説明

装飾シートおよびその製造方法

【課題】本発明は、表面平滑性に優れ、生産効率が高く安価な、長期間使用しても外観品質が低下しない、多様な光沢感を呈する光輝性を有し、視覚的美観を呈する人目を引く加飾効果の高い装飾シートおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】略黒色に着色された着色層を含む少なくとも1層以上の基材上に、押し出しラミネート透明樹脂を積層してグリッターを埋設してなり、前記着色層を介して前記グリッターが観察側から視認可能な光輝性を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多様な光沢感を呈する光輝性を有し、視覚的美観を呈する人目を引く加飾効果の高い装飾シートおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、装飾シートとして、例えば、ノート、手帳、日記帳、アルバム等の表紙やカバー等に使用されている。適宜素材で形成された被印刷体の表面にラメ(ポリエステルフィルム等にアルミニウム等の金属を真空蒸着して細かく断裁した細片を)をシルクスクリーン等で印刷することにより前記被印刷体の外観品質を向上させてなるラメ印刷物が提案されている。
【0003】
しかし、従来のラメ印刷物は、被印刷体の表面にラメを直接印刷したものであるためにラメ印刷物を適用した製品を長期間使用すると摩擦等によってラメが剥がれてしまい製品の見栄えが悪くなって製品の外観品質が低下すると言う不具合が生じたり、また、ラメ印刷物からラメが剥がれるとラメが埃や塵等の一因の一つになる等の不具合が生じる。
【0004】
また、ラメ印刷物の基材が枚葉シート状の基材に限定されることから生産効率が悪く、コストの上昇を招く等の問題や印刷インキに由来する臭気、衛生性等の問題があった。
【0005】
上記の問題点を解決するために、溶融状態又は固化状態でカットして得るグリッターを分散混入した樹脂成形品製造用樹脂ペレットを押出機で溶融させて押し出し、多数の点状や線状等の細かい光輝性を有するフィルムやシートを成形してなる装飾シートが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来、樹脂成形品製造用光輝性樹脂ペレットには、薄い箔状の金属を細かくした細片からなるグリッターが使用されていた。この為、この樹脂ペレットの製造時にグリッターを樹脂中に分散させる際に、グリッターの比重が重いので容器の底に溜り易く、攪拌しても均一な分散が困難で、攪拌が不充分であると塊が発生することもあり、特に、グリッターの大きさが最大径で200μm以上であると、樹脂成形品製造用光輝性樹脂ペレット中にグリッターが均一に分散できず、しかも、攪拌にはかなりの時間を要し、生産性も非常に悪いという問題もあった。また、この光輝性樹脂ペレットを溶融押し出して得られる押し出しフィルム(押し出し樹脂層)中のグリッターの分散状態が不均一であることから、押し出しフィルムの厚みムラが発生し易いと言った問題があった。
【0007】
本発明は、上記の技術的背景を考慮してなされたものであって、表面平滑性に優れ、生産効率が高く安価な、長期間使用しても外観品質が低下しない、多様な光沢感を呈する光輝性を有し、視覚的美観を呈する人目を引く加飾効果の高い装飾シートおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための解決手段として、
請求項1に係る発明は、
略黒色に着色された着色層を含む少なくとも1層以上の基材上に、押し出しラミネート透明樹脂を積層してグリッターを埋設してなり、前記着色層を介して前記グリッターが観察側から視認可能な光輝性を有することを特徴とする装飾シートである。
【0009】
請求項2に係る発明は、
前記基材が透明フィルム基材からなり、その透明フィルム基材自体が着色されてなる前記着色層、もしくは、印刷により基材面上に形成されてなる前記着色層を含み、前記基材上に、グリッターが混入分散されている押し出しラミネート透明樹脂層が積層されてなる請求項1記載の装飾シートである。
【0010】
請求項3に係る発明は、
前記基材が紙基材と透明フィルム基材からなり、そのいずれかの基材自体が着色されてなる前記着色層、もしくは、前記紙基材または透明フィルム基材のいずれかの基材面上に印刷により形成されてなる前記着色層を含み、前記基材上に、グリッターが混入分散されている押し出しラミネート透明樹脂層が積層されてなる請求項1記載の装飾シートである。
【0011】
請求項4に係る発明は、
