説明

被覆された成形部品の製造のための方法および装置

本発明は、反応性成分が円筒状の混合室内で混合され、および得られる反応性混合物が次に、流路を通して流れ出て、および基材表面に噴霧されおよび硬化され、ならびにその後、流路はガス流によって清浄にされるバッチプロセスにおいて、ポリウレタン層を含んで成る成形物品を製造する方法および装置に関する(図1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリウレタン層からできている成形品を製造するための方法および装置に関する。
【0002】
反応性プラスチック材料、例えばポリウレタンが広い領域上で基材に適用されるべきときは、従来は噴霧が最も適当な適用技術であった。
【0003】
プラスチックハンドブック(Kunststoff-Handbuch)第7巻 ポリウレタン第3版1993年、カール・オゼル出版社(Carl Hauser)は、基材に噴霧するこのような技術の種々の適用例を記述している:例えば、噴霧方法によるカーペット裏側の被覆(第5.2.2.2章)。撹拌ミキサーヘッドが一般に反応性成分を混合するために使われる。仕上がった反応性混合物は、表面塗料を噴霧するために使われるノズルに類似する通常の噴霧ノズルへチューブを経由して導かれて、連続的に動いているカーペット基材を横断して反応性混合物を基材上に噴霧する。
【0004】
次に、化学反応が熱活性化によって生じる。しかしながら、このような方法は反応性の低い反応性混合物でのみ可能である。素早く反応する原料組成物では、撹拌ミキサーおよびチューブが詰まり、ならびに噴霧ノズルを塞ぐであろう。
【0005】
その理由から、非常に反応性の高い原料組成物の場合、特にバッチ方式の操作に対して、小型化された混合室を有するいわゆる高圧ミキサーが使われる。例えば、反応性プラスチック材料の皮膚要素が製造されるべきときは、高圧のミキサーの下流に配置された特殊な噴霧ノズルが使われる。そのような噴霧システムの例が欧州特許第0303305B1に開示されている。しかしながら、噴霧ヘッドの中の比較的狭く、および角度のあるチャネルのために、このようなシステムは時には、特に非常に反応性のある原料組成物の場合は閉塞する傾向があり、従って時々洗浄しなくてはならない。高サイクル数プロセス(high cycle frequency processes)の場合には、交互に2つのミキサーヘッドを使うことによってこの問題が軽減され得るが、これは装置に関してかなりの追加的支出を必要とする。
【0006】
最適な噴霧プロセスおよび装置についての更なる重要な基準は、エアゾールを生じないで、または、少なくとも最小のエアゾール発生で、可能な限り遠くに噴霧することが可能な、軽量で小さな噴霧ミキサーヘッドである。
【0007】
バッチ操作のための噴霧ミキサーヘッドは通常、ロボットによって導かれ、該ロボットは極めて速い動きを実行しなくてはならないから、軽量の噴霧ミキサーヘッドは大きな利点となる。
【0008】
噴霧ミキサーヘッドはまた、3次元噴霧層の場合には、特に狭い凹みの場合には、そのような狭い窪みの傾斜した表面に届くことができるように、小さくなくてはならない。
【0009】
噴霧している間、覆われるべき表面に、意図されたように到達する噴霧小滴に加えて、エアゾール(すなわち、浮遊微粒子)が生じることも同じように可能である。そのようなエアゾールは熱気流またはドラフト(隙間風)の結果として周囲の装置に到達し、およびその装置を汚染する。健康障害もまた、労働者に対して無視することができない。その理由で、エアゾールは複雑で高額な吸引およびフィルター装置によって排除しなくてはならない。しかしながら、単にこのような装置のための追加の投資コストが高いだけではない;該装置は絶え間がない維持管理を必要とし、それは労働に関しても高い追加の支出をもたらす。
【0010】
無視することができない更なる不利益が原料の損失自体から生じる。なぜなら吸い出されて、およびフィルター装置に入るどんなエアゾールでも実際の製造から失われるからである。
【0011】
本発明の目的は、従って、ポリウレタン層からできている成形品を製造するバッチ方法および設備の開発であった。
その目的のために使われる装置は、
−小さく、および建設が容易であるべきであり、
