説明

被洗浄配管洗浄装置及び被洗浄配管洗浄方法

【課題】洗浄すべき配管を効率的に洗浄することが出来る配管洗浄装置及び配管洗浄方法を提供する。
【解決手段】加圧した洗浄液3を供給する洗浄液供給配管4の下流端部に設けられる導入部と、該導入部内径より小さい内径の流路絞り部と、該流路絞り部の下流側に設けられ、該流路絞り部内径より大きい内径の拡径部と、該拡径部の下流側に設けられ、所定の径の孔又は所定の幅のスリットが所定の数だけ設けられた細開口板と、前記流路絞り部か、もしくはその上流側の流路4に連通して設けられ、洗浄液3内にガスを供給するガス供給路10を有する微細気泡発生ノズル6の前記細開口板の下流側に液密的且つ気密的に被洗浄配管11が接続され、洗浄液供給配管4により供給される洗浄液3を微細気泡発生ノズル6を流通させて微細気泡混合洗浄液とし、該微細気泡混合洗浄液を被洗浄配管11内を流通させて該被洗浄配管11内部を洗浄する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗浄配管内部を洗浄する装置及び洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から気体混じりの液で洗浄することは広く知られており、気体を微細化することは特に有効な手段である。微細気泡を使った洗浄に関する技術は、以下の各特許文献に示されたように、液体容器内での微細気泡発生方法で、液体容器内に被洗浄物を浸漬する方法や、液体容器内で微細気泡を発生させた後に微細気泡混じりの液体を送液する方法が取られている。
【0003】
例えば、特許文献1の技術は、対象水域から水を取水し微細気泡を発生させ再度対象水域へ連続的に放出する水浄化装置であり、特許文献2の技術は、微細気泡を懸濁させた湯を噴出させるシャワーであり、特許文献3の技術は、加圧液体の旋回流による渦崩壊に伴うマイクロバブル発生装置であり、特許文献4の技術は、空気混じりの加圧水をオリフィスを通しキャビテーションにより発泡させる微細気泡生成ノズルであり、特許文献5の技術は、セメントミルク、モルタル又はコンクリートを混練するためのミキサーに設けられる循環流路にマイクロバブル発生装置を設けたものであり、特許文献6の技術は、マイクロバブルを発生させるシャワーヘッドに関するものである。
【0004】
気液混合流体による洗浄は、液体の流れの持つエネルギーによるもののみでなく、その上に気泡の破泡や合一(合泡)の時のエネルギーを付加して利用するもので、より洗浄性が良くなることが知られている。この際に、液体中に存在する気泡が微細であればあるほどその効果は大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3227567号公報
【特許文献2】特開平09−276170号公報
【特許文献3】特許第4019154号公報
【特許文献4】特開2007−216149号公報
【特許文献5】特開2007−191358号公報
【特許文献6】特開2008−229516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、液体中に発生させた微細気泡が合泡しないように、洗浄液槽中で微細気泡を別途発生させた後、被洗浄物を洗浄液槽中に浸漬させて洗浄する方法が一般に行われており、洗浄液槽中で微細気泡を別途発生させた後に被洗浄配管にポンプ等で送液して洗浄する場合には、気泡の合泡等により効率的な気液混合洗浄ができないとされていた。前述の特許文献1では微細気泡を液体の容器や湖沼等の対象域に直接発生させるもので、配管内に流れる洗浄液中に微細気泡を発生させながら配管内を洗浄するものではない。また、特許文献2、6では微細気泡混じりの湯をシャワーヘッドから大気中に放出するもので、配管内に流れる洗浄液中に微細気泡を発生させながら配管を洗浄するものではない。また、特許文献3、4では微細気泡を発生させるノズルの提案であって、配管内に流れる洗浄液中に微細気泡を発生させながら配管を洗浄するものではない。また、特許文献5では、セメントミルク、モルタル又はコンクリートを混練するためのミキサーに設けられる循環流路にマイクロバブル発生装置を設けたものであり、配管内に流れる洗浄液中に微細気泡を発生させながら配管を洗浄するものではない。
