説明

被覆材料

a)ポリマーおよび微粒状の無機固体から形成されている、10nm以上および500nm以下の平均粒径を有する粒子(複合粒子)およびb)酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化鉄(III)、二酸化錫ならびにルチル型、アナターゼ型および板チタン石型の二酸化チタンを含む群から選択された少なくとも1つの粉末状顔料を含有する水性被覆材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
a)ポリマーおよび微粒状の無機固体から形成されている、10nm以上および500nm以下の平均粒径を有する粒子(複合粒子)および
b)酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化鉄(III)、二酸化錫ならびにルチル型、アナターゼ型および板チタン石型の二酸化チタンを含む群から選択された少なくとも1つの粉末状顔料を含有する水性被覆材料に関する。
【0002】
塗装に良好な被覆能力および望ましい色を与えるために、顔料が使用される。二酸化チタンは、高い屈折率のために最も重要な白色顔料である。種々の存在する二酸化チタン変態のルチル型、アナターゼ型および板チタン石型の中、ルチル型は、2.7の最も高い屈折率を有し、したがって、被覆材料を製造するために、殊にルチル型変態の二酸化チタンが使用される。
【0003】
しかし、近年、被覆材料には、アナターゼ変態(略して"アナターゼ型")で二酸化チタンがますます使用されることになった。それというのも、この被覆材料は、著しい親水性ならびに著しく酸化性の表面のために高い汚れにくさを有するからである。この極端に親水性の表面にとって重要なのは、UV光、空気酸素および水の作用下でラジカルを形成させる、アナターゼ型の光触媒効果である。類似しているが、しかし、弱められた光触媒効果は、例えば顔料の酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化鉄(III)(Fe23)および二酸化錫(SnO2)によっても報告されている。明らかに弱められた形でルチル型変態または板チタン石型変態での二酸化チタンのかかる光触媒効果も公知である(R. Benedix他, Lacer No. 5, 2000, 第157〜167頁参照)。従って、通常、最もよく使用される白色顔料としてルチル型変態の二酸化チタンが使用されるかまたは使用の場合に、板チタン石型変態の二酸化チタンは、前記の光触媒効果を抑制するために、金属酸化物、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび/または酸化ジルコニウムで被覆される。アナターゼ型顔料および別の光触媒活性の顔料を含有する被覆材料の表面は、親水性の性質と共に、しばしばなお抗菌性の性質をも有する。アナターゼ型または別の光触媒活性の顔料を含有する被覆材料、および該被覆材料の親水性の性質および抗菌性の性質ならびに該被覆材料の汚れにくさを有する表面での使用は、しばしば予め記載されている(このために、例えば次の出願番号の日本の特許出願:特開平10−051556号公報(Isamu Paint Co, Ltd.)、特開平11−216663号公報(Toto Ltd.)、特開平11−044054号公報(Matsusita ElectricWorks Ltd.)、特開2000−260187号公報参照)。
【0004】
有機結合剤を含有する被覆材料中での、殊に安価なアナターゼ型の光触媒活性の顔料を使用する際の問題は、有機結合剤、一般にポリマー化合物が光触媒効果によって攻撃され、その際に有機結合剤が分解されることである。この処理のために、顔料粒子および充填剤粒子は、被覆材料の表面上に露出され、このことは、所謂白亜化の望ましくない現象をまねく(このために、R. Benedix他, Lacer No. 5, 2000, 第161頁ならびにR. BaumstarkおよびM. Schwanz, Dispersionen fuer Bautenfarben, Acrylatsysteme in Theorie und Praxis, 第64頁, Curt R. Vincentz Verlag, Hannover, 2001参照)。また、この被覆材料が著しく黄変反応の傾向を有することは、公知である。この効果は、これまでこの作業分野での有機結合剤の使用を妨げ、このような分解の影響下にない純粋に無機の結合剤、例えば水ガラスの使用が必要である[例えば、出願番号10−309419をもつ日本の特許出願(Nippon Paint Co. Ltd.)参照]。
【0005】
本発明の課題は、有機結合剤および光触媒活性の顔料をベースとし、殊にアナターゼ型をベースとする、表面が親水性および/または抗菌性であり、即ち汚れにくさの性質を有し、この場合同時に減少された白亜化傾向および黄変傾向を示す水性被覆材料を提供することであった。
【0006】
この課題は、冒頭に定義された水性被覆材料を提供することによって解決された。殊に、この課題は、粉末状の顔料としてアナターゼ変態の二酸化チタンを含有する水性被覆材料を提供することによって解決された。
【0007】
ポリマーおよび微粒状の無機固体から形成されている、殊に水性分散液の形の平均粒径10nm以上および500nm以下を有する複合粒子は、一般に公知である。この場合には、水性分散媒中の分散相として、互いに組み合わさった複数のポリマー鎖からなるポリマーコイル、所謂ポリマーマトリックスおよび微粒状の無機固体から形成された粒子を分散分布させて含有する流動系が重要である。複合粒子の平均直径は、しばしば10nm以上および400nm以下の範囲内、有利に50nm以上および400nm以下の範囲内、殊に有利に100nm以上および400nm以下の範囲内にある。記載された平均粒径は、本明細書の範囲内で分析による超遠心分離分析法により測定される、所謂d50値である(このために、S.E.ハーディングら著、生化学およびポリマー科学における超遠心分析、ロイヤルソサエティー・オブ・ケミストリー、ケンブリッジ、英国、1992年、第10章、Eight−Cell−AUC−マルチプレクサーを用いるポリマー分散液の分析(S.E.Harding et al., Analytical Ultracentrifugation in Biochemistry and Polymer Science, Royal Society of Chemistry, Cambridge, Great Britain 1992, Chapter 10, Analysis of Polymer Dispersions with an Eight-Cell-AUC-Multiplexer):高分解粒径分布および密度勾配テクニック、W.メヒトル著、147〜175頁(High Resolution Particle Size Distribution and Density Gradient Techniques, W. Maeschtle, Seiten 147 bis 175))を参照のこと)。
【0008】
複合粒子および水性複合粒子分散液の形での該複合粒子の製造方法ならびに該複合粒子の使用は、当業者に公知であり、例えば刊行物米国特許第3544500号明細書、米国特許第4421660号明細書、米国特許第4608401号明細書、米国特許第4981882号明細書、欧州特許出願公開第104498号明細書、欧州特許出願公開第505230号明細書、欧州特許出願公開第572128号明細書、英国特許第2227739号明細書、WO 0118081号明細書、WO 0129106号明細書、WO 03000760号明細書ならびにロングら著、天津大学学報、1991年、第4巻、第10〜15頁(Long.et al., Tianjin Daxue Xuebao 1991,4,Seiten10 bis 15)、ブーゲート−ラミら著、応用高分子化学、1996年、第242巻、第105〜122頁(Bourgeat-Lami et al., Die Angewandte Makromolekulare Chemie 1996,242, Seiten 105 bis 122)、ポールケら著、磁性担体の科学および臨床用途における常磁性ポリスチレンラテックス粒子の合成研究、第69〜76頁、プレナム出版、ニューヨーク、1997年(Paulke et al., Synthesis Studies of Paramagnetic Polystyrene Latex Particles in Scientific and Clinical Applications of Magnetic Carriers, Seiten 69 bis 76, Plenum Press, New York, 1997)、アルメスら著、最新材料、1999年、第11巻、第5号、第408〜410頁(Armes et al., Advanced Materials 1999, 11, Nr.5, Seiten 408 bis 410)に開示されている。
【0009】
本発明によれば、例えば前記公知技術水準により得ることができる全ての複合粒子を使用することができる。この場合、複合粒子は、粉末形で使用されてもよいし、水性媒体中で水性複合粒子分散液として使用されてもよい。しかし、有利には、複合粒子は、水性複合粒子分散液の形で使用される。
【0010】
本発明による被覆材料には、好ましくは、WO 03000760号明細書に開示された方法により製造されたかかる水性複合粒子分散液が好適であり、この場合この刊行物は、本明細書の範囲内で参考のために開示されたものとする。この方法は、少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマーが水性媒体中に分散分布し、少なくとも1つのラジカル重合開始剤を用いて少なくとも1つの分散分布された微粒状の無機固体および少なくとも1つの分散剤の存在でラジカル水性乳化重合の方法によりラジカル水性乳化重合の方法により重合され、この場合には、
a)少なくとも1つの無機固体の安定した水性分散液が使用され、この水性分散液は、少なくとも1つの無機固体の水性分散液に対して1質量%以上の初期固体濃度でその製造のなお1時間後に90質量%を上廻る元来分散された固体を分散された形で含有し、該水性分散液の分散された固体粒子が100nm以下の質量平均直径を有することによって特徴付けられており、
b)少なくとも1つの無機固体の分散された固体粒子が標準塩化カリウム水溶液中で分散剤の添加の開始前に水性分散媒体のpH値に相当するpH値で零とは異なる電気泳動移動度を示し、
c)水性固体粒子分散液に少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマーの添加開始前に少なくとも1つの陰イオン分散剤、陽イオン分散剤および非イオン分散剤が添加され、
d)その後に少なくとも1つのモノマーの全体量の中、水性固体粒子分散液の0.01〜30質量%が添加され、少なくとも90%の変換率になるまで重合され、および
e)引続き、少なくとも1つのモノマーの残留量が重合条件下で使用に応じて連続的に添加されることを示す。
【0011】
この方法には、安定した水性分散液を形成する全ての微粒状の無機固体が適しており、該水性分散液は、初期固体濃度が少なくとも1つの無機固体の水性分散液に対して1質量%以上の場合、該水性分散液の製造1時間後に依然として、撹拌および振盪されずに、元来の分散された固体の90質量%を上廻る固体を分散した形で含有し、かつ該水性分散液の分散された固体粒子が100nm以下を有し、さらに分散剤の添加開始前の水性反応媒体のpH値に相当するpHで零とは異なる電気泳動移動度を示す。
【0012】
初期固体濃度および1時間後に固体濃度の定量的測定ならびに粒径の測定は、同様に超遠心分離分析法により行なわれる。
【0013】
