被覆した活性剤を含む局所組成物
本発明は、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第1活性剤を含む少なくとも1つの成分と、この第1活性剤を含まない少なくとも1つの皮膚治療成分とを備えた多成分局所システムに関する。本発明は、さらに、この多成分局所システム及びこれらの成分を備えたキットを使用する方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局所用かつ皮膚科用のシステム及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
過去40年間、過酸化ベンゾイル(BPO: Benzoyl Peroxide)は、皮膚ざ瘡の治療に良好に用いられてきた。BPOは、プロピオン酸菌属のざ瘡(pざ瘡)の根絶を意図した最も効果的な局所治療であると考えられている。抗生物質とは異なり、BPOは菌耐性を生じさせない。さらに、BPOは皮膚の最上層を除去する角質溶解化合物であるため、皮膚細胞が、毛穴を詰まらせにくく、毛孔性角栓の剥離を増進する。BPOの使用の副作用の一部は、BPOと接触している皮膚部分の乾燥及び刺激である。
【0003】
BPOを含む多くの個々の皮膚治療製品が知られ、市販されている。さらに、BPOを他の皮膚コンディショニング製品とともに備えたキットも知られている。ざ瘡を患った患者は、BPO治療の結果として、乾燥、刺激、紅斑、鱗屑性皮膚などの副作用を患うことが多い。既知のBPOベースの製品中の従来のカプセル化されていないBPO結晶は、皮脂中で速やかに溶解し、重度の副作用を生じさせる。さらに、このようなカプセル化されていないBPO結晶は、短期間の抗菌作用を提供するのに対して、カプセル化されたBPOは、速やかには溶解せず、所望の目標部位にて長期のBPOの治療濃度を維持する。頻繁なる消費者の競合製品への移行に加えて、これらの副作用の症状及び有効性の減少は、患者がこのようなBPO製品を変更し、さらには放棄し、そして抗生物質へ切り換えることを引き起こすことが多い。
【0004】
とりわけざ瘡の治療用の被覆型皮膚治療システムであって、このような副作用を防止し、システムの成分の(例えばBPOのような活性剤を伴うか伴わない)組み合わせが投与法と合わせて、従来の既知のBPOキットと比べて優れた治療結果を提供するような被覆型皮膚治療システムを提供することは、非常に有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6303149号明細書
【特許文献2】米国特許第6238650号明細書
【特許文献3】米国特許第6468509号明細書
【特許文献4】米国特許第6436375号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0037087号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2002/0064541号明細書
【特許文献7】国際公開第2000/009652号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2000/072806号パンフレット
【特許文献9】国際公開第2001/080823号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2003/003497号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2003/039510号パンフレット
【特許文献12】国際公開第2000/071084号パンフレット
【特許文献13】国際公開第2005/009604号パンフレット
【特許文献14】国際公開第2004/081222号パンフレット
【特許文献15】欧州特許第0934773号明細書
【特許文献16】米国特許第6337089号明細書
【特許文献17】欧州特許第0941761号明細書
【特許文献18】米国特許第6251313号明細書
【特許文献19】米国特許第4931362号明細書
【特許文献20】英国特許出願公開第2416524号明細書
【特許文献21】米国特許第6855335号明細書
【特許文献22】国際公開第2003/066209号パンフレット
【特許文献23】国際公開第1998/031333号パンフレット
【特許文献24】米国特許第6495352号明細書
【特許文献25】米国特許第5292801号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】John A. Wenninger et al. (Editors) International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook (Eighth Edition 2000), Vol. 2 pp.1140-1147
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数成分を備えた多成分局所システムであって、これらの成分は、金属酸化物で被覆した活性剤、及び該活性剤を含まない皮膚治療成分を含む多成分局所システムが、活性剤が被覆されていない既知のシステムと比べて、驚くほど有益で、予想外に強化され、より効果的な皮膚疾患の治療を提供することの発見に基づくものである。本発明の多成分局所システムの強化され改善された効果は、システムの各成分を別個に使用した場合の効果より大きいことが判った。
【0008】
皮膚に接触すると、活性剤は、被覆内から遅く時間をかけて効率的に皮脂中に抽出され、好ましくは目標の治療部位に(例えばプロピオン酸菌属のざ瘡がある皮脂腺に)たどりつく。金属酸化物で被覆した活性剤の塗布により皮膚が酸化剤濃度の急増に晒されることがないため、局所的な副作用の著しい低減をもたらし、ずっと高濃度の活性剤の使用とさらに効率的かつ持続した効果とを可能にする。上記活性剤を含まない皮膚治療成分とともにこのような金属酸化物で被覆した活性剤を使用することにより、自由な活性剤を含んだキット又はシステムと比べて、ずっと効率的、長期的、及び強力な皮膚又は粘膜の疾患及び障害の治療を提供することができる。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、多成分局所システムが提供され、該多成分局所システムは、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第1活性剤を含む少なくとも1つの成分と、該活性剤を含まない少なくとも1つの皮膚治療成分とを備える。
【0010】
本明細書で用いる「多成分局所システム」という用語は、局所用及び/または皮膚科用の、同じ又は異なる内容物を有する少なくとも2つの成分の配列又は集まりを包含するものである。いくつかの好適例では、システムは、同じ又は異なる管又は容器内に収容された同じ又は異なる内容物を有する2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の成分であって、局所用及び/又は皮膚科用の同じ又は異なる担体及び活性剤を有する成分を備える。
【0011】
なお、本発明のシステムは、被験者により直接的には使用されず、むしろ本システムの他の成分の準備、例えば、希釈目的のため、成分への感応剤の随意的追加などに使用される成分を、さらに備えることができる。
【0012】
なお、本発明のシステムは、あらゆる種類の皮膚領域上での局所的及び/又は皮膚科的使用を意図するものである。該皮膚領域としては、外部の露出領域(例えば皮膚、頭皮、毛髪、及び爪の領域など)、粘膜などの内部皮膚領域(例えば鼻孔、唇、耳、生殖器部、肛門、及びそれらの周辺の粘膜など)、又は該システムの成分があらゆる種類の拡散メカニズムにより皮膚領域又は粘膜に到達することのできる、治療される皮膚領域又は粘膜に近接したあらゆる近接領域である。
【0013】
いくつかの好適例では、本発明のシステムは、少なくとも1つの追加的成分を備える。該少なくとも1つの他の成分の各々は、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの追加的活性剤を含む。
【0014】
他の好適例では、上記少なくとも1つの第1活性剤と少なくとも1つの第2活性剤とは同じである。さらに他の好適例では、上記少なくとも1つの第1活性剤と少なくとも1つの第2活性剤とは異なる。
【0015】
他の好適例では、上記少なくとも1つの追加的成分は、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第2活性剤を含む第2成分である。
【0016】
さらに、いくつかの付加的な好適例では、上記少なくとも1つの第1活性剤と少なくとも1つの追加的活性剤は同じである。他の好適例では、両者は異なる。
【0017】
なお、本発明のシステムの成分の内容に関する「同じ」又は「異なる」という用語は、該当する成分の少なくとも1つの代表的な特性、例えば、これに限定されないが、活性剤の性質、活性剤の濃度、活性剤に含まれる少なくとも1つの付加的な添加剤、及び該添加剤の濃度などを指すことを意図している。
【0018】
本明細書で用いる「活性剤」という用語は、あらゆる種類の薬理学的な又は美容上の活性剤を指す。本発明のいくつかの好適例では、金属酸化物で被覆した上記少なくとも1つの活性剤は、次の非限定的なリストから選択される:抗真菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗掻痒剤、抗乾癬剤、抗脂漏剤、抗ざ瘡剤、抗酒さ剤、抗皮膚癌剤、抗光老化剤、美白/皮膚脱色剤、抗皮膚発赤剤、及びこれらの任意の組み合わせ。いくつかの好適例では、上記活性剤は抗ざ瘡剤である。他の好適例では、該抗ざ瘡剤は過酸化ベンゾイル、又は過酸化ベンゾイルと上述した少なくとも1つの付加的な活性剤との混合物である。
【0019】
本明細書で用いる「金属酸化物で被覆した活性剤」という用語又はそのあらゆる同等語は、以上に開示され、かつ本明細書に開示した目的のための、金属酸化物被覆により被覆されている活性剤であって、活性剤又は活性剤の粒子が金属酸化物被覆の核内にカプセル化されている活性剤を包含するものである。金属酸化物被覆は、単一の処理ステップ又は複数のステップを有する処理、反復的処理又は巡回的処理に関わらず、当業者に既知のあらゆる処理により得ることができることは明らかである。少なくとも1つの活性剤の金属酸化物被覆を得る処理により、得られる被覆の幅の微細制御能力を伴った、活性剤粒子状物質上での金属酸化物の被覆の形成及び成長が可能になる。このことは、局所用及び/又は皮膚科用にとって特に有利であり、この用途では、活性剤が、金属酸化物被覆を通じて漸進的に放出される能力をもって、その周囲から隔離されるべきである。金属酸化物被覆の厚さの微調整及び微細制御を可能とする金属酸化物被覆処理を用いることが、特に有利である。
【0020】
金属酸化物被覆処理の例は、米国特許第6303149号(特許文献1)、米国特許第6238650号(特許文献2)、米国特許第6468509号(特許文献3)、米国特許第6436375号(特許文献4)、米国特許出願公開第2005/0037087号(特許文献5)、米国特許出願公開第2002/0064541号(特許文献6)、国際公開第2000/009652号(特許文献7)、国際公開第2000/072806号(特許文献8)、国際公開第2001/080823号(特許文献9)、国際公開第2003/003497号(特許文献10)、国際公開第2003/039510号(特許文献11)、国際公開第2000/071084号(特許文献12)、国際公開第2005/009604号(特許文献13)、国際公開第2004/081222号(特許文献14)、欧州特許第0934773号(特許文献15)、米国特許第6337089号(特許文献16)、欧州特許第0941761号(特許文献17)、米国特許第6251313号(特許文献18)、米国特許第4931362号(特許文献19)、英国特許出願公開第2416524号(特許文献20)、米国特許第6855335号(特許文献21)、国際公開第2003/066209号(特許文献22)、国際公開第1998/031333号(特許文献23)、米国特許第6495352号(特許文献24)、米国特許第5292801号(特許文献25)に記載されている。これらは全て、参考文献として本明細書に含める。
【0021】
いくつかの好適例では、上記金属酸化物被覆は、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、ZnO、及びこれらの混合物から選択される。
【0022】
本発明において「被覆」という用語及びこれの他の変形語は、活性剤の粒子又は粒子状物質の周囲に形成される金属酸化物層を指す。該層又は被覆は、均一な被覆又は不完全な被覆とすることができる。金属酸化物被覆処理により生成される粒子状物質は、以下にさらに開示するように、固体の、不水溶性の活性剤粒子状物質で構成された核を含み、この核は、金属酸化物被覆により被覆され、この金属酸化物被覆は、実質的に非アモルファス及び/又は非晶質の形態である。
【0023】
いくつかの好適例では、上記被覆は金属酸化物と少なくとも1つの粘着剤との混合物である。このような粘着性の添加物は、例えば金属酸化物の連続領域の形成を阻止し、これにより非アモルファスで非晶質の金属酸化物形態へと導くポリマーとすることができる。
【0024】
本発明の他の態様では、多成分局所システムが提供され、該多成分局所システムは、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第1活性剤を含む少なくとも1つの成分であって、該金属酸化物は上記少なくとも1つの第1活性剤の漸進的な放出をもたらすように選択されている成分と、上記活性剤を含まない少なくとも1つの皮膚治療成分とを含む。
【0025】
なお、このことに関して、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの活性剤の漸進的放出を提供可能な金属酸化物は、本発明のシステムに、次の利益のうち少なくとも1つをもたらすことができる:
a) システムのあらゆる成分によって生じ得る、治療される皮膚又は粘膜のあらゆる領域における、局所的及び/又は皮膚科的な副作用の低減(例えば、治療される皮膚又は粘膜、あるいはこれらに近接したあらゆる領域における刺激、皮膚又は粘膜の過敏症、不要な発疹の進行、又は色素変化)、
b) 被覆した活性剤の分散性の向上、
c) 活性剤と皮膚との直接接触の防止、
d) 活性剤の結晶成長プロセスの防止又は低減、
e) 貯蔵中、使用中、及び皮膚又は粘膜への塗布時のいずれかにおける、活性剤の安定性の向上、
f) 本発明のシステムの成分の製剤における、被覆した活性剤と他の原料との相溶性の向上、
g) 治療される皮膚上への、金属酸化物で被覆した活性剤の持続的かつ漸進的な放出。
【0026】
本発明の目的を達成するために、本発明のシステムの少なくとも1つの成分は、同じ活性剤のない皮膚治療成分を含み、該活性剤は、金属酸化物で被覆され、本発明のシステムの少なくとも1つの他の成分中に含まれる。それにもかかわらず、上記皮膚治療成分は、あらゆる種類の皮膚トーニング(調色)、洗浄、コンディショニング、改善、治療、又は角質除去用剤、治療される皮膚又は粘膜領域の表面上のあらゆる種類の土、汚れ、又はあらゆる過剰物質(あらゆる外部発生源又はあらゆる局所発生源から導出され得るもの、例えば皮膚病変から出た排出物など)を除去可能な薬剤を含むことができる。皮膚治療成分の非限定的な例の一部は、Skin Bracer(登録商標)又は皮膚清涼剤(0〜10%のアルコール、水、例えばグリセリンなどの保湿剤を含むことができる)、皮膚強壮剤(20%以下のアルコール、水、及び保湿剤を含むことができる)、又は収斂剤(20〜60%のアルコール、防腐剤原料、水、及び保湿剤原料を含むことができる)、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0027】
皮膚治療成分は、開示した活性剤とは異なるが次の非限定的なリストから選択することができる、少なくとも1つの活性剤も含むことができる:
抗真菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗掻痒剤、抗乾癬剤、抗脂漏剤、抗ざ瘡剤、抗酒さ剤、抗皮膚癌剤、抗光老化剤、美白/皮膚脱色剤、抗皮膚発赤剤、及びこれらの任意の組み合わせ。上記少なくとも1つの活性原料は、金属酸化物被覆で被覆されていない。本願のいくつかの好適例では、上記少なくとも1つの皮膚治療成分中に含まれる上記少なくとも1つの活性剤は、随意に金属酸化物で被覆される。
【0028】
なお、本発明のシステムの各成分は、当業者に既知のあらゆる製剤において、局所塗布用に製剤することができる。このような製剤は、軟膏、クリーム、ローション、オイル、エマルション(乳剤)、ジェル、ペースト、ミルク(乳液)、エアロゾル、粉末、フォーム(泡)、ウォッシュ(洗浄液)(例えば、ウォッシュ・オン、ウォッシュ・オフ製剤など)、及びこれらの任意の組み合わせから選択することができる。
【0029】
本明細書で用いる「ウォッシュ・オン」製剤は、表面に塗布される任意の洗浄剤を含む製剤又はその任意の組み合わせを包含する。該製剤は一般に、洗浄作用を実行するために皮膚又は粘膜の表面に塗布される。さらに、ウォッシュ・オン製剤の少なくとも一部は、皮膚又は粘膜の表面に残り、さらに強化された作用をもたらす。本明細書で用いる「ウォッシュ・オフ」製剤は、表面に塗布される任意の洗浄剤を備える製剤又はその任意の組み合わせを包含する。該製剤は一般に、洗浄作用を実行するために皮膚又は粘膜の表面に塗布され、後の段階で、塗布された表面から除去される。
【0030】
洗浄剤の例示的形態は、リキッド(液状)、固形、ジェル、フォーム(泡状)、エアロゾルまたはポンプスプレー、クリーム、ローション、スティック、粉末、又はパッチ若しくはウェットティッシュ内に含まれた形式を含むが、これに限らない。さらに、合成洗剤をも用いることもできる。
【0031】
なお、本発明のシステムのあらゆる成分は、例えば次のような、あらゆる種類の製品形態中に含めることができるが、これに限定されない:
液状又は固形石鹸を含む石鹸、シャンプー、ヘアコンディショナー、角質除去シャワージェルを含むシャワージェル、発泡浴用製品(例えばジェル、石鹸、又はローション)、ミルク(乳液)浴用剤、ジェルクレンザーを含む合成洗剤、液体クレンザー、及び固形洗浄剤、ウェットティッシュ、ボディーローション、ボディースプレー、ミスト(噴霧)又はジェル、発泡剤(例えば発泡入浴剤)、ハンドクリーム及びネイルクリーム、バス(浴用)ジェル/シャワージェル、シャワークリーム、脱毛クリーム、例えばシェービングクリーム、ジェル、フォーム、又は石鹸などのシェービング製品、アフターシェーブローション、アフターシェーブ湿潤剤、日焼け止めローション、日焼け止めジェル、若しくは日焼け止めオイル、クリーム、ローション、若しくは固形形態のあらゆる種類の化粧品、及びこれらの任意の組み合わせ、洗浄、後洗浄、皮膚及び毛髪を含む体への化粧用途に用いられる他のあらゆる製品。
【0032】
本発明による局所製剤は、皮膚科的、美容的、又は薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤も含むことができる。該担体、希釈剤、又は賦形剤中には、金属酸化物で被覆した活性剤粒子状物質を、例えば分散又は懸濁させることができる。被覆した活性剤は、例えば混合することによりかかる担体、希釈剤、又は賦形剤中に容易に分散又は懸濁させて、効果的な分散又は懸濁を達成することができる。必要であれば、担体中の被覆粒子の高速かつ効率的な混合を促進するために、強いせん断力を加えることができる。
【0033】
他の好適例では、本発明のシステムの成分の担体は、ジェル、クリーム、ローション、クレンザー、サチュレーション(飽和)パッド、軟膏、オイル、エマルション(乳剤)、ペースト、ミルク(乳液)、エアロゾル、粉末、フォーム(泡)、ウォッシュ(洗浄液)(例えばウォッシュ・オフ又はウォッシュ・オン)などの形態である。他の好適例では、本発明のシステムの成分の担体は、水中油型クリームである。さらに他の好適例では、分散相(すなわち本発明のシステムの成分の担体)は、水ベースであり、分散媒体として水を含む。
【0034】
なお、本発明のシステムの各成分は、例えば次のような、少なくとも1つの添加剤を含むことができるが、これらに限らない:
保湿剤(例えばプロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、又はポリエチレングリコール)、緩衝剤(例えばクエン酸水溶液、水酸化アンモニウム溶液、リン酸緩衝剤、ホウ酸塩緩衝剤、又は炭酸塩緩衝剤)、潤滑剤(例えばシクロメチコン、ジメチコーン、ヒマシ油、ミリスチン酸イソプロピル、トリカプリル/トリカプリン酸グリセリル、又はオクタン酸オクチル)、乳化剤(例えばセチルアルコール、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG-75、セテス-20、ステアレス-20、ビス-PEG/PPG-16/16 PEG/PPG-16/16ジメチコーン、モノオレイン酸ソルビタン、又はアルキルポリグルコシド)、湿潤剤(例えばPCAナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、パンテノール、又は乳酸ナトリウム)、鎮静剤(例えば、ローマンカモミール花抽出物、ジャーマンカモミール、ハマメリス、ゴボウ、Argireline(登録商標)、アルニカ・モンタナ抽出物、シアバター、又はアロエベラなどの天然ハーブ抽出物)、香料、角質除去剤(例えばポリエチレン、グリコール酸70%)、充填剤、抗刺激剤(例えばアラントイン)、キレート剤(例えばEDTA)、保存料(例えばイミダゾリジニル尿素、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、又はベンジルアルコール)、洗剤(例えばポリソルベート20、ドデシル硫酸ナトリウム、又は塩化セトリモニウム)、着色料、抗菌剤(例えばSDアルコール40又はグルコン酸クロルヘキシジン)、増粘剤(例えばキサンタンガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロース、カルボマー、又はエチルセルロース)、及びこれらの任意の組み合わせ。
【0035】
本発明の他の好適例では、本発明のシステムは、被験者の皮膚表面の少なくとも一部分上への局所投与に適している。ここで、上記システムの各成分は、同時の、順次の、別個の、又は並列的な使用に適応可能である。
【0036】
なお、本発明のシステム又はキットの各成分は、被験者の疾患、治療される皮膚領域、異なる治療方法の存在、及び治療医に既知の他の要因に基づき、その原料、濃度、製剤の種類、及びその濃度、使用のモード及びタイミングを選択することにより、治療される皮膚領域又は粘膜のあらゆる特定疾患に適した方法で形成することができる。
【0037】
本発明において、「被験者」という用語は、人間と人間以外の哺乳動物とを含む。
【0038】
「皮膚の表面」という用語は、上述したように、皮膚又は粘膜の露出した領域、又は、例えば毛髪や衣服などで覆われた領域の、あらゆる部分を包含するものである。
【0039】
本明細書で用いる「局所投与」という用語は、本発明のシステム又はキットの成分を、いかなる全身的作用も誘発することなく、被験者の皮膚又は粘膜組織の表面上に局所投与することを包含するものである。
【0040】
なお、本明細書において、本発明のシステムの成分はあらゆる治療プロファイルに従って投与することができる。例えば、各成分は、本発明のシステムまたはキットの他のあらゆる成分の投与と同時に、順次に、個別に、又は並行して投与することができる。各成分は、他のあらゆる皮膚治療手順の直前直後に投与することができる。本発明のシステムまたはキットの各成分は、1日1回又は数回(例えば1日2、3回〜10回)、別々に投与することができる。
【0041】
いくつかの好適例では、本発明のシステムは3成分システムであって、該システムは、同じ又は異なる濃度及び/又は製剤の、金属酸化物で被覆したBPOを含む2つの成分(成分A及びC)と、金属酸化物で被覆したBPOを含まない他の成分(成分B)とを備える。
【0042】
他の好適例では、上記システムの3成分の各々は、次の方法で投与する:
− 成分A、続いて成分B、続いて成分C、(1日2回)。
− 成分B、続いて成分A、続いて成分C、(1日2回)。
− 成分C、続いて成分B、続いて成分A、(1日2回)。
− 成分A、続いて成分C、続いて成分B、(1日2回)。
− 成分C、続いて成分A、続いて成分B、(1日2回)。
− 成分B、続いて成分C、続いて成分A、(1日2回)。
【0043】
他の好適例では、本発明のシステムは、皮膚疾患の局所治療での使用に適している。
【0044】
