説明

被覆光ファイバの製造方法およびその製造方法で作製された被覆光ファイバならびにバンドルライトガイド

【課題】本発明の課題は水素雰囲気中で処理しなくても、優れた紫外線伝送特性を有する被覆光ファイバの製造方法を提供することであり、更には、光ファイバ外径(C1)が大きい被覆光ファイバ、C1/C2(C2:コア径)の大きい被覆光ファイバの製造方法およびその製造方法で作製された被覆光ファイバならびにそれを使用したバンドルライトガイドを提供することを課題とする。
【解決手段】少なくともコアと該コアの外周にクラッドを有する光ファイバの外周に、溶融したアルミニウムまたはその合金を被覆し凝固させてなる被覆層を有する被覆光ファイバの製造方法において、該被覆層を形成した後、被覆層の外周にさらに保護層を設けずに50℃〜450℃で、0.5時間以上の熱処理を施したことを特徴とする被覆光ファイバの製造方法で解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は波長170〜350nmの紫外線を伝送する光ファイバ、特に、N2エキシマレーザー(波長;337nm)、XeClエキシマレーザー(波長;308nm)、KrFエキシマレーザー(波長;248nm)、KrClエキシマレーザー(波長;222nm)、ArFエキシマレーザー(波長;193nm)、Xeエキシマレーザー(波長;172nm)、Nd:YAG第4高調波レーザー(波長;265nm)、Nd:YAG第5高調波レーザー(波長;212nm)等といったエネルギー密度の高いレーザー光および重水素ランプなどによる紫外線を好適に伝送することができる光ファイバの製造方法およびその製造方法で作製された光ファイバならびにそれを使用したバンドルライトガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上記した用途に使用される光ファイバとしては、シリカガラスを主体成分とするコア・クラッドの構造を有し、クラッドがコアよりも屈折率が低い光ファイバが使用されている。しかし、酸化ゲルマニウムなどをドープしたシリカガラスをコアとする光ファイバに紫外線を伝送すると、欠陥が生じるが故に吸収が大きくなり透過率が著しく減少してしまうので、紫外線伝送用光ファイバとしては不適切であることが知られている。
【0003】
一方、OH基および/またはF(フッ素)を含有するシリカガラスをコアとして用いる光ファイバは耐放射線性に優れることが示された(特許文献1)。このため、純石英をコア部とし、フッ素ドープしたシリカガラスをクラッド部とする「純石英コア光ファイバ」が紫外線伝送用光ファイバとして用いられ始めた。しかし、該純石英コア光ファイバであっても、エネルギーレベルが高い紫外線(放射線)、特にKrFエキシマレーザーまたはArFエキシマレーザーを照射、伝送する際には、光エネルギー(hν)が作用して、該光ファイバのガラス中で下記式(1)にしたがってラジカルが発生してしまい、透過率が低下することが知られている。
【0004】
Si−O−Si+hν → Si**O−Si ・・・(1)
【0005】
上記透過率の低下を軽減する方法として、光ファイバを水素含有雰囲気に曝して、水素分子を光ファイバ中に取り込むことによって、光ファイバ中の欠陥と水素分子とを反応させて、光ファイバの分子構造上の欠陥を埋めて、紫外域に吸収を持たない結合(例;Si−OHやSi−H)に変換できることが提案された(特許文献2〜5)。
【0006】
しかし、上記水素はOH基などとして安定な状態で存在するのではなく、ほとんどは、水素分子(以下、「水素」という)として存在するため、経時変化により水素濃度が低下すると、紫外線照射により生成した欠陥によって紫外線を吸収してしまうこと、それ故、上記方法は光ファイバの透過率低下を抑制することにほとんど寄与しないことが、最近になって判ってきた。
【0007】
さらに、研究開発が進められた結果、紫外線を光ファイバに入射しながら水素雰囲気中で昇温したり、水素雰囲気中で昇温した状態の光ファイバに放射線を照射する発明(特許文献6および7)がなされたり、また、光ファイバの外周に金属を被覆して高温高圧下で水素処理を施す発明(特許文献8)がなされている。
【0008】
しかし、このような製造方法による場合、水素雰囲気中での処理が必須となるので製造工程が複雑になる。そのため、新たな設備が必要になり、得られる光ファイバ、さらにはそれを用いた製品(バンドルライトガイド等)のコストが嵩むという問題があった。
【0009】
また、近年、様々な用途に応じて光ファイバ外径(C1)が異なった光ファイバや光ファイバ外径(C1)とコア径(C2)との比(C1/C2)が異なった光ファイバが生産され始めてきた。そこで種々の光ファイバに対しても、被覆光ファイバとした製品が要求され始めた。
【0010】
しかしながら、光ファイバ外径(C1)が大きい被覆光ファイバやC1/C2が大きい被覆光ファイバに対しては、従来技術では安定した紫外線伝送特性が得られないという問題があった。また、従来技術にあるように、膨大な設備(水素雰囲気中での熱処理)が必要なので製品コストが嵩むという問題もあった。
