説明

装置の操作機構および装置の操作機構を有する乗物用シート

【課題】ケーブルの弛みが生じるので、複数箇所の操作部材の設置ができなかった。
【解決手段】装置Lの作動部材20の作動伝達手段36を操作する操作部材を二カ所に設ける。作動伝達手段36の操作伝達部材41は二本のケーブル41A、41Bにより構成する。ケーブル41A、41Bの夫々のインナーケーブル101の端部には先端係合部104を設ける。作動伝達手段36のケーブル係止部105と先端係合部104とは、一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bの何れか一方の操作により、これに対応したケーブル41A、41Bの何れかの先端係合部104がケーブル係止部105に係合して作動伝達手段36を回動させ、操作されていない一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bの何れか他方のケーブル41A、41Bの何れかの先端係合部104は前記ケーブル係止部105に対して非係合状態となるように構成した装置の操作機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置の操作機構および装置の操作機構を有する乗物用シートに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車体側に固定のストライカと、シート側のボディに回動自在に軸着され前記ストライカと係合する複数の溝を長さ方向に並設した係合部材とを有し、前記係合部材には回動方向に対する交差方向に突き出る係合体を設け、該係合体に係合する開放用部材を設け、開放用部材は操作部材に連結したロッドにより操作する構成は、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−47842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、本出願人による先願であり、複数段の係合溝にストライカを係合させることができる優れたものではあるが、公知例の装置は、単に、開放用部材と操作部材とをロッドで連結しているので、複数箇所に設けた操作部材による操作が行えないという課題がある。
即ち、開放用部材に二本のロッドを取付けても、一方の操作部材を操作したとき、操作していない他方の操作部材のロッドも動いてしまい、メカロックしてしまう。
同様に、開放用部材に二本のケーブルを接続したとしても、一方の操作部材を操作したとき、操作していない他方の操作部材のケーブルが弛んでしまい、メカロックする虞がある。
本願は、作動部材と二カ所の操作部材とをケーブルで接続して、二カ所からの操作を可能にすると共に、操作していない他方のケーブルを適切に処理する装置の操作機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、装置Lの取付軸21中心に一方側と他方側との間回動する作動部材20と、該作動部材20を回動させる作動伝達手段36と、前記装置Lより離れたところから前記作動伝達手段36を操作する操作部材と、作動伝達手段36に操作部材の操作を伝達する操作伝達部材41とを有し、前記操作部材は夫々離れた任意の二カ所の所定位置に夫々設け、前記操作伝達部材41は、前記一方側操作部材42Aに接続した一方側ケーブル41Aと前記他方側操作部材42Bに接続した他方側ケーブル41Bの二本のケーブルにより構成し、前記一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bは共にアウターチューブ100とインナーケーブル101とを有し、前記装置Lの所定位置のアウタ係止部103には一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの夫々の前記アウターチューブ100の端部を係止し、前記一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの夫々のインナーケーブル101の端部には先端係合部104を設け、前記作動伝達手段36は前記装置Lの所定位置に軸39により回動自在に設け、該作動伝達手段36には一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの夫々の先端係合部104が係止されるケーブル係止部105を設け、ケーブル係止部105と先端係合部104とは、一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bの何れか一方の操作により、これに対応した一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの何れかの先端係合部104がケーブル係止部105に係合して作動伝達手段36を回動させ、操作されていない一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bの何れか他方の一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの何れかの先端係合部104は前記ケーブル係止部105に対して非係合状態となるように構成した装置の操作機構としたものである。
本発明は、前記先端係合部104は球形状に形成し、前記ケーブル係止部105には前記先端係合部104より小さい一対の一方側挿通孔110および他方側挿通孔111を設け、前記一対の一方側挿通孔110および他方側挿通孔111の夫々に前記一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bのインナーケーブル101を夫々移動自在に挿通し、前記先端係合部104はケーブル係止部105に対して移動自在に取り付けた装置の操作機構としたものである。
本発明は、前記先端係合部104は球形状に形成し、前記ケーブル係止部105には前記先端係合部104より小さい一対の一方側挿通孔110および他方側挿通孔111を設け、前記ケーブル係止部105には、前記一方側挿通孔110および他方側挿通孔111に連通する係合溝112と、該係合溝112に連通して前記先端係合部104を嵌合させうる嵌合孔113とを有して構成した装置の操作機構としたものである。
本発明は、前記ケーブル係止部105は、ベース板部115の先端に係合板部116を略90度に屈曲させ、係合板部116にベース板部115と略平行な対向板部117を設け、前記係合板部116には前記先端係合部104より小さい一対の一方側挿通孔110および他方側挿通孔111を形成し、前記対向板部117には前記一方側挿通孔110および他方側挿通孔111に連通する係合溝112と該係合溝112に連通して前記先端係合部104を嵌合させうる嵌合孔113とを設け、前記先端係合部104は係合板部116に対して前記一方側挿通孔110および他方側挿通孔111のインナーケーブル101の移動方向に移動自在に取り付けた装置の操作機構としたものである。
本発明は、前記ケーブル係止部105の係合板部116の回動方向に対して接線方向の前記装置Lの所定位置には前記アウタ係止部103を設け、該アウタ係止部103には前記ケーブル係止部105の一方側挿通孔110および他方側挿通孔111に対向させてアウターチューブ100の端部の取付部材120を係止する係合溝121を設けた装置の操作機構としたものである。
本発明は、前記ケーブル係止部105のベース板部115と対向板部117とは所定間隔おいて設け、前記作動伝達手段36の本体123は、前記係合板部116より反ケーブル係止部105側に移動する先端係合部104と干渉しない厚さに形成した装置の操作機構としたものである。
本発明は、前記装置Lは、シート1の背凭シート6と固定部3のと間に設けた前記背凭シート6を所定位置に保持するラッチ装置Lとし、前記作動部材20は前記固定部3に固定したストライカ11に係合する係合部材とし、該係合部材には前記ストライカ11が係合する複数の係合溝を有し、該係合部材の側面には側方に突出する軸形状の係合体35を設け、該係合体35に係合して係合部材をアンラッチ操作する開放用部材を前記作動伝達手段36とし、該作動伝達手段36に、前記背凭シート6から離れた所定位置に設けた一方側操作部材42Aに接続した一方側ケーブル41Aと、前記背凭シート6に設けた他方側操作部材42Bに接続した他方側ケーブル41Bとの夫々のインナーケーブル101の先端係合部104を係止するケーブル係止部105を設けた装置の操作機構を有する乗物用シートとしたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、二カ所の一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bの何れかの操作により作動伝達手段36を作動させるので、操作箇所を増加させることができて操作性を向上させることができ、操作されていない一方側ケーブル41Aの先端係合部104はケーブル係止部105に対して非係合状態となるので、操作機構がメカロックするという不具合発生を防止できる。