前記基材が透明フィルム基材からなり、その透明フィルム基材自体が着色されてなる前記着色層、もしくは、印刷により形成されてなる前記着色層を含み、前記基材上にグリッターが散布されたそのグリッター上に押し出しラミネート透明樹脂層が積層されてなる請求項1記載の装飾シートである。
【0012】
請求項5に係る発明は、
前記基材が紙基材と透明フィルム基材との積層基材からなり、そのいずれかの基材自体が着色されてなる前記着色層、もしくは、前記紙基材または透明フィルム基材のいずれかの基材面上に印刷により形成されてなる前記着色層を含み、前記基材上にグリッターが散布されたそのグリッター上に押し出しラミネート透明樹脂層が積層されてなる請求項1記載の装飾シートである。
【0013】
請求項6に係る発明は、
前記グリッターの大きさが、最大径で0.10mm以上2.0mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の装飾シートである。
【0014】
請求項7に係る発明は、
前記ラミネート透明樹脂層の厚さが、10〜300μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の装飾シートである。
【0015】
請求項8に係る発明は、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の装飾シートを包装材料として使用することを特徴とする装飾シートである。
【0016】
請求項9に係る発明は、
請求項1〜3、6、7のいずれか1項に記載の装飾シートの製造方法であって、
基材自体を略黒色に着色して着色層を形成するか、もしくは、印刷により略黒色に着色して着色層を形成するかして着色層を含む1層以上の基材上に、予めグリッターが混入分散されてなる透明樹脂を溶融状態で押し出しラミネートして、その押し出しラミネート透明樹脂に前記グリッターを埋設することを特徴とする装飾シートの製造方法である。
【0017】
請求項10に係る発明は、
請求項1、4〜7のいずれか1項に記載の装飾シートの製造方法であって、
基材自体を略黒色に着色して着色層を形成するか、もしくは、印刷により略黒色に着色して着色層を形成するかして着色層を含む少なくとも1層以上の基材上に、グリッターを
散布し、その直後に透明樹脂を溶融状態で押し出しラミネートして、その押し出しラミネート透明樹脂と基材間に前記グリッターを埋設することを特徴とする装飾シートの製造方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、略黒色に着色されてなる着色層を含む少なくとも1層以上の基材上に、押し出しラミネート透明樹脂を積層してグリッターを埋設することで、前記着色層を介して前記グリッターが観察側から視認可能な、多様な光沢感を呈する光輝性を有し、視覚的美観を呈する人目を引く加飾効果の高い装飾シートを提供することができる。
【0019】
また、押し出しラミネート技術を採用することで、押し出しラミネート透明樹脂層に厚みムラが発生せず表面平滑性に優れ、生産効率が高く安価な装飾シートを提供することができる。
【0020】
また、グリッターが押し出しラミネート透明樹脂により埋設されていることから、装飾シートを長期間使用すると摩擦等によってグリッターが剥がれてしまい見栄えが悪くなって外観品質が低下したり、塵等の一因となることがないく、衛生性にも優れる装飾シートを提供することができる。
【0021】
そして、本発明の装飾シートは、特に、視覚的美観を呈する人目を引く加飾効果を要求される包装分野の包装材料として好適に使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の装飾シートについてその好ましい一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の装飾シートの一例を示す平面模式図および一部拡大断面模式図である。図2は、本発明の装飾シートの他の例を示す断面図である。図3は、本発明の装飾シートのさらに別の例を示す模式断面模式図である。
【0023】
本発明の装飾シートは、略黒色に着色されてなる着色層を含む少なくとも1層以上の基材上に、押し出しラミネート透明樹脂を積層してグリッターを埋設してなり、前記着色層を介して前記グリッターが観察側から視認可能な光輝性を有することを特徴とする装飾シートである。
【0024】
本発明の装飾シートの一例として、図1で示すように、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の基材5の片面に印刷により略黒色に着色されてなる着色層6を形成し、その反対側の基材5の面に、予め定形のグリッター4を分散混入している透明樹脂を押し出し機より溶融押し出しラミネートしてグリッター4が均一に分散した状態の押し出しラミネート透明樹脂層2が積層された積層体1からなる構成の装飾シートaである。
