被検ガス蓄積型ガスセンサ
【課題】分解ガスの蓄積量の測定が可能な被検ガス蓄積型ガスセンサを提供することを課題とする。
【解決手段】被検ガス蓄積型ガスセンサ10は、固体電解質11、固体電解質11の一方の側に設置された検出電極12、固体電解質11の他方の側に設置されて検出電極12と対向する対向電極13、電源14、電流検出器15、接続電線16、および筐体17から構成されており、検出電極12は、導電性金属と吸着剤とを含む多孔性の材料から形成されていて、そのために電極としての導電性と被検ガスを吸着して経時的に蓄積保持する機能をなし、対向電極3との間の電気抵抗の経時変化を測定することにより、検出対象物の所定期間における発生量を時間に関して積分した値、即ち、蓄積量を測定することができる。
【解決手段】被検ガス蓄積型ガスセンサ10は、固体電解質11、固体電解質11の一方の側に設置された検出電極12、固体電解質11の他方の側に設置されて検出電極12と対向する対向電極13、電源14、電流検出器15、接続電線16、および筐体17から構成されており、検出電極12は、導電性金属と吸着剤とを含む多孔性の材料から形成されていて、そのために電極としての導電性と被検ガスを吸着して経時的に蓄積保持する機能をなし、対向電極3との間の電気抵抗の経時変化を測定することにより、検出対象物の所定期間における発生量を時間に関して積分した値、即ち、蓄積量を測定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検ガス蓄積型ガスセンサに関し、詳しくは例えば六フッ化硫黄(SF6)の分解ガスや大気中の汚染ガスなどの被検ガスに就き、所望の所定期間における当該被検ガスの蓄積量を測定可能な被検ガス蓄積型ガスセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス絶縁開閉装置に充填されているSF6は、当該装置内における放電や局部加熱により分解して、SF4、SOF2、HF、SO2などの分解ガスを発生する。かかる分解ガスの検出は、万一にも地絡や短絡等の事故が発生した場合、その事故発生位置を判別する故障点標定やSF6の健全性の確認手段として必要不可欠な要素となっている。
【0003】
従来から、上記分解ガスの検知装置として、後記の特許文献1から、固体電解質と、当該固体電解質の一方の面に密着して設け、被検出ガスと接する検出電極と、上記固体電解質の他方の面に密着して設けた対向電極と、上記両電極間に電圧を印加する、または、電気信号を取り出すリード線を備え、上記両電極を構成する材料として、被検出ガスとの反応生成物を形成し難い不活性物質が用いられていることを特徴とするガスセンサが公知である。
【0004】
ところで特許文献1のガスセンサは、ある一時点における被検ガス成分の濃度を検出することができ、繰り返し使用可能、電気信号出力可能という特徴はあるが、ある時点から別の時点までの所定期間における分解ガスの蓄積量を検出することができない問題がある。ガス絶縁機器の十全な保守管理上からは、刻々の分解ガスの濃度を知ることもさりながら、ある時点から別の時点までの所定期間内での発生全量、即ち蓄積量を知ることがガス絶縁機器の健全度を判定する上で一層重要である。
【特許文献1】特開平10―26602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、斯界における如上の問題に鑑みて、分解ガスの上記した蓄積量の測定が可能な被検ガス蓄積型ガスセンサを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、固体電解質、上記固体電解質の一方の側に被検ガスと接するように設置されると共に導電性金属と吸着剤とを含む材料から形成された検出電極、上記固体電解質の他方の側に上記被検ガスと接触しないように設置された対向電極を備えたことを特徴とする被検ガス蓄積型ガスセンサを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の被検ガス蓄積型ガスセンサは、SF6が充填されたガス絶縁開閉装置などの検査対象装置の保守管理上から、分解ガスの少なくとも一種を被検ガスとして、それの所望の所定期間での蓄積量、特に長期間にわたる期間での蓄積量を定量することが可能であって、かかる蓄積量から当該検査対象装置を一定期間稼動した後における健全性を診断することができる。また本発明で使用される上記検出電極を複数使用することにより、後記実施の形態において説明するように、複数の分解ガス成分を検出することは可能であって、複数の分解ガス成分から検査対象装置内における放電や局部加熱などのガス分解の発生原因をも知ることができる。また、本発明の被検ガス蓄積型ガスセンサが請求項4に示す被検ガス非蓄積型ガスセンサを含む場合には、上記の蓄積量に加えて所望の時点での分解ガス量を定量することが可能であって、その時点での分解ガス量とそれまでの蓄積量とから、一層詳細な健全性の診断が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に示す諸図において、同一部分は、同一符号で示す。
【0009】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における被検ガス蓄積型ガスセンサの概略側断面図である。図1において、当該被検ガス蓄積型ガスセンサ10は、固体電解質11、固体電解質11の一方の側に設置された検出電極12、固体電解質11の他方の側に設置されて検出電極12と対向する対向電極13、電源14、電流検出器15、接続電線16、および筐体17から構成されている。矢印Aは、被検ガスの供給方向を示す。
【0010】
固体電解質11としては、融点より低い温度で高いイオン導電性を示す、従来から公知あるいは周知のもの、例えばジルコニア、ヨウ化銀、ヨウ化銀にリチウム、ナトリウム、カリウム、銅あるいはその他のイオンを添加したもの、フッ化ランタン、水素イオン導電性の固体高分子電解質、電池で使用されているルビジウム−銅系化合物、などが例示される。
【0011】
検出電極12は、導電性金属と吸着剤とを含む多孔性の材料から形成されており、そのために電極としての導電性と前記被検ガスを吸着して蓄積保持する機能をなし、しかして対向電極3との間の電気抵抗の経時変化を測定することにより、検出対象物の所定期間における発生量を時間に関して積分した値、即ち、蓄積量を測定することができる。
【0012】
上記吸着剤としては、固気界面で気体を物理的にあるいは化学的に吸着あるいは収着する、従来から公知あるいは周知のものであってよく、例えばゼオライト、シリカゲル、アルミナなどが例示される。就中、吸着能の大きいゼオライトが好ましい。導電性金属としては、20℃における導電率が、20Ω−1・m−1以上の金属、例えば金、銀、銅、ニッケル、コバルト、錫、白金などが例示される。上記被検ガスが、SF4 、SOF2 、HF、SO2あるいはその他のSF6 の分解ガス、あるいはNO2などのNOxなどの反応性のガスである場合、上記導電性金属としては、かかる反応性ガスと化学的に反応するもの、特に銀、銅が後記する理由から好ましい。対向電極13は、上記した導電性金属で形成されて良い。
【0013】
検出電極12が電極としての導電性と上記した蓄積保持機能を有する限り、上記吸着剤と上記導電性金属との検出電極12中における存在形態は任意であってよく、例えば両者の微粒子の均一な機械的混合物、吸着剤を導電性金属にて無電解メッキして吸着剤の内外表面に導電性金属の薄層を形成したもの、導電性金属の多孔性薄板と吸着剤の薄板との積層体、などであってよい。いずれの存在形態にせよ、吸着剤の量が過小であると被検ガスを吸着する能力が乏しくなり、一方、導電性金属の量が過小であると、電極としての導電性が乏しくなる。なお上記両成分の比率は、両成分の存在形態によって異なる。例えば両成分が上記した機械的混合物や積層体である場合には、吸着剤100重量部あたり、導電性金属は1〜500重量部、好ましくは10〜100重量部である。無電解メッキである場合には、吸着剤の全表面が導電性金属でめっきされると吸着剤としての機能を喪失するので、吸着剤100重量部あたり、導電性金属は0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
【0014】
被検ガスは、図1の矢印Aで示す方向に供給され、検出電極12は、固体電解質11の一方の側で被検ガスと接するように設置されており、対向電極13は固体電解質11の他方の側で被検ガスと接しないように設置されている。筐体17は、検出電極12と対向電極13との各被検ガスとの上記した接触、非接触性を確保し得る構造であればよく、図1では一端が開口した、被検ガスに対して不活性な有機高分子製の筐体17の底近くに固体電解質11が筐体17の側壁に気密に固定されていて、対向電極13は固体電解質11の筐体底側の面に密着固定されており、検出電極12は、その反対側の面に密着固定されている。
【0015】
次に実施の形態1の動作に就き説明すると、被検ガス蓄積型ガスセンサ10は、検査対象機器、例えばSF6が充填されているガス絶縁開閉装置に取り付けられ、その際に充填ガスが絶えず検出電極12と循環接触するように取り付けられる。さらに定期的にあるいは連続して検出電極12と対向電極13との間に交流電圧、例えば100Hz〜5kHz程度の交流電圧が印加され、検出電極12と対向電極13との電極間抵抗が測定され、予め決定された電極間抵抗―被検ガス蓄積量の相関検量グラフから被検ガス蓄積量が求められる。
【0016】
実施の形態2.