−徹底的な混合が可能であるべきであり、
−同じく、エアゾールを製造することなしに、または少なくとも最小のエアゾールの製造で、噴霧することができるべきであり、
−操作中に中断なしで製造ができるべきである。
従って、反応性混合物の残余が噴霧ミキサーヘッドのどこにも残存しないように、噴霧ミキサーヘッドを清浄にすることが、各バッチの後に可能であるべきである。
【0012】
本発明は、ポリウレタン層からできている成形品を製造するバッチ方法に関するものであって、
a)反応性成分を最初に筒状混合室の中で混合し、
b)その様にして製造した反応性混合物を次に、受け入れ開口を通って流路へと導き、
c)入口開口領域において、ガス流を追加的に流路中へ導き、
d)流路を離れる反応性混合物を基材の表面上に噴霧し、およびその上で硬化させ、
e)バッチの完成後、混合室の中でバッチ位置から洗浄位置へと軸方向に移動可能なエジェクターを移動させることによって混合室を機械的に洗浄し、
f)エジェクターの端面および流路が共にガス流によって洗浄されてしまうまで、エジェクターを洗浄位置に保持するものである。
【0013】
流路に通じている受け入れ開口は、好ましくは混合室のすぐ後ろに実質的に配置されている。
【0014】
本発明方法の中で、反応性成分は、例えば、相互に対抗流注入(counter-current injection)により霧状化されることによって、混合室で最初に混合される。そのようにして形成される反応性混合物は、次に流路の中を導かれる。流路の入口領域で、ガス流、例えば、空気が反応性混合物の流れに加えて同時に流路を通して圧入される。流路を離れた反応性混合物は次に、基材表面に噴霧され、その上で硬化されて、複合成形品または挟持部品を製造する。適当な基材は、繊維マット、または繊維マットと離隔したコアとの組合せで紙ハニカムの様なもの、を含む。しかしながら、ポリウレタン成分、例えば表皮を直接製造するために、基材が道具の表面によって直接形成されることも可能である。バッチの完成に伴い、混合室はエジェクター、すなわち洗浄用プランジャーを使って機械的に清浄にされる。エジェクターの端面および流路の両方が清浄にされるまで、エジェクターはその洗浄用位置に保持される。
【0015】
この方法は最適噴霧プロセスについての基準のすべてを満足させる。
【0016】
−ミキサーのヘッドの円筒形状は単純な構造物であって、ならびに、従って小さくおよび軽量であり得る。そのため、例えばロボットを使って噴霧するとき、速い動き、およびそれ故に最小のサイクル時間が可能である。ミキサーヘッドの小さな構造的形状はそれを操縦しやすくする。そのため、規定された層厚を有する破れない噴霧層を形成するための混合物の均質な適用が、複雑な、3次元の部品についてさえ可能である。
【0017】
−ガス流は流路の入口領域へ、すなわち、混合帯域のすぐ下の平面の中へ導入されるから、混合室は容易に複数の部屋に分割される。これは、例えば、図2に示す。これはまた、反応性成分が完全に混合されることを保証する。
【0018】
流路の入口領域へのガス流の導入は、顕著な混合特性を引き起こすだけでなく、反応性混合物が、それが流路を離れる際に小滴に崩壊する結果を来たし、このようにして噴霧を効果有らしめる。従って、追加の噴霧ノズルの使用なしで済ますことが可能である。
【0019】
バッチの完成で、エジェクターは前方へ動き、このようにして反応性混合物の混合室を完全に清浄にする。これは例えば、図3に見ることができる。それはそれから、好ましくは0.1〜10秒、いっそう好ましくは0.5〜5秒の短期間、前方位置(洗浄用位置)に残っており、その間、エジェクターの端面および流路の双方がガス流によって洗浄されるように、ガスの供給が維持される。この配置は、最小の洗浄時間およびそれに応じて同じく高いサイクル数を可能にする。
【0020】
本発明(図3)の好ましい変形では、ガスの内部への流れはエジェクターの端面に斜めの角度で向けられ、このことはこの重要な場所を特に清浄にする効果をもたらす。
【0021】
洗浄操作の間、ガスの内部への流れは、好ましくは50m/s〜250m/sの速度で生じる。ガスの消費は流速に比例するから、約50m/sの比較的低い流速がコストの理由で望ましい。しかしながら、高度に反応性の混合物の場合は、所望の洗浄効果を確保するために、洗浄速度を250m/sに、およびそれに応じてガス量もまた増やす必要がある。
