説明

被分析物の試験装置と方法

液体中の臨床関連被分析物を計測する方法及び装置を提供する。上記装置及び方法は特に血液中のグルコース検出に関連し、計測における内部較正を可能にする。装置には、上記液体を装置内に導く流路(15)と、通過する液体と混合されて、液体の較正用サンプルを作成するように流路上に配置された所定量の被分析物(20)と、上記液の未混合サンプル中及び較正用サンプル中の、それぞれの被分析物レベルを検出するように上記流路上に配置された検出手段(21、22)とが含まれる。別の装置は、流路上に配置され、臨床関連被分析物とは異なる種の所定量の較正用被分析物と、臨床関連被分析物及び較正用被分析物のレベルを検出する第一及び第二の検出手段とを提供する。一つの方法には、上記液体サンプルを既知量の被分析物と混合し、較正用サンプルを生成するステップと、較正用サンプルと未混合サンプル両方の被分析物レベルを計測するステップと、較正用サンプルのレベル計測値を用いて、未混合サンプルのレベル計測値を調整するステップとが含まれる。別の方法では、臨床関連被分析物とは異なる種の、既知量の較正用被分析物を、上記液体と混合し、臨床関連被分析物及び較正用被分析物のレベルを計測し、それに従って、上記臨床関連被分析物のレベル計測値を修正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体起源サンプル中の臨床関連被分析物の試験装置及び方法に関係する。特に、改良された正確さで、血糖レベルの試験を行う方法と装置に関係する。ただしそれに限定されない。
【背景技術】
【0002】
臨床関連被分析物の例としては、心臓血管や肝臓及び腎臓の機能指標(コレステロール、ヘモグロビン、電解質、代謝物質等)や、感染症原因物質(ウィルス、バクテリア等)、病気状態指標(C反応性蛋白質、抗体、細胞内シグナル伝達因子、ホルモン等)、及び治療指標(抗生物質、薬等)等があるが、特にはグルコースがある。生体起源のサンプルの例としては、髄液や尿、精液、唾液、そして特には全血及び分別血液がある。
【0003】
近年、自分で計測する血糖モニタリング(BGM)システムが入手可能となり、これを使用することにより、糖尿病の管理は大いに改善されてきた。これらのシステムにより、糖尿病患者は自分自身の血糖レベルを計測することができ、その結果に応じて、例えば、治療や薬投与量を調節したり、食事調整等を行うことによって、グルコースレベルを健康なレベルとみなせる比較的狭い範囲内に維持することで、効果的に自己治療ができる。
【0004】
糖尿病患者が自分自身の血糖レベルを試験し、その結果、血糖レベルをコントロールできれば、1993 Diabetes Control and Complications Trial ( DCCT, New England Journal of Medicine 329 (14), Sept. 30, 1993) からも明らかなように、糖尿病関連の合併症の発生率を抑えることにつながる。
【0005】
代表的なBGMシステムは、試験血液サンプル中に存在するグルコースレベルに比例した信号を発生するセンサ要素と、その発生信号を判読できる血糖レベルに変換するトランスデューサとを含む。
【0006】
センサ要素に共通的な形態の一つは短冊であり、そこには血液試験部と短冊に接合された一連の電極とがあり、この電極は、発生信号をワイヤー等の電気伝導体によって携帯型メータに送る。
【0007】
血液試験部には特に、血液中のグルコースを検出し、存在するグルコースの濃度または全量に比例した信号を発生することに適応する検出手段が含まれる。
【0008】
そのようなグルコース検出手段の一例としては所謂酵素電極があり、グルコースオキシダーゼ(GOD)等の酵素が、過酸化水素の発生を伴って、グルコースをグルコノラクトンに変換する。グルコースが酸化される間に生じる過酸化水素が、電極表面で計測され、サンプル中のグルコース濃度に比例した電流を発生する。
【0009】
反応の感度を高めるために、異なる酵素を組み合わせて、及びまたは、酸化還元カップリング剤を組み合わせて使用する装置もあれば、他の電気化学的計測技術を利用した装置もある。このような装置に共通する要素は、生物学的認識剤(酵素)と変換装置(電極配置)を利用していることである。
【0010】
上記の装置例としては、Lifescan ( Milpitas, CA )からOneTouchブランドで、Roche Diagnostics ( a division of Hoffman-La Roche Ltd, Basel, Switzerland )からAccu-Chekブランドで、そしてBayer ( Tarrytown, NY )からGlucometerブランドで提供されている。
【0011】
しかしながら、上記した装置等のBGMシステムによる血糖表示値は、多くの要因によって精度が悪くなることがある。例えば、
【0012】
1. 患者の血液中に干渉物質が存在することがある。アセトアミノフェノンやアスコルビン酸等の物質は電気的に活性であり、電極表面で酸化されて、それら自身が電気信号を発生する。
【0013】
2. 電極表面における酸素の利用状況が変わることがある。酸素は上記のGOD触媒による過酸化水素発生反応の推進に必要である。しかしながら、血液中の酸素圧は、とりわけ、患者のヘマトクリット(Hct)のレベルに応じて大きく変化する。
【0014】
3.製造過程でのばらつきが有る。通常、センサ要素を形成する短冊は大量バッチで作られ、電気信号から血糖表示値への変換を可能にするために、各バッチに対して較正が決定される。一般的に、あるバッチに対しての較正は、臨床的に有り得る値範囲にわたる血糖に対する電気的反応性に関して、短冊の平均的な性能を反映している。しかしながら、ある特定のテストに対しては、使用された短冊が平均から外れていて、そのために短冊によって生じた信号に適用されるバッチ較正が、試験サンプル中の血糖濃度の正確な表示値を与えないことが有る。
【0015】
4.使用者の間違いが不適当な試験操作に繋がる。最近のBGMシステムはそのような間違いの可能性を低減するように設計されているが、例えば温度や高度等に関して、規定された条件外で使用されるケースもある。同様に使用者の不注意により、例えば、濡れた手の乾燥が十分でなく血液サンプルの希釈につながる等、血液試験場所の準備が不適当なために、血糖表示値の正確性が影響を受ける。
【0016】