図2〜図9は、本発明の実施の形態2を説明するものであって、図2は実施の形態2における被検ガス蓄積型ガスセンサおよび被検ガス非蓄積型ガスセンサの平面図、図3は図2のB−C断面図、図4は図2のB−D−E断面図、図5は被検ガス非蓄積型ガスセンサ20により検出されたHFの濃度と出力電流の経時変化を示すグラフ、図6は図5から求めたHF濃度と出力電流との定量的関係を示すグラフ、図7は被検ガス蓄積型ガスセンサにて検出されたF化合物およびS化合物についての各蓄積量と電極間抵抗との関係を示すグラフ、図8はF化合物とS化合物とが共存した場合における被検ガス蓄積型ガスセンサにより検出された蓄積量と電極間抵抗との関係を示すグラフ、図9は被検ガス蓄積型ガスセンサにおいて検出された蓄積量と被検ガス非蓄積型ガスセンサにおいて検出された検出量との各経時的変化を示すグラフ、である。
【0017】
実施の形態2の被検ガス蓄積型ガスセンサは、二つの被検ガス蓄積型ガスセンサ10a、10bからなり、且つ被検ガス非蓄積型ガスセンサ−20を伴っている。図2から明らかなように、上記3つのガスセンサの検出電極12a、検出電極12b、および検出電極22の各平面図を合わせると円形であり、また検出電極12aおよび検出電極12bは、いずれも扇形であり、残る3/4弱の部分は検出電極22となっていて、図3および図4から明らかなように、それら3つのガスセンサは、共通の固体電解質11を用いて形成され、一つの円筒状の筐体17内に収められている。
【0018】
被検ガス蓄積型ガスセンサ10aは、検出電極12a、対向電極13a、電源14a、電流検出器15a、および接続電線16aから構成されており、被検ガス蓄積型ガスセンサ10bは、検出電極12b、対向電極13b、電源14b、電流検出器15b、および接続電線16bから構成されている。被検ガス非蓄積型ガスセンサ20は、請求項4における第二の検出電極の例としての検出電極22、第二の対向電極の例としての対向電極23、電源24、電流検出器25、および接続電線26から構成されている。被検ガス蓄積型ガスセンサ10a、10bは、所定期間内に蓄積された、換言すると概して多量の被検ガス量を測定対象とするので、電極面積はさほど大きくなくてもよく、これに対して被検ガス非蓄積型ガスセンサ20は、非蓄積の即ち一般的に少量の被検ガス量を測定対象とするので電極面積が大きいほど測定感度が向上する。よって図2に示すように電極の面積配分することが好ましく、さらに全体として円形とするとガスセンサがコンパクト化、小型化できる効果がある。
【0019】
被検ガス蓄積型ガスセンサ10a、10bのいずれもは、前記実施の形態1で説明した構成内に含まれるもののうちで、以下に具体的に説明するように一層好ましい構成を有する。即ち、固体電解質11は、0.3モル%のユウロピウムがドープされたフッ素イオン導電性のフッ化ランタン(LaF3)から形成されており、その厚さは0.2mmである。検出電極12aは、固体電解質11の構成材料と同じ上記フッ化素ランタンの微粒子とゼオライト微粒子とが有機高分子の一例としての常温で液状のアタックチックポリプロピレンに分散された混合ペ−ストを固体電解質11の片面に塗布し、窒素下で焼結し、その際に上記混合ペ−スト内の上記アタックチックポリプロピレンが気化することにより多孔化され、次いで当該多孔性混合層の内外表面に銀を無電解めっきして形成されている。検出電極12aは、この無電解めっきにより導電性と多孔性とが付与されていて、厚さは30μmである。対向電極13aは、厚さ0.5nmの銀で形成されている。検出電極12bは、上記銀の無電解めっきに代えて被検ガスとの反応性の銅の無電解めっきが施された点のみ、上記検出電極12aと異なる。対向電極13bは、厚さ25nmの銅で形成されている。検出電極12aにおける銀の含有量は、ゼオライト微粒子(SEM観察による粒径:0.1μm)100重量部あたり0.54重量部であり、検出電極12bにおける銅の含有量は、ゼオライト微粒子100重量部あたり0.48重量部である。
【0020】
検出電極12aおよび検出電極12bにおける銀や銅は、被検ガスと反応性であるので、ゼオライトによる被検ガスの吸着に基づく蓄積に加えて、銀や銅と被検ガスとの反応生成物の増加に基づく蓄積が生じ、それらが電極間抵抗の変化に寄与するので、分解ガスの定量感度を向上する効果がある。さらに分解ガスがHFなどのF化合物である場合、電極反応生成物はCuF2やAgFなどであり、分解ガスがSO2などのS化合物である場合、電極反応生成物は、Cu2S、Ag2Sなどであって、それら電極反応生成物はそれぞれ導電率が異なるので、各分解ガスの蓄積量に対する電極間抵抗は、電極反応生成物に固有のものとなっている。よって、各電極反応生成物ごとに固有の検量線を予め求めておくと、全分解ガス量の定量と分解ガスの成分分析も可能となる。
【0021】
被検ガス非蓄積型ガスセンサ20としては、従来公知のものであってよく、例えば前記の特許文献2などに記載されたものでよい。よって検出電極22は、被検ガスに対して金、白金などの不活性な導電性金属、例えば厚さ25nmの金で形成されており、対向電極23も厚さ25nmの金で形成されている。
【0022】
次に実施の形態2の動作に就き説明すると、被検ガス蓄積型ガスセンサ10a、10bおよび被検ガス非蓄積型ガスセンサ20は、SF6が充填されているガス絶縁開閉装置に取り付けられ、その際に充填ガスが絶えず検出電極12a、検出電極12b、および検出電極22と循環接触するように取り付けられる。さらに定期的または不定期に、あるいは連続して検出電極12aと対向電極13aとの間、および検出電極12bと対向電極13bとの間に各1kHzの交流電圧が印加され、上記各電極間抵抗が測定される。一方、検出電極22と対向電極23には、定期的または不定期に、2.5Vの直流電圧が検出電極22を陰極、対向電極23を陽極として印加され、電極間抵抗が測定される。
【0023】
図5は、被検ガス非蓄積型ガスセンサ20により検出されたSF6の分解ガスの一種であるHFの濃度に応じた出力電流の経時変化を示す。その際の上記ガス絶縁開閉装置の稼動時における内部のSF6は、そのガス圧力が0.1MPa程度であった。図6は、図5から求めたHF濃度と出力電流との定量的関係を示すグラフであって、当該グラフを利用して個々の時点での出力電流からSF6の分解ガス濃度を知ることができる。