【0007】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、加圧した洗浄液を供給する洗浄液供給配管の出口端で微細な気泡を発生・混合させ、その後に直接接続された洗浄すべき配管を効率的に洗浄することが出来る被洗浄配管洗浄装置及び被洗浄配管洗浄方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明に係る被洗浄配管洗浄装置の第1の構成は、被洗浄配管内部を洗浄する装置であって、加圧した洗浄液を供給する洗浄液供給配管の下流端部に設けられる導入部と、前記導入部の内径よりも小さい内径を有する流路絞り部と、前記流路絞り部の下流側に設けられ、前記流路絞り部の内径よりも大きい内径を有する拡径部と、前記拡径部の下流側に設けられ、所定の径の孔または所定の幅のスリットが所定の数だけ設けられた細開口板と、前記流路絞り部か、もしくはその上流側の流路に連通して設けられ、前記洗浄液内にガスを供給するガス供給路とを有する微細気泡発生ノズルの前記細開口板の下流側に液密的且つ気密的に前記被洗浄配管が接続され、前記洗浄液供給配管により供給される洗浄液を前記微細気泡発生ノズルを流通させて微細気泡混合洗浄液とし、該微細気泡混合洗浄液を前記被洗浄配管内を流通させて該被洗浄配管内部を洗浄することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る被洗浄配管洗浄装置の第2の構成は、前記第1の構成において、前記ガス供給路は、加圧した洗浄液を供給する前記洗浄液供給配管の中間部の流路に連通されたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る被洗浄配管洗浄装置の第3の構成は、前記第1の構成において、前記洗浄液供給配管の上流側に加圧した洗浄液を送る送液ポンプが設けられ、前記ガス供給路は、前記送液ポンプの吸引側の流路に連通されたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る被洗浄配管洗浄装置の第4の構成は、前記第1〜第3の構成において、前記流路絞り部内を流通する洗浄液の平均流速が8m/sec以上に設定されたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る被洗浄配管洗浄装置の第5の構成は、前記第1〜第4の構成において、前記細開口板に設けられた孔またはスリットの開口総面積が前記流路絞り部の内径断面積の2倍以上で且つ前記細開口板の孔の径或いは前記細開口板のスリットの幅が前記流路絞り部の内径の1/2以下に設定され、前記細開口板に設けられた孔またはスリットが略均一な離間間隔で配置されたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る被洗浄配管洗浄装置の第6の構成は、前記第1〜第5の構成において、前記被洗浄配管は、飲料供給装置の飲料供給配管か、もしくはスプレー式塗装ガン、或いは塗料供給配管であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る被洗浄配管洗浄方法は、被洗浄配管内部を洗浄する方法であって、洗浄液供給配管から供給される加圧洗浄液を該洗浄液供給配管の下流端部に設けられる導入部の内径よりも小さい内径を有する流路絞り部を流通させて所定の流速に加速すると共に、その洗浄液にガスを混合して微細気泡混合洗浄液とし、更に前記微細気泡混合洗浄液を前記流路絞り部の内径よりも大きい内径を有する拡径部に開放して該微細気泡混合洗浄液の流速を減速すると共に、該洗浄液内の微細気泡を均一に拡散し、更に前記微細気泡混合洗浄液を所定の径の孔または所定の幅のスリットが所定の数だけ設けられた細開口板の細開口内を流通させて再度、前記微細気泡混合洗浄液の流速を加速すると共に、該洗浄液内の微細気泡を均一に拡散した後、該微細気泡混合洗浄液を前記被洗浄配管内に流通させて該被洗浄配管内部を洗浄することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来必要とされていた微細気泡の混合液を作るための受液槽が不要となる。また、微細気泡の受液槽からポンプ等で送液する時の気泡の合体による粗泡化が防止でき、洗浄に有効な微細気泡をそのままの状態で被洗浄配管に送り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る被洗浄配管洗浄装置の第1実施形態の構成を示す模式図である。
