説明

被覆組成物、物品、及び物品を被覆する方法

被覆組成物、物品、及び物品を被覆する方法が与えられている。被覆組成物及び方法は、基体上で硬化すると耐摩耗性で成形可能な被覆を与える。それら物品は、被覆組成物を基体に適用し、硬化した後、成形することができる。耐摩耗性で着色可能な被覆も与えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆組成物、物品、及び物品を被覆する方法に関する。特に、本発明は、基体上で硬化すると耐摩耗性で成形可能な被覆を与える安定な被覆組成物に関する。更に、本発明は、基体上で硬化すると、耐摩耗性で、環境に対する抵抗性をもち、着色可能な被覆を与える安定な被覆組成物に関する。
【0002】
関連参考出願
本願は、2004年10月12日に出願された米国特許仮出願Serial No.60/618,014の優先権及び他の全ての利権を主張して、2005年10月12日に出願されたPCT出願No.PCT/US2005/036458に関し、それら両方の全体は参考のためここに入れてある。本出願は、2006年3月31日に出願された「被覆組成物、物品、及び物品を被覆する方法」と題するUS出願に関する。
【背景技術】
【0003】
嵌込みガラスは、ガラスよりも割れにくいか又は割れないプラスチックのような透明材料と置き換えることができる。例えば、合成有機重合体から作った透明材料が、列車、バス、タクシー、及び航空機のような公共輸送乗り物で用いられている。大きなビルディングのための窓ガラスと同様めがね及び他の光学的用具のためのレンズも、割れにくい透明プラスチックを用いることができる。更に、ガラスと比較してこれらのプラスチックの重量が軽いことは、特に乗り物の重量がその燃費の主な因子である輸送工業で一層の利点になることができる。
【0004】
透明プラスチックは、ガラスよりも割れにくくて軽く、設計の融通性を有する主な利点を与えるが、埃又はクリーニング設備のような研磨材と毎日接触するため、これらのプラスチックが傷つき、引っ掻き傷を受け易い重大な欠点が存在する。損傷は可視性を損ない、美的外観を悪くする結果になり、屡々嵌込みガラス又はレンズ等の取り替えを必要とする。
【0005】
プラスチックの耐摩耗性を改良するため、傷付きにくい被覆が開発されてきた。これらの耐摩耗性組成物の主な欠点は、それらが、硬化後、成形できなくなることである。成形性がよくないことは、被覆された物品を曲げ又は加工すると、被覆に亀裂又は細かいひびを屡々生ずるであろうことを意味する。そのため、物品を成形した後に被覆しなければならず、そのことは時間無駄及び未被覆物品の出荷を余儀なくされ、輸送中に図らずも摩耗を受けることがある。
【0006】
更に、耐摩耗性を有する着色可能な被覆を与えることが屡々望まれている。特に、これらの被覆は、着色窓の用途及び眼科の用途に有用になることができる。多くの既知の被覆組成物は、その被覆組成物を基体上で硬化した後、その被覆組成物に着色を与えることは容易にはできない。そのような硬化被覆組成物に着色を加えることができることは極めて望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、良好な耐摩耗性及び成形性を有する被覆に対する必要性が当分野では依然として存在している。更に、耐摩耗性及び着色可能性を示す被覆に対する必要性も当分野で依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様に従い、基体に適用し硬化すると、基体上に耐摩耗性で成形可能な被覆を与える組成物が提供される。それら組成物は、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が、シリル化多官能性無水物(multfunctinal anhydride)を含み、前記少なくとも一種類のエポキシ官能性シラン及び前記ジオール官能性有機ポリシロキサンの前記少なくとも一種類が、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;及び前記エポキシ官能性シラン、前記ジオール官能性有機ポリシロキサン、及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含むことができる。
【0009】
一つの例として、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類は、約2:1〜約1:2の多官能性架橋剤に対するモル比で存在する。別の例としてポリカーボネート基体上に約1in〜約10in未満の半径に被覆を成形することができる。更に別の例として、ポリカーボネート基体上に約3in〜約5inの半径に被覆を形成することができる。
【0010】
別の例として、被覆は、テーバー回転板(Taber wheel)の50回転後、約10%未満のテーバー数を有し、又はテーバー回転板50回転後、約2%未満のテーバー数を有する。別の例として、被覆は、テーバー回転板200回転後、約45%未満のテーバー数を有し、又はテーバー回転板200回転後、約15%未満のテーバー数を有する。
【0011】
更に別の例として、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類は、組成物の固形分の約5〜約93重量%を占め、多官能性架橋剤は、組成物の固形分の約7〜約95重量%を占める。更に別の例として、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類は、組成物の固形分の約30〜約70重量%を占め、多官能性架橋剤は、組成物の固形分の約30〜約70重量%を占める。更に別の例として、水性・有機溶媒混合物の溶媒成分は、組成物の約40〜約98重量%を占める。更に別の例として、水性・有機溶媒混合物の溶媒成分は、組成物の約65〜約95重量%を占める。
【0012】
一つの例として、水性・有機溶媒混合物の溶媒成分は、エーテル、グリコール又はグリコールエーテル、ケトン、エステル、酢酸グリコールエーテル、及びそれらの組合せから選択される。別の例として、水性・有機溶媒混合物の溶媒成分は、式ROH(式中、Rは1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基である)を有するアルコールから選択される。別の例として、水性・有機溶媒混合物の溶媒成分は、式R−(OR−OR(式中、xは、0、1、2、3、又は4であり、Rは水素、又は1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、1〜約10個の炭素原子を有するアルキレン基である)を有するグリコール、エーテル、グリコールエーテル、及びそれらの組合せから選択される。
【0013】
別の例として、エポキシ官能性シランは、式RSi(OR4−x〔式中、xは、1、2、又は3の整数であり;Rは、H、1〜約10個の炭素原子を有し、少なくとも1つのエポキシ官能基を有する、アルキル基、官能性化アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルエーテル、及びそれらの混合物であり;Rは、H、1〜約5個の炭素原子を有するアルキル基、アセチル基、−Si(OR3−y基(式中、yは、0、1、2、又は3の整数である)、及びそれらの組合せであり;Rは、H、1〜約5個の炭素原子を有するアルキル基、アセチル基、又は別の−Si(OR3−y基、及びそれらの組合せであり;Rは、H、1〜約10個の炭素原子を有する、アルキル基、官能性化アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルエーテル、及びそれらの組合せである〕により表される。
【0014】
更に別の例として、水性・有機溶媒混合物は、更に、その水性・有機溶媒混合物を基体上に広げ、水性・有機溶媒混合物と基体との実質的に均一な接触を与えるためのレベリング剤を有効な量で含む。別の例として、組成物は、更に、少なくとも一種類の触媒、少なくとも一種類の紫外線安定化剤、又は少なくとも一種類の表面活性剤、及びそれらの組合せを含む。
【0015】
本発明の別の態様として、基体に適用し硬化すると、基体上に耐摩耗性で成形可能な被覆を与える組成物が与えられる。これらの組成物は、ジオール官能性有機ポリシロキサン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記ジオール官能性有機ポリシロキサンが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記ジオール官能性有機ポリシロキサン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含むことができる。一つの例として、水性・有機溶媒混合物は、更に、エポキシ官能性シラン及び前記少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を含む。
【0016】
本発明の更に別の態様に従い、基体に適用し硬化すると、基体上に耐摩耗性で成形可能な被覆を与える組成物が与えられる。それら組成物は、エポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記少なくとも一種類のエポキシ官能性シランが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;及び前記エポキシ官能性シラン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含むことができ、然も、前記組成物は、四官能性シラン、ジシラン、及びアルキルシランの少なくとも一種類を、基体上の被覆を堅くするのには不充分な量で含有する。一つの例として、水性・有機溶媒混合物は、更に、ジオール官能性有機ポリシロキサン及び前記多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を含む。
【0017】
本発明の更に別の態様に従い、基体に適用し硬化すると、基体上に耐摩耗性で成形可能な被覆を与える組成物が与えられる。それら組成物は、エポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記エポキシ官能性シランが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記エポキシ官能性シラン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;及び四官能性シラン及びジシランの少なくとも一種類を含むことができ、然も、前記エポキシ官能性シランは、少なくとも約5.5:1の前記四官能性シラン及び前記ジシランの前記少なくとも一種類に対するモル比で存在する。一つの例として、水性・有機溶媒混合物は、更に、ジオール官能性有機ポリシロキサン及び前記多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を含む。
【0018】
別の例として、四官能性シランは、式、Si(OR)〔式中、Rは、H、1〜約5個の炭素原子を有するアルキル基、及びそのエーテル、(OR)カルボキシレート、−Si(OR10)基(式中、R10は、H、1〜約5個の炭素原子を有するアルキル基、及びそのエーテルである)、(OR10)カルボキシレート、又は他の−Si(OR10)基、及びそれらの組合せである〕を有する。更に別の例として、ジシランは、式、(R11O)123−xSi−R13−SiR143−x(OR15)〔式中、xは、0、1、2、又は3であり、yは、0又は1であり;R12及びR14は、H、約1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基、官能性化アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルポリエーテル基、及びそれらの組合せを含み;R11及びR15は、H、約1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基、アセチル基、及びそれらの組合せを含み;もしyが1であるならば、R13は、約1〜約12個の炭素原子を有するアルキレン基、約1〜約12個の炭素原子を含むアルキレンポリエーテル、アリール基、アルキレン置換アリール基、一つ以上のオレフィン、S、又はOを含んでいてもよいアルキレン基を含み;もしxが0ならば、R12及びR14は、Cl又はBrを含み;もしyが0ならば、直接珪素・珪素結合が存在する〕を有する。
【0019】
本発明の更に別の態様に従い、基体に適用し硬化すると、基体上に耐摩耗性で成形可能な被覆を与える組成物が提供される。それら組成物は、エポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記エポキシ官能性シランが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記エポキシ官能性シラン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;及び少なくとも一種類のアルキルシランを含むことができ、然も、前記エポキシ官能性シランは、少なくとも約2.5:1の前記少なくとも一種類のアルキルシランに対するモル比で存在する。
【0020】
一つの例として、水性・有機溶媒混合物は、更に、ジオール官能性有機ポリシロキサン及び前記多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を含む。別の例として、アルキルシランは、式R16Si(OR174−x〔式中、xは、1、2、又は3の数であり;R16は、H、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基、官能化アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルコキシポリエーテル基、及びそれらの組合せであり;R17は、H、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基、アセチル基;及びそれらの組合せである〕を有する。
【0021】
本発明の更に別の態様に従い、基体に適用し硬化すると、基体上に耐摩耗性で成形可能な被覆を与える組成物が提供される。それら組成物は、少なくとも一種類のエポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記少なくとも一種類のエポキシ官能性シランが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記エポキシ官能性シラン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含むことができ、然も、前記組成物は、四官能性シラン、ジシラン、及びアルキルシランを含まない。一つの例として、水性・有機溶媒混合物は、更に、ジオール官能性有機ポリシロキサン及び多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を含む。
【0022】
本発明の態様に従い、物品が与えられる。それら物品は、基体と、その基体の少なくとも一つの表面上に存在する、被覆組成物を硬化することによる耐摩耗性で成形可能な被覆を含むことができ、前記組成物は、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤がシリル化多官能性無水物を含み、前記エポキシ官能性シラン及び前記ジオール官能性有機ポリシロキサンの前記少なくとも一種類が、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記エポキシ官能性シラン、前記ジオール官能性有機ポリシロキサン、及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含む。一つの例として、基体と被覆との間に、基体の少なくとも一つの表面上に少なくとも一つの下地が配置されている。
【0023】
本発明の更に別の態様に従い、物品が与えられる。それら物品は、基体と、その基体の少なくとも1つの表面上に存在する、被覆組成物を硬化することによる耐摩耗性で成形可能な被覆を含むことができ、前記被覆組成物は、ジオール官能性有機ポリシロキサン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記ジオール官能性有機ポリシロキサンが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記ジオール官能性有機ポリシロキサン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含む。
【0024】
本発明の別の態様に従い、物品が与えられる。それら物品は、基体と、その基体の少なくとも一つの表面上に存在する、被覆組成物を硬化することによる耐摩耗性で成形可能な被覆を含むことができ、前記被覆組成物は、エポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記少なくとも一種類のエポキシ官能性シランが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;及び前記エポキシ官能性シラン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含むことができ、然も、前記組成物は、四官能性シラン、ジシラン、及びアルキルシランの少なくとも一種類を、基体上の被覆を堅くするのには不充分な量で含有する。
【0025】
本発明の態様に従い、物品が与えられる。それら物品は、基体と、その基体の少なくとも一つの表面上に存在する、被覆組成物を硬化することによる耐摩耗性で成形可能な被覆を含むことができ、前記被覆組成物は、エポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記エポキシ官能性シランが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記エポキシ官能性シラン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;及び四官能性シラン及びジシランの少なくとも一種類を含むことができ、然も、前記エポキシ官能性シランは、少なくとも約5.5:1の前記四官能性シラン及び前記ジシランの前記少なくとも一種類に対するモル比で存在する。
【0026】
本発明の更に別の態様に従い、物品が与えられる。それら物品は、基体と、その基体の少なくとも一つの表面上に存在する、被覆組成物を硬化することによる耐摩耗性で成形可能な被覆を含むことができ、前記被覆組成物は、エポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記エポキシ官能性シランが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記エポキシ官能性シラン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;及び少なくとも一種類のアルキルシランを含むことができ、然も、前記エポキシ官能性シランは、少なくとも約2.5:1の前記少なくとも一種類のアルキルシランに対するモル比で存在する。
【0027】
本発明の態様に従い、物品が与えられる。それら物品は、基体と、その基体の少なくとも一つの表面上に存在する、被覆組成物を硬化することによる耐摩耗性で成形可能な被覆を含むことができ、前記被覆組成物は、少なくとも一種類のエポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記少なくとも一種類のエポキシ官能性シランが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記エポキシ官能性シラン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含むことができ、然も、前記組成物は、四官能性シラン、ジシラン、及びアルキルシランを含まない。
【0028】
本発明の態様に従い、形成物品が与えられる。それら物品は、成形された基体と、その基体の少なくとも一つの表面上に存在する、被覆組成物を適用し、前記被覆組成物を硬化し、次に基体を成形することにより、耐摩耗性で成形可能な被覆を含むことができ、前記被覆組成物が、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤がシリル化多官能性無水物を含み、前記エポキシ官能性シラン及び前記ジオール官能性有機ポリシロキサンの前記少なくとも一種類が、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記エポキシ官能性シラン、前記ジオール官能性有機ポリシロキサン、及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含む。一つの例として、成形された基体は、その基体と被覆との間に、基体の少なくとも一つの表面上に配置された少なくとも一つの下地を含む。
【0029】
本発明の更に別の態様に従い、成形物品が与えられる。それら成形物品は、基体と、その基体の少なくとも一つの表面上に存在する、被覆組成物を適用し、前記被覆組成物を硬化し、次に基体を成形することにより耐摩耗性で成形可能な被覆を含むことができ、前記被覆組成物は、ジオール官能性有機ポリシロキサン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記ジオール官能性有機ポリシロキサンが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記ジオール官能性有機ポリシロキサン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含む。
【0030】
本発明の更に別の態様に従い、成形物品が与えられる。それら成形物品は、成形基体と、その基体の少なくとも一つの表面上に存在する、被覆組成物を適用し、前記被覆組成物を硬化し、次に基体を成形することにより耐摩耗性で成形可能な被覆を含むことができ、前記被覆組成物は、エポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記エポキシ官能性シランが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;及び前記エポキシ官能性シラン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含むことができ、然も、前記組成物は、四官能性シラン、ジシラン、及びアルキルシランの少なくとも一種類を、基体上の被覆を堅くするのには不充分な量で含有する。
【0031】
本発明の態様に従い、成形物品が与えられる。それら物品は、成形基体と、その基体の少なくとも一つの表面上に存在する、被覆組成物を適用し、前記被覆組成物を硬化し、次に基体を成形することにより耐摩耗性で成形可能な被覆を含むことができ、前記被覆組成物は、エポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記エポキシ官能性シランが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記エポキシ官能性シラン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;及び四官能性シラン及びジシランの少なくとも一種類を含むことができ、然も、前記エポキシ官能性シランは、少なくとも約5.5:1の前記四官能性シラン及び前記ジシランの前記少なくとも一種類に対するモル比で存在する。
