説明

被加工物の溶着装置及び樹脂枠の組立装置

【課題】被加工物の端部をバリが発生することなく溶着によって接合できる被加工物の溶着装置とする。
【解決手段】被加工物8を、長手方向に移動可能で、外周面をほぼ隙間なく保持し、被加工物8の端面8aの傾斜角度と同一角度の接触面11,21を有した第1、第2保持手段10,20と、この第1、第2保持手段10,20を、その接触面11,21が接近、離隔する方向に移動する第1、第2平行移動手段40,50と、加熱位置と退避位置に移動する加熱手段30と、前記第1、第2保持手段10,20を、その接触面11,21に沿った方向に同期して移動する同期移動手段60を備え、前期第1、第2保持手段10,20の接触面11,21を接した状態で、接触面11,21に沿った方向に移動することで前記被加工物8の端面8a相互が第1、第2保持手段10,20内で、押しつけられるようにすることで、被加工物8の端部にバリが発生しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂サッシの樹脂枠、樹脂障子枠を構成する樹脂枠材などの被加工物を溶着によって接合する被加工物の溶着装置、及び溶着装置を用いて樹脂窓枠、樹脂障子枠などの樹脂枠を組立てる樹脂枠の組立装置に関する
【背景技術】
【0002】
窓枠は、4本の棒状の枠材(上枠、下枠、左右の縦枠)を連結して方形状に組立てる。
この窓枠に障子を装着してサッシとしている。
障子枠は、4本の棒状の枠材(上框、下框、左右の縦框)を連結して方形状に組立てる。
この障子枠にガラスなどを装着して障子としている。
前記窓枠、障子枠としては、金属製の枠材(以下、金属枠材という)を用いた金属枠と樹脂製の枠材(以下、樹脂枠材という)を用いた樹脂枠が知られている。
前記金属枠の場合には、金属枠材の端部同士をビスなどで連結して組立を行っている。
一方、前記樹脂枠の場合には、各樹脂枠材の端部を45度に切断し、溶着によって接合して組立てを行っている。
前述のように樹脂枠材の端部を溶着によって接合するには、まず接合したい端部をヒータの熱で溶融させ、その後に端面同士を接して押圧することで溶融した端部同士を接合し、その後に冷却することで、溶融した部分が固まった一体の部材となるように接合している。
【0003】
前述のように、樹脂枠材を溶着によって接合する場合には、ヒータで樹脂枠材の端部を溶融する時や、溶融した端部同士を溶着する時に、その端部が押圧されることで、端部が外側に向って張り出し、バリが発生する。
このバリは、接合後にカッタなどで切断除去を行っている。
前述のようであるから、バリの除去工程が必要であるから樹脂枠の組立コストが高くなる。
また、バリを切断して除去した部分の色合いが、他の部分と異なる場合もあり、外観の見栄えが悪い。
【0004】
そこで、溶着して接合した部分にバリが発生しないようにした溶着装置(熱融着接合加工装置)が特許文献1に開示されている。
この溶着装置は、被加工物を把持して待機位置と熱融着位置に移動する一対の被加工物把持手段と、ヒータ手段を備え、前期被加工物把持手段の型組立体が固定側型組立体と可動側型組立体とからなり、この可動側型組立体は、接合時の押圧によって、固定側型組立体に移動可能となっている。そして被加工物の端部が可動側型組立体の内部に入った状態で、端部の溶融、溶着接合が行われるので、端部が外側に張り出すことなく、バリの発生が防止できるものである。
【0005】
【特許文献1】特開2001−150552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来の溶着装置は、被加工物の端部の溶融時や、溶着接合時に可動側型組立体が固定側型組立体に対して移動することで、溶融や溶着を行っているが、可動側型組立体はバネなどの弾性体で支持されることから、この型組立体を閉じるのはバネによる力であるため、端部の外側に張り出そうとするバリの圧力によって、型が開いてしまい、バリが発生する恐れがある。
【0007】
また、2つの被加工物の端部を押圧するには、各被加工物の端部をそれぞれの被加工物把持手段(型組立体)が把持した状態で、各被加工物把持手段とともに各被加工物を、その被加工物の長手方向に移動させることによって、互いに接近することで押圧を行なう構成である。
