被験者に小線源療法を施す(delivery)方法及びキット
本発明は、被験者にカテーテル小線源療法を施すキットであって、近位端2及び遠位端3を有する医療用バルーンカテーテル1であって、膨張ルーメン21が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、カテーテルチューブ5は、キンク状態から伸びるように構成され、膨張ルーメン21が除去可能なインナーチューブ6を摺動可能に収納することを可能にし、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル1と、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有する、除去可能なインナーチューブ6であって、除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、除去可能なインナーチューブ6とを備える、被験者にカテーテル小線源療法を施すキットを提供する。本発明はまた、被験者にカテーテル小線源療法を施す方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者のカテーテル小線源療法の分野に関する。より詳細には、本発明は、治療の段階に応じて剛性を変えることができる小線源療法用カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテル小線源療法は、治療領域の近くに先端が挿入されるカテーテルに沿って放射性源を前進させて、内部放射線治療を被験者に提供する。これは、食道癌及び子宮癌、並びに頭頸部癌の治療に一般的に用いられる。カテーテル小線源療法は、当該技術分野において既知である。臨床研究により、小線源療法が緩和ケアにおいても根治的適応においても癌のサイズ及び成長速度を低減する効果的な治療であることが示されている。
【0003】
食道癌等における適応によっては、カテーテル小線源療法は、熟練した施術者が内視鏡等の可視化器具を用いて被験者にガイドワイヤを導入して、ガイドワイヤの正確な経路及び位置を確保することを必要とする。ガイドワイヤを位置決めしたら、ガイドワイヤを用いてカテーテルを導入し、被験者内に適宜位置決めする。続いて、線源ワイヤの端に取り付けられている放射線源を、カテーテルを通して前進させることにより、放射線源が治療部位に到達して有効放射線量を照射する(deliver)ことができるようにする。放射線治療後、放射線源を除去する。カテーテルは、後続の治療のために所定位置に残ることができないため、除去される。治療セッション毎にこの挿入手順を再度繰り返さなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特定の手順は、カテーテルを位置決めするのに或る程度時間がかかり、切開を入れる場合の感染を回避するのにも或る程度時間がかかり得るため、被験者にとって外傷性が高い。食道癌を治療する場合、カテーテルを口腔及び喉に通すが、通常これは直径が大きいため窒息感及び/又は吐気による激しい不快感を生む。通常、被験者を鎮静しなければならない。さらに、治療中にずっとカテーテルが所定位置に留まっていなければならず、患者はその間中苦痛を感じ続ける。さらに、小線源療法は、分割して行わなければならない、すなわち後続の通院で複数回繰り返さなければならない場合があり、この分割治療は有効性がより高く毒性がより低い。これは、この苦痛な処置を患者に対して複数回行わなければならないことを意味する。患者が耐えられる限度というものがあるため、分割治療は制限しなければならず、外部放射線療法後の治療部位を改善する(boost)にすぎないと考えられ得る。患者にとって外傷性が低く使いやすい小線源療法を実施する方法を開発する必要がある。
【0005】
本発明は、治療中の患者の不快感及びストレスの問題を克服し且つ分割治療を容易にする、カテーテル小線源療法を実施する新規方法及びキットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、被験者にカテーテル小線源療法を施すキットであって、
−近位端2及び遠位端3を有する医療用バルーンカテーテル1であって、膨張ルーメン21が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル1と、
−細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有する、除去可能なインナーチューブ6であって、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6と、
を備える、被験者に小線源療法を施すキットである。
【0007】
本発明の別の実施形態は、被験者に小線源療法を施すキットであって、
−近位端2及び遠位端3を有する医療用バルーンカテーテル1であって、膨張ルーメン21が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、カテーテルチューブ5は、キンク状態から伸びるように構成され、膨張ルーメン21が除去可能なインナーチューブ6を摺動可能に収納することを可能にし、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル1と、
−細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有する、除去可能なインナーチューブ6であって、
−除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6と、
を備える、被験者に小線源療法を施すキットである。
【0008】
本発明の別の実施形態は、被験者に小線源療法を施すキットであって、
−近位端2及び遠位端3を有する医療用バルーンカテーテル1であって、膨張ルーメン21が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、カテーテルチューブ5はキンク可能であり、膨張ルーメン21は、
−除去可能なインナーチューブ6を収納し、且つ
−除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、
医療用バルーンカテーテル1と、
−細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有する、除去可能なインナーチューブ6であって、
−除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6と、
を備える、被験者に小線源療法を施すキットである。
【0009】
本発明の別の実施形態は、バルーン4の膨張を可能にし、且つ膨張時に、上記除去可能なインナーチューブ6が膨張ルーメン21に挿入されると除去可能なインナーチューブ6の開口9近位端7へのアクセスを可能にするために、カテーテルチューブ5の近位端を膨張ポンプに結合するように構成される、膨張継手12をさらに備える、上述のようなキットである。
【0010】
本発明の別の実施形態は、
上記膨張継手12が、
−遠位シール16が配置される遠位ポート14と、
−近位シール15が配置される近位ポート13と、
−弁と動作可能に接続されるポンプ継手17と、
を備え、ポート13、14及びポンプ継手17は、継手12のチャンバ27と流体接続されており、
−遠位ポート14は、カテーテルチューブ5の近位端を受け入れてカテーテルチューブ5の本体に対してシールを形成するように構成され、
−近位ポート13は、除去可能なインナーチューブ6を受け入れて開口9の遠位側で除去可能なインナーチューブ6の本体に対してシールを形成するように構成され、除去可能なインナーチューブ6の近位端が継手12を通過することを可能にする、上述のようなキットである。
【0011】
本発明の別の実施形態は、カテーテルチューブ5の外径が、2mm〜6mmである、上述のようなキットである。
【0012】
本発明の別の実施形態は、カテーテルチューブ5が、除去可能なインナーチューブ6の曲げ剛性よりも低い曲げ剛性を有する、上述のようなキットである。
【0013】
本発明の別の実施形態は、カテーテルチューブ5が、シリコーンゴム又はポリウレタンから作られる、上述のようなキットである。
【0014】
本発明の別の実施形態は、カテーテルチューブ5が、ポリウレタン又はポリウレタン含有化合物から作られる、上述のようなキットである。
【0015】
本発明の別の実施形態は、膨張ルーメン21の直径が、除去可能なインナーチューブ6の外径よりも5%〜20%大きい、上述のようなキットである。
【0016】
本発明の別の実施形態は、カテーテルチューブ5の近位端2と遠位端3との間に、医療用カテーテル1の長手方向伸長を防止する非伸長性コードが配置される、上述のようなキットである。
【0017】
本発明の別の実施形態は、コードが、カテーテルチューブ5の壁の中、外側、又は内側に配置される、上述のようなキットである。
【0018】
本発明の別の実施形態は、カテーテルチューブ5の近位端が、周方向圧力を加えることによって変形を低減するように補強される、上述のようなキットである。
【0019】
本発明の別の実施形態は、上記補強が、
−カテーテルチューブ5の近位端の上に配置されるアウターチューブ、
−カテーテルチューブ5の近位端に挿入されるインナーチューブ、又は
−カテーテルチューブ5の近位端に対する延長部、
を含む、上述のようなキットである。
【0020】
本発明の別の実施形態は、医療用カテーテル1が、カテーテルチューブ5の長さの少なくとも一部に沿って記される可視目盛を備える、上述のようなキットである。
【0021】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6の壁が、0.1mm〜0.4mmの厚さを有する、上述のようなキットである。
【0022】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6の曲げ剛性が、カテーテルチューブ5の曲げ剛性よりも高い、上述のようなキットである。
【0023】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6の近位端が、周方向圧力を加えることによって変形を低減するように補強される、上述のようなキットである。
【0024】
本発明の別の実施形態は、上記補強が、
−近位端に又は該近位端に向かって除去可能なインナーチューブ6の上に配置される補強アウターチューブ48、
−近位端に又は該近位端に向かって除去可能なインナーチューブ6に挿入される補強インナーチューブ49、又は
−除去可能なインナーチューブ6の近位端に対する補強延長部50、
を含む、上述のようなキットである。
【0025】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6の上に配置される補強アウターチューブ48には、該補強チューブ48の近位端に又は該近位端に向かって環状リッジ51が配置される、上述のようなキットである。
【0026】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6が、その長さの少なくとも一部に沿って記される可視目盛を備える、上述のようなキットである。
【0027】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6の曲げ剛性が、カテーテルチューブ5の曲げ剛性よりも1%〜60%高い、上述のようなキットである。
【0028】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6が、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、又はポリエチレンで作られる、上述のようなキットである。
【0029】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6が、ポリイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、又はポリエチレンで作られる、上述のようなキットである。
【0030】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6の線源ワイヤルーメン22の直径が、0.5mm〜1.9mmである、上述のようなキットである。
【0031】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6が、医療用バルーンカテーテル1よりも3cm〜90cm長い、上述のようなキットである。
【0032】
本発明の別の実施形態は、鼻咽頭経路を経由した被験者への挿入時にカテーテルチューブ5に剛性を与えるために、膨張ルーメン21に対して挿入及び除去されるように構成される除去可能なプッシャワイヤ11をさらに備える、上述のようなキットである。
【0033】
本発明の別の実施形態は、上記プッシャワイヤ11が、除去可能なインナーチューブ6の曲げ剛性よりも高い曲げ剛性を有する、上述のようなキットである。
【0034】
本発明の別の実施形態は、膨張ポンプ30をさらに備える、上述のようなキットである。
【0035】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテルが、鼻咽頭経路を経由して食道に挿入されるように構成される、上述のようなキットである。
【0036】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテルが、頸部経路を経由して子宮腔に挿入されるように構成される、上述のようなキットである。
【0037】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテルが、乳房の切開部又は針穿刺部を経由して乳房組織に挿入されるように構成される、上述のようなキットである。
【0038】
本発明の別の実施形態は、被験者にカテーテル小線源療法を施す方法であって、
−鼻咽頭経路を経由して被験者の食道に収縮した医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、該医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、収縮した医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入することであって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、被験者にカテーテル小線源療法を施す方法である。
【0039】
本発明の別の実施形態は、被験者にカテーテル小線源療法を施す方法であって、
−被験者における進入点を通して医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、該医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、カテーテルチューブ5は、キンク状態から伸びるように構成され、膨張ルーメン21が除去可能なインナーチューブ6を摺動可能に収納することを可能にし、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入することであって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、被験者にカテーテル小線源療法を施す方法である。
【0040】
本発明の別の実施形態は、被験者にカテーテル小線源療法を施す方法であって、
−被験者における進入点を通して医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、該医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、カテーテルチューブ5はキンク可能であり、膨張ルーメン21は、
−除去可能なインナーチューブ6を収納し、且つ
−除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、
医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入することであって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、除去可能なインナーチューブ6はキンク可能ではなく、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、被験者にカテーテル小線源療法を施す方法である。
【0041】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1に一時的な剛性を与えるために、医療用バルーンカテーテル1を体内で前進させる前に、プッシャワイヤ11が膨張ルーメン21に挿入される、上述のような方法である。
【0042】
本発明の別の実施形態は、鼻咽頭経路を経由した被験者の食道への医療用バルーンカテーテル1の挿入後及び膨張ルーメン21への除去可能なインナーチューブ6の挿入前に、上述のような膨張継手12が、カテーテル1の近位端2においてカテーテルチューブ材5に結合される、上述のような方法である。
【0043】
本発明の別の実施形態は、膨張継手12が、膨張ルーメン21への除去可能なインナーチューブ6の挿入後に、除去可能なインナーチューブ6の近位端7にさらに結合される、上述のような方法である。
【0044】
本発明の別の実施形態は、膨張継手12が、除去可能なインナーチューブ6の抜去後に、医療用バルーンカテーテル1から除去される、上述のような方法である。
【0045】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1の近位部分が、体への挿入後及び/又は治療セッション間に患者の体に絆創膏で固定される、上述のような方法である。
【0046】
本発明の別の実施形態は、治療が分割される、上述のような方法である。
【0047】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1が、3日間〜21日間にわたってその場に残される、上述のような方法である。
【0048】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1が、食道に小線源療法を施すために、鼻咽頭経路を経由して被験者の食道に挿入される、上述のような方法である。
【0049】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1の近位部分が、鼻咽頭経路を経由した挿入後及び/又は治療セッション間に患者の鼻に絆創膏で固定される、上述のような方法である。
【0050】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1が、子宮腔に小線源療法を施すために、頸部経路を経由して被験者の子宮腔に挿入される、上述のような方法である。
【0051】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1の近位部分が、頸部経路を経由した挿入後及び/又は治療セッション間に頸部の出口に縫合糸で固定される、上述のような方法である。
【0052】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1が、乳房に小線源療法を施すために、乳房の切開部を経由して被験者の乳房組織に挿入される、上述のような方法である。
【0053】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1の近位部分が、切開部を経由した挿入後及び/又は治療セッション間に乳房から出る場所に絆創膏で固定される、上述のような方法である。
【0054】
本発明の別の実施形態は、上述のようなキットを使用する、上述のような方法である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】膨張ルーメン及び膨張ルーメンと流体連通する2つの膨張可能なバルーンを有する細長いカテーテルチューブを備える、医療用バルーンカテーテルの断面図を示す。
【図2】細長い本体、開口近位端、閉鎖遠位端、及び内部に延びる線源ワイヤルーメンを有する、除去可能なインナーチューブの断面図を示す。
【図3】鼻咽頭経路を経由した被験者への挿入時にカテーテルチューブに剛性を与えるために、膨張ルーメンに対して挿入及び除去されるように構成されるプッシャワイヤの概略図を示す。
【図4】細長いカテーテルチューブの膨張ルーメンに挿入されたプッシャワイヤの図を示す。
【図5】細長いカテーテルチューブの膨張ルーメンに挿入された除去可能なインナーチューブの図を示す。
【図6】バルーンの膨張を可能にするためにカテーテルチューブの近位端を膨張ポンプに結合するように構成される膨張継手の断面図を示す。
【図7】除去可能なインナーチューブの開口端へのアクセスを可能にしつつ膨張ルーメンをシールする、カテーテルチューブの近位端に取り付けられた膨張継手の断面を示す。膨張継手にはポンプが取り付けられている。バルーンは膨張している。
【図8】カテーテルチューブの近位端に取り付けられた膨張継手、及び除去可能なインナーチューブの線源ワイヤルーメンに挿入された線源ワイヤの断面図を示す。バルーンは膨張している。
【図9】ポートにねじ込み継手が配置されている、膨張継手の断面図を示す。
【図10】補強アウターチューブが配置されている、細長いカテーテルチューブ5の近位端の断面図を示す。
【図11】補強インナーチューブが配置されている、細長いカテーテルチューブ5の近位端の断面図を示す。
【図12】補強チューブで延長されている、細長いカテーテルチューブ5の近位端の断面図を示す。
【図13】補強アウターチューブが配置されている、除去可能なインナーチューブの近位端の断面図を示す。
【図14】補強インナーチューブが配置されている、除去可能なインナーチューブの近位端の断面図を示す。
【図15】補強チューブで延長されている、除去可能なインナーチューブの近位端の断面図を示す。
【図16】環状リッジを有する補強アウターチューブが配置されている、除去可能なインナーチューブの近位端の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
別段の定義がない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語及び科学用語は、当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。本明細書で参照されるすべての公報が、参照により本明細書に援用される。本明細書で参照されるすべての米国特許及び特許出願の、図面を含む全体が、参照により本明細書に援用される。
【0057】
冠詞「a」及び「an」は、その冠詞の文法上の対象の1つ、又は2つ以上、すなわち少なくとも1つを指すために本明細書では用いられる。例として、「alumen」は、1つのルーメン又は2つ以上のルーメンを意味する。
【0058】
端点による数値範囲の記載は、全整数と、必要に応じてその範囲内に包含される端数とを含む(例えば、1〜5は、例えばルーメンの数を指す場合は1、2、3、4を含むことができ、例えば測定値を指す場合は1.5、2、2.75、及び3.80も含むことができる)。端点の記述は、その端点値自体も含む(例えば、1.0〜5.0は、1.0及び5.0の両方を含む)。
【0059】
本発明は、被験者にカテーテル小線源療法を施すための、特に分割(複数回投与)治療のためのキット及び方法に関する。これは、カテーテル小線源療法の感受性が高い内部癌、特に食道癌、子宮癌、又は乳癌の治療に適している。これは、腔内又は組織内小線源療法に特に適している。本発明は、鼻(食道癌)、膣(子宮癌)、又は皮膚穿刺部又は切開部(乳癌)等の治療用の進入点を通して非常に可撓性の高いチューブを導入し、放射線治療期間中にチューブを一時的に強化及び補剛し、続いて放射線療法セッション間に快適な装着感を与える通常の可撓性にチューブを戻すことに基づく。チューブの可撓性は、損傷なくキンクすることができる(すなわち、キンク可能)か又は低いプッシャビリティを示すようなものであるため、曲げに対する抵抗をほとんど又は全く与えず、したがって、チューブは、例えば治療後及び治療から次の治療までの間に快適に装着することができ、例えば皮膚にテープで留めることができる。この可撓性チューブには、膨張可能なバルーンも配置されることで、チューブが食道又は子宮等の内部空間を占めること、又は乳房組織内等に空間を作ることが可能になる。重要なことに、本発明は、可撓性チューブのルーメンに剛性のより高いインナーチューブを一時的に導入することによって可撓性チューブを強化及び補剛することを可能にし、このインナーチューブは、放射性源ワイヤの挿入用の別個のルーメンを含む。この構成は、放射線療法の効果的な投与のための乾燥した線源ワイヤルーメンを提供し、治療領域に対して均等な線量の放射線を維持し、且つ患者に高い快適度を与える。
【0060】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態は、被験者にカテーテル小線源療法を施すキットであって、
−近位端2及び遠位端3を有する医療用バルーンカテーテル1であって、膨張ルーメン21が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル1と、
−細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有する、除去可能なインナーチューブ6であって、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6と、
を備える、被験者にカテーテル小線源療法を施すキットである。
【0061】
本発明の別の実施形態は、食道に小線源療法を施す方法であって、
−鼻咽頭経路を経由して被験者の食道に収縮した医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、該医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、収縮した医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入すること(図5)であって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること(図7)、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること(図8)、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、食道に小線源療法を施す方法である。
【0062】
本明細書に記載のキット及び方法は、鼻咽頭経路を経由して食道の小線源療法を開始することを可能にする。医療用バルーンカテーテルは、後述するような可撓性の本体を有し、非専門家でも鼻咽頭経路を経由して食道に挿入することができる。通常は口腔手術後に被験者に栄養供給する場合の、栄養(feeding)チューブの挿入は、訓練を追加しなくても看護師が実施することができる技法であることは、当該技術分野において既知である。したがって、同じ経路を用い且つ同様の可撓性を有する本発明のカテーテルは、看護師等の非専門家が同じ技法を用いて挿入することができる。これは、訓練を受けた胃腸科専門医によってキット及び方法が利用されなければならないような、また大きなアプリケータを挿入するのに内視鏡及びガイドワイヤの使用を必要とする従来技術に勝る改良点である。非専門家が治療の大部分を行うことができるようにすることによって、本発明は、胃腸科専門医の時間及び処置の費用を節約する。この利益に加えて、患者の体験も改善される。すなわち、鎮静せずに処置に耐えることができ、不快感を伴わずに長期間にわたってカテーテルが別個に装着される。
【0063】
本発明の別の実施形態は、子宮の内壁に小線源療法を施す方法であって、
−頸部経路を経由して被験者の子宮に収縮した医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、カテーテルチューブ5は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、収縮した医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入すること(図5)であって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること(図7)、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること(図8)、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、子宮の内壁に小線源療法を施す方法である。
【0064】
医療用バルーンカテーテルは、後述するような可撓性の本体を有し、非専門家によって子宮頸を経由して子宮に挿入することができる。子宮腔内への子宮計の挿入が、訓練を追加しなくても放射線腫瘍医が実施することができる技法であることは、当該技術分野において既知である。したがって、同じ経路を用い且つ同様の可撓性を有する本発明のカテーテルは、放射線腫瘍医等の非専門家が同じ技法を用いて挿入することができる。これは、訓練を受けた婦人科医によってキット及び方法が利用されなければならないような、また大きなアプリケータの挿入を必要とする従来技術に勝る改良点である。非専門家が治療の大部分を行うことができるようにすることによって、本発明は、婦人科医の時間及び処置の費用を節約する。この利益に加えて、患者の体験も改善される。すなわち、この手法は、分割治療を可能にし、不快感を伴わずに長期間にわたってカテーテルが別個に装着される。
【0065】
本発明の別の実施形態は、乳房切除腔に小線源療法を施す方法であって、
−乳房腫瘍を除去した(例えば乳房温存手術)後の被験者の乳房切除腔に収縮した医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、収縮した医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入すること(図5)であって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること(図7)、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること(図8)、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、乳房切除腔に小線源療法を施す方法である。
【0066】
医療用バルーンカテーテルは、手術痕を経由して又は皮膚を通して乳房切除腔に挿入することができる。不快感を伴わずに長期間にわたってカテーテルが別個に装着される。
【0067】
