説明

装飾材

【課題】本発明は、深みのある色彩を有する有色無機質粒子を有する装飾材を提供する。
【解決手段】本発明の装飾材は、骨材として直径100μm以下の独立気泡を複数内包し、空隙率が1%〜50%である粒子内層部、透明性を有する粒子外層部からなる有色無機質粒子を含み、該有色無機質粒子の少なくとも一部が視認できるように結合材で固定化されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深みのある色彩を有する有色無機質粒子を含む多彩模様装飾材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、着色骨材は装飾材料、塗料、建築材料、土木材料、プラスチック材料、設備機器等の分野で美観性を付与する目的で広範に用いられており、着色骨材を結合材で固定化することにより、意匠性の装飾材が得られている。
このような着色骨材としては、天然石粒、または、珪砂、寒水石、マイカ、ガラスビーズ等の基体粒子に着色を施した加工粒子、及び着色フィルム片、プラスチック片等の樹脂製基体を着色した人工粒子等が一般的に使用されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0003】
しかしながら、天然石粒は、天然由来のために、材料自体の色相にバラツキがあり、一部の光沢を有するものは大変高価である。一方、人工粒子は、色相は一定であるが、単調な色彩のものが多く、これらの粒子を骨材として結合材で固定化しても、単調な意匠が点在または集合した意匠となるおそれがあり、得られる装飾材に深み、奥行きある多彩感を付与し難いという問題がある。また、人工粒子と結合材の質感や色相の調和が難しく、人工粒子の異質感が際立つおそれがあり、美観を損ねやすいという問題もある。
【0004】
【特許文献1】特開平7−269062号公報
【特許文献2】特開2002−179999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のような問題点に鑑みなされたものであり、深みのある色彩を有する装飾材を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、直径100μm以下の独立気泡を複数内包し、空隙率が1%以上50%以下である粒子内層部、透明性を有する粒子外層部からなる有色無機質粒子を骨材として使用した装飾材に想到し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明多彩模様装飾材は、下記の特徴を有するものである。
【0007】
1.結合材と、骨材を含む装飾材であって、
前記骨材として、直径100μm以下の独立気泡を複数内包し、空隙率が1%以上50%以下である粒子内層部、透明性を有する粒子外層部からなる有色無機質粒子を含み、該有色無機質粒子の少なくとも一部が視認できるように結合材で固定化されていることを特徴とする、装飾材。
【発明の効果】
【0008】
本発明の装飾材は、特定の有色無機質粒子が表面に配されることにより、装飾材に有色無機質粒子自身の持つ光沢感、深み、奥行きのある多彩感を、部分的、または全体に付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0010】
本発明の装飾材は、結合材と、骨材を含み、該骨材として直径100μm以下の独立気泡を複数内包し、空隙率が1%以上50%以下である粒子内層部、透明性を有する粒子外層部からなる有色無機質粒子(以下「有色無機質粒子」という。)を含み、該有色無機質粒子の少なくとも一部が視認できるように結合材で固定化されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の結合材としては、上記骨材を固定化できれば特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、酢酸ビニル−バーサチック酸ビニルエステル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルカプロラクタム樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、セルロース樹脂、アクリル−シリコン樹脂、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂等の水分散型、水可溶型、NAD型、溶剤可溶型、無溶剤型等の結合材を使用することができる。
【0012】
本発明では骨材として、有色無機質粒子を含む。このような有色無機粒子は、粒子内層部に存在する複数の独立気泡により、光の反射(乱反射)・屈折を生じ、粒子の色相を際立たせるとともに、深み、奥ゆきのある色彩を付与することができるため、本発明装飾材の骨材として特に好ましい。
【0013】
具体的に、有色無機質粒子に存在する粒子内層部の独立気泡の割合は、空隙率が体積比率で1%以上50%以下(好ましくは2%以上40%以下、さらには3%以上30%以下)である。このような範囲であることによって、色相を際立たせ、深みのある色彩を付与することができる。空隙率が1%より小さい場合、粒子内層部の透明性が高くなり、光の反射・屈折効果が得られにくく、単調な色彩となってしまう。空隙率が50%より大きい場合、粒子の強度が低下する。
また、粒子内層部の独立気泡が1個以下の場合、光の反射(乱反射)・屈折効果が得られにくく、単調な色彩となってしまう。
【0014】
このような独立気泡の直径としては、特に限定されないが、100μm以下、さらには0.1μm以上80μm以下、さらには0.2μm以上50μm以下であることが好ましい。このような直径100μm以下の独立気泡が空隙率1%以上50%以下にて存在していれば、本発明の効果を損なわない程度に直径100μm超の独立気泡が存在していてもよい。但し、直径100μm超の独立気泡が多すぎる場合、光の反射・屈折効果が効果的に得られず、深みのある色彩が得られにくい。
【0015】
粒子内層部の厚さは、粒子の厚みの40.0%以上99.8%以下(さらに50.0%以上99.0%以下)であることが好ましい。99.8%を超えると、粒子外層部の色相が不明瞭となり、強度にも劣るおそれがある。40.0%未満では、単調な色相となるおそれがある。なお、粒子の厚みとは、最も安定な姿勢で水平面に置かれた粒子を水平な面ではさんだときの面間隔である。
【0016】