これらのエラー源及びその他により、今日利用できる市販のBGMシステムでは、通常、基準の試験室方法と比較して、±10〜20%のシステム精度レベル(全誤差)を示している。
【0017】
BGMシステム製造業者の中には、グルコース濃度が既知の、コントロール液を供給する業者もおり、これを使えばシステムが仕様通りに機能しているかどうか判断できる。
【0018】
BGMシステムの精度は、計測誤差が使用者の健康状態に与えるという直接的影響があるために、消費者が商品を選択する際に利用する重要な特徴である。従って、このようなシステムの精度を改良することは、商品の大衆性を相応に上げられる可能性がある。
【0019】
また、ISO 15197:2003の基準が採用されているかどうかをフォローしている使用者及び又は消費者には、BGMシステムの精度レベルははるかに良くわかるようになっている。その基準では、システムを開発する会社は、誤差幅5%、10%、15%及び20%以内に入るデータ割合を示す臨床評価結果を直ちに提出しなければならない、とされている。
【0020】
さらに、使用者は定期的にはコントロール液を利用しない、ことが良く知られており(例えば、the FDA CDRH Focus Groups Survey, 2001, available at www. fda. gov / diabetes 参照)、そのため、患者が使用するBGMシステムの実際の精度が、定期的に管理されることはほとんどない。
【0021】
上記の認知されている誤差原因に焦点を当てたBGMシステムの精度改良方法がいくつか提案されている。
【0022】
例えば、製造時の不正確さから生じる誤差に対しては、製造工程の管理改善や、先進的な印刷技術等の高価な新規製造技術に投資する等、ある程度の取組みが行われている。
【0023】
温度や高度等環境変動条件の影響を最小化する試みとしては、生の信号を複雑なアルゴリズムに従って修正するセンシング機構を開発することに焦点が当てられてきた。
【0024】
血液サンプルにおける他の特性での変動に関しては、長期的には、干渉に対してより反応しないシステムの開発に繋がる可能性を持つ新規な化学及びセンシング技術が研究されている。また、検出電極からある干渉を厳密に排除できる選択膜の研究も行われている。
【0025】
また、例えば、センサ短冊上のキャピラリ充てんトラックを利用して血液添加をコントロールする等、特に使用者の介入をコントロールすることによって、使用者エラーの可能性を減らす、ただし完全には排除はできないが、そういったシステムも開発されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
これらの取組みと発展の結果、長年にわたり徐々にシステムの性能向上が図られてきている。しかしながら、一般的に、上記の各取組みを発展させるには時間と資金の両面で大きな投資を必要とする。しかも、上記の各取組みとも一つの主要な誤差原因に取組んでいるだけである。
【0027】
主にBGMシステムに焦点を当てて上記議論を行ってきたが、同様な問題は他の臨床関連被分析物の計測装置及び方法においても見られる。
【0028】
本発明は、そのようなシステムの精度を簡単に、しかもコスト効率良く向上させ、また、そのようなシステムのための新規な改良された装置を提供することを追求している。
【0029】
広義では、本発明は、液体中のグルコース等臨床関連被分析物の計測のための装置及び方法を提供する。ここで、その計測は内部較正を条件としている。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の第一の態様は、携帯装置において、以下のステップを含む液体中の臨床関連被分析物レベルの試験方法を提供することである。
【0031】
この方法は、サンプル液を既知量の前記被分析物と混合し、較正用サンプルを作るステップと、前記液体の未混合サンプル中の前記被分析物レベルを計測するステップと、前記較正用サンプル中の前記被分析物レベルを計測するステップと、前記較正用サンプル中の前記被分析物レベル計測値を用いて、前記未混合サンプル中の被分析物レベル計測値を調整するステップとを含む。
臨床関連被分析物はグルコースであることが好ましい。
通常、前記液体は血液である。
前記計測ステップは被分析物の濃度計測を伴うことが好ましい。この場合には、前記混合ステップにおいて、既知量の液を既知量の前記被分析物と混合するステップも含まれる。
【0032】
使用時に、テストするすべてのサンプルの内部較正を行うことによって、サンプル効果(干渉物質の存在、ヘマトクリットのレベル差等)や、環境要因及び製造時の不正確さ等から生じる、テスト結果の潜在的なばらつきは考慮され、従って、テスト結果は調整される。このために、テスト結果における誤差を、実質的に減らすことができ、あるいは効果的に排除することも可能である。
【0033】
従って、本発明による方法が最大限に利用されることになれば、被分析物レベル(血糖濃度等)の算出において、センサ短冊のバッチ較正への重み付けは、内部較正への重み付けが増すにつれて低下する。一般的に、バッチ較正操作には時間とコストがかかる。従って、本発明に基づく内部較正が利用されるようになれば、バッチテストの量は減らすことができる。
【0034】
本発明の方法において、被分析物レベル(血糖濃度等)は、被分析物濃度と信号強度とを関係付けた較正曲線を参考にして、センシング化学によって発生した電気信号から求めることができる。このようなバッチ較正曲線は、短冊1バッチの平均的性能を基に作られおり、従って、個々の計測時の個別の誤差は考慮されていない。本態様による方法では、較正用サンプルから計算される被分析物濃度を考慮することによって、未混合サンプルでの被分析物濃度計算値を調整できる。このような内部較正方法によって、個々の計測に関連する誤差は最小化される。
【0035】
内部較正は、未混合サンプル中の被分析物レベルの未処理の計測に適用でき、それによって、調整後の被分析物レベルから被分析物レベル表示値を生成することができる。
【0036】
もしくは、内部較正は未混合サンプル中の被分析物レベル計測値から得られる被分析物レベル表示値にも応用でき、これによって表示値を修正できる。
【0037】
本発明による方法のある実施例では、被分析物レベル表示値は、処理前の被分析物レベル計測値、あるいは調整後の被分析物レベルに、較正曲線を適用することにより得られる。
