説明

装置のアレイを含む流体動力学的装置のための電力制御プロトコル

エネルギ変換器を含む流体動力学的装置を制御する方法を開示する。本方法は、流体動力学的装置に対してターゲット条件を設定する段階と、流体動力学的装置の実際条件をモニタする段階と、ターゲット条件を実際条件と比較して誤差信号を判断する段階と、深度変更プロトコルを有する電力制御プロトコルを誤差信号に基づいて起動して流体動力学的装置をターゲット条件に維持する段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、全てが引用によって本明細書に組み込まれる2009年6月30日出願の「海流タービン及び流体動力学的電力発生器具、並びに関連の方法、それに伴う係留及びヨー構成、巻き上げ回転翼深度制御、並びにこれらと共に使用するための係留ハーネス(OCEAN CURRENT TURBINE AND HYDROKINETIC POWER GENERATION APPARATUSES AND RELATED METHODS,ALONG WITH MOORING & YAW ARRANGEMENTS,FURLING ROTOR DEPTH CONTROL,AND MOORING HARNESSES FOR USE THEREWITH)」という名称の米国特許仮出願第61/221,676号明細書からの優先権及びその恩典を請求するものである。同じく本出願は、全てが引用によって本明細書に組み込まれる2009年8月24日出願の「搭載可変ピッチ制御回転翼ハブ、エネルギ出力を最大化し、海流タービンの作動深度を制御する方法、及び可変深度水中翼スレッド(SELF−CONTAINED VARIABLE PITCH CONTROL ROTOR HUB; METHOD OF MAXIMIZING ENERGY OUTPUT AND CONTROLLING OPERATING DEPTH OF AN OCEAN CURRENT TURBINE; AND VARIABLE DEPTH HYDROPLANE SLED)」という名称の米国特許仮出願第61/236,222号明細書からの優先権及びその恩典を請求するものである。更に、本出願は、全てが引用によって本明細書に組み込まれる2010年4月28日出願の「浸水錨泊システム及び配備、位置決め、及び回収の方法(FLOODED ANCHORING SYSTEM AND METHOD OF DEPLOYMENT,POSITIONING AND RECOVERY)」という名称の米国特許仮出願第61/328,884号明細書からの優先権及びその恩典を請求するものである。
【0002】
本発明の開示は、流体流れの運動エネルギから電力を発生させる方法、システム、及び装置に関する。より具体的には、本発明の開示は、流体動力学的装置のアレイを含む流体動力学的装置からの電力出力を制御、調整、及び最大にする方法、システム、及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
流れる海流の運動エネルギは、清浄な再生可能エネルギの重要な供給源を代表するものである。世界の海洋を構成する水は、絶えず運動状態にあり、多くの位置において、1.0メートル毎秒(m/s)を過える速度を有する反復性の安定した高速で移動する海流が存在する。海流の例は、メキシコ湾流、フンボルト海流、黒潮、及びアガラス海流などを含む。これらの海流は、海洋の熱及び塩度の勾配、コリオリの力、及び他の海洋熱移動機構にその発生源を有する。
【0004】
これらの海流は、主に300メートルを過える海底深度を有する大陸棚地域に位置する「海洋内の川」を代表するものである。そのような深度は、海底に固定された上流の錨に索又はテザーを用いて流体動力学的装置を係留することを必要とする。これらの海流は、逆速度剪断プロフィールを提供する傾向を有する。すなわち、海流速度は、より深く進む時に速度においてほぼ線形関係で低下する。この自由流線の海流の流れ挙動は、定格速度が発生する作動深度に流体動力学的装置を能動的に位置決めし、それによって取り付けられた発電機によって定格電力を出力するのを容易にすることによってエネルギ出力を制御、調整、及び最大にする機会を提供する。
【0005】
一般的に海流流体動力学的装置は、特定の深度に配備され、可変速度調節によってその深度に維持される。米国特許第6,091,161号明細書は、係留された海流駆動タービン装置の作動深度を制御する方法を開示している。この装置は、規定の最大深度と規定の最小深度の間の途中、好ましくは、2つの規定深度の間の中点に保持される。定深度方式を使用する結果として、装置は、電力低減及び電力放棄が要求されるタービンの定格速度を超える速度、又は発電機が部分的な電力しか出力することができない定格速度よりも小さい速度を含む指定深度範囲で発生するいかなる自由流線海流速度においても作動すべきである。この特許は、例えば、増大した海流速度に応じて、装置が、同じ深度に留まるために浮力及び/又は流体力学的揚力を増大させることになり、それによってより深い深度に牽引されることを回避することを開示している。
【0006】
米国特許第7,291,936号明細書は、完全に潜水可能な発電プラント装置を開示している。開示されている装置は、米国特許第6,091,161号明細書に開示されているものと同様に、定深度可変速度法を用いている。第7,291,936号特許に開示している方法は、増大する海流速度に応じて、装置全体とそれに取り付けられた水中翼とをより大きい迎角に設定することによって装置の流体力学的揚力を増大させ、それによって装置を同じ深度に保つより強い流体力学的揚力を発生させてより深く牽引されるのを回避することを必要とする。
【0007】
本発明の開示は、流れる海流の運動エネルギを利用して清浄な再生可能エネルギを供給する流体動力学的装置、並びに発電を最大化及び/又は調整するために流体動力学的装置の実質的に一定の速度及び可変深度調節を提供する方法、システム、及び装置を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,091,161号明細書
【特許文献2】米国特許第7,291,936号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
流れる水流の運動エネルギを利用して清浄な再生可能エネルギを供給する方法、システム、及び流体動力学的装置、並びに流体動力学的装置のピッチ、ロール、及び抗力を安定化するためのシステム及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の開示の態様により、エネルギ変換器を含む流体動力学的装置を制御する方法を提供し、本方法は、流体動力学的装置におけるターゲット発電機出力レベルを設定する段階と、流体動力学的装置の実際発電機出力レベルをモニタする段階と、ターゲット発電機出力レベルを実際発電機出力レベルと比較して、誤差信号を判断する段階と、流体動力学的装置の深度を誤差信号に基づいて調節して、流体動力学的装置をターゲット発電機出力レベルに維持する段階とを含むる。流体動力学的装置の深度を調節する段階は、深度変更プロトコルを有する電力制御プロトコルを起動する段階、及び/又は誤差信号に基づいて流体動力学的装置の重量、揚力、又は抗力のうちの1つを変更する段階を含むことができる。誤差信号がゼロ又はほぼゼロである時には、本方法は、流れ外乱を最小にするために、等しい量で揚力を重量と交換する段階を更に含むことができる。エネルギ変換器は、可変制御回転翼を含むことができる。
【0011】
流体動力学的装置は、各々がエネルギ変換器を有する流体動力学的装置のアレイに配備することができる。本方法は、実際発電機電力出力レベル測定値信号を基地局に送信する段階と、個々の電力調整係数を基地局から受信する段階とを更に含むことができる。実際発電機電力出力レベルは、流体動力学的装置アレイ内の流体動力学的装置のうちの別のものから受信される別の実際発電機電力出力レベルと基地局において統合することができる。個々の電力調整係数は、流体動力学的装置アレイ内の流体動力学的装置の全てに対するターゲット統合電力出力レベルと、流体動力学的装置アレイ内の流体動力学的装置の全てに対する実際統合電力出力レベルとに基づいて生成することができる。本方法は、基地局から個々の電力調整係数を受信する段階を更に含むことができ、流体動力学的装置の深度は、個々の電力調整係数に基づいて更に調節される。
【0012】
本方法は、垂直水柱内で最も頻繁に発生する単一の自由流線海流速度に基づいて回転翼サイズを判断する段階、又は垂直水柱内で最も頻繁に発生する単一の自由流線海流速度に基づいて回転翼掃引面積を調節する段階を更に含むことができる。
【0013】
本方法は、複数のパラメータをモニタする段階と、複数のパラメータの各々をこれらの複数のパラメータの各々に対して確立された事前設定限界と比較する段階と、複数のパラメータのうちの1つ又はそれよりも多くが、複数のパラメータのうちのこれらの1つ又はそれよりも多くに対して確立された事前設定限界を超えた時に、障害条件を起動する段階とを更に含むことができる。障害条件は、複数のパラメータのうちの上述の1つ又はそれよりも多くがそれぞれの事前設定限界に等しいか又はそれ未満になるまでエネルギ変換器を流体の流れから外す段階を含むことができる。複数のパラメータは、水柱内での自由流線海流速度、水柱内での流体動力学的装置の実際深度、係留索張力、衝突の危険を生じる場合がある海洋生物の存在、潜在的に破壊的な気象イベントの通過、実際実時間発電機電力出力レベル、又は電力調整係数を含むことができる。
【0014】
本発明の開示の更に別の態様により、エネルギ変換器を含む流体動力学的装置を作動させる方法を提供する。本方法は、エネルギ変換器が流体の流れに係合するか又は流れから外れる量を徐々に増大又は低減する段階と、流体動力学的装置が所定の条件を取得又は維持するように流体動力学的装置の重量、揚力、又は抗力のうちの少なくとも1つを徐々に変化させる段階とを含む。所定の条件は、実質的にゼロである統合垂直力平衡、実質的にゼロである統合抗力平衡、又は自由流線海流速度に対応する深度を含むことができる。
【0015】
本発明の開示の更に別の態様により、各々がエネルギ変換器を含む流体動力学的装置のアレイを制御する方法を提供する。本方法は、流体動力学的装置アレイに対してターゲット統合電力レベルを設定する段階と、流体動力学的装置アレイの実際統合電力出力レベルをモニタする段階と、ターゲット統合電力レベルと実際統合電力出力レベルとを比較して誤差信号を判断する段階と、流体動力学的装置アレイ内の流体動力学的装置のうちの1つ又はそれよりも多くに対して電力調整係数を割り当てる段階と、誤差信号に基づいて1つ又はそれよりも多くの流体動力学的装置の深度を調節して、流体動力学的装置アレイをターゲット統合電力レベルに維持する段階とを含む。1つ又はそれよりも多くの流体動力学的装置の深度を調節する段階は、深度変更プロトコルを有する電力制御プロトコルを起動する段階を含むことができる。
【0016】
本方法は、流体動力学的装置アレイ内の流体動力学的装置の少なくとも1つが指定電力出力レベルを取得又は維持するように流体動力学的装置の重量、揚力、又は抗力のうちの少なくとも1つを徐々に変化させる段階を更に含むことができる。指定電力出力レベルは、定格電力と電力調整係数との積を含む。指定電力出力レベルは、実時間で基地局に通信することができる。
【0017】
本発明の開示の更に別の態様により、流体動力学的装置を制御するためのシステムを提供する。システムは、(i)流体動力学的装置に対してターゲット条件を設定し、(ii)流体動力学的装置の実際条件をモニタし、(iii)ターゲット条件を実際条件と比較して誤差信号を判断し、(iv)流体動力学的装置の深度を誤差信号に基づいて調節するように構成された搭載コントローラと、水流からの運動エネルギを利用するように構成されたエネルギ変換器と、流体動力学的装置をターゲット条件に維持するように構成された可変エフェクタとを含む。可変エフェクタは、流体動力学的装置の重量を調節するように構成された可変重量エフェクタ、流体動力学的装置の揚力を調節するように構成された可変揚力エフェクタ、流体動力学的装置の抗力を調節するように構成された可変抗力エフェクタ、又は運動エネルギがエネルギ変換器によって利用される率を調節するように構成されたエネルギ変換器変化エフェクタを含むことができる。ターゲット条件は、ターゲット発電機電力出力レベルを含むことができ、実際条件は、実際発電機電力出力レベルを含むことができる。ターゲット条件は、ターゲット自由流線流速を含むことができ、実際条件は、実際自由流線流速を含むことができる。搭載コントローラは、(iv)複数のパラメータをモニタし、(v)これらの複数のパラメータの各々を複数のパラメータの各々に対して確立された事前設定限界と比較し、(vi)複数のパラメータのうちの1つ又はそれよりも多くが、複数のパラメータのうちのこれらの1つ又はそれよりも多くに対して確立された事前設定限界を超えた時に障害条件を起動するように更に構成することができる。障害条件は、複数のパラメータのうちの上述の1つ又はそれよりも多くがそれぞれの事前設定限界と等しくなるか又はそれ未満になるまでエネルギ変換器を流体の流れから外す段階を含むことができる。複数のパラメータは、水柱内の自由流線流速、水柱内での流体動力学的装置の実際深度、係留索内の係留索張力、衝突の危険を生じる場合がある海洋生物の存在、潜在的に破壊的な気象イベントの通過、実際電力出力レベル、又は電力調整係数を含むことができる。
【0018】
このシステムでは、流体動力学的装置を各々がエネルギ変換器を有する流体動力学的装置のアレイに配備することができる。システムは、実際発電機電力出力レベルを基地局に送信し、個々の電力調整係数を基地局から受信するように構成された搭載通信器を更に含むことができる。実際発電機電力出力レベルは、流体動力学的装置アレイ内の流体動力学的装置のうちの別のものから受信される別の実際発電機電力出力レベルと基地局において統合することができる。個々の電力調整係数は、流体動力学的装置アレイ内の流体動力学的装置の全てに対するターゲット統合電力出力レベルと、流体動力学的装置アレイ内の流体動力学的装置の全てに対する実際統合電力出力レベルとに基づいて生成することができる。
【0019】
システムは、個々の電力調整係数を基地局から受信するように構成された搭載通信器を更に含むことができ、可変エフェクタは、個々の電力調整係数に基づいて制御される。
【0020】
本発明の開示の更に別の態様により、可変制御回転翼を含む流体動力学的装置を制御する方法を提供する。本方法は、流体動力学的装置に対してターゲット条件を設定する段階と、流体動力学的装置の実際条件をモニタする段階と、ターゲット条件を実際条件と比較して誤差信号を判断する段階と、流体動力学的装置の深度を誤差信号に基づいて調節して、流体動力学的装置をターゲット条件に維持する段階とを含み、ターゲット条件は、ターゲット発電機電力出力レベル又はターゲット自由流線流速を含み、実際条件は、実際発電機電力出力レベル又は実際自由流線流速を含む。流体動力学的装置の深度を調節する段階は、深度変更プロトコルを有する電力制御プロトコルを起動する段階を含むことができる。
【0021】
本方法は、複数のパラメータをモニタする段階と、複数のパラメータの各々をこれらの複数のパラメータの各々に対して確立された事前設定限界と比較する段階と、複数のパラメータのうちの1つ又はそれよりも多くが、複数のパラメータのうちのこれらの1つ又はそれよりも多くに対して確立された事前設定限界を超えた時に障害条件を起動する段階とを更に含むことができる。障害条件は、複数のパラメータのうちの上述の1つ又はそれよりも多くがそれぞれの事前設定限界と等しくなるか又はそれ未満になるまでエネルギ変換器を流体の流れから外す段階を含むことができる。複数のパラメータは、水柱内の自由流線流速、水柱内での流体動力学的装置の実際深度、係留索の係留索張力、衝突の危険を生じる場合がある海洋生物の存在、潜在的に破壊的な気象イベントの通過、実際発電機電力出力レベル、又は電力調整係数を含むことができる。
【0022】
流体動力学的装置は、流体動力学的装置アレイに配備することができる。この点に関して、本方法は、実際発電機電力出力レベル測定値信号を基地局に送信する段階と、個々の電力調整係数を基地局から受信する段階とを更に含むことができる。実際発電機電力出力レベルは、流体動力学的装置アレイ内の流体動力学的装置のうちの別のものから受信される別の実際発電機電力出力レベルと基地局において統合することができる。個々の電力調整係数は、流体動力学的装置アレイ内の流体動力学的装置の全てに対するターゲット統合電力出力レベルと、流体動力学的装置アレイ内の流体動力学的装置の全てに対する実際統合電力出力レベルとに基づいて生成することができる。本方法は、基地局から個々の電力調整係数を受信する段階を更に含むことができ、流体動力学的装置の深度を調節する段階は、個々の電力調整係数に更に基づいている。
【0023】
本発明の開示の更に別の態様により、水流からの運動エネルギを利用して電気エネルギを発生させる発電装置を提供する。装置は、運動エネルギを利用するように構成されたエネルギ変換器と、エネルギ変換器に結合された発電機と、装置の重量、揚力、又は抗力のうちの少なくとも1つに作用するように構成された可変エフェクタと、発電機の実際発電機電力出力レベルを検出するように構成された電力出力センサと、実際発電機電力出力レベルとターゲット発電機電力出力レベルとの差に基づいて装置の作動深度を調節するために装置の重量、揚力、又は抗力のうちの少なくとも1つを変更するように可変エフェクタを制御するようになった搭載コントローラとを含む。エネルギ変換器は、可変制御回転翼を含むことができる。
【0024】
本発明の開示の更に別の態様により、エネルギ変換器を含む流体動力学的装置を制御する方法を提供する。本方法は、流体動力学的装置に対してターゲット自由流線流速を設定する段階と、実際自由流線流速をモニタする段階と、ターゲット自由流線流速を実際自由流線流速と比較して誤差信号を判断する段階と、流体動力学的装置の深度を誤差信号に基づいて調節して、流体動力学的装置をターゲット自由流線流速に維持する段階とを含む。流体動力学的装置の深度を調節する段階は、深度変更プロトコルを有する電力制御プロトコルを起動する段階を含むことができる。流体動力学的装置の深度を調節する段階は、誤差信号に基づいて流体動力学的装置の重量、揚力、又は抗力のうちの1つを変更する段階を含むことができる。誤差信号は、ゼロ又はほぼゼロとすることができ、この場合、本方法は、流れ外乱を最小にするために、等しい量で揚力を重量と交換する段階を更に含むことができる。エネルギ変換器は、可変制御回転翼を含むことができる。
【0025】
本方法は、垂直水柱内で最も頻繁に発生する単一自由流線流速に基づいて回転翼サイズを判断する段階、又は垂直水柱内で最も頻繁に発生する単一自由流線流速に基づいて回転翼掃引面積を調節する段階を更に含むことができる。
【0026】
本方法は、複数のパラメータをモニタする段階と、複数のパラメータの各々をこれらの複数のパラメータの各々に対して確立された事前設定限界と比較する段階と、複数のパラメータのうちの1つ又はそれよりも多くが、複数のパラメータのうちのこれらの1つ又はそれよりも多くに対して確立された事前設定限界を超えた時に障害条件を起動する段階とを更に含むことができる。障害条件は、複数のパラメータのうちの上述の1つ又はそれよりも多くがそれぞれの事前設定限界と等しくなるか又はそれ未満になるまでエネルギ変換器を流体の流れから外す段階を含むことができる。複数のパラメータは、水柱内の自由流線流速、水柱内での流体動力学的装置の実際深度、係留索張力、衝突の危険を生じる場合がある海洋生物の存在、潜在的に破壊的な気象イベントの通過、実際実時間発電機電力出力レベル、又は電力調整係数を含むことができる。エネルギ変換器は、可変制御回転翼を含むことができる。
【0027】
流体動力学的装置は、各々がエネルギ変換器を有する流体動力学的装置のアレイに配備することができる。この場合、本方法は、実際発電機電力出力レベル測定値信号を基地局に送信する段階と、個々の電力調整係数を基地局から受信する段階とを更に含むことができる。実際発電機電力出力レベルは、流体動力学的装置アレイ内の流体動力学的装置のうちの別のものから受信される別の実際発電機電力出力レベルと基地局において統合することができる。個々の電力調整係数は、流体動力学的装置アレイ内の流体動力学的装置の全てに対するターゲット統合電力出力レベルと、流体動力学的装置アレイ内の流体動力学的装置の全てに対する実際統合電力出力レベルとに基づいて生成することができる。本方法は、基地局から個々の電力調整係数を受信する段階を更に含むことができ、流体動力学的装置の深度は、個々の電力調整係数に基づいて更に調節される。
