確実に防ぐことである。
【課題を解決する手段】
【0005】
本発明によればこの課題を、袋用のコンベア装置を吊り下げコンベアとして構成することにより解決する。
【0006】
以上のようにすることで袋の外側面は、実際的に完全に接近可能となり、殺菌装置内で完全に殺菌することができる。よって、充填装置に至る出口開口部を通過する前にキャップが汚染されることが排除される。
【0007】
本発明による利点ある別の構成は、従属請求項に記載されている。
【0008】
特に利点があるのは、従属請求項4と5に記載のように、ハウジングの外側に設けた駆動手段による吊り下げコンベアの磁石駆動である。これにより、ハウジングの密封化が特に簡単になり、吊り下げコンベアにおけるハウジング内で循環する範囲が、常に無菌で保たれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下において本発明の実施例を、図面を使って説明する。
【0010】
図1〜4による装置は、清涼飲料水をボトルに無菌充填する充填装置Aに、袋Sに入れて納入されたキャップVを送り込むために装備されている。対象となるのは、好ましくは再封緘できる飲用キャップ(スポーツキャップ)である。この種の飲用キャップには届きにくい空間があり、浸漬タンクまたは類似のもので行う通常の殺菌では、充分に殺菌されないことがある。よって、この種の飲用キャップをプラスチック製の屈曲自在な袋に入れて密封し、ガンマ線を使って殺菌することが一般的である。また二重の袋を使って、輸送中の主な汚れを外側の袋で対応することも一般的である。
【0011】
本装置は、基本的に矩形断面をした縦長ハウジング1を有しており、その右正面側には封緘された袋Sのための入口開口部2が、その反対正面側には袋Sから取り出された無菌キャップVのための出口開口部3が構成されている。入口開口部2には短いローラーコンベア6が設けられており、そのコンベアはハウジング2に対して一部が内側に、そして一部が外側にある。それにより、ハウジング1内に袋Sを手で投入することが容易になる。
【0012】
ハウジング1の上側には、正確に云えば、その水平なカバープレート7に、袋S用の吊り下げコンベア5が設けられている。吊り下げコンベア5は、カバープレート7の内側ないし下側に固定された楕円軌道のガイドレール8を有しており、そのレールにより複数の個別走行体9がローラー10を介して走行可能状態でガイドされている。各走行体9はその下側に、袋Sを吊り下げて移送するための受け部11、例えばフック(図5)または水平方向の複数プラグ(図3)を有している。それぞれの走行体9の上側に永久磁石12が固定されており、その磁石は僅かな間隔でカバープレート7の下方に位置している。
【0013】
カバープレート7の上側ないし外側には、ガイドレール8の上に重なるエンドレスのリンクチェーン13が、二つの方向転換ホイル14,15と共に配置されており、そのリンクチェーンも同じく永久磁石16を備えている。この永久磁石はカバープレート7の直ぐ上にあり、走行体9の永久磁石12と対応する。それにより、図1による矢印方向にリンクチェーン13が循環するときには、走行体9が磁力により一緒に動く。リンクチェーン13の駆動は、方向転換ホイル15の一つを動かすモーターMにより行う。
【0014】
モーターMは、自動的または手動制御のいずれかで間歇的に駆動するのが好ましく、そのときリンクチェーン13は、各動作ストロークで二つの走行体9の間隔tの1倍または複数倍だけ進む。間隔tは、袋Sの最大幅より幾分大きい。
【0015】
リンクチェーン13は、走行体9と同じく、図示していないローラーを介して図示していないガイドレール上で案内されていることがある。またチェーンは、走行体9に設けられているより多い数の永久磁石16を有していることがあり、それにより走行体9の間隔を変えることができる。
【0016】
図1において右から左へ、すなわち入口開口部2から出口開口部3に向かう走行体9の循環範囲に沿って、装置の基本的な作業ステーションが設けられている。入口開口部2まで少なくとも一つの袋幅の間隔を有して、最初に殺菌装置4がある。この中で多数のノズルを使ってあらゆる方向から、そこにある袋Sに過酸化酢酸水溶液を強力に噴霧する。殺菌装置4の下方に殺菌溶液用の受けパン17が設けられているが、それがハウジング1の全長に亘って延伸していると好ましい。
【0017】
次に来るのは乾燥装置18であり、その中でそれぞれの袋Sは、あらゆる方向から多数のノズルから暖かい殺菌エアーを強力に吹き付けられる。
【0018】
最後にケーシング1の端で取り出し装置19が続いており、その装置には作業者が使う弾力のある掴み手袋が二つ固定されているので、適切な工具を使って袋Sを下方端部で切開することができる。さらに取り出し装置19には、袋Sから落ち出るキャップVを受けて、これを振動コンベア21または類似のものに供給するホッパー20がある。このコンベアは全面が密封されており、まわりを取り囲んだ充填装置Aにキャップを送り出す。
【0019】
入口開口部2と殺菌装置4の間には排気装置22が配置されており、殺菌剤蒸気の流出を防ぐ。さらに、入口開口部2の範囲および出口開口部3の範囲にはそれぞれ、無菌エアーを吹き付けるための装置23,24を設けており、ハウジング内に汚染した周囲の空気が入り込むことを確実に防ぐ。
【0020】
殺菌装置4の密封度をアップするために、この装置の入口部および/または出口部に、それぞれゲート25,26を設けていることがある。各ゲートは、最も簡単な場合には一つまたは二つのトラップドアで構成し、それが袋Sにより開けられ、その後にバネ力により閉じられる。
【0021】
開けられて空にされた袋Sは、図1では左方から右方に、すなわち出口開口部3から入口開口部2に向かう循環範囲に沿って入口開口部2に戻り、そこで作業者が受け部11から取り出し、そして詰まった袋Sと置き換えられる。
【0022】
キャップVが所謂二重袋Sで納入される場合には、受け部11に内側の袋Sを吊り下げる直前に外側の袋を取り除く。このようにすることにより、輸送に起因する大きな汚れが装置に到達することが防がれるので、殺菌せねばならないのは非常にクリーンな、ないしバイ菌の少ない内側の袋のみとなる。
【0023】
