説明

装飾性シート及びその製造方法

【課題】凹凸模様を有するシートの任意の部分の模様を消失又は半消失させ、透明又は半透明とした装飾性シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】透明又は半透明樹脂(A)からなるシートの表面側及び/又は裏面側の全体に凹凸模様が形成され、該凹凸模様の一部に透明又は半透明樹脂(B)が積層又は塗布され、前記凹凸模様を消失又は半消失させたことを特徴とする装飾性シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気・電子機器等の各種製品の表面に貼着して装飾性を付与するための装飾性シート及びその製造方法に係り、詳しくは、凹凸模様が形成されたシートの任意の部分の模様を消失又は半消失させ、製品の表面に表示された文字や記号等を装飾性シートの上から読み取れるようにすることが出来る装飾性シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気・電子機器等の製品の表面にはさまざまな装飾が施されているが、例えば、表面に微細な凹凸模様が刻まれた樹脂シートからなる装飾性シートを、製品表面に張付けることが行われている。この方法によれば、電気・電子機器などを湿気、埃や傷から保護するとともに、デザイン性を拡張し、商品価値を高めることができる(特許文献1参照)。
【0003】
一方、装置の操作盤など、インジケーターや覗き窓等を含む製品の場合は、インジケーターや覗き窓の上に装飾性シートを設けると、表示内容を読み取ったり、内部の状況を見ることが困難となる。そこで、このような場合は、装飾が不要な部分だけ切り抜いたり、当該装飾性シートの模様を部分的に消失させ透明にする必要が生じる。
【0004】
しかしながら、装飾の不要な部分を切り抜けば、その切り抜き部分から湿気や埃等が侵入し、電子機器等が故障する原因となる恐れがある。また、所定の部分だけ模様がない装飾性シートを作るには別途の原版が必要になるが、透明にするべき部分はそれぞれの製品ごとに場所が異なるので、1種の製品に対し1つの原版が必要になり、コストアップの原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4543046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はかかる実情に鑑み、上記の従来技術の問題点を解消し、任意の部分の模様を消失又は半消失させ、文字や記号等の表示内容を読み取り易くすることの可能な装飾性シートと、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するためになされたもので、本発明の特徴は、透明又は半透明樹脂(A)からなるシートの表面側及び/又は裏面側に凹凸模様が形成され、該凹凸模様の一部に透明又は半透明樹脂(B)が積層又は塗布され、前記凹凸模様を消失又は半消失させた装飾性シートである。
【0008】
本発明の他の特徴は、前記樹脂(A)が、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂のいずれかである装飾性シートである。
【0009】
本発明の他の特徴は、前記樹脂(B)が、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂のいずれかである装飾性シートである。
【0010】
本発明の他の特徴は、前記樹脂(A)の屈折率と前記樹脂(B)の屈折率との差が0.2以下である装飾性シートである。
【0011】
本発明の他の特徴は、前記樹脂(B)の厚みが、前記樹脂(A)からなるシートの凹凸模様が形成された面のRzの少なくとも0.5倍である装飾性シートである。
【0012】
本発明の他の特徴は、前記樹脂(A)からなるシートの片側に透明又は半透明樹脂(C)からなる基材シートが積層されている装飾性シートである。
【0013】
本発明の他の特徴は、前記樹脂(C)がポリエステル樹脂である装飾性シートである。
【0014】
本発明の他の特徴は、表面側又は裏面側の凹凸模様が設けられたシートの任意の位置に、前記凹凸模様の上から透明又は半透明樹脂(B)を塗布し、その後、該樹脂(B)を冷却固化又は硬化させることにより、前記樹脂(B)を塗布した部分の凹凸模様を消失又は半消失させることを特徴とする装飾性シートの製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の装飾性シートによれば、透明又は半透明樹脂(A)(以下、単に樹脂(A)と称する)からなり、凹凸模様が形成されたシートの任意の位置に、透明又は半透明樹脂(B)(以下、単に樹脂(B)と称する)を積層又は塗布するだけで、当該部分の凹凸模様を消失又は半消失させることができ、即ち、当該部分は透明又は半透明となるので、文字や記号を読み取ったり、内部を見ることができる。
尚、半透明とは半透明樹脂でいう半透明と同様の意味で用いられ、透明の程度の小さいことを意味する。
【0016】
樹脂(A)を熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂のいずれかとすることにより、微細な凹凸模様でも簡単に形成することができる。また、樹脂(B)を熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂のいずれかとすることにより、該凹凸模様を簡単に消失または半消失させることができる。
