説明

被検査物の清浄度検査装置と、清浄度検査方法

【課題】パーティクルの抽出ばらつきが少ない被検査物の清浄度検査装置を提供する。
【解決手段】超音波発振器25を備えた超音波発生槽20に超音波を伝播する第1の液30が収容されている。パーティクル抽出容器21には、超純水等の高純度の第2の液40と被検査物50が収容されている。電源装置26をオンにし、超音波発振器25を発振させる。超音波発振器25の発振が開始してから第1の時間が経過したのち、第2の液40と被検査物50が入っているパーティクル抽出容器21を液面30aの上方から第1の液30に挿入する。超音波発振器25は超音波を発生させ続ける。そして第2の時間が経過したのち、第2の液40に含まれているパーティクルの量を計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検査物に付着したパーティクルの量を計測することによって被検査物の清浄度を知る清浄度検査装置と、清浄度検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の情報処理装置に、ハードディスク装置(HDD)が使用されている。ハードディスク装置は、スピンドルを中心に回転する磁気ディスクと、ピボット軸を中心に旋回するキャリッジとを含んでいる。キャリッジのアームに、ディスク装置用サスペンションが設けられている。このサスペンションは、ロードビーム(load beam)と、ロードビームに重ねて配置されるフレキシャ(flexure)などを有している。フレキシャの先端付近に、スライダを含む磁気ヘッドが取付けられている。磁気ヘッドには、データの読取りあるいは書込み等のアクセスを行なうための素子(トランスジューサ)が設けられている。前記ディスクが高速で回転することにより、前記磁気ヘッドとディスクの表面との間にエアベアリングが形成される。
【0003】
前記サスペンションは超小形の精密な物品であり、しかもディスクの記録面に対して磁気ヘッドがナノレベルの距離まで接近した状態でディスクが回転する。このためディスクと磁気ヘッドとの間にパーティクル(固形粒子)等の汚染物質が挟まると、ディスクの記録面あるいは磁気ヘッドが損傷し、機能を喪失するおそれがある。
【0004】
前記サスペンションやディスク等は、密閉されたケースの内部に収容されているため、ディスク装置の外部からのパーティクルの侵入が抑制されている。しかしサスペンションの製造段階でサスペンション自身にパーティクルが付着していると、ディスク装置の使用時にパーティクルがサスペンションから剥がれ落ち、ディスクと磁気ヘッドとの間に入り込む可能性がある。特にサスペンションはディスクの記録面に近い位置にあるため、サスペンションから剥がれ落ちたパーティクルはクラッシュの原因になることがある。よって、サスペンションの清浄度(クリーン度)を高レベルで保つことが重要である。
【0005】
サスペンション等のように高い清浄度が要求される物品の清浄度を測定するために、例えば超音波振動子が配置された超音波発生槽の液中に物品を収容し、超音波振動を物品に与えることにより、物品の表面からパーティクルを剥離させ、この液に含まれるパーティクルの数を液中パーティクルカウンタ(LPC)によって計測することが可能である。
【0006】
例えば特許文献1に記載されている液中パーティクルカウンタでは、半導体製造工程で使用される各種の液(被測定媒体)を石英ガラス製セルに収容し、超音波振動子によって発生させた超音波振動を液(被測定媒体)に伝播させることによって、液中の気泡を除去するとともに、その液に含まれるパーティクルの数を計測するように構成されている。
【0007】
一方、特許文献2に記載されている超臨界抽出方法では、抽出しようとする微量のサンプルを試験管に入れ、試験管の容積の約半分のメタノールを加えたのち、試験管の封入口を封鎖している。その後、耐圧ステンレス容器に前記試験管を入れ、この耐圧ステンレス容器にメタノールを加え、さらにこの耐圧ステンレス容器を密封して、オーブンにて加熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−31173号公報
【特許文献2】特開2006−247499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
液中に配置された被検査物に超音波を与えたのち、特許文献1のパーティクルカウンタによってパーティクルの量を検査した場合、互いに同程度のパーティクル付着量であるにもかかわらず、各々の被検査物ごとに測定されるパーティクル数にかなり大きなばらつきを生じることがある。その原因の1つして、パーティクルの抽出ばらつき(被検査物に付着しているパーティクルが剥離する割合のばらつき)が大きいことが考えられる。