【0028】
本発明の開示の付加的な特徴、利点、及び実施形態を示すことができ、又はこれらは、以下に続く詳細説明及び図面の考察から明らかであろう。更に、本発明の開示の上述の要約、以下に続く詳細説明及び図面の両方は例示的であり、本発明の開示の範囲を限定することなくより詳しい説明を提供するように意図したものであることは理解されるものとする。
【0029】
本発明の開示のより一層の理解をもたらすために含められ、本明細書に組み込まれ、かつその一部を構成する図面を含む添付物は、本発明の開示の実施形態を示し、詳細説明と併せて本発明の開示の原理を説明するのに役立つものである。本発明の開示の基本的な理解及び本発明の開示を実施することができる様々な手法に必要であると思われるものよりも詳細に本発明の開示の構造的詳細を示す試みは行っていない。
【0030】
以下に続く詳細説明において本発明の開示をより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】水平軸可変ピッチ制御回転翼システムによって出力される電力の例を示す図である。
【図1B】海流の自由流線流速の逆速度剪断プロフィールの例を示す図である。
【図1C】長期にわたって(何らかの)深度で自由流線流速が発生した可能性がある時間の百分率の例を示す図である。
【図2A】流体動力学的装置の例の斜視図である。
【図2B】流体動力学的装置の例の側面図である。
【図2C】電力制御処理の例を示す図である。
【図2D】別の電力制御処理の例を示す図である。
【図3A】平均速度で移動している海流内で定格速度で作動する図2Cの係留された流体動力学的装置の例を示す図である。
【図3B】平均速度よりも高い速度で移動している海流内で定格速度で作動する図2Cの係留された流体動力学的装置の例を示す図である。
【図3C】平均速度よりも低い速度で移動している海流内で定格速度で作動する図2Cの係留された流体動力学的装置の例を示す図である。
【図4】係留された流体動力学的装置の作動を組み合わせた図式的要約の例を示す図である。
【図5】THORコントローラのパラメータ表現の例を示す図である。
【図6】海流ファームアレイに対して統合電力出力を制御するための処理の例を示す図である。
【図7】海流ファームアレイに対して流体動力学的装置を制御するための処理の例を示す図である。
【図8】流体動力学的装置を制御するための更に別の処理の例を示す図である。
【図9】流体動力学的装置の潜水を制御するための処理の例を示す図である。
【図10】流体動力学的装置の浮上を制御するための処理の例を示す図である。
【図11】回転翼を係合するための処理の例を示す図である。
【図12】回転翼を外すための処理の例を示す図である。
【図13】回転翼を実質的に休止状態に維持するための処理の例を示す図である。
【図14】流速を判断するための処理の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付図面に記載及び/又は例示し、以下の説明に詳述する非限定的な実施形態及び実施例を参照して、本発明の開示の実施形態、並びにその様々な特徴及び利点の詳細をより完全に説明する。当業者には認識されるであろうが、本明細書に明示的に述べない場合であっても、図面内に例示している特徴は必ずしも正確な縮尺で描かれておらず、一実施形態の特徴は、他の実施形態に対して使用することができることに注意すべきである。本発明の開示の実施形態を不要に不明瞭にすることのないように、公知の構成要素及び処理技術を省略する場合がある。本明細書に使用する実施例は、本発明の開示を実施することができる手法の理解を容易にし、更に開示の実施形態を当業者が実施すること可能にすることのみを意図したものである。従って、本明細書の実施例及び実施形態は、本発明の開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本発明の開示の範囲は、専ら特許請求の範囲と準拠法とによって定められる。更に、類似の参照番号は、図面のいくつかの図を通して類似の部分を表すことに注意されたい。
【0033】
本発明の開示に使用する「コンピュータ」は、例えば、制限なく、プロセッサ、マイクロプロセッサ、中央演算処理装置、汎用コンピュータ、スーパーコンピュータ、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、パームトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーションコンピュータ、サーバなど、又はプロセッサ、マイクロプロセッサ、中央演算処理装置、汎用コンピュータ、スーパーコンピュータ、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、パームトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーションコンピュータ、又はサーバなどのアレイのような1つ又はそれよりも多くの命令に従ってデータを操作することができるいずれかのマシン、装置、回路、構成要素、又はモジュール、又はマシン、装置、回路構成要素、又はモジュールなどのいずれかのシステムを意味する。更に、コンピュータは、通信リンクを通じて通信を行うように構成された電子装置を含むことができる。電子装置は、例えば、移動電話、携帯情報端末(PDA)、移動コンピュータ、据え置きコンピュータ、スマート電話、移動局、又はユーザ機器などを含むことができるが、これらに限定されない。
【0034】
本発明の開示に対して使用する「ネットワーク」は、2つ又はそれよりも多くの通信リンクの配列を意味する。ネットワークは、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、キャンパスエリアネットワーク、企業エリアネットワーク、グローバルエリアネットワーク(GAN)、広帯域エリアネットワーク(BAN)、又はこれらのいずれかの組合せなどを含むことができる。ネットワークは、無線及び/又は有線の通信媒体を通じてデータを通信するように構成することができる。ネットワークは、例えば、ポイントツーポイント・トポロジー、バス・トポロジー、線形バス・トポロジー、分散バス・トポロジー、スター・トポロジー、拡張スター・トポロジー、分散スター・トポロジー、リング・トポロジー、メッシュ・トポロジー、又はツリー・トポロジーなどを含むトポロジーのうちのいずれか1つ又はそれよりも多くを含むことができる。
【0035】
本発明の開示に使用する「通信リンク」は、少なくとも2つの点の間でデータ又は情報を伝達する有線媒体、無線媒体、及び/又は音響媒体を意味する。有線媒体又は無線媒体は、例えば、金属導体リンク、無線周波数(RF)通信リンク、赤外線(IR)通信リンク、光通信リンクなどを制限なく含むことができる。RF通信リンクは、例えば、WiFi、WiMAX、IEEE802.11、DECT、0G、1G、2G、3G、又は4Gのセルラー規格、又はBluetooth(登録商標)などを含むことができる。
【0036】
本発明の開示に使用する「including」、「comprising」という用語、及びその変形は、別途明示的に指定しない限り「〜を含むが、これに限定されない」を意味する。
【0037】
本発明の開示に使用する用語「a」、「an」、及び「the」は、別途明示的に指定しない限り「1つ又はそれよりも多く」を意味する。
【0038】
互いに通信している装置は、別途明示的に指定しない限り互いに継続的な通信している必要はない。更に、互いに通信している装置は、直接的に通信を行うか、又は1つ又はそれよりも多くの中継器を通じて間接的に通信を行うことができる。
【0039】
処理段階、方法段階、又はアルゴリズムなどをある順番で説明する場合があるが、そのような処理、方法、及びアルゴリズムは、別の順序で機能するように構成することができる。言い換えれば、説明する可能性がある段階のいずれかのシーケンス又は順序は、これらの段階をその順序に実施するという要件を必ずしも示しているわけではない。本明細書に説明する処理、方法、又はアルゴリズムの段階は、実際的ないずれかの順序に実施することができる。更に、いくつかの段階は、同時に実施することができる。更に、段階は、1つ又はそれよりも多くの部分段階を有する処理を含むことができる。
【0040】
本明細書において単一の装置又は物品を説明している場合には、単一の装置又は物品の代わりに、1つよりも多くの装置又は物品を使用することができることが直ちに明らかであろう。同様に、本明細書で1つよりも多くの装置又は物品を説明している場合には、1つよりも多くの装置又は物品の代わりに、単一の装置又は物品を使用することができることも直ちに明らかであろう。ある装置の機能又は特徴は、そのような機能又は特徴を有するものとして明示的に説明していない1つ又はそれよりも多くの他の装置によって代替的に実施することができる。
【0041】
本発明の開示に対して使用する「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータによって読み取ることができるデータ(例えば、命令)を供給することに関わるいずれかの媒体を意味する。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝達媒体を含む多くの形態を取ることができる。不揮発性媒体は、例えば、光ディスク又は磁気ディスク及び他の持続的メモリを含むことができる。揮発性媒体は、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)を含むことができる。伝達媒体は、プロセッサに結合されたシステムバスを含む線を含む同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバを含むことができる。伝達媒体は、無線周波数(Rf)及び赤外線(IR)のデータ通信中に発生するもののような音響波、光波、及び電磁放射物を含むか又はそれを伝達することができる。一般的な形態のコンピュータ可読媒体は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、いずれかの他の磁気媒体、CD−ROM、DVD、いずれかの他の光媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有するいずれかの他の物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、フラッシュEPROM、いずれかの他のメモリチップ又はメモリカートリッジ、以下に説明する搬送波、又はコンピュータが読み取ることができるいずれかの他の媒体を含む。
【0042】
命令シーケンスをコンピュータに伝達するのに様々な形態のコンピュータ可読媒体を充てることができる。例えば、命令シーケンスは、(i)RAMからプロセッサに供給することができ、(ii)無線伝達媒体を通じて伝達することができ、及び/又は(iii)例えば、WiFi、WiMAX、IEEE802.11、DECT、0G、1G、2G、3G、又は4Gのセルラー規格、又はBluetoothなどを含む多くのフォーマット、規格、又はプロトコルに従ってフォーマット設定することができる。
【0043】
本発明の開示の態様により、一定作動速度を維持し、作動深度を変更し、それによって特に定格速度を超える速度において一般的に電力生成を低減又は放棄する現時点に実施されている定深度可変速度法と比較して利用率に大きな増大をもたらす方法、システム、及び装置を提供する。利用率は、所定の期間にわたる流体動力学的装置による実際エネルギ出力を流体動力学的装置による最大理論電力出力で割算したものを含む。
【0044】
流体動力学的装置は、上流の係留索(又は艫綱)に係留されると、流体動力学的装置に対して作用する抗力のマグニチュードに両方共に正比例する前方力成分と下向き力成分の両方を受ける。特に、係留索は、「水中引き込み力」とも呼ぶ垂直力成分を含む張力を受ける。水中引き込み力は、流体動力学的装置を下方に牽引する見かけ重量として出現する。所定の深度及び自由流線流速に留まるためには、水中引き込み力と流体動力学的装置の実重量との合計を上方に作用する流体動力学的装置の浮力及び流体力学的揚力の合計と釣り合わせなければならない。自由流線流速が増大すると、水中引き込み力は増大し、それによってより深い深度において垂直力が再度平衡になるまで流体動力学的装置は下方に牽引される。自由流線流速が低下すると、水中引き込み力は低下し、それによってより浅い深度において垂直力が再度釣り合うまで流体動力学的装置は上昇する。流体動力学的装置が以下に説明する他のファクタと共に深度を変える時に捕捉角とも呼ぶ係留索と海流流れベクトル(水平軸)との角度が急峻に(大きく)なるか又は浅く(小さく)なると、水中引き込み力は、垂直力平衡を変化させ、流体動力学的装置は、定格速度が発生する深度(定格速度深度)に必ずしも戻らない可能性がある。海流流れベクトルは、一般的に水面(例えば、海洋面、海面、及び河面など)と平行である。
【0045】
本発明の開示の態様により、流体動力学的装置が、定格電力が発生する深度(定格電力深度)に長期間にわたって留まるように、発電機電力出力及び/又は自由流線流速の変化に応じる深度変更処理(又はプロトコル)をより適用範囲が広い電力制御処理(又はプロトコル)の一部として使用することによって定格自由流線流速を再捕捉する流体動力学的装置を提供する。定格電力深度を追跡して再捕捉することにより、流体動力学的装置は電力生成を増大させることができ、それによってその利用率が高まる。
【0046】
本発明の開示の更に別の態様により、指定部分電力出力を意図的に生成するように、例えば、定格速度よりも低い自由流線流速で流体動力学的装置を作動させることができる流体動力学的装置を作動させる方法を提供する。この点に関して、流体動力学的装置を例えば定格速度よりも低い(又は高い)自由流線流速で作動させて、例えば、定格電力出力又は意図的に指定部分電力出力を生成するのに可変重量エフェクタ、可変揚力エフェクタ、可変抗力エフェクタ、及び/又は回転翼羽根ピッチ角変化エフェクタを含むことができるエネルギ変換器変化エフェクタを制御することができる。他のエネルギ変換器変化エフェクタは、例えば、エネルギ変換器の捕捉面積を変更し、それによって使用可能な電気エネルギ又は電力への変換に向けてより多くの(又はより少ない)運動エネルギを移動流体から受け取る機構を含むことができる。エネルギ変換器捕捉面積の変更は、可変直径回転翼(例えば、可変長回転翼羽根)、力学的絞り、又はエネルギ変換器などの捕捉区域内により多くの(又はより少ない)流体の流れを転換させるためにエネルギ変換器の上流に設けられた流れ収縮器を含むことができる。一般的に、エネルギ変換器は、「オフ」条件(完全に外した)又は「オン」条件(完全に係合した)を含む変換器が水流の流れに係合するか又は流れから外れる程度を変更するいずれかの機構を含むことができる。
【0047】
更に規則的(又は不規則)にパターン化されたアレイにある多くの流体動力学的装置から構成される海流ファームでは、様々な作動の利点に関して流体動力学的装置アレイ全体からの統合電力出力を制御、調整、又は最大にする流体動力学的装置の各々を作動させる方法を使用することができる。この点に関して、可変重量エフェクタ、可変揚力エフェクタ、可変抗力エフェクタ、及び/又は回転翼羽根ピッチ角変化エフェクタを含むことができるエネルギ変換器変化エフェクタは、例えば、水中/水上(例えば、固定プラットフォーム、又は船舶など)、地中/地上(例えば、構成構造物、又は車両など)、又は空中(例えば、航空機、又は衛星など)に設けられたTHOR HQコントローラのような基地局(図示せず)が制御することができる。更に、可変重量エフェクタ、可変揚力エフェクタ、可変抗力エフェクタ、及び/又は回転翼羽根ピッチ角変化エフェクタを含むことができるエネルギ変換器変化エフェクタは、各流体動力学的装置内に設けられた搭載主コントローラ(図示せず)が自律的に制御するか又は基地局から受信される指令信号に応じて搭載主コントローラが制御することができる。基地局は、例えば、海洋ファームアレイ、海域ファームアレイ、又は河川ファームアレイなどに設けることができる1つ又はそれよりも多くの流体動力学的装置から電気エネルギを収集するように構成することができる。基地局は、水上又は地上に設置することができる送電網を含むことができる。
【0048】
本発明の開示に関連する一般的な原理のうちの一部を説明するために、図1Aは、所定の流速範囲と比較した既存技術のピッチ安定化水平軸回転翼流体動力学的装置による電力出力の例を示す電力(MW)対流速(m/s)のグラフを示している。明らかなように、自由流線流速が増大すると、装置による電力出力は、定格速度が発生する点「1」に対して定格電力に達するまで速度の3乗で増大する。搭載発電機に過トルクをもたらし、発電機及び動力駆動システム機構への損傷の可能性に露出することのないように、既存技術のピッチ安定化水平軸回転翼装置は、一般的に、定格速度を超える速度において回転翼羽根のピッチ角を変更し、それによって電力を低減及び放棄して発電機を定格電力(例えば、点「1」と点「2」との間)に維持する可変ピッチ制御回転翼ハブを使用する。
【0049】
図1Aから明らかなように、定格速度よりも小さいあらゆる速度は、流体動力学的装置が最大電力出力よりも低い電力を出力するという結果をもたらす可能性があり、定格速度を超えるあらゆる速度は、例えば、搭載発電機を駆動する複数の回転翼羽根の羽根ピッチ角を変更する機構のような電力を低減する機構を一般的に必要とする。
【0050】
例えば、図1Aの定格電力及び定格速度での装置の作動に対応する点「1」において流体動力学的装置を絶えず作動させることにより、最大エネルギ変換及び最大利用率を提供し、それを継続的に安定して維持することができる。本発明の開示に開示する方法は、長期間にわたって定格電力(又は指定部分電力設定)における装置の絶え間ない作動を容易にするために、装置が配備された垂直水柱内のどこかに定格速度が存在する場合に、例えば、作動深度の変化及び従って自由流線流速の変化をもたらす深度変更処理を含む電力制御処理を使用することによって上述の結果を得ることができる。
【0051】
本発明の開示の方法は、例えば、垂直水柱内で最も頻繁に発生する単一自由流線流速において定格電力に達するように、エネルギ変換器捕捉面積と定格発電機電力レベルとを適合させること、流体動力学的装置のファームアレイに固有の後流損失の効果を低減すること、各個々の流体動力学的装置の電気的発電機出力を低減する傾向を有する可能性があるエネルギ損失を回復すること、例えば、緩慢な移動水域を有する可能性がある海流を含む世界の海流の中でエネルギを採取するのに使用することができる地域数を増加させることのような更に別の重要な利点をもたらす。
【0052】
例えば、本発明の開示の方法は、垂直水柱内で最も頻繁に発生する単一自由流線流速において定格電力に達するように、エネルギ変換器捕捉面積(例えば、回転翼掃引面積)と定格発電機電力レベルとを適合させることができる。それに応じて発電機の利用率は、最も頻繁に発生する選択された速度の発生頻度の関数とすることができる。この点に関して、流体動力学的装置を例えば単一自由流線流速のような単一の設計条件に対して設計することができ、それによって設計及び作動の要件が簡素化される。
【0053】
図1Bは、海洋地域における深度(m)対速度(m/s)の例のグラフを示している。このグラフは、音響ドップラー流速分布計(ADCP)から得られた複数年の期間にわたる一般的な海流挙動の自由流線流速データの蓄積の統計的表現である。上述の点をより詳しく例示すると、平均自由流線流速が、深度に対して単調に線形関係で低下しているのが分り、これが、上述の「逆速度剪断」である。図1Bは、時々に変化する可能性がある自由流線流速の標準偏差の範囲も示している。
【0054】
図1Cは、一般的な海流におけるいずれかの深度において速度が発生する時間の百分率(%)の流速(m/s)に対するグラフを示している。図1Cでは、ADCPリソースデータは、垂直水柱内のいずれかの深度において最も頻繁に発生する単一自由流線流速での単一の極大点(単一の極大点速度と呼ぶ)を示している。装置の定格速度を図1Cの単一の極大点速度に一致する速度として選択し、次に、それに応じて望ましい定格電力出力を得るように回転翼直径のサイズを判断し、本発明の開示の深度変更処理を含む電力制御処理を使用することにより、流体動力学的装置は、例えば、図1Aの点「1」によって示しているように定格電力で長期間にわたって作動させることができる。
【0055】