【0038】
また本発明の方法は、前記液体を前記流路に導くステップを含み、計測及び混合ステップが実行される間に、前記液体が前記流路を流れるようにすることが好ましい。
【0039】
調整後の被分析物濃度の算出に用いられるアルゴリズムは次式で示される。
Gladj = (Glun x Q)/(Glcal − Glun)
ここで、Gladj、Glun及びGlcalはそれぞれ、調整後の被分析物濃度、液体の未混合サンプル中の被分析物濃度計測値、及び較正用サンプル中の被分析物濃度計測値であり、またQは、既知体積のサンプルに既知量の被分析物を加えて得られる較正用サンプル中の既知の被分析物濃度上昇値である。
【0040】
本発明のこの態様をさらに発展させたものにおいて、前記方法は、更に、第2の構成用サンプルを作るために前記液体のサンプルを第2の既知量の被分析物と混合するステップと、前記第2の較正用サンプル中の被分析物レベルを計測するステップとを含み、調整ステップでは、両方の較正用サンプル中の被分析物レベル計測値が使われる。
【0041】
計測されたレベルは前記被分析物の濃度であり、かつ、第2の既知量の被分析物と混合される液体サンプルは、既知の体積であることが好ましい。
【0042】
グルコースを用いた内部較正を1レベル以上行うことによって、各計測結果に対しより正確な較正を行うことができ、従ってより正確な血糖値計測が行える。また、バッチ較正の必要性もそれに応じて下げられる。
【0043】
本発明の方法において、前記調整ステップは、気温や高度等の一つ以上の外部要因に基づいて修正を行うことを含んでも良い。このために、計測における環境条件の影響も補償される。
【0044】
本発明の第2の態様は、液体中の臨床関連被分析物のレベル計測装置であって、前記装置を通って前記液体を導く流路と、前記流路を通過する前記液体と混合して前記液体の較正用サンプルを作るように前記流路上に配置された所定量の前記被分析物と、前記液体の未混合サンプル中及び較正用サンプル中それぞれの被分析物レベルを検出するために前記流路上に配置された検出手段とを備えている。
【0045】
前記被分析物はグルコースであることが好ましい。
【0046】
一実施例では、前記所定量の被分析物は前記検出手段の一部として配置されている。例えば、前記被分析物は検出手段において、液体を拡散させるためのメッシュ上に備えられていても良い。別の例では、前記被分析物は前記検出手段の一部をなす分離膜上に備えられている。
【0047】
好適な配置として、前記検出手段には、少なくとも二つの検出器が設けられており、第一の検出器は未混合サンプル中の被分析物レベルを検出し、第二の検出器は較正用サンプル中の被分析物レベルを検出するために、前記所定量の被分析物の下流に配置されている。
【0048】
前記配置の一実施例では、前記第一の検出器及び第二の検出器は前記流路上に連続して配置され、前記所定量の被分析物は第一の検出器及び第二の検出器の間に設けられている。このように、前記液体の流れに沿って、第一の検出器、所定量の被分析物、第二の検出器の順番となるように、単流路であっても良い。この実施例では、一つの単流路だけを有しているという利点が有り、そのためにかなりシンプルにでき、製造コストも安くできる。
【0049】
前記配置の他の実施例では、前記流路が少なくとも二つの支流に分かれており、前記第一の検出器は前記支流中第一の支流上に設けられ、前記所定量の被分析物及び前記第二の検出器は第二の支流上に設けられている。
【0050】
このように、一つの支流は未混合サンプルを処理し、他の支流は混合前と後の較正用サンプルを処理する並列配置であっても良い。この実施例では二つのサンプルを分けているために、一つの計測が他の計測に影響を及ぼす可能性がなく、また、本発明技術を採用していない既存の装置と比較して、全計測時間が長くなることもない。
【0051】
他の並列配置例では、前記第一の検出器が第一の流路上に設けられ、前記所定量の被分析物及び第二の検出器が第二の流路上に設けられる、二つの分離した流路であっても良い。二つの流路は、液が導入される外部孔を別々に備えていても良い。
【0052】
他の好適な配置として、前記流路が長さの異なる少なくとも二つの支流に分かれ、前記所定量の被分析物は前記の一支流上に設けられており、前記支流は前記検出手段の上流で再合流し、さらに、前記支流中第一の支流を通って前記検出手段に到達するまでの時間が、第二の支流を流れる時間より長くなるようになっている。
【0053】
第一及び第二の支流は、長さが異なっていても良いし、あるいは異なる流量であっても良い。
【0054】
長さの異なる流路支流を持つことで、異なったサンプルは違った時間に検出器に到達することになり、このために、未混合サンプル及び較正用サンプルの両方を計測する検出器は一つで済むことになる。一つの検出器で済む装置は製造コストが安い。
【0055】
この配置では、所定量のグルコースは第一の支流(長い方の支流または低流量の支流等)に設けられるのが好ましい。こうすれば、未混合サンプルが先に計測されることになり、従って、サンプルの混合による複雑さを低減させることができる。
【0056】
本態様の検出手段には少なくとも1個の酵素電極が含まれる。
【0057】
本態様の装置は更に、前記検出手段からの信号を処理し、被分析物レベル表示値を算出するトランスデューサかまたはプロセッサを含んでも良い。被分析物のレベル表示値は、前記第一の態様に関連して記載した通り、内部較正処理の前または後に決定されてもよい。
【0058】
トランスデューサまたはプロセッサは、前記較正用サンプル中の被分析物検出レベルに応じて未混合サンプル中から計測された被分析物検出レベルを調整することにより、被分析物レベル表示値を算出するようにされていることが望ましい。
【0059】
前記流路が毛管作用により装置内に前記液体を引き込むように作用するのが望ましい。こうすることで、装置内を流れる液量を知ることができ、既知量の被分析物との混合によって生じる較正用サンプル中のグルコース濃度上昇を決定できる。また、この配置により、被分析物レベル検出における誤差の原因となる使用者エラー発生の可能性も減らすことができる。
【0060】
上記態様を発展させたものでは、前記装置は更に、流路を流れる液と混合して第二の較正用サンプルを形成ように前記流路上に配置された、第二の所定量の前記被分析物を含み、前記検出手段が未混合サンプル中及び較正用サンプル中の被分析物レベルを検出するように前記流路上に設けられている。