【0032】
本発明の別の態様に従い、成形物品が与えられる。それら成形物品は、成形基体と、その基体の少なくとも一つの表面上に存在する、被覆組成物を適用し、前記被覆組成物を硬化し、次に基体を成形することにより耐摩耗性で成形可能な被覆を含むことができ、前記被覆組成物は、エポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記エポキシ官能性シランが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記エポキシ官能性シラン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;及び少なくとも一種類のアルキルシランを含むことができ、然も、前記エポキシ官能性シランは、少なくとも約2.5:1の前記少なくとも一種類のアルキルシランに対するモル比で存在する。
【0033】
本発明の態様に従い、成形物品が与えられる。それら成形物品は、成形基体と、その基体の少なくとも一つの表面上に存在する、被覆組成物を適用し、前記被覆組成物を硬化し、次に基体を成形することにより耐摩耗性で成形可能な被覆を含むことができ、前記被覆組成物は、少なくとも一種類のエポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記少なくとも一種類のエポキシ官能性シランが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記エポキシ官能性シランと前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含むことができ、然も、前記組成物は、四官能性シラン、ジシラン、及びアルキルシランを含まない。
【0034】
本発明の態様に従い、耐摩耗性で成形可能な被覆を与えるための方法が提供される。それら方法は、基体に被覆組成物を適用し、その被覆組成物を硬化することを含み、前記被覆組成物は:エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤との加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤がシリル化多官能性無水物を含み、前記エポキシ官能性シラン及び前記ジオール官能性有機ポリシロキサンの前記少なくとも一種類が、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記エポキシ官能性シラン、前記ジオール官能性有機ポリシロキサン、及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含む。一つの例として、本方法は、更に、被覆基体を成形する工程を含む。別の例として、本方法は、更に、基体に下地を適用し、然る後、基体への被覆組成物を前記下地上に適用することを含む。
【0035】
本発明の態様に従い、耐摩耗性で成形可能な被覆を与えるための方法が提供される。それらの方法は、基体に被覆組成物を適用し、その被覆組成物を硬化することを含み、前記被覆組成物は:ジオール官能性有機ポリシロキサン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記ジオール官能性有機ポリシロキサンが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記ジオール官能性有機ポリシロキサン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含む。
【0036】
本発明の態様に従い、耐摩耗性で成形可能な被覆を与えるための方法が提供される。それらの方法は、基体に被覆組成物を適用し、その被覆組成物を硬化することを含み、前記被覆組成物は:エポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記エポキシ官能性シランが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;及び前記エポキシ官能性シラン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含むことができ、然も、前記組成物は、四官能性シラン、ジシラン、及びアルキルシランの少なくとも一種類を、基体上の被覆を堅くするのには不充分な量で含有する。
【0037】
本発明の態様に従い、耐摩耗性で成形可能な被覆を与えるための方法が提供される。それらの方法は、基体に被覆組成物を適用し、その被覆組成物を硬化することを含み、前記被覆組成物は:エポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記エポキシ官能性シランが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記エポキシ官能性シラン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;及び四官能性シラン及びジシランの少なくとも一種類を含むことができ、然も、前記エポキシ官能性シランは、少なくとも約5.5:1の前記四官能性シラン及び前記ジシランの前記少なくとも一種類に対するモル比で存在する。
【0038】
本発明の態様に従い、耐摩耗性で成形可能な被覆を与えるための方法が提供される。それらの方法は、基体に被覆組成物を適用し、その被覆組成物を硬化することを含み、前記被覆組成物は:エポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記エポキシ官能性シランが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記エポキシ官能性シランと前記多官能性架橋剤とを加水分解するのに充分な量の水;及び少なくとも一種類のアルキルシランを含むことができ、然も、前記エポキシ官能性シランは、少なくとも約2.5:1の前記少なくとも一種類のアルキルシランに対するモル比で存在する。
【0039】
本発明の態様に従い、耐摩耗性で成形可能な被覆を与えるための方法が提供される。それらの方法は、基体に被覆組成物を適用し、その被覆組成物を硬化することを含み、前記被覆組成物は:少なくとも一種類のエポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記少なくとも一種類のエポキシ官能性シランが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記エポキシ官能性シラン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含むことができ、然も、前記組成物は、四官能性シラン、ジシラン、及びアルキルシランを含まない。
【0040】
本発明の更に別の態様に従い、基体に適用し硬化すると、前記基体上に透明で着色可能な被覆を与える組成物が提供される。それら組成物は、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤がシリル化多官能性無水物を含み、前記エポキシ官能性シラン及び前記ジオール官能性有機ポリシロキサンの前記少なくとも一種類が、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記エポキシ官能性シラン及び前記ジオール官能性有機ポリシロキサンの前記少なくとも一種類及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含む。或る例として、前記エポキシ官能性シラン及び前記ジオール官能性有機ポリシロキサンの前記少なくとも一種類は、約6:1〜約1:6の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する。別の例として、前記エポキシ官能性シラン及び前記ジオール官能性有機ポリシロキサンの前記少なくとも一種類は、約3:1〜約1:3の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する。更に別の態様として、封鎖済イソシアネートは、被覆組成物の固形分の約1重量%〜約30重量%、又は被覆組成物の固形分の約2重量%〜約15重量%、又は被覆組成物の固形分の約3重量%〜約10重量%を占める。
【0041】
或る例として、封鎖済イソシアネートは、デスモデュール(Desmodur)B1 3175、デスモデュールB1 3272、デスモデュールB1 3370、デスモデュールB1 3475、デスモデュールB1 4265、トリキセン(Trixene)BI 7982、トリキセン7983、トリキセンBI 7984、トリキセンBI 7980、トリキセンBI 7960、及びトリキセンBI 7950の少なくとも一種類から選択される。別の例として封鎖済イソシアネートは、デスモデュールB1 3175を含む。更に別の例として、被覆は、約1.5より大きく、又は約2より大きいバイヤー数(Bayer number)を有する。更に別の例として被覆は少なくとも72時間、又は少なくとも120時間のQUV方法A及びQUV方法Bの試験条件で接着損傷又は亀裂を示さない。或る場合には、水性・有機溶媒混合物の溶媒成分は、組成物の約40〜約98重量%を占める。或る場合には、水性・有機溶媒混合物の溶媒成分は、エーテル、グリコール又はグリコールエーテル、ケトン、エステル、酢酸グリコールエーテル、式ROH(式中、Rは1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基である)を有するアルコール、及びそれらの混合物から選択される。別の例として、水性・有機溶媒混合物の溶媒成分は、式R−(OR−OR(式中、xは、0、1、2、3、又は4であり、Rは水素、又は1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、1〜約10個の炭素原子を有するアルキレン基である)を有する、グリコール、エーテル、グリコールエーテル、及びそれらの組合せから選択される。
【0042】
更に別の例として、組成物は、更に、四官能性シラン、ジシラン、及びアルキルシランの少なくとも一種類を含む。別の例として、組成物は、更に、コロイド状シリカを含む。或る場合として、エポキシ官能性シランは、式RSi(OR4−x〔式中、xは、1、2、又は3の整数であり;Rは、H、1〜約10個の炭素原子を含み、少なくとも一つのエポキシ官能基を有する、アルキル基、官能性化アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルエーテル、及びそれらの組合せであり;Rは、H、1〜約5個の炭素原子を有するアルキル基、アセチル基、−Si(OR3−y基(式中、yは、0、1、2、又は3の整数である)、及びそれらの組合せであり;Rは、H、1〜約5個の炭素原子を有するアルキル基、アセチル基、又は別の−Si(OR3−y基、及びそれらの組合せであり;Rは、H、1〜約10個の炭素原子を含む、アルキル基、官能性化アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルエーテル、及びそれらの組合せである〕により表される。
【0043】
更に別の態様に従い、基体に適用して硬化すると、基体上に透明で着色可能な被覆を与える組成物が提供される。これらの組成物は、ジオール官能性有機ポリシロキサン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記ジオール官能性有機ポリシロキサンが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記ジオール官能性有機ポリシロキサン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;及び封鎖済イソシアネートを含む。或る例として、水性・有機溶媒混合物は、更に、エポキシ官能性シラン及び前記少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を含む。
【0044】
別の態様に従い、物品が与えられる。それら物品は、基体と、その基体の少なくとも一つの表面上に、被覆組成物を硬化することにより形成された着色可能な被覆を含み、前記被覆組成物は、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤がシリル化多官能性無水物を含み、前記エポキシ官能性シラン及び前記ジオール官能性有機ポリシロキサンの前記少なくとも一種類が、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記エポキシ官能性シラン及び前記ジオール官能性有機ポリシロキサンの前記少なくとも一種類及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;及び封鎖済イソシアネートを含む。或る例として、物品は、更に、前記基体と前記被覆との間の基体の少なくとも一つの表面上に配置された少なくとも一つの下地を含む。或る場合には、前記少なくとも一つの下地は、ポリウレタン分散物系下地、又は架橋剤を有するポリウレタン分散物系下地を含む。或る例では、架橋剤は、封鎖済イソシアネート、アジリジン樹脂、エポキシ樹脂、及びメラミン樹脂から選択される。別の例として、ポリウレタン分散物系下地は、更に紫外線吸収剤を含む。或る例では、架橋剤は、ポリウレタン分散物系下地の固形分の約1重量%〜約30重量%を占める。
【0045】
更に別の例として、着色可能な被覆は、約0.2μm〜約20μm、又は約1.5μm〜約10μm、又は約2.5μm〜約7μmの厚さを有する、別の例として、基体は、アクリル重合体、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン・アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ブチラート、及びポリ(ジエチレングリコール−ビス−アリルカーボネート)から選択される。或る場合には、基体はレンズを含む。
【0046】
更に別の態様に従い、物品が与えられる。それら物品は、基体と、その基体の少なくとも一つの表面上に、被覆組成物を硬化することにより形成された着色可能な被覆を含み、前記被覆組成物は、ジオール官能性有機ポリシロキサンと少なくとも一種類の多官能性架橋剤との加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記ジオール官能性有機ポリシロキサンが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記ジオール官能性有機ポリシロキサンと前記多官能性架橋剤とを加水分解するのに充分な量の水;及び封鎖済イソシアネートを含む。或る場合には、被覆組成物は、四官能性シラン及びジシランの少なくとも一種類を含み、前記エポキシ官能性シランは、少なくとも約5.5:1の前記四官能性シラン及び前記ジシランの前記少なくとも一種類に対するモル比で存在する。
【0047】
更に別の態様に従い、物品が与えられる。それら物品は、基体と、その基体の少なくとも一つの表面上に配置された下地、及び前記下地の少なくとも一部分の上に被覆組成物を硬化することにより形成された着色可能な被覆を含み、前記被覆組成物は、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤がシリル化多官能性無水物を含み、前記エポキシ官能性シラン及び前記ジオール官能性有機ポリシロキサンの前記少なくとも一種類が、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;及び前記エポキシ官能性シラン及び前記ジオール官能性有機ポリシロキサンの前記少なくとも一種類及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含み、前記下地は、架橋剤を有するポリウレタン分散物系下地を含む。或る例として着色可能な被覆は、少なくとも72時間のQUV方法A及びQUV方法Bの試験条件で接着損傷又は亀裂を示さない。
【0048】
更に別の態様に従い、物品が与えられる。それら物品は、基体と、その基体の少なくとも一つの表面上に配置された下地、及び前記下地の少なくとも一部分の上に被覆組成物を硬化することにより形成された着色可能な被覆を含み、前記被覆組成物は:ジオール官能性有機ポリシロキサン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記ジオール官能性有機ポリシロキサンが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記ジオール官能性有機ポリシロキサン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含み、前記下地は架橋剤を有するポリウレタン分散物系下地を含む。
【0049】
別の態様に従い、基体の少なくとも一つの表面上に被覆された透明で着色可能な耐摩耗性被覆を着色する方法が与えられる。その方法は、基体の少なくとも一つの表面を、硬化により透明で着色可能な耐摩耗性被覆を形成する被覆組成物で:エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤がシリル化多官能性無水物を含み、前記エポキシ官能性シラン及び前記ジオール官能性有機ポリシロキサンの前記少なくとも一種類が、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;及び前記エポキシ官能性シラン及び前記ジオール官能性有機ポリシロキサンの前記少なくとも一種類及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含む被覆組成物と接触させること、前記基体上の前記被覆組成物を硬化して透明で着色可能な耐摩耗性硬化被覆を形成すること、及び前記基体の前記被覆表面を染料浴中に前記硬化被覆が希望の量の染料を吸収するか又は基体へ移すのに充分な時間浸漬することにより前記硬化被覆を着色すること、を含む。
【0050】
或る例として、被覆組成物は、更に、封鎖済イソシアネートを含む。別の例として、それら方法は、更に、基体に下地を適用し、然る後、被覆組成物を基体の下地上に適用することを含む。更に別の例として、下地は、ポリウレタン分散物系下地、又は架橋剤を有するポリウレタン分散物系下地を含む。
【0051】
更に別の態様に従い、基体の少なくとも一つの表面上に被覆された透明で着色可能な耐摩耗性被覆を着色する方法が与えられる。それらの方法は、基体の少なくとも一つの表面を、硬化すると透明で着色可能な耐摩耗性被覆を形成する被覆組成物で:ジオール官能性有機ポリシロキサン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択され、前記ジオール官能性有機ポリシロキサンが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;前記ジオール官能性有機ポリシロキサン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;を含む被覆組成物と接触させ;前記基体上の前記被覆組成物を硬化して透明で着色可能な耐摩耗性硬化被覆を形成すること、及び前記基体の前記被覆表面を染料浴中に前記硬化被覆が希望の量の染料を吸収するか又は基体へ移すのに充分な時間浸漬することにより前記硬化被覆を着色すること、を含む。
【0052】
本発明の態様の詳細な記述
本発明を、次に本発明の特定の態様を時々参照して記述する。しかし、本発明は、異なった形態で具体化することができ、ここに記載した態様に限定されるものと考えるべきではない。むしろ、これらの態様は、この開示が用意周到で完全であるように与えられている。
【0053】
別に定義しない限り、ここで用いた技術的及び科学的用語は、全て、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。本発明の説明でここに用いた用語は、特別な態様を記載するためだけのものであり、本発明を限定するものではない。本発明及び添付の特許請求の範囲の記載で用いられているような単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が別のことを明確に示していない限り、複数形も同様に含むものとする。ここで言及する全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参考のため全体的にここに入れてある。
【0054】
別に明白に指示しない限り、記述及び特許請求の範囲で用いられているような、成分の量、分子量のような性質、反応条件、等を表す全ての数は、用語「約」によって全ての場合に修正されるものと理解すべきである。従って、別に指示しない限り、次の説明及び特許請求の範囲に記載された数字上の性質はおおよそのものであり、本発明の態様で得るように求められる希望の性質により変化させることができる。本発明の広い範囲を記載する数字上の範囲及びパラメーターはおおよそのものであるにも拘わらず、特定の実施例に記載した数値は、できるだけ正確なものして報告されている。しかし、夫々の測定値で見出される誤差により必然的に生ずるある誤差を本来含むものである。
【0055】
本発明は、種々の基体に適用し硬化すると、耐摩耗性の成形可能な被覆を形成する安定な被覆組成物に関する。本発明を定義し、記述する目的から用語「安定」とは、特定の用途に適する或る長さの時間使用することができる被覆組成物を指すものとして理解されるであろう。更に、本発明は、被覆した物品、成形した被覆物品、及び被覆物品を成形する方法に関する。被覆された物品は、どのような適当なやり方でも成形することができる。例えば、被覆物品は熱成形することができる。「熱成形」は、熱可塑性シートを軟化するまで加熱し、次にその軟化したシートを型成形、ジグ成形、又は真空成形のようないずれか適当な手順を用いて希望の形に成形することにより熱可塑性シートを成形する方法を記載する、プラスチック分野でよく知られた用語である。
【0056】
別の態様として、本発明は、実質的に透明な被覆組成物を上に有する基体に着色性を与える着色可能な被覆組成物、着色可能な被覆組成物と同様、そのような被覆基体を着色する方法、及びそのような被覆組成物で被覆した物品に関する。特に、本発明は、眼科工業及び他の着色可能な被覆又は基体工業で用いられる基体への良好な接着性、良好な耐摩耗性、及びレンズに適用し、硬化した時の着色性/染色性を有する実質的に透明な被覆組成物を与える。
【0057】
本発明の態様に従い、耐摩耗性で成形可能な被覆を形成する安定な被覆組成物が与えられる。その被覆組成物は硬化すると、基体上に透明な被覆を形成する。被覆組成物は、少なくとも一種類のエポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類のジオール官能性有機ポリシロキサン、又はそれらの組合せ、及び基体上に硬化した有機ポリシロキサン被覆を形成するための少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物を含む。前記エポキシ官能性シラン及び前記ジオール官能性有機ポリシロキサンの前記少なくとも一種類は、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する。一つの例として、前記エポキシ官能性シラン及び前記ジオール官能性有機ポリシロキサンの前記少なくとも一種類は、約2:1〜約1:2の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在することができる。