特に、自由流線流速が時々に変動する時に定格電力深度(又は指定部分電力深度)を再捕捉するために、履歴ADCPデータを蓄積し、それを本発明の開示の方法を使用する装置によって必要とされる場合がある平均浮上(又は潜降)速度を計算するのに使用することができる。例えば、測定された履歴データは、時間のうちの約98%において定格電力深度を再捕捉するのに約10フィート毎分(fpm)よりも小さい浮上速度又は潜降速度を必要とする可能性があることを示すことができる。
【0056】
更に、本発明の開示の方法は、流体動力学的装置のファームアレイに固有のいずれかの後流損失の効果を低減することができる。後流損失は、下流の流体動力学的装置が上流装置の後流の中で下流の装置のエネルギ変換器捕捉区域上に流入する低下した流速の流れを受ける可能性があるほど互いの近く流体動力学的装置が位置決めされた流体動力学的装置のファームアレイのある一定の配列に固有のものとすることができる。後流損失の効果は、例えば、下流の流体動力学的装置を若干浅い(又は深い)深度で作動させて、本発明の開示の深度変更処理を有する電力制御処理を用いて定格電力を生成する定格速度を再確立することによって低減又は排除することができる。実際には、本発明の開示の方法を使用すると、下流の流体動力学的装置は、自然な結果として、上流の隣接する装置よりも若干浅い深度で作動させることができる。従って、本発明の開示の方法を使用する流体動力学的装置アレイは、各連続する下流の装置列が、直ぐ上流の装置列よりも若干浅い深度にある階段状の深度外観を有することができる。
【0057】
更に、本発明の開示の方法は、例えば、ファームアレイ内の各個々の流体動力学的装置の電気的発電機出力を低減する傾向を有する可能性があるエネルギ損失を回復することができる。この点に関して、各個々の流体動力学的装置の電気的発電機出力を低減する傾向を有する可能性があるエネルギ損失は、単純に各流体動力学的装置を若干浅い(又は深い)深度で、従って、高い自由流線流速で作動させて、本発明の開示の電力制御処理を用いて定格電力出力を生成することによって回復することができる。エネルギ損失は、例えば、機械設計に固有の電気的発電機効率損失、移動水の運動エネルギの電気エネルギへの変換に固有の電気的発電機効率損失、又は若干高い自由流線流速での作動によって回復可能にすることができる他のそのようなエネルギ損失を含むことができる。
【0058】
本発明の開示の方法は、例えば、緩慢な移動水域を有する可能性がある地域を含む世界の海流の中で流体動力学的装置アレイを配備することができる使用可能地域の数を増加させることができる。緩慢な移動水域を有する可能性がある海流を含む世界の海流のうちのより多くのものが、本発明の開示の方法を用いた大規模電力生成に対してより高い利用可能性を有することになる。エネルギ変換器捕捉面積と定格発電機電力出力レベルの間の関係は、単一の極大点速度(例えば、図1Cの点4によって示しているような)に最適化することができるので、高い速度において電力生成を放棄する必要がなく、新しい流体動力学的装置には、かなり緩慢な移動海流において定格電力を生成する大きいエネルギ変換器捕捉面積(大きい回転翼直径)を形成することができる。本発明の開示は、発電機の定格速度を超える自由流速に対処する必要なく、流体動力学的装置のエネルギ変換器(例えば、回転翼)及びそれに適合した発電機の制御を可能にするので、動力システム機構の完全性を維持するために電力生成を低減又は放棄するか又はエネルギ変換器(回転翼)の「遮断」を使用する必要ではなく、緩慢な自由流線流速において定格電力に達するのに、例えば、大きい回転翼掃引面積又は大きい直径のようなエネルギ変換器に付随する大きい捕捉面積を使用することができる。
【0059】
図2A及び図2Bは、流体動力学的装置100の例の斜視図及び側面図をそれぞれ示している。流体動力学的装置100は、装置の重心(CG)の上方及び上流にある浮心(CB)を有することができる。流体動力学的装置100は、船体101、回転翼109、及び発電機(図示せず)を含む。流体動力学的装置100は、キール105、キールシリンダ111、流体力学的翼106、及びハーネス102を含むことができる。更に、流体動力学的装置100は、コンピュータ(図示せず)を含む搭載主コントローラ(図示せず)を含む。搭載主コントローラ(例えば、「THORコントローラ」)は、送信機、受信機、又は送受信機(図示せず)を含むことができる。流体動力学的装置100は、例えば、水温、圧力、深度、物体(例えば、他の流体動力学的装置、哺乳動物、魚、又は船舶などのような)の近接度、水流の流れの速度及び/又は方向、並びに類似のもののような周囲条件を検出するための1つ又はそれよりも多くのセンサを含むことができる。更に、回転翼109は、搭載ハブコントローラ(図示せず)及び送受信機を含むことができる。流体動力学的装置は、可変重量エフェクタ、可変揚力エフェクタ、可変抗力エフェクタ、及び/又は例えば回転翼羽根ピッチ角変化エフェクタのようなエネルギ変換器変化エフェクタを含むことができる。
【0060】
可変重量エフェクタは、例えば、流体動力学的装置100の重量に加えて重心の位置を調節するために交互に浸水又は排水することができる、船体101内に設けられた1つ又はそれよりも多くの内部バラストタンク(図示せず)を含むことができる。船体101は、流体動力学的装置100に対する主な浮力源を供給することができる。更に、流体動力学的装置100は、方向整列を可能にし、自由流線海流方向への流体動力学的装置100のヨーイングを促進することができる重み付き船腹側キール105を含むことができる。キール105は、キール105に、回転翼109によって発生するいずれかの逆トルクに対抗する重み付き振り子として機能させる釣り合い重りを収容することができるキール105の遠位端に装着されたキールキールシリンダ111を含むことができる。
【0061】
可変揚力エフェクタは、例えば、調節可能な取付角を含むことができる翼106を含むことができる。翼106は、調節可能な偏向角を有する後縁制御面昇降舵(図示せず)を含むことができる。調節可能な取付角及び/又は昇降舵偏向角は、流体力学的揚力を増大させるか、又は下向き力を発生させるように変更することができる。
【0062】
可変抗力エフェクタは、例えば、キール105の後縁の近くに取り付けることができる開き抗力フラップ112を含むことができる。抗力エフェクタは、抗力を生成するために配備することができる。開き抗力フラップの場合には、フラップは、抗力をもたらすために大きい前面区域を海流の流れに露出するように実質的に同時に外向きに偏向させることができ、又は抗力を低減するために前面区域を縮小するように内向きに閉じることができる。
【0063】
エネルギ変換器変化エフェクタは、例えば、作動条件(例えば、図2Aに見られるような)で複数の回転翼羽根107に対する回転翼羽根ピッチ角の変化をもたらして回転翼109を海流の流れに係合させるか、又は非作動完全フェザリング状態(例えば、図4の状態A又は状態Bに見られるような)で海流の流れから外すために、搭載発電機(図示せず)に結合された下流の水平軸可変ピッチ制御回転翼ハブ108を含むことができる。他のエネルギ変換器変化エフェクタは、例えば、エネルギ変換器の捕捉面積を変更し、それによって使用可能な電気エネルギ又は電力への変換に向けて移動流体からより多くの(又はより少ない)運動エネルギを受け取る機構を含むことができる。エネルギ変換器捕捉面積の変更は、可変直径回転翼(例えば、可変長回転翼羽根)、力学的絞り、又はエネルギ変換器などの捕捉区域内により多くの(又はより少ない)流体の流れを転換させるためにエネルギ変換器の上流に設けられた流れ収縮器を含むことができる。更に、エネルギ変換器は、例えば、変換器の捕捉区域全体を塞ぐことによって流れから外し、それによって流れの全流入運動エネルギを阻止する段階、又は捕捉区域のうちのいずれかのそれまで非作動条件であった領域を開くことによって流れに係合する段階を含むことができる流体の流れとの係合又は係合解除を行う機構を含むことができる。
【0064】
ハーネス102は、例えば、アンカー104に固定されて繋がれた係留索103によって拘束される一方で、ピッチとヨーの両方において流体動力学的装置100が自由にピボット回転することを許容する例えば自在継手係留ハーネスを含むことができる。1対の垂直基準線110が、海流の流れ方向Cに対する1対のアンカー104の配備位置の例を示している。
【0065】
図2Bは、垂直移動120の自由度及び艫綱捕捉角121の例を示している。艫綱捕捉角121は、流体動力学的装置100の作動深度と共に変化し、それによって各深度での水中引き込み力のマグニチュードが変化する。
【0066】
流体動力学的装置100は、パターン化された配備アレイ又はファームアレイに配備されるように構成される。所定のファームアレイに配備された隣接する流体動力学的装置100は、アンカー104を共有することができる。例えば、水上又は地上に設置することができる送電網に電気を送電する前に、各流体動力学的装置100からの電気エネルギを収集するために、各搭載発電機(図示せず)によって発生する電気は、隣接する流体動力学的装置100又は水中又は地上に設けられた1つ又はそれよりも多くの基地局(図示せず)に伝達することができる。電気は、例えば、係留索103に取り付けることができる電気ケーブル(図示せず)を通じて送電することができ、隣接する装置100又は1つ又はそれよりも多くの基地局に伝達することができる。
【0067】
流体動力学的装置100は、例えば、本出願と同日に出願されて「係留された流体動力学的装置のピッチ、ロール、及び抗力の安定化(PITCH,ROLL AND DRAG STABILIZATION OF A TETHERED HYDROKINETIC DEVICE)」という名称の現在特許出願中の米国特許出願出願番号第 号(代理人整理番号第2056997−5004US号)に説明されている流体動力学的装置、及び流体動力学的装置を作動させる方法を含むことができ、この特許出願の開示内容全体は、本明細書に完全に公開されているかのように引用によって本明細書に組み込まれている。
【0068】
更に、流体動力学的装置100は、本出願と同日に出願されて「搭載エネルギ貯蔵器を有する可変制御回転翼ハブ(VARIABLE CONTROL ROTOR HUB WITH SELF−CONTAINED ENERGY STORAGE RESERVOIR)」という名称の現在特許出願中の米国特許出願出願番号第 号(代理人整理番号第2056997−5005US号)に説明されている回転翼、及び回転翼を作動させる方法を含むことができ、この特許出願の開示内容全体は、本明細書に完全に公開されているかのように引用によって本明細書に組み込まれている。
【0069】
流体動力学的装置100は、例えば、本出願と同日に出願されて「係留される流体動力学的器及びそのアレイのための係留システム(MOORING SYSTEM FOR A TETHERED HYDROKINETIC AND AN ARRAY THEREOF)」という名称の現在特許出願中の米国特許出願出願番号第 号(代理人整理番号第2056997−5006US号)に説明されている係留システムのような係留システムによって水中に保持することができ、この特許出願の開示内容全体は、本明細書に完全に公開されているかのように引用によって本明細書に組み込まれている。
【0070】
本発明の開示の方法を実施するために重量、揚力、及び抗力を変更する機構の上述の例に加えて(又はその代わりに)、流体動力学的装置100には、当業者によって公知である可能性がある重量、揚力、及び抗力の変化をもたらす他の機構を装備することができる。更に、エネルギ変換器は、可変ピッチ制御回転翼ハブとするか、又は移動流体の運動エネルギを使用可能電力に変換することができ、同様に流体の流れに係合するか又は流れから外すための手段を有することができる別のエネルギ変換装置とすることができる。
【0071】
方向Cに流れている自由流線海流での作動時に、流体動力学的装置100は、本発明の開示の方法を実施して長期間にわたって定格電力深度に留まるために重量、揚力、及び抗力を変更するのに、上述の可変重量エフェクタ、可変揚力エフェクタ、可変抗力エフェクタ、及び/又はエネルギ変換器変化エフェクタを使用することができる。先に上述のように、エネルギ変換器変化エフェクタは、回転翼羽根ピッチ角変化エフェクタを含むことができる。流体動力学的装置100に対する定格電力深度は、自由流線海流の条件が変化するので、又は温度及び/又は塩度と共に水の密度が変化する可能性があるので、時々に変化する可能性がある。流体動力学的装置100は、例えば、図7を参照して説明する深度変更処理を含む電力制御処理を用いて定格電力深度を追跡し、再捕捉するように構成することができる。搭載主コントローラ(例えば、THORコントローラ)は、作動が発生する深度に対して、流体動力学的装置100の重量、揚力、及び/又は抗力のマグニチュードを制御することによって能動的な制御影響力を作用する深度変更処理を含む電力制御処理を使用する。
【0072】
図2Cは、流体動力学的装置100を所定の電力出力レベルに維持するために、例えば、搭載主コントローラ、別の流体動力学的装置内の搭載主コントローラ、又は基地局に設けられたコンピュータ(例えば、「THOR HQ」コントローラ)によって実施することができる電力制御処理350の例を示している。最初に、特定の流体動力学的装置100に対してターゲット発電機電力出力レベルが設定される(段階352)。発電機の実時間の(又は加重平均の)電力出力レベルを継続的に(又は断続的に)検出するために、搭載発電機(図示せず)によって出力される電力がモニタされる(段階354)。検出された電力出力レベルが、ターゲット電力出力レベルよりも高いか、低いか、又はそれに等しいかの判断が行われる(段階356)。
【0073】
代替的に、ターゲット発電機電力出力レベル範囲を設定することができ(段階352)、検出された実時間電力出力レベル(段階354)をこの検出電力出力レベルが、ターゲット電力出力レベル範囲よりも高いか、低いか、又はそれに等しいかの判断を行うために、ターゲット電力出力レベル範囲と比較することができる(段階356)。
【0074】
実時間電力出力レベルがターゲット電力出力レベル(又は範囲)と等しくないと判断された場合(段階356において「NO」)は、流体動力学的装置100をターゲット発電機電力出力レベルに維持するために深度変更処理を起動することができる(段階358)、又は他の場合には、実時間電力出力レベルのモニタが続行される(段階356において「YES」、次に、段階352)。
【0075】
図2Dは、流体動力学的装置100を所定の電力出力レベルに維持するために、例えば、搭載主コントローラ、別の流体動力学的装置内の搭載主コントローラ、又は基地局に設けられたコンピュータ(例えば、THORコントローラ)によって実施することができる別の電力制御処理360の例を示している。最初に、流体動力学的装置100が配備される(又は配備されている)特定の区域に対してターゲット自由流線流速を設定することができる(段階362)。自由流線流速は、流体動力学的装置が受ける実質的に実時間の(又は加重平均の)自由流線流速を継続的に(又は断続的に)検出するためにモニタすることができる(段階364)。検出された実時間自由流線流速が、ターゲット自由流線流速よりも高いか、低いか、又はそれに等しいかの判断が行われる(段階366)。
【0076】
代替的に、ターゲット自由流線流速範囲を設定することができ(段階362)、検出された実時間(又は加重平均)自由流線流速(段階364)は、この検出自由流線流速がターゲット自由流線流速範囲よりも高いか、低いか、又はそれに等しいかの判断を行うためにターゲット自由流線流速範囲と比較することができる(段階366)。
【0077】
実時間自由流線流速がターゲット自由流線流速(又は範囲)と等しくないと判断された場合(段階366において「NO」)は、流体動力学的装置100をターゲット自由流線流速に維持するために深度変更処理を起動することができる(段階368)、又は他の場合には、実時間自由流線流速のモニタが続行される(段階366において「YES」、次に、段階362)。
【0078】
流体動力学的装置100の作動を実施するのに、THORコントローラは、例えば、潜水、浮上、休止、並びに回転翼係合及び回転翼係合解除の移行処理(又はプロトコル)を含む他の方法を使用することができる。これらの方法は、深度変更処理を有する電力制御処理に対して付加的なものである。これらの他の方法は、本明細書に提供する説明から当業者に明らかになる作動の利点をもたらすために使用することができる。
【0079】
先に上述のように、流体動力学的装置100は、上流の係留索(又は艫綱)103に係留された場合に、前方及び下方の力成分を受ける。次式[1]は、垂直力平衡における関係の例を提供している。特に、式[1]は、垂直水柱内の特定の位置に流体動力学的装置100を維持するのに釣り合わせなければならない装置100に対して作用する様々な力の間の関係の例を提供している。
B+L=W+(1/2ρV2)(CT)(A回転翼)(Tan(a)) [1]
次式[2]は、エネルギ(又は電力)生成と移動流体の間の関係を表す。
P=(1/2ρV3)(CP)(A回転翼) [2]
ここで、
B=浮揚力
L=流体力学的揚力
W=流体動力学的装置の重量
ρ=海水の密度
V=自由流線流速
T=回転翼抗力係数
P=回転翼電力係数
回転翼=回転翼の掃引面積
Tan(a)=艫綱捕捉角の正接
P=電力出力
【0080】
上式[1]から明らかなように、流体動力学的装置100は、流体の変位によって発生する可能性がある浮力(B)と、翼によって発生させることができる揚力(L)とによって垂直水柱内で上方に揚上され、装置100の重量(W)と水中引き込み力との合計によって下方に牽引されるので、流体動力学的装置100において単純な垂直力平衡を利用可能にすることができ、この場合、水中引き込み力は、その構成項内に展開されており、例示目的で、作動中の回転翼の水中引き込み力への寄与のみを含む。
【0081】
式[1]を詳しく調べることにより、所定の自由流線流速(元の速度)、海水密度、及び艫綱捕捉角に対して他の変数を定数と見なすと、重量及び流体力学的揚力を調節することにより、流体動力学的装置100は、一定深度において元の速度で垂直力平衡状態に留まることができることが明らかであるはずである。次に、自由流線流速の増大は、式[1]の右辺の水中引き込み力を増大させる可能性があり、流体動力学的装置100は潜降し、水中引き込み力によって更に下方に牽引され、式[1]の左辺と右辺が等しい新しい深度において静止する可能性がある。しかし、艫綱捕捉角は、他のファクタの中でも特に減少するので、自由流線海流は、以前に元の深度で有していたものよりも高い速度を有する可能性がある。艫綱捕捉角のそのような減少は、約350メートルの全体深度において、例えば、約100メートルの深度変化が発生する可能性がある場合は有意なものとすることができる。従って、流体動力学的装置100を元の自由流線流速に戻すためには、流体動力学的装置100が、元の自由流線流速を再捕捉するために更に潜降し、より深い深度において垂直移動を終わらせることができるように、流体動力学的装置100の重量を増加させ、必要に応じて流体力学的下向き力を含めて揚力を低減することが必要である場合がある。
【0082】
逆に元の速度からの自由流線流速の低下の場合にも類似の一連のイベントが発生する可能性があるが、流体動力学的装置100は、逆に増大する可能性が高くなる。従って、流体動力学的装置100を元の速度に戻すためには、流体動力学的装置100が、元の速度を再捕捉するために更に浮上し、より浅い深度において垂直移動を終わらせることができるように、流体動力学的装置100の重量を低減し、その揚力を増大させることを必要とすると考えられる。流体動力学的装置100に対する制御に対しては、発電機電力出力レベルを最も望ましいパラメータとすることができ、電力出力レベルは、自由流線流速、並びに例えば海水密度に正比例するので、定格速度深度ではなく定格電力深度を再捕捉するように深度を調節する方が有利である可能性がある。
【0083】
更に、式[2]は、水平型回転翼からのエネルギ生成と移動流体の間の関係を表す。先に上述のように、定格速度よりも低い自由流線流速は、流体動力学的装置100にその定格電力出力を下回って出力させる可能性がある。定格速度よりも低い自由流線流速は、先に解説した逆速度剪断プロフィールに沿って定格電力深度よりも深い深度で発生する。従って、定格電力深度よりも深い深度での能動的深度制御は、本発明の開示の別の重要な態様である電力調整及び電力出力制御を可能にすることができる。
【0084】
図3A〜図3Cは、本発明の開示の原理による係留された流体動力学的装置100の作動の様々な例を示している。特に、図3Aは、平均速度で移動する海流の中で定格速度で作動する係留された流体動力学的装置100の例を示しており、図3Bは、平均速度よりも高い速度で移動する海流の中で定格速度で作動する係留された流体動力学的装置100の例を示しており、図3Cは、平均速度よりも低い速度で移動する海流の中で定格速度で作動する係留された流体動力学的装置100の例を示いしてる。