【0061】
上記の第一の態様での方法と同様に、被分析物内部較正を1レベル以上行うことによって、各計測結果に対しより正確な較正を行うことができ、従ってより正確な被分析物試験が行える。バッチ較正の必要性もそれに応じて下げることができる。
【0062】
前記被分析物の二つの所定量は異なる量であっても良い。これにより、流路が分岐している装置においては、より精度の高い較正が行える。しかしながら、前記所定量は同量であっても良い。こうすれば、被分析物レベル検出器が流路上に連続して配置されている場合、前記液体は順番に、第一の検出器、第一の所定量の被分析物、第二の検出器、第二の所定量の被分析物、そして第三の検出器と流れる。
【0063】
本発明による装置は更に、1個以上のセンサを含んでも良く、それはトランスデューサまたはプロセッサに接続されていてもよい。トランスデューサまたはプロセッサ等の装置は、被分析物レベル表示値を算出する際に、センサからの信号を処理するようにしてもよい。前記センサは例えば温度センサであっても良い。
【0064】
本発明による装置はポータブルであることが好ましく、そのために使用者が持ち運ぶことができ、広範な状況で容易に使用できる。
【0065】
本発明の更に別の態様では、携帯型装置における、液体中の臨床関連被分析物レベルのテスト方法を提供する。この方法は、前記液体のサンプルに、前記臨床関連被分析物とは異なる種の、既知量の較正用被分析物を混合するステップと、前記サンプル中の前記臨床関連被分析物レベルを計測するステップと、前記サンプル中の前記較正用被分析物レベルを計測するステップと、前記較正用被分析物レベル計測値を用いて、前記被分析物レベル計測値を調整するステップとを含む。
【0066】
好ましくは、前記臨床関連被分析物はグルコースである。通常、前記液体は血液である。
【0067】
前記較正用被分析物は、液体中に自然に存在する物質ではなく、従って、サンプル中のレベルは前記既知量だけに起因するものであることが好ましい。または、較正用被分析物は自然には比較的低レベルしか含まれておらず、従って、サンプル中のレベル計測値は添加された量だけによると考えられ、低レベルでの存在を無視することによるいかなる誤差も重要でないと考えられる。第三の選択として、前記較正用被分析物は、自然には比較的一定な、既知レベルで存在していても良く、この時には、このレベルをサンプルの全レベル計測値から減じることができる。
【0068】
こういった状況で使用できる較正用被分析物の例としては、セルビオースやキシリトール等、酸素を有する供与体のCH-OH基に対して、アクセプタ(i.e. the group EC 1.1.3)として働く酸化還元酵素の酵素類物質がある。または人工酵素物質(触媒抗体等)も較正用被分析物として使用できる。
【0069】
本態様の方法において、較正用被分析物に対して使用できる計測システムにおける反応は、臨床関連被分析物に対する計測システムにおける反応と同様と考えることができ、特に、同じ干渉を受けやすい。従って、臨床関連被分析物のレベル計測値は、較正用被分析物のレベル計測値と、サンプルに添加された既知量(または既知濃度)との差異に由来する要因に従って、調整することができる。
【0070】
前記計測ステップは、それぞれの被分析物の濃度計測が伴っていることが好ましい。この時には、前記混合ステップにおいて、既知体積の液体を既知量の前記較正用被分析物と混合するステップが含まれる。
【0071】
本発明のこれまでの態様と同様に、使用時に、テストするすべてのサンプルの内部較正を行うことによって、サンプル効果や、環境要因及び製造時の不正確さ等から生じる、テスト結果の潜在的なばらつきは考慮されることになり、従って、テスト結果は調整される。このために、テスト結果における誤差を、実質的に減らすことができ、あるいは効果的に排除することも可能である。
【0072】
前記態様と同様に、本発明による方法が最大限に利用されれば、バッチ較正の回数も減らすことができる。
【0073】
本発明の更に別の態様は、液体中の臨床関連被分析物のレベル計測装置を提供する。その装置は、前記装置を通って前記液体を導く流路と、前記臨床関連被分析物とは異なる種であって、流れてくる前記液体と混合されて較正用サンプルを形成するように前記流路上に配置された所定量の較正用被分析物と、前記較正用サンプル中の前記臨床関連被分析物レベルを検出するように前記流路上に配置された第一の検出手段と、較正用サンプル中の前記較正用被分析物のレベルを検出するように前記流路上に配置された第二の検出手段とを備える。
【0074】
前記臨床関連被分析物はグルコースであることが好ましい。
【0075】
前記較正用被分析物は、液体中に自然に存在する物質ではなく、従って、サンプル中のレベルは前記既知量だけからに起因するものであることが好ましい。または、較正用被分析物は自然には比較的低レベルしか含まれておらず、従って、サンプル中のレベル計測値は添加された量だけによると考えられ、自然の低レベルを無視することによるいかなる誤差も重要でないと考えられる。第三の選択として、前記較正用被分析物は、自然には比較的一定な、既知レベルで存在していても良く、この時には、このレベルをサンプルの全レベル計測値から減じることができる。
【0076】
こういった状況で使用できる較正用被分析物の例としては、セルビオースやキシリトール等、酸素を有する供与体のCH-OH基に対して、アクセプタ(i.e. the group EC 1.1.3)として働く酸化還元酵素の酵素類物質がある。または人工酵素物質(触媒抗体等)も較正用被分析物として使用できる。本態様での第一及び/または第二の検出手段には少なくとも1個の酵素電極が含まれる。
【0077】
前記第一及び第二の検出手段を前記流路上の同じ場所に配置しても良い。この同じ場所への配置は、較正用被分析物(またはその被分析物との反応の結果生じる電気化学的種)と、臨床関連被分析物(またはその被分析物との反応の結果生じる電気化学的種)が明確にそして個別に計測される場所であってもよい。
【0078】
または、第一及び第二の検出手段は、流路上に別々に配置されても良い。この場合、両方の被分析物から生じる電気化学的種が同一であっても良い(例えば、過酸化水素)。この配置の利点は、センサの生物的レセプタ部(例えば酵素)が、第一及び第二の検出手段の両方に対して同様または同一であり(すなわち、臨床関連被分析物及び較正用被分析物は同様または同一の計測プロセスに従う)、そのために、同様な干渉を受けることである。