【0017】
樹脂(A)の屈折率と樹脂(B)の屈折率との差が0.2以下であれば、樹脂(B)により樹脂(A)からなる凹凸模様を容易に消失又は半消失させることができる。
樹脂(B)の厚みを、樹脂(A)からなるシートの凹凸模様が形成された面のRzの少なくとも0.5倍とした場合には、凹凸模様を消失から半消失の状態にまで、凹凸模様の消失の程度を所望の程度に調節することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明における装飾性シートは、透明又は半透明樹脂(A)からなるシートの表面側及び/又は裏面側の全体に凹凸模様が形成され、該凹凸模様の一部に透明又は半透明樹脂(B)が積層又は塗布され、前記凹凸模様を消失又は半消失させたことを特徴とする。
本発明において、半消失とは消失の程度の小さいことを意味する。
【0019】
本発明の装飾性シートで用いる樹脂(A)は、その表面側及び/又は裏面側に凹凸模様が設けられる。本発明における樹脂(A)として使用できる樹脂は、凹凸模様を付すことができ且つ透明又は半透明である限り特に限定されず、熱可塑性樹脂、及び熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等の硬化型樹脂のいずれも用いることができる。
【0020】
本発明で使用できる熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリノルボルネン、ポリメチルペンテン−1、ウレタン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
【0021】
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、各種変性アクリレート樹脂に熱分解触媒(ベンゾイルパーオキサイド)を加えた熱硬化型樹脂も使用可能である。
【0022】
本発明で使用できる紫外線硬化型樹脂および電子線硬化型樹脂としては、例えば、エステル(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系等の公知の樹脂が挙げられる。
【0023】
上記の樹脂(A)に凹凸模様を形成する方法は公知の方法でよく、例えば熱可塑性樹脂であればダイから押し出した溶融樹脂をエンボスロールとゴムロールの間で挟圧する方法が挙げられる。硬化型樹脂であれば凹凸模様を刻設した金属板等原版の上に流し込んでから所定の方法で樹脂を硬化する方法や、別途の透明又は半透明樹脂(C)からなる基材シートの上に硬化型樹脂を流延してから前記原版で押圧しつつ所定の方法で硬化するが挙げられる。なお、ここでいう透明又は半透明樹脂(C)としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、PMMA樹脂、及びこれらの樹脂にシリカ、アルミナ、チタンオキサイド、炭酸カルシウム、有機系微小ビーズ等の光拡散剤を含有させたものが例示できる。
【0024】
凹凸模様の形状は特に限定されず、多数の直線を平行に並べたストライプ状、多数の同じ形の曲線を平行に並べたウエーブ状、同心円状、三角柱を平行に並べたプリズムシート状、半球形の突起を六方充填配置的に並べたフライアイ状等が例示できる。また、原版の上をサンドペーパー等で適当に擦って得られるような、不規則な模様であってもよい。凹凸模様の山と谷との高さは、JIS B 0601の10点平均粗さRzで0.1〜200μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、3〜20μmが更に好ましい。
【0025】
本発明では、樹脂(A)に付された凹凸模様の上に樹脂(B)を積層又は塗布することにより、凹凸模様を樹脂(B)で埋めて当該部分の凹凸模様を消失させて透明とするか、又は半消失させて半透明として文字や記号等を読み取ったり、内部を見えるようにすることができる。例えば操作盤など、インジケーターや覗き窓等を含む装置等の表面を本発明の装飾性シートで装飾する場合、インジケーターや覗き窓等を覆う部分だけに樹脂(B)を積層又は塗布して、当該部分の凹凸模様を消失又は半消失させることにより表示内容等を見やすくすることができる。このようにすれば、樹脂(B)を積層又は塗布する場所を変えることにより、複数の製品に対応できるので、1種の製品ごとに高価な原版を作成する必要がなくなり、装飾性シートを安価に製造することができる。また、必要に応じ、凹凸模様が消失又は半消失した部分の一部に加色用インク、ミラーインク等で数字、文字、記号、装飾模様等を印刷して、更に、表示を見易くすることもできる。
【0026】
本発明で用いる樹脂(B)としては、上記樹脂(A)として例示したのと同様の熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂を用いることができる。
樹脂(B)の選択については、樹脂(A)に付された凹凸模様の上に積層する場合は熱可塑性樹脂が好ましく、例えば、所望の消失度合により適当な厚さの熱可塑性樹脂フィルムを樹脂(A)の凹凸模様の上に当接し、熱板等で押圧融着させた後、冷却固化することにより、凹凸模様を埋めることができる。また、硬化型樹脂の場合は、例えば、モノマーやオリゴマーを印刷法等の各種塗布方法によりコーティングして凹凸模様を埋めることができる。