【0085】
図3Aを参照すると、流体動力学的装置100は、上流の係留索に繋がれ、平均速度の逆速度剪断自由流線海流条件305で作動している。この場合、流体動力学的装置100は、定格速度301が発生する位置300、例えば、図3Aに示しているように約100メートルの位置でその定格電力で作動している。上流の係留索(又は艫綱)は、海流流れベクトルCの水平成分(又は水平軸)と捕捉角302を形成する。図3Aに示している例では、流体動力学的装置100は、釣り合った垂直力によって垂直平面内で静止している。
【0086】
図3Bを参照すると、自由流線流速がより速い条件に増大する時に、流体動力学的装置100は、約125メートルの深度にある位置314まで受動的に潜降し、それによって新しい角度312への捕捉角302の減少がもたらされ、水中引き込み力によって与えられる見かけ重量が軽減する。この時点で約150メートルの深度で発生する矢印311に示している定格速度及び/又は定格電力深度を再捕捉するためには、流体動力学的装置100は、定格速度311が発生する位置310まで更に25メートル潜降するために、作動深度を調節し、バラスト水を注入し、及び/又は翼に対する下向き力を増大させる必要がある。
【0087】
発電機出力電力が主制御変数であること、深度変更調節中に水温又は塩度及び従って水密度が変化した可能性があること、それと共に先に解説した他の理由から、電力制御処理の実施において発電機電力出力を主フィードバック変数として使用することを有利とすることができる。定格電力出力、又は定格電力出力よりも低い意図的な部分電力出力を流体動力学的装置100によって再捕捉する処理は、例えば、電力制御処理350(図2Cに示している)を用いて実施することができる。
【0088】
代替的に、自由流線流速は、電力制御処理の実施における主又は副フィードバック変数とすることができる。この点に関して、定格電力出力又は意図的な部分電力出力を流体動力学的装置100によって再捕捉する処理は、電力制御処理360(図2Dに示している)を用いて実施することができる。ターゲット自由流線流速は、定格速度とするか又は意図的な部分電力出力に向けて定格速度よりも低いターゲット自由流線流速とすることができる。また、速度と電力の両方の組合せを深度変更アルゴリズムを使用する電力制御処理におけるフィードバック変数として使用することを有利とすることができる。
【0089】
図3Cを参照すると、逆に自由流線流速がより遅い条件に低下する時に、流体動力学的装置100は、約75メートルの深度にある位置324まで受動的に浮上し、新しい角度322への捕捉角の増大がもたらされ、下向き力によって与えられる見かけ重量が増大する。この時点で約50メートルの深度で発生する矢印321に示している定格速度深度及び/又は定格電力深度を再捕捉するためには、流体動力学的装置100は、定格速度321が発生する位置320まで更に25メートル浮上するめに、作動深度を調節し、例えば、バラスト水を排出し、及び/又は翼に対する揚力を増大させることが必要である可能性がある。
【0090】
発電機出力電力が主制御変数であること、深度変更調節中に水温又は塩度及び従って水密度が変化した可能性があること、それと共に先に解説した他の理由から、電力制御処理の実施において発電機電力出力を主フィードバック変数として使用することを有利とすることができる。定格電力出力又は意図的な部分電力出力を流体動力学的装置100によって再捕捉する方法は、電力制御処理350(図2Cに示している)を用いて実施することができる。
【0091】
代替的に、自由流線流速は、電力制御処理の実施における主又は副フィードバック変数とすることができる。この点に関して、定格電力出力又は意図的な部分電力出力を流体動力学的装置100によって再捕捉する処理は、電力制御処理360(図2Dに示している)を用いて実施することができる。ターゲット自由流線流速は、定格速度とするか又は意図的な部分電力出力に向けて定格速度よりも小さいターゲット自由流線流速とすることができる。また、速度と電力の両方の組合せは、深度変更アルゴリズムを使用する電力制御処理におけるフィードバック変数として使用することを有利とすることができる。
【0092】
図4は、本発明の開示の原理による係留された流体動力学的装置100の作動を組み合わせた図式的要約の例を示している。特に、図4は、左から右に流れる逆速度剪断プロフィール自由流線海流条件431及び流体動力学的装置100の様々な作動状態(例えば、状態A、B、及びC)、並びに各状態の間の移行方法を示している。一般的に、流体動力学的装置100に付随するTHORコントローラは、各状態に対して流体動力学的装置100を位置決めし、更に、流体動力学的装置100を状態の間で移行させるために、上述のように重量、揚力、及び抗力の変化をもたらすことができる。更に、エネルギ変換器が流れに係合している時に、例えば、回転翼109が係合位置にあり、回転翼羽根が作動条件に設定され、ハブ108が回転している時には常に、抗力フラップ112を低抗力又は無抗力条件で完全に閉じることができ、エネルギ変換器が流れと外れている時に、例えば、回転翼109が非作動係合解除位置にあり、回転翼羽根が完全フェザリング条件に設定され、ハブ108の回転を停止させることができる時には常に、抗力フラップ112を高抗力よりも低い条件で部分的に展開するか、又は高抗力条件で完全に展開することができる。
【0093】
状態Aでは、流体動力学的装置100は、バラストタンクが低充満の低重量条件401にある半潜水条件400にあり、翼106は、実質的にゼロ取付角位置402で水面よりも上にある。抗力フラップ112は、条件403まで部分的に展開され、回転翼109は、海流の流れから係合解除され、非作動条件404で保持される。この条件(A)では、流体動力学的装置100は、水上船舶から保守点検を受けることができ、又は超低速海流のイベントにおいて休止させることができる。例えば、海流ファームアレイに対して隣接する流体動力学的装置との衝突災害、前方位置への急激な移動、又は係留索の絡みの危機を防止するために、係留索を張るように抗力フラップ112を条件403まで部分的に展開させることができる。しかし、抗力フラップ112は、流体動力学的装置100を水面下に潜降させる可能性がある高抗力条件まで展開させてはならない。
【0094】
状態Aから状態Bに移動するために、潜水処理(又はプロトコル)900(図9に示している)を起動することができ、水中引き込み力を増大させ、流体動力学的装置100を水面下の位置410まで牽引するために、抗力フラップ112を例えば完全展開位置413まで展開させることができる。水面下に入ると、バラストタンクに充満条件411まで水を注入することができ、翼106を負の取付角を有する位置412まで偏向させる(又は調節する)ことができ、それによって付加的な下向き力が発生し、流体動力学的装置100による更なる潜降がもたらされ、一方、回転翼109は、係合解除条件414に留まる。回転翼が海流の流れから係合解除された条件に留まっている間に、翼106によって発生する下向き力と、バラストタンクによって取り込まれた付加的な重量と、展開された抗力フラップ112からのより高い抗力の存在によって発生する水中引き込み力の増大との合計は、流体動力学的装置100を更に潜降させることができる。潜水は、定格速度430が発生する深度、又はその若干上における状態Bで正常な完了に達する。
【0095】
状態Bから状態Cに移動するために、回転翼(エネルギ変換器)係合移行処理(又はプロトコル)1100(図11に示している)を起動することができる。回転翼係合移行処理では、回転翼109が、係合解除条件414から係合条件424に移行し、それによって回転翼羽根が作動ピッチ角に近づくことで抗力が劇的に増大し、従って、水中引き込み力が徐々に増大する。抗力及び水中引き込み力が増大し、回転翼109が作動424に入ると、滑らかな差し引きゼロの垂直力移行を両方共に必要とする一定深度での回転翼係合移行処理又は一定自由流線流速での回転翼係合移行処理を発生させる速度で、抗力フラップ112をゼロ抗力条件423まで徐々に閉じることができ、翼106を負荷なし条件422まで徐々に傾斜させることができ、バラストタンクからバラスト水を条件421まで排出することができる。回転翼係合移行処理は、羽根が海流の流れと完全に係合した状態で回転翼109が回転し、抗力フラップ112が完全に後退した時に完了する。新しく得られた位置420では、流体動力学的装置100は作動条件にあり、状態Cにおいて定格電力又はそれに近い出力で電力を生成することができる。
【0096】
状態Cでは、深度変更処理を含む電力制御処理350(図2Cに示しているか又は図2Dに示している360、又は図8に示している800)を起動することができ、流体動力学的装置100は、定格電力深度を絶えず追跡して再捕捉するために、変化する自由流線海流条件に応じて翼及びバラストタンクを用いてその作動深度を調節することができる。回転翼109が作動条件に留まっている間に、抗力誘導器112は、完全後退条件423に維持することができる。
【0097】
代替的に、例えば、海洋ファームアレイでは、海洋ファームアレイ内の各流体動力学的装置100に、各流体動力学的装置100による定格電力出力の百分率を表す電力調整係数を割り当てることができる。そのために割り当てられ、かつ電力調整係数が約100%よりも小さい場合には、流体動力学的装置100は、指定部分電力設定が発電機によって達成される深度(指定部分電力深度)を追跡し、再捕捉することができる。割り当て電力調整係数を用いた意図的な部分電力作動は、海流ファームアレイ全体から又はファームアレイ内の流体動力学的装置100の全てよりも少ない一部からの電力制御及び/又は電力調整をもたらすことができる。
【0098】
電力制御処理中の作動は、例えば、最大構造圧壊深度よりも低い深度まで流体動力学的装置100を強制移動する傾向を有する可能性がある超高速海流のイベントの最中、又は例えば回転翼羽根の先端に過度にキャビテーションを発生させるか又は更に水面を突き破らせて水面よりも上に届かせる可能性がある浅い深度まで流体動力学的装置100を運ぶ傾向を有することになる超低速海流のイベントにおいて意図せずに停止される可能性がある。そのような超高速又は超低速の海流イベントによって意図せずに停止された場合には、流体動力学的装置100は、水面又は休止条件に留まることができる暫定深度まで上昇するために、回転翼係合解除移行処理の完了後に浮上処理(又はプロトコル)1000(図10に示している)又は休止処理(又はプロトコル)1300(図13に示している)を起動することができる。休止処理(又はプロトコル)中に、流体動力学的装置100は、定格速度の復帰に関して垂直水柱を探査するために、音響ドップラー流速分布計(ADCP)問い合わせ処理(又はプロトコル)を使用することができる。いずれの場合にも、流体動力学的装置100は、潜水、係合、又は電力制御処理を使用する更に別の作動の前に異常環境イベントの通過をやり通すことができる。
【0099】
状態Cから状態Bに移動するために、回転翼(エネルギ変換器)係合解除移行処理(又はプロトコル)1200(図12に示している)は、回転翼係合移行処理と同様であるが、逆の方式で起動することができる。回転翼係合解除移行処理では、回転翼109が、係合作動条件424から係合解除非作動条件414に移行し、それによって回転翼羽根ピッチ角が非作動完全フェザリング条件404に近づく時に抗力を劇的に低減することができ、従って、抗力及び水中引き込み力を徐々に低減することができる。回転翼109が海流の流れから外れる時に、抗力及び水中引き込み力が減少し、抗力フラップ112を完全後退条件423から高抗力条件413まで広がるように徐々に展開させることができる。更に、下向き力を発生させるために、翼106を負荷なし条件422から負の取付角条件412まで徐々に傾斜させることができる。更に別の滑らかな差し引きゼロの垂直力移行を両方共に必要とする一定深度での回転翼係合解除移行処理又は一定自由流線流速での回転翼係合解除移行処理を発生させる速度で、バラストタンク内のバラスト水を部分充満条件421から充満条件411に増加させることができる。回転翼係合解除移行処理は、回転翼109が停止して羽根が非作動条件414で完全にフェザリングされ、抗力フラップ112が、高抗力条件413まで展開された時に完了させることができる。流体動力学的装置100は、いかなる電力生成も伴わずに休止条件に留まり、例えば、バラストタンク、翼106、及び抗力フラップ112それぞれによって実施される重量エフェクタ、揚力エフェクタ、及び抗力エフェクタの制御影響力によって位置410に維持される。
【0100】
状態Bに留まるために、休止処理(又はプロトコル)を起動して実施することができる。休止処理では、流体動力学的装置100は、上述の重量エフェクタ、揚力エフェクタ、及び抗力エフェクタの制御影響力の下で指定深度410又は指定自由流線流速に対応する可変深度に留まることができ、回転翼109は係合解除条件414にあり、発電機からのいかなる電力生成も伴わない。休止処理は、例えば、破壊的な気象イベント(例えば、ハリケーン、台風、サイクロン、又は津波など)の通過、装置の存続を保証すること、絶滅の危機に瀕した海洋哺乳動物の通過中、衝突回避を保証すること、又は類似のことを含む様々な理由から起動することができる。休止処理は、海流ファームアレイ内の特定の流体動力学的装置100に対して割り当てられた電力調整係数がゼロに設定された場合に起動することができる。休止処理の実行中には、目的の中でも特に、定格速度の存在に関して垂直水柱を探査するために、ADCP問い合わせプロトコルを定期的に起動することができる。
【0101】
状態Bから、水面上又は別の指定深度とすることができる状態Aに移動するために、浮上処理(又はプロトコル)を起動することができ、可変重量エフェクタ、可変揚力エフェクタ、可変抗力エフェクタ、及び/又はエネルギ変換器変化エフェクタ(例えば、回転翼羽根ピッチ角変化エフェクタのような)の制御影響力の下で、流体動力学的装置100は、水面又はいずれかの他の指定深度まで浮上することができる。例えば、バラストタンクからバラスト水を排出することができ、それによって流体動力学的装置100の重量が低減する。更に、翼106を正の値を有する角度に偏向させることができ、それによってより大きな揚力が発生する。抗力を低減するために抗力フラップ112を若干閉めることができ、それによって水中引き込み力に寄与する見かけ重量が軽減し、それによって流体動力学的装置100が浮上し、その間、回転翼109は、係合解除された非作動条件414に留まる。浮上処理は、流体動力学的装置100が水面又は指定深度に到達した時に正常な完了に達する。
【0102】
深度の変更を必要とする電力制御処理(例えば、図3A又は図3Bに示している処理350又は360)の実施の前又はその最中のいずれかの時点で、搭載ADCPを用いて、流体動力学的装置100の上及び下の両方をソナー探査することによって垂直水柱の情報を取得することを有利とすることができる。この問い合わせによって戻される情報は、THORコントローラが、より高いレベルの予測及び/又は補正制御に向けて取り込むことができる。
【0103】
浮上処理、潜降処理、及び休止処理は、回転翼109が係合解除された条件で達成することができる。回転翼の係合又は係合解除は、回転翼係合移行処理又は回転翼係合解除移行処理それぞれによって発生させることができる。浮上作動条件、潜降作動条件、及び休止作動条件中の深度制御は、可変重量エフェクタ、可変揚力エフェクタ、可変抗力エフェクタ、及び/又はエネルギ変換器変化エフェクタ(例えば、回転翼羽根ピッチ角変化エフェクタのような)の制御影響力の下で達成することができる。回転翼109の作動及び電力生成は、流体動力学的装置100が、定格電力深度を追跡して再捕捉すること、又は指定部分電力深度を追跡することを可能にする深度変更処理を含む電力制御処理の実行中に発生する。電力制御処理は、例えば、最大圧壊深度又は最小近水面深度を超える可能性がある超高速海流又は超低速海流のいずれかのイベントによって意図せずに停止される可能性がある。電力制御処理は、例えば、厳しい気象イベントの通過、絶滅危惧種の通過、又は他のそのようなイベントを許容するために意図的に停止し、休止処理を起動することができる。より高いレベルの予測及び/又は補正制御に向けてADCP問い合わせを使用することができる。
【0104】
図5は、本発明の開示の原理によるTHORコントローラ500のパラメータ表現の例を示している。先に上述のように、THORコントローラは、流体動力学的装置100に搭載されるように設けることができ、更に、各流体動力学的装置100は、例えば、海流ファームアレイ内に設けることができる。THORコントローラ500は、例えば、装置感知パラメータ510及びシステム感知パラメータ530を含む様々な入力パラメータを含む。THORコントローラ500は、基地局(例えば、中央指令局及び制御施設のTHOR HQ)から外部指令又は割り込み指令540を受信することができる。
【0105】
THORコントローラ500は、コンピュータ(図示せず)を含み、これは、感知パラメータ及び指令540を受け取り、次に、本発明の開示の方法を感知パラメータ510、520の値及び指令540を用いて実施することができ、それによって例えば可変重量エフェクタ551、可変揚力エフェクタ552、可変抗力エフェクタ553、回転翼羽根ピッチ角変化エフェクタ554のようなエネルギ変換器変化エフェクタ、及び/又は他のエフェクタ555を含むことができる複数のエフェクタ550における変化を流体動力学的装置100が本発明の開示の方法によって定められた通りに作動するような方式及びマグニチュードで達成する。更に、エフェクタ550の変化に応じた流体動力学的装置100の移動及び作動に基づいて、装置感知パラメータ510における新しい値をTHORコントローラ500に与えることができ、THORコントローラ500は、流体動力学的装置100の本発明の開示の方法への作動の準拠を更に強制するために、エフェクタ550に対する更に別の変化を命令することができる。
【0106】
例えば、発電機電力出力レベルパラメータ511、自由流線流速パラメータ512、ピッチ、ロール、及びヨーの角度及び速度のパラメータ513、深度パラメータ514、係留索張力パラメータ515、バラストタンク水レベルパラメータ516、取付角パラメータ517、開き抗力フラップ偏向角パラメータ518、ADCPデータパラメータ519、並びに他の装置感知パラメータ520を含む流体動力学的装置100上に存在するセンサを通じて取得することができる装置感知パラメータ510のいくつかの例を図5に列記している。
【0107】
例えば、配電網ステータスパラメータ531及び他のシステム感知パラメータ532を含む流体動力学的装置100と遠隔に設けられたセンサを通じて取得することができるシステム感知パラメータ530のいくつかの例を図5に列記している。システム感知パラメータ530は、例えば、海流ファームアレイの全体ステータスを継続的に認識しているとすることができる基地局から受信することができる。THOR HQ540は、海流ファームアレイ内の各流体動力学的装置100の搭載主コントローラに通信リンクを通じて接続することができる。基地局(例えば、THOR HQ540)は、アレイ内の流体動力学的装置100のいずれか又は全てに対して外部指令を出すことができる。外部指令は、例えば、電力制御調整係数543、割り込み指令544、及び/又は他の外部指令545を含むことができる。外部指令540は、保守点検船舶が1つ又はそれよりも多くの流体動力学的装置100に対して出すことができる。更に、THOR HQ540は、海流ファームアレイ全体に対するターゲット統合電力出力レベルを調整し、設定することができる統合電力制御プロトコル541を実行することができる。THOR HQ540は、統合電力制御プロトコル541を運用管理するために、海洋ファームアレイ内の流体動力学的装置100の全ての合計からの統合電力出力レベルを測定することができる主メーター542の示度をモニタすることができる。
【0108】