【0022】
加えるに、特に高度に反応性の原料の場合には、更に洗浄操作を加速するために、ガスで洗い流すことから成る洗浄操作を好ましくは迅速におよび断続的に行う。
【0023】
製造の間、ガス流の質量(m)の、反応性混合物の流れの質量(m)に対する比mG/mRは好ましくは2:1〜1:100の間に、好ましくは調節可能である。比mG/mRが2:1に等しいとき(すなわち、大量のガスが使われるとき)、比較的細かな噴霧小滴による噴霧パターンが得られる。比mG/mRが1:100に等しいとき(すなわち、小量のガスが使われるとき)、比較的粗い小滴を有する噴霧パターンが得られる。
【0024】
細かな液滴は非常に滑らかな噴霧表面をもたらすけれども、それらは高いエアゾール含有量を作り出し、それは翻って、吸引による除去に関して増加した支出を必要とする。粗大な液滴はそれほど滑らかでない表面を作り出すが、しかしそれらは最小のエアゾール含有量だけを有する。単純な初歩的試験によって、本分野の当業者は使用する組成物(基材、反応性成分)について、これら両極端の間に最適条件を見いだすことができる。
【0025】
本発明方法のより好ましい実施態様において、比mG/mRもまた調整可能である。制御可能な変数として、噴霧パターンの形状を使用し得る。すなわち、製造された噴霧帯の幅B、および製造された噴霧帯の部分を特徴づける、同一の層厚みを有する幅B’である。
【0026】
噴霧挙動に影響を与える重要なパラメータが、混合室の下流に配置された流路の直径/長さの比D/Lであって、好ましくは1:1〜1:50のD/L比が確立される。約1:1のD/L比は比較的細い噴霧小滴をもたらす一方、約1:50のD/L比は比較的粗大な噴霧液滴を生ずる。
【0027】
2つの尺度、すなわち最適なD/L比の選択、およびmG/mR比の確立または調整の組み合わせは、良い混合品質を保証し、そして最小のエアゾール含有量を伴う噴霧パターンを作り出す非常に広い製造条件範囲を提供する(図5参照)。
【0028】
最適の製造条件を確立するために、当業者は好ましくは次のように進むことができる:
【0029】
最初に、中間の値、例えば1:20をD/L比として選ぶ。次に、ガスの質量流れmをガスの小さな流れから始まって、混合品質が完ぺきになるまで増加する。次に、噴霧パターンを最適化するために、すなわちエアゾール無しの噴霧パターン、または少なくとも最小のエアゾール含量の噴霧パターンを確立するために、ガスの質量流れmを更に増加する。
【0030】
もしこの最初の操作の後で、所望の噴霧パターンが最適でないならば、D/L比を更なる繰り返しステップで、すなわち、もし噴霧液滴があまりにも細かいなら、D/L比を増やすことによって、および、もし噴霧滴があまりにも粗いなら、それを下げることによって、修正することができる。
【0031】
勿論、この反復操作は一般に、特定の適用によれば、ただ1度だけ行われるべきであって、および、製造が始められるたびに、繰り返されるべきではない。
【0032】
エアゾール含量を最小にすることは、吸引による除去との関係での最小の支出および原料の最小の損失を可能にするのみならず、更なる重要な利益を与える:
【0033】
最小のエアゾール含量で噴霧することは、最小のエアゾール端で噴霧適用を可能にする。このことは翻って、噴霧適用が実質的に単一層で実施できることになる。すなわち、1回の操作で、隣接する噴霧帯が好ましくはおよそ、帯あたりの噴霧面積の1%〜40%の、より好ましくは3%〜30%の、特に好ましくは5%〜20%の重複度を有することが可能となる。すなわち、幅Bの2つの隣接した噴霧帯の間の重複の幅は、好ましくは噴霧帯の幅Bの1〜40%である。噴霧帯の端において適用される反応性混合物の量は一般に中央におけるより少ないから、約1%の重複度で小さい窪みが噴霧帯の間にできることがある。しかしながら、この窪みは、まだ相対的に液体である反応性混合物は流動するから、平らになる。約40%の重複度で、小さい隆起が噴霧帯が重なり合う領域で形成され得るが、まだ相対的に液体である反応性混合物は流動するから、同じようにこの隆起は平らになる。
【0034】