電気泳動移動度を測定する方法は、当業者に公知である(例えば、R.J.ハンター著、現代コロイド科学への招待、第8.4章、第241〜248頁、オックスフォード大学出版、オックスフォード、1993年(R.J. Hunter, Introduction to modern Colloid Science, Kapitel8.4, Seiten 241 bis 248, Oxford University Press, Oxford, 1993)ならびにK.オカ及びK.フルサワ 界面における電気的現象、界面活性剤科学シリーズ、第76巻、第151〜232頁、マーセルデッカー、ニューヨーク(K. Oka und K. Furusawa, in Electrical Phenomena at Interfaces, Surfactant Science Series, Vol.76, Kapitel8, Seiten 151 bis 232, Marcel Dekker, NewYork, 1998)を参照のこと)。この水性反応媒体中に分散された固体粒子の電気泳動移動度は、市販の電気泳動装置、例えばFa.Malvern Instruments Ltd.社製のZetasizer3000を用いて、20℃および1バール(絶対圧)で測定される。このために、この水性固体粒子分散液は、pH中性の10ミリモル(mM)の塩化カリウム水溶液(標準塩化カリウム溶液)で希釈され、この固体粒子濃度は、約50mg/l〜約100mg/lにされる。分散剤の添加前の水性反応媒体が有するpHへの前記測定試料の調節は、通常の無機酸、例えば希釈された塩酸もしくは硝酸または塩基、例えば希釈された苛性ソーダ液または苛性カリ液を用いて行なわれる。分散された固体粒子の電場での移動は、所謂電気泳動光散乱法を用いて検出される(例えば、B.R.ヴァーレおよびW.H.フライガーレ著、ケミカルフィジクスレタース、1971年、第12巻、第81〜85頁(B.R.Ware und W.H. Flygare, Chem. Phys. Lett. 1971,12,Seiten 81 bis 85)を参照のこと)。この場合、この電気泳動移動度の標識は、分散された固体粒子の移動方向により定義され、すなわち、分散された固体粒子がカソードに移動した場合には、その電気泳動移動度は正であり、該固体粒子がアノードに移動した場合には、その電気泳動移動度は負である。
【0014】
分散された固体粒子の或る程度の範囲内での電気泳動移動度に影響を及ぼすかまたは該電気泳動移動度を調節するのに適したパラメータは、水性反応媒体のpH値である。分散された固体粒子のプロトン化または脱プロトン化により、電気泳動移動度は、酸性pH範囲(pH値7未満)においては正の方向に変化され、アルカリ性範囲(pH値7を上廻る)においては負の方向に変化される。WO 03000760号明細書に開示された方法に適したpH範囲は、ラジカル的に開始される水性乳化重合を実施できるpH範囲内である。このpH範囲は、一般的にpH1〜12、特にpH1.5〜11、有利にはpH2〜10である。
【0015】
水性反応媒体のpH値は、市販の酸、例えば希釈された塩酸、硝酸もしくは硫酸または塩基、例えば希釈された苛性ソーダ液または苛性カリ液を用いて調節されてよい。特に、pH調節のために使用される酸量または塩基量の部分量または全体量を、少なくとも1つの微粒状の無機固体の添加前に水性反応媒体に添加することは、有利である。
【0016】
WO 03000760号明細書に開示された方法に関連して好ましいのは、分散された固体粒子が前記のpH条件下で
負符号を有する電気泳動移動度を有し、少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマー100質量部当たり少なくとも1つの陽イオン分散剤0.01〜10質量部、有利に0.05〜5質量部、殊に有利に0.1〜3質量部、少なくとも1つの非イオン分散剤0.01〜100質量部、有利に0.05〜50質量部、殊に有利に0.1〜20質量部および少なくとも1つの陰イオン分散剤が使用され、この場合この陰イオン分散剤の量は、陰イオン分散剤と陽イオン分散剤との当量比が1を上廻るように定められるかまたは
正符号を有する電気泳動移動度を有し、少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマー100質量部当たり少なくとも1つの陰イオン分散剤0.01〜10質量部、有利に0.05〜5質量部、殊に有利に0.1〜3質量部、少なくとも1つの非イオン分散剤0.01〜100質量部、有利に0.05〜50質量部、殊に有利に0.1〜20質量部および少なくとも1つの陽イオン分散剤が使用され、この場合この陽イオン分散剤の量は、陽イオン分散剤と陰イオン分散剤との当量比が1を上廻るように定められる。
【0017】
陰イオン分散剤と陽イオン分散剤との当量比は、使用される陰イオン分散剤のモル数にこの陰イオン分散剤1モル当たりに含まれる陰イオン基の数を掛けて、それを、使用される陽イオン分散剤のモル数にこの陽イオン分散剤1モル当たりに含まれる陽イオン基の数を掛けた数で割った比と解する。これと同じことが陽イオン分散剤と陰イオン分散剤との当量比に当てはまる。
【0018】
WO 03000760号明細書により使用される少なくとも1つの陰イオン分散剤、陽イオン分散剤および非イオン分散剤の全体量は、この水性固体分散液中に装入されてよい。しかしながら、単に上述の分散剤の部分量を水性固体分散液中に装入すること、および残存する残量をラジカル乳化重合の間に連続的にかまたは不連続的に添加することも可能である。しかしながら、方法の本質は、ラジカル的に開始される乳化重合の前および該乳化重合中に、微粒状固体の電気泳動の符号に応じて上述の陰イオン分散剤と陽イオン分散剤との当量比を維持することである。従って、上述のpH条件下で電気泳動移動度が負の符号を示す無機固体粒子を使用する場合には、陰イオン分散剤と陽イオン分散剤との当量比は、乳化重合全体に亘って1より大きくなければならない。相応して、電気泳動移動度が正符号を有する無機固体粒子の場合には、陽イオン分散剤と陰イオン分散剤との当量比は、乳化重合全体に亘って1より大きくなければならない。この当量比が2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上または10以上である場合には、有利であり、その際、当量比は、2〜5の範囲内で特に有利である。
【0019】
WO 03000760号に開示された方法ならびに複合粒子の一般的製造方法に使用可能な微粒状の無機固体には、金属、金属化合物、例えば金属酸化物および金属塩が適しているが、しかし、半金属化合物および非金属化合物も適している。微粒状の金属粉末としては、貴金属コロイド、例えばパラジウム、銀、ルテニウム、白金、金およびロジウムならびにこれらを含有する合金が使用されてよい。微粒状の金属酸化物としては、例示的に、二酸化チタン(例えば、Fa.Sachtleben Chemie GmbH社のHombitec(R)商標として市販されている)、酸化ジルコニウム(IV)、酸化錫(II)、酸化錫(IV)(例えば、Fa.Akzo−Nobel社のNyacol(R)SN商標として市販されている)、酸化アルミニウム(例えば、Akzo−Nobel社のNyacol(R)AL商標として市販されている)、酸化バリウム、酸化マグネシウム、種々の酸化鉄、例えば酸化鉄(II)(ウエスタイト(Wuestit))、酸化鉄(III)(ヘマタイト)および酸化鉄(II/III)(マグネタイト)、酸化クロム(III)、酸化アンチモン(III)、酸化ビスマス(III)、酸化亜鉛(例えば、Fa.Sachtleben Chemie GmbH社のSachtotec(R)商標として市販されている)、酸化ニッケル(II)、酸化ニッケル(III)、酸化コバルト(II)、酸化コバルト(III)、酸化銅(II)、酸化イットリウム(III)(例えば、Fa.Akzo−Nobel社のNyacol(R)YTTRIA商標として市販されている)、酸化セリウム(IV)(例えば、Fa.Akzo−Nobel社のNyacol(R)CEO2商標として市販されている)、非晶質および/またはその種々の結晶変態ならびにそのオキシ水酸化物、例えばオキシ水酸化チタン(IV)、オキシ水酸化ジルコニウム(IV)、オキシ水酸化アルミニウム(例えば、Fa.Condea−Chemie GmbH社のDisperal(R)商標として市販されている)及びオキシ水酸化鉄(III)、非晶質および/またはその種々の結晶変態が挙げられる。次の非晶質および/またはその種々の結晶構造で存在する金属塩は、本発明による方法において原理的に使用可能である:硫化鉄(II)、硫化鉄(III)、二硫化鉄(II)(黄鉄鉱)、硫化錫(II)、硫化錫(IV)、硫化水銀(II)、硫化カドミウム(II)、硫化亜鉛、硫化銅(II)、硫化銀、硫化ニッケル(II)、硫化コバルト(II)、硫化コバルト(III)、硫化マンガン(II)、硫化クロム(III)、硫化チタン(II)、硫化チタン(III)、硫化チタン(IV)、硫化ジルコニウム(IV)、硫化アンチモン(III)、硫化ビスマス(III)、水酸化物、例えば水酸化錫(II)、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化鉄(II)、水酸化鉄(III)、硫酸塩、例えば硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム、硫酸鉛(IV)、炭酸塩、例えば炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸ジルコニウム(IV)、炭酸鉄(II)、炭酸鉄(III)、オルト燐酸塩、例えばオルト燐酸リチウム、オルト燐酸カルシウム、オルト燐酸亜鉛、オルト燐酸マグネシウム、オルト燐酸アルミニウム、オルト燐酸錫(III)、オルト燐酸鉄(II)、オルト燐酸鉄(III)、メタ燐酸塩、例えばメタ燐酸リチウム、メタ燐酸カルシウム、メタ燐酸アルミニウム、ピロ燐酸塩、例えばピロ燐酸マグネシウム、ピロ燐酸カルシウム、ピロ燐酸亜鉛、ピロ燐酸鉄(III)、ピロ燐酸錫(II)、燐酸アンモニウム、例えば燐酸アンモニウムマグネシウム、燐酸アンモニウム亜鉛、ヒドロキシアパタイト[Ca5{(PO43OH}]、
オルトケイ酸塩、例えばオルトケイ酸リチウム、オルトケイ酸カルシウム/オルトケイ酸マグネシウム、オルトケイ酸アルミニウム、オルトケイ酸鉄(II)、オルトケイ酸鉄(III)、オルトケイ酸マグネシウム、オルトケイ酸亜鉛、オルトケイ酸ジルコニウム(III)、オルトケイ酸ジルコニウム(IV)、メタケイ酸塩、例えばメタケイ酸リチウム、メタケイ酸カルシウム/メタケイ酸マグネシウム、メタケイ酸カルシウム、メタケイ酸マグネシウム、メタケイ酸亜鉛、層状珪酸塩、例えば自然に離層した形の珪酸アルミニウムナトリウムおよび珪酸マグネシウムナトリウム、例えばOptigel(登録商標)SH(Sued-Chemie AG社の商標)、Saponit(登録商標)SKS-20およびHetorit(登録商標)SKS 21(Hoechst AG社の商標)ならびにLaponite(登録商標)RDおよびLaponite(登録商標)GS(Laporte Industries Ltd.の商標)、アルミン酸塩、例えばアルミン酸リチウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸亜鉛、ホウ酸塩、例えばメタホウ酸マグネシウム、オルトホウ酸マグネシウム、
蓚酸塩、例えば蓚酸カドミウム、蓚酸ジルコニウム(IV)、蓚酸マグネシウム、蓚酸亜鉛、蓚酸アルミニウム、酒石酸塩、例えば酒石酸カルシウム、アセトン酸アセチル、例えばアセトン酸アセチルアルミニウム、アセトン酸アセチル鉄(III)、サリチル酸、例えばサリチル酸アルミニウム、クエン酸塩、例えばクエン酸カルシウム、クエン酸鉄(II)、クエン酸亜鉛、パルミチン酸塩、例えばパルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カドミウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸塩、例えばステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸塩、例えばラウリン酸カドミウム、リノール酸塩、例えばリノール酸カルシウム、オレイン酸塩、例えばオレイン酸カドミウム、オレイン酸鉄(II)またはオレイン酸亜鉛。
【0020】
本発明により主として使用可能な半金属化合物としては、非晶質および/または種々の結晶構造で存在する二酸化ケイ素が挙げられる。本発明により好適な二酸化ケイ素は市販されており、例えばAerosil(R)(Fa.Degussa AG社の商標)、Levasil(R)(Fa.Bayer AG社の商標)、Ludox(R)(Fa.DuPont社の商標)、Nyacol(R)及びBindzil(R)(Fa.Akzo−Nobel社の商標)およびSnowtex(R)(Fa.Nissan Chemical Industries,Ltd.)を入手してよい。本発明により好適な非金属化合物は、例えばコロイドで存在するグラファイトまたはダイヤモンドである。
【0021】