【0025】
また、本発明の装飾シートの他の例として、図2で示すように、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の基材15の片面に印刷により略黒色に着色されてなる着色層16を形成し、その反対側の基材15の面に、予め不定形のグリッター14を分散混入している透明樹脂を押し出し機より溶融押し出しラミネートしてグリッター14が均一に分散した状態の押し出しラミネート透明樹脂層12が積層された積層体11からなる構成の装飾シートbである。
【0026】
上記の装飾シートa、bにおいて、着色層6,16を押し出しラミネート透明樹脂層2,12側の基材面に設けてもよい。いずれにしても、着色層6,16を設けたその着色層6,16を介してグリッター4.14がその観察側から視認可能な、表面平滑性に優れ、
多様な光沢感を呈する光輝性を有し、極めて高い視覚的美観を呈する人目を引く加飾効果の高い装飾シートが得られる。
【0027】
さらに、本発明の装飾シートの別の例として、図3で示すように、紙からなる基材25の片面に、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂自体を略黒色に着色して着色層26を設け、その着色層26上に、予め不定形のグリッター24を散布し、その上に透明樹脂23を押し出し機より溶融押し出しラミネートして押し出しラミネート透明樹脂層22が積層され積層体21からなる構成の装飾シートcである。
【0028】
また、本発明の装飾シートのさらに別の例として、図4で示すように、紙基材35の片面に、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂自体を略黒色に着色して着色層36を設け、その着色層36上に接着剤層37を設け、不定形のグリッター34の散布し、グリッター34を接着剤層37に固着した後、その接着剤層37上に透明樹脂33を押し出し機より溶融押し出しラミネートして押し出しラミネート透明樹脂層32が積層されて積層体31からなる構成の装飾シートdである。このように、接着剤層37を設けることで、グリッター34の接着強度を向上させることができる。
【0029】
そして、上記の装飾シートc、dにおいても、略黒色に着色されてなる着色層26,36を設けその着色層26,36を介してグリッター24,34がその観察側から視認可能で、表面平滑性に優れ、多様な光沢感を呈する光輝性を有し、極めて高い視覚的美観を呈する人目を引く加飾効果の高い装飾シートが得られる。
【0030】
本発明に用いられるグリッター4,14,24,34とは、金属蒸着フィルム、ホログラムフィルム、金属箔等を断裁・細分化した薄片、チタンコートや銀コートガラスフレーク等のメタリック顔料、ゴールドやシルバーマイカ等の干渉色顔料等の光輝性を有する薄片からなるものである。
【0031】
上記の金属蒸着フィルムは、例えば、ベースとなる材料はポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、無延伸ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、ポリエチレンなどが用いられ、蒸着される金属はアルミニウムが大半を占めるが、金、銀、銅、クロム、インジウム、錫などが用いられる。
【0032】
上記のホログラムフィルムは、本発明のホログラム顔料に使用するホログラム基材としては、物体からの光の波面に相当する干渉縞がホログラム像として形成されているものであれば、特に限定するものではない。例えば、市販のホログラムホイルやホログラムフィルムを使用することができる。これらのホログラム基材は、例えばポリエステルフィルム等の支持フィルムの表面にアクリルラッカー等の熱可塑性樹脂層を形成し、その表面に2500Å程度の凹凸を有するホログラム面を形成させ、さらに種々の金属を蒸着させたものが一般的である。
【0033】
上記金属蒸着層は、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の従来公知の蒸着膜形成方法により形成することができる。蒸着層は、20〜5000nm、好ましくは35〜1000nm程度が適当である。厚さが、20nmよりも薄いと、薄す過ぎて金属光沢すなわちメタリック感が不充分となり易い。また、5000nmよりも厚いと、グリッター加工時のカット、粉砕あるいは打抜きがスムーズにでき難くなる。
【0034】
