説明

被覆されたコロイド物質

被覆されたコロイド物質、被覆されたコロイド物質を作製する方法、および被覆されたコロイド物質を用いる方法が開示される。本方法は、コアの光学特性に悪影響を与えない被覆されたコロイド物質を生み出す。被覆されたコロイド物質は、膜、層、または構造中に自己組織化され、検出アッセイを通じて検体の検出に用いることができる。一実施形態において、(a)不活性化表面を有するコロイド物質、および(b)シリカまたはチタニアのうち少なくとも1つを該不活性化表面上に含むコーティング、を含む被覆されたコロイド物質が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2007年7月24日に出願された米国仮特許出願第60/951,620号の利益を主張し、この米国仮特許出願の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(政府の権利の陳述)
本発明は、海軍研究所(Office of Naval Research)助成金番号N00014−06−1−0079および国立科学財団助成金番号DMR−0520513の下、政府の支援により成された。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
(発明の背景)
(開示分野)
本開示は、一般に被覆されたコロイド物質に関し、より具体的にはシリカ被覆銀または金ナノプリズムのようなシリカ被覆遷移金属ナノ結晶に関する。
【背景技術】
【0004】
(関連技術の簡単な説明)
金属ナノ粒子は、触媒、光学機器、およびバイオセンシング分野における応用の可能性故に、これまで数十年間大きな注目を集めてきた。金および銀のナノ構造は、サイズおよび形状に依存する独特の光学的特性のために特に興味深い。特に、三角形の銀ナノプリズムは、構造に依存する高度に調節可能な光学的特性を示す。これらの構造は同じく、特に銀原子が容易に酸化しやすい先端およびエッジにおいて極めて高い表面エネルギーを有する。残念ながら、この酸化によってプリズム先端の平面化ないし完全な消滅のいずれかが生じ、付随する表面プラズモン共鳴(SPR:surface plasmon resonance)帯のシフトまたは完全な喪失を招く。そのため、ナノ粒子の酸化を防ぐべく方法が研究されてきた。
【0005】
ナノ粒子の酸化を防ぐために試みられた1つの方法は、ナノ粒子をシリカのシェルに包み込むことである。これらのシェルは、1)可視およびIRスペクトル域において透明である、2)様々な溶媒中で化学的に不活性である、3)開発の進んだシランカップリング化学反応を用いて官能基化が可能であるために有用である。それ故に、コアシェル・ナノ構造は、金属コアの光学的特徴を維持する一方で、シリカシェルの望ましい化学的および物理的特性を獲得することとなろう。
【0006】
最近、金属ナノ結晶をシリカシェルで被覆するために、Stoeber法が適用された。例えば、非特許文献1を参照。このゾルゲル・プロセスは、典型的にアンモニアにより触媒されるテトラエトキシシランのような分子の加水分解および縮合を必要とする。しかしながら、アンモニアは、銀ナノ粒子のエッチングおよび凝集を誘発する故に、この方法を直接に銀ナノ粒子の被覆に適用することは問題を呈することになる。
【0007】
この問題を解決するために、Kobayashiらは、ジメチルアミン(DMA:dimethylamine)を(0.4Mおよび0.8Mの間の濃度で)用いて銀ナノ粒子上におけるシリカシェルの成長を触媒させた。非特許文献2を参照。これらの研究者はアンモニアではなくDMAを用い、銀ナノ粒子のコアの直径を減少させることなく容易にシリカシェルが形成できることを示した。しかしながら、DMAは0.4M溶液でさえ銀ナノプリズムの著しいエッチングおよび凝集が生じるため、Kobayashiの方法は銀ナノプリズムには適用できない。
【0008】
それ故に、被覆プロセスによってナノ粒子のサイズおよび形状が維持される被覆されたナノ粒子の調製に対するニーズが存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Alsanら,J.Am.Chem.Soc.129:1524(2007)
【非特許文献2】Kobayashiら,J.Colloid.Interf.Sci.282:392(2005)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
被覆されたコロイド物質、被覆されたコロイド物質の作製方法、および被覆されたコロイド物質の使用方法が本明細書に開示される。
【0011】
したがって、一実施形態において、(a)不活性化表面を有するコロイド物質、および(b)シリカまたはチタニアのうち少なくとも1つを該不活性化表面上に含むコーティング、を含む被覆されたコロイド物質が開示される。また別の実施形態において、コロイド物質、表面不活性化剤、およびコーティング剤を随意的な触媒の存在下において混合する工程を含む方法によって調製される被覆されたコロイド物質が開示される。
【0012】
コロイド物質はナノ結晶、或いはより具体的にナノプリズムであり得る。いくつかの場合に、コロイド物質は金または銀のような遷移金属を含む。
【0013】