【図2】第1実施形態の被洗浄配管洗浄装置に適用される微細気泡発生ノズルの構成を示す断面説明図である。
【図3】微細気泡発生ノズルの流路絞り部の上流側に設けられた洗浄液供給配管内の圧力と該流路絞り部の下流側に設けられた拡径部に設けられた細開口板の出口の圧力との圧力差と、該流路絞り部内を流通する洗浄液の流速との関係を示す図である。
【図4】本発明に係る被洗浄配管洗浄装置の第2実施形態の構成を示す模式図である。
【図5】本発明に係る被洗浄配管洗浄装置の第3実施形態の構成を示す模式図である。
【図6】第2、第3実施形態の被洗浄配管洗浄装置に適用される微細気泡発生ノズルの構成を示す断面説明図である。
【図7】本発明に係る被洗浄配管洗浄装置により洗浄される被洗浄配管が飲料供給装置の飲料供給配管である場合の一例として瞬間冷却式ビールサーバーに適用される構成を示す図である。
【図8】本発明に係る被洗浄配管洗浄装置により洗浄される被洗浄配管が飲料供給装置の飲料供給配管である場合の一例として冷却済飲料注出式ビールサーバーに適用される構成を示す図である。
【図9】本発明に係る被洗浄配管洗浄装置により洗浄される被洗浄配管がスプレー式塗装ガンを含む塗料供給配管に適用される構成を示す図である。
【図10】微細気泡発生ノズルの流路絞り部の下流側に設けられた拡径部及び細開口板の他の構成を示す断面説明図である。
【図11】微細気泡発生ノズルの流路絞り部の最下流側に設けられた細開口板にスリット状の開口を設けた場合の構成を示す正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図により本発明に係る被洗浄配管洗浄装置及び被洗浄配管洗浄方法の一実施形態を具体的に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1において、1は被洗浄配管内部を洗浄する装置であって、洗浄液槽2に洗浄液3が収容され、該洗浄液槽2に接続された洗浄液供給配管4に送液ポンプ5が設けられている。送液ポンプ5により加圧した洗浄液3を供給する洗浄液供給配管4の下流端部には、微細気泡発生ノズル6が設けられている。
【0019】
本実施形態の微細気泡発生ノズル6には、図2に示すように、洗浄液供給配管4の下流端部に設けられる微細気泡発生ノズル6の導入部6aの内径D1を該洗浄液供給配管4の内径とほぼ同じとし、該導入部6aの内径D1よりも小さい内径D2を有する流路絞り部7と、該流路絞り部7の下流側に設けられ、該流路絞り部7の内径D2よりも大きい内径D3を有する拡径部8と、該拡径部8の下流側に設けられ、所定の径の孔9a、或いは図11に示すように所定の幅のスリット9aが所定の数だけ設けられた細開口板9と、前記流路絞り部7に連通して設けられ、該流路絞り部7内部を流通する洗浄液3内に空気などのガスを供給するガス供給路10とが設けられている。微細気泡発生ノズル6の導入部6aから流路絞り部7に向けて所定の角度θのテーパ部28が設けられている。
【0020】
なお、洗浄液3の流れの損失を少なくするために微細気泡発生ノズル6の導入部6aから流路絞り部7に向けてテーパ部28を設けることが好ましいが、必ずしもテーパ状とすることを必要とするものではなく、微細気泡発生ノズル6の導入部6aから流路絞り部7に向けて段階的に小径とした構成であっても良い。
【0021】
また、微細気泡発生ノズル6の導入部6aの内径D1は洗浄液供給配管4の内径と略同じ程度とするが、洗浄液供給配管4との取り合いで適宜決められるもので、流路絞り部7の内径D2よりも大きければ良く、限定するものではない。
【0022】
また、微細気泡発生ノズル6の拡径部8は被洗浄配管11との取り合いで、図10(a)に示すように、拡径した後にテーパー状にしたり、図10(b)に示すように、段付の拡径とすることも可能である。
【0023】
本実施形態の細開口板9に設けられた孔9aまたは図11に示すスリット9aの開口総面積は、流路絞り部7の内径D2断面積の2倍以上で且つ細開口板9の孔9aの径、或いは細開口板9のスリット9aの幅が流路絞り部7の内径D2の1/2以下に設定される。また、孔9aまたは図11に示すスリット9aが複数個の場合には略均一な離間間隔で配置されている。例えば、細開口板9に設けられた孔9aの口径を流路絞り部7の内径D2の1/2以下とすると、個々の孔9aの口径面積は流路絞り部7の内径D2断面積の1/4以下となり、該細開口板9に設けられた孔9aの数が8個以上が好ましい。