本発明の他の態様では、被験者の皮膚の外見を治療して改善し、あるいは皮膚または粘膜の病気又は疾患を予防する方法であって、本発明のシステムを皮膚又は粘膜に局所投与するステップを備えた方法が提供される。
【0045】
本発明のさらに他の態様では、皮膚病変を治療する方法であって、本発明のシステムを皮膚又は粘膜に局所投与するステップを備えた方法が提供される。
【0046】
本発明の他の態様では、皮膚面皰を治療する方法であって、本発明のシステムを皮膚又は粘膜に局所投与するステップを備えた方法が提供される。
【0047】
本発明のさらに他の態様では、ざ瘡を治療する方法であって、本発明のシステムを皮膚又は粘膜に局所投与するステップを備えた方法が提供される。
【0048】
本明細書で用いる「治療する」又は「治療」という用語は、患者の皮膚又は粘膜に関連する疾患又は病気又は障害のあらゆる治療を含み、その疾患の変化又は改善、病気又は障害の抑制(すなわちその進行の阻止)、病気又は障害に関連する少なくとも1つの症状の緩和(すなわち病気又は障害の退行の発生)、及び/又は病気又は障害により引き起こされる疾患(すなわち病気の症状)の緩和を含む。
【0049】
個々の必要性は異なり得るが、組成物の有効量の最適範囲の決定は、当業者の技能範囲内のことである。一般的に、当業者により調節可能である、本システム中の活性剤の有効量を与えるのに必要な投与量は、服用者の年齢、健康状態、身体状態、体重、病気又は障害の種類及び度合い、治療の頻度、(もしあれば)同時治療の性質、及び所望効果の性質及び範囲に応じて変化する。
【0050】
「外見の改善」という用語は、本発明のシステム又はキットにより治療される皮膚領域又は粘膜の疾患の目に見える改善を包含するものである。この改善は、あらゆる種類の皮膚疾患又は障害、例えばいくつかの好適例では細菌性、ウイルス性、又は真菌性の感染などに起因し得る、被験者の皮膚又は粘膜領域上の、皮膚又は粘膜の色、滑らかさ、均一性、病変又は創傷の程度、強さ、及び数のあらゆる変化として現れ得る。
【0051】
いくつかの好適例では、皮膚疾患は、ざ瘡、感染症、炎症、掻痒、乾癬、脂漏症、接触皮膚炎、皮膚癌、皮膚光老化、色素沈着、発赤、酒さ、及びこれらの任意の組み合わせから選択される病気又は障害である。
【0052】
本発明の他の好適例では、本発明のシステムの成分は、所定の投与スケジュールで投与する。
【0053】
本発明の他の態様では、皮膚又は粘膜上への局所投与のための、本発明のシステムの使用方法が提供される。
【0054】
いくつかの好適例では、上記局所投与は、ざ瘡、掻痒、乾癬、脂漏症、接触皮膚炎、感染症、皮膚癌、皮膚光老化、色素沈着、発赤、酒さ、炎症、及びこれらの任意の組み合わせから選択される病気又は障害の治療を目的とする。いくつかの他の好適例では、上記局所投与は、皮膚病変の治療を目的とする。さらに他のいくつかの好適例では、上記局所投与は、皮膚面皰の治療を目的とする。さらに他の好適例では、上記局所投与は、ざ瘡の治療を目的とする。
【0055】
本発明のさらに他の態様では、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第1活性剤を含む少なくとも1つの成分と、該活性剤を含まない少なくとも1つの皮膚治療成分と、使用説明書とを備えたキットが提供される。
【0056】
いくつかの好適例では、本発明のキットは、少なくとも1つの追加的成分を備え、該他の成分の各々は、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの追加的活性剤を含む。
【0057】
他の好適例では、本発明のキットは、ざ瘡、酒さ、乾癬、掻痒、皮膚光老化、色素沈着、皮膚炎、炎症、粘膜の感染領域、皮膚癌、発赤、及びこれらの任意の組み合わせから選択される病気又は障害の治療又は予防のための使用を目的とする。他の好適例では、本発明のキットは、皮膚病変の治療又は予防のための使用を目的とする。さらに他の好適例では、本発明のキットは、皮膚面皰の治療又は予防のための使用を目的とする。さらに他の好適例では、本発明のキットは、ざ瘡の治療又は予防のための使用を目的とする。
【0058】
本発明を理解し、実際に本発明を実施することのできる方法を確認するために、以下に、添付の図面を参照しながら、非限定的な例として実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】4週間以内のキットA〜Dの使用中での忍容性(%)パラメータを示すグラフである。
【図2A】キットA〜Dの4週間以内の使用による皮膚全体の刺激評価を示すグラフである。
【図2B】キットA〜Dの4週間以内の使用による皮膚全体の刺激評価を示すグラフである。
【図2C】キットA〜Dの4週間以内の使用による皮膚全体の刺激評価を示すグラフである。
【図3】キットA〜Dの4週間以内の使用中の病変の合計数の変化を示すグラフである。
【図4】キットA〜Dの4週間以内の使用中の病変の合計数の改善を%で示すグラフである。
【図5】キットA〜Dの4週間以内の使用中の非炎症性病変の合計数を示すグラフである。
【図6】キットA〜Dの4週間以内の使用中の非炎症性病変の合計数の改善を%で示すグラフである。
【図7】キットA〜Dの4週間以内の使用中の黒色面皰の合計数の改善を%で示すグラフである。
【図8】キットA〜Dの4週間以内の使用中の白色面皰の合計数の改善を%で示すグラフである。
【図9】キットA〜Dの4週間以内の使用中の炎症性病変の合計数の改善を%で示すグラフである。
【図10】キットA〜Dの4週間以内の使用中の炎症性病変の合計数の改善を%で示すグラフである。
【図11】キットA〜Dの1週間以内及び4週間以内の使用による各キットの総合的な製品快適性のスコアを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明の1つの態様によれば、多成分局所システムが提供され、該多成分局所システムは、金属酸化物被覆で被覆された少なくとも1つの第1活性剤を含む少なくとも1つの成分と、この活性剤を含まない少なくとも1つの皮膚治療成分とを備える。
【0061】
いくつかの実施形態では、上記活性剤の上記金属酸化物被覆は、次のステップを備える処理により得られる:
(a) 不水溶性活性剤を水性媒体中でイオン添加剤と接触させ、荷電表面を有する活性剤粒子状物質の分散体を得るステップ;
(b) 上記活性剤粒子状物質の表面上に金属酸化物塩を沈殿させて、上記粒子状物質上に金属酸化物被覆を形成するステップ;
(c) 随意にステップ(b)を繰り返すステップ;及び
(d) 上記粒子状物質上の上記金属酸化物被覆をエージング処理するステップ。
【0062】
ステップ(a)の目的は、上記粒子状物質が上記金属酸化物被覆の付着に対して反応するように、イオン添加剤を用いて上記粒子状活性剤の電荷を変化させることである。いくつかの実施形態では、上記イオン添加剤は、カチオン添加剤、アニオン添加剤、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0063】
本明細書で用いる「不水溶性活性剤」という用語は、室温(20℃)で1% w/w未満の水溶解度を有する固体活性剤を指し、代表的には0.5% w/w未満、場合によっては0.1% w/w未満の水溶解度を有する固体活性剤を指す。
【0064】
「活性剤粒子状物質」は、金属酸化物被覆処理により得られる粒子の「核」を構成する。固体不水溶性活性剤粒子状物質は、水中での懸濁を可能にする細分状態にあり、例えば、いくつかの実施形態では0.3〜100ミクロンの範囲内の微粉末状である。このような粒子状物質は、界面活性剤の助けの有無に関わらず、攪拌により、水溶液系中に容易に懸濁させることができる。活性剤粒子状物質は、活性原料自体で構成することができ、又は活性原料及び賦形剤(例えば固体担体)で構成することができる。「活性剤粒子状物質」及び「粒子状物質」という用語は、本明細書では同じ意味で用いる。
【0065】
本明細書において金属酸化物被覆処理のステップ(a)の中で用いる「分散体」という用語は、水性媒体中での粒子状活性剤の固体分散体(固溶体)を指す。
【0066】
上記処理のステップ(a)は、粒子状物質の粒径を所望の粒径まで、例えば製粉又は均質化により、低減させるステップをさらに備えることができる。
【0067】
核(すなわち固体不水溶性粒子状物質)は、任意の形状、例えば棒状、板状、楕円形、立方体、又は球形などとすることができる。
【0068】
本明細書に開示する金属酸化物被覆処理により得られる活性剤粒子状物質の一部は、場合によっては2つ以上の元の固体不水溶性活性剤粒子から形成することができ、したがって場合によっては、複数の核であって、金属酸化物領域により互いに分離された核を含むことができることは明らかである。
【0069】
粒子の総重量に基づく固体不水溶性活性剤粒子状物質(核物質)の重量は、約99% w/w〜約50% w/wの範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、粒子の総重量は、約97% w/w〜約50% w/wの範囲内とすることができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、処理ステップ(b)を、4回〜約1,000回繰り返す。他の実施形態では、少なくとも1つの活性剤の金属酸化物被覆処理は、ステップ(b)を4回〜約300回繰り返すステップを備える。さらに他の実施形態では、ステップ(b)を、約4回〜約100回繰り返す。他の実施形態では、ステップ(b)を、約5回〜約80回繰り返す。他の実施形態では、ステップ(b)を、約5回〜約50回繰り返す。
【0071】
「4回〜約1,000回繰り返す」とは、その処理を4、5、6、7、8、9・・・、等の回数から約1000回を含む回数まで繰り返すことができることを意味する。
【0072】
なお、本発明のシステム中の少なくとも1つの活性剤の金属酸化物被覆処理中には、水性媒体中の活性剤粒子状物質の内容物の少なくとも50%が被覆処理中に固体状態にある。
【0073】
いくつかの実施形態では、分散体中のイオン添加剤の濃度は、約0.001%〜約30%とすることができる。他の実施形態では、分散体中のイオン添加剤の濃度は、約0.01% w/w〜約10% w/wとすることができる。他の実施形態では、分散体内のイオン添加剤の濃度は、約0.1% w/w〜約5% w/wとすることができる。他の実施形態では、水分散体の固体内容物は、約0.1% w/w〜約80% w/wとすることができる。他の実施形態では、水分散体の内容物は、約1% w/w〜約60% w/wとすることができる。さらに他の実施形態では、水分散体の内容物は、約3% w/w〜約50% w/wとすることができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、イオン添加剤は、カチオン添加剤、アニオン添加剤、及びこれらの組み合わせから選択される。カチオン添加剤は、カチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマーとすることができる。アニオン添加剤は、アニオン性界面活性剤及び/又はアニオン性ポリマーとすることができる。
【0075】
理論に縛られることを望まずに、活性剤粒子状物質の被覆処理のステップ(a)として、活性剤粒子状物質は、例えばイオン性界面活性剤の溶液と混合することにより、イオン添加剤と接触させて、上記界面活性剤が粒子状活性剤の表面の少なくとも一部分上に吸収されることを可能にする。イオン性界面活性剤は、例えばカチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマー、又はアニオン性界面活性剤及びカチオン添加剤(例えばカチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマー)である。カチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマー及び随意に追加的アニオン性界面活性剤(又はアニオン性ポリマー)は、粒子状物質の表面上に平均して正電荷を与えるのに十分な量を用いることが必要である。
【0076】
他の実施形態では、上記活性剤の上記金属酸化物被覆は、以下のステップを備える処理により得られる:
(a) 少なくとも1つの不水溶性活性剤を、水性媒体中でカチオン添加剤に接触させて、表面上の少なくとも一部分に正電荷を有する活性剤粒子状物質の分散体を得るステップ;
(b) 上記活性剤粒子状物質の表面上の少なくとも一部分に、金属酸化物塩を沈殿させて、上記粒子状物質上に金属酸化物被覆を形成するステップ;
(b1) 金属酸化物で被覆された活性剤粒子状物質を、(i)追加的カチオン添加剤、及び(ii)非イオン性添加剤から選択される少なくとも1つの添加剤に(例えば、混合により)接触させ、これにより、表面上の少なくとも一部分に少なくとも1つの添加剤を有する、金属酸化物で被覆された活性剤粒子状物質を得るステップ;
(b2) 表面上の少なくとも一部分に少なくとも1つの添加剤を有する、上記金属酸化物で被覆された活性剤粒子状物質の表面上の少なくとも一部分に、金属酸化物塩を沈殿させるステップ;
(c)随意にステップ(b1)及びステップ(b2)を繰り返すステップ;及び
(d)上記粒子状物質上の上記金属酸化物被覆をエージング処理するステップ。
【0077】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)のカチオン添加剤は、カチオン添加剤、又はカチオン添加剤とアニオン添加剤との混合物である。このような実施形態では、上記カチオン添加剤及び上記追加的カチオン添加剤は、同じであるか、又は異なる。他のいくつかの実施形態では、上記カチオン添加剤はカチオン性界面活性剤であり、上記追加的カチオン添加剤はカチオン性ポリマーである。
【0078】
他のいくつかの実施形態では、ステップ(a)のカチオン添加剤は、アニオン添加剤、又はアニオン添加剤とカチオン添加剤との混合物に置き換えることができる。
【0079】
他の実施形態によれば、第1のカチオン添加剤はカチオン性界面活性剤であり、ステップ(b1)の添加剤は非イオン性添加剤(例えば非イオン性ポリマー)である。
【0080】
いくつかの実施形態では、カチオン性界面活性剤は、モノアルキル四級アンモニウム塩、ジアルキル四級アンモニウム塩、及びこれらの混合物から選択される。他の実施形態では、上記モノアルキル四級アンモニウム塩は、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、及びこれらの混合物から選択される。他の実施形態では、モノアルキル四級アンモニウム塩は、塩化セチルトリメチルアンモニウムである。さらに他の実施形態では、上記ジアルキル四級アンモニウム塩は、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムである。
【0081】
上記イオン添加剤は、アニオン性界面活性剤とすることができる。いくつかの実施形態では、上記アニオン性界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アルキルスルホスクシンアミド酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、芳香族炭化水素スルホン酸及びその塩、脂肪アルコールエトキシ硫酸塩、脂肪アルコール硫酸塩、リン酸エステル、及びこれらの混合物から選択される。他の実施形態では、上記アルキルベンゼンスルホン酸塩はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムであり、上記脂肪アルコール硫酸塩はラウリル硫酸ナトリウムであり、上記アルキルスルホコハク酸塩はジオクチルスルホコハク酸塩ナトリウム、及びその混合物である。アニオン性界面活性剤は、上記の任意の混合物とすることができる。
【0082】
本明細書で説明する金属酸化物被覆に用いることができる、付加的なアニオン性及びカチオン性界面活性剤は、米国化粧品トイレタリー香水協会(The cosmetic, Toiletry, and Fragnance Association)により出版された、John A. Wenninger et al. (Editors) International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook (Eighth Edition 2000), Vol. 2 pp.1140-1147に記載されている。この文献の全文を参考文献として本明細書に含める。
【0083】
他の実施形態では、上記少なくとも1つの不水溶性活性剤の上記被覆処理は、ステップ(b)又は(b1)又は(b2)を繰り返す回数によらずに、ステップ(d)に続いて、さらに次のステップを備える:
(e) 上記金属酸化物で被覆された粒子状物質を、上記水性媒体から分離し、随意に該被覆された少なくとも1つの活性剤を水性媒体中ですすいで再分散させるステップ。
【0084】
いくつかの実施形態では、該被覆された少なくとも1つの活性剤の上記分離は、例えばろ過、遠心分離、デカンテーション(傾斜法)、透析のような方法により、又は上記水性媒体の蒸発により行う。
【0085】
さらに、本発明の実施形態によれば、ステップ(b)は、金属酸化物塩を上記水性媒体に加えるステップと、随意に上記水性媒体を酸性化するステップと、を備える。
【0086】
他の実施形態では、上記被覆処理ステップ(b)は、上記水性媒体を酸性化するステップをさらに備える。他の実施形態では、上記被覆処理ステップ(b2)は、上記水性媒体を酸性化するステップを備える。
【0087】
他の実施形態では、処理ステップ(b1)は、ステップ(b)で得られる分散体のpHを、追加的カチオン添加剤を加える前に、金属酸化物の等電点より高い値となるように調節するステップをさらに備える。
【0088】
いくつかの実施形態では、ステップ(b1)は、ステップ(b)で得られる分散体のpHを、追加的カチオン添加剤を加える前に、上記金属酸化物の等電点より高い値となるように調節するステップをさらに備える。他の実施形態では、追加的カチオン添加剤を加える前に、上記金属酸化物の等電点より少なくとも約1単位分高いpH値とする。
【0089】
他の実施形態では、ステップ(b1)は、ステップ(b)で得られる分散体のpHを、(i)追加的カチオン添加剤、及び(ii)非イオン性添加剤の一方又は両方を加える前に、上記金属酸化物の等電点より高い値となるように調節するステップをさらに備える。他の実施形態では、(i)追加的カチオン添加剤、及び(ii)非イオン性添加剤の一方又は両方を加える前に、上記金属酸化物の等電点より少なくとも約1単位分高いpH値とする。
【0090】
例えば、上記金属酸化物が(例えば1.7〜2.5の範囲内の等電点を有する)シリカである場合、上記pHは少なくとも約2.5〜6.5の範囲内とすることができる。
【0091】
なお、理論に縛られずに、上記分散体のpHの上記金属酸化物の等電点より高い値への調節は、粒子状物質の表面上に、上記追加的カチオン添加剤の正電荷と結合される負に帯電した金属酸化物を形成し、これにより上記粒子状物質の表面に上記追加的カチオン添加剤の付着を可能にするために行う。
【0092】
いくつかの実施形態では、上記非イオン性添加剤は、該非イオン性添加剤が上記表面に付着(「表面付着」)するように選択される。上記非イオン性添加剤の例は、非イオン性ポリマーである。上記非イオン性添加剤は、単独で、又は追加的カチオン性界面活性剤に加えて、用いることができる。理論に縛られることを望まずに、上記表面付着の特性は、水素結合を可能にする水酸基又はアミン基などの基を通じて持たせることができる。このことにより、以前に沈殿した金属酸化物被覆上への追加的金属酸化物被覆の付着が可能になる。
【0093】
他の実施形態では、ステップ(b)又は(b2)の各々における活性剤粒子状物質/金属酸化物塩の重量比は、約5,000/1〜約20/1である。他の実施形態では、この比は約5,000/1〜約30/1である。他の実施形態では、この比は約5,000/1〜約40/1である。さらに他の実施形態では、この比は約1,000/1〜約40/1である。他の実施形態では、この比は約500/1〜約80/1である。
【0094】
いくつかの実施形態では、イオン添加剤:不水溶性活性剤粒子状物質の重量比は、約1:1000〜約1:10の範囲内にある。他の実施形態では、この比は約1:200〜約1:50の範囲内にある。他の実施形態では、この比は約1:100である。上記に示す比は、第1のカチオン添加剤のようなイオン添加剤を指し、又は第1のカチオン添加剤とアニオン添加剤との混合物を指す。追加的カチオン添加剤は、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、又はこれらの混合物とすることができる。カチオン性界面活性剤は、上述したものとすることができる。
【0095】
他の実施形態では、ステップ(b1)における活性剤/カチオン添加剤の比は、約25,000/1〜約50/1である。他の実施形態では、この比は約5,000/1〜約100/1である。さらに他の実施形態では、この比は約2000/1〜約200/1である。
【0096】
他の実施形態では、ステップ(b1)における活性剤粒子状物質/カチオン添加剤の重量比は、約10,000/1〜約100/1である。他の実施形態では、この比は約5000/1〜約200/1である。
【0097】
他の実施形態では、第1の被覆した粒子状物質(すなわちステップ(b1)):追加的カチオン添加剤の重量比は、約25,000/1〜約50/1の範囲内にある。他の実施形態では、この比は約5,000/1〜約100/1の範囲内にある。他の実施形態では、この比は、約2000/1〜約200/1にある。
【0098】
他の実施形態では、さらに処理して被覆した活性剤粒子状物質(例えばステップ(c)に記載の繰り返されるステップ):上記追加的カチオン添加剤の重量比は、約25,000/1〜約50/1の範囲内にある。他の実施形態では、この比は約5,000/1〜約100/1である。他の実施形態では、この比は約2000/1〜約200/1の範囲内にある。
【0099】
他の実施形態では、さらに処理して被覆した活性剤粒子状物質(例えばステップ(c)に記載の繰り返されるステップ):上記追加的カチオン添加剤の重量比は、約10,000/1〜約100/1の範囲内にある。他の実施形態では、この比は約5000/1〜約200/1の範囲内にある。
【0100】
非イオン性添加剤(例えば非イオン性ポリマー)を単独で用いるか、追加的カチオン添加剤に加えて用いる場合、第1の被覆した粒子状物質:(i)非イオン性添加剤又は(ii)非イオン性添加剤と上記追加的カチオン添加剤との組み合わせの重量比、及びさらに処理して被覆した粒子状物質:(i)非イオン性添加剤又は(ii)非イオン性添加剤と上記追加的カチオン添加剤との組み合わせの重量比は、上記追加的カチオン添加剤に関して上述したようにすることができる。
【0101】
上記カチオン性ポリマーは、ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ポリ(塩化ジメチルジアリルアンモニウム)(PDAC)、ポリ(アクリルアミド-co-ジアリル-塩化ジメチルアンモニウム)(ポリクオタニウム-7)、ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAH)、キトサン、ポリリシン、及びこれらの混合物から選択される。
【0102】
いくつかの実施形態では、追加的カチオン性ポリマーは、非イオン性モノマーとイオン性モノマーとのコポリマー、例えばピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチルのコポリマーなどとすることもできる。
【0103】
本発明の他の実施形態によれば、追加的カチオン添加剤は、アルミナコロイド、セリアコロイド(CeO2)、アルミナコロイドで被覆したシリカ(例えばLudox(登録商標) CL、Sigma - Aldrich(登録商標))、及びこれらの混合物から選択される。
【0104】
追加的カチオン添加剤は、例えば上述したような正電荷を帯びたコロイド金属酸化物(例えばアルミナコロイド、セリアコロイド(CeO2)、アルミナコロイドで被覆したシリカ、又はこれらの混合物)とすることができる。
【0105】
この処理で用いる非イオン性添加剤は、いくつかの実施形態では、非イオン性ポリマーである。非イオン性ポリマーは、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びこれらの混合物とすることができる。
【0106】
さらに、本発明の実施形態によれば、この処理は、得られた、被覆した活性剤粒子状物質を乾燥させるステップをさらに備える。
【0107】
さらに他の本発明の実施形態によれば、この乾燥させるステップは、噴霧乾燥、凍結乾燥、オーブン乾燥、真空乾燥、及び流動床から選択される方法により行う。
【0108】
