説明

袋詰め包装機

【課題】レーストラック形軌道に沿って連続移動する多数組のグリッパーを有し、グリッパーが一回転する間に袋の供給、被充填物の充填、袋口のシール等の包装操作が行われる袋詰め包装機において、万一ホッパーに被充填物の詰まりが発生した場合でも、生産性を低下させずに自動的に詰まりを解消できるようにする。
【解決手段】昇降式ホッパー41の下部にホッパー41から落下する被充填物を袋9内にガイドする中空のガイド部材42が設置され、充填領域Aにおいてホッパー42と共に回転及び昇降する。ガイド部材42は開閉自在な一対の枠体43,44が対向配置されたもので、第1検知手段57により詰まりが検出されたとき、枠体43,44は非充填領域Bを移動中に繰り返し開閉し、被充填物の落下を促す。ガイド部材42の直下位置に被充填物を受ける受け部材40が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーストラック形の環状軌道に沿って多数のグリッパーを連続的又は間欠的に移動させ、その移動の過程で、前記グリッパーへの袋の供給とグリッパーによる袋両縁の把持、袋口の開口、袋への被充填物の充填、及び袋口のシール等の包装操作を行う袋詰め包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レーストラック形の環状軌道に沿って連続移動する無端チェーンと、前記無端チェーンの長さ方向に沿って等間隔に設置され前記無端チェーンと共に移動する多数組のグリッパーと、前記環状軌道に沿って配置された袋供給装置、袋口開口装置、充填装置及びシール装置等を備える袋詰め包装機が記載されている。前記袋供給装置及び袋口開口装置は前記環状軌道の一方の直線部に沿って配置され、前記充填装置は前記環状軌道の一方の半円部(前記一方の直線部の下流側の半円部)の上方に配置され、前記半円部と同心の円軌道に沿って回転する複数個の昇降式ホッパーを有し、前記シール装置は前記環状軌道の他方の直線部に配置されている。
【0003】
上記袋詰め包装機では、グリッパーの移動の過程で、袋供給装置によるグリッパーへの袋の供給とグリッパーによる袋両縁の把持、袋口開口装置による袋口の開口、充填装置によるホッパーを介しての袋への被充填物の充填、及びシール装置による袋口のシール等の包装工程が行われる。前記ホッパー(特に下端開口)は、等角度間隔(グリッパーが環状軌道の半円部を移動するときのグリッパー同士の角度間隔と同じ)で設置され、グリッパーの環状軌道の半円部に沿って前記円軌道上を回転する間、グリッパーと同期して回転移動する。この回転移動の間に、ホッパーはグリッパーに把持された袋の直上位置(待機位置)から充填位置に下降して下端開口が袋口内に挿入され、被充填物がホッパーに投入されて下端開口から袋内に落下し、続いてホッパーが上昇して下端開口が袋口から抜き出され、ホッパーは前記待機位置にくる。ホッパーの円軌道のうち充填工程が実施される半円領域が充填領域であり、他の半円領域はホッパーの円軌道がグリッパーの環状軌道から外れる(ホッパーとグリッパーが同期して回転移動しない)非充填領域であり、この領域でホッパーは前記待機位置にある。
【0004】
上記袋詰め包装機は高い生産性で袋詰め包装を行うことができるが、袋口のサイズに合わせてホッパーの下端開口を比較的小さく設定する場合などは、ホッパー内に被充填物が詰まりやすく、詰まった場合、これを検知したり解消する手段を有しない。
これに対し、特許文献2に記載された充填装置では、ホッパーの下部に一対の開閉可能な鰐口枠とそれを開閉させるエアシリンダを設置し、閉じた鰐口枠の下端を袋口に入れてから開き、被充填物をホッパー及び前記鰐口枠を介して袋内に投入するようにしている。ホッパーの下部にこの種の開閉する鰐口枠を設置することにより、ホッパーの下端開口を余り小さくする必要がなく、これによりホッパー内における被充填物の詰まりを防止でき、一方、袋口に入れた鰐口枠を繰り返し開閉させることにより、被充填物が袋内へ落下するのを促し、これにより鰐口枠内における被充填物の詰まりも防止できる(一時的に詰まりが発生しても自動的に解消できる)。
しかし、特許文献2の技術を特許文献1のタイプの袋詰め包装機にそのまま適用しても、袋口に挿入した鰐口枠を繰り返し開閉させるための時間を余り取ることができず、十分な時間を取るとせっかくの高い生産性が阻害されるという問題が生じる。
【0005】
