説明

被験者の呼吸器官の生体力学的動作を監視し、生体力学的動作に基づいて人工呼吸器を制御する装置

【課題】自動的に被験者の要求に適するように被験者に供給される通気補助を調整する。
【解決手段】被験者の呼吸器系(106)の抵抗及びエラスタンスを検出し、人工呼吸器(100)により流量を調整して供給する(104)することにより人工呼吸器装置(100)を制御する。一実施の形態では、流量上の少なくとも1つの強制単振動(110)に重畳する人工呼吸器を制御し、呼吸器系(132)の反応を観測して、抵抗値を検出する。他の実施の形態では、一時的に遮蔽する(204)作用を有する圧力を呼吸器系(214)に供給する人工呼吸器(208)を制御して、呼吸器系(214)が平衡に達するまで待機し、呼吸器系の変化する状態を観測することによりエラスタンスを検出する。前記2つの実施の形態の検出技術を同時に利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の属する技術分野
本発明は、被験者の呼吸状態を判定し、その判定状態に基づいて通気装置を制御する装置及び方法、特に無侵襲的に被験者のエラスタンス及び抵抗を測定する装置及び方法、通気間にエラスタンス及び抵抗を測定する方法を用いて、自動的に被験者の要求に適するように被験者に供給される通気補助を調整できる人工呼吸器に関連する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の説明
下記の特許及び他の刊行物について記載する関連技術の開示内容の全体は本明細書中に引用されたものとする。関連技術の記載を通じて、例えば、ジャクソン
A.C.、ミルホーン H.T.及びノーマン J.R.「気道抵抗を測定する断流技術の再評価」応用生理学ジャーナル、Vol36、No2(1974.12)に記載されるように、第1番目に挙げられた著者及び発行年によりこれらの参考文献を引用する。
【0003】
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【0004】
機械をどのように制御して自然の呼吸作用を代用し又は補充できるかを理解するために、呼吸器系の力学的特性を理解することが必要である。呼吸器系の力学的作用に対する研究では、被験者の気道、肺及び胸部を含む被験者の肺組織のエラスタンス特性及び抵抗特性を分析することが必要となる。臨床慣例では、呼吸抵抗Rrs及びエラスタンスErsは、健康及び病気の状態の肺及び胸壁の挙動、特に、吸気性肺活量(IVC)及び1秒間の努力呼気肺活量(FEVI)等の挙動特性を説明するのに必要な基本的情報である。更に、例えば、本願明細書に引用するヤウンズ名義の米国特許第5,107,830号及び第5,044,362号に開示される比例通気支援装置(PAV:Proportional Assist Ventilation)等最新の機械的通気技術を使用するには、被験者の呼吸抵抗及び呼吸エラスタンスの知識を必要とする。
【0005】
自発的に呼吸する被験者の呼吸抵抗及び呼吸エラスタンスを測定することは、単純な作業ではない。抵抗及びエラスタンスを測定する従来の技術は、臨床又は病院の調整で行われ、例えば食道気球等の食道内圧を測定する装置を被験者内部に配置する必要があるため、被験者を損傷する侵襲性が幾分ある。従って、抵抗Rrs及びエラスタンスErsは、日常的な基礎データとして測定されない。これらを日常的に測定するには、殆ど被験者の協力を必要としない効率的かつ信頼性があり、自発的に抵抗Rrs及びエラスタンスErs、特に吸気性の抵抗Rrs及びエラスタンスErsを得る極力非侵襲的な技術を必要とする。
【0006】
呼吸器官は、力、呼気量、呼気量の変化率(1回微分)及び呼気量の加速度(2回微分)を考慮する。呼吸生理学では、圧力Pとして力を測定し、容量Vとして呼気量を測定し、流量V'として呼気量の変化率を測定し(1回微分)、流量の変化率V"(排気量の2回微分)として呼気量の加速度を測定する。特に補助呼吸に対して、気体流量V'を生じて流量変化率V"に起因する呼吸器系の慣性力に対向して肺容量Vを増大する圧力Pが必要である。
【0007】
1回の吸気作用及び1回の呼気作用を含む呼吸サイクルの過程では、圧力P(t)(一般的にcmH2Oで測定される)、容量V(t)(一般的にリットルで測定される)、流量V'(t)(一般的にリットル/秒で測定される)及び流量の変化率V"(t)(一般的にリットル/秒2で測定される)の全ては経時的に変化する。肺及び胸壁の膨張に必要な全力、即ち全圧力は、全て呼吸器系によって生じ、膨張に対抗する慣性力、抵抗力及び弾性反発力の3つの異なる力を克服しなければならない。呼吸器系の数学的モデル、即ち運動方程式は、以下のように圧力、流量−容量特性を示す。
Paw(t)+Pmus(t)=IV"(t)+RrsV'(t)+ErsV(t) (1)
【0008】
この式では、Paw(t)は気道開口部に加えられる人工呼吸器の圧力である。筋圧力Pmus(t)は、呼吸筋により発生しかつ胸郭及び肺を膨張させる想像上の変換呼吸(transrespiratory)圧力(気道圧力−体表面圧力)である。筋圧力Pmus(t)を直接測定することはできない。
【0009】
弾性力ErsV(t)は、呼吸器系が収縮後、反動で跳返える反発力である。弾性力は、肺及び胸部の弾性支持構造により発生する。エラスタンスErsは、容量変化当たりの膨張圧力変化として定義され、圧縮率(容積弾性係数)の逆数であり、cmH2O/リットルの単位で表される。全静的呼吸の反動容量圧力Prsは、肺全体に生じる圧力Plと胸壁全体に生じる圧力Pcwとの和によって与えられる。
Prs=Pl+Pcw (2)
【0010】
呼吸器系の容量変化Vrsは、肺及び胸壁の容量変化Vl及びVcwの和で与えられるので、全体の呼吸エラスタンスErsは、肺エラスタンスEl及び胸壁エラスタンスEcwの和によって与えられる。
Ers=El+Ecw (3)
全呼吸エラスタンスErsは、肺の大きさ、被験者の性別、成長度及び老化度、胸部内の肺の安静時位置並びに重力(位置)効果の要因に依存する。気道及び肺の実質組織(メイウスキー(1983))は不均一な時定数を有するため、動的エラスタンスは、静的エラスタンスから著しく乖離する。
【0011】
抵抗力RrsV'(t)は、肺及び胸部の動作に対向する肺及び胸部内の気体及び組織要素の運動によって生ずる力である。非弾性的及び非慣性的要因を気流により克服するのに必要な気道開口部と胸郭の体表面との間で圧力勾配を割ることにより全呼吸抵抗Rrsが決定される。抵抗Rrsの測定に使用する圧力勾配は、空気が気道中を移動するのに必要な圧力(Raw)と、肺組織を変形するのに必要な圧力(組織粘着抵抗Rvisc)と、胸壁及び横隔膜を運動させるのに必要な圧力(Rwall)との和である。cmH2O/(リットル/秒)又はcmH2O(秒/リットル)の単位で表される抵抗Rrsは、下式で与えられる。
Rrs=Raw+Rvisc+Rwall (4)
【0012】
慣性力IV"(t)は、呼吸器系の慣性的特性によって導かれる力である。それは流量の変化率に比例する。通常の状況では慣性力を無視できる。しかしながら、被験者の呼吸速度の増加に従って、慣性力の影響は増加する。
【0013】
式(1)は、全てベースライン値(即ち最終呼気値)と比較して測定された圧力、流量及び容量の動的モデルとなる。吸気を生ずる圧力は、呼気終端圧力(PEEP:Positive End-Expiratory Pressure)を超える気道圧力の変化として測定される。容量は、機能的残気量(FRC:Functional Residual Capacity)を超える肺容量の変化として測定される。流量は、通常零である終末呼気値に対して測定される。
【0014】
式(1)のパラメータは必ずしも一定ではない。実際、呼吸器系の機械的動作は非線形として特徴づけられた。肺動作の殆ど全ての機械的挙動は、非線形の特徴を表す傾向がある。気道壁の圧力−面積変動特性、肺実質組織の圧力−容量変動特性及び気道ガスの圧力−流量変動特性は、全て非線形であることが十分に実証される。抵抗及びエラスタンスを変化させる既知の変数は、流量、肺容量、通気サイクル及び通気速度の各時点を含み、非常に複雑である。しかしながら、抵抗Rrs及びエラスタンスErsの非線形特性に対する支配的な要因は、それぞれ流量及び容量である。このように、流量の関数Rrs((V'(t))として抵抗Rrsを近似的に表すことができる。同様に、容量の関数Ers(V(t))としてエラスタンスErsを近似的に表すことができる。非線形の要因を反映して、更に簡略化した下記の1次式を使用することができる:
Ers=Ers0+Ers1V(t) (5)