また、金属箔は、アルミニウム、金、銀、銅、クロム、インジウム、錫、洋銀、しんちゅうなど特に制限はない。
【0035】
本発明で用いられるグリッターの大きさは、最大径で0.10mm以上2.0mm以下
であり、その形状は正方形、長方形、菱形、円形、楕円形、繊維状、ヘアー状、星形、三角形あるいは不定形などいかなる形状であってもさしつかえない。当然のことながら、これらの金属箔は形状、色、素材の異なる多種類の物を混合して用いることができる。
【0036】
本発明で用いられるグリッターの厚みは4〜250μm程度で、4〜100μmであることがより好ましく、最終的な装飾シートの印刷適性、表面平滑性を考慮すると4〜30μmであることが最も好ましい。
【0037】
本発明で用いられる基材5,15,25,35としては、フィルム基材や紙基材等が使用できる。
【0038】
上記のフィルム基材としては、特に制限されるものではないが、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなどのαオレフィン−エチレン共重合体、あるいはニ種以上のα−オレフィンを共重合させたものなどが挙げられる。また、エチレン−環状オレフィン共重合体などのポリオレフィン樹脂も使用可能である。また、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコ−ル、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化部等のポリビニルアルコ−ル系樹脂、ポリビニルブチラ−ル系樹脂、その他等の各種の樹脂フィルムを使用することができる。このフィルム基材の厚みは、5〜200μmぐらい、好ましくは10〜50μm程度の範囲である。
【0039】
その中でも、フィルム基材にバリア性が要求される場合は、水蒸気、水等のバリア性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルム、あるいは、酸素、水蒸気等に対するバリア性を有するポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の樹脂のフィルムを使用することができる。
【0040】
特に、これらの中で、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ナイロン、ポリ塩化ビニリデンをコート(Kコートと呼ばれる)して二軸延伸ポリプロピレン、Kコート二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−ト、Kコート二軸延伸ナイロンが好適に使用される。
【0041】
さらに、例えば、上記の二軸延伸ポリプロピレン(OPP)および二軸延伸ナイロン等に対して、それぞれ、シリカ蒸着、アルミナ蒸着等の無機酸化物を蒸着した蒸着フィルムを使用することもできる。
【0042】
上記で例示したフィルム基材の単体もしくは積層した積層フィルムものが使用される。
【0043】
また、上記の紙基材としては、天然パルプ、合成パルプ、填料、サイズ剤、紙力増強剤、染料等、通常抄紙で用いられる原材料からなる紙であれば、特に限定されない。
【0044】
本発明における略黒色に着色されてなる着色層6,16,26,36は、例えば、墨インキ等を用いた印刷法や黒色剤等を練り込んだポリエチレン樹脂等を溶融押し出して基材上にラミネートする押し出しラミネーション法により形成することができる。
【0045】
また、本発明で用いられる押し出しラミネート用の透明樹脂3,13,23、33としては、押し出し可能な熱可塑性透明樹脂であれば特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン
、ポリプロピレ、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、その他等の樹脂を使用することができる。
【0046】
上記の押し出しラミネート用の透明樹脂は、通常の押し出し成形機を用いて溶融状態で押し出し、押し出しラミネート透明樹脂層を形成することができる。そして、その押し出しラミネート透明樹脂層の厚さとしては、10〜300μmの範囲が望ましい。
【0047】
本発明における接着層37に用いる接着剤としては、特に限定されず、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、エポキシ系、ポリ(メタ)アクリル系、等を主成分とする各種の接着剤を使用して形成することができる。
【0048】