混合物がより反応性が高いと、完全に平らな表面を得るためには、それだけいっそう正確に重複度が確立されなくてはならない。なぜならば、混合物が流動する余地がより少ない、または殆どその余地が無いからである。そうでなければ、わずかな凹凸を受容しなければならない。
【0035】
しかしながら、単一層の噴霧適用(または「塗布」)が多層の噴霧適用に対する主要な利点を有するということが一般的である。
【0036】
最初に、単一層の噴霧適用は噴霧時間の短縮をもたらし、従って製造のためのより高い可能なサイクル数の減少をもたらす。第二に、より高い反応性の原料組成物を使うことが可能である。このことは次に、時間の節約をもたらす。なぜなら硬化時間がより短いからである。このことは、多層噴霧供給では個々の層間の完全な「ウエット−オン−ウエット(wet-on-wet)」結合が形成できるためには、原料組成物の化学反応は本質的によりゆっくりと進まなくてはならないからである。しかしながら、より高度に反応性の組成物では、3次元の噴霧層の場合は特に、噴霧された層が傾いている表面から流れ去るのを阻止することができるという点で品質に関する利点があり、それはゆっくりと反応する混合物では可能でない。
【0037】
本発明はまた、少なくとも1つのポリウレタン層からできている成形品を製造する装置に関するものであって、該装置は、
a)各反応性成分のための少なくとも1つの貯蔵容器および測定ユニットと、
b)円筒状の混合室および混合室中で軸方向に動くことができるエジェクターを有して成る混合部材と、
c)各測定ユニットから混合室までの連結ラインと、
d)受け入れ開口を経由して液圧によって混合室へ連結している流路であって、流路の長さに対する直径の比D/Lが1:1〜1:50である流路と、
e)受け入れ開口の領域にある流路中に配置されているガス流を供給するための少なくとも1つの入口開口と、
を有して成る。
【0038】
流路に通じている受け入れ開口は、そこを通って反応性混合物が混合室から流路の中に流れ出ているが、その受け入れ開口は好ましくは、実質的に混合室の後ろに配置されている。ガス流を供給する入口開口の数は変動するが、好ましくは2〜20である。ガス流の供給に対して、2つの入口開口が20の入口開口より低い製造コストを有するが、20の入口開口は室への混合帯域の実質的により良い分割をもたらし、およびそれに応じて実質的により良い混合特性をもたらす。同じく、ミキサーヘッドの噴霧挙動と、エジェクターの端面および流路を清浄にすることとは、2つの受け入れ開口に比べて、ガス流の供給に対する20の入口開口の方が明らかにより優れている。
【0039】
本発明装置の好ましい実施態様において、流路の断面積は混合室の断面積より小さい。 この様にして混合室内の混合挙動に影響を与えることは可能である。なぜならガスの添加によって混合帯域が複数の室へ分割することが、更に助けられるからである。不利な点は、しかしながら、確立することができる噴霧液滴分布帯のバンド幅が減少するということであって、そのため、混合室断面積の流路断面積に対する比が、例えば10の比が、混合が極めて困難な原料組成物の場合に限って好都合である。
【0040】
もし混合室から流路への遷移が円錐形であるなら、特に、もし流路がその全長に亙って円錐形であるなら、混合室の横断面と比較しての流路の横断面の縮小の不利な効果は部分的に埋め合わすことができる。
【0041】
混合帯域の下流に配置された流路は、好ましくは置き換え可能である。
【0042】
ガスの質量流れを調整することが可能なように、制御デバイス、例えば制御弁が好ましくはガス供給ラインに組み入れられる。
【0043】
装置の更に好ましい実施態様において、センサーを使って噴霧パターンを検出することが同じく可能である。適切なセンサーは光学的装置を含み、例えば、現象−光−反射測定を有する装置、または明−暗検出装置などを含む。
【0044】
ガスの質量流れmGの制御デバイスおよび噴霧パターンの検出センサーと、ならびにこれら2つの部材を支配している制御システムとで、製造実施中の噴霧パターンの最適制御、従って噴霧工程の最適制御が可能である。
【0045】