【0024】
細開口板9に設けられた細開口が流路絞り部7の内径の1/2以下の幅のスリット9aの場合、開口総面積が流路絞り部7の内径D2断面積の2倍以上になる長さと数を選定することとなる。孔9aの口径、或いはスリット9aの幅が流路絞り部7の内径D2と同じでは拡径部8で拡散した微細気泡が効率良く被洗浄配管11内に拡散しない。
【0025】
さらには、細開口板9に設けられた孔9aまたは図11に示すスリット9aの方向は被洗浄配管11との取り合いで考えれば良く、図10(c)に示すように、微細気泡発生ノズル6の軸方向に平行な直進方向(図10(c)の矢線a方向)のみに限定するものではなく、微細気泡発生ノズル6の軸方向に対して傾斜した方向(図10(c)の矢線b方向)や螺旋状などや微細気泡発生ノズル6の円周方向(図10(c)の矢線c方向)を含めていずれの方向のものも可能である。また、細開口板9に設けられた孔9aの外形形状は丸孔以外にも種々の形状の貫通穴を適用することが出来る。
【0026】
前記微細気泡発生ノズル6の細開口板9の下流側には液密的且つ気密的に被洗浄配管11が接続される。そして、洗浄液供給配管4により供給される洗浄液3を微細気泡発生ノズル6を流通させて微細気泡混合洗浄液とし、該微細気泡混合洗浄液を被洗浄配管11内を流通させて該被洗浄配管11内部を洗浄する。
【0027】
本実施形態では、流路絞り部7内を流通する洗浄液3の平均流速Vが8m/sec以上に設定される。このとき、微細気泡発生ノズル6の流路絞り部7の上流側に設けられた洗浄液供給配管4内の圧力Pi(略微細気泡発生ノズル6の入口圧力)と微細気泡発生ノズル6の出口の圧力Pe(略微細気泡発生ノズル6に設けられた拡径部8内の圧力)との圧力差ΔPは0.05MPa以上に設定される。ここで、微細気泡発生ノズル6内を流通する洗浄液3の流量は該微細気泡発生ノズル6の流路絞り部7の内径D2(ノズル径)により変化するが、微細気泡発生ノズル6内を流通する洗浄液3の平均流速Vは一義的に{V=α×(2g×ΔP)1/2}で決まる。なお、αは係数、gは重力の加速度である。なお、本式での△Pは厳密には微細気泡発生ノズル6の導入部6a内の圧力と、微細気泡発生ノズル6の拡径部8内の圧力との圧力差であるが、一般的に測定可能な洗浄液供給配管4内の圧力Piと、微細気泡発生ノズル6の出口の圧力Peとの圧力差を使用するものとする。なお、平均流速Vの上限は装置として発生可能な圧力差△Pまで許容でき、上限を限定する必要は無い。
【0028】
図3は、流路絞り部7の内径D2が直径2mm〜8mmについて、前記圧力差ΔPと、該流路絞り部7内を流通する洗浄液3の平均流速Vとの関係を示す図である。流路絞り部7内を流通する洗浄液3の平均流速Vは、洗浄液供給配管4内の圧力Piと、微細気泡発生ノズル6の出口圧力Peとの圧力差ΔPと、微細気泡発生ノズル6内を流れる洗浄液3の流量とを測定し、該流路絞り部7の内径D2(直径2mm〜8mm)の断面積から微細気泡発生ノズル6内の平均流速Vを算出する。
【0029】
図3から、以下の数1式で示されるような、平均流速V(m/sec)と圧力差ΔP(MPa)との関係が得られる。平均流速Vは圧力差ΔPの1/2乗に比例することからも以下の数1式は略妥当な値であることが分かる。
【0030】
[数1]
V=41.4×ΔP0.54
【0031】
図1において、洗浄液槽2から送液ポンプ5により0.25MPaの圧力で3.5リットル/minの清水からなる洗浄液3を呼び寸法1/2Bのステンレス配管よりなる洗浄液供給配管4により、微細気泡発生ノズル6の導入部6aの内径D1が18mmの微細気泡発生ノズル6に送り、図示しないコンプレッサによりガス供給路10から0.1リットル/minの圧縮空気を送って微細気泡発生ノズル6内で気泡直径55μmの微細気泡を発生させた。気泡径の測定方法としては、デジタルカメラと光学系レンズとの組合せで、液晶画面の縦方向撮影範囲を約1.5mmとした拡大撮影で、微細気泡発生ノズル6の出口に取り付けた内径27mmの透明パイプ部を外部から撮影した後、パーソナルコンピュータの画面上で約120倍に拡大して発生している微細気泡の気泡直径を計測した。