請求項2の発明では、先端係合部104を球形状とし、ケーブル係止部105には先端係合部104より小さい一対の一方側挿通孔110および他方側挿通孔111を設け、ケーブル係止部105に対して先端係合部104を移動自在にしているので、操作されていない一方側ケーブル41Aの先端係合部104をそのまま当初の位置に留まらせてケーブル係止部105に対する非係合状態となって、操作機構がメカロックするのを防止できる。
請求項3の発明では、ケーブル係止部105の一方側挿通孔110および他方側挿通孔111へのインナーケーブル101の挿通および先端係合部104の取付を容易にできると共に、その場に留まっている先端係合部104と嵌合孔113とが一致するのを防止できるので、先端係合部104が外れるのも防止でき、作動を確実にできる。
請求項4の発明では、一方側挿通孔110と他方側挿通孔111と係合溝112と嵌合孔113とを容易に設けることができ、操作されていない一方側ケーブル41Aの先端係合部104のケーブル係止部105に対する非係合状態を簡単に実現できる。
請求項5の発明では、二カ所の一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bに接続した二本インナーケーブル101が、アウタ係止部103とケーブル係止部105の間で交差することがなく、確実に作動伝達手段36を作動させることができる。
請求項6の発明では、操作されていない一方側ケーブル41Aの先端係合部104を当初の位置に留まらさせたとき、作動伝達手段36の本体123の回動に対して互いの干渉を避け、先端係合部104のケーブル係止部105に対する非係合状態の保持と作動伝達手段36の回動の確実化を両立させることができる。
請求項7の発明では、二本のインナーケーブルの一方が弛むとの課題を克服して、例えば、運転席近傍に設けた一方側操作部材42Aと、背凭シート6に設けた他方側操作部材42Bとによる二カ所の操作が可能になって、操作性を向上させることできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】シートに設けた例の概略実施例図。
【図2】係合装置の分解斜視図。
【図3】ラッチ状態側面図。
【図4】作動部材(係合部材)の側面図。
【図5】作動部材(係合部材)の側面図。
【図6】アンラッチ状態側面図。
【図7】作動部材(係合部材)の初期位置への係合状態の概略側面図。
【図8】作動部材(係合部材)のリクライニング移行状態の概略側面図。
【図9】作動伝達手段(開放用部材)の待機状態概略側面図。
【図10】同作用状態の概略側面図。
【図11】同アンラッチ状態の概略側面図。
【図12】同アンラッチ状態の作用説明図。
【図13】バネの取付状態側面図。
【図14】ボディとカバーの組立状態斜視図。
【図15】ボディとカバーの組立状態斜視図。
【図16】ボディの側面図。
【図17】カバーの側面図。
【図18】内側部材の側面図。
【図19】作動部材(係合部材)の側面図。
【図20】同平面図。
【図21】ボディとカバーの組立状態斜視図。
【図22】ボディとカバーの組立状態斜視図。
【図23】作動伝達手段(開放用部材)の側面図。
【図24】同斜視図。
【図25】同斜視図。
【図26】同断面図。
【図27】同作用状態図。
【図28】同作用状態図。
【図29】同一部縦断正面図。
【図30】同先端係合部の非係合状態説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施例をシートの例にて図面により説明すると、1は車両・鉄道・飛行機等に使用される乗物用のシートであり、シート1は座席シート2を有する。実施例の座席シート2は機体あるいは車体等の固定部3に対して後側が取付軸4中心に上方回動するように取付ける。
座席シート2の後部にはシート1の背凭シート6を設ける。背凭シート6は固定部3に対して上側が取付軸7中心に前方回動するように取付け、背凭シート6は前方回動させると、背凭シート6の後面が略平らとなるように構成している。
前記背凭シート6と固定部3の間には背凭シート6を所定位置に保持する装置Lを設ける。本実施例の装置Lは、ラッチ装置(ロック装置)Lとしているが、後述するように他の装置であっても良い。
ラッチ装置Lは、背凭シート6を通常位置と通常位置より傾斜させたリクライニング位置とに保持する。
【0009】
10はラッチ装置Lのボディであり、その上下中間部に固定部3に固定したストライカ11が進入するボディ側ストライカ進入溝12を形成する。なお、ストライカ11は固定部3に固定されているが、理解を容易にするため、ラッチ装置Lに対してストライカ11が進入する等の表現を用いて説明することもある。
ストライカ11は、金属製のベース部材13と、一対の前側ロッド14および後側ロッド15と、前側ロッド14と後側ロッド15とを連結する連結部16を有する。
ボディ1にはフック形状の係合部材(作動部材・ラッチ)20を係合部材取付軸21により取付ける。係合部材20は、その先端下面側に先端に至るに従い高くなる傾斜の傾斜案内面22を形成する。傾斜案内面22はストライカ11が進入して当接すると、係合部材20を上方回動させるように作用する傾斜面に形成する。
【0010】
傾斜案内面22の係合部材取付軸21側の係合部材20には前記ストライカ11の前側ロッド14が、係合する第一段係合溝(ラッチ溝)24を形成する。ストライカ11の前側ロッド14が第一段係合溝24に係合すると、背凭シート6を通常位置に保持する。
第一段係合溝24と前記係合部材取付軸21の間に前記ストライカ11が係合する第二段係合溝(ラッチ溝)26を形成する。第二段係合溝26は、背凭シート6を更に傾斜させたリクライニング位置にさせるとき、第一段係合溝24に係合していたストライカ11の前側ロッド14が嵌る前後幅を有して形成する。
このとき、ストライカ11の後側ロッド15が第一段係合溝24に係合し、前側ロッド14は第二段係合溝26に退避する。
【0011】
前記第一段係合溝24は、ストライカ11側(後側)に位置する後側内周面27と奥側(前側)の前側内周面28とを有する。前記前側内周面28の下端は前記後側内周面27の下端より下方に位置するように形成し、ストライカ11の前側ロッド14または後側ロッド15が傾斜案内面22と後側内周面27の下端を通過したとき、前側内周面28に必ず当たるようにしている。
また、前記前側内周面28は、係合状態のとき、下方に至るに従い後側になるように直線または円弧状に傾斜させ、後側内周面27と前側内周面28の前後幅は上方に至る従い狭く形成し、ストライカ11が第一段係合溝24(第二段係合溝26)の上部に隙間を残して後側内周面27と前側内周面28の両者に当接して係合するように形成している。
【0012】
また、前側内周面28は下方に至るに従い後側になるように直線状または円弧状に傾斜させると、ストライカ11との係合係合状態から非係合状態にするための上方回動するとき、前側内周面28がストライカ11から離れて、好適である。
前側内周面28の下部は前記第二段係合溝26の後側内周面29の下部より低く、前側内周面28の下部と前記第二段係合溝26の後側内周面29の間は後側に至るに従い高くなるように傾斜させて退避面30に形成する。
31は第二段係合溝26の奥側内周面31である。
前記ストライカ11の前側ロッド14と後側ロッド15の間隔は、第一段係合溝24と第二段係合溝26との間の間隔よりも広く、前記後側ロッド15が第一段係合溝24に係合すると、前記前側ロッド14は第二段係合溝26の内周との間に隙間を有する構成とする。
【0013】
即ち、前記ストライカ11の前側ロッド14と後側ロッド15の間隔Tは、第一段係合溝24の前側内周面28と第二段係合溝26の後側内周面29との間の間隔T’よりも広く、かつ、第一段係合溝24の前側内周面28と第二段係合溝26の奥側内周面31との間隔tよりも狭く構成する。