Rrs=Rrs0+Rrs1V'(t) (6)
エラスタンスErs0及び抵抗Rrs0は定数項であり、エラスタンスErs1及び抵抗Rrs1は1次の項である。この近似式より、運動方程式(1)は下記1次式で表される。
Paw(t)+Pmus(t)=(Ers0+Ers1V(t))V(t)+(Rrs0+Rrs1V'(t))V'(t)+IV"(t) (7)
【0015】
気道及び分岐気道網の慣性効果に加えて組織弾性を反映する高度な生理的モデルを含む多くの他のモデルが近年開発された。しかしながら、非線形のモデルを使用すると、例えば周波数領域の解析、ボーデ線図及び多重線形回帰等の呼吸器官の臨床調査で一般的に使われる多くの強力な概念の適用が排除される。多くの場合、抵抗Rrs及びエラスタンスErsを定数とみなせば、下記の2−要素線形モデルを使用することができる。
Paw(t)+Pmus(t)=Ers0V(t)+Rrs0V'(t) (8)
【0016】
機械的呼吸特性の研究は、呼吸医療専門家に興味深い重要な領域である。Paw(t)、V'(t)及びPmus(t)を測定できれば、機構及び呼吸の分析により呼吸器官を評価することができる。最初の2変数は、気道開口部に位置するセンサ手段により容易に測定される。しかしながら、動的状況下でPmus(t)を非侵襲的に測定する直接的な方法は現在知られていない。
【0017】
被験者の呼吸器官を知るには、重要な他の状況が存在する。例えば、呼吸作用を増幅して被験者の瞬間的な作用に比例して被験者に圧力を供給する同期部分的通気法(synchronized partial ventilation method)である比例通気支援を実行するのに被験者の呼吸器官の知識が必要である。抵抗及びエラスタンス等の呼吸器官を比例通気支援装置(PAV)に使用して、流量支援及び容量支援の正しいレベルを判定することができる。人工呼吸器で支援される被験者に対し、物理学的及び病理学的な条件が相違するため、これらのパラメータは、絶えず変化する。従って、比例通気支援の実行に要求される測定の煩瑣な処理を最小にしながら、連続的に又は周期的に前記のパラメータを決定することが重要である。
【0018】
要約すれば、最適の流量及び容量補助を維持して、圧力支援が正確に被験者の呼吸作用を調節できるように、比例通気支援装置は、正確な抵抗値及びエラスタンス値を必要とする。他の通気モードと比較して、比例通気支援装置は、呼吸器官に関する詳細な情報及び更に被験者との相互作用を必要とする。前記のように、呼吸器官は大部分の被験者にとって可変であるため、この相互作用を継続ベースで行うことが好ましい。
【0019】
多くの非侵襲性の呼吸器官測定技術が開発された。一般に前記測定技術は、断流器/遮蔽と、可変外部抵抗と、時定数と、多重線形回帰と、強制振動との5のカテゴリに分類される。しかしながら、抵抗値及びエラスタンス値を決定する前記従来の臨床技術は扱い難く、被験者支援人工呼吸器では容易に実施することができない。また、前記技術のいくつかは、手動実施手順を必要とし、大部分の人工呼吸器、特にシステム漏洩を示す人工呼吸器を使用して実施することができない。
【0020】
断流器/遮蔽法は平均肺胞圧力を推定する。ジャクソン A.C.、ミルホーン H.T.及びノーマン
J.R.「気道抵抗を測定する断流技術の再評価」応用生理学ジャーナル、Vol36、No2(1974.12)を参照されたい。この測定法は、通常の呼吸サイクルの間に呼吸循環路で、例えば0.1秒程度の速い遮蔽を必要とする。この技術は、継続する呼吸作用がまだ存在しても、遮蔽の間に肺胞圧力及び気道開口部の圧力は、胸郭の正味の運動を非常に速く平衡化し、横隔膜が胸腔内圧を識別可能には変えないと仮定する。平衡直後に気道開口部で測定される圧力は、遮蔽直前に肺胞圧力を評価するために用いる。
【0021】
肺エラスタンスを評価する最も一般的な医療が断流器/遮蔽である。遮蔽は呼気の初期に通常行われる。呼吸筋が完全に弛緩するとき、遮蔽を行った時点で気道開口部の圧力が増加して約250msで安定期に達する。安定期圧力は、呼吸弾性反発力によって平衡化する。呼気の初期に遮蔽が与えられるので、呼吸器系の全空気容量は、機能的残気量と周期的な容量Vtidalとの和に等しい。圧力及び容量が既知であれば、エラスタンス値Ersを決定することができる。
【0022】
臨床医は手、消耗弁又はシャッタを使用して、手動操作で呼気経路を遮断し非漏洩システムを構築する。しかしながら、開回路システムでは、例えば呼気ポート又は排出ポート等のシステム漏洩部は、一般的に被験者の気道の非常に接近した位置にある。従って、漏洩部と気道開口部との間に閉鎖部材(シャッタ)を挿入することは実用的でない。気道抵抗を測定する市販の流動遮断装置は米国特許第5,233,998号に開示されるが、全呼吸抵抗(Rrs)を開示していない。この技術は、前記理由のシステム漏洩を有する人工呼吸器に取り付けることは困難であって、漏洩部と被験者気道との間を遮蔽することは実用的でない。
【0023】
急速で短時間の外部抵抗(Rext)増加を用いて抵抗Rrsを測定する可変外部抵抗技術は報告されている。M.フラネツキ(1977)、 チャン(1988)及びグリーン(1990)を参照されたい。この測定法は、外部抵抗が抵抗Rrsと直列接続状態にある間に筋圧力(Pmus)及び弾性力の変化を無視できるとの仮定に基づく。しかしながら、この技術は、呼吸器系の慣性要因により発生可能な作用を無視する点で不充分である。また、従来の人工呼吸器に容易には適用できない線形抵抗測定を必要とするので、この技術を人工呼吸器に適用することは困難である。
【0024】
呼気がどのように減少するかを調べて、呼気段階の間の抵抗及びエラスタンスを評価する時定数法が使用される。例えば、グランステイン名義の米国特許第4,802,492号(1989年)を参照されたい。しかしながら、吸気の抵抗値及びエラスタンス値が呼気の抵抗値及びエラスタンス値と異なるとの研究が報告された。従って、この技術は、吸気抵抗及びエラスタンスの測定又は評価には適さない。
【0025】
麻酔で筋圧力が除かれた被験者の抵抗を評価する多重線回帰法が使用されている。従って、活動的な被験者にこの技術を適用できない。
【0026】
強制振動技術は、被験者の気道開口部に振動圧力を加える。科学者が呼吸器系を研究することは、非常にありふれた手段となった。人間の呼吸器系の共鳴性周波数である6〜7Hz付近に振動周波数を設定すべきことを示唆する研究もある。フランク(1971年)の文献を参照されたい。2〜4Hz未満の周波数、特に、例えば活動的に呼吸する子供又は呼吸が制限される被験者のように呼吸パターンが比較的高調波である被験者では信頼できる抵抗評価値を予測できないとの研究も報告された。例えば、ドロクジー(1990)及びハントス(1986)の文献を参照されたい。
【0027】
高価で大きな計測器が必要な臨床検査では、1980年代初期にシレグノスト(Siregnost)FD−5の携帯型オシロメータをシーメンス社が導入するまで、この技術は広く使われていなかった。ジメオ(1993年)の文献を参照されたい。臨床研究の結果、ニールド他(1989年)は、シレグノスト FD−5により得られる測定値Rrsの再現性及び有効性を証明した。全呼吸抵抗を測定するのに強制振動技術が広く用いられる方法になった理由の1つは、最小限の協力が被験者から得られればよいことである。大部分の強制振動装置は、気道で制御された摂動運動を生じる高周波圧力振動供給源として、密閉箱のスピーカ又はリニアモータポンプを使用する。また、既存の強制振動技術は、被験者の全吸気段階の間に連続的な圧力振動を使用する。従って、従来の強制振動技術は、継続的にリアルタイムで被験者支援人工呼吸器に対し実用的でない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の目的は、従来の装置及び技術に伴う欠点を克服して、特にシステム漏洩を有する人工呼吸器と連動して、人工呼吸器援助の被験者に容易に適用できかつ抵抗及び/又はエラスタンスを測定する非侵襲性の装置及び方法を提供することにある。
【0029】
本発明の他の目的は、被験者の生体力学的なパラメータの連続的変更に適応しかつ操作者及び/又は被験者による連続動作を必要とせずに前記パラメータに追従して、人工呼吸器の設定を自動的に調整する装置及び方法を提供することにある。
【0030】
本発明の別の目的は、人工呼吸器支援の被験者に対し、圧力−流量特性、圧力−容量特性又はこれらの両方を自動的に評価する非侵襲性技術を実行する装置及び方法を提供することである。
【0031】
本発明の他の目的は、加圧式又は容量式の従来の人工呼吸器に対して根本的な構造変更を必要とせずかつ人工呼吸器循環路の既知及び/又は未知の漏洩が存在しても機能する前記装置及び方法を提供することである。