【0010】
たとえば超音波発生槽内の超音波の強度を音圧計によって測定すると、超音波発振器の電源をオンにした直後は超音波強度が安定せず、発振開始直後に過剰な超音波強度が生じることがある。このため被検査物を超音波発生槽に入れた状態で超音波発振器の電源をオンにすると、発振開始直後の超音波強度の不安定さがパーティクルの抽出ばらつきの原因となることがわかった。しかも超音波振動の発振開始直後は、超音波発生槽内の液に含まれる溶存ガスや気泡の影響により、超音波強度が安定しにくいことも抽出がばらつく原因となっていた。
【0011】
そこで、被検査物を液中に入れる前に超音波発振器の電源をオンにし、所定時間待つことによって超音波強度を安定させ、そののち被検査物を液中に入れることも考えられた。しかし液中の超音波発振器から液面に向かって伝播する超音波は、液と空気との界面で100%反射するため、反射した超音波が液面から半波長の深さで増幅され、液面近くに大きな振動エネルギーの領域が生じる。このため被検査物が液面付近を通るときに、被検査物の移動速度や超音波振動エネルギーのばらつき等によって、パーティクルの抽出量がばらつく原因となる。
【0012】
また被検査物を液中に入れる際に、前記サスペンションのような微小な被検査物では、表面張力によって被検査物が液面に浮いてしまうことがある。その場合、被検査物が液中に入るまでの時間がばらつき、パーティクルの抽出量が被検査物ごとにばらつく原因となる。
【0013】
一方、特許文献2に記載されているような超臨界抽出方法では、サンプル(被検査物)を入れた試験管の入口を溶融によって封鎖する工程や、耐圧ステンレス容器を密閉する等の特殊な加工が必要であるため著しく手数がかかり、被検査物の清浄度を能率良く検査することが不可能で、コストも高いなどの問題がある。
【0014】
従ってこの発明は、パーティクルの抽出ばらつきを抑制でき、適正な検査が比較的簡便に行なえる被検査物の清浄度検査装置と、清浄度検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の清浄度検査装置は、超音波発振器を備えかつ超音波を伝播する第1の液(例えば水道水)を収容した超音波発生槽と、前記超音波発振器に超音波を発生させるための電力を供給し前記超音波発振器が発振を開始してから第1の時間を越えて少なくとも第2の時間が経過するまで該超音波発振器を駆動し続ける電源装置と、前記第1の液よりも純度の高い第2の液(例えば超純水)を収容するとともに該第2の液中に配置される被検査物を収容し、前記第1の時間が経過したのち前記第1の液の液面の上方から該第1の液に挿入されるパーティクル抽出容器と、前記第2の時間が経過したのち前記第2の液に含まれているパーティクルの量を計測するパーティクル計測器とを具備している。
【0016】
本発明において、前記第1の時間と前記第2の時間を計測する手段と、前記第1の時間が経過したとき前記パーティクル抽出容器を前記第1の液に挿入することを許可し前記第2の時間が経過したときパーティクル抽出終了を報知する報知手段とを具備してもよい。また前記報知手段は、前記第2の時間が経過したときに前記超音波発振器を停止させる機能を有していてもよい。
【0017】
本発明の清浄度検査方法は、超音波発振器を有する超音波発生槽に第1の液を収容すること、パーティクル抽出容器に第2の液と被検査物を収容すること、前記超音波発振器に超音波を発生させるための電力を供給すること、前記超音波発振器が発振を開始してから第1の時間が経過したのち前記第2の液と前記被検査物が入っている前記パーティクル抽出容器を前記第1の液の液面の上方から該第1の液に挿入すること、前記第1の時間を越えて少なくとも第2の時間が経過するまで前記超音波発振器から超音波を発振させ続けること、前記第2の時間が経過したのち、前記第2の液に含まれているパーティクルの量を計測することを含んでいる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、それぞれの被検査物ごとのパーティクルの抽出ばらつきを低減することができ、被検査物から適正に抽出されたパーティクルの量に基いて被検査物の清浄度を的確に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の1つの実施形態に係る清浄度検査装置のパーティクル抽出部を模式的に示す側面図。
【図2】図1に示されたパーティクル抽出部においてパーティクル抽出容器を超音波発生槽に挿入した状態を示す側面図。
【図3】パーティクル検出部を模式的に示す側面図。
【図4】超音波発生槽内で計測された超音波強度の経時変化の一例を示す図。
【図5】被検査物の一例を示す平面図。