【0011】
【特許文献1】特開平5−147966号公報
【特許文献2】特開昭60−90853号公報
【特許文献3】特開平6−34830号公報
【特許文献4】特開平6−56457号公報
【特許文献5】特開平12−226223号公報
【特許文献6】特開平12−86272号公報
【特許文献7】特開平12−86273号公報
【特許文献8】特開平9−309742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は水素雰囲気中で処理しなくても、優れた紫外線伝送特性を有する被覆光ファイバの製造方法を提供することであり、更には、光ファイバ外径(C1)が大きい被覆光ファイバ、C1/C2の大きい被覆光ファイバの製造方法およびその製造方法で作製された被覆光ファイバならびにそれを使用したバンドルライトガイドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、
(1)少なくともコアと該コアの外周にクラッドを有する光ファイバの外周に、溶融したアルミニウムまたはその合金を被覆し凝固させてなる被覆層を有する被覆光ファイバの製造方法において、該被覆層を形成した後、被覆層の外周にさらに保護層を設けずに50℃〜450℃で、0.5時間以上の熱処理を施したことを特徴とする被覆光ファイバの製造方法。
(2)少なくともコアと該コアの外周にクラッドを有する光ファイバであって、該光ファイバの外周に、溶融したアルミニウムまたはその合金を被覆し凝固させてなる被覆層を有する被覆光ファイバの製造方法において、被覆層の外周にさらに保護層を設けた後に、50℃〜300℃で、0.5時間以上の熱処理を施したことを特徴とする被覆光ファイバの製造方法。
(3)さらに、前記クラッドの外周にサポートガラス層が形成されている光ファイバであることを特徴とする(1)または(2)に記載の被覆光ファイバの製造方法。
(4)前記光ファイバの外径(C1)が200μm〜1000μmであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の被覆光ファイバの製造方法。
(5)前記光ファイバの外径(C1)と前記コアの直径(C2)との比(C1/C2)が、1.05〜10であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の被覆光ファイバの製造方法。
(6)前記コアが少なくともOH基および/またはFを合計で100〜5000ppm含有し、かつ、12mJ/cmのArFエキシマレーザーを常温、常圧下で10ショット照射したときに下記(A)または(B)の要件を充足するシリカガラスからなることを特徴する(1)〜(5)のいずれかに記載の被覆光ファイバの製造方法。
(A)E’センターが生成せず、かつ、NBOHCが生成しない、
(B)E’センターが生成し、かつ、NBOHCが生成する、
(7)(1)〜(6)のいずれかの製造方法で作成された被覆光ファイバ。
(8)(7)に記載の被覆光ファイバを複数本使用してなるバンドルライトガイド。
で解決することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の発明者等は、光ファイバ外周に溶融したアルミニウムまたはその合金を被覆させて凝固させて被覆層を形成させた被覆光ファイバが、紫外線伝送特性を有する原因について以下のような見解を持っている。
一般的に光ファイバに紫外線を伝送させるとコアに新たな欠陥が発生するので、経時変化で紫外伝送特性が低下する。しかし、従来技術にもあるようにコア中に水素が存在すると、紫外線伝送により発生した欠陥を消滅させるという作用効果がある。
【0015】
そこで溶融したアルミニウムまたはその合金を被覆させて凝固させ被覆層を形成させた被覆光ファイバでは、溶融アルミニウム(またはその合金)の冷却凝固する際に放出する水素がコアに拡散供給されるので、上述したように紫外線伝送特性が発現すると推測している。
従って、被覆層を設ける製造条件(例えば、線引き条件、溶融アルミニウムの状態)が少しでも異なると、その影響で水素の拡散供給量が変わってしまい、つまりは、紫外線伝送特性が安定しない(特に長期的に紫外線伝送特性が安定しない)と推測した。
【0016】
具体的には、特に次の(あ)、(い)に記載する2つのタイプの光ファイバに対しては、以下のような効果があると推測している。
(あ)光ファイバ外径(C1)が大きくなると、コア中に充分かつ均一に水素を拡散供給し難くなり、例えば、クラッド近傍のコアには水素が拡散供給されているが、コア中心部には水素が拡散供給されていないといった不均一性がある光ファイバ。
(い)また、後述する光ファイバ外径(C1)とコア外径(C2)との比(C1/C2)が大きい(つまりは、クラッドまたはクラットおよびサポートガラス層の厚さが大きい)光ファイバの場合は、サポートガラス層および/またはクラッドまでは水素が拡散供給されているが、コアには水素が充分かつ均一に拡散供給されていな光ファイバ。
【0017】