【0032】
本発明の更に他の目的は、殆ど又は全く被験者の協力を必要とせずに、人工呼吸器支援の被験者全呼吸エラスタンスErs及び/又は全呼吸抵抗Rrsを非侵襲的かつごく自然に監視する装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0033】
人工呼吸器支援の被験者の呼吸器官動作を監視することにより、被験者に供給する支援量を最適に調整できる適応可能な比例通気支援(APAV)装置を提供することにより前記目的を達成することができる。適用可能な比例通気支援装置は、被験者の呼吸器系に治療圧力を供給する人工呼吸器と、人工呼吸器と連動して、被験者の呼吸器系の抵抗及び/又はエラスタンスを非侵襲的に決定する呼吸器官監視装置と、人工呼吸器を制御して、抵抗−エラスタンス監視装置により決定される抵抗及びエラスタンスに基づいて被験者に供給される治療圧力を調整する制御ユニットとを備えている。
【0034】
人工呼吸器支援の被験者の呼吸器官を監視することにより、被験者に供給される支援量を最適に調整する方法を提供することにより前記目的を達成できる。この方法は、(a) 人工呼吸器を制御して被験者の呼吸器系に治療圧力を加える過程と、(b)被験者の呼吸器系の抵抗及び/又はエラスタンスを検出する過程と、(c)人工呼吸器を制御して、検出した抵抗及び/又はエラスタンスに基づいて治療圧力を調整する過程とを含む。
【0035】
本発明の適用可能な比例通気支援装置技術は、比例通気支援装置の一種である。しかしながら、流量制御利得及び容量制御利得が治療過程全体で一定のままとなる比例通気支援装置と異なり、適用可能な比例通気支援装置は、比例通気支援装置の流量利得及び容量利得を自動的に調整し、人工呼吸器により供給される流量支援量及び容量支援量を制御してリアルタイム(継続的体制)で最良の支援を被験者に与えることができる。即ち、本発明では、被験者の現呼吸抵抗及び現エラスタンスの各々に基づいて、比例通気支援装置の流量利得及び容量利得を最適に調整することができる。被験者が特に注意する必要なくかつ被験者の協力又は操作者の援助も必要としない方法で、吸気及び/又は呼気の段階の間に被験者の抵抗特性及び弾性反発特性を自動的かつ非侵入的に評価することにより本発明を達成することができる。適用可能な比例通気支援装置を使用すれば、前記従来の技術を使用して最初にエラスタンス値及び抵抗値を決定せずに、操作者は所定の補助率(0〜100%)を設定する操作のみ必要となる。
【0036】
本発明の原理では、吸気段階の間に指定された時間に人工呼吸器によって被験者へ供給される治療圧力に対して少なくとも一の圧力振動を重畳する強制単振動技術(FSO技術)を使用して、被験者の呼吸圧力−流量特性(呼吸抵抗Rrs)を自動的かつ非侵入的に評価することができる。本発明による例示的な実施の形態では、3〜10Hzの範囲の周波数及び2〜10cmH2Oの圧力を有する少なくとも1つの正弦波圧力振動を被験者に供給する圧力に重畳する。本発明によるFSO技術は、人工呼吸器によって被験者に供給される治療圧力に小さい瞬間的な気道圧力変動及び流量変動を生じる。本発明では、圧力振動に対して呼吸器系の応答を反映させる局所的変化を処理して、被験者の呼吸器系の圧力−流量特性(呼吸抵抗Rrs)を決定する。
【0037】
本発明の原理では、短時間の間に被験者の気道開口部に制御された圧力を印加する空気力学的遮蔽法(POM:Pneumatic Occulusion Method)を使用して被験者の呼吸圧力−容量特性(エラスタンスErs)を自動的かつ非侵入的に評価することができる。本発明による例示的な実施の形態では、0.4秒以下の持続時間の間に制御された圧力が加えられる。被験者の気道開口部での制御された圧力は、呼気の開始時に加えられ、空気力学的に被験者の呼気流を遮蔽する。空気力学的に流量を零に保持する間に、加えられた圧力は、呼吸器系からの弾性反発力に等しい平衡状態(又は圧力安定期)に達する。一方、容量は同一のレベルのままとなり、機能的残気容量(FRC)と吸気周期容量との和に等しい。本発明では、呼気終端期(肺容量がFRCに等しいとき)の圧力安定期、周期容量及び気道圧力を測定しかつ使用して、呼吸の圧力−容量特性、即ち呼吸エラスタンス値Ersを決定することができる。
【0038】
本発明では、前記FSO法及びPOMの一方又は両方を組み込む適用可能な比例通気支援装置を得ることができる。しかしながら、圧力支援装置から独立してエラスタンスErs又は抵抗Rrsを知る他の適用例にもFSO法又はPOMを使用できることは理解されよう。
【0039】
要約すると、本発明は、人工呼吸器支援の被験者に対し自然にかつ自動的にエラスタンス値Ers及び/又は抵抗値Rrsを決定する非侵襲性の技術を提供する。根本的な構造変更を必要せずに、多種多様な圧力式又は容量式の人工呼吸器でこの技術を実施することができる。単に既存のマイクロプロセッサに適当なソフトウェアを搭載することにより、マイクロプロセッサを埋設した人工呼吸器に対して本発明を適用することができる。また、漏洩部を有する人工呼吸器にも本発明を適用することができる。
【0040】
本発明の前記目的及び他の目的、特徴及び特性、構造の関連要素の操作法及び機能、部品の組合せ並びに製造経済性は、参照符号が各図の対応する部分を示す添付図面に関する下記の説明、請求の範囲及び本明細書の全構成部分により明らかとなろう。しかしながら、図面は図解及び説明の目的に過ぎず、本発明の範囲を制限するものでない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明の一実施の形態は、比例通気支援装置に使用される利得(ゲイン)を被験者(患者)の現状に基づいて自動的に変更できる適応可能な比例通気支援装置(APAV)及び方法に関する。病院又はクリニックで過去に測定された被験者の状態に基づく場合とは対照的に、本発明では被験者の現状に基づいてリアルタイムで比例通気支援装置を実行することができる。
【0042】
図1に示すように、本発明の適用可能な比例通気支援装置(APAV)100は、比例通気支援(PAV)モジュール102、アダプタモジュール104及び被験者の呼吸器官監視モジュール106の3つのモジュールを備えている。アダプタモジュール104は、ハードウェア及び/又はソフトウェアを備えている。適用可能な比例通気支援装置100は、被験者の呼吸作用に対する人工呼吸器の調節の程度を表す所定の補助率Kassistと、被験者の呼気気道正圧(Expiratory Positive Airway Pressure, EPAP)を設定して始動される。
【0043】
アダプタモジュール104は、監視モジュール106、被験者の気道圧力及び流量信号から被験者の呼吸器官の変数(Ers及び/又はRrs)を得て、比例通気支援設定調整値(Epav、Rpav)を調整し、比例通気支援モジュール102は、吸気段階の間に被験者の筋圧力に比例する圧力を被験者に供給する。本発明の例示する実施の形態では、アダプタモジュール104は、測定の間に被験者による複数回の呼吸にわたりノイズ作用が原因となるエラスタンス値及び抵抗測定値を平均化する。利得ファクタ(0〜1)により適応率(適用速度)は制御されるので、例えば大きい一時的な被験者の作用、ノイズ及び重大な非線形の肺動作等の妨害が存在しても、適用可能な比例通気支援装置100は安定した圧力支援装置となる。アダプタモジュール104を図8及び図9について詳細に以下説明する。
【0044】
前記のように、本発明の適用可能な比例通気支援装置100の技術では、人工呼吸器動作に対し補助率及び呼気気道正圧(EPAP)の2つの設定値がある。補助率は、人工呼吸器に割り当てられるべき被験者のエラスタンス及び抵抗の百分率を示す。人工呼吸器の圧力出力は、被験者の要求変化として自動的に制御される。人工呼吸器の支援装置となる従来の臨床法以外に、本発明の実施には特別な注意又は被験者の協力を要しない。
【0045】
漏洩が発生する人工呼吸器に対し、漏洩評価技術を使用して被験者の流量を評価することができる。本明細書の一部を構成する何れもサンダーズ他名義の米国特許第5,148,802号及び5,433,193号並びに全てツドロコウスキー他名義の米国特許第5,313,937号、5,632,269号及び5,803,065号の全内容は、呼吸システムの漏洩評価技術を開示する。重大な未知の漏洩の場合、流量評価は誤差を含む。この誤差は、呼吸器官監視モジュール106により実行される呼吸器官評価の精度に影響を及ぼす。しかし、比例通気支援モジュール102も、流量及び容量補助(RrsV'、ErsV)のその配分に対し評価された流量を使用する。流量支援量及び容量支援量を計算するとき、流量評価誤差によって発生する呼吸器官のエラスタンスErs及び抵抗Rrsの前記誤差は、比例通気支援モジュール102の流量推定に起因する誤差を相殺することが解析により明らかである。従って、例えば、未知の漏洩に発生する流量評価誤差は、本発明の適用可能な比例通気支援装置100の最終結果に限定的な影響を与えた。このため、比例通気支援装置とは異なり、適用可能な比例通気支援装置100は、漏洩評価誤差を自己修正/最小化する利点がある。