装置の装着、挿入、及び抜去を容易に行うことができることで、長期的な分割根治治療が可能となる。1日当たりの放射線量(radioactive dose)を低減することができ、例えば10回〜30回の複数の治療セッションで治療から次の治療までの間隔を大きくとって(例えば、1日)照射することができる。放射線量を低減した分割治療は、組織への損傷を減らすことにより、瘢痕化(線維症及びその後の狭窄)の可能性を減らす。食道癌の場合、これは、遅発性の線維症に起因する食道管の閉鎖を防止することができる。対照的に、従来の治療は、患者がアプリケータの挿入及び装着のストレス及び不快感から数回(例えば、3回〜5回)以上の治療に耐えられないため、各セッションで高線量を照射しなければならない。その結果、食道管の狭窄(線維症に起因する)が従来技術ではよく見られる。
【0068】
分割(複数回、例えば5回〜30回)治療は、1回〜3回の治療における高線量の照射と比較して組織の忍容性が高い。例えば、外部放射線療法(50Gy)後のブーストを、週2回3×5Gy、総線量15Gyで、又は10回のセッションで20Gyを与えることにより、与えることができる。患者が手術を受けない場合、10×2Gyではなく3×5Gyを与えることによって線維症及び狭窄の危険が高くなる。これは、例えば食道内腔を広げるために患者が後で定期的に拡張術を受けなければならなくなることを意味する。これは、外傷性があり苦痛である。
【0069】
食道小線源療法用の従来技術のGerard−Bonvoisinプローブ(Nucletron,Veenendael, The Netherlands)は、1回〜3回の治療セッションを可能にし得るが、これは、従来の浅麻酔下にある半意識状態の患者でさえも非常に厳しく外傷的であると感じるであろう。はるかに外傷性の低い本発明のシステムは、線量増加の可能性を改善するとともに食道癌を患う患者の治癒率を向上させる外来分割治療を可能にする。例えば、分割小線源療法を用いた20Gyの照射が実行可能となり、食道癌治療の手法を大幅に改善する。
【0070】
手術を受ける患者の場合、化学療法及び外部放射線療法に小線源療法を加えることで、病理標本上の生存癌細胞の全滅率(total eradication)が高まる。食道癌を扱う多くの臨床試験において、放射線化学療法に対する完全奏効者のみが長期間生存することが示されているため、食道癌治療の治癒率を高めるために、おそらく本発明を用いて完全奏効者の割合を今日の30%〜50%から50%〜70%に上昇させる必要がある。
【0071】
緩和治療の場合、使いやすい分割小線源療法は、この極めて侵攻性の高い疾患での無進行期間を増やすために、例えば食道内ステントと組み合わせて付加的な手段となる。
【0072】
「遠位」及び「近位」という用語は、本明細書を通して用いられ、装置の外科医側に近いこと(近位)又は外科医側から遠いこと(遠位)を意味するように当該分野において概して理解される用語である。したがって、「近位」は、外科医側に近いこと、したがって患者側から遠いことを意味する。逆に、「遠位」は、患者側に近いこと、したがって外科医側から遠いことを意味する。
【0073】
近位端2及び遠位端3を有する医療用バルーンカテーテル1(図1)は、膨張ルーメン21が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備える。医療用カテーテル1の遠位端はシールされる。
【0074】
医療用バルーンカテーテル1は、細長いカテーテルチューブ5から形成される可撓性の尾部によって遠位端3において延長することができ、この延長尾部は、装置が食道癌の治療に用いられる場合に安定用長手方向アンカとして働くことができる。尾部は、食道壁に対して固定されることで、医療用カテーテル1が咳又はくしゃみによって被験者から放出される可能性を減らす。
【0075】
医療用バルーンカテーテル1のサイズは、適当な通路、例えば鼻咽頭経路、膣経路、及び頸部経路を通して、又は皮膚穿刺部を通して導入するのに十分な細さである。これは、キンク時に損傷を受けないほど十分に可撓性があり、治療部位に前進させるために必要なプッシャビリティ自体を有さない。これらは、詳細に後述する細長いカテーテルチューブ5及びバルーン4、4’の特性によって決まる。
【0076】
医療用バルーンカテーテル1の設計は、プッシャワイヤを用いた挿入、抜去、及び装着を容易にすることが有利である。装着の際、カテーテルチューブ5の近位端は、皮膚に固定され、例えば、食道治療の場合、接着ストリップ、特に低刺激性接着ストリップを用いて鼻孔に固定されて鼻孔及び/又は頬の周りでキンクされ得る。鼻孔への固定により、バルーン領域に対応する医療用カテーテル1の治療部の安定した正確な位置決めが得られる。装着中キンクしているこの固定部分は、除去インナーチューブ6の挿入を進めて線源導入を可能にするために各治療セッション前に定期的に伸ばされ又は「キンクを解かれ」得る。皮膚への固定は、カテーテルが体から出る地点において、他の癌の治療と同様に施すことができる。
【0077】
医療用バルーンカテーテル1は、開口近位端2が設けられる細長いカテーテルチューブ5(図1)を備え、開口近位端2は、チューブの長手方向の長さに延びる膨張ルーメン21へのアクセスを提供する。近位端は、除去可能なインナーチューブ6の挿入のため及びプッシャワイヤ11の挿入のために、膨張流体を入れることができる開口を提供する。
【0078】
膨張ルーメン21には、カテーテルチューブ5の遠位端3に向かって位置付けられる少なくとも1つの膨張可能なバルーンが流体連通する。膨張ルーメン20は、カテーテルチューブ5の壁にある複数の孔30を介して少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’と流体連通し得る。膨張ルーメン21を通して生理食塩水等の膨張流体を加えることで、少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’が開き、半径方向に拡張して食道壁と接触することができるようになる。
【0079】
細長いカテーテルチューブ5は、遠位バルーン(複数可)の遠位側の直近で終わり得るか、又はこのバルーン(複数可)の遠位の方向にさらに延び得ることで、食道壁に対する安定用長手方向アンカとして働くことができる延長尾部を医療用バルーンカテーテル1に与え得る。尾部は、医療用カテーテル1が咳又はくしゃみによって被験者から放出される可能性を減らす。細長いカテーテルチューブ5の遠位端はシールされる。
【0080】
細長いカテーテルチューブ5の直径は、適当な通路、例えば鼻咽頭経路、膣経路、及び頸部経路を通して、又は皮膚穿刺部を通して導入するのに十分な細さである。細長いカテーテルチューブ5は、柔軟(flaccid:弛緩性)又はキンク可能であるものとして述べられ得る。これは、プッシャビリティ、すなわち、治療部位への進入点を通して、例えば適当な通路、例えば鼻咽頭経路、膣経路、及び頸部経路を通して、又は皮膚穿刺部を通して前進させるためにカテーテルの近位端から遠位端に力を伝達する能力が不十分である。キンク可能又は柔軟であることは、例えば管形の壁の圧潰を引き起こしてキンク又は皺として知られる折り目を生じさせる程度まで、少なくとも半分にこれを折り曲げることができることを意味する。キンクは、細長いカテーテルチューブ5の長手方向軸に交差する。細長いカテーテルチューブ5にはキンク可能な性質があるため、チューブを伸ばすことで、細長いカテーテルチューブ5の壁に損傷を与えることなくキンクが除去される。より重要なことに、細長いカテーテルチューブ5の完全性及び寸法、特に膨張ルーメン21の完全性及び寸法に影響がないため、除去可能なインナーチューブの挿入がキンクにより損傷を受けた壁によって妨げられることがない。したがって、伸びた又はキンクを解いた状態の膨張ルーメン21が除去可能なインナーチューブ6を摺動可能に収納することができるように、細長いカテーテルチューブ5は、細長いカテーテルチューブ5の壁に損傷を与えることなく折り曲げられ得る。すなわち、除去可能なインナーチューブ6は、実質的に支障なくキンクの位置を通過して前進することができる。細長いカテーテルチューブ5は、キンク時に損傷を受けないほど十分に柔軟である。これは、蛇行路を通した操縦に十分な可撓性と、良好なプッシャビリティ、すなわちカテーテルの近位端から遠位端に力を伝達する能力を与えるのに十分な剛性とを通常は提供する、キンク不可能な材料から作られる普通のカテーテルチューブ材から逸脱している。しかしながら、従来技術のそのようなチューブ材は、チューブの壁に損傷を与えずにキンクに耐えることができない。さらに、従来技術のそのようなカテーテルは、硬すぎて長期の快適な装着に向かない。「キンク可能」及び「キンク不可能」という用語は、当該分野において既知である。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、チューブの可撓性は、比較的測定しやすい特性、例えばチューブの断面直径及び1つ又は複数の材料の弾性(ヤング)係数Eに関して述べられる。チューブが単一の材料から成る場合、可撓性は、曲げ軸に関する断面の慣性モーメントIとヤング係数Eとの積の逆数として定義され得る。積EIは、科学文献において梁の「曲げ剛性」として知られている。単一の材料の円形ワイヤの場合、慣性モーメントIはπd4/64であり、式中、dはチューブの外径である。したがって、曲げ剛性はEI=πEd4/64となる。これは、或る点でのチューブの可撓性を定義する。したがって、EIを2倍にするとチューブの剛性が2倍になると言われている。
【0082】
チューブの一端を固定して保持し、均一な断面を有する他端においてチューブ軸に対して垂直に既知の重量又は力を加えることにより、原軸である直線軸からの撓みは、可撓性に比例、すなわちチューブの曲げ剛性に反比例する。撓みは、加わる力又は重量並びに試験される長さの3乗にも比例する。したがって、既知の撓みを引き起こすのに必要な既知の荷重又は力に対応する撓みを、チューブの可撓性又は曲げ剛性の直接的な尺度として用いることができる。撓みの試験は、例えば、参照により本明細書に援用される欧州特許第1666083号に記載されている。
【0083】
本発明の一態様によれば、カテーテルチューブ5のグラムでの曲げ剛性は、除去可能なインナーチューブ6の曲げ剛性よりも低い。カテーテルチューブ5の曲げ剛性は、除去可能なインナーチューブ6の曲げ剛性よりも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、又は80%以上、若しくは上記値の任意の2つの間の値以上低くてもよい。好ましくは、カテーテルチューブ5のグラムでの曲げ剛性は、除去可能なインナーチューブ6の曲げ剛性よりも1%〜60%低い。
【0084】
上述のように、カテーテルチューブ5は、被験者の進入点を通して治療部位まで前進させるのに必要なプッシャビリティを有し得ない。本発明の一態様によれば、カテーテルチューブ5のプッシャビリティは、除去可能なインナーチューブ6のプッシャビリティよりも低い。除去可能なインナーチューブ6は、この場合はカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21を通して前進させるのに十分なプッシャビリティを提供するという点で、当該技術分野のカテーテルチューブ材によりよく見られるものである。
【0085】
本発明の別の態様によれば、カテーテルチューブ5は、機械力(例えば、引張、圧縮)を加えると変形し力を除去すると以前の形状に戻ることを可能にする形状回復性を有する。この特性は、カテーテルチューブ5を損傷なく曲げ且つキンクさせること、より詳細には、ルーメン21の完全性を維持して除去可能なインナーチューブ6を実質的に支障なく通過させることを可能にする。除去可能なインナーチューブ6等の低い形状回復性を示すチューブ材では、それを曲げることで、線源ワイヤルーメン22に永久的な損傷を与えるとともに線源ワイヤ19の自由な通過を阻止又は妨害する折り目キンクが生じる。
【0086】
カテーテルチューブ5は、膨張圧力に耐えるのに十分な強度を伴って必要特性(例えば、キンク不可能な低い/不十分なプッシャビリティ等)を提供する任意の適当な材料から作られ、生体適合性がある。適当な材料は、ポリウレタン又はポリウレタン含有化合物等、当該技術分野において既知であるがこれらに限定されない。
【0087】
カテーテルチューブ5の膨張ルーメン21の直径は、除去可能なインナーチューブ6を収容するように構成される。カテーテルチューブ5の膨張ルーメン21の直径は、除去可能なインナーチューブ6を容易に前進させ且つ膨張ルーメン21から除去することができるように、除去可能なインナーチューブ6の外径よりも十分に大きくすべきである。概して、膨張ルーメン21の直径は、除去可能なインナーチューブ6の外径よりも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%大きい。
【0088】
本発明の一態様によれば、膨張ルーメン21の直径は、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2.0mm、2.2mm、2.4mm、2.6mm、2.8mm、3.0mm、3.2mm、3.4mm、3.6mm、3.8mm、4.0mm、又は上記値の任意の2つの間の値、好ましくは1.4mm〜2.8mmである。
【0089】
本発明の一態様によれば、カテーテルチューブ5の壁は、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、又は上記値の任意の2つの間の値、好ましくは0.1mm〜0.4mmの厚さを有する。
【0090】
本発明の一態様によれば、カテーテルチューブ5の外径は、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、又は上記値の任意の2つの間の値、好ましくは3mm〜4mmである。
【0091】
本発明の一態様によれば、カテーテルチューブ5は、近位端2から第1の近位側バルーン4まで単体のチューブ材から形成される。本発明の一態様によれば、カテーテルチューブ5は、近位端2から最後の遠位側バルーン4’まで単体のチューブ材から形成される。
【0092】
本発明の一態様によれば、カテーテルチューブ5は、周方向圧力を加えることによって変形を防止又は低減するように近位端2において補強され、そのような周方向圧力は、後述の膨張継手によって加えられ得る。カテーテルチューブ5は、例えばニチノール(nitenol)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のアウターチューブの使用によって近位端における壁の厚さを増加することによって補強され得る。この実施形態は、図10に示されており、この場合、ニチノール又はPEEKのチューブ45がカテーテルチューブ5の外側に同軸配置で取り付けられる。代替的に、カテーテルチューブ5は、例えばニチノール又はPEEKのインナーチューブの使用によって近位端における壁の厚さを増加することによって補強され得る。この実施形態は、図11に示されており、この場合、ニチノール又はPEEKのチューブ46がカテーテルチューブ5の膨張キャビティ21に同軸配置で挿入される。代替的に、カテーテルチューブ5は、接着又は溶接によってカテーテルチューブの近位端に接合する延長チューブ材によって補強されてもよく、この延長チューブ材は、編組チューブ材、ニチノール又はPEEKチューブ材等の必要な周方向圧縮強度を有するチューブ材から作られる。この実施形態は、図12に示されており、この場合、ニチノール又はPEEKのチューブ47がカテーテルチューブ5の近位端に取り付けられる。そのような延長片は、当該技術分野において一般的に用いられており、そのような延長片を含むように本発明を適合させることは、十分に当業者の実施の範囲内である。補強は、カテーテルチューブ5の歪みを防止することによって、カテーテルチューブ5の壁に加わる周方向圧力を用いてシールする膨張継手への取り付けを容易にする。補強部品45、46、47の長さは、0.5cm〜5cmであり得る。
【0093】
本発明の一態様によれば、医療用カテーテル1又はカテーテルチューブ5の近位端と遠位端との間に非伸長性のコードが配置されているか、又はこのコードが、特に除去可能なインナーチューブ6の導入又は除去時に医療用カテーテル1又はカテーテルチューブ5の長手方向伸長を防止する。コードは、カテーテルチューブ5の壁の中、外側、又は内側に設けて、医療用カテーテル1の少なくとも近位端2及び遠位端3に取り付けることができる。コードは、線源導入を可能にする除去可能なインナーチューブ6の導入時に医療用カテーテル1に一定の長さを与える。好ましくは、コードは、ステンレス鋼、チタン、白金、ニッケル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PEEK、又は他の適当な生体適合性材料から作られる。
【0094】
本発明の一態様によれば、医療用カテーテル1は、カテーテルチューブ5の壁の長さの少なくとも一部に沿って記される可視目盛を備える。目盛は、バルーン4、4’、又は他の遠位部分が治療対象領域と一致するように、例えば鼻孔縁に対する医療用カテーテル1の挿入に必要な長さをユーザが特定することを可能にし得る。目盛は、予め決められた深さに挿入することによって、例えば分割治療時に後続の医療用カテーテル1を挿入して正しく位置合わせすることも可能にすることにより、その後の挿入時にボディスキャナの必要をなくす。本発明の一態様によれば、目盛は、医療用カテーテル1の近位側2の半分にある。本発明の別の態様によれば、目盛は、規則的な数字表示を用いてセンチメートル単位で記される。
【0095】
カテーテル1及び除去可能なインナーチューブ6は、同軸組立体を利用しているが、バルーン(複数可)を膨張させるための別個の膨張ルーメンと、除去可能なインナーチューブ6、プッシャワイヤ11、及び線源ワイヤ19を保持する機能を果たす1つ又は複数の別個のルーメンとを提供する、マルチルーメン設計を利用することが可能であることを理解すべきである。
【0096】
カテーテルチューブ5の設計は、挿入、抜去、及び装着を容易にすることが有利である。装着の際、カテーテルチューブ5の近位端は、接着ストリップ、特に低刺激性接着ストリップを用いて鼻孔に固定されて鼻孔及び/又は頬の周りでキンクされ得る。固定により、バルーン領域に対応する医療用カテーテル1の治療部分の安定した位置決めが得られる。この固定部分は、除去インナーチューブ6の挿入を進めて線源導入を可能にするために各治療セッション前に定期的に「キンクを解かれ」得る。
【0097】
医療用カテーテル1には、細長いカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通する1つ又は複数の(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個の)バルーン4、4’が設けられる。1つ又は複数のバルーン4、4’(別段の指示がない限り、本明細書では「バルーン」と呼ぶ)は、半径方向に拡張して治療を受ける血管又は組織の壁に接触する膨張可能な部材である。そのようなバルーンは、当該技術分野において既知である。食道癌の場合、バルーンの機能は、食道内腔を満たして医療用カテーテル1をバルーンの領域で食道の中心軸と位置合わせすることであるため、放射線量が食道壁に均等に供給される。子宮癌の場合、バルーンの機能は、子宮腔を満たして医療用カテーテル1をバルーンの領域で子宮腔の中心と位置合わせすることであるため、放射線量が子宮壁に均等に供給される。乳癌の場合、バルーンの機能は、乳房組織の腫瘍切除腔を満たして医療用カテーテル1をバルーンの領域で作られた切除腔の中心と位置合わせすることであるため、放射線量が乳房組織の周囲壁に均等に供給される。使用の際、バルーンは、放置すれば増殖し続けるであろう細胞に放射線量が影響を及ぼすことを可能にするのに十分な時間にわたって、その拡張状態(図7、図8)に保持される。好ましくは、十分な放射線量を約1分〜約60分照射して癌を治療することができる。バルーンは、その拡張状態で、食道壁に押し当たるか又は少なくとも近接し、そうすることで放射線源を中心合わせする。この放射線源の中心合わせは、組織又は血管のすべての部分ができる限り均一に且つできる限り均等な量で放射線を受けるようにするのに重要である。また、中心合わせは、放射線熱傷又はホットスポットが標的領域の部分で発生するのを防止するのに役立つ。
【0098】
非膨張状態のバルーン4、4’は、バルーンの長手方向中心軸の周りで周方向に互いに離間した複数の半径方向及び軸方向に延びる「ウィング」として設けられ得る。ウィングは、所望の方法で横方向に巻くか又は折り畳むことができる。折り畳んだバルーンの周りに弾性スリーブを配置してもよい。バルーン4、4’は、食道の内壁に接触する程度まで本質的に半径方向に膨張するように構成される。バルーン4、4’は、膨張及び収縮した後で比較的小型の断面で折り畳み直されるように構成され得る。この特徴は、収縮したカテーテルの患者からの抜去を容易にする。
【0099】
本発明の一態様によれば、非膨張状態のバルーン4、4’の外径は、3mm、4mm、5mm、6mm、又は上記値の任意の2つの間の値、好ましくは3mm〜4mmである。
【0100】
本発明の一態様によれば、膨張状態のバルーン4、4’の外径は、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、31mm、32mm、33mm、34mm、35mm、36mm、37mm、38mm、39mm、40mm、41mm、42mm、43mm、44mm、45mm、46mm、47mm、48mm、49mm、50mm、又は上記値の任意の2つの間の値、好ましくは10mm〜50mmである。食道癌の治療の場合、膨張状態のバルーン4、4’の外径は、10mm〜35mmであることが好ましい。子宮癌の治療の場合、膨張状態のバルーン4、4’の外径は、15mm〜35mmであることが好ましい。乳癌の治療の場合、膨張状態のバルーン4、4’の外径は、30mm〜50mmであることが好ましい。
【0101】
バルーン4、4’は、ポリウレタン、シリコーン、ラテックス、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、又はポリアミド等の弾性材料から作られる。拡張カテーテルで用いられる従来のバルーン材料は、カテーテルでの使用に適したものである。材料の組成に変化を加えて特性を変えることができる。
【0102】
バルーン4、4’は、当該技術分野の任意の既知の技法を用いて細長いカテーテルチューブ5に取り付けられ得る。例えば、一般的に用いられる技法は、チューブ材の短片を用いて細長いカテーテルチューブ5の上にバルーンを結合するようなものである。一例は、細長いカテーテルチューブ5の上にバルーンを結合する熱収縮チューブ材である。別の技法は、細長いカテーテルチューブ5の上でチューブ材を溶融すること、又は細長いカテーテルチューブ5の上にチューブ材を糊付けすること、又は細長いカテーテルチューブ5の上にチューブ材を溶接することである。細長いカテーテルチューブ5は、サンドブラスト又はレーザ彫刻で細長いカテーテルチューブ5の結合面を粗面化又は改質することによって、チューブ材を取り付けるいずれかの技法を受けるように準備されることが多い。
【0103】
バルーン4、4’には、放射線不透過性マーカが設けられ得る。放射線不透過性マーカは、体内の所望の場所でのバルーンの位置決めを容易にするために、バルーン付近の(例えば、バルーンの各軸端に隣接した)所定の場所に設けられ得る。
【0104】
除去可能なインナーチューブ6(図2)は、線源ワイヤを収容してカテーテル1内の治療点に案内するための乾燥したルーメンを提供する。除去可能なインナーチューブ6は、内部に延びる線源ワイヤルーメン22を備える細長いチューブであり、このルーメンは、遠位端8においてシール10される。除去可能なインナーチューブ6の遠位端8は、例えば丸みのある非外傷性先端を有する。除去可能なインナーチューブ6は、近位端7に開口9が開いており、線源ワイヤ19によるルーメン22へのアクセスを提供する。重要なことに、線源ワイヤルーメン22は、遠位端8のシール10により膨張流体でのバルーンの膨張時に乾燥したままとなる。
【0105】
除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21に導入されるのに十分なほど小さな外径、膨張ルーメン21の制限内で鼻咽頭経路の蛇行路をめぐって操縦されるのに十分な可撓性、及びプッシャビリティを与えるのに十分な剛性を有する。除去可能なインナーチューブ6は、キンク不可能又は非柔軟であるものとして述べられ得る。キンク不可能又は非柔軟であることは、除去可能なインナーチューブ6をキンクさせると必ずチューブ6の壁が損傷を受けることを意味する。上述のように、管形の壁の圧潰を引き起こすようにチューブを折り曲げるとキンクが形成されて、キンクとして知られる折り目を生じさせる。キンクによって生じる損傷は、1つ又は複数の応力の跡をもたらす。さらに、線源ワイヤルーメン22は、キンク後に制限を受けることにより、線源ワイヤ19の適切な挿入を阻止することになる。線源ワイヤルーメン22を通して線源19を前進させるアフターローディング装置(afterloading machines)は、カテーテル内の抵抗に敏感である。チューブのキンク後にアフターローディング装置が抵抗を検出した場合、線源が妨害されて自動的に抜去されることになる。したがって、除去可能なインナーチューブ6をキンクさせることは避けるべきである。除去可能なインナーチューブ6のキンク不可能な性質は、或る程度の剛性及びプッシャビリティを提供するが、これは、除去可能なインナーチューブ6を線源19の前進によって変形させないようにするのに十分な強度も与える。例えばキンク可能な又は柔軟なチューブで見られるような変形可能な特性は、線源の挿入がチューブの位置の変化を引き起こし得るため、除去可能なインナーチューブにとって不適切である。線源位置は、治療の正確な線量測定を達成するために常に確定されているべきである。除去可能なインナーチューブ6は、上記特性を提供するカテーテルチューブ材で通常用いられる材料から作られる。上述のように、「キンク可能」及び「キンク不可能」という用語は、当該分野において既知である。
【0106】
本発明の一態様によれば、除去可能なインナーチューブ6のグラムでの曲げ剛性は、カテーテルチューブ5の曲げ剛性よりも高い。除去可能なインナーチューブ6の曲げ剛性は、カテーテルチューブ5の曲げ剛性よりも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、又は80%以上、若しくは上記値の任意の2つの間の値以上高くてもよい。好ましくは、除去可能なインナーチューブ6のグラムでの曲げ剛性は、カテーテルチューブ5の曲げ剛性よりも1%〜60%高い。
【0107】
上述のように、除去可能なインナーチューブ6は、被験者の進入点を通して治療部位まで前進させるのに必要なプッシャビリティを有する。本発明の一態様によれば、除去可能なインナーチューブ6のプッシャビリティは、カテーテルチューブ5のプッシャビリティよりも高い。プッシャビリティは、チューブの近位端から遠位端に力を伝達する能力を指す。より詳細には、これは、その軸に沿って縦力が加えられるときのチューブの応答である。小さな撓みの場合、チューブ材特性は、式(1)、すなわち
klong=EA/L (1)
によってばねの縦剛性が求められるばねシステムに近似すると考えられ、式中、klongは縦ばね定数、Eは弾性係数、Aは断面積、Lはチューブの長さである。プッシャビリティを最大にするために、当業者はklongの値を最大にする。チューブのプッシャビリティを最大にする際、チューブの断面積を最大にし、必要な可撓性を依然として提供する剛性材料を用いて弾性係数を最大にし、チューブの全長を減らすことが理解されるであろう。良好なプッシャビリティ特性を必要とする除去インナーチューブ6の場合、キンクがチューブ壁に取り返しのつかないほどの損傷を与えるため、キンクの傾向が低いことが重要な特性である。高度のプッシャビリティが望ましくない細長いチューブ5の場合、キンクの傾向が高くても許容可能である。
【0108】
本発明の別の態様によれば、除去可能なインナーチューブ6は、(非常に薄い肉厚を理由の1つとして)形状回復性をほとんど又は全く有さないため、機械力(例えば、引張、圧縮力)が加わって変形した後に力を除去してもその以前の形状に戻らない。これは、カテーテルチューブ5を損傷なく曲げ且つキンクさせることを可能にする、より詳細には、ルーメン21の完全性を維持して除去可能なインナーチューブ6を通過させることを可能にする、形状回復性を有するカテーテルチューブ5とは異なる。形状回復性が低いことによって、除去可能なインナーチューブ6を曲げて折れ目キンクを形成することは、線源ワイヤルーメン22に永久的な損傷を与えるとともに線源ワイヤ19の自由な通過を阻止又は妨害する。
【0109】
除去可能なインナーチューブ6は、十分な剛性及び強度を伴って所望の特性(キンク不可能なチューブ、良好なプッシャビリティ)を提供する任意の適当な材料から作られ、生体適合性がある。適当な材料は、ポリイミド、PEEK、又はポリエチレン等、当該技術分野において既知である。除去可能なインナーチューブ6をPTFE又はテフロン(登録商標)の層で被覆して、潤滑性を与えてもよい。代替的に、除去可能なインナーチューブ6の先端を油で被覆してもよい。潤滑性は、長さが最長1mであり得るカテーテルの全長で膨張ルーメン21に対して挿入及び抜去するのに役立つ。
【0110】
除去可能なインナーチューブ6の近位端は、放射性源ワイヤ19を供給する放射線アフターローディング装置上のフィッティングに結合することができるアダプタに接続され得る。
【0111】
除去可能なインナーチューブ6の線源ワイヤルーメン22の直径は、放射性源ワイヤ19を容易に前進させ且つ線源ワイヤルーメン22から除去することができるように、放射性源ワイヤ19の直径よりも十分に大きくすべきである。概して、線源ワイヤルーメン22の直径は、放射性源ワイヤ19の直径よりも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%大きい。
【0112】
本発明の一態様によれば、線源ワイヤルーメン22の直径は、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、1.6mm、1.8mm、1.9mm、又は2.0mm、又は上記値の任意の2つの間の値、好ましくは0.5mm〜1.9mm、より好ましくは0.5mm〜1.2mmである。
【0113】
本発明の一態様によれば、除去可能なインナーチューブ6の壁は、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、又は上記値の任意の2つの間の値、好ましくは0.1mm〜0.4mmの厚さを有する。
【0114】
本発明の一態様によれば、除去可能なインナーチューブ6は、除去可能なインナーチューブ6の壁の長さの少なくとも一部に沿って記される可視目盛を備える。目盛は、遠位端8が治療対象領域と一致するように、挿入に必要な除去可能なインナーチューブ6の長さをユーザが特定することを可能にし得る。目盛は、予め決められた深さに挿入することによって、例えば分割治療時に後続の除去可能なインナーチューブ6を挿入して正しく位置合わせすることも可能にすることにより、その後の挿入時にボディスキャナの必要をなくす。本発明の一態様によれば、目盛は、除去可能なインナーチューブ6の近位側7の半分にある。本発明の別の態様によれば、目盛は、規則的な数字表示を用いてセンチメートル単位で記される。