粒子内層部は、独立気泡を有するものであるが、本発明の効果を損なわない程度に、連通気泡が存在してもよい。但し、連通気泡が多すぎる場合、光の反射・屈折効果が効果的に得られず、深み、奥ゆきのある色彩が得られにくい場合が多く、粒子の強度も低下するおそれがある。
【0017】
本発明の有色無機質粒子における粒子外層部は、透明性を有することを特徴とする。このような粒子外層部は、入射光を粒子内層部へと通過させやすく、また、粒子内層部または粒子内層表層部での反射光や屈折光を通過させることによって、粒子の色相を際立たせるとともに、深み、奥ゆきのある色彩を呈することができる。
このような粒子外層部の透明性としては、粒子内層部が視認できる程度であればよいが、具体的には、波長550nmの光に対する光透過率が、20%以上99%以下(さらには、30%以上98%以下)であることが好ましい。
なお、粒子外層部の光透過率は、外層部の剥離片を、分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−3100)で測定した値である。
【0018】
さらに有色無機質粒子における粒子外層部は、粒子内層部に比べて独立気泡が少ないことが好ましい。粒子外層部は、粒子内層部に比べて独立気泡が少ないことにより、優れた強度を有している。よって、混合、攪拌したとしても、破壊されにくく、全体としては、軽量でありながら、優れた強度を有することができる。
具体的に粒子外層部の空隙率は、10%以下、さらには5%以下、さらには1%以下であることが好ましい。空隙率が10%を超えると、強度に劣る場合があり、透明性が低下し、色彩の深み、奥ゆき等の点でも不利である。
【0019】
粒子外層部の厚みとしては、深みのある色彩を得ることができれば、特に限定されないが、有色無機質粒子の厚みの0.1%以上30%以下(さらには0.5%以上25%以下)であることが好ましい。0.1%より薄いと、粒子外層部の色相が得られにくく、強度も劣るおそれがある。30%より厚いと、単調な色相となるおそれがある。
【0020】
有色無機質粒子の形状としては、例えば、球状や楕円状、りん片状、板状、円盤状、半球状、星型状、花弁状、リボン状、ヒトデ状、不定形状、多角板状、楕円板状等の扁平状、その他に、棒状、針状、紡錘状等があげられる。このうち、りん片状や板状等のような扁平状の場合、多彩感がより効果的に発現される。本発明の有色無機質粒子では、通常、粒子外層部は粒子内層部を完全に覆っていることが好ましいが、本発明の効果が得られる限り、必ずしも粒子外層部は、粒子内層部を完全に覆う必要はなく、粒子の表及び/または裏に設けられていれば足りる場合もある。
【0021】
有色無機質粒子の粒子径は、球状の場合は、粒子径が0.1以上10mm以下、扁平状の場合は、厚さが0.1mm以上10mm以下、さらには0.5mm以上5mm以下であることが好ましい。このような粒子径または厚さであることにより、深みのある色彩が発現されやすい。粒子径または厚さが0.1mmより小さい場合、本発明有色無機質粒子独特の深みのある色彩が効果的に発現されにくい。粒子径または厚さが10mmより大きい場合、骨材として扱いにくい。また、扁平状の短径及び長径は0.1mm以上50mm以下、さらには0.3mm以上30mm以下であることが好ましく、このような場合独特の色彩を奏でることができる。
【0022】
本発明有色無機質粒子の比重は、使用する成分にもよるが、0.5以上2.7以下であることが好ましい。通常の独立気泡を有さない無機質粒子の比重は、2.0以上4.5以下程度であるが、本発明の有色無機質粒子は、独立気泡を有しているため、通常の独立気泡を有さない無機質粒子に比べて、軽量となっている。このため、基材へかかる重量負荷を低減することができ、脱落やずれ落ち等を抑制することができる。また、輸送費用等のコストも低減することができる。
【0023】
なお、比重は、JIS Z 8807−1976 固体比重測定方法 「6.体積からの測定方法」に準じて測定した値である。
【0024】
本発明有色無機質粒子の空隙率は、0.1%以上50%以下、さらには1%以上40%以下であることが好ましい。このような有色無機質粒子は、深み、奥ゆきのある色彩を発現するとともに、軽量でありながら、優れた強度を有することができる。
【0025】
このような有色無機質粒子を構成する成分としては、特に限定されず、公知の材料を使用することができるが、例えば、チタン、アルミニウム、セリウム、ネオジウム、タングステン、バナジウム、鉛、亜鉛、ニッケル、ビスマス、スズ、スカンジウム等の金属元素、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウム、ヒ素、テルル等の半金属元素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等のアルカリ土類金属等の金属、または、これら金属の酸化物、塩化物、硫化物、炭酸塩、珪酸塩、燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩およびこれらの複合物等を主成分とするもの等が挙げられる。
【0026】
本発明は、光の反射(乱反射)・屈折効果によって、無機質粒子に色彩を付与するものであるが、必要に応じ、着色成分を加えて、無機質粒子を着色することもできる。
このような着色成分としては、例えば、金、白金、銀、鉄、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、クロム、チタン、亜鉛、バナジウム、ジルコニウム、アルミニウム、スズ、ネオジム、セリウム、エルビウム、プラセオジム、ホルミウム等の金属や金属コロイド等、あるいはこれら金属の酸化物、塩化物、硫化物、セレン化物、炭酸塩、珪酸塩、燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩およびこれらの複合物、また、燐、セレン等の非金属元素等が挙げられる。
このような着色成分は、粒子内層部及び/または粒子外層部に付与することができるが、本発明では、粒子外層部に付与することが好ましい。
【0027】
また、本発明の有色無機質粒子は、粒子内部に本発明の粒子内層部、本発明の粒子内層部の外側に本発明の粒子外層部を有するものであれば特に限定されない。例えば、本発明の効果を損なわない程度であれば、粒子外層部の外側になんらかの保護層が積層されていてもよい。
【0028】