なお、気泡の流れを除外するため気泡の短径方向のみを計測した。微細気泡発生ノズル6の流路絞り部7の内径D2は3mm、拡径部8及び透明パイプの内径D3は27mm、テーパ部28の中心軸に対する角度θは28度、細開口板9の孔9aの口径直径は1mmで27個配置したものである。透明パイプ部の下流側に液密的且つ気密的に接続した被洗浄配管11は内径5mmのステンレス製コイル管であり、このときの微細気泡発生ノズル6の出口の圧力は0.2MPaであった。即ち、微細気泡発生ノズル6の流路絞り部7の上流側に設けられた洗浄液供給配管4内の圧力Piと、微細気泡発生ノズル6の出口の圧力Peとの圧力差ΔPは0.05MPa(0.25MPa−0.2MPa=0.05MPa)であった。
【0032】
上記構成によれば、微細気泡発生ノズル6に加圧送液された洗浄液3は流路絞り部7で平均流速Vまで速め圧力を減じるとともにガス供給路10から空気などのガスを吸気し、該流路絞り部7の出口でキャビテーションや渦の崩壊により気体の微細化がなされ、更に微細気泡発生ノズル6の出口端に設けられた細開口板9の孔9aや図11に示すスリット9aから微細気泡として送出される。
【0033】
微細気泡発生のためには洗浄液供給配管4内の圧力Piと、微細気泡発生ノズル6の出口の圧力Peとの圧力差ΔPは試験の結果、0.05MPa以上あれば良い。細開口板9の細孔9aやスリット9aの開口総面積を流路絞り部7の内径D2の断面積よりも小さくすると、必要な差圧が確保できないため、細開口板9の細孔9aやスリット9aの開口総面積は流路絞り部7の内径D2の断面積以上であれば良く、好ましくは2倍以上とするのが良い。また、流路絞り部7の出口端の圧力は微細気泡発生ノズル6の出口端に取付けた被洗浄配管11の送液抵抗分が加算されるため洗浄液3が流路絞り部7を流れる際に発生する負圧により生じる吸気圧が十分確保できない場合にはコンプレッサなどによる圧縮気体を使用すれば良い。洗浄液3として清水を使用する場合には、一般的な水道上水の圧力として微細気泡発生ノズル6の入口圧が被洗浄配管11の流路抵抗により減少する圧力に加えて0.05MPa以上が確保できれば、送液ポンプ5等の送液設備を必要とせず、一般家庭等の上水道に直接接続することが可能である。
【0034】
被洗浄配管11の内径が流路絞り部7の内径D2よりも小さい場合には、微細気泡発生ノズル6の出口圧が高くなり必要な圧力差ΔPの確保が出来難くなるため、流路絞り部7の内径D2は被洗浄配管11の内径よりも小さく設定される。また、細開口板9の細孔9aやスリット9aの口径が流路絞り部7の内径D2よりも大きいと微細化された気泡の均一な拡散が行われ難く微細気泡発生ノズル6を出たままの状態で流れてしまうため細開口板9の細孔9aやスリット9aの口径は流路絞り部7の内径D2よりも小さい方が良い。また、細開口板9の細孔9aやスリット9aの開口総面積が流路絞り部7の内径D2断面積よりも小さいと流路絞り部7の出口圧(流速を決定する為の厳密な意味での流路絞り部7を出た直後、即ち拡径部8内の圧力)が高くなり必要な圧力差ΔPとして0.05MPaの確保ができないため細開口板9の細孔9aやスリット9aの開口総面積は流路絞り部7の内径D2断面積よりも大きく設定した方が良い。
【0035】
上記被洗浄配管洗浄装置1を用いて被洗浄配管11内部を洗浄する方法は、洗浄液供給配管4から供給される加圧洗浄液3を該洗浄液供給配管4の下流端部に接続した微細気泡発生ノズル6の導入部6aの内径D1よりも小さい内径D2を有する流路絞り部7を流通させて所定の平均流速Vに加速すると共に、その洗浄液3に空気等のガスを混合して微細気泡混合洗浄液とし、更に該微細気泡混合洗浄液を流路絞り部7の内径D2よりも大きい内径D3を有する拡径部8に開放して該微細気泡混合洗浄液の平均流速を減速すると共に、該洗浄液3内の微細気泡を均一に拡散し、更に該微細気泡混合洗浄液を所定の径の孔9aまたは所定の幅のスリット9aが所定の数だけ設けられた細開口板9の細孔9aやスリット9a等の細開口内を流通させて再度、該微細気泡混合洗浄液の平均流速を加速すると共に、該洗浄液3内の微細気泡を均一に拡散した後、該微細気泡混合洗浄液を被洗浄配管11内に流通させて該被洗浄配管11内部を洗浄することが出来る。
【実施例2】
【0036】