図1は本発明により本発明方法を実施する装置の単純化された略図を示す。この装置において、反応性のポリオールとイソシアネートはそれぞれの貯蔵容器(1,2)から、例えば計量ポンプ3,4のような測量ユニットによって、吸引ライン5,6および高圧ライン7,8を経由して高圧噴霧ミキサーヘッド(9)へと各々供給される。ミキサーヘッドにおいて、ポリオールとイソシアネートは対抗流注入(counter-current injection)によって互いに霧状化され、それによって混合される。混合ゾーンを形成する混合室10のすぐ後に、流路11がある。流路11への受け入れ開口12の領域に、ガス流の供給のための入り口開口13が配置されている。この開口を通って、空気のようなガスが流路11の中に吹き込まれる。この方法で、混合室10から流れ出て来る反応性混合物は制限される。結果として、いわゆる混合帯域の室中への分割が行なわれ、そのために反応性成分は互いに完全に混合される。
【0046】
ガスはガス源14から制御弁15を経由してガスラインによってガス流供給の入口開口13へと供給される。反応性混合物とガスの流れとはその後一緒になって、流れ方向において混合室10の下流側に配置されている流路11を通って流れる。
【0047】
流路11を離れた後、反応性混合物は個別の小滴16に分解(disintegrates)し、他方ガスは周囲の大気中に拡散し、そこで膨張し、それによって混合物噴霧流17を広げる。 噴霧流17は、基材18上に帯から帯(strip by strip)状に噴霧されて、均一の噴霧層をもたらす。
【0048】
センサー19が横方向からいわゆる噴霧パターンを検出し、決定したデータを対応するパルスライン20を経由して制御装置21に伝える。もし決定しされた噴霧パターンが所望の値とは違うなら、ガス量は制御弁15を使って相応して変えることができる。それを目的として、参照噴霧パターンが比較の目的で制御装置21に格納されている。必要とされる変更は、制御装置21と制御弁15との間の関連するパルスライン22を経由して、次に伝達される。
【0049】
好ましくは、データ、すなわち測定ユニット3、5の通過量は、同じように制御装置21に入る。(そのために必要とされるパルスラインは図1に示されていない。)異なった噴霧パターンが同じく異なった放出量に対応して貯蔵されなくてはならないから、これは好都合である。
【0050】
バッチの完成のすぐ後に、エジェクター23(混合室10の中で軸に沿って動くように配置された洗浄用プランジャー)は下方へ動いて、混合室10の中へ向けて反応性成分を粉霧状にするノズル24を閉じて分離し(closes off)、そして同時に反応性混合物の混合室10を清浄にする。
【0051】
図1の例で、ガスの質量流れは製造操作から洗浄操作へ切り替えることができ、次に、制御弁15が更に開き、その結果エジェクター23の背面25と流路11の洗浄に必要なガス量が流れることができる。洗浄が完了すると、エジェクター23は再び上方に移動し、そして、次のバッチがそれから実行できるように、制御弁15は再び製造操作に切り替えられる。
【0052】
図2が本発明による装置の部品、すなわちバッチ位置における高圧噴霧ミキサーヘッド9’を示す。図2は、反応性混合物の流れの実態的な狭窄を示すことを意図している(流れ線27によって示される)。狭窄は、反応性混合物が混合室10から流れ出る横断面が、受け入れ開口12から流路11へ入る領域で絞られるという効果を有し、その結果としてガス流の効果を受けて、混合室10がこの領域の追加的限界(additional limitation)を獲得する。
【0053】
図2はまた、流路11の長さLおよび直径Dを示す。図2の噴霧ミキサーヘッド9’は、図1に示される噴霧ミキサーヘッド9とはエジェクター23’が異なる構成をとる点でのみ相違する。該エジェクター23’はまた、図2において反応性ポリオールおよびイソシアネートがバッチ方式操作(図2に示すように)から洗浄または再循環操作(図3に示すように)へと切換え可能とする制御溝26を有する。これは、特に停止後に、反応性成分が一定の条件で、例えば一定の温度で常に利用可能であるという利点を有する。図1に示された高圧噴霧ミキサーヘッド9で同じ効果を達成するために、ラインの温度は別に、例えば関連した加熱手段によって(図1に示されない)、制御されなければならないであろう。
【0054】