保護層としては、例えば、耐水性、耐酸性、耐塩基性、耐光性、耐候性、耐摩耗性、抗菌性等の性能を付与することができ、保護層で用いる結合材としては、ガラス、水ガラス、低融点ガラス、シリコン樹脂、アルコキシシラン、シランカップリング材等の無機結合剤や、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等の有機結合剤等が挙げられ、必要に応じ、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、難燃剤、防虫剤、化学物質吸着剤、吸放湿性物質、香料、触媒、光触媒、蓄光剤、蛍光剤、光輝性顔料等の添加剤を混合することもできる。
【0029】
なお、粒子径(厚み、長径、短径)、空隙率、独立気泡の直径、粒子外層部の厚みは、走査型電子顕微鏡(日本電子製:JSM5301LV)で観察し、算出した値である。
具体的に、独立気泡の直径、粒子外層部の厚みは、粒子の断面を、走査型電子顕微鏡(日本電子製:JSM5301LV)で観察した値であり、空隙率は、観察した顕微鏡写真における独立気泡の面積から算出した値である。但し、空隙率は、独立気泡の直径が0.1μm以上のものについて測定し、算出した値である。
【0030】
このような有色無機質粒子は、例えば、複数の独立気泡を有する多孔質無機粒子の表面に、無機結合材を被覆し、透明性を有する粒子外層部を形成する方法によって得ることができる。
【0031】
このような方法で用いる多孔質無機粒子としては、例えば、チタン、アルミニウム、セリウム、ネオジウム、タングステン、バナジウム、鉛、亜鉛、ニッケル、ビスマス、スズ、スカンジウム等の金属元素、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウム、ヒ素、テルル等の半金属元素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等のアルカリ土類金属等の金属、または、これら金属の酸化物、塩化物、硫化物、炭酸塩、珪酸塩、燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩、およびこれらの複合物等を主成分とする多孔質無機粒子、あるいは天然、合成粘土鉱物等が挙げられる。
その形状は、例えば、球状や楕円状、りん片状、板状、円盤状、半球状、星型状、花弁状、リボン状、ヒトデ状、不定形状、多角板状、楕円板状等の扁平状、その他に、棒状、針状、紡錘状等があげられる。
多孔質無機粒子の粒子径は、球状の場合は、粒子径が0.1以上10mm以下、扁平状の場合は、厚さが0.1mm以上10mm以下、(好ましくは0.5mm以上5mm以下)、短径及び長径は0.1mm以上50mm以下、(好ましくは0.3mm以上30mm以下)程度のものが使用できる。
【0032】
このような多孔質無機粒子は、例えば、上記金属、あるいは上記金属の酸化物、塩化物、硫化物、炭酸塩、珪酸塩、燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩、アルミン酸塩等の金属含有微粒子または金属含有溶液、金属アルコキシド等を、熱処理法、乾燥法、ゾルゲル法、水和硬化法、水熱合成法、気相法等の処理を施すことによって得ることができるし、市販品を用いることもできる。
【0033】
熱処理法としては、通常200℃以上1500℃以下で熱処理することによって多孔質無機粒子を得ることができる。
【0034】
例えば、熱処理法として、上記金属含有微粒子を用いる方法では、金属含有微粒子と、固着材、溶剤を混合し、金属含有微粒子の粒子凝集体を形成させ、該粒子凝集体を200℃以上1500℃以下で熱処理することにより得ることができる。さらに、金属含有微粒子、固着材、溶剤に加えて、融剤、硬化剤、酸化剤、還元剤、分散剤、錯化剤、着色成分等の添加剤を混合してもよい。また、該粒子凝集体の、形成方法としては、造粒法、滴下法、型枠成形法等があげられる。特に、滴下法及び型枠成形法が好ましい。さらに、必要に応じて形成した凝集体を破砕、切断することもできる。このように作製した粒子の形状は、例えば、球状や楕円状、りん片状、板状、円盤状、半球状、星型状、花弁状、リボン状、ヒトデ状、不定形状、多角板状、楕円板状等の扁平状、その他に、棒状、針状、紡錘状等があげられ、所望の形状に調整することができる。
このような金属含有微粒子を用いる方法では、粒子間隙に入り込んだ、固着材、溶剤等により独立気泡を生成する場合と、粒子凝集体の粒子間に存在する空孔等により独立気泡が生成される場合があり、金属含有微粒子の大きさや、固着材、溶剤等の添加剤を適宜選定することにより、所望の多孔質無機粒子を製造することができる。
金属含有微粒子の大きさとしては、粒子径が、200μm以下、さらには150μm以下、さらには100μm以下であることが好ましい。このような場合、粒子間の間隙等により独立気泡が生成しやすい。また、空隙率が高く、大きさ50μm以下の独立気泡が生成されやすい。また粒子凝集体の粒子径は、球状の場合は、粒子径が0.1以上10mm以下、扁平状の場合は、厚さが0.1mm以上10mm以下、(好ましくは0.5mm以上5mm以下)、短径及び長径は0.1mm以上50mm、以下(好ましくは0.3以上30mm以下)であることが好ましい。
処理温度は、通常200℃以上1500℃以下、さらには400℃以上1300℃以下で処理することが好ましく、処理時間は、通常1分から120分以下程度で処理することによって多孔質無機粒子を得ることができる。
【0035】
固着材としては、例えば、澱粉、変性澱粉、カゼイン、大豆蛋白、セルロース誘導体、グァーガム、ガティガム、トラガントガム、キサンタンガム、プルラン、カシアガム、アラビノガラクタン、スクレロガム、カラギーナン、寒天、ローカストビーンガム、タラガム、アラビアガム、タマリンドガム、ジェランガム、寒天、ゼラチン、ペクチン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、アルギン酸、アルギン酸ソーダ、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
溶剤としては、例えば、水、アルコール類、ポリオール類、ケトン類、ポリエーテル類、エステル類、カルボン酸類、ポリカルボン酸類、セルロース類、糖類、スルホン酸類、アミノ酸類、アミン類等が挙げられ、本発明では特に、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グルセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコール等を用いることが好ましい。