【0027】
凹凸模様上に積層又は塗布する際の樹脂(B)のうち、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂の粘度は、凹凸模様の形状や大きさにもよるが、100,000〜10cPが好ましく、50,000〜500cPがより好ましく、10,000〜100cPが更に好ましい。粘度が100,000cPを超えた場合は樹脂(B)が樹脂(A)の凹凸模様を埋めるのに時間がかかってしまい、大量生産の妨げになることがあり、10cP未満の場合は樹脂(A)の凹凸模様の形状によっては、樹脂(B)の一部が凹凸模様の形状に沿って樹脂を積層又は塗布した範囲の外に流れ出て、消失又は半消失部(透明又は半透明部)と非消失部(凹凸模様部)のコントラストが悪くなってしまう傾向がある。
【0028】
本発明においては樹脂(A)の屈折率と樹脂(B)の屈折率との差が小さいほど、凹凸模様を消失又は半消失させる効果が高いため、樹脂(A)と樹脂(B)の屈折率を同じにするのがよいが、屈折率の差が0.2以下、より好ましくは0.1以下、特に好ましくは0.05以下であれば、当該部分を通して表示内容等を容易に見ることができる。
【0029】
また、本発明では、樹脂(B)の厚みを樹脂(A)の凹凸模様を全て埋める程度以上にすれば凹凸模様が消失し、樹脂(B)の厚みを凹凸模様が形成された面のRzの0.5倍以上、好ましくは0.8倍以上とすれば、半消失〜消失させることができる。この場合、凹凸模様の消失度を調整したり、組み合わせることにより、透明度にグラデーションを付与することも可能である。
なお、RzとはJIS B 0601に規定された十点平均粗さを意味する。また、樹脂の厚みとは、樹脂(B)が樹脂(A)の凹凸模様を全て埋めることができていない場合、樹脂(B)塗布前のRzoから塗布後のRztを引いた値d=Rzo−Rztとし、樹脂(B)が樹脂(A)の凹凸模様を埋めつくした後は、Rzo+dex(dexは、埋めつくすのに必要であった樹脂の塗布量をVo (ml/m2 )とし、全塗布量V(ml/m2 )との差Vex=V−Vo から面積で割算し、計算により求めた過剰樹脂の膜厚である。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0031】
実施例1
PET樹脂からなる200mm×300mmの基材シート(商品名:ルミラーU34、東レ株式会社製)の上に、樹脂(A)として紫外線硬化型樹脂(屈折率:1.54、商品名:M−208、東亞合成株式会社製)を厚さが30μmになるように積層し、その上から底面幅20μm、高さ10μmの三角柱が隙間なく配列された形状の原版を載置した。その状態で基材シート側から紫外線ランプGS UVシステムを用い、1100mJ/cm2 の条件で紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させて、凹凸模様付きシートを作成した。
この模様付きシートの上に、樹脂(B)として上記樹脂(A)として用いたのと同じ紫外線硬化型樹脂を、シルク印刷器を用いて、上記模様付きシートの中央部に直径50mmの円状で樹脂(B)の厚さが20μmになるように塗布した。そして、樹脂(B)を塗布した部分に紫外線を照射して樹脂(B)を硬化させ、装飾性シート(樹脂(A)(B)の屈折率差:0)とした。
得られた装飾性シートは、樹脂(B)を塗布した部分の凹凸模様が消失し、透明になっているのが確認された。
【0032】
実施例2
樹脂(B)として別の紫外線硬化型樹脂(屈折率:1.515、商品名:M−215、東亞合成株式会社製)を使用した他は実施例1と同様にして装飾性シート(樹脂(A)(B)の屈折率差:0.025)を作成した。
得られた装飾性シートは、樹脂(B)を塗布した部分の凹凸模様が消失し、透明になっているのが確認された。
【0033】
実施例3
樹脂(B)として別の紫外線硬化型樹脂(屈折率:1.38、商品名:OP−38E、DIC社製)を使用した他は実施例1と同様にして装飾性シート(樹脂(A)(B)の屈折率差:0.016)を作成した。
得られた装飾性シートは、樹脂(B)を塗布した部分の凹凸模様が消失し、透明になっているのが確認された。この装飾性シートを12ポイントの文字が記載された印刷物の上に載置したところ、文字は樹脂(B)を塗布した部分を通して鮮明に読み取れた。
【0034】
実施例4
塗布する樹脂(B)の厚さを5μm(Rzo−Rzt)とした他は実施例1と同様にして装飾性シートを作成した。
得られた装飾性シートは、樹脂(B)を塗布した部分の凹凸模様が消失し、透明になっているのが確認された。この装飾性シートを12ポイントの文字が記載された印刷物の上に載置したところ、文字は樹脂(B)を塗布した部分を通して鮮明に読み取れた。
【0035】
実施例5
樹脂(B)として熱硬化型樹脂(屈折率:1.506、商品名:M−140、東亞合成株式会社製)を使用し、120℃の恒温器中で2分間硬化させた他は実施例1と同様にして装飾性シート(樹脂(A)(B)の屈折率差:0.034)を作成した。
得られた装飾性シートは、樹脂(B)を塗布した部分の凹凸模様が消失し、透明になっているのが確認された。
【0036】
実施例6