様々な場合に、表面不活性化剤は、ハロ、アルコキシ、カルボン酸、エステル、チオール、セレン化物、アミン、アミド、ホスフェート、ホスファイト、ホスホネート、アルケン、アルキン、シラン、シロキサン、ボラン、およびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する。いくつかの場合に、表面不活性化剤はチオールを含む。チオールは、さらに第2の官能基を含むことができる。第2の官能基は、ハロ、アルコキシ、カルボン酸、エステル、チオール、セレン化物、アミン、アミド、ホスフェート、ホスファイト、ホスホネート、アルケン、アルキン、シラン、シロキサン、またはボランとすることができる。ある特定の場合に、表面不活性化剤は16−メルカプトヘキサデカン酸である。
【0014】
コーティング剤は、シリカ、チタニア、またはその組み合わせとすることができる。シリカは、アルコキシシランのようなシランに由来することができる。いくつかの場合に、シランはテトラエトキシシランである。チタニアはチタンアルコキシドに由来することができる。
【0015】
随意的な触媒は、アミンとすることができる。いくつかの実施形態において、アミンはアルキルアミン、アリールアミン、またはその混合物である。いくつかの場合に、アミンはジメチルアミンである。
【0016】
本明細書に開示の被覆された物質は、コーティング上に官能化剤をさらに含むことができる。官能化剤は、ハロ、アルコキシ、カルボン酸、エステル、チオール、セレン化物、アミン、アミド、ホスフェート、ホスファイト、ホスホネート、アルケン、アルキン、シラン、シロキサン、ボラン、またはその混合物から選択される少なくとも1つの官能基を有することができる。様々な場合に、官能化剤は、デシル(トリメトキシ)シラン、デシル(トリエトキシ)シラン、ドデシル(トリエトキシ)シラン、ヘキサデシル(トリメトキシ)シラン、オクタデシル(トリメトキシ)シラン、またはその混合物とすることができる。いくつかの実施形態において、官能化剤は第2の官能基を含む。かかる場合に、第2の官能基は第1の官能基と同じであるか、或いは異なってもよい。第2の官能基を有する具体的な官能化剤は、3−アミノプロピル(トリメトキシ)シランである。考慮される他の官能化剤は、バイオマテリアル、例えばオリゴヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、ペプチド、抗がん剤、ポリヌクレオチド結合剤、炭水化物、脂質、細胞表面レセプター結合剤、およびその混合物などを含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示の被覆されたコロイド物質は、ラングミュア・ブロジェット技術を用いて単層を形成することができ、シリカウェーハのような基板上に堆積することができる。
【0018】
本開示の被覆されたコロイド物質は、検体を検出するために用いることができる。本方法は、検体と被覆されたコロイド物質との相互作用を十分に可能にする条件下において、サンプルを本明細書に開示の被覆されたコロイド物質と接触させること、および相互作用を検出することであって、検体と被覆されたコロイド物質との相互作用が検出事象を生じる、検出する工程を含む。検出事象は、測定可能な変化を生じる任意の事象であってよい。被覆されたコロイド物質がオリゴヌクレオチド官能化剤を含み、検体が相補的なオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド結合剤である場合、検出事象は融解温度の変化である。
【0019】
被覆されたコロイド物質を調製する本開示の方法は、コロイド物質のサイズ、形状、或いは物理的/化学的特性に悪影響を与えない。先行技術がシリカ被覆されたコロイド物質の調製方法を開示したが、しかしそれらの方法はエッチングまたは他の反応を通じてコロイド物質のサイズ、形状、および他の特性に悪影響を与えた。本発明に拠れば、コロイド物質への害または悪影響なしにコロイド物質を被覆することができる。
【0020】
本発明の付加的な特徴は、次の詳細な記載を図、実施例、および添付された請求項と併せて吟味することで当業者に明らかになりうる。
【0021】
開示をより完全に理解するために、次の詳細な記載、および以下の添付図を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】銀ナノプリズムおよびシリカ被覆銀ナノプリズムの透過電子顕微鏡像を示す。この図はシリカ被覆の厚さのばらつきを示す。
【図2】検体/DNA官能基化シリカ被覆コロイド物質を710nmでモニターした熱変性曲線を示す。
【図3】急峻な協同的融解転移を説明する融解転移の第1微分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(発明の詳細な説明)
本開示の比較研究は、実施形態を様々な様式で含むが、本明細書に記載かつ図示される具体的な実施形態に本発明を限定する意図はもたない。
【0024】
被覆されたコロイド物質が本明細書に開示される。これらの被覆されたコロイド物質は、結晶性コロイド物質、およびコーティング、例えばシリカまたはチタニアを一般に含む。いくつかの実施形態において、結晶性コロイド物質は、遷移金属、例えば銀または金のナノ結晶である。被覆されたコロイド物質を作製する本開示の方法において、コロイド物質は、コーティングを適用する前のコロイド物質と同じモフォロジーをもつ。その結果として、ナノ結晶の形状、サイズ、または物理的/化学的特性、例えば光学的特性への有害な影響なしに、遷移金属のナノ結晶にシリカまたはチタニアを被覆することができる。この方法により、ナノ結晶の他の望ましい特性にも悪影響を与えることなく、ナノ結晶の物理的および化学的特性を制御することが可能になる。