【図6】本発明の1つの実施形態に係る清浄度検査方法を工程順に示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の1つの実施形態に係る被検査物の清浄度検査装置と清浄度検査方法について、図1から図6を参照して説明する。
清浄度検査装置10は、図1と図2に示すパーティクル抽出部11と、図3に示すパーティクル検出部12とを備えている。パーティクル抽出部11は、超音波発生槽20と、パーティクル抽出容器21とを含んでいる。超音波発生槽20の底部に、超音波発振器25が配置されている。超音波発振器25は、駆動回路(パルサー)を含む電源装置26を介して商用電源27に接続されるようになっている。
【0021】
超音波発生槽20には、超音波を伝播する第1の液30が収容されている。第1の液30の一例は、入手が容易でかつ低コストであることから水道水が使用されるが、要するに超音波を伝播できる流体であればよいため液の種類は問わない。電源装置26がオンになったときに、超音波発振器25が駆動され、超音波発振器25から出力された超音波が、第1の液30の液面30aに向かう。
【0022】
パーティクル抽出容器21の一例はガラス製ビーカである。このパーティクル抽出容器21に第2の液40が収容されている。第2の液40の一例は、パーティクル等の不純物の混入を極力減らした超純水である。第2の液40の純度は第1の液30の純度よりも高い。
【0023】
パーティクル抽出容器21には、被検査物(サンプル)50の一例として、ディスク装置用サスペンションが収容されている。被検査物50は第2の液40に浸漬されている。なお被検査物50は、サスペンション以外の物品であってもよい。
【0024】
この清浄度検査装置10は、超音波発振器25が発振を開始してからの時間を計測する手段としてのタイマ60と、発振を開始してから第1の時間と第2の時間が経過したときに作動する報知手段61とを有している。報知手段61の一例は表示ランプであるが、ブザーのように音で知らせるものでもよい。
【0025】
報知手段61は、電源装置26がオンになってから所定時間(第1の時間T1と第2の時間T2)が経過したときに作動することにより、第1の時間T1と第2の時間T2が経過したことを作業員等に報知できるようになっている。ここで言う第1の時間T1は、超音波発振器25が発振を開始してから超音波強度が安定するのに要する時間よりも長く設定され、余裕を見込んで例えば5秒〜数十秒程度に設定される。第1の時間T1は、第1の液30の種類や条件等に応じて長さを変化させることができる。例えば第1の液30が脱気されていない水道水の場合、第1の時間T1を溶存ガスの少ない脱気水よりも長く設定してもよい。
【0026】
図4は、超音波発振器25が発振を開始してからの超音波強度を、超音波発生槽20に設けた音圧計によって測定した結果の一例である。発振が開始した直後の時間Tが経過するまでは超音波強度が安定せず、しかも超音波強度のピークが観測されることがある。前記第1の時間T1は、発振直後の超音波強度が不安定な時間Tよりも長くなるように設定される。第1の時間T1が経過したことが報知手段61によって知らされることにより、パーティクル抽出容器21を超音波発生槽20に入れることが許容される。
【0027】
前記第2の時間T2は、超音波によって被検査物50からパーティクルを抽出するのに十分な時間である。第2の時間T2は第1の時間T1よりも長い。第2の時間T2は、例えば被検査物50や液30,40の種類等に応じて可変設定することができる。第2の時間T2が経過したことが報知手段61によって知らされることにより、作業者は被検査物50のパーティクル抽出が終了したことを知ることができる。
【0028】
図3に示すパーティクル検出部12は、パーティクル抽出容器21内の第2の液40に連通する吸引管70と、第2の液40を吸引するポンプ71と、パーティクル計測器72とを備えている。パーティクル計測器72の一例は、孔径が互いに異なる複数種類のフィルタによってパーティクルを捕捉し、各フィルタに捕捉されたパーティクルの大きさごとの数を顕微鏡によってカウントすることにより、第2の液40に含まれるパーティクルの大きさと数を検出するようになっている。
【0029】
なお、パーティクル計測器72としては、パーティクルが含まれた液にレーザ光を照射するとともに、散乱した光の強度や数を測定し、その散乱光強度をパーティクルの大きさに換算することで、どの程度の大きさのパーティクルが液中に存在しているのかを計測する液中パーティクルカウンタが使われてもよい。
【0030】
図5は、被検査物50の一例であるディスク装置用サスペンションを示している。この被検査物50は、ベースプレート80と、ロードビーム81と、薄いばね板からなるヒンジ部82と、フレキシャ(flexure)83などを備えている。これら部品はいずれもステンレス鋼などの金属からなる。フレキシャ83は、ロードビーム81に沿って配置されている。フレキシャ83の先端付近に磁気ヘッドを設けるためのジンバル部84が形成されている。