THORコントローラ500は、例えば、汎用装置制御処理(又はプロトコル)502、潜水処理(又はプロトコル)503、浮上処理(又はプロトコル)504、休止処理(又はプロトコル)505、回転翼係合移行処理(又はプロトコル)506、回転翼係合解除移行処理(又はプロトコル)507、深度変更処理を有する電力制御処理(又はプロトコル)508、及びADCP問い合わせ処理(又はプロトコル)509を含む処理構成要素を有することができる個々の装置制御処理(又はプロトコル)501を実行することができる。各流体動力学的装置100の作動挙動が上述の処理に従うように作用し、かつ変更するために、複数のエフェクタ550からの様々なエフェクタが使用される。本明細書では、例えば、可変重量調節に対してバラストタンクを排水及び注水する段階、可変揚力調節に対して流体力学的翼の取付角を変更する段階、及び可変抗力調節に対して開き抗力フラップを同時に外向きに偏向させる段階を含むエフェクタ550の例を開示したが、本発明の開示の方法による各流体動力学的装置100の作動を実施するのに、本発明の開示の範囲又は精神から逸脱することなく、重量、揚力、及び抗力をもたらすことができるあらゆる機構を使用することができる。
【0109】
図6は、本発明の開示の原理による海流ファームアレイにおける統合電力出力を制御するための統合電力制御処理600の例を示している。統合電力制御処理600は、例えば、遠隔地からTHOR HQが運用管理することができる。THOR HQは、流体動力学的装置ファームアレイ全体、又は例えば1つ又はそれよりも多くの個別流体動力学的装置のような部分集合に対してターゲット統合電力出力レベルを指定することができる。ターゲット統合電力出力レベルは、様々な作動の利点を得るために時々に変更することができる。
【0110】
一般的には、ターゲット統合電力出力レベルは、海流ファームアレイ全体に対して設定することができる。アレイ内の各流体動力学的装置100には、0と1を含む0と1の間に値を有する電力調整係数(Ki)を個別に割り当てることができる。各流体動力学的装置100は、割り当て電力調整係数Kiと各流体動力学的装置100の定格電力出力レベルとの積に等しい量で電力を発生させるために、電力制御処理を含む本発明の開示の方法を使用することができる。自由流線海流条件は時々に変化し、それによってアレイ全体の統合電力出力レベルが変化する可能性があるので、各流体動力学的装置100は、割り当て電力出力レベルを発生させ、それによって海流ファームアレイ全体の実際統合電力出力レベルがターゲット統合電力出力レベルに等しくなるように本発明の開示の方法に基づいて自らを再調節することができる。計測値とターゲット値とが等しいままに留まるか又は許容範囲に留まるようにこの処理を繰り返すことができる。
【0111】
図6を参照すると、最初に、実際電力出力レベルP統合を判断するためにアレイ内の各流体動力学的装置の電力出力レベルが加え合わせられる(段階601)。実際統合電力出力レベルP統合は、図5を参照して説明した主メーター出力レベルによって与えられるシステムレベル情報と共に、ターゲット統合電力レベルと比較することができる(段階602)。実際電力出力レベルP統合がターゲット値と等しい場合(段階602において「YES」)は、いかなるアクションも取られずに段階601が繰り返される。実際統合電力出力レベルP統合とターゲット値が等しくなかった場合(段階602において「NO」)は、アレイ内の各流体動力学的装置100に電力調整係数Kiが割り当てられ、又は割り当て直され、電力調整係数Kiは、THOR HQから各流体動力学的装置100に付随するTHORコントローラ500に通信リンク(図示せず)を通じて送信される(段階603)。
【0112】
各THORコントローラは、それぞれの流体動力学的装置の電力出力レベルが、割り当て電力調整係数Kiと各装置の定格電力との積に等しくなるように汎用個別制御処理700(例えば、図7に示している)を開始することができる(段階604及び605)。処理600は繰り返され、段階601を再度実施することができる。いくつかの事例では、自由流線海流条件が変化過程にあるから、実際統合電力出力レベルは、個々の流体動力学的装置が新しい自由流線海流条件に調節し直す際に変動する可能性がある。本発明の開示の範囲又は精神から逸脱することなく、実際統合電力出力レベルとターゲット統合電力出力レベルとのより迅速な収束をもたらすために、様々な進み/遅れ制御技術、予測/補正制御技術、又は他の公知の制御技術を含むより高次のアルゴリズムを図6で説明した統合電力制御プロトコルに追加することができる。
【0113】
図7は、海流ファームアレイ内の個々の流体動力学的装置を制御するための汎用個別制御処理700の例を示している。汎用個別制御処理700は、例えば、海流ファームアレイ内の各個々の流体動力学的装置に付随するTHORコントローラが実施することができる。汎用個別制御処理700の実行中に、いずれかの時点で1つ又はそれよりも多くの障害又は指令を受信する可能性があり、それによってTHORコントローラは処理を中断し、それに続いてこれらの障害又は指令に適時又は即時に応答する。
【0114】
一般的に、流体動力学的装置は、先行して検出された障害条件(段階701)又は別のタスクを達成するように出された指令(段階705)がない限り、割り当て電力調整係数Kiを用いて(段階715)、深度変更処理を含む電力制御処理を実質的に常時実施している(段階711)。個々の装置の障害又はシステム障害が判断された場合(段階701において「YES」)は、THORコントローラは、回転翼を外して(段階702)、流体動力学的装置を水面又は他の指定深度まで浮上させ(段階703)、障害条件が解消されるまで休止条件に留まることができる(段階704)。
【0115】
各流体動力学的装置に付随するTHORコントローラは、潜水、浮上、休止、及び/又はADCP問い合わせを含む様々な指令を実行することができる。指令は、例えば、THOR HQによって出されるか、又は以下に説明するようにTHORコントローラが内部で発生させることができる。潜水、浮上、休止、及びADCP問い合わせという指令は全て、可変重量エフェクタ、可変揚力エフェクタ、可変抗力エフェクタ、及び/又は回転翼羽根ピッチ角変化エフェクタのようなエネルギ変換器変化エフェクタの制御影響力の下で回転翼が係合解除非作動条件にある時に実行することができる。回転翼は、電力制御プロトコルに入る直前に作動条件に係合することができ(段階714)、電力制御プロトコル(段階713)を終了した直後に非作動条件に外すことができる。実質的に全ての他の時点において、回転翼を流れから外して非作動にすることができる。回転翼は、回転翼係合移行プロトコルを用いて係合させることができる(段階714)。回転翼は、回転翼係合解除移行プロトコルを用いて係合解除することができる(段階702、707、710)。
【0116】
図7を参照すると、THORコントローラは、個々の装置の障害又はシステム障害に関してモニタリングを行うことができる(段階701)。個々の装置の障害又はシステム障害が発生したことが判断された場合(段階701において「YES」)は、THORコントローラは、回転翼係合解除移行プロトコルを実施することによって回転翼を係合解除する(段階702)。更に、THORコントローラは、浮上プロトコル703を用いて流体動力学的装置を水面又は指定深度まで浮上させ(段階703)、休止プロトコルを実行して(段階704)、割り込みが完了するか又は更に継続する作動的命令が受信されるまで流体動力学的装置に休止電力で待機させることができる。
【0117】
更に、THORコントローラは、THOR HQからの指令に関して通信リンクをモニタすることができ、又はTHORコントローラは、独自の指令を発生させることができる(段階705)。潜水指令を受信したと判断した場合は(段階705において「YES」)、THORコントローラは、潜水プロトコルを実行することができ(段階706)、それによって流体動力学的装置が定格速度深度まで潜降するという結果を首尾良く得ることができる。潜水プロトコルが失敗し、定格速度深度に達することができなかった場合は(段階706)、THORコントローラは、所定の深度において流体動力学的装置を休止プロトコルに入れて(段階709)、ADCP問い合わせプロトコル(図示せず)の更に別の実施を含めることができる。
【0118】
浮上指令が受け取られたと判断された場合は(段階705において「YES」)、THORコントローラは、可変重量エフェクタ、可変揚力エフェクタ、可変抗力エフェクタ、及び/又は回転翼羽根ピッチ角変化エフェクタのようなエネルギ変換器変化エフェクタの制御影響力の下で、回転翼が依然として係合解除非作動条件にない時には回転翼係合解除移行プロトコルを実行することができ(段階707)、それに浮上プロトコルの実施が続き(段階708)、流体動力学的装置を水面又は所定の深度まで増大させ、更に、任意的なADCP問い合わせプロトコル(図示せず)を含めることができる休止プロトコルの実施が続き(段階709)、流体動力学的装置に水面、指定深度、又は指定自由流線流速が発生する深度で待機させる。流体動力学的装置は、その後の外部発生指令又は内部発生指令によって終了されるまで、電力を生成することなく休止プロトコル(段階709)を実施し続けることができる。
【0119】
休止指令が受け取られたと判断された場合は(段階705において「YES」)、THORコントローラは、可変重量エフェクタ、可変揚力エフェクタ、可変抗力エフェクタ、及び/又は回転翼羽根ピッチ角変化エフェクタのようなエネルギ変換器変化エフェクタの制御影響力の下で、回転翼が依然として係合解除非作動条件にない時には回転翼係合解除移行プロトコルを実行することができ(段階710)、それに、図14に示している任意的なADCP問い合わせプロトコルを含めることができる休止プロトコルの実施が続き(段階711)、流体動力学的装置に、指定深度又は指定自由流線流速が発生する深度で電力生成を伴わずに待機させる。流体動力学的装置は、その後の外部発生指令又は内部発生指令によって終了されるまで休止プロトコルを実施し続けることができる。
【0120】
THORコントローラがいかなる障害も判断せず又は受信せず(段階701において「NO」)、かついかなる差し迫った指令又は未実行指令も判断しなかった又は受信しなかった場合は(段階705において「NO」)、THORコントローラは、回転翼が係合しているか否かを判断することができる(段階712)。THORコントローラが、回転翼が係合解除非作動条件にあり、回転翼羽根ピッチ角が完全にフェザリングされていると判断した場合は(段階712において「NO」)、THORコントローラは、流体動力学的装置が定格速度深度にあり、かつ回転翼係合移行プロトコルを実行すると判断することができる(段階714)。THORコントローラが、回転翼が係合していると判断した場合(段階712において「YES」)、又は回転翼係合移行プロトコルの実施によって回転翼が係合した場合は(段階714)、THORコントローラは、電力制御プロトコルを実行することができ(段階713)、それによって流体動力学的装置に定格電力深度を追跡させて再捕捉させ、割り当て電力調整係数が1という値を有する場合は(段階715)、この間に長期間にわたって定格電力が生成される。割り当て電力調整係数が1よりも小さい値を有する場合には、電力制御プロトコル(段階713)は、流体動力学的装置に対して一般的に定格電力深度よりも深い深度とすることができる指定部分電力深度を追跡させて再捕捉させることができる。流体動力学的装置は、障害条件によって中断される(段階701において「YES」)又は割り込み指令によって中断される(段階705において「YES」)まで定格電力深度において電力制御プロトコル(段階713)を実施し続けることができる。
【0121】
図8は、深度変更処理を含む流体動力学的装置を制御するための電力制御処理(又はプロトコル)800の例を示している。電力制御処理800は、時間のうちの大部分においてTHORコントローラが実施することができ、割り当て電力調整係数が実質的に1に等しい場合は、流体動力学的装置に定格電力深度を追跡させて再捕捉させるか、又はほぼ1よりも小さい電力調整係数に対応して指定部分電力深度を追跡させて再捕捉させる。各場合に、ターゲット電力設定は、流体動力学的装置の公称電力定格と割り当て電力調整係数との積とすることができる。
【0122】
図8を参照すると、THORコントローラは、例えば、THOR HQから電力調整係数を受信した後に電力制御処理800を開始することができる(段階801)。THORコントローラは、ターゲット電力設定Ki・P定格から生成中の実際電力P実際を差し引いたものに基づいて電力誤差信号Errを計算することができる(段階802)。電力誤差信号Errがほぼゼロに等しい場合は(段階802においてErr=0)、実際電力P実際がターゲット電力設定Ki・P定格に等しいと判断することができ、下流で偏流してエネルギ変換器捕捉区域上に流入する可能性があり、これが電力変換効率を低減する可能性がある後流外乱を最小にするために、可変揚力エフェクタの代わりに可変重量エフェクタを用いて(段階804)多少の重量を場合によって利用することを除いてはいかなるアクションも取られない(段階803)。
【0123】
可変重量エフェクタが1つ又はそれよりも多くのバラストタンクを含み、可変揚力エフェクタが流体力学的翼を含み、電力制御誤差信号Errがゼロであると判断された場合は(段階802においてErr=0)、THORコントローラはいかなるアクションも取る必要がなく、継続作動を許す(段階803)。バラストタンクがバラスト水を注入するか又は排出するかのいずれかの余地を依然として有しており、取付角が依然としてゼロではない場合には、下流で偏流してエネルギ変換器捕捉区域上に流入する可能性があり、これが作動中の回転翼のエネルギ変換性能を低減する可能性がある翼の後縁からの後流又は流れの傾斜を最小にするために、THORコントローラは、翼によって保持される揚力又は下向き力を軽減するように翼の揚力(又は翼の下向き力)をバラスト水の重量と交換することができる(段階804)。
【0124】
電力誤差信号Errがゼロよりも大きいと判断され(段階802においてErr>0)、ターゲット電力設定Ki・P定格が生成中の実際電力P実際よりも大きいことを示す場合には、THORコントローラは、流体動力学的装置に深度調節を行わせ、この場合、恐らく浮上させる(段階810)。THORコントローラは、電力誤差信号Errがゼロに低減するまで流体動力学的装置の深度を調節するために、例えば、可変揚力エフェクタ及び可変重量エフェクタそれぞれによって揚力(段階811)及び重量(段階813)を調節することができる。特に、THORコントローラは、可変揚力エフェクタ(例えば、翼)が正の最大値にないと判断した(段階811において「NO」)後に、可変揚力エフェクタの下向き力(例えば、取付角)を正の最大値まで増大させる(段階812)ことによって流体動力学的装置に深度調節させることができる。可変揚力エフェクタの制御影響力を使い果たし(段階811において「YES」)、かつ電力誤差信号Errが依然としてゼロよりも大きい場合には、可変重量エフェクタ(例えば、1つ又はそれよりも多くバラストタンク)の制御影響力を使い果たしているか否かの判断を行うことができる(段階813)。可変重量エフェクタの制御影響力を使い果たしていないという判断が行われた場合は(例えば、バラスト水が最低値にない)(段階813において「NO」)、電力誤差信号Errがゼロに達するまで可変重量エフェクタを使用することができる(例えば、バラスト水を排出される)(段階814)。しかし、可変重量エフェクタの制御影響力を使い果たしているという判断が行われた場合は(段階813において「YES」)、流体動力学的装置の実際深度が最小キャビテーション深度よりも小さいか否かの判断を行うことができる(段階815)。実際深度が最小キャビテーション深度よりも大きいか又はそれに等しいという判断が行われた場合は(段階815において「NO」)、流体動力学的装置を部分電力設定で作動させることができる(段階816)。
【0125】
電力誤差信号Errがゼロよりも大きい条件に留まっている場合には、有意な浮上が発生した可能性があり、流体動力学的装置は水面の近くにある可能性がある。この場合、超低速海流のイベントが発生している可能性が高いとすることができる。流体動力学的装置が最小回転翼キャビテーション深度よりも下に留まっている場合は(段階815において「NO」)、流体動力学的装置は、定格電力よりも低く、かつ電力調整係数が1よりも小さい場合に(段階801)指定部分電力設定よりも低い可能性がある部分電力設定で作動し続けることができる(段階816)。
【0126】
流体動力学的装置が最小回転翼キャビテーション深度を超えて増大した場合は(段階815において「YES」)、THORコントローラは、電力制御処理800の実施を中断することができ、次に、回転翼係合解除移行処理を実行することができ(段階830)、それに休止処理(段階831)、更にADCP問い合わせ処理(段階832)が続く。ADCP問い合わせ処理は、垂直水柱を探査して自由流線流速が継続的な電力生成に好ましい時を判断するために、搭載ADCPを使用することができる。
【0127】
電力誤差信号Errがゼロよりも小さいと判断されて(Err<0)、ターゲット電力設定Ki・P定格が生成中の実際電力P実際よりも低いことを示す場合には、THORコントローラは、流体動力学的装置に深度調節を行わせ、この場合、恐らく潜降させる(段階820)。THORコントローラは、電力誤差信号Errがゼロに低減するまで流体動力学的装置の深度を調節するために、例えば、可変揚力エフェクタ及び可変重量エフェクタそれぞれによって揚力(段階821)及び重量(段階823)を調節することができる。特に、THORコントローラは、可変揚力エフェクタ(例えば、翼)が負の最大値にないと判断した(段階821において「NO」)後に、可変揚力エフェクタの揚力を低減する(例えば、翼の取付角を低減する)(段階822)ことによって流体動力学的装置に深度調節させることができる。可変揚力エフェクタの制御影響力を使い果たしており(段階821において「YES」)、電力誤差信号Errが依然としてゼロよりも大きい場合には、可変重量エフェクタ(例えば、1つ又はそれよりも多くバラストタンク)の制御影響力を使い果たしているか否かの判断を行うことができる(段階823)。可変重量エフェクタの制御影響力を使い果たしていないという判断が行われた場合は(例えば、バラスト水が最大値にない)(段階823において「NO」)、電力誤差信号Errがゼロに達するまで可変重量エフェクタを使用することができる(例えば、バラスト水を充填する)(段階824)。しかし、可変重量エフェクタの制御影響力を使い果たしているという判断が行われた場合は(段階823において「YES」)、流体動力学的装置の実際深度が所定の圧壊深度範囲(例えば、10メートル以内等)にあるか否かの判断を行うことができる(段階825)。流体動力学的装置の実際深度が所定の圧壊深度範囲にないという判断が行われて(段階825において「NO」)、電力誤差信号Errが依然としてゼロではない場合には、定格電力又は指定部分設定を維持するために、電力を低減するように回転翼羽根を設定することができる(段階826)。
【0128】
電力誤差信号Errがゼロよりも小さい条件に留まっている場合には、有意な潜降が発生した可能性があり、流体動力学的装置は最大構造圧壊深度の近くにある可能性がある。この場合、超高速海流のイベントが発生している可能性が高いとすることができ、定格電力又は指定部分設定を維持し、圧壊深度の近くまで潜降するのを回避するために電力を低減するように回転翼羽根を設定する(段階826)ことを必要とする可能性がある。
【0129】
実際深度が所定の圧壊深度範囲、又はそれよりも小さい範囲にあるという判断が行われた場合は(段階825において「YES」)、THORコントローラは、電力制御処理800の実施を中断して回転翼係合解除移行処理を実行することができ(段階830)、それに休止処理(段階831)、更にADCP問い合わせ処理(段階832)が続く。ADCP問い合わせ処理は、垂直水柱を探査して自由流線流速が継続的な電力生成に好ましい時を判断するために、搭載ADCPを使用することができる。
【0130】
電力制御誤差信号Errがゼロに達すると(段階802においてErr=0)、下流で偏流してエネルギ変換器捕捉区域上に流入する可能性があり、これが電力変換効率を低減する可能性がある後流外乱を最小にするために、可変重量エフェクタと可変揚力エフェクタとを調節することができる(段階804)。可変重量エフェクタが1つ又はそれよりも多くのバラストタンクを含み、可変揚力エフェクタが調節可能な翼を含む場合には、取付角と揚力(又は下向き力)の両方がゼロに近づくように、取付角及び対応する揚力(又は下向き力)をより少ないバラスト水(又はより多くのバラスト水)と交換することができる。重量を揚力と交換することにより、揚力を保持してエネルギ変換器捕捉区域上に衝突する翼からもたらされた可能性があるいずれの流れ傾斜角又は洗流角も実質的にゼロに低減することができ、それによって最大エネルギ変換性能が保証される。
【0131】