【0025】
コロイド物質は分散性の個別粒子であり、結晶性とすることができる。いくつかの実施形態において、コロイド物質はシリカまたはチタニアとすることができる。様々な実施形態において、コロイド物質は結晶性遷移金属コロイドを含み、好ましくは遷移金属ナノ結晶である。
【0026】
ナノ結晶を製造する最新の方法は、様々なサイズおよび形状をもつナノ結晶をつくり出す。好ましくは、結晶性コロイド物質の(X、Y、Z座標軸における)少なくとも2次元がナノメートル域にあり、形状は制限されない。結晶性コロイド物質の形状は、例えば、ロッド、立方体、切頂立方体、立方8面体、切頂8面体、8面体的、ピラミッド、プリズム、球および/またはワイヤーであってもよいと。好ましくは、結晶性コロイド物質は、立方体、切頂立方体、8面体、切頂8面体またはプリズム形状のナノ結晶である。なおさらに好ましくは、ナノ結晶はプリズムである。本明細書に用いるコロイド物質は、ナノ結晶の寸法によって制限されない。
【0027】
コーティングを形成するために必要な条件に馴染むすべての結晶性遷移金属コロイドが考慮される。本文脈において「コーティング」は、コロイド物質の少なくとも1部分を覆うことができる物質である。いくつかの場合に、このコーティングは、シリカ、チタニア、または両方によるコーティングである。例えば、シリカおよび/またはチタニアの使用材料純度、製造方法、ドーパントまたは他元素の含有、および/または結晶形に応じて、付加的な成分または調合物をコーティングに含めることができる。
【0028】
適用可能な結晶性コロイド物質は、絶縁体、半導体、および導体を含む。半導体は、p型およびn型物質を含むことができる。結晶性コロイド物質は、さらにドープされた絶縁体、ドープされた半導体、およびドープされた導体を含むことができる。さらに、結晶性コロイド物質は、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および主族元素を含むことができる。結晶性コロイド物質は、ランタニドおよびアクチノイド元素も含むことができる。本明細書に含まれる遷移金属コロイドは、純粋な遷移金属コロイド、すなわち、単一の遷移金属および/または遷移金属合金だけを含むコロイドであって、該遷移金属合金は、少なくとも1つの遷移金属および少なくとも1つの付加的な元素をもつ。本明細書において、遷移金属は、具体的に第8、9、10、11、および12族の金属を含む。より具体的に遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、イリジウム、白金、および金を含む。好ましくは、遷移金属は、銀または金を含む。
【0029】
本明細書では、コロイド物質は、コーティングを適用する前、或いは同時に不活性化される。典型的に、コロイド物質は、表面不活性化剤を用いて不活性化される。表面不活性化剤の非限定の例は、コロイド物質の表面上に単分子層、二分子層および多分子層を形成することができる化学物質を含む。例として、表面不活性化剤は、コロイド物質との共有結合性、イオン性、ファンデルワールス、または他の化学的または静電的相互作用によって、コロイド物質の表面上に単分子層を形成する化学物質とすることができる。一例において、表面不活性化剤は、コロイド物質と化学結合を形成する。表面不活性化剤は、1つまたはそれ以上の官能基、例えば、ハロ、アルコキシ、カルボン酸、エステル、チオール、アルキルセレニド、アミン、アミド、ホスフェート、ホスファイト、ホスホネート、アルケン、アルキン、シラン、シロキサン、および/またはボラン官能基などを含むことができる。
【0030】
好ましい一実施形態において、表面不活性化剤は、チオール官能基を含む。チオール官能性を含む表面不活性化剤の非限定の例は、有機チオール、例えば、直鎖アルカンチオール類、分岐アルカンチオール類、シクロアルカンチオール類、アリールアルカンチオール類およびアリールチオール類を含む。チオール類は、化学式または化学名のいずれかによって記述することができる。例えば、C17SHおよびオクタンチオールは同義語である。アルカンチオール類は、Rが約6から約24までの炭素原子を有するアルキル基である、R−SHの一般式を有する化学物質を含む。
【0031】
また別の実施形態において、表面不活性化剤は、コロイド物質上に二分子層を形成する2成分系である。二分子層は、例として、化学物質間のファンデルワールス、芳香族、イオン性、および共有結合性相互作用によって形成できる。二分子層の表面不活性化コロイド物質は、コロイド物質を第1の表面不活性化剤および第2の表面不活性化剤と混合することによって作製することができる。第2の表面不活性化剤は、同じ表面不活性化剤、或いは異なった不活性化剤であってもよい。さらに、複数の化学的に異なった第2の表面不活性化剤をコロイド物質に加えることもできる。非限定の例として、第1の表面不活性化剤は、アルカンチオール、例えばドデカンチオールとすることができ、第2の表面不活性化剤は、アルカンカルボン酸、例えばドデカン酸とすることができる。理論によって束縛されることなしに、ドデカンチオールがコロイド物質と相互作用し、かつドデカン酸が疎水性またはファンデルワールス相互作用を通じて、ドデカンチオールの直鎖アルキル官能性と相互作用したときに二分子層の表面不活性化コロイド物質が形成される。
【0032】