【0031】
以下に、前記清浄度検査装置10を用いて被検査物50の清浄度を検査する方法について図6を参照して説明する。
図6に示されたステップS1では、超音波発生槽20に第1の液30を収容する。ステップS2では、パーティクル抽出容器21に第2の液40と被検査物(サンプル)50を入れる。被検査物50は、吊り紐等の吊持部材90(図1,図2に示す)によって、第2の液40の液面40a下に宙吊り状態で保持される。なお、パーティクル抽出容器21に被検査物50を入れたのち、第2の液40をパーティクル抽出容器21に入れてもよい。またステップS1とステップS2とが同時に行なわれてもよいし、ステップS1の前にステップS2が行なわれてもよい。
【0032】
ステップS3では、超音波発振器25の電源装置26をオンにし、超音波発振器25の発振を開始する。そして超音波発振器25から出力された超音波を第1の液30中に伝播させ、第1の時間が経過するまで待機する。
【0033】
ステップS4において、タイマ60により第1の時間の経過が検出されると、報知手段61によって第1の時間が経過したことが報知され、パーティクル抽出容器21を超音波発生槽20の第1の液30に挿入することが許可される。このときパーティクル抽出容器21には、前記ステップS2によって第2の液40と被検査物50が収容された状態となっている。
【0034】
ステップS5において、第2の液40と被検査物50が入っているパーティクル抽出容器21を、超音波発生槽20の第1の液30の液面30aの上方から第1の液30に挿入する。このとき第1の液30の液面30aの高さと、第2の液40の液面40aの高さが揃うように、目視によって液面30a,40aの位置を対応させるとよい。超音波発振器25は超音波を発振し続けている(ステップS6)
前記ステップS5では、パーティクル抽出容器21を第1の液30に挿入する際に、被検査物50が第1の液30の液面30a近くを通過する。第1の液30の液面30a付近では、空気と第1の液30との界面で超音波が100%反射するため、液面30a下の半波長の位置で振動が増幅される。このため液面30a付近に高強度の振動領域が生じている。しかしこの被検査物50は、パーティクル抽出容器21の第2の液40中に浸漬された状態で液面30a付近を通過するため、被検査物50が液面30a付近の高強度の振動領域に直接さらされることを回避できる。このためパーティクルの抽出量がばらつくことを回避できる。
【0035】
前記ステップS5によってパーティクル抽出容器21が超音波発生槽20の第1の液30に挿入され、この状態のまま、超音波発振器25から超音波が発振され続ける(ステップS6)。このため超音波発振器25から発生した超音波が第1の液30から第2の液40に伝播することにより、被検査物50に超音波振動が与えられる。これにより、被検査物50からパーティクルが剥がれ落ち、パーティクルが第2の液40中に抽出される。
【0036】
ステップS7において、第2の時間が経過したことがタイマ60によって検出されると、報知手段61によって第2の時間が経過したことが報知され、パーティクルの抽出が終了したことが作業員に知らされる。なお報知手段61は、前記第2の時間が経過したときに超音波発振器25を停止させる機能(超音波の発振を停止させる機能)を有していてもよい。
【0037】
ステップS8では、パーティクル抽出容器21を超音波発生槽20の第1の液30から取出される。そしてパーティクル検出部12(図3に示す)において、第2の液40に含まれるパーティクルの数がパーティクル計測器72によってカウントされる(ステップS9)。こうしてカウントされたパーティクルの数がパーティクル計測器72の表示部100に表示される(ステップS10)。カウントされたパーティクルの数が規定値以上であれば、この被検査物50の清浄度は低いと判断され、不合格となる。計測されたパーティクルの数が規定値よりも少なければ、被検査物50の清浄度が高いと判断され、合格となる。
【0038】
以上説明したように本実施例の清浄度検査方法は下記の工程を含んでいる。
(1)超音波発生槽20に第1の液30を収容すること。
(2)パーティクル抽出容器21に第2の液40を収容すること。
(3)パーティクル抽出容器21に被検査物50を収容すること。
(4)電源装置26をオンにし、超音波発振器25を発振させること。
(5)第1の時間が経過したのち、第2の液40と被検査物50が入っているパーティクル抽出容器21を超音波発生槽20の第1の液30に挿入すること。このとき超音波発振器25は超音波を発生し続けている。
(6)第2の時間が経過したのち、パーティクル抽出容器21を超音波発生槽20から取出すこと。