このために、枠を組立てるには、その枠のコーナー毎に溶着動作を行なうことになるので、枠の組立て作業に時間がかかってしまう。
例えば、矩形状の枠を組立てるには、4つのコーナー毎に4回の溶着動作を順次行なうので、組立て作業に時間がかかってしまう。
【0008】
本発明の目的は、被加工物の端部を溶着により接合する際にバリの発生を確実に防止できるし、複数の被加工物の端部を溶着によって接合することで枠とする際に、その枠の各コーナー部において被加工物の端部同士を同時に溶着によって接合することが可能である被加工物の溶着装置及び樹脂枠の組立装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、被加工物8を、長手方向に移動可能で、外周面をほぼ隙間なく保持する第1保持手段10、第2保持手段20と、
前記被加工物8を加熱する加熱手段30と、
前記第1保持手段10、第2保持手段20を、その相対向した接触面11,21が接近、離隔する方向に移動する第1、第2平行移動手段40,50と、
前記第1、第2保持手段10,20を、その接触面11,21に沿った方向に同期して移動する同期移動手段60を備え、
前記第1、第2保持手段10,20を接触面11,21が接触した状態で同期移動手段60によって移動することで、被加工物8の端面8a相互が第1、第2保持手段10,20内で長手方向に押圧されるようにしたことを特徴とする被加工物の溶着装置である。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、加熱手段30は、第1、第2保持手段10,20の接触面11,21が接する第1、第2加熱面31,32を有し、
この加熱手段30を前記第1、第2保持手段10,20の接触面11,21間の加熱位置と、前記接触面11,21間から抜け出た退避位置に移動する移動手段70を設け、
前記第1、第2保持手段10,20が同期移動手段60で移動する時には、前記加熱手段30が第1、第2保持手段10,20とともに移動するようにした被加工物の溶着装置である。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、移動体80に、第1、第2保持手段10,20と加熱手段30と第1、第2平行移動手段40,50と移動手段70をそれぞれ設け、
前記移動体80を基体81に、前記第1、第2保持手段10,20の接触面11,21に沿った方向に移動自在に設けて同期移動手段60とした被加工物の溶着装置である。
【0012】
第4の発明は、本体1に、請求項1又は2又は3記載の溶着装置2を、組立てる枠3の各コーナー部に位置するようにそれぞれ取付けたことを特徴とする樹脂枠の組立装置である。
【0013】
第5の発明は、第1本体1aと、この第1本体1aに横方向に移動自在に取付けた第2本体1bと、前記第1本体1aに取付けた第3本体1cで本体1とし、
前記第2本体1bに、第1溶着装置2aと、縦方向に移動自在とした第2溶着装置2bとを取付け、
前記第3本体1cに、第3溶着装置2cと、縦方向に移動自在とした第4溶着装置2dとを取付け、
前記第1溶着装置2aは前記第3溶着装置2cと、第2溶着装置2bは第4溶着装置2dと隣接しており、
前記第1、第2・第3・第4溶着装置2a,2b,2c,2dは、樹脂枠材8を、長手方向に移動可能で、外周面をほぼ隙間なく保持する第1保持手段10、第2保持手段20と、前記樹脂枠材8を加熱する加熱手段30と、前記第1保持手段10、第2保持手段20を、その相対向した接触面11,21が接近、離隔する方向に移動する第1、第2平行移動手段40,50を備え、
前記第1〜第4溶着装置2a〜2dは枠3の各コーナー部にそれぞれ位置すると共に、隣接した溶着装置の第1、第2保持手段10,20で樹脂枠材8の長手方向両端部をそれぞれ保持できるようにしたことを特徴とする樹脂枠の組立装置である。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、加熱手段30で加熱して溶融した被加工物8の端部を第1、第2保持部材10,20で保持し、その第1、第2保持部材10,20の接触面11,21を接した状態で同期移動手段60によって第1、第2保持部材10,20を同期して移動することで、被加工物8の端面8a相互が、第1、第2保持部材10,20内で長手方向に押圧されて接合する。