前記係合部材20の側面には裏側に突出する軸形状の係合体35を設け、係合体35には開放用部材(作動伝達手段)36の係合面37を係合体35との間に所定の隙間38を設けて臨ませる。前記開放用部材36は軸39によりボディ10とカバー40に回動自在に取付ける。開放用部材36には操作伝達部材41の一端を取付け、操作伝達部材41の他端は任意のノブ・ハンドル等の操作部材42に係止する。
【0014】
前記カバー40のストライカ進入溝12の下方には、係合部材20の最も低い前側内周面28の下部が当接するストッパー面45に形成する(図3)。
このストッパー面45は、ボディ1に取付けるカバー40を屈曲形成して構成しているから、ボディ1にカバー40を取付けるだけで良く、製造組立てが容易である。
しかして、係合部材20は、前記ストライカ11の前側ロッド14がストライカ進入溝12に進入すると、最初は傾斜案内面22により案内されて上動し、ストライカ11の前側ロッド14が第一段係合溝24の下方に至ると係合し、次ぎに、操作伝達部材41により係合部材20を上動させると、ストライカ11は移動可能になって、奥側に進入させると、ストライカ11の後側ロッド15が第一段係合溝24の下方に至って係合し、前側ロッド14は第二段係合溝26に嵌合して退避する。
【0015】
前記操作部材42を操作すると、操作伝達部材41が牽引されて、開放用部材36は図3の時計方向に回動し、開放用部材36の係合面37が係合体35に当接して係合部材20を上方回動させ、係合部材20からストライカ11が離脱可能となる。
開放用部材36には、係合面37に続いて非作用カム面48を形成する(図9〜図12等)。非作用カム面48は係合体35に当接するが、係合面37に比して係合体35の上方回動量を少なくする面形状に形成する。
即ち、前記非作用カム面48は、前記係合部材20の一段目の第一段係合溝24からストライカ11を離脱可能状態になると、前記係合体35が当接するよう構成する。
前記操作伝達部材41は、前記操作部材42を操作可能範囲で最大限に操作した場合であっても、寸法精度や取付誤差等の要因が重なることで、前記係合部材20がストライカ11から離脱した後も、前記開放用部材36を図3の時計方向に回動させ、前記係合体35に前記非作用カム面48が当接する構成とする。
【0016】
また、前記非作用カム面48は、前記係合体35が当接すると、当接状態を保持しつつ該係合体35をアンラッチ方向への回動量を少なくさせる面形状に形成する。
換言すると、非作用カム面48は、係合部材取付軸21の軸芯から外れた任意の点Pを中心とした円弧形状で、開放用部材36を上方回動させるに従い係合体35の上方回動量を少なくする形状に形成する。
この場合、非作用カム面48は、係合体35の上方回動量を少なくさせるが、必ず、互いに当接するようにし、非作用カム面48の下方回動により係合体35を元に戻す。
また、非作用カム面48に続く開放用部材36の外周は退避面49に形成する(図9)。退避面49は開放用部材36が係合部材20を上方回動させた状態でも、ストライカ進入溝12の上縁より所定間隔上方に位置するように配置する(図6)。
【0017】
前記係合部材20の係合部材取付軸21には、係合部材20を常時下方回動するように付勢するバネ55を設ける。バネ55は、コイル部56を係合部材取付軸21に挿通し、一端57を係合部材20の取付溝58に係止する。バネ55の他端59は、カバー40に設けた係合突起60に係合させる(図13)。
このような組付構造としたことで、前記バネ55を組み付けるときに外れにくく、作業性を向上させることができる。
係合突起60はカバー40のベース縦板部61よりボディ10側に屈曲形成させる。前記係合突起60は前記係合部材取付軸21の軸芯より上方に設け、係合突起60の下方のカバー40には切欠部62を形成する(図2,図14)。
切欠部62に対向する部分のボディ10には、後側フランジ部63を設ける(図2,図14)。後側フランジ部63はボディ10のベース縦板部61よりカバー40側に屈曲形成し、ボディ10とカバー40とを合わせたとき、切欠部62内に位置して、カバー40のベース縦板部61に当接または近接させる。
【0018】
これにより、前記バネ55の他端59を係合させた係合突起60と、後側フランジ部63は略同一面を形成し、前記バネ55の他端59の基部から先端まで安定して保持できる。
ボディ10とカバー40の夫々のストライカ進入溝12の周辺所定位置には周辺リブ65を設ける(図2)。
ボディ10のストライカ進入溝12の入口部分には、周辺リブ65より深く押圧形成した上側段部66と下側段部67を夫々設ける。
68はカバー40に設けた段部である。
ストライカ進入溝12の上方のボディ10のベース縦板部64には、ストライカ11の移動方向に長い補強用横リブ70を設ける。
【0019】
しかして、ラッチ装置Lは、ボディ1とカバー40との間に係合部材20を挟持させて、ボディ1とカバー40と係合部材20とは、夫々係合部材取付軸21により組立て構成する。
組み立てたラッチ装置Lは、ボディ1とカバー40の夫々に設けた数カ所の取付孔72を止着具73により固定部3に設けたシート1の背凭シート6の側面に取付ける。
カバー40は、ボディ1に対して所定間隔を有するように、ストライカ進入溝12を形成したベース縦板部61の上部にボディ1側に屈曲させてボディ1と平行となる上側取付部75を、ストライカ進入溝12の下方に下側取付部76を夫々設ける(図2)。
【0020】
ストライカ進入溝12の上側のボディ10とカバー40には、夫々カバー40とボディ10側に向けて屈曲するボディ側上側屈曲部77とカバー側上側屈曲部78を形成し(図21,図22)、ボディ側上側屈曲部77とカバー側上側屈曲部78の何れか一方には、係合部79を形成し、ボディ側上側屈曲部77とカバー側上側屈曲部78の何れか他方には係合部79が係合する係合孔80を形成する。
ボディ10とカバー40は、係合部79を係合孔80に係合させて、左右から係合部材20を挟持するように重ねて組付ける。
そのため、係合部79と係合孔80は、左右方向のみならず、上下方向においても、ボディ10とカバー40がずれるのを防止する。
【0021】
前記ストライカ進入溝12の入口側のカバー40の内面には、内側部材83を設ける。内側部材83は、合成樹脂により形成し、軸形状の係止部材(図示省略)によりカバー40に固定状態に取付ける。内側部材83は係合部材20のカバー40側の側方に位置し、カバー40のベース縦板部61と係合部材20の側面との間に位置させる。
前記係合部材20の外周面には、カバー部材86により包囲し、カバー部材86の内側部材83側には突条87を設ける。突条87は内側部材83との接触面積を小さくし、接触抵抗を減少させる。
しかして、前記ラッチ装置Lは、他の任意の装置Lでもよく、他の任意の装置Lは取付軸21中心に一方側と他方側との間回動する作動部材(係合部材)20と、該作動部材20を回動させる作動伝達手段(開放用部材)36と、前記装置Lより離れたところから前記作動伝達手段36を操作する操作部材と、作動伝達手段36に操作部材の操作を伝達する操作伝達部材41とを有し、前記操作部材は夫々離れた任意の二カ所の所定位置に夫々設け、前記操作伝達部材41は、前記一方側操作部材42Aに接続した一方側ケーブル41Aと前記他方側操作部材42Bに接続した他方側ケーブル41Bの二本のケーブルにより構成してもよい。
【0022】
前記一方側操作部材42Aと前記他方側操作部材42Bは所定間隔おいて離れた箇所に設ける。例えば、一方側操作部材42Aは運転座席近傍に設け、他方側操作部材42Bは背凭シート6に設ける。
一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bは共にアウターチューブ100内にインナーケーブル101を挿通して形成する。アウターチューブ100の一端は前記一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bの近傍所定位置に固定し、インナーケーブル101の一端は一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bに夫々接続する。一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bはインナーケーブル101を牽引して作動伝達手段36を作動させる。
【0023】
一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bのアウターチューブ100の他端は前記装置Lの所定位置に設けたアウタ係止部103に固定状態に取付ける。