次に図4及び図6を用いて本発明に係る被洗浄配管洗浄装置の第2実施形態について説明する。前記第1実施形態では、微細気泡発生ノズル6の一部に流路絞り部7に連通するガス供給路10が一体的に設けられた場合について説明したが、本実施形態では、図4に示すように、微細気泡発生ノズル6の上流側の流路となる洗浄液供給配管4の一部に連通してガス供給路10が設けられ、該ガス供給路10を介して洗浄液供給配管4内を流通する洗浄液3内に空気などのガスを供給するように構成したものである。従って、本実施形態の微細気泡発生ノズル6では図6に示すようにガス供給路10を有しておらず、ガス供給路10は加圧した洗浄液3を供給する洗浄液供給配管4の中間部の流路に連通されている。
【0037】
本実施形態では、微細気泡発生ノズル6で吸気を行う代わりに送液ポンプ5の出口の洗浄液供給配管4に連通されたガス供給路10で吸気を行うもので、エジェクターの使用やコンプレッサなどによる圧縮気体を使用することで吸気が可能となる。
【実施例3】
【0038】
次に図5及び図6を用いて本発明に係る被洗浄配管洗浄装置の第3実施形態について説明する。前記第2実施形態では、送液ポンプ5の出口の洗浄液供給配管4に連通されたガス供給路10で吸気を行う構成としたが、本実施形態では、図5に示すように、洗浄液供給配管4の上流側に加圧した洗浄液3を送る送液ポンプ5が設けられ、ガス供給路10が該送液ポンプ5の吸引側の流路に連通されたものである。従って、本実施形態の微細気泡発生ノズル6も図6に示すようにガス供給路10を有しておらず、ガス供給路10は加圧した洗浄液3を供給する洗浄液供給配管4の中間部の流路に連通されている。
【0039】
本実施形態では、微細気泡発生ノズル6で吸気を行う代わりに送液ポンプ5の吸引側での吸気を行なうもので、吸引圧が負圧になる範囲でコンプレッサなどによる圧縮気体の使用は不要である。
【実施例4】
【0040】
本実施形態では、上記被洗浄配管洗浄装置1により洗浄する被洗浄配管11の一例として、飲料供給装置の飲料供給配管を洗浄する場合について図7を用いて説明する。炭酸飲料やその他の飲料等を常温から短時間で冷却して注出する装置の一例として図7に示す瞬間冷却式ビールサーバー12がある。図7において、炭酸ガスボンベ14の高圧ガスを調圧弁15で所定圧に調整した炭酸ガスをガスホース16を介してフィッティング17を通して生ビール樽13の上部空隙部13aに注入して加圧し、生ビール樽13内の底部まで伸びたチューブ18から常温の生ビール19を冷却水槽20内に収容された冷却コイル26に押し出す。
【0041】
瞬間冷却式ビールサーバー12では、冷却水槽20中に冷凍機21により冷媒コイル22の周りに氷23を生成し、冷却水槽20内の水24がほぼ0℃に保持される。注出タップ25を開けると生ビール樽13から押し出された生ビール19はチューブ18を介して冷却水槽20内に収容された螺旋状の冷却コイル26を通る間に常温から冷却されビールジョッキ等の注出容器27内に注出される。
【0042】
冷却コイル26は内径直径が数mm程度で、長さは10m〜20m程度である。このように内径直径が小さく流路抵抗が大きい冷却コイル26内の洗浄に本発明に係る被洗浄配管洗浄装置1を適用すれば好ましい。図7に示すチューブ18の上流側あるいはチューブ18を冷却コイル26から取り外して該冷却コイル26の上流側に図1、図4、図5に示して前述した微細気泡発生ノズル6を液密的且つ気密的に接続し、洗浄液3に微細気泡を混合しながら注出タップ25は接続したままあるいは外して洗浄する。またはフィッティング17のアタッチメントを使用すればフィッティング17を含めての洗浄も可能であり、フィッティング17のガスホース16を取り外して該フィッティング17の炭酸ガス入口に微細気泡発生ノズル6を液密的且つ気密的に接続し、生ビール樽13あるいは生ビール樽13に類似した洗浄専用容器を通しての洗浄も可能である。
【実施例5】
【0043】