一方、特許文献3には、ホッパーの詰まりをホッパー上部に設置した検出センサ等により検出する方法が開示されている。特許文献3にはホッパーの詰まりを検出した後にどうするかについての記載はないが、ホッパーの詰まりを検出した場合、直ちに包装機の運転を止め、人手により詰まりを解消した後、再び包装機の運転を開始することが一般的に行われている。
しかし、特許文献1のタイプの袋詰め包装機において、複数個のホッパーのいずれか1つでも詰まりを検出するたびに包装機の運転を止めていたのでは、せっかくの高い生産性が阻害される。
【0006】
【特許文献1】米国特許第4509313号明細書
【特許文献2】特許第3342262号公報
【特許文献3】特許第2745203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、レーストラック形軌道の袋詰め包装機において、万一ホッパーの詰まりが発生した場合でも生産性を低下させずに自動的に詰まりを解消できるようにすることを主たる目的とする。また、ホッパーの詰まりを検出した場合に、直ちに包装機の運転を止めるのではなく、できるだけ生産性が阻害されないような形で包装機を制御することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る袋詰め包装機は、レーストラック形の環状軌道に沿って移動する無端チェーンと、前記無端チェーンの長さ方向に沿って等間隔に設置され前記無端チェーンと共に移動する多数組のグリッパーと、前記環状軌道に沿って設置された袋供給装置、袋口開口装置、充填装置及びシール装置等を備え、前記充填装置は前記環状軌道の一方の円弧部の上方に配置され、前記円弧部と同心の円軌道に沿ってかつ前記グリッパーと同期して回転する複数個の昇降式ホッパーを有し、前記グリッパーの移動の過程で、前記袋供給装置による前記グリッパーへの袋の供給とグリッパーによる袋両縁の把持、前記袋口開口装置による袋口の開口、前記充填装置による前記ホッパーを介しての袋への被充填物の充填、及び前記シール装置による袋口のシール等の包装操作が行われる袋詰め包装機において、前記ホッパーの下部に前記ホッパーから落下する被充填物を袋内にガイドする中空のガイド部材が設置され、前記ガイド部材は開閉自在な一対の枠体が対向配置されたもので前記ホッパーと共に回転及び昇降し、前記枠体が閉じたとき前記ガイド部材は下方が狭まり下端が袋口に挿入可能とされ、前記枠体が開いたとき前記ガイド部材は下端が開放され、前記枠体を開閉作動させる作動手段が設けられ、前記枠体は前記ガイド部材の円軌道のうち円弧状の非充填領域において前記作動手段により繰り返し開閉し、前記非充填領域における前記ガイド部材の直下位置に前記ガイド部材から落下する被充填物を受ける受け部材が配置されていることを特徴とする。無端チェーンの移動は定速での連続移動でも、所定間隔毎の間欠移動でも良い。なお非充填領域とは、ホッパー及びガイド部材の円軌道のうちホッパー及びガイド部材がグリッパーと同期して移動し充填操作(充填工程)が行われる領域(充填領域)以外の領域を指す。
【0009】
この袋詰め包装機は、前記ガイド部材の円軌道の非充填領域においてガイド部材を構成する枠体を繰り返し開閉すること、及び当該領域における前記ガイド部材の直下位置に受け部材が配置されている点に最大の特徴がある。ガイド部材の円軌道の非充填領域とは、言い換えれば前記ガイド部材が充填工程から外れた領域であり、この領域で枠体を繰り返し開閉させることにより、仮に被充填物がガイド部材内に詰まっている場合は、この領域で被充填物が落下しガイド部材の詰まりを解消することができ、しかも充填工程の時間を余分にとる必要がなく、生産性が阻害されない。受け部材はこのときガイド部材から落下する被充填物を受ける役割を持つ。
非充填領域におけるガイド部材の枠体の開閉は、この領域を移動するガイド部材に常に(被充填物の詰まりの有無に関わらず)行わせても良いし、後述するように第1検出センサの検出信号に基づき被充填物の詰まり有りと判定したときだけ行わせてもよい。
【0010】
前記袋詰め包装機は次のような実施形態を取り得る。
(1)前記ガイド部材内における被充填物の有無を充填工程直後に検出する第1検出センサと、前記第1検出センサの検出信号に基づいて被充填物の詰まりの有無を判定し、かつ前記作動手段の作動を制御する制御装置を備える。第1検出センサは例えば前記非充填領域の始端近傍に設置することができる。制御装置は、充填物の詰まり有りと判定したとき、前記非充填領域において前記作動手段を作動させ、充填物の詰まり有りと判定したガイド部材の枠体を繰り返し開閉させる。この実施形態は、非充填領域の始端近傍(充填工程終了直後)においてガイド部材の詰まりの有無を検出し、詰まっている場合にのみ非充填領域において枠体を繰り返し開閉させ、詰まりを解消させようというものである。