次に、上記の材料を使用して本発明の装飾シートの製造方法を説明する。本発明の装飾シートの製造方法は、基材自体を略黒色に着色して着色層を形成するか、もしくは、印刷により略黒色に着色して着色層を形成するかして着色層を含む1層以上の基材上に、予めグリッターが混入分散されてなる透明樹脂を溶融状態で押し出しラミネートして、その押し出しラミネート透明樹脂に前記グリッターを埋設することを特徴とする。
【0049】
上記の略黒色に着色してなる着色層は、例えば、墨インキからなるインキを用いた印刷法や黒色顔料等の着色剤等を練り込んだポリエチレン樹脂等の樹脂を溶融押し出して基材上にラミネートする押し出しラミネーション法により形成することができる。
【0050】
上記の予めグリッターが混入分散されてなる押し出しラミネート透明樹脂は、前記で例示した透明樹脂とグリッターを、公知の方法、例えば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、一軸もしくは二軸押し出し機を用いて、溶融、攪拌、混合することで製造できる。
【0051】
ラミネート透明樹脂中のグリッターの混入量は、グリッターの種類、大きさ、形状によって変わるので特に制限がなく、それらに応じて適宜選択すればよい。しかし、グリッターの混入量が少な過ぎると所望の光輝性が得られないことがあり、一方グリッターの混入量が多過ぎるとグリッターの形状が変化したり、グリッターが均一に分散されないことがあるので注意を要する。
【0052】
また、本発明の装飾シートの製造方法は、基材自体を略黒色に着色して着色層を形成するか、もしくは、印刷により略黒色に着色して着色層を形成するかして着色層を含む少なくとも1層以上の基材上に、グリッターを散布し、その直後に透明樹脂を溶融状態で押し出しラミネートして、その押し出しラミネート透明樹脂と基材間に前記グリッターを埋設することを特徴とする。
【0053】
上記の製造方法において、基材上に散布したグリッターの接着性を向上させるために接着剤層を形成してその接着剤層上にグリッターを散布することもできる。
【0054】
上記の略黒色に着色してなる着色層は、前記同様、例えば、墨インキからなるインキを用いた印刷法や黒色顔料等の着色剤等を練り込んだポリエチレン樹脂等を溶融押し出して基材上にラミネートする押し出しラミネーション法により形成することができる。
【0055】
グリッターの散布手段としては、通常使用される方法であればいずれの方法であっても適用し得る。具体的に、例えば、振動フィーダー、スキャッタリングマシーン、パウダースレー等の散布機で散布する方法が挙げられる。
【0056】
基材上に散布したグリッターの接着性を向上させるために接着剤層を形成してその接着剤層上にグリッターを散布する場合の接着層は、前記で例示した接着剤を使用して、例えば、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、スプレイコート、その他のコーティング法でコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去して行うことができる。上記の接着剤の塗布量としては0.1〜5g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
【0057】
グリッターを散布し、その直後に溶融状態で押し出しラミネートする押し出しラミネート透明樹脂としては、前記で例示した同様の押し出しラミネート用の透明樹脂を使用することができる。
【0058】
上記の方法で製造して得られる本発明の装飾シートは、略黒色に着色されてなる着色層を含む少なくとも1層以上の基材上に、押し出しラミネート透明樹脂を積層してグリッターを埋設することで、前記着色層を介して前記グリッターが観察側から視認可能な、多様な光沢感を呈する光輝性を有し、視覚的美観を呈する人目を引く加飾効果の高い装飾シートを提供することができる。また、押し出しラミネート技術を採用することで、押し出し透明樹脂層に厚みムラが発生せず平面平滑性に優れ、生産効率が高く安価な装飾シートを提供することができる。また、グリッターが押し出しラミネート透明樹脂により埋設されていることから、装飾シートを長期間使用すると摩擦等によってグリッターが剥がれてしまい見栄えが悪くなって外観品質が低下したり、塵等の一因となることがないく、衛生性にも優れる装飾シートを提供することができる。そして、本発明の装飾シートは、特に、視覚的美観を呈する人目を引く加飾効果を要求される包装分野の包装材料として好適に使用されが、勿論、本発明の装飾シートは、包装分野の包装材料以外に人目を引く加飾効果が要求される分野の装飾材料として、例えば、ノート、手帳、日記帳、アルバム等の表紙やカバー等にも使用される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の装飾シートについてその一実施例を示す模式平面図(a)と模式断面図(b)である。