したがって、被加工物8の端部を溶着により接合する際にバリの発生を確実に防止できる。
【0015】
また、第1、第2保持手段10,20を移動することで接合するから、被加工物8を長手方向に移動する必要がないので、複数の被加工物8の端部を溶着によって接合することで枠とする際に、その枠の各コーナー部において被加工物の端部同士を同時に溶着によって接合することが可能である。
【0016】
第2の発明によれば、第1、第2保持手段10,20の接触面11,21を加熱手段30の第1、第2加熱面31,32に接した状態で、第1、第2保持手段10,20を同期移動手段60で移動することによって、被加工物8の端面8aが加熱手段30の第1、第2加熱面31,32に押しつけられ、被加工物8の端部は第1、第2保持部材10,20内で溶融する。
したがって、被加工物8の端部が溶融する際にバリが発生することがない。
【0017】
第3の発明によれば、基体81に対して移動体80を移動することで、第1、第2保持部材10,20が同期して移動すると共に、加熱手段30も同時に移動する。
したがって、同期移動手段60の構成が簡単で、その動作制御が容易である。
【0018】
第4、第5の発明によれば、樹脂枠材の端部を溶着により接合して樹脂枠を組立てることができるし、その溶着により接合する際にバリが発生することがない。
また、樹脂枠の各コーナー部において樹脂枠材8の端部同士を、同時に溶着により接合できるので、樹脂枠を効率良く短時間に組立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1に示すように、本体1に複数の溶着装置2を取付けて枠3を組立てる樹脂枠の組立装置としてある。
前記各溶着装置2は、2つの被加工物の長手方向の端部を所定の角度で溶着によって接合するもので、前記枠3の各コーナー部にそれぞれ設けてある。
【0020】
この実施の形態では、前記溶着装置2は、2つの被加工物の端部を90度に接合し、前記枠3は矩形状である。
前記本体1は、横方向(X方向)に長い横向きの第1本体1aと、この第1本体1aに沿って横方向に移動する縦方向(Y方向)に長い第2本体1bと、前記第1本体1aに固定した縦方向に長い第3本体1cを備えている。
例えば、横長な第1本体1aに一対の第1ガイドレール4を設け、この一対の第1ガイドレール4に沿って縦長な第2本体1bの下部寄りを横方向に移動自在に取付け、この第2本体1bと第1本体1aとに亘って第1移動手段として横向きの第1シリンダ5を取付け、その第1シリンダ5を伸縮することで第2本体1bが横方向に移動するようにする。
【0021】
前記溶着装置2は、前記第2本体1bの下部寄りに取付けた第1溶着装置2aと、その第2本体1bの上部寄りに縦方向に移動自在に取付けた第2溶着装置2bと、前記第3本体1cの下部寄りに取付けた第3溶着装置2cと、その第3本体1cの上部寄りに縦方向に移動自在に取付けた第4溶着装置2dを備えている。
前記第1〜第4溶着装置2a〜2dが、前記矩形状の枠3の4つのコーナー部にそれぞれ位置している。
前記第2、第3本体1b,1cの上部寄りに第2ガイドレール6を縦方向に向けてそれぞれ設け、この各第2ガイドレール6に沿って第2、第4溶着装置2b,2dを移動自在に取付け、第2、第3本体1b,1cと第2、第4溶着装置2b,2dに亘って第2移動手段として縦向きの第2シリンダ7をそれぞれ取付け、その第2シリンダ7を伸縮することで第2、第4溶着装置2b,2dが縦方向に移動する。前記第2・第4溶着装置2b,2dが移動すると、第1・第3溶着装置2b,2cに接近、離隔する。
【0022】
前記第1、第2移動手段としては、シリンダに限ることはなく、ラックとピニオン、送りねじとナットなどであっても良い。
【0023】
このようであるから、第2本体1bを横方向に移動することで第1、第2溶着装置2a,2bが横方向に移動し、横方向の大きさの異なる枠3を組立てできる。
また、第2本体1b、第3本体1cに対して第2、第4溶着装置2b,2dを縦方向に移動することで、縦方向の大きさの異なる枠3を組立てできる。