微粒状の無機固体としては、20℃および1バール(絶対圧)での水中での溶解度が1g/l以下、好ましくは0.1g/l以下、特に好ましくは0.01g/l以下である微粒状の無機固体が特に好適である。二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化錫(IV)、酸化イットリウム(III)、酸化セリウム(IV)、オキシ水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、オルトリン酸カルシウム、オルトリン酸マグネシウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、オルトケイ酸塩、例えばオルトケイ酸リチウム、オルトケイ酸カルシウム/オルトケイ酸マグネシウム、オルトケイ酸アルミニウム、オルトケイ酸鉄(II)、オルトケイ酸鉄(III)、オルトケイ酸マグネシウム、オルトケイ酸亜鉛、オルトケイ酸ジルコニウム(III)、オルトケイ酸ジルコニウム(IV)、メタケイ酸塩、例えばメタケイ酸リチウム、メタケイ酸カルシウム/メタケイ酸マグネシウム、メタケイ酸カルシウム、メタケイ酸マグネシウム、メタケイ酸亜鉛、層状ケイ酸塩、例えば特に自然に離層した形のアルミニウムケイ酸ナトリウム及びマグネシウムケイ酸ナトリウム、例えばOptigel(R)SH、Saponit(R)SKS−20およびHektorit(R)SKS21ならびにLaponite(R)RDおよびLaponite(R)GS、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化鉄(II/III)、二酸化チタン、ヒドロキシルアパタイト、酸化亜鉛および硫化亜鉛を有する群から選択された化合物が特に好ましい。ケイ素含有化合物、例えば熱分解法ケイ酸および/またはコロイドケイ酸、二酸化ケイ素ゾルおよび/または層状ケイ酸塩が特に好ましい。特に、これらのケイ素含有化合物は負の符号の電気泳動移動度を有する。
【0022】
有利には、市販化合物のAerosil(R)、Levasil(R)、Ludox(R)、Nyacol(R)、およびBindzil(R)商標(二酸化ケイ素)、Disperal(R)商標(オキシ水酸化アルミニウム)、Nyacol(R)AL商標(酸化アルミニウム)、Hombitec(R)商標(二酸化チタン)、Nyacol(R)SN商標(酸化錫(IV))、Nyacol(R)YTTRIA商標(酸化イットリウム(III))、Nyacol(R)CEO2商標(酸化セリウム(IV))およびSachtotec(R)商標(酸化亜鉛)が本発明による方法に使用されてもよい。
【0023】
複合粒子の製造に使用可能な微粒状の無機固体は、水性反応媒体中に分散された固体粒子が100nm以下の粒径を有するように工面されている。分散された粒子が粒径0nmを上廻るが90nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下または10nm以下およびその間の全ての値を有するような微粒状の無機固体は、成果を収めて使用される。粒径が50nm以下である微粒状の無機固体を使用することは、有利である。この粒径の測定は、超遠心分離分析方法により行なわれる。
【0024】
微粒状固体の入手可能性は、当業者には原理的に公知であり、例えば沈殿反応または気相中の化学反応によって行なわれる(このために、E.マティジェビック著 ケミカルマテリアル1993年、5月、第412〜426頁(E.Matijevic,Chem.Mater.1993,5,Seiten412 bis 426);ウルマン工業化学百科事典、第A23巻、第583〜660頁、化学出版、ヴァインハイム在、1992年(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.A23,Seiten 583 bis 660, Verlag Chemie, Weinheim, 1992);D.F.エバンス、H.ヴェナーストローム著コロイド領域、第363〜405頁、化学出版、ヴァインハイム、1994年(D.F. Evans, H.Wennerstroem in The Colloidal Domain, Seiten 363 bis 405, Verlag Chemie, Weinheim, 1994)及びR.J.ハンター著コロイド化学の基礎、第I巻、第10〜17頁、クラレンドン出版、オックスフォード、1991年(R.J.Hunter in Foundations of Colloid Science, Vol. I, Seiten 10 bis 17, Clarendon Press, Oxford,1991を参照のこと)。
【0025】
安定した固体分散液は、特に、水性媒体中での微粒状の無機固体の合成の際に直接にかまたは代替的に微粒状の無機固体の水性媒体中への分散導入によって製造される。これは、微粒状の無機固体の製造経路に応じて、例えば沈降二酸化ケイ素または熱分解法二酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の場合には直接に達成されるか、または適した補助装置、例えば分散機または超音波ソノトロード(sonotrode)を利用して達成される。
【0026】
水性複合粒子分散液の製造のためには、有利には、微粒状の無機固体の水性固体分散液が、初期固体濃度が微粒状の無機固体の水性分散液に対して1質量%以上である場合、その製造の1時間後に、または沈殿された固体粒子の撹拌又は振盪により、後撹拌または後振盪なしに、最初に分散された固体の90質量%を上廻る固体を依然として分散された形で含有し、かつその分散された固体粒子の直径が100nm以下である微粒状の無機固体が適している。通常、初期固体濃度は、60質量%以下である。しかしながら、有利には、微粒状の無機固体の水性分散液に対して55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下ならびに2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上または5質量%以上およびその間の全ての値の初期固体濃度が使用されてもよい。水性複合粒子分散液の製造の際に、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー100質量部に対して、特に1〜1000質量部、一般に5〜300質量部、有利には10〜200質量部の少なくとも1つの微粒状の無機固体が使用される。
【0027】
水性複合粒子分散液を製造する場合には、微粒状の無機固体粒子ならびにモノマーの液滴および形成された複合粒子を水相中に分散分布させて維持する分散剤が共用され、こうしてこの生じた水性複合粒子分散液の安定性は、保証される。分散剤としては、このラジカル水性乳化重合の実施に通常使用される保護コロイドならびに乳化剤がこれに該当する。
【0028】
適した保護コロイドは、例えばホウベン−ヴェイル(Houben-Weyl)の有機化学の手法第XIV/1巻、高分子材料、ゲオルグティエメ出版、シュツットガルト在、1961年、第411〜420頁(Methoden der organischen Chemie, band XIV/1, Makromolekulare Stoffe, Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart, 1961, Seiten 411 bis 420)に詳細に記載されている。
【0029】
適した中性保護コロイドは、例えばポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、セルロース誘導体、デンプン誘導体およびゼラチン誘導体である。
【0030】
陰イオン性保護コロイド、すなわち分散作用を有する成分が少なくとも1価の負電荷を有する保護コロイドとしては、例えばポリアクリル酸およびポリメタクリル酸ならびにそのアルカリ金属塩、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、4−スチレンスルホン酸および/または無水マレイン酸を含有するコポリマーおよびそのアルカリ金属塩ならびに高分子化合物、例えばポリスチレンのスルホン酸のアルカリ金属塩がこれに該当する。
【0031】
適した陽イオン保護コロイド、即ち分散作用を有する成分が少なくとも1価の正電荷を有する保護コロイドは、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アミン基を含有するアクリレート、メタクリレート、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドを含有するホモポリマーおよびコポリマーの窒素プロトン化誘導体および/または窒素アルキル化誘導体である。
【0032】
勿論、乳化剤および/または保護コロイドからの混合物は、使用されてもよい。特に分散剤として、相対分子量が保護コロイドとは異なって通常1500未満である乳化剤が専ら使用される。界面活性剤物質の混合物を使用する場合には、個々の成分が互いに相溶性でなければならず、このことが疑わしい場合には少しの予備試験に基づいて検査してよいことは勿論である。好適な乳化剤の概要は、例えばホウベン−ヴェイル(Houben-Weyl)の有機化学の手法第XIV/1巻、高分子材料、ゲオルグティエメ出版、シュツットガルト、1961年、第192〜208頁(Methoden der organischen Chemie, band XIV/1, Makromolekulare Stoffe, Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart 1961, Seiten 192 bis 208)に見出される。
【0033】
一般に使用される非イオン乳化剤は、例えばエトキシ化されたモノアルキルフェノール、ジアルキルフェノールおよびトリアルキルフェノール(EO度:3〜50、アルキル基:C4〜C12)ならびにエトキシ化された脂肪アルコール(EO度:3〜80;アルキル基:C8〜C36)である。このための例は、BASF社製のLutensol(R)A商標(C1214−脂肪アルコールエトキシレート、EO度:3〜8)、Lutensol(R)AO商標(C1315−オキソアルコールエトキシレート、EO度:3〜30)、Lutensol(R)AT商標(C1618−脂肪アルコールエトキシレート、EO度:11〜80)、Lutensol(R)ON商標(C10−オキソアルコールエトキシレート、EO度:3〜11)およびLutensol(R)TO商標(C13−オキソアルコールエトキシレート、EO度:3〜20)である。
【0034】
通常の陰イオン乳化剤は、例えばアルキルスルフェート(アルキル基:C8〜C12)、エトキシ化されたアルカノール(EO度:4〜30、アルキル基:C12〜C18)およびエトキシ化されたエトキシ化されたアルキルフェノール(EO度:3〜50、アルキル基:C4〜C12)の硫酸半エステル、アルキルスルホン酸(アルキル基:C12〜C18)およびアルキルアリールスルホン酸(アルキル基:C9〜C18)のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩である。
【0035】
更に、一般式I
【化1】

〔式中、R1およびR2は、H原子またはC4〜C24−アルキルを表わし、同時にはH原子ではなく、AおよびBは、アルカリ金属イオンおよび/またはアンモニウムイオンであってよい〕で示される化合物は、他の陰イオン乳化剤として有効であることが証明された。
【0036】
一般式Iにおいては、R1およびR2は、好ましくは6〜18個、特に6、12および16個のC原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基または−Hを表わし、その際、R1およびR2は同時にH原子ではない。AおよびBは、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムであることが好ましく、ナトリウムが特に好ましい。AおよびBがナトリウムであり、R1が12個のC原子を有する分枝鎖状のアルキル基であり、かつR2がH原子であるかまたはR1である化合物Iは、特に有利である。特に、50〜90質量%のモノアルキル化生成物の含量を有する工業用混合物、例えばDowfax(R)2A1(Dow Chemical Company社の商標)が使用される。この化合物Iは、例えば米国特許第4269749号明細書の記載から一般的に公知であり、かつ市販されている。
【0037】