そこで、被覆層が形成された被覆光ファイバを特定の熱処理条件(保護層なしの場合、熱処理温度:50℃〜450℃、熱処理時間:0.5時間以上、保護層ありの場合、熱処理温度:50℃〜300℃、熱処理時間:0.5時間以上)で熱処理を施すことで、コアとクラッド界面近傍に存在する水素、および/または、コア外周(クラッドやクラッドの外周に設けたサポートガラス層)に存在する水素をコアへ充分かつ均一に拡散供給させているものと推測した。その結果、紫外線伝送特性が向上し、長期的に安定した紫外線伝送特性を発現するものと考えている。
【0018】
さらに、上記した熱処理は、被覆層の外周にさらに後述する保護層を形成させた後にでも実施できるので、バンドルファイバような製品に使用される被覆光ファイバにとって特に有効であると考えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の被覆光ファイバは、コア/クラッド、または、コア/クラッド/サポートガラス層の構造を有する光ファイバ母材を加熱、線引きして光ファイバとする点では、従来の光ファイバの製造工程と同様であり、線引き後の光ファイバに溶融したアルミニウムまたはその合金を被覆凝固してなる被覆層を形成させた後に後述する熱処理を行うことに特徴がある。
【0020】
本発明の被覆光ファイバを製造するために使用する光ファイバ母材はコア/クラッドの構造またはコア/クラッド/サポートガラス層の構造を有するシリカガラスである。例えば、図1(a)、図1(b)に本発明で用いる光ファイバ母材の断面を模式的に示す。光ファイバ母材1はコア11とその外周のクラッド12を有する構造(図1(a))。コア11、クラッド12、の外周にさらにサポートガラス層13を有する構造(図1(b))が挙げられる。本発明に使用される光ファイバ母材1は、後述する線引き工程にて光ファイバとなるが、上記した構造に変化はなくほぼ相似している。
【0021】
本発明に使用される光ファイバ母材1のコア11、クラッド12には、公知のシリカガラスからなる材料を適用でき、後述する光ファイバの外周に被覆層を形成させた後の熱処理によって、コアへの水素の拡散供給できれば良く、さらに好ましいコアとしては、水素を保持しやすいシリカガラスを適用すれば良い。具体的には、(1)少なくともOH基および/またはF(フッ素)を合計で100〜5000ppm含有するもので、かつ、(2)12mJ/cmのArFエキシマレーザーを常温、常圧下で10ショット照射したときに生じる次の2つの欠陥、すなわちE’センターおよびNBOHC(非架橋酸素ホール中心;non-bridging oxygen hole center)の生成が以下の2態様のどちらかである場合が好ましい。第1の態様はE’センターが生成せず、かつ、NBOHCが生成しない態様である。第2の態様はE’センターが生成し、かつ、NBOHCが生成する態様の光ファイバ母材が挙げられる。
【0022】
第1の態様のシリカガラスからなるコア11を有する光ファイバ母材1は、紫外線に対する耐性がガラス構造的に強いことにより、一方、第2の態様のシリカガラスからなるコア11を有する光ファイバ母材1は、紫外線照射によって発生した欠陥が、水素により消滅しやすいガラス構造になっていることにより、優れた光ファイバ母材であるものと本発明者らは推察している。
【0023】
光ファイバ母材1のコア11中のOH基の含有量はFT−IR法(フーリエ変換赤外分光法)で求めることができる。具体的には、赤外分光光度計により前記コア11を測定し、J. P. Wiliams et. al., Ceramic Bulletin, 55(5), pp. 524, 1976記載の方法にしたがって、波長2.7μmにおける吸収ピークからOH基の含有量を求めることができる。この方法によってOH基を検出できないとき、コア11は「OH基を含有しない」とする。
【0024】
光ファイバ母材1のコア11中のFの含有量はイオン選択性電極分析法で求めることができる。具体的には日本化学会誌、1972(2), pp.350に記載の方法で行う。すなわち、測定試料を無水炭酸ナトリウムとともに加熱融解して得られる融液に、濃度約35%の濃塩酸と水とを体積比1:1で混合した水溶液を加えて試料液とする。フッ化物イオン選択性電極および比較電極(ラジオメータトレーディング社製、No.945−220およびNo.945−468)を用いて、ラジオメータにより前記試料液の起電力を測定する。フッ化物イオン標準溶液を用いて予め求めた検量線を用いて、前記起電力からコア11のFの含有量を求める。この方法でFを検出できない場合に、コア11は「Fを含有しない」とする。
【0025】
光ファイバ母材1のコア11に含有されるOH基およびFの含有量の制御は公知である。例えば、光ファイバ母材の製造方法として知られる直接法やVAD法などでは、四塩化珪素などといった珪素化合物、酸素および水素を原料とするが、その原料として、四フッ化珪素などといったフッ素化合物をさらに量を規定して加えることによって、得られる光ファイバ母材のOH基およびFの含有量を制御することができる。
【0026】