【0115】
本発明の一態様によれば、除去可能なインナーチューブ6は、周方向圧力を加えることによって変形を防止又は低減するように近位端7に又はそこに向かって補強され、そのような周方向圧力は、後述の膨張継手によって加えられ得る。除去可能なインナーチューブ6は、例えばニチノール又はPEEKのアウターチューブの使用によって近位端における又は該近位端に向かう壁の厚さを増加することによって補強され得る。この実施形態は、図13に示されており、この場合、ニチノール又はPEEKのチューブ48が除去可能なインナーチューブ6の外側に同軸配置で取り付けられる。代替的に、除去可能なインナーチューブ6は、例えばニチノール又はPEEKのインナーチューブの使用によって近位端における又は該近位端に向かう壁の厚さを増加することによって補強され得る。この実施形態は、図14に示されており、この場合、ニチノール又はPEEKの補強チューブ49が除去可能なインナーチューブ6の線源ワイヤルーメン22に同軸配置で挿入される。代替的に、除去可能なインナーチューブ6は、接着又は溶接によって除去可能なインナーチューブ6の近位端に接合する延長チューブ材によって補強されてもよく、この延長チューブ材は、編組チューブ材、ニチノール又はPEEKチューブ材等の必要な圧縮強度を有するチューブ材から作られる。そのような延長片は、当該技術分野において一般的に用いられており、そのような延長片を含むように本発明を適合させることは、十分に当業者の実施の範囲内である。この実施形態は、図15に示されており、この場合、ニチノール又はPEEKの補強チューブ50が除去可能なインナーチューブ6の近位端に取り付けられる。補強は、除去可能なインナーチューブ6の歪みを防止することによって、除去可能なインナーチューブ6の壁に加わる周方向圧力を用いてシールする膨張継手への取り付けを容易にする。補強部品の長さは、0.5cm〜5cmであり得る。
【0116】
ニチノール又はPEEKの補強チューブ48が除去可能なインナーチューブ6の外側に同軸配置で取り付けられている、図13に示す実施形態の変形形態では、補強チューブ48に、補強チューブ48の近位端に向かって又は該近位端に環状リッジ51が配置され得る(図16)。リッジ51は、膨張継手12の近位ポート13よりも大きな直径を有するため(以下を参照)、近位ポート13を通過することができない。したがって、環状リッジ51は、除去可能なインナーチューブ6を医療用バルーンカテーテル1に挿入すべき深さを示す較正停止部(calibration stop)として働く。本発明の一態様によれば、環状リッジ51が配置される補強チューブ48の位置は、除去可能なインナーチューブ6の長さに沿って調整可能である。本発明の別の態様によれば、環状リッジ51が配置される補強チューブ48の位置は、除去可能なインナーチューブ6の長さに対して固定される。
【0117】
本発明の一態様によれば、除去可能なインナーチューブ6は、医療用バルーンカテーテル1よりも長い。チューブをより長くすることで、膨張ルーメン21への挿入時にインナーチューブ6を医療用バルーンカテーテル1から突出させることができるため、医療用バルーンカテーテル1の近位端及び除去可能なインナーチューブ6の近位端を膨張継手12に結合することができ、除去可能なインナーチューブ6をアフターローダに結合することができる。本発明の一態様によれば、除去可能なインナーチューブ6は、医療用バルーンカテーテル1よりも3cm、4cm、5cm、6cm、7cm、8cm、9cm、10cm、11cm、15cm、20cm、25cm、30cm、35cm、40cm、45cm、50cm、55cm、60cm、65cm、70cm、75cm、80cm、85cm、90cm長く、好ましくは、食道用途では5cm〜15cm長く、乳房用途及び子宮用途では10cm〜80cm長い。
【0118】
本発明の一態様によれば、キットは、例えば鼻咽頭経路、頸部経路、皮膚穿刺部等を経由した被験者への挿入時に医療用カテーテル1に剛性を与えるために、膨張ルーメン21に対して挿入及び除去されるように構成されるプッシャワイヤ11(図3)をさらに備える。プッシャワイヤは、カテーテルチューブ5のプッシャビリティを高めるために膨張ルーメン21に挿入されるように、且つカテーテルチューブ5の柔軟性を回復するために膨張ルーメン21から取り出されるように構成される。プッシャワイヤは、当該技術分野において既知であり、高度の可撓性及びプッシャビリティを有することで所望の経路に沿って前進させることを可能にする細長いロッドを通常は備える。プッシャワイヤ11は、中空の中心を有するばねコイルから通常は形成される。プッシャワイヤ11は、普通はステンレス鋼から作られるが、ニチノール又は他の生体適合性材料から作ってもよい。
【0119】
本発明の一態様によれば、キットは、バルーン4の膨張を可能にするためにカテーテルチューブ5の近位端を膨張ポンプ30に結合するように構成される膨張継手12(図6、図7、図8、図9)をさらに備える。これは、膨張時に、除去可能なインナーチューブ6が膨張ルーメン21に挿入されると上記除去可能なインナーチューブ6の開口9近位端7へのアクセスを可能にする。
【0120】
通常、膨張継手12(図6)は、遠位シール16が配置されている遠位ポート14、近位シール15が配置されている近位ポート13、及びポンプ継手17を備え、これらは継手12のチャンバ27と流体接続されている。ポンプ継手17は、弁18に動作可能に接続されることが好ましい。
【0121】
遠位ポート14は、カテーテルチューブ5の近位端を受け入れ、該カテーテルチューブ5の本体に対してシールを形成することができる。好ましくは直径がより狭い近位ポート13は、除去可能なインナーチューブ6を受け入れ、開口9の遠位側で除去可能なインナーチューブ6の本体に対してシールを形成することができる。近位ポート13は、カテーテルチューブ5のより広い直径を受け入れることができない可能性がある。その結果、カテーテル端の近位端は、チャンバ27内に位置付けられてポンプ継手17と流体連通する。
【0122】
近位ポート13及び遠位ポート14が占拠されると、カテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と膨張ポンプ30(図7)への接続用のポンプ継手17との間にこうして水密接続が形成される。ポンプ継手17は、ねじ接続、押し込み接続、ルアー接続、又は他の適当な継手であり得る。
【0123】
本発明の一実施形態は、膨張継手12であって、
−カテーテルチューブ5の近位端を受け入れて該カテーテルチューブ5の本体に対してシールを形成するように構成される遠位ポート14と、
−カテーテルチューブ5に挿入される除去可能なインナーチューブ6を受け入れて開口9の遠位側で除去可能なインナーチューブ6の本体に対してシールを形成するように構成される近位ポート13と、
−膨張ポンプ30に接続するように構成されるポンプ継手17と、
を備え、ポート13、14、及びポンプ継手17が、カテーテルチューブ5の近位端を受け入れる継手12のチャンバ27と流体連通する、
膨張継手12である。
【0124】
本発明の別の実施形態は、膨張継手12であって、
−遠位シール16が配置される遠位ポート14と、
−近位シール15が配置される近位ポート13と、
−弁と動作可能に接続されるポンプ継手17と、
を備え、これらが継手12のチャンバ27と流体接続されており、
−遠位ポート14が、カテーテルチューブ5の近位端を受け入れてカテーテルチューブ5の本体に対してシールを形成するように構成され、
−近位ポート13が、除去可能なインナーチューブ6を受け入れて開口9の遠位側で除去可能なインナーチューブ6の本体に対してシールを形成するように構成され、除去可能なインナーチューブ6の近位端が継手12を通過することを可能にする、
膨張継手12である。
【0125】
近位シール15及び遠位シール16は、圧縮可能な環状リングであることが好ましく、これらのリングは、リングの中心軸と平行に圧縮力を加えることによって内径を縮小することができる。これは、例えば、ボルト25、26を係合させることができる各ポート13、14のねじ延長部30、31を設けることによって達成され得る(図9)。上記ボルトは、カテーテルチューブ1又は除去可能なインナーチューブ6を通すことができる中空の軸及び頭部を有する。ボルト25、26を締めることで、それぞれのシール15、16が圧縮されて、除去可能なインナーチューブ6又はカテーテルチューブ1それぞれの壁に対してポート13、14がシールされる。
【0126】
近位ポート13及び遠位ポート14の中心軸は、本質的に一致することが好ましい。これは、インナーチューブ6の近位端を両方のポートに通して膨張継手12から出すことを可能にする。このように、除去可能なインナーチューブ6の開口9近位端7は、膨張継手12から延びて、線源ワイヤ19の挿入のためにそこにアクセスすることを可能にする。本発明の一態様によれば、膨張継手12は、Y字継手である。
【0127】
したがって、膨張継手12は、カテーテルチューブ5の近位端2の外面と除去可能なインナーチューブ6の開口9の遠位側の外面とによってシールされるチャンバ27を形成することによって、医療用カテーテル1の膨張ルーメン21とポンプ継手17とを流体接続する。ポンプ継手17には、膨張ポンプ30が切り離された後で膨張ルーメン21内の圧力を維持するための弁(栓)18が配置され得る(図8)。したがって、弁が閉じているときにバルーン4、4’の膨張が維持される。
【0128】
通常、ユーザは、プッシャワイヤを入れたチューブ5を鼻咽頭経路を経由して患者に挿入し、プッシャワイヤを除去し、膨張継手12を設置してカテーテルチューブ5の近位端2を遠位ポート14に結合し、除去可能なインナーチューブ6を挿入し、除去可能なインナーチューブ6の近位端を近位ポート13に結合する。
【0129】
本発明の一態様によれば、キットは、膨張ポンプ30をさらに備える。そのようなポンプは、医療用カテーテル1への膨張流体の圧力を提供して、バルーンを漸次膨張及び収縮させることができ、当該技術分野において既知である。概して、膨張ポンプは、プランジャ要素によって移動させる距離を施術者が微制御することができるような、また流体が加える圧力を圧力計によって監視することができるような、シリンジタイプの機構である。本発明による膨張ポンプ30の実施形態が、図7に示されており、チューブ材31を介して膨張継手12に接続されて示されている。ポンプ30は、ハウジング34内で直線移動して遠位端における水密チャンバ35の体積を変化させることができるプランジャ32を備える。チャンバは、出口ポート36から出て圧力計37に流体結合される。出口ポート36は、チューブ材31によって膨張継手12(ポンプ継手17)に接続される。プランジャ32は、ハンドル33によって作動される。微制御のためには、ハンドル33を調整38することができ、プランジャ32のねじ軸39が、ハンドル33を回転させる方向に従って直線的に前進又は後退する。粗調整のためには、ハンドル33を押し引き39して、プランジャ32を直接前進又は後退させることができる。回転又は押し/調整動作モードは、ねじとハウジング34との係合を制御するハウジングの側のボタン40によって選択することができる。そのような装置は、当該技術分野において既知であり、例えばBoston Scientificによって製造されている。
【0130】
本発明の別の実施形態は、被験者に小線源療法を施す方法であって、
−被験者における進入点(例えば、皮膚穿刺部又は切開部、鼻、膣、口、肛門経由)を通して医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、該医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入すること(図5)であって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること(図7)、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること(図8)、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、被験者に小線源療法を施す方法である。
【0131】
医療用バルーンカテーテル1に一時的な剛性を与えるために、体内で前進させる前に、細長いカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21(図4)にプッシャワイヤ11(図3)を挿入する。医療用バルーンカテーテル1を位置決めした後、プッシャワイヤ11を除去する。
【0132】
医療用バルーンカテーテル1が嵌まったら、近位端2を進入点の付近の皮膚にテープで留めることができる。細長いカテーテルチューブ5の可撓性が、体内のバルーンの位置を著しく変えることなくカテーテルを広範囲にわたって操作し且つ曲げることを可能にする。
【0133】
医療用バルーンカテーテル1が進入点から出る領域は、患者の皮膚に絆創膏で固定され得る。この固定は、治療から次の治療までの間にカテーテル1を一定の位置に確保することで、治療部分が腫瘍領域に関して同じ場所にあることを確実にする。
【0134】
本方法は、上記で定義されたようなキットを用いて実施されることが好ましい。医療用バルーンカテーテル1は、食道又は子宮内治療等のための後続のチューブの挿入を容易にする目盛を含み得る。例えば、新たな医療用バルーンカテーテル1を毎週挿入して、月曜日から金曜日までその場に留めて週末に除去することができる。新たなチューブはそれぞれ、食道又は子宮腔への厳密な挿入深さを決めるために目盛を用いて月曜日に挿入される。治療は、分割治療で数週間続く場合がある。目盛は、X線又はCTスキャナ等の可視化装置を必要とせずに、医療用バルーンカテーテル1をその後毎回正確な位置に挿入することを可能にする。
【0135】
医療用バルーンカテーテル1の挿入後、上述のような膨張継手12をカテーテル1の近位端2に、特にカテーテルチューブ材5に結合することができる。
【0136】
治療の直前に、除去可能なインナーチューブ6を膨張ルーメン21に沿って前進させる(図5)。これは、膨張ルーメン21の遠位先端に届くまで前進させることが好ましい(図5)。有利には、除去可能なインナーチューブ6は、カテーテルチューブ1の近位端から5cm〜15cm突出し得るため、医療用バルーンカテーテル1の近位端及び除去可能なインナーチューブ6の近位端を膨張継手12に結合することができ、除去可能なインナーチューブ6をアフターローダに結合することができる。除去可能なインナーチューブ6の外面は、挿入を補助するために、例えば、シリコーン、テフロン(登録商標)層、又は油で潤滑させることができる。十分な長さが医療用バルーンカテーテル1に挿入されたことを保証するために、除去可能なインナーチューブ6に目盛が付けられ得る。除去可能なチューブ6の開口9の遠位側の領域は、除去可能なチューブ6の壁に損傷を与えることなく、膨張継手12との水密結合を確保するために補強され得る。除去可能なインナーチューブ6の補強のレベルで、除去可能なインナーチューブ6が常に同じ深さに挿入されることを補強チューブの近位環状リッジ51が保証し得る。
【0137】
除去可能なインナーチューブ6の挿入後、上述のような膨張継手12を、開口9の遠位側で除去可能なインナーチューブ6の外壁に結合することができる。膨張継手12のポート13、14は、膨張ルーメン21がチャンバ27に入る加圧膨張流体を受け入れることができるように水密チャンバ27を形成する。膨張継手12は、インナーチューブ6の開口近位端へのアクセスも許すことで、アフターローディング装置への接続を可能にする。膨張継手は、膨張ポンプ30に取り付けられる。膨張したら、膨張継手12を弁18によってシールすることができ、ポンプを除去することができる。
【0138】
1つ又は複数のバルーンは、通常は膨張流体として生理食塩水溶液を用いて膨張させる。生理食塩水には、X線写真又はCTスライスでバルーンを見ることができるように、オムニパーク等の造影剤が0.5%〜20%混合され得る。
【0139】
放射線源は、遠位端に放射線放出物質20が設けられる細いワイヤ19を用いて送達され、このワイヤは、線源ワイヤルーメン22に通される。アフターローダ又はアフターローディング装置として知られる装置を用いて、線源ワイヤが格納及び制御可能に供給される。インナーチューブ6の近位端7には、アフターローダの出力端への接続を可能にするアダプタが設けられ得る。
【0140】
治療後、線源ワイヤ19を除去し、バルーン4、4’を収縮させ、膨張継手12を除去し、インナーチューブ6を除去する。カテーテル1は、後続の治療のために快適且つ別個に所定位置に留まることができる。
【0141】
不快感も炎症も一切報告されることなく、同じカテーテル1が長期間、例えば最長で1週間、2週間、又は3週間にわたって所定位置に留まることができる。本発明の一態様によれば、3日間、5日間、6日間、7日間、10日間、2週間、又は3週間装着された同じカテーテル1を用いて、後続の治療を繰り返す。好ましくは、同じカテーテルを5日間装着する。
【0142】
本発明の一態様によれば、治療中に、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、7日毎、8日毎、9日毎、10日毎、11日毎、12日毎、13日毎、14日毎、15日毎、16日毎、17日毎、18日毎、19日毎、20日毎、又は21日毎、好ましくは7日毎であり得る一定の間隔で、新たなカテーテル1を挿入する。
【0143】
本発明の一態様によれば、治療中に、1日毎、2日毎、3日毎、好ましくは毎日であり得る一定の間隔で、放射線が投与される。例えば週末又は休診日に、投与の中断があってもよい。
【0144】
本発明の別の実施形態は、食道に放射線療法を施す方法であって、
−鼻咽頭経路を経由して患者の食道に医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、該医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入すること(図5)であって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること(図7)、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること(図8)、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、食道に放射線療法を施す方法である。
【0145】
医療用バルーンカテーテル1の挿入は、口腔又は咽喉手術後に被験者の胃に栄養チューブを挿入するために非専門家が用いるのと同じ技法を用いて実施することができる。医療用バルーンカテーテル1は、鼻咽頭経路を経由して、すなわち鼻を通して食道に挿入される。挿入は、看護師によって行われることが好ましいが、同様に専門家によって行われてもよい。医療用バルーンカテーテル1に一時的な剛性を与えるために、鼻咽頭経路を通して前進させる前に、細長いカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21(図4)にプッシャワイヤ11(図3)を挿入する。医療用バルーンカテーテル1を位置決めした後、プッシャワイヤ11を除去する。
【0146】
医療用バルーンカテーテル1が嵌まったら、近位端2を、治療のときまで別個に装着するために、例えば被験者の耳の後ろにテープで留めることができる。細長いカテーテルチューブ5の可撓性が、食道内のバルーンの位置を著しく変えることなくカテーテルを広範囲にわたって操作し且つ曲げることを可能にする。
【0147】
医療用バルーンカテーテル1が鼻孔から出る領域は、患者の鼻に絆創膏で固定され得る。この固定は、治療から次の治療までの間にカテーテル1を一定の位置に確保することで、治療部分が腫瘍領域に関して同じ場所にあることを確実にする。医療用バルーンカテーテル1は通常、鼻咽頭経路を経由して挿入した後で、治療セッションから次の治療セッションまでの間に鼻に固定される。
【0148】
本方法は、上記で定義されたようなキットを用いて実施されることが好ましい。医療用バルーンカテーテル1は、後続のチューブの挿入を容易にする目盛を含み得る。例えば、新たな医療用バルーンカテーテル1を毎週挿入して、月曜日から金曜日までその場に留めて週末に除去することができる。新たなチューブはそれぞれ、食道への厳密な挿入深さを決めるために目盛を用いて月曜日に挿入される。治療は、分割治療で数週間続く場合がある。目盛は、X線又はCTスキャナ等の可視化装置を必要とせずに、医療用バルーンカテーテル1をその後毎回正確な位置に挿入することを可能にする。
【0149】
医療用バルーンカテーテル1の挿入後、上述のような膨張継手12をカテーテル1の近位端2に、特にカテーテルチューブ材5に結合することができる。
【0150】
治療の直前に、除去可能なインナーチューブ6を膨張ルーメン21に沿って前進させる(図5)。これは、膨張ルーメン21の遠位先端に届くまで前進させることが好ましい(図5)。有利には、除去可能なインナーチューブ6は、カテーテルチューブ1の近位端から5cm〜15cm突出し得るため、医療用バルーンカテーテル1の近位端及び除去可能なインナーチューブ6の近位端を膨張継手12に結合することができ、除去可能なインナーチューブ6をアフターローダに結合することができる。除去可能なインナーチューブ6の外面は、挿入を補助するために、例えば、シリコーン、テフロン(登録商標)層、又は油で潤滑させることができる。十分な長さが医療用バルーンカテーテル1に挿入されたことを保証するために、除去可能なインナーチューブ6に目盛が付けられ得る。除去可能なインナーチューブ6の開口9の遠位側の領域は、除去可能なチューブ6の壁に損傷を与えることなく、膨張継手12との水密結合を確保するために補強され得る。除去可能なインナーチューブ6の補強のレベルで、除去可能なインナーチューブ6が常に同じ深さに挿入されることを補強チューブの近位環状リッジ51が保証し得る。
【0151】
除去可能なインナーチューブ6の挿入後、上述のような膨張継手12を、開口9の遠位側で除去可能なインナーチューブ6の本体に結合することができる。膨張継手12のポート13、14は、膨張ルーメン21がチャンバ27に入る加圧膨張流体を受け入れることができるように水密チャンバ27を形成する。膨張継手12は、インナーチューブ6の開口近位端へのアクセスも許すことで、アフターローダへの接続を可能にする。膨張継手は、膨張ポンプ30に取り付けられる。膨張したら、膨張継手12を弁18によってシールすることができ、ポンプを除去することができる。
【0152】
1つ又は複数のバルーンは、通常は膨張流体として生理食塩水溶液を用いて膨張させる。生理食塩水には、X線写真又はCTスライスでバルーンを見ることができるように、オムニパーク等の造影剤が0.5%〜20%混合され得る。
【0153】
放射線源は、遠位端に放射線放出物質20が設けられる細いワイヤ19を用いて送達され、このワイヤは、線源ワイヤルーメン22に通される。アフターローダとして知られる装置を用いて、線源ワイヤが格納及び制御可能に供給される。インナーチューブ6の近位端7には、アフターローダの出力端への接続を可能にするアダプタが設けられ得る。
【0154】
治療後、線源ワイヤ19を除去し、バルーン4、4’を収縮させ、膨張継手12を除去し、インナーチューブ6を除去する。カテーテル1は、後続の治療のために快適且つ別個に所定位置に留まることができる。
【0155】
不快感も炎症も一切報告されることなく、同じカテーテル1が長期間、例えば最長で1週間、2週間、又は3週間にわたって所定位置に留まることができる。本発明の一態様によれば、3日間、5日間、6日間、7日間、10日間、2週間、又は3週間装着された同じカテーテル1を用いて、後続の治療を繰り返す。好ましくは、同じカテーテルを5日間装着する。
【0156】
本発明の一態様によれば、治療中に、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、7日毎、8日毎、9日毎、10日毎、11日毎、12日毎、13日毎、14日毎、15日毎、16日毎、17日毎、18日毎、19日毎、20日毎、又は21日毎、好ましくは7日毎であり得る一定の間隔で、新たなカテーテル1を挿入する。
【0157】
本発明の一態様によれば、治療中に、1日毎、2日毎、3日毎、好ましくは毎日であり得る一定の間隔で、放射線が投与される。例えば週末又は休診日に、投与の中断があってもよい。
【0158】
本発明の別の実施形態は、子宮の内壁に放射線療法を施す方法であって、
−頸部経路を経由して被験者の子宮に医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、該医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入すること(図5)であって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること(図7)、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること(図8)、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、子宮の内壁に放射線療法を施す方法である。
【0159】
医療用バルーンカテーテル1の挿入は、子宮腔内に子宮計を挿入するために非専門家が用いるのと同じ技法を用いて実施することができる。医療用バルーンカテーテル1は、子宮頸部を経由して、すなわち膣を通して子宮腔に挿入される。挿入は、放射線腫瘍医によって行われることが好ましいが、同様に婦人科医によって行われてもよい。医療用バルーンカテーテル1に一時的な剛性を与えるために、頸部経路を通して前進させる前に、細長いカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21(図4)にプッシャワイヤ11(図3)を挿入する。医療用バルーンカテーテル1を位置決めした後、プッシャワイヤ11を除去する。
【0160】
カテーテル5は、カテーテル1の子宮空間への維持を固定するために、頸部の出口に固定され得る。
【0161】
医療用バルーンカテーテル1が嵌まり、近位端が絆創膏を使用して会陰に固定されたら、近位端2を、治療のときまで外傷を伴うことなく装着されるように、例えば膣の側の皮膚にテープで留めることができる。細長いカテーテルチューブ5の可撓性が、子宮内のバルーンの位置を著しく変えることなくカテーテルを広範囲にわたって操作し且つ曲げることを可能にする。
【0162】
医療用バルーンカテーテル1が膣から出る領域は、患者の会陰部の皮膚に絆創膏で固定され得る。この固定は、治療から次の治療までの間にカテーテル1を一定の位置に確保することで、治療部分が腫瘍領域に関して同じ場所にあることを確実にする。医療用バルーンカテーテル1は通常、頸部経路を経由して挿入した後で、治療セッションから次の治療セッションまでの間に皮膚に固定される。
【0163】
本方法は、上記で定義されたようなキットを用いて実施されることが好ましい。医療用バルーンカテーテル1は、後続のチューブの挿入を容易にする目盛を含み得る。例えば、新たな医療用バルーンカテーテル1を毎週挿入して、月曜日から金曜日までその場に留めて週末に除去することができる。新たなチューブはそれぞれ、子宮腔への厳密な挿入深さを決めるために目盛を用いて月曜日に挿入される。治療は、分割治療で数週間続く場合がある。目盛は、X線又はCTスキャナ等の可視化装置を必要とせずに、医療用バルーンカテーテル1をその後毎回正確な位置に挿入することを可能にする。
【0164】
医療用バルーンカテーテル1の挿入後、上述のような膨張継手12をカテーテル1の近位端2に、特にカテーテルチューブ材5に結合することができる。
【0165】
治療の直前に、除去可能なインナーチューブ6を膨張ルーメン21に沿って前進させる(図5)。これは、膨張ルーメン21の遠位先端に届くまで前進させることが好ましい(図5)。有利には、除去可能なインナーチューブ6は、カテーテルチューブ1の近位端から10cm〜80cm突出し得るため、医療用バルーンカテーテル1の近位端及び除去可能なインナーチューブ6の近位端を膨張継手12に結合することができ、除去可能なインナーチューブ6をアフターローダに結合することができる。除去可能なインナーチューブ6の外面は、挿入を補助するために、例えば、シリコーン、テフロン(登録商標)層、又は油で潤滑させることができる。十分な長さが医療用バルーンカテーテル1に挿入されたことを保証するために、除去可能なインナーチューブ6に目盛が付けられ得る。除去可能なチューブ6の開口9の遠位側の領域は、除去可能なチューブ6の壁に損傷を与えることなく、膨張継手12との水密結合を確保するために補強され得る。除去可能なインナーチューブ6の補強のレベルで、除去可能なインナーチューブ6が常に同じ深さに挿入されることを補強チューブの近位環状リッジ51が保証し得る。
【0166】
除去可能なインナーチューブ6の挿入後、上述のような膨張継手12を、開口9の遠位側で除去可能なインナーチューブ6の本体に結合することができる。膨張継手12のポート13、14は、膨張ルーメン21がチャンバ27に入る加圧膨張流体を受け入れることができるように水密チャンバ27を形成する。膨張継手12は、インナーチューブ6の開口近位端へのアクセスも許すことで、アフターローダへの接続を可能にする。膨張継手は、膨張ポンプ30に取り付けられる。膨張したら、膨張継手12を弁18によってシールすることができ、ポンプを除去することができる。
【0167】
1つ又は複数のバルーンは、通常は膨張流体として生理食塩水溶液を用いて膨張させる。生理食塩水には、X線写真又はCTスライスでバルーンを見ることができるように、オムニパーク300(Nycomed)等の造影剤が0.5%〜20%混合され得る。
【0168】
放射線源は、遠位端に放射線放出物質20が設けられる細いワイヤ19を用いて送達され、このワイヤは、線源ワイヤルーメン22に通される。アフターローダとして知られる装置を用いて、線源ワイヤが格納及び制御可能に供給される。インナーチューブ6の近位端7には、アフターローダの出力端への接続を可能にするアダプタが設けられ得る。
【0169】
治療後、線源ワイヤ19を除去し、バルーン4、4’を収縮させ、膨張継手12を除去し、インナーチューブ6を除去する。カテーテル1は、後続の治療のために快適且つ別個に所定位置に留まることができる。
【0170】
不快感も炎症も一切報告されることなく、同じカテーテル1が長期間、例えば最長で1週間、2週間、又は3週間にわたって所定位置に留まることができる。本発明の一態様によれば、3日間、5日間、6日間、7日間、10日間、2週間、又は3週間装着された同じカテーテル1を用いて、後続の治療を繰り返す。好ましくは、同じカテーテルを5日間装着する。
【0171】