【0046】
被験者の抵抗Rrs及びエラスタンスErsを非侵襲的に判定する本発明の技術を以下に説明する。これらの技術は、監視モジュール106により実施される。前記説明及び図1のブロック図は、以下の両技術に適用できる。しかし、エラスタンス値Ers及び/又は抵抗値Rrsを知りたいときは常に、エラスタンス値Ers及び抵抗値Rrsを決定する下記の技術を本発明による比例通気支援装置100に導入し又は比例通気支援モジュール102及び/又はアダプタモジュール104を用いずに単独で使用することができる。
【0047】
被験者の呼吸抵抗値Rrsを決定するのに用いる本発明による第1の技術は、強制単振動又はFSOと呼ばれる。強制単振動は、圧力単振動を発生する過程と、被験者に供給される圧力に圧力単振動を付加(重畳)する過程とを含む。呼吸サイクルの吸気段階の間に、別々の、異なる及び無関係な複数の振動を被験者に供給される圧力に与えかつ重畳させて、各呼吸サイクルの間に取り出す抵抗測定値の数を増加させることができる。例えば、非線形として呼吸器系を処理することが必要な場合、複数(例えば2又はそれ以上)の別々の振動を用いたり、別の場合には、単一の振動で十分である。
【0048】
従来の強制振動技術は、連続的な一連の振動を被験者に加える点に留意する必要がある。これは、従来技術が得られる圧力及び流量測定値のスペクトル分析を行い、連続的な平均値を得るために、必要である。しかしながら、被験者の呼吸器系に連続的な一連の圧力振動を加えるこの従来技術は、被験者を不快にする傾向がある。他方、本発明のFSO技術は、被験者に対する治療を被験者に注意し又は治療を中断せずに被験者に対し早く行われる圧力単振動を供給する。前記のように、更なる実施の形態では、呼吸サイクルの吸気段階の間に2又はそれ以上の個々の振動が被験者に加えられる。本実施の形態では、非線形システムに特に有益であるように、異なる流量率の抵抗を測定するために、一定間隔をあけて個々の振動を離間する。本発明では、人工呼吸器の圧力制御システムによって個々の圧力振動が生じることを実現する。従って、スピーカ又はリニアモータポンプ等の特別なメカニズムは必要ない。人工呼吸器により供給される支援圧力上に圧力振動信号を重畳することにより圧力振動を達成することができる。FSOによる瞬間的な気道圧力変化は、対応する流量変化を生ずる。
【0049】
図2A及び図2Bは、FSOと比例通気支援装置とを組み合せたときのそれぞれ流量波形及び圧力波形を示す。即ち、図2Aは、被験者に供給される圧力に圧力振動を加えた結果としての被験者に対し出入する流量を示す波形であり、図2Bは、FSOと比例通気支援装置とを結合して得られる被験者に供給される気道圧力Pawを示す波形である。図2A及び図2Bの流量波形及び圧力波形は、説明の便宜のために示すに過ぎず、実際の被験者に対する流量波形及び圧力波形を必ずしも正確に表すものではない。図3は、本発明のFSO技術の間に図2Bの流量波形の拡大図を示す。
【0050】
図2A〜図3に示すように、FSOから生じる流量は、時刻t1及びt2でそれぞれ最大及び最小ピーク値に達する。時刻t1とt2との間の時間は、振動の約半周期分である。被験者に供給される圧力に印加される圧力振動(図2B)と、圧力振動の結果生じる被験者の流量内の振動(図2A)との間に僅かな遅延が生ずる点に留意する必要がある。これは、圧力振動の適用に対して被験者の呼吸器系が即応できないためである。従って、時刻t1及びt2での最大ピーク流量値及び最小ピーク流量値は、FSOの最大ピーク圧力値及び最小ピーク圧力値から僅かに遅延する。この遅延時間が比較的小さいので、図2A及び図2Bには図示しない。
【0051】
FSO技術の効果は、以下の2条件を満足することに基づく。第1に、被験者の作用力変化を無視できる程度に十分に速い振動でなければならない。第2に、流量測定値の合理的で良好な信号対雑音比(S/N)を得るのに十分に大きいが、被験者の部位に加えられる何れかの顕著な違和感又は人工呼吸器の流量始動の異常を回避できるのに十分小さい振幅の振動でなければならない。呼吸器系の3結合供給源として被験者の呼吸作用力、人工呼吸器支援及びFSOを理解することができる。流量変化率が小さいFSOの流量ピーク(t1)では、呼吸の慣性力の効果は最小となる。圧力ピークは必ずしも流量ピークと同時に発生しないことを理解すべきである。
【0052】
FSOが十分に速い場合、時刻t1とt2との間で容量V(t)及び筋圧力Pmus(t)の変化を無視できると仮定すれば:
V(t1)=V(t2)、及び (9)
Pmus(t1)=Pmus(t2) (10)
呼吸抵抗Rrsは次式で与えられる。
Rrs=(Paw(t1)−Paw(t2))/(V'(t1)−V'(t2)) (11)
【0053】
図4は、前記技術により呼吸抵抗Rrsを判定するアルゴリズムを示す。このアルゴリズムは、呼吸器官監視モジュール106内に設けられたプロセッサにより反復して実行することができる。FSOルーチンはステップ110から始まり、被験者が現在適当な従来の技術を使用する呼吸サイクルの吸気段階であるか否かをシステムが判定するステップ112に進む。圧力振動は、吸気段階の間だけ被験者に加えられる。被験者が吸気段階でない場合、ルーチンは終わり(ステップ132)、ステップ110の始めから反復される。被験者が吸気段階の場合、ルーチンは、ステップ114へ進み、吸気の開始から振動の開始に十分な時間が経過したか否か及び吸気中に振動を供給する十分な時間があるか否かを判定する。換言すれば、ステップ114は被験者に単振動を供給する時間の範囲を特定する。
【0054】
例示の実施の形態では、現吸気時間(i_time)は、吸気圧力に重畳すべき振動に対し、吸気の開始から0.3秒より長く選択される。呼気段階から吸気段階に被験者の筋時間を転換し、吸気開始後に短時間で発生するピーク吸気流量の間に、振動を供給する可能性を最大にするように0.3秒の遅れが選択される。本実施の形態では、振動周波数をfとすれば、現吸気時間が0.3秒+1/fを超える前に振動がまた加えられ、振動を加える吸気段階の間に十分な時間を確保する。
【0055】
吸気段階の間及び好ましくは吸気流量がピーク又はその近くである吸気段階の一部の間に振動を供給する限り、被験者に振動を加える時間枠の開始点(吸気開始後0.3秒)及び終止点(0.3の+1/f)は、数値幅を超えて変化すると理解すべきである。本発明では、振動の適用時間を制御する前記時間ベースの制御法以外の技術を検討することができる。例えば、吸気の流量率又は容量をトリガとして使用し、吸気流量率が特定の数値に達するとき及び/又は吸気容量が特定の量に達するとき、振動を加えることによって被験者へ加えられる圧力に振動を重畳することができる。吸気流量がピーク又はその付近にあるとき、吸気段階の一部の間に、圧力振動を供給するように前記の量を選択することが好ましい。
【0056】
現吸気時間がステップ114に記載された時間の範囲内にある場合、ルーチンはステップ116に進む。その時間の範囲内でない場合、ルーチンを反復する。ステップ116では強制単振動FSOは、Aを定数として次のように計算される。
FSO=Asin(2πf(i_time−0.3)) (12)
ステップ118では、比例通気支援モジュールによって被験者に供給される気道正圧に振動が加えられ、人工呼吸器による圧力出力Pmachは、比例通気支援圧力とFSOとの和である。
【0057】
次に、最大圧力及び流量は、ステップ120及び122で測定され、最小圧力及び流量はステップ124及び126で測定される。即ち、ステップ122では、ルーチンは、吸気時間(i_time)が吸気開始後1/4f+0.3に相当しかつFSOから得られる流量が最大かつ図2A〜図3の時刻t1に一致する時間であるか否か判定する。一致する時間であれば、被験者の最大圧力(Pmax)及び最大流量(Qmax)がステップ122で測定される。一致しない時間であれば、ルーチンはステップ132及び110を経て反復される。ステップ122で測定される圧力及び流量は、それぞれ式(11)のPaw(t1)及びV'(t1)に対応する最大圧力(Pmax)及び最大流量(flowmax)であると考えられる。