ステップ(d)のエージング処理ステップの後、強化された高密度の金属酸化物被覆を、活性剤粒子状物質の周囲で得る。
【0109】
他の実施形態では、ステップ(d)は、pHを3〜9の範囲内の値まで上昇させ、このpHで懸濁液を混合させるステップをさらに備える。
【0110】
金属酸化物被覆処理の実施形態によれば、ステップ(d)は、pHを約3〜約9の範囲内の値まで上昇させるステップを備える。他の実施形態では、pHは約5〜約7の範囲内であり、懸濁液(分散体)をこのpH範囲内で、例えば少なくとも2h(2時間)だけ攪拌することによって混合させる。他の実施形態では、攪拌は約2h〜約96hだけ行う。他の実施形態では、攪拌は約2h〜約72hだけ行う。さらに他の実施形態では、攪拌は少なくとも10h(例えば約10h〜約72hだけ行う)。他の実施形態では、攪拌は約200rpm〜約500rpmの範囲内で行う。
【0111】
他の実施形態では、処理ステップ(d)は、pHを3〜9の範囲内の値まで上昇させ、懸濁液を少なくとも2hの期間だけこのpHで混合させるステップをさらに備える。
【0112】
少なくとも1つの活性剤粒子状物質の金属酸化物被覆のエージング処理は、約4℃〜約90℃の温度で行うことができる。他の実施形態では、上記エージング処理ステップは、約15℃〜約60℃で行う。他の実施形態では、上記エージング処理は約20℃〜約40℃の温度で行う。
【0113】
よって、この処理の最後に繰り返される被覆ステップ及びエージング処理ステップは、より厚くより強固な金属酸化物被覆の成長も可能にする。いくつかの実施形態では、上記エージング処理を、繰り返される被覆ステップどうしの間(例えば、繰り返される被覆ステップ(b)どうしの間)では行なわず、被覆処理の最後にのみ行う。よって、いくつかの実施形態では、上記エージング処理ステップを、本明細書で説明する処理の最後にのみ行う。
【0114】
本発明の他の実施形態では、上記金属酸化物塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ジルコン酸ナトリウム、ジルコン酸カリウム、及びこれらの混合物から選択される。
【0115】
特定の実施形態では、この処理は、コロイド金属酸化物懸濁液を加えるステップをさらに備えることができる。他の実施形態では、コロイド金属酸化物懸濁液は、被覆処理中(例えばステップ(b)中、あるいは繰り返されるステップ(b)のうち1回以上の間)に、(ナノメートルサイズの金属酸化物(金属酸化物のナノ粒子)を含む)水性の懸濁液である。
【0116】
他の実施形態では、コロイド金属酸化物懸濁液は、コロイドシリカ懸濁液、コロイドチタニア懸濁液、コロイドアルミナ懸濁液、コロイドジルコニア懸濁液、コロイドZnO懸濁液、及びこれらの任意の混合物から選択される。
【0117】
いくつかの実施形態では、ナノメートルサイズの金属酸化物の平均粒径は、直径で、約5nm〜約100nmの範囲内にある。ナノメートルオーダーの金属酸化物:金属酸化物塩の重量比は、約95:5〜約1:99の範囲内とすることができる。他の実施形態では、この比は、約80:20〜約5:95の範囲内とすることができる。他の実施形態では、この比は、約70:30〜約10:90の範囲内にある。この比は、約60:40〜約20:80の範囲内にある。ナノメートルサイズの金属酸化物:金属酸化物塩の重量比は、約50:50とすることができる。
【0118】
本発明の他の実施形態では、上記活性剤粒子状物質の金属酸化物被覆処理は、上記活性剤粒子状物質の最外部の金属酸化物被覆の少なくとも一部分を化学修飾するステップをさらに備える。他の実施形態では、上記修飾ステップは、疎水基を、活性剤粒子状物質の最外部の金属酸化物被覆の少なくとも一部分に付着させるステップを備える。本発明のさらに他の実施形態では、化学修飾ステップは、シラノール基を、活性剤粒子状物質の最外部の金属酸化物被覆の少なくとも一部分上で、モノハロトリアルキルシラン、ジハロジアルキルシラン、トリハロアルキルシラン、モノアルコキシトリアルキルシラン、ジアルコキシジアルキルシラン、トリアルコキシアルキルシラン、及びこれらの混合物から選択される前駆体と反応させるステップを備える。
【0119】
いくつかの実施形態では、上記アルキル基は1〜18個の炭素原子を含む。他の実施形態では、上記アルキル基は1〜6個の炭素原子を含む。他の実施形態では、上記アルキルはメチルである。上記アルキル基は、一つ以上のフルオロ原子で置換することができる。他の実施形態では、上記アルコキシ基は1〜6個の炭素原子を含む。他の実施形態では、上記アルコキシ基は1〜2個の炭素原子を含む。
【0120】
上記ハロ基は、例えばクロロ、ブロモ、ヨード、フルオロとすることができる。いくつかの実施形態では、上記ハロ基はクロロ及びブロモである。他の実施形態では、上記アリルはフェニル又はベンジルである。
【0121】
上記前駆体は、金属酸化物被覆の表面上でシラノール基と反応して、シロキサン結合を形成する。
【0122】
疎水基の金属酸化物被覆の表面への付着は、乾燥させた、被覆した粒子状物質を上記前駆体と反応させることにより、行うことができる。疎水基を金属酸化物に付着させる手順は、次のように行うことができる:乾燥させた、被覆した粒子状物質の粉末を、例えばトルエンのような有機溶媒中に懸濁させる。上記リストからの前駆体(疎水化試薬)、例えばジメチルジクロロシランを、随意にハロゲンスカベンジャー、例えばトリアルキルアミン又はトリエタノールアミンなどの存在下で、有機相(混合物)に加える。この有機混合物を少なくとも約24時間だけ還流させて、金属酸化物被覆の表面上で疎水基をシラノール基に付着させることによって、金属酸化物被覆を疎水基で覆う。
【0123】
本発明の他の実施形態では、上記活性剤の金属酸化物被覆は、0.1〜10ミクロンの幅(厚さ)を有する。本発明の他の実施形態によれば、得られた金属酸化物被覆は、約0.1、0.2、0.3、0.5、0.7、1、1.5、2、又は5ミクロン、又はそれ以上の幅を有する。いくつかの実施形態では、得られた金属酸化物被覆は、10ミクロン以下の幅を有する。
【0124】
金属酸化物被覆の幅を、例えば透過型電子顕微鏡又は共焦点顕微鏡により測定して、粒子状物質の円形断面領域における最小幅が少なくとも例えば0.1ミクロンとなるようにすることができる(幅は、粒子の表面(即ち、金属酸化物の表面)から核−金属酸化物の境界面までの最短距離として測定する)。
【0125】
本発明の実施形態では、金属酸化物で被覆した活性剤粒子状物質は、約0.5ミクロン〜約100ミクロンの直径を有し、他の実施形態では、粒子状物質の直径は約1ミクロン〜約50ミクロンの範囲内にある。さらに他の実施形態では、粒子状物質の直径は約2ミクロン〜約30ミクロンの範囲内にある。
【0126】
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、特に断りのない限り、各要素は複数存在し得る。
【0127】
なお、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、特に断りのない限り、「備える」という用語やその変形語は、記載の個数又はステップを含むことを意味するが、記載以外の個数又はステップを排除することを意味するものではない。
【0128】
以下の例は、本発明の態様を実施するにあたって、発明者が採用した技術の代表例である。これらの技術は本発明の実施のための好的な実施形態であり、本願の開示に照らせば、本発明の精神及び意図する範囲から逸脱することなく、多数の変更を加え得ることは、当業者の認める所である。
【0129】
例:
以下の例では、溶液を参照する全ての%値は、(w/w)の値である。分散体を参照する全ての%値は、(w/w)の値である。
以下の例で用いる全ての溶液は、特に断りの無い限り、示される原料の水溶液を指す。
【0130】
例1:BPOのシリカ被覆
ステップ1: 製粉: 含水BPO 75%(Sigma社からのUSPグレード)110gを、0.001%のシリコン消泡剤を含む0.4% CTAC溶液152g中に懸濁させた。ステータ・ロータ型ミキサー(15,000 rpm/25m/sで動作させたKinematika polytron 6100)を用いてBPOを製粉した。懸濁液の粒径分布(PSD: Particle Size Distribution)がd(0.9)<35μmになった時又は温度が50℃に達した時、製粉を止めた。最終的な懸濁液を、室温まで冷却した。
【0131】
ステップ2a: 被覆オプション#1: 被覆手順中に、80mm溶解機を用いて、常に500 RPMで懸濁液を攪拌した。製粉されたBPO懸濁液のpHを、NaOH 5N溶液を用いて、8に修正した。15%ケイ酸ナトリウム溶液(SiO2としての15%w/w)の1gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。3%ポリクオタニウム7の1gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。5N HCl溶液を用いて、pHを6〜7に調節した。
BPOの周囲に異なる厚さを有する一連のシリカ被覆を生成するために、この手順を5〜100回繰り返した。
【0132】
ステップ2b: 被覆オプション#2: 被覆手順中に、80mm溶解機を用いて、常に500RPMで懸濁液を攪拌した。製粉されたBPO懸濁液のpHを、NaOH 5N溶液を用いて、8に修正した。15%ケイ酸ナトリウム溶液(SiO2としての15%w/w)の2.5gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。3%ポリクオタニウム7の2.5gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。5N HCl溶液を用いて、pHを6〜7に調節した。
BPOの周囲に異なる厚さを有する一連のシリカ被覆を生成するために、この手順を5〜100回繰り返した。
【0133】
エージング処理ステップ: pH6.5の被覆したBPO懸濁液を、低速で攪拌しながら24時間、室温(25℃+/-2℃)に保ってエージング処理した。
【0134】
例2:アニオン性界面活性剤を用いたBPOのシリカ被覆
ステップ1: 製粉: 含水BPO 75%(Sigma社からのUSPグレード)110gを、0.005%のシリコン消泡剤を含む0.4%ドデシルスルホン酸ナトリウム(SDS: Sodium Dodecyl Sulphonate)溶液152g中に懸濁させた。ステータ・ロータ型ミキサー(15,000 rpm/25m/sで動作させたKinematika polytron 6100)を用いてBPOを製粉した。懸濁液の粒径分布(PSD)がd(0.9)<35μmになった時又は温度が50℃に達した時、製粉を止めた。最終的な懸濁液を、室温まで冷却し、3%ポリクオタニウム7の1〜2.5gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。
【0135】
ステップ2a: 被覆オプション#1: 被覆手順中に、80mm溶解機を用いて、常に500 RPMで懸濁液を攪拌した。製粉されたBPO懸濁液のpHを、NaOH 5N溶液を用いて、8に修正した。15%ケイ酸ナトリウム溶液(SiO2としての15%w/w)の1gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。3%ポリクオタニウム7の1gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。5N HCl溶液を用いて、pHを6〜7に調節した。
BPOの周囲に異なる厚さを有する一連のシリカ被覆を生成するために、この手順を5〜100回繰り返した。
【0136】
ステップ2b: 被覆オプション#2: 被覆手順中に、80mm溶解機を用いて、常に500 RPMで懸濁液を攪拌した。製粉されたBPO懸濁液のpHを、NaOH 5N溶液を用いて、8に修正した。15%ケイ酸ナトリウム溶液(SiO2としての15%w/w)の2.5gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。3%ポリクオタニウム7の2.5gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。5N HCl溶液を用いて、pHを6〜7に調節した。
BPOの周囲に異なる厚さを有する一連のシリカ被覆を生成するために、この手順を5〜100回繰り返した。
【0137】
エージング処理ステップ: pH6.5の被覆されたBPO懸濁液を、低速で攪拌しながら24時間、室温(25℃+/-2℃)に保ってエージング処理した。
【0138】
例3: 金属酸化物で被覆したBPOを備えた局所キット
【0139】
【表1】
【0140】
金属酸化物被覆処理は、上記例1に開示した処理ステップに従って行った。
キットA:
【0141】
【表2】
【0142】
【表3】
【0143】
【表4】
【0144】
キットB:
【0145】
【表5】
【0146】
【表6】
【0147】
【表7】
【0148】
例4: 金属酸化物で被覆したBPOを備えた局所キット
80人の患者(各治療グループに20人)を含めるように二重盲検無作為化試験を計画した。以下に列挙するように、患者がキットA、B、C、又はDのいずれかを受け取るように、患者を無作為に割り当てた。
【0149】
テストキット
この試験では、4つのキットを比較した:
(本発明の)キットA:
? 成分A1(クレンザー): 活性原料としての、4%シリカで被覆したBPO、沈静/鎮静特性を持つ植物性原料、及び角質除去ビーズ。
? 成分A2(トナー): グリコール酸と沈静及び鎮静植物性原料。
? 成分A3(ローション): 活性成分としての、4%シリカ被覆BPO、及び改善された有効特性を持つ植物性原料。
【0150】
(本発明の)キットB:
? 成分B1(クレンザー): 活性原料としての、7%シリカで被覆したBPO、沈静/鎮静特性を持つ植物性原料、及び角質除去ビーズ。
? 成分B2(トナー): 2%サリチル酸と沈静及び鎮静特性の薬剤。
? 成分B3(ローション): 活性原料としての、7%シリカで被覆したBPO、及び改善された有効特性を持つ植物性原料。
【0151】
キットC(対照)
? 成分C1(クレンザー): 活性原料としての、被覆しない自由な2.5% BPO、及び植物性抽出物。
? 成分C2(トナー): グリコール酸、植物性抽出物。
? 成分C3(ローション): 活性原料としての、被覆しない自由な2.5% BPO、植物性原料。
【0152】
キットD(対照)
? 成分D1(クレンザー): 活性原料としての、被覆しない自由な7% BPO、及び植物性抽出物。
? 成分D2(トナー): 活性原料としての、2%サリチル酸、植物性抽出物。
? 成分D3(ローション): 活性原料としての、被覆しない自由な7% BPO。
不活性原料: 植物性原料
【0153】
治療計画
1日の朝夕2回、1ヶ月間、このキットの各成分を順に塗布するように患者に要求した。
ステップ1−クレンザー成分
湿った皮膚に少量を塗布して優しくマッサージする。温水で完全に洗い流し、パッティングして乾かす。ステップ2−トナー成分に続く。
ステップ2−トナー成分
洗浄した皮膚に綿ボール又はパッドで塗布する。トナーが乾くまで待ち、ステップ3−ローション成分に続く。
ステップ3−ローション成分
清潔な皮膚上の患部全体に薄く塗布する。乾くまで待つ。洗い流してはならない。
【0154】
0、8、15、22、及び29 日目(±3日)に、試験調査責任者により有効性及び安全性パラメータについて患者を評価した。本試験の合計継続期間は4週間だった。最初の被験者は2008年4月に参加し、最後の被験者は2008年6月に診療所に戻ってきた。
【0155】
試験母集団の選択
試験対象患者基準
本試験に参加するのに適格であると認められるためには、各被験者は以下に列挙する試験対象患者基準を満たす必要があった。
1.患者は、次のように決定される軽度から中等度の顔面尋常性ざ瘡を有すること:
? 少なくとも3つの開放及び/又は閉鎖面皰(非炎症性病変)
? 少なくとも6つの丘疹及び/又は膿疱(非炎症性病変)
? 重度の嚢胞性座瘡が無いこと(? 4つの病変)
? 種類毎に25個より多くの病変が無いこと(非炎症性病変と炎症性病変との合計)
2.16〜35歳の男性及び女性
3.女性被験者は、効果的な避妊法を使用した。避妊ピルを使用する時、女性被験者は本試験に参加する前の3ヶ月以内はいかなる変更も行っているべきではない。
4.被験者は本試験の全継続期間中、あらゆる局所(顔面)製品又は薬用シャンプーの使用を控えることに協力的だった。
5.被験者はインフォームド・コンセント・フォームを記載して提出した(被験者が16〜18歳である場合、インフォームド・コンセント・フォームは被験者の法定代理人により署名されなければならなかった)。
6.被験者は本試験継続期間全体を通して、1日2回、全3ステップのキットを使用することに協力的だった。
【0156】
試験対象患者除外基準
被験者は、以下のうち1つの基準を満たす場合、本試験から除外された:
1.過酸化ベンゾイル又はサリチル酸/グリコール酸に対する既知の過敏症。
2.被験者がインフォームド・コンセントを提出するか、本試験を完了させる能力に悪影響を与える医学的又は精神的疾患。
3.妊娠中又は授乳中の女性。
4.参加前の直近4週間以内に皮膚表面に影響を与えた可能性がある薬、例えばレチノイド、抗生物質、及びコルチコステロイドなどの使用、及び直近6ヶ月以内にイソトレチノインの使用(試験前には1つの治療コースのみが許可された)、局所的抗ざ瘡薬物治療の使用(臨床試験前の2週間の期間中)、参加前の3ヶ月以内及び本試験の進行中に避妊ピルの変更。
5.重度のアレルギー、慢性肝臓疾患、慢性腎臓疾患、悪性腫瘍、又はHIVや肝炎などの接触感染症を含む他の既知の病気。
6.本試験前の1ヶ月間に、ざ瘡、ざ瘡瘢痕、又はざ瘡色素過剰の治療、レーザー治療、マイクロダーマブレーション(微小皮膚剥離)、光治療等のために美容又は皮膚施術を受けた被験者、又は参加前の2週間の期間中に人工日光浴の使用又は太陽下で休日を過ごしていた被験者。
7.面皰を生じやすい化粧品の使用。
8.調査員によりアルコール又は薬物の乱用と評価されたこと。
9.本試験前の30日以内に臨床試験への参加。
【0157】
評価スケジュール及び試験手順
スクリーニング来診
スクリーニング来診中に、各被験者を試験対象患者基準及び試験対象患者除外基準について評価した。適格な被験者は、インフォームド・コンセント・フォームに署名し、治療キット上の番号と同一の被験者番号(連続番号)を受けた。本試験前の直近30日以内に服用したあらゆる薬を含む医療歴及びざ瘡歴を調査した。人口統計の詳細を集収した。ざ瘡の重症度を調査員により評価し、全ての病変の数を数えた。全ての女性被験者は、尿妊娠検査を受けた。
【0158】
基準来診
基準来診中に、あらゆる併用薬の使用を含む、前回の来診から適格基準に何らかの変化が生じたか否かを確証するため、被験者は面接を受けた。調査員は全ての病変の数を数えた。文書のために写真を撮影した。各被験者は適切な医療キット、家で書き上げるための日記帳、及び使用説明書を受け取った。1週間後に診療所に戻るように被験者に指示した。
【0159】
来診3、4、及び5(8、15、及び22日目 ± 3日)
週1回の来診中に、被験者を診察し、調査員が有効性及び安全性パラメータを評価した。
有効性は病変の数を数えることにより評価し、改善レベルは調査員が判定した。各来診では顔の写真を撮影した。
安全性は、調査員が忍容性パラメータ、全ての有害事象、及び併用薬を再調査して記録することにより、評価した。
来診3中に、患者がアンケートに全て回答した。
【0160】
試験最後の来診(来診6、29日目 ± 3日)
この来診中に、被験者を診察し、有効性及び安全性パラメータを評価した。
調査員は病変の数を数えた。顔の写真を撮影した。被験者は本来診中に2つ目のアンケートに全て回答した。有害事象及び併用薬を再調査して記録した。
【0161】
併用薬
局所顔面治療を含む、本試験中に被験者が服用した全ての併用薬は、文書に記録しなければならなかた。
被験者には面皰を生じにくい化粧品を使用するように指示した。本試験中では、被験者には、あらゆる種類のレチノイド、あらゆる種類のコルチコステロイド、あらゆる種類の抗生物質、及びあらゆる抗ざ瘡薬の使用を認めなかった。
【0162】
忍容性及び安全性評価
各来診において、皮膚の刺激(紅斑、浮腫、乾燥、落屑/剥離)及び主観的忍容性(刺す感覚/灼熱感、痒み、圧迫感)について、被験者を調査員により視覚的に評価した。
各終点を次のように0〜3で等級付けした。
? 0 = 視覚的な異常反応無し
? 0.5 = 非常に軽度
? 1 = 軽度
? 2 = 中等度
? 3 = 重度
さらに、それ以前の週の期間中に発生した可能性のある他のあらゆる有害事象に関して、被験者に調査員が質問した。
全ての来診において有害事象を記録した。
本試験薬剤への関連は次のように定義した:無関係、関係があり得る、おそらく関係がある。
被験者が耐えられない場合にのみ、予期された有害事象(軽度の乾燥、剥離又は刺す感覚/灼熱感)を、有害事象として報告した。
【0163】
有効性評価
各来診中に、顔面全体から病変の数を数え、評価した。病変は、非炎症性、炎症性、のいずれかに分類した。
非炎症性の病変には、ブラックヘッド面皰及びホワイトヘッド面皰が含まれていた。
炎症性の病変には、丘疹、膿疱、結節、及び嚢胞が含まれていた。調査員には、グローバルアセスメント(IGA:調査員による総合評価)を用いてざ瘡疾患の改善の評価を要求した。改善の等級付けは次のとおりとした:
? 0 = 炎症性又は非炎症性の病変の無いきれいな皮膚。
? 1 = ほぼきれい、まれに非炎症性の病変があり、2つ以上の小さな炎症性の病変が無い。
? 2 = 等級1より大きな軽度の重症度、いくつかの非炎症性の病変があり、炎症性の病変は2、3個しか無い(丘疹/膿疱のみ、結節性病変が無い)。
? 3 =中等度の重症度、等級2より大きい、多数に及ぶ非炎症性の病変があり、いくつかの炎症性の病変が有り得るが、2つ以上の小結節性の病変がない。
? 4 = 重度;等級3より大きい、多数に及ぶ炎症性及び非炎症性の病変があるが、結節性病変は2、3個しか無い。
被験者には、被験者の治療の満足レベルを評価するため、アンケートに全て回答するようにも要求した。アンケートは来診3及び来診6中に全て回答されるようにした。
【0164】
治療遵守
各来診中に、被験者には、3キットの化合物のうちいずれか1つでも受けなかった治療について報告するように要求した。被験者がその後の日々のうち10%より多くの時間だけ薬剤を塗布しなかった場合、その被験者は服薬不履行であると判断した。
【0165】
統計的分析
サンプルサイズ
統計的分析を少なくとも64人の被験者に対して行うため(20%の割合が脱落することを考慮)、合計80人の被験者(各グループ内に20人)を本試験に参加させることとした。この被験者数によって統計的に有意な結果を得ることは予定していなかった。
【0166】
統計的計画
4つのグループの連続変数の差を、事後に行うScheffe & Gabriel検定及び適宜行うBrown-Forsythe のロバスト(頑健性) 検定とともに、ANOVA(分散分析)モデルにより分析した。
4つのグループの順序変数の差を、Kruskall-Wallis検定により分析した。
ペア単位の比較を、複数の比較についてのBonferron補正とともにMann-Whitney検定を用いて分析した。
連続変数の基準の変化を、事後検定及び対照とともに反復評価モデルにより分析した。
カテゴリ変数を、χ2検定又はフィッシャーの正確率検定を用いてテストした。
全ての検定は両側検定だった。
統計的分析は、治験実施計画書に適合した対象集団(Per-Protocol Set)に基づき行った。
遵守は、包括解析データ集合(ITT: Intent to Treat)及び治験実施計画書に適合したデータ集合の両方に基づき分析した。
欠測値の補完は行わなかった。
有意水準はσ=0.05に設定し(0.95の信頼区間)、p(確率)値を全ての統計的テストに対して示した。
評価の多重性のためのp値の調節は行わなかった。
複数の対比を、Shceffe検定、Dunnett検定、又はBonferroni補正によりテストした。
【0167】
被験者の評価のための基準
包括解析(ITT)グループは、少なくとも1つの治療を受けた全ての被験者を含んでいた。有効性評価に有効である治験実施計画書に適合した(PP)母集団は、いかなる重大な治験実施計画書の違反も無く、4週間の治療を完了した評価可能な被験者全員として定義した。
【0168】
試験結果
被験者の処理
78人の被験者が本試験に参加した。20人をキット(A)に割り当て、19人をキット(B)に割り当て、20人をキット(C)に割り当て、19人をキット(D)に割り当てた。治験実施計画書に適合したグループは、67人の被験者を含んでいた。11人の被験者を、治験実施計画書に適合した分析から除外した:キット(A)のうち1人の被験者を、有害事象により除外した。キット(B)のうち3人の被験者を、2人は禁止薬剤の使用により、1人は続行しなくなったことにより、除外した。キット(C)のうち2人の被験者を、1人は有害事象により、1人は続行しなくなったことにより、除外した。5人の患者が、コンセントの辞退により、又は続行しなくなったことにより、キット(D)を取りやめた。