【0024】
検出電極12aは、銀とゼオライトとを含むので、そこでは前記したようにゼオライトによる被検ガスの吸着に基づく蓄積に加えて、AgFやAg2Sの蓄積も加わる。一方、検出電極12bは、銅とゼオライトとを含むので、そこでは前記したようにゼオライトによる被検ガスの吸着に基づく蓄積に加えて、CuF2やCu2Sの蓄積も加わる。図7は、被検ガス蓄積型ガスセンサ10aおよび被検ガス蓄積型ガスセンサ10bにおけるAgF、Ag2S、CuF2およびCu2Sの各蓄積量(X軸)と検出電極12aと対向電極13aの電極間抵抗(Y軸)、および検出電極12bと対向電極13bの電極間抵抗(Y軸)との関係を後記する実験により測定して得た定量的関係を表す4グラフ(グラフ1〜グラフ4)を示す。
【0025】
グラフ1は、検出電極12aにおいてAgFが蓄積された場合であって、下式(1)で表される。グラフ2は、検出電極12aにおいてAg2Sが蓄積された場合であって、下式(2)で表される。グラフ3は、検出電極12bにおいてCuF2が蓄積された場合であって、下式(3)で表される。グラフ4は、検出電極12bにおいてCu2Sが蓄積された場合であって、下式(4)で表される。
Y=3×10−8X−5×10−22・・・・・・・・・・・(1)
Y=2×10−5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
Y=5×10−7X−8×10−21・・・・・・・・・・・(3)
Y=1.25×10−2X−3×10−16・・・・・・・・(4)
【0026】
図8は、被検ガス蓄積型ガスセンサ10aにおけるAgFとAg2Sとが等モル存在する場合の合計蓄積量、および被検ガス蓄積型ガスセンサ10bにおけるCuF2とCu2Sとが等モル存在する場合の合計蓄積量の各蓄積量(X軸)と検出電極12aと対向電極13aの電極間抵抗(Y軸)、および検出電極12bと対向電極13bの電極間抵抗(Y軸)との関係を後記する実験により測定して得た定量的関係を示す2グラフ(グラフ5およびグラフ6)である。グラフ5は、検出電極12aにおいてAgFとAg2Sとが蓄積された場合であって、下式(5)で表される。グラフ6は、検出電極12bにおいてCuF2とCu2Sとが蓄積された場合であって、下式(6)で表される。
Y=2×10−5X−5×10−19・・・・・・・・・・・(5)
Y=1.25×10−2X−3×10−16・・・・・・・・(6)
【0027】
グラフ1およびグラフ3は、温度80℃、ガス圧力0.1MPaのHFガスが充填された一定容積のガス室内に被検ガス蓄積型ガスセンサ10aおよび被検ガス蓄積型ガスセンサ10bを設置し、各電極間に1kHzの交流電圧を印加した実験から得られたものであって、検出電極12および12bにそれぞれ蓄積されたAgFおよびCuF2の各重量を定量し、その重量からHFガスの温度80℃、ガス圧力0.1MPaにおける容量(cm3)を求めた。グラフ2およびグラフ4は、HFガスに代えてSO2ガスを用いて上記と同様にして求め、グラフ5およびグラフ6は、HFガスとSO2ガスとの混合ガスを用いて上記と同様にして求めた。
【0028】
SF4、SOF2 、HF、SO2などのF化合物やS化合物の電極反応生成物であるCuF2、AgF、AgF、Ag2Sは、上記グラフ1〜グラフ4から明らかなように互いに導電率が異なるので、各分解ガス毎に蓄積量と電極間抵抗との関係、検量線が固有のものとなっていることが分かる。したがって未知の分解ガスに就き、電極間抵抗測定すると、図7および図8から大凡の分解ガス成分を推定することが出来る。
【0029】
図9は、図2〜図4に示す被検ガス蓄積型ガスセンサ10と被検ガス非蓄積型ガスセンサ20とを有するガスセンサをSF6が充填されたガス絶縁開閉装置に設置して、複数のSF6分解ガス成分を含む被検ガスを対象に上記両ガスセンサによる被検ガスの経時的変化を実測した4グラフを示すものであって、グラフ7は被検ガス蓄積型ガスセンサ10により得られたF化合物の蓄積量(cm3)を、グラフ8は被検ガス蓄積型ガスセンサ10により得られたS化合物の蓄積量(cm3)を、グラフ9は被検ガス非蓄積型ガスセンサ20より得られたF化合物のガス濃度(容量ppm)を、グラフ10は被検ガス非蓄積型ガスセンサ20より得られたS化合物のガス濃度(容量ppm)を、それぞれ示す。同図から、被検ガス非蓄積型ガスセンサ20で実測された被検ガス量は、実測開始日から1500日あたり迄は増減はあるものの概して増加しているが、その後は概して逓減していることが分かる。これに対して、被検ガス蓄積型ガスセンサ10で実測された被検ガス量は、実測開始日から単調に逓増していることが分かる。
【0030】
比較例.
前記実施の形態2とは、被検ガス蓄積型ガスセンサにおける検出電極12aおよび検出電極12bが共にゼオライトを含有しない点においてのみ異なる比較例被検ガス蓄積型ガスセンサ(被検ガス非蓄積型ガスセンサ20は実施の形態2の場合と同じもの)を用いて、図9の場合と同様の条件でSF6が充填されたガス絶縁開閉装置に設置して、複数のSF6分解ガス成分を含む被検ガスを対象に上記両ガスセンサによる被検ガスの経時的変化を実測した。図10は、その実測から得られた4グラフを示すものであって、グラフ11は比較例被検ガス蓄積型ガスセンサにより得られたF化合物の蓄積量(cm3)を、グラフ12は比較例被検ガス蓄積型ガスセンサにより得られたS化合物の蓄積量(cm3)を、グラフ13は被検ガス非蓄積型ガスセンサ20より得られたF化合物のガス濃度(容量ppm)を、グラフ14は被検ガス非蓄積型ガスセンサ20より得られたS化合物のガス濃度(容量ppm)を、それぞれ示す。
【0031】
グラフ11およびグラフ12から、比較例被検ガス蓄積型ガスセンサで実測された被検ガス量は、実測開始日から80日あたりまでは単調に増加しているが、その後は増加が止まっていることが分かる。初期のこの逓増は、電極に含まれている銀および銅とF化合物やS化合物との反応に基づき、その後の増加停止は、銀および銅による上記反応が飽和したことによることが明らかであって、グラフ11と前記グラフ8との対比、およびグラフ12と前記グラフ8との対比から、本発明の被検ガス蓄積型ガスセンサにおける吸着剤の効果が明白である。
【0032】
実施の形態3.