一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの夫々のインナーケーブル101の端部には先端係合部104を夫々設ける。一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの夫々の先端係合部104は、前記作動伝達手段36に設けたケーブル係止部105に取付ける。
この場合、ケーブル係止部105と先端係合部104とは、一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bの何れか一方の操作により、これに対応した一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの何れかの先端係合部104がケーブル係止部105に係合して作動伝達手段36を回動させる。
【0024】
そして、操作されていない一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bの何れか他方の一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの何れかの先端係合部104は前記ケーブル係止部105に対して非係合状態となるように構成する。
即ち、前記先端係合部104は球形状に形成する。前記ケーブル係止部105には前記先端係合部104が外れない先端係合部104より小さい一対の一方側挿通孔110および他方側挿通孔111を設ける。前記一対の一方側挿通孔110および他方側挿通孔111の夫々に前記一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bのインナーケーブル101を夫々移動自在に挿通する。
【0025】
インナーケーブル101が一方側挿通孔110および他方側挿通孔111を移動自在に挿通されているので、一方の操作により牽引されたインナーケーブル101の先端係合部104はケーブル係止部105に係合して作動伝達手段36を回動させるが、他方の牽引されていないインナーケーブル101は一方側挿通孔110または他方側挿通孔111の何れかを通過して、先端係合部104を操作前の位置に留まらせ、ケーブル係止部105に対して非係合状態になる。
なお、作動伝達手段36は、図示は省略するが、バネにより常時係合体35をアンラッチ方向に回動させるように付勢するが、前記バネ55の付勢力よりは弱く設定する。125は作動伝達手段36を付勢するバネの一端を係止する係合突起である。
【0026】
前記ケーブル係止部105には、前記一方側挿通孔110および他方側挿通孔111に連通する係合溝112と、該係合溝112に連通して前記先端係合部104を嵌合させうる嵌合孔113とを設ける。
一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの各先端係合部104は、嵌合孔113から係合溝112に嵌合させ、各インナーケーブル101を一方側挿通孔110および他方側挿通孔111から突出させる。
この場合、一方側挿通孔110および他方側挿通孔111は、各インナーケーブル101の線径よりも前後左右方向に広く形成し、作動伝達手段36の回動に伴って移動したとき、各インナーケーブル101が一方側挿通孔110および他方側挿通孔111内を前後左右に移動するようにし、作動伝達手段36の回動を円滑にする。
【0027】
この各インナーケーブル101が一方側挿通孔110および他方側挿通孔111内の前後左右移動を円滑にさせるため、一方側挿通孔110および他方側挿通孔111の内周面は、平面視において、全周にわたって上下角部分を円弧部113Aに形成し、各インナーケーブル101の摩耗・破損を抑制および防止する。また、断面においても、一方側挿通孔110および他方側挿通孔111は、全周にわたって内周上下角部分を所謂エッジが生じないように内周円弧部113Bに形成し、各インナーケーブル101の摩耗・破損を抑制および防止する。
また、前記一方側挿通孔110および他方側挿通孔111と、係合溝112との夫々は、先端係合部104の直径より小幅に形成し、嵌合孔113の中心のみを先端係合部104を通過させられるように構成する。
【0028】
前記ケーブル係止部105は、ベース板部115の先端に係合板部116を略90度に屈曲させる。前記係合板部116にベース板部115と略平行な対向板部117を設ける。前記係合板部116には前記一方側挿通孔110および他方側挿通孔111を形成する。
前記対向板部117には前記一方側挿通孔110および他方側挿通孔111に連通する係合溝112と該係合溝112に連通して前記先端係合部104を嵌合させうる嵌合孔113とを設ける。
実施例では、一方側挿通孔110の係合溝112と他方側挿通孔111の係合溝112を下方で交差するように連通させ、左右の係合溝112の中央に嵌合孔113を設けている。
前記アウタ係止部103は、ケーブル係止部105の係合板部116の回動軌跡に対する接線方向において上方の前記装置Lの所定位置に設ける。
【0029】
即ち、前記アウタ係止部103は、作動部材20がラッチ状態からアンラッチ状態に移動するときの、作動伝達手段36のケーブル係止部105の移動方向に対して交差方向の上方位置のボディ1またはカバー40に設ける。
実施例では、カバー40にアウタ係止部103を設けている。
該アウタ係止部103には前記一方側挿通孔110および他方側挿通孔111に対向させてアウターチューブ100の端部の取付部材120を係止する係合溝121を設ける。
前記ケーブル係止部105のベース板部115と対向板部117とは左右に所定間隔おいて設ける。
即ち、係合板部116の下面に当接してる先端係合部104に対してケーブル係止部105が上方回動可能に構成する。
【0030】
また、前記作動伝達手段36の本体123は、前記係合板部116より反ケーブル係止部105側に移動する先端係合部104と干渉しない厚さに形成する。
即ち、前記作動伝達手段36の本体123がアンラッチ操作により上方回動するとき、操作されずに留まっている先端係合部104の非係合状態を保持して本体123が上方回動するように、前記係合板部116より反ケーブル係止部105側に移動する先端係合部104と干渉しない厚さに形成する。
前記係合板部116に対向する作動伝達手段36の本体123には、係合板部116側が低く、係合板部116に離れるに従い高くなる傾斜面124を形成する。傾斜面124は、操作されずに留まっている先端係合部104をそのままにして、作動伝達手段36の本体123の回動を円滑に行う。
【0031】
しかして、前記操作伝達部材41の装置の操作機構は、種々の機器に使用(応用)できるが、本願では、前記装置Lを、シート1の背凭シート6と固定部3のと間に設けた前記背凭シート6を所定位置に保持するラッチ装置Lとしている。
また、作動伝達手段36が作動させる前記作動部材20は固定部3に固定したストライカ11に係合する係合部材20としている。
そして、ケーブル係止部105は、金属板部材を屈曲形成し、これに一方側挿通孔110〜嵌合孔113を形成し、このケーブル係止部105を樹脂部材により構成される作動伝達手段36の本体123に一体形成している。
そのため、作動伝達手段36のケーブル係止部105に、前記背凭シート6から離れた所定位置に設けた一方側操作部材42Aに接続した一方側ケーブル41Aと、前記背凭シート6に設けた他方側操作部材42Bに接続した他方側ケーブル41Bとの夫々のインナーケーブル101の先端係合部104を夫々係止し、二カ所からの背凭シート6のリクライニングあるいは倒伏操作を行える。
【0032】
(実施例の作用)
背凭シート6は通常着座位置から固定部3に対して上側部分を取付軸取付軸7中心に前方回動させると、背凭シート6の後面が略平らとして、車室空間を広くする。
また、通常着座位置からラッチ装置Lをアンラッチにさせて、通常着座位置から傾斜させたリクライニング位置とやや後傾させることができる。
例えば、アンラッチ状態でラッチ装置Lにストライカ11が係合していない前倒し状態の背凭シート6を起こすと、ボディ1のストライカ進入溝12にストライカ11が進入し、ストライカ11は係合部材20の傾斜案内面22に当接し、傾斜案内面22は係合部材20をバネ55に抗して係合部材取付軸21中心に上方回動させるように案内し、ストライカ11の前側ロッド14が傾斜案内面22を通過して第一段係合溝24の下方に至ると、係合部材20はバネ55の弾力によりストライカ11の前側ロッド14に係合する。
【0033】