【0169】
基準特性
4つの治療グループは、その基準特性(人口動態、ざ瘡疾患の継続期間、基準症状の重症度)において似ていた。A、B、C、及びDの治療グループ内の被験者の78.9%、81.3%、83.3%、及び64.3%(それぞれ)が女性だった。平均年齢は、グループAでは18.5歳 ± 4歳(最年少15.8歳、最年長31歳)であり、グループBでは19.1歳 ± 2.9歳(最年少16歳、最年長27歳)であり、グループCでは18.7歳 ± 2.4歳(最年少16歳、最年長24歳)であり、グループDでは17.1歳 ± 1.3歳(最年少16歳、最年長20歳)であった。
【0170】
【表8】
【0171】
忍容性評価(図1及び2)
全ての試験来診を通して、忍容性及び安全性パラメータを調査員が評価した。
次のパラメータを評価した:紅斑、浮腫、乾燥、落屑/剥離、刺す感覚/灼熱感覚、痒み、及び圧迫感。各終点を、説明したように0〜3で等級付けした。
患者が耐えられない場合のみ、忍容性パラメータを有害事象として報告した。
安全性及び忍容性パラメータの統計的分析を、ITT集団(少なくとも1つの治療を受けた全ての患者)について行った。
治療1週間後 − 治療キット間で忍容性の著しい差は見られなかった。
第2週に、キットAは、キットDより大幅に低い乾燥スコアを得た(p=0.002)。
第2週に、キットAは、キットDより大幅に低い落屑スコアを得た(p=0.006)。
第3週に、キットA及びBは、キットDより大幅に低い乾燥スコアを得た(それぞれρ=0.000、p=0.004)。
第3週に、キットAは、キットDより大幅に低い落屑スコアを得た(p=0.003)。
グループ間の著しい差は無かったが、第3週にキットAは、キットCより大幅に低い乾燥及び刺す感覚スコアを得た。
【0172】
第4週に、キットA及びBは、キットDより大幅に低い乾燥スコアを得た(それぞれp=0.000、p=0.004)。
第4週に、キットAは、キットDより大幅に低い落屑スコアを得た(p=0.001)。
第2週に、キットAは、キットDより大幅に低い累積皮膚刺激スコアを得た(p=0.002)。
第3週に、キットA及びBは、キットDより大幅に低い累積皮膚刺激スコアを得た(それぞれp=0.001、p=0.007)。
第4週に、キットA及びBは、キットDより大幅に低い累積皮膚刺激スコアを得た(それぞれp=0.003、p=0.008)。
グループ間の著しい差は無かったが、第2週現在で、及び全治療期間に渡って、キットA及びBは、キットCより低い累積皮膚刺激スコアを得た。
第3週と第4週に、キットA及びBは、キットDより大幅に低い皮膚刺激スコアを得た(全てのp値>0.008)。
【0173】
有効性結果
病変数
6つの来診の各々における、炎症性病変数、非炎症性病変数、及び合計病変数を数えた結果に基づき、有効性評価を行った。
炎症性病変は、開放(ブラックヘッド)及び閉鎖(ホワイトヘッド)面皰を含んでいた。炎症性病変は、丘疹、膿疱、及び結節嚢胞性の病変を含んでいた。
基準と比較した各週の改善率を、患者毎に算出し、次にグループ毎の平均値を算出した。
【0174】
病変の合計数(図3及び4)
第2週に、キットB(65.6%)は、キットD(41.7%)とキットC(44.6%)に比べてずっと大きな変化率が存在した(それぞれp=0.020、p=0.033)。
第4週に、及び全治療期間中に、キットB(74.9%)は、キットD(61.2%)とキットC(60.5%)に比べてずっと大きな変化率が存在した(それぞれp=0.047、p=0.030)。
【0175】
非炎症性病変(図5及び6)
第2週に、キットB(69.6%)は、キットD(45.1%)とキットC(41.0%)に比べてずっと大きな変化率が存在し(それぞれp=0.016、p=0.033)、キットA(40.4%)と比べて大きな変化率が存在した。
第4週に、及び全治療期間中に、キットB(76.4%)は、キットA(66.5%)及びキットD(58.8%)とキットC(59.3%)に比べてずっと大きな変化率が存在した(それぞれp=0.052、p=0.010、p=0.021)。
付加的な分析を、黒色及び白色面皰について別々に行った。
【0176】
黒色面皰(図7)
グループ間の著しい差は無かったが、第2週に、キットD(51.8%)、キットC(54.4%)と比べて、キットB(80.9%)による黒色面皰の大きな減少があった。
第4週に、キットD(66.0%)とキットC(64.2%)に比べて、キットB(85.5%)及びキットA(79.4%)による黒色面皰の大きな減少があった。
【0177】
白色面皰(図8)
グループ間の著しい差は無かったが、第2週に、キットD(44.3%)とキットC(34.7%)に比べて、キットB(64.6%)による黒色面皰の大きな減少があった。
全体的な対比として、キットA及びキットDとC(それぞれp=0.040、p=0.040、p=0.008)と比べて、キットBによる黒色面皰にずっと大きな減少があった。
【0178】
炎症性病変(図9及び10)
グループ間の著しい差は無かったが、第4週に、キットB(71.6%)及びキットA(73.8%)は、キットD(63.1%)とキットC(63.0%)に比べて、大きな変化率が存在した。
【0179】
調査員の総合評価(IGA: Investigator's Global Assessment)
有効性も調査員の総合評価により評価した。
グループ間の著しい差は無かったが、第2週に(第1週と比べて)、キットB(52.9%)及びキットA(41.2%)は、キットD(13.3%)とキットC(15.4%)に比べて、大きな率割合が存在した。
治療の第3及び第4週後に、IGAスコアが増加した。
グループ間の著しい差は無かったが、第4週に(第3週と比べて)、キットB(72.2%)及びキットA(82.4%)は、キットD(60.0%)とキットC(35.7%)に比べて、割合が増加した。
第4週には、キットBのみが優れた改善を示した(11%)。
【0180】
消費者アンケート(図11)
各患者は、来診3及び6の期間中(治療の1週間後及び4週間後)に、治療満足度アンケートに全て回答した。患者の本治療の満足レベルに関連するパラメータを示す。
1週間の治療後、キットB及びAについて最も高い満足度結果を得た:
グループ間の著しい差は無かったが、第1週には、「皮膚の発赤の著しい改善」からの患者の評点は、キットD(7.1%)とキットC(7.1%)に比べて、キットB(22%)及びキットA(24%)の方が高かった。
グループ間の著しい差は無かったが、第1週には、「キットの有効性について著しく満足した」からの患者の評点は、キットA(70.6%)が最も高かった。
グループ間の著しい差は無かったが、第1週には、「最初の使用から3日以内に改善が見られた」からの患者の評点は、キットA(87.5%)が最も高かった。
グループ間の著しい差は無かったが、第1週には、「ブラックヘッドを低減させる」からの患者の評点は、キットA(92.9%)が最も高かった。
グループ間の著しい差は無かったが、第1週には、「刺す感覚を起こさない」からの患者の評点は、キットA(76.5%)が最も高かった。
【0181】
治療の4週間後、キットB及びAはさらに高い満足結果を見せ続けた。
グループ間の著しい差は無かったが、第4週には、「病変数に著しい改善が見られた」からの患者の評点は、キットB(78.9%)が最も高かった。
グループ間の著しい差は無かったが、第4週には、「皮膚全体の外見に著しい改善が見られた」からの患者の評点は、キットB (84.2%)が最も高かった。
第4週には、「優しく、使用後に刺激を感じない」からの患者の評点は、キットD(50.0%)及びキットC(64.3%)と比べて、キットB(89.5%)及びキットA(83.3%)が最も高かった(p=0.038)。
第4週には、「刺す感覚を生じさせない」からの患者の評点は、キットD(43.8%)及びキットC(57.1%)と比べて、キットB(78.9%)及びキットA(83.3%)が最も高かった(p=0.001)。
第4週には、「皮膚を乾燥させない」からの患者の評点は、キットD(31.3%)及びキットA(50.0%)と比べて、キットB(68.4%)及びキットC(94.4%)が最も高かった(p=0.047)。
【0182】
結論
本治療の有効性は、3つの異なるパラメータにより評価した;病変数(合計、非炎症性、及び炎症性)、調査員の総合評価(IGA: Investigator's Global Assessment)、及び被験者が(消費者アンケートにより)報告した治療満足度。
【0183】
4つの治療グループの比較的小さなサンプルサイズにも関わらず、キットA及びBとキットC及びDとの間の臨床的に大幅な、かつ統計的に有意な差が見られた。
【0184】
キットBは、2つのキットD及びCの治療グループと比べて、合計病変数に統計的に有意な低減を示した。治療2週間後には著しい差が見られ、この差は本試験の最後まで続いた。
【0185】
キットA及びBとキットC及びDとの差は、IGAスコア(調査員による改善の総合評価)によっても見られた。キットA及びBの両方が、より高い改善の割合を示した。両者の差は、統計的に有意ではなかった。
【0186】
4つの治療グループによる試験被験者アンケートの結果の比較は、ざ瘡病変数の低減と皮膚全体の外見の改善を達成するのに、キットA及びBがずっと有効的であると認識されたことを示した。
【0187】
より高率の満足度を示した他のパラメータは、次の主張を含んでいた:
− 優しく、刺激が無い(キットBの治療が89.5%であるのに対してキットDが50%)、
− 刺す感覚を生じさせない(キットBの治療が83.3%であるのに対してキットCが64.3%)、
− 皮膚を乾燥させない(キットAの治療が94.4%であるのに対してキットCが50%)。
【0188】
4つの治療グループの異なる忍容性パラメータの比較により、キットA及びBの両方が、キットC及びDより良好に忍容されたことが示された。
【0189】
治療の2週間後、乾燥肌及び落屑の比率及び重症度は、キットC(乾燥肌については0.002、落屑については0.006)に対してキットAが大幅に低いと被験者に認識された。治療の4週間後、キットBとキットDとの乾燥肌及び落屑の比率及び重症度は、それぞれ乾燥肌については0.007、落屑については0.023であった。
【0190】
本試験の有効性及び忍容性の結果は、軽度及び中等度のざ瘡を患った被験者は、キットA及びBを使用することにより、従来技術のキットC及びDを使用する場合と比べて、副作用が低減してざ瘡病変がより良く改善することにより、より効果的かつ安全に恩恵を受けることができることを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、局所用かつ皮膚科用のシステム及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
過去40年間、過酸化ベンゾイル(BPO: Benzoyl Peroxide)は、皮膚ざ瘡の治療に良好に用いられてきた。BPOは、プロピオン酸菌属のざ瘡(pざ瘡)の根絶を意図した最も効果的な局所治療であると考えられている。抗生物質とは異なり、BPOは菌耐性を生じさせない。さらに、BPOは皮膚の最上層を除去する角質溶解化合物であるため、皮膚細胞が、毛穴を詰まらせにくく、毛孔性角栓の剥離を増進する。BPOの使用の副作用の一部は、BPOと接触している皮膚部分の乾燥及び刺激である。
【0003】
BPOを含む多くの個々の皮膚治療製品が知られ、市販されている。さらに、BPOを他の皮膚コンディショニング製品とともに備えたキットも知られている。ざ瘡を患った患者は、BPO治療の結果として、乾燥、刺激、紅斑、鱗屑性皮膚などの副作用を患うことが多い。既知のBPOベースの製品中の従来のカプセル化されていないBPO結晶は、皮脂中で速やかに溶解し、重度の副作用を生じさせる。さらに、このようなカプセル化されていないBPO結晶は、短期間の抗菌作用を提供するのに対して、カプセル化されたBPOは、速やかには溶解せず、所望の目標部位にて長期のBPOの治療濃度を維持する。頻繁なる消費者の競合製品への移行に加えて、これらの副作用の症状及び有効性の減少は、患者がこのようなBPO製品を変更し、さらには放棄し、そして抗生物質へ切り換えることを引き起こすことが多い。
【0004】
とりわけざ瘡の治療用の被覆型皮膚治療システムであって、このような副作用を防止し、システムの成分の(例えばBPOのような活性剤を伴うか伴わない)組み合わせが投与法と合わせて、従来の既知のBPOキットと比べて優れた治療結果を提供するような被覆型皮膚治療システムを提供することは、非常に有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6303149号明細書
【特許文献2】米国特許第6238650号明細書
【特許文献3】米国特許第6468509号明細書
【特許文献4】米国特許第6436375号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0037087号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2002/0064541号明細書
【特許文献7】国際公開第2000/009652号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2000/072806号パンフレット
【特許文献9】国際公開第2001/080823号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2003/003497号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2003/039510号パンフレット
【特許文献12】国際公開第2000/071084号パンフレット
【特許文献13】国際公開第2005/009604号パンフレット
【特許文献14】国際公開第2004/081222号パンフレット
【特許文献15】欧州特許第0934773号明細書
【特許文献16】米国特許第6337089号明細書
【特許文献17】欧州特許第0941761号明細書
【特許文献18】米国特許第6251313号明細書
【特許文献19】米国特許第4931362号明細書
【特許文献20】英国特許出願公開第2416524号明細書
【特許文献21】米国特許第6855335号明細書
【特許文献22】国際公開第2003/066209号パンフレット
【特許文献23】国際公開第1998/031333号パンフレット
【特許文献24】米国特許第6495352号明細書
【特許文献25】米国特許第5292801号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】John A. Wenninger et al. (Editors) International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook (Eighth Edition 2000), Vol. 2 pp.1140-1147
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数成分を備えた多成分局所システムであって、これらの成分は、金属酸化物で被覆した活性剤、及び該活性剤を含まない皮膚治療成分を含む多成分局所システムが、活性剤が被覆されていない既知のシステムと比べて、驚くほど有益で、予想外に強化され、より効果的な皮膚疾患の治療を提供することの発見に基づくものである。本発明の多成分局所システムの強化され改善された効果は、システムの各成分を別個に使用した場合の効果より大きいことが判った。
【0008】
皮膚に接触すると、活性剤は、被覆内から遅く時間をかけて効率的に皮脂中に抽出され、好ましくは目標の治療部位に(例えばプロピオン酸菌属のざ瘡がある皮脂腺に)たどりつく。金属酸化物で被覆した活性剤の塗布により皮膚が酸化剤濃度の急増に晒されることがないため、局所的な副作用の著しい低減をもたらし、ずっと高濃度の活性剤の使用とさらに効率的かつ持続した効果とを可能にする。上記活性剤を含まない皮膚治療成分とともにこのような金属酸化物で被覆した活性剤を使用することにより、自由な活性剤を含んだキット又はシステムと比べて、ずっと効率的、長期的、及び強力な皮膚又は粘膜の疾患及び障害の治療を提供することができる。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、多成分局所システムが提供され、該多成分局所システムは、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第1活性剤を含む少なくとも1つの成分と、該活性剤を含まない少なくとも1つの皮膚治療成分とを備える。
【0010】
本明細書で用いる「多成分局所システム」という用語は、局所用及び/または皮膚科用の、同じ又は異なる内容物を有する少なくとも2つの成分の配列又は集まりを包含するものである。いくつかの好適例では、システムは、同じ又は異なる管又は容器内に収容された同じ又は異なる内容物を有する2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の成分であって、局所用及び/又は皮膚科用の同じ又は異なる担体及び活性剤を有する成分を備える。
【0011】
なお、本発明のシステムは、被験者により直接的には使用されず、むしろ本システムの他の成分の準備、例えば、希釈目的のため、成分への感応剤の随意的追加などに使用される成分を、さらに備えることができる。
【0012】
なお、本発明のシステムは、あらゆる種類の皮膚領域上での局所的及び/又は皮膚科的使用を意図するものである。該皮膚領域としては、外部の露出領域(例えば皮膚、頭皮、毛髪、及び爪の領域など)、粘膜などの内部皮膚領域(例えば鼻孔、唇、耳、生殖器部、肛門、及びそれらの周辺の粘膜など)、又は該システムの成分があらゆる種類の拡散メカニズムにより皮膚領域又は粘膜に到達することのできる、治療される皮膚領域又は粘膜に近接したあらゆる近接領域である。
【0013】
いくつかの好適例では、本発明のシステムは、少なくとも1つの追加的成分を備える。該少なくとも1つの他の成分の各々は、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの追加的活性剤を含む。
【0014】
他の好適例では、上記少なくとも1つの第1活性剤と少なくとも1つの第2活性剤とは同じである。さらに他の好適例では、上記少なくとも1つの第1活性剤と少なくとも1つの第2活性剤とは異なる。
【0015】
他の好適例では、上記少なくとも1つの追加的成分は、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第2活性剤を含む第2成分である。
【0016】
さらに、いくつかの付加的な好適例では、上記少なくとも1つの第1活性剤と少なくとも1つの追加的活性剤は同じである。他の好適例では、両者は異なる。
【0017】
なお、本発明のシステムの成分の内容に関する「同じ」又は「異なる」という用語は、該当する成分の少なくとも1つの代表的な特性、例えば、これに限定されないが、活性剤の性質、活性剤の濃度、活性剤に含まれる少なくとも1つの付加的な添加剤、及び該添加剤の濃度などを指すことを意図している。
【0018】
本明細書で用いる「活性剤」という用語は、あらゆる種類の薬理学的な又は美容上の活性剤を指す。本発明のいくつかの好適例では、金属酸化物で被覆した上記少なくとも1つの活性剤は、次の非限定的なリストから選択される:抗真菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗掻痒剤、抗乾癬剤、抗脂漏剤、抗ざ瘡剤、抗酒さ剤、抗皮膚癌剤、抗光老化剤、美白/皮膚脱色剤、抗皮膚発赤剤、及びこれらの任意の組み合わせ。いくつかの好適例では、上記活性剤は抗ざ瘡剤である。他の好適例では、該抗ざ瘡剤は過酸化ベンゾイル、又は過酸化ベンゾイルと上述した少なくとも1つの付加的な活性剤との混合物である。
【0019】
本明細書で用いる「金属酸化物で被覆した活性剤」という用語又はそのあらゆる同等語は、以上に開示され、かつ本明細書に開示した目的のための、金属酸化物被覆により被覆されている活性剤であって、活性剤又は活性剤の粒子が金属酸化物被覆の核内にカプセル化されている活性剤を包含するものである。金属酸化物被覆は、単一の処理ステップ又は複数のステップを有する処理、反復的処理又は巡回的処理に関わらず、当業者に既知のあらゆる処理により得ることができることは明らかである。少なくとも1つの活性剤の金属酸化物被覆を得る処理により、得られる被覆の幅の微細制御能力を伴った、活性剤粒子状物質上での金属酸化物の被覆の形成及び成長が可能になる。このことは、局所用及び/又は皮膚科用にとって特に有利であり、この用途では、活性剤が、金属酸化物被覆を通じて漸進的に放出される能力をもって、その周囲から隔離されるべきである。金属酸化物被覆の厚さの微調整及び微細制御を可能とする金属酸化物被覆処理を用いることが、特に有利である。
【0020】
金属酸化物被覆処理の例は、米国特許第6303149号(特許文献1)、米国特許第6238650号(特許文献2)、米国特許第6468509号(特許文献3)、米国特許第6436375号(特許文献4)、米国特許出願公開第2005/0037087号(特許文献5)、米国特許出願公開第2002/0064541号(特許文献6)、国際公開第2000/009652号(特許文献7)、国際公開第2000/072806号(特許文献8)、国際公開第2001/080823号(特許文献9)、国際公開第2003/003497号(特許文献10)、国際公開第2003/039510号(特許文献11)、国際公開第2000/071084号(特許文献12)、国際公開第2005/009604号(特許文献13)、国際公開第2004/081222号(特許文献14)、欧州特許第0934773号(特許文献15)、米国特許第6337089号(特許文献16)、欧州特許第0941761号(特許文献17)、米国特許第6251313号(特許文献18)、米国特許第4931362号(特許文献19)、英国特許出願公開第2416524号(特許文献20)、米国特許第6855335号(特許文献21)、国際公開第2003/066209号(特許文献22)、国際公開第1998/031333号(特許文献23)、米国特許第6495352号(特許文献24)、米国特許第5292801号(特許文献25)に記載されている。これらは全て、参考文献として本明細書に含める。
【0021】
いくつかの好適例では、上記金属酸化物被覆は、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、ZnO、及びこれらの混合物から選択される。
【0022】
本発明において「被覆」という用語及びこれの他の変形語は、活性剤の粒子又は粒子状物質の周囲に形成される金属酸化物層を指す。該層又は被覆は、均一な被覆又は不完全な被覆とすることができる。金属酸化物被覆処理により生成される粒子状物質は、以下にさらに開示するように、固体の、不水溶性の活性剤粒子状物質で構成された核を含み、この核は、金属酸化物被覆により被覆され、この金属酸化物被覆は、実質的に非アモルファス及び/又は非晶質の形態である。
【0023】
いくつかの好適例では、上記被覆は金属酸化物と少なくとも1つの粘着剤との混合物である。このような粘着性の添加物は、例えば金属酸化物の連続領域の形成を阻止し、これにより非アモルファスで非晶質の金属酸化物形態へと導くポリマーとすることができる。
【0024】
本発明の他の態様では、多成分局所システムが提供され、該多成分局所システムは、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第1活性剤を含む少なくとも1つの成分であって、該金属酸化物は上記少なくとも1つの第1活性剤の漸進的な放出をもたらすように選択されている成分と、上記活性剤を含まない少なくとも1つの皮膚治療成分とを含む。
【0025】
なお、このことに関して、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの活性剤の漸進的放出を提供可能な金属酸化物は、本発明のシステムに、次の利益のうち少なくとも1つをもたらすことができる:
a) システムのあらゆる成分によって生じ得る、治療される皮膚又は粘膜のあらゆる領域における、局所的及び/又は皮膚科的な副作用の低減(例えば、治療される皮膚又は粘膜、あるいはこれらに近接したあらゆる領域における刺激、皮膚又は粘膜の過敏症、不要な発疹の進行、又は色素変化)、
b) 被覆した活性剤の分散性の向上、
c) 活性剤と皮膚との直接接触の防止、
d) 活性剤の結晶成長プロセスの防止又は低減、