【0058】
一つの例として、多官能性架橋剤は、多官能性カルボン酸、多官能性無水物、シリル化多官能性カルボン酸、シリル化多官能性無水物、及びそれらの組合せから選択される。別の例として、多官能性架橋剤は、少なくとも一種類のシリル化多官能性無水物、又は少なくとも一種類のシリル化多官能性カルボン酸である。被覆組成物は、前記エポキシ官能性シラン及び前記ジオール官能性有機ポリシロキサンの前記少なくとも一種類及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水も含む。
【0059】
水性・有機溶媒混合物の溶媒成分は、どのような適当な量で存在していてもよい。例えば、水性・有機溶媒混合物の溶媒成分は、被覆組成物の約40〜約98重量%を占める。別の例として、水性・有機溶媒混合物の溶媒成分は、被覆組成物の約65〜約95重量%を占める。水性・有機溶媒混合物の溶媒成分の少なくとも一部分は、被覆組成物の反応の加水分解副生成物として形成することができることは当業者には分かるであろう。エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類は、どのような適当な量で存在していてもよい。例えば、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサン少なくとも一種類は、組成物の全固形分の約5〜約93重量%を占める。別の例として、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類は、被覆組成物の全固形分の約30〜約70重量%を占める。多官能性架橋剤はどのような適当な量で存在していてもよい。一つの例として多官能性架橋剤は、組成物の全固形分の約7〜約95重量%を占める。別の例として、多官能性架橋剤は、組成物の全固形分の約30〜約70重量%を占める。
【0060】
本発明の別の態様として、被覆組成物は、エポキシ官能性ではない、四官能性シラン、ジシラン、又は他のアルキルシランを含んでいてもよい。しかし、四官能性シラン、ジシラン、及び他のアルキルシランは、硬化被覆を堅くするのには不充分な量で存在する。本発明を定義し、記述する目的から、用語「堅い」とは、ここで定義する成形可能ではない被覆を指すものとして理解されるであろう。一つの例として、被覆組成物は、少なくとも約5.5:1の少なくとも一種類のエポキシ官能性シラン対四官能性シランのモル比を有する。更に別の例として、被覆組成物は、少なくとも約5.5:1の少なくとも一種類のエポキシ官能性シラン対ジシランのモル比を有する。別の例として、被覆組成物は、少なくとも約2.5:1の少なくとも一種類のエポキシ官能性シラン対アルキルシランのモル比を有する。本発明の被覆組成物中に配合され、エポキシ官能性ではない、四官能性シラン、ジシラン、及び他のアルキルシランの量は広く変えることができ、一般に、被覆組成物の希望の安定性と同様、被覆組成物から製造される硬化被覆の希望の性質に依存するであろう。エポキシ官能性ではない四官能性シラン、ジシラン、及びアルキルシランは、硬化被覆の耐摩耗性、化学的耐久性、及び光学的性質を改良することができる。本発明の別の態様として、被覆組成物は、曇り防止成分、レベリング剤、触媒、等のような他の添加剤を含んでいてもよく、ここで更に記述する通りである。
【0061】
被覆基体の耐摩耗性を試験するため、テーバー試験(Taber Test)(ASTM D−4060)、タンブル試験(Tumble Test)、及び振動砂試験(Oscillating Sand Test)(ASTM F735−81)を含めた数多くの定量試験方法のいずれでも用いることができる。更に、鋼ウール試験及びイレイザー試験(Eraser Test)を含めた耐摩耗性を測定するために用いることができる数多くの訂正的試験方法が存在する。鋼ウール試験及びイレイザー試験では、試料の被覆基体を再現可能な条件(一定荷重、周波数、等)で擦る。擦られた試験試料を、次に比較し、標準試料に対して格付けする。これらの試験方法の半定量的適用には、分光光度計又は熱量計のような装置を、曇り増加率として被覆基体上の擦り傷を測定するために使用することが含まれる。
【0062】
テーバー試験、鋼ウール試験、イレイザー試験、タンブル試験、バイヤー試験、等により測定されていてもいなくても、基体上の硬化被覆の測定される摩耗抵抗は、一つには硬化温度、硬化時間、被覆の厚さ、及び基体の関数である。一般に、温度が高く、硬化時間が長い程、測定耐摩耗性は大きくなる結果になる。通常。硬化温度及び硬化時間は、基体と両立するように選択される。しかし、時々、方法及び/又は設備の制約のため、最適よりも低い硬化温度及び短い硬化時間が用いられる。被覆厚さ及び基体の性質のような他の変数も、測定される耐摩耗性に影響を与えるであろうことは当業者によって認められるであろう。一般に、夫々の種類の基体及び夫々の被覆組成物について最適の被覆厚さが存在するであろう。最適硬化温度、硬化時間、被覆厚さ、等は、当業者により経験的に容易に決定することができる。
【0063】
テーバー摩耗抵抗は、テレダイン(Teledyne)5150型テーバー摩耗機〔ニューヨーク州ノース・トナワンダのテーバー・インダストリーズ(Taber Industries)〕を用いて、500gの補助荷重及びCS−10F回転板(ニューヨーク州、ノース・トナワンダのテーバー・インダストリーズ)を用いて行われる。測定前に、回転板をST−11面修正石(ニューヨーク州、ノース・トナワンダのテーバー・インダストリーズ)を用いて表面を新しくする。表面の修正は、面修正石の上でCS−10F回転板を25回転することにより行われる。試料の初期曇りを、テーバー摩耗保持機〔メリーランド州コロンビアのBYKガードナー(BYK-Gardner)〕を具えたヘイズ・ガード・プラス(Haze-gard Plus)(メリーランド州コロンビアのBYKガードナー)で4回記録する。試料上でCS−10F回転板を50回転した後、曇りを、テーバー摩耗保持機(メリーランド州コロンビアのBYKガードナー)を具えたヘイズ・ガード・プラス(メリーランド州コロンビアのBYKガードナー)で再び4回記録する。次に、平均曇りを、初期曇り読み、及び少なくとも2003年7月位に早く入手された新しいCS−10F回転板を用いて50サイクル後の曇り読み、及び200サイクル後の読みについて決定した。50及び200サイクルでの平均曇りの読みと、初期曇りの読みとの差を記録する。
【0064】
テーバー法は、耐摩耗性を測定するための半定量的方法であると考えられる。この方法の精度及び正確さは、CS−10F試験回転板の条件を含めた数多くの因子に依存する。CS−10F試験回転板の条件の変化は、耐摩耗性試験の結果に大きな影響を与えることがある。例えば、テーバー・インダストリーズにより最近行われたCS−10F回転板の組成の変化は、標準試料での曇り増加を100及び500サイクルで、夫々1%の曇り及び5%の曇り(1%/5%として報告する)から、夫々7%及び25%へ変化させた。ここで行われた全ての試験に亙って、全ての試料を新しいCS−10Fテーバー回転板の同じセットを用いて試験した。本発明の態様に従い、被覆は、50サイクルで、約30%未満、約10%未満、又は約5%未満のテーバー数を持つことができる。本発明の別の態様に従い、被覆は、50サイクルで約2%未満のテーバー数を持つことができる。別の例では、被覆は、200サイクルで、約45%未満、約30%未満、又は約15%未満のテーバー数を持つことができる。
【0065】
被覆の成形性は、次のやり方で試験することができる。ガラス板を有する炉を165℃に予熱する。そのガラス板の上に2″×7″被覆1/4″レキサン(Lexan)ポリカーボネート〔カリフォルニア州サンタフェスプリングスのリーガル・プラスティクス(Regal Plastics)の1/4″レキサンPC〕試験試料を平らに置き、165℃で18分間加熱する。被覆の厚さは、約1〜20μ又は約2〜10μにすることができる。試料を炉から取り外し、直ちに円筒状マンドレル上に置く。試料の成形性は、その被覆の亀裂形成、薄片化又は剥離が観察されなかった場合のマンドレルの最小半径を決定することにより格付けする。本発明を記述し、定義する目的から、用語「成形可能」及び「成形性」は、上の手順に従い、約10inより小さい半径で曲げることができる硬化被覆を指すものとして理解されるであろう。一つの例として、硬化被覆は、上記手順に従い、被覆の亀裂又は細かいひび割れを起こすことなく約3〜約5inの半径で曲げることができる。
【0066】
水性・有機溶媒混合物中に水が存在することは、その混合物のシラン成分の加水分解生成物を形成するのに必要である。実際の水の量は広く変えることができる。被覆組成物のシラン成分と他の添加成分との部分的縮合物及び加水分解生成物の適切に均一な被覆混合物を与えるのに充分な水が必要である。この水の量は経験的に決定することができることは当業者によって認められるであろう。
【0067】
本発明の被覆組成物の水性・有機溶媒混合物の溶媒成分は、被覆組成物の成分と相容性のあるどのような溶媒又は溶媒の組合せにでもすることができ、それらには、エポキシ官能性シラン、ジオール官能性有機ポリシロキサン、エポキシ官能性ではないシラン、四官能性シラン、ジシラン、及び多官能性架橋剤、又はそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。例えば、水性・有機溶媒混合物の溶媒成分は、水、アルコール、エーテル、グリコール又はグリコールエーテル、ケトン、エステル、酢酸グリコールエーテル、及びそれらの組合せでもよい。適当なアルコールは、式ROH(式中、Rは、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基である)により表すことができる。本発明の用途において有用なアルコールの幾つかの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二級ブタノール、第三級ブタノール、シクロヘキサノール、ペンタノール、オクタノール、デカノール、及びそれらの混合物である。
【0068】
適切なグリコール、エーテル、グリコールエーテルは、式R−(OR−OR(式中、xは、0、1、2、3、又は4であり、Rは水素、又は1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、1〜約10個の炭素原子を有するアルキレン基及びそれらの組合せである)によって表すことができる。
【0069】
上記定義した式を有するグリコール、エーテル、及びグリコールエーテルの例には、ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、及びそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。上述のものの外に、テトラヒドロフラン及びジオキサンのような環式エーテルも水性・有機溶媒混合物に適したエーテルである。
【0070】
水性・有機溶媒混合物に適したケトンの例には、アセトン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、及びそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。水性・有機溶媒混合物のために適したエステルの例には、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、及びそれらの組合せが含まれるがそれらに限定されるものではない。水性・有機溶媒混合物のために適した酢酸グリコールエーテルの例には、酢酸プロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチレングリコールエチルエーテル、及びそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0071】
本発明の被覆組成物には、どのような適当なエポキシ官能性シラン、加水分解されたエポキシ官能性シランからのジオール官能性有機ポリシロキサン、又はそれらの組合せでも用いることができる。例えば、エポキシ官能性シラン又はジオール官能性有機ポリシロキサンは、多官能性カルボン酸と相容性のあるどのようなエポキシ官能性シラン又はジオール官能性有機ポリシロキサンにでもすることができる。例えば、そのようなエポキシ官能性シランは、式RSi(OR4−x〔式中、xは、1、2、又は3の整数であり;Rは、H、1〜約10個の炭素原子を含み、少なくとも一つのエポキシ官能基を有する、アルキル基、官能性化アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルエーテル、及びそれらの組合せであり;Rは、H、1〜約5個の炭素原子を有するアルキル基、アセチル基、−Si(OR3−y基(式中、yは、0、1、2、又は3の整数である)、及びそれらの組合せであり;Rは、H、1〜約5個の炭素原子を有するアルキル基、アセチル基、又は別の−Si(OR3−y基、及びそれらの組合せであり;Rは、H、1〜約10個の炭素原子を含み、エポキシ官能基を含んでいてもよいアルキル基、官能性化アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルエーテル、及びそれらの組合せである〕により表される。
【0072】
別の例として、ジオール官能性有機ポリシロキサンは、エポキシ官能性シランと水との開環反応の生成物である。開環反応は、アルコキシ基の加水分解及び縮合により達成される。そのような開環反応は、次のように図示される:
【0073】
【化1】

【0074】
(式中、Rはどのような適当な基でもよい)。別の例では、ジオール官能性有機ポリシロキサンの商業的生産物、HS2926は、デガッサ社(DEGUSSA Corp.)(ニュージャージー州ピスカタウエイ)から得ることができる。HS2926は、「製造されたまま」、更に精製することなく、用いることができる。ジオール官能性有機ポリシロキサンは、エポキシ官能性シランと、酸でpH3に調節した過剰の水とを混合し、数時間還流することにより製造することができる。アルコキシシラン基の加水分解中に形成されたアルコールは、蒸留により除去することができる。
【0075】
適当なエポキシ官能性シランの例には、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリヒドロキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルヒドロキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、1,3−ビス(グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(グリシドキシプロピル)テトラメトキシジシロキサン、
1,3−ビス(グリシドキシプロピル)−1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシジシロキサン、
2,3−エポキシプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシブチルトリメトキシシラン、6,7−エポキシヘプチルトリメトキシシラン、9,10−エポキシデシルトリメトキシシラン、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピル)テトラメトキシジシロキサン、1,3−ビス(6,7−エポキシ−ヘプチル)テトラメトキシジシロキサン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、等、
が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0076】
どのような適当な多官能性架橋剤でも、或は多官能性架橋剤の組合せでも本発明で用いることができる。多官能性架橋剤は、多官能性カルボン酸、多官能性無水物、シリル化多官能性無水物、シリル化多官能性カルボン酸、及びそれらの組合せで、エポキシ官能性シラン、ジオール官能性有機ポリシロキサン、又は被覆組成物の他の成分と相容性のあるどのようなものにでもすることができる。シリル化多官能性無水物及びカルボン酸は、−Si(OR′)基を有し、それはエポキシ官能性シラン、ジオール官能性有機ポリシロキサン、四官能性シラン、ジシラン、及びアルキルシランの加水分解生成物及び部分的縮合物と相互作用することができる。
【0077】
多官能性架橋剤には、多官能性カルボン酸のみならず、多官能性カルボン酸を生ずる無水物が含まれるが、それらに限定されるものではない。カルボン酸官能性化合物は、式、R(COOR(式中、xは1、2、3、又は4の整数であり、Rは、H、アルキル基、官能性化アルキル基、アルキレン基、アリール基、官能性化アリール基、アルキルエーテル、及びそれらの組合せからなる群から選択され、然も、アルキル基、アルキレン基、アリール基、官能性化アリール基、及びアルキルエーテルの各々は、1〜約10個の炭素原子を有することを更に特徴とし、Rは、H、ホルミル基、カルボニル基、アシル基で、アルキル基で官能性化されていてもよいアシル基、官能性化アルキル基、アルキレン基、アリール基、官能性化アリール基、アルキルエーテル、及びそれらの組合せからなる群から選択され、然も、アルキル基、官能性化アルキル基、アルキレン基、アリール基、官能性化アリール基、及びアルキルエーテルの各々は、1〜約10個の炭素原子を有することを更に特徴とする)により表すことができる。
【0078】
本発明の被覆組成物を製造するのに用いることができる多官能性カルボン酸の例には、リンゴ酸、アコニット酸(シス、トランス)、イタコン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキシルコハク酸、1,3,5ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5ベンゼンテトラカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,1−シクロヘキサンジ酢酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,1−シクロヘキサンジ酢酸、1,3−シクロヘキサンジ酢酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、及び不飽和二塩基酸、例えば、フマール酸及びマレイン酸、及びそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0079】
本発明の被覆組成物で用いることができる多官能性無水物の例には、上で言及したカルボン酸の無水物、例えば、上で言及した二塩基酸、例えば、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸、無水トリメリト酸、無水ピロメリト酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、及びそれらの混合物の環式無水物が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0080】
多官能性架橋剤には、−Si(OR)基を含むカルボン酸又は無水物が含まれるが、それらに限定されるものではない。そのような物質の一例は、無水3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸である。
【0081】
場合により、被覆組成物の多官能性架橋剤の外に、ここに記載するシラン化合物の加水分解のための加水分解共触媒として、例えば、塩酸又は硝酸のような無機酸を用いることができる。
【0082】
適当な四官能性シラン、又は四官能性シランの組合せを、被覆を堅くするのには不充分な量で本発明で用いることができる。例えば、四官能性シランは、式、Si(OR)〔式中、Rは、H、1〜約5個の炭素原子を有するアルキル基、及びそのエーテル、−Si(OR10)基(式中、R10は、H、1〜約5個の炭素原子を有するアルキル基、及びそのエーテルであり)、又は別の−Si(OR10)基、及びそれらの組合せ〕を持つことができる。式、Si(OR)により表される四官能性シランの例は、オルト珪酸テトラメチル、オルト珪酸テトラエチル、オルト珪酸テトラプロピル、オルト珪酸テトライソプロピル、オルト珪酸テトラブチル、オルト珪酸テトライソブチル、テトラキス(メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシプロポキシ)シラン、テトラキス(エトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、トリメトキシエトキシ−シラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリエトキシメトキシシラン、ポリ(ジメトキシシロキサン)、ポリ(ジエトキシシロキサン)、ポリ(ジメトキシ−ジエトキシシロキサン)、テトラキス(トリメトキシシロキシ)シラン、テトラキス(トリエトキシシロキシ)シラン、等である。四官能性シランについて上に記載したR及びR10置換基の外に、酸素と共に取られるR及びR10、(OR)及び(OR10)は、カルボン酸基にすることができる。カルボキシレート官能性を有する四官能性シランの例は、テトラ酢酸珪素、テトラプロピオン酸珪素、及びテトラ酪酸珪素である。
【0083】
組成物は、被覆を堅くするのには不充分な量で適当なジシランを含むことができる。例えば、ジシランは、式、(R11O)123−xSi−R13−SiR143−x(OR15)〔式中、xは、0、1、2、又は3であり、yは、0又は1であり;R12及びR14は、H、約1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基、多官能性化アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルポリエーテル基、及びそれらの組合せであり;R11及びR15は、H、約1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基、アセチル基、及びそれらの組合せである〕により表すことができる。もしyが1であるならば、R13は、約1〜約12個の炭素原子を有するアルキレン基、約1〜約12個の炭素原子を有するアルキレンポリエーテル、アリール基、アルキレン置換アリール基、一つ又はそれ以上のオレフィン、S、又はOを含んでいてもよいアルキレン基にすることができる。もしxが0ならば、R12及びR14はCl又はBrである。もしyが0ならば、直接珪素・珪素結合が存在する。そのようなジシランの例には、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリクロロシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)エタン、ヘキサエトキシジシロキサン、及びヘキサエトキシジシランが含まれるが、それらに限定されるものではない。ジシランの選択のみならず、被覆組成物中に配合されるそのようなジシランの量は、被覆組成物又は硬化被覆組成物に付与されるか、又は増大すべき特定の性質に依存するであろう。