上述の「12mJ/cmのArFエキシマレーザーを常温、常圧下で10ショット照射したとき」とは、波長193nmの電磁波を、約25℃、約1atm、50Hzで、107ショット照射することを意味する。このようにArFエキシマレーザーを照射することの技術的意義は、前述の2つの欠陥の生成の有無を感度よく検出するために、欠陥を生じ易くすることである。したがって、欠陥の生成の有無の検査結果が変わらない程度の実使用上の条件の修正は、本発明の実施の範囲内である。
【0027】
上記各欠陥について説明する。E’センターは不対電子を有する欠陥の一種であり、図4に示すような化学構造を有するものである。一般的には、E’センターは、波長215nmをピークとする高エネルギーの紫外線によって光ファイバ中のケイ素と酸素との結合が切断されて生成すると考えられている。一方、NBOHCはホールを有する欠陥の一種であり、図5に示すような化学構造を有するものである。
【0028】
本発明においては、E’センターおよびNBOHCの生成の有無は、上述した電磁波(ArFエキシマレーザー)照射の1日後のESR(電子スピン共鳴法)測定によって判定される。ESR測定の詳細な条件は当業者であれば適宜設定できる。上記両欠陥の存在を示すピークは3410〜3510ガウスの磁場領域に現れるので、その領域を含む磁場領域を掃引するように測定する。ESRの測定により得られるESRスペクトルからE’センターおよびNBOHCの各々に起因するピークを求める具体的手段も公知である。E’センターに起因するピークのピーク強度の値(2回積分することにより得られる)が1×1013spins/g以上であればE’センターが生成していると判定し、さもなくば、E’センターが生成していないと判定する。NBOHCに起因するピークのピーク強度の値(2回積分することにより得られる)が1×1014spins/g以上であればNBOHCが生成していると判定し、さもなくば、NBOHCが生成していないと判定する。そのような測定ができる装置としては、例えば、ESP−300E(BRUKER社製)等が挙げられる。
【0029】
「12mJ/cmのArFエキシマレーザーを常温、常圧下で照射したときにE’センターが生成せず、かつ、NBOHCが生成しないシリカガラス」(上記第1の態様)は、例えば、直接法においてシリカガラスがSiOよりも酸素過剰になるようにする(SiO2+xにおいてxを、0<x<1とする)ことによって得られる。
【0030】
上述の「12mJ/cmのArFエキシマレーザーを常温、常圧下で照射したときにE’センターが生成し、かつNBOHCが生成するシリカガラス」(上記第2の態様)は、例えば、直接法においてシリカガラスがSiOよりも酸素過剰になるようにし、さらに、600〜1500℃で酸加熱処理をして、還元性欠陥を低減させることにより得られる。
なお、クラッド12はコア11の外周に形成されていて、前記コア11よりも屈折率の低いシリカガラスからなる。本発明に用いる光ファイバ母材1(特にコア11の材料)としては、ゲルマニウム、リン、ホウ素、金属等を意図的にドープしていない、純石英ガラスが好ましい。具体的には、後述するOH基および/またはF(フッ素)以外の不純物が好ましくは100ppb以下、より好ましくは10ppb以下であるシリカガラスを用いる。
【0031】
本発明に用いる光ファイバ母材1で、上述したコア11の外周にクラッド12が設けられている。クラッド12はコア11よりも屈折率が低いシリカガラスであればよい。屈折率をコア11よりも低くする手段としては、クラッド12となる部分のシリカガラスに屈折率を小さくする元素(例;フッ素、ホウ素)を公知の製法、装置を用いてドープする方法等が挙げられる。
【0032】
本発明に用いる光ファイバ母材1で、上述したコア11、クラッド12の外周にさらにサポートガラス層13が設けられれている態様がある。サポートガラス層は、公知のガラス材料からなるものであれば良く、例えば、シリカガラス等を適用すれば良い。サポートガラス層は、後述するバンドルライトガイド等に使用する際、光ファイバ端面を研磨したりするので、作業性を向上させるために光ファイバ径を太くする。研磨を均一に行うためにコア、クラッドと同等の硬さを有する。光学的なダメージをコアやクラッドから保護するために設けられている。
【0033】
本発明において用いる光ファイバ母材1は、上述したコア11、クラッド12の要件を備えることの他は公知の光ファイバ母材と同様であってもよい。光ファイバ母材1は、例えば、化学的に合成した合成シリカガラスや天然の石英粉末を溶融した溶融シリカガラスから製造してもよい。中でも、不純物含有量が少ない合成シリカガラスを用いることが好ましい。合成シリカガラスは公知の方法で製造することができ、該製造方法としては、具体的には、VAD法、MCVD法、プラズマCVD法、OVD法、直接法等が挙げられる。
【0034】
上述した光ファイバ母材を後述する製造方法で加熱線引きして、光ファイバとし、溶融アルミニウム(またはその合金)を被覆凝固させて、被覆光ファイバとする。ここで、光ファイバ外径(C1)は、200μm〜1000μmの場合に本発明の効果が顕著に得られる。200μmより小さい光ファイバの場合、後述する熱処理の必要性は低く、1000μmより大きい光ファイバの場合、溶融アルミニウム(またはその合金)を光ファイバの外周に被覆することが困難な傾向にある。