実施の形態3は、前記実施の形態2とは、検出電極12aおよび検出電極12bの形成に用いられたゼオライトに代えてアルミナの微粉末が用いられた点において異なり、その他の構成は同じである。これをSF6が充填されたガス絶縁開閉装置に設置して、複数のSF6分解ガス成分を含む被検ガスを対象に被検ガスの経時的変化を実測したところ、前記図9のグラフ7およびグラフ8と対比すると、共に検出量は図9の場合より10%程度低かったが、それらグラフと略同様の蓄積曲線が得られた。
【0033】
実施の形態4.
実施の形態4は、前記実施の形態2とは、検出電極12aおよび検出電極12bの形成に用いられたゼオライトに代えてシリカゲルの微粉末が用いられた点において異なり、その他の構成は同じである。これをSF6が充填されたガス絶縁開閉装置に設置して、複数のSF6分解ガス成分を含む被検ガスを対象に被検ガスの経時的変化を実測したところ、前記図9のグラフ7およびグラフ8と対比すると、共に検出量は図9の場合より13%程度低かったが、それらグラフと略同様の蓄積曲線が得られた。
【0034】
実施の形態5.
実施の形態5は、前記実施の形態2とは、固体電解質11が厚さ0.2mmの水素イオン導電性の固体高分子電解質(デュポン社製、商品名;ナフィオン117)であり、検出電極22および対向電極23とも厚さ2nmの白金にて形成されている点において異なり、その他の構成は同じである。図11は、被検ガス蓄積型ガスセンサ10と被検ガス非蓄積型ガスセンサ20を有する実施の形態5を用いて、大気中のNO2とSO2の各濃度を実測した結果を表す4グラフを示すものであって、グラフ15は被検ガス蓄積型ガスセンサ10により得られたNO2の蓄積量(cm3)を、グラフ16は被検ガス蓄積型ガスセンサ10により得られたSO2の蓄積量(cm3)を、グラフ17は被検ガス非蓄積型ガスセンサ20より得られたNO2のガス濃度(容量ppm)を、グラフ18は被検ガス非蓄積型ガスセンサ20より得られたSO2のガス濃度(容量ppm)を、それぞれ示す。同図から、被検ガス非蓄積型ガスセンサ20で実測された被検ガス量は、実測開始日から約25日〜60日あたりで急増加し、その後は増減はあるが概して逓減していることが分かる。これに対して、被検ガス蓄積型ガスセンサ10で実測された被検ガス量は、実測開始日から増加が続いていることが分かる。
【0035】
以上、本発明を実施の形態1〜5により説明したが、本発明はそれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明における課題および解決手段の精神に沿った種々の変形形態を包含する。例えば固体電解質や吸着剤としては、実施の形態1〜5で使用した以外のものであってもよく、本発明が被検ガス非蓄積型ガスセンサを含む場合には、被検ガス蓄積型ガスセンサにおける固体電解質と被検ガス非蓄積型ガスセンサにおける固体電解質とは互いに別材料であっても良く、さらに上記両ガスセンサは互いに分離していてもよい。そうすることで、実施の形態の設計の自由度が大きくなる利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、ガス絶縁開閉装置の診断手段として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施の形態1における被検ガス蓄積型ガスセンサの概略側断面図である。
【図2】実施の形態2における、被検ガス蓄積型ガスセンサおよび被検ガス非蓄積型ガスセンサの平面図である。
【図3】図2のB−C断面図である。
【図4】図2のB−D−E断面図である。
【図5】実施の形態2において、被検ガス非蓄積型ガスセンサ20にて検出されたHFの濃度と出力電流の経時変化を示すグラフである。
【図6】図5から求めたHF濃度と出力電流との定量的関係を示すグラフである。
【図7】実施の形態2において、被検ガス蓄積型ガスセンサにて検出されたF化合物およびS化合物についての各蓄積量と電極間抵抗との関係を示すグラフである。
【図8】実施の形態2において、F化合物とS化合物とが共存した場合における被検ガス蓄積型ガスセンサにて検出された蓄積量と電極間抵抗との関係を示すグラフである。
【図9】実施の形態2において、被検ガス蓄積型ガスセンサにて検出された蓄積量と被検ガス非蓄積型ガスセンサにて検出された検出量との各経時的変化を示すグラフである。
【図10】比較例において、被検ガス蓄積型ガスセンサにて検出された蓄積量と被検ガス非蓄積型ガスセンサにて検出された検出量との各経時的変化を示すグラフである。
【図11】実施の形態5において、被検ガス蓄積型ガスセンサにて検出された蓄積量と被検ガス非蓄積型ガスセンサにて検出された検出量との各経時的変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0038】
10 被検ガス蓄積型ガスセンサ、11 固体電解質、12 検出電極、
13 対向電極、14 電源、15 電流検出器、16 接続電線、17 筐体、
10a 被検ガス蓄積型ガスセンサ、12a 検出電極、13a 対向電極、
14a 電源、15a 電流検出器、16a 接続電線、
10b 被検ガス蓄積型ガスセンサ、12b 検出電極、
13b 対向電極、14b 電源、15b 電流検出器、16b 接続電線、
20 被検ガス非蓄積型ガスセンサ、22 検出電極、23 対向電極、24 電源、
25 電流検出器、26 接続電線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検ガス蓄積型ガスセンサに関し、詳しくは例えば六フッ化硫黄(SF6)の分解ガスや大気中の汚染ガスなどの被検ガスに就き、所望の所定期間における当該被検ガスの蓄積量を測定可能な被検ガス蓄積型ガスセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス絶縁開閉装置に充填されているSF6は、当該装置内における放電や局部加熱により分解して、SF4、SOF2、HF、SO2などの分解ガスを発生する。かかる分解ガスの検出は、万一にも地絡や短絡等の事故が発生した場合、その事故発生位置を判別する故障点標定やSF6の健全性の確認手段として必要不可欠な要素となっている。
【0003】
従来から、上記分解ガスの検知装置として、後記の特許文献1から、固体電解質と、当該固体電解質の一方の面に密着して設け、被検出ガスと接する検出電極と、上記固体電解質の他方の面に密着して設けた対向電極と、上記両電極間に電圧を印加する、または、電気信号を取り出すリード線を備え、上記両電極を構成する材料として、被検出ガスとの反応生成物を形成し難い不活性物質が用いられていることを特徴とするガスセンサが公知である。
【0004】