適した陽イオン活性乳化剤は、一般にC6〜C18−アルキル基、C6〜C18−アラルキル基または複素環基を有する第1級、第2級、第3級または第4級アンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、オキサゾリニウム塩、モルホリニウム塩、チアゾリニウム塩ならびにアミンオキシドの塩、キノリニウム塩、イソキノリニウム塩、トロピリウム塩、スルホニウム塩およびホスホニウム塩である。例示的に、ドデシルアンモニウムアセテートまたは相応する塩酸塩、種々の2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルパラフィン酸エステルのクロリドまたはアセテート、N−セチルピリジニウムクロリド、N−ラウリルピリジニウムスルフェートならびにN−セチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロミド、N−ドデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロミド、N−オクチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロミド、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリドならびにジェミニ界面活性剤N,N’−(ラウリルジメチル)エチレンジアミンジブロミドが挙げられる。更なる多数の例は、H.シュテヒェ著、界面活性剤ポケットブック、カールハンザー出版、ミュンヘン、ウイーン、1981年(H.Staeche, Tensid-Taschenbuch, Carl-Hanser-Verlag, Muenchen, Wien, 1981)およびマクカトチェオン著、乳化剤&界面活性剤、MC出版社、グレンロック、1989年(McCutcheon's, Emulsifiers & Detergents, MC Publishing Company, Glen Rock, 1989)に見出される。
【0038】
特に、水性複合粒子分散液の製造のために、それぞれ水性複合粒子分散液の全体量に対して0.1〜10質量%、有利には0.5〜7.0質量%、特に1.0〜5.0質量%の分散剤が使用される。乳化剤を使用することが好ましい。
【0039】
複合粒子の製造のためには、エチレン性不飽和モノマーとして、とりわけ、特に簡単にラジカル重合可能なモノマー、例えばエチレン、ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−クロロスチレンまたはビニルトルエン、ビニルアルコールと1〜18個のC原子を有するモノカルボン酸とのエステル、例えばビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニル−n−ブチレート、ビニルラウレートおよびビニルステアレート、好ましくは3〜6個のC原子を有するα,β−モノエチレン性不飽和モノカルボン酸およびα,β−モノエチレン性不飽和ジカルボン酸、例えば特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸と、一般に1〜12個、好ましくは1〜8個、特に好ましくは1〜4個のC原子を有するアルカノールとのエステル、例えば特にアクリル酸メチルヘキシルエステル、アクリル酸エチルヘキシルエステル、アクリル酸n−ブチルヘキシルエステル、アクリル酸イソブチルヘキシルエステルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルエステルおよびメタクリル酸メチルヘキシルエステル、メタクリル酸エチルヘキシルエステル、メタクリル酸n−ブチルヘキシルエステル、メタクリル酸イソブチルヘキシルエステル及びメタクリル酸2−エチルヘキシルエステル、マレイン酸ジメチルエステルまたはマレイン酸−ジ−n−ブチルエステル、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸のニトリル、例えばアクリロニトリルならびにC4-8−共役ジエン、例えば1,3−ブタジエンおよびイソプレンがこれに該当する。前記のモノマーは、一般に、本発明による方法により重合されるべきモノマーの全体量に対して通常は50質量%以上、80質量%以上または90質量%以上の含量を占める主要モノマーを形成する。一般に、前記のモノマーは、水中で標準条件[20℃、1バール(絶対圧)]の場合に、中程度ないし低程度の溶解度を有するにすぎない。
【0040】
通常、ポリマーマトリックスの皮膜の内部強度を高めるモノマーは、通常、少なくとも1個のエポキシ基、ヒドロキシ基、N−メチロール基またはカルボニル基を有するかまたは少なくとも2個の非共役エチレン性不飽和二重結合を有する。このための例は、2個のビニル基を有するモノマー、2個のビニリデン基を有するモノマーならびに2個のアルケニル基を有するモノマーである。この場合、2価アルコールとα,β−モノエチレン性不飽和モノカルボン酸とのジエステルが特に有利であり、このカルボン酸のうちアクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。この種の2価の非共役エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーの例は、アルキレングリコールジアクリレートおよびアルキレングリコールジメタクリレート、例えばエチレングリコールジアクリレート、1,2−プロピレングリコールジアクリレート、1,3−プロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレートおよびエチレングリコールジメタクリレート、1,2−プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレートならびにジビニルベンゼン、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、メチレンビスアクリルアミド、シクロペンタンジエニルアクリレート、トリアリルシアヌレートまたはトリアリルイソシアヌレートである。これと関連して、メタクリル酸−C1−C8−ヒドロキシアルキルエステルおよびアクリル酸−C1−C8−ヒドロキシアルキルエステル、例えばn−ヒドロキシエチルアクリレート、n−ヒドロキシプロピルアクリレート、またはn−ヒドロキシブチルアクリレート及びn−ヒドロキシエチルメタクリレート、n−ヒドロキシプロピルメタクリレート、またはn−ヒドロキシブチルメタクリレートならびに例えばジアセトンアクリルアミドおよびアセチルアセトキシエチルアクリレートまたはアセチルアセトキシエチルメタクリレートの化合物が特に重要である。本発明によれば、前記のモノマーは、重合されるべきモノマーの全体量に対して5質量%まで、特に0.1〜3質量%の量で重合導入される。
【0041】
場合によっては、シロキサン基を含有するエチレン系不飽和モノマー、例えばビニルトリアルコキシシラン、例えばビニルトリメトキシシラン、アルキルビニルジアルコキシシラン、アクリルオキシアルキルトリアルコキシシラン、またはメタクリルオキシアルキルトリアルコキシシラン、例えばアクリルオキシエチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシエチルトリメトキシシラン、アクリルオキシプロピルトリメトキシシランまたはメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを使用することもできる。前記モノマーは、それぞれモノマー全体量に対して5質量%まで、特に0.01〜3質量%、有利には0.05〜1質量%の量で使用される。本発明によれば、ポリマーが前記シロキサン含有モノマー0.01〜5質量%、特に0.01〜3質量%、有利に0.05〜1.5質量%を重合導入された形で含有する被覆材料は、有利である。
【0042】
それと共に、モノマーとして、付加的に、少なくとも1個の酸基および/またはそれに相応する陰イオンを含有するエチレン性不飽和モノマーAか、または少なくとも1個のアミノ基、アミド基、ウレイド基またはN−複素環基および/または窒素でプロトン化またはアルキル化されたアンモニウム誘導体を含有するエチレン性不飽和モノマーBが使用されてよい。モノマーAまたはモノマーBの量は、モノマー全体量に対して10質量%まで、有利には0.1〜7質量%、特に0.2〜5質量%である。
【0043】
モノマーAとしては、少なくとも1個の酸基を有するエチレン性不飽和モノマーが使用される。この場合、酸基は、例えばカルボン酸基、スルホン酸基、硫酸基、燐酸基および/またはホスホン酸基であってよい。モノマーAの例は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、4−スチレンスルホン酸、2−メタクリルオキシエチルスルホン酸、ビニルスルホン酸およびビニルホスホン酸ならびにn−ヒドロキシアルキルアクリレートおよびn−ヒドロキシアルキルメタクリレートの燐酸モノエステル、例えばヒドロキシエチルアクリレート、n−ヒドロキシプロピルアクリレート、n−ヒドロキシブチルアクリレートおよびヒドロキシエチルメタクリレート、n−ヒドロキシプロピルメタクリレートまたはn−ヒドロキシブチルメタクリレートの燐酸モノエステルである。しかし、本発明によれば、少なくとも1個の酸基を有する前記のエチレン性不飽和モノマーのアンモニウム塩およびアルカリ金属塩が使用されてもよい。アルカリ金属としては、ナトリウムおよびカリウムが特に好ましい。このための例は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、4−スチレンスルホン酸、2−メタクリルオキシエチルスルホン酸、ビニルスルホン酸およびビニルホスホン酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩ならびにヒドロキシエチルアクリレート、n−ヒドロキシプロピルアクリレート、n−ヒドロキシブチルアクリレートおよびヒドロキシエチルメタクリレート、n−ヒドロキシプロピルメタクリレートまたはn−ヒドロキシブチルメタクリレートの燐酸モノエステルのモノアンモニウム塩、モノナトリウム塩及びモノカリウム塩ならびにジアンモニウム塩、ジナトリウム塩及びジカリウム塩である。
【0044】
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、4−スチレンスルホン酸、2−メタクリルオキシエチルスルホン酸、ビニルスルホン酸およびビニルホスホン酸を使用することは、好ましい。
【0045】
モノマーBとして、少なくとも1個のアミノ基、アミド基、ウレイド基またはN−複素環基および/または窒素でプロトン化またはアルキル化されたそのアンモニウム誘導体を含有するエチレン性不飽和モノマーが使用される。
【0046】
少なくとも1個のアミノ基を含有するモノマーBの例は、2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート、4−アミノ−n−ブチルアクリレート、4−アミノ−n−ブチルメタクリレート、2−(N−メチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N−メチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N−エチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N−エチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N−n−プロピルアミノ)エチルアクリレート、2−(N−n−プロピルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N−イソプロピルアミノ)エチルアクリレート、2−(N−イソプロピルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N−第三ブチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N−第三ブチルアミノ)エチルメタクリレート(例えば、ElfAtochem社のNorsocryl(登録商標)TBAEMAとして市場で入手可能)、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート(例えば、ElfAtochem社のNorsocryl(登録商標)A-DAMEとして市場で入手可能)、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(例えば、ElfAtochem社のNorsocryl(登録商標)MADAMEとして市場で入手可能)、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N,N−ジ−n−プロピルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジ−n−プロピルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N,N−ジ−イソプロピルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジ−イソプロピルアミノ)エチルメタクリレート、3−(N−メチルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N−メチルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(N−エチルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N−エチルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(N−n−プロピルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N−n−プロピルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(N−イソプロピルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N−イソプロピルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(N−第三ブチルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N−第三ブチルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(N,N−ジ−n−プロピルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N,N−ジ−n−プロピルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(N,N−ジ−イソプロピルアミノ)プロピルアクリレートおよび3−(N,N−ジ−イソプロピルアミノ)プロピルメタクリレートである。