【0036】
乾燥法では、例えば、上記金属含有溶液を用いる方法として、金属含有溶液と、必要に応じ、酸、溶剤、固着材、硬化剤、酸化剤、還元剤、錯化剤、触媒、着色成分等を混合して、通常20℃以上200℃以下の温度で処理することによって、多孔質無機粒子を得ることができる。また、処理時間は、選定した金属含有溶液等により適宜設定すればよく、通常1分〜24時間程度であればよい。
【0037】
ゾルゲル法では、金属含有溶液、金属アルコキシド等に、必要に応じ、酸、溶剤、硬化剤、触媒、着色成分等を加えて形成された固体成分を乾燥させることによって、多孔質無機粒子を得ることができる。
【0038】
透明性を有する粒子外層部を形成するために被覆する無機結合材としては、シリコン樹脂等、また、ガラス、水ガラス、低融点ガラス、釉薬、アルコキシシラン、シランカップリング材等が挙げられ、必要に応じ、着色成分等を混合したもの等が挙げられる。特に、本発明では、無機結合材として、ガラスや釉薬等を用いることが好ましい。
その他、無機結合材には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、防虫剤、難燃剤、化学物質吸着剤、吸放湿性物質、香料、触媒、光触媒、蓄光剤、蛍光剤、光輝性顔料、増粘剤、有機結合剤等の成分を混合してもよい。
【0039】
多孔質無機粒子に、無機結合材を被覆する方法としては、特に限定されないが、例えば、熱処理法、乾燥法、ゾルゲル法、蒸着法等の方法で処理することによって、被覆することができる。
熱処理法では、無機結合材を、多孔質無機粒子と混合し、200℃以上1500℃以下、さらに好ましくは400℃以上1300℃以下で熱処理することによって得ることができる。このような無機質材料としては、通常使用されている色ガラスや釉薬等を用いればよい。
乾燥法では、無機結合材を、多孔質無機粒子表面に被覆し、20℃以上200℃以下程度で乾燥、硬化させることによって得ることができる。
ゾルゲル法では、無機結合材を、多孔質無機粒子と混合し、常法により処理して得ることができる。
本発明では、製造のしやすさ、色彩の付与、及び得られる有色無機質粒子の強度等の観点から熱処理法で処理することが好ましい。
【0040】
また、本発明では、多孔質無機粒子(粒子内層部)を製造する工程と、粒子外層部を製造する工程とを同時に処理することもできる。
【0041】
例えば、熱処理法として、金属含有微粒子を用いる方法では、金属含有微粒子の凝集体を形成させ、該金属含有微粒子凝集体の表面に、無機結合材を被着させ、200℃以上1500℃以下で熱処理する方法等が挙げられる。
具体的に、まず、金属含有微粒子と、固着材、溶剤を混合し、金属含有微粒子の粒子凝集体を形成させる。ここでは、必要に応じ、融剤、硬化剤、酸化剤、還元剤、分散剤、錯化剤、着色成分等の添加剤を混合してもよい。
金属含有微粒子の大きさとしては、粒子径が、200μm以下、さらには150μm以下、さらには100μm以下であることが好ましい。このような場合、粒子間の間隙より独立気泡が生成しやすい。また、空隙率が高く、大きさ50μm以下の独立気泡が生成されやすい。
該粒子凝集体の、形成方法としては、造粒法、滴下法、型枠成形法等があげられる。特に、滴下法及び型枠成形法が好ましい。さらに、必要に応じて形成した凝集体をさらに破砕、切断することもできる。このように作製した粒子の形状は、例えば、球状や楕円状、りん片状、板状、円盤状、半球状、星型状、花弁状、リボン状、ヒトデ状、不定形状、多角板状、楕円板状等の扁平状、その他に 、棒状、針状、紡錘状等があげられ、所望の形状に調整することができる。粒子径としては、球状の場合は、粒子径が0.1以上10mm以下、扁平状の場合は、厚さが0.1mm以上10.0mm以下、(好ましくは0.5mm以上5mm以下)、短径及び長径は0.1mm以上50mm以下、(好ましくは0.3mm以上30mm以下)程度のものが好ましい。
次に、金属含有微粒子凝集体の表面に、無機結合材を被着させ、200℃以上1500℃以下で熱処理することによって、有色無機質粒子を得ることができる。処理温度は、通常200℃以上1500℃以下、さらに好ましくは400℃以上1300℃以下で処理することが好ましく、処理時間は、通常1分〜120分程度で処理することによって有色無機質粒子を得ることができる。
【0042】
また、乾燥法として、金属含有溶液を用いる方法では、金属含有溶液と、必要に応じ、酸、溶剤、固着材、硬化剤、酸化剤、還元剤、錯化剤、触媒、着色成分等を混合して得られた前駆体に、さらに無機結合材を混合して、通常20℃以上200℃以下の温度で処理することによって、有色無機質粒子を得ることができる。また、処理時間は、選定した金属含有溶液等により適宜設定すればよく、通常1分〜24時間程度であればよい。
【0043】
このような方法では、本発明有色無機質粒子の製造工程を短縮できるとともに、粒子内層部と、粒子外層部とがあいまって、より深みのある色彩を付与することができる。特に、熱処理法では、より強度に優れた有色無機質粒子を得ることができるため好ましい。
【0044】
本発明では、上記有色無機質粒子以外の骨材として、自然石の粉砕物、陶磁器の粉砕物、及び着色骨材から選ばれる少なくとも一種以上を使用することができる。このような骨材を有色無機質粒子と組み合わせて用いることにより、装飾材の多彩感を高めることができる。骨材の色相は、無彩色、有彩色のいずれであってもよく、本発明の効果が損われない限り、透明性を有するものであってもよい。具体的には、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂等の粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ、樹脂粉砕物、樹脂ビーズ、樹脂チップ、金属粒、木粉等や、それらの表面を着色コーティングしたもの等が挙げられる。
【0045】
本発明装飾材は、例えば以下の各方法で製造することができる。この方法によれば、目的とする装飾材を安定して製造することができ、効果発現の点でも好適である。
【0046】
1.基材に結合材、有色無機質粒子を含む組成物を塗付し、乾燥させる方法、
2.基材に結合材、有色無機質粒子を含む組成物を塗付し、次いで有色無機質粒子が視認できるように部分的に組成物を除去し、乾燥させる方法、
3.基材に結合材を含む組成物を塗付し、次いで有色無機質粒子を散在させる方法、
4.基材に結合材、有色無機質粒子を含む組成物を塗付し、さらに有色無機質粒子を散在させる方法、