e) 貯蔵中、使用中、及び皮膚又は粘膜への塗布時のいずれかにおける、活性剤の安定性の向上、
f) 本発明のシステムの成分の製剤における、被覆した活性剤と他の原料との相溶性の向上、
g) 治療される皮膚上への、金属酸化物で被覆した活性剤の持続的かつ漸進的な放出。
【0026】
本発明の目的を達成するために、本発明のシステムの少なくとも1つの成分は、同じ活性剤のない皮膚治療成分を含み、該活性剤は、金属酸化物で被覆され、本発明のシステムの少なくとも1つの他の成分中に含まれる。それにもかかわらず、上記皮膚治療成分は、あらゆる種類の皮膚トーニング(調色)、洗浄、コンディショニング、改善、治療、又は角質除去用剤、治療される皮膚又は粘膜領域の表面上のあらゆる種類の土、汚れ、又はあらゆる過剰物質(あらゆる外部発生源又はあらゆる局所発生源から導出され得るもの、例えば皮膚病変から出た排出物など)を除去可能な薬剤を含むことができる。皮膚治療成分の非限定的な例の一部は、Skin Bracer(登録商標)又は皮膚清涼剤(0〜10%のアルコール、水、例えばグリセリンなどの保湿剤を含むことができる)、皮膚強壮剤(20%以下のアルコール、水、及び保湿剤を含むことができる)、又は収斂剤(20〜60%のアルコール、防腐剤原料、水、及び保湿剤原料を含むことができる)、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0027】
皮膚治療成分は、開示した活性剤とは異なるが次の非限定的なリストから選択することができる、少なくとも1つの活性剤も含むことができる:
抗真菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗掻痒剤、抗乾癬剤、抗脂漏剤、抗ざ瘡剤、抗酒さ剤、抗皮膚癌剤、抗光老化剤、美白/皮膚脱色剤、抗皮膚発赤剤、及びこれらの任意の組み合わせ。上記少なくとも1つの活性原料は、金属酸化物被覆で被覆されていない。本願のいくつかの好適例では、上記少なくとも1つの皮膚治療成分中に含まれる上記少なくとも1つの活性剤は、随意に金属酸化物で被覆される。
【0028】
なお、本発明のシステムの各成分は、当業者に既知のあらゆる製剤において、局所塗布用に製剤することができる。このような製剤は、軟膏、クリーム、ローション、オイル、エマルション(乳剤)、ジェル、ペースト、ミルク(乳液)、エアロゾル、粉末、フォーム(泡)、ウォッシュ(洗浄液)(例えば、ウォッシュ・オン、ウォッシュ・オフ製剤など)、及びこれらの任意の組み合わせから選択することができる。
【0029】
本明細書で用いる「ウォッシュ・オン」製剤は、表面に塗布される任意の洗浄剤を含む製剤又はその任意の組み合わせを包含する。該製剤は一般に、洗浄作用を実行するために皮膚又は粘膜の表面に塗布される。さらに、ウォッシュ・オン製剤の少なくとも一部は、皮膚又は粘膜の表面に残り、さらに強化された作用をもたらす。本明細書で用いる「ウォッシュ・オフ」製剤は、表面に塗布される任意の洗浄剤を備える製剤又はその任意の組み合わせを包含する。該製剤は一般に、洗浄作用を実行するために皮膚又は粘膜の表面に塗布され、後の段階で、塗布された表面から除去される。
【0030】
洗浄剤の例示的形態は、リキッド(液状)、固形、ジェル、フォーム(泡状)、エアロゾルまたはポンプスプレー、クリーム、ローション、スティック、粉末、又はパッチ若しくはウェットティッシュ内に含まれた形式を含むが、これに限らない。さらに、合成洗剤をも用いることもできる。
【0031】
なお、本発明のシステムのあらゆる成分は、例えば次のような、あらゆる種類の製品形態中に含めることができるが、これに限定されない:
液状又は固形石鹸を含む石鹸、シャンプー、ヘアコンディショナー、角質除去シャワージェルを含むシャワージェル、発泡浴用製品(例えばジェル、石鹸、又はローション)、ミルク(乳液)浴用剤、ジェルクレンザーを含む合成洗剤、液体クレンザー、及び固形洗浄剤、ウェットティッシュ、ボディーローション、ボディースプレー、ミスト(噴霧)又はジェル、発泡剤(例えば発泡入浴剤)、ハンドクリーム及びネイルクリーム、バス(浴用)ジェル/シャワージェル、シャワークリーム、脱毛クリーム、例えばシェービングクリーム、ジェル、フォーム、又は石鹸などのシェービング製品、アフターシェーブローション、アフターシェーブ湿潤剤、日焼け止めローション、日焼け止めジェル、若しくは日焼け止めオイル、クリーム、ローション、若しくは固形形態のあらゆる種類の化粧品、及びこれらの任意の組み合わせ、洗浄、後洗浄、皮膚及び毛髪を含む体への化粧用途に用いられる他のあらゆる製品。
【0032】
本発明による局所製剤は、皮膚科的、美容的、又は薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤も含むことができる。該担体、希釈剤、又は賦形剤中には、金属酸化物で被覆した活性剤粒子状物質を、例えば分散又は懸濁させることができる。被覆した活性剤は、例えば混合することによりかかる担体、希釈剤、又は賦形剤中に容易に分散又は懸濁させて、効果的な分散又は懸濁を達成することができる。必要であれば、担体中の被覆粒子の高速かつ効率的な混合を促進するために、強いせん断力を加えることができる。
【0033】
他の好適例では、本発明のシステムの成分の担体は、ジェル、クリーム、ローション、クレンザー、サチュレーション(飽和)パッド、軟膏、オイル、エマルション(乳剤)、ペースト、ミルク(乳液)、エアロゾル、粉末、フォーム(泡)、ウォッシュ(洗浄液)(例えばウォッシュ・オフ又はウォッシュ・オン)などの形態である。他の好適例では、本発明のシステムの成分の担体は、水中油型クリームである。さらに他の好適例では、分散相(すなわち本発明のシステムの成分の担体)は、水ベースであり、分散媒体として水を含む。
【0034】
なお、本発明のシステムの各成分は、例えば次のような、少なくとも1つの添加剤を含むことができるが、これらに限らない:
保湿剤(例えばプロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、又はポリエチレングリコール)、緩衝剤(例えばクエン酸水溶液、水酸化アンモニウム溶液、リン酸緩衝剤、ホウ酸塩緩衝剤、又は炭酸塩緩衝剤)、潤滑剤(例えばシクロメチコン、ジメチコーン、ヒマシ油、ミリスチン酸イソプロピル、トリカプリル/トリカプリン酸グリセリル、又はオクタン酸オクチル)、乳化剤(例えばセチルアルコール、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG-75、セテス-20、ステアレス-20、ビス-PEG/PPG-16/16 PEG/PPG-16/16ジメチコーン、モノオレイン酸ソルビタン、又はアルキルポリグルコシド)、湿潤剤(例えばPCAナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、パンテノール、又は乳酸ナトリウム)、鎮静剤(例えば、ローマンカモミール花抽出物、ジャーマンカモミール、ハマメリス、ゴボウ、Argireline(登録商標)、アルニカ・モンタナ抽出物、シアバター、又はアロエベラなどの天然ハーブ抽出物)、香料、角質除去剤(例えばポリエチレン、グリコール酸70%)、充填剤、抗刺激剤(例えばアラントイン)、キレート剤(例えばEDTA)、保存料(例えばイミダゾリジニル尿素、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、又はベンジルアルコール)、洗剤(例えばポリソルベート20、ドデシル硫酸ナトリウム、又は塩化セトリモニウム)、着色料、抗菌剤(例えばSDアルコール40又はグルコン酸クロルヘキシジン)、増粘剤(例えばキサンタンガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロース、カルボマー、又はエチルセルロース)、及びこれらの任意の組み合わせ。
【0035】
本発明の他の好適例では、本発明のシステムは、被験者の皮膚表面の少なくとも一部分上への局所投与に適している。ここで、上記システムの各成分は、同時の、順次の、別個の、又は並列的な使用に適応可能である。
【0036】
なお、本発明のシステム又はキットの各成分は、被験者の疾患、治療される皮膚領域、異なる治療方法の存在、及び治療医に既知の他の要因に基づき、その原料、濃度、製剤の種類、及びその濃度、使用のモード及びタイミングを選択することにより、治療される皮膚領域又は粘膜のあらゆる特定疾患に適した方法で形成することができる。
【0037】
本発明において、「被験者」という用語は、人間と人間以外の哺乳動物とを含む。
【0038】
「皮膚の表面」という用語は、上述したように、皮膚又は粘膜の露出した領域、又は、例えば毛髪や衣服などで覆われた領域の、あらゆる部分を包含するものである。
【0039】
本明細書で用いる「局所投与」という用語は、本発明のシステム又はキットの成分を、いかなる全身的作用も誘発することなく、被験者の皮膚又は粘膜組織の表面上に局所投与することを包含するものである。
【0040】
なお、本明細書において、本発明のシステムの成分はあらゆる治療プロファイルに従って投与することができる。例えば、各成分は、本発明のシステムまたはキットの他のあらゆる成分の投与と同時に、順次に、個別に、又は並行して投与することができる。各成分は、他のあらゆる皮膚治療手順の直前直後に投与することができる。本発明のシステムまたはキットの各成分は、1日1回又は数回(例えば1日2、3回〜10回)、別々に投与することができる。
【0041】
いくつかの好適例では、本発明のシステムは3成分システムであって、該システムは、同じ又は異なる濃度及び/又は製剤の、金属酸化物で被覆したBPOを含む2つの成分(成分A及びC)と、金属酸化物で被覆したBPOを含まない他の成分(成分B)とを備える。
【0042】
他の好適例では、上記システムの3成分の各々は、次の方法で投与する:
− 成分A、続いて成分B、続いて成分C、(1日2回)。
− 成分B、続いて成分A、続いて成分C、(1日2回)。
− 成分C、続いて成分B、続いて成分A、(1日2回)。
− 成分A、続いて成分C、続いて成分B、(1日2回)。
− 成分C、続いて成分A、続いて成分B、(1日2回)。
− 成分B、続いて成分C、続いて成分A、(1日2回)。
【0043】
他の好適例では、本発明のシステムは、皮膚疾患の局所治療での使用に適している。
【0044】
本発明の他の態様では、被験者の皮膚の外見を治療して改善し、あるいは皮膚または粘膜の病気又は疾患を予防する方法であって、本発明のシステムを皮膚又は粘膜に局所投与するステップを備えた方法が提供される。
【0045】
本発明のさらに他の態様では、皮膚病変を治療する方法であって、本発明のシステムを皮膚又は粘膜に局所投与するステップを備えた方法が提供される。
【0046】
本発明の他の態様では、皮膚面皰を治療する方法であって、本発明のシステムを皮膚又は粘膜に局所投与するステップを備えた方法が提供される。
【0047】
本発明のさらに他の態様では、ざ瘡を治療する方法であって、本発明のシステムを皮膚又は粘膜に局所投与するステップを備えた方法が提供される。
【0048】
本明細書で用いる「治療する」又は「治療」という用語は、患者の皮膚又は粘膜に関連する疾患又は病気又は障害のあらゆる治療を含み、その疾患の変化又は改善、病気又は障害の抑制(すなわちその進行の阻止)、病気又は障害に関連する少なくとも1つの症状の緩和(すなわち病気又は障害の退行の発生)、及び/又は病気又は障害により引き起こされる疾患(すなわち病気の症状)の緩和を含む。
【0049】
個々の必要性は異なり得るが、組成物の有効量の最適範囲の決定は、当業者の技能範囲内のことである。一般的に、当業者により調節可能である、本システム中の活性剤の有効量を与えるのに必要な投与量は、服用者の年齢、健康状態、身体状態、体重、病気又は障害の種類及び度合い、治療の頻度、(もしあれば)同時治療の性質、及び所望効果の性質及び範囲に応じて変化する。
【0050】
「外見の改善」という用語は、本発明のシステム又はキットにより治療される皮膚領域又は粘膜の疾患の目に見える改善を包含するものである。この改善は、あらゆる種類の皮膚疾患又は障害、例えばいくつかの好適例では細菌性、ウイルス性、又は真菌性の感染などに起因し得る、被験者の皮膚又は粘膜領域上の、皮膚又は粘膜の色、滑らかさ、均一性、病変又は創傷の程度、強さ、及び数のあらゆる変化として現れ得る。
【0051】
いくつかの好適例では、皮膚疾患は、ざ瘡、感染症、炎症、掻痒、乾癬、脂漏症、接触皮膚炎、皮膚癌、皮膚光老化、色素沈着、発赤、酒さ、及びこれらの任意の組み合わせから選択される病気又は障害である。
【0052】
本発明の他の好適例では、本発明のシステムの成分は、所定の投与スケジュールで投与する。
【0053】
本発明の他の態様では、皮膚又は粘膜上への局所投与のための、本発明のシステムの使用方法が提供される。
【0054】
いくつかの好適例では、上記局所投与は、ざ瘡、掻痒、乾癬、脂漏症、接触皮膚炎、感染症、皮膚癌、皮膚光老化、色素沈着、発赤、酒さ、炎症、及びこれらの任意の組み合わせから選択される病気又は障害の治療を目的とする。いくつかの他の好適例では、上記局所投与は、皮膚病変の治療を目的とする。さらに他のいくつかの好適例では、上記局所投与は、皮膚面皰の治療を目的とする。さらに他の好適例では、上記局所投与は、ざ瘡の治療を目的とする。
【0055】
本発明のさらに他の態様では、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第1活性剤を含む少なくとも1つの成分と、該活性剤を含まない少なくとも1つの皮膚治療成分と、使用説明書とを備えたキットが提供される。
【0056】
いくつかの好適例では、本発明のキットは、少なくとも1つの追加的成分を備え、該他の成分の各々は、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの追加的活性剤を含む。
【0057】
他の好適例では、本発明のキットは、ざ瘡、酒さ、乾癬、掻痒、皮膚光老化、色素沈着、皮膚炎、炎症、粘膜の感染領域、皮膚癌、発赤、及びこれらの任意の組み合わせから選択される病気又は障害の治療又は予防のための使用を目的とする。他の好適例では、本発明のキットは、皮膚病変の治療又は予防のための使用を目的とする。さらに他の好適例では、本発明のキットは、皮膚面皰の治療又は予防のための使用を目的とする。さらに他の好適例では、本発明のキットは、ざ瘡の治療又は予防のための使用を目的とする。
【0058】
本発明を理解し、実際に本発明を実施することのできる方法を確認するために、以下に、添付の図面を参照しながら、非限定的な例として実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】4週間以内のキットA〜Dの使用中での忍容性(%)パラメータを示すグラフである。
【図2A】キットA〜Dの4週間以内の使用による皮膚全体の刺激評価を示すグラフである。
【図2B】キットA〜Dの4週間以内の使用による皮膚全体の刺激評価を示すグラフである。
【図2C】キットA〜Dの4週間以内の使用による皮膚全体の刺激評価を示すグラフである。
【図3】キットA〜Dの4週間以内の使用中の病変の合計数の変化を示すグラフである。
【図4】キットA〜Dの4週間以内の使用中の病変の合計数の改善を%で示すグラフである。
【図5】キットA〜Dの4週間以内の使用中の非炎症性病変の合計数を示すグラフである。
【図6】キットA〜Dの4週間以内の使用中の非炎症性病変の合計数の改善を%で示すグラフである。
【図7】キットA〜Dの4週間以内の使用中の黒色面皰の合計数の改善を%で示すグラフである。
【図8】キットA〜Dの4週間以内の使用中の白色面皰の合計数の改善を%で示すグラフである。
【図9】キットA〜Dの4週間以内の使用中の炎症性病変の合計数の改善を%で示すグラフである。
【図10】キットA〜Dの4週間以内の使用中の炎症性病変の合計数の改善を%で示すグラフである。
【図11】キットA〜Dの1週間以内及び4週間以内の使用による各キットの総合的な製品快適性のスコアを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明の1つの態様によれば、多成分局所システムが提供され、該多成分局所システムは、金属酸化物被覆で被覆された少なくとも1つの第1活性剤を含む少なくとも1つの成分と、この活性剤を含まない少なくとも1つの皮膚治療成分とを備える。
【0061】
いくつかの実施形態では、上記活性剤の上記金属酸化物被覆は、次のステップを備える処理により得られる:
(a) 不水溶性活性剤を水性媒体中でイオン添加剤と接触させ、荷電表面を有する活性剤粒子状物質の分散体を得るステップ;
(b) 上記活性剤粒子状物質の表面上に金属酸化物塩を沈殿させて、上記粒子状物質上に金属酸化物被覆を形成するステップ;
(c) 随意にステップ(b)を繰り返すステップ;及び
(d) 上記粒子状物質上の上記金属酸化物被覆をエージング処理するステップ。
【0062】
ステップ(a)の目的は、上記粒子状物質が上記金属酸化物被覆の付着に対して反応するように、イオン添加剤を用いて上記粒子状活性剤の電荷を変化させることである。いくつかの実施形態では、上記イオン添加剤は、カチオン添加剤、アニオン添加剤、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0063】
本明細書で用いる「不水溶性活性剤」という用語は、室温(20℃)で1% w/w未満の水溶解度を有する固体活性剤を指し、代表的には0.5% w/w未満、場合によっては0.1% w/w未満の水溶解度を有する固体活性剤を指す。
【0064】
「活性剤粒子状物質」は、金属酸化物被覆処理により得られる粒子の「核」を構成する。固体不水溶性活性剤粒子状物質は、水中での懸濁を可能にする細分状態にあり、例えば、いくつかの実施形態では0.3〜100ミクロンの範囲内の微粉末状である。このような粒子状物質は、界面活性剤の助けの有無に関わらず、攪拌により、水溶液系中に容易に懸濁させることができる。活性剤粒子状物質は、活性原料自体で構成することができ、又は活性原料及び賦形剤(例えば固体担体)で構成することができる。「活性剤粒子状物質」及び「粒子状物質」という用語は、本明細書では同じ意味で用いる。
【0065】
本明細書において金属酸化物被覆処理のステップ(a)の中で用いる「分散体」という用語は、水性媒体中での粒子状活性剤の固体分散体(固溶体)を指す。
【0066】
上記処理のステップ(a)は、粒子状物質の粒径を所望の粒径まで、例えば製粉又は均質化により、低減させるステップをさらに備えることができる。
【0067】
核(すなわち固体不水溶性粒子状物質)は、任意の形状、例えば棒状、板状、楕円形、立方体、又は球形などとすることができる。
【0068】
本明細書に開示する金属酸化物被覆処理により得られる活性剤粒子状物質の一部は、場合によっては2つ以上の元の固体不水溶性活性剤粒子から形成することができ、したがって場合によっては、複数の核であって、金属酸化物領域により互いに分離された核を含むことができることは明らかである。
【0069】
粒子の総重量に基づく固体不水溶性活性剤粒子状物質(核物質)の重量は、約99% w/w〜約50% w/wの範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、粒子の総重量は、約97% w/w〜約50% w/wの範囲内とすることができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、処理ステップ(b)を、4回〜約1,000回繰り返す。他の実施形態では、少なくとも1つの活性剤の金属酸化物被覆処理は、ステップ(b)を4回〜約300回繰り返すステップを備える。さらに他の実施形態では、ステップ(b)を、約4回〜約100回繰り返す。他の実施形態では、ステップ(b)を、約5回〜約80回繰り返す。他の実施形態では、ステップ(b)を、約5回〜約50回繰り返す。
【0071】
「4回〜約1,000回繰り返す」とは、その処理を4、5、6、7、8、9・・・、等の回数から約1000回を含む回数まで繰り返すことができることを意味する。
【0072】
なお、本発明のシステム中の少なくとも1つの活性剤の金属酸化物被覆処理中には、水性媒体中の活性剤粒子状物質の内容物の少なくとも50%が被覆処理中に固体状態にある。
【0073】
いくつかの実施形態では、分散体中のイオン添加剤の濃度は、約0.001%〜約30%とすることができる。他の実施形態では、分散体中のイオン添加剤の濃度は、約0.01% w/w〜約10% w/wとすることができる。他の実施形態では、分散体内のイオン添加剤の濃度は、約0.1% w/w〜約5% w/wとすることができる。他の実施形態では、水分散体の固体内容物は、約0.1% w/w〜約80% w/wとすることができる。他の実施形態では、水分散体の内容物は、約1% w/w〜約60% w/wとすることができる。さらに他の実施形態では、水分散体の内容物は、約3% w/w〜約50% w/wとすることができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、イオン添加剤は、カチオン添加剤、アニオン添加剤、及びこれらの組み合わせから選択される。カチオン添加剤は、カチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマーとすることができる。アニオン添加剤は、アニオン性界面活性剤及び/又はアニオン性ポリマーとすることができる。
【0075】
理論に縛られることを望まずに、活性剤粒子状物質の被覆処理のステップ(a)として、活性剤粒子状物質は、例えばイオン性界面活性剤の溶液と混合することにより、イオン添加剤と接触させて、上記界面活性剤が粒子状活性剤の表面の少なくとも一部分上に吸収されることを可能にする。イオン性界面活性剤は、例えばカチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマー、又はアニオン性界面活性剤及びカチオン添加剤(例えばカチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマー)である。カチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマー及び随意に追加的アニオン性界面活性剤(又はアニオン性ポリマー)は、粒子状物質の表面上に平均して正電荷を与えるのに十分な量を用いることが必要である。
【0076】
他の実施形態では、上記活性剤の上記金属酸化物被覆は、以下のステップを備える処理により得られる:
(a) 少なくとも1つの不水溶性活性剤を、水性媒体中でカチオン添加剤に接触させて、表面上の少なくとも一部分に正電荷を有する活性剤粒子状物質の分散体を得るステップ;
(b) 上記活性剤粒子状物質の表面上の少なくとも一部分に、金属酸化物塩を沈殿させて、上記粒子状物質上に金属酸化物被覆を形成するステップ;
(b1) 金属酸化物で被覆された活性剤粒子状物質を、(i)追加的カチオン添加剤、及び(ii)非イオン性添加剤から選択される少なくとも1つの添加剤に(例えば、混合により)接触させ、これにより、表面上の少なくとも一部分に少なくとも1つの添加剤を有する、金属酸化物で被覆された活性剤粒子状物質を得るステップ;
(b2) 表面上の少なくとも一部分に少なくとも1つの添加剤を有する、上記金属酸化物で被覆された活性剤粒子状物質の表面上の少なくとも一部分に、金属酸化物塩を沈殿させるステップ;
(c)随意にステップ(b1)及びステップ(b2)を繰り返すステップ;及び
(d)上記粒子状物質上の上記金属酸化物被覆をエージング処理するステップ。
【0077】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)のカチオン添加剤は、カチオン添加剤、又はカチオン添加剤とアニオン添加剤との混合物である。このような実施形態では、上記カチオン添加剤及び上記追加的カチオン添加剤は、同じであるか、又は異なる。他のいくつかの実施形態では、上記カチオン添加剤はカチオン性界面活性剤であり、上記追加的カチオン添加剤はカチオン性ポリマーである。
【0078】
他のいくつかの実施形態では、ステップ(a)のカチオン添加剤は、アニオン添加剤、又はアニオン添加剤とカチオン添加剤との混合物に置き換えることができる。
【0079】
他の実施形態によれば、第1のカチオン添加剤はカチオン性界面活性剤であり、ステップ(b1)の添加剤は非イオン性添加剤(例えば非イオン性ポリマー)である。
【0080】
いくつかの実施形態では、カチオン性界面活性剤は、モノアルキル四級アンモニウム塩、ジアルキル四級アンモニウム塩、及びこれらの混合物から選択される。他の実施形態では、上記モノアルキル四級アンモニウム塩は、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、及びこれらの混合物から選択される。他の実施形態では、モノアルキル四級アンモニウム塩は、塩化セチルトリメチルアンモニウムである。さらに他の実施形態では、上記ジアルキル四級アンモニウム塩は、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムである。