したがって、背凭シート6を起立させたときは、何の操作をすることなく、起立させただけで、係合部材20はストライカ11に係合し、背凭シート6を通常位置に保持でき、操作性を向上させる。
係合部材20の第一段係合溝24の係合部材取付軸21側には別の第二段係合溝26が形成され、係合部材20の係合体35には、他端は任意のノブ等の操作部材42に係止した開放用部材36の係合面37を臨ませているから、開放用部材36を操作伝達部材41により上動させると、開放用部材36の係合面37は係合体35を係合部材取付軸21中心に上方回動させ、これにより係合部材20は係合部材取付軸21中心に上方回動して、第一段係合溝24よりストライカ11の前側ロッド14を離脱が可能となる。
【0034】
開放用部材36の係合面37は係合体35との間に所定の隙間38を設けているから、開放用部材36の係合面37が所定量回動した後係合体35に当接して回動させる。
したがって、係合面37から操作部材42までの間の製造誤差等により発生する長さの相違があっても、隙間38がこれを吸収し、操作部材42は常時一定位置に位置させることができ、かつ、確実に操作を伝達する。
次ぎに、この状態で、背凭シート6を後側に倒すと、ストライカ11の前側ロッド14および後側ロッド15はストライカ進入溝12の奥側に向けて進入し、後側ロッド15が係合部材20の第二段係合溝26の奥の奥側内周面31に当接し、次ぎに、操作部材42を離すと、係合部材20はバネ55の弾力により、第一段係合溝24にストライカ11の後側ロッド15が係合し、第二段係合溝26にストライカ11の前側ロッド14が緩く嵌合し、背凭シート6はリクライニングら位置に保持される。
【0035】
この場合、第一段係合溝24の前側内周面28は、係合状態のとき、下方に至るに従い後側になるように直線または円弧状に傾斜させ、後側内周面27と前側内周面28の前後幅は上方に至る従い狭く形成しているので、後側ロッド15がストライカ11が第一段係合溝24の上部に隙間を残して後側内周面27と前側内周面28の両者に当接して係合する。
したがって、ストライカ11が係合部材20に対して前後する「がた」および異音の発生を防止する。
また、背凭シート6がリクライニング状態では、ストライカ11の前側ロッド14は第二段係合溝26の後側内周面29および奥側内周面31の何れにも当接しないので、「がた」および異音の発生を防止する。
【0036】
係合部材20の第一段係合溝24は、ストライカ11側に位置する後側内周面27と係合部材取付軸21側に位置する前側内周面28とを有するが、前側内周面28の下端を前記後側内周面27の下端より下方に位置するように形成しているから、ストライカ11が傾斜案内面22に当接し、係合部材20を上方回動させつつストライカ11が進入して後側内周面27の下端を通過したとき、ストライカ11は前側内周面28に必ず当たる。
したがって、背凭シート6を起立させると、係合操作が不要なだけでなく、必ず、一段目の第一段係合溝24に係合する。
【0037】
前側内周面28は下方に至るに従い後側になるように直線または円弧状に傾斜しているから、ストライカ11との係合状態から非係合状態に係合部材20を上方回動させたとき、前側内周面28はストライカ11から離れる。したがって、ストライカ11と係合部材20の相対位置を変化させずに、離脱させるので、非係合操作のとき、操作荷重を重くしない。
即ち、前側内周面28が実施例と反対に、前側に傾斜させると、前側内周面28はストライカ11を押しながら離脱することになるので、着座者の背中を押しながら移動することになって、その分操作荷重が重くなるが、これを解消する。
【0038】
前側内周面28の下部は第二段係合溝26の後側内周面29の下部より低く、前側内周面28の下部と第二段係合溝26の後側内周面29の間は後側に至るに従い高くなるように傾斜させているから、不慮の原因により係合状態で係合部材20が上下に振動しても、第一段係合溝24から外れて第二段係合溝26に係合することはない。
また、前側内周面28の下部と前記第二段係合溝26の後側内周面29の間は後側に至るに従い高くなるように傾斜させているから、第二段係合溝26から離脱させるとき、ストライカ11は最も低い前側内周面28の下部を通過することになって第一段係合溝24に係合することも無く、ワンモーションでストライカ11をフリー状態にする。
【0039】
また、前側内周面28の下部は前記第二段係合溝26の後側内周面29の下部より低く、前側内周面28の下部と前記第二段係合溝26の後側内周面29の間は後側に至るに従い高くなるように傾斜させているから、係合部材20の最も低い前側内周面28の下部をストッパー面45の上面に当接させると、傾斜案内面22にストライカ11が当接すると係合部材20を上方回動させるように待機位置に待機させる。
したがって、倒伏上体から起こすとき、傾斜案内面22によって係合させるための操作が不要なだけでなく、起立状態から倒伏させたときも、係合部材20はストッパー面45とバネ55の作用により初期自動復帰し、係合待機操作をも不要にする。
【0040】
しかして、ストライカ11の前側ロッド14と後側ロッド15の間隔は、係合部材20の第一段係合溝24と第二段係合溝26との間の間隔よりも広く、前記後側ロッド15が第一段係合溝24に係合すると、前記前側ロッド14は第二段係合溝26の内周との間に隙間を有する構成としているので、係合部材20とストライカ11との係合を、第一段係合溝24に前側ロッド14または後側ロッド15を係合させることで達成でき、第二段係合溝26に対して前側ロッド14は遊びを有して嵌るだけなので、「がた」および異音の発生を防止する確実性を向上させることができる。
【0041】
換言すると、ストライカ11の前側ロッド14と後側ロッド15の間隔Tは、第一段係合溝24の前側内周面28と第二段係合溝26の後側内周面29との間の間隔T’よりも広く、かつ、傾斜案内面22の前側内周面28と第二段係合溝26の奥側内周面31との間隔tよりも狭く構成しているので、第一段係合溝24に前側ロッド14または後側ロッド15を必ず係合させる構成を簡単に実現できる。
ストライカ11の前側ロッド14と後側ロッド15との間の間隔を、第一段係合溝24と第二段係合溝26との間隔より広くし、前側ロッド14のみを係合させる構成とすると、ストライカ11が大型化し、ストライカ11の強度を確保するために重くなる。
【0042】
また、前側ロッド14と後側ロッド15の夫々を、第一段係合溝24と第二段係合溝26の夫々に係合させる構成とすると、高い寸法精度と取付精度が要求され、製造が面倒である。
本発明は、前側ロッド14と後側ロッド15との間の間隔を小さくしながら、第一段係合溝24に、前側ロッド14と後側ロッド15の夫々を係合させて、ガタのない係合状態とし、更に、第二段係合溝26に対して前側ロッド14は遊びを有して嵌ることにより、寸法誤差と取付誤差を吸収する。
前記係合部材20の係合体35に当接する開放用部材36には、係合面37に続いて非作用カム面48を形成し、非作用カム面48は係合体35に当接するが、係合体35(係合部材20)の上方回動量を少なくする面形状に形成しているので、操作部材42の操作は、所定位置から操作部材42を操作しても、開放用部材36は係合体35に対して空振のように係合体35の上方回動量を少なくし、操作伝達部材41と操作部材42等の操作系の破損を防止する。
【0043】
即ち、開放用部材36の係合面37は隙間38の分だけ所定量回動した後係合体35に当接し、当接すると、係合面37は係合体35を係合部材取付軸21中心にイ方向へ移動させ(図9)、係合部材20の前側内周面28がストライカ11(前側ロッド14または後側ロッド15)を通過すると、係合体35は係合面37から非作用カム面48に移動する(図10〜図11)。
非作用カム面48は、係合体35(係合部材20)の上方回動量を少なくする面形状に形成しているので、操作部材42により開放用部材36を更に上方回動させても、係合体35の上方移動方向を当初の図12のロ方向からイ方向と変化させて、係合体35の上方回動量を係合面37に比し少なくする。
【0044】
したがって、開放用部材36は、非作用カム面48により係合体35(係合部材20)の上方回動量を少なくし、操作部材42による過剰な操作力を係合体35に対して非作用カム面48を移動させて逃がし、操作部材42と操作伝達部材41等の破損変形を防止する。
また、非作用カム面48は、係合体35の上方回動量を少なくする面形状なため、係合部材20の下方回動に対しては受け止めるように作用するので、係合部材20がバネ55の弾力によりラッチ位置へ移動するときは、係合体35は非作用カム面48から係合面37に続いて当接して元の位置に復帰する。