5.型枠内に結合材、有色無機質粒子を含む組成物を塗付し、組成物を乾燥させた後、脱型する方法、
6.型枠内の底面に、有色無機質粒子を散在させ、結合材を含む組成物を、型枠内全体に塗付し、組成物を乾燥させた後、脱型する方法、
等により製造できる。
【0047】
また、上記1.〜4.の基材としては、石膏ボード、合板、コンクリート、モルタル、磁器タイル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、ALC板、サイディング板、押出成形板、鋼板、プラスチック板、合成紙、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維等の繊維からなる繊維布又は不織布、セラミックペーパー、ガラスクロス、メッシュ等が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、パテ、フィラー等)が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたものや、既に壁紙等が貼り付けられたもの等であってもよい。
【0048】
また、上記5.〜6.において使用する型枠としては、例えばシリコン樹脂製、ウレタン樹脂製、金属製等の型枠、あるいは離型紙を設けた型枠等が使用できる。上記方法では型枠側が装飾材表面となるため、型枠内側の形状を調整することで、装飾材表面に所望の凹凸模様を付与することもできる。有色無機質ガラス粒子を型枠内の底面に散在させる際には、公知または市販の散布機等を用いればよい。
【0049】
上記1.〜6.の組成物を塗付する際には、例えばスプレー、ローラー、こて、レシプロ、コーター、流し込み等の手段を用いた方法を採用することができる。また、組成物には、上述の成分の他に必要に応じ、例えば、繊維、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、吸着剤、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒、ブロッキング防止剤等が含まれていてもよい。
【0050】
上記2.の組成物等の除去は、組成物の硬化前後いずれに行っても良いが、本発明では組成物が硬化する前に行うことが好ましい。除去方法は、公知の洗い出しと同様に行うことができ、組成物の硬度(硬化状態)に応じて、ローラー、こて、やすり、サンドペーパー等適宜使用することができる。この際、有色無機質粒子の一部を露出させるように組成物を除去するとより深みのある色彩を有する装飾材を得ることができる。
【0051】
上記3.の有色無機質骨材を散在させた後、本発明の効果を阻害しない範囲内で有色無機質骨材を圧着することができる。圧着することで、有色無機質骨材をより強固に固定することができる。圧着方法としては、ローラー、こて、プレス機等を用いる方法が挙げられる。
【0052】
装飾材の製造時には、本発明の効果を阻害しない限り、例えば、補強材(織布、不織布、セラミックペーパー、合成紙、ガラスクロス、メッシュ等)を積層することができる。その他、当業者の知識に基づき種々の変更を加えることもできる。
【0053】
本発明の装飾材は、具体的には、住宅、マンション、学校、病院、店舗、事務所、工場、倉庫、食堂等における壁、間仕切り、扉、天井等の仕上げに適用できる。
【実施例】
【0054】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0055】
(有色無機質粒子の製造)
(製造例1)
ガラス粉(粒子径:15μm、空隙率:0%、比重2.7)50重量%とアルギン酸ナトリウム1重量%を含む水溶液を、5重量%の塩化カルシウムを含む溶液に滴下し、ろ過後、得られた粒子を50℃で3時間乾燥させ、粒子径3.5mmの球状ガラス粒を得た。このガラス粒100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)50重量部、水20重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子1を得た。
得られた有色無機質粒子1は、粒子外層部が透明緑色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子1は、空隙率が9%(粒子内層部の空隙率:15%(平均サイズ2μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.3、平均粒子径が2.6mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.16mm(平均粒子径の6%)、光透過率は66%であった。
【0056】
なお、平均粒子径、空隙率、独立気泡の直径、粒子外層部の厚みは、走査型電子顕微鏡(日本電子製:JSM5301LV)で測定した値である。
比重は、JIS Z 8807−1976 固体比重測定方法 「6.体積からの測定方法」(溶液:イソプロピルアルコール)に準じて測定した値である。
粒子外層部の光透過率は、外層部の剥離片を、分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−3100)で測定した値である。
【0057】
(製造例2)
ガラス粉(粒子径:15μm、空隙率:0%、比重2.7)50重量%とアルギン酸ナトリウム1重量%を含む水溶液を、5重量%の塩化カルシウムを含む溶液に滴下し、ろ過後、得られた粒子を50℃で3時間乾燥させ、粒子径3.5mmの球状ガラス粒を得た。このガラス粒100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)300重量部、水20重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子2を得た。
得られた有色無機質粒子2は、粒子外層部が透明緑色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子2は、空隙率が4%(粒子内層部の空隙率:13%(平均サイズ2μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.5、平均粒子径が3.0mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.6mm(平均粒子径の20%)、光透過率は47%であった。
【0058】
(製造例3)