好ましくは、表面不活性化剤は、第1の官能基および第2の官能基を含む単一成分系である。より好ましくは、2つの官能基は化学的に異なっている。2つの化学的に異なった官能基を含む表面不活性化剤の非限定の例は、第1のチオール官能基、例えば、飽和または不飽和アルカンチオール類、分岐アルカンチオール類、シクロアルカンチオール類、アリールアルカンチオール類、およびアリールチオール類、並びにチオールではない第2の官能基を有する化合物である。好ましくは、飽和または不飽和アルカンチオール類、分岐アルカンチオール類、シクロアルカンチオール類、アリールアルカンチオール類、およびアリールチオール類は、約6から約24の炭素原子をもつ。2つの官能基を有する不活性化剤の非限定の例は、第1の官能基がチオールであり、第2の官能基がハロ、ヒドロキシル、カルボン酸、エステル、ケトン、セレン化物、アミン、アミド、ホスフェート、ホスファイト、ホスホネート、シラン、シロキサン、またはボランである化合物を含む。好ましい不活性化剤の1つの種類は、チオールカルボン酸類である。好ましいチオールカルボン酸の非限定の一例は、16−メルカプトヘキサデカン酸である。好ましい表面不活性化剤の2番目の種類は、チオールシロキサン、例えば欧州特許第0491622号に記載されたものである。好ましいチオールシロキサンの一例は、12−メルカプトドデシル(トリエトキシ)シランである。
【0033】
本発明の別の様態は、コロイド物質をコーティング剤と混合することである。本明細書では、「コーティング剤」は、コロイド物質のコーティングへの化学的前駆体を意味する。本明細書を通じて、他に指定がなければ、コーティングそれ自身を指すために交互的にコーティング剤前駆体を用いることがありうる。一実施形態において、コーティング剤は、シリカコーティングへのシリコン含有前駆体であるシランである。かくして、例えば、コーティングがシリカであるとき、コーティング剤は典型的にシラン前駆体である。コーティングとしてのシランへの言及は、実際のコーティングとしてのシリカへの言及を包含する。表面不活性化剤を添加する前、後、または同時に、コーティング剤をコロイド物質と混合することができることは、当業者に理解されうる。
【0034】
好ましい一実施形態において、シランコーティング剤はオルトシリカート、例えば、アルキオキシシランとも呼ばれるアルキルオルトシリカートである。(テトラ(アルコキシ)シラン類としても知られる)テトラアルキルオルトシリカート類が特に考慮されるが、アルキル(アルコキシ)基は同じでも異なってもよい。テトラアルキルオルトシリカートの非限定の例は、(テトラメトキシシランとしても知られる)テトラメチルオルトシリカート、テトラエチルオルトシリカート(TEOS:tetraethoxysilane)、テトラプロピルオルトシリカート、およびテトラブチルオルトシリカートを含む。
【0035】
また別の実施形態において、コーティング剤はチタニアである。「チタニア」は、チタニアコーティングへの任意のチタン含有前駆体を指す。表面不活性化剤を添加する前、後、または同時にチタニアをコロイド物質と混合することができることは、当業者によって理解されうる。好ましい一実施形態において、チチアニアはチタンアルコキシドとすることができる。チタンアルコキシドは、チタニウムイソプロポキシド、チタニウムメトキシドおよびチタンエトキシドを含む。
【0036】
被覆されたコロイド物質は、随意的な触媒を用いて調製することができる。典型的に、触媒は縮合触媒である。縮合触媒は、コロイド物質のコーティング形成を促進する化学物質である。シリケートの縮合触媒は、限定されることなしに、アルキルアミン類またはアリールアミン類のようなアミン類を含む。アルキルアミン類は、C1〜8アルキルアミン類、(C1〜8アルキル)アミン類、および(C1〜8アルキル)アミン類を含む。一実施形態において、触媒はジメチルアミンを含む。付加的なシリカ縮合触媒は当業者によく知られている。
【0037】
本明細書に開示の被覆されたコロイド物質の光学的性質は、被覆されないコロイド物質の光学的特性と区別可能である。コロイド物質が表面不活性化剤と混合されたとき、コロイド物質の光学的スペクトルにシフトが観測された。加えて、コロイド物質が被覆されたとき、コロイド物質の光学的スペクトルにシフトが観察された。ある特定の実施形態において、表面不活性化剤が添加された時点で、銀ナノプリズムの光学的スペクトルが赤い方へシフトし、さらにシリカコーティング銀ナノプリズムが形成された時点で、光学スペクトルが赤い方へシフトした。
【0038】
コロイド物質のコーティングの厚さは、任意の所望の厚さとすることができるが、好ましくは、約1nmから約100nmまでである。さらに、コロイド物質のコーティングの厚さは、約5nm、約10nm、約15nm、約20nm、約25nm、約30nm、約35nm、約40nm、約45nm、約50nm、約55nm、約60nm、約65nm、約70nm、約75nm、約80nm、約90nm、約95nm、および約100nmとすることができる。図1は、約15、約30、および約45nmのシリカ被覆厚をもつシリカ被覆銀ナノ結晶のいくつかの例を示す。
【0039】