混合室10の中に模式的に示した渦巻きは、混合操作を表すことが意図されている。図3が、図2に示されるものと同じ高圧噴霧ミキサーヘッド9’を示す。図3では、しかしながら、高圧噴霧ミキサーヘッド9’が洗浄操作状態であり、その間は反応性成分が制御溝26を通って再循環している。
【0055】
図3に示された実施態様において、ガス流供給のための入口開口13はエジェクター23の端面に向けられており、そのことはこの重要な場所を特に良く清浄にする効果をもたらし、および高度に粘着性の原料組成物の場合に特に好都合である。
【0056】
高度に反応性の原料組成物に関しては特に、ガス流による洗浄が、好ましくは急速に、および断続的に行なわれる。
【0057】
図4が、基材18に適用された広いエアゾール端を有する噴霧帯28からできている成形品30を、略図の形式で示す。多数のエアゾールが噴霧操作中に生成するときに、広いエアゾール端が特に生じる。噴霧帯26はその幅Bによって特徴付けられる。幅B’は均一な層厚を有する噴霧帯部分を指し、従ってエアゾール端に属しない。図4に示す噴霧帯に対する適用方向は描画面と垂直方向である。
【0058】
図5が、基材18に適用された狭いエアゾール端を有する噴霧帯28からできている成形品30を、略図の形式で示す。エアゾール含量が噴霧操作中に最小にされるとき、特に、狭いエアゾール端が生ずる。図5で、噴霧帯28は再びその幅Bによって特徴付けられる。幅B’は均一な層厚を有する噴霧帯部分を指し、従ってエアゾール端に属しない。図5に示す噴霧帯に対する適用方向は描画面と垂直方向である。
【0059】
図6が、略図形式で、基材18に適用された単一層の噴霧層29からできいている成形品30を示す。噴霧層29は、(図5に示されるように)、狭いエアゾール端を有する複数の噴霧帯で構成されている。噴霧帯の最適な重なりによって、ほとんど平らな表面を得ることができる。それは最小化された、または狭いエアゾール端で特に可能である。噴霧帯の幅Bに加えて、幅B’もまた示されている。すなわち、B’は、均一な層厚さdを有する噴霧帯の真ん中の部分の幅として示されている。2つの噴霧帯の間の重なりΔBは、従って、ΔB=(B−B’)/2であり、重複の度合いは%表示で:(ΔB/B)×100 %である。略図において、厚さdは拡大スケールで示し、幅BおよびB’は縮小スケールで示す。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本発明は図によってより詳細に説明される。
【図1】本発明方法の実施に適する装置の略図である。
【図2】バッチ操作位置における本発明装置の噴霧ミキサーヘッド部品の略図である。
【図3】洗浄位置における本発明装置の噴霧ミキサーヘッド部品の略図である。
【図4】本発明方法によって作り出される広いエアゾール端を有する単一噴霧帯の略図である。
【図5】本発明方法によって作り出される狭いエアゾール端を有する単一噴霧帯の略図である。
【図6】狭いエアゾール端(図5に示されるような)を有する個別の噴霧帯で構成されている単一層噴霧適用の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にポリウレタンの層を有して成る成形品を製造するためのバッチ方法であって、
a)最初に筒状混合室(10)の中で反応性成分を混合する工程と、
b)次に、得られた反応性混合物を受け入れ開口(12)を通って流路(11)へと導く工程と、
c)付加的にガス流を入口開口領域から流路(11)へ導く工程と、
d)反応性混合物を、流路(11)を通して基材(18)の表面上に噴霧し、および反応性混合物が基材表面上で硬化できるようにする工程と、
e)バッチの噴霧が完成しているときに、混合室(1)の中でバッチ位置から洗浄位置へと軸方向に移動可能なエジェクター(23)を移動させることによって混合室(10)を機械的に洗浄する工程と、
f)エジェクターの端面(25)および流路(11)が共にガス流によって洗浄されてしまうまで、エジェクターを洗浄位置に保持する工程と、
を有して成る、バッチ方法。
【請求項2】
流路中へのガス流の流れが、50〜250m/sの速度、好ましくは75〜200m/sの速度、特に好ましくは100〜150m/sの速度である、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