また、第2本体1bを横方向に移動すると共に、第2、第4溶着装置2b,2dで縦方向に移動すれば、横方向と縦方向の大きさがそれぞれ異なる枠3を組立てできる。
【0024】
前記溶着装置2が溶着によって接合される被加工物8(前記枠3を構成する樹脂枠材)は図2に示すように、その長手方向の端面8aが長手方向と直角に対して斜めの傾斜面となっている。
この被加工物8の端面8aの傾斜角度θは、枠3のコーナー角度θの半分の角度である。
例えば、枠3のコーナー角度θが図2(a)のように90度の場合には傾斜角度θが45度で、コーナー角度θが図2(b)のように60度の場合には傾斜角度θが30度である。
【0025】
次に、前記溶着装置2(2a,2b,2c,2d)の詳細を図3〜図7に基づいて説明する。
前記溶着装置2は図3に示すように第1保持手段10と第2保持手段20と加熱手段30を備えている。
前記第1保持手段10、第2保持手段20は、前記被加工物8の外周面を長手方向に移動可能で、その外周面をほぼ隙間なく保持すると共に、相互に相対向した接触面11,21を有している。なお、ほぼ隙間なくとは被加工物8の外周面と接する場合と、被加工物8の外周面と僅かに離れた場合を含むものとする。
例えば、第1保持手段10、第2保持手段20は、被加工物8の横断面形状(長手方向と直角な断面形状)とほぼ同一形状の保持空間12,22を有している。この保持空間12,22は前記接触面11,21と反対側端面13,23に開口している。
具体的には、図4(a)に示すように下型14,24の凹部14a,24aと上型15,25の凹部15a,25aで保持空間12,22を形成し、その保持空間12,22の内周面で被加工物8の外周面8bをほぼ隙間なく保持するが、保持空間12,22内を移動可能としている。
図4(b)に示すように上型15,25を下型14,24から離隔することで、下型14,24の凹部14a,24aに被加工物8をセットしたり、取り出したりできる。
【0026】
前記第1、第2保持手段10,20の相互に相対向した接触面11,21は、前記被加工物8の端面8aの傾斜角度と同一角度で、第1、第2保持手段10,20で被加工物8を保持すると、その被加工物8の端面8aと第1、第2保持手段10,20の接触面11,21が面一に連続することが可能としてある。
【0027】
前記第1、第2保持手段10,20は、その接触面11,21が接する第1の位置と離隔した第2、第3の位置とに亘ってそれぞれ平行に移動する。
例えば、第1、第2平行移動手段40,50でそれぞれ平行に移動される。この第1・第2平行移動手段40,50による移動は、保持手段に保持された被加工物8の保持手段に保持された被加工物8の長手方向に直交する方向である。
また、前記第1、第2保持手段10,20は、その接触面11,21に沿った方向にそれぞれ同期して移動される。
例えば、同期移動手段60で第1、第2保持手段10,20が同期して接触面11,21に沿った方向に移動される。つまり、第1・第2保持手段10,20の両方が同時に移動される。
【0028】
前記加熱手段30は、第1保持手段10の接触面11と接する第1加熱面31と第2保持手段20の接触面21と接する第2加熱面32を有している。この第1、第2加熱面31,32は平坦面である。
前記加熱手段30は第1、第2保持手段10,20間(接触面11,21間)の加熱位置と第1、第2保持手段10,20間から抜け出した退避位置とに亘って移動される。
例えば、移動手段70で加熱位置と退避位置に渡って移動する。
【0029】
前記第1、第2平行移動手段40,50の具体例を説明する。
移動体80に第1レール41と第2レール51を設け、第1、第2保持手段10,20(下型14,24)に設けた第1ガイド42、第2ガイド52を第1、第2レール41,51に摺動自在に嵌合して第1、第2保持手段10,20を、保持した被加工物8の長手方向に直交する方向に移動自在とする。
このため、第1・第2・第3の位置に移動するとき、被加工物8が保持手段に移動可能となって保持されていても所定の位置に移動できる。
前記移動体80に第1、第2電動モータ43,53を取付け、この第1、第2モータ43,53で回転される送るねじ杆44,54を、第1、第2保持手段10,20に回転自在で、移動しないように取付けたナット45,55に螺合し、第1、第2電動モータ43,53を駆動することで第1、第2保持手段10,20が移動するようにして前述の第1、第2平行移動手段40,50としてある。