本実施形態では、上記被洗浄配管洗浄装置1により洗浄する被洗浄配管11の一例として、飲料供給装置の飲料供給配管を洗浄する場合について図8を用いて説明する。冷却済の飲料を注出する装置の一例として図8に示すビールサーバー31がある。なお、前記第4実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。図8において、冷蔵庫等に置かれた冷却済の生ビール樽13から所定の炭酸ガス圧で押し出された生ビール19はカウンター等に設置された注出タップ25から注出容器27に注出される。ビール配管となるチューブ18は種々の口径が使われるが長さが数十mに及ぶことがある。チューブ18内の生ビール19の温度上昇を防ぐためチューブ18の外周に沿わせた冷水循環配管32内に冷水を循環させてチューブ18内の生ビール19の温度保持を行なう。
【0044】
冷水循環配管32は冷却水槽20内に収容された螺旋状の冷却コイル26に接続され、該冷却水槽20中に冷凍機21により冷媒コイル22の周りに氷23を生成し、冷却水槽20内の水24は略0℃に保持される。冷却コイル26内で冷却された冷水は冷水循環ポンプ33により冷水循環配管32内を常時循環しており、これによりチューブ18内の生ビール19は低温度に保たれる。
【0045】
このように長くて流路抵抗が大きいビール配管となるチューブ18内の洗浄に本発明に係る被洗浄配管洗浄装置1を適用すれば好ましい。図8に示すチューブ18の上流側に図1、図4、図5に示して前述した微細気泡発生ノズル6を液密的且つ気密的に接続し、洗浄液3に微細気泡を混合しながら注出タップ25は接続したままあるいは外して洗浄する。またはフィッティング17のアタッチメントを使用すればフィッティング17を含めての洗浄も可能であり、フィッティング17のガスホース16を取り外して該フィッティング17の炭酸ガス入口に微細気泡発生ノズル6を液密的且つ気密的に接続し、生ビール樽13あるいは生ビール樽13に類似した洗浄専用容器を通しての洗浄も可能である。なお、生ビールの代わりに、ファーストフード店等の飲料ディスペンサー等で冷蔵庫で冷却した飲料を配管を介して店頭の飲料ディスペンサーに供給する装置の飲料配管内の洗浄にも本発明に係る被洗浄配管洗浄装置1を適用すれば好ましい。なお、常温はもちろん加熱された液体或いは液体に近い状態で供給される食品配管の洗浄の場合にも適用可能であることはいうまでもない。
【実施例6】
【0046】
本実施形態では、被洗浄配管11としてスプレー式塗装ガン内部及び塗料供給配管内の洗浄に本発明に係る被洗浄配管洗浄装置1を適用した場合の一例について図9を用いて説明する。図9において、スプレー式塗装ガン41に接続された塗料供給配管42の上流側に図1に示して前述した微細気泡発生ノズル6を液密的且つ気密的に接続し、洗浄液3に微細気泡を混合しながらスプレー式塗装ガン41内部及び塗料供給配管42内の洗浄を行う。本実施形態では、洗浄液3を2種類使用する場合で、洗浄液槽2は大気開放容器で送液ポンプ5により清水等の洗浄液3を送液し、該洗浄液3に微細気泡を混合しながらスプレー式塗装ガン41内部及び塗料供給配管42内の洗浄を行う。洗浄液容器51は耐圧容器で圧縮空気によりシンナーやトリクロロエチレン(Trichloroethylene;トリクレン)等の溶剤からなる洗浄液3を圧送すると共に該洗浄液3に微細気泡を混合しながらスプレー式塗装ガン41内部及び塗料供給配管42内の洗浄を行う。当然のことながら洗浄液3が1種類の場合にも適用できることは言うまでも無い。なお、図4、図5に示して前述した微細気泡発生ノズル6を液密的且つ気密的に接続し、洗浄液3に微細気泡を混合しながらスプレー式塗装ガン41内部及び塗料供給配管42内の洗浄を行うことも出来る。即ち、スプレー式塗装ガン41のみ、或いは塗料供給配管42のみ、或いはスプレー式塗装ガン41及び塗料供給配管42の両方の洗浄が出来る。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の活用例として、被洗浄配管内部を洗浄する装置及び洗浄方法に適用出来、特に塗装用スプレーガンの洗浄やビールサーバーの冷却コイルの洗浄等、各種配管の洗浄に広く適用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 …被洗浄配管洗浄装置
2 …洗浄液槽
3 …洗浄液
4 …洗浄液供給配管
5 …送液ポンプ
6 …微細気泡発生ノズル
6a…導入部
7 …流路絞り部
8 …拡径部
9 …細開口板
9a …孔,スリット
10 …ガス供給路
11 …被洗浄配管
12 …瞬間冷却式ビールサーバー
13 …生ビール樽
13a …上部空隙部
14 …炭酸ガスボンベ
15 …調圧弁
16 …ガスホース