また、光ファイバ外径(C1)と光ファイバのコア径(C2)との比(C1/C2)が1.05〜10.0、特には、5〜10の光ファイバ(クラッドおよびクラット+サポートガラス層の厚さが大きい光ファイバ)に効果的である。
【0035】
光ファイバ母材1を線引きして光ファイバを得る方法は従来公知の方法でよく、その一例は後述する。但し、本発明の光ファイバは、その外周に溶融したアルミニウムまたはその合金が凝固してなる被覆層をさらに有する点に特徴付けられる。アルミニウムまたはその合金を溶融させる手段は公知の手段によることができ、例えば、高周波誘導加熱、抵抗加熱等が例示される。一般的に、溶融は大気中または好ましくは水素含有雰囲気中で行われる。その理由は、アルミニウムまたはその合金に付着していた湿分や、大気中からの湿分から水素を得ることができ、溶融状態から凝固する際に光ファイバへ水素が供給されるからである。
【0036】
なお、アルミニウムまたはその合金の被覆としては、それらが溶融したものを被覆した後に凝固させる手段のほかに、例えば、蒸着、スパッタリング等の手段によってもなされる。しかし、溶融したアルミニウムまたはその合金を被覆した後に凝固させて得られた被覆層の膜厚を断面観察等によって測定すると、通常5μm以上(通常、5〜50μm)であり、他の手段(蒸着、スパッタリング等)によって得た膜(通常、膜厚は1μm以下)よりもずっと厚い。
【0037】
上記被覆層のアルミニウムまたはその合金は公知のものであってよい。合金の場合におけるアルミニウム以外の成分としては、珪素、マグネシウム、銅またはそれらの組合わせ等が例示されるがそれらに限定されない。シリカガラスとの濡れ性および融点等の観点からはアルミニウムの含有量が80重量%以上である共晶系合金が好ましく、純度99.9%以上のアルミニウムがより好ましい。そのようなアルミニウムまたはその合金としては、例えば、国際合金記号で示される1035、1040、1045、1050、1050A、1060、1065、1070、1070A、1080、1080A、1085、1090、1098、1100、1110、1200、1200A、1120、1230、1135、1235、1435、1145、1345、1445、1150、1350(18)、1350A、1450、1260、1170、1370、1175、1275、1180、1185、1285、1385、1188、1190、1193、1198、1199等が挙げられる。
【0038】
光ファイバの外周のアルミニウムの被覆は、光ファイバの水素を保持し得る厚さであればよく、好ましくは10〜80μm、より好ましくは20〜40μmの厚さである。当該被覆が10μmより薄いと水素ドープの寄与が小さく、80μmより厚いと製造した光ファイバの可撓性が低くなる傾向にある。
【0039】
次に、光ファイバ母材から本発明の光ファイバを製造する方法の一例を図面を参照しながら説明する。図2は光ファイバ母材から被覆光ファイバを製造する方法を模式的に示す図である。この製造方法は、光ファイバ母材1を加熱し、線引きする工程Aと溶融アルミニウム2(以下、純度99.9%のアルミニウムを用いた場合を例にとって説明するが、特にこの例に限定されない。)を被覆する工程Bに大別される。工程Aにおいて光ファイバ母材1を加熱する温度は、通常、約2000〜約2400℃程度であり、例えば、外径70〜2000μmの光ファイバ3を製造する場合には上記温度で線引き速度0.1〜1000m/分にて線引きすることができる。加熱はヒーター4等を用いて行うことができる。次いで、工程Bでは、溶融アルミニウム2を保持し、かつ、ダイスを兼ねたダイス槽5で溶融アルミニウム2を被覆して形状を整える。ダイス槽5内の溶融アルミニウム2の温度は、溶融可能な温度であればよく、好ましくは670〜800℃である。当該温度が670℃より低いと溶融アルミニウム2の膜厚が安定せずに被覆後の被覆光ファイバ6の強度等の特性が長手方向でばらつく傾向にある。ダイス槽5内の溶融アルミニウム2の温度が800℃より高いと光ファイバ3が溶融アルミニウム2との反応によって劣化する傾向にある。ダイス槽5内の溶融アルミニウム2の温度管理は、例えば、熱電対7を浸漬して温度測定器8でモニターしたり、非接触型の温度センサー等(図示せず)で温度を測定したりしながら、ヒーター9等を用いて温度を調節するなどの方法がある。
【0040】
光ファイバ3の外周の溶融アルミニウム2はボビン(図示せず)に巻き取られるまで、もしくは後述する保護層を被覆する(工程C)までに冷却されて凝固すればよい。このとき、冷却手段や冷却速度は特に限定はないが、製造効率を低下させない程度のゆっくりした冷却速度であることが好ましい。
【0041】