【0058】
ステップ124では、ルーチンは、吸気時間(i_time)が吸気の開始後、3/4f+0.3の時間に相当しかつFSOから生じる流量が最小又はその近くであり、かつ図2A〜図3の時刻t2に一致する時間であるか否か判定する。一致する時間であれば、被験者の最小圧力(Pmin)及び流量(Qmin)がステップ126で測定される。一致しない時間であれば、ルーチンはステップ132及び110を経て繰り返される。ステップ126で測定される圧力及び流量は、それぞれ式(11)のPaw(t2)及びV'(t2)に対応する最小圧力(Pmin)及び最小流量(flowmin)であると考えられる。FSO圧力振動が0.3秒だけ吸気の開始から遅れるので、0.3秒の数値はステップ124及び126で使用される。従って、測定時間も吸気開始から0.3秒遅れる。どのような遅延時間を圧力振動の開始前に加えても、振動から生じる圧力及び流量を測定する時に同じ遅延時間を占めると理解すべきである。
【0059】
ステップ122で最大圧力及び流量を得て、ステップ126で最小圧力及び流量を得た後に、ステップ128でルーチンは、被験者が呼吸サイクルの呼気段階であるか判定する。呼気段階であれば、ルーチンは、ステップ122及び126で得た圧力測定値及び流量測定値に基づき被験者の抵抗Rrsをステップ130で判定する。呼気段階の間に、この計算を行って人工呼吸器の計算負担を軽減することが好ましい。しかしながら、吸気段階の間も同様にこの計算を行えると理解される。その後、ルーチンはステップ132へ進み、ステップ110から繰り返される。このように、図4に示すルーチンは、被験者又は介護人にいかなる追加の負担を負わさずに、被験者の抵抗特性を繰り返し決定し、被験者に行われる治療の障害を最小化する方法でこれらを行い、測定が行われていることに被験者が気が付く可能性を最小化する。
【0060】
被験者の呼吸毎の間に又は例えば5又10回毎のように選択された呼吸頻度で図4に示すルーチンが実行される。別法として、連続的に比例通気支援モジュールを更新し又は被験者の現抵抗を出力する要求に依存して、例えば5又は10分毎に1回のように、時間の経過に基づいて、FSO技術は実行される。また、FSOから得られる最大ピーク値及び最小ピーク値を測定するステップ120〜126で説明した前記以外の技術を本発明で使用できる。ステップ120〜126は、被験者の圧力及び流量を測定して最大及び最小の流量値及び圧力値を得る時を決定する時間ベースの方法を示す。しかしながら、FSOを適用した結果、圧力及び流量のピーク並びに最低値を得るいかなる技術も本発明に使用できる。例えば、圧力データ及び流量データを連続的に測定し又はサンプリングし、ピーク検出器等のコンピュータアルゴリズムを使用して、FSOを適用した結果、圧力及び流量のピーク及び最低値を識別することができる。
【0061】
FSOの周波数が5Hz未満のとき又は被験者が活発な呼吸動作を行うとき、前記条件を満たすことはより困難となることがある。図3は、エラスタンス及びPmusを無視できない場合のFSO流量波形を示す。FSO(t0<t<t3)の間に流量ベースラインは、オフセット流量V'offsetベースラインだけずれる。従って、ピーク-ピーク間の流量変化はFSOのみで発生しない。ピーク-ピーク間の流量変化を計算する場合に、このベースラインオフセット流量を考慮しなければならない。時刻t1とt2との間のベースラインのオフセット量を全サイクル間のオフセット量の半分と見積もれば、式(11)を次のように書き換えることができる。
Rrs=(Paw(t1)−Paw(t2))/(V'(t1)−V'(t2)−(V'offset/2)) (13)
ここで、
V'offset=V'(t0)−V'(t3) (14)
である。
【0062】
呼吸の抵抗特性は通常非線形である。従って、図1に示すように、吸気間に2つの個別のFSOを付加して、呼吸抵抗Rrsの1次流量依存性を表すことが好ましい。
Paw=R0V'+R1V'2 (15)
【0063】
吸気段階の2サンプルでは、以下の2式を解くことによって圧力−流量特性が得られる。
(ΔPaw/ΔV')|FSO1=(R0+2R1V'ΔV')|FSO1 (16)
(ΔPaw/ΔV')|FSO2=(R0+2R1V'ΔV')|FSO2 (17)
【0064】
式(16)及び(17)は、異なる時間及び異なる流量レベルで供給されるFSO1及びFSO2と呼ばれる2つFSOの作用を表す。抵抗R0及びR1は、2変数の2同期式であるとなる前記2式から得られる。
【0065】
FSOの周波数、振幅、形状及びタイミングは、S/N比、被験者快適性及び人工呼吸器始動の機能として調節可能である。本発明の好適な実施の形態では、周波数4Hz及び圧力3cmH2Oである正弦波の圧力振動は、被験者に加えられる圧力に重畳される。しかしながら、他の周波数及び圧力、例えば3〜10Hzの範囲の周波数及び2〜10cmH2Oの範囲の圧力でも、被験者に加えられる圧力に重畳することができる。FSOの周波数は、通常4Hzと15Hzとの間であるが、最大周波数は、圧力コントローラの帯域幅により制限される。要するに、FSO技術は、人工呼吸器−被援助被験者の呼吸抵抗値を求める自動的、非侵入性及びオンライン方法を提供する。それは、付加モジュールとして既存の人工呼吸器に実装され、又はデータ処理モジュールとして単独で使用され、流量−圧力ピークの識別及び統計的な分析を容易にする。
【0066】
本発明の第2の技術は、空気遮蔽法又はPOMと呼ばれ、呼吸器系エラスタンスErsを決定するため使用される。POMは、呼気開始時の瞬間の被験者の呼気を遮断する機能がある。シャッタ若しくは弁を機械的に使用し又はピストン若しくはベローズを停止することによって機械的に被験者の呼気を遮断する従来の技術と異なり、本発明によるPOMは、吸気の終端期及び呼気の開始時に気道開口部に圧力を加えることにより被験者の気道を空気力学的に遮断する。空気遮蔽を行う制御圧力は、人工呼吸器により生成される。この種の圧力は、従来技術の気道を機械的に遮断する方法と同一の物理的作用を生じて気道開口部に力を作用する。
【0067】
図5A〜図5Cは、通常の比例通気支援補助区間(t4〜t5)の間及び遮蔽時間(t5〜t7)の間に気道開口部での流量(V)、被験者作用力(PMUS)及び圧力(PAW)の全サイクルを示す。時刻t4で吸気を開始する。時刻t5で呼気及び遮蔽を開始する。時刻t5と時刻t7との間で、人工呼吸器は被験者での圧力(PAW)を制御し、被験者の流量V'を実質的に零とする。時刻t5から時刻t6の間に被験者の筋弾性は、逓減し時刻t6で弛緩した状態に達する。この間隔の持続時間は、被験者に依存し通常250ms以下である。時刻t6で被験者の筋肉はすっかり弛緩する。平衡状態に達するときに、気道開口部での圧力及び弾性収縮圧力がつりあい、圧力安定期140が観察される。時刻t7では遮蔽が除かれ、気道圧力は残りの呼気の間にほぼ呼気気道正圧に維持される。時間間隔t5〜t7の代表的な持続時間は、約400msである。弾性収縮圧力は、被験者の呼吸器系容量及び弾力特性の作用である。換気容量は既知であるので、圧力平衡の間の圧力−容量特性又はエラスタンスErsが得られる。
【0068】
図6は、本発明の原理によるPOM制御装置200の例示的な実施の形態のブロック線図を示す。POM装置200では、流量設定装置202は、操作者が入力設定した流量信号V's(t)と、測定された被験者流量V'p(t)とを受信して流量を設定する。流量設定装置202は、POMコントローラ(流量コントローラ)204へフロー制御エラー信号e(t)を出力する。POMコントローラ204及び人工呼吸器コントローラ208は、アンプ206に制御信号に供給する。アンプ206は、弁210を制御して、ブロワ212から被験者の呼吸器系214へ供給する圧力を変化させる。
【0069】
制御の観点から、図示の装置200は流量制御システムである。制御される項目は人の呼吸器系であり、制御される変数は呼吸器系に対する流量であり、システム出力は圧力である。POMコントローラは、遮蔽の間に正規の人工呼吸器の圧力制御に優先する。
【0070】
POMの重要な特徴はPOMコントローラである。コントローラの開発で、本発明者は、呼吸筋動作の特性、人工呼吸器の動的反応及び人工呼吸器の起動感度等の要因を全て考慮した。POMは、通常の人工呼吸器で要求される方法以外、如何なる特別な被験者の協力も必要としない。被験者の反応が存在しても、結果に影響を及ぼさない程十分に、その遮蔽は速い。
【0071】