ガラス粉(粒子径:15μm、空隙率:0%、比重2.7)50重量部と3号水ガラス溶液100重量部の混合溶液を、1Mの塩酸中に滴下し、ろ過後、得られた粒子を50℃で3時間乾燥させて粒子径4.4mmの球状ガラス粒を得た。このガラス粒100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)40重量部、水20重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子3を得た。
得られた有色無機質粒子3は、粒子外層部が透明緑色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子3は、空隙率が8%(粒子内層部の空隙率:11%(平均サイズ4μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.4、平均粒子径が4mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.2mm(平均粒子径の5%)、光透過率は66%であった。
【0059】
(製造例4)
ガラス粉(粒子径:15μm、空隙率:0%、比重2.7)50重量%とアルギン酸ナトリウム1重量%を含む水溶液を、5重量%の塩化カルシウムを含む溶液に滴下し、ろ過後、得られた粒子を50℃で3時間乾燥させ、粒子径5.5mmの球状ガラス粒を得た。このガラス粒100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の青色釉薬(着色成分:酸化コバルト)25重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)30重量部、水20重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子4を得た。
得られた有色無機質粒子4は、粒子外層部が透明青緑色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子4は、空隙率が9%(粒子内層部の空隙率:13%(平均サイズ2μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.3、平均粒子径が4.8mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.29mm(平均粒子径の6%)、光透過率は56%であった。
【0060】
(製造例5)
ガラス粉(粒子径:15μm、空隙率:0%、比重2.7)50重量%とアルギン酸ナトリウム1重量%を含む水溶液を、5重量%の塩化カルシウムを含む溶液に滴下し、ろ過後、得られた粒子を50℃で3時間乾燥させ、粒子径5.5mmの球状ガラス粒を得た。このガラス粒100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の青色釉薬(着色成分:酸化コバルト)50重量部、水20重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子5を得た。
得られた有色無機質粒子5は、粒子外層部が透明青色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子5は、空隙率が10%(粒子内層部の空隙率:13%(平均サイズ2μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%、粒子内層部には直径(平均サイズ)2μmの複数の独立気泡有)、比重2.3、平均粒子径4.8mm、粒子外層部は、厚みが0.27mm(平均粒子径の6%)、光透過率は55%であった。
【0061】
(製造例6)
ガラス粉(粒子径:160μm、空隙率:0%、比重2.7)50重量%とアルギン酸ナトリウム1重量%を含む水溶液を、5重量%の塩化カルシウムを含む溶液に滴下し、ろ過後、得られた粒子を50℃で3時間乾燥させ、粒子径6.5mmの球状ガラス粒を得た。このガラス粒100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)50重量部、水20重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子6を得た。
得られた有色無機質粒子6は、粒子外層部が透明緑色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子6は、空隙率が10%(粒子内層部の空隙率:15%(平均サイズ26μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.2、平均粒子径が4.9mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.3mm(平均粒子径の6%)、光透過率は54%であった。
【0062】
(製造例7)
酸化ケイ素100重量部(粒子径:5μm、空隙率:0%、比重2.2)、酸化アルミ40重量部(粒子径:5μm、空隙率:0%、比重4.0)、酸化鉄4重量部(粒子径:1μm、空隙率:0%、比重5.2)、炭酸カリウム8重量部(粒子径:3μm、空隙率:0%、比重2.3)、ベントナイト6重量部(粒子径:1μm、空隙率0%、比重3.5)、水100重量部を混錬し、5mmの球状粒子を成形した。得られた球状粒子100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)55重量部、水20重量部を混合し、1200℃で15分間焼成し、有色無機質粒子7を得た。
得られた有色無機質粒子7は、粒子外層部が透明緑色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子7は、空隙率が12%(粒子内層部の空隙率:19%(平均サイズ5μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.3、平均粒子径が4.2mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.3mm(平均粒子径の7%)、光透過率は54%であった。
【0063】
(製造例8)
テトラエトキシシラン100重量部に、エタノール45重量部、5M塩酸25重量部を混合して50℃で30分間撹拌し、50℃で2時間、続いて100℃で1時間乾燥させた後、200℃で1時間焼成し、粒子径2mm、空隙率40%(独立気泡35%、連通気泡65%)、比重1.3のシリカゲル粉末を得た。