図5の装置では、ハウジング1が固定した分離壁27により、ほぼ同じ大きさのチャンバーK1,K2に区分されている。それぞれのチャンバーは、ゲート25,26により閉じ込め可能な独自の入口開口部2を、そして分離壁27の近くにホッパー20が付いた独自の出口開口部3を有している。その他に、それぞれの入口開口部にはローラーコンベア6が設けられている。それぞれのチャンバーの上側には、独自の吊り下げコンベア5が設けられており、そのコンベアは構造的に図3と4の吊り下げコンベアに相当する。その他に、両方のチャンバーには殺菌装置4が交互に接続され、例えばH蒸気がチャンバー内に吹き込まれる。
【0024】
以上に記載した図5の装置を使うことにより、チャージ毎の運転が可能である。すなわち両方のチャンバーK1とK2を交互に使用して、一方でそれぞれのゲート25,26を閉じて殺菌剤を当てる、あるいは他方でゲート25,26を開けて、詰まった袋Sを投入し空の袋Sを取り出す。そして空にするためには、十分な殺菌時間後に吊り下げコンベア5を間歇運転して、袋Sを前後連ねてホッパー20上に送って、切開し空にする。
【0025】
袋Sにあらゆる方向から接近できることから、以上に記載の装置により強力な処理と殺菌が可能となるので、汚染されたキャップVが充填装置Aに供給されることが確実に防がれる。同時に、吊り下げコンベア5でハウジング1内部の殺菌装置にある範囲が常に殺菌される一方、吊り下げコンベア5の外側にある駆動範囲は、磁石により力を伝達するので通常の環境に配置することができ、よって殺菌する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】キャップを供給する装置の概略上部外観図である。
【図2】図1による装置の側面外観図である。
【図3】吊り下げコンベアの一部を拡大した側面外観図である。
【図4】図1〜3による装置ハウジングの拡大上部外観図である。
【図5】二つの吊り下げコンベアおよび二つの殺菌チャンバーを有する装置の概略側面外観図である。
【符号の説明】
【0027】
A 充填装置 K1,K2 チャンバー
M モーター S 袋
V キャップ 1 ハウジング
2 入口開口部 3 出口開口部
4 殺菌装置 5 吊り下げコンベア
6 ローラーコンベア 7 カバープレート
8 ガイドレール 9 走行体
10 ローラー 11 受け部
12 永久磁石 13 リンクチェーン
14 方向転換ホイル 15 方向変換ホイル
16 永久磁石 17 受けパン
18 乾燥装置 19 取り出し装置
20 ホッパー 21 振動コンベア
22 排気装置 23 エアー吹き込み装置
24 エアー吹き込み装置 25 ゲート
26 ゲート 27 分離壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋(S)に入れて納入される無菌キャップ(V)をボトルまたは類似のもの用の充填装置(A)に供給するための装置で、袋用の入口開口部(2)、キャップ用の出口開口部(3)、殺菌装置(4)を有するハウジング(1)を備えており、ハウジング内に袋を移送するコンベア装置(5)が設けられている装置において、
袋(S)用のコンベア装置が、吊り下げコンベア(5)として構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
吊り下げコンベア(5)が相次いで、袋(S)用の殺菌装置(4)、袋(S)用の乾燥装置(18)、キャップ(V)用の取り出し装置(19)を通過することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
吊り下げコンベア(5)が、ハウジング(1)内部に配置したエンドレスガイド(8)およびこれに可動状態で支承された走行体(9)を有しており、そのとき走行体(9)には袋(S)を吊り下げて移送するための受け部(11)、殊にフックまたはピンが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
走行体(9)が磁石(12)を備えており、その磁石はハウジング(1)の外側に配置され駆動可能な磁石(16)と一緒で機能することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
ハウジング(1)の外側に配置された磁石(16)が、二つの方向転換ホイル(14,15)を介して循環するエンドレスのリンクチェーン(13)に配置されており、ホイルの一つがモーター(M)により駆動可能であることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
吊り下げコンベア(5)が、入口開口部(2)の範囲で袋(S)用のローラーコンベア(6)と、出口開口部(3)の範囲でキャップ(V)用ホッパー(20)と重なっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
分離した二つの殺菌チャンバー(K1,K2)が設けられており、それらのそれぞれが独自の吊り下げコンベア(5)、独自の入口開口部(2)、独自の出口開口部(3)を有しており、両方のチャンバーを交互に殺菌装置(4)に接続できることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
両方のチャンバー(K1,K2)が、中間に分離壁(27)を介してハウジング(1)内に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
それぞれのチャンバー(K1,K2)の入口開口部(2)が、独自のゲート(25,26)により閉じることができることを特徴とする請求項7または8に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−531429(P2008−531429A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555473(P2007−555473)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000434
【国際公開番号】WO2006/089603
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(591034383)クロネス・アクチェンゲゼルシャフト (35)
【氏名又は名称原語表記】KRONES AG
【Fターム(参考)】