【図2】本発明の装飾シートについてその一実施例を示す模式断面図である。
【図3】本発明の装飾シートについてその一実施例を示す模式断面図である。
【図4】本発明の装飾シートについてその一実施例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
【0060】
a、b、c、d・・・装飾シート
1、11、21、31・・・装飾シートを構成する積層体
2、12、22、32・・・押し出しラミネート透明樹脂層
3、13、23、33・・・押し出しラミネート用透明樹脂
4、14、24、34・・・グリッター
5、15,25,35・・・基材
6、16、26、36・・・略黒色に着色されてなる着色層
37・・・接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略黒色に着色された着色層を含む少なくとも1層以上の基材上に、押し出しラミネート透明樹脂を積層してグリッターを埋設してなり、前記着色層を介して前記グリッターが観察側から視認可能な光輝性を有することを特徴とする装飾シート。
【請求項2】
前記基材が透明フィルム基材からなり、その透明フィルム基材自体が着色されてなる前記着色層、もしくは、印刷により基材面上に形成されてなる前記着色層を含み、前記基材上に、グリッターが混入分散されている押し出しラミネート透明樹脂層が積層されてなる請求項1記載の装飾シート。
【請求項3】
前記基材が紙基材と透明フィルム基材からなり、そのいずれかの基材自体が着色されてなる前記着色層、もしくは、前記紙基材または透明フィルム基材のいずれかの基材面上に印刷により形成されてなる前記着色層を含み、前記基材上に、グリッターが混入分散されている押し出しラミネート透明樹脂層が積層されてなる請求項1記載の装飾シート。
【請求項4】
前記基材が透明フィルム基材からなり、その透明フィルム基材自体が着色されてなる前記着色層、もしくは、印刷により形成されてなる前記着色層を含み、前記基材上にグリッターが散布されたそのグリッター上に押し出しラミネート透明樹脂層が積層されてなる請求項1記載の装飾シート。
【請求項5】
前記基材が紙基材と透明フィルム基材との積層基材からなり、そのいずれかの基材自体が着色されてなる前記着色層、もしくは、前記紙基材または透明フィルム基材のいずれかの基材面上に印刷により形成されてなる前記着色層を含み、前記基材上にグリッターが散布されたそのグリッター上に押し出しラミネート透明樹脂層が積層されてなる請求項1記載の装飾シート。
【請求項6】
前記グリッターの大きさが、最大径で0.10mm以上2.0mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の装飾シート。
【請求項7】
前記ラミネート透明樹脂層の厚さが、10〜300μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の装飾シート。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の装飾シートを包装材料として使用することを特徴とする装飾シート。
【請求項9】
請求項1〜3、6、7のいずれか1項に記載の装飾シートの製造方法であって、
基材自体を略黒色に着色して着色層を形成するか、もしくは、印刷により略黒色に着色して着色層を形成するかして着色層を含む1層以上の基材上に、予めグリッターが混入分散されてなる透明樹脂を溶融状態で押し出しラミネートして、その押し出しラミネート透明樹脂に前記グリッターを埋設することを特徴とする装飾シートの製造方法。
【請求項10】
請求項1、4〜7のいずれか1項に記載の装飾シートの製造方法であって、
基材自体を略黒色に着色して着色層を形成するか、もしくは、印刷により略黒色に着色して着色層を形成するかして着色層を含む少なくとも1層以上の基材上に、グリッターを散布し、その直後に透明樹脂を溶融状態で押し出しラミネートして、その押し出しラミネート透明樹脂と基材間に前記グリッターを埋設することを特徴とする装飾シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−61626(P2009−61626A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−229927(P2007−229927)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】