【0084】
組成物は、被覆を堅くするのには不充分な量で他の適当なアルキルシラン(即ち、三官能性シラン、二官能性シラン、一官能性シラン、及びそれらの混合物で、今後シラン添加剤として言及する)を含むことができる。本発明の被覆組成物中に配合することができるアルキルシラン添加剤は、式、R16Si(OR17)4−x(式中、xは、1、2、又は3の数であり;R16は、H、約1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基、官能性化アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルコキシポリエーテル基、及びそれらの組合せであり;R17は、H、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基、アセチル基、及びそれらの組合せである)を有することができる。上に定義した式により表されるシラン添加剤の例は、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、2−(3−シクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−シアノプロピル−トリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−イソシアノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、4−(2−アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、2−クロロ−エチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、シクロヘキシル−トリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、2−(3−シクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルアミドプロピルトリエトキシシラン、3−メトキシプロピルトリメトキシシラン、3−エトキシプロピルトリメトキシシラン、3−プロポキシプロピルトリメトキシシラン、3−メトキシエチルトリメトキシシラン、3−エトキシエチルトリメトキシシラン、3−プロポキシエチルトリメトキシシランである。シラン添加剤の選択のみならず、被覆組成物中に配合されるそのようなシラン添加剤の量は、被覆組成物又は硬化被覆組成物に付与されるか、又は増大すべき特定の性質に依存するであろう。
【0085】
或る用途では、硬化被覆を堅くするのには不充分な量でコロイド状シリカを被覆組成物に添加することが有用になることがある。コロイド状シリカは、多くの異なった(商標名)の名称で市販されており、それらには、ナルコ(Nalco)〔イリノイ州ネイパービルのナルコ・ケミカル社(Nalco Chemical Co.)〕;ナイヤコル(Nyacol)〔マサチューセッツ州アシュランドのナイヤコル・プロダクツ社(Nyacol Products Inc.)〕;スノーテックス(Snowtex)〔東京、(株)日産化学工業〕;ルドックス(Ludox)〔デラウエア州ウイルミントンのデュポン社(DuPont Company)〕;及びハイリンク(Highlink)OG〔ノースカロライナ州シーロットのクラリアント(Clariant)〕が含まれる。コロイド状シリカは、粒状シリカの水性又は有機溶媒分散物であり、種々の製品が、粒径、シリカ濃度、pH、安定化用イオンの存在、補充溶媒、等により基本的に異なっている。異なったコロイド状シリカの選択により、実質的に異なった生成物の性質が得られることは当業者によって理解される。
【0086】
コロイド状シリカは、被覆組成物に添加した場合、反応性材料と考えられる。シリカの表面は珪素結合ヒドロキシルで覆われており、その或るものは脱プロトン化されており、被覆組成物中の材料と相互作用することができる。これらの相互作用の程度は、溶媒系、pH、濃度、及びイオン強度を含めた種々の因子によって指定される。更に製造方法がこれらの相互作用に影響を与える。当業者は、被覆配合物中にコロイド状シリカを異なった仕方で添加すると異なった結果になることがあることを認識している。コロイド状シリカは、被覆組成物にどのような適当な時間で添加してもよい。
【0087】
本発明の被覆組成物にコロイド状シリカを添加すると、硬化被覆組成物の耐摩耗性を更に向上させることができ、被覆組成物の全安定性に更に寄与することができる。同じやり方で、他の金属酸化物を本発明の被覆組成物に添加してもよい。そのような添加は、コロイド状シリカを添加する代わりに、又はそれに加えて行うことができる。金属酸化物は本発明の被覆に添加して、耐摩耗性、屈折率、静電防止性、反射防止性、耐候性、等のような硬化被覆の特別な性質を与えるか、又は向上させることができる。本発明の組成物にコロイド状シリカを含有させるのと同じ種類の理由を、金属酸化物を含有させることに一層一般的に当てはめられることを当業者は認識している。本発明の被覆組成物に用いることができる金属酸化物の例には、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、酸化錫、及びそれらの組合せが含まれる。
【0088】
本発明の被覆組成物に配合されるコロイド状シリカの量は、被覆組成物に望ましい安定性と同様、被覆組成物から形成される硬化被覆の希望の性質に一般的に依存するであろう。同様に、本発明の被覆組成物中に配合される金属酸化物の量は、被覆組成物に望ましい安定性と同様、被覆組成物から形成される硬化被覆の希望の性質に一般的に依存するであろう。コロイド状シリカ及び/又は金属酸化物は、一般に直径が2〜150mμの範囲の粒径、一層望ましくは約2〜50mμの範囲の粒径を有するであろう。
【0089】
触媒は本発明に必須の成分ではないが、被覆の耐摩耗性、及び被覆の安定性、多孔性、化粧性、耐腐食性(caustic resistance)、耐水性、等を含めた他の性質に影響を与えることができる。触媒の使用量を広く変えることができるが、存在する場合、一般に被覆組成物の全固形分に基づき、約0.1〜約10重量%を与えるのに充分な量で存在するであろう。
【0090】
本発明の被覆組成物中に配合することができる触媒の例には、(i)金属アセチルアセトネート(ii)ジアミド、(iii)イミダゾール、(iv)アミン及びアンモニウム塩、(v)有機スルホン酸及びそれらのアミン塩、(vi)カルボン酸のアルカリ金属塩、(vii)アルカリ金属水酸化物、及び(viii)フッ化物塩が含まれるが、それらに限定されるものではない。例えば、そのような触媒の例には、群(i)については、アルミニウム、亜鉛、鉄、及びコバルトのアセチルアセトネート;群(ii)については、ジシアンジアミド;群(iii)については、2−メチルイミダゾール;2−エチル−4−メチルイミダゾール、及び1−シアノエチル−2−プロピルイミダゾールのような化合物;群(iv)については、ベンジルジメチルアミン、及び1,2−ジアミノシクロヘキサンのような化合物;群(v)については、トリフルオロメタンスルホン酸のような化合物;群(vi)については、酢酸ナトリウムのような化合物;群(vii)については、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムのような化合物;及び群(viii)については、フッ化テトラn−ブチルアンモニウムのような化合物;等が含まれる。
【0091】
効果的な量のレベリング又は流動調節剤は、組成物中に配合し、基体の表面上に組成物を一層均一に又は平坦に広げ、基体との実質的に均一な接触を与えることができる。レベリング又は流動調節剤の量は広く変えることができるが、約10〜約5,000ppmのレベリング又は流動調節剤を被覆組成物に与えるのに充分な量にすることができる。被覆組成物及び基体と両立することができ、基体上の被覆組成物を平滑にすることができ、被覆組成物と基体との間の濡れをよくするどのような慣用的市販のレベリング又は流動調節剤でも用いることができる。レベリング及び流動調節剤を使用することは当分野でよく知られており、「被覆添加剤便覧」(Handbook of Coating Additives)〔レオナルドJ.カルボ(Leonard J. Calbo)編集、マーセルデッカー(Marcel Dekker)出版〕、第119頁〜第145頁(この全内容をここでは明白に参考のため全体的にここに入れてある)に記載されている。
【0092】
本発明の被覆組成物中に配合することができるそのようなレベリング又は流動調節剤の例には、ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)からのトリトン(TRITON)X−100、X−405、及びN−57のような有機ポリエーテル、ダウ・コーニング(Dow Cornig)からのペイント添加剤(Paint Additive)3、ペイント添加剤29、及びペイント添加剤57、OSiスペシャルティーズ(OSi Specialties)からのシルウェット(SILWET)L−77及びシルウェットL−7600のようなシリコーン、及び3M社(3M Corporation)からのフルオラド(FLUORAD)FC4430のようなフルオロ表面活性剤が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0093】
更に、被覆組成物、又は被覆組成物を硬化することにより形成された被覆の有用性を向上させるため、本発明の被覆組成物に他の添加剤を添加することができる。例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、等を、もし望むならば、本発明の被覆組成物中に配合することができる。
【0094】
一つの態様として、被覆組成物に紫外線安定化剤を添加することができる。どのような適当な紫外線安定化剤及びラジカル除去剤でも、光による劣化効果から基体を保護するのに効果的な濃度で本発明に用いることができる。これらの添加剤を使用することは、「被覆添加剤便覧」〔レオナルドJ.カルボ編集、マーセルデッカー出版〕、第225頁〜第269頁に記載されている。別のの態様として、紫外線安定化剤を下地組成物に添加してもよい。
【0095】
別の態様として、表面活性剤又は表面活性剤混合物を被覆組成物に含有させ、被覆物品に曇り防止性を与えることができる。表面活性剤を含有させることは、乾燥した被覆の表面に大きな界面張力(wetting tension)を与える結果になり、その大きな界面張力は小さな液滴、即ち、霧が被覆表面上に形成されるのを防ぐ。表面活性剤は、更に水滴に一層濡れにくくし、曇りのない奇麗な表面を維持し易くする。適当な表面活性剤の例には、ニュージャージー州ウエストパターソンのサイテック・インダストリーズ社(Cytec Industries Inc.)からのエアロゾル(Aerosol)OT75として入手できるジオクチルスルホスクシネートである。表面活性剤成分は、被覆組成物の約0.4〜15重量%で存在させることができる。一層大きなレベルで用いることができるが、それは濁りを増大させる結果になることがあり、多くの用途で望ましくないことがある。被覆の曇り防止効果は、表面に硬化被覆を有する物品を20℃で保存し、次にその被覆物品を60℃の飽和水蒸気にかけることにより測定することができる。もし被覆物品が10秒後に奇麗になり、少なくとも1分間奇麗なままになっているならば、その被覆は曇り防止性になっている。
【0096】
被覆組成物はどのようなやり方でも製造してもよい。例えば、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機シロキサンの少なくとも一種類及び多官能性架橋剤を溶媒及び水に添加し、室温で一晩反応させることができる。レベリング剤のような付加的添加剤を、次に添加してもよい。被覆組成物は基体に適用し、硬化して被覆を形成することができる。
【0097】
本発明の態様に従い、物品を与えることができる。その物品は、基体と、その基体の少なくとも一つの表面上に、本発明の被覆組成物を硬化することにより形成した被覆を含むことができる。本発明の被覆組成物でどのような基体でも被覆することができる。例えば、プラスチック材料、木材、金属、プリント表面、及び皮革を被覆することができる。本組成物は、シート状又はフイルム状の合成有機重合体基体、例えば、アクリル重合体、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン・アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ブチレート、等のための被覆として特に有用である。これらの組成物で被覆した透明重合体材料は、窓、明かり取り窓、及び風防ガラスのような平坦又は湾曲した囲い、特に運搬用車両のためのものとして有用である。アクリル、ポリ(ジエチレングリコール−ビス−アリルカーボネート)(ADC)又はポリカーボネートレンズのようなプラスチックレンズも本発明の組成物で被覆することができる。
【0098】
被覆組成物は、どのような適当なやり方で基体に被覆してもよい。例えば、本発明の組成物を、流動被覆、噴霧被覆、カーテン被覆、浸漬被覆、回転被覆、ロール被覆、等のような慣用的方法により固体基体に適用し、連続的表面フイルムを形成することができる。
【0099】
適当な被覆組成物、適用条件、及び基体の前処理(下地の使用を含む)を選択することにより、本発明の被覆組成物を実質的に全ての固体表面に接着することができる。本発明の被覆組成物を固体基体に適用した後、被覆を適当な時間適当な温度で熱硬化することができる。例えば、被覆は50〜200℃以上の範囲の温度で数秒から18時間以上の時間加熱硬化することができる。被覆はどのような他の適当なやり方でも硬化することができることは分かるであろう。例えば、陽イオン性硬化を開始することができる紫外線活性化光開始剤を添加し、紫外線により少なくとも部分的に被覆を硬化することができるようにすることができる。それら被覆を加熱硬化のような別の方法により後で硬化することができることは分かるであろう。適当な光開始剤を用いることができる。例えば、ニューヨーク州テリータウンのチバ・スペシャルティー・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemical Corp.)から入手できる芳香族オニウム塩又は鉄アレン塩錯体を用いることができる。
【0100】
被覆の厚さは特別な適用技術により変化させることができるが、約0.5〜20μ、又は約1〜約10μの厚さを有する被覆を用いることができる。被覆は実質的に透明にすることができることは分かるであろう。
【0101】
本発明の一つの態様に従い、被覆組成物は、上に下地を配置した基体に適用してもよい。どのような適当な下地でも用いることができる。例えば、ポリウレタン分散系下地を用いることができる。そのような適当な下地の一例は、米国特許第5,316,791号明細書(その全内容は参考のためここに明白に入れてある)に詳細に記載されている。そのような適当な下地の例は、カリフォルニア州アナハイムのSDCテクノロジーズ社(SDC Technolgies, Inc.)から入手できるPR1180である。別の例として、下地は紫外線吸収性物質及び/又はラジカル除去剤で、被覆基体の耐候性を増大するために変性することができる。下地は基体に適用し、空気又は熱により乾燥し、例えば、約2時間未満空気乾燥し、次にその被覆組成物を適用し、硬化することができ、然る後、被覆基体を成形してもよい。
【0102】
本発明の更に別の態様に従い、成形された物品が与えられる。それら成形された物品は、少なくとも一つの表面上に本発明による被覆を有する成形基体を含む。被覆を成形物品に適用し、然る後、その物品を成形する。
【0103】
本発明の更に別な態様に従い、着色可能な耐摩耗性被覆組成物、着色可能な耐摩耗性硬化被覆を有する物品、及び基体の少なくとも一つの表面上に被覆した透明で着色可能な耐摩耗性被覆を着色するための方法が与えられる。被覆組成物はここに記載したような被覆組成物にすることができる。方法は、透明で着色可能な耐摩耗性被覆を硬化により形成する被覆組成物と、基体の少なくとも一つの表面とを接触させ、基体上の被覆組成物を硬化して透明で着色可能な耐摩耗性被覆を形成し、基体の硬化した表面を染料浴中に、その硬化した被覆が希望の量の染料を基体に吸収するか又は転移させるのに充分な時間浸漬することにより硬化被覆を着色することを含む。
【0104】
被覆組成物は、ここに記載した被覆組成物にすることができる。或る例では、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサン少なくとも一種類は、約10:1〜約1:10の多官能性架橋剤に対するモル比で存在する。一つの例として、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類は、約6:1〜約1:6の多官能性架橋剤に対するモル比で存在することができる。別の例として、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類は、約3:1〜約1:3の多官能性架橋剤に対するモル比で存在することができる。
【0105】
別の例として、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性シランの少なくとも一種類は、組成物の固形分の約11〜約83重量%を占め、多官能性架橋剤は、組成物の固形分の約17〜約89重量%を占める。別の例として、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性シランの少なくとも一種類は、組成物の固形分の約20〜約70重量%を占め、多官能性架橋剤は、組成物の固形分の約30〜約80重量%を占める。更に別の例として、水性・有機溶媒混合物の溶媒成分は、組成物の約40〜約98重量%を占める。更に別の例として、水性・有機溶媒混合物の溶媒成分は、組成物の約50〜約95重量%を占める。
【0106】
本発明の別の態様として、被覆組成物は、エポキシ官能性ではない、四官能性シラン、ジシラン、又は他のアルキルシランを適当な量で含んでいてもよい。或る用途では、四官能性シラン、ジシラン、及び他のアルキルシランは、被覆を堅くするか、又は幾らか堅くする量で存在する。適当な四官能性シラン、ジシラン、又は他のアルキルシランには、ここに記載したものが含まれる。更に別な態様として、組成物は、他のどのような適当なアルキルシラン(即ち、シラン添加剤として今後言及する三官能性シラン、二官能性シラン、一官能性シラン、及びそれらの混合物)をどのような適当な量で含んでいてもよい。同様に、或る用途では、四官能性シラン、ジシラン、又は他のアルキルシランは、被覆を堅くするか、又は幾らか堅くする量で存在していてもよいことは分かる。適当なアルキルシランには、ここに記載したものが含まれる。或る用途では、被覆組成物にコロイド状シリカを適当な量で添加することが有用になることがある。或る用途ではコロイド状シリカは被覆を堅くするか、幾らか堅くする量で存在させてもよく、適当なコロイド状シラン及び使用は、ここに記載したものを含む。
【0107】
被覆組成物はどのような適当なやり方で適用してもよいことは分かるであろう。例えば、被覆組成物は、流動被覆、噴霧被覆、カーテン被覆、浸漬被覆、回転被覆、ロール被覆、等のような慣用的方法により適当な基体に適用し、連続的表面フイルムを形成することができる。硬化被覆は、どのような適当な厚さを持っていてもよい。例えば、硬化被覆は、約0.2μm〜約20μm、約1.5μm〜約10μm、又は約2.5μm〜約7μmの厚さを持つことができる。当業者は、被覆組成物の厚さ及び/又は固形分含有量を、適当な厚さ及び/又は希望の耐摩耗性を有する被覆を与えるように調節することができることを認めるであろう。
【0108】
適当な基体を被覆組成物で被覆し、その被覆組成物の基体上で硬化して硬化被覆を有する物品を形成することができ、この場合硬化した被覆及び/又は基体は着色することができ、硬化した被覆は良好な耐摩耗性を示す。例えば、プラスチック材料、木材、金属、プリント表面、及び皮革を被覆することができる。組成物は、シート状又はフイルム状の合成有機重合体基体、例えば、アクリル重合体、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン・アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ブチレート、等のための被覆として特に有用である。これらの組成物で被覆した透明重合体材料は、窓、明かり取り窓、及び風防ガラスのような平坦又は湾曲した囲い、特に運搬用車両のためのものとして有用である。アクリル、ポリ(ジエチレングリコール−ビス−アリルカーボネート)(ADC)、ポリカーボネートレンズ、又はナイロンを含めたポリアミドのようなプラスチックレンズも本発明の組成物で被覆することができる。光学的用途のために有用なポリアミドは、登録商標名グリルアミド(Grilamid)としてEMSケミー社(EMS-Chemie Inc.)から、登録商標名トロガミド(Trogamid)としてデガッサ社(Degussa Corp.)から粒状物として入手することができる。例えば、被覆組成物は、処方及び非処方読書用めがね、サングラス、及び安全レンズのような眼科用レンズに被覆することができる。眼科用レンズは極めて多種類の原料から作られ、それらは一般に屈折率によって区別され、低−、中−、及び高−屈折率材料に分類されている。低屈折率材料の場合の一例は、PPGインダストリーズ(PPG Industries)のADCについての登録商標名であるCR39であり、中屈折率材料は、同様にPPGインダストリーズから登録商標名トリベックス(Trivex)として入手することができる。高屈折率原料は、日本の(株)三井化学から登録商標名MRシリーズとして入手することができる。これらの原料はレンズ製造業者により注型されてレンズとし、それらの特定の商標名で入手することができる。
【0109】
着色工程は、どのような適当なやり方でも遂行することができる。例えば、本発明の硬化被覆で被覆された基体の表面を、適当な着色染料、例えば、BPIサングレイ(BPI Sun Gray)、又はBPIブラック(BPI Black)を含む加熱された染料浴中に浸漬することができ、それら両方共フロリダのマイアミのブレイン・パワー社(Brain Power Incorporated)から販売されている染料である。染料溶液は、約1部のBPI染料濃度を約10部の水に希釈し、次に得られた溶液を一定に撹拌しながら、約88℃〜約100℃の範囲の温度へその溶液を加熱することにより調製する。基体の被覆表面は、相容性の溶媒で拭うことにより清浄にすることができ、然る後、希望の量の染料を吸収又は転移するのに充分な時間染料浴中に浸漬し、次に蒸留水で洗浄して過剰の染料を除去し、吸い取って乾燥する。着色強度は、被覆の厚さ又は染料浴中に浸漬する時間を変えることにより調節することができることは当業者に分かるであろう。得られた着色度は、光透過率%を測定するガードナー(Gardner)XL−835のような色度計を用いて決定することができる。
【0110】