(7)第2の液40に含まれるパーティクルの量をパーティクル計測器72によって計測すること。
【0039】
(8)計測されたパーティクルの量を表示すること。
【0040】
以上説明した清浄度検査装置10と清浄度検査方法(ステップS1〜S10)によれば、超音波発生槽20内の第1の液30の超音波強度が十分安定した状態のもとで、予め第2の液40と被検査物50が収容されているパーティクル抽出容器21を第1の液30に挿入するため、超音波発振器25が発振を開始した直後の超音波強度が不安定な時間帯の影響を受けることがなく、パーティクルの抽出ばらつきの原因の1つをなくすことができる。
【0041】
しかもパーティクル抽出容器21が第1の液30に挿入される前に、超音波発生槽20の外部において予め被検査物50をパーティクル抽出容器21内の第2の液40に沈めておくことができる。このため被検査物50に超音波を与える際に被検査物50が表面張力によって液面40aに浮いてしまうという問題も回避できる。よって、被検査物50が液面40aを通過する際の速度等がパーティクルの抽出ばらつきの原因となることも回避できる。
【0042】
なお本発明を実施するに当たり、超音波発生槽やパーティクル抽出容器の形態をはじめとして、超音波発振器、パーティクル計測器等の構成や配置、第1の液と第2の液の態様などを種々に変更して実施できることは言うまでもない。また被検査物として、ディスク装置用サスペンション以外に、清浄度を管理する必要がある物品であれば同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
10…清浄度検査装置
11…パーティクル抽出部
12…パーティクル検出部
20…超音波発生槽
21…パーティクル抽出容器
25…超音波発振器
26…電源装置
30…第1の液
40…第2の液
50…被検査物
61…報知手段
72…パーティクル計測器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波発振器を備えかつ超音波を伝播する第1の液を収容した超音波発生槽と、
前記超音波発振器に超音波を発生させるための電力を供給し、前記超音波発振器が発振を開始してから第1の時間を越えて少なくとも第2の時間が経過するまで該超音波発振器を駆動し続ける電源装置と、
前記第1の液よりも純度の高い第2の液を収容するとともに該第2の液中に配置される被検査物を収容し、前記第1の時間が経過したのち前記第1の液の液面の上方から該第1の液に挿入されるパーティクル抽出容器と、
前記第2の時間が経過したのち前記第2の液に含まれているパーティクルの量を計測するパーティクル計測器と、
を具備したことを特徴とする被検査物の清浄度検査装置。
【請求項2】
前記第1の時間と前記第2の時間を計測する手段と、前記第1の時間が経過したとき前記パーティクル抽出容器を前記第1の液に挿入することを許可し前記第2の時間が経過したときパーティクル抽出終了を報知する報知手段とを具備したことを特徴とする請求項1に記載の被検査物の清浄度検査装置。
【請求項3】
前記報知手段は、前記第2の時間が経過したときに前記超音波発振器を停止させる機能を有していることを特徴とする請求項2に記載の被検査物の清浄度検査装置。
【請求項4】
超音波発振器を有する超音波発生槽に第1の液を収容すること、
パーティクル抽出容器に第2の液と被検査物を収容すること、
前記超音波発振器に超音波を発生させるための電力を供給すること、
前記超音波発振器が発振を開始してから第1の時間が経過したのち、前記第2の液と前記被検査物が入っている前記パーティクル抽出容器を前記第1の液の液面の上方から該第1の液に挿入すること、
前記第1の時間を越えて少なくとも第2の時間が経過するまで前記超音波発振器から超音波を発振させ続けること、
前記第2の時間が経過したのち、前記第2の液に含まれているパーティクルの量を計測すること、
を具備したことを特徴とする被検査物の清浄度検査方法。
【請求項5】
前記パーティクル抽出容器を前記第1の液に挿入する際に、前記第1の液の液面と前記第2の液の液面のそれぞれの位置を揃えることを特徴とする請求項4に記載の被検査物の清浄度検査方法。
【請求項6】
前記第2の時間が経過したときに前記超音波発振器を停止させることを特徴とする請求項4または5に記載の被検査物の清浄度検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−32270(P2012−32270A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171900(P2010−171900)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】