【0011】
(2)前記ガイド部材内における被充填物の有無を充填工程直後に検出する第1検出センサと、製品排出位置とは異なる位置で前記グリッパーを開き把持された袋を機外に排出する不良袋排出装置と、前記第1検出センサの検出信号に基づいて被充填物の詰まりの有無を判定し、かつ前記不良袋排出装置の作動を制御する制御装置を備える。第1検出センサは例えば前記非充填領域の始端近傍に設置することができる。制御装置は、充填物の詰まり有りと判定したとき、充填物の詰まり有りと判定したガイド部材から充填を受けた袋を不良袋と判定して前記不良袋排出装置を作動させ、当該ガイド部材に対応するグリッパー(前記不良袋を把持するグリッパー)を開く。この実施形態は、詰まり有りとの判定に先立つ充填工程において当該判定を受けたガイド部材を介して被充填物の充填を受けた袋は、被充填物の一部しか充填されていないか全く充填されていないはずであるから、これを不良袋と判定し、通常の製品排出位置とは異なる位置で機外に排出しようというものである。この実施形態は、(1)の実施形態と組み合わせることができる。
【0012】
(3)前記ガイド部材内における被充填物の有無を充填工程直前に検出する第2検出センサと、前記第2検出センサの検出信号に基づいて被充填物の詰まりの有無を判定し、かつ前記充填装置の作動を制御する制御装置を備える。第2検出センサは例えば前記非充填領域の終端近傍に設置することができる。制御装置は、充填物の詰まり有りと判定したとき、前記充填装置に充填物の詰まり有りと判定したガイド部材に対応するホッパーへの被充填物の供給を止めさせる。第2検出センサの検出信号に基づいて詰まり有りと判定されたガイド部材については、非充填領域において枠体を繰り返し開閉させても被充填物の詰まりが解消しなかったことを意味する。詰まりが解消しなかったガイド部材に対応するホッパーへの新たな被充填物の供給を停止することにより、被充填物の無駄な供給を防止でき、かつ次回非充填領域において枠体を繰り返し開閉したときに詰まりを解消させやすくなる(新たに被充填物を供給してホッパー及びガイド部材に過剰な量の被充填物が入っていると詰まりを解消させにくい)。この実施形態は、(1)又は(2)の実施形態と適宜組み合わせることができる。
【0013】
(4)上記(3)の実施形態において、さらに、特定のガイド部材について所定回数続けて被充填物の詰まり有りと判定したとき、前記袋供給装置に当該ガイド部材に対応するグリッパーへの袋の供給を止めさせる。特定のガイド部材に対応するグリッパー(充填工程においてホッパー及びガイド部材の下で同期して回転するグリッパー)への袋の供給を停止させて以後は、袋詰め包装機は間引き運転となる(特公平8−5472号公報参照)。この実施形態では、特定のガイド部材について第2検出センサにより所定回数詰まりが続けて検出されたときは、当該ガイド部材の詰まりが以後も解消できないと見なしている。
(5)上記(3)の実施形態において、さらに、特定のガイド部材について所定回数続けて被充填物の詰まり有りと判定したとき、袋詰め包装機の運転を止めるようにする。この実施形態でも、第2検出センサにより所定回数詰まりが続けて検出されたときは、該当するガイド部材の詰まりが以後も解消できないと見なしている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ガイド部材の枠体の繰り返しの開閉(被充填物の詰まりを解消するための動作)を、ガイド部材の円軌道の非充填領域において行うため、万一ガイド部材に詰まりが発生した場合でも、生産性を低下させずに自動的に詰まりを解消できる。
また、非充填領域において枠体を繰り返し開閉してもその詰まりが解消しない場合でも、ガイド部材の詰まりを検出した後、直ちに包装機の運転を止めるのではなく、所定回数詰まりの解消を試みるようにすることで、その間に詰まりが解消した場合は、当然包装機の運転を止める必要がないため生産性の低下はほとんどなく、結局詰まりが解消しない場合でも、間引き運転を行うことで生産性の低下は最小限に抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図1〜6を参照して、本発明に係る袋詰め包装機について具体的に説明する。