本発明の一態様によれば、治療中に、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、7日毎、8日毎、9日毎、10日毎、11日毎、12日毎、13日毎、14日毎、15日毎、16日毎、17日毎、18日毎、19日毎、20日毎、又は21日毎、好ましくは7日毎であり得る一定の間隔で、新たなカテーテル1を挿入する。
【0172】
本発明の一態様によれば、治療中に、1日毎、2日毎、3日毎、好ましくは毎日であり得る一定の間隔で、放射線が投与される。例えば週末又は休診日に、投与の中断があってもよい。
【0173】
本発明の別の実施形態は、乳房切除腔に放射線療法を施す方法であって、
−乳房腫瘍を除去した(乳房温存手術)後の被験者の乳房切除腔に医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、該医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入すること(図5)であって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること(図7)、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること(図8)、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、乳房切除腔に放射線療法を施す方法である。
【0174】
本方法は、上記で定義されたようなキットを用いて実施されることが好ましい。医療用バルーンカテーテル1の挿入は、トロカール針(trocard needle)での皮膚の穿刺後に腫瘍切除腔内にバルーンを位置決めするために超音波又は別のイメージング技法を用いて、外科的腫瘍切除中又は切除後に行うことができる。医療用バルーンカテーテル1は、手術痕を介して又は皮膚を通して挿入される。医療用バルーンカテーテル1に一時的な剛性を与えるために、挿入する前に、細長いカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21(図4)にプッシャワイヤ11(図3)又はマンドレルを挿入する。医療用バルーンカテーテル1を位置決めした後、プッシャワイヤ11を除去する。
【0175】
医療用バルーンカテーテル1が嵌まり、近位端が絆創膏を使用して乳房の皮膚に固定されたら、乳房から出る近位端2を、治療のときまで外傷を伴うことなく装着されるように被験者の乳房にテープで留めることができる。細長いカテーテルチューブ5の可撓性が、乳房腔内のバルーンの位置を著しく変えることなくカテーテルを広範囲にわたって操作し且つ曲げることを可能にする。
【0176】
医療用バルーンカテーテル1が乳房から出る領域は、患者の皮膚に絆創膏で固定され得る。この固定は、治療から次の治療までの間にカテーテル1を一定の位置に確保することで、治療部分が腫瘍領域に関して同じ場所にあることを確実にする。医療用バルーンカテーテル1は通常、挿入後に、治療セッションから次の治療セッションまでの間に乳房の皮膚に固定される。
【0177】
医療用バルーンカテーテル1の挿入後、上述のような膨張継手12をカテーテル1の近位端2に、特にカテーテルチューブ材5に結合することができる。
【0178】
治療の直前に、除去可能なインナーチューブ6を膨張ルーメン21に沿って前進させる(図5)。これは、膨張ルーメン21の遠位先端に届くまで前進させることが好ましい(図5)。有利には、除去可能なインナーチューブ6は、カテーテルチューブ1の近位端から10cm〜80cm突出し得るため、医療用バルーンカテーテル1の近位端及び除去可能なインナーチューブ6の近位端を膨張継手12に結合することができ、除去可能なインナーチューブ6をアフターローダに結合することができる。除去可能なインナーチューブ6の外面は、挿入を補助するために、例えば、シリコーン、テフロン(登録商標)層、又は油で潤滑させることができる。十分な長さが医療用バルーンカテーテル1に挿入されたことを保証するために、除去可能なインナーチューブ6に目盛が付けられ得る。除去可能なチューブ6の開口9の遠位側の領域は、除去可能なチューブ6の壁に損傷を与えることなく、膨張継手12との水密結合を確保するために補強され得る。除去可能なインナーチューブ6の補強のレベルで、除去可能なインナーチューブ6が常に同じ深さに挿入されることを補強チューブの近位環状リッジ51が保証し得る。
【0179】
除去可能なインナーチューブ6の挿入後、上述のような膨張継手12を、開口9の遠位側で除去可能なインナーチューブ6の本体に結合することができる。膨張継手12のポート13、14は、膨張ルーメン21がチャンバ27に入る加圧膨張流体を受け入れることができるように水密チャンバ27を形成する。膨張継手12は、インナーチューブ6の開口近位端へのアクセスも許すことで、アフターローダへの接続を可能にする。膨張継手は、膨張ポンプ30に取り付けられる。膨張したら、膨張継手12を弁18によってシールすることができ、ポンプを除去することができる。
【0180】
1つ又は複数のバルーンは、通常は膨張流体として生理食塩水溶液を用いて膨張させる。生理食塩水には、X線写真又はCTスライスでバルーンを見ることができるように、オムニパーク等の造影剤が0.5%〜20%混合され得る。
【0181】
放射線源は、遠位端に放射線放出物質20が設けられる細いワイヤ19を用いて送達され、このワイヤは、線源ワイヤルーメン22に通される。アフターローダとして知られる装置を用いて、線源ワイヤが格納及び制御可能に供給される。インナーチューブ6の近位端7には、アフターローダの出力端への接続を可能にするアダプタが設けられ得る。
【0182】
治療後、線源ワイヤ19を除去し、バルーン4、4’を収縮させ、膨張継手12を除去し、インナーチューブ6を除去する。カテーテル1は、後続の治療のために快適且つ別個に所定位置に留まることができる。
【0183】
不快感も炎症も一切報告されることなく、同じカテーテル1が長期間、例えば最長で1週間、2週間、又は3週間にわたって所定位置に留まることができる。本発明の一態様によれば、3日間、5日間、6日間、7日間、10日間、2週間、又は3週間装着された同じカテーテル1を用いて、後続の治療を繰り返す。好ましくは、同じカテーテルを5日間装着する。
【0184】
本発明の一態様によれば、治療中に、1日毎、2日毎、3日毎、好ましくは毎日であり得る一定の間隔で、放射線が投与される。例えば週末又は休診日に、投与の中断があってもよい。
【0185】
本明細書に記載のように、本キット及び方法は、治療領域、例えば食道内腔若しくは子宮内腔に、又は乳房切除腔に、適当な放射線量を照射するものであり、必要であれば一定の間隔で線量を供給するように構成される。カテーテル1が複数回の治療の実施を可能にするため、1回の高線量又は分割し反復した低線量を照射することができる。
【0186】
根治的治療の場合、CTスライスで見た食道の周囲に処方される分割線量約2グレイ(Gy)〜約4グレイ程度の低い放射線量が、癌細胞の治療に提供される典型的な放射線量であることが好ましい。好ましくは、分割線量2Gy〜3Gyが、根治的治療に適した線量レベルを提供し、効果をもたらすとともに食道狭窄(遅発性副作用)等の合併症を防止する。この治療は、化学療法(タキソテール及びシスプラチン)と組み合わせた外部放射線療法(50Gy)の後のブーストとして処方され、1週間〜2週間で10Gy〜20Gyの小線源療法を加えることができる。
【0187】
子宮腫瘍の場合、分割線量3Gy〜6Gyを週1回〜週3回の、総線量が最大50Gy〜60Gyが、根治的治療に十分であると考えられる。患者が外部放射線療法及び小線源療法の組み合わせを受ける場合、すなわち例えば、40Gyの外部放射線療法を5Gy〜6Gyの子宮内小線源療法3回〜4回と組み合わせる場合、照射される総線量をより少なくしてもよい。
【0188】
乳癌患者の場合、バルーン表面から1cmの所に処方して、総線量30Gyを分割線量6Gyで5回連続して照射すれば、部分的な乳房放射線療法に十分であり得る。ブースト治療の場合、3×5Gyの線量を40Gy〜50Gyの外部乳房放射線療法と組み合わせると、外部放射線療法によって照射される標準的な電子線ブーストの効果に相当するはずである。
【0189】
食道癌では、(放射線化学療法に対する)完全奏効者のみが食道癌を克服することが示されているため、化学療法及び放射線の局所効果を高め且つ完全奏効者の数を増やすために、分割小線源療法を術前療法として処方することもできる。
【0190】
緩和治療の場合、食道の外面(CTスライスで見て)に対して、5Gyの線量を週1回〜週3回で1週間〜数週間かけて総線量10Gy〜30Gyまで処方することができる。同じ範囲の線量を、子宮癌を呈する患者に緩和状況で照射することができる。
【0191】
1.3cmのバルーン直径を用いて10cmの長さで食道壁に照射される放射線は、約2Gy〜3Gyの範囲内にあるべきであり、普通は30秒未満ではなく、1分間、1.5分間、2分間、2.5分間、3分間、3.5分間、4分間、4.5分間、若しくは5分間、又は上記値の任意の2つの間の期間、好ましくは2分間〜5分間にわたって照射される。
【0192】
子宮癌及び乳癌治療でも、同じ持続時間範囲が標準である。
【0193】
異なる放射線源が用いられ、好ましい放射線源は、γ線が用いられる場合はイリジウム192を含み、中性子粒子が用いられる場合はカリホルニウム252を含むことが想定される。さらに、放射線源は、中性子粒子又はγ線を提供して標的細胞に影響を及ぼし得ることが想定される。γ又は中性子放出放射線源の使用は、癌細胞を治療し殺すことがよく知られている。
【0194】
本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、本発明に他の変更を加えることができる。具体的な寸法、線量、時間、及び構成材料は例として提供されており、本発明から逸脱しない代替品が容易に想定される。
【実施例】
【0195】
以下の非限定的な例によって本発明を説明する。
【0196】
1.食道内腔の小線源療法
手術不能な食道癌を呈する65歳の患者。この患者は、麻酔(anesthesy)リスクが高いため手術することができなかった。腫瘍(扁平上皮癌)は、食道内側の下部1/3に位置し、長さ8cmであった。食道壁の厚さは、CTスライスで見て一部の領域で最大厚さ1cmであった。
【0197】
患者の全身状態が悪かったため、緩和療法を選択した。患者は、最初に3Gyを10セッションで30Gyの外部放射線療法を受けた。
【0198】
1週間後、放射線腫瘍科の看護師が鼻咽頭アクセスカテーテルを挿入した。収縮したバルーンを有するカテーテルの治療部を、癌領域付近に(approximately in regard to)配置した。2つの弁システムを有するコネクタを、アクセスカテーテルの近位端にきつく固定した。放射性源導入用のカテーテルを、アクセスカテーテル内に導入した。線源カテーテルの導入前に、線源カテーテルの遠位部の遠位長さ5cm〜10cmに、数滴の油を滴下した。
【0199】
放射性源導入用のインナーカテーテルを、アクセスカテーテルの先端に達する(線源カテーテルがアクセスカテーテルの先端に突き当たる)までアクセスカテーテル内で押した。
【0200】
継手システムの近位弁及び遠位弁を、継手システム全体が水密になるまで締めた。
【0201】
オムニパーク2cc及び生理食塩水18ccの混合物20ccを入れたマノメータ付きシリンジを、バルーンシステムに接続した。
【0202】
CTスキャナを用いて冠状面図を作成した。この図により、周辺白金マーカで確認して、収縮したバルーンの位置をCTスキャンスライスで見た腫瘍の位置に適合させることができた。位置は、腫瘍の長さ(8cm)を覆い且つバルーンの長さに関して腫瘍の両側から等しいマージンを保つようにした。
【0203】
位置が申し分なく定まったら、生理食塩水・オムニパーク混合物20ccでバルーンを膨張させ、バルーンの膨張直径を14mmにした。食道腫瘍の全長にわたってつなぎ合わせたCTスライスを作成した。
【0204】
特殊な小線源プログラム(例えば、NucletronによるPlato線量測定プログラム)を用いて、腫瘍外面をCTの画面上で描画した。
【0205】
週1回〜週2回の各小線源療法セッション中に、線量5Gyを照射した。2週間後には、総線量20Gyが4分割で照射された。患者の気分は優れており、非常に楽に治療に耐えられた。バルーンシステムの膨張時間は、5Gyを照射するのに治療1回当たり8分の範囲内であった。これはわずかに長すぎた。患者は、各治療セッションで約5分後に気分が優れなくなった。患者は食道領域の痛みを訴えた。放射線治療を中断し、線源を抜去し、バルーンを数秒で収縮させた。10分間の中断後、患者の気分が回復し、バルーンを再膨張させ、治療を中断した場所に放射性源を自動的に再位置決めした。放射線療法は、線量処方に従って完璧に施された。
【0206】
小線源療法による合併症を検出するために、その後数ヶ月にわたって患者を観察した。患者は小線源療法の終了後3ヶ月で依然として体調がよく、現在まで予後追跡中である。腫瘍は小さくなり、遅発性副作用(狭窄)は見られておらず、患者は普通食を摂っている。
【0207】
2.子宮腔の小線源療法
子宮体癌を呈する90歳女性。この患者は、2年間定期的に出血があり、この時点での判断は、他にも多くの病状があり医学的状態が悪いこの患者が腫瘍進行に苦しむほど長く生存するか否かを経過観察することだった。
【0208】
或る日、患者が重度の膣出血を訴えた。ヘモグラムは、ヘモグロビン値7grを示した。患者は、強い脱力感を覚えて病院へ運ばれた。
【0209】
外科医は、全身状態の悪さ及び麻酔リスクの高さから介入(子宮切除又は子宮摘出)の実施を拒否した。
【0210】
議論の後、外部放射線療法及び小線源療法を用いた過分割療法の実施が提案された。患者は、シミュレーションCTスキャンスライスで見た子宮全体を包含する6Gyの外部放射線療法(4門照射法)を、1週間おきに2コース受けた。バルーンカテーテルを用いて、シミュレーションCTスキャンスライスで見た子宮の周囲面に処方された6Gyの小線源療法セッションも4回施した。
【0211】
治療は忍容性が良好であった。6ヵ月後、患者に依然として出血は見られず、外科的介入も必要なかった。患者は現在まで予後追跡中である。
【0212】
3.乳房の小線源療法
右乳房の右下四半部(lower external quadrant)に直径1cmの腺管癌を呈する70歳女性に、センチネルリンパ節法を施した。解剖病理学(anapathological)検査では、リンパ節浸潤が一切示されなかった。
【0213】
乳房腫瘍は、すべての側から少なくとも1cmの安全マージンをとって切除した(扇状部分切除)。病理学検査では、悪性度1の腫瘍が示され、リンパ浸潤陰性が確認された。
【0214】
トロカール針を用いて、超音波検査案内下で、介入の1週間後に切除腔内にカテーテル1を導入した。
【0215】
インナーカテーテル6を導入し、カテーテル1の近位端及びカテーテル6の近位端の周りに継手装置を固定した。バルーンを直径4cmまで膨張させた。CTスキャンにより、システムの適当な位置及びバルーンと切除腔壁との密着を示す画像を作成した。
【0216】
バルーンの表面から1cmの距離に、放射線量6Gyを処方して照射した。バルーンを収縮させ、継手装置を除去した。この治療を5日間連続で毎日行い、切除腔の周りのハイリスク領域への処方は30Gyとした。5日後にカテーテル1を除去した。
【0217】
患者には外部放射線療法が一切必要なく、5週間の標準的療法(外部放射線療法)が省かれた。患者は、管理のために定期的に通院した。2年後、CTスライスで局所再発は検出されなかった。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者のカテーテル小線源療法の分野に関する。より詳細には、本発明は、治療の段階に応じて剛性を変えることができる小線源療法用カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテル小線源療法は、治療領域の近くに先端が挿入されるカテーテルに沿って放射性源を前進させて、内部放射線治療を被験者に提供する。これは、食道癌及び子宮癌、並びに頭頸部癌の治療に一般的に用いられる。カテーテル小線源療法は、当該技術分野において既知である。臨床研究により、小線源療法が緩和ケアにおいても根治的適応においても癌のサイズ及び成長速度を低減する効果的な治療であることが示されている。
【0003】
食道癌等における適応によっては、カテーテル小線源療法は、熟練した施術者が内視鏡等の可視化器具を用いて被験者にガイドワイヤを導入して、ガイドワイヤの正確な経路及び位置を確保することを必要とする。ガイドワイヤを位置決めしたら、ガイドワイヤを用いてカテーテルを導入し、被験者内に適宜位置決めする。続いて、線源ワイヤの端に取り付けられている放射線源を、カテーテルを通して前進させることにより、放射線源が治療部位に到達して有効放射線量を照射する(deliver)ことができるようにする。放射線治療後、放射線源を除去する。カテーテルは、後続の治療のために所定位置に残ることができないため、除去される。治療セッション毎にこの挿入手順を再度繰り返さなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特定の手順は、カテーテルを位置決めするのに或る程度時間がかかり、切開を入れる場合の感染を回避するのにも或る程度時間がかかり得るため、被験者にとって外傷性が高い。食道癌を治療する場合、カテーテルを口腔及び喉に通すが、通常これは直径が大きいため窒息感及び/又は吐気による激しい不快感を生む。通常、被験者を鎮静しなければならない。さらに、治療中にずっとカテーテルが所定位置に留まっていなければならず、患者はその間中苦痛を感じ続ける。さらに、小線源療法は、分割して行わなければならない、すなわち後続の通院で複数回繰り返さなければならない場合があり、この分割治療は有効性がより高く毒性がより低い。これは、この苦痛な処置を患者に対して複数回行わなければならないことを意味する。患者が耐えられる限度というものがあるため、分割治療は制限しなければならず、外部放射線療法後の治療部位を改善する(boost)にすぎないと考えられ得る。患者にとって外傷性が低く使いやすい小線源療法を実施する方法を開発する必要がある。
【0005】
本発明は、治療中の患者の不快感及びストレスの問題を克服し且つ分割治療を容易にする、カテーテル小線源療法を実施する新規方法及びキットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、被験者にカテーテル小線源療法を施すキットであって、
−近位端2及び遠位端3を有する医療用バルーンカテーテル1であって、膨張ルーメン21が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル1と、
−細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有する、除去可能なインナーチューブ6であって、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6と、
を備える、被験者に小線源療法を施すキットである。
【0007】
本発明の別の実施形態は、被験者に小線源療法を施すキットであって、
−近位端2及び遠位端3を有する医療用バルーンカテーテル1であって、膨張ルーメン21が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、カテーテルチューブ5は、キンク状態から伸びるように構成され、膨張ルーメン21が除去可能なインナーチューブ6を摺動可能に収納することを可能にし、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル1と、
−細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有する、除去可能なインナーチューブ6であって、
−除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6と、
を備える、被験者に小線源療法を施すキットである。
【0008】
本発明の別の実施形態は、被験者に小線源療法を施すキットであって、
−近位端2及び遠位端3を有する医療用バルーンカテーテル1であって、膨張ルーメン21が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、カテーテルチューブ5はキンク可能であり、膨張ルーメン21は、
−除去可能なインナーチューブ6を収納し、且つ
−除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、
医療用バルーンカテーテル1と、
−細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有する、除去可能なインナーチューブ6であって、
−除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6と、
を備える、被験者に小線源療法を施すキットである。
【0009】
本発明の別の実施形態は、バルーン4の膨張を可能にし、且つ膨張時に、上記除去可能なインナーチューブ6が膨張ルーメン21に挿入されると除去可能なインナーチューブ6の開口9近位端7へのアクセスを可能にするために、カテーテルチューブ5の近位端を膨張ポンプに結合するように構成される、膨張継手12をさらに備える、上述のようなキットである。
【0010】
本発明の別の実施形態は、
上記膨張継手12が、
−遠位シール16が配置される遠位ポート14と、
−近位シール15が配置される近位ポート13と、
−弁と動作可能に接続されるポンプ継手17と、
を備え、ポート13、14及びポンプ継手17は、継手12のチャンバ27と流体接続されており、
−遠位ポート14は、カテーテルチューブ5の近位端を受け入れてカテーテルチューブ5の本体に対してシールを形成するように構成され、
−近位ポート13は、除去可能なインナーチューブ6を受け入れて開口9の遠位側で除去可能なインナーチューブ6の本体に対してシールを形成するように構成され、除去可能なインナーチューブ6の近位端が継手12を通過することを可能にする、上述のようなキットである。
【0011】
本発明の別の実施形態は、カテーテルチューブ5の外径が、2mm〜6mmである、上述のようなキットである。
【0012】
本発明の別の実施形態は、カテーテルチューブ5が、除去可能なインナーチューブ6の曲げ剛性よりも低い曲げ剛性を有する、上述のようなキットである。
【0013】
本発明の別の実施形態は、カテーテルチューブ5が、シリコーンゴム又はポリウレタンから作られる、上述のようなキットである。
【0014】
本発明の別の実施形態は、カテーテルチューブ5が、ポリウレタン又はポリウレタン含有化合物から作られる、上述のようなキットである。
【0015】
本発明の別の実施形態は、膨張ルーメン21の直径が、除去可能なインナーチューブ6の外径よりも5%〜20%大きい、上述のようなキットである。
【0016】
本発明の別の実施形態は、カテーテルチューブ5の近位端2と遠位端3との間に、医療用カテーテル1の長手方向伸長を防止する非伸長性コードが配置される、上述のようなキットである。
【0017】
本発明の別の実施形態は、コードが、カテーテルチューブ5の壁の中、外側、又は内側に配置される、上述のようなキットである。
【0018】
本発明の別の実施形態は、カテーテルチューブ5の近位端が、周方向圧力を加えることによって変形を低減するように補強される、上述のようなキットである。
【0019】
本発明の別の実施形態は、上記補強が、
−カテーテルチューブ5の近位端の上に配置されるアウターチューブ、
−カテーテルチューブ5の近位端に挿入されるインナーチューブ、又は
−カテーテルチューブ5の近位端に対する延長部、
を含む、上述のようなキットである。
【0020】
本発明の別の実施形態は、医療用カテーテル1が、カテーテルチューブ5の長さの少なくとも一部に沿って記される可視目盛を備える、上述のようなキットである。
【0021】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6の壁が、0.1mm〜0.4mmの厚さを有する、上述のようなキットである。
【0022】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6の曲げ剛性が、カテーテルチューブ5の曲げ剛性よりも高い、上述のようなキットである。
【0023】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6の近位端が、周方向圧力を加えることによって変形を低減するように補強される、上述のようなキットである。
【0024】
本発明の別の実施形態は、上記補強が、
−近位端に又は該近位端に向かって除去可能なインナーチューブ6の上に配置される補強アウターチューブ48、
−近位端に又は該近位端に向かって除去可能なインナーチューブ6に挿入される補強インナーチューブ49、又は
−除去可能なインナーチューブ6の近位端に対する補強延長部50、
を含む、上述のようなキットである。
【0025】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6の上に配置される補強アウターチューブ48には、該補強チューブ48の近位端に又は該近位端に向かって環状リッジ51が配置される、上述のようなキットである。
【0026】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6が、その長さの少なくとも一部に沿って記される可視目盛を備える、上述のようなキットである。
【0027】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6の曲げ剛性が、カテーテルチューブ5の曲げ剛性よりも1%〜60%高い、上述のようなキットである。
【0028】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6が、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、又はポリエチレンで作られる、上述のようなキットである。
【0029】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6が、ポリイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、又はポリエチレンで作られる、上述のようなキットである。
【0030】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6の線源ワイヤルーメン22の直径が、0.5mm〜1.9mmである、上述のようなキットである。
【0031】
本発明の別の実施形態は、除去可能なインナーチューブ6が、医療用バルーンカテーテル1よりも3cm〜90cm長い、上述のようなキットである。
【0032】
本発明の別の実施形態は、鼻咽頭経路を経由した被験者への挿入時にカテーテルチューブ5に剛性を与えるために、膨張ルーメン21に対して挿入及び除去されるように構成される除去可能なプッシャワイヤ11をさらに備える、上述のようなキットである。
【0033】
本発明の別の実施形態は、上記プッシャワイヤ11が、除去可能なインナーチューブ6の曲げ剛性よりも高い曲げ剛性を有する、上述のようなキットである。
【0034】
本発明の別の実施形態は、膨張ポンプ30をさらに備える、上述のようなキットである。
【0035】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテルが、鼻咽頭経路を経由して食道に挿入されるように構成される、上述のようなキットである。
【0036】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテルが、頸部経路を経由して子宮腔に挿入されるように構成される、上述のようなキットである。
【0037】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテルが、乳房の切開部又は針穿刺部を経由して乳房組織に挿入されるように構成される、上述のようなキットである。
【0038】
本発明の別の実施形態は、被験者にカテーテル小線源療法を施す方法であって、
−鼻咽頭経路を経由して被験者の食道に収縮した医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、該医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、収縮した医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入することであって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、被験者にカテーテル小線源療法を施す方法である。
【0039】
本発明の別の実施形態は、被験者にカテーテル小線源療法を施す方法であって、
−被験者における進入点を通して医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、該医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、カテーテルチューブ5は、キンク状態から伸びるように構成され、膨張ルーメン21が除去可能なインナーチューブ6を摺動可能に収納することを可能にし、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入することであって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、被験者にカテーテル小線源療法を施す方法である。
【0040】
本発明の別の実施形態は、被験者にカテーテル小線源療法を施す方法であって、
−被験者における進入点を通して医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、該医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、カテーテルチューブ5はキンク可能であり、膨張ルーメン21は、
−除去可能なインナーチューブ6を収納し、且つ
−除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、
医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入することであって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、除去可能なインナーチューブ6はキンク可能ではなく、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、被験者にカテーテル小線源療法を施す方法である。
【0041】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1に一時的な剛性を与えるために、医療用バルーンカテーテル1を体内で前進させる前に、プッシャワイヤ11が膨張ルーメン21に挿入される、上述のような方法である。