電力制御処理800は、例えば、流体動力学的装置の最大構造圧壊深度よりも下への流体動力学的装置による潜降をTHORコントローラに命令させる可能性がある超高速海流のイベントにおいて強制的に終了させることができる。強制終了は、過度の回転翼羽根キャビテーションをもたらすか又は回転翼羽根に水面を突き破らせて許容不能な状態をもたらす可能性がある浅い深度への流体動力学的装置による浮上をTHORコントローラに命令させる可能性がある超低速海流のイベントにも発生させることができる。
【0132】
図9は、流体動力学的装置の潜水作動を制御するための潜水処理(又はプロトコル)900の例を示している。潜水処理900は、流体動力学的装置を定格速度深度まで深度において潜降させるために、例えば、THORコントローラ上に実施することができる。潜水処理900は、係合解除非作動条件において可変重量エフェクタ、可変揚力エフェクタ、可変抗力エフェクタ、及び/又は回転翼羽根ピッチ角変化エフェクタのようなエネルギ変換器変化エフェクタの制御影響力を用いて実施することができる。潜水処理900は、流体動力学的装置が定格速度深度又は許容範囲で定格速度深度に近い深度に達した時に正常に終了することができる。潜水処理900は、定格速度深度又は定格速度深度に近い深度に到達しなかった場合に不成功に終了する可能性がある。
【0133】
一般的に、潜水処理900は、半潜水水面条件又はいずれかの暫定深度から始めて潜降をもたらすために、最初に可変抗力エフェクタの制御影響力を使用することができる。定格速度深度に到達しておらず、可変抗力エフェクタの制御影響力を使い果たした場合には、下向き力を発生させて更なる潜降をもたらすために可変揚力エフェクタを使用することができる。可変抗力エフェクタと可変揚力エフェクタの両方の制御影響力を使い果たし、定格速度深度に依然として到達しない場合には、更なる潜降をもたらすために、可変重量エフェクタを使用することができる。可変抗力エフェクタ、可変揚力エフェクタ、及び可変重量エフェクタという3つ全ての制御影響力を使い果たし、定格速度深度に依然として到達しない場合には、超低速海流のイベントが発生している可能性が高いとすることができ、潜水処理900を終了することができ、THORコントローラは、休止処理1300(例えば、図14に示している)を起動することができる。
【0134】
可変重量エフェクタ、可変揚力エフェクタ、及び/又は可変抗力エフェクタの影響力を使用する潜水処理中に定格速度深度に到達し、定格速度深度が、流体動力学的装置の最大構造圧壊深度になく、その近くになく、又はそれよりも下になく、係留索張力制限を超えていない場合には、潜水プロトコルは、流体動力学的装置をこの定格速度深度に送達した後に正常に終了することができる。潜降処理中に流体動力学的装置が最大構造深度の10メートル前後の範囲に達した場合、又は係留索構造張力制限を超えた場合には、超高速海流のイベントが発生している可能性が高いとすることができ、THORコントローラは、潜水処理900を中断して浮上処理1000(図1000に示している)を起動することができ、それに休止処理1300(図13に示している)の実施が続く。
【0135】
図9を参照すると、最初に実際実時間自由流線流速が識別され、定格速度と比較される(段階901)。この速度が同じ場合は(段階901において「YES」)、潜水は成功したと見なされて完了し(段階902)、同じではない場合には、THORコントローラは、垂直水柱を探査して深度による自由流線流速の変化を識別し、図14を参照して説明する追加情報を提供するためにADCP問い合わせ要求を出すことができる(段階902において「NO」、次に、段階903)。流体動力学的装置は、定格速度が発生する定格速度深度まで潜降し続けることができる(段階904)。
【0136】
流体動力学的装置は、例えば、可変抗力エフェクタが最大抗力条件にない(例えば、抗力フラップが最大位置まで広がっていない)と判断した後に(段階905において「NO」)、可変抗力エフェクタ(例えば、開き抗力フラップ)を高抗力条件に最初に展開させる(又は増分する)(段階906)ことにより、潜降させることができる。可変抗力エフェクタが最大抗力条件にあり、又はこの条件に達して(例えば、開きフラップが最大偏向に達して)(段階905において「YES」)、定格速度深度に到達していない場合には、可変揚力エフェクタが最大下向き力条件(例えば、取付角が負の最大角度にある)にないと判断した後に(段階907において「NO」)、可変揚力エフェクタ(例えば、可変取付角を有する流体力学的翼)をより大きい負の値に調節する(段階908)ことによって更なる潜降を提供することができる。可変揚力エフェクタ(例えば、翼)が最大下向き力条件(例えば、負の最大取付角)にあり、又はこの条件に達して(段階907において「YES」)、定格速度深度に到達していない場合には、可変重量エフェクタが最大重量条件(例えば、バラストタンクが満杯である)にないと判断した後に(段階909において「NO」)、重量を増加させる(例えば、バラストタンクを漸次充填する)ように可変重量エフェクタ(例えば、バラストタンク)を調節することができる(段階910)。
【0137】
可変抗力エフェクタ、可変揚力エフェクタ、及び可変重量エフェクタという3つ全ての制御影響力を使い果たしており(段階905において「YES」、段階907において「YES」、段階909において「YES」)、定格速度深度に到達していない場合には、超低速海流のイベントが発生している可能性が高いとすることができ、潜水処理は失敗して終了する可能性があり(段階912)、THORコントローラは、いかなる電力生成も伴わずに待機して異常な超低速海流のイベントをやり過ごすための手段として休止処理1300を起動する(段階911)。
【0138】
可変抗力エフェクタ、可変揚力エフェクタ、及び可変重量エフェクタが段階的に作動される潜水処理900中には、事前設定限界を超えないように流体動力学的装置の実際深度をモニタすることができ(段階920)、更に、係留索における張力をモニタすることができる(段階921)。事前設定限界を超えた場合、又は危険な程接近した場合は(段階920において「YES」又は段階921において「YES」)、超高速海流のイベントが発生している可能性が高いとすることができ、潜水処理は失敗して終了する可能性があり(段階924)、THORコントローラは、浮上処理1000を起動し(段階922)、それに、待機して異常なイベントをやり過ごすための手段としての休止処理1300が続く(段階923)。潜水処理900は、流体動力学的装置が定格速度深度又は許容範囲で定格速度深度に近い深度に達した場合に正常な完了に達することができる。
【0139】
図9には示していないが、可変抗力エフェクタ、可変揚力エフェクタ、及び可変重量エフェクタの適用後に流体動力学的装置が潜降して定格速度深度よりも若干上の深度で安定することを可能にすることができる。潜水処理900が失敗して終了する(段階924)のではなく、回転翼係合移行処理1100(図11に示している)を起動することができ、それによって回転翼羽根ピッチ角が作動条件に近づく時に回転翼の抗力が増大するので、流体動力学的装置が定格速度深度に達するように更なる潜降をもたらす水中引き込み力を増大させることができる。
【0140】
図10は、流体動力学的装置の浮上を制御するための浮上処理(又はプロトコル)1000の例を示している。浮上処理1000は、水面又は他の指定深度への流体動力学的装置の浮上をもたらすために、例えば、THORコントローラ上に実施することができる。浮上処理1000は、回転翼が係合解除非作動条件にある場合に可変重量エフェクタ、可変揚力エフェクタ、及び可変抗力エフェクタの制御影響力を用いて実施することができる。浮上処理1000は、流体動力学的装置が指定深度に達した場合に正常に終了することができる。浮上処理1000は、例えば、指定深度に到達することができない場合に障害条件で失敗して終了する可能性がある。
【0141】
一般的に、浮上処理1000は、流体動力学的装置を浮上させる上で、最初に可変揚力エフェクタの制御影響力を使用することができる。指定深度に到達せずに可変揚力エフェクタの制御影響力を使い果たした場合には、更なる浮上をもたらすために可変重量エフェクタを使用することができる。可変揚力エフェクタと可変重量エフェクタの両方の制御影響力を使い果たし、指定深度に依然として到達しない場合には、更なる浮上をもたらすために可変抗力エフェクタを使用することができる。可変揚力エフェクタ、可変重量エフェクタ、及び可変抗力エフェクタの全てが有する制御影響力を使い果たし、指定深度に依然として到達せず、浮上速度が実質的にゼロに達した場合には、流体動力学的装置は正の浮力を有するので、極めて重大な障害が発生した可能性が高いとすることができる。このイベントでは、THORコントローラは、基地局(THOR HQ)に保守点検職員を派遣するように信号を送信することができる。上述の浮上処理中に、事前設定浮上速度又は事前設定係留索張力を超えた場合には、事前設定限界を超える原因となった直前のアクションを取り除くために、直前の制御推移を取り消す(逆戻りさせる)ことができる。
【0142】
図10を参照すると、最初に流体動力学的装置の実際実時間深度を識別して、指定深度と比較することができる(段階1001)。指定深度に到達していない場合は(段階1001において「NO」)、図14を参照して説明する追加情報を提供するために、ADCP問い合わせ要求1003を出すことができ(段階1003)、到達した場合には、浮上処理1000は、正常に終了することができる(段階1001において「YES」、次に、段階1002)。流体動力学的装置は、指定深度まで浮上し続けることができる(段階1004)。可変揚力エフェクタが最大揚力条件(例えば、最大取付角)に達していないと判断した後に(段階1005において「NO」)、流体動力学的装置の揚力を増大させるように、可変揚力エフェクタ(例えば、翼)を徐々に調節することができる(例えば、迎角を増大させるために取付角を正の値に漸次的に増大させる)(段階1006)。
【0143】
実際深度が指定深度に達しておらず、(段階1001において「NO」)、最大揚力条件に達した場合に(段階1005において「YES」)、可変重量エフェクタ(例えば、1つ又はそれよりも多くのバラストタンク)が依然として最低条件(例えば、バラスト水が最低値にある)ではないならば(段階1007において「NO」)、可変重量エフェクタが徐々に調節される(例えば、バラストタンクからバラスト水が徐々に排出される)(段階1008)。
【0144】
実際深度が指定深度と依然として等しくなく(段階1001において「NO」)、可変抗力エフェクタ(例えば、開き抗力フラップ)が依然として抗力なし条件又は低抗力条件にない場合は(段階1009において「NO」)、抗力を軽減しながら可変抗力エフェクタを徐々に減分することができ(例えば、開き抗力フラップが閉じられる)(段階1010)、それによって水中引き込み力によって与えられる見かけ重量が低減し、更なる浮上がもたらされる。
【0145】
実際深度が指定深度に依然として等しくない場合には、流体動力学的装置が正の浮力を有するので、極めて重大な障害が発生した可能性が高いとすることができる。このイベントでは、THORコントローラは、THOR HQに保守点検職員を派遣するように信号を送信することができる。浮上処理1000中には、指定最大浮上速度又は指定最大張力値が事前設定限界を超える原因となった可能性がある以前の制御アクションを逆戻りさせることにより、浮上速度を指定速度よりも低く保つことができ、同様に係留索張力を指定値よりも低く保つことができる(段階1020において「YES」又は段階1021において「YES」、次に、段階1022)。浮上処理1000は、実際深度が指定深度と等しくなった時に正常に完了することができる(段階1001において「YES」、次に、段階1002)。
【0146】
図11は、回転翼を係合するための回転翼係合移行処理(又はプロトコル)1100の例を示している。回転翼係合移行処理は、例えば、THORコントローラが実施することができる。回転翼係合移行処理1100は、例えば、潜水処理900(図9に示している)の正常な完了に続いて、電力制御処理800(図8に示している)を用いた作動の直前に起動することができる。一般的に回転翼係合移行処理1100は、定格速度深度において達成することができる。
【0147】
一般的に、回転翼(変換器)係合移行処理1100では、回転翼を係合解除非作動条件から係合作動条件に移行させることができる。この移行は、回転翼羽根が作動ピッチ角に近づく時に抗力を劇的に増大させ、回転翼作動に付随する抗力及び水中引き込み力が徐々に増大し、同時に可変抗力エフェクタによってもたらされる抗力を徐々に低減することができる。更に、滑らかな差し引きゼロの垂直力移行を両方共に必要とする一定深度での回転翼係合移行処理又は一定自由流線流速での回転翼係合移行処理を発生させる速度で、可変揚力エフェクタによって与えられる下向き力を徐々に低減することができ、同様に可変重量エフェクタを漸次的に低減することができる。この移行処理1100中には係留索張力をモニタすることができ、係留索張力が事前設定限界を超えた場合に制御が実施される。
【0148】
特に、回転翼係合移行プロトコル1100は、初期深度及び初期速度を入力として用いて始めることができる(段階1101)。THORコントローラは、初期深度又は初期速度に対応する可変深度のいずれかにおいて回転翼係合移行プロトコル1100を実行することができる。初期速度は、後に説明するように定格速度とすることができる(段階1122)。回転翼羽根が作動条件において完全に係合しておらず(段階1102において「NO」)、可変抗力エフェクタ(例えば、開き抗力フラップ)が抗力なし条件にない場合は(段階1105において「NO」)、回転翼羽根ピッチ角が作動条件に向けて進行し続ける(段階1104)時に、抗力エフェクタを抗力なし条件まで徐々に閉じることができる(例えば、開き抗力フラップを徐々に内向きに偏向させることができる)(段階1106)。可変抗力エフェクタ(開き抗力フラップ)変化と回転翼羽根ピッチ角変化の間のこの抗力交換処理では、この抗力エフェクタの後退(段階1106)に寄与することができる減少する水中引き込み力は、回転翼羽根ピッチ角の進行(段階1104)に寄与することができる増大する水中引き込み力と共に、垂直力平衡を差し引きゼロに保つことができ、それによって流体動力学的装置が、初期深度又は初期速度に対応する可変深度に留まることを可能にする。回転翼羽根ピッチ角が完全係合作動ピッチ角に達しておらず(段階1102において「NO」)、最大揚力条件(例えば、取付角が依然として最大値にない)に達していない場合は(段階1107において「NO」)、進行する回転翼羽根ピッチ角(段階1104)の増大する抗力に寄与することができる増大する水中引き込み力と、可変揚力エフェクタの正に増大する揚力(例えば、取付角)(段階1108)に寄与することができる増大する揚力(又は同じく、減少する下向き力)との間で第2の垂直力交換処理を発生させることができる。回転翼羽根ピッチ角が依然として完全係合作動ピッチ角に達していない場合は(段階1102において「NO」)、可変重量エフェクタが最小条件(例えば、バラスト水が最低値にある)にないという判断が行われた後に(段階1109において「NO」)、進行する回転翼羽根ピッチ角(段階1104)の増大する抗力に寄与することができる増大する水中引き込み力と、可変重量エフェクタが流体動力学的装置の重量を低減する(例えば、バラストタンク内のバラスト水が排出される)ことによる重量力の低減との間で第3の垂直力交換処理を発生させることができる。
【0149】
回転翼羽根1102が完全に係合した条件に留まっておらず(段階1102において「NO」)、可変抗力エフェクタが最小又はゼロ抗力条件にあり(段階1105において「YES」)、可変揚力エフェクタが最大揚力条件にあり(段階1105において「YES」)、かつ可変重量エフェクタが最小重量条件にある場合は(段階1109において「YES」)、障害信号を発生させることができる(段階1111)。
【0150】
回転翼係合移行処理1100における上述の垂直力交換処理中には、係留索張力が事前設定限界を超えないことを保証するために、係留索張力をモニタして(段階1120)、例えば、可変抗力エフェクタによる抗力の減少のような補正アクションと取ることができる(段階1120において「NO」、次に、段階1121)。図11で明らかなように、回転翼係合移行処理1100が初期深度で発生することを保証するために、初期深度が実際深度よりも小さいか否かの判断Errを行うことができる(段階1122)。この点に関して、例えば、深度が事前設定限界を超えたと判断された場合は(段階1122においてErr>0)、事前設定限界を超える原因となった直前の制御推移を削除するために直前の制御推移を取り消す(逆戻りさせる)ことができ(段階1123)、超えなかったと判断された場合には、直前の制御推移を繰り返すことができる(段階1122においてErr<0、次に、段階1124)。段階1122における処理は、回転翼係合移行処理1100が、初期速度に対応する可変深度において発生することを保証することができる。回転翼係合移行処理1100は、例えば、数分間にわたって発生させることができ、自由流線流速条件がこの同じ期間中に変化する可能性が低いとすると、段階1122に表す初期深度又は初期速度の判断は同一とすることができる。
【0151】
可変重量エフェクタ、可変揚力エフェクタ、及び可変抗力エフェクタの制御影響力を使い果たしており、回転翼羽根が係合作動条件に達していない場合は(段階1102において「NO」)、THORコントローラは、回転翼羽根を係合作動条件に設定することが許された場合に生じる可能性がある深度変化を判断するために、ADCP問い合わせ要求を出すことができる。深度変化が許容可能であると見なされた場合には、THORコントローラは、初期深度要件又は初期速度要件から逸脱して(1122)、係合作動条件への回転翼羽根の最終ピッチ角変更を完了することができる(段階1102において「YES」、次に、段階1103)。回転翼係合移行処理1100は、回転翼羽根ピッチ角が係合して作動しており、かつ可変抗力エフェクタが完全後退抗力なし条件にある時に、正常に完了することができる(段階1102において「YES」、次に、段階1103)。
【0152】
図12は、回転翼を外すための処理回転翼(変換器)係合解除移行処理(又はプロトコル)1200の例を示している。回転翼係合解除移行処理1200は、電力制御処理800(図8に示している)の終了に続いて、浮上処理1000(図10に示している)又は休止処理1300(図13に示している)の前に起動することができる。一般的に、回転翼係合解除移行処理1200は、定格速度深度において達成することができ、又は他の深度又は自由流線速度において達成することができる。回転翼係合解除移行処理は、例えば、流体動力学的装置上の回転翼の回転翼係合解除を行うためにTHORコントローラが実施することができる。
【0153】
一般的に、回転翼係合解除移行処理1200では、回転翼は係合作動条件から係合解除非作動条件に移行され、それによって回転翼羽根が非作動完全フェザリングピッチ角に近づく時に抗力を劇的に低減することができる。回転翼作動に付随する抗力及び水中引き込み力を徐々に低減することができる一方、抗力エフェクタによってもたらされる抗力を徐々に増分することができる。更に、滑らかな差し引きゼロの垂直力移行を両方共に必要とする一定深度での回転翼係合解除移行処理1200又は一定速度に対応する可変深度での回転翼係合解除移行処理1200を発生させる速度で、揚力エフェクタによって与えられる下向き力を徐々に増大させることができ、同様に重量エフェクタを漸次的に増大させることができる。この移行処理中に、係留索張力をモニタして、係留索張力が事前設定限界を超えた場合に制御を実行することができる。
【0154】
特に、回転翼係合解除移行処理1200は、初期深度及び初期速度を入力として用いて始めることができる(段階1201)。THORコントローラは、初期深度又は初期速度(段階1222)において回転翼係合移行処理1200を実行することができる。回転翼羽根が、非作動条件において完全にフェザリング及び係合解除されておらず(段階1202において「NO」)、可変抗力エフェクタが高抗力条件にない場合は(段階1205において「NO」)、回転翼羽根ピッチ角が、完全フェザリング非作動条件に向けて減分し続ける(段階1204)時に、可変抗力エフェクタを高抗力条件に徐々に展開させることができる(例えば、抗力フラップを徐々に外向きに偏向させることができる)(段階1206)。抗力エフェクタと回転翼羽根ピッチ角の間のこの抗力交換処理では、抗力エフェクタによる抗力の増大(段階1206)に寄与することができる増大する水中引き込み力は、回転翼羽根ピッチ角の減分(段階1204)に寄与することができる減少する水中引き込み力と共に、垂直力平衡を差し引きゼロに保つことができ、それによって流体動力学的装置が一定深度又は一定速度に対応する可変深度に留まることを可能にする。