この袋詰め包装機は、図1,2に示すように、レーストラック形の環状軌道に沿って移動する無端チェーン1(図2参照)と、無端チェーン1の長さ方向に沿って等間隔に設置され無端チェーン1と共に移動する多数組のグリッパー2を備える。前記環状軌道に沿って、袋供給装置3、袋口開口装置4、充填装置5、シール装置6、不良袋排出装置7及び製品袋排出装置8等が配置されている。グリッパー2が前記環状軌道に沿って回転移動する過程で、袋供給装置3によるグリッパー2への袋9の供給とグリッパー2による袋両縁の把持、袋口開口装置4による袋口の開口、充填装置5による袋9への被充填物の充填、シール装置6による袋口のシール(冷却を含む)、必要に応じて不良袋排出装置7による不良袋の排出等の包装操作、及び製品袋排出装置8による製品袋の排出等の諸操作が行われる。
【0016】
無端チェーン1とグリッパー2、及び無端チェーン1を移動させる機構は、特開2002−302227号公報に記載されたものと同じである。
無端チェーン1は、多数のリンク11が図示しない連結軸を介して無端状に連結したもので、各リンク11の外側にグリッパー2が1組ずつ設けられ、各リンクの内側に内側ガイドローラ12が垂直面内で回転自在に設置され、前記各連結軸の上下に上側ガイドローラ13及び下側ガイドローラ14が水平面内で回転自在に設置されている。
グリッパー2は、一対のアームの先端に把持部2a,2aを有し、把持部2a,2aにより袋9の両縁を把持して吊り下げる。把持部2a,2aは図示しないばねに付勢されて通常は閉じており、開閉レバー15を内向きに移動(先端の開閉ローラ16を内向きに押圧)させたとき開く。また、グリッパー2が前記環状軌道に沿って移動する間、カムローラ17が間隔調整カム(図2に示された間隔調整カム29はその一部)に沿って従動し、前記アームが所定のタイミングで水平面内で開閉(把持部2a,2a間の間隔が変化)するようになっている。
【0017】
図2をみると、機台18の上面にスタンド19が立設し、その中心に固定軸21が立設し、スタンド19と固定軸21の間に中空軸22が回転自在に支持され、中空軸22の下端に図示しない駆動源により定速で回転するギア23が固定されている。中空軸22にテーブル24が固定され、その周囲にスプロケット25が固定されている。スプロケット25は上下ギア部26,27と中間の支持溝28を有し、チェーン1の上下ガイドローラ13,14がギア部26,27の周囲に等間隔で形成された溝にそれぞれ嵌入し、内側ガイドローラ12が支持溝28内に嵌入している。また、テーブル24の下方に間隔調整カム29が固定配置され、間隔調整カム29の外周にカムローラ17が当接している。
【0018】
無端チェーン1は、前記スプロケット25と平面視半円形のガイド部を有する固定ガイド部材31の前記ガイド部の間に掛け渡され、両端の円弧部と両側の直線部からなる環状軌道をなし、中空軸22が回転してスプロケット25が回転すると、前記環状軌道に沿って水平面内で連続的に回転する(図1において右回り)。なお、固定ガイド部材31と前記両側の直線部には、上下ガイドローラ13,14及び内側ガイドローラ12が走行するガイドレールが形成され、また、両側の直線部にカムローラ17が当接する複数個の間隔調整カムが設置されているのは、前記特開2002−302227号公報に記載されているとおりである。
【0019】
袋供給装置3は、特開2002−308223号公報に記載された空袋供給装置と同じである。コンベアマガジン式給袋装置3aと組み合わされ、同時に4個の袋を4組のグリッパー2に1個ずつ供給する。
袋口開口装置4は、特開2002−255119号公報に記載された袋口開口装置と同じである。
シール装置6は、袋口をシールバーで挟んで熱シールするシール装置6a,6b,及びシール部を冷却バーで挟んで冷却する冷却シール装置6c,6dからなり、これらはいずれも特開2001−72004号公報に記載されたシール装置と同様に、所定距離をグリッパー2(袋9)と等速で追従移動し、その間にシールバー又は冷却バーが袋口を挟んだ後離れ、次いで元の位置に復帰するという動作を行う。この例では、シール装置6a,6bにより同時に2つの袋が熱シールされ、それらは続いて冷却シール装置6c,6dにより同時に冷却され、各袋に対しこの熱シールと冷却が1回ずつ施される。
【0020】
製品袋排出装置8は、特開2002−302227号公報に記載された開閉装置(開閉部材及びその駆動機構等からなる)と同じで、所定位置にきたグリッパー2の開閉ローラ16を前記開閉部材の押圧部で内向きに押圧して把持部2a,2bを開き、製品袋をシュート62上に落下させ、搬出コンベア63により搬出する。なお、このような開閉装置は、袋供給装置3の箇所にも配置され、袋9をグリッパー2に供給するとき把持部2a,2bを開く(ただし、4組のグリッパー2に対して同時に作動するタイプ)。