【0081】
上記イオン添加剤は、アニオン性界面活性剤とすることができる。いくつかの実施形態では、上記アニオン性界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アルキルスルホスクシンアミド酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、芳香族炭化水素スルホン酸及びその塩、脂肪アルコールエトキシ硫酸塩、脂肪アルコール硫酸塩、リン酸エステル、及びこれらの混合物から選択される。他の実施形態では、上記アルキルベンゼンスルホン酸塩はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムであり、上記脂肪アルコール硫酸塩はラウリル硫酸ナトリウムであり、上記アルキルスルホコハク酸塩はジオクチルスルホコハク酸塩ナトリウム、及びその混合物である。アニオン性界面活性剤は、上記の任意の混合物とすることができる。
【0082】
本明細書で説明する金属酸化物被覆に用いることができる、付加的なアニオン性及びカチオン性界面活性剤は、米国化粧品トイレタリー香水協会(The cosmetic, Toiletry, and Fragnance Association)により出版された、John A. Wenninger et al. (Editors) International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook (Eighth Edition 2000), Vol. 2 pp.1140-1147に記載されている。この文献の全文を参考文献として本明細書に含める。
【0083】
他の実施形態では、上記少なくとも1つの不水溶性活性剤の上記被覆処理は、ステップ(b)又は(b1)又は(b2)を繰り返す回数によらずに、ステップ(d)に続いて、さらに次のステップを備える:
(e) 上記金属酸化物で被覆された粒子状物質を、上記水性媒体から分離し、随意に該被覆された少なくとも1つの活性剤を水性媒体中ですすいで再分散させるステップ。
【0084】
いくつかの実施形態では、該被覆された少なくとも1つの活性剤の上記分離は、例えばろ過、遠心分離、デカンテーション(傾斜法)、透析のような方法により、又は上記水性媒体の蒸発により行う。
【0085】
さらに、本発明の実施形態によれば、ステップ(b)は、金属酸化物塩を上記水性媒体に加えるステップと、随意に上記水性媒体を酸性化するステップと、を備える。
【0086】
他の実施形態では、上記被覆処理ステップ(b)は、上記水性媒体を酸性化するステップをさらに備える。他の実施形態では、上記被覆処理ステップ(b2)は、上記水性媒体を酸性化するステップを備える。
【0087】
他の実施形態では、処理ステップ(b1)は、ステップ(b)で得られる分散体のpHを、追加的カチオン添加剤を加える前に、金属酸化物の等電点より高い値となるように調節するステップをさらに備える。
【0088】
いくつかの実施形態では、ステップ(b1)は、ステップ(b)で得られる分散体のpHを、追加的カチオン添加剤を加える前に、上記金属酸化物の等電点より高い値となるように調節するステップをさらに備える。他の実施形態では、追加的カチオン添加剤を加える前に、上記金属酸化物の等電点より少なくとも約1単位分高いpH値とする。
【0089】
他の実施形態では、ステップ(b1)は、ステップ(b)で得られる分散体のpHを、(i)追加的カチオン添加剤、及び(ii)非イオン性添加剤の一方又は両方を加える前に、上記金属酸化物の等電点より高い値となるように調節するステップをさらに備える。他の実施形態では、(i)追加的カチオン添加剤、及び(ii)非イオン性添加剤の一方又は両方を加える前に、上記金属酸化物の等電点より少なくとも約1単位分高いpH値とする。
【0090】
例えば、上記金属酸化物が(例えば1.7〜2.5の範囲内の等電点を有する)シリカである場合、上記pHは少なくとも約2.5〜6.5の範囲内とすることができる。
【0091】
なお、理論に縛られずに、上記分散体のpHの上記金属酸化物の等電点より高い値への調節は、粒子状物質の表面上に、上記追加的カチオン添加剤の正電荷と結合される負に帯電した金属酸化物を形成し、これにより上記粒子状物質の表面に上記追加的カチオン添加剤の付着を可能にするために行う。
【0092】
いくつかの実施形態では、上記非イオン性添加剤は、該非イオン性添加剤が上記表面に付着(「表面付着」)するように選択される。上記非イオン性添加剤の例は、非イオン性ポリマーである。上記非イオン性添加剤は、単独で、又は追加的カチオン性界面活性剤に加えて、用いることができる。理論に縛られることを望まずに、上記表面付着の特性は、水素結合を可能にする水酸基又はアミン基などの基を通じて持たせることができる。このことにより、以前に沈殿した金属酸化物被覆上への追加的金属酸化物被覆の付着が可能になる。
【0093】
他の実施形態では、ステップ(b)又は(b2)の各々における活性剤粒子状物質/金属酸化物塩の重量比は、約5,000/1〜約20/1である。他の実施形態では、この比は約5,000/1〜約30/1である。他の実施形態では、この比は約5,000/1〜約40/1である。さらに他の実施形態では、この比は約1,000/1〜約40/1である。他の実施形態では、この比は約500/1〜約80/1である。
【0094】
いくつかの実施形態では、イオン添加剤:不水溶性活性剤粒子状物質の重量比は、約1:1000〜約1:10の範囲内にある。他の実施形態では、この比は約1:200〜約1:50の範囲内にある。他の実施形態では、この比は約1:100である。上記に示す比は、第1のカチオン添加剤のようなイオン添加剤を指し、又は第1のカチオン添加剤とアニオン添加剤との混合物を指す。追加的カチオン添加剤は、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、又はこれらの混合物とすることができる。カチオン性界面活性剤は、上述したものとすることができる。
【0095】
他の実施形態では、ステップ(b1)における活性剤/カチオン添加剤の比は、約25,000/1〜約50/1である。他の実施形態では、この比は約5,000/1〜約100/1である。さらに他の実施形態では、この比は約2000/1〜約200/1である。
【0096】
他の実施形態では、ステップ(b1)における活性剤粒子状物質/カチオン添加剤の重量比は、約10,000/1〜約100/1である。他の実施形態では、この比は約5000/1〜約200/1である。
【0097】
他の実施形態では、第1の被覆した粒子状物質(すなわちステップ(b1)):追加的カチオン添加剤の重量比は、約25,000/1〜約50/1の範囲内にある。他の実施形態では、この比は約5,000/1〜約100/1の範囲内にある。他の実施形態では、この比は、約2000/1〜約200/1にある。
【0098】
他の実施形態では、さらに処理して被覆した活性剤粒子状物質(例えばステップ(c)に記載の繰り返されるステップ):上記追加的カチオン添加剤の重量比は、約25,000/1〜約50/1の範囲内にある。他の実施形態では、この比は約5,000/1〜約100/1である。他の実施形態では、この比は約2000/1〜約200/1の範囲内にある。
【0099】
他の実施形態では、さらに処理して被覆した活性剤粒子状物質(例えばステップ(c)に記載の繰り返されるステップ):上記追加的カチオン添加剤の重量比は、約10,000/1〜約100/1の範囲内にある。他の実施形態では、この比は約5000/1〜約200/1の範囲内にある。
【0100】
非イオン性添加剤(例えば非イオン性ポリマー)を単独で用いるか、追加的カチオン添加剤に加えて用いる場合、第1の被覆した粒子状物質:(i)非イオン性添加剤又は(ii)非イオン性添加剤と上記追加的カチオン添加剤との組み合わせの重量比、及びさらに処理して被覆した粒子状物質:(i)非イオン性添加剤又は(ii)非イオン性添加剤と上記追加的カチオン添加剤との組み合わせの重量比は、上記追加的カチオン添加剤に関して上述したようにすることができる。
【0101】
上記カチオン性ポリマーは、ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ポリ(塩化ジメチルジアリルアンモニウム)(PDAC)、ポリ(アクリルアミド-co-ジアリル-塩化ジメチルアンモニウム)(ポリクオタニウム-7)、ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAH)、キトサン、ポリリシン、及びこれらの混合物から選択される。
【0102】
いくつかの実施形態では、追加的カチオン性ポリマーは、非イオン性モノマーとイオン性モノマーとのコポリマー、例えばピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチルのコポリマーなどとすることもできる。
【0103】
本発明の他の実施形態によれば、追加的カチオン添加剤は、アルミナコロイド、セリアコロイド(CeO2)、アルミナコロイドで被覆したシリカ(例えばLudox(登録商標) CL、Sigma - Aldrich(登録商標))、及びこれらの混合物から選択される。
【0104】
追加的カチオン添加剤は、例えば上述したような正電荷を帯びたコロイド金属酸化物(例えばアルミナコロイド、セリアコロイド(CeO2)、アルミナコロイドで被覆したシリカ、又はこれらの混合物)とすることができる。
【0105】
この処理で用いる非イオン性添加剤は、いくつかの実施形態では、非イオン性ポリマーである。非イオン性ポリマーは、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びこれらの混合物とすることができる。
【0106】
さらに、本発明の実施形態によれば、この処理は、得られた、被覆した活性剤粒子状物質を乾燥させるステップをさらに備える。
【0107】
さらに他の本発明の実施形態によれば、この乾燥させるステップは、噴霧乾燥、凍結乾燥、オーブン乾燥、真空乾燥、及び流動床から選択される方法により行う。
【0108】
ステップ(d)のエージング処理ステップの後、強化された高密度の金属酸化物被覆を、活性剤粒子状物質の周囲で得る。
【0109】
他の実施形態では、ステップ(d)は、pHを3〜9の範囲内の値まで上昇させ、このpHで懸濁液を混合させるステップをさらに備える。
【0110】
金属酸化物被覆処理の実施形態によれば、ステップ(d)は、pHを約3〜約9の範囲内の値まで上昇させるステップを備える。他の実施形態では、pHは約5〜約7の範囲内であり、懸濁液(分散体)をこのpH範囲内で、例えば少なくとも2h(2時間)だけ攪拌することによって混合させる。他の実施形態では、攪拌は約2h〜約96hだけ行う。他の実施形態では、攪拌は約2h〜約72hだけ行う。さらに他の実施形態では、攪拌は少なくとも10h(例えば約10h〜約72hだけ行う)。他の実施形態では、攪拌は約200rpm〜約500rpmの範囲内で行う。
【0111】
他の実施形態では、処理ステップ(d)は、pHを3〜9の範囲内の値まで上昇させ、懸濁液を少なくとも2hの期間だけこのpHで混合させるステップをさらに備える。
【0112】
少なくとも1つの活性剤粒子状物質の金属酸化物被覆のエージング処理は、約4℃〜約90℃の温度で行うことができる。他の実施形態では、上記エージング処理ステップは、約15℃〜約60℃で行う。他の実施形態では、上記エージング処理は約20℃〜約40℃の温度で行う。
【0113】
よって、この処理の最後に繰り返される被覆ステップ及びエージング処理ステップは、より厚くより強固な金属酸化物被覆の成長も可能にする。いくつかの実施形態では、上記エージング処理を、繰り返される被覆ステップどうしの間(例えば、繰り返される被覆ステップ(b)どうしの間)では行なわず、被覆処理の最後にのみ行う。よって、いくつかの実施形態では、上記エージング処理ステップを、本明細書で説明する処理の最後にのみ行う。
【0114】
本発明の他の実施形態では、上記金属酸化物塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ジルコン酸ナトリウム、ジルコン酸カリウム、及びこれらの混合物から選択される。
【0115】
特定の実施形態では、この処理は、コロイド金属酸化物懸濁液を加えるステップをさらに備えることができる。他の実施形態では、コロイド金属酸化物懸濁液は、被覆処理中(例えばステップ(b)中、あるいは繰り返されるステップ(b)のうち1回以上の間)に、(ナノメートルサイズの金属酸化物(金属酸化物のナノ粒子)を含む)水性の懸濁液である。
【0116】
他の実施形態では、コロイド金属酸化物懸濁液は、コロイドシリカ懸濁液、コロイドチタニア懸濁液、コロイドアルミナ懸濁液、コロイドジルコニア懸濁液、コロイドZnO懸濁液、及びこれらの任意の混合物から選択される。
【0117】
いくつかの実施形態では、ナノメートルサイズの金属酸化物の平均粒径は、直径で、約5nm〜約100nmの範囲内にある。ナノメートルオーダーの金属酸化物:金属酸化物塩の重量比は、約95:5〜約1:99の範囲内とすることができる。他の実施形態では、この比は、約80:20〜約5:95の範囲内とすることができる。他の実施形態では、この比は、約70:30〜約10:90の範囲内にある。この比は、約60:40〜約20:80の範囲内にある。ナノメートルサイズの金属酸化物:金属酸化物塩の重量比は、約50:50とすることができる。
【0118】
本発明の他の実施形態では、上記活性剤粒子状物質の金属酸化物被覆処理は、上記活性剤粒子状物質の最外部の金属酸化物被覆の少なくとも一部分を化学修飾するステップをさらに備える。他の実施形態では、上記修飾ステップは、疎水基を、活性剤粒子状物質の最外部の金属酸化物被覆の少なくとも一部分に付着させるステップを備える。本発明のさらに他の実施形態では、化学修飾ステップは、シラノール基を、活性剤粒子状物質の最外部の金属酸化物被覆の少なくとも一部分上で、モノハロトリアルキルシラン、ジハロジアルキルシラン、トリハロアルキルシラン、モノアルコキシトリアルキルシラン、ジアルコキシジアルキルシラン、トリアルコキシアルキルシラン、及びこれらの混合物から選択される前駆体と反応させるステップを備える。
【0119】
いくつかの実施形態では、上記アルキル基は1〜18個の炭素原子を含む。他の実施形態では、上記アルキル基は1〜6個の炭素原子を含む。他の実施形態では、上記アルキルはメチルである。上記アルキル基は、一つ以上のフルオロ原子で置換することができる。他の実施形態では、上記アルコキシ基は1〜6個の炭素原子を含む。他の実施形態では、上記アルコキシ基は1〜2個の炭素原子を含む。
【0120】
上記ハロ基は、例えばクロロ、ブロモ、ヨード、フルオロとすることができる。いくつかの実施形態では、上記ハロ基はクロロ及びブロモである。他の実施形態では、上記アリルはフェニル又はベンジルである。
【0121】
上記前駆体は、金属酸化物被覆の表面上でシラノール基と反応して、シロキサン結合を形成する。
【0122】
疎水基の金属酸化物被覆の表面への付着は、乾燥させた、被覆した粒子状物質を上記前駆体と反応させることにより、行うことができる。疎水基を金属酸化物に付着させる手順は、次のように行うことができる:乾燥させた、被覆した粒子状物質の粉末を、例えばトルエンのような有機溶媒中に懸濁させる。上記リストからの前駆体(疎水化試薬)、例えばジメチルジクロロシランを、随意にハロゲンスカベンジャー、例えばトリアルキルアミン又はトリエタノールアミンなどの存在下で、有機相(混合物)に加える。この有機混合物を少なくとも約24時間だけ還流させて、金属酸化物被覆の表面上で疎水基をシラノール基に付着させることによって、金属酸化物被覆を疎水基で覆う。
【0123】
本発明の他の実施形態では、上記活性剤の金属酸化物被覆は、0.1〜10ミクロンの幅(厚さ)を有する。本発明の他の実施形態によれば、得られた金属酸化物被覆は、約0.1、0.2、0.3、0.5、0.7、1、1.5、2、又は5ミクロン、又はそれ以上の幅を有する。いくつかの実施形態では、得られた金属酸化物被覆は、10ミクロン以下の幅を有する。
【0124】
金属酸化物被覆の幅を、例えば透過型電子顕微鏡又は共焦点顕微鏡により測定して、粒子状物質の円形断面領域における最小幅が少なくとも例えば0.1ミクロンとなるようにすることができる(幅は、粒子の表面(即ち、金属酸化物の表面)から核−金属酸化物の境界面までの最短距離として測定する)。
【0125】
本発明の実施形態では、金属酸化物で被覆した活性剤粒子状物質は、約0.5ミクロン〜約100ミクロンの直径を有し、他の実施形態では、粒子状物質の直径は約1ミクロン〜約50ミクロンの範囲内にある。さらに他の実施形態では、粒子状物質の直径は約2ミクロン〜約30ミクロンの範囲内にある。
【0126】
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、特に断りのない限り、各要素は複数存在し得る。
【0127】
なお、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、特に断りのない限り、「備える」という用語やその変形語は、記載の個数又はステップを含むことを意味するが、記載以外の個数又はステップを排除することを意味するものではない。
【0128】
以下の例は、本発明の態様を実施するにあたって、発明者が採用した技術の代表例である。これらの技術は本発明の実施のための好的な実施形態であり、本願の開示に照らせば、本発明の精神及び意図する範囲から逸脱することなく、多数の変更を加え得ることは、当業者の認める所である。
【0129】
例:
以下の例では、溶液を参照する全ての%値は、(w/w)の値である。分散体を参照する全ての%値は、(w/w)の値である。
以下の例で用いる全ての溶液は、特に断りの無い限り、示される原料の水溶液を指す。
【0130】
例1:BPOのシリカ被覆
ステップ1: 製粉: 含水BPO 75%(Sigma社からのUSPグレード)110gを、0.001%のシリコン消泡剤を含む0.4% CTAC溶液152g中に懸濁させた。ステータ・ロータ型ミキサー(15,000 rpm/25m/sで動作させたKinematika polytron 6100)を用いてBPOを製粉した。懸濁液の粒径分布(PSD: Particle Size Distribution)がd(0.9)<35μmになった時又は温度が50℃に達した時、製粉を止めた。最終的な懸濁液を、室温まで冷却した。
【0131】
ステップ2a: 被覆オプション#1: 被覆手順中に、80mm溶解機を用いて、常に500 RPMで懸濁液を攪拌した。製粉されたBPO懸濁液のpHを、NaOH 5N溶液を用いて、8に修正した。15%ケイ酸ナトリウム溶液(SiO2としての15%w/w)の1gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。3%ポリクオタニウム7の1gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。5N HCl溶液を用いて、pHを6〜7に調節した。
BPOの周囲に異なる厚さを有する一連のシリカ被覆を生成するために、この手順を5〜100回繰り返した。
【0132】
ステップ2b: 被覆オプション#2: 被覆手順中に、80mm溶解機を用いて、常に500RPMで懸濁液を攪拌した。製粉されたBPO懸濁液のpHを、NaOH 5N溶液を用いて、8に修正した。15%ケイ酸ナトリウム溶液(SiO2としての15%w/w)の2.5gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。3%ポリクオタニウム7の2.5gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。5N HCl溶液を用いて、pHを6〜7に調節した。
BPOの周囲に異なる厚さを有する一連のシリカ被覆を生成するために、この手順を5〜100回繰り返した。
【0133】
エージング処理ステップ: pH6.5の被覆したBPO懸濁液を、低速で攪拌しながら24時間、室温(25℃+/-2℃)に保ってエージング処理した。
【0134】
例2:アニオン性界面活性剤を用いたBPOのシリカ被覆
ステップ1: 製粉: 含水BPO 75%(Sigma社からのUSPグレード)110gを、0.005%のシリコン消泡剤を含む0.4%ドデシルスルホン酸ナトリウム(SDS: Sodium Dodecyl Sulphonate)溶液152g中に懸濁させた。ステータ・ロータ型ミキサー(15,000 rpm/25m/sで動作させたKinematika polytron 6100)を用いてBPOを製粉した。懸濁液の粒径分布(PSD)がd(0.9)<35μmになった時又は温度が50℃に達した時、製粉を止めた。最終的な懸濁液を、室温まで冷却し、3%ポリクオタニウム7の1〜2.5gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。
【0135】
ステップ2a: 被覆オプション#1: 被覆手順中に、80mm溶解機を用いて、常に500 RPMで懸濁液を攪拌した。製粉されたBPO懸濁液のpHを、NaOH 5N溶液を用いて、8に修正した。15%ケイ酸ナトリウム溶液(SiO2としての15%w/w)の1gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。3%ポリクオタニウム7の1gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。5N HCl溶液を用いて、pHを6〜7に調節した。
BPOの周囲に異なる厚さを有する一連のシリカ被覆を生成するために、この手順を5〜100回繰り返した。
【0136】
ステップ2b: 被覆オプション#2: 被覆手順中に、80mm溶解機を用いて、常に500 RPMで懸濁液を攪拌した。製粉されたBPO懸濁液のpHを、NaOH 5N溶液を用いて、8に修正した。15%ケイ酸ナトリウム溶液(SiO2としての15%w/w)の2.5gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。3%ポリクオタニウム7の2.5gの分量を加えて、懸濁液を5分間攪拌した。5N HCl溶液を用いて、pHを6〜7に調節した。
BPOの周囲に異なる厚さを有する一連のシリカ被覆を生成するために、この手順を5〜100回繰り返した。
【0137】
エージング処理ステップ: pH6.5の被覆されたBPO懸濁液を、低速で攪拌しながら24時間、室温(25℃+/-2℃)に保ってエージング処理した。
【0138】
例3: 金属酸化物で被覆したBPOを備えた局所キット
【0139】
【表1】
【0140】
金属酸化物被覆処理は、上記例1に開示した処理ステップに従って行った。
キットA:
【0141】
【表2】
【0142】
【表3】
【0143】
【表4】
【0144】
キットB:
【0145】
【表5】
【0146】
【表6】
【0147】
【表7】
【0148】
例4: 金属酸化物で被覆したBPOを備えた局所キット
80人の患者(各治療グループに20人)を含めるように二重盲検無作為化試験を計画した。以下に列挙するように、患者がキットA、B、C、又はDのいずれかを受け取るように、患者を無作為に割り当てた。
【0149】
テストキット
この試験では、4つのキットを比較した:
(本発明の)キットA:
? 成分A1(クレンザー): 活性原料としての、4%シリカで被覆したBPO、沈静/鎮静特性を持つ植物性原料、及び角質除去ビーズ。
? 成分A2(トナー): グリコール酸と沈静及び鎮静植物性原料。
? 成分A3(ローション): 活性成分としての、4%シリカ被覆BPO、及び改善された有効特性を持つ植物性原料。
【0150】
(本発明の)キットB:
? 成分B1(クレンザー): 活性原料としての、7%シリカで被覆したBPO、沈静/鎮静特性を持つ植物性原料、及び角質除去ビーズ。
? 成分B2(トナー): 2%サリチル酸と沈静及び鎮静特性の薬剤。
? 成分B3(ローション): 活性原料としての、7%シリカで被覆したBPO、及び改善された有効特性を持つ植物性原料。
【0151】
キットC(対照)
? 成分C1(クレンザー): 活性原料としての、被覆しない自由な2.5% BPO、及び植物性抽出物。
? 成分C2(トナー): グリコール酸、植物性抽出物。
? 成分C3(ローション): 活性原料としての、被覆しない自由な2.5% BPO、植物性原料。
【0152】
キットD(対照)
? 成分D1(クレンザー): 活性原料としての、被覆しない自由な7% BPO、及び植物性抽出物。
? 成分D2(トナー): 活性原料としての、2%サリチル酸、植物性抽出物。