【0155】
回転翼羽根ピッチ角が完全フェザリング非作動条件に達しておらず(段階1202において「NO」)、抗力エフェクタの制御影響力を使い果たしている(例えば、抗力フラップが最大位置まで偏向されている)場合は(段階1205において「YES」)、減分する回転翼羽根ピッチ角(段階1204)の減少する抗力に寄与することができる減少する水中引き込み力と、揚力エフェクタによって揚力(例えば、取付角)がより大きい負の値に減少することによる下向き力の増大との間で第2の垂直力交換処理を発生させることができる。
【0156】
回転翼羽根ピッチ角が依然として完全フェザリング非作動条件に達しておらず(段階1202において「NO」)、揚力エフェクタ(例えば、翼)の制御影響力を使い果たしている(例えば、取付角が負の最大値にある)場合は(段階1207において「YES」)、減分する回転翼羽根ピッチ角(段階1204)の減少する抗力に寄与することができる減少する水中引き込み力と、重量エフェクタによる重量増加(例えば、バラストタンク内のバラスト水を増加させる)(段階1210)との間で第3の垂直力交換処理を発生させることができる。
【0157】
回転翼羽根ピッチ角が依然として完全フェザリング非作動条件に達しておらず(段階1202において「NO」)、重量エフェクタの制御影響力を使い果たしている(例えば、バラスト水が最大値にある)場合は(段階1209において「YES」)、障害条件(段階1211)を判断することができる。
【0158】
上述の垂直力交換処理中には、係留索張力が事前設定限界を超えないことを保証するために、係留索張力をモニタすることができ(段階1220)、例えば、抗力を減少する(例えば、抗力フラップの偏向を低減する)(段階1120において「NO」、次に、段階1221)のような補正アクションを取ることができる。図12で明らかなように、回転翼係合解除移行処理1200が初期深度で発生することを保証するために、初期深度が実際深度よりも小さいか否かの判断Errを行うことができる(段階1222)。この点に関して、例えば、深度が事前設定限界を超えたと判断された場合は(段階1222においてErr>0)、事前設定限界を超える原因となった直前の制御推移を削除するために直前の制御推移を取り消す(逆戻りさせる)ことができ(段階1223)、超えなかったと判断された場合には、直前の制御推移を繰り返すことができる(段階1222においてErr<0、次に、段階1224)。段階1222における処理は、代替的に、移行処理1200が、一定速度に対応する深度において発生することを速度に基づく誤差信号を使用することによって保証することができる(段階1222)。回転翼係合解除移行処理1200は、例えば、数分間にわたって発生させることができ、自由流線流速条件が短い継続期間中に変化する可能性が低いとすると、段階1222に表す一定深度又は一定速度の判断は同一とすることができる。
【0159】
重量エフェクタ、揚力エフェクタ、及び抗力エフェクタの制御影響力を使い果たしており、回転翼羽根が係合解除非作動条件に達していない場合には、THORコントローラは、回転翼羽根を係合解除非作動条件に設定することが許された場合に生じる可能性がある深度変化を判断するために、ADCP問い合わせ要求を出すことができる。深度変化が許容可能であると見なされた場合には、THORコントローラは、段階1222の一定深度要件又は一定速度要件から逸脱して、係合解除非作動条件への回転翼羽根の残りのピッチ角変更を完了することができる。回転翼係合解除移行処理1200は、回転翼羽根ピッチ角が係合解除され、非作動であり、かつ可変抗力エフェクタが高抗力条件まで広げられた時に正常に完了することができる(段階1202において「YES」、次に、段階1203)。
【0160】
図13は、流体動力学的装置を実質的にゼロの電力生成に維持するための休止処理(又はプロトコル)1300の例を示している。休止処理1300は、例えば、THORコントローラが実施することができる。休止処理1300は、電力生成を停止することが有利である時にはいつでも起動することができ、流体動力学的装置に一定深度又は一定速度に対応する可変深度で休止又は待機させることができる。休止処理1300は、ハリケーン、台風、又は津波などを含む破壊的な気象イベントの通過中に使用することができ、同様に絶滅の危機に瀕した海洋哺乳動物の通過中に衝突回避を保証するために使用することができる。また、休止処理1300は、超高速又は超低速のイベントのような異常な自由流線海流のイベント中にTHORコントローラによって起動することができる。
【0161】
一般的に、休止プロトコル1300は、指定された一定のターゲット深度又は一定のターゲット速度に対応する可変深度に留まるために重量エフェクタ、揚力エフェクタ、及び抗力エフェクタの制御影響力を使用する。自由流線海流の流れ条件が変化する時に休止条件のまま浮上してターゲットを追跡するために(段階1310)、最初に揚力エフェクタの制御影響力を使い果たすことができ(例えば、取付角を最大位置に達するまで増大させる)(段階1312、段階1311において「YES」)、ターゲット深度又はターゲット速度に到達しなかった場合には、ターゲット深度又はターゲット速度に到達するために、次に、重量エフェクタの制御影響力を使い果たすことができる(例えば、最低値に達するまでバラスト水を排出される)(段階1314、段階1313において「YES」)。依然としてターゲットに到達しなかった場合には、ターゲット深度又はターゲット速度に到達するために、抗力エフェクタの制御影響力を使用することができる(例えば、偏向が実質的にゼロになるまで抗力フラップの偏向を低減する)(段階1316)。浮上速度が実質的にゼロに等しいか否かの判断を行うことができる(段階1317)。浮上速度が実質的にゼロに等しく(段階1317において「YES」)、依然としてターゲットに到達しておらず、かつ抗力エフェクタを使い果たした場合は(段階1315において「YES」)、可変重量エフェクタ、可変揚力エフェクタ、及び可変抗力エフェクタの制御影響力に速度又は深度を補償する余地が依然として存在するように、重量、揚力、及び抗力の一部分を若干低減した後に発生する速度又は深度にターゲット深度又はターゲット速度を設定し直すことができる(段階1318)。
【0162】
自由流線海流の流れ条件が変化する時に休止条件のまま潜降して(段階1320)ターゲットを追跡するために、最初に抗力エフェクタの制御影響力を使い果たすことができ(例えば、抗力フラップの偏向を偏向が最大に達するまで増大させる)(段階1322、段階1321において「YES」)、ターゲット深度又はターゲット速度に到達しなかった場合には、ターゲット深度又はターゲット速度に到達するために、次に、揚力エフェクタの制御影響力を使い果たすことができる(例えば、取付角を負の最大値に達するまで減分する)(段階1324、段階1323において「YES」)。依然としてターゲットに到達しなかった場合には、ターゲット深度又はターゲット速度に到達するために、重量エフェクタの制御影響力を使用することができる(例えば、バラスト水を増加させる)(段階1326)。
【0163】
依然としてターゲットに到達しておらず、重量エフェクタの制御影響力を使い果たした場合は(例えば、バラスト水が最大値にある)(段階1325において「YES」)、潜降速度が実質的にゼロに等しいか否かの判断を行うことができる(段階1327)。潜降速度が実質的にゼロに等しく(段階1327において「YES」)、依然としてターゲットに到達しておらず、かつ重量エフェクタを使い果たした場合は(段階1325において「YES」)、エフェクタの制御影響力に速度又は深度を補償する余地が依然として存在するように、重量エフェクタ、揚力エフェクタ、及び抗力エフェクタの一部分を若干増大させた後に発生する速度又は深度にターゲット深度又はターゲット速度を設定し直すことができる(段階1328)。更に、流体動力学的装置が、垂直水柱を探査して条件が電力生成に好ましいか否かを判断するために搭載ADCPユニットを使用することができるように、休止処理1300は、図13に説明しているADCP問い合わせプロトコルを含むことができる。
【0164】
特に、ターゲット深度が指定される場合は(段階1301)、深度誤差信号は、ターゲット深度から実際深度を差し引いたものとして計算することができる(段階1302)。ターゲット速度が指定される場合は(段階1301)、速度誤差信号は、計測速度からターゲット速度を差し引いたものとして計算することができる(段階1302)。誤差信号がゼロよりも大きいと判断され(段階1302においてErr>0)、抗力エフェクタ(開き抗力フラップ)が依然として完全に広がっていない場合は(段階1321において「NO」)、THORコントローラは、最初に抗力エフェクタ(例えば、開き抗力フラップ)を高抗力条件まで広げ(段階1322)、それによって水中引き込み力の増大をもたらして更なる潜降をもたらすことにより、恐らくはより深い深度に流体動力学的装置の深度を調節することができる(段階1320)。
【0165】
誤差信号がゼロよりも大きい条件に留まり(段階1302においてErr>0)、下向き力(取付角)が依然として負の最大値にない場合は(段階1323において「NO」)、揚力エフェクタを使用することができ(例えば、取付角をより大きい負の値に進めることができる)(段階1324)、それによって下向き力が増大し、更なる潜降がもたらされる。
【0166】
依然として誤差信号がゼロよりも大きい条件に留まり、重量が依然として最大値にない場合は(段階1325において「NO」)、重量エフェクタを使用することができ(例えば、バラストタンク内のバラスト水を増加させることができる)(段階1326)、更なる潜降がもたらされる。
【0167】
潜降速度がほぼゼロであり(段階1327において「YES」)、誤差信号が依然としてゼロよりも大きい場合は(段階1302においてErr>0)、重量エフェクタ及び揚力エフェクタに一部の制御の余地を確保するために、重量(バラスト水)を若干排出することができ、下向き力を若干低減することができ、ターゲット深度又はターゲット速度を現在の深度又は速度に設定し直すことができ、それによって誤差信号Errがゼロになる(段階1302)。誤差信号がゼロになると(段階1302においてErr=0)、休止処理1300は、ゼロ誤差信号を保証すること(段階1302においてErr=0)によって現在の深度又は速度を維持することができる(段階1306)。休止処理1300は、例えば、THORコントローラが別の指令を起動する時に終了させることができる(段階1303)。
【0168】
誤差信号Errがゼロよりも小さく(段階1302においてErr<0)、揚力(取付角)が依然として正の最大値にない場合は(段階1311において「NO」))、THORコントローラは、最初に揚力(例えば、取付角)をより大きい正の値に増大させる(段階1312)ことによって流体動力学的装置の深度を恐らくはより浅い深度に調節することができる(段階1310)。
【0169】
依然として誤差信号がゼロよりも小さく(段階1302においてErr<0)、重量(バラスト水)が依然として最低値にない場合は(段階1313において「NO」)、重量を低減することができ(例えば、バラストタンク内のバラスト水を低減することができる)(段階1314)、更なる浮上がもたらされる。
【0170】
誤差信号がゼロよりも小さく(段階1302においてErr<0)、抗力が依然として最小抗力条件にない場合は(1315において「NO」)、抗力を徐々に低減することができる(例えば、開き抗力フラップを徐々に閉じることができる)(段階1316)。
【0171】
浮上速度がほぼゼロに達して(段階1317)、誤差信号が依然としてゼロよりも小さい場合は(段階1302においてErr<0)、重量エフェクタ及び揚力エフェクタに制御影響力の一部の余地を確保するために、重量(バラスト水)を若干増加させ、下向き力を若干増大させることができ、ターゲット深度又はターゲット速度を現在の深度又は速度に設定し直すことができ(段階1318)、それによって誤差信号Errはゼロになる。誤差信号がゼロになると(段階1302においてErr=0)、休止処理1300は、ゼロ誤差信号Errを保証することによって現在の深度又は速度を維持することができる(段階1306)。休止処理1300は、THORコントローラが別の指令を起動する時に終了させることができる(段階1303)。
【0172】
図14は、流速を判断するための音響ドップラー流速分布(ADCP)問い合わせ処理(又はプロトコル)の例を示している。流体動力学的装置は、既存の自由流線海流の流れ場の速度及びこの速度が発生する深度の情報を取得するために流体動力学的装置の上下の垂直水柱内に可聴周波数の「ソナー音」を発することができる(段階1402)搭載上方及び/又は下方探査ADCPユニット1411を含むことができる。ADCP問い合わせ処理1400によって戻されるデータは、垂直水柱内のどこかに流体動力学的装置の定格速度が存在するか否かを判断することを含む多くの用法を有することができ、又は本明細書に提供する方法の適用を強化することができるが、依然として本明細書に提供する方法の範囲又は精神から逸脱しないより高いレベルの予測及び/又は補正制御アルゴリズム又は進み及び/又は遅れ制御アルゴリズムを使用することができる追加情報を含むことができる。
【0173】
一般的に、ADCP問い合わせ処理1400は、いかなる時点においても起動することができ、その時に実施条件にあるとすることができる実行中の処理を中断しないとすることができる(段階1401)。ADCPユニット1411は、既存の自由流線海流の流れ場の速度及びこの速度が発生する深度の情報を取得するために、流体動力学的装置の上下の垂直水柱内に可聴周波数の「ソナー音」を発することができる(段階1402)。定格速度が水柱に存在するか否かの判断を行うことができる(段階1403)。定格速度が水柱に存在するという判断が行われた場合は(段階1403において「YES」)、ADCPユニット1411は、THORコントローラ及び/又はTHOR HQと再接続して(段階1404)、速度値及び深度値を記憶し、及び/又はTHOR HQに報告することができる(段階1406)。水柱内に定格速度が存在しないという判断が行われた場合は(段階1403において「NO」)、測定された速度値及び深度値が記憶され、及び/又はTHOR HQに報告される(段階1406)。
【0174】
定格速度データ(段階1403)を含むADCP問い合わせからのデータは、THORコントローラのメモリ(図示せず)に記憶することができ、THOR HQに通信することができ、又はそれを使用して、THORコントローラが休止処理を終了し、潜水処理を開始し、かつその後に継続的な電力生成に向けて電力制御処理に入ることができる。
【0175】
本発明の開示の態様により、内部に複数のコード区画(又はセグメント)が有形に収録されたコンピュータプログラムを含むコンピュータ可読媒体を提供することができる。コンピュータプログラムは、図2C、2D、6、7、8、9、10、11、12、13、及び14に示す処理350、360、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、及び1400内の段階の各々に対するコード区画を含むことができる。例えば、流体動力学的装置100又は基地局内の搭載コントローラ上で実行されると、コンピュータプログラムは、処理350、360、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、又は1400内の段階の各々を実施させることができる。
【0176】
単一の流体動力学的装置又はそのアレイの電力出力を最大化、調整、及び/又は制御する段階を含む様々な利点を得るために流体動力学的装置の作動を実施するコントローラを使用することができる方法及びプロトコルを開示した。流体動力学的装置が配備される自由流線海流の逆速度剪断挙動が与えられると、定格速度深度(定格速度が発生する深度)及び定格電力深度(定格電力が得られる深度)という概念、並びに海流の流れ挙動に固有のいずれかの深度において最も頻繁に発生する単一の速度である単一の極大点速度が存在するという発見が導入された。更に、流体動力学的装置を単一の極大点速度に対応する定格速度に適応させ、本発明の開示の深度変更処理(プロトコル)を有する電力制御処理(プロトコル)を用い、可変重量エフェクタ、可変揚力エフェクタ、及び可変抗力エフェクタを調整することによって流体動力学的装置に定格電力深度を絶えず追跡して再捕捉させることができ、それによって長期にわたる定格電力生成がもたらされる。定格電力深度の追跡及び再捕捉は、ターゲット発電機電力出力を設定すること、発電機電力出力を感知するための機構、及び発電機電力出力を感知するのに応じて、深度変更処理を有する電力制御処理(又はプロトコル)を起動して流体動力学的装置をターゲット発電機電力出力に維持することを含む。指定部分電力深度及び電力調整係数という付加的な概念は、単一の流体動力学的装置又はそのアレイからの電力生成レベルの調整及び制御を可能にする。
【0177】
重量エフェクタと揚力エフェクタと抗力エフェクタの間の制御影響力の滑らかな交換、及び係合作動回転翼羽根ピッチ角又は係合解除非作動回転翼羽根ピッチ角それぞれを可能にする回転翼(変換器)係合移行処理及び回転翼(変換器)係合解除移行処理を開示した。これらの移行プロトコルは、一定深度又は一定速度に対応する可変深度において発生させることができる垂直力差し引きゼロというターゲットを伴って発生させることができる。更に、これらの移行プロトコルは、一定深度又は一定速度に対応する可変深度で発生させることができる一定抗力というターゲットを伴って発生させることができる。
【0178】
他の作動的利点をもたらす潜水、浮上、休止、及びADCPを含む他の処理(又はプロトコル)を説明した。本明細書に提供した様々な方法は、本発明の開示の範囲又は精神から逸脱することなく、流体動力学的装置の作動及びエネルギ出力を最大化、調整、及び制御するための他の方法をもたらすように様々な程度で組み合わせることができる。誤差信号をより迅速にゼロに追い込むために、本発明の開示の範囲又は精神から逸脱することなく、提供した方法に予測/補正、進み/遅れ、及び/又は予測に基づく制御アルゴリズムを含む他のより高レベルの技術を組み込むことができる。本発明の開示の好ましい実施形態を特定の用語を用いて説明したが、そのような説明は単に例示目的のものであり、以下に続く特許請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなく変形及び修正を加えることができることは理解されるものとする。
【0179】
本発明の開示の様々な実施形態により、本明細書に説明した方法は、コンピュータ上で実行されるソフトウエアプログラムとしての作動を意図したものである。同様に、以下に限定されるものではないが、特定用途向け集積回路、プログラマブル論理アレイ、及び他のハードウエア装置を含む専用ハードウエア実施は、本明細書に説明する方法を実施するように構成することができる。更に、以下に限定されるものではないが、分散処理又はコンポーネント/オブジェクト分散処理、並列処理、又は仮想マシン処理を含む別のソフトウエア実施を本明細書に説明した方法を実施するように構成することができる。
【0180】
本明細書は、実施形態において実施される構成要素及び機能を特定の規格及びプロトコルを参照して説明したが、本発明の開示は、そのような規格及びプロトコルに限定されない。従って、同じ機能を有する代替規格及び代替プロトコルを均等物と見なす。
【0181】
本発明の開示は、例示的な実施形態に関して説明したが、当業者は、特許請求の範囲の精神及び範囲に修正を加えて本発明の開示を実施することができることを認識するであろう。上記に提供したこれらの例は単に例示的であり、本発明の開示の全ての可能な設計、実施形態、用途、又は修正の網羅的な列挙であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0182】
1 定格速度が発生する点
2 定格電力
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギ変換器を含む流体動力学的装置を制御する方法であって、
流体動力学的装置に対してターゲット発電機出力レベルを設定する段階と、
前記流体動力学的装置の実際発電機出力レベルをモニタする段階と、
前記ターゲット発電機出力レベルを前記実際発電機出力レベルと比較して誤差信号を判断する段階と、
前記流体動力学的装置を前記ターゲット発電機出力レベルに維持するために該流体動力学的装置の深度を前記誤差信号に基づいて調節する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記流体動力学的装置の深度を調節する前記段階は、