【0079】
前記流路が、毛管作用により装置内に前記液体を引き込むように作用することが好ましい。このことにより、装置内を流れる液量を知ることができ、濃度計算が容易になる。またこの配置により、被分析物レベル検出における誤差の原因となる使用者エラー発生の可能性も減らすことができる。
【0080】
第一及び第二の検出手段は単一の毛管チャネル上に配置されることが好ましい。こうすることで、装置上には単一の流路だけがあれば良く、装置をかなりシンプルにでき、製造コストも安くできる。
【0081】
本態様の装置は更に、検出手段からの信号を処理して被分析物レベル表示値を算出するトランスデューサまたはプロセッサを含んでも良い。前述の態様に関連して記述したように、被分析物レベル表示値は、内部較正処理が行われる前もしくは後に決定してもよい。
【0082】
トランスデューサまたはプロセッサは、検出された較正用被分析物の被分析物レベルに応じて、検出された臨床関連被分析物の検出レベルを調整することによって、被分析物レベル表示値を算出するようにされていることが望ましい。
【0083】
本態様による装置は更に1個以上のセンサを含んでも良く、それが前記トランスデューサまたはプロセッサに接続されていても良い。例えば、トランスデューサまたはプロセッサにある装置は、分析物レベル表示値を算出する際には、センサからの信号を処理するようにしてもよい。前記センサは例えば、温度センサであっても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0084】
本発明による実施例を、添付の図面を参考にして説明する。
【0085】
図1は、本発明の第1実施例に基づく、血糖値モニタリング装置の部分概略図を示す図である。図2は、本発明の第2または第3実施例に基づく、血糖値モニタリング装置の部分概略図を示す図である。
【0086】
本発明の方法による実施例では、明確に既知の量のグルコースをテストサンプルに加え、グルコースが添加された場合と添加されない場合の血糖反応を計測することによって内部較正が達成される。二つのサンプルからの信号の差異は、未混合サンプルの計測結果の修正に用いられる。
【0087】
一状況例を次に示す。ここでの数値は、純粋に説明の目的のために選択されている。
【0088】

【0089】
調整後の濃度結果は次式で求められる。
未混合液テスト結果×
較正用サンプルにおけるグルコース濃度の既知上昇値
(較正用サンプル結果−未混合液テスト結果)
【0090】
この説明の表から、内部較正法を採用することで、誤差源が血糖値計測から排除され得ることがわかる。上記の例では、すべてのケースでグルコース濃度は5mMであるにもかかわらず、試験血液中のHct濃度レベルが変化する結果として、未混合液でのテスト結果は、変化している。しかしながら、Hctの濃度レベルが与える影響は、未混合サンプルと較正用サンプル間の濃度計測値の差を見ることにより明らかにでき、既知の濃度上昇が影響を受けている。Hctから生じる干渉の程度が一旦測定できれば、この影響を修正することは比較的簡単である。この例では、Hctを干渉物の一例として扱っているが、同じ理論が他の干渉や誤差源にも適用できる。
【0091】
他のもっと複雑なアルゴリズムをテスト結果の修正に使うことができる。例えば、グルコース濃度計算において、内部較正及びバッチ較正に対して違った重み付けを与えることができる。例えば、
【0092】
グルコース濃度計算値=(バッチ較正から得られたグルコース濃度+内部較正から得られた調整後グルコース濃度)/2
【0093】
本発明による装置実施例を図1及び図2に示す。どちらの実施例も、毛管充填メカニズムを有するセンサ短冊10、及びテストサンプルの一部を既知量のグルコースと混合させることができる毛管流路15を有している。既知量のグルコースと混合されるサンプルの一部は、第二の独立した検出器22で計測される。検出器22は、両実施例において酵素電極であり、未混合のテストサンプルを計測する第一の検出器21と共に、同じセンサ短冊上に載っている。第一の検出器21もまた、両実施例において酵素電極である。図1及び図2での流れ方向は矢印で示される。
【0094】
図1に示される第一の実施例では、支流16及び17に分けられている毛管流路15を備えた"並列"配置になっている。一の支流16は、第一の酵素電極21によりグルコースが計測される第一のテスト溜め18に直接入る。他の支流17は、正確に知られた量の乾燥グルコース20と混合して通過し、第二の酵素電極22によりグルコースが計測される第二のテスト溜め19まで流れる。空気孔12は、毛管流を発生させるため、また電極反応を発生させるために十分な酸素を酵素電極21及び22において供給するために設けられている。
【0095】
図2に示される第二の実施例では、分割されていない毛管流路15を備えた"連続"配置になっている。流路15は、テストサンプルを、未混合のテストサンプル中のグルコース含有量を測定する第一の酵素電極21を通過させるまで導く。次に流路15は、テストサンプルを、正確に知られた量の乾燥グルコース20と混合し、較正用サンプルのグルコース濃度を計測する第二の酵素電極22まで導く。
【0096】
両実施例において、電極からの信号を判読できる結果に変換し、結果を較正するために適切なアルゴリズムを適用するトランスデューサ(図示せず)に装置を接続するために、コネクタ25が設けられている。
【0097】
本発明による装置の更に他の実施例では、テストサンプルが既知量のグルコースと混合されるコースをもった第二の毛管トラックが備えられている。この第二の毛管トラックは、血液の導入場所から酵素電極等の検出器まで、曲がった流路または流動抵抗のある流路をたどっている。未混合の血液サンプルは、同じ酵素電極まで、はるかにダイレクトな流路をたどる。このために内部較正された血液サンプルは、未混合サンプルよりも遅れて電極に到達する。この時間差により、内部較正されたサンプルと混合される前に、未混合血液サンプル中のグルコース濃度または含有量を計測することができる。一旦二つのサンプルが混合されれば、添加グルコース濃度が既知である第二の表示値が採用され、このようにして内部較正表示値が供給される。
【0098】