いくつかの実施形態において、被覆されたコロイド物質は、コーティング上に存在する官能化剤の層をさらに含む。理論によって束縛されることなしに、官能化剤が、イオン性、共有結合性、および/または静電的相互作用を通じて被覆されたコロイド物質に結合することが提案される。好ましい一実施形態において、官能化剤は、被覆されたコロイド物質の表面にイオン結合または共有結合により化学結合することができる少なくとも1つの官能性を含む。好ましくは、官能性は、カルボン酸またはシロキサンとすることができる。官能化剤であるシロキサンの非限定の例は、アルキル(トリアルコキシ)シラン類およびアリール(トリアルコキシ)シラン類を含む。アルキル(トリアルコキシ)シラン類の具体的な例は、RSi(OR’)の一般的な化学式をもつシロキサン官能化剤であって、Rが約3から約24までの炭素原子をもち、かつR’が約1から約6までの炭素原子をもつ官能化剤を含む。非限定の例は、デシル(トリエトキシ)シラン、ドデシル(トリエトキシ)シラン、ヘキサデシル(トリメトキシ)シラン、およびオクタデシル(トリメトキシ)シランを含む。
【0040】
様々な実施形態において、官能化剤は、1つより多い官能基を有することができる。官能基は、同じであっても或いは異なってもよい。第1の官能基は、好ましくはカルボン酸またはシロキサンである。第2の官能基は、好ましくはハロ、アルコキシ、ケトン、エステル、カルボン酸、シロキサン、アミン、アミド、ホスフェート、ホスファイト、ホスホネートである。2つの異なった官能性をもつ官能化剤の例は、限定されることなしに、メルカプトアルキル(トリアルコキシ)シラン類、アミノアルキル(トリアルコキシ)シラン類、メルカプトアリール(トリアルコキシ)シラン類、アミノアリール(トリアルコキシ)シラン類、およびアミノアルカン酸類を含む。官能化剤のいくつかの具体的な例は、アミノ酸、各アルキルまたはアルコキシ基が約1から約24炭素までをもつアミノアルキル(トリアルコキシ)シラン類;および各アルキルまたはアルコキシ基が約1から約24炭素までをもつメルカプトアルキル(トリアルコキシ)シラン類を含む。1つの好ましい官能化剤は、3−アミノプロピル(トリメトキシ)シランである。
【0041】
さらに本発明のまた別の様態は、秩序化されたコロイド物質である。秩序化された物質とは、被覆されたコロイド物質の自己組織化または系統化された層および構造を指す。自己組織化された層および構造とは、予め存在した成分の無秩序系が、成分自らの間の特異的かつ局所的な相互作用の結果として、外部からの方向付けなしに系統化された構造またはパターンを形成する、そのような層および構造のことである。所望の化学的/物理的特性のために官能化剤を予め選択することによって、この相互作用を制御することができる。さらに、被覆されたコロイド物質が、層および構造の調製に使用できる技術に適応できるように、物理的特性を予め選択することができる。例えば、コーティング剤としてオクタデシル(トリメトキシ)シランを選択すると、非極性溶媒に可溶であってかなり疎水性か、或いは水に不溶のオクタデシル被覆コロイド物質を生じることができる。その上に、オクタデシル被覆コロイド物質は、ラングミュア・ブロジェット技術により単層として基板上に堆積させることができる。本明細書に明示されるように、ラングミュア・ブロジェット技術は、シリコンウェーハのような基板上に物質の単層を堆積させる方法であって、物質が不溶な液体の表面上に物質の膜を形成すること、および膜および液体の表面を通して基板を移動させる工程を含む方法である。加えて、ラングミュア・ブロジェット技術は、被覆されたコロイド物質の、或いはコロイド物質、他の物質、および/またはラングミュア・ブロジェット技術に馴染む物質の組み合わせの多層を形成するために用いることができ、ここで他の物質(単数)または物質(複数)は、被覆されたコロイド物質とすることができる。系統化された物質を調製および形成する付加的な様態を当業者は容易に利用することができる。
【0042】
さらにまた別の実施形態において、官能化剤は、バイオマテリアルであってもよく、結果として生じる官能基化されたコロイド物質は、付着したバイオマテリアルを有する。例として、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、または他の生体分子を、被覆コロイド物質に、官能基化された被覆コロイド物質に、またはコロイド物質と混合物をつくる前の官能化剤に直接に付着させることができる。ナノ粒子へのオリゴヌクレオチド付着の開示について本明細書に組み込まれる国際特許公開第2006/138145号を参照。本明細書では、バイオマテリアルは、自然発生および合成のバイオマテリアルを指し、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、小分子、炭水化物、脂質、ポリヌクレオチドおよび/またはオリゴヌクレオチドとすることができる。
【0043】
バイオマテリアルは、一様態において、特定の細胞タイプおよび/または器官、並びに細胞内位置への官能基化されたコロイド物質の送達に有用である。従って、バイオマテリアルは、限定なしに、例えば、SV40Large T NLS、HIV−1 TATタンパク質NLS、アデノウイルスNLS、インテグリン結合領域、オリゴリジンを含む核局在化シグナル(NLS:nuclear localization signal)およびペプチド導入ドメイン(これらの各々は、Tkachenkoら,Bioconjugate Chem.(2004)15:482−490に記載される)、並びにNLSおよびレセプター介在性エンドサイトーシス(RME:receptor−mediated endocytosis)領域の両方を含むアデノウイルス線維タンパク質(Tkachenkoら,J.Am.Chem.Soc.(2003)125:4700−4701)を含む。
【0044】