妥当な長さの時間で多量の染料を硬化被覆により吸収させるか、又は基体へ転移させることができると考えられる。例えば、眼科工業では、二つのレベルの光透過率(LT)が、一般に眼鏡のためのレンズへの着色の適用に関連して用いられている。50%の光透過率は、吸着又は転移された量の染料が、着色レンズを光の50%しか通過させないのに充分であることを意味する。これは、一般に眼鏡の「ファッション」色調に適用することができる光透過率のレベルである。サングラスのために用いられるような一層暗い色調は、一般に約20%の光透過率を有し、それは吸収又は転移した量の染料がレンズを20%の光しか通過させないことを意味する。或る例ではナイロン及びADC被覆レンズは、約15〜約30分で10%〜約20%より低い光透過率まで着色することができる。
【0111】
或る例では、これらの方法に従い且つ/又はこれらの被覆組成物を用いて製造した着色レンズは、改良された環境耐久性又は耐候性を示す。例えば、着色レンズは、約72時間又は約120時間後にQUV方法A又は方法Bの促進耐候性試験により試験して、接着損傷及び亀裂に対する抵抗性を示すことができる。QUV方法A試験は、次の手順に従って行われる。促進耐候性試験であるQUV方法Aについて、AR評議会手順UTP#;DUR−5.2.10、環境耐久性試験A部のための画一的な試験手順:QUV系に従う。オハイオ州クリーブランドのカンタベリーロード800のQパネル社(Q panel corporation)から入手できるQUV促進耐候性試験器を用いる。パネル温度55℃で、4時間のUV−A光照射及び4時間の凝縮の反復サイクルにQUVユニットを設定し、QUVの照射を0.8W/m/nmに設定し、夫々の操作手引書に概説されている手順を用いて輻射計により較正する。QUV試験のためのレンズは、次の手順に従って調製する。被覆欠陥のないレンズの上の一領域を選択する。切断装置を用いて露出されるレンズの前面(凸型)に間隔1.5mm±0.5mmで、長さ約15〜20mmの6本の平行なカットを入れる。レンズを最初の設定から90°回転し、間隔が1.5mm±0.5mmの6本の平行なカットを入れる。
【0112】
試験レンズを、試験表面をUVAランプに向けてレンズ保持器に取付ける。16時間の照射後、装置を休止する。レンズをQUVから取り外し、材料及び表面品質を決定するためのUTB#:APP−5.3.1−標準検査法に従い露出表面を調べる。被覆の接着性は、次の手順に従いクロスハッチ試験により評価する。テープの一端がレンズの縁を過ぎて少なくとも1/2インチ出るようにクロスハッチパターン上にテープを貼り付ける。クロスハッチ領域上を覆うテープの表面を数回前後に擦り、表面にテープが確実に良く接触するようにする。テープを貼り付けた後、90秒±30秒待ち、レンズをしっかり保持しながらテープの出た端を手で掴み、レンズの反対側にできるだけ180°に近く迅速に引張る。合計3回のテープ引張りのため更に2回クロスハッチ試験を繰り返す。クロスハッチ領域を、材料及び表面品質を決定するためのUTB#:APP−5.3.1−標準検査法に従って調べる。次に試験レンズをQUV試験器へ戻す。レンズ保持器を、最初の位置に比較してラックの上の異なった位置に置き、管毎の変動性が考慮されるようにする。試験工程を合計10日間の間、毎日繰り返す。良好な耐候性を持つ被覆は、長いQUV露光後でも欠陥を持たない。
【0113】
QUV方法B試験は、次の手順に従って行われる。QUV方法B促進耐候性試験については、ASTM G53−88、非金属材料を照射するための光及び水露出装置(蛍光UV−凝縮型)を操作するための標準実施法の手順に従う。オハイオ州クリーブランドカンタベリーロード800のQパネル社から入手することができるQUV促進耐候性試験器を用いる。試験手順は、4時間のUV−B光(48℃)に露出し、次に4時間水蒸気(50℃)を凝縮させることからなっている。このサイクルを連続的に120時間繰り返す。QUVの照射は、0.8W/m/nmに設定し、夫々の操作手引書に概説してある手順を用いて輻射計により較正する。
【0114】
QUV試験のためのレンズを、次の手順に従って製造する。レンズをクリーネックス(Kleenex)の柔らかい布を用いてアルコールで奇麗にする。それを拭いて乾かし、その表面を光投影機でどのような損傷も未だ受けていないことを確かめる。切削装置を用いて露出させるレンズの前面(凸面)に間隔1.5mm±0.5mm、長さ約15〜20mmの6本の平行な切り込みを入れる。レンズを90°回転させ、間隔1.5mm±0.5mmの6本の平行な切り込みを入れる。標準レンズ〔ベースカーブ(base curve)≦4.50〕の場合、クロスハッチはレンズ表面の二つの半分の真ん中に作る。ベースカーブ≧4.50の場合、露出表面の真ん中に第三クロスハッチが必要である。QUVレンズ保持器にレンズを、クロスハッチ表面をQUV内部で回転するやり方で取付ける。24時間露出した後、ユニットを休止する。レンズをQUVから取り出し、露出表面を調べる。
【0115】
被覆の接着性は、次の手順に従いクロスハッチ試験により判定する。テープの帯を約120〜130cmの長さに切り、それをレンズ表面に二つのクロスハッチ領域の両方を覆ってしっかりと粘着させる。レンズ表面とテープとの間に気泡が全く入らないように注意する。最低15〜20秒間待った後、テープを、そのテープとレンズ表面との間の角度が90°になるようにして引き剥がす。合計3回のテープ引き剥がしにするため、更に2回クロスハッチ試験を繰り返す。UTP#:APP−5.3.1、材料及び表面品質を決定するための標準検査方法に従い、クロスハッチ領域を調べる。次に試験レンズをQUV試験器に戻す。管毎の変動を考慮に入れるため、最初の位置と比較してラック上の異なった位置に、レンズ保持器を置く。良好な耐候性を持つ被覆は、長いQUV露光の後でも欠陥をもたない。
【0116】
或る例では、これらの方法に従って製造された着色及び/又は非着色基体は、良好な耐摩耗性を示す。或る例では、着色又は非着色基体はレンズを含む。例えば、着色又は非着色基体は、バイヤー法に従い試験して、約1.5〜約2以上のバイヤー数を示すことができる。当業者は、バイヤー耐摩耗性は被覆の厚さ、基体材料、及び被覆条件を含めた幾つかの因子に依存することを認めるであろう。バイヤー法による被覆基体の耐摩耗性を試験するため、オンタリオ州ナイアガラフォールスのセイント・ゴベイン・セラミック・マテリアルズ・オブ・カナダ社(Saint-Govain Ceramic Materials of Canada, Inc.)により販売されている市販のアランダム〔(グレインコード(grain code)1524、12グリット、アランダムZF〕を研磨材料として用いる。この試験では、540gのアランダムを、4つのレンズを取付けた9 5/16″×6 3/4″のクレードル(cradle)の中に入れる。4つのレンズ、典型的には、ここでADCレンズと呼ぶポリ(ジエチレングリコール−ビス−アリルカーボネート)レンズの各組及び二つの被覆レンズを、1分当たり300ストロークの振動周波数で4インチのストロークに(ストローク方向をクレードルの9 5/16″の長手方向に一致させて)合計4分間かける。最初の2分の振動の後、レンズクレードルを180°回転させて配置し直す。クレードルの再配置は、振動機械のどのような変動でも、その影響を少なくするため用いる。用いたADC基準レンズは、フロリダ州セントピーターバーグのエシラー・オブ・アメリカ社(Essilor of America, Inc.)から購入されるサイラー(Silor)70mm平面FSVレンズである。
【0117】
上に記載した手順は、ARアメリカ評議会により記述されているものとは、一層大きなクレードルの表面積の増大に対応してアランダムの重量を増大することにより、少し変更されている。上に記載したクレードルは4つのレンズを保持する。次に各レンズに発生した曇りを、BYKガードナー・ヘイズ・ガート・プラス(BYK Gardner Haze-gard Plus)曇り測定計で測定する。各レンズについて曇りの増加を、レンズの初期曇りと試験後の曇りとの差として決定した。次に、ADC基準レンズの曇り増加対被覆試料レンズの曇り増加の比を、被覆材料で得られた耐摩耗性として報告する。1より大きい比は、未被覆ADC基準レンズより大きい耐摩耗性を与える被覆を示す。この比は、一般にバイヤー数と呼ばれている。大きな耐摩耗性を有する被覆は、小さな耐摩耗性を有する被覆よりも大きなバイヤー数を有する。
【0118】
別の例では、着色及び非着色基体は、鋼ウール試験により実証されるように、優良以上として格付けされる耐摩耗性を示すことができる。対鋼ウール耐摩耗性は、次の手順に従い判定される。対鋼ウール耐摩耗性は、台湾のイン・ツング社(Yin Tsung Co. Ltd.)により製造されている市販の装置、YT−520により判定する。試験は、非着色及び着色レンズの耐摩耗性及び/又は耐引っ掻き性を、標準格付けされた鋼ウールで擦ることにより定性的に決定することを目的としている。被覆レンズを水又はアルコールで奇麗にして表面汚染物を除去し、完全に乾燥する。レンズを試料保持器の上に置き、ねじを回して左側に固定する。0000等級の鋼ウールを選択し、約2×2インチの小さな鋼ウールパッドを研磨媒体として製造する。その鋼ウールを鋼ウール保持器に装填する。1000gのステンレス鋼の重りを重り保持器の上に置く。10サイクルの試験後、試料レンズを試料保持器から取り外し、再び水又はアルコールを用いて奇麗にし、次の基準に従い、格付けする:秀−目に見える引っ掻き傷なし;優−目で見える軽微な引っ掻き傷;良−中程度の引っ掻き傷;可−酷い引っ掻き傷。
【0119】
或る例では、それら方法は、更に、基体の少なくとも一つの表面を被覆組成物と接触させる前に基体に下地を適用することを含む。或る例では、物品は、上に配置した下地と、その下地の少なくとも一部分の上に配置した硬化被覆を有する基体を含むことができる。下地は、ここに記載したようなポリウレタン分散物系下地の少なくとも一種類にすることができる。下地は、基体に適用し、空気又は熱で乾燥し、例えば、約2時間未満空気乾燥し、次に被覆組成物を適用し、硬化することができる。他の例として、ポリウレタン分散物系下地は、更に、被覆の基体への接着を促進するため適当な架橋剤を含むことができる。例えば、架橋剤は、封鎖済イソシアネート及び/又はアジリジン、エポキシ、及びメラミン樹脂を含むことができる。
【0120】
アジリジン、エポキシ、及びメラミン樹脂は、室温ではポリウレタン分散物系下地のポリウレタン分散物とは非常にゆっくり反応することができる。それら樹脂は二部分系として用いる必要があるか、又は製造から短時間以内に使用しなければならない。そのような樹脂の例には、アジリジン樹脂ネオレジン(Neoresin)CX100、メラミン樹脂サイテック・サイメル(Cytec Cymel)303及びサイテック・サイメル385、及びエポキシ樹脂GEシリコーンA−186、チバ・アラルダイト(CIBA Araldite)ECN 1400が含まれるが、それらに限定されるものではない。別の例として、架橋剤は、封鎖済イソシアネート、バクセンデン(Baxenden)BI 7986を含むことができるが、この封鎖済イソシアネートはポリウレタン分散物系下地のポリウレタン分散物として用いるために水中に分散することができる。
【0121】
架橋剤は適当な量で与えることができる。例えば、架橋剤は、下地組成物の固体の重量で、下地組成物の約1%〜約30%、約1%〜約20%、又は約5%〜約15%を占めることができる。下地に架橋剤を添加することは、基体への硬化被覆の接着性、及び硬化被覆の環境耐久性又は耐候性を改良することができると考えられる。更に別の例として、ポリウレタン分散物系下地は、ここに記載するような紫外線吸収剤(UVA)を含むことができる。紫外線吸収剤(UVA)は、どのような量で与えてもよい。例えば、UVAは、固形分の重量により、下地組成物の約0.5%〜約40%、約1%〜約20%、又は約5%〜約15%を占めることができる。
【0122】
本発明の別の態様に従い、基体に適用し硬化すると、基体上に透明で着色可能な被覆を与える組成物が提供される。更に、その被覆を含む物品及び方法が与えられる。組成物は、ここに記載したように、少なくとも一種類の適当な封鎖済イソシアネートが添加されている。特に、組成物は、着色可能な被覆に関連してここに記載したようなものである。適当な封鎖済イソシアネートは、被覆の環境耐久性又は耐候性を改良する結果になると考えられる。適当な封鎖済イソシアネートの例には、バイヤー(Bayer)から入手することができるデスモジュール(Desmodur)B1 3175、デスモジュールB1 3272、デスモジュールB1 3370、デスモジュールB1 3475、及びデスモジュールB1 4265、及びバクセンデンLLC(Baxenden LLC.)から入手することができるトリクセン(Trixene)BI 7982、トリクセン7983、トリクセンBI 7984、トリクセンBI 7980、トリクセンBI 7960、トリクセンBI 7950が含まれるが、それらに限定されるものではない。封鎖済イソシアネートは、どのような適当な量で与えてもよい。例えば、封鎖済イソシアネートは、被覆組成物の固形分の約1重量%〜約30重量%を占めることができる。別の例として、封鎖済イソシアネートは、被覆組成物の固形分の約2重量%〜約15重量%、又は被覆組成物の固形分の約2重量%〜約10重量%を占めることができる。
【0123】
封鎖済イソシアネートを有する被覆組成物は、どのような適当な基体にも適用することができ、適当なやり方で適当な厚さの硬化被覆を形成することができる。例えば、プラスチック材料、木材、金属、プリント表面、及び皮革を被覆することができる。組成物は、特にシート状又はフイルム状の合成有機重合体基体のための被覆として有用であり、例えば、アクリル重合体、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン・アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ブチレート、等である。これらの組成物で被覆された透明重合体材料は、窓、明かり取り窓、及び風防ガラスのような平坦又は湾曲した囲い、特に運搬用車両のためのものとして有用である。アクリル、ポリ(ジエチレングリコール−ビス−アリルカーボネート)(ADC)、ポリカーボネートレンズ、又はナイロンを含めたポリアミドのようなプラスチックレンズも本発明の組成物で被覆することができる。光学的用途のために有用なポリアミドは、登録商標名グリルアミドとしてEMSケミー社から、登録商標名トロガミドとしてデガッサ社から粒状物として入手することができる。例えば、被覆組成物は、処方及び非処方読書用めがね、サングラス、及び安全レンズのような眼科用レンズに被覆することができる。眼科用レンズは極めて多種類の原料から作られ、それらは一般に屈折率によって区別され、低−、中−、及び高−屈折率材料に分類されている。低屈折率材料の場合の一例は、PPGインダストリーズのADCについての登録商標名であるCR39であり、中屈折率材料は、同様にPPGインダストリーズから登録商標名トリベックスとして入手することができる。高屈折率原料は、日本の(株)三井化学から登録商標名MRシリーズとして入手することができる。これらの原料はレンズ製造業者により注型されてレンズとし、それらの特定の商標名で入手することができる。被覆は、ここに論じたようなどのような適当な方法で適用してもよい。
【0124】
別の例として、封鎖済イソシアネートを有する被覆組成物は、基体に適用することができ、硬化被覆が、約0.2μm〜約20μm、約1.5μm〜約10μm、又は約2.5μm〜約7μmの厚さを持つことができるようにする。当業者は、被覆組成物の固形分含有量及び/又は被覆の厚さを、適当な被覆厚さ及び/又は希望の耐摩耗性を持つ被覆を与えるように調節することができることを認めるであろう。或る例では、硬化被覆は、上に論じたバイヤー試験法に従い測定して、約1.5より大きく、又は約2より大きいバイヤー数を持つことができる。別の例として、硬化被覆は、鋼ウール試験で決定して、良好な耐摩耗性を持つことができる。
【0125】
或る例として、封鎖済イソシアネートを有する被覆組成物から形成した硬化被覆は、約72時間後、又は約120時間後にQUV方法A又は方法Bにより試験して、接着損傷及び亀裂に対する抵抗性を示すことができる。封鎖済イソシアネートを有する被覆組成物から形成された硬化被覆を有する基体及び/又は硬化被覆は、ここに記載した方法に従い適用及び着色することができる。或る例では、ここに論じたように、封鎖済イソシアネートを有する被覆組成物を適用する前に、基体に下地を適用することができる。下地は、ここに論じた下地にすることができる。
【実施例】
【0126】
次の実施例は、例示の目的のためだけのものであり、添付した特許請求の範囲を限定するものではない。ここに引用した文献は、特に参考のため入れてある。
【0127】
例1:ジオール官能性有機ポリシロキサンの製造
1000gの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン エポキシ官能性シラン〔A−187、コネチカット州グリーンウイッチのウィトコ社(Witco Corporation)〕を、蒸留装置を取付けた5リットルのガラスフラスコへ入れた。40gのHCl(0.05N)と2960gの脱イオン水との混合物を、次にその5リットルのフラスコへ添加した。次に溶液を還流加熱した。3時間還流した後、743gの溶媒を蒸留により除去した。生成物は更に精製することなく、「そのまま」用いた。
【0128】
例2:被覆組成物及び下地
15.0gのA−187、19.3gのジヒドロ−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−2,5−フランジオン シリル化多官能性無水物〔GF20、ミシガン州アドリアンのワッカー・ケミカル社(Wacker Chemical corporation)〕、及び140.0gのイソプロパノール溶媒の撹拌した溶液に7.5gの脱イオン(DI)水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。0.18gのレベリング剤PA−57の溶液〔ミシガン州ミドランドのダウ・コーニング社(Dow Corning Corporation)〕、10重量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル〔PMエーテル、オハイオ州コロンブスのアシュランド・ケミカル(Ashland Chemical)〕を添加した。PA−57を添加した後、更に20分間組成物を撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0129】
この被覆組成物を、PR−1180〔カリフォルニア州アナハイムのSDCテクノロジーズ社(SDC Technologies, Inc.)〕下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。ここに概説した手順に従い、CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で1.7%の曇り、及び200回転で7.5%の曇りであった。トップコートの厚さは3.5μであった。ここに記載したようにして、円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、5″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0130】
例3:被覆組成物及び下地
17.7gのA−187、15.2gのGF20、及び140.0gのイソプロパノールの撹拌した溶液に8.0gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。0.18gのPA−57の溶液、PMグリコールエーテル中10重量%、を添加した。PA−57を添加した後、更に20分間組成物を撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0131】
この被覆組成物を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で2.3%の曇り、及び200回転で11.4%の曇りであった。トップコートの厚さは3.5μであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、4″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0132】
例4:被覆組成物及び下地
45.0gのA−187、29.0gのGF20、及び280.0gのイソプロパノールの撹拌した溶液に17.0gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。0.37gのPA−57の溶液、PMグリコールエーテル中10重量%、を添加した。PA−57を添加した後、更に20分間組成物を撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0133】
この被覆組成物を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で3.1%の曇り、及び200回転で17.2%の曇りであった。トップコートの厚さは3.2μであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、3″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0134】
例5:被覆組成物及び下地
47.0gのA−187、20.0gのGF20、及び280.0gのイソプロパノールの撹拌した溶液に16.0gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。0.36gのPA−57の溶液、PMグリコールエーテル中10重量%、を添加した。PA−57を添加した後、更に20分間組成物を撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0135】
この被覆組成物を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で5.3%の曇り、及び200回転で38.1%の曇りであった。トップコートの厚さは3.1μであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、3″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0136】
例6:被覆組成物及び下地
47.0gのA−187、15.0gのGF20、及び260.0gのイソプロパノールの撹拌した溶液に15.0gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。0.34gのPA−57の溶液、PMグリコールエーテル中10重量%、を添加した。PA−57を添加した後、更に20分間組成物を撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0137】
この被覆組成物を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で6.0%の曇り、及び200回転で59.1%の曇りであった。トップコートの厚さは3.2μであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、3″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0138】