上記実施例においては、検出電極に到達する前に較正用サンプルが通過し、且つ混合されるように、既知量のグルコースが流路上に配置されている。しかしながら、既知量のグルコースを、較正用サンプルそのものの検出電極の一部として形成することもまた可能である。
【0099】
酵素電極は、標準的な形態としては多くの層で構成されている。第一の層は伝導性トラックであり、その上部には酵素(例えばグルコースオキシダーゼ)及び場合によっては、酸化還元メディエータを含む層がある。この上には、テスト用の血液または他の液体を拡散させるように働くメッシュがある。干渉物質が酵素電極へ到達することを、物理的、化学的、または電子的に防止するために、メッシュと電極表面との間に膜を設けることもできる。
【0100】
既知量のグルコースを、追加膜層として、またはいずれかの膜層の代わりとして、メッシュ層上に設けることができる。グルコース膜層は、メッシュ上に分布された既知量のグルコースを含むようにしても、または、計測プロセス中に消費される既知量のグルコースを含むフィルムから構成するようにしてもよい。
【0101】
上記の二つの実施例において、較正用サンプルに用いられるグルコースの量は、正確に求められていることが好ましい。これを実現するために、多くの技術の中からいずれかの技術を、装置へのグルコースに適用するようにしてもよい。そのような技術としては、印刷技術(インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、もしくはフレキソ印刷等)や、計量分配技術(シリンジ駆動等)、グルコース含有ビーズの計測技術や、紙や繊維等の固体物質上へのグルコース沈積技術等がある。
【0102】
センサ短冊上の較正用グルコースは、通過する血液サンプルと素早くそして均一に混ざることが好ましい。これは、短冊上の乾燥グルコースの配置パターンか、乾燥グルコースの処方、もしくはその両者の組合せで達成できる。配置パターンとしては、毛管の床、壁及びふたを利用してもよい。グルコースの処方を調整すれば溶解率を上げることができる。応用できる特定の技術としては、グルコースパウダの超微粉砕化技術や、膜を形成する急速再懸濁親水コロイドへの配合技術、再懸濁時に泡立ちを発生する成分との配合技術、あるいは、高い空隙率を有する安定した結晶組織を作る凍結乾燥技術等がある。
【0103】
本発明の第3の実施例に基づく装置には、上記の第2の実施例による装置と共通な特徴が多くあり、図2の適当な部分を参照してこの実施例を説明する。
【0104】
この実施例に基づく装置は、支流のない毛管流路15をもつ"連続"構成になっている。この実施例では、上記流路15は、最初にテストサンプルをサンプル中のグルコース含有量を計測する第1の酵素電極21に案内する。流路15は、次に正確に量がわかっている較正用被分析物20と混合するためにテストサンプルを案内する。本実施例では較正用被分析物20はセロビオースである。流路15は、次にテストサンプル中の較正用被分析物の濃度を計測する第2の酵素電極22までテストサンプルを案内する。
【0105】
この実施例では、計測されたグルコース濃度は、濃度が既知の較正用被分析物の計測値と実際値との差から得られる係数により調整される。
例えば、添加する較正用被分析物の既知量が、溶解させる血液の体積において、濃度30mMとなることが知られている時に、実際の濃度計測値が20mMであったすると、係数1.5(30mM/20mM)が、濃度計測値を上方修正するのに使われる。本発明によるこの実施例では、異なる被分析物の計測に基づいて血糖濃度を調整する際におけるこの係数の有効性は、同じような干渉プロフィールを持つ二つのシステムに根拠をおいている。
【0106】
上記の第1及び第2の実施例における選択的または好適な特徴、例えば較正用グルコースがセンサ短冊上に位置する又は配置されることによる方法またはメカニズム等は、同様にこの実施例にも適用される。
【0107】
センサ短冊の構造及び製造の正確な詳細については、当分野では良く知られており、本発明は、広範な材料から、また、広範な方法によって作られるセンサ短冊で実施できる。
【0108】
センサ短冊の一例を記載するが、これは純粋に説明を目的としたものである。
短冊は全体のサイズが30×10×2mm である。毛管流路を規定する基材及びカバーは軟質プラスチックから成り、上記毛管カバーは感圧性接着剤により基材に接着されている。電極トラックは伝導性スクリーン印刷インキで形成されており、活性電極は酵素溶液(場合によっては酸化還元メディエータを含む。)を、下部の伝導性トラック上にスクリーン印刷して作られる。基準電極は酵素によるオーバレイはない。一般的に、そのような製品は一回の使用で使い捨てされる。
【0109】
検出器からの表示値は、前述の通り、血糖レベル表示値と、そしてあるいはまたは、較正用被分析物表示値の算出に用いられる。較正用サンプルまたは較正用被分析物からの計測を用いる内部較正は、グルコースレベル(第一及び第二実施例における未混合サンプル中の)を計測する検出器からの処理前の計測に直接に適用してもよく、または、処理前の計測から得られた血糖表示値に適用してもよい。
【0110】
例えば、本発明の実施例でのセンサ短冊は、較正曲線を利用して酵素電極検出器からの電気的入力から血糖レベル表示値を生成するトランスデューサに接続されていてもよい。得られた表示値は次に、較正用サンプルの計測に従って調整及び補正される。
【0111】
もしくは、上記酵素電極検出器からの電気信号は、較正用サンプルまたは較正用被分析物の計測結果により調整または修正されて修正電気信号を生成するようにしてもよい。この修正電気信号は次に、トランスデューサまたはプロセッサに使用されて、例えば較正曲線が適用されて、血糖レベル修正表示値が生成される。
【0112】
血液中のグルコーステストに関連して上記説明を行ってきたが、上記原理は、他の臨床関連被分析物、例えば、心臓血管や肝臓、腎臓機能指標(例えば、コレステロール、ヘモグロビン、電解質、代謝物質等)や感染症原因物質(例えば、ウィルス、バクテリア等)、病気状態指標(例えば、C反応性蛋白質、抗体、細胞内シグナル伝達因子、ホルモン等)、及び治療指標(例えば、抗生物質、薬等)等、そしてそれらは、髄液や尿、精液及び唾液等の他の生体起源サンプル中に含まれることがあるが、それらの臨床関連被分析物に応用できることは、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の第1実施例に基づく、血糖値モニタリング装置の部分概略図を示す図である。