光ファイバの外周の溶融アルミニウムは上述の工程で、被覆層10として光ファイバの外周に形成され被覆光ファイバAとなる。また、さらに被覆層の外周に保護層を被覆する工程(工程C)が連続的または、一端ボビンに巻回された後に行われ、保護層付き被覆光ファイバBとなる。図8にその工程を示す。保護層は後述するバンドルライトガイド等に使用する被覆光ファイバ同士が擦れ合う際の擦り傷の発生やその他の外的(外傷、熱による)な損傷、劣化から被覆光ファイバを保護するために設けられるものである。保護層は、被覆層の外周に1層または複数層形成すればよく、使用用途に応じて適宜決定すればよい。保護層の厚さは、使用環境によって適宜決定すればよく、耐外傷性と可撓性とのバランスやその他(耐熱性など)とを考慮すればよい。具体的は、5μm〜500μmであることが好ましく、より好ましくは、10μm〜200μmである。5μmより小さいと耐外傷性が充分ではなくなる傾向にあり、500μmより大きいと可撓性が低下する傾向にある。
【0042】
保護層として使用される材料としては、被覆層の外周直上に形成させる保護層(1次保護層)としては、柔軟性、耐熱性がある樹脂製のものが好ましく、中でも紫外線硬化型樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂が好ましい。
また、保護層を複数層形成させる場合、上述した1次保護層の外周に耐外傷性、耐熱性、抗菌性を有するナイロン、PEEK、PFAを被覆すればよい。
【0043】
このようにして得られる本発明の光ファイバの長手方向に垂直な断面の態様は、図3に示すとおり、コア11/クラッド12/被覆層31の構造のもの(図3(a))、コア11/クラッド12/サポートガラス層13/被覆層31のもの、コア11/クラッド12/被覆層31/保護層32のもの、コア11/クラッド12/サポートガラス層13/被覆層31/保護層32のものが挙げられる。また、保護層を有するものの中には、複数層の保護層からなる態様のもの(図示せず)が挙げられる。
【0044】
ボビンに巻き取られた被覆光ファイバ14は、例えば、熱処理炉へ搬入されて所定の熱処理条件で熱処理される(バッチ式熱処理)。炉中の雰囲気は特に限定する必要はなく、特には大気圧下で大気中がコストの面、管理の面で好ましい。熱処理条件の熱処理温度は、保護層を有しない場合、50〜450℃であり、コア以外(クラッドおよび/またはサポートガラス層)に存在する水素をコアに拡散供給しつつ、ガラス(クラッドまたはガラスサポート層)と被覆層との界面反応を起さない点で、150℃〜350℃が好ましく、より好ましくは、200℃〜300℃である。
また、保護層を有する場合は、保護層を変質させない点で50℃〜300℃であり、より好ましくは、50℃〜250℃である。、さらには、50℃〜135℃である。
熱処理温度が50℃未満であると、クラッドおよび/またはサポートガラス層に残存している水素をコア中に安定して拡散させることが困難となる傾向にあり、保護層を有しない場合、450℃を超えると水素はコア中に拡散供給されるが、被覆層と光ファイバとの界面で化学反応が起こりやすくなる傾向にある。
また、保護層を有する場合、300℃より高いと保護層が熱劣化をする傾向になる。具体的には、紫外線硬化型樹脂では、140℃、シリコーン樹脂では、180℃、ナイロンでは、100℃、PFAでは260℃、ポリイミドでは300℃)熱劣化する傾向になる。
【0045】
一方、熱処理時間は、保護層の有無に関わらず0.5時間以上であれば良く、生産性の点で0.5時間〜100時間が好ましく、より好ましくは、5時間〜50時間である。熱処理時間が0.5時間未満であると、クラッドおよび/またはサポートガラス層に残存している水素をコア中に拡散供給させることができず、所望の紫外線伝送特性が成り難い傾向になる。
【0046】
また、ボビンの巻き取られた形態で熱処理する場合、ボビン内周と外周に巻回された光ファイバによっては、与えられる熱量が異なる場合があるので、そういった長手方向(ボビンの内周、外周)での差異を低減させるために、例えば、昇温速度を10℃/時間〜500℃/時間にしたり、同じく降温速度を500℃/時間〜10℃/時間にすれば良い。
【0047】
また、上記した熱処理方法の他にも、例えばボビンに巻き取る前に管状炉に被覆光ファイバを通過させて、クラッドおよび/またはサポートガラス層中に残存する水素をコア中に拡散供給させても良い。その時の線引き速度等は、上記したバッチ式熱処理と同等の効果が得られるように決定すれば良い。
【0048】
本発明の製造方法で作製された被覆光ファイバまたは保護層付き被覆光ファイバ(以下、「バンドルライトガイド用光ファイバ」という)を所望の長さに切断して、複数本を束ねることにより、本発明のバンドルライトガイドを製造することができる。例えばバンドルライトガイドの場合、上記のバンドルライトガイド用光ファイバを用いること以外は、バンドルライトガイドの形状、製造方法に特に制限されない。以下、図6、図7を参照して、本発明のバンドルライトガイドについて説明する。
【0049】