【0042】
本発明の別の実施形態は、鼻咽頭経路を経由した被験者の食道への医療用バルーンカテーテル1の挿入後及び膨張ルーメン21への除去可能なインナーチューブ6の挿入前に、上述のような膨張継手12が、カテーテル1の近位端2においてカテーテルチューブ材5に結合される、上述のような方法である。
【0043】
本発明の別の実施形態は、膨張継手12が、膨張ルーメン21への除去可能なインナーチューブ6の挿入後に、除去可能なインナーチューブ6の近位端7にさらに結合される、上述のような方法である。
【0044】
本発明の別の実施形態は、膨張継手12が、除去可能なインナーチューブ6の抜去後に、医療用バルーンカテーテル1から除去される、上述のような方法である。
【0045】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1の近位部分が、体への挿入後及び/又は治療セッション間に患者の体に絆創膏で固定される、上述のような方法である。
【0046】
本発明の別の実施形態は、治療が分割される、上述のような方法である。
【0047】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1が、3日間〜21日間にわたってその場に残される、上述のような方法である。
【0048】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1が、食道に小線源療法を施すために、鼻咽頭経路を経由して被験者の食道に挿入される、上述のような方法である。
【0049】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1の近位部分が、鼻咽頭経路を経由した挿入後及び/又は治療セッション間に患者の鼻に絆創膏で固定される、上述のような方法である。
【0050】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1が、子宮腔に小線源療法を施すために、頸部経路を経由して被験者の子宮腔に挿入される、上述のような方法である。
【0051】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1の近位部分が、頸部経路を経由した挿入後及び/又は治療セッション間に頸部の出口に縫合糸で固定される、上述のような方法である。
【0052】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1が、乳房に小線源療法を施すために、乳房の切開部を経由して被験者の乳房組織に挿入される、上述のような方法である。
【0053】
本発明の別の実施形態は、医療用バルーンカテーテル1の近位部分が、切開部を経由した挿入後及び/又は治療セッション間に乳房から出る場所に絆創膏で固定される、上述のような方法である。
【0054】
本発明の別の実施形態は、上述のようなキットを使用する、上述のような方法である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】膨張ルーメン及び膨張ルーメンと流体連通する2つの膨張可能なバルーンを有する細長いカテーテルチューブを備える、医療用バルーンカテーテルの断面図を示す。
【図2】細長い本体、開口近位端、閉鎖遠位端、及び内部に延びる線源ワイヤルーメンを有する、除去可能なインナーチューブの断面図を示す。
【図3】鼻咽頭経路を経由した被験者への挿入時にカテーテルチューブに剛性を与えるために、膨張ルーメンに対して挿入及び除去されるように構成されるプッシャワイヤの概略図を示す。
【図4】細長いカテーテルチューブの膨張ルーメンに挿入されたプッシャワイヤの図を示す。
【図5】細長いカテーテルチューブの膨張ルーメンに挿入された除去可能なインナーチューブの図を示す。
【図6】バルーンの膨張を可能にするためにカテーテルチューブの近位端を膨張ポンプに結合するように構成される膨張継手の断面図を示す。
【図7】除去可能なインナーチューブの開口端へのアクセスを可能にしつつ膨張ルーメンをシールする、カテーテルチューブの近位端に取り付けられた膨張継手の断面を示す。膨張継手にはポンプが取り付けられている。バルーンは膨張している。
【図8】カテーテルチューブの近位端に取り付けられた膨張継手、及び除去可能なインナーチューブの線源ワイヤルーメンに挿入された線源ワイヤの断面図を示す。バルーンは膨張している。
【図9】ポートにねじ込み継手が配置されている、膨張継手の断面図を示す。
【図10】補強アウターチューブが配置されている、細長いカテーテルチューブ5の近位端の断面図を示す。
【図11】補強インナーチューブが配置されている、細長いカテーテルチューブ5の近位端の断面図を示す。
【図12】補強チューブで延長されている、細長いカテーテルチューブ5の近位端の断面図を示す。
【図13】補強アウターチューブが配置されている、除去可能なインナーチューブの近位端の断面図を示す。
【図14】補強インナーチューブが配置されている、除去可能なインナーチューブの近位端の断面図を示す。
【図15】補強チューブで延長されている、除去可能なインナーチューブの近位端の断面図を示す。
【図16】環状リッジを有する補強アウターチューブが配置されている、除去可能なインナーチューブの近位端の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
別段の定義がない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語及び科学用語は、当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。本明細書で参照されるすべての公報が、参照により本明細書に援用される。本明細書で参照されるすべての米国特許及び特許出願の、図面を含む全体が、参照により本明細書に援用される。
【0057】
冠詞「a」及び「an」は、その冠詞の文法上の対象の1つ、又は2つ以上、すなわち少なくとも1つを指すために本明細書では用いられる。例として、「alumen」は、1つのルーメン又は2つ以上のルーメンを意味する。
【0058】
端点による数値範囲の記載は、全整数と、必要に応じてその範囲内に包含される端数とを含む(例えば、1〜5は、例えばルーメンの数を指す場合は1、2、3、4を含むことができ、例えば測定値を指す場合は1.5、2、2.75、及び3.80も含むことができる)。端点の記述は、その端点値自体も含む(例えば、1.0〜5.0は、1.0及び5.0の両方を含む)。
【0059】
本発明は、被験者にカテーテル小線源療法を施すための、特に分割(複数回投与)治療のためのキット及び方法に関する。これは、カテーテル小線源療法の感受性が高い内部癌、特に食道癌、子宮癌、又は乳癌の治療に適している。これは、腔内又は組織内小線源療法に特に適している。本発明は、鼻(食道癌)、膣(子宮癌)、又は皮膚穿刺部又は切開部(乳癌)等の治療用の進入点を通して非常に可撓性の高いチューブを導入し、放射線治療期間中にチューブを一時的に強化及び補剛し、続いて放射線療法セッション間に快適な装着感を与える通常の可撓性にチューブを戻すことに基づく。チューブの可撓性は、損傷なくキンクすることができる(すなわち、キンク可能)か又は低いプッシャビリティを示すようなものであるため、曲げに対する抵抗をほとんど又は全く与えず、したがって、チューブは、例えば治療後及び治療から次の治療までの間に快適に装着することができ、例えば皮膚にテープで留めることができる。この可撓性チューブには、膨張可能なバルーンも配置されることで、チューブが食道又は子宮等の内部空間を占めること、又は乳房組織内等に空間を作ることが可能になる。重要なことに、本発明は、可撓性チューブのルーメンに剛性のより高いインナーチューブを一時的に導入することによって可撓性チューブを強化及び補剛することを可能にし、このインナーチューブは、放射性源ワイヤの挿入用の別個のルーメンを含む。この構成は、放射線療法の効果的な投与のための乾燥した線源ワイヤルーメンを提供し、治療領域に対して均等な線量の放射線を維持し、且つ患者に高い快適度を与える。
【0060】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態は、被験者にカテーテル小線源療法を施すキットであって、
−近位端2及び遠位端3を有する医療用バルーンカテーテル1であって、膨張ルーメン21が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル1と、
−細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有する、除去可能なインナーチューブ6であって、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6と、
を備える、被験者にカテーテル小線源療法を施すキットである。
【0061】
本発明の別の実施形態は、食道に小線源療法を施す方法であって、
−鼻咽頭経路を経由して被験者の食道に収縮した医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、該医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、収縮した医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入すること(図5)であって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること(図7)、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること(図8)、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、食道に小線源療法を施す方法である。
【0062】
本明細書に記載のキット及び方法は、鼻咽頭経路を経由して食道の小線源療法を開始することを可能にする。医療用バルーンカテーテルは、後述するような可撓性の本体を有し、非専門家でも鼻咽頭経路を経由して食道に挿入することができる。通常は口腔手術後に被験者に栄養供給する場合の、栄養(feeding)チューブの挿入は、訓練を追加しなくても看護師が実施することができる技法であることは、当該技術分野において既知である。したがって、同じ経路を用い且つ同様の可撓性を有する本発明のカテーテルは、看護師等の非専門家が同じ技法を用いて挿入することができる。これは、訓練を受けた胃腸科専門医によってキット及び方法が利用されなければならないような、また大きなアプリケータを挿入するのに内視鏡及びガイドワイヤの使用を必要とする従来技術に勝る改良点である。非専門家が治療の大部分を行うことができるようにすることによって、本発明は、胃腸科専門医の時間及び処置の費用を節約する。この利益に加えて、患者の体験も改善される。すなわち、鎮静せずに処置に耐えることができ、不快感を伴わずに長期間にわたってカテーテルが別個に装着される。
【0063】
本発明の別の実施形態は、子宮の内壁に小線源療法を施す方法であって、
−頸部経路を経由して被験者の子宮に収縮した医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、カテーテルチューブ5は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、収縮した医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入すること(図5)であって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること(図7)、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること(図8)、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、子宮の内壁に小線源療法を施す方法である。
【0064】
医療用バルーンカテーテルは、後述するような可撓性の本体を有し、非専門家によって子宮頸を経由して子宮に挿入することができる。子宮腔内への子宮計の挿入が、訓練を追加しなくても放射線腫瘍医が実施することができる技法であることは、当該技術分野において既知である。したがって、同じ経路を用い且つ同様の可撓性を有する本発明のカテーテルは、放射線腫瘍医等の非専門家が同じ技法を用いて挿入することができる。これは、訓練を受けた婦人科医によってキット及び方法が利用されなければならないような、また大きなアプリケータの挿入を必要とする従来技術に勝る改良点である。非専門家が治療の大部分を行うことができるようにすることによって、本発明は、婦人科医の時間及び処置の費用を節約する。この利益に加えて、患者の体験も改善される。すなわち、この手法は、分割治療を可能にし、不快感を伴わずに長期間にわたってカテーテルが別個に装着される。
【0065】
本発明の別の実施形態は、乳房切除腔に小線源療法を施す方法であって、
−乳房腫瘍を除去した(例えば乳房温存手術)後の被験者の乳房切除腔に収縮した医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、収縮した医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入すること(図5)であって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること(図7)、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること(図8)、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、乳房切除腔に小線源療法を施す方法である。
【0066】
医療用バルーンカテーテルは、手術痕を経由して又は皮膚を通して乳房切除腔に挿入することができる。不快感を伴わずに長期間にわたってカテーテルが別個に装着される。
【0067】
装置の装着、挿入、及び抜去を容易に行うことができることで、長期的な分割根治治療が可能となる。1日当たりの放射線量(radioactive dose)を低減することができ、例えば10回〜30回の複数の治療セッションで治療から次の治療までの間隔を大きくとって(例えば、1日)照射することができる。放射線量を低減した分割治療は、組織への損傷を減らすことにより、瘢痕化(線維症及びその後の狭窄)の可能性を減らす。食道癌の場合、これは、遅発性の線維症に起因する食道管の閉鎖を防止することができる。対照的に、従来の治療は、患者がアプリケータの挿入及び装着のストレス及び不快感から数回(例えば、3回〜5回)以上の治療に耐えられないため、各セッションで高線量を照射しなければならない。その結果、食道管の狭窄(線維症に起因する)が従来技術ではよく見られる。
【0068】
分割(複数回、例えば5回〜30回)治療は、1回〜3回の治療における高線量の照射と比較して組織の忍容性が高い。例えば、外部放射線療法(50Gy)後のブーストを、週2回3×5Gy、総線量15Gyで、又は10回のセッションで20Gyを与えることにより、与えることができる。患者が手術を受けない場合、10×2Gyではなく3×5Gyを与えることによって線維症及び狭窄の危険が高くなる。これは、例えば食道内腔を広げるために患者が後で定期的に拡張術を受けなければならなくなることを意味する。これは、外傷性があり苦痛である。
【0069】
食道小線源療法用の従来技術のGerard−Bonvoisinプローブ(Nucletron,Veenendael, The Netherlands)は、1回〜3回の治療セッションを可能にし得るが、これは、従来の浅麻酔下にある半意識状態の患者でさえも非常に厳しく外傷的であると感じるであろう。はるかに外傷性の低い本発明のシステムは、線量増加の可能性を改善するとともに食道癌を患う患者の治癒率を向上させる外来分割治療を可能にする。例えば、分割小線源療法を用いた20Gyの照射が実行可能となり、食道癌治療の手法を大幅に改善する。
【0070】
手術を受ける患者の場合、化学療法及び外部放射線療法に小線源療法を加えることで、病理標本上の生存癌細胞の全滅率(total eradication)が高まる。食道癌を扱う多くの臨床試験において、放射線化学療法に対する完全奏効者のみが長期間生存することが示されているため、食道癌治療の治癒率を高めるために、おそらく本発明を用いて完全奏効者の割合を今日の30%〜50%から50%〜70%に上昇させる必要がある。
【0071】
緩和治療の場合、使いやすい分割小線源療法は、この極めて侵攻性の高い疾患での無進行期間を増やすために、例えば食道内ステントと組み合わせて付加的な手段となる。
【0072】
「遠位」及び「近位」という用語は、本明細書を通して用いられ、装置の外科医側に近いこと(近位)又は外科医側から遠いこと(遠位)を意味するように当該分野において概して理解される用語である。したがって、「近位」は、外科医側に近いこと、したがって患者側から遠いことを意味する。逆に、「遠位」は、患者側に近いこと、したがって外科医側から遠いことを意味する。
【0073】
近位端2及び遠位端3を有する医療用バルーンカテーテル1(図1)は、膨張ルーメン21が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備える。医療用カテーテル1の遠位端はシールされる。
【0074】
医療用バルーンカテーテル1は、細長いカテーテルチューブ5から形成される可撓性の尾部によって遠位端3において延長することができ、この延長尾部は、装置が食道癌の治療に用いられる場合に安定用長手方向アンカとして働くことができる。尾部は、食道壁に対して固定されることで、医療用カテーテル1が咳又はくしゃみによって被験者から放出される可能性を減らす。
【0075】
医療用バルーンカテーテル1のサイズは、適当な通路、例えば鼻咽頭経路、膣経路、及び頸部経路を通して、又は皮膚穿刺部を通して導入するのに十分な細さである。これは、キンク時に損傷を受けないほど十分に可撓性があり、治療部位に前進させるために必要なプッシャビリティ自体を有さない。これらは、詳細に後述する細長いカテーテルチューブ5及びバルーン4、4’の特性によって決まる。
【0076】
医療用バルーンカテーテル1の設計は、プッシャワイヤを用いた挿入、抜去、及び装着を容易にすることが有利である。装着の際、カテーテルチューブ5の近位端は、皮膚に固定され、例えば、食道治療の場合、接着ストリップ、特に低刺激性接着ストリップを用いて鼻孔に固定されて鼻孔及び/又は頬の周りでキンクされ得る。鼻孔への固定により、バルーン領域に対応する医療用カテーテル1の治療部の安定した正確な位置決めが得られる。装着中キンクしているこの固定部分は、除去インナーチューブ6の挿入を進めて線源導入を可能にするために各治療セッション前に定期的に伸ばされ又は「キンクを解かれ」得る。皮膚への固定は、カテーテルが体から出る地点において、他の癌の治療と同様に施すことができる。
【0077】
医療用バルーンカテーテル1は、開口近位端2が設けられる細長いカテーテルチューブ5(図1)を備え、開口近位端2は、チューブの長手方向の長さに延びる膨張ルーメン21へのアクセスを提供する。近位端は、除去可能なインナーチューブ6の挿入のため及びプッシャワイヤ11の挿入のために、膨張流体を入れることができる開口を提供する。
【0078】
膨張ルーメン21には、カテーテルチューブ5の遠位端3に向かって位置付けられる少なくとも1つの膨張可能なバルーンが流体連通する。膨張ルーメン20は、カテーテルチューブ5の壁にある複数の孔30を介して少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’と流体連通し得る。膨張ルーメン21を通して生理食塩水等の膨張流体を加えることで、少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’が開き、半径方向に拡張して食道壁と接触することができるようになる。
【0079】
細長いカテーテルチューブ5は、遠位バルーン(複数可)の遠位側の直近で終わり得るか、又はこのバルーン(複数可)の遠位の方向にさらに延び得ることで、食道壁に対する安定用長手方向アンカとして働くことができる延長尾部を医療用バルーンカテーテル1に与え得る。尾部は、医療用カテーテル1が咳又はくしゃみによって被験者から放出される可能性を減らす。細長いカテーテルチューブ5の遠位端はシールされる。
【0080】
細長いカテーテルチューブ5の直径は、適当な通路、例えば鼻咽頭経路、膣経路、及び頸部経路を通して、又は皮膚穿刺部を通して導入するのに十分な細さである。細長いカテーテルチューブ5は、柔軟(flaccid:弛緩性)又はキンク可能であるものとして述べられ得る。これは、プッシャビリティ、すなわち、治療部位への進入点を通して、例えば適当な通路、例えば鼻咽頭経路、膣経路、及び頸部経路を通して、又は皮膚穿刺部を通して前進させるためにカテーテルの近位端から遠位端に力を伝達する能力が不十分である。キンク可能又は柔軟であることは、例えば管形の壁の圧潰を引き起こしてキンク又は皺として知られる折り目を生じさせる程度まで、少なくとも半分にこれを折り曲げることができることを意味する。キンクは、細長いカテーテルチューブ5の長手方向軸に交差する。細長いカテーテルチューブ5にはキンク可能な性質があるため、チューブを伸ばすことで、細長いカテーテルチューブ5の壁に損傷を与えることなくキンクが除去される。より重要なことに、細長いカテーテルチューブ5の完全性及び寸法、特に膨張ルーメン21の完全性及び寸法に影響がないため、除去可能なインナーチューブの挿入がキンクにより損傷を受けた壁によって妨げられることがない。したがって、伸びた又はキンクを解いた状態の膨張ルーメン21が除去可能なインナーチューブ6を摺動可能に収納することができるように、細長いカテーテルチューブ5は、細長いカテーテルチューブ5の壁に損傷を与えることなく折り曲げられ得る。すなわち、除去可能なインナーチューブ6は、実質的に支障なくキンクの位置を通過して前進することができる。細長いカテーテルチューブ5は、キンク時に損傷を受けないほど十分に柔軟である。これは、蛇行路を通した操縦に十分な可撓性と、良好なプッシャビリティ、すなわちカテーテルの近位端から遠位端に力を伝達する能力を与えるのに十分な剛性とを通常は提供する、キンク不可能な材料から作られる普通のカテーテルチューブ材から逸脱している。しかしながら、従来技術のそのようなチューブ材は、チューブの壁に損傷を与えずにキンクに耐えることができない。さらに、従来技術のそのようなカテーテルは、硬すぎて長期の快適な装着に向かない。「キンク可能」及び「キンク不可能」という用語は、当該分野において既知である。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、チューブの可撓性は、比較的測定しやすい特性、例えばチューブの断面直径及び1つ又は複数の材料の弾性(ヤング)係数Eに関して述べられる。チューブが単一の材料から成る場合、可撓性は、曲げ軸に関する断面の慣性モーメントIとヤング係数Eとの積の逆数として定義され得る。積EIは、科学文献において梁の「曲げ剛性」として知られている。単一の材料の円形ワイヤの場合、慣性モーメントIはπd4/64であり、式中、dはチューブの外径である。したがって、曲げ剛性はEI=πEd4/64となる。これは、或る点でのチューブの可撓性を定義する。したがって、EIを2倍にするとチューブの剛性が2倍になると言われている。
【0082】
チューブの一端を固定して保持し、均一な断面を有する他端においてチューブ軸に対して垂直に既知の重量又は力を加えることにより、原軸である直線軸からの撓みは、可撓性に比例、すなわちチューブの曲げ剛性に反比例する。撓みは、加わる力又は重量並びに試験される長さの3乗にも比例する。したがって、既知の撓みを引き起こすのに必要な既知の荷重又は力に対応する撓みを、チューブの可撓性又は曲げ剛性の直接的な尺度として用いることができる。撓みの試験は、例えば、参照により本明細書に援用される欧州特許第1666083号に記載されている。
【0083】
本発明の一態様によれば、カテーテルチューブ5のグラムでの曲げ剛性は、除去可能なインナーチューブ6の曲げ剛性よりも低い。カテーテルチューブ5の曲げ剛性は、除去可能なインナーチューブ6の曲げ剛性よりも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、又は80%以上、若しくは上記値の任意の2つの間の値以上低くてもよい。好ましくは、カテーテルチューブ5のグラムでの曲げ剛性は、除去可能なインナーチューブ6の曲げ剛性よりも1%〜60%低い。
【0084】
上述のように、カテーテルチューブ5は、被験者の進入点を通して治療部位まで前進させるのに必要なプッシャビリティを有し得ない。本発明の一態様によれば、カテーテルチューブ5のプッシャビリティは、除去可能なインナーチューブ6のプッシャビリティよりも低い。除去可能なインナーチューブ6は、この場合はカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21を通して前進させるのに十分なプッシャビリティを提供するという点で、当該技術分野のカテーテルチューブ材によりよく見られるものである。
【0085】
本発明の別の態様によれば、カテーテルチューブ5は、機械力(例えば、引張、圧縮)を加えると変形し力を除去すると以前の形状に戻ることを可能にする形状回復性を有する。この特性は、カテーテルチューブ5を損傷なく曲げ且つキンクさせること、より詳細には、ルーメン21の完全性を維持して除去可能なインナーチューブ6を実質的に支障なく通過させることを可能にする。除去可能なインナーチューブ6等の低い形状回復性を示すチューブ材では、それを曲げることで、線源ワイヤルーメン22に永久的な損傷を与えるとともに線源ワイヤ19の自由な通過を阻止又は妨害する折り目キンクが生じる。
【0086】
カテーテルチューブ5は、膨張圧力に耐えるのに十分な強度を伴って必要特性(例えば、キンク不可能な低い/不十分なプッシャビリティ等)を提供する任意の適当な材料から作られ、生体適合性がある。適当な材料は、ポリウレタン又はポリウレタン含有化合物等、当該技術分野において既知であるがこれらに限定されない。
【0087】
カテーテルチューブ5の膨張ルーメン21の直径は、除去可能なインナーチューブ6を収容するように構成される。カテーテルチューブ5の膨張ルーメン21の直径は、除去可能なインナーチューブ6を容易に前進させ且つ膨張ルーメン21から除去することができるように、除去可能なインナーチューブ6の外径よりも十分に大きくすべきである。概して、膨張ルーメン21の直径は、除去可能なインナーチューブ6の外径よりも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%大きい。
【0088】
本発明の一態様によれば、膨張ルーメン21の直径は、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2.0mm、2.2mm、2.4mm、2.6mm、2.8mm、3.0mm、3.2mm、3.4mm、3.6mm、3.8mm、4.0mm、又は上記値の任意の2つの間の値、好ましくは1.4mm〜2.8mmである。
【0089】
本発明の一態様によれば、カテーテルチューブ5の壁は、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、又は上記値の任意の2つの間の値、好ましくは0.1mm〜0.4mmの厚さを有する。
【0090】
本発明の一態様によれば、カテーテルチューブ5の外径は、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、又は上記値の任意の2つの間の値、好ましくは3mm〜4mmである。
【0091】
本発明の一態様によれば、カテーテルチューブ5は、近位端2から第1の近位側バルーン4まで単体のチューブ材から形成される。本発明の一態様によれば、カテーテルチューブ5は、近位端2から最後の遠位側バルーン4’まで単体のチューブ材から形成される。
【0092】
本発明の一態様によれば、カテーテルチューブ5は、周方向圧力を加えることによって変形を防止又は低減するように近位端2において補強され、そのような周方向圧力は、後述の膨張継手によって加えられ得る。カテーテルチューブ5は、例えばニチノール(nitenol)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のアウターチューブの使用によって近位端における壁の厚さを増加することによって補強され得る。この実施形態は、図10に示されており、この場合、ニチノール又はPEEKのチューブ45がカテーテルチューブ5の外側に同軸配置で取り付けられる。代替的に、カテーテルチューブ5は、例えばニチノール又はPEEKのインナーチューブの使用によって近位端における壁の厚さを増加することによって補強され得る。この実施形態は、図11に示されており、この場合、ニチノール又はPEEKのチューブ46がカテーテルチューブ5の膨張キャビティ21に同軸配置で挿入される。代替的に、カテーテルチューブ5は、接着又は溶接によってカテーテルチューブの近位端に接合する延長チューブ材によって補強されてもよく、この延長チューブ材は、編組チューブ材、ニチノール又はPEEKチューブ材等の必要な周方向圧縮強度を有するチューブ材から作られる。この実施形態は、図12に示されており、この場合、ニチノール又はPEEKのチューブ47がカテーテルチューブ5の近位端に取り付けられる。そのような延長片は、当該技術分野において一般的に用いられており、そのような延長片を含むように本発明を適合させることは、十分に当業者の実施の範囲内である。補強は、カテーテルチューブ5の歪みを防止することによって、カテーテルチューブ5の壁に加わる周方向圧力を用いてシールする膨張継手への取り付けを容易にする。補強部品45、46、47の長さは、0.5cm〜5cmであり得る。
【0093】
本発明の一態様によれば、医療用カテーテル1又はカテーテルチューブ5の近位端と遠位端との間に非伸長性のコードが配置されているか、又はこのコードが、特に除去可能なインナーチューブ6の導入又は除去時に医療用カテーテル1又はカテーテルチューブ5の長手方向伸長を防止する。コードは、カテーテルチューブ5の壁の中、外側、又は内側に設けて、医療用カテーテル1の少なくとも近位端2及び遠位端3に取り付けることができる。コードは、線源導入を可能にする除去可能なインナーチューブ6の導入時に医療用カテーテル1に一定の長さを与える。好ましくは、コードは、ステンレス鋼、チタン、白金、ニッケル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PEEK、又は他の適当な生体適合性材料から作られる。
【0094】