? 成分D3(ローション): 活性原料としての、被覆しない自由な7% BPO。
不活性原料: 植物性原料
【0153】
治療計画
1日の朝夕2回、1ヶ月間、このキットの各成分を順に塗布するように患者に要求した。
ステップ1−クレンザー成分
湿った皮膚に少量を塗布して優しくマッサージする。温水で完全に洗い流し、パッティングして乾かす。ステップ2−トナー成分に続く。
ステップ2−トナー成分
洗浄した皮膚に綿ボール又はパッドで塗布する。トナーが乾くまで待ち、ステップ3−ローション成分に続く。
ステップ3−ローション成分
清潔な皮膚上の患部全体に薄く塗布する。乾くまで待つ。洗い流してはならない。
【0154】
0、8、15、22、及び29 日目(±3日)に、試験調査責任者により有効性及び安全性パラメータについて患者を評価した。本試験の合計継続期間は4週間だった。最初の被験者は2008年4月に参加し、最後の被験者は2008年6月に診療所に戻ってきた。
【0155】
試験母集団の選択
試験対象患者基準
本試験に参加するのに適格であると認められるためには、各被験者は以下に列挙する試験対象患者基準を満たす必要があった。
1.患者は、次のように決定される軽度から中等度の顔面尋常性ざ瘡を有すること:
? 少なくとも3つの開放及び/又は閉鎖面皰(非炎症性病変)
? 少なくとも6つの丘疹及び/又は膿疱(非炎症性病変)
? 重度の嚢胞性座瘡が無いこと(? 4つの病変)
? 種類毎に25個より多くの病変が無いこと(非炎症性病変と炎症性病変との合計)
2.16〜35歳の男性及び女性
3.女性被験者は、効果的な避妊法を使用した。避妊ピルを使用する時、女性被験者は本試験に参加する前の3ヶ月以内はいかなる変更も行っているべきではない。
4.被験者は本試験の全継続期間中、あらゆる局所(顔面)製品又は薬用シャンプーの使用を控えることに協力的だった。
5.被験者はインフォームド・コンセント・フォームを記載して提出した(被験者が16〜18歳である場合、インフォームド・コンセント・フォームは被験者の法定代理人により署名されなければならなかった)。
6.被験者は本試験継続期間全体を通して、1日2回、全3ステップのキットを使用することに協力的だった。
【0156】
試験対象患者除外基準
被験者は、以下のうち1つの基準を満たす場合、本試験から除外された:
1.過酸化ベンゾイル又はサリチル酸/グリコール酸に対する既知の過敏症。
2.被験者がインフォームド・コンセントを提出するか、本試験を完了させる能力に悪影響を与える医学的又は精神的疾患。
3.妊娠中又は授乳中の女性。
4.参加前の直近4週間以内に皮膚表面に影響を与えた可能性がある薬、例えばレチノイド、抗生物質、及びコルチコステロイドなどの使用、及び直近6ヶ月以内にイソトレチノインの使用(試験前には1つの治療コースのみが許可された)、局所的抗ざ瘡薬物治療の使用(臨床試験前の2週間の期間中)、参加前の3ヶ月以内及び本試験の進行中に避妊ピルの変更。
5.重度のアレルギー、慢性肝臓疾患、慢性腎臓疾患、悪性腫瘍、又はHIVや肝炎などの接触感染症を含む他の既知の病気。
6.本試験前の1ヶ月間に、ざ瘡、ざ瘡瘢痕、又はざ瘡色素過剰の治療、レーザー治療、マイクロダーマブレーション(微小皮膚剥離)、光治療等のために美容又は皮膚施術を受けた被験者、又は参加前の2週間の期間中に人工日光浴の使用又は太陽下で休日を過ごしていた被験者。
7.面皰を生じやすい化粧品の使用。
8.調査員によりアルコール又は薬物の乱用と評価されたこと。
9.本試験前の30日以内に臨床試験への参加。
【0157】
評価スケジュール及び試験手順
スクリーニング来診
スクリーニング来診中に、各被験者を試験対象患者基準及び試験対象患者除外基準について評価した。適格な被験者は、インフォームド・コンセント・フォームに署名し、治療キット上の番号と同一の被験者番号(連続番号)を受けた。本試験前の直近30日以内に服用したあらゆる薬を含む医療歴及びざ瘡歴を調査した。人口統計の詳細を集収した。ざ瘡の重症度を調査員により評価し、全ての病変の数を数えた。全ての女性被験者は、尿妊娠検査を受けた。
【0158】
基準来診
基準来診中に、あらゆる併用薬の使用を含む、前回の来診から適格基準に何らかの変化が生じたか否かを確証するため、被験者は面接を受けた。調査員は全ての病変の数を数えた。文書のために写真を撮影した。各被験者は適切な医療キット、家で書き上げるための日記帳、及び使用説明書を受け取った。1週間後に診療所に戻るように被験者に指示した。
【0159】
来診3、4、及び5(8、15、及び22日目 ± 3日)
週1回の来診中に、被験者を診察し、調査員が有効性及び安全性パラメータを評価した。
有効性は病変の数を数えることにより評価し、改善レベルは調査員が判定した。各来診では顔の写真を撮影した。
安全性は、調査員が忍容性パラメータ、全ての有害事象、及び併用薬を再調査して記録することにより、評価した。
来診3中に、患者がアンケートに全て回答した。
【0160】
試験最後の来診(来診6、29日目 ± 3日)
この来診中に、被験者を診察し、有効性及び安全性パラメータを評価した。
調査員は病変の数を数えた。顔の写真を撮影した。被験者は本来診中に2つ目のアンケートに全て回答した。有害事象及び併用薬を再調査して記録した。
【0161】
併用薬
局所顔面治療を含む、本試験中に被験者が服用した全ての併用薬は、文書に記録しなければならなかた。
被験者には面皰を生じにくい化粧品を使用するように指示した。本試験中では、被験者には、あらゆる種類のレチノイド、あらゆる種類のコルチコステロイド、あらゆる種類の抗生物質、及びあらゆる抗ざ瘡薬の使用を認めなかった。
【0162】
忍容性及び安全性評価
各来診において、皮膚の刺激(紅斑、浮腫、乾燥、落屑/剥離)及び主観的忍容性(刺す感覚/灼熱感、痒み、圧迫感)について、被験者を調査員により視覚的に評価した。
各終点を次のように0〜3で等級付けした。
? 0 = 視覚的な異常反応無し
? 0.5 = 非常に軽度
? 1 = 軽度
? 2 = 中等度
? 3 = 重度
さらに、それ以前の週の期間中に発生した可能性のある他のあらゆる有害事象に関して、被験者に調査員が質問した。
全ての来診において有害事象を記録した。
本試験薬剤への関連は次のように定義した:無関係、関係があり得る、おそらく関係がある。
被験者が耐えられない場合にのみ、予期された有害事象(軽度の乾燥、剥離又は刺す感覚/灼熱感)を、有害事象として報告した。
【0163】
有効性評価
各来診中に、顔面全体から病変の数を数え、評価した。病変は、非炎症性、炎症性、のいずれかに分類した。
非炎症性の病変には、ブラックヘッド面皰及びホワイトヘッド面皰が含まれていた。
炎症性の病変には、丘疹、膿疱、結節、及び嚢胞が含まれていた。調査員には、グローバルアセスメント(IGA:調査員による総合評価)を用いてざ瘡疾患の改善の評価を要求した。改善の等級付けは次のとおりとした:
? 0 = 炎症性又は非炎症性の病変の無いきれいな皮膚。
? 1 = ほぼきれい、まれに非炎症性の病変があり、2つ以上の小さな炎症性の病変が無い。
? 2 = 等級1より大きな軽度の重症度、いくつかの非炎症性の病変があり、炎症性の病変は2、3個しか無い(丘疹/膿疱のみ、結節性病変が無い)。
? 3 =中等度の重症度、等級2より大きい、多数に及ぶ非炎症性の病変があり、いくつかの炎症性の病変が有り得るが、2つ以上の小結節性の病変がない。
? 4 = 重度;等級3より大きい、多数に及ぶ炎症性及び非炎症性の病変があるが、結節性病変は2、3個しか無い。
被験者には、被験者の治療の満足レベルを評価するため、アンケートに全て回答するようにも要求した。アンケートは来診3及び来診6中に全て回答されるようにした。
【0164】
治療遵守
各来診中に、被験者には、3キットの化合物のうちいずれか1つでも受けなかった治療について報告するように要求した。被験者がその後の日々のうち10%より多くの時間だけ薬剤を塗布しなかった場合、その被験者は服薬不履行であると判断した。
【0165】
統計的分析
サンプルサイズ
統計的分析を少なくとも64人の被験者に対して行うため(20%の割合が脱落することを考慮)、合計80人の被験者(各グループ内に20人)を本試験に参加させることとした。この被験者数によって統計的に有意な結果を得ることは予定していなかった。
【0166】
統計的計画
4つのグループの連続変数の差を、事後に行うScheffe & Gabriel検定及び適宜行うBrown-Forsythe のロバスト(頑健性) 検定とともに、ANOVA(分散分析)モデルにより分析した。
4つのグループの順序変数の差を、Kruskall-Wallis検定により分析した。
ペア単位の比較を、複数の比較についてのBonferron補正とともにMann-Whitney検定を用いて分析した。
連続変数の基準の変化を、事後検定及び対照とともに反復評価モデルにより分析した。
カテゴリ変数を、χ2検定又はフィッシャーの正確率検定を用いてテストした。
全ての検定は両側検定だった。
統計的分析は、治験実施計画書に適合した対象集団(Per-Protocol Set)に基づき行った。
遵守は、包括解析データ集合(ITT: Intent to Treat)及び治験実施計画書に適合したデータ集合の両方に基づき分析した。
欠測値の補完は行わなかった。
有意水準はσ=0.05に設定し(0.95の信頼区間)、p(確率)値を全ての統計的テストに対して示した。
評価の多重性のためのp値の調節は行わなかった。
複数の対比を、Shceffe検定、Dunnett検定、又はBonferroni補正によりテストした。
【0167】
被験者の評価のための基準
包括解析(ITT)グループは、少なくとも1つの治療を受けた全ての被験者を含んでいた。有効性評価に有効である治験実施計画書に適合した(PP)母集団は、いかなる重大な治験実施計画書の違反も無く、4週間の治療を完了した評価可能な被験者全員として定義した。
【0168】
試験結果
被験者の処理
78人の被験者が本試験に参加した。20人をキット(A)に割り当て、19人をキット(B)に割り当て、20人をキット(C)に割り当て、19人をキット(D)に割り当てた。治験実施計画書に適合したグループは、67人の被験者を含んでいた。11人の被験者を、治験実施計画書に適合した分析から除外した:キット(A)のうち1人の被験者を、有害事象により除外した。キット(B)のうち3人の被験者を、2人は禁止薬剤の使用により、1人は続行しなくなったことにより、除外した。キット(C)のうち2人の被験者を、1人は有害事象により、1人は続行しなくなったことにより、除外した。5人の患者が、コンセントの辞退により、又は続行しなくなったことにより、キット(D)を取りやめた。
【0169】
基準特性
4つの治療グループは、その基準特性(人口動態、ざ瘡疾患の継続期間、基準症状の重症度)において似ていた。A、B、C、及びDの治療グループ内の被験者の78.9%、81.3%、83.3%、及び64.3%(それぞれ)が女性だった。平均年齢は、グループAでは18.5歳 ± 4歳(最年少15.8歳、最年長31歳)であり、グループBでは19.1歳 ± 2.9歳(最年少16歳、最年長27歳)であり、グループCでは18.7歳 ± 2.4歳(最年少16歳、最年長24歳)であり、グループDでは17.1歳 ± 1.3歳(最年少16歳、最年長20歳)であった。
【0170】
【表8】
【0171】
忍容性評価(図1及び2)
全ての試験来診を通して、忍容性及び安全性パラメータを調査員が評価した。
次のパラメータを評価した:紅斑、浮腫、乾燥、落屑/剥離、刺す感覚/灼熱感覚、痒み、及び圧迫感。各終点を、説明したように0〜3で等級付けした。
患者が耐えられない場合のみ、忍容性パラメータを有害事象として報告した。
安全性及び忍容性パラメータの統計的分析を、ITT集団(少なくとも1つの治療を受けた全ての患者)について行った。
治療1週間後 − 治療キット間で忍容性の著しい差は見られなかった。
第2週に、キットAは、キットDより大幅に低い乾燥スコアを得た(p=0.002)。
第2週に、キットAは、キットDより大幅に低い落屑スコアを得た(p=0.006)。
第3週に、キットA及びBは、キットDより大幅に低い乾燥スコアを得た(それぞれρ=0.000、p=0.004)。
第3週に、キットAは、キットDより大幅に低い落屑スコアを得た(p=0.003)。
グループ間の著しい差は無かったが、第3週にキットAは、キットCより大幅に低い乾燥及び刺す感覚スコアを得た。
【0172】
第4週に、キットA及びBは、キットDより大幅に低い乾燥スコアを得た(それぞれp=0.000、p=0.004)。
第4週に、キットAは、キットDより大幅に低い落屑スコアを得た(p=0.001)。
第2週に、キットAは、キットDより大幅に低い累積皮膚刺激スコアを得た(p=0.002)。
第3週に、キットA及びBは、キットDより大幅に低い累積皮膚刺激スコアを得た(それぞれp=0.001、p=0.007)。
第4週に、キットA及びBは、キットDより大幅に低い累積皮膚刺激スコアを得た(それぞれp=0.003、p=0.008)。
グループ間の著しい差は無かったが、第2週現在で、及び全治療期間に渡って、キットA及びBは、キットCより低い累積皮膚刺激スコアを得た。
第3週と第4週に、キットA及びBは、キットDより大幅に低い皮膚刺激スコアを得た(全てのp値>0.008)。
【0173】
有効性結果
病変数
6つの来診の各々における、炎症性病変数、非炎症性病変数、及び合計病変数を数えた結果に基づき、有効性評価を行った。
炎症性病変は、開放(ブラックヘッド)及び閉鎖(ホワイトヘッド)面皰を含んでいた。炎症性病変は、丘疹、膿疱、及び結節嚢胞性の病変を含んでいた。
基準と比較した各週の改善率を、患者毎に算出し、次にグループ毎の平均値を算出した。
【0174】
病変の合計数(図3及び4)
第2週に、キットB(65.6%)は、キットD(41.7%)とキットC(44.6%)に比べてずっと大きな変化率が存在した(それぞれp=0.020、p=0.033)。
第4週に、及び全治療期間中に、キットB(74.9%)は、キットD(61.2%)とキットC(60.5%)に比べてずっと大きな変化率が存在した(それぞれp=0.047、p=0.030)。
【0175】
非炎症性病変(図5及び6)
第2週に、キットB(69.6%)は、キットD(45.1%)とキットC(41.0%)に比べてずっと大きな変化率が存在し(それぞれp=0.016、p=0.033)、キットA(40.4%)と比べて大きな変化率が存在した。
第4週に、及び全治療期間中に、キットB(76.4%)は、キットA(66.5%)及びキットD(58.8%)とキットC(59.3%)に比べてずっと大きな変化率が存在した(それぞれp=0.052、p=0.010、p=0.021)。
付加的な分析を、黒色及び白色面皰について別々に行った。
【0176】
黒色面皰(図7)
グループ間の著しい差は無かったが、第2週に、キットD(51.8%)、キットC(54.4%)と比べて、キットB(80.9%)による黒色面皰の大きな減少があった。
第4週に、キットD(66.0%)とキットC(64.2%)に比べて、キットB(85.5%)及びキットA(79.4%)による黒色面皰の大きな減少があった。
【0177】
白色面皰(図8)
グループ間の著しい差は無かったが、第2週に、キットD(44.3%)とキットC(34.7%)に比べて、キットB(64.6%)による黒色面皰の大きな減少があった。
全体的な対比として、キットA及びキットDとC(それぞれp=0.040、p=0.040、p=0.008)と比べて、キットBによる黒色面皰にずっと大きな減少があった。
【0178】
炎症性病変(図9及び10)
グループ間の著しい差は無かったが、第4週に、キットB(71.6%)及びキットA(73.8%)は、キットD(63.1%)とキットC(63.0%)に比べて、大きな変化率が存在した。
【0179】
調査員の総合評価(IGA: Investigator's Global Assessment)
有効性も調査員の総合評価により評価した。
グループ間の著しい差は無かったが、第2週に(第1週と比べて)、キットB(52.9%)及びキットA(41.2%)は、キットD(13.3%)とキットC(15.4%)に比べて、大きな率割合が存在した。
治療の第3及び第4週後に、IGAスコアが増加した。
グループ間の著しい差は無かったが、第4週に(第3週と比べて)、キットB(72.2%)及びキットA(82.4%)は、キットD(60.0%)とキットC(35.7%)に比べて、割合が増加した。
第4週には、キットBのみが優れた改善を示した(11%)。
【0180】
消費者アンケート(図11)
各患者は、来診3及び6の期間中(治療の1週間後及び4週間後)に、治療満足度アンケートに全て回答した。患者の本治療の満足レベルに関連するパラメータを示す。
1週間の治療後、キットB及びAについて最も高い満足度結果を得た:
グループ間の著しい差は無かったが、第1週には、「皮膚の発赤の著しい改善」からの患者の評点は、キットD(7.1%)とキットC(7.1%)に比べて、キットB(22%)及びキットA(24%)の方が高かった。
グループ間の著しい差は無かったが、第1週には、「キットの有効性について著しく満足した」からの患者の評点は、キットA(70.6%)が最も高かった。
グループ間の著しい差は無かったが、第1週には、「最初の使用から3日以内に改善が見られた」からの患者の評点は、キットA(87.5%)が最も高かった。
グループ間の著しい差は無かったが、第1週には、「ブラックヘッドを低減させる」からの患者の評点は、キットA(92.9%)が最も高かった。
グループ間の著しい差は無かったが、第1週には、「刺す感覚を起こさない」からの患者の評点は、キットA(76.5%)が最も高かった。
【0181】
治療の4週間後、キットB及びAはさらに高い満足結果を見せ続けた。
グループ間の著しい差は無かったが、第4週には、「病変数に著しい改善が見られた」からの患者の評点は、キットB(78.9%)が最も高かった。
グループ間の著しい差は無かったが、第4週には、「皮膚全体の外見に著しい改善が見られた」からの患者の評点は、キットB (84.2%)が最も高かった。
第4週には、「優しく、使用後に刺激を感じない」からの患者の評点は、キットD(50.0%)及びキットC(64.3%)と比べて、キットB(89.5%)及びキットA(83.3%)が最も高かった(p=0.038)。
第4週には、「刺す感覚を生じさせない」からの患者の評点は、キットD(43.8%)及びキットC(57.1%)と比べて、キットB(78.9%)及びキットA(83.3%)が最も高かった(p=0.001)。
第4週には、「皮膚を乾燥させない」からの患者の評点は、キットD(31.3%)及びキットA(50.0%)と比べて、キットB(68.4%)及びキットC(94.4%)が最も高かった(p=0.047)。
【0182】
結論
本治療の有効性は、3つの異なるパラメータにより評価した;病変数(合計、非炎症性、及び炎症性)、調査員の総合評価(IGA: Investigator's Global Assessment)、及び被験者が(消費者アンケートにより)報告した治療満足度。
【0183】
4つの治療グループの比較的小さなサンプルサイズにも関わらず、キットA及びBとキットC及びDとの間の臨床的に大幅な、かつ統計的に有意な差が見られた。
【0184】
キットBは、2つのキットD及びCの治療グループと比べて、合計病変数に統計的に有意な低減を示した。治療2週間後には著しい差が見られ、この差は本試験の最後まで続いた。
【0185】
キットA及びBとキットC及びDとの差は、IGAスコア(調査員による改善の総合評価)によっても見られた。キットA及びBの両方が、より高い改善の割合を示した。両者の差は、統計的に有意ではなかった。
【0186】
4つの治療グループによる試験被験者アンケートの結果の比較は、ざ瘡病変数の低減と皮膚全体の外見の改善を達成するのに、キットA及びBがずっと有効的であると認識されたことを示した。
【0187】
より高率の満足度を示した他のパラメータは、次の主張を含んでいた:
− 優しく、刺激が無い(キットBの治療が89.5%であるのに対してキットDが50%)、
− 刺す感覚を生じさせない(キットBの治療が83.3%であるのに対してキットCが64.3%)、
− 皮膚を乾燥させない(キットAの治療が94.4%であるのに対してキットCが50%)。
【0188】
4つの治療グループの異なる忍容性パラメータの比較により、キットA及びBの両方が、キットC及びDより良好に忍容されたことが示された。
【0189】
治療の2週間後、乾燥肌及び落屑の比率及び重症度は、キットC(乾燥肌については0.002、落屑については0.006)に対してキットAが大幅に低いと被験者に認識された。治療の4週間後、キットBとキットDとの乾燥肌及び落屑の比率及び重症度は、それぞれ乾燥肌については0.007、落屑については0.023であった。
【0190】
本試験の有効性及び忍容性の結果は、軽度及び中等度のざ瘡を患った被験者は、キットA及びBを使用することにより、従来技術のキットC及びDを使用する場合と比べて、副作用が低減してざ瘡病変がより良く改善することにより、より効果的かつ安全に恩恵を受けることができることを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第1活性剤を含む少なくとも1つの成分と、
前記第1活性剤を含まない少なくとも1つの皮膚治療成分と
を備えていることを特徴とする多成分局所システム。
【請求項2】
金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第1活性剤を含む少なくとも1つの成分であって、該金属酸化物は前記少なくとも1つの第1活性剤の漸進的な放出をもたらすように選択されている成分と、
前記第1活性剤を含まない少なくとも1つの皮膚治療成分と
を備えていることを特徴とする多成分局所システム。
【請求項3】
少なくとも1つの追加的成分を備え、
前記追加的成分の各々は、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの追加的活性剤を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの追加的成分は、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第2活性剤を含む第2成分であることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1活性剤と前記第2活性剤とが、同じであるか、又は異なることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のシステムであって、前記活性剤の前記金属酸化物被覆は、
(a) 不水溶性活性剤を水性媒体中でイオン添加剤と接触させて、荷電表面を有する活性剤粒子状物質の分散体を得るステップと、
(b) 前記活性剤粒子状物質の表面上に金属酸化物塩を沈殿させて、前記粒子状物質上に金属酸化物被覆を形成するステップと、
(c) 随意にステップ(b)を繰り返すステップと、
(d) 前記粒子状物質上の前記金属酸化物被覆をエージング処理するステップと
を備えた処理により得られることを特徴とするシステム。
【請求項7】
前記処理ステップ(c)を4〜約1000回繰り返すことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記イオン添加剤は、カチオン添加剤、アニオン添加剤、及びこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載のシステムであって、前記処理は、
(a) 少なくとも1つの不水溶性活性剤を、水性媒体中でカチオン添加剤に接触させて、表面上の少なくとも一部分に正電荷を有する活性剤粒子状物質の分散体を得るステップと、
(b) 前記活性剤粒子状物質の表面上の少なくとも一部分に金属酸化物塩を沈殿させて、前記活性粒子状物質上に金属酸化物被覆を形成するステップと、
(b1) 前記金属酸化物で被覆された前記活性剤粒子状物質を、(i)追加的カチオン添加剤、及び(ii)非イオン性添加剤から選択される少なくとも1つの添加剤に接触させ、これにより、表面上の少なくとも一部分に前記少なくとも1つの添加剤を有する、前記金属酸化物で被覆された活性剤粒子状物質を得るステップと、
(b2) 表面上の少なくとも一部分に前記少なくとも1つの添加剤を有する、前記金属酸化物で被覆された前記活性剤粒子状物質の表面上の少なくとも一部分に金属酸化物塩を沈殿させて、前記粒子状物質上に追加的金属酸化物被覆を形成するステップと、
(c) 随意にステップ(b1)及びステップ(b2)を繰り返すステップと、
(d) 前記粒子状物質上の前記金属酸化物被覆をエージング処理するステップと
を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれかに記載のシステムであって、前記処理は、