ところで特許文献1のガスセンサは、ある一時点における被検ガス成分の濃度を検出することができ、繰り返し使用可能、電気信号出力可能という特徴はあるが、ある時点から別の時点までの所定期間における分解ガスの蓄積量を検出することができない問題がある。ガス絶縁機器の十全な保守管理上からは、刻々の分解ガスの濃度を知ることもさりながら、ある時点から別の時点までの所定期間内での発生全量、即ち蓄積量を知ることがガス絶縁機器の健全度を判定する上で一層重要である。
【特許文献1】特開平10―26602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、斯界における如上の問題に鑑みて、分解ガスの上記した蓄積量の測定が可能な被検ガス蓄積型ガスセンサを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、固体電解質、上記固体電解質の一方の側に被検ガスと接するように設置されると共に導電性金属と吸着剤とを含む材料から形成された検出電極、上記固体電解質の他方の側に上記被検ガスと接触しないように設置された対向電極を備えたことを特徴とする被検ガス蓄積型ガスセンサを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の被検ガス蓄積型ガスセンサは、SF6が充填されたガス絶縁開閉装置などの検査対象装置の保守管理上から、分解ガスの少なくとも一種を被検ガスとして、それの所望の所定期間での蓄積量、特に長期間にわたる期間での蓄積量を定量することが可能であって、かかる蓄積量から当該検査対象装置を一定期間稼動した後における健全性を診断することができる。また本発明で使用される上記検出電極を複数使用することにより、後記実施の形態において説明するように、複数の分解ガス成分を検出することは可能であって、複数の分解ガス成分から検査対象装置内における放電や局部加熱などのガス分解の発生原因をも知ることができる。また、本発明の被検ガス蓄積型ガスセンサが請求項4に示す被検ガス非蓄積型ガスセンサを含む場合には、上記の蓄積量に加えて所望の時点での分解ガス量を定量することが可能であって、その時点での分解ガス量とそれまでの蓄積量とから、一層詳細な健全性の診断が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に示す諸図において、同一部分は、同一符号で示す。
【0009】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における被検ガス蓄積型ガスセンサの概略側断面図である。図1において、当該被検ガス蓄積型ガスセンサ10は、固体電解質11、固体電解質11の一方の側に設置された検出電極12、固体電解質11の他方の側に設置されて検出電極12と対向する対向電極13、電源14、電流検出器15、接続電線16、および筐体17から構成されている。矢印Aは、被検ガスの供給方向を示す。
【0010】
固体電解質11としては、融点より低い温度で高いイオン導電性を示す、従来から公知あるいは周知のもの、例えばジルコニア、ヨウ化銀、ヨウ化銀にリチウム、ナトリウム、カリウム、銅あるいはその他のイオンを添加したもの、フッ化ランタン、水素イオン導電性の固体高分子電解質、電池で使用されているルビジウム−銅系化合物、などが例示される。
【0011】
検出電極12は、導電性金属と吸着剤とを含む多孔性の材料から形成されており、そのために電極としての導電性と前記被検ガスを吸着して蓄積保持する機能をなし、しかして対向電極3との間の電気抵抗の経時変化を測定することにより、検出対象物の所定期間における発生量を時間に関して積分した値、即ち、蓄積量を測定することができる。
【0012】
上記吸着剤としては、固気界面で気体を物理的にあるいは化学的に吸着あるいは収着する、従来から公知あるいは周知のものであってよく、例えばゼオライト、シリカゲル、アルミナなどが例示される。就中、吸着能の大きいゼオライトが好ましい。導電性金属としては、20℃における導電率が、20Ω−1・m−1以上の金属、例えば金、銀、銅、ニッケル、コバルト、錫、白金などが例示される。上記被検ガスが、SF4 、SOF2 、HF、SO2あるいはその他のSF6 の分解ガス、あるいはNO2などのNOxなどの反応性のガスである場合、上記導電性金属としては、かかる反応性ガスと化学的に反応するもの、特に銀、銅が後記する理由から好ましい。対向電極13は、上記した導電性金属で形成されて良い。
【0013】
検出電極12が電極としての導電性と上記した蓄積保持機能を有する限り、上記吸着剤と上記導電性金属との検出電極12中における存在形態は任意であってよく、例えば両者の微粒子の均一な機械的混合物、吸着剤を導電性金属にて無電解メッキして吸着剤の内外表面に導電性金属の薄層を形成したもの、導電性金属の多孔性薄板と吸着剤の薄板との積層体、などであってよい。いずれの存在形態にせよ、吸着剤の量が過小であると被検ガスを吸着する能力が乏しくなり、一方、導電性金属の量が過小であると、電極としての導電性が乏しくなる。なお上記両成分の比率は、両成分の存在形態によって異なる。例えば両成分が上記した機械的混合物や積層体である場合には、吸着剤100重量部あたり、導電性金属は1〜500重量部、好ましくは10〜100重量部である。無電解メッキである場合には、吸着剤の全表面が導電性金属でめっきされると吸着剤としての機能を喪失するので、吸着剤100重量部あたり、導電性金属は0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
【0014】
被検ガスは、図1の矢印Aで示す方向に供給され、検出電極12は、固体電解質11の一方の側で被検ガスと接するように設置されており、対向電極13は固体電解質11の他方の側で被検ガスと接しないように設置されている。筐体17は、検出電極12と対向電極13との各被検ガスとの上記した接触、非接触性を確保し得る構造であればよく、図1では一端が開口した、被検ガスに対して不活性な有機高分子製の筐体17の底近くに固体電解質11が筐体17の側壁に気密に固定されていて、対向電極13は固体電解質11の筐体底側の面に密着固定されており、検出電極12は、その反対側の面に密着固定されている。
【0015】
次に実施の形態1の動作に就き説明すると、被検ガス蓄積型ガスセンサ10は、検査対象機器、例えばSF6が充填されているガス絶縁開閉装置に取り付けられ、その際に充填ガスが絶えず検出電極12と循環接触するように取り付けられる。さらに定期的にあるいは連続して検出電極12と対向電極13との間に交流電圧、例えば100Hz〜5kHz程度の交流電圧が印加され、検出電極12と対向電極13との電極間抵抗が測定され、予め決定された電極間抵抗―被検ガス蓄積量の相関検量グラフから被検ガス蓄積量が求められる。
【0016】
実施の形態2.