例7:被覆組成物及び下地
30.0gのA−187、38.6gのGF20、及び300.0gのPMグリコールエーテル(PMOH)溶媒の撹拌した溶液に14.3gのDI水を滴下した。混合物を室温で3日間撹拌した。0.38gのPA−57の溶液、PMOH中10重量%、を添加した。PA−57を添加した後、更に20分間組成物を撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0139】
この被覆組成物を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で3.0%の曇り、及び200回転で14.0%の曇りであった。トップコートの厚さは3.0μであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、3″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0140】
例8:被覆組成物及び下地
45.0gのA−187、29.0gのGF20、及び300.0gのPMグリコールエーテル(PMOH)の撹拌した溶液に16.2gのDI水を滴下した。混合物を室温で3日間撹拌した。0.39gのPA−57の溶液、PMOH中10重量%、を添加した。PA−57を添加した後、更に20分間組成物を撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0141】
この被覆組成物を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で4.7%の曇り、及び200回転で26.7%の曇りであった。トップコートの厚さは3.0μであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、3″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0142】
例9:被覆組成物及び下地
47.2gのA−187、20.3gのGF20、及び300.0gのPMグリコールエーテル(PMOH)の撹拌した溶液に15.8gのDI水を滴下した。混合物を室温で3日間撹拌した。0.38gのPA−57の溶液、PMOH中10重量%、を添加した。PA−57を添加した後、更に20分間組成物を撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0143】
この被覆組成物を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で5.8%の曇り、及び200回転で34.5%の曇りであった。トップコートの厚さは3.0μであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、3″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0144】
例10:被覆組成物及び下地
47.2gのA−187、15.2gのGF20、及び265.0gのPMグリコールエーテル(PMOH)の撹拌した溶液に15.0gのDI水を滴下した。混合物を室温で3日間撹拌した。0.34gのPA−57の溶液、PMOH中10重量%、を添加した。PA−57を添加した後、更に20分間組成物を撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0145】
この被覆組成物を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で6.4%の曇り、及び200回転で57.2%の曇りであった。トップコートの厚さは3.0μであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、3″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0146】
例11:被覆組成物及び下地
3.8gのA−187、9.7gのGF20、及び55gのイソプロパノール/PMグリコールエーテル(1:1)の撹拌した溶液に2.7gのDI水を滴下した。混合物を室温で3日間撹拌した。0.08gのPA−57の溶液、PMグリコールエーテル中10重量%、を添加した。PA−57を添加した後、更に20分間組成物を撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0147】
この被覆組成物を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で1.6%の曇り、及び200回転で5.6%の曇りであった。トップコートの厚さは3.2μであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、6″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0148】
例12:被覆組成物及び下地
15.0gのA−187、1.8gのイタコン酸架橋剤、及び75.0gのイソプロパノールの撹拌懸濁物に4.0gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。0.10gのPA−57の溶液、PMOH中10重量%、を添加した。PA−57を添加した後、更に20分間組成物を撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0149】
この被覆組成物を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で13.3%の曇り、及び200回転で67.2%の曇りであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、3″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0150】
例13:被覆組成物及び下地
15.0gのA−187、1.4gの無水コハク酸架橋剤、及び70.0gのイソプロパノールの撹拌懸濁物に4.0gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。0.10gのPA−57の溶液、PMOH中10重量%、を添加した。PA−57を添加した後、更に20分間組成物を撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0151】
この被覆組成物を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で36.2%の曇であった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、3″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0152】
例14:被覆組成物及び下地
15.0gのA−187、1.4gの無水コハク酸、及び70.0gのPMグリコールエーテル(PMOH)の撹拌懸濁物に4.0gのDI水を滴下した。混合物を室温で3日間撹拌した。0.10gのPA−57の溶液、PMOH中10重量%、を添加した。PA−57を添加した後、更に20分間組成物を撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0153】
この被覆組成物を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で42.0%の曇であった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、3″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0154】
例15:被覆組成物及び下地
15.0gの、HS2926〔ニュージャージー州ピスカタウエイのシベント社(SIVENTO Inc.)〕として入手することができるトリメトキシ(3−オキシラニルメトキシ)プロピルシラン加水分解水溶液、9.66gのGF20、及び70.0gのイソプロパノールの混合物を、室温で一晩撹拌した。0.10gのPA−57の溶液、PMグリコールエーテル中10重量%、を添加した。PA−57を添加した後、更に20分間組成物を撹拌したままにし、混合を確実にした。この被覆組成物を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で1.0%の曇、200回転で3.0%の曇りであった。トップコートの厚さは3.0μであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、7″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0155】
例16:被覆組成物及び下地
15.0gのHS2926、9.66gのGF20、及び70.0gのPMグリコールエーテルの混合物を、室温で一晩撹拌した。0.10gのPA−57の溶液、PMグリコールエーテル中10重量%を添加した。PA−57を添加した後、更に20分間組成物を撹拌したままにし、混合を確実にした。この組成物を、被覆適用前に、室温で5日間エージングした。この被覆組成物を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で1.34%の曇、200回転で4.19%の曇りであった。トップコートの厚さは3.0μであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、7″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0156】
例17:被覆組成物及び下地
15.0gのHS2926、0.7gの無水コハク酸、及び30.0gのイソプロパノールの混合物を、室温で一晩撹拌した。0.05gのPA−57の溶液、PMOH中10重量%、を添加した。PA−57を添加した後、更に20分間組成物を撹拌したままにし、混合を確実にした。この被覆組成物を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、25回転で26.0%の曇りであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、3″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0157】
例18:比較例被覆組成物及び下地
米国特許第6,001,163号明細書に記載されている被覆の代表的なものである、市販のSDC MP1154D(カリフォルニア州アナハイムのSDCテクノロジーズ社)を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で0.39%の曇り、及び200回転で0.78%の曇りであった。トップコートの厚さは3.0μであった。被覆した試料を、ここに概説した熱成形法に従い、炉の中に入れた。165℃で、円筒状マンドレルの上に置くことができる前に被覆は亀裂を起こした。
【0158】
例19:比較例被覆組成物及び下地
米国特許第6,348,269号明細書に記載されている被覆の代表的なものである、市販のSDC MP1193A1(カリフォルニア州アナハイムのSDCテクノロジーズ社)を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で0.22%の曇り、及び200回転で0.47%の曇りであった。トップコートの厚さは5.0μであった。被覆した試料を、ここに概説した熱成形法に従い、炉の中に入れた。165℃で、円筒状マンドレルの上に置くことができる前に被覆は亀裂を起こした。
【0159】
例20:比較例被覆組成物及び下地
米国特許第5,013,608号明細書に記載されている被覆の代表的なものである、市販のSDC TC332(カリフォルニア州アナハイムのSDCテクノロジーズ社)を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で1.48%の曇り、及び200回転で3.57%の曇りであった。トップコートの厚さは3.5μであった。被覆した試料を、ここに概説した熱成形法に従い、炉の中に入れた。165℃で、円筒状マンドレルの上に置くことができる前に被覆は亀裂を起こした。
【0160】
例21:曇り防止被覆組成物及び下地
4.0gのA−187、5.15gのGF20、及び40gのPMグリコールエーテルの撹拌した溶液に1.91gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。0.74gの表面活性剤、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、エタノール及び水の混合物中に入れたもの〔OT−75、ワシントン州カークランドのバン・ウォーターズ・アンド・ロジャーズ社(Van Waters & Rogers Inc.)〕(固形分75%)を添加した。組成物を室温で2時間撹拌したままにし、次に100°Fの暖かい部屋に3週間エージングさせた後、被覆の適用を行った。
【0161】
この被覆組成物を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。表面の被覆を20℃で保存し、その被覆物品を60℃の飽和水蒸気にかけた。被覆物品は10秒後に透明になり、少なくとも1分間透明のままであった。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で1.6%の曇り、及び200回転で9.0%の曇りであった。トップコートの厚さは3.2μであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、4″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0162】
例22:曇り防止被覆組成物及び下地
5.88gのA−187、3.79gのGF20、及び39.2gのPMグリコールエーテルの撹拌した溶液に2.11gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。0.74gのOT−75(固形分75%)を添加した。組成物を室温で2時間撹拌したままにし、次に100°Fで3週間エージングした後、被覆の適用を行った。
【0163】
この被覆組成物を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。表面の被覆を20℃で保存し、その被覆物品を60℃の飽和水蒸気にかけた。被覆物品は10秒後透明になり、少なくとも1分間透明のままであった。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で4.8%の曇り、及び200回転で33%の曇りであった。トップコートの厚さは3.2μであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、4″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0164】
例23:比較例曇り防止被覆組成物及び下地
市販のSDC AF1140(カリフォルニア州アナハイムのSDCテクノロジーズ社)を、PR−1180下地塗り1/4″厚のポリカーボネート板に流し塗りすることにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆を130℃で2時間硬化した。表面の被覆を20℃で保存し、次に60℃の飽和水蒸気にかけた。被覆物品は10秒後に透明になり、少なくとも1分間透明のままであった。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で3.20%の曇り、及び200回転で14.3%の曇りであった。トップコートの厚さは3.1μであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、10″未満の半径で亀裂が観察された。
【0165】
例24:被覆及び耐候性下地
ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、α−[3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロピル]−、ω−[3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロピル]、30〜45重量%、及びポリ(オキシ−1,2−エタンジオール)、α−[3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロピル]−,ω−ヒドロキシ−、40〜55重量%〔チヌビン(Tinuvin)1130、ニューヨーク州タリータウンのチバ・スペシャルティー・ケミカルズ社〕を市販のPR1180下地中へ混合することにより耐候性下地を調製した。このように、6.42gのチヌビン1130を150gのPR−1180に添加した。得られた組成物を4時間撹拌したままにしておき、然る後、被覆に適用した。
【0166】
この組成物を、1/4″厚のポリカーボネート板へ流し塗りすることにより下地として適用した。その下地を1時間空気乾燥した後、例7のトップコートを適用した。最終的被覆を130℃で2時間硬化した。CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で2.0%の曇り、及び200回転で11%の曇りであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、3″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0167】
被覆の耐候性をQUV及びウエザー・O・メーター(Weather-O-Meter)の両方により判定した。被覆は、両方の促進耐候性試験器で200時間紫外線に露出した後でも接着損傷及び亀裂を示さなかった。QUVは70℃で8時間のUVサイクル及び50℃で4時間の凝縮サイクルの条件で操作した。ウエザー・O・メーターはASTM 155−1に従い操作した。
【0168】
例25:被覆及び耐候性下地
3.0gのチヌビン1130を150gのPR1180に添加した。得られた組成物を4時間撹拌したままにしておき、然る後、被覆に適用した。この組成物を、1/4″厚のポリカーボネート板へ流し塗りすることにより下地として適用した。その下地を1時間空気乾燥した後、例7のトップコートを適用した。最終的被覆を130℃で2時間硬化した。
【0169】
CS−10F回転板を用いたテーバー試験による曇り増加結果は、50回転で2.7%の曇り、及び200回転後で12%の曇りであった。円筒状マンドレルで被覆の成形性を評価し、3″の半径で亀裂は観察されなかった。
【0170】
被覆の耐候性をQUV及びウエザー・O・メーターの両方により判定した。被覆は、両方の促進耐候性試験器で200時間紫外線に露出した後まで接着損傷及び亀裂を示さなかった。QUVは70℃で8時間のUVサイクル及び50℃で4時間の凝縮サイクルの条件で操作した。ウエザー・O・メーターはASTM 155−1に従い操作した。
【0171】
例26:ナイロンレンズ上の着色可能被覆及び着色
52.7gのA−187、68.0gのGF20、及び147gのイソプロパノールの撹拌溶液に26.4gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。63gのPMグリコールエーテル及び0.53gのPA−57の溶液、PMグリコールエーテル中10重量%、を添加した。添加後、組成物を更に20分間撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0172】
この被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりナイロンレンズに適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化し、約3.5μの厚さ、2.30のバイヤー数、及び優れた対鋼ウール耐摩耗性を有する硬化フイルムを与えた。レンズの幾つかを、一瓶のBPI着色剤(約100g)をDI水で約900gへ希釈し、96℃へ持って行くことにより着色した。被覆物品を加熱した溶液中に30分浸漬した。被覆物品を着色溶液から取り出し、BYKガードナー・ヘイズ・ガード・プラス曇り測定計を用いて光の透過率を測定する。被覆物品は約11%の光透過率を持っていた。
【0173】
被覆の耐候性を、QUV方法Bの仕様書の記載に従って、判定した。非着色被覆は96時間露出した後、接着損傷を示した。着色被覆は、120時間露出した後、接着損傷又は亀裂を示していなかった。試験方法Bの場合、QUVユニットは、48℃のパネル温度でUV−B照射(0.8W/m/nm)4時間及び50℃のパネル温度で凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0174】
例27:ナイロン/CR−39レンズ上の封鎖済イソシアネートを有する着色可能被覆
11.9gのA−187、15.2gのGF20、及び32.5gのイソプロパノールの撹拌溶液に5.93gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。19gのPMグリコールエーテル、2.61gのBL3175、及び0.12gのPA−57の溶液(PMグリコールエーテル中10重量%)を添加した。添加後、組成物を更に20分間撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0175】
この被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりナイロンレンズに適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化し、約4.0μの厚さ、2.36のバイヤー数、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び例26の手順に従い30分着色した後、約10%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Bにより仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が120時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Bの場合、QUVユニットは、48℃のパネル温度でUV−B照射(0.8W/m/nm)4時間及び50℃のパネル温度で凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0176】
この被覆組成物を、エッチングしたCR−39レンズにも、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することにより適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化し、約3.8μの厚さ、1.93のバイヤー数、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び30分着色後、約16%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Bにより仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が72時間露出した後、接着損傷を示していなかった。試験方法Bの場合、QUVユニットは、48℃のパネル温度でUV−B照射(0.8W/m/nm)4時間及び50℃のパネル温度で凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0177】