本発明の一態様によれば、医療用カテーテル1は、カテーテルチューブ5の壁の長さの少なくとも一部に沿って記される可視目盛を備える。目盛は、バルーン4、4’、又は他の遠位部分が治療対象領域と一致するように、例えば鼻孔縁に対する医療用カテーテル1の挿入に必要な長さをユーザが特定することを可能にし得る。目盛は、予め決められた深さに挿入することによって、例えば分割治療時に後続の医療用カテーテル1を挿入して正しく位置合わせすることも可能にすることにより、その後の挿入時にボディスキャナの必要をなくす。本発明の一態様によれば、目盛は、医療用カテーテル1の近位側2の半分にある。本発明の別の態様によれば、目盛は、規則的な数字表示を用いてセンチメートル単位で記される。
【0095】
カテーテル1及び除去可能なインナーチューブ6は、同軸組立体を利用しているが、バルーン(複数可)を膨張させるための別個の膨張ルーメンと、除去可能なインナーチューブ6、プッシャワイヤ11、及び線源ワイヤ19を保持する機能を果たす1つ又は複数の別個のルーメンとを提供する、マルチルーメン設計を利用することが可能であることを理解すべきである。
【0096】
カテーテルチューブ5の設計は、挿入、抜去、及び装着を容易にすることが有利である。装着の際、カテーテルチューブ5の近位端は、接着ストリップ、特に低刺激性接着ストリップを用いて鼻孔に固定されて鼻孔及び/又は頬の周りでキンクされ得る。固定により、バルーン領域に対応する医療用カテーテル1の治療部分の安定した位置決めが得られる。この固定部分は、除去インナーチューブ6の挿入を進めて線源導入を可能にするために各治療セッション前に定期的に「キンクを解かれ」得る。
【0097】
医療用カテーテル1には、細長いカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通する1つ又は複数の(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個の)バルーン4、4’が設けられる。1つ又は複数のバルーン4、4’(別段の指示がない限り、本明細書では「バルーン」と呼ぶ)は、半径方向に拡張して治療を受ける血管又は組織の壁に接触する膨張可能な部材である。そのようなバルーンは、当該技術分野において既知である。食道癌の場合、バルーンの機能は、食道内腔を満たして医療用カテーテル1をバルーンの領域で食道の中心軸と位置合わせすることであるため、放射線量が食道壁に均等に供給される。子宮癌の場合、バルーンの機能は、子宮腔を満たして医療用カテーテル1をバルーンの領域で子宮腔の中心と位置合わせすることであるため、放射線量が子宮壁に均等に供給される。乳癌の場合、バルーンの機能は、乳房組織の腫瘍切除腔を満たして医療用カテーテル1をバルーンの領域で作られた切除腔の中心と位置合わせすることであるため、放射線量が乳房組織の周囲壁に均等に供給される。使用の際、バルーンは、放置すれば増殖し続けるであろう細胞に放射線量が影響を及ぼすことを可能にするのに十分な時間にわたって、その拡張状態(図7、図8)に保持される。好ましくは、十分な放射線量を約1分〜約60分照射して癌を治療することができる。バルーンは、その拡張状態で、食道壁に押し当たるか又は少なくとも近接し、そうすることで放射線源を中心合わせする。この放射線源の中心合わせは、組織又は血管のすべての部分ができる限り均一に且つできる限り均等な量で放射線を受けるようにするのに重要である。また、中心合わせは、放射線熱傷又はホットスポットが標的領域の部分で発生するのを防止するのに役立つ。
【0098】
非膨張状態のバルーン4、4’は、バルーンの長手方向中心軸の周りで周方向に互いに離間した複数の半径方向及び軸方向に延びる「ウィング」として設けられ得る。ウィングは、所望の方法で横方向に巻くか又は折り畳むことができる。折り畳んだバルーンの周りに弾性スリーブを配置してもよい。バルーン4、4’は、食道の内壁に接触する程度まで本質的に半径方向に膨張するように構成される。バルーン4、4’は、膨張及び収縮した後で比較的小型の断面で折り畳み直されるように構成され得る。この特徴は、収縮したカテーテルの患者からの抜去を容易にする。
【0099】
本発明の一態様によれば、非膨張状態のバルーン4、4’の外径は、3mm、4mm、5mm、6mm、又は上記値の任意の2つの間の値、好ましくは3mm〜4mmである。
【0100】
本発明の一態様によれば、膨張状態のバルーン4、4’の外径は、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、31mm、32mm、33mm、34mm、35mm、36mm、37mm、38mm、39mm、40mm、41mm、42mm、43mm、44mm、45mm、46mm、47mm、48mm、49mm、50mm、又は上記値の任意の2つの間の値、好ましくは10mm〜50mmである。食道癌の治療の場合、膨張状態のバルーン4、4’の外径は、10mm〜35mmであることが好ましい。子宮癌の治療の場合、膨張状態のバルーン4、4’の外径は、15mm〜35mmであることが好ましい。乳癌の治療の場合、膨張状態のバルーン4、4’の外径は、30mm〜50mmであることが好ましい。
【0101】
バルーン4、4’は、ポリウレタン、シリコーン、ラテックス、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、又はポリアミド等の弾性材料から作られる。拡張カテーテルで用いられる従来のバルーン材料は、カテーテルでの使用に適したものである。材料の組成に変化を加えて特性を変えることができる。
【0102】
バルーン4、4’は、当該技術分野の任意の既知の技法を用いて細長いカテーテルチューブ5に取り付けられ得る。例えば、一般的に用いられる技法は、チューブ材の短片を用いて細長いカテーテルチューブ5の上にバルーンを結合するようなものである。一例は、細長いカテーテルチューブ5の上にバルーンを結合する熱収縮チューブ材である。別の技法は、細長いカテーテルチューブ5の上でチューブ材を溶融すること、又は細長いカテーテルチューブ5の上にチューブ材を糊付けすること、又は細長いカテーテルチューブ5の上にチューブ材を溶接することである。細長いカテーテルチューブ5は、サンドブラスト又はレーザ彫刻で細長いカテーテルチューブ5の結合面を粗面化又は改質することによって、チューブ材を取り付けるいずれかの技法を受けるように準備されることが多い。
【0103】
バルーン4、4’には、放射線不透過性マーカが設けられ得る。放射線不透過性マーカは、体内の所望の場所でのバルーンの位置決めを容易にするために、バルーン付近の(例えば、バルーンの各軸端に隣接した)所定の場所に設けられ得る。
【0104】
除去可能なインナーチューブ6(図2)は、線源ワイヤを収容してカテーテル1内の治療点に案内するための乾燥したルーメンを提供する。除去可能なインナーチューブ6は、内部に延びる線源ワイヤルーメン22を備える細長いチューブであり、このルーメンは、遠位端8においてシール10される。除去可能なインナーチューブ6の遠位端8は、例えば丸みのある非外傷性先端を有する。除去可能なインナーチューブ6は、近位端7に開口9が開いており、線源ワイヤ19によるルーメン22へのアクセスを提供する。重要なことに、線源ワイヤルーメン22は、遠位端8のシール10により膨張流体でのバルーンの膨張時に乾燥したままとなる。
【0105】
除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21に導入されるのに十分なほど小さな外径、膨張ルーメン21の制限内で鼻咽頭経路の蛇行路をめぐって操縦されるのに十分な可撓性、及びプッシャビリティを与えるのに十分な剛性を有する。除去可能なインナーチューブ6は、キンク不可能又は非柔軟であるものとして述べられ得る。キンク不可能又は非柔軟であることは、除去可能なインナーチューブ6をキンクさせると必ずチューブ6の壁が損傷を受けることを意味する。上述のように、管形の壁の圧潰を引き起こすようにチューブを折り曲げるとキンクが形成されて、キンクとして知られる折り目を生じさせる。キンクによって生じる損傷は、1つ又は複数の応力の跡をもたらす。さらに、線源ワイヤルーメン22は、キンク後に制限を受けることにより、線源ワイヤ19の適切な挿入を阻止することになる。線源ワイヤルーメン22を通して線源19を前進させるアフターローディング装置(afterloading machines)は、カテーテル内の抵抗に敏感である。チューブのキンク後にアフターローディング装置が抵抗を検出した場合、線源が妨害されて自動的に抜去されることになる。したがって、除去可能なインナーチューブ6をキンクさせることは避けるべきである。除去可能なインナーチューブ6のキンク不可能な性質は、或る程度の剛性及びプッシャビリティを提供するが、これは、除去可能なインナーチューブ6を線源19の前進によって変形させないようにするのに十分な強度も与える。例えばキンク可能な又は柔軟なチューブで見られるような変形可能な特性は、線源の挿入がチューブの位置の変化を引き起こし得るため、除去可能なインナーチューブにとって不適切である。線源位置は、治療の正確な線量測定を達成するために常に確定されているべきである。除去可能なインナーチューブ6は、上記特性を提供するカテーテルチューブ材で通常用いられる材料から作られる。上述のように、「キンク可能」及び「キンク不可能」という用語は、当該分野において既知である。
【0106】
本発明の一態様によれば、除去可能なインナーチューブ6のグラムでの曲げ剛性は、カテーテルチューブ5の曲げ剛性よりも高い。除去可能なインナーチューブ6の曲げ剛性は、カテーテルチューブ5の曲げ剛性よりも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、又は80%以上、若しくは上記値の任意の2つの間の値以上高くてもよい。好ましくは、除去可能なインナーチューブ6のグラムでの曲げ剛性は、カテーテルチューブ5の曲げ剛性よりも1%〜60%高い。
【0107】
上述のように、除去可能なインナーチューブ6は、被験者の進入点を通して治療部位まで前進させるのに必要なプッシャビリティを有する。本発明の一態様によれば、除去可能なインナーチューブ6のプッシャビリティは、カテーテルチューブ5のプッシャビリティよりも高い。プッシャビリティは、チューブの近位端から遠位端に力を伝達する能力を指す。より詳細には、これは、その軸に沿って縦力が加えられるときのチューブの応答である。小さな撓みの場合、チューブ材特性は、式(1)、すなわち
klong=EA/L (1)
によってばねの縦剛性が求められるばねシステムに近似すると考えられ、式中、klongは縦ばね定数、Eは弾性係数、Aは断面積、Lはチューブの長さである。プッシャビリティを最大にするために、当業者はklongの値を最大にする。チューブのプッシャビリティを最大にする際、チューブの断面積を最大にし、必要な可撓性を依然として提供する剛性材料を用いて弾性係数を最大にし、チューブの全長を減らすことが理解されるであろう。良好なプッシャビリティ特性を必要とする除去インナーチューブ6の場合、キンクがチューブ壁に取り返しのつかないほどの損傷を与えるため、キンクの傾向が低いことが重要な特性である。高度のプッシャビリティが望ましくない細長いチューブ5の場合、キンクの傾向が高くても許容可能である。
【0108】
本発明の別の態様によれば、除去可能なインナーチューブ6は、(非常に薄い肉厚を理由の1つとして)形状回復性をほとんど又は全く有さないため、機械力(例えば、引張、圧縮力)が加わって変形した後に力を除去してもその以前の形状に戻らない。これは、カテーテルチューブ5を損傷なく曲げ且つキンクさせることを可能にする、より詳細には、ルーメン21の完全性を維持して除去可能なインナーチューブ6を通過させることを可能にする、形状回復性を有するカテーテルチューブ5とは異なる。形状回復性が低いことによって、除去可能なインナーチューブ6を曲げて折れ目キンクを形成することは、線源ワイヤルーメン22に永久的な損傷を与えるとともに線源ワイヤ19の自由な通過を阻止又は妨害する。
【0109】
除去可能なインナーチューブ6は、十分な剛性及び強度を伴って所望の特性(キンク不可能なチューブ、良好なプッシャビリティ)を提供する任意の適当な材料から作られ、生体適合性がある。適当な材料は、ポリイミド、PEEK、又はポリエチレン等、当該技術分野において既知である。除去可能なインナーチューブ6をPTFE又はテフロン(登録商標)の層で被覆して、潤滑性を与えてもよい。代替的に、除去可能なインナーチューブ6の先端を油で被覆してもよい。潤滑性は、長さが最長1mであり得るカテーテルの全長で膨張ルーメン21に対して挿入及び抜去するのに役立つ。
【0110】
除去可能なインナーチューブ6の近位端は、放射性源ワイヤ19を供給する放射線アフターローディング装置上のフィッティングに結合することができるアダプタに接続され得る。
【0111】
除去可能なインナーチューブ6の線源ワイヤルーメン22の直径は、放射性源ワイヤ19を容易に前進させ且つ線源ワイヤルーメン22から除去することができるように、放射性源ワイヤ19の直径よりも十分に大きくすべきである。概して、線源ワイヤルーメン22の直径は、放射性源ワイヤ19の直径よりも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%大きい。
【0112】
本発明の一態様によれば、線源ワイヤルーメン22の直径は、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、1.6mm、1.8mm、1.9mm、又は2.0mm、又は上記値の任意の2つの間の値、好ましくは0.5mm〜1.9mm、より好ましくは0.5mm〜1.2mmである。
【0113】
本発明の一態様によれば、除去可能なインナーチューブ6の壁は、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、又は上記値の任意の2つの間の値、好ましくは0.1mm〜0.4mmの厚さを有する。
【0114】
本発明の一態様によれば、除去可能なインナーチューブ6は、除去可能なインナーチューブ6の壁の長さの少なくとも一部に沿って記される可視目盛を備える。目盛は、遠位端8が治療対象領域と一致するように、挿入に必要な除去可能なインナーチューブ6の長さをユーザが特定することを可能にし得る。目盛は、予め決められた深さに挿入することによって、例えば分割治療時に後続の除去可能なインナーチューブ6を挿入して正しく位置合わせすることも可能にすることにより、その後の挿入時にボディスキャナの必要をなくす。本発明の一態様によれば、目盛は、除去可能なインナーチューブ6の近位側7の半分にある。本発明の別の態様によれば、目盛は、規則的な数字表示を用いてセンチメートル単位で記される。
【0115】
本発明の一態様によれば、除去可能なインナーチューブ6は、周方向圧力を加えることによって変形を防止又は低減するように近位端7に又はそこに向かって補強され、そのような周方向圧力は、後述の膨張継手によって加えられ得る。除去可能なインナーチューブ6は、例えばニチノール又はPEEKのアウターチューブの使用によって近位端における又は該近位端に向かう壁の厚さを増加することによって補強され得る。この実施形態は、図13に示されており、この場合、ニチノール又はPEEKのチューブ48が除去可能なインナーチューブ6の外側に同軸配置で取り付けられる。代替的に、除去可能なインナーチューブ6は、例えばニチノール又はPEEKのインナーチューブの使用によって近位端における又は該近位端に向かう壁の厚さを増加することによって補強され得る。この実施形態は、図14に示されており、この場合、ニチノール又はPEEKの補強チューブ49が除去可能なインナーチューブ6の線源ワイヤルーメン22に同軸配置で挿入される。代替的に、除去可能なインナーチューブ6は、接着又は溶接によって除去可能なインナーチューブ6の近位端に接合する延長チューブ材によって補強されてもよく、この延長チューブ材は、編組チューブ材、ニチノール又はPEEKチューブ材等の必要な圧縮強度を有するチューブ材から作られる。そのような延長片は、当該技術分野において一般的に用いられており、そのような延長片を含むように本発明を適合させることは、十分に当業者の実施の範囲内である。この実施形態は、図15に示されており、この場合、ニチノール又はPEEKの補強チューブ50が除去可能なインナーチューブ6の近位端に取り付けられる。補強は、除去可能なインナーチューブ6の歪みを防止することによって、除去可能なインナーチューブ6の壁に加わる周方向圧力を用いてシールする膨張継手への取り付けを容易にする。補強部品の長さは、0.5cm〜5cmであり得る。
【0116】
ニチノール又はPEEKの補強チューブ48が除去可能なインナーチューブ6の外側に同軸配置で取り付けられている、図13に示す実施形態の変形形態では、補強チューブ48に、補強チューブ48の近位端に向かって又は該近位端に環状リッジ51が配置され得る(図16)。リッジ51は、膨張継手12の近位ポート13よりも大きな直径を有するため(以下を参照)、近位ポート13を通過することができない。したがって、環状リッジ51は、除去可能なインナーチューブ6を医療用バルーンカテーテル1に挿入すべき深さを示す較正停止部(calibration stop)として働く。本発明の一態様によれば、環状リッジ51が配置される補強チューブ48の位置は、除去可能なインナーチューブ6の長さに沿って調整可能である。本発明の別の態様によれば、環状リッジ51が配置される補強チューブ48の位置は、除去可能なインナーチューブ6の長さに対して固定される。
【0117】
本発明の一態様によれば、除去可能なインナーチューブ6は、医療用バルーンカテーテル1よりも長い。チューブをより長くすることで、膨張ルーメン21への挿入時にインナーチューブ6を医療用バルーンカテーテル1から突出させることができるため、医療用バルーンカテーテル1の近位端及び除去可能なインナーチューブ6の近位端を膨張継手12に結合することができ、除去可能なインナーチューブ6をアフターローダに結合することができる。本発明の一態様によれば、除去可能なインナーチューブ6は、医療用バルーンカテーテル1よりも3cm、4cm、5cm、6cm、7cm、8cm、9cm、10cm、11cm、15cm、20cm、25cm、30cm、35cm、40cm、45cm、50cm、55cm、60cm、65cm、70cm、75cm、80cm、85cm、90cm長く、好ましくは、食道用途では5cm〜15cm長く、乳房用途及び子宮用途では10cm〜80cm長い。
【0118】
本発明の一態様によれば、キットは、例えば鼻咽頭経路、頸部経路、皮膚穿刺部等を経由した被験者への挿入時に医療用カテーテル1に剛性を与えるために、膨張ルーメン21に対して挿入及び除去されるように構成されるプッシャワイヤ11(図3)をさらに備える。プッシャワイヤは、カテーテルチューブ5のプッシャビリティを高めるために膨張ルーメン21に挿入されるように、且つカテーテルチューブ5の柔軟性を回復するために膨張ルーメン21から取り出されるように構成される。プッシャワイヤは、当該技術分野において既知であり、高度の可撓性及びプッシャビリティを有することで所望の経路に沿って前進させることを可能にする細長いロッドを通常は備える。プッシャワイヤ11は、中空の中心を有するばねコイルから通常は形成される。プッシャワイヤ11は、普通はステンレス鋼から作られるが、ニチノール又は他の生体適合性材料から作ってもよい。
【0119】
本発明の一態様によれば、キットは、バルーン4の膨張を可能にするためにカテーテルチューブ5の近位端を膨張ポンプ30に結合するように構成される膨張継手12(図6、図7、図8、図9)をさらに備える。これは、膨張時に、除去可能なインナーチューブ6が膨張ルーメン21に挿入されると上記除去可能なインナーチューブ6の開口9近位端7へのアクセスを可能にする。
【0120】
通常、膨張継手12(図6)は、遠位シール16が配置されている遠位ポート14、近位シール15が配置されている近位ポート13、及びポンプ継手17を備え、これらは継手12のチャンバ27と流体接続されている。ポンプ継手17は、弁18に動作可能に接続されることが好ましい。
【0121】
遠位ポート14は、カテーテルチューブ5の近位端を受け入れ、該カテーテルチューブ5の本体に対してシールを形成することができる。好ましくは直径がより狭い近位ポート13は、除去可能なインナーチューブ6を受け入れ、開口9の遠位側で除去可能なインナーチューブ6の本体に対してシールを形成することができる。近位ポート13は、カテーテルチューブ5のより広い直径を受け入れることができない可能性がある。その結果、カテーテル端の近位端は、チャンバ27内に位置付けられてポンプ継手17と流体連通する。
【0122】
近位ポート13及び遠位ポート14が占拠されると、カテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と膨張ポンプ30(図7)への接続用のポンプ継手17との間にこうして水密接続が形成される。ポンプ継手17は、ねじ接続、押し込み接続、ルアー接続、又は他の適当な継手であり得る。
【0123】
本発明の一実施形態は、膨張継手12であって、
−カテーテルチューブ5の近位端を受け入れて該カテーテルチューブ5の本体に対してシールを形成するように構成される遠位ポート14と、
−カテーテルチューブ5に挿入される除去可能なインナーチューブ6を受け入れて開口9の遠位側で除去可能なインナーチューブ6の本体に対してシールを形成するように構成される近位ポート13と、
−膨張ポンプ30に接続するように構成されるポンプ継手17と、
を備え、ポート13、14、及びポンプ継手17が、カテーテルチューブ5の近位端を受け入れる継手12のチャンバ27と流体連通する、
膨張継手12である。
【0124】
本発明の別の実施形態は、膨張継手12であって、
−遠位シール16が配置される遠位ポート14と、
−近位シール15が配置される近位ポート13と、
−弁と動作可能に接続されるポンプ継手17と、
を備え、これらが継手12のチャンバ27と流体接続されており、
−遠位ポート14が、カテーテルチューブ5の近位端を受け入れてカテーテルチューブ5の本体に対してシールを形成するように構成され、
−近位ポート13が、除去可能なインナーチューブ6を受け入れて開口9の遠位側で除去可能なインナーチューブ6の本体に対してシールを形成するように構成され、除去可能なインナーチューブ6の近位端が継手12を通過することを可能にする、
膨張継手12である。
【0125】
近位シール15及び遠位シール16は、圧縮可能な環状リングであることが好ましく、これらのリングは、リングの中心軸と平行に圧縮力を加えることによって内径を縮小することができる。これは、例えば、ボルト25、26を係合させることができる各ポート13、14のねじ延長部30、31を設けることによって達成され得る(図9)。上記ボルトは、カテーテルチューブ1又は除去可能なインナーチューブ6を通すことができる中空の軸及び頭部を有する。ボルト25、26を締めることで、それぞれのシール15、16が圧縮されて、除去可能なインナーチューブ6又はカテーテルチューブ1それぞれの壁に対してポート13、14がシールされる。
【0126】
近位ポート13及び遠位ポート14の中心軸は、本質的に一致することが好ましい。これは、インナーチューブ6の近位端を両方のポートに通して膨張継手12から出すことを可能にする。このように、除去可能なインナーチューブ6の開口9近位端7は、膨張継手12から延びて、線源ワイヤ19の挿入のためにそこにアクセスすることを可能にする。本発明の一態様によれば、膨張継手12は、Y字継手である。
【0127】
したがって、膨張継手12は、カテーテルチューブ5の近位端2の外面と除去可能なインナーチューブ6の開口9の遠位側の外面とによってシールされるチャンバ27を形成することによって、医療用カテーテル1の膨張ルーメン21とポンプ継手17とを流体接続する。ポンプ継手17には、膨張ポンプ30が切り離された後で膨張ルーメン21内の圧力を維持するための弁(栓)18が配置され得る(図8)。したがって、弁が閉じているときにバルーン4、4’の膨張が維持される。
【0128】
通常、ユーザは、プッシャワイヤを入れたチューブ5を鼻咽頭経路を経由して患者に挿入し、プッシャワイヤを除去し、膨張継手12を設置してカテーテルチューブ5の近位端2を遠位ポート14に結合し、除去可能なインナーチューブ6を挿入し、除去可能なインナーチューブ6の近位端を近位ポート13に結合する。
【0129】
本発明の一態様によれば、キットは、膨張ポンプ30をさらに備える。そのようなポンプは、医療用カテーテル1への膨張流体の圧力を提供して、バルーンを漸次膨張及び収縮させることができ、当該技術分野において既知である。概して、膨張ポンプは、プランジャ要素によって移動させる距離を施術者が微制御することができるような、また流体が加える圧力を圧力計によって監視することができるような、シリンジタイプの機構である。本発明による膨張ポンプ30の実施形態が、図7に示されており、チューブ材31を介して膨張継手12に接続されて示されている。ポンプ30は、ハウジング34内で直線移動して遠位端における水密チャンバ35の体積を変化させることができるプランジャ32を備える。チャンバは、出口ポート36から出て圧力計37に流体結合される。出口ポート36は、チューブ材31によって膨張継手12(ポンプ継手17)に接続される。プランジャ32は、ハンドル33によって作動される。微制御のためには、ハンドル33を調整38することができ、プランジャ32のねじ軸39が、ハンドル33を回転させる方向に従って直線的に前進又は後退する。粗調整のためには、ハンドル33を押し引き39して、プランジャ32を直接前進又は後退させることができる。回転又は押し/調整動作モードは、ねじとハウジング34との係合を制御するハウジングの側のボタン40によって選択することができる。そのような装置は、当該技術分野において既知であり、例えばBoston Scientificによって製造されている。
【0130】
本発明の別の実施形態は、被験者に小線源療法を施す方法であって、
−被験者における進入点(例えば、皮膚穿刺部又は切開部、鼻、膣、口、肛門経由)を通して医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、該医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入すること(図5)であって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること(図7)、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること(図8)、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、被験者に小線源療法を施す方法である。
【0131】
医療用バルーンカテーテル1に一時的な剛性を与えるために、体内で前進させる前に、細長いカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21(図4)にプッシャワイヤ11(図3)を挿入する。医療用バルーンカテーテル1を位置決めした後、プッシャワイヤ11を除去する。
【0132】
医療用バルーンカテーテル1が嵌まったら、近位端2を進入点の付近の皮膚にテープで留めることができる。細長いカテーテルチューブ5の可撓性が、体内のバルーンの位置を著しく変えることなくカテーテルを広範囲にわたって操作し且つ曲げることを可能にする。
【0133】
医療用バルーンカテーテル1が進入点から出る領域は、患者の皮膚に絆創膏で固定され得る。この固定は、治療から次の治療までの間にカテーテル1を一定の位置に確保することで、治療部分が腫瘍領域に関して同じ場所にあることを確実にする。
【0134】
本方法は、上記で定義されたようなキットを用いて実施されることが好ましい。医療用バルーンカテーテル1は、食道又は子宮内治療等のための後続のチューブの挿入を容易にする目盛を含み得る。例えば、新たな医療用バルーンカテーテル1を毎週挿入して、月曜日から金曜日までその場に留めて週末に除去することができる。新たなチューブはそれぞれ、食道又は子宮腔への厳密な挿入深さを決めるために目盛を用いて月曜日に挿入される。治療は、分割治療で数週間続く場合がある。目盛は、X線又はCTスキャナ等の可視化装置を必要とせずに、医療用バルーンカテーテル1をその後毎回正確な位置に挿入することを可能にする。
【0135】
医療用バルーンカテーテル1の挿入後、上述のような膨張継手12をカテーテル1の近位端2に、特にカテーテルチューブ材5に結合することができる。
【0136】
治療の直前に、除去可能なインナーチューブ6を膨張ルーメン21に沿って前進させる(図5)。これは、膨張ルーメン21の遠位先端に届くまで前進させることが好ましい(図5)。有利には、除去可能なインナーチューブ6は、カテーテルチューブ1の近位端から5cm〜15cm突出し得るため、医療用バルーンカテーテル1の近位端及び除去可能なインナーチューブ6の近位端を膨張継手12に結合することができ、除去可能なインナーチューブ6をアフターローダに結合することができる。除去可能なインナーチューブ6の外面は、挿入を補助するために、例えば、シリコーン、テフロン(登録商標)層、又は油で潤滑させることができる。十分な長さが医療用バルーンカテーテル1に挿入されたことを保証するために、除去可能なインナーチューブ6に目盛が付けられ得る。除去可能なチューブ6の開口9の遠位側の領域は、除去可能なチューブ6の壁に損傷を与えることなく、膨張継手12との水密結合を確保するために補強され得る。除去可能なインナーチューブ6の補強のレベルで、除去可能なインナーチューブ6が常に同じ深さに挿入されることを補強チューブの近位環状リッジ51が保証し得る。
【0137】
除去可能なインナーチューブ6の挿入後、上述のような膨張継手12を、開口9の遠位側で除去可能なインナーチューブ6の外壁に結合することができる。膨張継手12のポート13、14は、膨張ルーメン21がチャンバ27に入る加圧膨張流体を受け入れることができるように水密チャンバ27を形成する。膨張継手12は、インナーチューブ6の開口近位端へのアクセスも許すことで、アフターローディング装置への接続を可能にする。膨張継手は、膨張ポンプ30に取り付けられる。膨張したら、膨張継手12を弁18によってシールすることができ、ポンプを除去することができる。
【0138】
1つ又は複数のバルーンは、通常は膨張流体として生理食塩水溶液を用いて膨張させる。生理食塩水には、X線写真又はCTスライスでバルーンを見ることができるように、オムニパーク等の造影剤が0.5%〜20%混合され得る。
【0139】
放射線源は、遠位端に放射線放出物質20が設けられる細いワイヤ19を用いて送達され、このワイヤは、線源ワイヤルーメン22に通される。アフターローダ又はアフターローディング装置として知られる装置を用いて、線源ワイヤが格納及び制御可能に供給される。インナーチューブ6の近位端7には、アフターローダの出力端への接続を可能にするアダプタが設けられ得る。
【0140】
治療後、線源ワイヤ19を除去し、バルーン4、4’を収縮させ、膨張継手12を除去し、インナーチューブ6を除去する。カテーテル1は、後続の治療のために快適且つ別個に所定位置に留まることができる。
【0141】