【図2】本発明の第2または第3実施例に基づく、血糖値モニタリング装置の部分概略図を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中の臨床関連被分析物のレベル計測装置であって、
前記装置を通って前記液体を導く流路と、
前記流路を通過する前記液体と混合して前記液体の較正用サンプルを形成するように前記流路上に配置された所定量の前記被分析物と、
前記液体の未混合サンプル中、及び前記較正用サンプル中の、それぞれの被分析物レベル検出のために、前記流路上に配置された検出手段と
を備える装置。
【請求項2】
前記所定量の被分析物は、前記検出手段の一部として配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記検出手段は少なくとも二つの検出器を含み、第一の検出器は前記未混合サンプル中の被分析物レベルの検出のために配置され、第二の検出器は、前記較正用サンプル中の前記被分析物レベルを検出するために、前記所定量の被分析物の下流に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第一及び第二の検出器は前記流路上に連続して配置され、前記所定量の被分析物は、前記第一及び第二の検出器の間に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記流路は少なくとも二つの支流に分かれており、前記第一の検出器は第一の前記支流上に配置され、前記所定量の被分析物及び前記第二の検出器は第二の前記支流上に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項6】
二つの流路を有し、前記第一の検出器は第一の前記流路上に配置され、前記所定量の被分析物及び前記第二の検出器は第二の前記流路上に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記流路は少なくとも二つの支流に分かれており、前記所定量の被分析物は前記支流のうちの1つに設けられており、前記支流は前記検出手段の上流で再合流し、更に、前記複数の支流は、液体が第一の前記支流を通って前記検出手段に至るまでの時間が、第二の前記支流を通る時間より長いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記第一及び第二の支流が異なる長さであることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第一及び第二の支流が異なる流量を持つことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記所定量の被分析物は前記第一の支流上に位置することを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記検出手段は単一の検出器であることを特徴とする請求項7項乃至請求項10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記較正用サンプル中の被分析物レベル検出値に従って、前記未混合サンプル中の被分析物レベル検出値を調整して、被分析物レベル表示値を生成するように構成されたプロセッサを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記流路を通過する液と混合して第二の較正用サンプルを形成するように前記流路上に配置された第二の所定量の前記被分析物を更に含み、前記検出手段が未混合サンプル中及び前記較正用サンプル中の被分析物レベルを検出するために、前記流路上に配置されていることを特徴とする請求項1項乃至請求項12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記二つの所定量の被分析物が、異なる量であることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
液体中の臨床関連被分析物のレベル計測装置であって、
前記装置を通って前記液体を導く流路と、
前記流路を通過する液体と混合して較正用サンプルを形成するように、前記流路上に配置され、前記臨床関連被分析物とは異なった種である、所定量の較正用被分析物と、
前記較正用サンプル中の前記臨床関連被分析物レベルを検出するために前記流路上に配置された第一の検出手段と、
前記較正用サンプル中の前記較正用被分析物を検出するために前記流路上に配置された第二の検出手段と
を備える装置。
【請求項16】
前記較正用被分析物は、前記液体中には自然には存在しないか、または自然には低レベルでしか存在しない物質であることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記較正用被分析物は、酸素を有する供与体のCH-OH基に対して、アクセプタとして作用する酸化還元酵素の酵素類物質であるか、もしくは、触媒抗体等の人工酵素物質のいずれかであることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第一及び第二の検出手段は前記流路上の単一チャネル上に配置されていることを特徴とする請求項15乃至請求項17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記第一及び第二の検出手段は前記流路上の同じ位置に配置されていることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記臨床関連被分析物はグルコースであることを特徴とする請求項1乃至請求項19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記検出手段は、少なくとも1個の酵素電極を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記検出手段からの信号を処理し、被分析物のレベル表示値を算出するプロセッサを、更に含むことを特徴とする請求項1乃至請求項21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記プロセッサに接続されるセンサを更に含み、前記プロセッサが前記センサからの信号を処理して、被分析物レベル表示値を算出することを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記流路は、毛管作用により前記装置内で前記液体を引き込むように作用することを特徴とする請求項1乃至請求項23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