被覆されたコロイド物質に付着できるオリゴヌクレオチドは、一様態において、標的ポリヌクレオチドから発現する遺伝子産物の発現を調節するものを含む。オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドの特徴の開示について本明細書に組み込まれる国際特許公開第2006/138145号を参照。従って、標的ポリヌクレオチドとハイブリダイズして翻訳を抑制するアンチセンス・オリゴヌクレオチド、標的ポリヌクレオチドとハイブリダイズしてRNA分解酵素(例えばRNA分解酵素H)が活性化するきっかけを与えるsiRNAオリゴヌクレオチド、2本鎖ポリヌクレオチドとハイブリダイズして転写を抑制する三重らせん形成オリゴヌクレオチド、および標的ポリヌクレオチドとハイブリダイズして翻訳を抑制するリボザイムが、被覆されたコロイド物質に付着できる。
【0045】
バイオマテリアルで官能基化された被覆コロイド物質は、治療および/または診断に応用することができる。応用は、治療法および/またはアンチセンス・オリゴヌクレオチドのスクリーニング並びに特定;三重鎖DNAの診断スクリーニング、検出アッセイ、および形成を含む。
【0046】
本発明のさらに別の様態において、被覆されたコロイド物質は、バイオバーコード・アッセイのような検出アッセイに用いることができる。米国特許第7,323,309号;第6,974,669号;第6,750,016号;第6,268,222号;第5,512,439号;第5,104,791号;第4,672,040号;および第4,177,253号;米国特許出願公開第2001/0031469号;第2002/0146745号;および第2004/0209376号;並びに国際特許公開第05/003394号を参照。これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。検出アッセイの非限定の例は、immuno−PCR法、酵素結合免疫吸着測定法、ウエスタンブロット法、間接蛍光抗体テスト、溶解度における変化、吸光度における変化、導電率における変化、およびラマンまたは赤外分光法における変化を含む。(例えば、Butler,J.Immunoassay,21(2&3):165−209(2000);Herbrinkら,Tech.Diagn.Pathol.2:1−19(1992);並びに米国特許第5,635,602号および第5,665,539号、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0047】
一様態において、検出アッセイは、サンプルにおける検体または標的と、被覆されたコロイド物質との相互作用であって、検出可能な変化すなわち検出事象を生じる相互作用を必要とする。検出事象は、検体および/または官能基化された被覆コロイド物質における蛍光、吸光度、ラマン散乱、電気的特性、光散乱、溶解度、融点、協同的融解転移、或いは他の物理的または化学的特性の変化であって、当業者が利用できる手段によって検出が可能な変化とすることができる。例えば、協同的融解転移に対応する吸光度検出事象を示す図2および3を参照。しばしば検出事象は、相互作用、例えば検体と官能基化された被覆コロイド物質との対合または結合を示唆する。従って、知られている検出事象が、検体の構造および組成を分析する方法を提供することになる。
【実施例】
【0048】
次の実施例は、本発明を説明するために提示されるが、その範囲を限定する意図はもたない。30mMクエン酸ナトリウム溶液1mLおよび20mM硝酸銀溶液0.5mLを水95mL中で混合することによって調製した、冷たい水溶液に50ミリモル(mM)水素化ホウ素ナトリウム水溶液1ミリリットル(mL)を加えることによって、シリカ被覆銀ナノプリズムを調製した。15分にわって2分毎に、この溶液に50mM水素化ホウ素ナトリウム溶液を5〜6滴加えた。次に、水素化ホウ素ナトリウム溶液1mLおよび5mMビス(p−スルフォナトフェニル)フェニルホスフィン2水和物二カリウム溶液1mLを滴下により加えた。結果として生じた溶液を5時間攪拌し、次に4℃で12時間静かに放置した。溶液のpHを11に調整し、光学帯域フィルター(中心波長が550±20nm)を取り付けた150ワットのハロゲンランプを用いて溶液に4時間照射した。遠心分離によって固体を収集し、次に0.3mMクエン酸ナトリウム溶液に再分散させた。このクエン酸ナトリウム溶液に、16−メルカプトヘキサデカン酸の濃度が20μMに達するまで、16−メルカプトヘキサデカン酸のエタノール溶液を加えた。次に、遠心分離によって固体を収集し、テトラエトキシシランおよびエタノールの溶液に懸濁させた。(例えば0.5mMから0.75mMさらに1mMまで)テトラエトキシシランの濃度を変えること、次にジメチルアミンの水溶液(20重量%)を0.6Mの最終濃度まで加えることによって、様々なシリカ被覆厚をもつシリカ被覆銀ナノプリズムが得られた。図1を参照。
【0049】
官能基化されたシリカ被覆銀ナノプリズム
次に、シリカ被覆銀ナノプリズムに、オクタデシル(トリメトキシ)シランの10mMエタノール溶液を、オクタデシル(トリメトキシ)シランが最終濃度0.5mMに達するまで加えることによって、シリカ被覆銀ナノプリズムをオクタデシル(トリメトキシ)シランで官能基化した。
【0050】