不良袋排出装置7は、エアシリンダ7aのピストンロッドの先端にカム7bが設置されたもので、機能としては製品排出装置8と同等である。エアシリンダ7aを作動させてカム7bを内向きに移動させると、前記カム7bによりその位置(不良袋排出位置)にきたグリッパー2の開閉ローラ16が内向きに押圧され、把持部2a,2bが開き、袋9(不良袋)が落下する。
【0021】
図2に示すように、中空軸22に固定されたテーブル24に、複数個の昇降軸32がそれぞれ支持部材33を介して昇降自在に支持され、また中空軸22の上端のフランジ部34でも昇降自在に支持されている。昇降軸32の下端にカムローラ35が設置され、テーブル24が回転すると、このカムローラ35がスタンド19の外周部に固定された環状カム36上を転動し、昇降軸32が所定のタイミングで昇降する。
昇降軸32はテーブル24上に等角度間隔で配置され、各昇降軸32には昇降部材37が固定され、昇降部材37にホッパー取付部38及びガイド部材取付部39が固定され、ホッパー取付部38にホッパー41が固定され、ガイド部材取付部39にガイド部材42が設置されている。中空軸22に複数個のガイド軸64が鉛直に固定され、各昇降部材37に固定された突出部65が対応するガイド軸64に摺動自在に嵌り、これにより昇降軸32及び昇降部材37の回転が防止されている。
【0022】
ガイド部材42は、特許文献2に記載された一対の鰐口枠と同様の対向配置された略溝状の枠体43,44からなる中空構造体である。図3,4に示すように、ガイド部材取付部39に、互いに平行な一対の支持軸45,46が回動自在に水平支持され、各支持軸45,46にそれぞれブラケット47を介して前記枠体43,44が固定されている。一方の支持軸45にL字レバー48の屈曲部が固定され、L字レバー48の一端に係合軸部49が固定され、他端に連結軸部51が固定され、他方の支持軸46に揺動レバー52が固定され、揺動レバー52の一端に形成された溝状部53に前記係合軸部49が摺動自在に係合している。
また、昇降部材37にエアシリンダ54の尾部が揺動自在に支持され、ピストンロッド55の先端に連結ロッド56が固定され、連結ロッド56の先端が連結軸部51に回動自在に嵌合している。
【0023】
ガイド部材42及びその駆動機構の以上の構造により、エアシリンダ54が作動すると、L字レバー48が揺動し、支持軸45,46が反対方向に同時に回動し、ホッパー41の直下においてガイド部材42が開閉(枠体43,44が互いに反対方向に同時に揺動して開閉)する。ガイド部材42が閉じたとき(枠体43,44が閉じたとき)、図5(a)に示すように、ガイド部材42は下方が狭まった形状となり、下端が閉じて内部の被充填物の落下が防止されかつ下端が袋口に挿入可能となり、ガイド部材42が開いたとき(枠体43,44が開いたとき)、図5(b)に示すように、ガイド部材42の下端が開放され、内部の被充填物は落下が可能となる。
【0024】
テーブル24が回転すると、無端チェーン1とグリッパー2はそれぞれレーストラック形の環状軌道に沿って回転移動し、ホッパー41とガイド部材42はそれぞれ円軌道に沿って回転移動する。前記円軌道は、ホッパー41及びガイド部材42がグリッパー2の環状軌道の半円部に沿って回転移動する円弧状領域、すなわち充填領域Aと、グリッパー2の環状軌道の半円部から離れて回転移動する円弧状領域、すなわち非充填領域Bに分けられ、充填領域Aでは、ホッパー41及びガイド部材42はグリッパー2の上方で、グリッパー2と同期して回転移動し、かつ昇降する。非充填領域Bには全長にわたり、ガイド部材42から落下する被充填物(被充填物の落下については後述)を受ける受け部材40が、待機位置にあるガイド部材42及びグリッパー2に把持された袋9と緩衝しない高さに設置されている。
【0025】
回転移動するホッパー41及びガイド部材42が非充填領域Bから充填領域Aに入ると(このときエアシリンダ54は後方に作動しガイド部材42は閉じている)、カムローラ35及び環状カム36の相互作用により、非充填領域Bにおいて上方の待機位置にあったホッパー41及びガイド部材42が下降し、ガイド部材42の閉じた下端部がグリッパー2に把持された袋9の袋口内に挿入される(図2右側のガイド部材42参照)。続いてエアシリンダ54が前方に作動してガイド部材42が開き、ホッパー41に被充填物が投入され、被充填物はホッパー41からガイド部材42を通って袋9内に落下する。ホッパー41及びガイド部材42が充填領域Aから非充填領域Bに入る前に、カムローラ35及び環状カム36の相互作用により、ホッパー41及びガイド部材42が上昇して待機位置に復帰し(図2左側のガイド部材42参照)、次いでガイド部材42が閉じる。以上がホッパー41及びガイド部材42の基本動作である。