図6のように、通常のバンドルライトガイドでは、バンドルライトガイド用光ファイバは可撓管61に収納される。これは、バンドルライトガイドの運搬・使用時等に被覆光ファイバを束ねるためであり、かつ、バンドルライトガイド用光ファイバ73が損傷するのを防止するためである。使用環境に応じて、耐熱性、堅牢性を考慮すると、可撓管61は、JIS G 3446に記載のステンレス鋼、具体的にはSUS304合金、SUS316合金等や、ASTM−F15に記載のコバール(Fe−Ni−Co合金)、具体的には、Fe−29wt%Ni−17wt%Co合金等が挙げられる。中でも熱膨張係数が硬質ガラス(光ファイバ)やセラミックスと同等であるコバールが好ましい。また、バンドルライトガイドの使用目的に応じて、他の材料のものを適宜選択して使用することもできる。
【0050】
また、図7に示すようにバンドルライトガイド用光ファイバ73の少なくとも一端は、接着剤74を用いてスリーブ71に固定すれば良いが、使用環境(例えば高温下)によっては、耐熱性を有する接着剤を適用すれば良い。スリーブ71は、通常、バンドルライトガイド用光ファイバ73の末端を保護することにより、損傷を防ぎ、バンドルライトガイドを他の装置等と接続する際に、接続を容易にかつ確実にすることができれば制限はなく、使用環境が高温下である場合は、スリーブ71の材料としては、耐熱性材料が用いられる。ここで、耐熱性材料とは、200℃〜300℃の高温下でも、強度低下が起こらない材料をいい、具体的には、ステンレス(SUS304合金、SUS316合金等)、コバール(Fe−Ni−Mo合金)アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の金属材料や、セラミックス等を適用することができる。その中でも、堅牢性、コスト、作業性、延性等の点からスリーブ3の材料としては、金属材料を用いることが好ましく、さらに好ましい材料として、耐酸化性、耐熱性が優れている点で、ステンレス、コバールがより好ましい。
【0051】
接着剤74は、公知の接着剤を適用すれば良く、例えば、弾性接着剤、熱硬化性樹脂系接着剤、エラストマー系接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤、瞬間接着剤、無期系接着剤などが適用されるが、耐熱性および硬化後も弾性を有する点で、弾性系接着剤が好ましく、弾性を有していることで、振動および熱の膨張の差による歪を弾性系接着剤が吸収・緩和してくれる。具体的には、主成分に変成シリコーンポリマーや特殊シリコーン変性ポリマー等が配合された接着剤が適用される。
【実施例】
【0052】
以下、実施例および比較例をもって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの記載により何ら限定されるものではない。直接法によって得た各種の光ファイバ母材について上述のようにOH量、F量、常磁性欠陥量を測定した(表1、2)。また、光ファイバ母材の屈折率はプリフォームアナライザーにより測定し、クラッドの屈折率がコアの屈折率よりも0.013小さい値であった。また、サポートガラス層をSG層として表中に表記した。
【0053】
表中にある「欠陥種類(コア)」とは、12mJ/cmのArFエキシマレーザーを常温、常圧下で10ショット照射したときに生成する欠陥の種類を示し、その検出方法は上述したとおりである。
【0054】
これらの光ファイバ母材を2150℃に加熱し、1〜60m/分の線引き速度で線引きし、さらに、純度99.99%の溶融したアルミニウム(表1の実施例1〜9では「溶融Al」と表記する。)を被覆した。また、実施例10にはAl−0.5wt%Mgのアルミニウム合金(表1の実施例10では、「Al合金」と表記する。)を被覆し、被覆光ファイバを得た。
また、比較例1には、紫外線硬化型樹脂(表中には「UV樹脂」と表記)、比較例3には、シリコーン樹脂(1次被覆層、厚さ200μm)として形成後、ナイロン(2次被覆層、厚さ300μm)(表中には「シリコーン+ナイロン」と表記)を被覆した複数層の被覆層、比較例5には、ポリイミド樹脂(表中には「ポリイミド」と表記)からなる被覆層を形成させた。
【0055】
引続いて、保護層を形成させた実施例2、実施例7、実施例9、比較例2、比較例6には紫外線硬化型樹脂(表中には「UV樹脂」と表記)、実施例3にはシリコーン樹脂(1次保護層、厚さ200μm)として形成後、ナイロン(2次保護層、厚さ300μm)を被覆した複数層からなる保護層(表中には「シリコーン+ナイロン」と表記)、実施例4にはポリイミド樹脂(表中には「ポリイミド」と表記)、実施例6には、シリコーン樹脂(表中には「シリコーン」と表記)を被覆した。
【0056】
[得られた光ファイバの評価]
得られた光ファイバのコア中の水素分子含有量はV. S. Khotimchenko et al., J. Appl.Spectrospec., 46(1987) 632-635に記載の方法に準じて行った。得られた光ファイバの耐紫外線特性は、重水素ランプによる紫外光(215nm)を導光させて、その出射光を瞬間マルチ測光システムで測定して透過率を算出することにより評価した。10時間導光後の透過率が初期の透過率の70%以上である場合を耐紫外線特性あり(○)と評価し、70%未満である場合を耐紫外線特性なし(×)と評価した。ここで、重水素ランプは浜松ホトニクス製の重水素ランプ(D2ランプ)、光源用電源はC3150、ハウジングはMC−962A、ランプはL1314(窓材質:溶融石英)を使用し、150W(照射光パワー:215nmにおいて0.21mJ/cm)の照射を行った。瞬間マルチ測光システムは大塚電子(株)製瞬間分光測定器MCPD−1100を用いた。