これらの官能基化されたシリカ被覆銀ナノプリズムを、次にラングミュア・ブロジェット技術によって、組織化された単層としてシリコンウェーハ上に堆積させた。官能基化されたシリカ被覆銀ナノプリズムを、0.01ミリグラム/mLのポリビニルピロリドン(MW約55,000)をクロロホルム中に含む溶液中に分散させた。この分散液を次にポリビニルピロリドンの水溶液(3.5mg/L)に添加した。クロロホルムを蒸発させて、残ったナノプリズムを圧縮し、ナノプリズムを通してシリコンウェーハを移動させて、官能基化されたシリカ被覆銀ナノプリズムの単層をシリコンウェーハ上に生じさせた。
【0051】
代わりの方法では、次にシリカ被覆銀ナノプリズムに2重量%の3−アミノプロピルトリメトキシシランを添加することによって、ナノプリズムを3−アミノプロピルトリメトキシシランで官能基化した。これらのプリズムは、サクシンイミジル 4−[p−マレイミドフェニル]ブチラート(SMPB:succinimidyl 4−[p−maleimidophenyl]butyrate)/ジメチルスルホキシド(DMSO:dimethyl sulfoxide)溶液(1mL,10mM)中に再懸濁する前に、順次エタノールで2回、次に無水DMSOで2回洗浄した。次に懸濁液を無水DMSO(1mL)を用いて3回、およびカップリング緩衝液(0.1Mりん酸ナトリウム緩衝液、0.2M NaCl,pH7.0)を用いて2回洗浄した。
【0052】
3−アミノプロピルトリメトキシシランで官能基化されたシリカ被覆銀ナノプリズムを分割し、3’SH−A10−CCTAAT AAC AAT TTA(配列番号:1)の式をもつDNAフラグメント、および5’SH−A10−ATC CTT ATC AAT(配列番号:2)の式をもつDNAフラグメントの10μM溶液で別々に処理した。DNAで官能基化されたこれらのナノプリズムを、次に0.15Mりん酸ナトリウム緩衝液および0.15M NaClの混合液、pH8.0で洗浄した。最終的に、DNAで官能基化されたナノプリズムをスルフォNHSアセテート(sulfo−NHS acetate)(1mL,10mM)に懸濁させ、10mMりん酸ナトリウム緩衝液および0.2M NaClの溶液中においてpH7.4で洗浄し、次に懸濁させた。次にDNAで官能基化されたナノプリズムを相補的なオリゴヌクレオチドと1:1の比率で混合し、そこに5’CGATTA TTG TTA AAT ATT GAT AAG GAT 3’(配列番号:3)10pmolを添加して、連結ハイブリダイズされたナノプリズムを生じさせた。(相補的なオリゴヌクレオチドとは、官能基化されたコロイド物質に付着したオリゴヌクレオチドと、検出アッセイに適用可能な削減を形成するのに十分な核酸塩基削減を有するオリゴヌクレオチドである)。連結ハイブリダイズされたナノプリズムは、検出アッセイに適用しうる急峻な協同的融解転移を有する。図2および3を参照。
【0053】
以上の記載は理解を明確にするために行ったものに過ぎず、本発明の範囲内の変更は当業者に明らかでありうるので、不必要な限定をそこから解釈すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)不活性化表面を有するコロイド物質、および(b)該不活性化表面上にシリケートまたはチタニアのうちの少なくとも1つを含むコーティングを含む被覆されたコロイド物質。
【請求項2】
コロイド物質、表面不活性化剤、およびコーティング剤を随意的な触媒の存在下において混合すること、
を含む方法によって調製される被覆されたコロイド物質。
【請求項3】
前記コロイド物質はナノ結晶を含む、請求項1または2に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項4】
前記コロイド物質はナノプリズムを含む、請求項3に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項5】
前記コロイド物質は遷移金属を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項6】
前記遷移金属は金または銀を含む、請求項5に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項7】
前記表面不活性化剤は、ハロ、アルコキシ、カルボン酸、エステル、チオール、セレン化物、アミン、アミド、ホスフェート、ホスファイト、ホスホネート、アルケン、アルキン、シラン、シロキサン、ボラン、およびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する、請求項2〜7のうちいずれか1つに記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項8】
前記表面不活性化剤はチオールを含む、請求項7に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項9】
前記チオールは第2の官能基を含む、請求項8に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項10】
前記第2の官能基はカルボン酸である、請求項9に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項11】
表面不活性化剤は16−メルカプトヘキサデカン酸である、請求項10に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項12】
前記コーティング剤はシラン、チタンまたはその混合物を含む、請求項2〜11のいずれか1項に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項13】