【0026】
図1に示すように、充填装置5には、非充填領域Bの始端近傍に第1検出センサ57が設置され、非充填領域Bの終端近傍に第2検出センサ58が設置されている。第1,第2検出センサ57,58はいずれも発光素子57a,58aと受光素子57b,58bからなる透過型光電センサである。一方、図3に示すように、各ガイド部材42には一方の枠体44に穴が形成されて、そこに透明な窓59が形成されている。ガイド部材42が次々と検出位置(第1,第2検出センサ57,58の設置箇所)を通過する度に、制御装置61の指令で発光素子57a,58aが発光し、その光を前記窓59を通して受光素子57b,58bが受光できるようになっている。しかし、ガイド部材42に被充填物が詰まっていると受光素子57b,58bが受光できないから、受光の有無により詰まりの有無が判定できる。
【0027】
制御装置61は、第1検出センサ57の検出信号に基づき、各ガイド部材42毎に例えば次の制御を行うように設定されている。
(1)検出位置を通過するガイド部材42について被充填物の詰まりの有無を判定する。
(2)前記ガイド部材42について詰まり有りと判定したとき、エアシリンダ54を前後に繰り返し作動させ、枠体43,44を繰り返し開閉させた後閉じる。
(3)前記ガイド部材42について詰まり有りと判定したとき、前記ガイド部材42に対応する(充填領域Aにおいて前記ガイド部材42の下で同期して移動していた)グリッパー2が不良袋排出位置にきたとき、不良袋排出装置7を作動させ、当該グリッパー2を開く。
【0028】
制御装置61は、第2検出センサ58の検出信号に基づき、各ガイド部材42毎に例えば次の制御を行うように設定されている。
(4)検出位置を通過するガイド部材42について被充填物の詰まりの有無を判定する。
(5)当該ガイド部材42について詰まり有りと判定したとき、充填装置5に当該ガイド部材42に対応するホッパー41への被充填物の投入を止めさせる。
(6)当該ガイド部材42について所定回数続けて詰まり有りと判定したとき、袋供給装置3に当該ガイド部材42に対応するグリッパー2に対する袋9の供給を止めさせ、あるいは、袋詰め包装機の運転を停止させる。
【0029】
制御装置による上記(1)〜(6)の制御は、第1,第2検出センサ57,58の検出信号に基づき、各ガイド部材42毎に行われる。以下、その制御手順の例を図6に示すフローチャートにより説明する。
(ステップS1)第2検出センサ58の検出信号により、検出位置を通過するガイド部材42について詰まりの有無を判定する(図3参照)。
(ステップS2)第2検出センサ58の検出信号で詰まり無しと判定した場合、充填領域Aにおいて、このガイド部材42に対し通常の充填操作が行われる。すなわち、閉じたガイド部材42が袋口に挿入され、エアシリンダ54が作動して当該ガイド部材42が開き、対応するホッパー41へ被充填物が投入されて袋9への充填が行われ、ホッパー41及びガイド部材42が上昇し、ガイド部材が閉じる。
【0030】
(ステップS3)このガイド部材42が非充填領域Bにきたとき、第1検出センサ57の検出信号により、検出位置を通過する当該ガイド部材42について詰まりの有無を判定する。
(ステップS4)第1検出センサ57の検出信号で詰まり無しと判定した場合、当該ガイド部材42は閉じたままである。この場合、当該ガイド部材42に対応するグリッパー2に対して通常の製品排出操作が行われる。すなわち、前記グリッパー2が製品袋排出位置に達したとき、製品袋排出装置8により前記グリッパー2が開かれ、製品袋が排出される。
【0031】
(ステップS5)第1検出センサ57の検出信号で詰まり有りと判定した場合、ガイド部材42のエアシリンダ54を前後に繰り返し作動させ、枠体43,44を繰り返し開閉させた後閉じる。枠体43,44が繰り返し開閉することで、中の被充填物が落下して詰まりが解消する可能性が高い。落下する被充填物は受け部材40で受けられる。
(ステップS6)さらに、不良袋排出装置7の作動指令が出される。すなわち、詰まり有りと判定した前記ガイド部材42に対応するグリッパー2に把持された袋は不良袋(被充填物の一部しか充填されていないか全く充填されていない)と見なされ、該グリッパー2が不良袋排出位置にきたとき不良袋排出装置7を作動させ、該グリッパー2を開いて不良袋を落下させる。
【0032】
(ステップS7)第2検出センサ58の検出信号で詰まり有りと判定した場合、そのガイド部材42について詰まり有りの連続判定回数がN回未満かN回以上かを判定する。Nとして2以上の数値が設定される。