得られたシリカゲル粉末100重量部と、カルボキシメチルセルロース1.5重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)200重量部、水150重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子8を得た。
得られた有色無機質粒子8は、粒子外層部が透明緑色を有する深みのある色彩を示した。
なお有色無機質粒子8は、空隙率が21%(粒子内層部の空隙率:40%(平均サイズ0.2μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.0、平均粒子径が2.4mmであった。粒子外層部は、厚みが0.24mm(平均粒子径の10%)、光透過率は59%であった。
【0064】
(製造例9)ガラス粉(粒子径:15μm、空隙率:0%、比重2.7)50重量%とアルギン酸ナトリウム1重量%を含む水溶液を、厚さ1mm、長径7mm、短径4mmの型枠に流し込み板状に成型後、5重量%の塩化カルシウムを含む溶液を噴霧し、50℃で3時間乾燥させ、りん片状ガラス粒子を得た。このガラス粒子100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)30重量部、水20重量部を混合し、800℃で15分間焼成し、有色無機質粒子9を得た。
得られた有色無機質粒子9は、粒子外層部が透明緑色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子9は、空隙率が4%(粒子内層部の空隙率:13%(平均サイズ2μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.5、厚さ0.7mm、粒子長径が5.0mm、短径が3mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.1mm(厚さの14%)、光透過率は68%であった。
【0065】
(製造例10)酸化ケイ素100重量部(粒子径:5μm、空隙率:0%、比重2.2)、酸化アルミ40重量部(粒子径:5μm、空隙率:0%、比重4.0)、酸化鉄4重量部(粒子径:1μm、空隙率:0%、比重5.2)、炭酸カリウム8重量部(粒子径:3μm、空隙率:0%、比重2.3)、ベントナイト6重量部(粒子径:1μm、空隙率0%、比重3.5)、水300重量部を混合し、厚さ1.5mm、長径7mm、短径4mmの型枠に流し込み板状に成型後、50℃で3時間乾燥させ、りん片状粒子を得た。この粒子100重量部と、カルボキシメチルセルロース0.6重量部、透明性の緑色釉薬(着色成分:酸化クロム)50重量部、水20重量部を混合し、1200℃で15分間焼成し、有色無機質粒子10を得た。
得られた有色無機質粒子10は、粒子外層部が透明緑色を有する深み、奥ゆきのある色彩を示した。
有色無機質粒子10は、空隙率が12%(粒子内層部の空隙率:19%(平均サイズ5μmの複数の独立気泡)、粒子外層部の空隙率:1%)、比重が2.3、厚さが0.8mm、粒子長径が5mm、短径が3mmであった。また、粒子外層部は、厚みが0.13mm(厚さの16%)、光透過率は67%であった。
【0066】
(装飾材の製造)
(実施例1)
アクリルスチレン樹脂エマルション100重量部に、骨材として平均粒子径50μmの寒水石を200重量部、有色無機質粒子1を50重量部添加して作製した装飾材用組成物をスレート板に塗付厚3mmとなるように塗付した。次いで、有色無機質粒子1を300g/mとなるように散布し、直ちにローラーを用いて有色無機質粒子を塗付液中に、粒子頭頂部が表面に残る程度まで埋め込んだ後、乾燥させることで装飾材1を得た。装飾材1は、表面に露出した粒子部分の光沢感、深み、奥行き、また、埋没した粒子のパターンも表面から視認できるため、装飾材全体に奥行き感(立体感)を得ることができた。
【0067】
(実施例2)
有色無機質粒子1に代えて、有色無機質粒子2を使用し、装飾材用組成物の塗付厚を5mmとした以外は、実施例1と同様の方法で装飾材2を得た。装飾材2は、表面に露出した粒子部分の光沢感、深み、奥行き、また、埋没した粒子のパターンも表面から視認できるため、装飾材全体に奥行き感(立体感)を得ることができた。
【0068】
(実施例3)
有色無機質粒子1に代えて、有色無機質粒子3を使用し、装飾材用組成物の塗付厚を5mmとした以外は、実施例1と同様の方法で装飾材3を得た。装飾材3は、表面に露出した粒子部分の光沢感、深み、奥行き、また、埋没した粒子のパターンも表面から視認できるため、装飾材全体に奥行き感(立体感)を得ることができた。
【0069】
(実施例4)
有色無機質粒子1に代えて、有色無機質粒子4を使用し、装飾材用組成物の塗付厚を5mmとした以外は、実施例1と同様の方法で装飾材4を得た。装飾材4は、表面に露出した粒子部分の光沢感、深み、奥行き、また、埋没した粒子のパターンも表面から視認できるため、装飾材全体に奥行き感(立体感)を得ることができた。
【0070】
(実施例5)
有色無機質粒子1に代えて、有色無機質粒子5を使用し、装飾材用組成物の塗付厚を5mmとした以外は、実施例1と同様の方法で装飾材5を得た。装飾材4は、表面に露出した粒子部分の光沢感、深み、奥行き、また、埋没した粒子のパターンも表面から視認できるため、装飾材全体に奥行き感(立体感)を得ることができた。
【0071】
(実施例6)
有色無機質粒子1に代えて、有色無機質粒子6を使用し、装飾材用組成物の塗付厚を5mmとした以外は、実施例1と同様の方法で装飾材6を得た。装飾材4は、表面に露出した粒子部分の光沢感、深み、奥行き、また、埋没した粒子のパターンも表面から視認できるため、装飾材全体に奥行き感(立体感)を得ることができた。
【0072】
(実施例7)
有色無機質粒子1に代えて、有色無機質粒子7を使用し、装飾材用組成物の塗付厚を5mmとした以外は、実施例1と同様の方法で装飾材7を得た。装飾材7は、表面に露出した粒子部分の光沢感、深み、奥行き、また、埋没した粒子のパターンも表面から視認できるため、装飾材全体に奥行き感(立体感)を得ることができた。
【0073】
(実施例8)
有色無機質粒子1に代えて、有色無機質粒子8を使用した以外は、実施例1と同様の方法で装飾材8を得た。装飾材8は、表面に露出した粒子部分の光沢感、深み、奥行き、また、埋没した粒子のパターンも表面から視認できるため、装飾材全体に奥行き感(立体感)を得ることができた。