【0030】
前記第1、第2平行移動手段40,50は、第1、第2保持手段10,20を同一距離移動し、枠3のコーナー部を境として常時対称位置となるように駆動制御される。
例えば、第1電動モータ43と第2電動モータ53を同期制御して第1、第2保持手段10,20が同一距離移動するようにする。
前記第1、第2平行移動手段40,50は、前述のものに限ることはなく、シリンダを用いたり、ピニオンとラックを用いたものとしても良い。
【0031】
前記同期移動手段60の具体例を説明する。
前記移動体80に設けたガイド61を基体81に設けたレール62に摺動自在に嵌合し、その基体81に電動モータ63を取付け、その電動モータ63で回転される送りねじ杆64を移動体80に回転自在で、移動しないように取付けたナット65に螺合し、電動モータ63を駆動することで移動体80が基体81に対して移動するようにして同期移動手段60としてある。この同期移動手段60による移動は、第1・第2保持手段10,20が一緒に移動することから同期して移動するとしている。
【0032】
このようにすれば、1つの電動モータ63を駆動制御すれば良いので、その制御が容易であるし、構成も簡単である。
【0033】
前記同期移動手段60は、前述に限ることはなく、シリンダ、ピニオンとラックを用いて移動体80を移動するようにしても良い。
また、第1、第2保持手段10,20を別々の移動手段で移動するようにし、その移動手段を同期駆動するようにしても良い。
【0034】
前記移動手段70の具体例を説明する。
前記移動体80にレール71を取付け、このレール71に嵌合したガイド72を加熱手段30に取付ける。
前記移動体80にブラケット73を介してシリンダー74を取付け、そのピストンロッド75を前記加熱手段30に連結し、そのシリンダー74のピストンロッド75を伸縮することで加熱手段30が加熱位置と退避位置に亘って移動する。
これによって、前述の移動手段70としてある。
【0035】
この移動手段70は、シリンダ、ピニオンとラックを用いたものとしても良い。
【0036】
図1に示すように、第1溶着装置2aの基体81が第2本体1bの下部寄りに取付けられ、第2溶着装置2bの基体81が第2本体1bの上部寄りに縦方向に移動自在に取付けてある。
前記第3溶着装置1cの基体81が第3本体1cの下部寄りに取付けられ、第4溶着装置2dの基体81が第3本体1cの上部寄りに縦方向に移動自在に取付けてある。
そして、第1溶着装置2aの移動体80と第4溶着装置2dの移動体80が相対向する方向に移動し、第2溶着装置2bの移動体80と第3溶着装置2cの移動体80が相対向する方向に移動する。
すなわち、第1、第4溶着装置2a,2dが枠3の対角上に相対向した2つのコーナー部に位置し、第2、第3溶着装置2b,2cが枠3の残りの対角上に相対向した2つのコーナー部に位置している。
【0037】
次に、溶着装置2によって2つの被加工物8を溶着によって接合する動作を説明する。
図8に示すように、第1、第2保持手段10,20をその接触面11,21が大きく離隔した第3の位置とし、各保持空間12,22で被加工物8の端部をそれぞれ保持する。
この状態で加熱手段30を図8に仮想線で示すように加熱位置に移動する。
【0038】
図9に示すように、第1、第2保持手段10,20を、その接触面11,21が離隔した第2の位置に向けて平行移動して、接触面11,21を加熱手段30の第1、第2加熱面31,32に接する。
この状態で加熱手段30を発熱させると共に、移動体80を矢印aの方向に移動する。
【0039】
これによって、図10に示すように第1、第2保持手段10,20が、その接触面11,21に沿った方向(矢印a方向)に同時に移動すると共に、加熱手段30も同時に移動するので、被加工物8が第1、第2保持手段10,20に対して、その接触面11,21から突出する方向に相対向した長手方向に移動する。
つまり、一方の溶着装置2a〜2dに保持された被加工物8の端部の反対の端部が、他の溶着装置2a〜2dの第1・第2保持手段10,20の接触面11,21から突出する方向に移動しようとし、これによって、被加工物8の端面8aが加熱手段30の第1、第2加熱面31,32に強く押しつけられるので、その被加工物8の端部が溶融する。