(ステップS8)前記ガイド部材42について詰まり有りの判定が連続N回未満の場合、充填領域Aにおいて、当該ガイド部材42に対し通常の充填操作を行わない。すなわち、枠体43,44を開かず、対応するホッパー41への被充填物の投入を止める。
(ステップS9)前記ガイド部材42について詰まり有りの判定が連続N回以上の場合、包装機の運転を停止して手作業で詰まりを解消した後、運転を再開する。詰まり有りの判定が続くということは、非充填領域Bにおいて枠体43,44を繰り返し開閉するだけでは、前記ガイド部材42の詰まりが解消できないということであり、この場合、自動的な詰まりの解消は無理とみなして包装機の運転を止める。
(ステップS10)あるいは間引き運転を行う。すなわち、詰まりが解消できないガイド部材42に対応するグリッパー2への袋9の供給を止め、対応するホッパー41への被充填物の投入を行わない。この場合、チェーン1に設置されたグリッパー2は、12個に1個の割合(詰まったガイド部材42が1個の場合)で袋の供給が止められる。なお、詰まったガイド部材42が増えると生産性の低下が大きくなるので、詰まったガイド部材42の数が一定個数(例えば2個)に達したとき、包装機の運転を止めて全てのガイド部材42の詰まりを解消することが望ましい。
【0033】
なお、上記の袋詰め包装機では、第1,第2検出センサ57,58として透過型光電センサを用いたが、第1検出センサ57については、ガイド部材内における被充填物の有無が充填工程直後に検出でき、第2検出センサ58についてはガイド部材42内の被充填物の有無が充填工程直前に検出できればよく、いずれも、特許文献3に記載された反射型光電センサや、リミットスイッチ、歪みゲージ等、他のセンサに代えることもできる。
また、上記の袋詰め包装機では、第1検出センサ57によりガイド部材42内の詰まりの有無を検出し、詰まっていると判定されたときのみ非充填領域Bにおいて当該ガイド部材42の枠体43,44を繰り返し開閉させたが、検出結果によらず常に繰り返し開閉させるように設定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る袋詰め包装機の平面図である。
【図2】その左側面断面図である。
【図3】そのホッパー及びガイド部材の側面図である。
【図4】その平面図である。
【図5】ガイド部材の開閉状態を説明する側面図である。
【図6】第1,第2検出センサの検出信号に基づく制御手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1 チェーン
2 グリッパー
41 ホッパー
42 ガイド部材
43,44 ガイド部材の枠体
57 第1検出センサ
58 第2検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーストラック形の環状軌道に沿って移動する無端チェーンと、前記無端チェーンの長さ方向に沿って等間隔に設置され前記無端チェーンと共に移動する多数組のグリッパーと、前記環状軌道に沿って設置された袋供給装置、袋口開口装置、充填装置及びシール装置等を備え、前記充填装置は前記環状軌道の一方の円弧部の上方に配置され、前記円弧部と同心の円軌道に沿ってかつ前記グリッパーと同期して回転する複数個の昇降式ホッパーを有し、前記グリッパーの移動の過程で、前記袋供給装置による前記グリッパーへの袋の供給とグリッパーによる袋両縁の把持、前記袋口開口装置による袋口の開口、前記充填装置による前記ホッパーを介しての袋への被充填物の充填、及び前記シール装置による袋口のシール等の包装操作が行われる袋詰め包装機において、前記ホッパーの下部に前記ホッパーから落下する被充填物を袋内にガイドする中空のガイド部材が設置され、前記ガイド部材は開閉自在な一対の枠体が対向配置されたもので前記ホッパーと共に回転及び昇降し、前記枠体が閉じたとき前記ガイド部材は下方が狭まり下端が袋口に挿入可能とされ、前記枠体が開いたとき前記ガイド部材は下端が開放され、前記枠体を開閉作動させる作動手段が設けられ、前記枠体は前記ガイド部材の円軌道のうち円弧状の非充填領域において前記作動手段により繰り返し開閉し、前記非充填領域における前記ガイド部材の直下位置に前記ガイド部材から落下する被充填物を受ける受け部材が配置されていることを特徴とする袋詰め包装機。
【請求項2】