前記シランはアルコキシシランを含む、請求項12に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項14】
前記シランはテトラエトキシシランを含む、請求項13に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項15】
前記コーティング剤はチタンアルコキシドを含む、請求項12に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項16】
前記触媒はアミンを含む、請求項2〜15のうちいずれか1つに記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項17】
前記アミンはアルキルアミン、アリールアミン、またはその混合物である、請求項16に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項18】
前記アミンはジメチルアミンである、請求項16または17に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項19】
前記コーティング上に官能化剤をさらに含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項20】
前記官能化剤は、少なくとも1つの官能基を含み、第1の官能基は、ハロ、アルコキシ、カルボン酸、エステル、チオール、セレン化物、アミン、アミド、ホスフェート、ホスファイト、ホスホネート、アルケン、アルキン、シラン、シロキサン、ボラン、およびその混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項21】
前記官能化剤は、デシル(トリメトキシ)シラン、デシル(トリエトキシ)シラン、ドデシル(トリエトキシ)シラン、ヘキサデシル(トリメトキシ)シラン、オクタデシル(トリメトキシ)シラン、およびその混合物からなる群から選択される、請求項20に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項22】
前記官能化剤は第2の官能基を含む、請求項20に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項23】
前記第1の官能基はシランまたはシロキサンを含み、前記第2の官能基はアミンを含む、請求項22に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項24】
前記官能化剤は3−アミノプロピル(トリメトキシ)シランである、請求項23に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項25】
前記官能化剤はバイオマテリアルを含む、請求項19に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項26】
前記バイオマテリアルは、オリゴヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、ペプチド、抗がん剤、ポリヌクレオチド結合剤、炭水化物、脂質、細胞表面レセプター結合剤、およびその混合物からなる群から選択される、請求項25に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項27】
前記バイオマテリアルはオリゴヌクレオチドを含む、請求項25に記載の被覆されたコロイド物質。
【請求項28】
請求項1〜27のうちいずれか1項に記載の被覆されたコロイド物質の単層を含む秩序化された物質であって、該被覆されたコロイド物質は、ラングミュア・ブロジェット技術によって基板上に堆積される、秩序化された物質。
【請求項29】
被覆されたコロイド物質の調製方法であって、該方法は、該被覆されたコロイド物質を形成するために、コロイド物質、表面不活性化剤、およびコーティング剤を、随意的な触媒の存在下において混合する工程を含む、方法。
【請求項30】
サンプルにおける検体の検出方法であって、
該検体と請求項1〜28のいずれか1つに記載の被覆されたコロイド物質との相互作用を十分可能にする条件下において、該サンプルを該被覆されたコロイド物質と接触させる工程、および
該相互作用を検出する工程であって、該検体と該被覆されたコロイド物質との相互作用が検出事象を生じる、工程
を含む、方法。
【請求項31】
前記官能化剤はオリゴヌクレオチドを含み、前記検体は相補的なオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド結合部分を含み、前記検出事象は前記オリゴヌクレオチドの融解温度の変化を含む、請求項30に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−535938(P2010−535938A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518348(P2010−518348)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/070839
【国際公開番号】WO2009/025954
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(500041019)ノースウェスタン ユニバーシティ (24)
【Fターム(参考)】