また、非作用カム面48に続く開放用部材36の外周は退避面49に形成し、非作用カム面48および退避面49は開放用部材36が係合部材20を上方回動させた状態でも、ストライカ進入溝12の上縁より所定間隔上方に位置するように配置しているので、ストライカ進入溝12の上下幅を広くし、ストライカ11の進入を容易・円滑にする。
【0045】
係合部材20をラッチ位置に付勢するバネ55は、コイル部56を係合部材取付軸21に挿通し、先に、バネ55の一端57を係合部材20の取付溝58に係止する。
この状態で、係合部材20をカバー40に取付ける。
次に、バネ55の他端59を、カバー40に設けた係合突起60に係合させる。
係合突起60は前記係合部材取付軸21の軸芯より上方に設け、係合突起60の下方のカバー40には切欠部62を形成しているから、係合部材取付軸21の後側および係合突起60の周辺に他端59を係止させるスペースを充分に広く確保でき、作業を頗る容易にする。
また、バネ55の他端59を係合突起60へ係合させるので、他端59を大きく弾性変形させることができ、しかも切欠部62により弾性変形させるスペースも充分にあって、他端59の係止作業を容易にする。
【0046】
例えば、バネ55の他端59を、切欠部62から係合部材取付軸21の軸芯方向に移動させて、係合突起60へ係合させることができ、係止作業を容易にする。
切欠部62に対向する部分のボディ10には、後側フランジ部63を設けているので、ボディ10とカバー40とを合わせたとき、後側フランジ部63は切欠部62内に位置して、カバー40のベース縦板部61に当接または近接し、バネ55の一端57の外れ防止の作用を奏する。
しかして、ラッチ装置Lは、ボディ1とカバー40との間に係合部材20を挟持して構成し、ボディ1とカバー40と係合部材20とは、夫々係合部材取付軸21により組立てるから、組立てが非常に容易である。
ボディ10とカバー40の夫々のストライカ進入溝12の周辺所定位置にはリブ周辺リブ65を設けているので、ボディ10とカバー40の剛性を向上させる。
【0047】
即ち、ラッチ装置Lは、ラッチ装置Lの上下中間位置にストライカ進入溝12があるため、ストライカ進入溝12によりラッチ装置Lは上下に分断され、ストライカ進入溝12はラッチ装置Lの剛性を低下させる原因の一つとなるが、本願では、ボディ10およびカバー40の各ストライカ進入溝12の周縁に周辺リブ65を設けているので、ラッチ装置Lの剛性が低くなる点を補強し、ラッチ装置L全体の剛性を向上させることができる。
ボディ10のストライカ進入溝12の入口部分には、周辺リブ65より深く押圧形成した段部66を設けているので、組み立てたボディ10とカバー40の剛性を向上させる。
【0048】
即ち、ボディ10とカバー40の各ストライカ進入溝12の周縁の夫々の周辺リブ65に、周辺リブ65の長さ方向に対する交差方向の段部66を設けているので、周辺リブ65の長さ方向と交差方向の両方向に対する剛性を向上させる。
また、ストライカ11が係合したときの係合部材20の第一段係合溝24の前後に段部66と段部67とを並設して位置させているので、ストライカ11が係合する部分のラッチ装置Lの剛性を向上させる。
また、ボディ10では前後に並設した上側段部66と下側段部67とを、夫々ストライカ進入溝12の上下側に夫々配置しているので、ストライカ11が係合する部分のストライカ進入溝12を上下側から上側段部66と下側段部67とにより補強でき、ラッチ装置Lの剛性を向上させる。
【0049】
前記バネ55の他端59を係合させる係合突起60は、ベース縦板部61よりボディ10側に屈曲形成させているので、係合突起60付近のカバー40の剛性を向上させる。
また、バネ55の一端57の外れ防止作用を奏する後側フランジ部63は、ストライカ進入溝12側に屈曲形成させているので、後側フランジ部63付近のボディ10の剛性を向上させる。
即ち、係合突起60はカバー40のベース縦板部ベース縦板部61よりボディ10側に屈曲形成させ、ボディ10の後側フランジ部63はベース縦板部64よりカバー40側に屈曲形成させているので、係合部材取付軸21周辺のラッチ装置Lの剛性を向上させられる。
【0050】
ストライカ進入溝12の上方のボディ10にはストライカ11の移動方向に長い補強用横リブ70を設けているので、ストライカ進入溝12付近のボディ10の剛性を向上させる。
しかして、ストライカ進入溝12の上側のボディ10とカバー40には、夫々カバー40とボディ10側に向けて屈曲するボディ側上側屈曲部77とカバー側上側屈曲部78を形成し、ボディ側上側屈曲部77とカバー側上側屈曲部78の何れか一方には、係合部係合部79を形成し、ボディ側上側屈曲部77とカバー側上側屈曲部78の何れか他方には係合部79が係合する係合孔80を形成しているので、係合部79を係合孔80に係合させて、左右から係合部材20を挟持するように重ねて、ボディ1とカバー40と係合部材20とを、係合部材取付軸21により固定状態に組立てる。
【0051】
そのため、組立ての際の止着部が係合部材取付軸21の一か所なので、組立てが頗る用意である。
また、係合部79と係合孔80は、左右方向のみならず、上下方向においても、ボディ10とカバー40がずれるのを防止する。
また、係合部79と係合孔80とは互いに係合するので、ボディ10およびカバー40の剛性を向上させる。
前記ストライカ進入溝12の入口側のカバー40の内面には、内側部材83を設け、内側部材83はカバー40のベース縦板部61と係合部材20の側面との間に位置させているので、ラッチ装置Lの剛性を向上させる。
即ち、係合部材20の係合体35に係合する開放用部材36を設けているので、係合部材20の側面とカバー40のベース縦板部61との間に隙間があるが、この隙間内に内側部材83を設けることにより、ラッチ装置Lの剛性を向上させる。
【0052】
この場合、係合部材20の外周面はカバー部材86により包囲し、カバー部材86の内側部材83側には突条87を設けているので、突条87は内側部材83との接触面積を小さくし、接触抵抗を減少させる。
ラッチ装置Lは、ボディ1とカバー40に設けた数カ所の取付孔72を止着具73により固定部3に設けたシート1の背凭シート6の側面に取付けるから、ボディ1とカバー40は数カ所で固定され、組立て強度が強固になり、しかも、背凭シート6への組み付け作業も兼用して、作業を容易にして効率を向上させる。
しかして、前記操作伝達部材41は、一方側操作部材42Aに接続した一方側ケーブル41Aと他方側操作部材42Bに接続した他方側ケーブル41Bの二本のケーブルにより構成しているので、一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bとを一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bにより、夫々独立して操作を行える。
【0053】
そのため、一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bは充分離れた箇所に夫々設けられるので、例えば、一方側操作部材42Aは運転座席近傍に設け、他方側操作部材42Bは背凭シート6に設けると、夫々の位置にて操作が可能となって、操作性を向上させられる。
一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bは共にアウターチューブ100内にインナーケーブル101を挿通して形成し、アウターチューブ100の一端は前記一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bの近傍所定位置に固定し、インナーケーブル101の一端は一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bに夫々接続しているので、一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bの何れかを操作すると、二本のインナーケーブル101の内の一本を牽引して作動伝達手段(開放用部材)36を作動させる。
【0054】
一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bのアウターチューブ100の他端は前記装置Lの所定位置に設けたアウタ係止部103に固定状態に取付けているので、可撓性のあるアウターチューブ100を配索して、離れた一方側操作部材42Aおよび他方側操作部材42BとLの作動伝達手段36とを連結する。