【0047】
少なくとも1個のアミド基を含有するモノマーBの例は、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−第三ブチルアクリルアミド、N−第三ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピルアクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピルメタクリルアミド、N,N−ジ−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジ−イソプロピルメタクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチルアクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチルメタクリルアミド、N−(3−N’,N’−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N−(ジフェニルメチル)アクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミドであるが、N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルカプロラクタムも挙げられる。
【0048】
少なくとも1個のウレイド基を含有するモノマーBの例は、N,N’−ジビニルエチレン尿素および2−(1−イミダゾリン−2−オニル)エチルメタクリレート(例えば、Fa.Elf Atochem社のNorsocryl(R)100として市販されている)である。
【0049】
少なくとも1個のN−複素環基を含有するモノマーBの例は、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルイミダゾールおよびN−ビニルカルバゾールである。
【0050】
次の化合物:2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニルイミダゾール、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N−第三ブチルアミノ)エチルメタクリレート、N−(3−N’,N’−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよび2−(1−イミダゾリン−2−オニル)エチルメタクリレートを使用することは、好ましい。
【0051】
水性反応媒体のpH値に応じて、前記の窒素含有モノマーBの一部または全体量は、窒素でプロトン化された第4級アンモニウム形で存在していてよい。
【0052】
窒素に第4アルキルアンモニウム構造を有するモノマーBとしては、例示的に2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルアクリレートクロリド(例えば、ElfAtochem社のNorsocryl(登録商標)ADAMQUAT MC 80として商業的に入手可能)、2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルメタクリレートクロリド(例えば、ElfAtochem社のNorsocryl(登録商標)MADQUAT MC 75として商業的に入手可能)、2−(N−メチル−N,N−ジエチルアンモニウム)エチルアクリレートクロリド、2−(N−メチル−N,N−ジエチルアンモニウム)エチルメタクリレートクロリド、2−(N−メチル−N,N−ジプロピルアンモニウム)エチルアクリレートクロリド、2−(N−メチル−N,N−ジプロピルアンモニウム)エチルメタクリレート、2−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)エチルアクリレートクロリド(例えば、ElfAtochem社のNorsocryl(登録商標)ADAMQUAT BZ 80として商業的に入手可能)、2−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)エチルメタクリレートクロリド(例えば、ElfAtochem社のNorsocryl(登録商標)MADQUAT BZ 75として商業的に入手可能)、2−(N−ベンジル−N,N−ジエチルアンモニウム)エチルアクリレートクロリド、2−(N−ベンジル−N,N−ジエチルアンモニウム)エチルメタクリレートクロリド、2−(N−ベンジル−N,N−ジプロピルアンモニウム)エチルアクリレートクロリド、2−(N−ベンジル−N,N−ジプロピルアンモニウム)エチルメタクリレートクロリド、3−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)プロピルアクリレートクロリド、3−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)プロピルメタクリレートクロリド、3−(N−メチル−N,N−ジエチルアンモニウム)プロピルアクリレートクロリド、3−(N−メチル−N,N−ジエチルアンモニウム)プロピルメタクリレートクロリド、3−(N−メチル−N,N−ジプロピルアンモニウム)プロピルアクリレートクロリド、3−(N−メチル−N,N−ジプロピルアンモニウム)プロピルメタクリレートクロリド、3−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)プロピルアクリレートクロリド、3−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)プロピルメタクリレートクロリド、3−(N−ベンジル−N,N−ジエチルアンモニウム)プロピルアクリレートクロリド、3−(N−ベンジル−N,N−ジエチルアンモニウム)プロピルメタクリレートクロリド、3−(N−ベンジル−N,N−ジプロピルアンモニウム)プロピルアクリレートクロリドおよび3−(N−ベンジル−N,N−ジプロピルアンモニウム)プロピルメタクリレートクロリドが挙げられる。勿論、記載されたクロリドの位置に相応するブロミドおよびスルフェートが使用されてもよい。
【0053】
2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルアクリレートクロリド、2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルメタクリレートクロリド、2−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)エチルアクリレートクロリドおよび2−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)エチルメタクリレートクロリドが使用されることは、好ましい。
【0054】
勿論、前記のエチレン性不飽和モノマーの混合物が使用されてもよい。
【0055】
WO 03000760号明細書に開示された方法のために、負符号を有する電気泳動移動度を有する分散された固体粒子が存在する場合には、少なくとも1つの陰イオン分散剤の部分量または全体量は、モノマーAの等量によって代替されてよく、正符号を有する電気泳動移動度を有する分散された固体粒子が存在する場合には、少なくとも1つの陽イオン分散剤の部分量または全体量は、少なくとも1つのモノマーBの等量によって代替されてよい。
【0056】
ラジカル重合による水性複合粒子分散液の製造のために、ラジカル水性乳化重合を生じることができる状態にある全種のラジカル重合開始剤が挙げられる。このラジカル重合開始剤は、原理的にペルオキシドならびにアゾ化合物であることができる。勿論、レドックス開始剤系も挙げられる。ペルオキシドとしては、原理的に、無機ペルオキシド、例えば過酸化水素またはペルオキソ二硫酸塩、例えばペルオキソ二硫酸のモノアルカリ金属塩またはジアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、例えばモノナトリウム塩、モノカリウム塩およびジナトリウム塩、ジカリウム塩またはアンモニウム塩または有機ペルオキシド、例えばアルキルヒドロペルオキシド、例えば第三ブチルヒドロペルオキシド、p−メンチルヒドロペルオキシドまたはクミルヒドロペルオキシド、ならびにジアルキルペルオキシドまたはジアリールペルオキシド、例えばジ−第三ブチルペルオキシドまたはジクミルペルオキシドが使用される。アゾ化合物としては、主に2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)および2,2’−アゾビス(アミジノプロピル)二塩酸塩(AIBA、Wako Chemicals社のV−50に相当)が使用される。レドックス開始剤系のための酸化剤としては、主に前記のペルオキシドがこれに該当する。相応する還元剤としては、酸化度が低い硫黄化合物、例えばアルカリ金属亜硫酸塩、例えば亜硫酸カリウムおよび/または亜硫酸ナトリウム、アルカリ金属亜硫酸水素塩、例えば亜硫酸水素カリウムおよび/または亜硫酸水素ナトリウム、アルカリ金属メタ重亜硫酸塩、例えばメタ重亜硫酸カリウムおよび/またはメタ重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸塩、例えばホルムアルデヒドスルホキシル酸カリウムおよび/またはホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、アルカリ金属塩、特に脂肪族スルフィン酸のカリウム塩および/またはナトリウム塩、ならびにアルカリ金属硫化水素、例えば硫化水素カリウムおよび/または硫化水素ナトリウム、多価金属塩、例えば硫酸鉄(II)、硫酸鉄(II)アンモニウム、燐酸鉄(II)、エンジオール、例えばジヒドロキシマレイン酸、ベンゾインおよび/またはアスコルビン酸ならびに還元糖類、例えばソルボース、グルコース、フルクトースおよび/またはジヒドロキシアセトンを使用することができる。一般的に、使用されるラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物の全体量に対して0.1〜5質量%である。
【0057】
微粒状の無機固体の存在下でのラジカル水性重合反応のための反応温度としては、0〜170℃の全範囲がこれに該当する。この場合、一般に50〜120℃、特に60〜110℃、有利には70以上〜100℃の温度が適用される。このラジカル水性乳化重合は、1バール(絶対圧)より小さい圧力、これと同じ圧力またはこれより大きい圧力で実施されてよく、この場合、この重合温度は100℃を超過しており、かつ170℃までであってよい。易揮発性のモノマー、例えばエチレン、ブタジエンまたは塩化ビニルを、圧力を高めて重合させることは、好ましい。この場合、1.2、1.5、2、5、10、15バールの圧力または更に高い値を設定してよい。乳化重合を低圧で実施する場合には、950ミリバール、特に900ミリバール、有利には850ミリバール(絶対圧)の圧力に調節される。ラジカル水性重合を1バール(絶対圧)で不活性ガス雰囲気下で、例えば窒素またはアルゴンの下で実施することは、有利である。