17 …フィッティング
18 …チューブ
19 …生ビール
20 …冷却水槽
21 …冷凍機
22 …冷媒コイル
23 …氷
24 …水
25 …注出タップ
26 …冷却コイル
27 …注出容器
28 …テーパ部
31 …ビールサーバー
32 …冷水循環配管
33 …冷水循環ポンプ
41 …スプレー式塗装ガン
42 …塗料供給配管
51 …洗浄液容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄配管内部を洗浄する装置であって、
加圧した洗浄液を供給する洗浄液供給配管の下流端部に設けられる導入部と、
前記導入部の内径よりも小さい内径を有する流路絞り部と、
前記流路絞り部の下流側に設けられ、前記流路絞り部の内径よりも大きい内径を有する拡径部と、
前記拡径部の下流側に設けられ、所定の径の孔または所定の幅のスリットが所定の数だけ設けられた細開口板と、
前記流路絞り部か、もしくはその上流側の流路に連通して設けられ、前記洗浄液内にガスを供給するガス供給路と、
を有する微細気泡発生ノズルの前記細開口板の下流側に液密的且つ気密的に前記被洗浄配管が接続され、
前記洗浄液供給配管により供給される洗浄液を前記微細気泡発生ノズルを流通させて微細気泡混合洗浄液とし、該微細気泡混合洗浄液を前記被洗浄配管内を流通させて該被洗浄配管内部を洗浄することを特徴とする被洗浄配管洗浄装置。
【請求項2】
前記ガス供給路は、加圧した洗浄液を供給する前記洗浄液供給配管の中間部の流路に連通されたことを特徴とする請求項1に記載の被洗浄配管洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄液供給配管の上流側に加圧した洗浄液を送る送液ポンプが設けられ、前記ガス供給路は、前記送液ポンプの吸引側の流路に連通されたことを特徴とする請求項1に記載の被洗浄配管洗浄装置。
【請求項4】
前記流路絞り部内を流通する洗浄液の平均流速が8m/sec以上に設定されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の被洗浄配管洗浄装置。
【請求項5】
前記細開口板に設けられた孔またはスリットの開口総面積が前記流路絞り部の内径断面積の2倍以上で且つ前記細開口板の孔の径或いは前記細開口板のスリットの幅が前記流路絞り部の内径の1/2以下に設定され、前記細開口板に設けられた孔またはスリットが略均一な離間間隔で配置されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の被洗浄配管洗浄装置。
【請求項6】
前記被洗浄配管は、飲料供給装置の飲料供給配管か、もしくはスプレー式塗装ガン、或いは塗料供給配管であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の被洗浄配管洗浄装置。
【請求項7】
被洗浄配管内部を洗浄する方法であって、
洗浄液供給配管から供給される加圧洗浄液を該洗浄液供給配管の下流端部に設けられる導入部の内径よりも小さい内径を有する流路絞り部を流通させて所定の流速に加速すると共に、その洗浄液にガスを混合して微細気泡混合洗浄液とし、
更に前記微細気泡混合洗浄液を前記流路絞り部の内径よりも大きい内径を有する拡径部に開放して該微細気泡混合洗浄液の流速を減速すると共に、該洗浄液内の微細気泡を均一に拡散し、
更に前記微細気泡混合洗浄液を所定の径の孔または所定の幅のスリットが所定の数だけ設けられた細開口板の細開口内を流通させて再度、前記微細気泡混合洗浄液の流速を加速すると共に、該洗浄液内の微細気泡を均一に拡散した後、該微細気泡混合洗浄液を前記被洗浄配管内に流通させて該被洗浄配管内部を洗浄することを特徴とする被洗浄配管洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−172786(P2010−172786A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15040(P2009−15040)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(505254913)株式会社NSI (5)
【出願人】(510014814)株式会社ビーエルダイナミクス (2)
【Fターム(参考)】