深度変更プロトコルを有する電力制御プロトコルを起動する段階、
を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流体動力学的装置の前記深度を調節する前記段階は、前記誤差信号に基づいて該流体動力学的装置の重量、揚力、又は抗力のうちの1つを変更する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記誤差信号がゼロ又はほぼゼロである時に、
流れ外乱を最小にするために等しい量で揚力を重量と交換する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
垂直水柱内で最も頻繁に発生する単一自由流線流速に基づいて回転翼サイズを判断する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記垂直水柱内で最も頻繁に発生する前記単一自由流線流速に基づいて回転翼掃引面積を調節する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
複数のパラメータをモニタする段階と、
前記複数のパラメータの各々を該複数のパラメータの各々に対して確立された事前設定限界と比較する段階と、
前記複数のパラメータの1つ又はそれよりも多くが、該複数のパラメータの該1つ又はそれよりも多くに対して確立された前記事前設定限界を超えた時に障害条件を起動する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記障害条件は、
前記複数のパラメータの前記1つ又はそれよりも多くがそれぞれの前記事前設定限界に等しいか又はそれ未満になるまで前記エネルギ変換器を流体の流れから外す段階、
を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のパラメータは、
水柱内内の自由流線流速、
前記水柱内の前記流体動力学的装置の実際深度、
係留索張力、
衝突の危険を生じる場合がある海洋生物の存在、
潜在的に破壊的な気象イベントの通過、
実際実時間発電機電力出力レベル、又は
電力調整係数、
を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記流体動力学的装置は、各々がエネルギ変換器を有する流体動力学的装置のアレイに配備され、方法が、
実際発電機電力出力レベル測定値信号を基地局に送信する段階と、
個々の電力調整係数を前記基地局から受信する段階と、
を更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記実際発電機電力出力レベルは、流体動力学的装置の前記アレイ内の前記流体動力学的装置のうちの別のものから受信される別の実際発電機電力出力レベルと前記基地局において統合されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記個々の電力調整係数は、流体動力学的装置の前記アレイ内の前記流体動力学的装置の全てに対するターゲット統合電力出力レベルと、流体動力学的装置の該アレイ内の該流体動力学的装置の全てに対する実際統合電力出力レベルとに基づいて発生されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記流体動力学的装置は、流体動力学的装置のアレイに配備され、方法が、
基地局から個々の電力調整係数を受信する段階、
を更に含み、
前記流体動力学的装置の前記深度は、前記個々の電力調整係数に基づいて更に調節される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
エネルギ変換器を含む流体動力学的装置を作動させる方法であって、
エネルギ変換器が流体の流れに係合するか又はそこから外れる量を徐々に増大又は低減する段階と、
前記流体動力学的装置が所定の条件を取得又は維持するように該流体動力学的装置の重量、揚力、又は抗力のうちの少なくとも1つを徐々に変化させる段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記所定の条件は、
実質的にゼロである統合垂直力平衡、
を含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記所定の条件は、
実質的にゼロである統合抗力平衡、
を含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記所定の条件は、
自由流線流速に対応する深度、
を含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
各流体動力学的装置がエネルギ変換器を含む流体動力学的装置のアレイを制御する方法であって、
流体動力学的装置のアレイに対してターゲット統合電力レベルを設定する段階と、
流体動力学的装置の前記アレイの実際統合電力出力レベルをモニタする段階と、
前記ターゲット統合電力レベルと前記実際統合電力出力レベルを比較して誤差信号を判断する段階と、
流体動力学的装置の前記アレイ内の前記流体動力学的装置の1つ又はそれよりも多くに対して電力調整係数を割り当てる段階と、
前記誤差信号に基づいて前記1つ又はそれよりも多くの流体動力学的装置の深度を調節し、流体動力学的装置の前記アレイを前記ターゲット統合電力レベルに維持する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記1つ又はそれよりも多くの流体動力学的装置の深度を調節する前記段階は、
深度変更プロトコルを有する電力制御プロトコルを起動する段階、
を含む、
ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記流体動力学的装置が指定電力出力レベルを取得又は維持するように、流体動力学的装置の前記アレイ内の該流体動力学的装置の少なくとも1つの重量、揚力、又は抗力のうちの少なくとも1つを徐々に変化させる段階、
を更に含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記指定電力出力レベルは、
定格電力と前記電力調整係数との積、
を含む、
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記指定電力出力レベルは、実時間で基地局に通信されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
流体動力学的装置を制御するためのシステムであって、
(i)流体動力学的装置に対してターゲット条件を設定し、(ii)該流体動力学的装置の実際条件をモニタし、(iii)該ターゲット条件を該実際条件と比較して誤差信号を判断し、かつ(iv)該流体動力学的装置の深度を該誤差信号に基づいて調節するように構成された搭載コントローラと、
水流からの運動エネルギを利用するように構成されたエネルギ変換器と、
前記流体動力学的装置を前記ターゲット条件に維持するように構成された可変エフェクタと、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項24】
前記可変エフェクタは、
前記流体動力学的装置の重量を調節するように構成された可変重量エフェクタ、
前記流体動力学的装置の揚力を調節するように構成された可変揚力エフェクタ、
前記流体動力学的装置の抗力を調節するように構成された可変抗力エフェクタ、又は
前記運動エネルギが前記エネルギ変換器によって利用される率を調節するように構成されたエネルギ変換器変化エフェクタ、
を含む、
ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記ターゲット条件は、ターゲット発電機電力出力レベルを含み、
前記実際条件は、実際発電機電力出力レベルを含む、
ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記ターゲット条件は、ターゲット自由流線流速を含み、
前記実際条件は、実際自由流線流速を含む、
ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
前記搭載コントローラは、(iv)複数のパラメータをモニタし、(v)該複数のパラメータの各々を該複数のパラメータの各々に対して確立された事前設定限界と比較し、かつ(vi)該複数のパラメータの1つ又はそれよりも多くが該複数のパラメータの該1つ又はそれよりも多くに対して設定された該事前設定限界を超えた時に障害条件を起動するように更に構成されることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項28】
前記障害条件は、
前記複数のパラメータの前記1つ又はそれよりも多くがそれぞれの前記事前設定限界に等しいか又はそれ未満になるまで前記エネルギ変換器を流体の流れから外す段階、
を含む、
ことを特徴とする請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記複数のパラメータは、
水柱内の自由流線流速、
前記水柱内の前記流体動力学的装置の実際深度、
係留索内の係留索張力、
衝突の危険を生じる場合がある海洋生物の存在、
潜在的に破壊的な気象イベントの通過、
実際電力出力レベル、又は
電力調整係数、
を含む、
ことを特徴とする請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記流体動力学的装置は、各々がエネルギ変換器を有する流体動力学的装置のアレイに配備され、システムが、
前記実際発電機電力出力レベルを基地局に送信し、かつ個々の電力調整係数を該基地局から受信するように構成された搭載通信器、
を更に含む、
ことを特徴とする請求項25に記載のシステム。
【請求項31】
前記実際発電機電力出力レベルは、流体動力学的装置の前記アレイ内の前記流体動力学的装置のうちの別のものから受信される別の実際発電機電力出力レベルと前記基地局において統合されることを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記個々の電力調整係数は、流体動力学的装置の前記アレイ内の前記流体動力学的装置の全てに対するターゲット統合電力出力レベルと、該流体動力学的装置アレイ内の該流体動力学的装置の全てに対する実際統合電力出力レベルとに基づいて発生されることを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記流体動力学的装置は、流体動力学的装置のアレイに配備され、システムが、
個々の電力調整係数を基地局から受信するように構成された搭載通信器、
を更に含み、
前記可変エフェクタは、前記個々の電力調整係数に基づいて制御される、
ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項34】
可変制御回転翼を含む流体動力学的装置を制御する方法であって、
流体動力学的装置に対してターゲット条件を設定する段階と、
前記流体動力学的装置の実際条件をモニタする段階と、
前記ターゲット条件を前記実際条件と比較して誤差信号を判断する段階と、
前記流体動力学的装置を前記ターゲット条件に維持するために該流体動力学的装置の深度を前記誤差信号に基づいて調節する段階と、
を含み、
前記ターゲット条件は、ターゲット発電機電力出力レベル又はターゲット自由流線流速を含み、
前記実際条件は、実際発電機電力出力レベル又は実際自由流線流速を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項35】
前記流体動力学的装置の深度を調節する前記段階は、
深度変更プロトコルを有する電力制御プロトコルを起動する段階、
を含む、
ことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
複数のパラメータをモニタする段階と、
前記複数のパラメータの各々を該複数のパラメータの各々に対して確立された事前設定限界と比較する段階と、
前記複数のパラメータの1つ又はそれよりも多くが該複数のパラメータの該1つ又はそれよりも多くに対して確立された前記事前設定限界を超えた時に障害条件を起動する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記障害条件は、
前記複数のパラメータの前記1つ又はそれよりも多くがそれぞれの前記事前設定限界に等しいか又はそれ未満になるまで前記エネルギ変換器を流体の流れから外す段階、
を含む、
ことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記複数のパラメータは、
水柱内の自由流線流速、
前記水柱内の前記流体動力学的装置の実際深度、
係留索の係留索張力、
衝突の危険を生じる場合がある海洋生物の存在、
潜在的に破壊的な気象イベントの通過、
実際発電機電力出力レベル、又は
電力調整係数、
を含む、
ことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記流体動力学的装置は、流体動力学的装置のアレイに配備され、方法が、
実際発電機電力出力レベル測定値信号を基地局に送信する段階と、
個々の電力調整係数を前記基地局から受信する段階と、
を更に含む、
ことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記実際発電機電力出力レベルは、流体動力学的装置の前記アレイ内の前記流体動力学的装置のうちの別のものから受信される別の実際発電機電力出力レベルと前記基地局において統合され、又は
前記個々の電力調整係数は、流体動力学的装置の前記アレイ内の前記流体動力学的装置の全てに対するターゲット統合電力出力レベルと、流体動力学的装置の該アレイ内の該流体動力学的装置の全てに対する実際統合電力出力レベルとに基づいて発生される、
ことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記流体動力学的装置は、流体動力学的装置のアレイに配備され、方法が、
基地局から個々の電力調整係数を受信する段階、
を更に含み、
前記流体動力学的装置の前記深度を調節する前記段階は、前記個々の電力調整係数に更に基づく、
ことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項42】
水流からの運動エネルギを利用して電気エネルギを発生させる発電装置であって、
運動エネルギを利用するように構成されたエネルギ変換器と、
前記エネルギ変換器に結合された発電機と、
装置の重量、揚力、又は抗力のうちの少なくとも1つに作用するように構成された可変エフェクタと、
前記発電機の実際発電機電力出力レベルを検出するように構成された電力出力センサと、
前記実際発電機電力出力レベルとターゲット発電機電力出力レベルとの差に基づいて装置の作動深度を調節するために装置の前記重量、前記揚力、又は前記抗力のうちの少なくとも1つを変化させるように前記可変エフェクタを制御するようになった搭載コントローラと、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項43】
エネルギ変換器を含む流体動力学的装置を制御する方法であって、
流体動力学的装置に対してターゲット自由流線流速を設定する段階と、
実際自由流線流速をモニタする段階と、
前記ターゲット自由流線流速を前記実際自由流線流速と比較して誤差信号を判断する段階と、
前記流体動力学的装置の深度を前記誤差信号に基づいて調節し、該流体動力学的装置を前記ターゲット自由流線流速に維持する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
前記流体動力学的装置の深度を調節する前記段階は、
深度変更プロトコルを有する電力制御プロトコルを起動する段階、
を含む、
ことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記流体動力学的装置の前記深度を調節する前記段階は、前記誤差信号に基づいて該流体動力学的装置の重量、揚力、又は抗力のうちの1つを変更する段階を含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記誤差信号がゼロ又はほぼゼロである時に、
流れ外乱を最小にするために等しい量で揚力を重量と交換する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記エネルギ変換器は、可変制御回転翼を含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項48】
垂直水柱内で最も頻繁に発生する単一自由流線流速に基づいて回転翼サイズを判断する段階、又は
前記垂直水柱内で最も頻繁に発生する前記単一自由流線流速に基づいて回転翼掃引面積を調節する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項49】
複数のパラメータをモニタする段階と、
前記複数のパラメータの各々を該複数のパラメータの各々に対して確立された事前設定限界と比較する段階と、
前記複数のパラメータの1つ又はそれよりも多くが該複数のパラメータの該1つ又はそれよりも多くに対して確立された前記事前設定限界を超えた時に障害条件を起動する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項50】
前記障害条件は、
前記複数のパラメータの前記1つ又はそれよりも多くがそれぞれの前記事前設定限界に等しいか又はそれ未満になるまで前記エネルギ変換器を流体の流れから外す段階、
を含む、
ことを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記複数のパラメータは、
水柱内の自由流線流速、
前記水柱内の前記流体動力学的装置の実際深度、
係留索張力、
衝突の危険を生じる場合がある海洋生物の存在、
潜在的に破壊的な気象イベントの通過、
実際実時間発電機電力出力レベル、又は
電力調整係数、
を含む、
ことを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記流体動力学的装置は、各々がエネルギ変換器を有する流体動力学的装置のアレイに配備され、方法が、
実際発電機電力出力レベル測定値信号を基地局に送信する段階と、
個々の電力調整係数を前記基地局から受信する段階と、
を更に含む、
ことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項53】
前記実際発電機電力出力レベルは、流体動力学的装置の前記アレイ内の前記流体動力学的装置のうちの別のものから受信される別の実際発電機電力出力レベルと前記基地局において統合されることを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記個々の電力調整係数は、流体動力学的装置の前記アレイ内の前記流体動力学的装置の全てに対するターゲット統合電力出力レベルと、流体動力学的装置の該アレイ内の該流体動力学的装置の全てに対する実際統合電力出力レベルとに基づいて発生されることを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記流体動力学的装置は、流体動力学的装置のアレイに配備され、方法が、
基地局から個々の電力調整係数を受信する段階、
を更に含み、
前記流体動力学的装置の前記深度は、前記個々の電力調整係数に基づいて更に調節される、
ことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項56】
前記エネルギ変換器は、可変制御回転翼であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項57】
前記エネルギ変換器は、可変制御回転翼であることを特徴とする請求項43に記載の方法。

【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−532267(P2012−532267A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517538(P2012−517538)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/036445
【国際公開番号】WO2011/008351
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(511314706)
【Fターム(参考)】