【0040】
このように、被加工物8の端部が第1、第2保持部材10,20の保持空間11,21内に保持された状態で加熱手段30(第1、第2加熱面31,32)に押しつけられて溶融するので、被加工物8の端部が溶融する際に外側に張り出すことがなく、バリが発生しない。
この実施の形態では、被加工物8が中空形状であるので、その端部が中空部内に入り込むように溶融するので、溶融する部分が長くなり、溶着された部分を長くできる。
【0041】
また、前述のように被加工物8の端部を溶融する時に、被加工物8を把持した状態で長手方向に移動しないので、枠3を組立てる場合には各コーナー部において同時に被加工物8の端部を溶融することができる。
【0042】
この後に、第1、第2保持手段10,20を前述の第3の位置に平行移動すると共に、加熱手段30を退避位置に移動する。
この状態で第1、第2保持手段10,20を図11に示すように接触面11,21が接した第1の位置に移動して接触面11,21を接触させる。
この状態で、前述と同様に移動体80を矢印a方向に更に移動することで、被加工物8の端面8a同士が押圧されて接合される。
【0043】
このように、被加工物8の端部を第1、第2保持手段10,20の保持空間12,22内で保持した状態で端面8a同士を押圧して溶着により接合するので、その接合した部分にバリが発生することがない。
また、第1、第2保持部材10,20が同期移動手段60によって移動することで被加工物8が相対向して長手方向に移動し、その被加工物8は把持した状態で長手方向に移動しないので、枠3を組立てる場合には各コーナー部を同時に接合することができる。
【0044】
前述の説明では、被加工物8の端部を溶融する時に第1、第2保持手段10,20とともに加熱手段30が同時に移動するように、その第1、第2保持手段10,20と加熱手段30を移動体80に取付けしたが、これに限ることはなく、前述のように第1、第2保持手段10,20を別々の移動手段で移動するようにした場合には、その移動手段と同期して移動手段70を駆動制御したり、加熱手段30を外力で移動自在な状態としたりしても良い。
要するに、加熱手段30は第1、第2保持手段10,20が同期して移動する時に、第1、第2保持手段10,20とともに移動するようにすれば良い。
【0045】
また、加熱手段30で被加工物8の端部を溶融するには前述のようにすることに限ることはない。例えば、加熱手段30を被加工物8の端部に接して溶融しても良い。
【0046】
次に、図1に示した樹脂枠の組立装置で樹脂枠を組立てる動作を説明する。なお、被加工物8を樹脂枠材8として説明する。
図12に示すように、第1溶着装置2aの第2保持部材20の保持空間22と第2溶着装置2bの第1保持部材10の保持空間12とに亘って第1の樹脂枠材8の長手方向両端部を前述のようにセットして保持し、第1溶着装置2aの第1保持部材10の保持空間12と第3溶着装置2cの第2保持部材20の保持空間22とに亘って第2の樹脂枠材8の長手方向両端部をセットして保持する。
同様に、第3溶着装置2cの第1保持手段10の保持空間12と第4溶着装置2dの第2保持手段20の保持空間22とに亘って第3の樹脂枠材8の長手方向両端部をセットして保持し、第4溶着装置2dの第1保持手段10の保持空間12と第2溶着装置2bの第2保持部材20の保持空間22とに亘って第4の樹脂枠材8の長手方向両端部をセットして保持する。
要するに第1溶着装置2aは、第2溶着装置2b及び第3溶着装置2cと、第4溶着装置2dは、第2溶着装置2b及び第3溶着装置2cと隣接しており、隣接した溶着装置の第1、第2保持部材10,20の保持空間12,22で樹脂枠材8の長手方向両端部を保持する。
【0047】
この状態で、第1〜第4溶着装置2a〜2dを前述の図8〜図11に示す動作を同時に行なって図2のコーナー部において樹脂枠材8の端部を溶着によって接合する。
この場合には、4つの樹脂枠材8の端面8a相互が各コーナー部で押しつけられるので、効果的に溶着により接合できる。
【0048】
以上の実施の形態では矩形状の枠3を組立てるようにしたが、これに限ることはなく三角形、五角形など任意の形状の枠3を組立てることが可能である。