不快感も炎症も一切報告されることなく、同じカテーテル1が長期間、例えば最長で1週間、2週間、又は3週間にわたって所定位置に留まることができる。本発明の一態様によれば、3日間、5日間、6日間、7日間、10日間、2週間、又は3週間装着された同じカテーテル1を用いて、後続の治療を繰り返す。好ましくは、同じカテーテルを5日間装着する。
【0142】
本発明の一態様によれば、治療中に、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、7日毎、8日毎、9日毎、10日毎、11日毎、12日毎、13日毎、14日毎、15日毎、16日毎、17日毎、18日毎、19日毎、20日毎、又は21日毎、好ましくは7日毎であり得る一定の間隔で、新たなカテーテル1を挿入する。
【0143】
本発明の一態様によれば、治療中に、1日毎、2日毎、3日毎、好ましくは毎日であり得る一定の間隔で、放射線が投与される。例えば週末又は休診日に、投与の中断があってもよい。
【0144】
本発明の別の実施形態は、食道に放射線療法を施す方法であって、
−鼻咽頭経路を経由して患者の食道に医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、該医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入すること(図5)であって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること(図7)、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること(図8)、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、食道に放射線療法を施す方法である。
【0145】
医療用バルーンカテーテル1の挿入は、口腔又は咽喉手術後に被験者の胃に栄養チューブを挿入するために非専門家が用いるのと同じ技法を用いて実施することができる。医療用バルーンカテーテル1は、鼻咽頭経路を経由して、すなわち鼻を通して食道に挿入される。挿入は、看護師によって行われることが好ましいが、同様に専門家によって行われてもよい。医療用バルーンカテーテル1に一時的な剛性を与えるために、鼻咽頭経路を通して前進させる前に、細長いカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21(図4)にプッシャワイヤ11(図3)を挿入する。医療用バルーンカテーテル1を位置決めした後、プッシャワイヤ11を除去する。
【0146】
医療用バルーンカテーテル1が嵌まったら、近位端2を、治療のときまで別個に装着するために、例えば被験者の耳の後ろにテープで留めることができる。細長いカテーテルチューブ5の可撓性が、食道内のバルーンの位置を著しく変えることなくカテーテルを広範囲にわたって操作し且つ曲げることを可能にする。
【0147】
医療用バルーンカテーテル1が鼻孔から出る領域は、患者の鼻に絆創膏で固定され得る。この固定は、治療から次の治療までの間にカテーテル1を一定の位置に確保することで、治療部分が腫瘍領域に関して同じ場所にあることを確実にする。医療用バルーンカテーテル1は通常、鼻咽頭経路を経由して挿入した後で、治療セッションから次の治療セッションまでの間に鼻に固定される。
【0148】
本方法は、上記で定義されたようなキットを用いて実施されることが好ましい。医療用バルーンカテーテル1は、後続のチューブの挿入を容易にする目盛を含み得る。例えば、新たな医療用バルーンカテーテル1を毎週挿入して、月曜日から金曜日までその場に留めて週末に除去することができる。新たなチューブはそれぞれ、食道への厳密な挿入深さを決めるために目盛を用いて月曜日に挿入される。治療は、分割治療で数週間続く場合がある。目盛は、X線又はCTスキャナ等の可視化装置を必要とせずに、医療用バルーンカテーテル1をその後毎回正確な位置に挿入することを可能にする。
【0149】
医療用バルーンカテーテル1の挿入後、上述のような膨張継手12をカテーテル1の近位端2に、特にカテーテルチューブ材5に結合することができる。
【0150】
治療の直前に、除去可能なインナーチューブ6を膨張ルーメン21に沿って前進させる(図5)。これは、膨張ルーメン21の遠位先端に届くまで前進させることが好ましい(図5)。有利には、除去可能なインナーチューブ6は、カテーテルチューブ1の近位端から5cm〜15cm突出し得るため、医療用バルーンカテーテル1の近位端及び除去可能なインナーチューブ6の近位端を膨張継手12に結合することができ、除去可能なインナーチューブ6をアフターローダに結合することができる。除去可能なインナーチューブ6の外面は、挿入を補助するために、例えば、シリコーン、テフロン(登録商標)層、又は油で潤滑させることができる。十分な長さが医療用バルーンカテーテル1に挿入されたことを保証するために、除去可能なインナーチューブ6に目盛が付けられ得る。除去可能なインナーチューブ6の開口9の遠位側の領域は、除去可能なチューブ6の壁に損傷を与えることなく、膨張継手12との水密結合を確保するために補強され得る。除去可能なインナーチューブ6の補強のレベルで、除去可能なインナーチューブ6が常に同じ深さに挿入されることを補強チューブの近位環状リッジ51が保証し得る。
【0151】
除去可能なインナーチューブ6の挿入後、上述のような膨張継手12を、開口9の遠位側で除去可能なインナーチューブ6の本体に結合することができる。膨張継手12のポート13、14は、膨張ルーメン21がチャンバ27に入る加圧膨張流体を受け入れることができるように水密チャンバ27を形成する。膨張継手12は、インナーチューブ6の開口近位端へのアクセスも許すことで、アフターローダへの接続を可能にする。膨張継手は、膨張ポンプ30に取り付けられる。膨張したら、膨張継手12を弁18によってシールすることができ、ポンプを除去することができる。
【0152】
1つ又は複数のバルーンは、通常は膨張流体として生理食塩水溶液を用いて膨張させる。生理食塩水には、X線写真又はCTスライスでバルーンを見ることができるように、オムニパーク等の造影剤が0.5%〜20%混合され得る。
【0153】
放射線源は、遠位端に放射線放出物質20が設けられる細いワイヤ19を用いて送達され、このワイヤは、線源ワイヤルーメン22に通される。アフターローダとして知られる装置を用いて、線源ワイヤが格納及び制御可能に供給される。インナーチューブ6の近位端7には、アフターローダの出力端への接続を可能にするアダプタが設けられ得る。
【0154】
治療後、線源ワイヤ19を除去し、バルーン4、4’を収縮させ、膨張継手12を除去し、インナーチューブ6を除去する。カテーテル1は、後続の治療のために快適且つ別個に所定位置に留まることができる。
【0155】
不快感も炎症も一切報告されることなく、同じカテーテル1が長期間、例えば最長で1週間、2週間、又は3週間にわたって所定位置に留まることができる。本発明の一態様によれば、3日間、5日間、6日間、7日間、10日間、2週間、又は3週間装着された同じカテーテル1を用いて、後続の治療を繰り返す。好ましくは、同じカテーテルを5日間装着する。
【0156】
本発明の一態様によれば、治療中に、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、7日毎、8日毎、9日毎、10日毎、11日毎、12日毎、13日毎、14日毎、15日毎、16日毎、17日毎、18日毎、19日毎、20日毎、又は21日毎、好ましくは7日毎であり得る一定の間隔で、新たなカテーテル1を挿入する。
【0157】
本発明の一態様によれば、治療中に、1日毎、2日毎、3日毎、好ましくは毎日であり得る一定の間隔で、放射線が投与される。例えば週末又は休診日に、投与の中断があってもよい。
【0158】
本発明の別の実施形態は、子宮の内壁に放射線療法を施す方法であって、
−頸部経路を経由して被験者の子宮に医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、該医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入すること(図5)であって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること(図7)、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること(図8)、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、子宮の内壁に放射線療法を施す方法である。
【0159】
医療用バルーンカテーテル1の挿入は、子宮腔内に子宮計を挿入するために非専門家が用いるのと同じ技法を用いて実施することができる。医療用バルーンカテーテル1は、子宮頸部を経由して、すなわち膣を通して子宮腔に挿入される。挿入は、放射線腫瘍医によって行われることが好ましいが、同様に婦人科医によって行われてもよい。医療用バルーンカテーテル1に一時的な剛性を与えるために、頸部経路を通して前進させる前に、細長いカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21(図4)にプッシャワイヤ11(図3)を挿入する。医療用バルーンカテーテル1を位置決めした後、プッシャワイヤ11を除去する。
【0160】
カテーテル5は、カテーテル1の子宮空間への維持を固定するために、頸部の出口に固定され得る。
【0161】
医療用バルーンカテーテル1が嵌まり、近位端が絆創膏を使用して会陰に固定されたら、近位端2を、治療のときまで外傷を伴うことなく装着されるように、例えば膣の側の皮膚にテープで留めることができる。細長いカテーテルチューブ5の可撓性が、子宮内のバルーンの位置を著しく変えることなくカテーテルを広範囲にわたって操作し且つ曲げることを可能にする。
【0162】
医療用バルーンカテーテル1が膣から出る領域は、患者の会陰部の皮膚に絆創膏で固定され得る。この固定は、治療から次の治療までの間にカテーテル1を一定の位置に確保することで、治療部分が腫瘍領域に関して同じ場所にあることを確実にする。医療用バルーンカテーテル1は通常、頸部経路を経由して挿入した後で、治療セッションから次の治療セッションまでの間に皮膚に固定される。
【0163】
本方法は、上記で定義されたようなキットを用いて実施されることが好ましい。医療用バルーンカテーテル1は、後続のチューブの挿入を容易にする目盛を含み得る。例えば、新たな医療用バルーンカテーテル1を毎週挿入して、月曜日から金曜日までその場に留めて週末に除去することができる。新たなチューブはそれぞれ、子宮腔への厳密な挿入深さを決めるために目盛を用いて月曜日に挿入される。治療は、分割治療で数週間続く場合がある。目盛は、X線又はCTスキャナ等の可視化装置を必要とせずに、医療用バルーンカテーテル1をその後毎回正確な位置に挿入することを可能にする。
【0164】
医療用バルーンカテーテル1の挿入後、上述のような膨張継手12をカテーテル1の近位端2に、特にカテーテルチューブ材5に結合することができる。
【0165】
治療の直前に、除去可能なインナーチューブ6を膨張ルーメン21に沿って前進させる(図5)。これは、膨張ルーメン21の遠位先端に届くまで前進させることが好ましい(図5)。有利には、除去可能なインナーチューブ6は、カテーテルチューブ1の近位端から10cm〜80cm突出し得るため、医療用バルーンカテーテル1の近位端及び除去可能なインナーチューブ6の近位端を膨張継手12に結合することができ、除去可能なインナーチューブ6をアフターローダに結合することができる。除去可能なインナーチューブ6の外面は、挿入を補助するために、例えば、シリコーン、テフロン(登録商標)層、又は油で潤滑させることができる。十分な長さが医療用バルーンカテーテル1に挿入されたことを保証するために、除去可能なインナーチューブ6に目盛が付けられ得る。除去可能なチューブ6の開口9の遠位側の領域は、除去可能なチューブ6の壁に損傷を与えることなく、膨張継手12との水密結合を確保するために補強され得る。除去可能なインナーチューブ6の補強のレベルで、除去可能なインナーチューブ6が常に同じ深さに挿入されることを補強チューブの近位環状リッジ51が保証し得る。
【0166】
除去可能なインナーチューブ6の挿入後、上述のような膨張継手12を、開口9の遠位側で除去可能なインナーチューブ6の本体に結合することができる。膨張継手12のポート13、14は、膨張ルーメン21がチャンバ27に入る加圧膨張流体を受け入れることができるように水密チャンバ27を形成する。膨張継手12は、インナーチューブ6の開口近位端へのアクセスも許すことで、アフターローダへの接続を可能にする。膨張継手は、膨張ポンプ30に取り付けられる。膨張したら、膨張継手12を弁18によってシールすることができ、ポンプを除去することができる。
【0167】
1つ又は複数のバルーンは、通常は膨張流体として生理食塩水溶液を用いて膨張させる。生理食塩水には、X線写真又はCTスライスでバルーンを見ることができるように、オムニパーク300(Nycomed)等の造影剤が0.5%〜20%混合され得る。
【0168】
放射線源は、遠位端に放射線放出物質20が設けられる細いワイヤ19を用いて送達され、このワイヤは、線源ワイヤルーメン22に通される。アフターローダとして知られる装置を用いて、線源ワイヤが格納及び制御可能に供給される。インナーチューブ6の近位端7には、アフターローダの出力端への接続を可能にするアダプタが設けられ得る。
【0169】
治療後、線源ワイヤ19を除去し、バルーン4、4’を収縮させ、膨張継手12を除去し、インナーチューブ6を除去する。カテーテル1は、後続の治療のために快適且つ別個に所定位置に留まることができる。
【0170】
不快感も炎症も一切報告されることなく、同じカテーテル1が長期間、例えば最長で1週間、2週間、又は3週間にわたって所定位置に留まることができる。本発明の一態様によれば、3日間、5日間、6日間、7日間、10日間、2週間、又は3週間装着された同じカテーテル1を用いて、後続の治療を繰り返す。好ましくは、同じカテーテルを5日間装着する。
【0171】
本発明の一態様によれば、治療中に、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、7日毎、8日毎、9日毎、10日毎、11日毎、12日毎、13日毎、14日毎、15日毎、16日毎、17日毎、18日毎、19日毎、20日毎、又は21日毎、好ましくは7日毎であり得る一定の間隔で、新たなカテーテル1を挿入する。
【0172】
本発明の一態様によれば、治療中に、1日毎、2日毎、3日毎、好ましくは毎日であり得る一定の間隔で、放射線が投与される。例えば週末又は休診日に、投与の中断があってもよい。
【0173】
本発明の別の実施形態は、乳房切除腔に放射線療法を施す方法であって、
−乳房腫瘍を除去した(乳房温存手術)後の被験者の乳房切除腔に医療用バルーンカテーテル1を挿入することであって、該医療用バルーンカテーテル1は、近位端2及び遠位端3を有し、膨張ルーメン20が内部に延びている細長いカテーテルチューブ5、及び遠位端3に向かってカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を備え、膨張ルーメン21は、除去可能なインナーチューブ6の存在下で少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル1を挿入すること、
−治療領域に少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を位置決めすること、
−膨張ルーメン21に除去可能なインナーチューブ6を挿入すること(図5)であって、該除去可能なインナーチューブ6は、細長い本体、開口9近位端7、閉鎖10遠位端8、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン22を有し、
−上記除去可能なインナーチューブ6は、膨張ルーメン21の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−線源ワイヤルーメン22は、治療用放射線源20を担持する線源ワイヤ19を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ6を挿入すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を膨張させること(図7)、
−線源ワイヤルーメン22を通して治療領域まで放射線源ワイヤ19を前進させて、一定の放射線量を投与すること(図8)、
−放射線源ワイヤ19を除去すること、
−少なくとも1つの膨張可能なバルーン4、4’を収縮させること、
−除去可能なインナーチューブ6を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために医療用バルーンカテーテル1をその場に任意に残すこと、
を含む、乳房切除腔に放射線療法を施す方法である。
【0174】
本方法は、上記で定義されたようなキットを用いて実施されることが好ましい。医療用バルーンカテーテル1の挿入は、トロカール針(trocard needle)での皮膚の穿刺後に腫瘍切除腔内にバルーンを位置決めするために超音波又は別のイメージング技法を用いて、外科的腫瘍切除中又は切除後に行うことができる。医療用バルーンカテーテル1は、手術痕を介して又は皮膚を通して挿入される。医療用バルーンカテーテル1に一時的な剛性を与えるために、挿入する前に、細長いカテーテルチューブ5の膨張ルーメン21(図4)にプッシャワイヤ11(図3)又はマンドレルを挿入する。医療用バルーンカテーテル1を位置決めした後、プッシャワイヤ11を除去する。
【0175】
医療用バルーンカテーテル1が嵌まり、近位端が絆創膏を使用して乳房の皮膚に固定されたら、乳房から出る近位端2を、治療のときまで外傷を伴うことなく装着されるように被験者の乳房にテープで留めることができる。細長いカテーテルチューブ5の可撓性が、乳房腔内のバルーンの位置を著しく変えることなくカテーテルを広範囲にわたって操作し且つ曲げることを可能にする。
【0176】
医療用バルーンカテーテル1が乳房から出る領域は、患者の皮膚に絆創膏で固定され得る。この固定は、治療から次の治療までの間にカテーテル1を一定の位置に確保することで、治療部分が腫瘍領域に関して同じ場所にあることを確実にする。医療用バルーンカテーテル1は通常、挿入後に、治療セッションから次の治療セッションまでの間に乳房の皮膚に固定される。
【0177】
医療用バルーンカテーテル1の挿入後、上述のような膨張継手12をカテーテル1の近位端2に、特にカテーテルチューブ材5に結合することができる。
【0178】
治療の直前に、除去可能なインナーチューブ6を膨張ルーメン21に沿って前進させる(図5)。これは、膨張ルーメン21の遠位先端に届くまで前進させることが好ましい(図5)。有利には、除去可能なインナーチューブ6は、カテーテルチューブ1の近位端から10cm〜80cm突出し得るため、医療用バルーンカテーテル1の近位端及び除去可能なインナーチューブ6の近位端を膨張継手12に結合することができ、除去可能なインナーチューブ6をアフターローダに結合することができる。除去可能なインナーチューブ6の外面は、挿入を補助するために、例えば、シリコーン、テフロン(登録商標)層、又は油で潤滑させることができる。十分な長さが医療用バルーンカテーテル1に挿入されたことを保証するために、除去可能なインナーチューブ6に目盛が付けられ得る。除去可能なチューブ6の開口9の遠位側の領域は、除去可能なチューブ6の壁に損傷を与えることなく、膨張継手12との水密結合を確保するために補強され得る。除去可能なインナーチューブ6の補強のレベルで、除去可能なインナーチューブ6が常に同じ深さに挿入されることを補強チューブの近位環状リッジ51が保証し得る。
【0179】
除去可能なインナーチューブ6の挿入後、上述のような膨張継手12を、開口9の遠位側で除去可能なインナーチューブ6の本体に結合することができる。膨張継手12のポート13、14は、膨張ルーメン21がチャンバ27に入る加圧膨張流体を受け入れることができるように水密チャンバ27を形成する。膨張継手12は、インナーチューブ6の開口近位端へのアクセスも許すことで、アフターローダへの接続を可能にする。膨張継手は、膨張ポンプ30に取り付けられる。膨張したら、膨張継手12を弁18によってシールすることができ、ポンプを除去することができる。
【0180】
1つ又は複数のバルーンは、通常は膨張流体として生理食塩水溶液を用いて膨張させる。生理食塩水には、X線写真又はCTスライスでバルーンを見ることができるように、オムニパーク等の造影剤が0.5%〜20%混合され得る。
【0181】
放射線源は、遠位端に放射線放出物質20が設けられる細いワイヤ19を用いて送達され、このワイヤは、線源ワイヤルーメン22に通される。アフターローダとして知られる装置を用いて、線源ワイヤが格納及び制御可能に供給される。インナーチューブ6の近位端7には、アフターローダの出力端への接続を可能にするアダプタが設けられ得る。
【0182】
治療後、線源ワイヤ19を除去し、バルーン4、4’を収縮させ、膨張継手12を除去し、インナーチューブ6を除去する。カテーテル1は、後続の治療のために快適且つ別個に所定位置に留まることができる。
【0183】
不快感も炎症も一切報告されることなく、同じカテーテル1が長期間、例えば最長で1週間、2週間、又は3週間にわたって所定位置に留まることができる。本発明の一態様によれば、3日間、5日間、6日間、7日間、10日間、2週間、又は3週間装着された同じカテーテル1を用いて、後続の治療を繰り返す。好ましくは、同じカテーテルを5日間装着する。
【0184】
本発明の一態様によれば、治療中に、1日毎、2日毎、3日毎、好ましくは毎日であり得る一定の間隔で、放射線が投与される。例えば週末又は休診日に、投与の中断があってもよい。
【0185】
本明細書に記載のように、本キット及び方法は、治療領域、例えば食道内腔若しくは子宮内腔に、又は乳房切除腔に、適当な放射線量を照射するものであり、必要であれば一定の間隔で線量を供給するように構成される。カテーテル1が複数回の治療の実施を可能にするため、1回の高線量又は分割し反復した低線量を照射することができる。
【0186】
根治的治療の場合、CTスライスで見た食道の周囲に処方される分割線量約2グレイ(Gy)〜約4グレイ程度の低い放射線量が、癌細胞の治療に提供される典型的な放射線量であることが好ましい。好ましくは、分割線量2Gy〜3Gyが、根治的治療に適した線量レベルを提供し、効果をもたらすとともに食道狭窄(遅発性副作用)等の合併症を防止する。この治療は、化学療法(タキソテール及びシスプラチン)と組み合わせた外部放射線療法(50Gy)の後のブーストとして処方され、1週間〜2週間で10Gy〜20Gyの小線源療法を加えることができる。
【0187】
子宮腫瘍の場合、分割線量3Gy〜6Gyを週1回〜週3回の、総線量が最大50Gy〜60Gyが、根治的治療に十分であると考えられる。患者が外部放射線療法及び小線源療法の組み合わせを受ける場合、すなわち例えば、40Gyの外部放射線療法を5Gy〜6Gyの子宮内小線源療法3回〜4回と組み合わせる場合、照射される総線量をより少なくしてもよい。
【0188】
乳癌患者の場合、バルーン表面から1cmの所に処方して、総線量30Gyを分割線量6Gyで5回連続して照射すれば、部分的な乳房放射線療法に十分であり得る。ブースト治療の場合、3×5Gyの線量を40Gy〜50Gyの外部乳房放射線療法と組み合わせると、外部放射線療法によって照射される標準的な電子線ブーストの効果に相当するはずである。
【0189】
食道癌では、(放射線化学療法に対する)完全奏効者のみが食道癌を克服することが示されているため、化学療法及び放射線の局所効果を高め且つ完全奏効者の数を増やすために、分割小線源療法を術前療法として処方することもできる。
【0190】
緩和治療の場合、食道の外面(CTスライスで見て)に対して、5Gyの線量を週1回〜週3回で1週間〜数週間かけて総線量10Gy〜30Gyまで処方することができる。同じ範囲の線量を、子宮癌を呈する患者に緩和状況で照射することができる。
【0191】
1.3cmのバルーン直径を用いて10cmの長さで食道壁に照射される放射線は、約2Gy〜3Gyの範囲内にあるべきであり、普通は30秒未満ではなく、1分間、1.5分間、2分間、2.5分間、3分間、3.5分間、4分間、4.5分間、若しくは5分間、又は上記値の任意の2つの間の期間、好ましくは2分間〜5分間にわたって照射される。
【0192】
子宮癌及び乳癌治療でも、同じ持続時間範囲が標準である。
【0193】
異なる放射線源が用いられ、好ましい放射線源は、γ線が用いられる場合はイリジウム192を含み、中性子粒子が用いられる場合はカリホルニウム252を含むことが想定される。さらに、放射線源は、中性子粒子又はγ線を提供して標的細胞に影響を及ぼし得ることが想定される。γ又は中性子放出放射線源の使用は、癌細胞を治療し殺すことがよく知られている。
【0194】
本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、本発明に他の変更を加えることができる。具体的な寸法、線量、時間、及び構成材料は例として提供されており、本発明から逸脱しない代替品が容易に想定される。
【実施例】
【0195】
以下の非限定的な例によって本発明を説明する。
【0196】
1.食道内腔の小線源療法
手術不能な食道癌を呈する65歳の患者。この患者は、麻酔(anesthesy)リスクが高いため手術することができなかった。腫瘍(扁平上皮癌)は、食道内側の下部1/3に位置し、長さ8cmであった。食道壁の厚さは、CTスライスで見て一部の領域で最大厚さ1cmであった。
【0197】
患者の全身状態が悪かったため、緩和療法を選択した。患者は、最初に3Gyを10セッションで30Gyの外部放射線療法を受けた。
【0198】
1週間後、放射線腫瘍科の看護師が鼻咽頭アクセスカテーテルを挿入した。収縮したバルーンを有するカテーテルの治療部を、癌領域付近に(approximately in regard to)配置した。2つの弁システムを有するコネクタを、アクセスカテーテルの近位端にきつく固定した。放射性源導入用のカテーテルを、アクセスカテーテル内に導入した。線源カテーテルの導入前に、線源カテーテルの遠位部の遠位長さ5cm〜10cmに、数滴の油を滴下した。
【0199】
放射性源導入用のインナーカテーテルを、アクセスカテーテルの先端に達する(線源カテーテルがアクセスカテーテルの先端に突き当たる)までアクセスカテーテル内で押した。
【0200】
継手システムの近位弁及び遠位弁を、継手システム全体が水密になるまで締めた。
【0201】
オムニパーク2cc及び生理食塩水18ccの混合物20ccを入れたマノメータ付きシリンジを、バルーンシステムに接続した。
【0202】
CTスキャナを用いて冠状面図を作成した。この図により、周辺白金マーカで確認して、収縮したバルーンの位置をCTスキャンスライスで見た腫瘍の位置に適合させることができた。位置は、腫瘍の長さ(8cm)を覆い且つバルーンの長さに関して腫瘍の両側から等しいマージンを保つようにした。
【0203】
位置が申し分なく定まったら、生理食塩水・オムニパーク混合物20ccでバルーンを膨張させ、バルーンの膨張直径を14mmにした。食道腫瘍の全長にわたってつなぎ合わせたCTスライスを作成した。
【0204】
特殊な小線源プログラム(例えば、NucletronによるPlato線量測定プログラム)を用いて、腫瘍外面をCTの画面上で描画した。
【0205】
週1回〜週2回の各小線源療法セッション中に、線量5Gyを照射した。2週間後には、総線量20Gyが4分割で照射された。患者の気分は優れており、非常に楽に治療に耐えられた。バルーンシステムの膨張時間は、5Gyを照射するのに治療1回当たり8分の範囲内であった。これはわずかに長すぎた。患者は、各治療セッションで約5分後に気分が優れなくなった。患者は食道領域の痛みを訴えた。放射線治療を中断し、線源を抜去し、バルーンを数秒で収縮させた。10分間の中断後、患者の気分が回復し、バルーンを再膨張させ、治療を中断した場所に放射性源を自動的に再位置決めした。放射線療法は、線量処方に従って完璧に施された。
【0206】
小線源療法による合併症を検出するために、その後数ヶ月にわたって患者を観察した。患者は小線源療法の終了後3ヶ月で依然として体調がよく、現在まで予後追跡中である。腫瘍は小さくなり、遅発性副作用(狭窄)は見られておらず、患者は普通食を摂っている。
【0207】
2.子宮腔の小線源療法
子宮体癌を呈する90歳女性。この患者は、2年間定期的に出血があり、この時点での判断は、他にも多くの病状があり医学的状態が悪いこの患者が腫瘍進行に苦しむほど長く生存するか否かを経過観察することだった。
【0208】
或る日、患者が重度の膣出血を訴えた。ヘモグラムは、ヘモグロビン値7grを示した。患者は、強い脱力感を覚えて病院へ運ばれた。
【0209】
外科医は、全身状態の悪さ及び麻酔リスクの高さから介入(子宮切除又は子宮摘出)の実施を拒否した。
【0210】
議論の後、外部放射線療法及び小線源療法を用いた過分割療法の実施が提案された。患者は、シミュレーションCTスキャンスライスで見た子宮全体を包含する6Gyの外部放射線療法(4門照射法)を、1週間おきに2コース受けた。バルーンカテーテルを用いて、シミュレーションCTスキャンスライスで見た子宮の周囲面に処方された6Gyの小線源療法セッションも4回施した。
【0211】
治療は忍容性が良好であった。6ヵ月後、患者に依然として出血は見られず、外科的介入も必要なかった。患者は現在まで予後追跡中である。
【0212】
3.乳房の小線源療法
右乳房の右下四半部(lower external quadrant)に直径1cmの腺管癌を呈する70歳女性に、センチネルリンパ節法を施した。解剖病理学(anapathological)検査では、リンパ節浸潤が一切示されなかった。
【0213】
乳房腫瘍は、すべての側から少なくとも1cmの安全マージンをとって切除した(扇状部分切除)。病理学検査では、悪性度1の腫瘍が示され、リンパ浸潤陰性が確認された。
【0214】
トロカール針を用いて、超音波検査案内下で、介入の1週間後に切除腔内にカテーテル1を導入した。
【0215】
インナーカテーテル6を導入し、カテーテル1の近位端及びカテーテル6の近位端の周りに継手装置を固定した。バルーンを直径4cmまで膨張させた。CTスキャンにより、システムの適当な位置及びバルーンと切除腔壁との密着を示す画像を作成した。
【0216】
バルーンの表面から1cmの距離に、放射線量6Gyを処方して照射した。バルーンを収縮させ、継手装置を除去した。この治療を5日間連続で毎日行い、切除腔の周りのハイリスク領域への処方は30Gyとした。5日後にカテーテル1を除去した。
【0217】
患者には外部放射線療法が一切必要なく、5週間の標準的療法(外部放射線療法)が省かれた。患者は、管理のために定期的に通院した。2年後、CTスライスで局所再発は検出されなかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者に小線源療法を施すキットであって、