零流量圧力制御(ZFPC:Zero Flow Pressure Control)として知られる特殊な実施法により、POMの動作を説明する。零流量圧力制御は、短時間(例えば0.3〜0.7秒)の間に気道開口部に圧力を加えて、呼気の流れを遮蔽する過程を含む。肺に流入する方向から肺から出る方向に気道の流れが変化するとき、呼気の開始時に圧力が印加される。流量が零に維持されるとき、加えられる圧力は、弾性反発力Pelastic(t)に等しくその反対の方向をもつ安定期に達する。流量がほぼ零のため、呼吸器系の機能的残気容量を加えた吸気の換気容量にほぼ等しく被験者の容量を維持しなければならない。
【0072】
呼気を開始するとき、被験者の作用力(筋圧力Pmus)が突然零に変わらない。その代わりに、時刻t5から時刻t6まで移行時間がある。このように、加えられた圧力は、現レベル(例えばIPAP)から安定期レベルまで類似する過渡特性を示す。平衡状態に達するとき安定期圧力及び弾性圧力は下式で示すように等しくされる。
Pplateau=−Pelastic|V'(t)=0 (18)
エラスタンスErsは、下式によって得られる。
Ers=(Pplateau−EPAP)/Vtidal (19)
肺容量がFRC値を有するとき、呼気気道正圧は呼気最終期の気道圧力Pawの値であり、換気容量Vtidalは、時間について吸気流量を積分することによって得られる。
【0073】
図6について説明したように、本発明のPOMは、流量制御システムを構成できる。図6のでm(t)は、被験者に加えられる圧力Paw(t)を操作するコントローラから弁への出力であり、V's(t)は、流量設定ポイント又は指令信号であり、V'p(t)は、被験者の流量で制御システムに対するフィードバックであり、エラーe(t)は、被験者の流量と設定流量との差である。
e(t)=V's(t)−V'p(t) (20)
零流量制御、V's(t)=0では、
e(t)=−V'p(t) (21)
比例積分微分(PID:Proportional Integral Derivative)制御技術は、コントローラで適用される。一般的なアナログ形態のPID制御式は以下のように表される。
【式1】
【0074】

この式の個別時間の均等式は以下に表される。
【式2】
【0075】

ここでTはサンプリング間隔である。
流量がほぼ零でのときに制御を開始するので、前位置によって弁位置の相対的な変化を制御することはより効果的である。代替アルゴリズムでは、PID速度アルゴリズムが弁位置の相関的な変化を制御する。
Δ(i)=k1e(i)+k2e(i−1)+k3e(i−2) (24)
ここで、
k1=Kp+TK(i)+(Kd/T) (25)
及び
k2=−(Kp+2(Kd/T)) (26)
及び
k3=Kd/T (27)
量Δm(i)は、各サンプル間隔で前制御出力に加えられる。
m(i)=m(i−1)+Δm(i) (28)
【0076】
PID制御装置の基準は、その安定性及びその応答時間である。
【0077】
図7は、ZFPCルーチンのフローチャートを示す。全ての被験者の呼吸間に、一般的にルーチンPOMが実行されるわけではない。その代わりに、POMは、例えば5回、10回又は100回毎等、所定の呼吸頻度で実行される。別法として、連続的に比例通気支援モジュールを更新する必要性又は被験者の現エラスタンスを出力する必要性に基づいて、例えば5、10若しくは60分毎に1回のように、時間経過に基づいてPOMを実行することができる。
【0078】
一旦開始したZFPCルーチンは、ステップ302から始まり、ステップ304へ進み、ルーチンは、零圧力フロー制御が吸気段階の終わりに起こることを意味する「正」(1)にフラグZFPC_Flagが設定されたか否か判定する。ステップ304でZPFC_Flagが「正」でない場合、ルーチンは、ステップ306で被験者が、現在呼吸サイクルの吸気段階にあるか否か判定する。吸気段階にあれば、フラグZFPC_Flagは、ステップ308の「正」に設定された数値を有し、圧力保持トリガはステップ310で停止され、ルーチンはステップ312に移行する。吸気段階でなければルーチンは終了する。ステップ304で被験者が「正」に設定された数値を有するFPC_Flagであると決定されれば、ルーチンはステップ312に移行する。
【0079】
ステップ312では、ルーチンは、流量V'(「流量」と呼ばれる変数により表される)が−0.2リットル/sと0.1リットル/sとの間の数値であるか否か判定する。流量がこの範囲である場合、エラーe(「エラー」と呼ばれる変数により表される)は、ステップ314で-V'に設定された数値を有し、ステップ316では、変数「Pmach」(制御信号mを表す)は、式(23)で決定された数値によって増加した値を有する。ステップ316で計算されるPmachは、圧力発生器、即ち人工呼吸器から出力される圧力の現数値であり、Pmach'は前圧力数値である。本質的に、ステップ314及び316は、圧力保持装置により空気遮蔽を行う。ステップ318では、被験者の呼吸器系が平衡に達するほど十分な時間で空気遮蔽が実行されたことを意味する時刻t_ZFPCが0.4秒より大きいか否か判定される。この場合、安定期圧力を表す変数Pplateauは、ステップ320で、呼吸器系で検出した圧力を表すマスクPmaskで現在の圧力値に設定される。ステップ322でエラスタンスが誘導され、ステップ324で、フラグZFPC_Flagが「誤」(0)に設定される。ステップ326で、トリガが可能となり、ルーチンはステップ323で終了する。ステップ312及び318のいずれかで「否」の判定が発生する場合、ルーチンはステップ302から反復される。
【0080】
ステップ318で特定する0.4秒の時間は、空気遮蔽の適用後に被験者の呼吸器系が平衡に達するのに十分に長い時間が選択される。しかしながら、選択された時間間隔が同一の機能を生ずる限り、この時間を0.4秒以外の数値に設定することができる。即ち、被験者の呼吸器系が平衡に達するのに十分長いが、被験者の快適さに障害を与え又は被験者が遮蔽の適用に反応するほど長い時間間隔であってはならない。この間隔の選択及び例示的な適切な数値範囲を以下詳細に説明する。
【0081】
被験者の大きな反応を検出した場合、ZFPCは中止される。また、ZFPCの流量範囲の制限は、現在−0.2リットル/s〜0.1リットル/sである(「正」として定義される吸気流量)。吸気の終端期に、流量が0.1リットル/s以下に落ちたとき、ZFPCを作動して、流量を約零に保持する。被験者が大きな反応を発生して、呼気力を使用する場合、その流量は通常−0.2リットル/s未満に減少する。この状態になると、ZFPCは消勢され、測定は実行されない。−0.2リットル/s〜0.1リットル/sの制限値は例示に過ぎず、この範囲に対して他の数値を使用できることは理解されよう。
【0082】
図7のステップは、一旦開始したとき、ルーチンを実行するマイクロプロセッサの速度に基づいて迅速に実行される。このため、ステップ312又は318の何れかが条件を満たさなくても、「誤」(0)のZFPCフラグ及びトリガを機能停止に維持することは差し支えない。ステップ312及び318で特定される条件が満たされるまで、ルーチンは、ステップ302〜312又はステップ302〜318を実行し続け、その間に呼吸が行われ、その後ステップ320〜326を継続してトリガを行い、ZFPCフラグを「誤」にリセットする。図7に示すルーチンを実行する毎に、ZFPCフラグは最初に「誤」の状態であり、トリガが行われるが、一旦吸気を検出すると、ZFPCフラグは直ちに「正」に設定され、トリガが消勢する。その後、ステップ312又は318の質問の結果が「否」であると、ルーチンは終了し、ステップ302に再び戻る。しかしながら、このとき、ZFPCフラグは「正」であり、トリガが既に消勢しているので、ステップ304は、ステップ306〜310を飛び越えてステップ312に進む。
【0083】
前記のように、監視モジュール106が被験者の現在のエラスタンスErs(t)及び抵抗Rrs(t)を決定した後、これらの値は、アルゴリズムErs・Rrs分析アダプタモジュール104に供給され、アダプタモジュール104は下記のように前記測定値を使用してエラスタンスEpav(t)及び抵抗Rpav(t)を決定して、比例通気支援モジュール102に供給し、比例通気支援モジュール102は、被験者への適当な圧力支援を決定するのにこれらの値を使用する。アダプタモジュール104の一般的な機能は、監視モジュール106により決定されるエラスタンス及び抵抗の現在の数値Ers(t)及びRrs(t)の急速な一時的な変化を防ぐことにより、比例通気支援モジュールが不安定になることから比例通気支援モジュールの動作の安定性を保つことである。監視モジュール106により決定されかつ比例通気支援モジュールに直接供給されるエラスタンス及び抵抗の現在の数値Ers(t)及びRrs(t)を供給するのではなく、アダプタモジュール104は、異常な現在のエラスタンス及び抵抗(Ers(t)及びRrs(t))の数値を計算に導入する。