前記ガイド部材内における被充填物の有無を充填工程直後に検出する第1検出センサと、前記第1検出センサの検出信号に基づいて被充填物の詰まりの有無を判定し、かつ前記作動手段の作動を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、充填物の詰まり有りと判定したとき、前記非充填領域において前記作動手段を作動させ、充填物の詰まり有りと判定したガイド部材の枠体を繰り返し開閉させることを特徴とする請求項1に記載された袋詰め包装機。
【請求項3】
前記ガイド部材内における被充填物の有無を充填工程直後に検出する第1検出センサと、製品排出位置とは異なる位置で前記グリッパーを開き把持された袋を機外に排出する不良袋排出装置が設置され、前記第1検出センサの検出信号に基づいて被充填物の詰まりの有無を判定し、かつ前記不良袋排出装置の作動を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、充填物の詰まり有りと判定したとき、前記不良袋排出装置を作動させ、充填物の詰まり有りと判定したガイド部材に対応するグリッパーを開くことを特徴とする請求項1に記載された袋詰め包装機。
【請求項4】
前記ガイド部材内における被充填物の有無を充填工程直前に検出する第2検出センサと、前記第2検出センサの検出信号に基づいて被充填物の詰まりの有無を判定し、かつ前記充填装置の作動を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、充填物の詰まり有りと判定したとき、前記充填装置に充填物の詰まり有りと判定したガイド部材に対応するホッパーへの被充填物の供給を止めさせることを特徴とする請求項1に記載された袋詰め包装機。
【請求項5】
前記ガイド部材内における被充填物の有無を充填工程直後に検出する第1検出センサと、製品排出位置とは異なる位置で前記グリッパーを開き把持された袋を機外に排出する不良袋排出装置と、前記第1検出センサの検出信号に基づいて被充填物の詰まりの有無を判定し、かつ前記作動手段及び前記不良袋排出装置の作動を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、充填物の詰まり有りと判定したとき、前記非充填領域において前記作動手段を作動させ、充填物の詰まり有りと判定したガイド部材の枠体を繰り返し開閉させ、前記不良袋排出装置を作動させ、充填物の詰まり有りと判定したガイド部材に対応するグリッパーを開くことを特徴とする請求項1に記載された袋詰め包装機。
【請求項6】
前記ガイド部材内における被充填物の有無を充填工程直後に検出する第1検出センサと、前記ガイド部材内における被充填物の有無を充填工程直前に検出する第2検出センサと、前記第1検出センサの検出信号に基づいて被充填物の詰まりの有無を判定し、かつ前記作動手段の作動を制御し、前記第2検出センサの検出信号に基づいて被充填物の詰まりの有無を判定し、かつ前記充填装置の作動を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記第1検出センサの検出信号に基づいて充填物の詰まり有りと判定したとき、前記非充填領域において前記作動手段を作動させ、充填物の詰まり有りと判定したガイド部材の枠体を繰り返し開閉させ、前記第2検出センサの検出信号に基づいて詰まり有りと判定したとき、前記充填装置に充填物の詰まり有りと判定したガイド部材に対応するホッパーへの被充填物の供給を止めさせることを特徴とする請求項1に記載された袋詰め包装機。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第2検出センサの検出信号に基づき、特定のガイド部材について所定回数続けて被充填物の詰まり有りと判定したとき、前記袋供給装置に当該ガイド部材に対応するグリッパーへの袋の供給を止めさせることを特徴とする請求項4又は6に記載された袋詰め包装機。
【請求項8】
前記制御装置は、前記第2検出センサの検出信号に基づき、特定のガイド部材について所定回数続けて被充填物の詰まり有りと判定したとき、袋詰め包装機の運転を止めることを特徴とする請求項4又は6に記載された袋詰め包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−161230(P2009−161230A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1277(P2008−1277)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000222727)東洋自動機株式会社 (91)
【Fターム(参考)】