携帯型装置において、液体中の臨床関連被分析物のレベルを試験する方法であって、
前記液体のサンプルを既知量の前記被分析物と混合して、較正用サンプルを形成するステップと、
前記液体の未混合サンプル中の前記被分析物レベルを計測するステップと、
前記較正用サンプル中の前記被分析物レベルを計測するステップと、
前記較正用サンプル中の前記被分析物のレベル計測値を用いて、前記未混合サンプル中の前記被分析物のレベル計測値を調整するステップと
を含む方法。
【請求項26】
前記調整された被分析物レベルから被分析物レベル表示値を生成するステップを更に含み、前記調整ステップは、前記未混合サンプル中の被分析物レベルの未処理の計測において実行されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
未混合サンプル中の被分析物レベル計測から、被分析物レベル表示値を生成するステップを更に含み、前記調整ステップは、被分析物レベル表示時において実行されることを特徴とする請求項25項または請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記被分析物レベル表示値は、較正曲線を前記被分析物レベルに適用することによって生成されることを特徴とする請求項26または請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記調整ステップにおいて、調整後の被分析物濃度の計算が、Gladj = (Glun x Q)/(Glcal - Glun)
(ここで、Gladj、Glun、Glcalはそれぞれ、前記調整された被分析物濃度、前記液体の前記未混合サンプル中の前記被分析物濃度計測値、及び前記較正用サンプル中の前記被分析物濃度計測値、またQは、既知量のサンプルに既知量の被分析物を加えて得られる前記較正用サンプル中の被分析物濃度の前記既知上昇値を示す。)で表されることを特徴とする請求項25乃至請求項28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記液体のサンプルを第二の既知量の被分析物と混合して、第二の較正用サンプルを形成するステップと、前記第二の較正用サンプル中の前記被分析物レベルを計測するステップとを更に含み、前記調整ステップでは、両方の前記較正用サンプル中の前記被分析物レベル計測値を用いることを特徴とする請求項25乃至請求項29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記第二の既知量の被分析物と混合される前記液体サンプルは、既知の体積であることを特徴とする請求の範囲第30項に記載の方法。
【請求項32】
携帯型装置において、液体中の臨床関連被分析物のレベルを試験する方法であって、
前記臨床関連被分析物とは異なる種の較正用被分析物の既知量を、前記液体サンプル中に混合するステップと、
前記サンプル中の前記臨床関連被分析物のレベルを計測するステップと、
前記サンプル中の前記較正用被分析物のレベルを計測するステップと、
前記較正用被分析物の前記レベル計測値を用いて、前記臨床関連被分析物の前記レベル計測値を調整するステップと
を含む方法。
【請求項33】
前記較正用被分析物は、前記液体中には自然には存在しないか、または自然には低レベルでしか存在しない物質であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記較正用被分析物は、酸素を有する供与体のCH-OH基に対して、アクセプタとして作用する酸化還元酵素の酵素類物質であるか、もしくは、触媒抗体等の人工酵素物質のいずれかであることを特徴とする請求32または請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記臨床関連被分析物はグルコースであることを特徴とする請求項25乃至請求項34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記液体は血液であることを特徴とする請求項25乃至請求項35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記計測ステップは被分析物の濃度計測を伴うことを特徴とする請求項25乃至請求項36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記混合ステップにおいて、既知体積の液体は前記既知量の前記被分析物と混合されることを特徴とする請求項25乃至請求項37のいずれかに一項に記載の方法。
【請求項39】
前記液体を流路に導くステップを更に含み、前記計測ステップ及び混合ステップが実行される間に、前記液体が前記流路を流れることを特徴とする請求項25乃至請求項38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記調整ステップが、一つ以上の外部要因に基づいて修正を行うことを特徴とする請求項25乃至請求項39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記外部要因の内、少なくとも一つが気温であることを特徴とする請求項40に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2007−524094(P2007−524094A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553654(P2006−553654)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000550
【国際公開番号】WO2005/080970
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(506279311)ピー エー コンサルティング サービシーズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】