例28:ナイロンレンズ上の封鎖済イソシアネートを有する着色可能被覆及び着色
52.7gのA−187、68.0gのGF20、及び73.5gのイソプロパノールの撹拌溶液に26.4gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。157gのPMグリコールエーテル、11.8gのBL3175A、及び0.53gのPA−57の溶液、PMグリコールエーテル中10重量%、を添加した。添加後、組成物を更に20分間撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0178】
この被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりナイロンレンズに適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化し、約5.2μの厚さ、2.38のバイヤー数、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び例26の手順に従い30分着色した後、約12%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Bにより仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が120時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Bの場合、QUVユニットは、48℃のパネル温度でUV−B照射(0.8W/m/nm)4時間及び50℃のパネル温度で凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0179】
例29:ナイロンレンズ上の封鎖済イソシアネートを有する着色可能被覆
211gのA−187、272gのGF20、及び764gのPMグリコールエーテルの撹拌溶液に260gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。47.2gのBL3175A、及び2.12gのPA−57の溶液、PMグリコールエーテル中10重量%、を添加した。添加後、組成物を更に20分間撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0180】
この被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりナイロンレンズに適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化し、約4.9μの厚さ、2.33のバイヤー数、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び例26の手順に従い30分着色した後、約25%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Bにより仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が120時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Bの場合、QUVユニットは、48℃のパネル温度でUV−B照射(0.8W/m/nm)4時間及び50℃のパネル温度で凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0181】
例30:ナイロン/トリベックス/ADC/MR8レンズ上の封鎖済イソシアネートを有する着色可能被覆
52.7gのA−187、68.0gのGF20、及び87.0gのPMグリコールエーテルの撹拌溶液に87.0gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。78.0gのPMグリコールエーテル、11.8gのBL3175A、及び0.53gのPA−57の溶液、PMグリコールエーテル中10重量%、を添加した。添加後、組成物を更に20分間撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0182】
この被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりナイロンレンズに適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化し、約5.1μの厚さ、2.48のバイヤー数、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び例26の手順に従い30分着色した後、約24%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Bにより仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が120時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Bの場合、QUVユニットは、48℃のパネル温度でUV−B照射(0.8W/m/nm)4時間及び50℃のパネル温度で凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0183】
被覆の耐候性もQUV方法Aによって仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が160時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Aの場合、QUVユニットは、55℃のパネル温度で、UV−A照射(0.8W/m/nm)4時間及び凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0184】
この被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりトリベックスレンズ〔カリフォルニア州トランスのヤンガー・オプティクス(Younger Optics)からトリロジー(Trilogy)(登録商標名)のブランド名で得られる〕にも適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化し、約5.4μの厚さ、2.24のバイヤー数、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び例26の手順に従い30分着色した後、約20%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Aにより仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が160時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Aの場合、QUVユニットは、55℃のパネル温度で、UV−A照射(0.8W/m/nm)4時間及び凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0185】
この被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりADCレンズ(CR−39)にも適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化し、約5.2μの厚さ、2.02のバイヤー数、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び例26の手順に従い30分着色した後、約29%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Aにより仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が160時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Aの場合、QUVユニットは、55℃のパネル温度で、UV−A照射(0.8W/m/nm)4時間及び凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0186】
この被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりMR(登録商標名)8レンズにも適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化し、約5.01μの厚さ、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び例26の手順に従い30分着色した後、約45%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Aにより仕様書の手順に従い、判定した。非着色被覆は160時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。着色被覆は112時間露出した後、接着損傷を示していた。試験方法Aの場合、QUVユニットは、55℃のパネル温度で、UV−A照射(0.8W/m/nm)4時間及び凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0187】
例31:封鎖済イソシアネートを有する着色可能被覆
63.2gのA−187、61.2gのGF20、及び87.0gのPMグリコールエーテルの撹拌溶液に87.0gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。78.0gのPMグリコールエーテル、11.8gのBL3175A、及び0.60gのPA−57の溶液、PMグリコールエーテル中10重量%、を添加した。添加後、組成物を更に20分間撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0188】
この被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりナイロンレンズに適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化し、約5.7μの厚さ、2.41のバイヤー数、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び例26の手順に従い30分着色した後、約23%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Bにより仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が120時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Bの場合、QUVユニットは、48℃のパネル温度でUV−B照射(0.8W/m/nm)4時間及び50℃のパネル温度で凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0189】
例32:封鎖済イソシアネートを有する着色可能被覆組成物
73.7gのA−187、47.6gのGF20、及び87.0gのPMグリコールエーテルの撹拌溶液に87.0gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。78.0gのPMグリコールエーテル、11.8gのBL3175A、及び0.60gのPA−57の溶液、PMグリコールエーテル中10重量%、を添加した。添加後、組成物を更に20分間撹拌したままにし、混合を確実にした。
【0190】
この被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりナイロンレンズに適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化し、約5.7μの厚さ、2.28のバイヤー数、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び例26の手順に従い30分着色した後、約15%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Bにより仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が120時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Bの場合、QUVユニットは、48℃のパネル温度でUV−B照射(0.8W/m/nm)4時間及び50℃のパネル温度で凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0191】
被覆の耐候性をQUV方法Aによっても仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が160時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Aの場合、QUVユニットは、55℃のパネル温度で、UV−A照射(0.8W/m/nm)4時間及び凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0192】
この被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりトリベックスレンズにも適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化し、約5.06μの厚さ、2.2のバイヤー数、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び例26の手順に従い30分着色した後、約3.6%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Aにより仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が160時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Aの場合、QUVユニットは、55℃のパネル温度で、UV−A照射(0.8W/m/nm)4時間及び凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0193】
この被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりADCレンズにも適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化し、約5.15μの厚さ、1.83のバイヤー数、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び例26の手順に従い30分着色した後、約17%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Aにより仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が160時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Aの場合、QUVユニットは、55℃のパネル温度で、UV−A照射(0.8W/m/nm)4時間及び凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0194】
この被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりMR8レンズにも適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化し、約4.89μの厚さ、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び例26の手順に従い30分着色した後、約33%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Aにより仕様書の手順に従い、判定した。非着色被覆は160時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。着色被覆は112時間露出した後、接着損傷を示していた。試験方法Aの場合、QUVユニットは、55℃のパネル温度で、UV−A照射(0.8W/m/nm)4時間及び凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0195】
例33:下地/着色可能被覆
例30の被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりPR−1135下地塗りポリカーボネートレンズに適用し、それを5ipmの取り出し速度で浸漬被覆した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化し、2.24のバイヤー数、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び例26の手順に従い30分着色した後、約6.5%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Bにより仕様書の手順に従い、判定した。非着色被覆は120時間露出した後、接着損傷を示していた。着色被覆は120時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Bの場合、QUVユニットは、48℃のパネル温度でUV−B照射(0.8W/m/nm)4時間及び50℃のパネル温度で凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0196】
被覆の耐候性をQUV方法Aによっても仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が160時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Aの場合、QUVユニットは、55℃のパネル温度で、UV−A照射(0.8W/m/nm)4時間及び凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0197】
例34:架橋剤を含む下地/着色可能被覆
400gの下地PR−1135に、6.0gのBI7986を添加した。得られた組成物を室温で1時間撹拌し続けた、その組成物を、5ipmの取り出し速度で浸漬被覆することにより下地としてポリカーボネートレンズに適用した。その下地を、例30の被覆組成物を適用する前に、30分間空気乾燥した。例30の被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することにより適用した。30分間空気乾燥した後、最終的被覆組成物を112℃で2時間硬化し、2.24のバイヤー数、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び例26の手順に従い30分着色した後、約7.9%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Bにより仕様書の手順に従い、判定した。非着色被覆は120時間露出した後、接着損傷を示していた。着色被覆は120時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Bの場合、QUVユニットは、48℃のパネル温度でUV−B照射(0.8W/m/nm)4時間及び50℃のパネル温度で凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0198】
被覆の耐候性をQUV方法Aによっても仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が160時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Aの場合、QUVユニットは、55℃のパネル温度で、UV−A照射(0.8W/m/nm)4時間及び凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0199】
例35:架橋剤を含む下地/着色可能被覆
400gの下地PR−1135に、12.0gのBI7986を添加した。得られた組成物を室温で1時間撹拌し続けた、その組成物を、5ipmの取り出し速度で浸漬被覆することにより下地としてポリカーボネートレンズに適用した。その下地を、例30のトップコートを適用する前に、30分間空気乾燥した。例30の被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することにより適用した。30分間空気乾燥した後、最終的被覆組成物を112℃で2時間硬化し、2.24のバイヤー数、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び例26の手順に従い30分着色した後、約7.4%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Bにより仕様書の手順に従い、判定した。非着色被覆は120時間露出した後、接着損傷を示していた。着色被覆は120時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Bの場合、QUVユニットは、48℃のパネル温度でUV−B照射(0.8W/m/nm)4時間及び50℃のパネル温度で凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0200】
被覆の耐候性をQUV方法Aによっても仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が160時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Aの場合、QUVユニットは、55℃のパネル温度で、UV−A照射(0.8W/m/nm)4時間及び凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0201】
例36:架橋剤を含む下地/着色可能被覆