図2〜図9は、本発明の実施の形態2を説明するものであって、図2は実施の形態2における被検ガス蓄積型ガスセンサおよび被検ガス非蓄積型ガスセンサの平面図、図3は図2のB−C断面図、図4は図2のB−D−E断面図、図5は被検ガス非蓄積型ガスセンサ20により検出されたHFの濃度と出力電流の経時変化を示すグラフ、図6は図5から求めたHF濃度と出力電流との定量的関係を示すグラフ、図7は被検ガス蓄積型ガスセンサにて検出されたF化合物およびS化合物についての各蓄積量と電極間抵抗との関係を示すグラフ、図8はF化合物とS化合物とが共存した場合における被検ガス蓄積型ガスセンサにより検出された蓄積量と電極間抵抗との関係を示すグラフ、図9は被検ガス蓄積型ガスセンサにおいて検出された蓄積量と被検ガス非蓄積型ガスセンサにおいて検出された検出量との各経時的変化を示すグラフ、である。
【0017】
実施の形態2の被検ガス蓄積型ガスセンサは、二つの被検ガス蓄積型ガスセンサ10a、10bからなり、且つ被検ガス非蓄積型ガスセンサ−20を伴っている。図2から明らかなように、上記3つのガスセンサの検出電極12a、検出電極12b、および検出電極22の各平面図を合わせると円形であり、また検出電極12aおよび検出電極12bは、いずれも扇形であり、残る3/4弱の部分は検出電極22となっていて、図3および図4から明らかなように、それら3つのガスセンサは、共通の固体電解質11を用いて形成され、一つの円筒状の筐体17内に収められている。
【0018】
被検ガス蓄積型ガスセンサ10aは、検出電極12a、対向電極13a、電源14a、電流検出器15a、および接続電線16aから構成されており、被検ガス蓄積型ガスセンサ10bは、検出電極12b、対向電極13b、電源14b、電流検出器15b、および接続電線16bから構成されている。被検ガス非蓄積型ガスセンサ20は、請求項4における第二の検出電極の例としての検出電極22、第二の対向電極の例としての対向電極23、電源24、電流検出器25、および接続電線26から構成されている。被検ガス蓄積型ガスセンサ10a、10bは、所定期間内に蓄積された、換言すると概して多量の被検ガス量を測定対象とするので、電極面積はさほど大きくなくてもよく、これに対して被検ガス非蓄積型ガスセンサ20は、非蓄積の即ち一般的に少量の被検ガス量を測定対象とするので電極面積が大きいほど測定感度が向上する。よって図2に示すように電極の面積配分することが好ましく、さらに全体として円形とするとガスセンサがコンパクト化、小型化できる効果がある。
【0019】
被検ガス蓄積型ガスセンサ10a、10bのいずれもは、前記実施の形態1で説明した構成内に含まれるもののうちで、以下に具体的に説明するように一層好ましい構成を有する。即ち、固体電解質11は、0.3モル%のユウロピウムがドープされたフッ素イオン導電性のフッ化ランタン(LaF3)から形成されており、その厚さは0.2mmである。検出電極12aは、固体電解質11の構成材料と同じ上記フッ化素ランタンの微粒子とゼオライト微粒子とが有機高分子の一例としての常温で液状のアタックチックポリプロピレンに分散された混合ペ−ストを固体電解質11の片面に塗布し、窒素下で焼結し、その際に上記混合ペ−スト内の上記アタックチックポリプロピレンが気化することにより多孔化され、次いで当該多孔性混合層の内外表面に銀を無電解めっきして形成されている。検出電極12aは、この無電解めっきにより導電性と多孔性とが付与されていて、厚さは30μmである。対向電極13aは、厚さ0.5nmの銀で形成されている。検出電極12bは、上記銀の無電解めっきに代えて被検ガスとの反応性の銅の無電解めっきが施された点のみ、上記検出電極12aと異なる。対向電極13bは、厚さ25nmの銅で形成されている。検出電極12aにおける銀の含有量は、ゼオライト微粒子(SEM観察による粒径:0.1μm)100重量部あたり0.54重量部であり、検出電極12bにおける銅の含有量は、ゼオライト微粒子100重量部あたり0.48重量部である。
【0020】
検出電極12aおよび検出電極12bにおける銀や銅は、被検ガスと反応性であるので、ゼオライトによる被検ガスの吸着に基づく蓄積に加えて、銀や銅と被検ガスとの反応生成物の増加に基づく蓄積が生じ、それらが電極間抵抗の変化に寄与するので、分解ガスの定量感度を向上する効果がある。さらに分解ガスがHFなどのF化合物である場合、電極反応生成物はCuF2やAgFなどであり、分解ガスがSO2などのS化合物である場合、電極反応生成物は、Cu2S、Ag2Sなどであって、それら電極反応生成物はそれぞれ導電率が異なるので、各分解ガスの蓄積量に対する電極間抵抗は、電極反応生成物に固有のものとなっている。よって、各電極反応生成物ごとに固有の検量線を予め求めておくと、全分解ガス量の定量と分解ガスの成分分析も可能となる。
【0021】
被検ガス非蓄積型ガスセンサ20としては、従来公知のものであってよく、例えば前記の特許文献2などに記載されたものでよい。よって検出電極22は、被検ガスに対して金、白金などの不活性な導電性金属、例えば厚さ25nmの金で形成されており、対向電極23も厚さ25nmの金で形成されている。
【0022】
次に実施の形態2の動作に就き説明すると、被検ガス蓄積型ガスセンサ10a、10bおよび被検ガス非蓄積型ガスセンサ20は、SF6が充填されているガス絶縁開閉装置に取り付けられ、その際に充填ガスが絶えず検出電極12a、検出電極12b、および検出電極22と循環接触するように取り付けられる。さらに定期的または不定期に、あるいは連続して検出電極12aと対向電極13aとの間、および検出電極12bと対向電極13bとの間に各1kHzの交流電圧が印加され、上記各電極間抵抗が測定される。一方、検出電極22と対向電極23には、定期的または不定期に、2.5Vの直流電圧が検出電極22を陰極、対向電極23を陽極として印加され、電極間抵抗が測定される。
【0023】
図5は、被検ガス非蓄積型ガスセンサ20により検出されたSF6の分解ガスの一種であるHFの濃度に応じた出力電流の経時変化を示す。その際の上記ガス絶縁開閉装置の稼動時における内部のSF6は、そのガス圧力が0.1MPa程度であった。図6は、図5から求めたHF濃度と出力電流との定量的関係を示すグラフであって、当該グラフを利用して個々の時点での出力電流からSF6の分解ガス濃度を知ることができる。
【0024】
検出電極12aは、銀とゼオライトとを含むので、そこでは前記したようにゼオライトによる被検ガスの吸着に基づく蓄積に加えて、AgFやAg2Sの蓄積も加わる。一方、検出電極12bは、銅とゼオライトとを含むので、そこでは前記したようにゼオライトによる被検ガスの吸着に基づく蓄積に加えて、CuF2やCu2Sの蓄積も加わる。図7は、被検ガス蓄積型ガスセンサ10aおよび被検ガス蓄積型ガスセンサ10bにおけるAgF、Ag2S、CuF2およびCu2Sの各蓄積量(X軸)と検出電極12aと対向電極13aの電極間抵抗(Y軸)、および検出電極12bと対向電極13bの電極間抵抗(Y軸)との関係を後記する実験により測定して得た定量的関係を表す4グラフ(グラフ1〜グラフ4)を示す。