【0084】
本発明の好適な実施の形態では、アルゴリズムErs・Rrs分析アダプタモジュール104は、抵抗Rpav(t)及びエラスタンスEpav(t)を決定し、それぞれ、図8及び図9で示すルーチンに従って、比例通気支援モジュール102に供給される。図8に示すように、抵抗値Rpav(t)の判定ルーチンは、ステップ400から始まり、監視モジュール106から現在の抵抗値R(i)が得られるステップ402へ進む。例えば、現在の抵抗値R(i)は、図4に示すルーチンを使用して決定される抵抗値Rrsに一致する。
【0085】
ステップ404では、ルーチンは、現抵抗値R(i)が最大値Rmaxより大きいか否か又は最小値Rminより小さいか否かを判定する。最大値Rmaxから最小値Rminの範囲外にある全ての現抵抗値は、誤りと考えられ、比例通気支援モジュール102に供給される抵抗Rpav(t)を決定する分析モジュールに使用されない。最大値Rmax及び最小値Rminの例示的な数値は、それぞれ40cmH2O/リットル/秒及び1cmH2O/リットル/秒である。40を超え又は1未満の全ての現抵抗値R(i)も拒絶される。現在の抵抗値がこの許容数値範囲外にある場合、ルーチンは、ステップ402に戻り再び現在の抵抗を決定する。このように、ステップ404は最大しきい値Rmax及び最小しきい値Rmin以外の全ての抵抗値を除去するフィルタとして作用する。最大値Rmax及び最小値Rminは、被験者の病態及び被験者に適用される治療を考慮して選択することができる。このように、本発明は最大値Rmax及び最小値Rminをいかなる特定の数値に限定することを意図しない。
【0086】
現抵抗値がステップ404で許容できる生理的に可能な範囲である場合、ルーチンは、現抵抗値に先行する所定数の抵抗値の現行平均値に対する抵抗値の平均値である第2の抵抗値範囲と現抵抗値とを比較するステップ406へ移行する。第2の抵抗値範囲は、現抵抗値に先行する所定数の抵抗値の変化する平均値に基づく変化する範囲であるから、第2の抵抗値範囲は、現抵抗値の許容可能な変化と共に変化する。例えば、被験者の抵抗値が大きくなる場合、現平均値に対する抵抗値の第2範囲も大きくなる。本発明の例示的な実施の形態では、第2の抵抗値範囲は、現抵抗値に先行する8つの抵抗値の変動する平均値に対し±35%である。しかしながら、本発明が所期の目的に対して継続的に機能する限り、平均値の決定に対し選択される抵抗値の許容範囲及び数を変更することができる。
【0087】
現抵抗値R(i)が、先行する多くの抵抗値の平均値に対する第2の範囲以外ではない場合、ルーチンはステップ408及び410に移行する。ステップ408では、ルーチンは抵抗値Rpav(t)を決定し、先行する所定数の抵抗測定値の平均値として比例通気支援モジュール102に送出する。ステップ410では、抵抗Rpav(t)を使用して、比例通気支援モジュール102により供給される流量を制御する。このように、現抵抗値R(i)が第2の抵抗値範囲内にある場合、ルーチンは抵抗値Rpav(t)を再計算し比例通気支援モジュールに送出する。
【0088】
現抵抗値R(i)が、先行する多数の抵抗値の平均に対する第2の抵抗値範囲外にある場合、ルーチンはステップ412へ移行し、前の抵抗値R(i−1)が第2の抵抗値範囲外にあるか判定する。第2の抵抗値範囲外にない場合に、ルーチンはステップ414へ移動し、単に現抵抗値を記録し、その現抵抗値は図8のルーチンを実行する次のパス(許可値)の先行する抵抗値になる。また、先行する抵抗値がステップ406で用いる第2の抵抗値範囲外にあるとき、ルーチンはステップ416へ移行し、現抵抗数値R(i)及び前の抵抗値R(i−1)を平均化する。ステップ408では、平均値R'(i)を使用して抵抗Rpav(t)を決定し比例通気支援モジュールに送る。
【0089】
要するに、ステップ406〜416は、前に記録された所定数の抵抗値の平均値に基づく範囲と現抵抗値とを比較する。現抵抗値がこの範囲内である場合、その抵抗値を使用して、比例通気支援モジュールに送る抵抗値を調整する変動平均値を計算する。しかし、ステップ406で使用する範囲外に現抵抗値がある場合、ルーチンは、前に記録された抵抗値R(i−1)を現範囲と比較する。前の抵抗値がステップ406で使用する現範囲外にない場合、ルーチンは、現抵抗値を記録し、比例通気支援モジュールに送る抵抗値を変更しない。しかし、ステップ406で前の抵抗値がその範囲外にある場合、前の抵抗値及び現抵抗値は平均化されて、平均値を使用して抵抗を決定し、比例通気支援モジュールに送られる。事実上、最初にステップ406の変動平均値に基づく範囲外にある抵抗値は、比例通気支援モジュールに供給された抵抗を変更する目的で無視される。2つの連続的抵抗値がステップ406の範囲外にあれば、ステップ406で特定した範囲外でも、ルーチンは、連続的抵抗値を被験者の抵抗の変化傾向とみなして、前記抵抗値を使用して、比例通気支援モジュールに送られる抵抗値を調整する。しかし、比例通気支援モジュールに供給される抵抗値を変更するとき、1つ以上の先行する抵抗値を判定に用いることができることは理解されよう。
【0090】
比例通気支援モジュール102に供給されるエラスタンスEpav(t)を決定するのに使用される図9に示すルーチンは、図8に示すルーチンと実質的に同じである。従って図9に示すルーチンを詳細に説明しない。しかし、本発明の例示的な実施の形態では、ステップ504の最大値Emax及び最小値Eminは、それぞれ90cmH2O/リットル及び5cmH2O/リットルである点に注意するべきである。
【0091】
本発明の効果を試験するため、被験者呼吸のシミュレータによる実験装置を使用した。実験装置を図10に示す。実験装置600は、比例通気支援圧力を供給する圧力制御装置602と、活動中の被験者をシミュレートする被験者シミュレータ604と、処理装置606との3つの主要部から成る。FSO試験等の試験での処理装置606は、例えばPentium Pro(登録商標)等が表示される適切なプロセッサを含む。
【0092】
本発明の例示的な実施の形態では、圧力制御装置602は、最大圧力20cmH2Oのブロワ608と、スリーブ弁610と、例えばテキサスインスツルメンツ社製TMS 320C26 DSPコントローラ等のDSPコントローラ612と、任意の比例通気支援(PAV)/2レベルの圧力支援適用アルゴリズムを有するプロセッサで作動するソフトウェアとを備えている。圧力制御システムは、ZFPC容量を有する比例通気支援/2レベルの圧力保持システムとして役立つ。圧力・流量センサ614は、被験者に供給される圧力及び流量を処理装置606にフィードバックする。本実施の形態では、被験者ではなく稼動する被験者肺シミュレータ604を使用して制御された被験者流量を達成することができる。稼動する肺シミュレータは、被験者の自発的な呼吸をモデル化し、気道開口部で圧力Pawに応答する。
【0093】
本構成の処理装置606は、被験者シミュレートを発生し、流量/圧力信号を監視してデータを処理する。圧力・流量センサ614は、気道開口部での圧力及び流量を測定する。例示的な実施の形態では、アナログ/デジタル、I/Oインターフェースボードによりデータ入力及び制御出力が行われる。プロセッサ606を経てDSPコントローラ612のメモリに弁コントロールプログラムが設けられる。例えば8Hzのデジタル低域フィルタを使用して流量信号入力中のノイズを制限できる。
【0094】
以下、システム漏洩量が未知のZFPCの作用を説明する。人工呼吸器(測定可能な)及び推定された漏洩量から全流量により、被験者流量が評価される。推定流量に10%の誤差があり、ZFPCの持続時間が0.4秒の場合に、実際の被験者流量は必ずしも正確に零でないから、ZFPCの終端期での肺内の空気容量は、もはや既知の周期容量と同一ではない。見積流量を実際の被験者流量より10%大きいと推定すれば、零と見積もった被験者流量は、実際の呼気流量の0.1リットル/秒を意味する。0.4秒間に失われる空気容量は、約0.04リットルである。このように、ZFPCの終端期でのFRCを超える容量は、下式で表される:
VZFPC=Vtidal−0.04 (29)
この低流量での抵抗力の作用を無視すれば、エラスタンスErsは下式で表される:
Ers=(Pplateau−EPAP)/VZFPC (30)
VtidalはZFPC数値演算で実際の容量VZFPCの代わりに使われるので、計算されたエラスタンスは、下式により表される:
E1rs=(Pplateau−EPAP)/Vtidal (33)