一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの夫々のインナーケーブル101の端部には先端係合部104を夫々設け、一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの夫々の先端係合部104は作動伝達手段36に設けたケーブル係止部105に取付けているので、一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bの何れかを操作すると、二本のインナーケーブル101の内の一本が牽引され、作動伝達手段36に係合している先端係合部104が作動伝達手段36を作動させる。
【0055】
この場合、ケーブル係止部105と先端係合部104とは、一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bの何れか一方の操作により、これに対応した一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの何れかの先端係合部104がケーブル係止部105に係合して作動伝達手段36を回動させるので、操作されていない一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bの何れか他方の一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの何れかの先端係合部104はケーブル係止部105に対して非係合状態となる。
そのため、非係合状態の先端係合部104はその場に留まって、係合状態の先端係合部104が作動伝達手段36を作動させる。
【0056】
先端係合部104は球形状に形成し、ケーブル係止部105には先端係合部104が外れない先端係合部104より小さい一対の一方側挿通孔110および他方側挿通孔111を設けているので、一対の一方側挿通孔110および他方側挿通孔111の夫々に一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bのインナーケーブル101を夫々移動自在に挿通すると、一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bの何れかの操作により一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの何れかの先端係合部104がケーブル係止部105に係合して作動伝達手段36を回動させるが、操作されていない一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bの何れか他方の一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの何れかのインナーケーブル101に対して作動伝達手段36はそのまま回動して非係合状態となる。
【0057】
ケーブル係止部105には、一方側挿通孔110および他方側挿通孔111に連通する係合溝112と、該係合溝112に連通して先端係合部104を嵌合させうる嵌合孔113とを設けているので、一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの各先端係合部104は、嵌合孔113から係合溝112に嵌合させ、各インナーケーブル101を一方側挿通孔110および他方側挿通孔111から突出させる。
ケーブル係止部105は、ベース板部115の先端に係合板部116を略90度に屈曲させ、前記係合板部116にベース板部115と略平行な対向板部117を設け、前記係合板部116には前記一方側挿通孔110および他方側挿通孔111を形成し、前記対向板部117には前記一方側挿通孔110および他方側挿通孔111に連通する係合溝112と該係合溝112に連通して前記先端係合部104を嵌合させうる嵌合孔113とを設けているので、嵌合孔113の横方向から先端係合部104を嵌合させて、インナーケーブル101を係合溝112から一方側挿通孔110または他方側挿通孔111に通す。
【0058】
実施例では、一方側挿通孔110の係合溝112と他方側挿通孔111の係合溝112を下方で交差するように連通させているので、一方のインナーケーブル101の先端係合部104は嵌合孔113から図25において左側の係合溝112を通して一方側挿通孔110に挿通し、他方のインナーケーブル101の先端係合部104は嵌合孔113から図25において右側の係合溝112を通して他方側挿通孔111に挿通している。
前記アウタ係止部103は、ケーブル係止部105の係合板部116の回動方向に対する接線方向の前記装置Lの所定位置に設けているので、インナーケーブル101はアウタ係止部103とケーブル係止部105の間で交差することなく、牽引される。
したがって、二本のインナーケーブル101が絡むことはない。
【0059】
即ち、ケーブル係止部105の係合板部116の回動軌跡に対する接線方向にアウタ係止部103を配置しているので、ケーブル係止部105は軸39中心に円弧移動するが、ケーブル係止部105の移動方向をインナーケーブル101の移動方向と略平行方向な方向に近づけることができ、二本のインナーケーブル101が絡む事態の発生を未然に防止する。
即ち、前記アウタ係止部103は、作動部材20がラッチ状態からアンラッチ状態に移動するときの、作動伝達手段36のケーブル係止部105の移動方向に対して交差方向の上方位置のボディ1またはカバー40に設けているので、一方側操作部材42Aまた他方側操作部材42Bを操作すると、インナーケーブル101は上方に牽引され、インナーケーブル101の上方移動によりケーブル係止部105の係合板部116の下面に当接している先端係合部104は上方移動し、先端係合部104の上方移動によりケーブル係止部105は作動伝達手段36を上方回動させる。
【0060】
このとき、一方側挿通孔110および他方側挿通孔111は、先端係合部104を通過させない大きさに形成しているため、インナーケーブル101がケーブル係止部105の回動により図28において、左右に振れても、一方側挿通孔110および他方側挿通孔111はこれを許容する(なお、図28はケーブル係止部105の移動状態の理解を容易にするため、一対の先端係合部104が係合板部116の下面に当接させているが、実際の状態を示すものではない。)。
そのため、非操作の先端係合部104のインナーケーブル101は、ケーブル係止部105の一方側挿通孔110または他方側挿通孔111に対して上下せず、先端係合部104を非係合状態に維持させられる。
【0061】
また、ケーブル係止部105のベース板部115と対向板部117とは左右に所定間隔おいて設けているので、係合板部116の下面に当接してる先端係合部104に対して、その位置に留まっている非係合状態の非操作側の先端係合部104に上方回動するケーブル係止部105の接触を防止する。
また、前記作動伝達手段36の本体123は、前記係合板部116より反ケーブル係止部105側に移動する先端係合部104と干渉しない厚さに形成しているので、作動伝達手段36の本体123がアンラッチ操作により上方回動する際に、操作されずに留まっている先端係合部104に、本体123が先端係合部104を移動させずに上方回動させられる。
【0062】
そのため、側面視において、操作されずに留まっている先端係合部104と作動伝達手段36の本体123とが重なる位置でも、作動伝達手段36を上方回動させることができ、インナーケーブル101の牽引する操作量を増加させることができ、操作者の操作感を向上させられる。
即ち、操作者は、一方側操作部材42Aまたは他方側操作部材42Bの操作量がある程度ないと、操作完了の実感がわかず、どうしても、インナーケーブル101を余分に引く傾向があるので、インナーケーブル101を牽引しうるストロークを十部に確保すると、操作者の操作に満足感を与え、操作感を向上させられる。
【0063】
しかして、前記操作伝達部材41の装置の操作機構は、種々の機器に使用(応用)できるが、本願では、前記装置Lを、シート1の背凭シート6と固定部3のと間に設けた前記背凭シート6を所定位置に保持するラッチ装置Lとしているので、背凭シート6から離れた一方側操作部材42Aにより操作ができ、操作性および作業性を向上させられる。
また、操作伝達部材41をケーブルとし、先端係合部104をケーブル係止部105に係合させればよいので、ケーブル係止部105の大きさを小型にでき、装置L全体も小型化できる。