【0025】
グラフ1は、検出電極12aにおいてAgFが蓄積された場合であって、下式(1)で表される。グラフ2は、検出電極12aにおいてAg2Sが蓄積された場合であって、下式(2)で表される。グラフ3は、検出電極12bにおいてCuF2が蓄積された場合であって、下式(3)で表される。グラフ4は、検出電極12bにおいてCu2Sが蓄積された場合であって、下式(4)で表される。
Y=3×10−8X−5×10−22・・・・・・・・・・・(1)
Y=2×10−5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
Y=5×10−7X−8×10−21・・・・・・・・・・・(3)
Y=1.25×10−2X−3×10−16・・・・・・・・(4)
【0026】
図8は、被検ガス蓄積型ガスセンサ10aにおけるAgFとAg2Sとが等モル存在する場合の合計蓄積量、および被検ガス蓄積型ガスセンサ10bにおけるCuF2とCu2Sとが等モル存在する場合の合計蓄積量の各蓄積量(X軸)と検出電極12aと対向電極13aの電極間抵抗(Y軸)、および検出電極12bと対向電極13bの電極間抵抗(Y軸)との関係を後記する実験により測定して得た定量的関係を示す2グラフ(グラフ5およびグラフ6)である。グラフ5は、検出電極12aにおいてAgFとAg2Sとが蓄積された場合であって、下式(5)で表される。グラフ6は、検出電極12bにおいてCuF2とCu2Sとが蓄積された場合であって、下式(6)で表される。
Y=2×10−5X−5×10−19・・・・・・・・・・・(5)
Y=1.25×10−2X−3×10−16・・・・・・・・(6)
【0027】
グラフ1およびグラフ3は、温度80℃、ガス圧力0.1MPaのHFガスが充填された一定容積のガス室内に被検ガス蓄積型ガスセンサ10aおよび被検ガス蓄積型ガスセンサ10bを設置し、各電極間に1kHzの交流電圧を印加した実験から得られたものであって、検出電極12および12bにそれぞれ蓄積されたAgFおよびCuF2の各重量を定量し、その重量からHFガスの温度80℃、ガス圧力0.1MPaにおける容量(cm3)を求めた。グラフ2およびグラフ4は、HFガスに代えてSO2ガスを用いて上記と同様にして求め、グラフ5およびグラフ6は、HFガスとSO2ガスとの混合ガスを用いて上記と同様にして求めた。
【0028】
SF4、SOF2 、HF、SO2などのF化合物やS化合物の電極反応生成物であるCuF2、AgF、AgF、Ag2Sは、上記グラフ1〜グラフ4から明らかなように互いに導電率が異なるので、各分解ガス毎に蓄積量と電極間抵抗との関係、検量線が固有のものとなっていることが分かる。したがって未知の分解ガスに就き、電極間抵抗測定すると、図7および図8から大凡の分解ガス成分を推定することが出来る。
【0029】
図9は、図2〜図4に示す被検ガス蓄積型ガスセンサ10と被検ガス非蓄積型ガスセンサ20とを有するガスセンサをSF6が充填されたガス絶縁開閉装置に設置して、複数のSF6分解ガス成分を含む被検ガスを対象に上記両ガスセンサによる被検ガスの経時的変化を実測した4グラフを示すものであって、グラフ7は被検ガス蓄積型ガスセンサ10により得られたF化合物の蓄積量(cm3)を、グラフ8は被検ガス蓄積型ガスセンサ10により得られたS化合物の蓄積量(cm3)を、グラフ9は被検ガス非蓄積型ガスセンサ20より得られたF化合物のガス濃度(容量ppm)を、グラフ10は被検ガス非蓄積型ガスセンサ20より得られたS化合物のガス濃度(容量ppm)を、それぞれ示す。同図から、被検ガス非蓄積型ガスセンサ20で実測された被検ガス量は、実測開始日から1500日あたり迄は増減はあるものの概して増加しているが、その後は概して逓減していることが分かる。これに対して、被検ガス蓄積型ガスセンサ10で実測された被検ガス量は、実測開始日から単調に逓増していることが分かる。
【0030】
比較例.
前記実施の形態2とは、被検ガス蓄積型ガスセンサにおける検出電極12aおよび検出電極12bが共にゼオライトを含有しない点においてのみ異なる比較例被検ガス蓄積型ガスセンサ(被検ガス非蓄積型ガスセンサ20は実施の形態2の場合と同じもの)を用いて、図9の場合と同様の条件でSF6が充填されたガス絶縁開閉装置に設置して、複数のSF6分解ガス成分を含む被検ガスを対象に上記両ガスセンサによる被検ガスの経時的変化を実測した。図10は、その実測から得られた4グラフを示すものであって、グラフ11は比較例被検ガス蓄積型ガスセンサにより得られたF化合物の蓄積量(cm3)を、グラフ12は比較例被検ガス蓄積型ガスセンサにより得られたS化合物の蓄積量(cm3)を、グラフ13は被検ガス非蓄積型ガスセンサ20より得られたF化合物のガス濃度(容量ppm)を、グラフ14は被検ガス非蓄積型ガスセンサ20より得られたS化合物のガス濃度(容量ppm)を、それぞれ示す。
【0031】
グラフ11およびグラフ12から、比較例被検ガス蓄積型ガスセンサで実測された被検ガス量は、実測開始日から80日あたりまでは単調に増加しているが、その後は増加が止まっていることが分かる。初期のこの逓増は、電極に含まれている銀および銅とF化合物やS化合物との反応に基づき、その後の増加停止は、銀および銅による上記反応が飽和したことによることが明らかであって、グラフ11と前記グラフ8との対比、およびグラフ12と前記グラフ8との対比から、本発明の被検ガス蓄積型ガスセンサにおける吸着剤の効果が明白である。
【0032】
実施の形態3.
実施の形態3は、前記実施の形態2とは、検出電極12aおよび検出電極12bの形成に用いられたゼオライトに代えてアルミナの微粉末が用いられた点において異なり、その他の構成は同じである。これをSF6が充填されたガス絶縁開閉装置に設置して、複数のSF6分解ガス成分を含む被検ガスを対象に被検ガスの経時的変化を実測したところ、前記図9のグラフ7およびグラフ8と対比すると、共に検出量は図9の場合より10%程度低かったが、それらグラフと略同様の蓄積曲線が得られた。
【0033】
実施の形態4.
実施の形態4は、前記実施の形態2とは、検出電極12aおよび検出電極12bの形成に用いられたゼオライトに代えてシリカゲルの微粉末が用いられた点において異なり、その他の構成は同じである。これをSF6が充填されたガス絶縁開閉装置に設置して、複数のSF6分解ガス成分を含む被検ガスを対象に被検ガスの経時的変化を実測したところ、前記図9のグラフ7およびグラフ8と対比すると、共に検出量は図9の場合より13%程度低かったが、それらグラフと略同様の蓄積曲線が得られた。
【0034】
実施の形態5.