−近位端(2)及び遠位端(3)を有する医療用バルーンカテーテル(1)であって、膨張ルーメン(21)が内部に延びている細長いカテーテルチューブ(5)、及び該遠位端(3)に向かって該カテーテルチューブ(5)の該膨張ルーメン(21)と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン(4、4’)を備え、該カテーテルチューブ(5)は、キンク状態から伸びるように構成され、該膨張ルーメン(21)が除去可能なインナーチューブ(6)を摺動可能に収納することを可能にし、該膨張ルーメン(21)は、該除去可能なインナーチューブ(6)の存在下で該少なくとも1つの膨張可能なバルーン(4、4’)に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル(1)と、
−細長い本体、開口(9)近位端(7)、閉鎖(10)遠位端(8)、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン(22)を有する、除去可能なインナーチューブ(6)であって、
−該除去可能なインナーチューブ(6)は、該膨張ルーメン(21)の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−該線源ワイヤルーメン(22)は、治療用放射線源(20)を担持する線源ワイヤ(19)を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ(6)と、
を備える、被験者に小線源療法を施すキット。
【請求項2】
該バルーン(4)の膨張を可能にし、且つ膨張時に、前記除去可能なインナーチューブ(6)が該膨張ルーメン(21)に挿入されると該除去可能なインナーチューブ(6)の該開口(9)近位端(7)へのアクセスを可能にするために、該カテーテルチューブ(5)の近位端を膨張ポンプに結合するように構成される、膨張継手(12)をさらに備える、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記膨張継手(12)は、
−遠位シール(16)が配置される遠位ポート(14)と、
−近位シール(15)が配置される近位ポート(13)と、
−弁と動作可能に接続されるポンプ継手(17)と、
を備え、該ポート(13、14)及び該ポンプ継手(17)は、該継手(12)のチャンバ(27)と流体接続されており、
−該遠位ポート(14)は、該カテーテルチューブ(5)の該近位端を受け入れて該カテーテルチューブ(5)の本体に対してシールを形成するように構成され、
−該近位ポート(13)は、該除去可能なインナーチューブ(6)を受け入れて該開口(9)の遠位側で該除去可能なインナーチューブ(6)の該本体に対してシールを形成するように構成され、該除去可能なインナーチューブ(6)の該近位端が該継手(12)を通過することを可能にする、請求項2に記載のキット。
【請求項4】
該カテーテルチューブ(5)の外径は、2mm〜6mmである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のキット。
【請求項5】
該カテーテルチューブ(5)は、該除去可能なインナーチューブ(6)の曲げ剛性よりも低い曲げ剛性を有する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のキット。
【請求項6】
該カテーテルチューブ(5)は、ポリウレタン又はポリウレタン含有化合物から作られる、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のキット。
【請求項7】
該膨張ルーメン(21)の直径は、該除去可能なインナーチューブ(6)の外径よりも5%〜20%大きい、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のキット。
【請求項8】
該カテーテルチューブ(5)の該近位端(2)と該遠位端(3)との間に、該医療用カテーテル(1)の長手方向伸長を防止する非伸長性コードが配置される、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のキット。
【請求項9】
該コードは、該カテーテルチューブ(5)の壁の中、外側、又は内側に配置される、請求項8に記載のキット。
【請求項10】
該カテーテルチューブ(5)の該近位端は、周方向圧力を加えることによって変形を低減するように補強される、請求項1ないし9のいずれか1項に記載のキット。
【請求項11】
前記補強は、
−該カテーテルチューブ(5)の該近位端の上に配置されるアウターチューブ、
−該カテーテルチューブ(5)の該近位端に挿入されるインナーチューブ、又は
−該カテーテルチューブ(5)の該近位端に対する延長部、
を含む、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
該医療用カテーテル(1)は、該カテーテルチューブ(5)の長さの少なくとも一部に沿って記される可視目盛を備える、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のキット。
【請求項13】
該除去可能なインナーチューブ(6)の壁は、0.1mm〜0.4mmの厚さを有する、請求項1ないし12のいずれか1項に記載のキット。
【請求項14】
該除去可能なインナーチューブ(6)の曲げ剛性は、該カテーテルチューブ(5)の曲げ剛性よりも高い、請求項1ないし13のいずれか1項に記載のキット。
【請求項15】
該除去可能なインナーチューブ(6)の該近位端は、周方向圧力を加えることによって変形を低減するように補強される、請求項1ないし14のいずれか1項に記載のキット。
【請求項16】
前記補強は、
−該近位端に又は該近位端に向かって該除去可能なインナーチューブ(6)の上に配置される補強アウターチューブ(48)、
−該近位端に又は該近位端に向かって該除去可能なインナーチューブ(6)に挿入される補強インナーチューブ(49)、又は
−該除去可能なインナーチューブ(6)の該近位端に対する補強延長部(50)、
を含む、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
該除去可能なインナーチューブ(6)の上に配置される該補強アウターチューブ(48)には、該補強チューブ(48)の近位端に又は該近位端に向かって環状リッジ(51)が配置される、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
該除去可能なインナーチューブ(6)は、その長さの少なくとも一部に沿って記される可視目盛を備える、請求項1ないし17のいずれか1項に記載のキット。
【請求項19】
該除去可能なインナーチューブ(6)の曲げ剛性は、該カテーテルチューブ(5)の曲げ剛性よりも1%〜60%高い、請求項1ないし18のいずれか1項に記載のキット。
【請求項20】
該除去可能なインナーチューブ(6)は、ポリイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、又はポリエチレンで作られる、請求項1ないし19のいずれか1項に記載のキット。
【請求項21】
該除去可能なインナーチューブ(6)の該線源ワイヤルーメン(22)の直径は、0.5mm〜1.9mmである、請求項1ないし20のいずれか1項に記載のキット。
【請求項22】
該除去可能なインナーチューブ(6)は、該医療用バルーンカテーテル(1)よりも3cm〜90cm長い、請求項1ないし21のいずれか1項に記載のキット。
【請求項23】
鼻咽頭経路を経由した被験者への挿入時に該カテーテルチューブ(5)に剛性を与えるために、該膨張ルーメン(21)に対して挿入及び除去されるように構成される除去可能なプッシャワイヤ(11)をさらに備える、請求項1ないし22のいずれか1項に記載のキット。
【請求項24】
前記プッシャワイヤ(11)は、該除去可能なインナーチューブ(6)の曲げ剛性よりも高い曲げ剛性を有する、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
膨張ポンプ(30)をさらに備える、請求項1ないし24のいずれか1項に記載のキット。
【請求項26】
該医療用バルーンカテーテルは、鼻咽頭経路を経由して食道に挿入されるように構成される、請求項1ないし25のいずれか1項に記載のキット。
【請求項27】
該医療用バルーンカテーテルは、頸部経路を経由して子宮腔に挿入されるように構成される、請求項1ないし26のいずれか1項に記載のキット。
【請求項28】
該医療用バルーンカテーテルは、乳房の切開部又は針穿刺部を経由して乳房組織に挿入されるように構成される、請求項1ないし27のいずれか1項に記載のキット。
【請求項29】
被験者にカテーテル小線源療法を施す方法であって、
−被験者における進入点を通して医療用バルーンカテーテル(1)を挿入することであって、前記医療用バルーンカテーテル(1)は、近位端(2)及び遠位端(3)を有し、膨張ルーメン(20)が内部に延びている細長いカテーテルチューブ(5)、及び該遠位端(3)に向かって該カテーテルチューブ(5)の該膨張ルーメン(21)と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン(4、4’)を備え、該カテーテルチューブ(5)は、キンク状態から伸びるように構成され、該膨張ルーメン(21)が除去可能なインナーチューブ(6)を摺動可能に収納することを可能にし、該膨張ルーメン(21)は、該除去可能なインナーチューブ(6)の存在下で該少なくとも1つの膨張可能なバルーン(4、4’)に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル(1)を挿入すること、
−治療領域に該少なくとも1つの膨張可能なバルーン(4、4’)を位置決めすること、
−該膨張ルーメン(21)に該除去可能なインナーチューブ(6)を挿入することであって、前記除去可能なインナーチューブ(6)は、細長い本体、開口(9)近位端(7)、閉鎖(10)遠位端(8)、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン(22)を有し、
−前記除去可能なインナーチューブ(6)は、該膨張ルーメン(21)の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−該線源ワイヤルーメン(22)は、治療用放射線源(20)を担持する線源ワイヤ(19)を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ(6)を挿入すること、
−該少なくとも1つの膨張可能なバルーン(4、4’)を膨張させること、
−該線源ワイヤルーメン(22)を通して治療領域まで前記放射線源ワイヤ(19)を前進させて、一定の放射線量を投与すること、
−該放射線源ワイヤ(19)を除去すること、
−該少なくとも1つの膨張可能なバルーン(4、4’)を収縮させること、
−該除去可能なインナーチューブ(6)を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために該医療用バルーンカテーテル(1)をその場に任意に残すこと、
を含む、被験者にカテーテル小線源療法を施す方法。
【請求項30】
該医療用バルーンカテーテル(1)に一時的な剛性を与えるために、該医療用バルーンカテーテル(1)を体内で前進させる前に、プッシャワイヤ(11)が該膨張ルーメン(21)に挿入される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
鼻咽頭経路を経由した被験者の食道への該医療用バルーンカテーテル(1)の挿入後及び該膨張ルーメン(21)への該除去可能なインナーチューブ(6)の挿入前に、請求項2又は3に記載の膨張継手(12)が、該カテーテル(1)の該近位端(2)において前記カテーテルチューブ材(5)に結合される、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
該膨張継手(12)は、該膨張ルーメン(21)への該除去可能なインナーチューブ(6)の挿入後に、該除去可能なインナーチューブ(6)の該近位端(7)にさらに結合される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
該膨張継手(12)は、該除去可能なインナーチューブ(6)の抜去後に、該医療用バルーンカテーテル(1)から除去される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
該医療用バルーンカテーテル(1)の近位部分が、体への挿入後及び/又は治療セッション間に患者の体に絆創膏で固定される、請求項29ないし33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
該治療は分割される、請求項29ないし34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
該医療用バルーンカテーテル(1)は、3日間〜21日間にわたってその場に残される、請求項29ないし35のいずれか1項に記載の方法
【請求項37】
該医療用バルーンカテーテル(1)は、食道に小線源療法を施すために、鼻咽頭経路を経由して被験者の食道に挿入される、請求項29ないし36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
該医療用バルーンカテーテル(1)の近位部分が、鼻咽頭経路を経由した挿入後及び/又は治療セッション間に患者の鼻に絆創膏で固定される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
該医療用バルーンカテーテル(1)は、子宮腔に小線源療法を施すために、頸部経路を経由して被験者の子宮腔に挿入される、請求項29ないし36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
該医療用バルーンカテーテル(1)の近位部分が、頸部経路を経由した挿入後及び/又は治療セッション間に頸部の出口に縫合糸で固定される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
該医療用バルーンカテーテル(1)は、乳房に小線源治療を施すために、乳房の切開部を経由して被験者の乳房組織に挿入される、請求項29ないし36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
該医療用バルーンカテーテル(1)の近位部分が、切開部を経由した挿入後及び/又は治療セッション間に乳房から出る場所に絆創膏で固定される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項1ないし28のいずれか1項に記載のキットを使用する、請求項29ないし42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
被験者に小線源療法を施すキットであって、
−近位端(2)及び遠位端(3)を有する医療用バルーンカテーテル(1)であって、膨張ルーメン(21)が内部に延びている細長いカテーテルチューブ(5)、及び該遠位端(3)に向かって該カテーテルチューブ(5)の該膨張ルーメン(21)と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン(4、4’)を備え、該カテーテルチューブ(5)は、キンク状態から伸びるように構成され、該膨張ルーメン(21)が除去可能なインナーチューブ(6)を摺動可能に収納することを可能にし、該膨張ルーメン(21)は、該除去可能なインナーチューブ(6)の存在下で該少なくとも1つの膨張可能なバルーン(4、4’)に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル(1)と、
−細長い本体、開口(9)近位端(7)、閉鎖(10)遠位端(8)、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン(22)を有する、除去可能なインナーチューブ(6)であって、
−該除去可能なインナーチューブ(6)は、該膨張ルーメン(21)の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−該線源ワイヤルーメン(22)は、治療用放射線源(20)を担持する線源ワイヤ(19)を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ(6)と、
を備える、被験者に小線源療法を施すキット。
【請求項2】
該バルーン(4)の膨張を可能にし、且つ膨張時に、前記除去可能なインナーチューブ(6)が該膨張ルーメン(21)に挿入されると該除去可能なインナーチューブ(6)の該開口(9)近位端(7)へのアクセスを可能にするために、該カテーテルチューブ(5)の近位端を膨張ポンプに結合するように構成される、膨張継手(12)をさらに備える、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記膨張継手(12)は、
−遠位シール(16)が配置される遠位ポート(14)と、
−近位シール(15)が配置される近位ポート(13)と、
−弁と動作可能に接続されるポンプ継手(17)と、
を備え、該ポート(13、14)及び該ポンプ継手(17)は、該継手(12)のチャンバ(27)と流体接続されており、
−該遠位ポート(14)は、該カテーテルチューブ(5)の該近位端を受け入れて該カテーテルチューブ(5)の本体に対してシールを形成するように構成され、
−該近位ポート(13)は、該除去可能なインナーチューブ(6)を受け入れて該開口(9)の遠位側で該除去可能なインナーチューブ(6)の該本体に対してシールを形成するように構成され、該除去可能なインナーチューブ(6)の該近位端が該継手(12)を通過することを可能にする、請求項2に記載のキット。
【請求項4】
該カテーテルチューブ(5)の外径は、2mm〜6mmである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のキット。
【請求項5】
該カテーテルチューブ(5)は、該除去可能なインナーチューブ(6)の曲げ剛性よりも低い曲げ剛性を有する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のキット。
【請求項6】
該カテーテルチューブ(5)は、ポリウレタン又はポリウレタン含有化合物から作られる、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のキット。
【請求項7】
該膨張ルーメン(21)の直径は、該除去可能なインナーチューブ(6)の外径よりも5%〜20%大きい、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のキット。
【請求項8】
該カテーテルチューブ(5)の該近位端(2)と該遠位端(3)との間に、該医療用カテーテル(1)の長手方向伸長を防止する非伸長性コードが配置される、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のキット。
【請求項9】
該コードは、該カテーテルチューブ(5)の壁の中、外側、又は内側に配置される、請求項8に記載のキット。
【請求項10】
該カテーテルチューブ(5)の該近位端は、周方向圧力を加えることによって変形を低減するように補強される、請求項1ないし9のいずれか1項に記載のキット。
【請求項11】
前記補強は、
−該カテーテルチューブ(5)の該近位端の上に配置されるアウターチューブ、
−該カテーテルチューブ(5)の該近位端に挿入されるインナーチューブ、又は
−該カテーテルチューブ(5)の該近位端に対する延長部、
を含む、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
該医療用カテーテル(1)は、該カテーテルチューブ(5)の長さの少なくとも一部に沿って記される可視目盛を備える、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のキット。
【請求項13】
該除去可能なインナーチューブ(6)の壁は、0.1mm〜0.4mmの厚さを有する、請求項1ないし12のいずれか1項に記載のキット。
【請求項14】
該除去可能なインナーチューブ(6)の曲げ剛性は、該カテーテルチューブ(5)の曲げ剛性よりも高い、請求項1ないし13のいずれか1項に記載のキット。
【請求項15】
該除去可能なインナーチューブ(6)の該近位端は、周方向圧力を加えることによって変形を低減するように補強される、請求項1ないし14のいずれか1項に記載のキット。
【請求項16】
前記補強は、
−該近位端に又は該近位端に向かって該除去可能なインナーチューブ(6)の上に配置される補強アウターチューブ(48)、
−該近位端に又は該近位端に向かって該除去可能なインナーチューブ(6)に挿入される補強インナーチューブ(49)、又は
−該除去可能なインナーチューブ(6)の該近位端に対する補強延長部(50)、
を含む、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
該除去可能なインナーチューブ(6)の上に配置される該補強アウターチューブ(48)には、該補強チューブ(48)の近位端に又は該近位端に向かって環状リッジ(51)が配置される、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
該除去可能なインナーチューブ(6)は、その長さの少なくとも一部に沿って記される可視目盛を備える、請求項1ないし17のいずれか1項に記載のキット。
【請求項19】
該除去可能なインナーチューブ(6)の曲げ剛性は、該カテーテルチューブ(5)の曲げ剛性よりも1%〜60%高い、請求項1ないし18のいずれか1項に記載のキット。
【請求項20】
該除去可能なインナーチューブ(6)は、ポリイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、又はポリエチレンで作られる、請求項1ないし19のいずれか1項に記載のキット。
【請求項21】
該除去可能なインナーチューブ(6)の該線源ワイヤルーメン(22)の直径は、0.5mm〜1.9mmである、請求項1ないし20のいずれか1項に記載のキット。
【請求項22】
該除去可能なインナーチューブ(6)は、該医療用バルーンカテーテル(1)よりも3cm〜90cm長い、請求項1ないし21のいずれか1項に記載のキット。
【請求項23】
鼻咽頭経路を経由した被験者への挿入時に該カテーテルチューブ(5)に剛性を与えるために、該膨張ルーメン(21)に対して挿入及び除去されるように構成される除去可能なプッシャワイヤ(11)をさらに備える、請求項1ないし22のいずれか1項に記載のキット。
【請求項24】
前記プッシャワイヤ(11)は、該除去可能なインナーチューブ(6)の曲げ剛性よりも高い曲げ剛性を有する、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
膨張ポンプ(30)をさらに備える、請求項1ないし24のいずれか1項に記載のキット。
【請求項26】
該医療用バルーンカテーテルは、鼻咽頭経路を経由して食道に挿入されるように構成される、請求項1ないし25のいずれか1項に記載のキット。
【請求項27】
該医療用バルーンカテーテルは、頸部経路を経由して子宮腔に挿入されるように構成される、請求項1ないし26のいずれか1項に記載のキット。
【請求項28】
該医療用バルーンカテーテルは、乳房の切開部又は針穿刺部を経由して乳房組織に挿入されるように構成される、請求項1ないし27のいずれか1項に記載のキット。
【請求項29】
被験者にカテーテル小線源療法を施す方法であって、
−被験者における進入点を通して医療用バルーンカテーテル(1)を挿入することであって、前記医療用バルーンカテーテル(1)は、近位端(2)及び遠位端(3)を有し、膨張ルーメン(20)が内部に延びている細長いカテーテルチューブ(5)、及び該遠位端(3)に向かって該カテーテルチューブ(5)の該膨張ルーメン(21)と流体連通している少なくとも1つの膨張可能なバルーン(4、4’)を備え、該カテーテルチューブ(5)は、キンク状態から伸びるように構成され、該膨張ルーメン(21)が除去可能なインナーチューブ(6)を摺動可能に収納することを可能にし、該膨張ルーメン(21)は、該除去可能なインナーチューブ(6)の存在下で該少なくとも1つの膨張可能なバルーン(4、4’)に膨張流体を運ぶように構成される、医療用バルーンカテーテル(1)を挿入すること、
−治療領域に該少なくとも1つの膨張可能なバルーン(4、4’)を位置決めすること、
−該膨張ルーメン(21)に該除去可能なインナーチューブ(6)を挿入することであって、前記除去可能なインナーチューブ(6)は、細長い本体、開口(9)近位端(7)、閉鎖(10)遠位端(8)、及び内部に延びている線源ワイヤルーメン(22)を有し、
−前記除去可能なインナーチューブ(6)は、該膨張ルーメン(21)の長さの少なくとも一部に対して挿入及び除去されるように構成され、
−該線源ワイヤルーメン(22)は、治療用放射線源(20)を担持する線源ワイヤ(19)を収納するように構成される、
除去可能なインナーチューブ(6)を挿入すること、
−該少なくとも1つの膨張可能なバルーン(4、4’)を膨張させること、
−該線源ワイヤルーメン(22)を通して治療領域まで前記放射線源ワイヤ(19)を前進させて、一定の放射線量を投与すること、
−該放射線源ワイヤ(19)を除去すること、
−該少なくとも1つの膨張可能なバルーン(4、4’)を収縮させること、
−該除去可能なインナーチューブ(6)を抜去すること、及び
−後続の治療セッションのために該医療用バルーンカテーテル(1)をその場に任意に残すこと、
を含む、被験者にカテーテル小線源療法を施す方法。
【請求項30】
該医療用バルーンカテーテル(1)に一時的な剛性を与えるために、該医療用バルーンカテーテル(1)を体内で前進させる前に、プッシャワイヤ(11)が該膨張ルーメン(21)に挿入される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
鼻咽頭経路を経由した被験者の食道への該医療用バルーンカテーテル(1)の挿入後及び該膨張ルーメン(21)への該除去可能なインナーチューブ(6)の挿入前に、請求項2又は3に記載の膨張継手(12)が、該カテーテル(1)の該近位端(2)において前記カテーテルチューブ材(5)に結合される、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
該膨張継手(12)は、該膨張ルーメン(21)への該除去可能なインナーチューブ(6)の挿入後に、該除去可能なインナーチューブ(6)の該近位端(7)にさらに結合される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
該膨張継手(12)は、該除去可能なインナーチューブ(6)の抜去後に、該医療用バルーンカテーテル(1)から除去される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
該医療用バルーンカテーテル(1)の近位部分が、体への挿入後及び/又は治療セッション間に患者の体に絆創膏で固定される、請求項29ないし33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
該治療は分割される、請求項29ないし34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
該医療用バルーンカテーテル(1)は、3日間〜21日間にわたってその場に残される、請求項29ないし35のいずれか1項に記載の方法
【請求項37】
該医療用バルーンカテーテル(1)は、食道に小線源療法を施すために、鼻咽頭経路を経由して被験者の食道に挿入される、請求項29ないし36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
該医療用バルーンカテーテル(1)の近位部分が、鼻咽頭経路を経由した挿入後及び/又は治療セッション間に患者の鼻に絆創膏で固定される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
該医療用バルーンカテーテル(1)は、子宮腔に小線源療法を施すために、頸部経路を経由して被験者の子宮腔に挿入される、請求項29ないし36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
該医療用バルーンカテーテル(1)の近位部分が、頸部経路を経由した挿入後及び/又は治療セッション間に頸部の出口に縫合糸で固定される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
該医療用バルーンカテーテル(1)は、乳房に小線源治療を施すために、乳房の切開部を経由して被験者の乳房組織に挿入される、請求項29ないし36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
該医療用バルーンカテーテル(1)の近位部分が、切開部を経由した挿入後及び/又は治療セッション間に乳房から出る場所に絆創膏で固定される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項1ないし28のいずれか1項に記載のキットを使用する、請求項29ないし42のいずれか1項に記載の方法。
【図1】
【図4】
【図8】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図4】
【図8】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2010−536522(P2010−536522A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522344(P2010−522344)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061139
【国際公開番号】WO2009/027394
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(504378087)アクロシュターク コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061139
【国際公開番号】WO2009/027394
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(504378087)アクロシュターク コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】
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