(a) 少なくとも1つの不水溶性活性剤を、水性媒体中でアニオン添加剤、カチオン添加剤に接触させて、表面上の少なくとも一部分に正電荷を有する活性剤粒子状物質の分散体を得るステップと、
(b) 前記活性剤粒子状物質の表面上の少なくとも一部分に金属酸化物塩を沈殿させて、前記活性粒子状物質上に金属酸化物被覆を形成するステップと、
(b1) 前記金属酸化物で被覆された前記活性剤粒子状物質を、(i)追加的カチオン添加剤、及び(ii)非イオン添加剤から選択される少なくとも1つの添加剤に接触させ、これにより、表面上の少なくとも一部分に前記少なくとも1つの添加剤を有する、被覆された活性剤粒子状物質を得るステップと、
(b2) 表面上の少なくとも一部分に前記少なくとも1つの添加剤を有する、前記金属酸化物で被覆された前記活性剤粒子状物質の表面上の少なくとも一部分に金属酸化物塩を沈殿させて、前記活性粒子状物質上に追加的金属酸化物被覆を形成するステップと、
(c) 随意にステップ(b1)及びステップ(b2)を繰り返すステップと、
(d) 前記活性粒子状物質上の前記金属酸化物被覆をエージング処理するステップと
を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項11】
ステップ(c)を3〜約1000回繰り返すことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
請求項6〜11のいずれかに記載のシステムであって、前記少なくとも1つの不水溶性活性剤を被覆する処理は、
(e) 前記金属酸化物で被覆された前記粒子状物質を、前記水性媒体から分離し、随意に、前記被覆された少なくとも1つの活性剤を水性媒体中ですすいで再分散させるステップをさらに備えていることを特徴とするシステム。
【請求項13】
ステップ(b)における前記被覆することは、前記水性媒体を酸性化することを含むことを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
ステップ(b2)における前記被覆することは、前記水性媒体を酸性化することを含むことを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
ステップ(b1)は、ステップ(b)で得られる前記分散体のpHを、前記追加的カチオン添加剤を加える前に、前記金属酸化物の等電点より高い値となるように調節することを含むことを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
ステップ(d)は、前記pHを3〜9の範囲内の値まで上昇させ、少なくとも2時間だけ前記pH中で前記懸濁液を混合させることを含むことを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの活性剤は、抗真菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗掻痒剤、抗乾癬剤、抗脂漏剤、抗ざ瘡剤、抗酒さ剤、抗癌剤、抗光老化剤、美白/皮膚脱色剤、抗皮膚発赤剤、及びこれらの任意の組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
前記活性剤は、過酸化ベンゾイルであることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記金属酸化物は、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、ZnO、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載のシステム。
【請求項20】
前記金属酸化物塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ジルコン酸ナトリウム、ジルコン酸カリウム、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項6〜19のいずれかに記載のシステム。
【請求項21】
前記活性剤粒子状物質の最外部の前記金属酸化物被覆の少なくとも一部分を化学修飾するステップをさらに備えている請求項6〜20のいずれかに記載のシステム。
【請求項22】
前記化学修飾するステップは、疎水基を、前記活性剤粒子状物質の最外部の前記金属酸化物被覆の少なくとも一部分に付着させることを含むことを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記化学修飾するステップは、シラノール基を、前記活性剤粒子状物質の最外部の前記金属酸化物被覆の少なくとも一部分上で、モノハロトリアルキルシラン、ジハロジアルキルシラン、トリハロアルキルシラン、モノアルコキシトリアルキルシラン、ジアルコキシジアルキルシラン、トリアルコキシアルキルシラン、及びこれらの混合物から選択される前駆体と反応させることを含むことを特徴とする請求項21又は22に記載のシステム。
【請求項24】
前記活性剤の前記金属酸化物被覆は、0.1〜10ミクロンの幅を有することを特徴とする請求項1〜23のいずれかに記載のシステム。
【請求項25】
前記システムの各成分は、同時の、順次の、別個の、又は並列的な使用に適用可能であることを特徴とする、被験者の皮膚表面への局所投与のための、請求項1〜24のいずれかに記載のシステム。
【請求項26】
皮膚疾患の局所治療で使用される請求項1〜25のいずれかに記載のシステム。
【請求項27】
皮膚又は粘膜の病気又は疾患の治療、外見の改善、又は予防のための方法であって、請求項1〜26のいずれかに記載のシステムを、前記皮膚又は粘膜上に局所投与するステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項28】
前記皮膚の表面の疾患は、ざ瘡、感染症、炎症、掻痒、乾癬、脂漏、接触皮膚炎、皮膚癌、皮膚光老化、色素沈着、発赤、酒さ、及びこれらの任意の組み合わせから選択される病気又は障害であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項1〜26のいずれかに記載のシステムを、前記皮膚又は粘膜上に局所投与するステップを備えていることを特徴とする皮膚病変を治療する方法。
【請求項30】
請求項1〜26のいずれかに記載のシステムを、前記皮膚又は粘膜上に局所投与するステップを備えていることを特徴とする皮膚面皰を治療する方法。
【請求項31】
請求項1〜26のいずれかに記載のシステムを、前記皮膚又は粘膜上に局所投与するステップを備えていることを特徴とするざ瘡を治療する方法。
【請求項32】
前記システムの成分を、所定の投与スケジュールで投与することを特徴とする請求項27〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
請求項1〜26のいずれかに記載のシステムを、前記皮膚又は粘膜上への局所投与に使用する方法。
【請求項34】
前記局所投与は、ざ瘡、掻痒、乾癬、脂漏、接触皮膚炎、感染症、癌、皮膚光老化、色素沈着、発赤、酒さ、炎症、及びこれらの任意の組み合わせから選択される病気又は障害の治療を目的とすることを特徴とする請求項33に記載の使用方法。
【請求項35】
前記局所投与は、皮膚病変の治療を目的とすることを特徴とする請求項33に記載の使用方法。
【請求項36】
前記局所投与は、皮膚面皰の治療を目的とすることを特徴とする請求項33に記載の使用方法。
【請求項37】
前記局所投与は、ざ瘡の治療を目的とすることを特徴とする請求項33に記載の使用方法。
【請求項38】
前記局所投与は、酒さの治療を目的とすることを特徴とする請求項33に記載の使用方法。
【請求項39】
前記システムの成分を、所定の投与スケジュールで投与することを特徴とする請求項33〜38のいずれかに記載の使用方法。
【請求項40】
金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第1活性剤を含む少なくとも1つの成分と、
前記第1活性剤を含まない少なくとも1つの皮膚治療成分と、
使用説明書と
を備えているキット。
【請求項41】
金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第1活性剤を含む少なくとも1つの成分であって、該金属酸化物は前記少なくとも1つの第1活性剤の漸進的な放出をもたらすように選択されている成分と、
前記第1活性剤を含まない少なくとも1つの皮膚治療成分と、
使用説明書と
を備えているキット。
【請求項42】
少なくとも1つの追加的成分を備え、
前記追加的成分の各々は、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの追加的活性剤を含むことを特徴とする請求項40又は41に記載のキット。
【請求項43】
前記少なくとも1つの追加的成分は、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第2活性剤を含む第2成分であることを特徴とする請求項40〜42のいずれかに記載のキット。
【請求項44】
前記第1活性剤と前記第2活性剤とが、同じであるか、又は異なることを特徴とする請求項40〜43のいずれかに記載のキット。
【請求項45】
ざ瘡、酒さ、乾癬、掻痒、皮膚光老化、色素沈着、皮膚炎、炎症、粘膜感染部位、癌、発赤、及びこれらの任意の組み合わせのうち1つ以上から選択される病気又は障害の治療又は予防のための使用を目的とする請求項40〜44のいずれかに記載のキット。
【請求項46】
皮膚病変の治療又は予防で使用される請求項40〜45のいずれかに記載のキット。
【請求項47】
皮膚面皰の治療又は予防で使用される請求項40〜45のいずれかに記載のキット。
【請求項48】
酒さの治療又は予防で使用される請求項40〜45のいずれかに記載のキット。
【請求項49】
ざ瘡の治療又は予防で使用される請求項40〜45のいずれかに記載のキット。
【請求項1】
金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第1活性剤を含む少なくとも1つの成分と、
前記第1活性剤を含まない少なくとも1つの皮膚治療成分と
を備えていることを特徴とする多成分局所システム。
【請求項2】
金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第1活性剤を含む少なくとも1つの成分であって、該金属酸化物は前記少なくとも1つの第1活性剤の漸進的な放出をもたらすように選択されている成分と、
前記第1活性剤を含まない少なくとも1つの皮膚治療成分と
を備えていることを特徴とする多成分局所システム。
【請求項3】
少なくとも1つの追加的成分を備え、
前記追加的成分の各々は、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの追加的活性剤を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの追加的成分は、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第2活性剤を含む第2成分であることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1活性剤と前記第2活性剤とが、同じであるか、又は異なることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のシステムであって、前記活性剤の前記金属酸化物被覆は、
(a) 不水溶性活性剤を水性媒体中でイオン添加剤と接触させて、荷電表面を有する活性剤粒子状物質の分散体を得るステップと、
(b) 前記活性剤粒子状物質の表面上に金属酸化物塩を沈殿させて、前記粒子状物質上に金属酸化物被覆を形成するステップと、
(c) 随意にステップ(b)を繰り返すステップと、
(d) 前記粒子状物質上の前記金属酸化物被覆をエージング処理するステップと
を備えた処理により得られることを特徴とするシステム。
【請求項7】
前記処理ステップ(c)を4〜約1000回繰り返すことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記イオン添加剤は、カチオン添加剤、アニオン添加剤、及びこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載のシステムであって、前記処理は、
(a) 少なくとも1つの不水溶性活性剤を、水性媒体中でカチオン添加剤に接触させて、表面上の少なくとも一部分に正電荷を有する活性剤粒子状物質の分散体を得るステップと、
(b) 前記活性剤粒子状物質の表面上の少なくとも一部分に金属酸化物塩を沈殿させて、前記活性粒子状物質上に金属酸化物被覆を形成するステップと、
(b1) 前記金属酸化物で被覆された前記活性剤粒子状物質を、(i)追加的カチオン添加剤、及び(ii)非イオン性添加剤から選択される少なくとも1つの添加剤に接触させ、これにより、表面上の少なくとも一部分に前記少なくとも1つの添加剤を有する、前記金属酸化物で被覆された活性剤粒子状物質を得るステップと、
(b2) 表面上の少なくとも一部分に前記少なくとも1つの添加剤を有する、前記金属酸化物で被覆された前記活性剤粒子状物質の表面上の少なくとも一部分に金属酸化物塩を沈殿させて、前記粒子状物質上に追加的金属酸化物被覆を形成するステップと、
(c) 随意にステップ(b1)及びステップ(b2)を繰り返すステップと、
(d) 前記粒子状物質上の前記金属酸化物被覆をエージング処理するステップと
を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれかに記載のシステムであって、前記処理は、
(a) 少なくとも1つの不水溶性活性剤を、水性媒体中でアニオン添加剤、カチオン添加剤に接触させて、表面上の少なくとも一部分に正電荷を有する活性剤粒子状物質の分散体を得るステップと、
(b) 前記活性剤粒子状物質の表面上の少なくとも一部分に金属酸化物塩を沈殿させて、前記活性粒子状物質上に金属酸化物被覆を形成するステップと、
(b1) 前記金属酸化物で被覆された前記活性剤粒子状物質を、(i)追加的カチオン添加剤、及び(ii)非イオン添加剤から選択される少なくとも1つの添加剤に接触させ、これにより、表面上の少なくとも一部分に前記少なくとも1つの添加剤を有する、被覆された活性剤粒子状物質を得るステップと、
(b2) 表面上の少なくとも一部分に前記少なくとも1つの添加剤を有する、前記金属酸化物で被覆された前記活性剤粒子状物質の表面上の少なくとも一部分に金属酸化物塩を沈殿させて、前記活性粒子状物質上に追加的金属酸化物被覆を形成するステップと、
(c) 随意にステップ(b1)及びステップ(b2)を繰り返すステップと、
(d) 前記活性粒子状物質上の前記金属酸化物被覆をエージング処理するステップと
を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項11】
ステップ(c)を3〜約1000回繰り返すことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
請求項6〜11のいずれかに記載のシステムであって、前記少なくとも1つの不水溶性活性剤を被覆する処理は、
(e) 前記金属酸化物で被覆された前記粒子状物質を、前記水性媒体から分離し、随意に、前記被覆された少なくとも1つの活性剤を水性媒体中ですすいで再分散させるステップをさらに備えていることを特徴とするシステム。
【請求項13】
ステップ(b)における前記被覆することは、前記水性媒体を酸性化することを含むことを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
ステップ(b2)における前記被覆することは、前記水性媒体を酸性化することを含むことを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
ステップ(b1)は、ステップ(b)で得られる前記分散体のpHを、前記追加的カチオン添加剤を加える前に、前記金属酸化物の等電点より高い値となるように調節することを含むことを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
ステップ(d)は、前記pHを3〜9の範囲内の値まで上昇させ、少なくとも2時間だけ前記pH中で前記懸濁液を混合させることを含むことを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの活性剤は、抗真菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗掻痒剤、抗乾癬剤、抗脂漏剤、抗ざ瘡剤、抗酒さ剤、抗癌剤、抗光老化剤、美白/皮膚脱色剤、抗皮膚発赤剤、及びこれらの任意の組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
前記活性剤は、過酸化ベンゾイルであることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記金属酸化物は、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、ZnO、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載のシステム。
【請求項20】
前記金属酸化物塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ジルコン酸ナトリウム、ジルコン酸カリウム、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項6〜19のいずれかに記載のシステム。
【請求項21】
前記活性剤粒子状物質の最外部の前記金属酸化物被覆の少なくとも一部分を化学修飾するステップをさらに備えている請求項6〜20のいずれかに記載のシステム。
【請求項22】
前記化学修飾するステップは、疎水基を、前記活性剤粒子状物質の最外部の前記金属酸化物被覆の少なくとも一部分に付着させることを含むことを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記化学修飾するステップは、シラノール基を、前記活性剤粒子状物質の最外部の前記金属酸化物被覆の少なくとも一部分上で、モノハロトリアルキルシラン、ジハロジアルキルシラン、トリハロアルキルシラン、モノアルコキシトリアルキルシラン、ジアルコキシジアルキルシラン、トリアルコキシアルキルシラン、及びこれらの混合物から選択される前駆体と反応させることを含むことを特徴とする請求項21又は22に記載のシステム。
【請求項24】
前記活性剤の前記金属酸化物被覆は、0.1〜10ミクロンの幅を有することを特徴とする請求項1〜23のいずれかに記載のシステム。
【請求項25】
前記システムの各成分は、同時の、順次の、別個の、又は並列的な使用に適用可能であることを特徴とする、被験者の皮膚表面への局所投与のための、請求項1〜24のいずれかに記載のシステム。
【請求項26】
皮膚疾患の局所治療で使用される請求項1〜25のいずれかに記載のシステム。
【請求項27】
皮膚又は粘膜の病気又は疾患の治療、外見の改善、又は予防のための方法であって、請求項1〜26のいずれかに記載のシステムを、前記皮膚又は粘膜上に局所投与するステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項28】
前記皮膚の表面の疾患は、ざ瘡、感染症、炎症、掻痒、乾癬、脂漏、接触皮膚炎、皮膚癌、皮膚光老化、色素沈着、発赤、酒さ、及びこれらの任意の組み合わせから選択される病気又は障害であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項1〜26のいずれかに記載のシステムを、前記皮膚又は粘膜上に局所投与するステップを備えていることを特徴とする皮膚病変を治療する方法。
【請求項30】
請求項1〜26のいずれかに記載のシステムを、前記皮膚又は粘膜上に局所投与するステップを備えていることを特徴とする皮膚面皰を治療する方法。
【請求項31】
請求項1〜26のいずれかに記載のシステムを、前記皮膚又は粘膜上に局所投与するステップを備えていることを特徴とするざ瘡を治療する方法。
【請求項32】
前記システムの成分を、所定の投与スケジュールで投与することを特徴とする請求項27〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
請求項1〜26のいずれかに記載のシステムを、前記皮膚又は粘膜上への局所投与に使用する方法。
【請求項34】
前記局所投与は、ざ瘡、掻痒、乾癬、脂漏、接触皮膚炎、感染症、癌、皮膚光老化、色素沈着、発赤、酒さ、炎症、及びこれらの任意の組み合わせから選択される病気又は障害の治療を目的とすることを特徴とする請求項33に記載の使用方法。
【請求項35】
前記局所投与は、皮膚病変の治療を目的とすることを特徴とする請求項33に記載の使用方法。
【請求項36】
前記局所投与は、皮膚面皰の治療を目的とすることを特徴とする請求項33に記載の使用方法。
【請求項37】
前記局所投与は、ざ瘡の治療を目的とすることを特徴とする請求項33に記載の使用方法。
【請求項38】
前記局所投与は、酒さの治療を目的とすることを特徴とする請求項33に記載の使用方法。
【請求項39】
前記システムの成分を、所定の投与スケジュールで投与することを特徴とする請求項33〜38のいずれかに記載の使用方法。
【請求項40】
金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第1活性剤を含む少なくとも1つの成分と、
前記第1活性剤を含まない少なくとも1つの皮膚治療成分と、
使用説明書と
を備えているキット。
【請求項41】
金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第1活性剤を含む少なくとも1つの成分であって、該金属酸化物は前記少なくとも1つの第1活性剤の漸進的な放出をもたらすように選択されている成分と、
前記第1活性剤を含まない少なくとも1つの皮膚治療成分と、
使用説明書と
を備えているキット。
【請求項42】
少なくとも1つの追加的成分を備え、
前記追加的成分の各々は、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの追加的活性剤を含むことを特徴とする請求項40又は41に記載のキット。
【請求項43】
前記少なくとも1つの追加的成分は、金属酸化物で被覆した少なくとも1つの第2活性剤を含む第2成分であることを特徴とする請求項40〜42のいずれかに記載のキット。
【請求項44】
前記第1活性剤と前記第2活性剤とが、同じであるか、又は異なることを特徴とする請求項40〜43のいずれかに記載のキット。
【請求項45】
ざ瘡、酒さ、乾癬、掻痒、皮膚光老化、色素沈着、皮膚炎、炎症、粘膜感染部位、癌、発赤、及びこれらの任意の組み合わせのうち1つ以上から選択される病気又は障害の治療又は予防のための使用を目的とする請求項40〜44のいずれかに記載のキット。
【請求項46】
皮膚病変の治療又は予防で使用される請求項40〜45のいずれかに記載のキット。
【請求項47】
皮膚面皰の治療又は予防で使用される請求項40〜45のいずれかに記載のキット。
【請求項48】
酒さの治療又は予防で使用される請求項40〜45のいずれかに記載のキット。
【請求項49】
ざ瘡の治療又は予防で使用される請求項40〜45のいずれかに記載のキット。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−514593(P2012−514593A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544115(P2011−544115)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000010
【国際公開番号】WO2010/076803
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(511026050)ゾル−ゲル テクノロジー リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】SOL−GEL TECHNOLOGIES LTD.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000010
【国際公開番号】WO2010/076803
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(511026050)ゾル−ゲル テクノロジー リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】SOL−GEL TECHNOLOGIES LTD.
【Fターム(参考)】
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