【0058】
この水性反応媒体は、原理的に、わずかな程度で、水溶性有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノールを含むことができるが、アセトン等も含んでもよい。しかし、有利には、重合反応は、このような溶剤の不在下で行なわれる。
【0059】
水性複合粒子分散液を製造する方法においては、前記の成分の他に、場合により、ラジカル連鎖移動化合物を使用し、重合により得られるポリマーの分子量を減らすかまたは調節してもよい。この場合には、主に、脂肪族および/または芳香脂肪族のハロゲン化合物、例えば、塩化n−ブチル、臭化n−ブチル、ヨウ化n−ブチル、塩化メチレン、二塩化エチレン、クロロホルム、ブロモホルム、ブロモトリクロロメタン、ジブロモジクロロメタン、四塩化炭素、四臭化炭素、塩化ベンジル、臭化ベンジル、有機チオ化合物、例えば第1級、第2級または第3級の脂肪族チオール、例えばエタンチオール、n−プロパンチオール、2−プロパンチオール、n−ブタンチオール、2−ブタンチオール、2−メチル−2−プロパンチオール、n−ペンタンチオール、2−ペンタンチオール、3−ペンタンチオール、2−メチル−2−ブタンチオール、3−メチル−2−ブタンチオール、n−ヘキサンチオール、2−ヘキサンチオール、3−ヘキサンチオール、2−メチル−2−ペンタンチオール、3−メチル−2−ペンタンチオール、4−メチル−2−ペンタンチオール、2−メチル−3−ペンタンチオール、3−メチル−3−ペンタンチオール、2−エチルブタンチオール、2−エチル−2−ブタンチオール、n−ヘプタンチオールおよびその異性体化合物、n−オクタンチオールおよびその異性体化合物、n−ノナンチオールおよびその異性体化合物、n−デカンチオールおよびその異性体化合物、n−ウンデカンチオールおよびその異性体化合物、n−ドデカンチオールおよびその異性体化合物、n−トリデカンチオールおよびその異性体化合物、置換チオール、例えば2−ヒドロキシエタンチオール、芳香族チオール、例えばベンゼンチオール、オルト−メチルベンゼンチオール、メタ−メチルベンゼンチオールまたはパラ−メチルベンゼンチオール、ならびにポリマーハンドブック第3版、1989年、J.ブランドラップ、E.H.イマーグート著、ジョンウェレイ&サンス、第II章、第133〜141頁(Polymerhandbook 3rd edition, 1989, J.Brandrup und E.H.Immergut, John Weley & Sons, Abschnitt II, Seiten 133 bis 141)に記載されている他の全種の硫黄化合物が使用されるが、脂肪族アルデヒドおよび/または芳香族アルデヒド、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドおよび/またはベンズアルデヒド、不飽和脂肪酸、例えばオレイン酸、非共役二重結合を有するジエン、例えばジビニルメタンまたはビニルシクロヘキサンまたは容易に引抜き可能な水素原子を有する炭化水素、例えばトルエンをも使用される。しかし、支障のない前記のラジカル連鎖移動化合物の混合物を使用することも可能である。場合によっては使用されるラジカル連鎖移動化合物の全体量は、重合すべきモノマーの全体量に対して一般に5質量%以下、有利には3質量%以下、特に1質量%以下である。
【0060】
本発明により使用される水性複合粒子分散液は、通常、全固体含量1〜70質量%、特に5〜65質量%、有利には10〜60質量%を有する。
【0061】
本発明により使用される複合粒子は、種々の構造を有していてよい。この場合、この複合粒子は、1種又は複数種の微細の固体粒子を含有してよい。この微細の固体粒子は、ポリマーマトリックスにより完全に包囲されていてよい。しかし、一部の微細の固体粒子をポリマーマトリックスにより包囲させる一方で、その他の粒子をそのポリマーマトリックスの表面上に配置させることも可能である。勿論、大部分の微粒状の固体粒子をポリマーマトリックスの表面上に結合させることも可能である。
【0062】
本発明による被覆材料に使用される複合粒子が10質量%以上、有利に15質量%以上、殊に有利に20質量%以上の微粒状の無機固体含量を有することは、好ましい。
【0063】
特に、複合粒子が皮膜化可能なポリマーから構成されており、かつ最低皮膜形成温度が150℃以下、好ましくは100℃以下、特に好ましくは50℃以下である複合粒子または複合粒子分散液が使用される。この0℃未満の最低皮膜形成温度は測定不可能であるので、最低皮膜形成温度の下限値はガラス転移温度によってのみ記載することができる。この場合、このガラス転移温度は−60℃、好ましくは−30℃または−15℃を下廻らない。特に、ガラス転移温度は、150℃以下の範囲、有利に100℃以下の範囲、特に有利に50℃以下の範囲にある。最低皮膜形成温度は、DIN 53787またはISO 2115により測定され、ガラス転移温度は、DIN 53765(示差走査熱分析、20K/分、中点値測定)により測定される。
【0064】
フォックス(Fox)(T.G. Fox, Bull. Am. Phys. Soc. 1956[Ser. II]1,第123頁およびUllmann's Encyclopaedie der technischen Chemie, 第19巻, 第18頁, 第4版, Verlag Chemie, Weinheim, 1980)により、次の良好な近似式が最大で弱く架橋されたコポリマーのガラス転移温度Tgに適用される:
1/Tg=x1/Tg1 + x2/Tg2 + xn/Tgn
上記式中、x1,x2,....xnは、モノマー1,2,....nの質量分数を表わし、Tg1,Tg2,....Tgnは、それぞれモノマー1,2,...nの1つから形成されたポリマーのケルビン度でのガラス転移温度を表わす。多くのモノマーのホモポリマーのためのTg値は、公知であり、例えばウルマン工業化学百科事典第5版、第A21巻、第169頁、化学出版、ヴァインハイム在、1992年(Ulmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry,Bd5, Vol A21, Seite196, Verlag Chemie, Weinheim, 1992)に記載されており、さらにホモポリマーのガラス転移温度についての出典は、例えばJ.ブランドララップ、E.H.イマーグート著、ポリマーハンドブック第1版、J.ウィリイ社、ニューヨーク在、1966年、第2版、J.ウィリイ社、ニューヨーク在、1975年および第3版、J.ウィリイ社、ニューヨーク、1989年(J.Brandrup, E.H.Immergut, Polymer Handbook, 1st Ed., J.Wiley, New York 1966, 2nd Ed. J. Wiley, New York 1975 und 3rd Ed.J.Wiley, New York 1989である。本発明によれば、水性被覆材料は、それぞれ水性被覆材料の固体含量に対して複合粒子を5〜85質量%、特に10〜70質量%、有利に15〜55質量%含有する。
【0065】
本発明による水性被覆材料は、光触媒活性の、したがって被覆されていない顔料として、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化鉄(III)、二酸化錫および二酸化チタンをルチル変態、アナターゼ変態および板チタン石型変態で含む群から選択された少なくとも1つの粉末状顔料を含有する。しかし、本発明によれば、アナターゼ変態の二酸化チタンを使用することは、好ましい。
【0066】
本発明による好ましい被覆材料は、アナターゼ型と共に、特になお少なくとも1つの他の粉末状顔料および/または少なくとも1つの粉末状充填剤を含有する。本明細書の範囲内で1μm以下の平均一次粒径(当業者によく知られた光散乱法によって測定した;ISO 13321)を有する全ての顔料および100μm以下(例えば、相応する目開きでの篩分けによって測定された)の全ての充填剤は、粉末状と見なされるべきである。勿論、特許保護の請求に応じて、水性媒体中に分散された粉末状顔料および/または粉末状充填剤を含有する、所謂水性顔料スラリーおよび/または水性充填剤スラリーも含まれている。
【0067】
本発明によれば、水性被覆材料は、それぞれ水性被覆材料の固体含量に対してアナターゼ型を0.05〜20質量%、特に0.5〜10質量%、有利に1〜8質量%含有する。
【0068】
少なくとも1つの他の粉末状顔料として、原理的にアナターゼ型とは異なる所謂白色顔料または彩色顔料が使用されてよい。
【0069】
最も重要な他の白色顔料としては、高い屈折率および良好な被覆能のために、板チタン石型変態およびルチル変態の形の二酸化チタンを挙げることができる。しかし、酸化亜鉛および硫化亜鉛も白色顔料として使用される。この場合、二酸化チタンは、板チタン石型変態およびルチル変態の形で表面被覆された(即ち、コーティングされ、したがって光触媒的に不活性の)形で使用されてよいし、表面被覆されていない(即ち、コーティングされておらず、したがって光触媒的に活性の)形で使用されてよい。殊に、少なくとも1つの他の白色顔料としては、コーティングされた形で存在する、二酸化チタンは、ルチル変態の形で使用される。しかし、それと共に、有機白色顔料、例えば約300〜400nmの粒径を有する、皮膜化しないスチレン基富有およびカルボキシル基富有の中空のポリマー粒子(所謂、乳白色の粒子)も使用される。
【0070】
被覆材料の色形成のために、白色顔料と共に、当業者によく知られた多種多様の彩色顔料、例えば若干安価な無機の酸化鉄、酸化カドミウム、酸化クロムおよび酸化鉛または硫化鉄、硫化カドミウム、硫化クロムおよび硫化鉛、モリブデン酸鉛、コバルトブルーまたはカーボンブラックならびに若干高価な有機顔料、例えばフタロシアニン、アゾ顔料、キナクリドン、ペリレンまたはカルバゾールが使用されてよい。
【0071】
しかし、殊に二酸化チタンは、ルチル変態で他の白色顔料として使用される。特に有利には、前記の二酸化チタンは、金属酸化物で被覆された表面に使用される(例えば、Kronos Titan GmbH社のKronos(登録商標)2190またはKronos(登録商標)2044またはKerr & McGee Pigments GmbH & Co. KG社のTronox(登録商標)CR 828)。
【0072】
一般に、本発明により好ましい水性被覆材料は、それぞれ水性被覆材料の固体含量に対してアナターゼ型とは異なる他の顔料5〜60質量%、特に10〜50質量%、有利に20〜45質量%の全体量を含有する。
【0073】
少なくとも1つの粉末状充填剤としては、主に顔料とは異なる僅かな屈折率を有する無機材料が使用される。この場合、粉末状の充填剤は、しばしば天然に由来する材料、例えば方解石、白亜、ドロマイト、カオリン、タルク、雲母、珪藻土、重晶石、石英またはタルク/緑泥岩連晶であるが、しかし、合成により製造された無機化合物、例えば沈降炭酸カルシウム、焼成カオリンまたは硫酸バリウムならびに熱分解法珪酸も含まれる。好ましくは、充填剤として、結晶性方解石または非晶質白亜の形の炭酸カルシウムが使用される。
【0074】
一般に、本発明による水性被覆材料は、それぞれ水性被覆材料の固体含量に対して粉末状の充填剤0〜80質量%、特に1〜60質量%、有利に3〜40質量%の全体量を含有する。
【0075】
本発明による水性被覆材料が10%以上、特に20%以上、30%以上または40%以上、有利に60%以下、70%以下または80%以下の顔料体積濃度(PVK)を有することは、有利である。使用分野に依存して、例えばPVKは、35%以上および60%以下(通路用塗料)、20%以上および40%以下(木材用塗料)、15%以上および25%以下(光沢塗料)、40%以上および80%以下(内部空間用塗料)または80%以上および95%以下(合成樹脂の漆喰)に調節されてよい。当業者には、PVKは、被覆材料、殊に塗料を特性決定するための本質的な特性値である。この場合、PVKは、乾燥された被覆材料(被覆)の全体積に対する粉末状顔料、粉末状充填剤ならびに微粒状の無機固体の体積分を計算により説明したものである。このPVKは、次の計算式の記載と同様に算出される:
【数1】

【0076】
被覆材料が、被覆材料のPVK値をよりいっそう高く調節すればするほど、ますます少ないポリマー結合剤(=複合粒子のポリマー)を含有することは、本発明を理解する上で本質的なことである。
【0077】
好ましい水性被覆材料は、この水性被覆材料の固体含量に対して、それぞれ
複合粒子5〜85質量%、
アナターゼ変態の粉末状二酸化チタン0.05〜20質量%、
他の粉末状顔料5〜60質量%、