また、ケーブル係止部105は金属板部材を屈曲形成し、ケーブル係止部105に一方側挿通孔110〜嵌合孔113を形成し、このケーブル係止部105を樹脂部材の作動伝達手段36の本体123に埋め込むように、所謂インサート成形等により一体形成できるので、製造も容易で、安価にできる。
【符号の説明】
【0064】
1…シート、2…座席シート、3…車体、4…取付軸、6…背凭シート、7…取付軸、10…ボディ、11…ストライカ、12…ストライカ進入溝、13…ベース部材、14…前側ロッド、15…後側ロッド、16…連結部、20…作動部材(係合部材)、21…係合部材取付軸、22…傾斜案内面、24…第一段係合溝、26…第二段係合溝、27…後側内周面、28…前側内周面、29…後側内周面、30…退避面30、31…奥側内周面、35…係合体、36…作動伝達手段(開放用部材)、37…係合面、38…隙間、39…軸、40…カバー、41…操作伝達部材、41A…一方側ケーブル、41B…他方側ケーブル、42…操作部材、42A…一方側操作部材、42B…他方側操作部材、45…ストッパー面、48…非作用カム面、49…退避面、55…バネ、56…コイル部、57…一端、58…取付溝、59…他端、60…係合突起、61…ベース縦板部、62…切欠部、63…後側フランジ部、64…ベース縦板部、65…周辺リブ、66…段部(上側段部)、67…段部(下側段部)、68…段部(下側段部)、70…補強用横リブ、72…取付孔、73…止着具、75…上側取付部、76…下側取付部、77…ボディ側上側屈曲部、78…カバー側上側屈曲部、79…係合部、80…係合孔、83…内側部材、86…カバー部材、87…突条、100…アウターチューブ、101…インナーケーブル、103…アウタ係止部、104…先端係合部、105…ケーブル係止部、110…一方側挿通孔、111…他方側挿通孔、112…係合溝、113…嵌合孔、115…ベース板部、116…係合板部、117…対向板部、120…取付部材、121…係合溝、123…本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置Lの取付軸21中心に一方側と他方側との間回動する作動部材20と、該作動部材20を回動させる作動伝達手段36と、前記装置Lより離れたところから前記作動伝達手段36を操作する操作部材と、作動伝達手段36に操作部材の操作を伝達する操作伝達部材41とを有し、前記操作部材は夫々離れた任意の二カ所の所定位置に夫々設け、前記操作伝達部材41は、前記一方側操作部材42Aに接続した一方側ケーブル41Aと前記他方側操作部材42Bに接続した他方側ケーブル41Bの二本のケーブルにより構成し、前記一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bは共にアウターチューブ100とインナーケーブル101とを有し、前記装置Lの所定位置のアウタ係止部103には一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの夫々の前記アウターチューブ100の端部を係止し、前記一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの夫々のインナーケーブル101の端部には先端係合部104を設け、前記作動伝達手段36は前記装置Lの所定位置に軸39により回動自在に設け、該作動伝達手段36には一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの夫々の先端係合部104が係止されるケーブル係止部105を設け、ケーブル係止部105と先端係合部104とは、一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bの何れか一方の操作により、これに対応した一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの何れかの先端係合部104がケーブル係止部105に係合して作動伝達手段36を回動させ、操作されていない一方側操作部材42Aと他方側操作部材42Bの何れか他方の一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bの何れかの先端係合部104は前記ケーブル係止部105に対して非係合状態となるように構成した装置の操作機構。
【請求項2】
請求項1において、前記先端係合部104は球形状に形成し、前記ケーブル係止部105には前記先端係合部104より小さい一対の一方側挿通孔110および他方側挿通孔111を設け、前記一対の一方側挿通孔110および他方側挿通孔111の夫々に前記一方側ケーブル41Aと他方側ケーブル41Bのインナーケーブル101を夫々移動自在に挿通し、前記先端係合部104はケーブル係止部105に対して移動自在に取り付けた装置の操作機構。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記先端係合部104は球形状に形成し、前記ケーブル係止部105には前記先端係合部104より小さい一対の一方側挿通孔110および他方側挿通孔111を設け、前記ケーブル係止部105には、前記一方側挿通孔110および他方側挿通孔111に連通する係合溝112と、該係合溝112に連通して前記先端係合部104を嵌合させうる嵌合孔113とを有して構成した装置の操作機構。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記ケーブル係止部105は、ベース板部115の先端に係合板部116を略90度に屈曲させ、係合板部116にベース板部115と略平行な対向板部117を設け、前記係合板部116には前記先端係合部104より小さい一対の一方側挿通孔110および他方側挿通孔111を形成し、前記対向板部117には前記一方側挿通孔110および他方側挿通孔111に連通する係合溝112と該係合溝112に連通して前記先端係合部104を嵌合させうる嵌合孔113とを設け、前記先端係合部104は係合板部116に対して前記一方側挿通孔110および他方側挿通孔111のインナーケーブル101の移動方向に移動自在に取り付けた装置の操作機構。
【請求項5】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4において、前記ケーブル係止部105の係合板部116の回動方向に対して接線方向の前記装置Lの所定位置には前記アウタ係止部103を設け、該アウタ係止部103には前記ケーブル係止部105の一方側挿通孔110および他方側挿通孔111に対向させてアウターチューブ100の端部の取付部材120を係止する係合溝121を設けた装置の操作機構。
【請求項6】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5において、前記ケーブル係止部105のベース板部115と対向板部117とは所定間隔おいて設け、前記作動伝達手段36の本体123は、前記係合板部116より反ケーブル係止部105側に移動する先端係合部104と干渉しない厚さに形成した装置の操作機構。
【請求項7】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6において、前記装置Lは、シート1の背凭シート6と固定部3のと間に設けた前記背凭シート6を所定位置に保持するラッチ装置Lとし、前記作動部材20は前記固定部3に固定したストライカ11に係合する係合部材とし、該係合部材には前記ストライカ11が係合する複数の係合溝を有し、該係合部材の側面には側方に突出する軸形状の係合体35を設け、該係合体35に係合して係合部材をアンラッチ操作する開放用部材を前記作動伝達手段36とし、該作動伝達手段36に、前記背凭シート6から離れた所定位置に設けた一方側操作部材42Aに接続した一方側ケーブル41Aと、前記背凭シート6に設けた他方側操作部材42Bに接続した他方側ケーブル41Bとの夫々のインナーケーブル101の先端係合部104を係止するケーブル係止部105を設けた装置の操作機構を有する乗物用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−214269(P2011−214269A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81817(P2010−81817)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000220066)テイ・エス テック株式会社 (625)
【Fターム(参考)】