ガスと反応性混合物との流れの質量比m/mが、2:1と1:100との間に、好ましくは1:1と1:75との間に、特に好ましくは1:2と1:50との間に調整可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載された方法。
【請求項4】
該比m/mが制御可能であることを特徴とする、請求項3に記載された方法。
【請求項5】
流路が、1:1〜1:50の、好ましくは1:2〜1:30の、特に好ましくは1:3〜1:10の、直径の長さに対する比を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載された方法。
【請求項6】
反応性混合が実質的に単一層で、隣接した噴霧帯と1%〜40%までの、好ましくは3%〜30%までの、特に好ましくは5%〜20%までの重複度を持って噴霧されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載された方法。
【請求項7】
ポリウレタン層を有する成形品を製造するための装置であって、該装置が、
a)反応性成分の貯蔵容器(1,2)および測定ユニット(3,4)と、
b)筒状の混合室(10)および混合室(10)の中で軸に沿って動くことのできるエジェクター(23)を有する混合室(9)と、
c)測定ユニット(3,4)から混合室(10)への接続ライン(7,8)と、
d)受け入れ開口(12)により液圧で混合室(10)へと連結された流路(11)であって、直径の長さに対する比(D/L)が1:1〜1:50である流路(11)と、
e)受け入れ開口(12)の領域にある、ガス流を供給するための少なくとも一つの入り口開口(13)と、
を有して成る装置。
【請求項8】
流路(11)の中への受け入れ開口(12)が、混合室(10)のすぐ後ろに実質的に配置されていることを特徴とする、請求項7に記載された装置。
【請求項9】
ガス流を供給するための流路(11)中に2〜20個の、好ましくは3〜16個の、特に好ましくは4〜8個の入口開口(13)があることを特徴とする、請求項7または8に記載された装置。
【請求項10】
流路(11)の断面積に対する混合室(10)の断面積の比が1.05と10との間、好ましくは1.1と5との間、特に好ましくは1.2と2との間にあることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1つに記載された装置。
【請求項11】
混合室(10)から流路(11)までの遷移が円錐形を有することを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1つに記載された装置。
【請求項12】
流路(11)がその全長に亙って円錐形であることを特徴とする、請求項7〜11のいずれか1つに記載された装置。
【請求項13】
更にガスの質量流れを変えるための制御デバイス(15)を有して成ることを特徴とする、請求項7〜12のいずれか1つに記載された装置。
【請求項14】
更に噴霧パターンを検出するセンサー(19)を有して成ることを特徴とする、請求項7〜13のいずれか1つに記載された装置。
【請求項15】
更に、検出された噴霧パターンに基づいてガスの質量流れを調整するための制御デバイス(21)を有して成ることを特徴とする、請求項7〜14のいずれか1つに記載された装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2009−518168(P2009−518168A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543689(P2008−543689)
【出願日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011229
【国際公開番号】WO2007/065564
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(500013614)ヘンネケ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (5)
【氏名又は名称原語表記】Hennecke GmbH
【Fターム(参考)】