粉末状充填剤0〜80質量%ならびに
他の通常の助剤0〜10質量%を含有する。
【0078】
本発明による被覆材料が例えば通路用塗料として使用される場合には、この本発明による被覆材料は、好ましくは水性被覆材料の固体含量に対して、それぞれ
複合粒子25〜55質量%、
アナターゼ変態の粉末状二酸化チタン1〜8質量%、
他の粉末状顔料20〜45質量%、
粉末状充填剤3〜30質量%ならびに
他の通常の助剤0.05〜5質量%を含有する。
【0079】
これに対して、本発明による被覆材料が例えば内部空間用塗料として使用される場合には、この本発明による被覆材料は、好ましくは水性被覆材料の固体含量に対して、それぞれ
複合粒子5〜35質量%、
アナターゼ変態の粉末状二酸化チタン0.1〜8質量%、
他の粉末状顔料5〜35質量%、
粉末状充填剤25〜60質量%ならびに
他の通常の助剤0.05〜5質量%を含有する。
【0080】
本発明による被覆材料が例えば合成樹脂の漆喰として使用される場合には、この本発明による被覆材料は、好ましくは水性被覆材料の固体含量に対して、それぞれ
複合粒子5〜25質量%、
アナターゼ変態の粉末状二酸化チタン0.1〜5質量%、
他の粉末状顔料5〜15質量%、
粉末状充填剤40〜80質量%ならびに
他の通常の助剤0.05〜5質量%を含有する。
【0081】
他の常用の助剤としては、本発明によれば、例えば所謂顔料分散助剤、皮膜形成助剤、濃稠化剤、消泡剤、湿潤助剤および分散助剤、中和剤および/または保存剤が含まれる。他の常用の助剤の全含量は、一般に水性被覆材料の固体含量に対してそれぞれ10質量%以下または5質量%以下である。
【0082】
皮膜形成助剤、凝集助剤とも呼ばれる、は、20℃を上廻るガラス転移温度を有するポリマー結合剤も確実に室温で皮膜化しうるために使用される。この皮膜形成助剤は、ポリマー結合剤の皮膜形成を被覆の形成の際に改善し、さらに引続き、環境温度、空気湿度および沸点ならびにこの沸点により生じる蒸気圧に依存して被覆から周囲環境へ放出される。当業者に公知である皮膜形成助剤は、例えば試験用ベンジン、水混和性グリコールエーテル、例えばブチルグリコール、ブチルジグリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルまたはジプロピレングリコールブチルエーテルならびにグリコールアセテート、例えばブチルグリコールアセテートであるが、カルボン酸およびジカルボン酸のエステル、例えば2−エチルヘキシルベンゾエート、2,2,4−トリメチルペンタジオール、3−モノイソブチラートまたはトリプロピレングリコールイソブチラートも含む。
【0083】
製造、取り扱い、貯蔵および適用の際に水性被覆材料のレオロジーを最適に調節するために、しばしば所謂濃稠化剤またはレオロジー添加剤が調製物成分として使用される。当業者には、多数の異なる濃稠化剤、例えば有機濃稠化剤、例えばキサンタン濃稠化剤、グアル濃稠化剤(多糖類)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース(セルロース誘導体)、アルカリ膨潤性分散液(アクリレート濃稠化剤)または疎水性に変性された、ポリエーテルをベースとするポリウレタン(ポリウレタン濃稠化剤)または無機濃稠化剤、例えばベントナイト、ヘクトライト、スメクタイト、アタパルジャイト(ベントン)ならびにチタネートまたはジルコネート(メタルオルガニル)は、公知である。
【0084】
水性被覆材料の製造、取り扱い、貯蔵および適用の際にフォーム形成を回避させるために、所謂消泡剤が使用される。消泡剤は、当業者によく知られている。この場合には、主に鉱油消泡剤およびシリコーン油消泡剤が重要である。消泡剤、なかんずく高活性のシリコーン含有消泡剤は、一般に極めて入念に選択され、かつ計量供給されうる。それというのも、この消泡剤は、被覆の表面欠陥(クレーター、凹か等)をまねきうるからである。微粒状の疎水性粒子、例えば疎水性珪酸またはワックス粒子を消泡剤液中に添加することによって、消泡剤の作用をなお上昇させることができることは、本質的なことである。
【0085】
粉末状顔料および充填剤を水性被覆材料中に最適に分布させるために、湿潤助剤および分散助剤は、使用される。この場合、湿潤助剤および分散助剤は、分散過程を、水性分散媒体中での粉末状顔料および充填剤の湿潤の簡易化(湿潤剤効果)、粉末凝集塊の破砕(分解効果)ならびに剪断処理の際に生じる顔料一次粒子および充填剤一次粒子の立体的安定化または静電的安定化(分散剤効果)によって支持する。湿潤助剤および分散助剤としては、殊に当業者によく知られたポリホスフェートおよびポリカルボン酸の塩、殊にポリアクリル酸のナトリウム塩またはアクリル酸コポリマーが使用される。
【0086】
必要な場合には、当業者に中和剤としてよく知られている酸または塩基、例えばヒドロキシル基含有アルキルアミノ化合物をベースとする塩基(このために、出願番号DE 102004010155.8を有する、本出願人の未だ公開されていないドイツ出願参照)を水性被覆材料のpH値調節のために使用してよい。
【0087】
製造、取り扱い、貯蔵および適用の際に微生物、例えば細菌類、(糸状菌)真菌類または酵母による水性被覆材料の感染を回避させるために、しばしば当業者によく知られた保存剤または殺生剤が使用される。この場合には、殊にメチルイソチアゾリノンとクロロイソチアゾリノンとの作用物質組合せ物、ベンズイソチアゾリノン、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド分離剤が使用される。
【0088】
製造、取り扱い、貯蔵および適用の際に水性被覆材料には、前記助剤と共に、なおさらに当業者によく知られた助剤、例えば艶消剤、ワックスまたは流展助剤等を添加することができる。
【0089】
更に、原理的に本発明による水性被覆材料を、例えばポリシリコーンまたはシリコーン樹脂をベースとする疎水剤と混合することも可能である。
【0090】
本発明による水性被覆材料は、殊に支持体の被覆に適している。支持体としては、例えばプラスチック、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリスチロールまたはポリエステル、金属または金属合金、例えば鉄、鋼、アルミニウム、銅または青銅、樹木、紙、厚紙または鉱物質下地、例えばコンクリート、石膏、モルタル、ガラスまたはセラミックが使用されてよい。
【0091】
この場合、被覆された支持体の製造は、本発明による水性被覆材料を支持体の表面上に施こし、ポリマーを皮膜化する条件下で乾燥させるようにして行なわれる。
【0092】
皮膜化の条件(圧力および温度)は、殊にポリマー組成物(および該組成物から生じる最低皮膜形成温度またはガラス転移温度)または皮膜形成助剤の存在に依存する。この条件は、当業者によく知られているかまたは若干の予備試験によって定めることができる。特に、ポリマーが50℃以下、殊に30℃以下または20℃以下および30℃以上、有利に15℃以上の範囲のガラス転移温度を有することは、有利である。
【0093】
本発明による水性被覆材料を準備することにより、有機結合剤および光触媒活性の顔料をベースとし、殊にアナターゼ型をベースとする、乾燥された表面が親水性および/または抗菌性であり、即ち汚れにくさの性質を有し、この場合同時に減少された白亜化傾向を示す被覆材料を提供することに成功する。更に、本発明による被覆材料で被覆された表面は、明らかに減少された黄変傾向を示す。従って、本発明による被覆材料は、殊に戸外の範囲での支持体の被覆に使用することができる。
【0094】
次に、本発明を、制限のない実施例により詳細に説明する。
【0095】
実施例
I.水性複合粒子分散液NK1の製造
還流冷却器、温度計、機械的撹拌機ならびに計量供給装置を備えた2lの四口フラスコ中に、20〜25℃(室温)および1バール(絶対圧)で窒素雰囲気下で撹拌しつつ(毎分200回転)、Nyacol(R)2040 416.6gを添加し、非続きメタクリル酸2.5gと水酸化ナトリウム10質量%水溶液12gとの混合物を5分間で添加した。その後に、この撹拌された反応混合物に、15分間で非イオン界面活性剤Lutensol(R)AT18(BASF AG社の商標、平均18個のエチレンオキシド単位を有するC1618−脂肪アルコールエトキシレート)20質量%水溶液10.4gと脱イオン水108.5gとの混合物を添加した。引続き、この反応混合物に、60分間で、脱イオン水200g中に溶解されたN−セチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロミド0.83g(CATB)を供給した。その後に、この反応混合物を80℃の反応温度に加熱した。
【0096】
同時に、供給物1としてメチルメタクリレート117.5g(MMA)、n−ブチルアクリレート130g(n−BA)およびメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン0.5g(MEMO)からなるモノマー混合物を製造し、ならびに供給物2としてペルオキソ二硫酸ナトリウム2.5g、水酸化ナトリウムの10質量%の溶液7gおよび脱イオン水200gからなる開始剤溶液を製造した。
【0097】
引続き、反応温度で撹拌された反応混合物に、5分間で2本の別個の供給管を介して供給物1 21.1gおよび供給物2 57.1gを添加した。次いで、この反応混合物を反応温度で1時間に亘って撹拌した。引続き、この反応混合物に、Dowfax(R)2A1の45質量%水溶液0.92gを添加した。次に、この反応混合物に、供給物1および供給物2の残分を、同時に開始して2時間に亘って連続的に供給した。次いで、この反応混合物をさらに1時間に亘って反応温度で撹拌し、引続き該反応混合物を室温に冷却した。
【0098】
こうして得られた水性複合粒子分散液は、この水性複合粒子分散液の全質量に対して35.1質量%の固体含有率を有していた。
【0099】
約3cmの内径を有する開いたアルミニウムるつぼ中の水性複合粒子分散液約1gを乾燥箱中で150℃で質量が一定になるまで乾燥させることにより、固体含量を測定した。固体含量を測定するために、それぞれ2つの別々の測定を実施し、相応する平均値を得た。
【0100】
複合粒子中の微粒状の無機固体の含量は、複合粒子の全質量に対して40質量%になることが算出された。
【0101】
複合粒子のポリマーは、5℃未満のガラス転移温度を有していた(DIN 53765)。
【0102】
超遠心分離分析法により測定された、複合粒子の平均粒径(d50)は、65nmであった。
【0103】
II.水性被覆材料の製造
水性被覆材料を、前記の水性複合粒子分散液ならびにポリマー結合剤としての2つの市販の水性ポリマー分散液と一緒に製造した。市販の水性ポリマー分散液として、Acronal(登録商標)S 790、50質量%の固体含量および約20℃の最低皮膜形成温度を有するスチレンアクリレートならびにAcronal(登録商標)DS 6254、48質量%の固体含量および約14℃の最低皮膜形成温度を有する純粋なアクリレート(双方共にBASF AG社の市販製品)を使用した。
【0104】
複数の水性被覆材料の調製の場合には、顔料体積濃度が等しいことに注意した。この場合には、水性複合粒子分散液中での二酸化ケイ素粒子は、2.3g/cm3の密度を有する充填剤と見なされ、それに応じて、それ自体PVKの計算で影響を及ぼすことに注意することができる。
【0105】
光触媒効果を試験するために、相応する水性被覆材料において、二酸化チタン(Kronos(登録商標)2190,Kronos Titan GmbH社の市販製品)の光活性でない(アルミニウムジルコニウムで表面被覆された)ルチル変態を、異なる量の光活性のアナターゼ変態(Hombilat(登録商標)UV100,Sachtleben Chemie GmbH社の市販製品)によって交換した。
【0106】
約3cmの内径を有する開いたアルミニウムるつぼ中の水性被覆材料約1gを乾燥箱中で150℃で質量が一定になるまで乾燥させることにより、被覆材料V1〜V9、10〜12の固体含量を測定した。固体含量を測定するために、それぞれ2つの別々の測定を実施し、相応する平均値を得た。
【0107】
比較例1〜4