実施の形態5は、前記実施の形態2とは、固体電解質11が厚さ0.2mmの水素イオン導電性の固体高分子電解質(デュポン社製、商品名;ナフィオン117)であり、検出電極22および対向電極23とも厚さ2nmの白金にて形成されている点において異なり、その他の構成は同じである。図11は、被検ガス蓄積型ガスセンサ10と被検ガス非蓄積型ガスセンサ20を有する実施の形態5を用いて、大気中のNO2とSO2の各濃度を実測した結果を表す4グラフを示すものであって、グラフ15は被検ガス蓄積型ガスセンサ10により得られたNO2の蓄積量(cm3)を、グラフ16は被検ガス蓄積型ガスセンサ10により得られたSO2の蓄積量(cm3)を、グラフ17は被検ガス非蓄積型ガスセンサ20より得られたNO2のガス濃度(容量ppm)を、グラフ18は被検ガス非蓄積型ガスセンサ20より得られたSO2のガス濃度(容量ppm)を、それぞれ示す。同図から、被検ガス非蓄積型ガスセンサ20で実測された被検ガス量は、実測開始日から約25日〜60日あたりで急増加し、その後は増減はあるが概して逓減していることが分かる。これに対して、被検ガス蓄積型ガスセンサ10で実測された被検ガス量は、実測開始日から増加が続いていることが分かる。
【0035】
以上、本発明を実施の形態1〜5により説明したが、本発明はそれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明における課題および解決手段の精神に沿った種々の変形形態を包含する。例えば固体電解質や吸着剤としては、実施の形態1〜5で使用した以外のものであってもよく、本発明が被検ガス非蓄積型ガスセンサを含む場合には、被検ガス蓄積型ガスセンサにおける固体電解質と被検ガス非蓄積型ガスセンサにおける固体電解質とは互いに別材料であっても良く、さらに上記両ガスセンサは互いに分離していてもよい。そうすることで、実施の形態の設計の自由度が大きくなる利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、ガス絶縁開閉装置の診断手段として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施の形態1における被検ガス蓄積型ガスセンサの概略側断面図である。
【図2】実施の形態2における、被検ガス蓄積型ガスセンサおよび被検ガス非蓄積型ガスセンサの平面図である。
【図3】図2のB−C断面図である。
【図4】図2のB−D−E断面図である。
【図5】実施の形態2において、被検ガス非蓄積型ガスセンサ20にて検出されたHFの濃度と出力電流の経時変化を示すグラフである。
【図6】図5から求めたHF濃度と出力電流との定量的関係を示すグラフである。
【図7】実施の形態2において、被検ガス蓄積型ガスセンサにて検出されたF化合物およびS化合物についての各蓄積量と電極間抵抗との関係を示すグラフである。
【図8】実施の形態2において、F化合物とS化合物とが共存した場合における被検ガス蓄積型ガスセンサにて検出された蓄積量と電極間抵抗との関係を示すグラフである。
【図9】実施の形態2において、被検ガス蓄積型ガスセンサにて検出された蓄積量と被検ガス非蓄積型ガスセンサにて検出された検出量との各経時的変化を示すグラフである。
【図10】比較例において、被検ガス蓄積型ガスセンサにて検出された蓄積量と被検ガス非蓄積型ガスセンサにて検出された検出量との各経時的変化を示すグラフである。
【図11】実施の形態5において、被検ガス蓄積型ガスセンサにて検出された蓄積量と被検ガス非蓄積型ガスセンサにて検出された検出量との各経時的変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0038】
10 被検ガス蓄積型ガスセンサ、11 固体電解質、12 検出電極、
13 対向電極、14 電源、15 電流検出器、16 接続電線、17 筐体、
10a 被検ガス蓄積型ガスセンサ、12a 検出電極、13a 対向電極、
14a 電源、15a 電流検出器、16a 接続電線、
10b 被検ガス蓄積型ガスセンサ、12b 検出電極、
13b 対向電極、14b 電源、15b 電流検出器、16b 接続電線、
20 被検ガス非蓄積型ガスセンサ、22 検出電極、23 対向電極、24 電源、
25 電流検出器、26 接続電線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体電解質、上記固体電解質の一方の側に被検ガスと接するように設置されると共に導電性金属と吸着剤とを含む材料から形成された検出電極、上記固体電解質の他方の側に上記被検ガスと接触しないように設置された対向電極を備えたことを特徴とする被検ガス蓄積型ガスセンサ。
【請求項2】
上記導電性金属は、上記被検ガスと化学的に反応する反応性導電性金属であることを特徴とする請求項1に記載の被検ガス蓄積型ガスセンサ。
【請求項3】
上記反応性導電性金属は、銀または銅であり、上記吸着剤は、ゼオライトであることを特徴とする請求項2に記載の被検ガス蓄積型ガスセンサ。
【請求項4】
上記固体電解質の一方の側に上記被検ガスと接するように設置されると共に上記被検ガスに対して不活性な導電性金属から形成された第二の検出電極、上記固体電解質の他方の側に上記被検ガスと接触しないように設置されて上記第二の検出電極に対して対向する第二の対向電極を備えた被検ガス非蓄積型ガスセンサを含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の被検ガス蓄積型ガスセンサ。
【請求項5】
上記不活性な導電性金属は、金または白金であることを特徴とする請求項4に記載の被検ガス蓄積型ガスセンサ。
【請求項6】
上記固体電解質は、フッ素イオン導電性のフッ化ランタンまたは水素イオン導電性の固体高分子電解質であることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の被検ガス蓄積型ガスセンサ。
【請求項7】
上記被検ガス非蓄積型ガスセンサにおける固体電解質と被検ガス蓄積型ガスセンサにおける固体電解質とは、互いに別材料のものであることを特徴とする請求項4に記載の被検ガス蓄積型ガスセンサ。
【請求項1】
固体電解質、上記固体電解質の一方の側に被検ガスと接するように設置されると共に導電性金属と吸着剤とを含む材料から形成された検出電極、上記固体電解質の他方の側に上記被検ガスと接触しないように設置された対向電極を備えたことを特徴とする被検ガス蓄積型ガスセンサ。
【請求項2】
上記導電性金属は、上記被検ガスと化学的に反応する反応性導電性金属であることを特徴とする請求項1に記載の被検ガス蓄積型ガスセンサ。
【請求項3】
上記反応性導電性金属は、銀または銅であり、上記吸着剤は、ゼオライトであることを特徴とする請求項2に記載の被検ガス蓄積型ガスセンサ。
【請求項4】
上記固体電解質の一方の側に上記被検ガスと接するように設置されると共に上記被検ガスに対して不活性な導電性金属から形成された第二の検出電極、上記固体電解質の他方の側に上記被検ガスと接触しないように設置されて上記第二の検出電極に対して対向する第二の対向電極を備えた被検ガス非蓄積型ガスセンサを含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の被検ガス蓄積型ガスセンサ。
【請求項5】
上記不活性な導電性金属は、金または白金であることを特徴とする請求項4に記載の被検ガス蓄積型ガスセンサ。
【請求項6】
上記固体電解質は、フッ素イオン導電性のフッ化ランタンまたは水素イオン導電性の固体高分子電解質であることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の被検ガス蓄積型ガスセンサ。
【請求項7】
上記被検ガス非蓄積型ガスセンサにおける固体電解質と被検ガス蓄積型ガスセンサにおける固体電解質とは、互いに別材料のものであることを特徴とする請求項4に記載の被検ガス蓄積型ガスセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−64492(P2008−64492A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−240167(P2006−240167)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]