Vtidalが正しく0.75リットルの値を有すると仮定すれば、差は5.3%である。
【0095】
測定値の精度及び信頼性にとってZFPCの開始時間は重要である。呼気の開始前にZFPCを実行すると、被験者のPmusは更に活発となる。他方、呼気開始後に遅すぎてZFPCを作動すると、突然の流量反転により被験者が不快を感じて被験者の筋反射運動を誘発することがある。ZFPCの継続時間は、圧力が安定期(平衡状態)に達する0.2秒と0.5秒との間であることが好ましい。ZFPCルーチンの現継続時間は、被験者に顕著な不快感を生じないと考えられる約0.4msecに設定される。
【0096】
本質的な構造変更を行わずに、何れかの圧力又は容量を制御する人工呼吸器により前記POM技術を実施することができる。この装置は、固定されたマイクロプロセッサを備えた人工呼吸器の重要なハードウェアを変更する必要がない。また、手動オペレータを必要としない。人工呼吸器の内蔵トリガ機構により手順が起動する。
【0097】
被験者の循環路に漏洩が発生するが、被験者の呼吸器官の動的測定値を供給する方法は公知ではない。しかしながら、本発明のPOM技術は、気道開口部に直接圧力を加えるため、被験者と人工呼吸器との間の漏洩は遮蔽法に影響しない。また、POMは非漏洩システムでも適切に機能する。
【0098】
本発明の2つの好適な実施の形態を説明したが、本明細書を参照する当業者には、本発明の範囲内で他の実施の形態を誘導できることは明らかである。例えば、標準の人工呼吸器に変更を加えて、人工呼吸器、人工呼吸器の内部ソフトウェアに対する更新機又はこれら2つの組合せ機を制御する付加装置を形成できる。また、種々のプロセッサ及び種々の人工呼吸器を使用して本発明を実施できる。本明細書で記載される変更態様を必要に応じて組み合わせることができる。適用可能な比例通気支援装置100にFSO及びPOMの一方若しくは両方を設け又はエラスタンスErs若しくはRrsを測定する他の技術を適用することができる。
【0099】
本発明は、現在最も実用的で及び好適と思われる実施の形態を図示して詳述したが、前記記載は単に説明の便宜に過ぎず、本発明を開示した実施の形態に限定するものではなく、本発明は、特許請求の範囲内に該当すると共に、特許請求の範囲と同趣旨の変更態様並びに同等の装置を包含することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の原理による適用可能な比例通気支援装置の略示ブロック図
【図2A−2B】本発明による強制単振動技術の動作を示す流量波形図及び圧力波形図
【図3】被験者のエラスタンス及び筋圧力を無視できないときの図2Aに示す流量波形図の修正図
【図4】本発明の原理による呼吸抵抗を決定する強制単振動技術を示すフローチャート
【図5A−5C】本発明の原理による圧力遮蔽動作時の被験者の流量、作用力及び圧力をサイクルで示す波形図
【図6】本発明の原理による呼吸制御装置のブロック図
【図7】圧力遮蔽法を示すフローチャート
【図8】比例通気支援モジュールにより供給される呼吸補助に対する制御に使用される抵抗値及びエラスタンス値による動作を示すフローチャート
【図9】比例通気支援モジュールにより供給される呼吸補助に対する制御に使用される抵抗値及びエラスタンス値による動作を示すフローチャート
【図10】被験者シミュレーションに適用可能な本発明の例補助通気装置のブロック図
【符号の説明】
【0101】
100・・人工呼吸器(比例通気支援装置)、 102・・比例通気支援(PAV)モジュール、 104・・アダプタモジュール、 106・・呼吸器官監視モジュール、 204・・POMコントローラ、 208・・人工呼吸器コントローラ、 214・・呼吸器系、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 被験者の呼吸器系に治療圧力を供給する通気手段と、
(b) 被験者の呼吸器系のエラスタンスを検出して、検出エラスタンスを出力する呼吸器官監視手段とを備え、呼吸器官監視手段は、
(i) 通気手段と連絡しかつ通気手段を制御して、遮蔽時間に供給されかつ被験者の空気流量が治療圧力の呼気段階の遮蔽時間に実質的に零である少なくとも1つの遮蔽圧力を治療圧力に重畳し、被験者に供給されかつ一時的に遮蔽される治療圧力を得る空気遮蔽手段と、
(ii) 遮蔽時間に対応する時間で一時的に遮蔽された治療圧力に対する被験者の反応を監視して、エラスタンスを決定する被験者反応監視手段と、
(c) 呼吸器官監視手段から出力された検出エラスタンスを受信しかつ検出エラスタンスに基づいて治療圧力を調整する通気手段を制御するアダプタ手段とを備えたことを特徴とする人工呼吸装置。
【請求項2】
遮蔽時間の開始は、呼気段階の開始に一致する請求項1に記載の人工呼吸装置。
【請求項3】
呼気段階の終端期に治療圧力は呼気気道正圧値を有し、
遮蔽時間の終端期に、呼吸器系は安定期圧力Pplateauを受け、
吸気段階の間に呼吸器系はV'tidalだけ容量が増加し、
エラスタンスは、
Ers=(Pplateau−EPAP)/Vtidal
によって与えられる請求項1に記載の人工呼吸装置。
【請求項4】
エラスタンスを決定する被験者反応監視手段は、呼吸器系の流量V'p(t)を検出する手段を備え、
アダプタ手段は、(i)設定流量V'(t)の入力を受信し、(ii)e(t)=V's(t)−V'p(t)で示すエラーe(t)を導き、(iii)e(t)、e(t)の時間微分及びe(t)の時間積分に基づいて制御信号m(t)を導き、(iv)通気手段を制御してm(t)に基づいて治療圧力を調整する手段を備えた請求項1に記載の人工呼吸装置。
【請求項5】
エラスタンスを決定する被験者反応監視手段は、
呼吸器系の流量を検出し、呼吸器系の流量が所定範囲内か否か判定する手段と、 呼吸器系の流量が所定の範囲内ではないとき、遮蔽手段の動作を停止する手段とを備えた請求項1に記載の人工呼吸装置。
【請求項6】
呼吸器官監視手段は、更に、
(iii) 通気手段に連絡され、通気手段を制御し、治療圧力の吸気段階の間に時刻t1での最大値及び時刻t2での最小値を有する少なくとも1つの圧力単振動を治療圧力に重畳して、被験者に供給される治療圧力に重畳された強制単振動を得る強制単振動手段と、
(iv) 治療圧力に重畳された強制単振動に対する被験者の反応を監視し、その反応に基づいて抵抗を決定する被験者反応監視手段とを備え、
アダプタ手段は、呼吸器官監視手段から出力された検出抵抗及び検出エラスタンスを受信し、かつ検出抵抗及び検出エラスタンスに基づいて治療圧力を調整する通気手段を制御する請求項1に記載の人工呼吸装置。
【請求項7】
被験者へ治療圧力を供給する通気手段に連絡され、通気手段を制御し、治療圧力の呼気段階の間に遮蔽時間に供給され、被験者の空気流量が実質的に零である少なくとも1つの遮蔽圧力を治療圧力に重畳して、被験者に供給される一時的に遮蔽される治療圧力を得る遮蔽手段と、
遮蔽時間の間に一時的に遮蔽された治療圧力に対する被験者の反応を監視して、抵抗値を決定する被験者反応監視手段とを備えたことを特徴とする被験者呼吸器系エラスタンス検出装置。
【請求項8】
遮蔽時間の開始が呼気段階の開始に一致する請求項7に記載の被験者呼吸器系エラスタンス検出装置。
【請求項9】
呼気段階の終端期に治療圧力は呼気気道正圧値を有し、
遮蔽時間の終端期に呼吸器系は安定期圧力Pplateauを受け、
吸気段階の間に呼吸器系はVtidalだけ容量が増加し、エラスタンスは、
Ers=(Pplateau−EPAP)/Vtidal
によって与えられる請求項7に記載の被験者呼吸器系エラスタンス検出装置。

【図1】
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【図2A−2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A−5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−178695(P2008−178695A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43665(P2008−43665)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【分割の表示】特願2000−565952(P2000−565952)の分割
【原出願日】平成11年8月19日(1999.8.19)
【出願人】(500053333)レスピロニクス・インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】