例えば、図13に示すように第1、第2・第3溶着装置2a,2b,2cを三角形の枠3の各コーナー部にそれぞれ設けることで、三角形の枠3を溶着による接合で組立てできる。
この場合にはコーナー角度θが60度であるので、被加工物8の端面8aの傾斜角度θは30度である。
【0049】
次に、樹脂枠の組立装置の第2の実施の形態を図14に基づいて説明する。
本体1は、前述した図1に示す本体1と同様に、第1本体1a、第2本体1b、第3本体1cを有し、第2本体1bが第1本体1aに対して横方向に移動する。
前記第2本体1bに第1、第2溶着装置2a,2bが前述の図1に示す装置と同様に取付けてある。
前記第3本体1cに第3、第4溶着装置2c,2dが前述の図1に示す装置と同様に取付けてある。
前記第1〜第4溶着装置2a〜2dは、前述の図5に示す溶着装置2における同期移動手段60を具備しないもので、他の構成は図5に示す溶着装置2と同様である。
要するに、第1〜第4溶着装置2a〜2dは第1、第2保持手段10,20と、加熱手段30と、第1、第2平行移動手段40,50と、移動手段70を備え、それらは第1移動体80に取付けてある。
ここで第2・第4溶着装置2b,2dは、移動体80を第2ガイドレール6に上下動可能に取付けられており、第1・第3溶着装置2a,2cは、第2・第3本体1b,1cの下端に取付けられている。第2本体1bがX方向に沿って第3本体1cに接近、離間する方向に移動することで、第1溶着装置2aが第3溶着装置2cに接近、離間する。
【0050】
次に、枠3を組立てる動作を説明する。なお、被加工物8を樹脂枠材8として説明する。
前述と同様に隣接した溶着装置の第1、第2保持手段10,20の保持空間12,22に樹脂枠材8の長手方向両端部をセットして長手方向に移動可能に保持する。
前述の状態で各溶着装置2の第1、第2保持手段10,20を離隔した第3の位置とし、加熱手段30を加熱位置に移動する。
そして、第1、第2保持手段10,20を第2の位置に向けて移動して接触面11,21を加熱手段30(第1、第2加熱面31,32)に接する。
【0051】
前述の状態で第2本体1bを横方向に第3本体1cに向けて移動すると共に、第2、第4溶着装置2b,2d(第1移動体80)を縦方向における第1、第3溶着装置2a,2cに向けてそれぞれ移動する。
【0052】
これによって、第1溶着装置2aと第3溶着装置2c、第2溶着装置2bと第4溶着装置2dの横方向の間隔が短かくなると共に、第1溶着装置2aと第2溶着装置2b、第3溶着装置2cと第4溶着装置2dの縦方向の間隔が短かくなる。
すなわち、矩形状の枠3が相似形に小さくなろうとするので、隣接した樹脂枠材8の端面8aが加熱手段30に押しつけられて溶融する。
この押しつけ力が反対側の端面8aに反作用として働くことで、反対側も加熱手段30に押しつけられて溶融する。
【0053】
この後に、第1、第2保持手段10,20を離隔する方向に移動して第3の位置とし、加熱手段30を退避位置まで移動する。
そして、第1、第2保持手段10,20を第1の位置に向けて移動して接触面11,21を接する。
この状態で前述と同様に第2本体1b、第2、第4溶着装置2b,2dを移動することで、樹脂枠材8の端面8a相互を押圧して溶着により接合する。
【0054】
上記第1・第2の実施の形態においては、第2本体1bが第3本体1cに接近、離間するように移動しているが、第3本体1cが移動するようにしても良いし、または両方移動するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態を示す樹脂枠の組立装置の概略正面図である。
【図2】被加工物の端面の傾斜角度の説明図である。
【図3】溶着装置の拡大詳細正面図である。
【図4】保持手段の説明図である。
【図5】図3のA−A断面図である。
【図6】図3のB−B断面図である。
【図7】図3のC−C断面図である。
【図8】被加工物の溶着による接合動作の説明図である。
【図9】被加工物の溶着による接合動作の説明図である。
【図10】被加工物の溶着による接合動作の説明図である。
【図11】被加工物の溶着による接合動作の説明図である。
【図12】樹脂枠の組立て動作説明図である。