【0057】
光ファイバ外径(C1)、コア径(C2)、および光ファイバ外径(C1)と光ファイバのコア径(C2)との比(C1/C2)は、被覆光ファイバを長手方向に対して垂直に切断した面を研磨して、キーエンス製の拡大顕微鏡(倍率200倍〜500倍(被覆光ファイバの太さによって、適宜倍率を変更した))にて測定して算出した。また、その他の被覆層の厚さ、保護層の厚さも同様にして測定した。
【0058】
実施例、比較例にて製造した各光ファイバ(あるいはその母材)の諸パラメータおよび諸特性の結果を表1および表2に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明で用いる光ファイバ母材の断面を模式的に示す図である。
【図2】光ファイバ母材から被覆光ファイバを製造する方法を模式的に示す図である。
【図3】本発明の被覆光ファイバ、保護層付き被覆光ファイバの長手方向に垂直な断面図である。
【図4】常磁性欠陥のE’センターを模式的に示す図である。
【図5】常磁性欠陥のNBOHCを模式的に示す図である。
【図6】バンドルライトガイドを模式的な構造を示す図である。
【図7】バンドルライトガイドのスリーブ近傍の断面構造を模式的に示す図である。
【図8】保護層を形成させる工程(工程C)を示す略図である。
【符号の説明】
【0062】
1 光ファイバ母材
2、6 溶融アルミニウム
3 光ファイバ
4、9 ヒーター
5、51 ダイス槽
7 熱電対
8 温度測定器
10、31 被覆層
11 コア
12 クラッド
13 サポートガラス層
14 保護層用材料
15、32 保護層
A 被覆光ファイバ
B 保護層付き被覆光ファイバ
Y、Z 次工程への進行方向
40 E’センター
41 不対電子
42、53 Si原子
43、54 化学結合
44、55 酸素原子
50 NBOHC
52 ホール
61、75 可撓管
62、71 スリーブ
73 バンドルライトガイド用光ファイバ
74 接着剤


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともコアと該コアの外周にクラッドを有する光ファイバの外周に、溶融したアルミニウムまたはその合金を被覆し凝固させてなる被覆層を有する被覆光ファイバの製造方法において、該被覆層を形成した後、被覆層の外周にさらに保護層を設けずに50℃〜450℃で、0.5時間以上の熱処理を施したことを特徴とする被覆光ファイバの製造方法。
【請求項2】
少なくともコアと該コアの外周にクラッドを有する光ファイバであって、該光ファイバの外周に、溶融したアルミニウムまたはその合金を被覆し凝固させてなる被覆層を有する被覆光ファイバの製造方法において、被覆層の外周にさらに保護層を設けた後に、50℃〜300℃で、0.5時間以上の熱処理を施したことを特徴とする被覆光ファイバの製造方法。
【請求項3】
さらに、前記クラッドの外周にサポートガラス層が形成されている光ファイバであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の被覆光ファイバの製造方法。
【請求項4】
前記光ファイバの外径(C1)が200μm〜1000μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の被覆光ファイバの製造方法。
【請求項5】
前記光ファイバの外径(C1)と前記コアの直径(C2)との比(C1/C2)が、1.05〜10であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の被覆光ファイバの製造方法。
【請求項6】
前記コアが少なくともOH基および/またはFを合計で100〜5000ppm含有し、かつ、12mJ/cmのArFエキシマレーザーを常温、常圧下で10ショット照射したときに下記(A)または(B)の要件を充足するシリカガラスからなることを特徴する請求項1〜5のいずれかに記載の被覆光ファイバの製造方法。
(A)E’センターが生成せず、かつ、NBOHCが生成しない、
(B)E’センターが生成し、かつ、NBOHCが生成する、
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかの製造方法で作成された被覆光ファイバ。
【請求項8】
請求項7に記載の被覆光ファイバを複数本使用してなるバンドルライトガイド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−8468(P2006−8468A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190337(P2004−190337)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】