例35の下地組成物を、5ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりポリカーボネートレンズに適用した。その下地を、例32のトップコートを適用する前に、30分間空気乾燥した。例32の被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することにより適用した。30分間空気乾燥した後、最終的被覆組成物を112℃で2時間硬化し、2.15のバイヤー数、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び例26の手順に従い30分着色した後、約20%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Aにより仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が160時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Aの場合、QUVユニットは、55℃のパネル温度で、UV−A照射(0.8W/m/nm)4時間及び凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0202】
例37:架橋剤を含む下地/着色可能被覆
400gの下地PR−1135に、18.0gのBI7986を添加した。得られた組成物を室温で1時間撹拌し続けた、その組成物を、5ipmの取り出し速度で浸漬被覆することにより下地としてポリカーボネートレンズに適用した。その下地を、例30のトップコートを適用する前に、30分間空気乾燥した。例30の被覆組成物を、12ipmの取り出し速度で浸漬被覆することにより適用した。30分間空気乾燥した後、最終的被覆組成物を112℃で2時間硬化し、2.24のバイヤー数、優れた対鋼ウール耐摩耗性、及び例26の手順に従い30分着色した後、約8.4%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。被覆の耐候性をQUV方法Bにより仕様書の手順に従い、判定した。非着色被覆は120時間露出した後、接着損傷を示していた。着色被覆は接着損傷も亀裂も示しておらず、120時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Bの場合、QUVユニットは、48℃のパネル温度でUV−B照射(0.8W/m/nm)4時間及び50℃のパネル温度で凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0203】
被覆の耐候性をQUV方法Aによっても仕様書の手順に従い、判定した。着色及び非着色被覆の両方が160時間露出した後、接着損傷も亀裂も示していなかった。試験方法Aの場合、QUVユニットは、55℃のパネル温度で、UV−A照射(0.8W/m/nm)4時間及び凝縮4時間のサイクルを繰り返すように設定されている。
【0204】
例38:ナイロンレンズ上の封鎖済イソシアネートを含む比較例被覆
52.7gのA−187、29.0gのイタコン酸、及び87.0gのPMグリコールエーテルの撹拌溶液に87.0gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。78.0gのPMグリコールエーテル、11.8gのBL3175A、及び0.53gのPA−57の溶液、PMグリコールエーテル中10重量%、を添加した。添加後、組成物を更に20分間撹拌したままにし、混合を確実にした。この被覆組成物を、20ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりナイロンレンズに適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化した。酷い曇りフイルムが得られた。
【0205】
例39:ナイロンレンズ上の封鎖済イソシアネートを含む比較例被覆
52.7gのA−187、7.25gのイタコン酸、及び87.0gのPMグリコールエーテルの撹拌溶液に87.0gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。78.0gのPMグリコールエーテル、11.8gのBL3175A、及び0.53gのPA−57の溶液、PMグリコールエーテル中10重量%、を添加した。添加後、組成物を更に20分間撹拌したままにし、混合を確実にした。この被覆組成物を、20ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりナイロンレンズに適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化し、約2.5μの厚さ、1.22のバイヤー数、良くない対鋼ウール耐摩耗性、及び30分着色後、3.7%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。
【0206】
例40:ナイロンレンズ上の封鎖済イソシアネートを有する比較例被覆
52.7gのA−187、22.3g無水のコハク酸、及び87.0gのPMグリコールエーテルの撹拌溶液に87.0gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。78.0gのPMグリコールエーテル、11.8gのBL3175A、及び0.53gのPA−57の溶液(PMグリコールエーテル中10重量%)を添加した。添加後、組成物を更に20分間撹拌したままにし、混合を確実にした。この被覆組成物を、20ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりナイロンレンズに適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化した。酷い曇りフイルムが得られた。
【0207】
例41:ナイロンレンズ上の封鎖済イソシアネートを有する比較例被覆
52.7gのA−187、5.57gの無水コハク酸、及び87.0gのPMグリコールエーテルの撹拌溶液に87.0gのDI水を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。78.0gのPMグリコールエーテル、11.8gのBL3175A、及び0.53gのPA−57の溶液、PMグリコールエーテル中10重量%、を添加した。添加後、組成物を更に20分間撹拌したままにし、混合を確実にした。この被覆組成物を、20ipmの取り出し速度で浸漬被覆することによりナイロンレンズに適用した。30分間空気乾燥した後、その被覆組成物を112℃で2時間硬化し、約2.2μの厚さ、0.56のバイヤー数、良くない対鋼ウール耐摩耗性、及び30分着色後、3.2%の光透過率を有する硬化フイルムを与えた。
【0208】
本発明の範囲から離れることなく、説明として記載したことに限定されるものではないと考えられる種々の変更を行えることは、分かるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体に適用し硬化すると、前記基体上に透明で着色可能な被覆を与える組成物であって:
エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤がシリル化多官能性無水物を含み、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類が、約10:1〜約1:10の多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;
エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類及び、多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;及び
封鎖済イソシアネート;
を含む、組成物。
【請求項2】
エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類が、約6:1〜約1:6の多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類が、約3:1〜約1:3の多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
封鎖済イソシアネートが、被覆組成物の固形分の約1重量%〜約30重量%を占める、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
封鎖済イソシアネートが、被覆組成物の固形分の約2重量%〜約15重量%を占める、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
封鎖済イソシアネートが、被覆組成物の固形分の約3重量%〜約10重量%を占める、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
封鎖済イソシアネートが、デスモデュールB1 3175、デスモデュールB1 3272、デスモデュールB1 3370、デスモデュールB1 3475、デスモデュールB1 4265、トリキセンBI 7982、トリキセン7983、トリキセンBI 7984、トリキセンBI 7980、トリキセンBI 7960、及びトリキセンBI 7950の少なくとも一種類から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
封鎖済イソシアネートが、デスモデュールB1 3175を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
被覆が、約1.5より大きいバイヤー数を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
被覆が、約2より大きいバイヤー数を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
被覆が、少なくとも72時間のQUV方法A及びQUV方法Bの試験条件で接着損傷又は亀裂を示さない、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
被覆が、少なくとも120時間のQUV方法A及びQUV方法Bの試験条件で接着損傷又は亀裂を示さない、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
水性・有機溶媒混合物の溶媒成分が、組成物の約40〜約98重量%を占める、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
水性・有機溶媒混合物の溶媒成分が、エーテル、グリコール又はグリコールエーテル、ケトン、エステル、酢酸グリコールエーテル、式、ROH(式中、Rは、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基である)を有するアルコール、及びそれらの混合物から選択されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
水性・有機溶媒混合物の溶媒成分が、式、R−(OR−OR(式中、xは、0、1、2、3、又は4であり、Rは、水素、又は1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、1〜約10個の炭素原子を有するアルキレン基である)を有する、グリコール、エーテル、グリコールエーテル、及びそれらの組合せから選択されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
四官能性シラン、ジシラン、及びアルキルシランの少なくとも一種類を、更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
コロイド状シリカを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
エポキシ官能性シランが、式、RSi(OR4−x
〔式中、xは、1、2、又は3の整数であり;
は、H、1〜約10個の炭素原子を有し、少なくとも一つのエポキシ官能基を有する、アルキル基、官能化アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルエーテル、及びそれらの組合せであり;
は、H、1〜約5個の炭素原子を有するアルキル基、アセチル基、−Si(OR3−y基(式中、yは、0、1、2、又は3の整数である)、及びそれらの組合せであり;
は、H、1〜約5個の炭素原子を有するアルキル基、アセチル基、又は別の−Si(OR3−y基、及びそれらの組合せであり;
は、H、1〜約10個の炭素原子を有する、アルキル基、官能性化アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルエーテル、及びそれらの組合せである。〕
により表される、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
基体に適用し硬化すると、前記基体上に透明で着色可能な被覆を与える組成物であって、
ジオール官能性有機ポリシロキサン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、前記多官能性架橋剤が、多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択されており、前記ジオール官能性有機ポリシロキサンが、約10:1〜約1:10の前記多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;
前記ジオール官能性有機ポリシロキサン及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;及び
封鎖済イソシアネート;
を含む組成物。
【請求項20】
水性・有機溶媒混合物が、エポキシ官能性シラン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を更に含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
基体と、前記基体の少なくとも一つの表面上に、被覆組成物を硬化することにより形成された着色可能な被覆とを含む物品であって、前記被覆組成物が、
エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類及び、少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、多官能性架橋剤が、シリル化多官能性無水物を含み、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類が、約10:1〜約1:10の多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;
エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類及び多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;及び
封鎖済イソシアネート;
を含む、物品。
【請求項22】
基体と被覆との間の、前記基体の少なくとも一つの表面上に配置された少なくとも一つの下地を更に含む、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
少なくとも一つの下地が、ポリウレタン分散物系下地を含む、請求項22に記載の物品。
【請求項24】
少なくとも一つの下地が、架橋剤を有するポリウレタン分散物系下地を含む、請求項22に記載の物品。
【請求項25】
架橋剤が、封鎖済イソシアネート、アジリジン樹脂、エポキシ樹脂、及びメラミン樹脂から選択されている、請求項24に記載の物品。
【請求項26】
ポリウレタン分散物系下地が、紫外線吸収剤を更に含む、請求項24に記載の物品。
【請求項27】
架橋剤が、ポリウレタン分散物系下地の固形分の約1重量%〜約30重量%を占める、請求項24に記載の物品。
【請求項28】
着色可能な被覆が、約0.2μm〜約20μmの厚さを有する、請求項21に記載の物品。
【請求項29】
着色可能な被覆が、約1.5μm〜約10μmの厚さを有する、請求項21に記載の物品。
【請求項30】
着色可能な被覆が、約2.5μm〜約7μmの厚さを有する、請求項21に記載の物品。
【請求項31】
基体が、アクリル重合体、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン・アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ブチラート、及びポリ(ジエチレングリコール−ビス−アリルカーボネート)から選択されている、請求項21に記載の物品。
【請求項32】
基体がレンズを含む、請求項31に記載の物品。
【請求項33】
基体と、前記基体の少なくとも一つの表面上に、被覆組成物を硬化することにより形成された着色可能な被覆とを含む物品であって、前記被覆組成物が、
ジオール官能性有機ポリシロキサン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、多官能性架橋剤が、多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択されており、ジオール官能性有機ポリシロキサンが、約10:1〜約1:10の多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;
ジオール官能性有機ポリシロキサン及び多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;及び
封鎖済イソシアネート;
を含む、物品。
【請求項34】
被覆組成物が、四官能性シラン及びジシランの少なくとも一種類を含み、エポキシ官能性シランが、少なくとも約5.5:1の四官能性シラン及びジシランの少なくとも一種類に対するモル比で存在する、請求項33に記載の物品。
【請求項35】
基体、前記基体の少なくとも一つの表面上に配置された下地、及び前記下地の少なくとも一部分の上に、被覆組成物を硬化することにより形成された着色可能な被覆を含む物品であって、前記被覆組成物が、
エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、多官能性架橋剤が、シリル化多官能性無水物を含み、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類が、約10:1〜1:10の多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;及び
エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類及び前記多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;
を含み、
前記下地が、架橋剤を有するポリウレタン分散物系下地を含む、
物品。
【請求項36】
着色可能な被覆が、少なくとも約72時間のQUV方法A及びQUV方法Bの試験条件で接着損傷又は亀裂を示さない、請求項35に記載の物品。
【請求項37】
基体、基体の少なくとも一つの表面上に配置された下地、及び下地の少なくとも一部分の上に、被覆組成物を硬化することにより形成された着色可能な被覆を含む物品であって、前記被覆組成物が、
ジオール官能性有機ポリシロキサン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、多官能性架橋剤が、多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択されており、ジオール官能性有機ポリシロキサンが、約10:1〜1:10の多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;
ジオール官能性有機ポリシロキサン及び多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;
を含み、
前記下地が、架橋剤を有するポリウレタン分散物系下地を含む、
物品。
【請求項38】
基体の少なくとも一つの表面上に被覆された透明で着色可能な耐摩耗性被覆を着色する方法において、
基体の少なくとも一つの表面と、硬化により透明で着色可能な耐摩耗性被覆を形成する被覆組成物であって、
エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、多官能性架橋剤が、シリル化多官能性無水物を含み、エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類が、約10:1〜1:10の多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;
エポキシ官能性シラン及びジオール官能性有機ポリシロキサンの少なくとも一種類及び多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;
を含む前記被覆組成物とを接触させること;
前記基体上の前記被覆組成物を硬化して透明で着色可能な耐摩耗性硬化被覆を形成すること;及び
前記基体の前記被覆表面を染料浴中に、前記硬化被覆が希望の量の染料を吸収するか又は基体へ移すのに充分な時間、浸漬することにより前記硬化被覆を着色すること;
を含む、着色方法。
【請求項39】
被覆組成物が、封鎖済イソシアネートを更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
更に、基体に下地を適用し、然る後、被覆組成物を前記基体の前記下地上に適用することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
下地が、ポリウレタン分散物系下地を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
下地が、架橋剤を有するポリウレタン分散物系下地を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
基体の少なくとも一つの表面上に被覆された透明で着色可能な耐摩耗性被覆を着色する方法において、
基体の少なくとも一つの表面と、硬化により透明で着色可能な耐摩耗性被覆を形成する被覆組成物であって、
ジオール官能性有機ポリシロキサン及び少なくとも一種類の多官能性架橋剤の加水分解生成物及び部分的縮合物を有する水性・有機溶媒混合物で、多官能性架橋剤が、多官能性カルボン酸、多官能性無水物、及びシリル化多官能性無水物から選択されており、ジオール官能性有機ポリシロキサンが、約10:1〜1:10の多官能性架橋剤に対するモル比で存在する、水性・有機溶媒混合物;
ジオール官能性有機ポリシロキサン及び多官能性架橋剤を加水分解するのに充分な量の水;
を含む前記被覆組成物とを接触させること;
前記基体上の前記被覆組成物を硬化して透明で着色可能な耐摩耗性硬化被覆を形成すること;及び
前記基体の前記被覆表面を染料浴中に、前記硬化被覆が希望の量の染料を吸収するか又は前記基体へ移すのに充分な時間、浸漬することにより前記硬化被覆を着色すること;
を含む、着色方法。

【公表番号】特表2009−532517(P2009−532517A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502739(P2009−502739)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/011957
【国際公開番号】WO2007/114808
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(508324950)エスデイシー テクノロジーズ、インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】