樹脂(B)として電子線硬化型樹脂(屈折率:1.501、商品名:M−113、東亞合成株式会社製)を使用し、電子線照射装置(商品名:E−B−ENGINE、浜松ホトニクス株式会社製)を使用して硬化させた他は実施例1と同様にして装飾性シート(樹脂(A)(B)の屈折率差:0.039)を作成した。
得られた装飾性シートは、樹脂(B)を塗布した部分の凹凸模様が消失し、透明になっているのが確認された。
【0037】
実施例7
樹脂(B)として熱可塑性樹脂(屈折率:1.53、商品名:ノバテックHF133、日本ポリエチレン株式会社製)を使用し、該樹脂からなる厚さ20μmフィルムを所定の形状にカッティングし、熱板を用い130℃で熱圧着させた他は実施例1と同様にして装飾性シート(樹脂(A)(B)の屈折率差:0.01)を作成した。
得られた装飾性シートは、樹脂(B)を塗布した部分の凹凸模様が消失し、透明になっているのが確認された。この装飾性シートを12ポイントの文字が記載された印刷物の上に載置したところ、文字は樹脂(B)を塗布した部分を通して鮮明に読み取れた。
【0038】
実施例8
模様付きシートを市販のプリズムシート(屈折率:1.585、商品名:GTL6000、五洋紙工株式会社製、プリズムのピッチ50μm、Rz:25μm)に変え、塗布する樹脂(B)の厚さを50μmに変えた他は実施例1と同様にして装飾性シート(樹脂(A)(B)の屈折率差:0.045)を作成した。
得られた装飾性シートは、樹脂(B)を塗布した部分の凹凸模様が消失し、透明になっているのが確認された。
【0039】
実施例9
樹脂(A)として紫外線硬化型樹脂(屈折率:1.573、商品名:オクゾールEA−1000、大阪ガスケミカル株式会社製)を使用した他は実施例3と同様にして装飾性シート(樹脂(A)(B)の屈折率差:0.19)を作成した。
得られた装飾性シートは、樹脂(B)を塗布した部分の凹凸模様が消失し、透明になっているのが確認された。この装飾性シートを12ポイントの文字が記載された印刷物の上に載置したところ、文字は樹脂(B)を塗布した部分を通して鮮明に読み取れた。
【0040】
実施例10
樹脂(A)として紫外線硬化型樹脂(屈折率:1.607、商品名:オクゾールEA−F5003、大阪ガスケミカル株式会社製)を使用した他は実施例3と同様にして装飾性シート(樹脂(A)(B)の屈折率差:0.227)を作成した。
得られた装飾性シートは、樹脂(B)を塗布した部分の凹凸模様が半消失し、半透明になっているのが確認された。この装飾性シートを12ポイントの文字が記載された印刷物の上に載置したところ、文字は樹脂(B)を塗布した部分を通して鮮明ではないが読み取れた。
【産業上の利用可能性】
【0041】
叙上のとおり、本発明に係る装飾性シート及びその製造方法は、任意の部分の凹凸模様を容易に消失又は半消失させることができ、且つ凹凸模様が消失又は半消失した部分が異なるシートを製造するための複数の原版を用意する必要がないので、デザイン性に優れた装飾性シートを安価に提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明又は半透明樹脂(A)からなるシートの表面側及び/又は裏面側の凹凸模様が形成され、該凹凸模様の一部に透明又は半透明樹脂(B)が積層又は塗布され、前記凹凸模様を消失又は半消失させたことを特徴とする装飾性シート。
【請求項2】
前記樹脂(A)が、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の装飾性シート。
【請求項3】
前記樹脂(B)が、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の装飾性シート。
【請求項4】
前記樹脂(A)の屈折率と前記樹脂(B)の屈折率との差が0.2以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の装飾性シート。
【請求項5】
前記樹脂(B)の厚みが、前記樹脂(A)からなるシートの凹凸模様が形成された面のRzの少なくとも0.5倍であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の装飾性シート。
【請求項6】
前記樹脂(A)からなるシートの片側に透明又は半透明樹脂(C)からなる基材シートが積層されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の装飾性シート。
【請求項7】
前記樹脂(C)がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の装飾性シート。
【請求項8】
表面側又は裏面側の凹凸模様が設けられたシートの任意の位置に、前記凹凸模様の上から透明又は半透明樹脂(B)を塗布し、その後、該樹脂(B)を冷却固化又は硬化させることにより、前記樹脂(B)を塗布した部分の凹凸模様を消失又は半消失させることを特徴とする装飾性シートの製造方法。

【公開番号】特開2012−126072(P2012−126072A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281445(P2010−281445)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000166649)五洋紙工株式会社 (43)
【Fターム(参考)】