顔料ペーストを室温で攪拌しながらディスク型攪拌機を用いて毎分1000回転で次のものから製造した(記載された順序での添加):脱イオン水62.5g、分散剤3g(顔料分配剤A、BASF AG社の市販製品)、脱イオン水水中のポリ燐酸ナトリウムの25%の溶液4g(Calgon(登録商標)N, Reckitt Benkisser GmbH社の市販製品)、脱イオン水中での水酸化ナトリウムの20質量%の溶液2g、保存剤3g(Parmetol(登録商標)A 26, Schuelke & Mayer GmbH社の市販製品)、他の保存剤10g(Acticide (登録商標)EPS, Thor Chemie社の市販製品)、脱イオン水中の濃稠化剤の2質量%の溶液96g(Walocel(登録商標)MW 20000, Wolff Cellulosics GmbH & Co. KG社の市販製品)、皮膜形成助剤12.5g(試験ベンジン180〜210℃)、他の皮膜形成助剤7g(Lusolvan(登録商標)FBH, BASF AG社の市販製品)、ルチル変態の二酸化チタンAg(Kronos(登録商標), Kronos Titan GmbH社)、アナターゼ変態の二酸化チタンBg(Hombikat(登録商標)UV 100, Sachtleben Chemie GmbH社)、炭酸カルシウム192g(Omyacarb(登録商標)5 GU, Omya GmbH社)およびタルク48g(Finntalc(登録商標)M 15, Omya GmbH社)。添加の終結後、顔料ペーストを毎分1000回転で20分間さらに攪拌した。その後に、このペーストをさらに攪拌しながら消泡剤3g(Agitan(登録商標)280, Muenzing Chemie社の市販製品)、Acronal(登録商標)S 790 373gおよび脱イオン水11gを添加した。こうして得られた水性被覆剤を、20分に亘って毎分500回転で撹拌した。更なる試験の前に、この被覆剤を24時間に亘って室温で放置させた。次の水性被覆材料を製造した:
【表1】

【0108】
比較例5〜8
顔料ペーストを室温で攪拌しながらディスク型攪拌機を用いて毎分1000回転で次のものから製造した(記載された順序での添加):脱イオン水137g、顔料分配剤A 2g、脱イオン水中の水酸化ナトリウムの20質量%の溶液2g、脱イオン水中のCalgon(登録商標)Nの25質量%の溶液3g、Parmetol(登録商標)A26 4g、脱イオン水中の濃稠化剤(Natrosol(登録商標)250 HHR, Hercules Inc.社の市販製品)の2質量%の溶液50g、他の濃稠化剤4g(Collacral(登録商標)PU 85, BASF AG社の市販製品)、消泡剤Agitan(登録商標)280 1g、試験用ベンジン180〜210℃ 12g、溶剤12g(ブチルジグリコール)、他の溶剤12g(プロピレングリコール)、Kronos(登録商標)2190 Cg、Hombikat(登録商標)UV 100 Dg、Omyacarb(登録商標)5 GU 175gおよびFinntalc(登録商標)M 15 55g。添加の終結後、この顔料ペーストを20分間に亘って毎分1000回転でさらに攪拌した。その後に、このペーストにさらに攪拌しながらAgitan(登録商標)280 2g、Acronal(登録商標)DS 6254 364gおよび脱イオン水6gを添加した。こうして得られた水性被覆剤を、20分に亘って毎分500回転で撹拌した。更なる試験の前に、この被覆剤を24時間に亘って室温で放置させた。次の水性被覆材料を製造した:
【表2】

【0109】
比較例9および本発明による実施例10〜12
顔料ペーストを室温で攪拌しながらディスク型攪拌機を用いて毎分1000回転で次のものから製造した(記載された順序での添加):脱イオン水100g、保存剤2g(Acticide (登録商標)MBS, Thor Chemie GmbH社の市販製品)、他の保存剤2g(Acticide (登録商標)DW, Thor Chemie GmbH社の市販製品)、濃稠化剤2.5g(Collacral(登録商標)DS 6256, BASF AG社の市販製品)、水中のアンモニアの25質量%の溶液0.5g、分散剤8g(Dow Chemicals社の市販製品)、他の分散剤10g(顔料分配剤MD 20, BASF AG社の市販製品)、他の分散剤10g(Collascral (登録商標)LR 8954, BASF AG社の市販製品)、消泡剤2g(Tego LAE 511, Tego GmbH社の市販製品)、Kronos(登録商標)2190 Eg、Homobikat(登録商標)UV 100 Fg、Omyacarb(登録商標)5 GU 40gおよびFinntalc(登録商標)M 15 20g。添加の終結後、この顔料ペーストを20分間に亘り毎分1000回転でさらに攪拌した。その後、このペーストにさらに攪拌しながら上記の水性複合粒子分散液NK 1 632g、消泡剤1g(Byk(登録商標)022, Byk-Chemie GmbHの市販製品)ならびに脱イオン水中の濃稠化剤(Collacrat(登録商標)LR 8990, BASF AG社の市販製品)の5質量%の溶液20gを添加した。こうして得られた水性被覆剤を、20分に亘って毎分500回転で撹拌した。更なる試験の前に、この被覆剤を24時間に亘って室温で放置させた。次の水性被覆材料を製造した:
【表3】

【0110】
III.応用技術的試験
IIで製造された被覆材料V1〜V9ならびに10〜12を400μmの厚さで湿式法でガラス板上に塗布し、23℃および50%の相対空気湿度で1週間乾燥させた。引続き、被覆されたガラス板を500時間の短時間の耐候試験(機器Xenotest 1200, Heraeus社, Hanau在)に掛けた。照射効率は、290〜400nmの波長範囲内で100±10W/m2であった。この場合、試料空間内の相対空気湿度は、乾燥時間中60±5%であった。試料空間温度は、37.5±2.5℃であった。耐候サイクルは、3分間の噴霧時間および17分間の乾燥時間であり、この場合照射源は、絶えず作動していた。
【0111】
短時間の耐候試験の前および後に、乾燥された被覆材料の接触角度を測定した。このために、光学的段上に先端が丸くなった針を備えた噴霧器を用いて3つの別々の水滴を被覆材料の表面上に施こし、ゴニオメーター(DIN EN 828により)を用いて水滴と被覆材料の表面との間の相応する接触角度を算出した。この場合、測定される接触角度が小さくなればなるほど、表面の親水性は、ますます高くなると評価することができる。実施例において、それぞれ3回の個々の測定の平均値を記載した。
【0112】
更に、短時間の耐候試験の前および後にΔE−CIE Lab値(DIN 53230に相当する)を異なる被覆材料の黄変の評価のために測定した(機器Chromameter CR 200, Minolta社)。黄変の基準として、b値を採用した。この場合、よりいっそう高いΔb値は、被覆材料のよりいっそう黄変を反映していることに注目することができる。
【0113】
この黄変と共に、被覆材料の白亜化傾向も短時間の耐候試験に続いてケンプフ(Kempf)(DIN 53159による)により測定された。
【0114】
このために、湿潤された黒色の写真用紙を、プランジャーを用いて250±25Nの定義された圧力で乾燥された被覆材料の表面上に押圧し、引続き再度取り外した。この写真用紙の乾燥後、白亜化を目視的に評価し、評点を有する相対的な評価目盛により評価した。この場合、値0は、白亜化なしに対応し、5は、極端に強い白亜化に対応する。その間の別の全ての値は、学校の評点システムに従う。
【0115】
得られた結果は、次の表中に記載されている:
【表4】

【0116】
表中に記載された結果から、本発明による被覆材料10〜12は、比較例V1〜V9と比較して明らかに僅かな黄変傾向および白亜化傾向ならびに本質的によりいっそう高い親水性を有することが明瞭になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリマーおよび微粒状の無機固体から形成されている、10nm以上および500nm以下の平均粒径を有する粒子(複合粒子)および
b)酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化鉄(III)、二酸化錫ならびにルチル型、アナターゼ型および板チタン石型の二酸化チタンを含む群から選択された少なくとも1つの粉末状顔料を含有する水性被覆材料。
【請求項2】
粉末状顔料としてアナターゼ変態の二酸化チタンを含有する、請求項1記載の水性被覆材料。
【請求項3】
少なくとも1つの他の粉末状顔料を含有する、請求項2記載の水性被覆材料。
【請求項4】
少なくとも1つの粉末状充填剤を含有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の水性被覆材料。
【請求項5】
ポリマーが、150℃以下のTgを有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の水性被覆材料。
【請求項6】
複合粒子が20質量%以上の微粒状の無機固体の含量を有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の水性被覆材料。
【請求項7】
顔料体積濃度(PVK)が10%以上である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の水性被覆材料。
【請求項8】
複合粒子が水性複合粒子分散液の形で使用されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載の水性被覆材料。
【請求項9】
水性複合粒子分散液が、
少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマーが水性媒体中に分散分布し、少なくとも1つのラジカル重合開始剤を用いて少なくとも1つの分散分布された微粒状の無機固体および少なくとも1つの分散剤の存在でラジカル水性乳化重合の方法により重合され、この場合には、
a)少なくとも1つの無機固体の安定した水性分散液が使用され、この水性分散液は、少なくとも1つの無機固体の水性分散液に対して1質量%以上の初期固体濃度でその製造のなお1時間後に90質量%を上廻る元来分散された固体を分散された形で含有し、該水性分散液の分散された固体粒子が100nm以下の質量平均直径を有することによって特徴付けられており、
b)少なくとも1つの無機固体の分散された固体粒子が標準塩化カリウム水溶液中で分散剤の添加の開始前に水性分散媒体のpH値に相当するpH値で零とは異なる電気泳動易動度を示し、
c)水性固体粒子分散液に少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマーの添加開始前に少なくとも1つのアニオン分散剤、カチオン分散剤および非イオン分散剤が添加され、
d)その後に少なくとも1つのモノマーの全体量の中、水性固体粒子分散液の0.01〜30質量%が添加され、少なくとも90%の変換率になるまで重合され、および
e)引続き、少なくとも1つのモノマーの残留量が重合条件下で使用に応じて連続的に添加されるような方法により製造された、請求項8記載の水性被覆材料。
【請求項10】
微粒状の無機固体が、ケイ素含有化合物である、請求項1から9までのいずれか1項に記載の水性被覆材料。
【請求項11】
微粒状の無機固体が、熱分解法珪酸および/またはコロイド状珪酸、二酸化珪素ゾルおよび/または層状珪酸塩である、請求項1から10までのいずれか1項に記載の水性被覆材料。
【請求項12】
ポリマーが少なくとも1つのシロキサン基含有のエチレン系不飽和モノマー0.01〜5質量%を重合導入された形で含有する、請求項1から11までのいずれか1項に記載の水性被覆材料。
【請求項13】
水性被覆材料が、この水性被覆材料の固体含量に対して、それぞれ複合体粒子5〜85質量%、アナターゼ変態の粉末状二酸化チタン0.05〜20質量%、他の粉末状顔料5〜60質量%、粉末状充填剤0〜80質量%ならびに他の通常の助剤0〜10質量%を含有する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の水性被覆材料。
【請求項14】
支持体を被覆するための請求項1から13までのいずれか1項に記載の水性被覆材料の使用。
【請求項15】
被覆された支持体の製造法において、請求項1から13までのいずれか1項に記載の水性被覆材料を支持体上に施こし、ポリマーが皮膜化する条件下で乾燥させることを特徴とする、被覆された支持体の製造法
【請求項16】
支持体として、プラスチック、金属、木材、紙または鉱物質の下地を使用する、請求項15記載の方法。
【請求項17】
請求項15または16記載の方法により得ることができる被覆された支持体。

【公表番号】特表2008−519116(P2008−519116A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539505(P2007−539505)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011486
【国際公開番号】WO2006/048167
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】