【0074】
(実施例9)
有色無機質粒子1に代えて、有色無機質粒子9を使用した以外は、実施例1と同様の方法で装飾材9を得た。装飾材9は、表面に露出した粒子部分の光沢感、深み、奥行き、また、埋没した粒子のパターンも表面から視認できるため、装飾材全体に奥行き感(立体感)を得ることができた。
【0075】
(実施例10)
有色無機質粒子1に代えて、有色無機質粒子10を使用した以外は、実施例1と同様の方法で装飾材10を得た。装飾材10は、表面に露出した粒子部分の光沢感、深み、奥行き、また、埋没した粒子のパターンも表面から視認できるため、装飾材全体に奥行き感(立体感)を得ることができた。
【0076】
(実施例11)
アクリルスチレン樹脂エマルション100重量部に、骨材として平均粒子径50μmの寒水石を200重量部、有色無機質粒子1を50重量部添加して作製した装飾材用組成物をスレート板に塗付厚3mmとなるように塗付した。装飾材用組成物が乾燥しないうちに水を含んだウレタン製ローラーで塗付液の表面を洗い流すことで、装飾材用組成物中の有色無機質粒子を覆う樹脂エマルション及び寒水石を除去した。この後、直ちに乾燥したローラーを用いて表面の水分を除去し、乾燥させることで、装飾材11を得た。装飾材11は、表面に露出した粒子部分の光沢感、深み、奥行きのある多彩性を有していた。また、埋没した粒子のパターンも表面から視認できるため、装飾材全体に奥行き感(立体感)を得ることができた。
【0077】
(実施例12)
有色無機質粒子1に代えて、有色無機質粒子9を使用した以外は、実施例11と同様の方法で装飾材12を得た。装飾材12は、表面に露出した粒子部分の光沢感、深み、奥行きのある多彩性を有していた。また、埋没した粒子のパターンも表面から視認できるため、装飾材全体に奥行き感(立体感)を得ることができた。
【0078】
(実施例13)
アクリルスチレン樹脂エマルション100重量部に、骨材として平均粒子径50μmの寒水石を200重量部、有色無機質粒子1を50重量部添加して作製した装飾材用組成物をスレート板に塗付厚3mmとなるように塗付し、装飾材13を得た。装飾材13は、表面から視認できる埋没した粒子のパターンにより、装飾材全体に奥行き感(立体感)を得ることができた。
【0079】
(実施例14)
有色無機質粒子1に代えて、有色無機質粒子9を使用した以外は、実施例13と同様の方法で装飾材14を得た。装飾材14は、表面から視認できる埋没した粒子のパターンにより、装飾材全体に奥行き感(立体感)を得ることができた。
【0080】
(実施例15)
アクリルスチレン樹脂エマルション100重量部に、骨材として珪砂を200重量部添加して作製した樹脂組成物をスレート板に塗付厚3mmとなるように塗付した後、樹脂組成物が乾燥しないうちに、樹脂組成物の塗付量100重量部に対して有色無機質粒子1を20重量部散布して樹脂組成物に付着させ、直ちにローラーを用いて有色無機質粒子を樹脂組成物中に、粒子頭頂部が表面に残る程度まで埋め込んだ後、乾燥させることで装飾材15が得られた。装飾材15は、表面に露出した粒子部分の光沢感、深み、奥行きのある多彩性を有していた。
【0081】
(実施例16)
シリコン樹脂製型枠(縦300mm×横300mm×深さ5mm)の内面に、エポキシ樹脂100重量部に、骨材として平均粒子径50μmの寒水石を200重量部、有色無機質粒子1を50重量部添加して作製した装飾材用組成物を流し込み、こてを用いて平滑にならした。23℃下で24時間乾燥後、脱型して装飾材16を得た。この装飾材16は、表面から視認できる埋没した粒子のパターンにより、装飾材全体に奥行き感(立体感)を得ることができた。
【0082】
(実施例17)
シリコン樹脂製型枠(縦300mm×横300mm×深さ5mm)の内面に、散布機を用いて有色無機質粒子9を散在させ、エポキシ樹脂100重量部に、骨材として平均粒子径50μmの寒水石をを200重量部添加して作製した装飾材用組成物を流し込み、こてを用いて平滑にならした。23℃下で24時間乾燥後、脱型して装飾材17を得た。この装飾材17は、表面に露出した粒子部分の光沢感、深み、奥行きのある多彩性を有していた。また、表面から視認できる埋没した粒子のパターンにより、装飾材全体に奥行き感(立体感)を得ることができた。
【0083】
(比較例1)
アクリルスチレン樹脂エマルション100重量部に、骨材として寒水石を200重量部、球状の透明赤色ガラス粒子(直径2mm)50重量部を添加して作製した装飾材用組成物をスレートに塗付した。装飾材用組成物が乾燥しないうちに水を含んだウレタン製ローラーで装飾材用組成物の表面を洗い流すことで、装飾材用組成物中の色ガラス粒子を覆う樹脂エマルション及び寒水石(または/および珪砂)を除去した。この後、直ちに乾燥したローラーを用いて塗付液表面の水分を除去し、乾燥させることで、装飾材18が得られた。
装飾材18は、単調な着色粒子が点在しただけとなり、深み、奥行き感のある多彩的意匠は得られなかった。
【0084】
(比較例2)
アクリルスチレン樹脂エマルション100重量部に、骨材として寒水石を200重量部、玉砂利(直径3mm)50重量部を添加して作製した装飾材用組成物をスレートに塗付した。装飾材用組成物が乾燥しないうちに水を含んだウレタン製ローラーで装飾材用組成物の表面を洗い流すことで、装飾材用組成物中の玉砂利を覆う樹脂エマルション及び寒水石(または/および珪砂)を除去した。この後、直ちに乾燥したローラーを用いて塗付液表面の水分を除去し、乾燥させることで、装飾材19が得られた。
装飾材19は、全体的に、低彩色となり、深み、奥行き感のある多彩的意匠は得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合材と、骨材を含む装飾材であって、
前記骨材として、直径100μm以下の独立気泡を複数内包し、空隙率が1%以上50%以下である粒子内層部、透明性を有する粒子外層部からなる有色無機質粒子を含み、該有色無機質粒子の少なくとも一部が視認できるように結合材で固定化されていることを特徴とする、装飾材。

【公開番号】特開2009−51879(P2009−51879A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217579(P2007−217579)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000180287)エスケー化研株式会社 (227)
【Fターム(参考)】