【図13】本発明の樹脂枠の組立装置の第2の実施の形態を示す正面図である。
【図14】本発明の樹脂枠の組立装置の第3の実施の形態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0056】
1…本体、1a…第1本体、1b…第2本体、1c…第3本体、2…溶着装置、2a…第1溶着装置、2b…第2溶着装置、2c…第3溶着装置、2d…第4溶着装置、3…枠、8…被加工物(樹脂枠材)、8a…端面、10…第1保持部材、11…接触面、12…保持空間、20…第2保持部材、21…接触面、22…保持空間、30…加熱手段、31…第1加熱面、32…第2加熱面、40…第1平行移動手段、50…第2平行移動手段、60…同期移動手段、70…移動手段、80…移動体、81…基体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物8を、長手方向に移動可能で、外周面をほぼ隙間なく保持する第1保持手段10、第2保持手段20と、
前記被加工物8を加熱する加熱手段30と、
前記第1保持手段10、第2保持手段20を、その相対向した接触面11,21が接近、離隔する方向に移動する第1、第2平行移動手段40,50と、
前記第1、第2保持手段10,20を、その接触面11,21に沿った方向に同期して移動する同期移動手段60を備え、
前記第1、第2保持手段10,20を接触面11,21が接触した状態で同期移動手段60によって移動することで、被加工物8の端面8a相互が第1、第2保持手段10,20内で長手方向に押圧されるようにしたことを特徴とする被加工物の溶着装置。
【請求項2】
加熱手段30は、第1、第2保持手段10,20の接触面11,21が接する第1、第2加熱面31,32を有し、
この加熱手段30を前記第1、第2保持手段10,20の接触面11,21間の加熱位置と、前記接触面11,21間から抜け出た退避位置に移動する移動手段70を設け、
前記第1、第2保持手段10,20が同期移動手段60で移動する時には、前記加熱手段30が第1、第2保持手段10,20とともに移動するようにした請求項2記載の被加工物の溶着装置。
【請求項3】
移動体80に、第1、第2保持手段10,20と加熱手段30と第1、第2平行移動手段40,50と移動手段70をそれぞれ設け、
前記移動体80を基体81に、前記第1、第2保持手段10,20の接触面11,21に沿った方向に移動自在に設けて同期移動手段60とした請求項2記載の被加工物の溶着装置。
【請求項4】
本体1に、請求項1又は2又は3記載の溶着装置2を、組立てる枠3の各コーナー部に位置するようにそれぞれ取付けたことを特徴とする樹脂枠の組立装置。
【請求項5】
第1本体1aと、この第1本体1aに横方向に移動自在に取付けた第2本体1bと、前記第1本体1aに取付けた第3本体1cで本体1とし、
前記第2本体1bに、第1溶着装置2aと、縦方向に移動自在とした第2溶着装置2bとを取付け、
前記第3本体1cに、第3溶着装置2cと、縦方向に移動自在とした第4溶着装置2dとを取付け、
前記第1溶着装置2aは前記第3溶着装置2cと、第2溶着装置2bは第4溶着装置2dと隣接しており、
前記第1、第2・第3・第4溶着装置2a,2b,2c,2dは、樹脂枠材8を、長手方向に移動可能で、外周面をほぼ隙間なく保持する第1保持手段10、第2保持手段20と、前記樹脂枠材8を加熱する加熱手段30と、前記第1保持手段10、第2保持手段20を、その相対向した接触面11,21が接近、離隔する方向に移動する第1、第2平行移動手段40,50を備え、
前記第1〜第4溶着装置2a〜2dは枠3の各コーナー部にそれぞれ位置すると共に、隣接した溶着装置の第1、第2保持手段10,20で樹脂枠材8の長手方向両端部をそれぞれ保持できるようにしたことを特徴とする樹脂枠の組立装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−221608(P2008−221608A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63167(P2007−63167)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】